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COVID-19の肺がん患者、死亡率高く:国際的コホート研究/Lancet Oncol

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行期における、肺がん等胸部がん患者の転帰について、初となる国際的コホート研究の結果が公表された。COVID-19に罹患した胸部がん患者は死亡率が高く、集中治療室(ICU)に入室できた患者が少なかったことが明らかになったという。イタリア・Fondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのMarina Chiara Garassino氏らが、胸部がん患者における重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の影響を調査する目的で行ったコホート研究「Thoracic Cancers International COVID-19 Collaboration(TERAVOLT)レジストリ」から、200例の予備解析結果を報告した。これまでの報告で、COVID-19が確認されたがん患者は死亡率が高いことが示唆されている。胸部がん患者は、がん治療に加え、高齢、喫煙習慣および心臓や肺の併存疾患を考慮すると、COVID-19への感受性が高いと考えられていた。結果を踏まえて著者は、「ICUでの治療が死亡率を低下させることができるかはわからないが、がん治療の選択肢を改善し集中治療を行うことについて、がん特異的死亡および患者の選好に基づく集学的状況において議論する必要がある」と述べている。Lancet Oncology誌オンライン版2020年6月12日号掲載の報告。 TERAVOLTレジストリは、横断的および縦断的な多施設共同観察研究で、COVID-19と診断されたあらゆる胸部がん(非小細胞肺がん[NSCLC]、小細胞肺がん、中皮腫、胸腺上皮性腫瘍、およびその他の肺神経内分泌腫瘍)の患者(年齢、性別、組織型、ステージは問わず)が登録された。試験適格条件は、RT-PCR検査で確認された患者、COVID-19の臨床症状を有しかつCOVID-19が確認された人と接触した可能性のある患者、または、臨床症状があり肺画像がCOVID-19肺炎と一致する患者と定義された。 2020年1月1日以降の連続症例について臨床データを医療記録から収集し、人口統計学的または臨床所見と転帰との関連性について、単変量および多変量ロジスティック回帰分析(性別、年齢、喫煙状況、高血圧症、慢性閉塞性肺疾患)を用いて、オッズ比(OR)およびその95%信頼区間(CI)を算出して評価した。なお、データ収集は今後WHOによるパンデミック終息宣言まで継続される予定となっている。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、2020年3月26日~4月12日に、8ヵ国から登録された最初の200例であった。・200例の年齢中央値は68.0歳(範囲:61.8~75.0)、ECOG PS 0~1が72%(142/196例)、現在または過去に喫煙81%(159/196例)、NSCLC 76%(151/200例)であった。・COVID-19診断時に、がん治療中であった患者は74%(147/199例)で、1次治療中は57%(112/197例)であった。・200例中、入院は152例(76%)、死亡(院内または在宅)は66例(33%)であった。・ICU入室の基準を満たした134例中、入室できたのは13例(10%)で、残りの121例は入院したがICUに入室できなかった。 ・単変量解析の結果、65歳以上(OR:1.88、95%CI:1.00~3.62)、喫煙歴(OR:4.24、95%CI:1.70~12.95)、化学療法単独(OR:2.54、95%CI:1.09~6.11)、併存疾患の存在(OR:2.65、95%CI:1.09~7.46)が死亡リスクの増加と関連していた。・しかし、多変量解析で死亡リスクの増加との関連が認められたのは、喫煙歴(OR:3.18、95%CI:1.11~9.06)のみであった。

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初診料が前年比5割減、健診・検診は9割減も/日医・医業経営実態調査

 2020年3~5月、月を追うごとに病院の医業収入が大きく落ち込み、健診・検診の実施件数は半減から9割減となった実態が明らかになった。6月24日の日本医師会定例記者会見において、松本 吉郎常任理事が全国の医師会病院および健診・検査センターの医業経営実態調査結果を発表した。 調査は73の医師会病院、164の健診・検査センターが対象。回答率はそれぞれ71.2%(52病院)、51.2%(84施設)だった。回答病院のうち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者「あり」は25.0%(13病院)、COVID-19患者のための病床「あり」は50.0%(26病院)。COVID-19入院患者「あり」の病院における月平均入院患者数は7.6人だった(最大は4月に76人の入院患者[東京都])。 2020年3~5月の状況について、病院に対しては稼働病床数や総点数、初診料や再診料の算定回数のほか損益計算書、センターに対しては健診・検査の実施状況と損益計算書の調査が実施された。5月は前年比で初診47.2%、再診31.8%減。電話等再診の算定は増 全体で、初診料と再診料の算定回数の対前年比はともに3月、4月、5月と月を追ってマイナス幅が増加していた。初診料は3月が22.3%減、4月が38.2%減、5月が47.2%減。再診料または外来診療料は3月が14.4%減、4月が26.2%減、5月が31.8%減となっていた。 COVID-19入院患者「あり」の病院のすべてで、5月の初診料算定回数の対前年比がマイナスであった。また、地域医療支援病院(32病院)は、紹介が大幅に減少したとみられ、同じくすべての病院で対前年比がマイナスとなっていた。 一方、2019年にはほとんど算定のなかった電話等再診は4月以降急増し、4~5月には再診料または外来診療料の2%前後が電話等再診になっている。COVID-19対応病院でより顕著、医業利益が大幅に悪化 医業収入・利益については、調査締め切りの時点で5月分が未確定の病院があったため、3~4月分の回答があった病院と、3~5月分の回答があった病院に分けて、集計・分析が行われている。3~4月の集計では、医業収入は対前年比で、3月が1.5%減、4月が11.8%減となり、前年の黒字から一転。医業利益率は保険外の健診・人間ドック等収入の減少も影響して9.0%減、11.8%減となった。4月の許可病床1床当たりの営業利益は前年比で16万2,000円悪化している。3~5月の集計では、5月の医業収入が対前年比で13.8%減と落ち込みが最も大きい。 また、COVID-19入院患者「あり」の病院(3~4月)では、4月の医業収入対前年比が大幅なマイナス(3月が0.3%減、4月が14.7%減)、医業利益率が大幅な赤字となっていた(3月が13.9%減、4月が23.2%減)。4月の許可病床1床当たりの営業利益は前年比で31万1,000円悪化している。 松本氏は、「総じて前年から一転して大幅な悪化傾向が続いており、事業運営に悪影響を及ぼしている」として、国にその支援を求めていくとした。5月には75歳健診や乳がん検診の受診が前年比9割以上減少  医師会健診・検査センターへの調査結果は、本稿では健診・検診の実施状況について紹介する。3月時点ですでに前年に比べて2割以上減少した健診・検診は、特定健診(36.3%減)、75歳以上健診(29.8%減)、ウイルス肝炎検診(27.3%減)、肺がん検診(20.5%減)であった。5月にはすべての健診・検診の実施件数が前年と比べて半減や8割減、更には9割減となっている。5月の対前年比で減少が最も大きかったのは75歳以上健診(93.9%減)で、乳がん検診(90.1%減)、肺がん検診(85.8%減)などが続いた。 同調査の詳細は、日本医師会ホームページに掲載されている。

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RET陽性肺がんに対するselpercatinibの脳転移に関する効果(LIBRETTO-001)/ASCO2020

