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産後受診時の心血管健康カウンセリング、減少傾向に/JAMA

 出産をした成人女性において、妊娠前の心血管健康(cardiovascular health、CVH)の不良と有害な妊娠アウトカム(APO)は、その後の心血管疾患(CVD)の重大なリスク因子となる。産後受診は、リスクを有する人のCVHに関する診療の機会となるが、CVHカウンセリングを受けていたのは約60%であったことが、米国・ノースウェスタン大学のNatalie A. Cameron氏らによる調査で明らかにされた。また、5年の調査対象期間(2016~20年)に、わずかだが減少していたという。JAMA誌2023年7月25日号掲載の報告。2016~20年にカウンセリングを受けた割合と予測因子、傾向を調査 研究グループは、米国疾病予防管理センター(CDC)が行う住民ベースのサーベイ(全国から代表者を抽出して実施)のPregnancy Risk Assessment Monitoring System(PRAMS)から、2016~20年のデータを連続断面解析し、自己申告による産後受診時のCVHカウンセリングを受けた割合と予測因子および傾向を調べた。 主要解析には、出産後4~6週に受診し、CVHカウンセリングを受けた、自己申告による妊娠前のCVDリスク因子(肥満症、糖尿病、高血圧)およびAPO(妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、早産)に関するデータが入手できた16万7,705人(重み付け調整計871万4,459人)を包含した。 自己申告による産後CVHカウンセリング(健康的な食事、運動、妊娠中に増加した体重を減らすためのカウンセリングと定義)を受けた割合(/100人、年間年齢補正後)を全体およびCVDリスク因子数別(妊娠前リスク因子またはAPOが0、1、2以上で定義)で算出。2016~20年のCVHカウンセリングの傾向を、年平均変化率(APC)で評価した。 データをプールし、年齢、教育、加入保険(産後)、出産年で補正後、CVDリスク因子の有無で比較するため、カウンセリングの率比(RR)を算出して評価した。リスクなし群とあり群との差はわずかで、いずれも年々減少 2016~20年に自己申告に基づく産後CVHカウンセリングを受けた割合は、CVDリスク因子なし群で56.2/100人から52.8/100人に減少していた(APC:-1.4%[95%信頼区間[CI]:-1.8~-1.0/年])。リスク因子が1つあり群では58.5/100人から57.3/100人に減少(-0.7%[-1.3~-0.1/年])、リスク因子が2つ以上群では61.9/100人から59.8/100人に減少していた(-0.8%[-1.3~-0.3/年])。 カウンセリングを受けたとの報告はリスク因子なし群と比べて、リスク因子1つの群(RR:1.05[95%CI:1.04~1.07])、リスク因子2つ以上の群(1.11[1.09~1.13])いずれもわずかな増大にとどまった。

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経口GLP-1受容体作動薬の肥満症に対する効果(解説:小川大輔氏)

 2023年8月現在、欧米で肥満症の治療薬として使用されているGLP-1受容体作動薬は、リラグルチドとセマグルチドの2製剤であり、いずれも注射薬である。一方、GLP-1受容体作動薬の経口薬(経口セマグルチドの最大用量は14mg)は、2型糖尿病の治療薬として承認されており、その減量効果は注射薬と比べて低い。今回、2型糖尿病を伴わない肥満症の成人を対象とした、経口GLP-1受容体作動薬であるセマグルチド50mgの1日1回投与の試験結果が、第83回米国糖尿病学会年次学術総会で発表され、Lancet誌に掲載された1)。 この第III相試験は北米や欧州など9ヵ国、50医療機関において実施された。2型糖尿病のないBMI値30以上、もしくは27以上で体重関連の合併症あるいは併存疾患がある患者667例を無作為に1対1の2群に割り付け、セマグルチド50mgあるいはプラセボを投与し、68週間後の体重の変化率と、ベースラインより体重が5%以上減少した症例の割合を評価した。 その結果、ベースラインから68週までの体重の平均変化率は、セマグルチド群では15.1%の体重減少を達成し(プラセボ投与群では2.4%)、マイナス12.7パーセントポイントの有意な減量効果が示された。また、68週間後に5%以上の体重減少を達成した割合は、プラセボ群が26%に対しセマグルチド群が85%と有意差を認めた。さらに、10%以上の体重減少はセマグルチド群69%対プラセボ群12%、20%以上の体重減少はセマグルチド群34%対プラセボ群3%であった。有害事象については消化器系有害事象が最も多く、セマグルチド群で80%、プラセボ群で46%と報告された。 食事療法と運動療法で十分な減量効果が得られない肥満症患者に対し、欧米ではGLP-1受容体作動薬の注射薬が処方可能である。そして今回の試験により、経口投与可能なGLP-1受容体作動薬が肥満症治療の選択肢に加わったことになる。実は今年の米国糖尿病学会で、別の経口GLP-1受容体作動薬の試験結果も発表されている2)。GLP-1受容体作動薬の注射薬すら使用できない日本においては、肥満症の治療は従来通り食事療法と運動療法を継続する、あるいは減量手術を考慮することになる。

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2型糖尿病の肝硬変、GLP-1受容体作動薬により死亡リスク減

