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〔CLEAR! ジャーナル四天王(10)〕 糖尿病患者の生命予後に関連する因子

糖尿病患者の死亡に関連するリスク因子を検討したTRIAD (Translating Research Into Action for Diabetes) study (McEwen LN et al. Diabetes Care. 2007; 30: 1736-1741.)では、総死亡と関連するリスクとして、高齢、低収入、長期の(9年以上)罹病期間、BMI26未満、性別(男性)、喫煙、腎疾患が統計学的に有意な因子として報告されている。本論文ではFramingham Offspring Study(FOS) など5つの長期コホート研究(観察期間:7~28年)についてpooled analysis を行い、40歳以上で糖尿病を発症した2,625人についてBMI 25未満を正常体重、BMI 25以上を過体重と分類して、全死亡、心血管死、非心血管死を主要アウトカムとしてその臨床背景を検討した成績である。“Obesity paradox…” 血圧、脂質、ウエスト周囲径、喫煙について補正を行った際の死亡に関するハザード比は、正常体重/過体重で総死亡は2.08(95%信頼区間:1.52-2.85)、非心血管死は2.32(95%信頼区間:1.55-3.48)と正常対照群で2倍以上となったが、心血管死については1.52(95%信頼区間:0.89-2.58)と統計学的な有意差は認めなかったと報告されている。 今回の検討では、BMI 25未満での糖尿病の発症が多いアジア系の人種を除いており、糖尿病を発症した時点で何らかの悪性疾患が潜んでいる可能性を除くため、糖尿病を発症後2年以上の経過を追跡できたものや、登録時点に比較してBMIが2kg/m2以上低下している症例も除外している。長期にわたるコホート研究が対象であるため、データ収集の間隔も2~5年とばらつきはあるが、末期腎不全や心血管疾患の患者では非肥満者よりも肥満者のほうが生命予後は良い(”obesity paradox”)という報告とも一致する内容である。 欧米人の非肥満患者における糖尿病の発症に関連している遺伝因子、脂肪組織の分布やアディポカイン、炎症反応、膵β細胞機能などがどのように関連し、生命予後とどう結び付くのか、また、運動量や運動能力(fitness)の関与はないのかなど、「肥満=悪」とは簡単につながらない「何か」を思わせるpooled analysisである。

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「痛み」の診療に関する緊急アンケート その4 ~非がん性痛に対するオピオイド使用実態【整形外科編】~

対象ケアネット会員の整形外科医師208名方法インターネット調査実施期間2012年8月16日~8月23日Q1.非がん性の痛みに対し、オピオイドを使用することはありますか?Q2. Q1 で「B.使用しない」とお答えになった先生にお伺いします。非がん性の痛みに対し、オピオイドを使わない理由を教えてください。(いくつでも)Q3.今後、非がん性の痛みに対し、オピオイドの使用を継続、または新たに使い始めるにあたって、必要な情報がありましたら、教えてください。(自由記入)【必要な情報(一部抜粋)】保険でけずられないか?/便秘、吐き気に対する予防薬投与の保険適応について、はっきりした返答がほしい。慢性疼痛症例にオピオイドを使用した場合に、離脱できるのか?/処方をやめるに際しての患者のうまい誘導の仕方。/依存症とやめ方に不安あり、既往先行品との違いを説明ほしい/休薬の具体例副作用への対応/副作用の防止方法を具体的に教えてください。/副作用情報/副作用の発生率/副作用軽減のための対策使い方/適応/どのような患者に処方したらよいのかが分からない。/どの程度の疼痛に対してオピオイドが適応になるのか 術後鎮痛についてガイドラインみたいなオピオイド使用のマニュアルがあれば知りたいです。信頼できるメーカーからの説明がほしい他のクスリが効かない場合【ご意見(一部抜粋)】長期に使用するのに問題がある副作用がなくなればテレビ新聞などでよくでてくればみなもなれて使えるようになる。年数が必要オピオイドの適応症例があれば、使用する予定である

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ケアネット白書~糖尿病編2012

株式会社ケアネットでは、このほど「ケアネット白書 糖尿病編(以下、糖尿病白書2012)」をまとめた。本調査は、2型糖尿病患者を1ヵ月に1人以上診察している医師を対象に、2012年3月にインターネット調査を実施し、その回答をまとめたものである。以下、(1)調査方法(2)患者背景(3)治療現状(4)糖尿病治療薬の選択と重要視する事項―などを中心に、「糖尿病白書2012」の概要を紹介する。CONTENTS1.調査目的と方法2.結果1)回答医師の背景2)2型糖尿病患者の背景3)2型糖尿病の治療4)薬剤の使用状況5)薬剤選択の際に重要視する項目6)新薬の情報源として役に立つもの