 米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのVivek Subbiah氏は、RET融合遺伝子陽性のNSCLCに対するRET阻害薬selpercatinib(LOXO-292)の第I/II相試験LIBRETTO-001の脳転移例に関するサブ解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。同薬が脳転移に対する著明な抗腫瘍効果を示すと報告した。 非小細胞肺がん患者の約2%に認められるRET融合遺伝子陽性症例では脳転移の頻度が高いことが報告されている。selpercatinibは前臨床試験でこうした転移に対する抗腫瘍効果が報告されている。・対象:LIBRETTO-001に登録した脳転移を有する患者79例・評価項目:[主要評価項目]脳転移に対する奏効率(ORR) [副次評価項目]脳転移に対する奏効持続期間(DoR) 主な結果は以下の通り。・独立評価委員会の評価で、解析に十分な追跡期間(初回投与から6ヵ月以上)がある14例が最終対象となった。・対象患者全例が前治療を経験し、うち5例は脳への放射線照射が行われており、照射はselpercatinib投与2ヵ月前までに終了していた。・ORR は93% (95%信頼区間[CI]:66.1~99.8)で、完全奏効(CR)は14%、部分奏効(PR)は79%であった。・DoRは10.1 ヵ月(95%CI:6.7~評価不能)。・奏効例13例中、脳転移の病勢進行は5例に認められ、死亡は1例であった。 Subbiah氏は、「selpercatinibは脳転移に対する抗腫瘍効果は永続性があり、かつ独立的に確認されており、化学療法による前治療がある患者でも認められる」と評した。

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EGFR陽性肺がんに対するゲフィチニブのアジュバント(CTONG1104試験)/ASCO2020

 病理病期II~IIIAで、完全切除を受けたEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術後療法としての、標準的なプラチナ併用化学療法とゲフィチニブの比較試験の全生存期間(OS)に関する報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で中国・Guangdong Lung Cancer InstituteのYi-Long Wu氏より発表された。 本試験は中国国内で実施された多施設共同オープンラベルの第III相無作為化比較試験であり、無病生存期間(主要評価項目)の有意な改善に関する報告は2017年のASCOで既になされている。今回の発表はOSの最終解析報告である。・対象:病理病期II~IIIA(N1-N2)で完全切除を受けたEGFR変異陽性のNSCLC症例・試験群:ゲフィチニブ250mg/日 2年間(Gef群)・対照群:ビノレルビン25mg/m2(day1、day8)+シスプラチン75/m2(day1)3週ごと4サイクル(VP群)・評価項目:[主要評価項目]無病生存期間(DFS)[副次評価項目] OS、5年OS率、3年および5年DFS率、安全性、QOLなど 主な結果は以下のとおり。・2011年9月〜2014年4月にGef群111例、VP群111例の計222例が登録された(ITT集団)。そのうちGef群106例、VP群87例が薬剤投与を受けた(per protocol[PP]集団)。・データカットオフ時(2020年4月)の追跡期間中央値は80.0ヵ月であった。・ITT集団、PP集団共に両群間に患者背景の偏りはなかった。・ITT集団におけるOS中央値は、Gef群75.5ヵ月、VP群62.8ヵ月で、ハザード比(HR)は0.92(95%CI:0.62~1.36)、p=0.674であった。5年時OS率はGef群53.2%、VP群51.2%であった。PP集団におけるOS中央値、5年時OS率も、ほぼ同様の数値であった。・年齢、性別、リンパ節転移状況などのサブグループ解析においても、両群間に有意な差はなかった。・ITT集団における3年時DFSはGef群39.6%、VP群32.5%、5年時DFSはGef群22.6%、VP群23.2%であった。また、PP集団における3年時DFSおよび5年時DFS率もほぼ同様であった。・ゲフィチニブの服用期間別にOSをみた事後解析では、18ヵ月以上のゲフィチニブの内服がある集団では、そのOS中央値は未到達、18ヵ月未満のゲフィチニブの内服集団では、OS中央値は35.7ヵ月でHR0.38(95%CI:0.22~0.66)、p

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高レベルのMET増幅肺がんにおけるcapmatinib(GEOMETRY-MONO1)/ASCO2020

 MET-TKI capmatinibは、METexon14スキッピングを有する非小細胞肺がん(NSCLC)への有効性が示されており、FDAでも認可されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)では、MET増幅NSCLCについての、第II相GEOMETRY Mono-1試験の結果が発表された。・対象:[コホート1a]Stage IIIB/IVの既治療の高度(遺伝子コピー数、GCN10以上)MET増幅NSCLC[コホート5a]治療の高度MET増幅(同上)NSCLC・介入:capmatinib 400mg×2/日・評価項目:「主要評価項目]盲検独立審査委員会(BIRC)評価の全奏効率(ORR)[副次評価項目]BIRC評価の奏効期間(DoR)、BIRCおよび治験担当医評価の病勢制御率(DCR)、治験担当医評価のORR、治験担当医評価のDoR、BIRCおよび治験担当医評価の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、BIRCおよび治験担当医評価の奏効までの期間、安全性、薬物動態 主な結果は以下のとおり。・2020年1月6日の時点で、84例が有効性について評価可能であった(コホート1 69例、コホート5a 15例)。・年齢中央値は、コホート5aでは70歳、コホート1は61歳であった。・両コホートの患者の約40%〜50%に3つ以上の転移部位があった。[コホート1a]既治療コホート・BIRC評価のORRは29%、治験担当医評価のORRは27.5%であった。・BIRC評価のDCR71%、治験担当医評価のDCRは60.9%であった。・BIRC評価のDoRは8.31ヵ月、治験担当医評価のDoRは6.80ヵ月であった。・BIRC評価のPFSは4.07ヵ月、治験担当医評価のPFSは4.14ヵ月であった。・OS中央値は10.61ヵ月であった。[コホート5a]未治療コホート・BIRCのORR、治験担当医評価のDCRともに40%であった。・BIRC評価のDCR66.7%、治験担当医評価のDCRは73.3%であった。・OS中央値は9.6ヵ月であった。・BIRC評価のDoRは7.54ヵ月、治験担当医評価のDoRは9.66ヵ月であった・BIRC評価のPFS4.17ヵ月、治験担当医評価のPFSは2.76ヵ月であった。・OS中央値は9.56ヵ月であった。・全Gradeの治療関連有害事象は85.7%、Grade3/4は37.6%。頻度の高い毒性は末梢性浮腫、悪心、嘔吐などであった。

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ASCO2020レポート 消化器がん(上部消化管)