 肝硬変は2型糖尿病と関連していることが多いものの、肝硬変患者を対象とした2型糖尿病治療に関する研究はほとんどない。今回、台湾・Dr. Yen's ClinicのFu-Shun Yen氏らは2型糖尿病の肝硬変患者を対象にGLP-1受容体作動薬による治療の長期アウトカムを調査した。その結果、2型糖尿病の肝硬変(代償性)患者がGLP-1受容体作動薬を使用した場合、死亡、心血管イベント、非代償性肝硬変、肝性脳症、肝不全のリスクが有意に低くなることが示された。Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2023年6月16日号掲載の報告。2型糖尿病の肝硬変患者はGLP-1受容体作動薬による治療で死亡リスク減 研究者らは台湾の国民健康保険研究データベースを用い、傾向スコアマッチング法により2008年1月1日~2019年12月31日のGLP-1受容体作動薬の使用者と未使用者467組を選定した。 2型糖尿病の肝硬変患者を対象にGLP-1受容体作動薬による治療の長期アウトカムを調査した主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間は、GLP-1受容体作動薬の使用者で3.28年、未使用者で3.06年だった。・それぞれの死亡率は、1,000人年当たり27.46例と55.90例だった。・多変量解析の結果、GLP-1受容体作動薬の使用者は未使用者に比べ、死亡(調整ハザード比[aHR]:0.47、95%信頼区間[CI]:0.32~0.69)、心血管イベント(aHR:0.6、95%CI:0.41~0.87)、非代償性肝硬変(aHR:0.7、95%CI:0.49~0.99)、肝性脳症(aHR:0.59、95%CI:0.36~0.97)、肝不全(aHR:0.54、95%CI:0.34~0.85)のリスクが低いことが示された。・GLP-1受容体作動薬の累積使用期間が長いほど、GLP-1受容体作動薬を使用しなかった場合よりもこれらのリスクが低くなった。

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HIV感染者の心血管イベント、ピタバスタチンで35%減/NEJM

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者において、ピタバスタチンはプラセボと比較し、追跡期間中央値5.1年で主要有害心血管イベントのリスクを低下することが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のSteven K. Grinspoon氏らが12ヵ国145施設で実施した無作為化二重盲検第III相試験「Randomized Trial to Prevent Vascular Events in HIV:REPRIEVE試験」の結果を報告した。HIV感染者は、一般集団と比較して心血管疾患のリスクが最大2倍高いことが知られており、HIV感染者における1次予防戦略に関するデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2023年7月23日号掲載の報告。HIV感染者約7,800例において、主要有害心血管イベントの発生を評価 研究グループは2015年3月26日~2019年7月31日に、抗レトロウイルス療法を受けている心血管疾患リスクが低~中等度の40~75歳のHIV感染者7,769例を登録し、ピタバスタチン群(ピタバスタチンカルシウム1日4mgを1日1回経口投与)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。過去90日以内のスタチン使用歴があり、アテローム性動脈硬化症が認められた患者は除外した。 主要アウトカムは、主要有害心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、不安定狭心症による入院、脳卒中、一過性脳虚血発作、末梢動脈虚血、冠動脈・頸動脈・末梢動脈の血行再建術、原因不明の死亡の複合と定義)とし、出生時の性別およびスクリーニング時のCD4数で層別化したCox比例ハザードモデルを用いたtime-to-event解析を行った。ピタバスタチンで心血管イベントが35%低下 7,769例(ピタバスタチン群3,888例、プラセボ群3,881例)の年齢中央値は50歳(四分位範囲[IQR]:45~55)、CD4数の中央値は621個/mm3(IQR:448~827)であった。また、HIV RNA量は、利用可能なデータを有する5,997例中5,250例(87.5%)で定量未満であった。 本試験は、追跡期間中央値5.1年(IQR:4.3~5.9)時点の2回目の中間解析の結果、有効性が認められ安全性の懸念はなかったことから早期に打ち切りとなった。 主要有害心血管イベントの発生頻度は、ピタバスタチン群が1,000人年当たり4.81、プラセボ群は1,000人年当たり7.32で、ハザード比(HR)は0.65(95%信頼区間[CI]:0.48~0.90、p=0.002)であった。 有害事象については、Grade3以上または治療変更を要した筋肉痛またはミオパチーがピタバスタチン群で91例(2.3%)、プラセボ群で53例(1.4%)、糖尿病がそれぞれ206例(5.3%)、155例(4.0%)に認められ、いずれもピタバスタチン群では発現率が高かった。 なお、著者は、「今回はピタバスタチンを用いた結果ではあるが、LDLコレステロールを低下させる他の戦略も同様に有用である可能性があり、さらなる大規模臨床試験においてスタチン療法単独で得られた結果と比較検証する必要がある」とまとめている。

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患者へのわかりやすい説明のためにChatGPTを使う【医療者のためのAI活用術】第3回

