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メタボリックシンドロームとうつ病〜日本リアルワールドデータ横断的研究

 メタボリックシンドローム(MetS)とうつ病は、どちらも優先度の高い健康問題であり、とくに労働年齢層において問題となる。これまで、MetSとうつ病との関連についての研究は、数多く行われているが、そのすべてが一貫しているわけではない。帝京大学の杉本 九実氏らは、広範なリアルワールドデータを分析することにより、MetSとうつ病の関連性を判断するため、本研究を実施した。Environmental Health and Preventive Medicine誌2024年号の報告。 東京都を除くすべての都道府県の地方自治体職員の2019年度の保険請求および健康診断のデータを用いた。うつ病診断および抗うつ薬の処方月数に応じて、参加者を次の4群に分類した。確実にうつ病ではない(CN群)、うつ病でない可能性が高い(PN群)、うつ病の可能性あり(PD群)、うつ病である(CD群)。MetSおよびその構成要素である内臓肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病と各うつ病カテゴリとの関連性を分析するため、ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・参加対象者は13万59例(CN群:85.2%、PN群:6.9%、PD群:3.9%、CD群:4.1%)。・男性の場合、CN群を基準としたMetSの調整オッズ比(aOR)は、PN群0.94(95%信頼区間[CI]:0.86〜1.02)、PD群1.31(1.19〜1.43)、CD群1.63(1.50〜1.76)であった。・女性のaORは、PN群1.10(95%CI:0.91〜1.32)、PD群1.54(1.24〜1.91)、CD群2.24(1.81〜2.78)であった。・MetSの構成要素のうち内臓肥満、脂質異常症、糖尿病は、うつ病カテゴリと有意な関連が認められた。 著者らは「これまでの報告と同様に、MetSとうつ病との有意な関連が認められた。本調査結果は、MetSとうつ病の関連性についての確固たるエビデンスを提供するとともに、リアルワールドデータ分析が、具体的なエビデンスの提供に有用である可能性を示唆している」としている。

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第204回 医師免許証の手続き、マイナポータルでオンライン化へ/デジタル庁

