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東京医大入試減点問題、若いほど理解できる? 男女の医師1,000人に聞きました

東京医科大学の入学試験で、女性の受験者への一律減点が行われていたことが明らかになった。この問題を受け、文科省は全国に81ある医学部医学科を対象に、入試の公正性に関する緊急調査を開始している。現場で働く医師たちにとって、この問題はありえないことなのか、理解できることなのか。ケアネットはCareNet.com会員である男性医師504人、女性医師501人の計1,005人にその実情と意見を聞いた。結果概要男性で67.9%、女性で69.5%が女性の減点問題に一定の理解入試での女性減点問題に「理解できる」と答えた医師は、男性14.9%、女性13.8%と若干男性医師に多い傾向がみられたが、「不公平ではあるが、ある程度理解できる」という医師を含めると、男性67.9%、女性69.5%と女性のほうが多い傾向となり、減点される側の立場である女性医師も、この問題に一定の理解を示していることがうかがえる。その理由としては、「実際に常勤医で戦力として残っている女医は少ないから(麻酔科・40代女性)」、「男性に向いている科は確かに存在するし、力が必要な時もあるから。制限をつけないでとると、女性だらけになってしまう(小児科・20代女性)」、「女医が増えたら、眼科・皮膚科だらけになる。今でも医師の偏在が問題になっているのに、もっと困ることになる(内科・40代女性)」などの声が上がっている。また、「医局で働いている途中で、とくに若手で妊娠してしまうと、当直やオンコールはじめ周囲へのしわ寄せが大きくなってしまうので、罪悪感からとてもこのような状況では妊娠できないと感じていた(内科・30代女性)」、「子持ち女医ですが、夜も休日も働けず、迷惑をかけています。男性は子持ちでもそれがない。周りの多くの女医は、クリニックや健診など、楽で給料のよいところに行ってしまい、人の足りない総合病院には残らない。やはり男性が必要でしょう(産婦人科・40代女性)」など、出産・育児と医師として求められる仕事の両立に、難しさや周囲への罪悪感を感じていることがうかがえた。男性側も、「子供ができたのちキャリアダウンしようとする女医の数は少なくないので、仕方がない(循環器内科・30代男性)」、「現実問題として現在の医療現場の忙しさからいえば、女性医師が増えると回らなくなるのは正直なところ(皮膚科・20代男性)」などの声がある一方で、「父親も育児参加が求められる中で、女性医師ばかりが当直免除などの恩恵を受けるのは仕方ないと思う反面、腑に落ちない面も残る(精神科・30代男性)」、「男女平等は強調されるが、男女公平が議論されない。男性医師が育児休暇を公平にとれる体制や理解が、現状の医療体制で整うとは思えない(神経内科・30代男性)」など、出産・育児による休暇取得や当直免除などが、男性ではより実現しにくい現状も垣間見えた。画像を拡大する男女ともに年代が低いほど理解を示す傾向年代別に回答を見てみると、「理解できる」と答えた医師は、男女ともに年齢が上がるにつれ減少。「不公平ではあるが、ある程度理解できる」という医師を含めると、50代の男女で最も少なく、「理解できない」と答えた医師の割合が高かった(男性:39.9%、女性:42.2%)。画像を拡大する診療科別では、外科(42.9%)、泌尿器科(38.5%)、精神科(38.2%)、小児科(36.5%)、脳神経外科(36.2%)の順に「理解できない」という回答が多かった。画像を拡大する男性で38.5%、女性で28.3%が入試での女性比率の制限は「必要」と回答入試での女性比率の制限については、男性の38.5%が「必要」と答え、「不要」と答えた人(34.9%)を上回った。「必要」と答えた人の理由としては、「差別ではなく区別は必要。定員として男子・女子各何人と明確にすればよいと思う(皮膚科・40代男性)」、「こっそり減点は駄目だと思うが、制限するとあらかじめオープンにして試験をすればよい(眼科・50代男性)」などの声がきかれた。また、「年代別に男性、女性が医師として働いている割合、どのような形態(常勤/非常勤、終日/パート、当直の有無、回数、勤務場所など)で勤務しているか調べてみればよい(整形外科・60代男性)」、「データに基づいて比率を決定すべき(眼科・30代男性)」といった意見や、「男女平等を言うならすべて同じにしないといけない。