(1)ChatGPTはわかりやすい説明に向いている患者さんに病気について十分説明したにもかかわらず、理解してもらえなかったという経験をしたことはないでしょうか。私自身、とくに研修医の頃は、病状説明の際につい専門用語を多用してしまい、患者さんが混乱してしまうという苦い経験を何度もしました。ChatGPTの強みは、目的にあった文章を効率的に生成することです。そのため、病気について専門用語を避けてわかりやすく説明することにも向いており、とくに研修医の先生や若手の医療者が重宝する活用法です。実際に、「ChatGPTを患者へのわかりやすい説明のために利用している医師は多い」と、ChatGPTに出資しているマイクロソフト社の担当者が語っています1)。注意点としては、ChatGPTは正確な情報を得るのには不向きなツールであり、説明する内容は自身の医学知識や教科書の内容と照らし合わせて調整する必要があります。また、当然ですがプロンプトを入力する際に、患者の個人情報を含まないように注意しましょう。ここでは、前回説明した「深津式プロンプト」を使用して具体例を紹介していきます。(2)箇条書きで説明するたとえば、検査の結果、甲状腺機能亢進症の診断をした患者さんに病状説明をしたいという場合、以下のようなプロンプトを使用できます。#役割あなたは、優秀な内分泌内科の医師です#命令書甲状腺機能亢進症について、患者さん向けにわかりやすく説明してください#制約条件疾患の概要、症状、検査、治療に分けて箇条書きで説明してください専門の医学用語をなるべく避け、簡単な言葉を使ってくださいすると、以下のような回答が返ってきます。ChatGPTの回答(GPT-4を使用)疾患の概要甲状腺機能亢進症は、甲状腺という首の前部にある小さな器官が、普通よりも多くの甲状腺ホルモンを作り出す状態を指します。甲状腺ホルモンは、体のエネルギーの使い方や心の働きをコントロールします。症状心臓がドキドキと早く打つ、体重が減る、神経が高ぶりやすい、イライラする、夜なかなか眠れない、手が震える、汗をよくかく、筋肉が弱くなる、便が通常より多くなる、体が常に暑く感じる検査血液検査甲状腺ホルモンの量をチェックします。甲状腺機能亢進症の場合、一般的には甲状腺ホルモンが多い状態となります。甲状腺スキャン放射性物質を使って甲状腺の大きさや形、そしてどの程度活発に働いているかをチェックします。治療薬甲状腺ホルモンの生成を抑える薬を使用します。放射線ヨード治療放射性ヨウ素を用いて甲状腺組織を破壊し、甲状腺ホルモンの生成を抑えます。手術一部または全ての甲状腺を取り除く手術を行うこともあります。手術後は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの補充治療が必要となります。いかがでしょうか。不正確・不十分な点はありますが、的外れな回答ではないと思います。「この説明の仕方はわかりやすい」と感じた部分を実際に患者さんに説明する際に採用すると良いでしょう。(3)医師と患者の対話形式で説明するほかにも、医師と患者の対話形式で示してもらうことで、実際の場面に近い形式で参考にすることができます。以下、心房細動について説明する状況を想定して、プロンプトを作成しています。#役割あなたは、循環器内科の医師です#命令書心房細動についてわかりやすく説明してください#制約条件医師と患者の会話形式で説明してください医学用語をなるべく避け、簡単な言葉を使ってくださいすると、以下のような回答がChatGPTから得られます。ChatGPTの回答(GPT-4を使用)患者先生、心房細動って何ですか?医師心房細動は、心臓が正常に働かない状態の1つで、とくに心房と呼ばれる心臓の部分が、通常より速く、または不規則に拍動する状況を指します。心房は心臓の4つの部屋のうちの2つで、心臓の血液を送り出すためのポンプのような役割を果たしています。心房細動が起こると、このポンプがうまく機能しなくなり、心臓全体の働きが乱れます。患者それはどういう影響があるのですか?医師うまく機能しない心房は、血液が心臓内で滞りやすくなります。その結果、血液が固まり、血栓と呼ばれる塊を作る可能性があります。この血栓が血管を通って体の他の部分、とくに脳に到達すると、脳卒中のリスクが高まります。また、心房細動は体全体への血液の供給が不足することで、息切れや疲れやすさなどの症状を引き起こすことがあります。患者どうやって治療するのですか?医師心房細動の治療は主に3つの目的があります。まず、症状を改善し、生活の質を向上させること。次に、心房細動が引き起こす可能性のある合併症を防ぐこと。そして最後に、心臓のリズムを正常に戻すことです。治療法は個々の患者の状態やリスクによりますが、薬物療法、カテーテルアブレーションという手術、あるいは生活習慣の変更などが含まれます。こちらも、完璧な回答とはいえませんが、説明する際のヒントになるかもしれません。また、さらに回答を求めたい場合は、「発作性心房細動についても説明して」「続けて」などと追加で入力することが可能です。1)The New York Times. 「When Doctors Use a Chatbot to Improve Their Bedside Manner」. (2023年7月6日参照)

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2型DM患者は超加工食品摂取で食事の質と無関係に死亡リスク増

 2型糖尿病患者では、食事の質とは無関係に、カップ麺やスナック菓子、加工肉などの超加工食品の摂取量の増加は全死因死亡率と心血管疾患(CVD)死亡率の上昇と関連していることが、イタリア・IRCCS NEUROMEDのMarialaura Bonaccio氏らの前向き観察コホート研究の結果、明らかになった。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2023年7月26日号掲載の報告。 研究グループは、ベースライン時に2型糖尿病を発症している1,065例を対象として、11.6年間(中央値)を前向きに追跡した。食物摂取量は、188項目の食事アンケートによって評価された。超加工食品はNova分類に従って定義され、超加工食品と総摂取食物の重量比として計算された。食事の質は、地中海食スコアによって評価された。Cox比例ハザードモデルを用いて、死亡率の多変量調整ハザード比(aHR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・超加工食品の摂取量は平均7.4%(±5.0%)であった。・超加工食品摂取量が最も多かった群(女性10.5%以上、男性9%以上)では、摂取量が最も少なかった群(女性4.7%未満、男性3.7%未満)よりも、全死因死亡(aHR:1.70、95%CI:1.25)およびCVD死亡(aHR:2.64、95%CI:1.59)のリスクが高かった。・地中海食スコアによる食事の質を加味しても、これらの関連性は変化しなかった。・超加工食品摂取量と全死因死亡およびCVD死亡リスクの間には線形の用量反応関係が観察された。 これらの結果より、研究グループは「ベースライン時に2型糖尿病を発症していた参加者では、食事の質とは無関係に、超加工食品摂取量の増加は生存率の低下とCVD死亡率の上昇と関連していた。2型糖尿病管理の食事ガイドラインでは、必要栄養量に基づいた食事の導入に加えて、超加工食品を制限することも推奨する必要がある」とまとめた。