<先週の動き>1.医師免許証の手続き、マイナポータルでオンライン化へ/デジタル庁2.正常分娩の保険適用に反対意見相次ぐ、産婦人科医会が懸念/厚労省3.外国人患者受け入れ病院で未収金増加、平均50万円に/厚労省4.労基署の勧告受けた市立病院、10億円の未払い残業代支払い困難/宮城県5.神戸徳洲会病院、医療過誤で3件目の認定/兵庫県6.資金不正問題、第三者委員会は理事長の責任を指摘/東京女子医大1.医師免許証の手続き、マイナポータルでオンライン化へ/デジタル庁デジタル庁は、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師の4つの国家資格の事務手続きを2024年8月6日からオンライン化すると発表した。これにより、名前変更手続きやデジタル資格証の取得がオンラインで完結できるようになる。紙の書類や対面での手続きが不要となり、住民票や戸籍謄本の写しの添付も省略でき、登録免許税や手数料のオンライン決済も可能となる。さらに、11月には医師や看護師など27の資格についても事務手続きをオンライン化する予定。2025年3月までには准看護師や栄養士など11の資格も加わり、最終的には計84資格のオンライン化を目指す。国家資格のオンライン化に伴い、デジタル庁は資格管理者が共同利用できる「国家資格等情報連携・活用システム」を開発した。このシステムは住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)や戸籍情報と連携し、マイナポータルのデータとも紐付けられる。これにより、資格保有者はマイナポータルから各種の申請が可能となり、迅速かつ正確に事務手続きを進められるだけでなく、事務処理に伴う負担やコストの削減も見込まれる。資格管理者側にも大きなメリットがあるとされている。河野 太郎デジタル担当相は記者会見で「オンライン化により、資格保有者と資格管理者の双方にメリットを出していきたい」と述べ、積極的なオンライン利用を促した。また、デジタル資格者証も発行される。これはPDF形式でダウンロードができ、電子署名も付与されるため、改ざん検知が可能となる。固有の二次元コードも付与され、スマートフォンなどを使って資格者証の検証も行えるほか、資格者証は、印刷して利用したり、スマートフォンの画面に提示して利用したりすることが想定される。国家資格のオンライン化のスケジュールとしては、まず、8月6日から介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師の4資格が対応開始となり、11月頃には医師、歯科医師、看護師など27の資格がオンライン化される予定。そして、2025年3月頃には准看護師、栄養士など11の資格が追加され、2025年度以降にはさらに多くの資格が順次対応される。参考1)2024年8月6日から4つの国家資格についてオンライン・デジタル化を開始します(デジタル庁)2)国家資格のオンライン申請が8月6日から順次スタート 介護福祉士など4資格から 全84資格で対応予定(ITmedia)3)国家資格の手続きオンライン化へ、介護福祉士など 6日から、マイナポータルで申請可能に(CB news)2.正常分娩の保険適用に反対意見相次ぐ、産婦人科医会が懸念/厚労省厚生労働省とこども家庭庁は、「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」を8月1日に開催し、関係学会や団体へのヒアリングを実施した。今回のヒアリングでは、正常分娩(出産)に公的医療保険を適用する案について、日本産婦人科医会や日本産科婦人科学会などから慎重な意見が相次いだ。日本産婦人科医会の前田 津紀夫副会長は、正常分娩に公的保険が適用されると出産育児一時金の支給額50万円(2024年8月現在)を維持するのが難しく、結果的に出産に伴う経済的負担が大きく変わらないと指摘。また、診療報酬のみでは出産費用をカバーできず、医療機関が減収となるため、産科医療機関の減少やアクセスの悪化、サービスや医療安全に必要なコストの削減が進む恐れがあるとした。前田氏は、分娩のプロセスが多様であり、保険適用に向かないと述べ、「少子化対策」の名の下に拙速な制度変更を行うことに反対の立場を示した。これに対し、健康保険組合連合会の佐野 雅宏会長代理は、「課題が多いことは理解しているが、賛成や反対を前提とせずに議論を進めるべき」との意見を述べた。日本産科婦人科学会の亀井 良政常務理事は、正常分娩に保険が適用されることで医療機関が産科から撤退すれば、周産期医療センターに低リスクの出産まで集中し、病床確保や医師増員が困難になることで、周産期医療の安全が崩壊しかねないと懸念を表明。亀井氏は、「緩やかな集約化は受け入れられるが、急速な減少や医療崩壊を招くような保険適用には反対」と述べた。さらに、亀井氏は「出産費用の保険適用は出産数のV字回復につながる特効薬ではなく、むしろ産科医療施設を廃業に追いやる毒薬になる可能性がある」と強い危機感を示した。日本看護協会の井本 寛子常任理事も、出産前後の女性や新生児に迅速に対応できるケア提供体制の強化が必要だと訴えた。このように、正常分娩への保険適用については慎重な意見が多く、拙速な制度変更には反対の声が強まっている。参考1)第2回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」資料(こども庁・厚労省)2)正常分娩への保険適用、拙速な制度変更に反対表明 検討会のヒアリングで日本産婦人科医会(CB news)3)出産費用の保険適用、2026年度導入視野 産科医療に大きな影響も(朝日新聞)4)「政府案 出産費用(正常分娩)の保険適用の導入」に関するアンケート 報告(スペシャリスト・ドクターズ)3.外国人患者受け入れ病院で未収金増加、平均50万円に/厚労省厚生労働省は、2023年9月に外国人患者を受け入れた病院のうち、未収金が発生した病院は516病院で、1病院当たりの未収金総額が平均49.6万円と前年度の2倍以上に増加したことを明らかにした。同省の担当者は「1件当たりの未収金額が高いケースが増えている。突発的な増加の可能性もある」と話している。調査では、外国人患者を受け入れた2,813病院のうち、18.3%が未収金を経験していた。1病院当たりの未収金発生件数は平均3.9件で、1件当たりの未収金額は12万8,497円、中央値は1万1,150円だった。未収金額が最も多かったのは「1万円以下」で954件、「1万~5万円」が522件と続いた。外国人患者の受け入れ実績がある病院のうち、最も多いのは「10人以下」の1,273病院で、「11~50人」が879病院、「51~100人」が247病院だった。さらに、都道府県が選出した「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」608病院中524病院(86.2%)でも受け入れ実績が確認された。外国人患者の診療費については、ほとんどの病院が通常の1点10円で費用請求を行っているが、一部の病院では通訳費用を含む追加コストを考慮し、1点を15円、20円としている場合もある。しかし、多くの病院では請求可能な通訳費用を請求していないのが現状。調査結果を受け、厚労省は外国人患者受け入れのための医療機関向けマニュアルを策定し、未収金発生防止策として、外国人患者が海外旅行保険に加入しているかどうかを事前に確認し、医療費の概算説明を丁寧に行うようアドバイスしている。また、外国人患者受け入れ体制の整備に向けた取り組みを進めている。この未収金問題は、病院経営に大きな影響を与えており、厚労省は引き続き対策を講じ、外国人患者が安心して医療を受けられる体制を目指す。参考1)令和5年度「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」の結果(厚労省)2)外国人患者の受け入れ、未収金総額は平均50万円 前年度の2倍超に増加 厚労省(CB news)3)依然「外国人患者を受け入れる医療機関の2割弱」で未収金発生、ごく一部だが「月間500万円超」の高額未収となるケースも-厚労省(Gem Med)4.労基署の勧告受けた市立病院、10億円の未払い残業代支払い困難/宮城県宮城県大崎市の大崎市民病院が、医師や看護師ら約1,100人に対し、時間外勤務手当を適正に支給していなかった問題で、古川労働基準監督署から是正勧告を受けた。未払い額は約10.5億円に上るが、病院は約2.3億円しか支払わず、残りの約8億円は経営状況から支払えないとしている。昨年2月に是正勧告を受けた際、病院は基礎賃金に必要な手当を足さずに計算していたため、未払いが発生したことが判明。さらに、時間外労働時間の過少申告も発覚した。労基署は2020年3月にさかのぼって不足額を追加支給するよう求めたが、病院は赤字が続く見込みであり、勧告通りの対応は困難だと判断した。結果として、実際に支給されたのは約10.5億円のうち約2.3億円に止まり、病院は「労基署に相談しながらできる範囲で対応した。10億円は額が大きすぎる。すべて支払うことはできない」と説明した。参考1)市立病院が残業代10億円未払い 労基署が勧告も2億円しか支払わず(朝日新聞)2)令和6年度大崎市病院事業会計予算書(大崎市民病院)5.神戸徳洲会病院、医療過誤で3件目の認定/兵庫県神戸市垂水区の神戸徳洲会病院で発生した患者死亡事故について、同病院が今年1月に心肺停止状態で搬送された90代男性の死亡を医療過誤と認定した。これは同病院で3件目の医療過誤認定となる。今年1月、心肺停止状態で救急搬送された90代男性患者に対して、血圧を上昇させる薬剤の追加投与が遅れたため、患者が死亡した。この事例について病院は「死期を早めた可能性がある」として医療過誤を認定し、遺族に謝罪するとともに、この事例をホームページで公表し、神戸市も報道からの取材に対し認定を認めた。また、遺族への賠償も検討しているという。神戸徳洲会病院では、2023年1~7月にかけて、複数の患者がカテーテル治療後に死亡するなど15件の医療事故が発覚しており、そのうち4件は国の医療事故調査制度に基づく調査対象となっている。これまでに認定された医療過誤は、糖尿病患者へのインスリン投与ミスによる70代男性の死亡、カテーテル治療中に血管を破った90代女性の死亡の2件だった。今回の事例は、国の制度の対象外として病院が個別に検証を行った11件のうちの1件に含まれる。残りの10件については、病院側は過誤の有無に言及せず、遺族への説明を進めている。尾野 亘院長は「患者安全を十分に重視して病院運営を行ってこなかった結果で、深く反省している」とコメントを発表し、改善を誓った。神戸市は、神戸徳洲会病院が適切な治療を提供できなかった問題を受けて、今年2月に医療法に基づく改善命令を出している。また、福田 貢副理事長が6月に行われた有識者会議後に「根本的な原因はない」と発言したが、これは4月に提出された改善計画と矛盾するとして市が抗議。病院側は発言を撤回し、謝罪した。病院側は改善計画書の内容を修正し、根本的な原因として、医師数の不足や組織ガバナンスの機能不全など7項目を追加し、神戸市に再提出した。市は修正版を受理し、今後の対応を見守るとしている。参考1)神戸徳洲会病院が医療ミス3件目認定、90代男性死亡巡り(産経新聞)2)神戸徳洲会、医療過誤3件目を新たに認定…血圧薬補充遅れ直後に死亡(読売新聞)3)血圧上昇させる薬剤投与遅れ死亡 神戸徳洲会病院が新たに医療過誤1件謝罪、賠償を検討(神戸新聞)4)不適切治療で患者死亡の神戸徳洲会病院 法人幹部が報道陣に「根本原因ない」発言、神戸市が抗議(同)6.資金不正問題、第三者委員会は理事長の責任を指摘/東京女子医大東京女子医科大学(東京都新宿区)やその同窓会組織「至誠会」を巡る不透明な資金の流れについて、同大学が設置した第三者委員会(委員長=山上 秀明弁護士)が調査報告書をまとめた。この報告書は、推薦入試での寄付金の考慮や理事長の岩本 絹子氏(77)の「一強体制」による経営の問題を指摘する内容となっている。報告書によると、同大学の推薦入試では、至誠会が持つ推薦枠で生徒を選ぶ際に寄付額が加点要素となっていた。受験生側から至誠会と大学法人への寄付は、面接の直前2ヵ月の期間に集中しており、2019~2022年度の間に受験生側から寄付された総額は3,520万円に達していた。また、寄付金の実績がない受験生が、寄付金を行った受験生に順位で抜かれて推薦を受けられなかった事例や面接の前に寄付を行った事例もあった。さらに、同大学の至誠会から大学に出向していた職員への給与についても、二重払いの疑いが指摘された。この業務委託は、法人の利益を犠牲にし、岩本氏に近い2人の利益を図る行為とされている。また、理事会運営会議の承認を得ずに行われた手続き違反も認定された。第三者委員会は、岩本理事長が異なる意見を持つ職員を排除し、ガバナンス機能を封殺したとし、岩本氏の重大な経営判断の誤りについても言及した。具体的には、小児集中治療室(PICU)の運用停止や小児集中治療医の大量退職を招いたことが挙げられている。また、岩本氏の知人が代表を務める会社とのコンサルティング契約で、不透明な支出があったことも判明している。これらの問題に対して、東京女子医科大学は「組織の改善・改革に全身全霊で取り組む」とのコメントを発表した。また、新たに第三者委員会答申検討委員会を立ち上げ、再発防止策と管理運営体制の再構築を図る計画を示した。文部科学省も、この問題を受けて早急に大学側に説明を求める予定。さらに、国の私立大学への補助金の配分についても見直しが検討される可能性がある。参考1)東京女子医大 同窓会組織めぐる問題 第三者委“抜本的改革を”(NHK)2)東京女子医大、理事長に資金還流か…第三者委員会報告書「金銭に強い執着」(読売新聞 )3)東京女子医大の第三者委、理事長の責任を指摘 報告書を公表(朝日新聞)4)第三者委員会による調査報告書の公表について(東京女子医大)5)第三者委員会の調査報告書を受けての本学の決意と「(仮称)第三者委員会答申検討委員会」の設置について(同)