女性医師は出産・育児で優遇される。その分のしわ寄せは男性医師にくる。最初から比率を決めて入試すればすむ(外科・40代男性)」といった意見もみられた。女性では、「不要」と答えた人(37.9%)が最も多く、「どちらともいえない」と答えた人(33.7%)も多かった。「不要」と答えた人の理由としては、「診療科による偏りの是正は必要だが、それを男女の制限に落とし込むことは論点が違い差別である(神経内科・20代女性)」、「入試時の性別ではなく、医師になってからの科ごとの人数・男女制限が必要だと思う(精神科・30代女性)」、「入試における操作で医師の男女比を調整するのではなく、医師の労働環境そのものを改善する必要がある(神経内科・30代女性)」など、性差のみで判断することへの懸念の声が上がっていた。画像を拡大する20~40代の男性医師が最も「比率制限が必要」と感じている?年代別では、39歳以下および40代の男性医師で、それぞれ4割以上が入試による女性比率の制限が「必要」と回答。60歳以上で唯一、「必要」と答えた割合が女性で上回ったが(男性:32.9%、女性36.7%)、その他の年代ではそれぞれ10%ほど、女性よりも男性で「必要」と答える人が多かった。画像を拡大する診療科別では、産婦人科(40.6%)、泌尿器科(38.5%)、循環器内科(38.5%)などで「必要」と答えた割合が高く、外科(14.3%)、精神科(25.0%)、糖尿病・代謝・内分泌内科(26.9%)などで低かった。画像を拡大する設問詳細Q1.医学部入試での女子減点問題、先生はどう思いますか?理解できる不公平ではあるが、ある程度理解できる理解できないQ2.入試における女性比率の制限は必要だと思いますか?必要不要どちらともいえないQ3.Q1、Q2について、その理由やご意見をお寄せください。アンケート概要内容緊急アンケート!東京医大女子減点問題、先生はどう思いますか?実施日2018年8月9~10日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師1,005名アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承ください)実情について妊娠出産、育児があるとこの仕事は無理だと思う。子供を産むと10年くらい求められる仕事はこなせない。調整されても仕方がない(救急科・30代女性)出産や育児でいきなり穴をあける・時短になるなどで、常勤として働いていても周りにしわ寄せがいっている。また周りの女医をみてもバイトだけの生活をしている割合が多く、女性医師が増えすぎると上に立ったり指導できる人がいなくなる(内科・30代女性)産後、当直している女性医師は限りなく少ない。また年代が上がると、男性医師も当直回数が減り、若手男性医師が多くを担っていると思われる。実際当直している女性はどれほどいるか知りたい(皮膚科・30代女性)外科系医師、ERの医師、当直医など、女性でしっかり勤められている先生もいるが、少数(眼科・40代女性)女性医師は男性医師の7割程度のマンパワーと感じる(呼吸器内科・40代女性)男女平等といっても体格差があり、長時間手術や激務に耐えうるのは男性であるため。専門医制度も変わり、きつい科は避けられる傾向にある(呼吸器内科・40代女性)人口の半分は女性。女性は女医を希望する方が多い。小児科や婦人科はなおさら。確かに力がいる整形外科などもあるが、周りで協力すればよい。直腸診など女性患者には男性医師は女性の立会いが必要ですよ(内科・40代女性)外科系に進む研修医が激減し、将来的に外科系医師がいなくなってしまうから理解はできます。しかしそれ以上に女性医師が働きやすいように外科の環境を急ピッチで変えるべきですし、環境だけでなく外科の上級医のマインドも変えないといけないと思います(精神科・40代女性)女性医師の多くが結婚や出産でリタイアし、復帰後も効率の良いアルバイトをしている現実をみると国費の無駄遣いと感じます。男女問わず実戦で活躍する覚悟が必要だと思います。覚悟を持って入学するべきで、そこに男女の差はありません(眼科・50代女性)男性医師、独身女医の負担が大き過ぎ。家庭を抱え努力している女医はいるが、「家庭があることを利用して嫌な仕事は受けない、しかし美味しい業務には参加する」女医が一定数いるのは確か。