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薬の中止・開始理由、紹介先が安心する書き方【紹介状の傾向と対策】第7回

<あるある傾向>この薬の服用している理由がわからない。この薬を中止して良いかわからない。<対策>紹介するときは、できるだけ薬の開始理由、減量・中止の可否を明記する多忙な臨床業務の中で紹介状(診療情報提供書)の作成は負担の大きな業務の1つです。しかし、紹介状の不備は、依頼先(紹介先)の医師やスタッフに迷惑をかけるだけではなく、患者さんの不利益やトラブルにつながりかねません。このため、できる限り依頼先が困らない紹介状の作成を心がけたいものです。今回は「処方薬の継続要否、中止の可否は明記」についてお話したいと思います。【紹介状全般に共通する留意点】(1)相手の読みやすさが基本(2)冒頭に紹介する目的を明示する(3)プロブレムと既往歴は漏れなく記載(4)入院経過は過不足なく、かつ簡潔に記載(5)診断根拠・診断経緯は適宜詳述(6)処方薬は継続の要否、中止の可否を明記(7)検査データ、画像データもきちんと引き継ぐ筆者は患者さんが使用するすべての薬剤には、処方開始に至った症状や病名があると考えています。言い換えれば、紹介されてきた患者さんの処方内容は、紹介状の病名やプロブレム、既往歴から説明可能であるべきです。しかし、現実はそうではありません。しかし、患者さんが紹介されてきたとき、内服理由がわからないということは日常茶飯事です。しかも比較的に重要度の高い薬剤の服用理由がわからないこともあります。処方意図が不明なアスピリン先日、筆者に紹介されてきた70代後半の患者さんは、アスピリンを服用していました。しかし、冠動脈疾患の既往はなく、脳梗塞イベントや血管狭窄の既往も確認されませんでした。患者や家族に聴取しても服用理由はわかりませんでした。紹介元の病院にも問い合わせましたが、紹介元も処方理由は把握しておらず、アスピリンの服用が必要な既往歴は、確認できないとのことでした。血圧コントロールが良くない患者さんでしたので、そのままアスピリンを継続する際には、きちんとした血圧管理下で服用しなければ脳出血を助長する可能性も想定され、中止しても良いかどうかの判断に非常に困りました。このように処方理由がわからないことで、中止判断ができない薬剤もあります。紹介元やさらにその紹介元まで遡って問い合わせることは、多忙な医療現場では限界があるため、結局は、紹介されてきた患者さんの「薬をそのまま継続するのが無難」という判断になってしまうことが少なからずあります。その上、自身の病院で新たな処方をすることもあり、患者さんの使用薬剤が増えてしまう問題が生まれてしまいます。血圧に影響する薬、どれから減量するか…また、別の紹介患者さんのケースですが、心筋梗塞後の低心機能状態でした。紹介されてきたときから収縮期血圧は80台です。そして、ときどき70台にまで低下するようになりました。前医の処方には血圧降下に影響を与える薬剤5種類が処方されていたので、前医に問い合わせて、血圧を改善させるために減量や中止可能な薬剤と減量してほしくない薬剤を確認しました。このようなときも、すでに低血圧の状況を把握していた前医が、紹介状に薬剤の詳細を記載していれば、問い合わせは発生しなかったでしょう。その患者さんに生じうる状況を想定し、紹介状には「この状況のときは、この薬剤から中止・減量してください」と、薬剤に関する申し送りもきちんと書いておくことは、紹介された医師の負担軽減にとても有効だと考えます。ポリファーマーシーの問題が叫ばれるようになって久しいですが、本来は中止可能な薬剤を安心して中止できるようにするには、その薬剤が開始された経緯をわかっていることが一番重要です。そのためにも患者さんを他医に紹介し、その後の診療を依頼するときは、紹介状に薬剤の開始経緯と減量、中止の可否を明記し、その後に引き継いだ医師が適切な判断ができるように情報提供できることが望ましいです。

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寄せられた疑問に答える、脂質異常症診療ガイド2023発刊/日本動脈硬化学会