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ジャンクフード店の近くに住むと太る【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第262回

ジャンクフード店の近くに住むと太る私はコンビニ飯がわりと好きで、セブンイレブン、ローソン、ファミマをぐるぐる回って新商品が出ていないかチェックすることもあります。「底上げ弁当」がまだまだ多いので不満はありますが、昔と比べて味はとにかく美味しくなりました。しかし、アクセスが良すぎるのも問題かもしれません。Pineda E, et al. Food environment and obesity: a systematic review and meta-analysis.BMJ Nutrition, Prevention & Health. 2024 Apr 22;7(1):204-211.イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンからの研究で、住宅からの食料品店や飲食店の距離と肥満について調べたシステマティックレビューとメタアナリシスです。仮説では、近くにジャンクな店があるほど、肥満度は高くなるというものです。大学時代、マンションに餃子の王将の無料券が投函され、歩いて30秒くらいのところに店舗があったので、当時の血肉の80%以上は餃子の王将でできていました。思えば、あのころから緩やかに体重が増えていったのではないか…ブツブツ。いや、もちろん餃子の王将は悪くないです。1946~2022年1月までに刊行された論文を紐解き、合計103論文を対象として、スーパーマーケット、青果店、ファストフード店、レストラン、コンビニなどの距離と肥満度が調べられました。結果、マルチレベルモデル解析または空間的要因について検討していた35論文のうち26件において、高脂肪、高糖質、高塩分の食品を販売する店舗と肥満度に有意な関連が観察されました。横断的研究89論文のうち59件、縦断的研究14論文のうち7件において、ファストフード店やコンビニなどのような「健康的とはいえない」店舗と肥満の関連性が確認されました。しかし、メタアナリシスによると、ファストフード店はたしかに肥満度の上昇リスクと有意に関連していましたが(オッズ比[OR]:1.15、95%信頼区間[CI]:1.02~1.30、p=0.02)、コンビニについてはとくに関連は観察されませんでした。反面、青果店の密度の高さや、スーパーマーケットとの距離は、肥満度の低下と有意に関連していました(OR:0.93、95%CI:0.90~0.96、p<0.001)(OR:0.90、95%CI:0.82~0.98、p=0.02)。 とりあえず、近くに「健康的」な店舗があることが重要ですね。

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緩和ケアのポリドクター問題【非専門医のための緩和ケアTips】第81回

第81回 緩和ケアのポリドクター問題「ポリドクター」をご存じでしょうか? 「初めて聞いた」という方も多いかもしれません。患者さんが必要以上に多くの医師にかかってしまう状況を指した言葉で、一般的になってきた「ポリファーマシー(多剤併用問題)」とも密接な関係があります。患者さんと家族を支えるため、複数の医師が関わることはしばしばありますが、関係者が増えるが故の難しさもあります。今回の質問基幹病院の通院を続けながら、私のクリニックを外来受診する患者さん。オピオイドなどの薬剤調整や治療方針の確認のたびに、病院の主治医とのやりとりが発生します。主治医との連絡がつきにくいうえ、複数の診療科を受診しており、やりとりが煩雑です。自分の裁量でどこまでしてよいのか、悩むことも多いです。肺がん治療のために大学病院の呼吸器内科に定期通院しながら、併存疾患の糖尿病のために近隣のクリニックにも通院する……。皆さんもよく見る、ありふれた光景ではないでしょうか。1人の患者さんに複数の医師が関わることで、手厚い医療が受けられるメリットがある一方、「誰が主治医機能を提供するか」という問題が生じます。現実には、「どの医師も自分が主治医だと思っていなかった」という笑えないオチもあります。診療所でかかりつけ医として関わる立場であれば、基幹病院との連携でこうしたことは生じやすいでしょう。「連携」と簡単に言っても、その実務はとても手間がかかります。なかなか連絡が取れなかったり、確認事項が出るたびに診療情報提供書を作成したりするのも大変です。私は基幹病院と診療所勤務の両方の立場を経験しましたが、この状況は構造的な問題が生み出しているので、すぐに解決するのは難しいと感じます。とくに運営母体が別の医療機関で共通のシステム基盤がなく、電話やFAXなどで対応せざるを得ない場合、状況を大きく変えることは難しいでしょう。とはいえ、嘆いてばかりいても仕方ないので、実臨床家としてできることをやっていくしかありません。私の工夫は「定期的に診療情報提供書をやり取りする」「退院時共同指導などで直接あいさつする機会をつくる」ことです。基幹病院の医師は数年で入れ替わることが多く、すぐに効果が出るわけでもありませんが、こうした小さな積み重ねが重要だと考えています。医療が高度化し、高齢化する社会にあって、患者さんに必要な医療と生活を支える機能を単一の医療機関で提供することは難しくなっています。病診連携の難しさを述べてきましたが、地域で患者さんを支えるため、複数の医師で連携して診療に当たることは今後さらに重要になるでしょう。今回のTips今回のTips「ポリドクター」のデメリットを理解し、地域の医師と上手に連携しよう!

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適切な糖尿病情報にアクセスする方法(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者最近、血糖値が高くて合併症にならないかと心配で…。まずは治療を中断しないことが大切です。はい、それはわかっています。よろしくお願いしますね。現在、糖尿病の飲み薬は9種類ありますので、患者さんに合わせて薬の選択と調整は私の方でできますが、食事と運動療法がポイントですね。薬を飲んでいるだけではだめということですね。そうです。食事についてはいかがですか?栄養士さんに糖尿病の食事療法については話を聞いたのですが、なかなか…。なるほど。運動についてはいかがですか?運動については自己流でやっています。そうですか。そういった情報はどこから得ていますか?テレビやYou Tubeからですかね。なるほど。糖尿病のリスクを知り、対策を立てることは大切ですね。適切な情報にアクセスできるための、検索のキーワードがあります。そのキーワードを教えて頂けますか。画 いわみせいじポイント適切な糖尿病情報にアクセスし、患者に寄り添ったアドバイスをもらえる専門家を持つようにアドバイスします。Copyright© 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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顔の表面温度、脂肪肝や生活習慣病のスクリーニングに有用か