穴埋めに感謝の意を示してくれればまだしも、当然の権利と主張する女医がいかに多いことか! むしろ逆性差別、逆ハラスメントです(小児科・50代女性)結婚、妊娠、子育て等に伴う職場整備を進めない限り、一部の女性医師が十分に働けない状態は続く(小児科・50代女性)健診や一般外来など、負担が少なく給料のよいバイトがある現状では、産後にフルタイムで復帰する女医さんは増えないと思う。女医さんを支えるだけの十分なフルタイムの医師がいない。僻地医療が崩壊する(内科・30代男性)緊急、呼び出しがある診療科では、現状の市中病院の勤務体系では育児を両立することは難しいと思います。女性を優遇することで男性勤務医への時間外待機、突然の女性医師欠勤時の勤務負担は確実に増えますが、当番の交代を女性医師に依頼することができるわけではなく、暗黙のうちに相殺され不公平感を感じると思います(内科・30代男性)女性は男性よりも早く医局をやめる。先輩からするとせっかく育ってきたときにやめるため、また一からやり直ししないといけない(皮膚科・40代男性)実際の現場では、家庭を両立させながら救急、当直などきつい仕事を行うことは困難であり、その分の負担が男性医師にきている(呼吸器内科・40代男性)女性は結婚や出産により現場を離れる可能性が高く、そのまま戻って来ないことも往々にしてある。その女性が診ていた患者は、結局残された人間で診ることになり負担が増える。とくに忙しい外科系には男性のみで十分であると思うことがある(泌尿器科・40代男性)夜勤や夜間・休日のオンコールに対応している医師の割合を詳細に調べれば、現在の問題がわかると思います。結婚・出産が女医さんのキャリアを中断させてしまうのは事実であり、しかもその時期が医師として一番活躍できる時期と一致してしまう。日本は女性が家庭を守るといった感覚がそこかしこに残っているので、女医さんが家庭の事情でそうなることは仕方がなく、まだまだ男女平等と呼べる社会には遠いように思います。さらに全体として、夜勤を必要としない科を希望する若い医師が多いのも事実であり、女医さんの問題だけを解決してもしょうがないのかもしれません(麻酔科・40代男性)当直は常勤の人間が安い当直料で疲弊しながら働き、女医は高いバイト代をもらって楽な日勤をやっている。昼の楽な日勤を週3回すれば常勤並みのお金をもらえるので、常勤に戻らずバイトで稼ぐ女医がかなり多い(産婦人科・50代男性)現状の医療現場では、これ以上の女医の増加は他の男性医師の限りない負担増加へつながる。男女同権を貫くなら、欧米並みに勤務交代制や育児保育施設の整備を充足しなければ、絵空事である(皮膚科・60代男性)入試による女性比率の制限に対する意見について制限するなら、募集要項にちゃんと記載するべきだと思います。東京医大のやり方はアンフェアでまったく賛成できません(循環器内科・30代女性)それよりも卒業生の子弟を加点するほうがもっと問題だと思う(眼科・30代女性)面接での加点は致し方ないとしても(印象点という意味で)減点はさすがにひどいと思う。あと、現場には産後も、もっと働きたいのに働けない先生もたくさんいるので、もっと働きやすい環境になってほしいと思う(麻酔科・30代女性)入試要項に女性制限が記載されていればよいと思う(耳鼻咽喉科・40代女性)国公立大学の場合は制限できないと思います(循環器内科・50代女性)入試で制限するより、女性がどうしたらやめないか、働きやすいかを考えるべき(小児科・30代男性)募集要項に明記すればいい(皮膚科・40代男性)入試制度だけで解決できる問題ではない。医師だけ女性制限を認めると、他の業種とのバランスがとれない(精神科・40代男性)性別や浪人回数で差別はいけない。努力して勉強しているのだから(内科・50代男性)入試に際して女性が上位を占めることは明らかである。女性が向かない体力を要する診療科があることを示したうえで、合格者に占める男女の人数を明示しておくのがよいと思う(腎臓内科・70代男性)解決策について女医でも働きやすい環境にすればよい。キツイ診療科は主治医複数制、産休育休当たり前にするとか、保育所増やすとか(麻酔科・30代女性)入試は公平に行い大学病院勤務の際に制限してはどうか。女性医師を受け入れると表明したほうが結果的には人手が増えると思うが…。国家試験である以上、入試での制限は認められないと思う(循環器内科・40代女性)女性医師のライフプランについては入学後に教育することも可能であるはず(麻酔科・40代女性)男性医師を増やしたい気持ちはよくわかるが、入試時点で差別するのは問題。