 『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』が6月30日に発刊された。動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイドは2018年版から5年ぶりの改訂となり、塚本 和久氏(帝京大学大学院医学研究科長、内科学講座 教授)が改訂点や本書の新たな取り組みについて、日本動脈硬化学会主催のプレスセミナーで解説した。動脈硬化関連の各種ガイドライン・指針に準拠 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイドは脂質異常症に特化し、非専門医が困ったときに参考となる情報をコンパクトに記載したものである。日本動脈硬化学会では『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022度版』をはじめ、『スタチン不耐に関する診療指針2018』『PCSK9阻害薬の継続使用に関する指針』などのさまざまなガイドラインや指針を発刊しており、『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』はそれらの内容を網羅するかたちで作成されている。そのため、主な改訂点も『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022度版』に準じたものになっている。<脂質異常症診療ガイド2023の主な改訂内容>1.随時(非空腹時)のトリグリセライド(TG、中性脂肪)基準値(175mg/dL以上)を設定。2.脂質管理目標値設定のための動脈硬化性疾患の絶対リスク評価手法として、冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞を合わせた動脈硬化性疾患をエンドポイントとした久山町研究のスコアを採用。3.糖尿病がある場合のLDLコレステロールの管理目標値について、合併症がある場合の1次予防は100mg/dL未満、2次予防は70mg/dL未満に設定。4.2次予防の対象疾患として冠動脈疾患に加えてアテローム血栓性脳梗塞も追加。5.薬物療法において、スタチン不耐と判断する際の注意点を記載。6.原発性脂質異常症の項を拡充。 上記の『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』改訂内容1について、塚本氏は「脂質異常症の診断基準は“動脈硬化発症リスクを判断するためのスクリーニング値であり、治療開始のための基準値ではない”ことは、ぜひ理解しておいていただきたい」と述べ、改訂内容5については「スタチンは費用対効果も高く不必要な中止を避けたい。また、スタチン不耐と判断される患者の半数以上がスタチン不耐ではないとの報告1)もある。それゆえ、ノセボ効果には注意し、患者の筋関連症状とスタチンとの関連性をしっかり確認してほしい」と強調した。脂質異常症診療ガイド改訂でQ&Aを拡充 今回の動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド改訂では本文の内容の充実はもちろんのこと、Q&Aを拡充し、項目数を47から61に増やしている。この中には、予防ガイドラインでは詳述されなかったポイントや比較的よく質問される疑問点、そして日本動脈硬化学会広報啓発委員会が会員ページに掲載している症例(日常臨床で診断・治療に難渋する症例)を参考に作成したケースを取り上げている。たとえば、上述の『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』改訂内容2に関連する質問が寄せられ、それに対する回答が記載されている。―――Q25久山町スコアでは40歳未満の方は対象にはなりませんが、多くの危険因子を持つ若年の脂質異常症患者さんにはどのように対応すればよいでしょうか?A久山町スコアのアプリでは、絶対リスクとともに相対リスクも表示される。久山町スコアは40歳以上を対象としたものなので正確とは言えないが、40歳未満の対象者であっても年齢以外の因子を入力後、年齢の項を40歳と入力すれば、同世代の危険因子のない方と比べての相対リスクがわかるので、患者指導に用いると良い。――― このほかにもよく質問される疑問点として「Q21 吹田スコアで高リスクだった患者さんが久山町スコアでは中リスクとなりました。どのように対応すればよいでしょうか?」「Q22 管理目標値設定のフローチャートに記載されている『その他の脳梗塞』はどのような脳梗塞でしょうか? 心原性脳梗塞やラクナ梗塞も含まれるのでしょうか?」などが寄せられている。また、広報啓発委員会作成の会員マイページに掲載されている症例を参考とした症例としては「Q55 LDL-C 260mg/dLでアキレス腱肥厚もあったので、FHと考えスタチンで治療を始めましたが、LDL-C値はほとんど下がりません。どのように対応すればよいでしょうか?」(シトステロール血症の鑑別が必要)のようなQ&Aが作成されている。ぜひ『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』のQ&Aをご一読いただきたい。遺伝子検査項目の増加、指定難病の診断に 2022年4月に原発性脂質異常症の遺伝子検査項目が5つに増えた(家族性高コレステロール血症、原発性高カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、家族性低βリポタンパク血症1[ホモ接合体]、タンジール病)。これを受けて、『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』では低HDLコレステロール低値の際のフローチャートを追加し、解説疾患を増やすなど、原発性脂質異常症の項を拡充。遺伝子検査項目が増えるメリットには「指定難病の確定診断がつけば、患者の登録が進み、患者のbenefitにつながる」と述べた。脂質異常症診療ガイド2023にICT導入 今回の発刊に際し情報通信技術(ICT)を積極的に導入しており、『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』を購入した方はデジタルブックでも閲覧できる。また、掲載されているQRコードを読み込むことで代表的な臨床比較試験、診療指針、専門医リストなどが確認できるため、web検索する手間が省ける仕組みになっている。 最後に同氏は「以上の改訂点を踏まえ、医師や管理栄養士、臨床検査技師などをはじめとする多くの医療者に活用していただきたい」とコメントした。

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外傷の処置(1)鶏眼(うおのめ)【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q79

外傷の処置(1)鶏眼(うおのめ)Q79夜間外来もある当直バイト中、糖尿病性腎症によるCKD既往の80代男性が右母趾先端の鶏眼(うおのめ)の処置希望で受診してきた。鶏眼処置なんて研修医ぶりだと思いながら、鶏眼の大きさに合わせてスピール膏®(サリチル酸)を貼付し、同外用薬を1シート処方した。適宜貼り替えて1週間後に日中外来を受診するよう指示し、鶏眼の処置は雑菌が入るため、自分では処置をしないことを念押しした。上記対応の誤りは?

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事例029 新医薬品エパデールEMの査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では脂質異常症に対して同月内2回の来院それぞれに処方を行ったイコサペント酸エチル(商品名:エパデールEM、以下同)カプセル2gが査定となりました。査定事由は、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)でした。投与日数も当月内28日であり、病名なども添付文書に沿っています。査定の原因をつかむために調べてみました。カルテには、同月1回目の再診時に7日分処方、同月2回目の再診時に21日分処方の合計28日分が入力されていました。調べている途中で、エパデールEMは発売後1年経っていない新医薬品であり、2023年8月末までは、1回の処方に14日分限度の制限がかかっていることに気付きました。医師に尋ねると14日処方限度の新医薬品であることをご存知でした。1回目再診時に7日分を処方したのち、2回目に次回来院までに薬が不足しないよう、同月内1回処方当たりの投与日数内であれば認められるであろうと処方をされていました。現在のレセプトは、投与薬剤にも日付を紐付けて電子請求されます。そのデータを基にコンピュータ審査が行われます。表面上は算定要件を保っているようでも、日付ごとの審査が行われるために、事例のような査定が発生します。医師にはその仕組みを説明し、処方入力システムに処方制限が表示されるよう改修して査定対策としました。なお、年末年始などの長期休診の場合は、その日数を限度として1回当たりの処方日数を増やすことが可能です。ただし、総投与日数が30日を超えると認められないようですのでご留意ください。