レポーター紹介今年のASCOは史上初めてオンラインのみでの開催となった。もちろん大規模な移動や集会は、新型コロナウイルスの感染伝播のリスクとなるためであるが、この傾向は今後も続くと思われる。すでに9月にマドリードで開催予定であったESMO2020も、virtualで行われることが決定している。移動時間や、時差を気にせず自室のPCでプレゼンテーションを見ることができる一方、ポスター会場での海外の研究者との直接のやりとりや、世界中のオンコロジストが集まる、あの会場の雰囲気を味わえなくなるのは寂しいものである。さて、上部消化管がん領域から、5演題ほど紹介したいと思う。HER2陽性胃がんに対するDESTINY-Gastric01試験は、HER2陽性胃がんに新たな標準治療を提供し、ほぼ同日に臨床系で最も権威があるといわれているNew England Journal of Medicineに掲載される1)など、最も注目すべき発表となった。Trastuzumab deruxtecan (T-DXd; DS-8201) in patients with HER2-positive advanced gastric or gastroesophageal junction (GEJ) adenocarcinoma: A randomized, phase II, multicenter, open-label study (DESTINY-Gastric01).HER2陽性胃がん、接合部腺がんに対するT-DXdのランダム化第II相試験Shitara K et al.T-DXdは、トポイソメラーゼI阻害薬(deruxtecan)を抗HER2抗体に結合(conjugate)させたADC(antibody-drug conjugate)製剤であり、HER2を発現した細胞に結合し、内部に取り込まれたderuxtecanが細胞障害を来し、効果を発揮する。Phase I試験では、トラスツズマブに不応となった患者に対して、43.2%の奏効割合を示し、有効性が期待されていた薬剤である。日本の第一三共株式会社が開発した薬剤という意味でも注目される。DESTINY-Gastric01試験では、フッ化ピリミジンと、プラチナ製剤と、トラスツズマブを含む2レジメン以上の治療歴のあるHER2陽性(IHC3+、IHC2+/ISH+)胃がんを対象に、187名が日本と韓国より登録された。125名がT-DXd群、62名が医師選択治療群(PC群)に割り付けられた。全例トラスツズマブの投与歴があり、タキサン系薬剤の投与歴は、T-DXd群とPC群で、84%と89%、ラムシルマブ投与歴は75%と66%、免疫チェックポイント阻害薬の投与歴は、それぞれ35%と27%であった。主要評価項目は奏効割合で、T-DXd群で42.9%、PC群で12.5%と有意にT-DXd群で良好であった。無増悪生存期間中央値も、5.6ヵ月と3.5ヵ月(HR=0.47)、生存期間中央値も12.5ヵ月と8.4ヵ月(HR=0.59、p=0.0097)と有意にT-DXd群が良好であった。一方T-DXd群では、主に血液毒性が多く認められ、Grade3以上の好中球減少を51%認めたが、発熱性好中球減少は6名(4.8%)であり、治療関連死は両群に1名ずつ認められ、肺炎であった。注目すべき有害事象として、肺臓炎をT-DXd群にて9.6%に認めたが、多くはGrade2以下であった。T-DXdはすでに2020年4月に乳がんに対して適応承認を取得しているが、治療歴のあるHER2陽性胃がん患者に対しても、適応承認申請中であり、近いうちに実臨床にて使用可能になると思われる。HER2陽性の肺がんや、大腸がんに対しても有効性が示されており、アストラゼネカと第一三共が提携を結び、日本以外の地域においても、他がんや、HER2陽性胃がんへの1次治療への開発などが期待されている。FOLFIRI plus ramucirumab versus paclitaxel plus ramucirumab as second-line therapy for patients with advanced or metastatic gastroesophageal adenocarcinoma with or without prior docetaxel: Results from the phase II RAMIRIS Study of the AIO.胃がん2次治療における、FOLFIRI+ラムシルマブと、パクリタキセル+ラムシルマブのランダム化比較第II相試験Lorenzen S et al.RAINBOW試験の結果、胃がんの2次治療は、パクリタキセルとラムシルマブの併用療法が標準治療である。1次治療不応後だけでなく、術後補助化学療法中や終了後6ヵ月以内の再発の場合もフッ化ピリミジン不応と考えて、2次治療であるパクリタキセルとラムシルマブが投与される。しかし近年、術後のドセタキセル+S-1療法や、欧米では、術前後のFLOT療法など、周術期の化学療法でタキサン系薬剤が用いられる傾向にあり、術後早期再発にてタキサン系薬剤以外の薬剤とラムシルマブの併用療法の評価を行う必要が生じてきた。もともと欧州で胃がんの2次治療のひとつであるFOLFIRIにラムシルマブを併用した治療と、標準治療であるパクリタキセル+ラムシルマブを比較するRAMIRIS試験が計画された。フッ化ピリミジンとプラチナを含む化学療法から6ヵ月以内に進行が認められた胃がん患者を対象とし、ドセタキセルの使用については許容され、調整因子とされた。PTX+RAM群に38名、FOLFIRI+RAM群に72名が割り付けられ、約65%の患者がタキサン使用歴ありだった。奏効割合は、FOLFIRI+RAM群は22%、PTX+RAM群は11%、タキサン使用歴あり患者に絞ると、25%と8%と、FOLFIRI+RAM群で良好な傾向であった。生存期間中央値は、それぞれの群で、6.8ヵ月と7.6ヵ月、無増悪生存期間中央値は3.9ヵ月と3.6ヵ月、タキサン使用歴ありだと、7.5ヵ月と6.6ヵ月、4.6ヵ月と2.1ヵ月であった。現在第III相試験が進行中であり、とくにタキサン使用歴のある患者についてはFOLFIRI+RAMが標準治療になる可能性がある。日本ではCPT-11+RAMの結果も報告されており、FOLFIRIである必要があるのかなどいくつかの疑問もあり、今後の結果が注目される。Perioperative trastuzumab and pertuzumab in combination with FLOT versus FLOT alone for HER2-positive resectable esophagogastric adenocarcinoma: Final results of the PETRARCA multicenter randomized phase II trial of the AIO.切除可能HER2陽性胃がんに対して、周術期FLOT単独とFLOTとトラスツズマブとペルツズマブの併用療法を比較するランダム化第II相比較試験~PETRARCA試験最終解析Hofheinz RD et al.欧米では、切除可能胃がんの標準治療は術前術後のFLOT療法であるが、HER2陽性胃がんに対する周術期の分子標的治療薬の上乗せ効果については明らかではない。また、トラスツズマブとペルツズマブの併用については、乳がんでは上乗せ効果が示され、標準治療となっているが、胃がんの初回治療での化学療法とトラスツズマブに、ペルツズマブの上乗せ効果をみたJACOB試験では、ペルツズマブの上乗せは良好な傾向を示したものの、有意差を示さず、ネガティブな結果であった。PETRARCA試験ではFLOT単独群とFLOT+トラスツズマブ+ペルツズマブ(FLOT+TP)群にランダムに割り付けられ、主要評価項目は病理学的完全奏効(pCR)割合とされた。FLOT群に41名、FLOT+TP群に40名が割り付けられ、pCR割合は12%、35%とFLOT+TP群で有意に良好であった(p=0.02)。無病生存期間中央値はFLOT群で26ヵ月、FLOT+TP群で未達であった(HR=0.576、p=0.14)。生存期間中央値は両群で未達、HRは0.558、p=0.24と、観察期間は不十分ながら、FLOT+TP群で良好な傾向であった。