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ケアネット白書~糖尿病編2012

1.調査目的と方法本調査の目的は、糖尿病診療に対する臨床医の意識を調べ、その実態を把握するとともに、主に使用されている糖尿病治療薬を評価することである。2型糖尿病患者を1ヵ月に10人以上診察している全国の医師502人を対象に、(株)ケアネットのウェブサイトにて、アンケート調査への協力を依頼し、2012年3月19日~26日に回答を募った。2.結果1)回答医師の背景回答医師502人の主診療科は、一般内科が36.5%で最も多く、次いで糖尿病・代謝・内分泌科で35.9%、循環器科で12.4%である。それら医師の所属施設は、病院(20床以上)が72.7%、診療所(19床以下)が27.3%となっている。医師の年齢層は40-49歳が最も多く33.1%、次いで50-59歳以下が30.9%、39歳以下が30.1%と続く。40代から50代の医師が全体の6割以上を占めている(表1)。表1画像を拡大する2)2型糖尿病患者の背景1ヵ月に診察している2型糖尿病患者数最近(2012年3月基準)1ヵ月に、外来で診察している2型糖尿病患者は全体平均138.0人である。診療科別で見ると、糖尿病・代謝・内分泌科は平均266.8人、その他の診療科では平均65.9人であった。その2型糖尿病患者について、過去1~2ヵ月の血糖コントロールの指標であるHbA1c(NGSP:以下同)値をそれぞれ層別に分類して患者数を聞いている。HbA1c値別の2型糖尿病患者数HbA1c値については、糖尿病治療ガイド2012-2013(日本糖尿病学会編)に基づき、6.2%未満(血糖コントロール優)6.2%以上6.9%未満(血糖コントロール良)6.9%以上7.4%未満(血糖コントロール不十分)7.4%以上8.4%未満(血糖コントロール不良)8.4%以上(血糖コントロール不可)――の5つの階層に分けた。最近1ヵ月に診察している2型糖尿病患者(平均138.0人)のうち、HbA1c 6.9%未満と血糖コントロールが比較的良好なのは36.2%で、全体の63.8%は良好な血糖コントロールが得られていない状態である。その中でも血糖コントロールの指標で『不可』に相当するHbA1c 8.4%以上の患者が14.5%みられている(図1)。図1画像を拡大する3)2型糖尿病の治療管理目標値2型糖尿病治療におけるHbA1c値の管理目標値を患者の年代別に聞いたところ、患者が「若年者・中年者(65歳未満)」の場合には6.65%であったのに対し、「高齢者(65歳以上)」では7.05%であった。若年・中年者と比べて、高齢者の管理目標値はやや甘く設定されている実態が明らかになった。血糖コントロールの指標血糖コントロール指標として、HbA1c値に加えてとくに重要視する項目としては、「空腹時血糖値」「食後2時間血糖値」が多く、次いで「随時血糖値」「SMBGでの血糖変動」が続いた。診療科別では、糖尿病・代謝・内分泌科では「食後2時間血糖値」を重視する割合が最も高く、その他の診療科では「空腹時血糖値」を重視する割合のほうが高かった(図2)。図2画像を拡大する初期治療最近1ヵ月に診察している2型糖尿病患者(平均138.0人)のうち、約9%が食事・運動療法のみで治療を行っており、約90%は食事・運動療法に加え、何らかの薬物療法を行っている(図3)。図3画像を拡大する4)薬剤の使用状況2型糖尿病患者に対する薬剤の併用状況「食事・運動療法+薬物療法で治療している患者数」を100%としたとき、1剤のみを処方している患者は32.6%で、2剤併用が39.8%、3剤以上の併用が27.5%であった。薬物治療を行っている約2/3にあたる67.3%の患者では、何らかの薬剤を併用している(図4)。図4画像を拡大する2型糖尿病に対する糖尿病治療薬の使用状況について2型糖尿病に対する糖尿病治療薬をSU薬、速効型インスリン分泌促進薬、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)、ビグアナイド(BG)薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、インスリン製剤、その他――のカテゴリーに分けて、食事・運動療法に加えて薬物療法を実施する際の第一選択薬を聞いた(図5)。図5画像を拡大する使用が最も多いのはDPP-4阻害薬で、回答した医師全体の26.9%が第一選択薬として使っている(図5上)。次いで多いのがBG薬で、20.9%。以下、SU薬が18.4%、α-GIが15.0%、速効型インスリン分泌促進薬が5.7 %となっている。<糖尿病・代謝・内分泌科での第一選択薬>回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科の場合、最も選択の多いのがBG薬で33.4%であった(図5中央)。次いで多いのがDPP-4阻害薬で28.5%、SU薬13.0%、α-GIは8.1%であった。<その他の診療科(糖尿病・代謝・内分泌科以外)での第一選択薬>回答医師の属性がその他の診療科の場合、最も選択の多いのがDPP-4阻害薬で26.0%を占めている(図5下)。以下、SU薬が21.4%、α-GIが18.9%、BG薬が14.0%などとなっている。糖尿病・代謝・内分泌科(図5中央)と比べると、SU薬、α-GIの割合が増加し、その分、BG薬の割合が減少している。5)薬剤選択の際に重要視する項目なお、薬剤を選択する際に重要視する項目についても聞いている(複数回答)。最も多いのは「低血糖をきたしにくい」で、69.5%の医師が挙げている。以下、インスリン抵抗性改善(66.9%)、食後高血糖改善(66.3%)などが主なものである(図6左)。図6画像を拡大する<糖尿病・代謝・内分泌科での重要視項目>回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科の場合、薬剤選択で重要視する項目として最も多いのは「低血糖をきたしにくい」で、78.9%の医師が挙げている(図6中央)。以下、体重増加をきたしにくい(73.9%)、血糖降下作用(70.6%)などが主なものである。<その他の診療科(糖尿病・代謝・内分泌科以外)での重要視項目>回答医師の属性がその他の診療科の場合、薬剤選択で重要視する項目として最も多いのは「インスリン抵抗性を改善する」で、70.5%の医師が挙げている(図6右)。以下、食後高血糖を改善する(68.0%)、低血糖をきたしにくい(64.3%)などが主なものである。全体的な傾向をまとめると、専門医の方が「低血糖をきたしにくい」薬剤を最重要視し、「体重増加をきたしにくい」薬剤を重要視することが多く、非専門医の場合は「インスリン抵抗性を改善する」薬剤を重要視する傾向がある。とはいえ、診療科を問わず、「低血糖をきたしにくい」薬剤が重要視されていることが明らかとなった。6)新薬の情報源として役に立つものここ数年、糖尿病領域においては新薬の発売が続いている。そこで、糖尿病の新薬の情報を得る際に、役に立つと感じる情報源についても調査した(図7)。最も多いのは、製薬会社MRで66.9%、次いで製薬会社主催の講演会(65.3%)であった。以下、研究会(46.4%)、学会のセミナー(43.8%)、医療専門サイト(41.4%)と続いた。図7画像を拡大する

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「痛み」の診療に関する緊急アンケート その3 ~非がん性痛に対するオピオイド使用実態【内科編】~

対象ケアネット会員の内科医師503名方法インターネット調査実施期間2012年8月16日~8月23日Q1.下記に示すオピオイド製品のうち、非がん性(疼)痛に対する適応を持つと思うものをすべてお選びください。Q2.非がん性の痛みに対し、オピオイドを使用することはありますか?Q3.Q2 で「B.使用しない」とお答えになった先生にお伺いします。非がん性の痛みに対し、オピオイドを使わない理由を教えてください。(いくつでも)

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(8)〕 結果は正しいが・・・

無作為化試験のメタ解析で得られたエビデンスのレベルは最も高いとされるが、どの試験を解析対象とするかといった点に解析者の作為が入る余地があることからより注意深い批判的吟味(Critical Appraisal)が必要である。しかしCTT Collaborationは公平、中立な解析を行うグループであり、その点では安心してよい(高血圧領域ではBPLTTCが有名)。 CTT Collaborationは、2010年にもメタ解析を行っており(Cholesterol Treatment Trialists’ (CTT) Collaboration, et al. Lancet. 2010; 376: 1670-1681.)、スタチンでLDL-Cを1mmol/L低下させることによりMVEが22%減少し、その減少効果は、冠動脈疾患の既往、糖尿病、高血圧治療、年齢、性別、肥満、喫煙習慣、CKDといった患者背景の影響を受けないこと、また試験開始時のLDL-C値にも影響されないことを明確に示している。したがって今回のメタ解析の結果は予想された結果である。 MVEを減少させるベネフィットが有害性を上回る治療はすべて行うべきであろうか?スタチンの1日の単価を100円とする。5年間1,000人に使用すると100×365×5×1,000=1億8,250万円かかり、これでMVEの5年発症リスクが10%未満の低リスク群では11人の血管イベントを予防するのだから約1,660万円で1人の血管イベントを減らすことになる。高リスク群と低リスク群の相対リスク減少効果がほぼ同じということは、絶対リスク減少効果は高リスク群の方が大きいことになり高リスク群で1人の血管イベントを減らすために必要な費用は少なくて済む。無尽蔵に医療費を使ってよいのならこういった医療経済評価は不要かもしれないが、限られた費用で最大幸福を得るためにはスタチン服用の優先順位を決める必要があろう。実は、改訂された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」はこういった絶対リスクを考慮する姿勢を強く打ち出している。