医局入局もしくは病院就職の時点で選別すれば、普通の一般企業と同じだから問題ない(眼科・50代女性)現場の疲弊と性差別の問題は別で考えるべき。むしろ、女性が長く残れる環境作りがあらゆる問題の解決方法である、という共通認識を確立するいい機会(内科・50代女性)育児、介護問題を女性特有の問題と認識すること自体を改めるべきである。男性も含めて、個人的理由で短時間勤務をする必要が生じる可能性のあることを踏まえた人員配置が必要なのではないか(麻酔科・50代女性)医師全体の勤務状況を改善すればよい。男性勤務医でも当直後の連続勤務、時間外労働賃金がきちんと管理され支払われてないことが問題で、女性に限ったことではない(内科・60代女性)男性医師が現状を維持するのではなく、働き方について医療関係者、患者とその家族も意識を変えていく必要がある。女性が入れないような勤務体制自体を見直さなければ早晩医療崩壊するのは免れない。「仕方がない」「男性と同じように女性も働くべき」ではただの足の引っ張り合いでしかない(精神科・30代男性)一番しんどいのは夜間救急であり、それができるかできないかは医師という仕事を考えるうえで最も重要な議論であり、絶対に避けてはいけない(腎臓内科・30代男性)女子医大もあるので、医学部定員を男6~7、女3~4で分ける。もしくは男女関係なく卒後5~6年の内科、外科、救急など多忙な科の勤務義務化など(消化器内科・40代男性)女性医師がフルタイムで働かない比率が高いため、このようなことが起こる。出産育児早期は仕方ないがその後はしっかり働いてもらう制度、そのための保育所などの整備が必要(麻酔科・40代男性)女性が増えればアルバイト医のみが増え続け、3Kを担う医師は減り、実労働可能な医師不足が加速します。国民の医療に対する考えを根本的に変えないと、女性も働ける医療現場は増えません(内科・50代男性)そもそもフルタイムとはどのような働き方かを討論しないと結論は出ない(脳神経外科・50代男性)

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心房細動患者の認知症発症、降圧薬やワルファリンで2割減

 1万例以上の心房細動患者を対象とした研究で、サイアザイド/レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬併用などの降圧薬処方やワルファリン使用が、認知症発症率の低下と関連していたことをスウェーデン・カロリンスカ研究所のPer Wandell氏らが報告した。International Journal of Cardiology誌オンライン版2018年7月21日号に掲載。 対象は、スウェーデンのプライマリケアで心房細動と診断された45歳以上の患者1万2,096例(男性6,580例、女性5,516例)。心房細動発症前に認知症と診断されていた患者は除外した。性別、年齢、社会経済的要因および併存疾患を調整し、Cox回帰を用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・平均5.6年間の追跡期間(6万9,214人年)に750例(6.2%)が認知症を発症した。・サイアザイド処方患者(HR:0.81、95%CI:0.66~0.99)およびワルファリン処方患者(HR:0.78、95%CI:0.66~0.92)は、処方されていない患者に比べて認知症リスクが低かった。・異なる降圧薬(サイアザイド、β遮断薬、Ca拮抗薬、RAAS阻害薬)の1~4種類の使用は、認知症の減少と関連していた。1剤または2剤の処方患者では、降圧薬を処方されていない患者に比べてHRが0.80(95%CI:0.64~1.00)、3剤または4剤の処方患者のHRは0.63(95%CI:0.46~0.84)であった。・RAAS阻害薬とサイアザイドの併用は、併用処方されていない患者に比べて有意に認知症リスクが低かった(HR:0.70、95%CI:0.53~0.92)。

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非常に高度なアルツハイマー病に対する抗認知症薬の有効性