術前術後化学療法での有害事象はFLOT+TP群でGrade3以上の下痢(5% vs.41%)、疲労(15% vs.23%)が多かったが、術後合併症は両群で差はなく、R0切除割合はFLOT群で90%、FLOT+TP群で93%、術後60日以内死亡も両群で1名ずつであった。本試験は、少ない症例数ながら、周術期でのHER2陽性胃がんに対する分子標的治療薬が有用な可能性を示した。ペルツズマブを併用することで、トラスツズマブの耐性機序のひとつであるHER3からのシグナルを抑え、短期的な有効性が上昇することを示した。JACOB試験で有意な差が出なかったのは、後治療などで効果が薄まったためと考えられるが、短期的な腫瘍縮小効果が差を生み出せる周術期でどうなのか、今後の検討が期待されるSintilimab in patients with advanced esophageal squamous cell carcinoma refractory to previous chemotherapy: A randomized, open-label phase II trial (ORIENT-2).治療歴のある食道扁平上皮がんに対するsintilimabのランダム化第II相試験ORIENT-2試験Xu J et al.近年食道扁平上皮がんに対して免疫チェックポイント阻害薬の有効性が報告されており、ATTRACTION-3試験では、2次治療において、バイオマーカーにかかわらずタキサン系薬剤と比較してニボルマブが有意に生存期間を延長し、日本・韓国・台湾において、ニボルマブが食道扁平上皮がん既治療例に対して適応承認を得ている。KEYNOTE-181試験では、ペムブロリズマブが、CPS(combined positive score)10以上の食道がんにおいて、化学療法群と比較して生存期間延長を示し、米国では、CPS10以上の食道扁平上皮がんに対して適応承認が得られている。また、中国で行われた第III相試験であるESCORT試験では、抗PD-1抗体であるcamrelizumabが既治療例の食道扁平上皮がんに対して、化学療法群と比較して生存期間の延長を示している。ORIENT-2試験は、既治療例食道扁平上皮がんに対する、抗PD-1抗体であるsintilimab群と、医師選択化学療法群を比較した、ランダム化第II相試験であり、180名が登録され、それぞれの群に95名割り付けられた。医師選択化学療法では72名がイリノテカンで、15名がパクリタキセルを投与された。中国では、初回化学療法において、タキサン系とプラチナ系薬剤が併用されることが多く、そのため2次治療としてイリノテカンが用いられることが多い。主要評価項目である生存期間は、中央値がsintilimab群で7.2ヵ月、化学療法群で6.2ヵ月(HR=0.70、p=0.03)と有意にsintilimab群にて延長を認めた。奏効割合も12.6%と6.3%と、sintilimab群で良好な結果であったが、無増悪生存期間中央値では、sintilimab群で1.6ヵ月、化学療法群で2.9ヵ月という結果であった。曲線はクロスしており、後半でsintilimab群が持ち直し、HRでは1.0と両群で差を認めなかった。PD-L1の発現や、そのほかのサブグループの有効性の発表はなかったが、NLR(neutrophil-to-lymphocyte ratio)3未満の集団は、3以上の集団に比べて、sintilimabの有効性が上昇することが示された。安全性に新たな知見はなかった。sintilimabも過去の報告と同様の効果を食道扁平上皮がんに対して示したが、このラインではすでに複数のチェックポイント阻害薬が承認されており、差別化をどのように行うかが今後の課題と思われる。すでに初回化学療法での併用効果や、化学放射線療法との併用、周術期での効果など、食道扁平上皮がんにおける免疫チェックポイント阻害薬は、新たな局面を迎えている。Final analysis of single-arm confirmatory study of definitive chemoradiotherapy including salvage treatment in patients with clinical stage II/III esophageal carcinoma: JCOG0909.病期II/III食道がんに対する、根治的化学放射線療法と救済治療を含む単アームの検証的試験~JCOG0909最終解析Ito Y et al.切除可能食道がんに対する治療は、術前治療に引き続く食道切除術であり、日本では術前化学療法、欧米では術前化学放射線療法が主に行われている。食道扁平上皮がんは放射線感受性が高く、化学放射線療法のみでがんが消失、完全反応(CR)となるケースも少なくない。CRとなる患者は、比較的大きな侵襲となる食道切除術を行わずに根治が得られる可能性を考え、欧米でも、化学放射線療法を行い、CRが得られた患者に対して、切除を行う群と、慎重観察を行い、がんの再発が認められたら切除に行く群のランダム化比較試験が行われたりしている。ただ、化学放射線療法後にどのような基準で手術に行くのか、タイミングはいつがよいのか、その時のリスクがどの程度なのか、まだよくわかっていない。JCOG0909は、まず放射線線量50.4Gyにて、根治的化学放射線療法を行い、CRあるいは、腫瘍の縮小が良好な場合は治療継続と経過観察、明らかな遺残あるいは再発を来した場合は救済手術あるいは救済内視鏡を行うことをプロトコール治療に組み込んだ単アームの試験である。線量を60Gyとしていた時代に行われたJCOG9906では、救済手術での治療関連死が10%以上認められ、放射線後に行う救済手術のむつかしさが浮き彫りになった。JCOG0909ではその経験を踏まえ、線量を抑える代わりに、5-FUの投与量を増やし、また頻回に評価することで、腫瘍が増大する前に救済手術を試みるような設定がなされた。94名の食道扁平上皮がん患者が登録され、病期IIA/IIB/IIIの内訳は、22/38/34と比較的II期が多かった。完全奏効割合は58.5%と既報と比較して同等かやや低い傾向であったが、これは早めに救済手術に持ち込む戦略であることや、5-FUの増量により食道炎が増加し、CRの判定が遅れたことなどが影響していると思われる。5年の経過フォロー後の結果として、5年生存割合は64.5%、5年無増悪生存割合は48.3%と、既報の化学放射線療法のJCOG9906試験の36.8%と25.6%と比して大幅に改善された。術前化学療法と手術療法の組み合わせと比較しても、JCOG9907試験のB群の55%、44%と、引けを取らない結果であった。27名の患者で救済手術が行われ、R0切除となった21名では、3年生存48.3%と長期生存が得られている。食道気管肺の瘻孔形成による周術期死亡が認められたが、救済手術はおおむね安全に実施されていた。5年食道温存生存割合は54.9%と高い値を示し、根治的化学放射線療法により、食道温存をしたまま長期生存が期待できることを示した。また、仮に遺残や再発した場合でも切除可能な段階であれば、救済手術を行うことで、約半数の患者が長期生存を達成できることが示された。現在免疫チェックポイント阻害薬と根治的化学放射線療法の併用療法の検討が開始されており、より高いCR割合が得られるようになれば、まず化学放射線療法を行い、CRになれば、食道温存したまま経過観察、遺残すれば、救済手術を行う、という治療戦略が一般的になる可能性も秘めている。前向き試験の中で、救済手術の安全性と有効性をしっかりと示した例は世界的にもなく、食道がんの臨床に影響を与える結果と思われた。一方で、比較対象となる術前治療と手術のエビデンスであるJCOG9907などと比較して、II期が占める割合が多いため、治療成績については考慮する必要がある、食道がんの専門病院で、経験のある腫瘍内科医と、外科医が治療した結果のため、どこまで一般化できるのか、などの指摘もあるが、今後につながる内容であった。文献1.Shitara K, et al. N Engl J Med. 2020 May 29. [Epub ahead of print]