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糖尿病発症時に正常体重の人、過体重・肥満の人に比べ死亡リスクが約2倍

 2型糖尿病発症時の体重が正常範囲(BMI 25未満)の人は、過体重や肥満の人に比べ、長期死亡リスクは約2倍に増大することが示された。米国・ノースウェスタン大学のMercedes R. Carnethon氏らが、5つのコホート試験を基に分析を行い明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月8日号で発表した。2型糖尿病発症時に正常体重の人は、いわゆる「隠れ肥満(metabolically obese normal-weight)」の代表と考えられている。しかしこれまで2型糖尿病発症時の体重と死亡との関連に関して、心不全や慢性腎臓病、高血圧などの慢性疾患でみられた「肥満パラドックス(obesity paradox:BMIが大きいほうが予後が良好)」が認められるかどうか、明らかでなかった。糖尿病発症の2,625人について、延べ2万7,125人・年追跡研究グループは、「Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)study」(1990~2006)、「Cardiovascular Health Study(CHS)」(1992~2008)、「Coronary Artery Risk Development in Young Adults(CARDIA)」(1987~2011)、「Framingham Offspring Study(FOS)」(1979~2007)、「Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA)」(2002~2011)の5つのコホート試験についてプール解析を行い、糖尿病患者の死亡と体重の関連を調べた。被験者のうち、40歳超で2型糖尿病を発症したのは2,625人で、追跡期間は延べ2万7,125人・年だった。被験者を、BMIが18.5~24.99を正常体重、BMIが25以上を過体重・肥満にそれぞれ分類し検討。主要アウトカムは、全死亡、心血管死、非心血管死だった。全死亡リスク2.08倍、心血管死1.52倍、非心血管死2.32倍2型糖尿病発症時に正常体重だった人の割合は、9%(ARIC)から21%(CHS)にわたった(全体では12%)。追跡期間中に死亡したのは449人で、そのうち原因が明らかだった人の中で心血管死は178人、非心血管死は253人だった。全死亡、心血管死、非心血管死の発症率は、いずれも、正常体重群が過体重・肥満群より高率だった。正常体重群の全死亡率は1万人・年当たり284.8、心血管死亡率は同99.8、非心血管死亡率は198.1だったのに対し、過体重・肥満群はそれぞれ、152.1、67.8、87.9だった。人口統計的特性や血圧、脂質値、喫煙などについて補正を行った後、過体重・肥満群に対する正常体重群の死亡に関するハザード比は、全死亡が2.08(95%信頼区間:1.52~2.85)、心血管死が1.52(同:0.89~2.58)、非心血管死が2.32(同:1.55~3.48)だった。著者は、今回の分析では、なぜ2型糖尿病発症時に正常体重の人の死亡率が高いのかは解明できなかったとしたうえで、先行研究で報告されている、2型糖尿病患者で正常体重の人と過体重・肥満の人との遺伝子プロファイルの違いに言及した。仮に、2型糖尿病患者で正常体重の遺伝子プロファイルが、糖尿病以外の疾患リスク増大を促すとすれば、そうした人の死亡率は遺伝的に高くなるのかもしれない、と考察している。そのため今後の研究では、そうした遺伝的素因による死亡率増大の可能性についても追究すべきだとした。そのうえで今回の結果は、米国民のうち、正常体重で2型糖尿病になりやすい、高齢者や非白人(アジア人、黒人など)といった人々にとって、重要な知見であるとまとめている。

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エキスパートに聞きました!「痛みの治療」に関する素朴なギモン Part1

CareNet.comでは8月の1ヵ月間を通し、痛み、特に神経障害性疼痛にフォーカスして様々な情報をお届けしてきました。そんな中で視聴者から寄せられた痛みの治療に関する質問に対し、小川 節郎 先生にご回答いただきます。神経障害性疼痛の鑑別診断は?一番重要なのは問診と簡単な神経学的検査です。たとえば、『1年前に帯状疱疹に罹患、原疾患は治癒したものの痛みが残っている』、『昨年脚を骨折、治癒したものの折った部位に痛みが残る』、などのケースでは炎症はすでになくなっているわけです。そのようなケースでは神経障害性疼痛の要素があると考えられます。また、『腰痛を有するが足の先まで痺れる』、『触ってみると痺れている部分の感覚が落ちている』など簡単な神経学的な所見が糸口になりえます。特に、触れただけで痛い、風があたっただけでも痛いなどアロディニア症状を呈する例では神経障害性疼痛の要素が強いといえます。神経障害性疼痛診療ガイドブック(南山堂)http://www.nanzando.com/books/30881.phpに掲載されている神経障害性疼痛の簡易調査票もご活用いただければと思います。肩手症候群、肩こり、頭痛、視床痛は神経障害性疼痛に含まれるのか?これらご質問の痛みにはすべて神経障害性の要素があるといえます。肩手症候群=神経障害性疼痛というわけではなく、肩手症候群の中に神経障害性疼痛の要素が含まれている患者さんがいるということです。頭痛も種類によっては神経障害性疼痛の要素が高いものがあります。頸性頭痛では頸椎から出る神経を傷害していることが多く、ビーンとした痛みを呈する場合などは神経障害性の要素が強いといえます。視床痛はほとんどが神経障害性疼痛といってよいでしょう。痺れと痛み、同じ認識で治療しても良いか?痺れ自体が十分解明されているとはいえないものの、神経繊維も違うようですし、最近は痺れと痛みは別のものであろうという認識になっています。もう少し時間が経過すると興味深い結果がでてくると思いますが、今のところは同じ認識で治療せざるを得ないというのが現状です。ペインクリニック専門医への紹介のタイミングは?オピオイド処方時は、「経口モルヒネ換算120mg/日でコントロールできないとき」というのも一つの目安だといえます。しかしながら、先生方ができる通常の治療経過で改善しない場合は、いつでも相談していただきたいです。慢性的に薬剤を出しているという状況は避けた方がよいでしょう。

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「痛み」の診療に関する緊急アンケート その2 ~「痛み」の評価、どうしてますか?~

対象ケアネット会員の内科医師244名方法インターネット調査実施期間2012年8月7日~8月13日Q1.痛みの強さに関して、客観的な指標を用いて評価していますか?Q2.帯状疱疹を発症し、皮膚科で抗ウィルス薬を処方されていた患者さん(60代、女性)が、発症後4日目で痛みを訴えて受診してきました。この患者さんの痛みに対し、どのような治療を行いますか?Q3.2011年7月に発刊された神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン(日本ペインクリニック学会神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン作成ワーキンググループ編集)をご存じですか?

