1.
切除後の非小細胞肺がん(NSCLC)患者における化学療法+アテゾリズマブ術後補助療法の5年追跡結果が発表され、ベストサポーティブケア(BSC)に対する無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)の改善が示された。DFSは最終解析、OSは2回目の中間解析の結果で、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年5月30日号での報告。・対象:StageIB~IIIA(AJCC7)で手術後にシスプラチンベースの補助化学療法(最大4サイクル)を受けたNSCLC・試験群:アテゾリズマブ1,200mgを3週ごと16サイクルまたは1年 (507例)・対照群:BSC(498例)・評価項目[主要評価項目]治験医師評価による階層的DFS:(1)PD-L1≧1% StageII~IIIA集団、(2)StageII~IIIA全集団、(3)ITT(StageIB~IIIA全無作為化)集団[副次評価項目]ITT集団のOS、PD-L1≧50% StageII~IIIA集団のDFS、全集団の3年・5年DFS 主な結果は以下のとおり。[DFS]・ITT集団のDFS中央値はアテゾリズマブ群65.6ヵ月、BSC群47.8ヵ月と、有意差は認められなかったもののアテゾリズマブ群で良好な傾向であった(ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.71~1.01、p=0.07)。・StageII~IIIA全集団のDFS中央値はアテゾリズマブ群57.4ヵ月、BSC群40.8ヵ月であった(HR:0.83、95%CI:0.69~1.00)。・StageII~IIIAでPD-L1≧1%集団のDFS中央値はアテゾリズマブ群68.5ヵ月、BSC群37.3ヵ月とアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.70、95%CI:0.55~0.91)。・StageII~IIIAでPD-L1≧50%集団のDFS中央値はアテゾリズマブ群未到達、BSC群42.9ヵ月とアテゾリズマブ群で良好であった(非層別HR:0.48、95%CI:0.32~0.72)。[OS]・ITT集団でのDFSが有意な差に至らなかったため、OS検証は公式とはならなかった。・ITT集団のOS中央値はアテゾリズマブ群、BSC群とも未到達でHRは0.97(95%CI:0.78~1.22)、StageII~IIIA全集団のOS中央値はアテゾリズマブ群、BSC群とも未到達でHRは0.94(95%CI:0.75~1.19)、StageII~IIIAでPD-L1≧1%集団のOS中央値はアテゾリズマブ群未到達、BSC群87.1ヵ月でHRは0.77(95%CI:0.56~1.06)、StageII~IIIAでPD-L1≧50%集団のOS中央値はアテゾリズマブ群未到達、BSC群87.1ヵ月で非層別HRは0.47(95%CI:0.28~0.77)であった。・5年以上の長期追跡調査においても新たな安全性シグナルは報告されなかった。 これらの結果から、アテゾリズマブを加えた術後補助療法は化学療法のみに比べ、PD-L1陽性のStageII~IIIAの切除後NSCLCに持続的な臨床的ベネフィットをもたらすことが示された。