 高度なアルツハイマー病(AD)において、抗認知症薬(ADD)の処方をいつまで行うべきかに関するエビデンスは、不十分である。韓国・釜山大学病院のYun Jeong Hong氏らは、ドネペジルまたはメマンチンが処方されている非常に高度なAD患者において、継続治療から得られるベネフィットについて調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2018年号の報告。 対象はミニメンタルステート検査(MMSE)スコア0~5またはFunctional Assessment Staging(FAST)スコア6以上のAD患者とし、ランダム化評価者盲検試験にて検討を行った。対象者65例を、ADD治療継続群(30例)またはADD治療中止群(35例)にランダムに割り付けた。使用中のドネペジルまたはメマンチンについては、ADD継続群は12週間継続、ADD中止群ではベースライン後に中止とした。有効性評価は、ベースライン時および12週後に実施した。主要有効性評価項目は、ベースラインから試験終了時までのBaylor Profound Mental State Examination(BPMSE)スコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインから試験終了時までのBPMSEの変化は、ADD治療継続群で0.4ポイント改善、ADD治療中止群で0.5ポイント低下がみられたが、同等性検定で同等性は示されなかった。・有害事象による試験中止は、ADD治療継続群(6.7%)よりもADD治療中止群(11.4%)において多く認められた。 著者らは「非常に高度なAD患者に対するドネペジルまたはメマンチンによる継続治療は、全体的な認知機能への影響に関して、治療中止よりも優れている可能性がある」としている。■関連記事高度アルツハイマー病へのドネペジル投与は続けたほうがよいのか抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か?

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30~50代で非飲酒でも認知症リスク上昇/BMJ

 中年期に飲酒しなかった集団および中年期以降に過度な飲酒を続けた集団は、飲酒量が適度な場合に比べ認知症のリスクが高まることが、フランス・パリ・サクレー大学のSeverine Sabia氏らが行った「Whitehall II試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年8月1日号に掲載された。非飲酒と過度な飲酒は、いずれも認知機能に有害な影響を及ぼすとされるが、認知症の発症予防や遅延に関する現行のガイドラインには、エビデンスが頑健ではないため、過度の飲酒は含まれていないという。また、研究の多くは、老年期のアルコール摂取を検討しているため生涯の飲酒量を反映しない可能性があり、面接評価で認知機能を検討した研究では選択バイアスが働いている可能性があるため、結果の不一致が生じている。英国公務員のデータを用いたコホート研究 Whitehall II試験は、ロンドン市に事務所のある英国の公務員を対象とした前向きコホート研究であり、1985~88年に35~55歳の1万308例(男性:6,895例、女性:3,413例)が登録され、4~5年ごとに臨床的な調査が行われている(米国国立老化研究所[NIA]などの助成による)。 研究グループは、今回、認知症とアルコール摂取の関連を評価し、この関連への心血管代謝疾患(脳卒中、冠動脈心疾患、心房細動、心不全、糖尿病)の影響を検討した。 アルコール摂取量は、1985~88年、1989~90年、1991~93年(中年期)の3回の調査の平均値とし、非飲酒、1~14単位/週(適度な飲酒)、14単位超/週(過度な飲酒)に分類した。中年期のアルコール摂取を評価した集団の平均年齢は50.3歳だった。 また、1985~88年から2002~04年の5回の調査に基づき、17年間のアルコール摂取の推移を5つのパターン(長期に非飲酒、飲酒量減少、長期に飲酒量が1~14単位/週、飲酒量増加、長期に飲酒量が14単位超/週)に分けて検討した。 1991~93年の調査では、CAGE質問票(4項目、2点以上で依存性あり)を用いてアルコール依存症の評価を行った。さらに、1991~2017年の期間におけるアルコール関連慢性疾患による入院の状況を調べた。飲酒量が減少した集団もリスク上昇 平均フォローアップ期間は23年であり、この間に397例が認知症を発症した。認知症診断時の年齢は、非飲酒群が76.1歳、1~14単位/週の群が75.7歳、14単位超/週の群は74.4歳であった(p=0.13)。 