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スタチンによるLDL-C低下療法、低リスク集団でも血管イベントを低減

 スタチンによるLDLコレステロール(LDL-C)低下療法は、血管イベントの低リスク集団においても主要血管イベント(MVE)の抑制効果を発揮することが、Cholesterol Treatment Trialists’(CTT)Collaboratorsによる検討で示された。スタチンはLDL-Cを低下させることで血管イベントを予防するが、血管イベントのリスクが低い集団における効果は、これまで明らかにされていなかった。血管疾患の既往歴のない集団は血管イベントの絶対リスクが低いものの、血管イベントの半数以上はこの集団で発生しているため、とくにスタチン治療の1次予防効果は解明すべき重要な課題とされる。Lancet誌2012年8月11日号(オンライン版2012年5月17日号)掲載の報告。低リスク集団におけるスタチンの効果をメタ解析で評価研究グループは、血管イベントの低リスク集団におけるスタチンの効果を評価するために、27件の無作為化試験のメタ解析を行った。27試験のうち、22件は標準用量のスタチンと対照を比較し[13万4,537例、ベースラインの平均LDL-C値:3.70mmol/L(≒143mg/dL)、1年後のLDL-C値の差:1.08mmol/L(≒41.8mg/dL)、追跡期間中央値:4.8年]、5件は強化スタチン療法と低強化スタチン療法の比較試験[3万9,612例、2.53mmol/L(≒97.8mg/dL)、0.51mmol/L(≒19.7mg/dL)、5.1年)であった。MVEは、主要冠動脈イベント(非致死的心筋梗塞、冠動脈死)、脳卒中、冠動脈血行再建術の施行とした。ベースラインにおける血管イベントの5年発生リスクで5つの群(<5%群、5~<10%群、10~<20%群、20~<30%群、≧30%群)に分け、LDL-C値1.0mmol/L(≒38.67mg/dL)低下当たりのMVE発生リスクの率比(RR)を算出した。<5%群と5~<10%群を低リスク群とした。ガイドラインの再考が必要スタチンのLDL-C低下効果により、年齢、性別、ベースラインのLDL-C値や血管疾患の既往歴にかかわらず、MVEのリスクが有意に低下した[LDL-C値1.0mmol/L低下当たりのMVE発生リスクのRR(以下、単にRRと表記):0.79、99%信頼区間(CI):0.77~0.81、p<0.0001]。スタチンによるMVEの低下効果は、低リスク群(RR:<5%群0.62、5~<10%群0.69)と高リスク群(同:10~<20%群0.79、20~<30%群0.81、≧30%群0.79)でほぼ同等だった(傾向性検定:p=0.04)。これは、主に低リスク群における主要冠動脈イベント(RR:<5%群0.57、p=0.0012、5~<10%群0.61、p<0.0001)および冠動脈血行再建術(同:<5%群0.52、p<0.0001、5~<10%群0.63、p<0.0001)のリスクの有意な低減を反映するものであった。10%未満の2つの低リスク群を合わせた集団における脳卒中の発生リスクのPRは0.76(p=0.0012)と良好だったが、10%以上の集団も同様に良好であったため差は認めなかった(傾向性検定:p=0.3)。血管疾患の既往歴のない集団では、スタチン治療によりMVE(RR:0.85、95%CI:0.77~0.95)および全死因死亡(RR:0.91、95%CI:0.85~0.97)のリスクが有意に低下した。スタチンによるLDL-C低下療法が、がんの発生率(RR:1.00、95%CI:0.96~1.04)やがん死亡率(RR:0.99、95%CI:0.93~1.06)、その他の非血管死亡率を増加させるとのエビデンスは認めなかった。著者は、「MVEの5年発生リスクが10%未満の低リスク群では、LDL-C値が1.0mmol/L低下するごとに、絶対値で5年間に1,000人当たり約11人の血管イベントを抑制することが示された。このベネフィットは、既知のスタチン治療の有害性を大きく上回るものである」と結論し、「現行のガイドラインでは、このような低リスク集団はスタチン治療の適応ではない。今回の知見は、ガイドラインの再考の必要性を示唆するもの」と指摘している。

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血漿HDL-C高値、心筋梗塞のリスクを低下させない可能性が

 血漿HDLコレステロール(HDL-C)値の上昇が、必ずしも心筋梗塞のリスクを低減しない可能性があることが、米国・ペンシルバニア大学のBenjamin F Voight氏らの検討で明らかとなった。血漿HDL-C高値は心筋梗塞のリスク低減と関連するとされるが、その因果関係は不明である。遺伝子型は、減数分裂時にランダムに決定され、非遺伝子的な交絡因子の影響を受けず、疾患過程の修飾も受けないことから、バイオマーカーと疾患の因果関係の検証にはメンデル無作為化(mendelian randomization)解析が有用だという。Lancet誌2012年8月11日号(オンライン版5月17日号)掲載の報告。因果関係を2つのメンデル無作為化解析で評価研究グループは、血漿HDL-C高値と心筋梗塞のリスク低下の因果関係を検証するために、2つのメンデル無作為化解析を実施した。まず、20試験(心筋梗塞2万913例、対照9万5,407例)のデータを用いて、内皮リパーゼ遺伝子(LIPG Asn396Ser)の一塩基多型(SNP)の評価を行った。次いで、心筋梗塞1万2,482例および対照4万1,331例のデータを使用し、HDL-Cと関連する14の頻度の高いSNPから成る遺伝子型スコアについて検討した。また、陽性対照(positive control)として、LDLコレステロール(LDL-C)に関連する13のSNPの遺伝子型スコアの評価も行った。遺伝子型スコアによるHDL-C値上昇はリスクと関連なしLIPG 396Ser対立遺伝子の保有率は2.6%であった。LIPG 396Ser対立遺伝子保有群は、非保有群に比べHDL-C値が0.14mmol/L(≒5.4mg/dL)有意に高かった[p=8×10(-13)]が、心筋梗塞リスクに関連するその他の脂質および非脂質因子は両群間に差を認めなかった。このHDL-C値の差により、LIPG 396Ser対立遺伝子保有群では心筋梗塞のリスクが13%低下すると予測された[オッズ比(OR):0.87、95%信頼区間(CI):0.84~0.91]。しかし、対立遺伝子保有群における心筋梗塞のリスク低下は有意ではなかった(OR:0.99、95%CI:0.88~1.11、p=0.85)。観察疫学試験では、HDL-C値の1 SDの上昇により心筋梗塞リスクが有意に低下した(OR:0.62、95%CI:0.58~0.66)。しかし、遺伝子型スコアに基づくHDL-C値の1 SDの上昇は心筋梗塞のリスクとは関連しなかった(OR:0.93、95%CI:0.68~1.26、p=0.63)。一方、観察疫学試験におけるLDL-C値の1 SDの上昇により心筋梗塞リスクが有意に上昇し(OR:1.54、95%CI:1.45~1.63)、遺伝子型スコアによるLDL-C値の1 SDの上昇も心筋梗塞リスクの有意な上昇と有意な関連を示した[OR:2.13、95%CI:1.69~2.69、p=2×10(-10)]。著者は、「血漿HDL-C値の上昇をもたらす遺伝子的メカニズムが、必ずしも心筋梗塞のリスクを低減しない可能性が示唆される」と結論し、「これらの知見は、血漿HDL-C値の上昇が一律に心筋梗塞のリスク低下をもたらすとのコンセプトに疑問を呈するもの」としている。