 体温とは、細胞機能と生物の生存に影響を与える、つまり健康状態を知るための重要なパラメータであり、老化と寿命にとっても重要な要素である。そこで今回、中国・北京大学のZhengqing Yu氏らは顔の皮膚温を捉えた熱画像(以下、サーマル画像)を用い、老化と代謝疾患の定量的特徴を明らかにすることで、サーマル画像が老化と代謝状態の迅速スクリーニングに有用な可能性を示唆した。Cell Metabolism誌2024年7月2日号掲載の報告。 研究者らは、2020~22年の期間に21〜88歳の成人2,811人(女性:1,339人、男性:1,472人)の顔のサーマル画像を収集し、赤外線サーモグラフィによる顔のメッシュ認識および領域分割アルゴリズムを用いたThermoFaceを開発、自動処理・分析にて生物学的年齢を測定するなどして、サーマル顔画像年齢による疾患予測モデルを生成し、AgeDiff(予測年齢と実年齢の差)と代謝パラメータや睡眠時間との関連を検証した。 主な結果は以下のとおり・各年代のThermoFaceパターンを調べた結果、男女ともに鼻、頬、眉毛ゾーンの皮膚温が加齢とともに低下していた。ただし、女性は50代から、男性は60代から低下がみられた。・また、皮膚温と代謝疾患との関連について、糖尿病や脂肪肝などの代謝疾患を有する人は健康な人に比べて目の周囲の皮膚温が高く、高血圧の人では頬の皮膚温が高かった。・ThermoFaceは、脂肪肝などの代謝疾患を高い精度(AUC>0.80)で予測し、予測された疾患確率は代謝パラメータと相関していた。・AgeDiffは、BMI、空腹時血糖値、アポリポ蛋白Bなどの代謝性疾患パラメータ、睡眠時間、血液検体のトランスクリプトーム解析によるDNA修復、脂肪分解、ATPaseなどの遺伝子発現経路との関連が高かった。・サーマル画像の皮膚温分布は老化や代謝状態を反映しており、迅速なスクリーニングへの有効性が示された。 研究者らは、「顔のサーマル画像分析が加齢や代謝疾患の迅速な評価に有用であることを示しており、ThermoFaceはデータ取得の速さと利便性、大規模コホートに基づく精度の高さから、健康的な加齢に関するモニタリングや評価ツールとして有用な可能性がある」としている。

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80歳以上も健康的なライフスタイルでさらなる長寿に

 これまでの研究で、生活習慣因子が寿命や死亡率と関連していることが多数報告されているが、そのほとんどは中高年層(60歳以上)を対象としており、80歳以上を対象とした研究はほとんどない。中国上海市・復旦大学のYaqi Li氏らによる、中国の80歳以上を対象とした、健康的なライフスタイルと100歳以上まで生きる可能性を検討した研究結果がJAMA Network Open誌2024年6月20日号に掲載された。 研究者らは、1998年に設立された80歳以上を対象とした全国的かつ最大規模のデータベース・中国縦断健康長寿調査(Chinese Longitudinal Healthy Longevity Survey:CLHLS)を用いて、地域ベースの前向き対照研究を実施した。データは2022年12月1日~2024年4月15日に解析された。 5つの生活習慣(喫煙、飲酒、運動、食事の多様性、BMI)に基づく総合的な健康的生活習慣スコア100(HLS-100)を作成し、スコア(0~6)と100歳以上となる可能性、健康転帰が良好である可能性との関連をみた。主要アウトカムは2018年(追跡終了時)までに100歳以上となる人の生存率であった。多変量ロジスティック回帰モデルを用いてオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定、社会人口統計学的因子(居住地、教育年数、配偶者の有無)および自己報告による慢性疾患の既往(高血圧、糖尿病、心血管疾患、がん)で調整した。 主な結果は以下のとおり。・計5,222例(女性61.7%、平均年齢94.3[SD 3.3]歳)が組み入れられ、その内訳は100歳以上1,454例と、対照群3,768例(年齢・性別・組み入れ年でマッチ、100歳になる前に死亡)であった。・追跡中央値5年(四分位範囲[IQR]:3~7)のあいだに100歳以上になったのは、HLS-100が最も低い群(0~2)では373/1,486例(25%)、最も高い群(5~6)では276/851例(32%)だった。・最高群と最低群を比較した調整オッズ比(aOR)は1.61(95%CI:1.32~1.96、p<0.001)であった。さらに自己報告による慢性疾患、身体的・認知的機能、精神的健康で評価される「比較的健康な状態の100歳以上」をアウトカムとした場合もHLS-100との関連が認められた(aOR:1.54、95%CI:1.05~2.26)。 著者らは「中国の高齢者を対象としたこの症例対照研究では、健康的な生活習慣を守ることは後期高齢者であっても重要であり、すべての高齢者において生活習慣を改善するための戦略的計画を構築することが、健康的な加齢と長寿を促進するうえで重要な役割を果たす可能性が示唆された」としている。

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TSH高値・FT4正常値の高齢者【日常診療アップグレード】第9回

TSH高値・FT4正常値の高齢者問題73歳女性。高血圧で通院中。最近6ヵ月で5kgの体重増加がある。ほかに症状はない。バイタルサインに異常を認めない。LDLコレステロール140mg/dL、甲状腺刺激ホルモン(TSH)9μIU/mL(基準値:0.61~4.23)、FT4 1.0ng/dL(基準値:0.75~1.45)であった。2ヵ月後にTSHを測定することにした。

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キエジ・ファーマ・ジャパン、希少疾患に注力 脂肪萎縮症治療薬メトレレプチンを承継

 2024年7月19日、キエジ・ファーマ・ジャパン株式会社は塩野義製薬株式会社からメトレレプチン(遺伝子組み換え)皮下注用製剤の製造販売承認承継の詳細と日本における今後の事業戦略などについて記者会見を開催した。 今回のセミナーでは、キエジグループ取締役 希少疾患事業部門長 ジャコモ・キエジ氏、キエジグループ希少疾患事業部 欧州および成長市場責任者 エンリコ・ピッチニーニ氏、キエジ・ファーマ・ジャパン 代表取締役社長 中村 良和氏らがそれぞれグループの歴史や事業戦略、日本法人のビジョンや事業戦略について説明を行った。キエジグループの歴史、研究開発について 初めにジャコモ・キエジ氏がグループの概要について発表した。 キエジグループは1935年にイタリアのパルマで設立された家族経営の企業であり、現在は80ヵ国以上で医薬品を製造・販売している。2023年には収益が30億ユーロを超え、7,000人の従業員、7つの研究開発センターを持つ企業へと成長した。 キエジグループでは研究開発に力を入れており、売り上げの約25%を研究開発に投資しているが、その目的は革新的な医薬品を開発することでよりグローバルな企業に成長することで、より多くの患者さんに新しい治療を届けることができると考えている。 注力している領域はいくつかあるが、とくに希少疾患に関しては4年前に新たに希少疾患部門を立ち上げ、買収、ライセンス契約などで10製品のラインナップがあり、パイプラインも豊富である。日本では今後キエジグループのパイプラインにあるすべての製品の上市が検討されている。 「私たちは患者さん中心の事業展開をしており、日本でもその姿勢を貫きたい」とキエジ氏は述べ、発表を終えた。希少疾患部門の戦略 続いて、エンリコ・ピッチニーニ氏から希少疾患部門の事業戦略についての発表があった。 希少疾患部門は2020年の立ち上げ以降、製品数を増やす、部門の人数は現在700人を超えている。 キエジグループの希少疾患部門が重点的に取り組んでいるのは先天代謝異常、内分泌代謝疾患、希少血液などの領域であり、ファブリー病や全身性脂肪萎縮症など10以上のパイプラインがある。 キエジグループのミッションは「患者さんに貢献すること」であり、世界中のさまざまな患者団体と連携し、協力関係を結ぶことで、患者さんのニーズを迅速に聞くことに注力している。日本でもこのアプローチを踏襲する予定だ。 今後の事業戦略としては、まず中核となる事業を構築し、戦略的に周辺領域へ着実に最大化すること、可能性を最大化することでサイクルを回し、成長していきたいと考えている。具体的には新たな顧客層を拡大するだけでなく、適応症の拡大や新たな地域への参入、診断支援による早期診断支援、新たなモダリティへの支援などさまざまな角度からの施策を考えている。 「私たちの製品を本当に必要としている人がいる場所に参入していきたい」と今後の展望についてピッチニーニ氏は締めくくった。キエジ・ファーマ・ジャパンの開発戦略について 最後にキエジ・ファーマ・ジャパンの代表取締役社長である中村 良和氏が日本でのビジョンなどについて発表した。 キエジ・ファーマ・ジャパンの特徴は“量より質、少数精鋭”である。少なくともメンバー全員が10年以上の希少疾患領域での経験を持っている。規模が小さい分、迅速に動けるため希少疾患に向いている。 また、今回承継するメトレレプチンの適応は脂肪萎縮症であり、発症は100万人に1人程度、国内患者数は約100人、平均寿命は30~40歳程度と極めて稀で重篤な疾患である。非常に発見が難しく、未診断の患者さんが多く存在する可能性があるため、痩せているインスリン抵抗性の糖尿病患者さんを見かけた場合は疑ってほしい、と中村氏は語った。 今後の日本における開発戦略と現状については、市場性などを考慮して戦略を考えている。今後開発を考えている疾患は、鎌状赤血球症(異常ヘモグロビン症)、サラセミア(地中海貧血)、α-マンノシドーシス、レーベル遺伝性視神経症、ファブリー病、表皮水疱症である。このうち、いくつかの疾患は患者数が10人程度の疾患もあるが、患者さんがいるのであれば発売したい、と中村氏は熱弁した。 とくに、表皮水疱症の治療薬については、塗り薬であることと、すでに米国、欧州で承認をされているため、ベースの治療薬になるのではないかと考えて戦略を策定中である、とのことであった。 「開発中の製品についてはすべて自社販売の方針であるが、少数精鋭のため学会などを含めて活動を行っていきたい」、と述べて中村氏は発表を終えた。 なお、メトレレプチンは2024年7月24日にキエジ・ファーマ・ジャパンが製造販売承認を承継し、メトレレプチン皮下注用11.25mg「キエジ」としてキエジ・ファーマ・ジャパンが販売および情報提供活動を行う。薬価収載は8月の予定。