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8月10日 手(ハンド)の日【今日は何の日?】

【8月10日 手(ハンド)の日】〔由来〕手の英語読み「ハンド」から「ハ(8)ンド(10)」の語呂合わせから、健康な手を持っていることへの感謝、手の不自由な人々に対する社会的な関心、手の怪我・病気・しびれなどの改善に従事している手外科の存在の啓発に日本手外科学会が制定。関連コンテンツ釣り針が刺さった【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】トリガーポイント注射の査定【斬らレセプト】関節腔内注射の査定【斬らレセプト】リウマチ体操の紹介【患者説明用スライド】1型2型ともに糖尿病はばね指のリスクと関連

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バイアスドリガンドorforglipronは2型糖尿病・肥満症治療のgame changerになり得るか?(解説:住谷哲氏)

 GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病患者に対する血糖降下作用、体重減少作用および臓器保護作用が明らかにされている。さらに肥満症治療薬としてセマグルチド(ウゴービ)が製造承認されて現在薬価収載待ちの状況である。GLP-1受容体作動薬は有用な薬剤であるが注射薬のバリアはなかなか手ごわく、必要な患者に導入できないことが少なくない。そこで登場したのが経口セマグルチド(リベルサス)であったが、早朝空腹時に120mL以下の水で服用してその後30分は飲食不可、となっているので注射薬ほどではないが服薬アドヒアランスを維持するのが難しい。orforglipronは1日1回服用の非ペプチド性GLP-1受容体作動薬であり、本試験は糖尿病を合併しない肥満患者に対するorforglipronの体重減少作用を主要評価項目とした第II相臨床試験である。orforglipronの2型糖尿病患者に対する血糖降下作用を主要評価項目とした第II相臨床試験の結果は、ほぼ同時にLancetに掲載された1)。両試験の結果をみると、orforglipronの体重減少作用および血糖降下作用はきわめて有効であった。 本論文をみたときに経口セマグルチドと同様の薬剤かと思っていたが、筆者の勉強不足であった。医薬品は大きく分けると低分子医薬品(分子量<500)、高分子医薬品(分子量>10,000~15,000)と、その中間の中分子医薬品とになる。orforglipronは、もともと中外製薬で中分子医薬品として創薬されたOWL833(分子量883)が、2018年にEli Lillyに導出されて臨床開発が継続されてきた歴史がある。中分子医薬品は、タンパク質間相互作用(protein-protein interaction)を修飾することによる細胞内シグナル伝達調節作用が期待されており、世界中の製薬企業が開発に注力している。 GLP-1受容体はG蛋白質共役受容体(G-protein coupled receptor:GPCR)に分類される(ちなみにGIPおよびグルカゴン受容体もGPCRに分類される)。GLP-1はGLP-1受容体に結合して細胞内にシグナルを伝達するが、そのシグナルにはGタンパク質依存的シグナルとβアレスチン(arrestin)依存的シグナルとがある。前者はcAMPなどのセカンドメッセンジャーを介して細胞内Ca濃度を上昇させることでGLP-1作用を発揮する。後者は従来GLP-1受容体の脱感作を誘導すると考えられてきたが、近年その他の多様な細胞内シグナル伝達を担っていることが明らかになりつつある。orforglipronはGLP-1受容体に結合してGタンパク質依存的シグナルのみを活性化しβアレスチン依存的シグナルを活性化しないことが報告されている2)。このようにGPCRを介したGタンパク質依存的シグナルとβアレスチン依存的シグナルとを選択的に活性化させる分子をバイアスドリガンド(biased ligand)という3)。つまりorforglipronは、これまでのGLP-1受容体作動薬とは異なるまったく新しい作用機序を有する薬剤であり、2型糖尿病・肥満症治療における画期的な新薬となる可能性がある。 すでにEli Lillyは第III相臨床開発プログラムであるACHIEVE(対象は2型糖尿病)およびATTAIN(対象は肥満症)を開始することを発表しており、数年後には2型糖尿病・肥満症治療に新たな展開が期待される。

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CVDの1次予防、6ヵ月の菜食は薬物治療に引けを取らない

 一般集団において、肉類を摂取しない菜食生活は心血管代謝リスクを改善することが報告されているが、心血管疾患(CVD)リスクが高い人における効果は結論が出ていない。そこで、オーストラリア・シドニー大学のTian Wang氏らが、CVD高リスク者やCVD患者を対象に菜食生活と主要な心血管代謝リスク因子との関連についてメタ解析を実施した結果、6ヵ月間の菜食生活は、CVD高リスク者では有意なLDL-コレステロール(LDL-C)やHbA1c、体重の改善と関連していたことを発表した。JAMA Network Open誌2023年7月25日号の報告。 研究グループは、Embase、MEDLINE、CINAHL、CENTRALを用いて、菜食生活を行ったCVD患者または2つ以上のCVDリスク因子を有する高リスクの成人において、LDL-CやHbA1c、収縮期血圧などを測定したランダム化比較試験を検索した。なお、菜食には、乳卵菜食(肉類は食べないが、卵や乳製品は許容)、乳菜食(肉類や卵は食べないが、乳製品は許容)、ヴィーガン(動物由来の食品はすべて食べない)が含まれていた。 主要アウトカムはLDL-C、HbA1c、収縮期血圧の変化(介入前と介入後)の群間差の平均で、副次的アウトカムは体重とエネルギー摂取量の変化とした。 主な結果は以下のとおり。・1,878例を含む20件の試験が解析に組み込まれた。平均介入期間は25.4週間(範囲:2~24ヵ月)であった。CVD患者を対象とした試験は4件、糖尿病患者を対象とした試験は7件、2つ以上のCVDリスク因子を有する高リスク者を対象とした試験は9件であった。・菜食生活を平均6ヵ月間行うことで、LDL-Cが6.6mg/dL(95%信頼区間[CI]:-10.1~-3.1)、HbA1cが0.24%(95%CI:-0.40~-0.07)、体重が3.4kg(95%CI:-4.9~-2.0)減少した。・菜食と収縮期血圧との関連は有意ではなかった(-0.1mmHg、95%CI:-2.8~2.6)。・GRADE評価によるエビデンスの質は、LDL-CとHbA1cの減少については「中」であった。 これらの結果より、研究グループは「菜食生活は、CVDのリスクが高い人において、標準治療を上回るLDL-C、HbA1c、体重の有意な改善と関連していた。CVD患者における健康的な菜食生活の効果を明らかにするためには、さらなる質の高い試験が必要である」とまとめた。