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特集 慢性疼痛 神経障害性疼痛 ペインクリニック学会レポート

2012年7月5日~7日、松江市のくにびきメッセにて、第46回日本ペインクリニック学会が「むすぶ」をメインテーマに開催された。この中から、プライマリ・ケアで遭遇するであろう“痛み”の演題を中心にレポートする。レポート帯状疱疹後関連痛(ZAP)のアンケート調査の結果から乳腺術後の遷延痛痛みの治療薬をどう選択するか 抗うつ薬痛みの治療薬をどう選択するか 抗てんかん薬「慢性の痛み」へのオピオイド適正使用を考える

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乳腺術後の遷延痛

慢性痛への早期介入の必要性東京慈恵会医科大学附属病院 麻酔科・ペインクリニック 小島圭子氏乳がんは、日本における女性のがんの1位であり、年間5万人が罹患し、現在も増加傾向にある。10年生存率はステージIで90%、ステージIIで80%程度と高く、治療や観察期間が長引く。さらに、手術の縮小化、入院期間の短縮、術後観察期間の長期化など乳がん治療を取り巻く状況は年々変化しており、それとともに慢性痛に関わる要素は増えている。こうした背景のもと、乳がんにおける術後慢性痛がとくに問題となっている。乳がん術後の慢性痛である乳房切除後疼痛症候群(Postmastectomy Pain Syndrome、以下PMPS)は、長期にわたり残存する。痛みの範囲は創よりも広く、痛みの部位は手術側の胸部皮下上腕、痛みの性質はひりひり、チリチリという訴えが多く、衣服がすれると増悪することが多い。また、痛み以外にも締め付けられる、肩に挟まっているなどの不快感を伴うことが多いのが特徴である。痛みの分類は神経障害性疼痛である。イギリスのMacdonald氏らの報告では、術後7~12年で22.4%、本邦のMatoba氏らの調査では、術後平均8.8年で21% 、Yamanouchi 氏らの調査では 術後3年で65%に発生したと報告されている。 腋下リンパ節郭清後では30~70%と高率に発生するとの報告もある。PMPSのリスクファクターとして、若年、肥満、独身、教育期間が短い、不安・うつ、拡大手術・腋下リンパ節郭清、術後の強い痛み、急性期の不十分な鎮痛・鎮痛薬の過少使用、術後合併症、がん治療などがある。手術については、拡大手術から縮小手術が主流となりリスクは減っているはずであるが、乳房温存術になっても痛みは減っていないという報告もみられる。また、腋下リンパ節郭清については、センチネルリンパ節生検が増加している。センチネルリンパ節生検と腋下リンパ節郭清後の痛みの発生率について前向き調査では、術後1年のPMPS発生率は、それぞれ46.8%、28.7%と、センチネルリンパ節生検の増加により痛みがかなり減っていることがわかる。加えて、手術後の合併症(リンパ浮腫、感染、出血など)を予防することが痛みの遷延防止にもつながっている。また、不安を緩和する心理療法の導入で急性痛が減ったと報告がある。術後の強い痛みは、鎮痛薬の過少使用もリスクファクターであり、術後の十分な鎮痛薬投与が推奨される。これらリスクファクターの改善にあたっては、中枢性感作を予防するためのプレガバリン、リドカイン投与による慢性痛の予防、二次障害予防のための早期リハビリなどを行う。いずれにしても、慢性痛に移行するリスクの高い患者への継続フォローを考えていくことが最も重要だといえる。ところで、前述のMatoba氏らの調査の中で、主治医に慢性痛を相談できないという患者が多くおり、主治医のキーパーソンとしての役割が大きいことが明らかになった。そこで、 日本乳癌学会の協力を得て、PMPSに対する意識と治療の現状調査を行った。対象は、日本乳癌学会専門医で、 647人から回答を得た(回収率34.7%)。その結果、PMPSの認識率は 70.5%と高かった。しかし、患者への対処はどうしていますか、という問いに対しては65%が経過観察と答え、治療を受けている割合が少ないことがわかった。治療薬をみると、PMPSでは効果が認められないと思われるNSAIDsが78.4%を占めた。さらに、現在の治療の効果に関しては約7割が不十分と答えていた。乳がんは増加しており、術後慢性痛はもはや一般的な問題である。慢性痛のリスクファクターが指摘されているが、術前、麻酔、術後急性期鎮痛、慢性期治療のいずれにおいても、 リスクファクターを改善できる余地があると思われる。一方、乳腺専門医に対する現状調査から、本邦においてもPMPSに対して治療が行われている割合が少なく、適切な治療が行われていないこと、治療が奏効していないことが明らかとなった。PMPSを減らすためには、周術期からリスクファクターを改善するためのさまざまなアプローチが必要である。慢性痛への早期介入の一環として、問題点を改善するためのさらなる研究が必要である。