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分子標的薬による術後アジュバントの意味【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第14回

第14回 ADAURA試験はpractice changingなのか:分子標的薬による術後アジュバントの意味1)Herbst RS, Tsuboi M, John T, et al. Osimertinib as adjuvant therapy in patients (pts) with stage IB-IIIA EGFR mutation positive (EGFRm) NSCLC after complete tumor resection: ADAURA. ASCO 2020, LBA 5.2)Hauschild A, et al. Long-term benefit of adjuvant dabrafenib + trametinib (D+T) in patients (pts) with resected stage III BRAF V600-mutant melanoma: Five-year analysis of COMBI-AD. ASCO 2020, abstract 10001.3)Joensuu H, Eriksson M, et al. Survival Outcomes Associated With 3 Years vs 1 Year of Adjuvant Imatinib for Patients With High-Risk Gastrointestinal Stromal Tumors; An Analysis of a Randomized Clinical Trial After 10-Year Follow-up. JAMA Oncol. 2020 May 29. [Epub ahead of print] 今年のASCOの目玉の1つ、完全切除NSCLC(病理病期Ib-IIIA)に対してオシメルチニブの術後補助化学療法を行ったADAURA試験。プラセボに対してプライマリエンドポイントである無存再発期間(RFS)をHR 0.17という見たことのない差でmetしたが、多くの議論が沸き上がっている。他がん腫の状況なども含め、論点を概説する。日常臨床を変えるには何が足りないか「OSを待つ必要がある」という意見も見掛けるが、完全切除のNSCLCに術後補助療法を行う目的は根治である。古くから5年生存が根治と見なされてきた経緯があるものの、近年術後再発した後の化学療法が非常に発達しているため、OSのみでは必ずしも根治の指標でない可能性がある。より厳密に根治率の改善を検証するためには長期DFS率が妥当と思われる。分子標的薬は根治をもたらすか:他がん腫での知見から今回用いられたのがオシメルチニブという分子標的薬であることには注意が必要である。他がん腫で術後補助療法に対して承認されている分子標的薬は、消化管間質腫瘍(GIST)に対するイマチニブ、悪性黒色腫に対するダブラフェニブ+トラメチニブの2レジメン。GIST:イマチニブの1年投与がプラセボに比して有意な無再発生存期間(RFS)を延長したが(HR 0.35)、OSは有意差を認めず(Dematteo RP, et al. Lancet. 2009;373:1097-1104.)。その後、high risk群を対象に3年間vs.1年間投与で前者が有意にRFSを延長した(Joensuu H, et al. JAMA. 2012;307:1265-1272.)。この発表はASCOでプレナリーとして報告されたものの、ディスカッサントからは内服中止後に再発が急増していることへの懸念が指摘された。ちょうど先頃、10年フォローアップの結果が報告された。RFSは統計学的には有意ではあるが最終的に両群の曲線が近づいている。またOSも現時点では有意に上回っているが、再発例のみの解析では再発後生存期間は同等とも報告されている。悪性黒色腫:StageIIIの悪性黒色腫を対象にダブラフェニブ・トラメチニブ併用とプラセボを比較したCOMBI-AD試験は、今回ASCOで長期成績が報告されたが(Hauschild A, #10001)、1年の投与終了後もRFSはほぼプラトーとなっていた(3/4/5年のRFS率はそれぞれ59/55/52%)。一見同じような印象を受けるドライバー変異を有するがん腫でも、それぞれの阻害剤に対する効果が異なるのだろうし、ダブラフェニブ・トラメチニブについては腫瘍免疫に対する影響も示唆されているようなので、こういった影響を考慮すべきなのかもしれない。つまり「分子標的薬で根治が得られるか」という疑問に対しては、まだ十分な答えがない状況である。EGFR陽性例でほかに参考になる知見同じ対象についてゲフィチニブがすでにDFS延長にもかかわらずOSで延長を示せなかったことから(CTONG1104試験、Wu YL, #9005)、GISTにおけるイマチニブのパターンをたどる可能性は否定できない。また、今回の解析では多くの患者がオシメルチニブ3年間投与の途中であり、イマチニブで見られた内服終了後の再発増加が認められるかは今後見ていく必要がある(ADAURAでも、よりハイリスクなStageIIIAのサブセットでは36ヵ月で再発が増えている“ようにも見える”)。なおCTONG1104試験で再発ハザード比の経時的変化を見た研究において、内服終了に近い15ヵ月前後から再発リスクが増加することも報告されている(Xu ST, IASLC 2017)。われわれのpracticeを変えるべきか現時点でpracticeを変えるにはまだ情報が不足しているという印象。一方で、HR 0.17というとんでもない数字がOSに反映される可能性は十分あるだろう。つまりGISTの試験のように「根治には十分寄与しないが、OSを延長する」ケースである。ただしこの結果が受け入れられるためには、「最終的にほとんどの症例が再発するのなら、OS延長も臨床的には意味があるのでは」という考え方の転換が必要になる。個人的には、こういった考えがコンセンサスとなるには時期尚早に感じられる。

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高悪性度神経内分泌肺がん術後補助療法、イリノテカン+シスプラチン vs.エトポシド+シスプラチン(JCOG1205/1206)/ASCO2020

 静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科の釼持 広知氏は、高悪性度神経内分泌肺がん(HGNEC)の完全切除例に対するイリノテカン+シスプラチン(IP)療法とエトポシド+シスプラチン(EP)療法の無作為化非盲検第III試験(JCOG1205/1206)の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。IP療法は従来標準治療とされてきたEP療法に対して無再発生存期間(RFS)で優越性を示せなかった。 世界保健機関(WHO)は、小細胞肺がん(SCLC)または大細胞神経内分泌肺がん(LCNEC)をHGNECと分類している。SCLCのStage1では手術と術後の補助化学療法が標準治療とされ、無作為化比較試験で評価された術後補助化学療法レジメンはないものの、EP療法が標準治療と考えられている。一方で進展型SCLCに対する日本国内での第III相試験ではEP療法に対するIP療法の優越性が示されている。・対象:完全切除された病理StageI〜IIIAのHGNEC221例・試験群:エトポシド+シスプラチン 3週ごと最大4サイクル(EP群、111例)・対照群:イリノテカン+シスプラチン 4週ごと最大4サイクル(IP群、110例)・評価項目:[主要評価項目]RFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、治療完遂率、有害事象(AE)発現率、重篤AE発現率、二次がん発生率 主な結果は以下のとおり。・RFS中央値は両群とも評価不能。3年RFS率はIP群が69.0%、EP群が65.4%であった(ハザード比[HR]:1.076、95%CI:0.666~1.738、片側検定p=0.6185)。・組織学別の3年RFS率は、SCLCではIP群66.5%、EP群65.2%で(HR:1.029、95%CI:0.544~1.944)、LCNECではIP群72.0%、EP群66.5%であった(HR:1.072、95%CI:0.517~2.222)。・病期別の3年RFS率は、StageIではIP群83.0%、EP群68.9%で(HR:0.641、95%CI:0.288~1.426)、StageII~IIIAではIP群53.1%、EP群61.6%であった(HR:1.487、95%CI:0.806~2.740)。・3年OS率はIP群が79.0%、EP群が84.1%であった(HR:1.539、95%CI:0.760~3.117、両側検定p=0.2275)。・4サイクル治療完遂率はIP群が72.7%、EP群が87.4%であった(p=0.0071)。・Grade2以上のAE発現率はIP群が81.7%、EP群が84.4%。重篤なAE発現率はIP群が1.8%、EP群が2.8%であった。 今回の結果を受けて剱持氏は「HGNEC完全切除例ではいまだEP療法が標準治療である」との見解を示した。

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小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法の成績(CASPIAN)/ASCO2020

 スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis G. Paz-Ares氏は、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療で免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体デュルバルマブ、抗CTLA-4抗体tremelimumabと化学療法の併用と、デュルバルマブ+化学療法、化学療法の3群を比較した第III相試験「CASPIAN」の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で報告した。同学会では、2つ目の実験群であるデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法群の初回解析では全生存期間(OS)の有意な改善は認められなかったが、デュルバルマブ+化学療法では、11ヵ月追加した中央値25.1ヵ月の追跡結果においても、有意なOSの延長を示した。・対象:未治療のES-SCLC患者(WHO PS 0/1)、無症候性あるいは治療済みで安定している脳転移症例は許容・試験群: デュルバルマブ+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+EP群) デュルバルマブ+tremelimumab+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+T+EP群)・対照群:エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(EP群)・評価項目:[主要評価項目]OS[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、患者報告アウトカム(PRO)、安全性、忍容性 PFSの検定は、上記2つの試験群のOSの有意差が確認された場合に解析される。 主な結果は以下のとおり。D+T+EP vs.EP・OS中央値はD+T+EP群10.4ヵ月、EP群10.5ヵ月、2年OS率はEP群14.4%、D+T+EP群23.4%であったが、事前のp値設定≦0.0418を達成せず、統計学的有意差は認められなかった。・PFS中央値はD+T+EP群4.9ヵ月、EP群が5.4ヵ月であった。・奏効期間(DoR)はD+T+EP群5.2ヵ月、EP群が5.1ヵ月であった。・ORRはD+T+EP群が58.4%、EP群が58.0%であった。D+EP vs.EP・OS中央値はD+EP群が12.9ヵ月(95%CI:11.3~14.7)、EP群が10.5ヵ月(95%CI:9.3~11.2)でD+EP群で有意な延長が認められた(HR:0.75、95%CI:0.62~0.91、p=0.0032)。2年後OS率は、EP群14.4%に対してD+EP群22.2%であった。・PFS中央値はD+EP群が5.1ヵ月(95%CI:4.7~6.2)、EP群が5.4ヵ月(95%CI:4.8~6.2)であった(HR:0.80、95%CI:0.66~0.96)。・DoRはD+EP群共に5.1ヵ月であった。・ORRはD+EP群が67.9%、EP群が58.0%であった。・有害事象(AE)発現率はD+T+EP群が99.2%、D+EP群が98.1%、EP群が97%で、Grade3~4のAE発現率はD+T+EP群が70.3%、D+EP群が62.3%、EP群が62.8%であった。・免疫関連AEは、D+T+EP群が36.1%、D+EP群が20.0%、EP群が2.6%であった。 今回の結果についてPaz-Ares氏は「D+EP群が進展型小細胞肺がんの1次治療で新たな標準治療となることをよ支持している」との見解を示した。

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NSCLC1次治療、ニボルマブ・イピリムマブ併用の3年観察結果(Checkmate-227)/ASCO2020

 米国・エモリー大学のSuresh S. Ramalingam氏はNSCLCに対する1次治療としての抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法と化学療法(プラチナダブレット)との比較第III相試験・Checkmate-227 Part1の3年観察結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。ニボルマブ・イピリムマブ併用療法は化学療法と比較してPD-L1発現の有無にかかわらず長期の効果を示したと報告した。・対象:未治療のPD-L1発現1%以上(Part1a)および1%未満(Part1b)のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者(PS 0~1、組織型問わず)・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ群(NIVO+IPI群)     ニボルマブ単剤群(TPS1%以上)(NIVO群)     ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満)(NIVO+Chemo群)・対照群:化学療法(組織型により選択)単独(Chemo群)・評価項目:[複合主要評価項目]高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群の無増悪生存期間(PFS)、PD-L1発現(≧1%)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群の全生存期間(OS)[副次評価項目]高TMB(≧13/メガベース)かつPD-L1発現(TPS1%以上)患者におけるNIVO群対Chemo群のPFS、高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のOS、PD-L1なしまたは低発現(TPS1%未満)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のPFS、そのほか奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・PD-L1発現1%以上の患者での3年OS率は、NIVO+IPI群が33%、NIVO群が29%、Chemo群が22%であった(NIVO+IPI群のChemo群に対するハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.67~0.93、NIVO群のChemo群に対するHR:0.90、95%CI:0.77~1.06)。・PD-L1発現1%未満の患者での3年OS率は、NIVO+IPI群が34%、NIVO+Chemo群が20%、Chemo群が15%であった(NIVO+IPI群のChemo群に対するHR:0.64、95%CI:0.51~0.81、NIVO+Chemo群のChemo群に対するHR:0.82、95%CI:0.66~1.03)。・PD-L1発現1%以上の患者での3年PFS率は、NIVO+IPI群が18%、NIVO群が12%、Chemo群が4%であった(NIVO+IPI群のChemo群に対するHR:0.81、95%CI:0.69~0.96、NIVO群のChemo群に対するHR:0.97、95%CI:0.83~1.15)。・PD-L1発現1%未満の患者での3年PFS率は、NIVO+IPI群が13%、NIVO+Chemo群が8%、Chemo群が2%であった(NIVO+IPI群のChemo群に対するHR:0.75、95%CI:0.59~0.95、NIVO+Chemo群のChemo群に対するHR:0.73、95%CI:0.58~0.92)。・PD-L1発現1%以上の患者での3年奏効率(ORR)は、NIVO+IPI群が38%、NIVO群が32%、Chemo群が4%であった。・PD-L1発現が1%未満の患者での3年ORR率は、NIVO+IPI群が34%、NIVO+Chemo群が15%、Chemo群が0%であった。・PD-L1発現1%以上の患者でのDoR中央値は、NIVO+IPI群が23.2ヵ月(95%CI:15.2~32.2)、NIVO群が15.5ヵ月(95%CI:12.7~23.5)、Chemo群が6.7ヵ月(95%CI:5.6~7.6)であった。・PD-L1発現1%未満の患者でのDoR中央値は、NIVO+IPI群が18.0ヵ月(95%CI:12.4~33.0)、NIVO+Chemo群が8.3ヵ月(95%CI:5.9~9.4)、Chemo群が4.8ヵ月(95%CI:3.7~5.8)であった。・Part 1aとPart 1bを統合した有害事象発現率はNIVO+IPI群が77%、Chemo群が82%、うちGrade3以上はそれぞれ33%、36%であった。 Ramalingam氏は、「免疫チェックポイント阻害薬の併用療法は、進行性NSCLCの1次治療での化学療法の頻度を減らしうる新規のオプションになる」との見通しを示した。

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PD-L1陽性肺がん1次治療、抗TIGIT抗体tiragolumabとアテゾリズマブの併用(CITYSCAPE)/ASCO2020

 スペイン・Hospital Universitario Insular de Gran CanariaのDelvys Rodriguez-Abreu氏は、PD-L1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に対する抗TIGIT抗体tiragolumabとアテゾリズマブ併用とアテゾリズマブ単剤を比較する無作為化二重盲検第II相試験CITYSCAPEの結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。tiragolumabとアテゾリズマブの併用はアテゾリズマブ単独と比較してITT集団での奏効率(ORR)の向上と無増悪生存期間(PFS)の延長が認められたと報告した。 TIGIT(T-cell immunoreceptor with immunoglobulin and ITIM domains)は細胞傷害性T細胞やナチュラル・キラー細胞上に存在する免疫チェックポイント受容体。がん細胞はTIGITと結合することで免疫の攻撃を回避していることがわかっている。TIGITの発現はPD-L1の発現に関連しているとされ、とくに肺の腫瘍浸潤T細胞で多く発現することがわかっている。tiragolumabは抗TIGITモノクローナル抗体で、アテゾリズマブを併用することで高い抗腫瘍効果を示す可能性があると考えられている。・対象:TPS1%以上のPD-L1陽性StageIV NSCLC初回治療患者 135例・試験群:tiragolumab+アテゾリズマブ3週ごと(tiragolumab群、67例)・対照群:プラセボ+アテゾリズマブ3週ごと(プラセボ群、68例) 両群とも投与期間は病勢進行(PD)あるいは臨床的メリットが失われるまで投与・評価項目:[主要評価項目]ORR、PFS[副次評価項目]奏効持続期間(DoR)、全生存期間(OS)、患者報告アウトカム(PRO) 主な結果は以下の通り。・ITT集団でのORR はtiragolumab群37%、プラセボ群21%であった。・TPS≧50%のORRはtiragolumab群66%、プラセボ群24%であった。・TPS1〜49%のORRはtiragolumab群16%、プラセボ群18%であった。・ITT集団でのPFS中央値はtiragolumab群5.55ヵ月、プラセボ群が3.88ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.38~0.89)。・TPS≧50%のPFS中央値はtiragolumab群評価不能、プラセボ群が4.11ヵ月であった(HR:0.30、95%CI:0.15~0.61)。・TPS1〜49%のPFS中央値はtiragolumab群4.04ヵ月、プラセボ群が3.58ヵ月であった(HR:0.89、95%CI:0.53~1.49)。・全有害事象発現率はtiragolumab群99%、プラセボ群96%、重篤な有害事象発現率はtiragolumab群37%、プラセボ群35%であった。 Abreu氏は、「ORR、PFSの改善効果はTPS発現が50%以上のPD-L1陽性でより大きなものとなった。tiragolumab群の忍容性は良好で、安全性プロファイルはプラセボ群と同様。免疫関連の副作用はtiragolumab群のほうで多かったが、そのほどんとがGrade1~2で管理可能だった」と評した。