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第221回 「青カビは取ればいい」が招いた人災ー紅麹サプリ事件

3月以来、紅麹問題で揺れた小林製薬。同社は7月23日に一連の事案に関して外部の弁護士3人に依頼した事実検証委員会の調査報告書を公表するとともに、引責の形で代表取締役会長の小林 一雅氏と代表取締役社長の小林 章浩氏が代表取締役を辞任することを発表した。新たな代表取締役社長には専務取締役の山根 聡氏が昇格する。報道では創業家以外から初の社長という文字が目立つが、章浩氏は代表権こそないものの取締役補償担当として役員には残留し、一雅氏については役員から外れるものの特別顧問という形となる。私自身はこれまでの企業取材の経験から、必ずしも同族経営をネガティブなものとは見ていないが、それでもなお今回の人事には「いかにも同族経営らしい決着」と思ってしまう。一方で公表された調査報告書を読んだ率直な感想は「過度な悪意はない危機感の欠如」の一言に尽きる。紅麹は機能性表示食品?それとも特定保健用食品?まず、今回の件で同社が行政への報告までに約2ヵ月を要した理由について、「因果関係が明確な場合に限ると解釈していた」と報道されている。この点については、とりわけ医療従事者の多くは疑問を感じただろうと思う。生鮮食品による食中毒ならいざ知らず、何らかの物質や食品の摂取を通じて起こる有害事象の因果関係の特定には一定の時間を要することが少なくないからである。それゆえに医薬品には「有害事象」と「副作用・副反応」の2つの用語がある。さて、厚生労働大臣の武見 敬三氏までが「自分勝手な解釈で極めて遺憾」と評したこの解釈はなぜ生まれたのか? それが今回公表された調査報告書に記載されている。まず、機能性表示食品では、消費者庁の届出等ガイドライン1)において「届出者は、評価の結果、届出食品による健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合は、消費者庁食品表示企画課へ速やかに報告する」と定めている。小林製薬側はこの規定を「健康被害の発生」と「健康被害の拡大のおそれ」の両方が満たされた場合に報告が必要になると解釈。ただし、どのような場合が「健康被害の発生」に該当するかが明確ではないと考えていたという。その結果、同社安全管理部が「特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領」2)で健康被害が生じ、行政報告が必要な場合として「当該食品に起因する危害のうち、死亡、重大な疾病等が発生するおそれがあることを示す知見を入手した場合」と規定されていることを援用し、さらに同規定の「起因する」の文言を「因果関係が明確である」と解釈。最終的に「因果関係が明確な場合に行政に報告する」との解釈を採用したという。何とも言い訳じみた…と思う人もいるかもしれないが、行政文書のわかりにくさを考えれば、このようなさまざまな文書の援用自体はありえなくはない。ただ、ここでは根本的な“ミス”が含まれている。そもそも援用した規定は特定保健用食品、いわゆるトクホのものであり、これにはヒトでの臨床試験が必要である。もっともその臨床試験の多くは数十例程度で行われ、臨床研究法の対象にもならず、この規模で起こり得る健康被害すべてが検出できるとは思わないが、臨床試験をやってもやらなくともよい機能性表示食品と比べればハードルは高く、審査も厳格である。報告書で気になったことこれ以外に報告書を読んでいて気になったことは、個人的に2点ある。1点目は医師から紅麹製品による健康被害が疑われる事例の報告を受けての初動である。1月15日に医師から紅麹製品を摂取していた患者が急性腎不全で入院し、透析治療中である旨の連絡を受けたのが第1例目。半月後の2月1日には別の病院の医師から同時に3例の報告を受けている。この間の半月については1例目を孤発症例と考えれば、無理もないかもしれない。しかし、同時3例の報告後、同社がこれら医師に面談連絡を取ったのは、第1例目の医師が2月8日、2番目の同時3例報告の医師には2月15日。結局面談が実現したのは、前者が2月29日、後者が2月22日だ。ちなみに両医師との面談日程候補期間は小林製薬側から月末を提示している。そして、これら医師に面談要請の連絡をするまでの間、同社では(1)シトリニン原因説、(2)モナコリンK原因説、(3)コンタミネーション原因説、の 3つの仮説が立てられ、分析を行う方針を決定していた。もちろん早急に原因を究明すべく仮説を立てたことには異論はないが、この仮説の絞り込みなども考えれば、より1日でも早く面談を実現すべきではなかったか? 繰り返しになるが、面談候補日を提示したのは小林製薬側である。青カビ発生は当たり前?そして最後に、これが報告書を読んで一番驚いたことだったが、検証委員会のヒアリングに対する大阪工場の現場担当者の証言だ。それによると、問題となった紅麹製品に用いられた原料ロットの製造時、乾燥工程で乾燥機が壊れて原料ロットの紅麹菌が一定時間乾燥されないまま放置されていたそう。加えて、紅麹培養タンクの蓋の内側に青カビが付着していたことを確認し、品質管理担当者に伝えたところ「青カビはある程度は混じることがある」旨を告げられたというのだ。ちなみに報告書ではこの証言について「本件問題の原因であるか否かは不明であるものの」と慎重な言い回しで記述している。この証言を読んで思い出したのが、個人的な話で恐縮だが、産婦人科医でもあった私の亡き父方の祖父とのエピソードだ。幼少期、正月に祖父宅を訪ねると、祖父はたいそう喜び、傍らの缶から切り餅を取り出し、祖母に私と祖父のために焼くように指示した。この時、5mmほどの青かびが3つほどついているのが目に入った。私が「おじいちゃん、それ…」と指さすと、祖父は座椅子のひじ掛けの下の物入れから小刀を取り出し、目の前でそれを削り取って、そのまま祖母に渡したのだ。明治生まれの極めてパターナリスティック(父権主義)な祖父に歯向かうことができず、結局、私はその餅を食べることになった。こうしたことは個人の範疇ならば、自己責任で済む。死者にムチ打つようで悪いが、この品質管理担当者は亡き祖父と同程度の認識で不特定多数の人が口にする紅麹製品を製造していたのか、とやや呆れてしまった。この問題はまだ原因究明中ではあるが、いずれにせよこの調査報告書は悪意のない危機意識が積み重なると、人の命までも奪いかねないという重大な教訓を伝えてくれていると言える。参考1)消費者庁:機能性表示食品の届出等に関するガイドライン2)消費者庁:特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領