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帯状疱疹後関連痛(ZAP)のアンケート調査の結果から

多角的痛み治療における薬物療法の現状と未来順天堂大学医学部麻酔科学・ペインクリニック講座 井関雅子氏ペインクリニックは痛みの総合医療であるが、帯状疱疹後関連痛(Zoster associated pain,以下ZAP)に関しては罹患期間の長短により選択される治療が変化する。また、侵害受容性疼痛から神経障害性疼痛への変化、それらの混在病態など、永年の臨床的疑問がある。そのような中、痛みの専門医が選択している治療法を再確認するため、ZAPについて帯状疱疹の九世紀から神経痛にいたるまで、アンケート調査を実施した。アンケートは、日本ペインクリニック学会専門医に対し、2012年3月から行われた。回答数は536名であった。アンケートでは、ZAPの診療患者数、罹患期間別の全般的な治療法、罹患期間別・VAS別の薬物選択、最後にZAPに対するオピオイド使用について聞いた。ZAPの年間実患者数10~50人未満が半数を占めていた。発症から受診までの経過期間をみると、発症3ヵ月未満の占める割合が40%以上であり、ペインクリニックの専門医が急性期からZAPに関わっているということがわかった。罹患期間別の治療法発症2週間未満および2週間~1ヵ月未満の治療法として最も頻度の高い治療は薬物療法、その次に神経ブロック療法であった。一方、それ以外に光線療法やイオントフォレーシスも一定の割合で選ばれている。発症1ヵ月~3ヵ月未満、発症3ヵ月以上では、薬物治療が最も多く、神経ブロック療法は急性期よりかなり低い状態になっている。さらに、3ヵ月以上では、認知療法が増えていることも特徴的である。罹患期間別・VAS別の薬物療法選択(1)発症2週間未満VAS=30では、第一選択薬にはNSAIDsが選ばれている、しかし、プレガバリンも2番目に出ている。VAS=60も同様の傾向であるが、VAS=90では、それに加え、次の選択薬としてオピオイド、抗うつ薬が出てくる。(2)発症2週間~1ヵ月未満VAS=30では、やはりNSAIDsとプレガバリンが上位であるが、第二選択薬・第三選択薬には抗うつ薬、ノイロトロピンといったような薬剤が入っていきている。VAS=60 およびVAS=90でも同様であるが、抗うつ薬に加え、オピオイドが第二選択薬・第三選択薬に入ってくる。(3)発症1ヵ月~3ヵ月未満VAS=30では、プレガバリンが第一選択薬に、次に抗うつ薬が出ている。(4)発症3ヵ月以上VAS=30では、上記と結果は大きくは変わらず、プレガバリン、抗うつ薬が主体である。VAS=60およびVAS=90でもやはりプレガバリンが、最も多いが、さまざまな剤形のオピオイドや、抗うつ薬、SNRI等も選ぶ傾向がある。NSAIDsの割合は非常に少なくなっているものの一定割合の選択はある。ZAPに対するオピオイド使用使用時期については、発症初期の強い痛みに使用するとの回答が52.8%と約半数を占める。年齢制限をみてみると、高齢者には使わないという回答と、若年者には使わないという回答の2つに分かれる傾向があり、興味深いところである。さらに、弱オピオイドのみ使用とする回答が34.9%、強オピオイドも使用するという回答が34.0%あった。アンケート結果から、ペインクリニシャンは種々の治療法を組み合わせてZAPの治療を行っていることが分かった。また、ZAPの薬物療法については、この調査結果をもとに今後検討をする必要があると思われる。

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痛みの治療薬をどう選択するか 「抗うつ薬」

「抗うつ薬の鎮痛薬としての使用法とその具体例」独協医科大学医学部 麻酔科学講座 濱口眞輔氏2009年以降に発売された抗うつ薬、ミルタザピン、デュロキセチン、エスシタロプラムを中心に、その使用経験を含め解説する。まずミルタザピンであるが、この薬剤はNaSSA(Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant)とよばれ、構造的には四環系抗うつ薬に近い。2006年の海外の報告では、頭痛、腰背部痛、腹筋・筋膜性等の痛み、三叉神経痛、CRPS等594人の慢性痛患者に対しミルタザピン投与を投与した結果、80%の患者で無痛または中等度以上の改善を示している。用量設定は、15mg錠の1規格のみで、最大用量は3錠と増量もシンプルに行える。ただし、実際の使用にあたっては眠気を経験されている臨床医もおられると思う。また、体重増加についても報告があり、糖尿病患者などには注意が必要である。デュロキセチンは、日本ペインクリニック学会の神経障害性疼痛薬物療法アルゴリズムにも入っている。さらに最近では、糖尿病性神経障害痛に対する効能・効果の追加が承認された。デュロキセチンは、既存のSNRIよりノルアドレナリンの再取り込み阻害作用が強く、ドーパミン系の再取り込み作用が少ないといわれている。また、各神経伝達物質と受容体に対しての親和性が低く、抗コリン作用が少ない、α1遮断作用など副作用を抑えた抗うつ薬ともいわれるようである。離脱症候群は比較的軽度であるといわれ、これも安全に使うためには有利な点であると考えられる。デュロキセチンの実際の使用法であるが、用量設定20mgのカプセルのみで、3カプセルが最大である。日本のII相・III相試験では朝食後だったが、実際には少し眠気がでるため夕食後がよいという患者もいるようである。最後に、最近承認された薬剤でエスシタロプラムがある。SSRIの中で最も選択的な5-HT再取り込み阻害作用を有するといわれる。H1受容体に介した傾眠や沈静が発現する可能性は有しているが、これまで眠気が問題となり中止した症例は経験していない。論文では、抑うつをもっている患者の痛み強度を、最大用量でコントロール群に比して有意に減少させたという報告もある。また、痛みの減少は抑うつ状態のスコア変化で補正しても認められ、エスシタロプラム鎮痛効果は抗うつ作用とは独立していると報告している。実際の使用法であるが、用量設定は10mg錠のみで、最大用量は20mgとシンプルである。抗うつ薬の鎮痛機序として、最近は下降性痛覚抑制系以外の可能性も示唆されており、今後の研究が進められていくことと思う。とはいえ、新しい抗うつ薬は薬剤費が高い。患者の医療費負担と症状の改善、双方を考慮した有効な薬剤選択が必要だと考えている。

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痛みの治療薬をどう選択するか 「抗てんかん薬」

「抗てんかん薬の使い方」広島大学病院 手術部 大下恭子氏鎮痛薬としての抗てんかん薬の歴史は、1960年代のジフェニルヒダントイン、カルバマゼピンの三叉神経痛に対する報告から始まっている。その後、コントロールスタディや動物実験の疼痛モデルにおいて、鎮痛効果が次々と報告されるようになった。 1998年にRCTで帯状疱疹後神経痛に対するガバペンチンの有効性が報告され、米国でもガバペンチンの帯状疱疹後神 経痛への適応が承認され、国際疼痛学会でのアルゴリズムでも第一選択薬として発表されるに至っている。本邦の日本ペインクリニック学会の薬物治療アルゴリズムにおいても、Caチャネルα2σリガンドであるプレガバリンとガバペンチンが第一選択薬となっており、ほかの抗てんかん薬も、第一選択、第二選択、第三選択で効果が出ない場合に考慮してもよいオプションとして、その他に分類されている。それらガイドラインのアルゴリズムのもとになったのは、多くのRCTとNNTの指標であるが、ガバペンチン、プレガバリンはオピオイドや三環系抗うつ薬と並んでNNTが低く、有効性の高い薬物として分類されている。しかしながら、そのガイドラインにも問題点が指摘されている。RCTの対象疾患が限られた疾患であること、2剤の効果の直接的比較研究が少ないこと、長期予後を評価したものが少ないこと、臨床を反映したコンビネーション処方による研究が少ないことである。今回、当施設麻酔科外来において、抗てんかん薬のうちプレバカリンとクロナゼパムについて3年間の処方状況調査を行った。痛みの種類を持続痛・発作痛・誘発痛の3つに分け、投薬開始直前と投薬後の2点で患者に聴取しNRSで評価、同時に痛みの性状についても別の評価を行った。まず処方状況であるが、プレガバリン処方開始前はクロナゼパムが多かったが、プレガバリン処方開始後は、プレガバリンの処方件数が伸びている。プレガバリン処方患者数は、2012年3月までで114名。そのうち73名でプレガバリン開始後に痛みの改善を自覚している。投薬疾患は、帯状疱疹後神経痛、帯状疱疹の急性期の痛み、各種の神経障害を呈する疾患が多い。プレガバリン処方全症例でのNRSの変化をみると、持続痛・発作痛・誘発痛、いずれも開始後に有意差をもって低下している。他剤との併用も含め64%の症例で鎮痛効果を認めた。プレガバリンとの併用薬は、ほかの抗てんかん薬が26%、抗うつ薬が37%、オピオイドが31%であった。痛みの性状別でみると、ほとんどの痛みの性状で軽減を示しているが、しびれるような痛みを訴える患者では有効率が低く出ている。クロナゼパムについては、他剤との併用例を含め48%、約半数の症例で鎮痛効果を認めた。クロナゼパム処方症例全体ではNRSは減少傾向にあるものの、有意な変化はみられなかった。ただし、有効症例に限って変化をみると、持続痛、発作痛、誘発痛いずれも有意にNRSの低下をみている。痛みの性状と治療効果を検討すると、灼けるような痛み、電気が走るなどの発作性痛みや誘発痛に対して高い有効性を示していた。ただ、プレガバリンと同様にしびれるような痛みに関しては有効症例が少なかった。副作用はプレガバリン、クロナゼバムともに眠気やふらつきの副作用が他剤と比較して高い頻度で出ていた。副作用による中止症例はプレガバリンで6例、クロナゼバムで2例だった。抗てんかん薬とひとくくりにいっても、さまざまな作用機序がある。今後、作用機序の異なる薬物の併用が有効である可能性が考えられる。