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扁平上皮肺がん、カルボプラチン+S-1導入療法後のS-1維持療法の有用性(WJOG7512L)/Cancer

 扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の導入療法後の維持療法について、S-1療法が有用である知見が報告された。近畿大学の田中 薫氏らによる第III相臨床試験「WJOG7512L試験」の結果、化学療法未施行の進行・再発扁平上皮NSCLC患者において、カルボプラチン+S-1導入療法後のS-1による維持療法は、支持療法(BSC)のみの維持療法と比較して有効であり忍容性も良好であることが認められたという。Cancer誌オンライン版2020年6月2日号の掲載報告。 研究グループは、化学療法未施行の進行・再発扁平上皮NSCLC患者を対象に、導入療法としてカルボプラチン(AUC5、1日目、3週ごと)+S-1(1回40mg/m2×2/日、3週ごと)併用療法を施行し、4サイクル後に進行しなかった患者をS-1+BSC群またはBSC群に無作為に割り付けた。 本試験の主な目的は、無増悪生存期間(PFS)に関してBSCに対するS-1+BSCの優越性を確認することであった。 主な結果は以下のとおり。・365例が登録され、347例が導入療法を受け、このうち131例が無作為化された(S-1+BSC群67例、BSC単独群64例)。・S-1+BSC群ではBSC単独群より進行のリスクが有意に低かった(ハザード比:0.548、95%信頼区間:0.374~0.802、p=0.0019)。・維持療法中のS-1による主な有害事象は、食欲不振、貧血、疲労などで、ほとんどは重症ではなかった。

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FDA、小細胞肺がんにlurbinectedinを承認

 FDAは、2020年6月15日、プラチナベース化学療法中/後に進行した転移のある小細胞肺がん(SCLC)の成人の治療について、lurbinectedin(Jazz PharmaceuticalsおよびPharmaMar)を迅速承認した。 この承認は、プラチナベース化学療法後に進行したSCLCの成人105例を対象とした、非盲検多施設単一群試験の単剤治療データに基づいている。この研究では、lurbinectedinの研究者評価の全奏効率は35%、奏効期間中央値は5.3ヵ月であった。lurbinectedinの頻度の高い(≧20%)治療関連有害事象は、白血球減少症、リンパ球減少症、疲労、貧血、好中球減少症、クレアチニン増加、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、グルコース増加、血小板減少症、悪心、食欲低下、筋骨格痛、アルブミン減少、便秘 、呼吸困難、ナトリウムの減少、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加、嘔吐、咳、マグネシウムの減少、下痢であった。

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ペムブロリズマブ+化学療法による小細胞肺がん1次治療の結果は?(KEYNOTE-604)/ASCO2020

 米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのCharles M. Rudin氏は、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する1次治療における化学療法へのペムブロリズマブ併用効果を比較するプラセボ対照無作為化二重盲検第III相試験KEYNOTE-604の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。化学療法単独に比べ、無増悪生存期間(PFS)は有意に改善するものの、全生存期間(OS)は有意差が示されなかったと報告した。・対象:期待余命3ヵ月以上で臓器機能が保持され、脳転移のない未治療のStage IVのES-SCLC患者、PS 0~1(453例)・試験群:ペムブロリズマブ200mg+化学療法(カルボプラチン/シスプラチン+エトポシド)、21日ごと4サイクル(ペムブロリズマブ群、228例)・対照群:プラセボ+化学療法(同上)(プラセボ群、225例)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価によるPFS、OS[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効持続期間(DoR)、安全性 PFS優越性の閾値は、one-sided p=0.0048、OS優越性の閾値は、one-sided p=0.0128であった。 主な結果は以下のとおり。・ITT集団での中間解析のPFS中央値はペムブロリズマブ群4.5ヵ月、プラセボ群4.3ヵ月(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.61~0.91、p=0.0023)であった。・ITT集団での最終解析のPFS中央値はペムブロリズマブ群4.8ヵ月、プラセボ群4.3ヵ月(HR:0.73、95%CI:0.60~0.88)であった。・ITT集団での最終解析のOS中央値はペムブロリズマブ群10.8ヵ月、プラセボ群9.7ヵ月(HR:0.80、95%CI:0.64~0.98、p=0.0164)であった。・最終解析でのORRはペムブロリズマブ群70.6%、プラセボ群61.8%であった。・DoR中央値はペムブロリズマブ群が4.2ヵ月、プラセボ群が3.7ヵ月であった。・As treated集団での有害事象は、Grade 3/4はペムブロリズマブ群が76.7%であった。

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切除不能StageIII NSCLC、デュルバルマブ地固め療法のPD-L1発現別転帰(PACIFIC)/Ann Oncol

 PACIFIC試験では、化学放射線療法(CRT)後に進行しない切除不能なStageIII非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、デュルバルマブはプラセボと比較して生存(PFSおよびOS)を大幅に改善した。探索的分析である腫瘍細胞(TC)PD-L1発現別の結果を含む、調査期間中央値3.3ヵ月の追跡結果が発表された。・対象:CRT後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者・試験群:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月(473例)・対照群:プラセボ、2週ごと12ヵ月(236例)・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央評価委員会(BICR)判定によるPFS、OS[副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までの時間、安全性などCRTの1~42日後に、被験者はデュルバルマブとプラセボに2対1に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・合計713例の患者が2:1に無作為に割り当てられ、709例が各群の治療を受けた(デュルバルマブ473例、 プラセボ236例)。・PD-L1評価可能症例は451例(63%)あった。その内訳は、TC≧25%以上35%、<25%は65%(<1% 33%、1〜24% 32%)であった。・PFSは(一次分析データカットオフ2017年2月13日)、すべてのサブグループで、プラセボと比較べ、デュルバルマブで改善した([TC≧25%]HR:0.41、95%CI:0.26〜0.65、17.8対3.7ヶ月、[TC<25%]0.59、0.43〜0.82、16.9対6.9ヵ月、[≧1%]0.46、0.33〜0.64、17.8対5.6ヵ月、[1%〜24%]0.49、0.30〜0.80、NR対9.0ヵ月、[

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EGFR陽性NSCLC脳転移例に対するオシメルチニブの有用性(OCEAN)/ASCO2020