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英語で「妊娠している可能性はありますか?」は?【1分★医療英語】第92回

第92回 英語で「妊娠している可能性はありますか?」は?Is there any possibility that you may be pregnant now?(現在、妊娠している可能性はありますか?)No, I’m not pregnant.(いいえ、妊娠していません)《例文1》Have you ever been pregnant before?(これまでに妊娠したことはありますか?)《例文2》She is expecting.(彼女は妊娠しています)《解説》女性の患者さんに画像検査や処方を行う際、妊娠の可能性について聞く必要がありますが、英語ではどのように聞けばよいでしょうか。こういったときは、“pregnant”(妊娠している)という形容詞を使うと便利です。最もシンプルな表現としては、“Are you pregnant now?”(現在、妊娠していますか?)と聞くことができます。とはいえ、本人に妊娠の自覚がない場合でも妊娠している可能性があるため、“Is there any possibility that you may be pregnant now?”(現在、妊娠している可能性はありますか?)といった丁寧な表現で聞くことが望ましいでしょう。また、妊娠を表す他の単語としては、“expect”(期待する、予期する)という動詞を使って“She is expecting.”という表現を使うこともあります。これは“She is expecting a baby.”を略したもので、「子供を期待している」、つまりは「妊娠している」「出産を控えている」という意味になるのです。講師紹介

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日本におけるアルコール摂取、喫煙と認知症リスク~村上健康コホート研究

 飲酒や喫煙は、生活習慣病リスクに影響するが、認知症への影響については依然としてよくわかっていない。新潟大学のShugo Kawakami氏らは、日本人中高年におけるアルコール摂取や喫煙と認知症リスクとの長期的な関連性を調査するため本研究を実施した。その結果、中程度までのアルコール摂取は認知症リスクが低下し、喫煙は用量依存的に認知症リスク増加との関連が認められた。また、多量のアルコール摂取と喫煙との間に認知症リスクとの相互作用が確認された。Maturitas誌オンライン版2023年6月14日号の報告。 研究デザインは、8年間のフォローアップによるコホート研究。参加者は、40~74歳の地域在住の日本人1万3,802人。2011~13年に自己記入式アンケートを含むベースライン調査を実施した。アウトカムは、介護保険データベースから収集した認知症発症、予測因子は、アルコール摂取量および喫煙とした。共変量は、人口統計、ライフスタイル要因、BMI、一般的な健康状態、脳卒中歴、糖尿病歴、うつ病歴とした。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は、59.0歳。・1週間当たりのエタノール量が1~149g、150~299g、300~449gの群は、対照群と比較し、調整ハザード比(HR)が有意に低く、有意な線形関連性は認められなかった。・飲酒歴、健康状態が不良、病歴を有する人を除外した場合、HRは1に向かい増加が認められた(各々、HR:0.80、0.66、0.82)。・喫煙レベルが高いほど、用量依存的にHRが高く(調整p for trend=0.0105)、1日当たり20本以上の喫煙群では、調整HRが有意に高かった(HR:1.80)。・多量飲酒者(1週間当たりのエタノール量:449g以上)において、喫煙習慣のある人は認知症リスクが高かったが(p for interaction=0.0046)、喫煙習慣のない人では影響が認められなかった。

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8月4日 栄養の日【今日は何の日?】

【8月4日 栄養の日】〔由来〕「えい(8)よう(4)」(栄養)と読む語呂合わせから、栄養を学び、体感することをコンセプトに、食生活を考える日とすることを目的に日本栄養士会が制定。同会では、この日を中心に「栄養週間」として、全国の管理栄養士・栄養士とともに「栄養をたのしむ」生活を応援している。関連コンテンツすぐに使える!糖尿病の食事指導スライド食べ出すと止まらないスナック菓子への対処法【患者指導画集 Part2】野菜不足の患者さんにひと言【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】亜鉛欠乏はCKD進行のリスク因子か食物繊維の摂取とうつ病・不安との関係~メタ解析