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「慢性の痛み」へのオピオイド適正使用を考える

非がん性慢性疼痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン東京大学医学部附属病院 麻酔科・痛みセンター 住谷昌彦氏非がん性疼痛におけるオピオイド鎮痛薬の位置づけ2010年、国際疼痛学会(IASP)は「疼痛治療を受けることは基本的人権である」とするモントリオール宣言を採択している。その中でもオピオイド鎮痛薬は多くの痛みの病態に対する有効性が確立した薬剤であり、非がん性疼痛患者のQOLを大きく改善することにつながるため、その役割は非常に重要である。がん性疼痛と非がん性疼痛の治療戦略は異なる。がん終末期の侵害受容性疼痛、いわゆるがんの内臓痛に対しては、WHOが3段階除痛ラダーを提案している。第一段階は NSAIDsやアセトアミノフェンなど、中等度の痛みには第二段階の弱オピオイド、非常に強い痛みには第三段階の強オピオイド、というものである。この場合、オピオイド鎮痛薬については用量上限を決めず必要量を投与すること、疼痛が増強した場合は速放剤を投入すること、必要があれば静脈投与も実施することとなっている。だが、これはあくまでも終末期のがん性疼痛に対するストラテジーであり、非がん性の慢性疼痛に対する治療は大きく異なる。非がん性疼痛でのオピオイド鎮痛薬の使用については、用量上限を設け、頓用は行わないなどの原則がある。非がん性慢性痛に対し、WHO3段階除痛ラダーを適用するケースを見受けることがあるが、適切な治療戦略にしたがったオピオイド治療を行う必要がある。非がん性疼痛における侵害受容性疼痛変形性股関節症や変形性の膝関節症など非がん性の侵害受容性疼痛に対し、オピオイド鎮痛薬の使用はもっとも高いエビデンスレベルで認められている。日本ペインクリニック学会でもオピオイド使用が必要な患者に対して積極的に使うべきであると推奨している。今回発表された「非がん性慢性疼痛に対するオピオイド処方ガイドライン」では、オピオイド鎮痛薬の上限用量は経口モルヒネ換算120mg/日以下とし、徐放剤を推奨している。一方、オピオイドの頓用、静脈投与は原則行わない事としている。これには、頓用や静脈投与によるオピオイド鎮痛薬の血中濃度が不安定な状態の繰り返しが招く依存性や耐性形成を防止するという理由がある。非がん性疼痛における神経障害性疼痛非がん性疼痛の中でも神経障害性疼痛は治療抵抗性である事が多い。2011年、日本 ペインクリニック学会が発行した「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン」では、第一選択薬として三環系抗うつ薬、Caチャネルα2δリガンドであるプレカバリンやガバペンチン 、第二選択薬として、SNRI抗うつ薬デュロセキチン、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含(ノイロトロピン)、抗不整脈薬メキシレチン、第三選択薬として、麻薬性オピオイド鎮痛薬が推奨されている。このオピオイド鎮痛薬については、非がん性疼痛としての添付文書の適応を遵守したうえで、前出の「非がん性慢性疼痛に対するオピオイド処方ガイドライン」に基づき、徐放剤を推奨する、疼痛増強時の頓用および静脈投与もしないなどの原則があてはめられる。非がん性疼痛における中枢機能障害性疼痛中枢機能障害性疼痛は、central dysfunctional painといわれ、疼痛の下行性抑制系の機能減弱が原因とも考えられているが、その本態は十分解明されていない。実臨床では、治癒後も痛みが残る外傷や手術後の遷延性疼痛、線維筋痛症や慢性の腰背部痛などがこれにあたる。中枢機能性疼痛に対するオピオイド使用の是非については国際的にも統一見解はない。この疾患概念に対しては、他の代替療法が無効の場合に限り、オピオイドの使用を検討し、用量は最小用量にとどめるべきとされている。また、このようなケースでは、心理・情動的影響や精神疾患に対する評価が重要だといわれており、オピオイド鎮痛薬使用時には、より入念なフォローアップが必要である。がん終末期の神経障害性疼痛一方、がんの終末期の神経障害性疼痛、たとえば脊髄に浸潤しているような場合、麻薬性鎮痛薬を第一選択薬として使用することは妥当だと考えられる。国際疼痛学会のレコメンデーションにも、 オピオイドは神経障害性疼痛に対しても有用で、その効果の発現が早さから積極的に痛みが強い場合や終末期の場合には使っていくとある。終末期の場合、オピオイド鎮痛薬は上限を決めず必要量を投与し、疼痛増強時の速放剤頓用、必要時には静脈投与も実施するといったがん性疼痛の治療原則が支持されるが、がんの治療中あるは生命予後が十分にある場合には、痛みが非常に強くても、モルヒネ120mgの上限、徐放剤推奨など非がん性疼痛の治療原則は遵守されるべきである。今回のガイドラインのキーメッセージ今回の非がん性疼痛に対するオピオイド処方ガイドラインのキーメッセージは、(1)オピオイドを用いて患者の生活を改善すること、(2)オピオイドの乱用・依存から患者を守ること、(3)オピオイドに関する社会の秩序を守ること、である。そのためには、慢性疼痛、オピオイド、薬物依存に関する知識と経験を有する医師の育成、そして、痛みの原因理解、薬の管理、疼痛の緩和目標理解という患者側の啓発が重要である。このような資質を持つ医師と患者の信頼関係の上に、適切なオピオイド使用が成り立つ。非がん性疼痛におけるオピオイド使用はすでに特殊なこととはいえない。オピオイドを適切に用い、患者の利益につなげていくべきであると考える。