 脳転移を有するEGFR変異陽性(T790M変異を含む)の非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブの治療が、有用性を示したという報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で静岡県立静岡がんセンターの和久田 一茂氏より発表された。 本試験はWJOG臨床試験グループが実施した、2コホートの第II相シングルアーム試験(OCEAN試験/LOGIK1603-WJOG9116L)である。今回の発表はそのうち、T790M変異を有するコホートの解析結果である。・対象:第1/2世代のEGFR-TKIによる治療後に病勢進行を来たし、T790M変異が確認されたNSCLC症例。かつ、放射線による治療を受けていない、腫瘍径5mm以上の脳転移巣を有する症例・介入:オシメルチニブ80mg/日の投与・評価項目:[主要評価項目]PAREXEL評価を用いた脳転移巣の奏効率[副次評価項目]RECIST評価を用いた脳転移巣の奏効率。無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、無脳転移生存期間(BPFS)、安全性など※一般的なRECIST評価が10mm以上の腫瘍径の評価に用いられるのに対し、PAREXEL評価はより小径(5mm以上)の脳転移巣の評価に有用 主な結果は以下のとおり。・2016年10月~2019年7月に40例が登録された。年齢中央値は69歳、男性が30%、症候性の脳転移が20%、多発脳転移が77.5%であった。・PAREXEL評価による脳転移巣の奏効率は、66.7%(90%CI:54.3~79.1)であり、これは予め設定されていた奏効率の閾値を上回っていた。・RECIST評価による脳転巣の奏効率は、70.0%(95%CI:49.9~90.1)で、RECIST評価を用いた全奏効率は40.5%(95%CI:24.7~57.9)であった。・PFS中央値は7.1ヵ月(95%CI:3.4~13.6)であり、BPFS中央値は19.8ヵ月(95%CI:7.0~未到達)であった。・OSはまだ追跡期間が短く、その中央値は26.1ヵ月(95%CI:16.7~未到達)であった。・治療に関連する肺臓炎は、全Gradeで10.0%に、Grade3以上で2.5%に発現した。その他のGrade3以上の有害事象は10%未満だった。 最後に和久田氏は「本試験は放射線未治療の脳転移を有するEGFR T70M陽性NSCLCを対象にしたオシメルチニブの初めての試験であり、こういった背景を持つ症例へのオシメルチニブの有用性を示唆するものである」と述べた。

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アジアの肺がんのためのガイドライン、局所進行肺がんPan-Asian ESMOガイドライン【肺がんインタビュー】 第47回

第47回 アジアの肺がんのためのガイドライン、局所進行肺がんPan-Asian ESMOガイドライン出演:九州がんセンター 呼吸器腫瘍科 瀬戸 貴司氏アジアの肺がん治療の特性や現状に適合した初めてのガイドラインである、局所進行肺がんPan-Asian ESMOガイドラインが本年(2020年)1月、Annals of Oncology誌に発表された。このガイドラインはどう作られ、どう読み、どう活用するべきか、作成委員の一人である九州がんセンター瀬戸 貴司氏に聞いた。参考K Park, et al. Pan-Asian Adapted ESMO Clinical Practice Guidelines for the Management of Patients With Locally-Advanced Unresectable Non-Small-Cell Lung Cancer: A KSMO-ESMO Initiative Endorsed by CSCO, ISMPO, JSMO, MOS, SSO and TOS.An Oncol.2020;31:191-201P E Postmus, et al. Early and Locally Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer (NSCLC): ESMO Clinical Practice Guidelines for Diagnosis, Treatment and Follow-Up.Ann Oncol. 2017 Jul 1;28(suppl_4):iv1-iv21.

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FDA、EGFR変異陽性肺がんに対するラムシルマブとエルロチニブの併用の1次治療を承認/イーライリリー

 イーライリリーは、2020年5月29日、米国食品医薬品局(FDA)がEGFR遺伝子変異を有する進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者への1次治療に対して、ラムシルマブとエルロチニブの併用療法を承認したと発表。ラムシルマブとエルロチニブ併用療法はEGFR遺伝子変異陽性の進行NSCLCにおいて、FDAが承認した初めてで唯一の抗VEGFR/EGFR-TKI併用療法。今回の承認は、無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同第III相試験であるRELAY試験から得られた有効性および安全性に基づいている。 本試験は2015年に開始され、北米、欧州、アジアで449例を組み入れた。RELAY試験の主要評価項目はPFS、主な副次評価項目には安全性、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、全生存期間(OS)が含まれている。主要評価項目である治験責任医師の評価によるPFSでは、ラムシルマブ+エルロチニブ併用療法(n=224)において、PFS 中央値が統計的に有意かつ臨床的意義のある改善を示し、ラムシルマブ+エルロチニブ併用療法の19.4ヵ月に対しプラセボ+エルロチニブ療法は12.4ヵ月だった(HR:0.59、95%CI:0.46~0.76、p<0.0001) 。PFSは、エクソン19とエクソン21のサブグループでも一貫していた。今回のPFSの最終解析時においては、OSデータ解析に必要なイベントが26%のみの発現であったため、OSは十分なイベントが観察されていなかった(HR:0.83、95%CI:0.53〜1.30)。OSの最終解析は300イベントに到達した後に実施する計画。

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EGFR陽性肺がん、ベバシズマブとエルロチニブの併用療法はOSを改善したか(NEJ026試験)/ASCO2020

 EGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療としてのベバシズマブ(商品名:アバスチン)とエルロチニブ(同:タルセバ)の併用療法と、エルロチニブ単独療法との比較試験(NEJ026試験)の全生存期間(OS)に関する最終解析の結果報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で岩手医科大学の前門戸 任氏より発表された。NEJ026試験のOS最終解析で両群間に差見られず NEJ026試験は、日本の臨床試験グループ(North East Japan Study Group)により実施されたオープンラベルの多施設共同の第III相比較試験である。無増悪生存期間(PFS)に関してはASCO2018で良好な結果が報告されており、今回はそのOSに関する最終解析結果である。・対象:非扁平上皮EGFR変異陽性のNSCLC。化学療法による治療歴のないStage IIIB/IV症例、または術後再発例。無症候性の脳転移有り症例も登録可能とした。・試験群:ベバシズマブとエルロチニブの併用投与群(BE群)・対照群:エルロチニブ単剤群(E群)・主要評価項目:独立評価委員会によるPFS・副次評価項目:OS、奏効率、奏効期間、安全性など・探索的評価項目:2次治療後までを含めたPFS(PFS2)、バイオマーカー検索など NEJ026試験のOSに関する最終解析の主な結果は以下のとおり。・2015年6月~2016年8月の期間にBE群114例、E群114例が登録され、そのうちBE群112例、E群112例が有効性の解析に用いられた。今回のOS解析のためのデータカットオフは2019年11月で、観察期間中央値は39.2ヵ月であった。・OS最終解析の結果は、中央値がBE群50.7ヵ月、E群46.2ヵ月、ハザード比(HR)は1.007(95%CI:0.681~1.490)で、p=0.973であった。EGFR変異のサブタイプ(Exon19 delとExon21 L858R)や性別、喫煙歴、脳転移の有無などのサブグループにおいても、両群間に差は見られなかった。 ただし、NEJ026試験のサンプルサイズは、OSの差を検証するには十分ではなかった。・2次治療は、BE群で76%、E群で83%に施行され、その内訳はプラチナ+ペメトレキセド(PP)がBE群29.5%、E群16.1%、PP+ベバシズマブがBE群4.5%、E群28.6%、オシメルチニブがBE群25.9%、E群25.0%であった。・2次治療としてのオシメルチニブの投与の有無で、両群のOSを検討したところ、両群ともに2次治療でオシメルチニブを投与された症例のほうがOSの延長がみられた。BE群ではオシメルチニブ投与有り50.7ヵ月、投与無し37.6ヵ月で、HRは0.63(95%CI:0.33~1.20)、E群ではオシメルチニブ投与有りが未到達、投与無しで40.1ヵ月で、HRは0.65(95%CI:0.33~1.28)であった。

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