中年期に飲酒していない群は、飲酒量が1~14単位/週の群に比べ認知症のリスクが高かった(ハザード比[HR]:1.47、95%信頼区間[CI]:1.15~1.89、p<0.05)。14単位超/週の群の認知症リスクは、1~14単位/週の群と有意な差はなかった(1.08、0.82~1.43)が、このうち飲酒量が7単位/週増加した集団では認知症リスクが17%有意に高かった(1.17、1.04~1.32、p<0.05)。 CAGEスコア3~4点(HR:2.19、95%CI:1.29~3.71、p<0.05)およびアルコール関連入院(4.28、2.72~6.73、p<0.05)にも、認知症リスクの増加と関連が認められた。 中年期~初老期のアルコール摂取量の推移の検討では、飲酒量が長期に1~14単位/週の集団と比較して、長期に飲酒をしていない集団の認知症リスクは74%高く(HR:1.74、95%CI:1.31~2.30、p<0.05)、摂取量が減少した集団でも55%増加し(1.55、1.08~2.22、p<0.05)、長期に14単位超/週の集団では40%増加した(1.40、1.02~1.93、p<0.05)が、飲酒量が増加した集団(0.88、0.59~1.31)では有意な差はなかった。 中年期の非飲酒に関連する認知症の過剰なリスクは、フォローアップ期間中にみられた心血管代謝疾患によってある程度説明が可能であり、非飲酒群全体の認知症のHRが1.47(1.15~1.89)であったのに対し、心血管代謝疾患を発症しなかった非飲酒の集団では1.33(0.88~2.02)であった。 著者は、「ガイドラインで、14単位超/週のアルコール摂取を有害の閾値と定義する国があるが、今回の知見は、高齢になってからの認知機能の健康を増進するために、閾値を下方修正するよう促すもの」としている。

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小児期のストレスと将来の認知症発症との関連

 小児期の環境と晩年の慢性疾患との関連を分析するライフコース研究は、あまり行われていない。とくに、認知症の早期予測を可能とする研究はほとんど存在しない。東フィンランド大学のGwendolyn A. R. Donley氏らは、小児期のストレスと将来の認知症(とくにアルツハイマー病[AD])との関連について検討を行った。European Journal of Public Health誌オンライン版2018年7月17日号の報告。 1984~89年に実施された広範なベースライン健康診断およびインタビュー調査である、人口ベースのKuopio Ischemic Heart Disease Risk Factor Studyに参加した、当時42~61歳の男性2,682例のデータを使用した。これらの構造化されたインタビューには、小児期のイベントが記録されていた。保護施設や児童養護施設での生活、小児期の危機的な経験、教師による問題、戦争による移住など、複合的な小児ストレス変数を作成した。ADを含む認知症に関するデータは、2014年までの健康レジストリより取得した。認知症発症リスクは、ベースライン時の年齢、教育、所得、先天性疾患の既往で調整し、Cox回帰を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・小児期のストレスは、認知症リスクの増加と関連が認められた(HR:1.86、95%CI:1.12~3.10)。・年齢、教育、所得およびその他の共変量で調整した後でも、この関連は統計学的に有意であった(HR:1.93、95%CI:1.14~3.25)。・この関連は、ADにおいてもわずかに有意であり、同様なHRを有していた。 著者らは「小児期のストレスは、男性において、将来の認知症リスクに重要な影響を及ぼす。そのため、ストレス状態に苦しんでいる小児に対しての、支援システムの開発が求められる。多様な集団において、将来の罹患率に関わる小児期の社会的および環境的影響を検討するさらなる調査は、ライフコースの疾患による負荷を理解するために必要である」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのかどのくらい前から認知症発症は予測可能か子供はよく遊ばせておいたほうがよい

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パーキンソン病の病因は腸か!?