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寄稿 線維筋痛症の基本

廿日市記念病院リハビリテーション科戸田克広痛みは原因の観点から神経障害性疼痛(神経障害痛)と侵害受容性疼痛(侵害受容痛)およびその合併に分類され、世界標準の医学では心因性疼痛単独は存在しないという考えが主流である。通常、日本医学ではこれに心因性疼痛が加わる。線維筋痛症(Fibromyalgia、以下FM)およびその不全型は日本医学の心因性疼痛の大部分を占めるが、世界標準の医学では神経障害痛の中の中枢性神経障害痛に含まれる。医学的に説明のつかない症状や痛みを世界の慢性痛やリウマチの業界はFMやその不全型と診断、治療し、精神科の業界は身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)と診断、治療している。FMの原因は不明であるが、脳の機能障害が原因という説が定説になっている。器質的な異常があるのかもしれないが、現時点の医学レベルでは明確な器質的異常は判明していない。脳の機能障害が原因で生じる中枢性過敏症候群という疾患群があり、うつ病、不安障害、慢性疲労症候群、FM、むずむず脚症候群、緊張型頭痛などがそれに含まれる。先進国においてはFMの有病率は約2%であるが、その不全型を含めると少なくとも20%の有病率になる。FMおよび不全型の診断基準は「「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! - まず知ろう診療のポイント -」に記載されている1)。医学的に説明のつかない痛みを訴える場合には、FMあるいはその不全型を疑うことが望ましい。FMもその不全型も治療は同一であるため、これらを区別する意義は臨床的にはほとんどない。薬物治療のみならず、禁煙、有酸素運動、患者教育、認知行動療法などが有効である。ただし、認知行動療法は具体的に何をすればよいかわからない部分が多く、それを行うことができる人間が少ないため、実施している施設は少ない。人工甘味料アスパルテームによりFMを発症した症例が報告されたため、その摂取中止が望ましい1)。当初は必ず一つの薬のみを上限量まで漸増し、有効か無効かを判定する必要がある。副作用のために増量不能となった場合や、満足できる鎮痛効果が得られた場合には、上限量を使用する必要はない。つまり、上限量を使用せずして無効と判断することや、不十分な鎮痛効果にもかかわらず上限量を使用しないことは適切ではない(副作用のために増量不能の場合を除く)。一つの薬の最適量が決まれば、患者さんが満足できる鎮痛効果が得られない限り、同様の方法により次の薬を追加する。これは国際疼痛学会が神経障害痛に一般論として推奨している薬物治療の方法である。2、3種類の薬を同時に投与することは望ましくない。どの薬が有効か不明になり、同じ薬を漫然と投与することになりやすいからである。世界標準のFMでは有効性の証拠の強い順に薬物を使用することが推奨されているが、その方法は臨床的にはあまり有用ではない。投薬の優先順位を決定する際には有効性の証拠の強さのみならず、実際に使用した経験も考慮する必要がある。さらに論文上の副作用、実際に経験した副作用、薬価も考慮する必要がある。FMは治癒することが少ない上に、FMにより死亡することも少ないため、30年以上の内服が必要になることがしばしばあるからである。FMの薬物治療においては適用外処方は不可避であるが、保険請求上の病名も考慮する必要がある。さらに、日本独特の風習である添付文書上の自動車運転禁止の問題も考慮する必要がある。抗痙攣薬、抗不安薬、睡眠薬、ほとんどの抗うつ薬を内服中には添付文書上自動車の運転は禁止されているが、それを遵守すると、少なくない患者さんの生活が破綻するばかりではなく、日本経済そのものが破綻する。以上の要因を総合して、薬物治療の優先順位を決めている1)。これにより医師の経験量によらず、ほぼ一定の治療効果を得ることができる。ただし、それには明確なエビデンスはないため、各医師が適宜変更していただきたい。副作用が少ないことを優先する場合や自動車の運転が必須の患者さんの場合には、眠気などの副作用が少ない薬を優先投与する必要がある。すなわち、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン) 、メコバラミンと葉酸の併用、イコサペント酸エチル、ラフチジン、デキストロメトルファンを優先使用している。痛みが強い場合には、有効性の証拠が強い薬、すなわちアミトリプチリン、プレガバリン、ミルナシプラン、デュロキセチンを優先使用している。抗不安薬は常用量依存を引き起こしやすいため、鎮痛目的や睡眠目的には使用せず、パニック発作の抑制目的にのみ使用し、かつ3ヵ月以内に中止すべきである。FMにアルプラゾラムが有効と抄録に書かれた論文2)があるが、本文中では有効性に関して偽薬と差がないという記載があるため、注意が必要である。ステロイドはFMには有害無益であり、ステロイドが有効な疾患が合併しない限り使用してはならない。昨年、日本の診療ガイドラインが報告された。筋緊張亢進型、腱付着部炎型、うつ型、およびその合併に分類する方法および各タイプ別に優先使用する薬は世界標準のFMとは異なっており、私が個人的に決めた優先順位と同様に明確なエビデンスに基づいていない。たとえば、腱付着部炎型にサラゾスルファピリジンやプレドニンが有効と記載されているが、それはFMに有効なのではなく、腱付着部炎を引き起こすFMとは異なる疾患に有効なのである。糖尿病型FMにインシュリンが有効という理論と同様である。薬を何種類併用してよいかという問題があるが、誰も正解を知らない。私は睡眠薬を除いて原則的に6種類まで併用している。1年以上投薬すると、中止しても痛みが悪化しないことがある。そのため、1年以上使用している薬は中止して、その効果が持続しているかどうかを確かめることが望ましい。引用文献1) CareNetホームページ カンファレンス Q&A:戸田克広先生「「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! - まず知ろう診療のポイント-」2)Russell IJ et al: Treatment of primary fibrositis/fibromyalgia syndrome with ibuprofen and alprazolam. A double-blind, placebo-controlled study. Arthritis Rheum. 1991;34:552-560.

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(2)〕 運動不足解消の微妙な効果

運動不足の解消が0.68年寿命を延ばす。確かにそうかもしれない。日本人の摂取エネルギーは減少傾向にあり、正すべきは食事より運動不足の解消である、それは日本人にとってもあてはまるだろう。しかしちょっと待て、と思う。 40歳の人が毎日1時間運動して、16年間続けると約0.68年を運動に費やすことになる。さらに運動を24年間続けると、運動に費やす期間の合計は1年となってしまい、寿命の延びを相殺してしまうかもしれない。その1時間の運動の時間を、もっと自分の好きなことに使えば、0.32年長生きしたのと同じかもしれない。 1時間の運動を16年間続けて寿命が0.68年延びるのと、その1時間をのんびりソファで本でも読んで暮らすのと、どちらがいいかはほとんど好みの問題だ。寿命が延びるというコトバはわかりやすく魅力的だが、寿命を延ばすためにかける労力とのバランスで考えると、意外にその効果は大したことないのかもしれない。

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