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低血糖時に慌てないための方法(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者 先日、低血糖になって…医師 どんな感じだったんですか?(低血糖エピソードの経過について尋ねる)患者 変な汗が出てきて、スキャンしたら血糖が58でこれはヤバいと思って、近くにある菓子パンやジュースを飲んだんですけど…その後、高血糖になって、インスリンで修正したら、下がり過ぎて…。医師 なるほど。血糖値がジェットコースターみたいだったんですね。患者 そうなんです。また、低血糖になったら、どうしようかと心配で…。医師 それなら、「15-15ルール」を活用してみてください。低血糖になったら15g程度の炭水化物、ロールパン1個ぐらいですね。それをとってから、15分後に血糖を確認してみてください。もし、まだ低いようなら15gの炭水化物を追加してみてください。患者 なるほど。今まで、慌てて、とり過ぎていました。画 いわみせいじポイント低血糖後の高血糖を予防するために、「15-15ルール」について具体例をあげてわかりやすく説明します。Copyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)の基準値、30mg/gCr未満は適切?

 尿アルブミン/クレアチニン比(UACR、単位:mg/gCr)の基準値は30未満とされているが、基準値範囲内であっても、全死亡および心血管疾患リスクに影響を及ぼすことが示唆された。イスラエル・ヘブライ大学のDvora R. Sehtman-Shachar氏らの研究グループは、UACR 30未満の範囲で、全死亡および心血管疾患との関連を調査した研究を対象として、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、UACRが基準値範囲内であっても正常高値では、心血管疾患および全死亡のリスクが上昇した。本研究結果は、Diabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2024年7月17日号に掲載された。尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)が基準値でも正常高値で心血管死リスク上昇 PubMedおよびEmbaseを用いて、2024年4月12日までに登録された研究のうち、UACR 30未満の範囲でUACRと全死亡、心血管疾患との関連を調査した研究を検索した。その結果、22件の文献が抽出され、15件についてメタ解析を実施した。UACRを2つのカテゴリー(10未満vs.10以上30未満)または3つのカテゴリー(5未満vs.5以上10未満vs.10以上30未満)に分けて解析した。 UACR 30未満の基準値範囲でUACRと全死亡、心血管疾患との関連を調査した研究を解析した主な結果は以下のとおり。・UACR 10未満と比較して、10以上30未満では全死亡(ハザード比[HR]:1.41、95%信頼区間[CI]:1.15~1.74)および冠動脈疾患発症(同:1.56、1.23~1.98)のリスクが上昇した。・UACR 5未満と比較して、5以上10未満でも全死亡(HR:1.14、95%CI:1.05~1.24)および心血管死(同:1.50、1.14~1.99)のリスクが上昇した。10以上30未満では、心血管死のリスクが2倍以上に上昇した(同:2.12、1.61~2.80)。 本研究結果について、著者らは「UACR正常高値(10以上30未満)を心血管疾患リスクの高い集団として定義することを提案する。この集団に対する腎保護薬の効果を検証する研究が必要である」とまとめた。

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診療科別2024年上半期注目論文5選(糖尿病・代謝・内分泌内科編)

Post-trial monitoring of a randomised controlled trial of intensive glycaemic control in type 2 diabetes extended from 10 years to 24 years (UKPDS 91)Adler AI, et al. Lancet. 2024;404:145-155.<UKPDS 91>:早期からの血糖強化管理による糖尿病合併症低減効果は24年間持続する血糖の早期強化管理により合併症リスクが有意に低減し、その効果が長期にわたり持続する(メタボリックメモリー)ことを実証したUKPDSのさらなる延長報告です。まさに「鉄は熱いうちに打て」です。その効果はメトホルミンでもインスリン・SU薬でも認められました。Dapagliflozin in Myocardial Infarction without Diabetes or Heart FailureJames S, et al. NEJM Evid. 2024;3:EVIDoa2300286.<DAPA-MI>:急性心筋梗塞で入院した心不全・糖尿病のない患者において、ダパグリフロジンはプラセボと比較して総死亡・心不全入院のリスク低減効果に有意差なしSGLT2阻害薬は冠動脈疾患2次予防や心不全入院リスク低減の効果を有することが実証されていますが、それぞれのハイリスク者に限定した効果であることが示唆されました。同時期に、エンパグリフロジンでも同様の結果が報告されています(Butler J, et al. N Engl J Med. 2024;390:1455-1466)。Semaglutide in Patients with Obesity-Related Heart Failure and Type 2 Diabetes.Kosiborod MN, et al. N Engl J Med. 2024;390:1394-1407.<STEP-HFpEF DM>:2型糖尿病を有する肥満関連心不全(HFpEF)患者において、セマグルチドはプラセボと比較して有意に症状スコア(KCCQ-CSS)を改善体重減少が心不全症状改善の主因だと思われますが、 GLP-1受容体作動薬による血行動態改善作用も関与したことが想定されています。本研究では心不全入院や心不全急性増悪といった臨床的アウトカムを評価できるほどの検出力はありませんでした。非糖尿病患者においても同様の結果が報告されています(Kosiborod MN, et al. N Engl J Med. 2023;389:1069-1084)。Effects of Semaglutide on Chronic Kidney Disease in Patients with Type 2 Diabetes Perkovic V, et al. N Engl J Med. 2024;391:109-121.<FLOW>:2型糖尿病を有するCKD患者において、セマグルチドはプラセボと比較して有意にCKD進展を抑制GLP-1受容体作動薬には腎保護作用があることが期待されており、その機序として体重減少の他に、抗炎症・抗酸化ストレス・抗線維化作用が想定されています。本研究はCKD進展抑制を実証した点で臨床的意義が大きいでしょう。ただし、低リスク者での効果やSGLT2阻害薬等との併用効果を実証した質の高いエビデンスはまだありません。Effect of Fenofibrate on Progression of Diabetic RetinopathyPreiss D, et al. NEJM Evid. 2024:EVIDoa2400179.<LENS>:フェノフィブラートはプラセボと比較して早期糖尿病網膜症の進展を有意に抑制フェノフィブラートが中性脂肪低下作用とは独立して網膜保護効果を有することが示されました(本研究での中性脂肪中央値は138mg/dL)。本剤は腎機能低下者では投与禁忌である点や日本では網膜症への保険適用がない点に気をつけましょう。

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医師がAIでChatGPTのほかに利用しているのは/医師1,000人アンケート