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アフターコロナの今、「MR不要論」を考える

 COVID‐19の拡大後、MR数は減少傾向にあり、製薬企業の営業拠点の見直し等も急速に進んだ。アフターコロナにおいて、製薬企業担当者は本当に必要なのだろうか? この疑問について、医師・製薬企業・メディカルスタッフ、それぞれの立場から率直に語り合う機会が設けられた。2023年7月22日(土)、第10回日本糖尿病協会年次学術集会のEXPERT社員シンポジウムで語られた内容を抜粋して紹介する。MRの情報提供は医師に求められていないのか? 医療用医薬品の情報提供には、厳格な法規制があることはよく知られる。具体的に、競合品との比較データや症例紹介が不可となる場合が存在する。反面、臨床現場からは、同効薬の使い分けや効果を発揮しやすい症例像への情報ニーズは高い。そのため、医薬情報担当者であるMRは、自分たちの提供する情報と医療者が求める情報に「乖離がある」と認識しているようだ。2023年6月実施のMR1,407名を対象としたアンケート調査の結果では、「求めたい情報提供に乖離はありますか?」の回答結果は「乖離がある」(17%)、「やや乖離がある」(67%)と乖離を感じるMRが大半であり、「乖離はない」と回答したMRは17%だった。また「情報提供の障壁となっているものは何ですか?(複数回答)」という質問では「面会できない」(74%)が最多で、次いで「販売情報提供ガイドライン」(54%)が挙げられた。 では、実際に医療者側はどう思っているのだろうか? 実は、まったく同じ調査が医師626名を対象に行われている。結果、「情報提供の乖離」に関しては「乖離はない」(51%)が最多で、「情報提供の障壁」に関しても「障壁はない」(57%)が最も多かった。つまり、MRが思うほど、医師にとってMRとの面会価値は低くはないことになる。医療者側の考えるMRの価値とは シンポジウムに登壇した医師からは、コロナ禍で受動的な医局説明会や文献提供がなくなり、現在は能動的なWeb経由での情報収集やWeb講演会の聴講等にシフトしたが、依然「MRによる情報提供も必要」との意見があがった。 具体的に「企業担当者がいて助かったこと」について、医師およびメディカルスタッフのエピソードが紹介された。 医師が助かった例として、臨床現場で疑問が生じた際の迅速なメール対応や地域医療連携および会合のサポート、患者差別や疾患への偏見を減らすための疾患啓発活動が挙げられた。同様に、メディカルスタッフからは添付文書のニュアンスの確認や薬物相互作用に関する論文紹介、食事・運動療法に関する患者向けの資材提供や研修会の案内が役立ったとの声があがった。その一方で、「不快なMR」として、薬の販売に躍起になって情報提供がおろそかになっている場合やレスポンスが遅いケース、周辺知識の不足等が指摘された。MRはどう振る舞うべきか 製薬企業側の代表者も登壇し、今後目指す形として、アフターコロナは、リアル面会とオンライン面会を併用し、ITツールを活用しての情報提供を行うことや、医療従事者に寄り添った活動を心掛けること、とくに自己研鑽を行い、信頼をしてもらうように務めるべき、と発言した。糖尿病協会で行っているEXPERT社員認定制度やe-ラーニング、積極的な学会参加を通じて、医療従事者のニーズを把握し、デジタルを活用しながら、ありとあらゆる形で医療者との関係構築を目指すという。 アフターコロナもMRは忙しい医療従事者の情報ニーズを埋める役割を担うと期待されているようだ。 質問すると、さっと返事が返ってきて助かるという声がある一方、添付文書改訂を知らせにしか来ないとの声もある。MRが医療者に適切な情報を提供するには、疾患への深い知識が必須となる。「患者さんの声」を企業に伝えるためにMRが必要だという意見もあり、いずれにせよ薬剤の情報を熟知し説明できる能力こそが今後の評価軸となる。 アフターコロナのMRの在り方は、EXPERT社員認定などの形で底上げを図り、医療従事者の一員であると自覚し、何より自信を失わないことが重要であるようだ。

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動脈硬化疾患の1次予防に積極的な脂質管理の幅が広がった(解説:平山篤志氏)

 脂質低下療法にスタチンが広く用いられるが、筋肉痛などの副作用を訴える場合があり、スタチン不耐性と呼ばれ使用できない患者がいて、脂質への介入がなされていない場合がある。心血管疾患の既往のある患者の2次予防では、エゼチミブあるいはPCSK9阻害薬を使用してでも脂質低下が行われる。しかし、1次予防の動脈硬化疾患発症リスクの高い対象、たとえば糖尿病患者では脂質低下療法が行われていないことが多く、さらにスタチン不耐性では放置されていることが多い。 本論文は副作用でスタチンを服用できないスタチン不耐性患者を対象に、ベムペド酸(bempedoic acid)を投与したアウトカム試験、CLEAR試験のサブ解析である。CLEAR試験は心血管疾患の既往のある2次予防患者と既往のないハイリスクの1次予防患者を対象としており、ベムペド酸投与によりプラセボと比較してLDL-コレステロールと高感度CRPを有意に低下させ、4ポイントMACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、脳卒中、血行再建術)を有意に減少させることを示した。あらかじめ規定されていたサブ解析でも、2次予防だけでなく1次予防でもベムペド酸の有効性が示されていたが、今回は1次予防患者の詳細な結果が報告されている。 CLEAR試験にエントリーされたうちの心血管イベントの既往のない患者4,206例で、計算されたリスクスコアが高い、冠動脈の石灰化が著明、糖尿病がある、などの動脈硬化疾患のリスクが高い対象である。平均LDL-Cが142.2mg/dLで、糖尿病患者が3分の2近く含まれていた。LDL-Cと高感度CRPの低下とともに、心血管イベントの有意な抑制がベムペド酸投与により示された。また、その低下効果も本試験より大であった。この対象群ではNNTが42~44と十分な有効性があった。 実臨床で、どうしても1次予防になると患者教育も難しく、また、副作用の懸念があると脂質低下に逡巡するが、この結果はハイリスク症例、とくに糖尿病患者に積極的な介入が必要であることを痛感させる。ただ、残念ながら、わが国では動脈硬化疾患の発生リスクが低いこと、エビデンスがないことから、どうしても脂質低下療法に消極的になる傾向がある。健康寿命の重要性が叫ばれる今日、目の前にいる患者が10年、20年先に健康でいられるようにするには、今から積極的な介入が必要なのかもしれない。ベムペド酸はそのための1つの武器となりえるかもしれない。

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