医師の肥満患者に対する外来医療の質、対非肥満患者に劣らず

提供元:ケアネット

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公開日:2010/04/20

 



医師の肥満患者に対する外来医療サービスの質は、非肥満患者に対するものと比べて劣らない、との米国で行われた調査結果が、JAMA誌2010年4月7日号で報告されている。これまでの研究結果では、医師は、肥満患者に対して否定的な態度で接するとの報告がされていた。米国ペンシルベニア大学のVirginia W. Chang氏らが、約7万人の患者データを分析した結果による。

ワクチン接種やがん検診など、8項目の実施率について調査




同研究グループは、米国高齢者向け公的医療保険「メディケア」受給者3万6,122人に関する1994~2006年の調査結果と、退役軍人に対する医療保険(VHA)の受給者3万3,550人に関する2003~2004年に行われた調査結果を分析した。

医療サービスの質の指標としたのは、糖尿病患者に対する眼の検診、HbA1c値の検査、脂質スクリーニングや、対象者への肺炎球菌ワクチン接種、インフルエンザワクチンの接種、マンモグラフィーによる乳がん検診、大腸がん検診、子宮頸がん検診の実施について。

分析結果については、社会人口統計因子、健康状態、臨床的複雑さや診察頻度に関して、補正を行った。

糖尿病患者へのHbA1c値検査など、肥満患者の実施率が非肥満患者を上回る項目も




その結果、肥満患者が非肥満患者に比べ、適切な医療サービスを受けていないとするエビデンスは認められなかったという。

逆に、肥満患者の方が、非肥満患者よりも実施率がやや高い項目がみられた。糖尿病患者に対する脂質スクリーニングの実施率は、肥満患者が72%に対し非肥満患者は65%(オッズ比:1.37、95%信頼区間:1.09~1.73)。HbA1c値の検査実施率も、肥満患者が74%に対し、非肥満患者は62%だった(オッズ比:1.73、同:1.41~2.11)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)