 2022年11月の対話型AI「ChatGPT」の公開を皮切りに、さまざまな生成AIサービスがリリース&アップデートされ、活用が進んでいる。論文検索や翻訳、スライド作成など、医師の仕事にも活用の可能性が広がる中、CareNet.comでは会員医師1,026人を対象に、生成AIの現在の使用状況についてアンケートを実施した(2024年6月25日実施)。AIを「現在使用している」と回答した医師は約2割 AIの現在の使用状況について聞いた結果、「現在使用している」と回答したのは21%。AIの「使用経験はあるが、現在は使用していない」が22%、「過去、現在ともに使用していない」が57%であった。年代別にみると、AIを「現在使用している」と回答した医師の割合は20代・30代では28~29%だったのに対し、40代では19.8%、50代では15.2%と年代が高くなるごとに減少した。 診療科別にみると、AIを「現在使用している」と回答した医師の割合は救急科(50.0%)、総合診療科(36.4%)、神経内科・血液内科・リハビリテーション科(いずれも33.3%)で高かったのに対し、腎臓内科(3.2%)、耳鼻咽喉科(7.1%)、産婦人科(11.1%)などでは低い傾向がみられた。医師がAIを使用していない理由で最も多かったのは? AIを「現在使用していない」と回答した医師に対し、その理由を聞いたところ、「使いこなすのが難しそう/難しいと感じた」が44.5%と最も多く、「習得に時間がかかりそう/かかると感じた」が28.0%、「必要性を感じない」が25.2%と続いた。 「現在使用している」と回答した医師に対し、AIを実際どんな作業に活用しているかについて聞いたところ、「論文検索・データベース化」が45.8%と約半数を占め、「論文要約」(44.4%)、「翻訳」(36.0%)、「文章校正」(31.3%)、「抄録・論文の文案作成」(22.9%)と続き、その他の自由記述欄では「アイデア出し」や「シフト表作成」なども挙がった。 一方で「現在使用していない」と回答した医師にAIをどんな作業に活用したいかについて聞いた結果、「論文検索・データベース化」(11.9%)、「論文要約」(11.6%)、「翻訳」(10.8%)、「文章校正」(7.1%)と現在使用している医師と同様の傾向がみられたが、その次に多かったのは「スライド作成」(5.9%)であった。医師が実際に使用しているAIサービスは? 「現在使用している」と回答した医師に対し、実際使用しているAIサービスを聞いたところ、「ChatGPT」は87.4%とほとんどの医師が使用しており、「Microsoft Copilot」(18.2%)、「Claude」(12.1%)、「Gemini」(11.7%)、「Perplexity」(8.4%)と続いた。「LUMIERE」、「Runway」、「Midjourney」、「Stable diffusion」などの動画・画像生成系AIは医師の使用者が少なかった。 「現在使用していない」と回答した医師に使用したいAIサービスを聞いた結果、同じく「ChatGPT」が56.0%と最も多く、「Microsoft Copilot」(6.5%)、「Gemini」(5.0%)、「Claude」(4.6%)とおおよその傾向は現在使っている医師と同様であったが、「使ってみたいサービスはとくにない」との回答も37.8%みられた。AIの有料版は使用していない医師が6割、一方で月額1万円以上との回答も AIを「現在使用している」と回答した医師に対し有料版使用の有無を聞いたところ、64.2%が「有料版は使用していない」と回答した一方、月額3,000円未満を支払っていると回答したのは15.1%、3,000円以上5,000円未満が14.2%、5,000円以上1万円未満が4.7%、1万円以上が1.9%だった。 アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。「生成AI、いま実際どのくらい使っていますか?」 医師1,000人に聞きました

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チルゼパチドの体重減少作用は東アジア人においても認められた(解説:住谷哲氏)

 2型糖尿病を合併していない肥満患者におけるチルゼパチドの体重減少作用については、すでにSURMOUNT-1研究で報告されている1)。しかしその対象患者のほとんどは欧米人で、平均BMIも38.0kg/m2であり、そこまで肥満の強くない日本人を含む東アジア人でのチルゼパチドの有効性は明らかではなかった。一方、中国では2030年には人口の約70%、8億人が肥満または過体重になると予測されており、肥満患者の増加が重大な健康問題となっている(中国ではBMI 28kg/m2以上が肥満、24kg/m2以上が過体重と定義されている2))。そこで本研究では、東アジア人である中国人におけるチルゼパチドの体重減少作用が検討された。 本研究ではBMI 28kg/m2以上または24kg/m2以上で体重に関連する疾患(高血圧症、脂質異常症、心血管病など)を有する患者を対象として、チルゼパチド10mgまたは15mgの体重減少作用が検討された。平均BMIは32.3kg/m2であった。その結果は、15mg投与群において試験終了時の体重減少率は17.5%であり、85.8%の患者に5%以上の体重減少が認められた。有害事象についてもこれまでの報告と同じく、ほとんどが消化器症状であった。 予想どおりの結果ではあるが、東アジア人でも欧米人と同様の結果が得られたことには意義がある。現在わが国でチルゼパチドの適応は2型糖尿病患者のみであるが、米国では抗肥満薬「Zepbound」としてすでに使用されている。体重減少にはカロリー制限が王道であるが、現実にはそれだけでは5%の体重減少を達成できないことが多い。チルゼパチドが抗肥満薬としてわが国でも承認されることが期待される。

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便通異常症 慢性下痢(8)生薬と下痢【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q119

便通異常症 慢性下痢(8)生薬と下痢Q119『便通異常症診療ガイドライン2023 慢性下痢症』でも下痢と関連のある薬剤として取り上げられる漢方薬の生薬「山梔子(サンシシ)」。腸管膜静脈硬化症により、慢性下痢になる機序が説明されているが、発症までの期間、累積投与量の報告がある。最低何年間で発症しうるか?発症までの累積量は?

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尿検体の迅速検査【とことん極める!腎盂腎炎】第5回

尿検査でどこまで迫れる?【後編】Teaching point(1)尿定性検査の白血球陽性反応の細菌尿に対する感度は70〜80%程度であり、白血球反応陰性で尿路感染症を除外しない(2)硝酸塩を亜硝酸塩に変換できない(もしくは時間がかかる)微生物による尿路感染症もあり、亜硝酸塩陰性で尿路感染症を除外しない(3)尿pH>8の際にはウレアーゼ産生菌の関与を考える《今回の症例》70代女性が昨日からの悪寒戦慄を伴う発熱を主訴に救急外来を受診した。いままでも腎盂腎炎を繰り返している既往がある。また糖尿病のコントロールは不良である。腎盂腎炎を疑い尿定性検査を提出したが、白血球反応は陰性、亜硝酸塩も陰性であった。今回は腎盂腎炎ではないのだろうか…?はじめに尿検査はさまざまな要因による影響を受けるため解釈が難しく、尿検査のみで尿路感染症を診断することはできない。しかし尿検査の限界を知り、原理を深く理解すれば重要な情報を与えてくれる。そこで、あえて尿検査でどこまで診断に迫れるかにこだわってみる。前回、「尿検体の採取方法と検体の取り扱い」「細菌尿と膿尿の定義や原因」について紹介した。今回は引き続き、迅速に細菌尿を検知するための検査として有用な尿定性検査(試験紙)や尿沈渣、グラム染色などの詳細を述べる。1.白血球エステラーゼ(試験紙白血球反応)尿定性検査での白血球の検出は、好中球に存在するエステラーゼが特異基質(3-N-トルエンスルホニル-L-アラニロキシ-インドール)を分解し、生じたインドキシルがMMB(2-メトキシ-4-Nホルモリノ-ベンゼンジアゾニウム塩)とジアゾカップリング反応し、紫色を呈することを利用している。そのため顆粒球しか検出できず、リンパ球には反応しない。多少崩壊した好中球や腟分泌物で偽陽性となりうる。糖>3g/dL、タンパク>500mg/dL、高比重、酸性化物質の混入(ケトン尿)などで偽陰性となる1)。尿試験紙を保存している容器の蓋が開いた状態で2週間以上放置すると試薬が変色し、約半数で亜硝酸は偽陽性となる2)のため注意が必要である。日本で市販されている白血球反応は、(±):10〜25個/μL、(1+):25〜75個/μL、(2+):75〜250個/μL、(3+):500個/μLに相当する(尿沈渣鏡検での陽性と判定するWBC≧5/HPFは20個/μL相当)。2.亜硝酸塩尿定性検査の亜硝酸塩は、細菌の存在を間接的に評価する方法である。細菌が硝酸塩を還元し、亜硝酸塩とすることを利用して検出している。細菌の細胞質内に亜硝酸をつくる硝酸還元酵素もあるが、主にNap(periplasmic dissimilatory nitrate reductase)と呼ばれる酵素を有する細菌がperiplasmic space(細胞膜と細胞外膜の間)に亜硝酸塩を作った場合に検出できると考えられている3)。食品などから摂取した硝酸塩が尿中に存在すること、前述のような菌種が膀胱内に存在すること、尿路への貯留時間が4時間以上あることが必要である4)。腸内細菌目細菌やStaphylococcus属は硝酸塩を亜硝酸塩に還元でき、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)も還元できるが還元するのに時間がかかり、レンサ球菌や腸球菌は還元できない5)。硝酸塩を亜硝酸塩に変換できない微生物、pH<6.0、ウロビロノーゲン陽性、ビタミンC(アスコルビン酸)が存在する場合に偽陰性となる1)。血清ビリルビン値が高いときは、機序不明だが偽陽性が報告されている6)。3.尿pH意外に思われるかもしれないが、実は尿路感染症の診断において、尿定性検査での尿pHも有用である。尿pH<4.5もしくは>8.0の場合は生理的範囲では説明できない。尿路感染症の場合に酸性尿となることもあるが、臨床的意義が高いのはアルカリ尿のほうである。尿pH>8であれば、ウレアーゼ産生菌の関与を考える。細菌のもつウレアーゼが尿素を加水分解し、アンモニアが生成され尿pHが上昇する(図)7)。画像を拡大する代表的菌種はProteus mirabilis、Klebsiella pneumoniae、Morganella morganiiなど8)である。また、Corynebacterium属もウレアーゼを産生する。Escherichia coliはウレアーゼを産生することはなく、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、Enterococcus属も産生率は低い。尿路感染症での尿pHと培養結果を検討した研究では、pHが高いほどProteus mirabilisの頻度が高かったという報告もあり、実臨床でも起因菌の推定に有用である9)。また、尿pHが高いことは、リン酸マグネシウムアンモニウム結石(ストルバイトとも呼ばれる)ができやすいことにも関連する10)。グラム染色や尿沈渣でこれらを確認することで間接的に尿pHを予測することもできる。閉塞性尿路感染症+意識障害ではウレアーゼ産生菌による高アンモニア血症を鑑別する必要がある。4. 迅速検査の組み合わせから尿路感染症を診断するここまで各種検査の詳細について述べてきたが、いずれも単独で尿路感染症を診断できるものではない。しかしながら各種検査を正確に解釈し、組み合わせることで診断に迫ることができる。各種検査とその組み合わせによる診断特性についてまとめると表1~311-16)となる。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する白血球反応は膿尿検出の感度・特異度は比較的高いが、陽性であれば尿路感染症であるというわけではなく、また白血球反応が陰性で尿路感染症状がある患者では、尿沈渣や尿培養を検討する必要がある。亜硝酸塩は感度が低く、陰性でも尿路感染症を否定できないが、陽性なら尿路感染症を強く疑う根拠とはなる。逆に白血球エステラーゼと亜硝酸塩がともに陰性であれば尿路感染症の可能性を下げる。尿沈渣は簡便性に劣るが信頼性が高く、白血球数や細菌数によって尿路感染症の可能性を段階的に評価できる。尿グラム染色は迅速に施行することができ、得られる情報量も多く、診断特性が高い検査の1つである。とくに尿沈渣の検査を夜間・休日に施行できない施設では大きな武器となる。おわりに逆説的ではあるが、あくまで検査所見のみをもって尿路感染症を診断することができないことは繰り返し述べておく。検査を適切に解釈し、病歴・身体診察と組み合わせることでより正確な診断に迫れることは忘れないでほしい。本項が検査の解釈の一助となれば幸いである。《今回の症例の診断》昨日より頻尿を認めており、左CVA叩打痛も陽性であった。尿グラム染色ではレンサ状のグラム陽性球菌を認めた。尿定性での白血球反応陽性の感度が70%程度であること、腸球菌やレンサ球菌では亜硝酸塩は陰性になることを鑑みて、臨床所見とあわせて腎盂腎炎の疑いで入院加療とした。翌日、尿培養からB群溶連菌を認め、これに伴う腎盂腎炎と診断した。1)Simerville JA, et al. Am Fam Physician. 2005;71:1153-1162.2)Gallagher EJ et al. Am J Emerg Med. 1990;8:121-123.3)Morozkina EV, Zvyagilskaya RA. Biochemistry. 2007;72:1151-1160.4)Wilson ML, Gaido L. Clin Infect Dis. 2004;38:1150-1158.5)Sleigh JD. Br Med J. 1965;1:765-767.6)Watts S, et al. Am J Emerg Med. 2007;25:10-14.7)Burne RA, Chen YY. Microbes Infect. 2000;2:533-542.8)新井 豊ほか. 泌尿器科紀要 1989;35:277-281.9)Lai HC, et al. J Microbiol Immunol Infect. 2021;54:290-298.10)Daudon M, Frochot V. Clin Chem Lab Med. 2015;53:s1479-1487.11)Ramakrishnan K, Scheid DC. Am Fam Physician. 2005;71:933-942.12)Zaman Z, et al. J Clin Pathol. 1998;51:471-472.13)Williams GJ, et al. Lancet Infect Dis. 2010;10:240-250.14)Whiting P, et al. BMC Pediatr. 2005;5:4.15)Meister L, et al. Acad Emerg Med. 2013;20:631-645.16)Ducharme J, et al. CJEM. 2007;9:87-92.

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熱中症予防の味方となる補水液は自家製で(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者最近、HbA1cの値が高いようですね。何か、思い当たることはありませんか?そうですね…熱中症予防と思って、毎日、スポーツドリンクを飲むようになりました。もしかすると、汗をかくような運動をしていないときも?はい。エアコンをかけて、涼しい部屋でゴロゴロしているときも飲んでいます。なるほど。まずは、飲んでいるスポーツドリンクの糖質量を確認してみてください。多いものは500mLで糖分が30gを超えるものもあります。まずは、糖質量のチェックですね…メモメモ。スポーツドリンクには糖質だけでなくナトリウム、つまり塩分も含まれていますのでとり過ぎるとむくみます。毎日、体重を測定して頂いてとり過ぎていないかどうかを確認してみてください。画 いわみせいじ体重測定ですね…。あと、糖質が気になるようなら自分で経口補水液を作ることもできます。500mLのボトルに小さじ4分の1(1.5g)の適度な糖分、そして味付けにゆずなどお好きな果汁を加えてみてください。自家製・経口補水液で検索すると、いろいろなレシピが出てきますよ。はい。わかりました。(嬉しそうな顔)ポイント熱中症予防のためにと、スポーツドリンクを摂り過ぎない工夫や自家製でも経口補水液が作れることを伝えます。Copyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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