 2018年7月24日、武田薬品工業株式会社は、都内においてパーキンソン病治療薬ラサギリン(商品名:アジレクト)の発売を期し、「~高齢化社会により患者数が増加している神経変性疾患~ パーキンソン病の病態・治療変遷」をテーマに本症に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、本症の概要、最新の研究状況、「パーキンソン病診療ガイドライン2018」の内容が紹介された。パーキンソン病の推定患者数は約6万人 はじめに服部 信孝氏(順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科 教授)を演者に迎え、「パーキンソン病治療の変遷 過去・現在・未来 -新しいパーキンソン病診療ガイドラインの位置づけ-」をテーマに講演が行われた。 パーキンソン病(以下「PD」と略す)は、1,000人に1人の発症とされ、現在、患者数は約6万人と推定されている。リスク因子の中でも加齢が最も重要な因子であり、高齢になるほど発症頻度も上昇する。主な運動症状は、振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害などがある。また、非運動症状は、便秘、頻尿、睡眠障害、うつ傾向、認知機能障害などがある。とくに睡眠障害で「レム睡眠中の寝言などは、PDの前段階症状をうかがわせる所見であり、この段階で気付くことが大切だ」と同氏は指摘する。 Movement Disorder Society(MDS)の診断基準1)では、「寡動が存在し、静止時振戦か筋強剛のうち少なくとも1つを伴うパーキソニズムの存在」を絶対条件として掲げるとともに、「ドパミン補充療法が有効」「ドパ誘導性ジスキネジアがある」など4項目を支持基準(2項目以上で確定診断)として診断することとしている。また、絶対的除外基準として「小脳障害」「3年以上の下肢限局性のパーキソニズム」など9項目を掲げ、1項目でも該当するとPDと診断できないとし、同じく相対的除外基準として「5年以内の歩行障害」「3年以内の反復する転倒」など10項目を掲げ、3項目以上該当するとPDと診断できないとしている。診断で鑑別する場合、「とくに前期PDでは平衡感覚が保たれているため、転倒することは少ない」と同氏は診断ポイントを指摘する。 PD治療の中心としてL-ドパ含有製剤、ドパミン受容体刺激薬が使われているが、循環器障害、線維症、嘔気、過眠傾向、衝動調節障害などの副作用が問題となっている。また、治療薬の効果時間について作用している「オン」の時間を挟んで、作用していない「オフ」と過剰作用状態の「ジスキネジア」の3期の時間帯があるのがPD治療の特徴であり、病状の進行によりオンからどちらか一方に偏るという課題がある。パーキンソン病の治療薬ターゲットに「腸」の可能性 つぎに最新の研究状況について触れ、PDのリスク逓減因子であるカフェインには、PDの進行予防効果2)、運動症状改善効果があるとされている。そして、PD患者ではカフェイン代謝産物が吸収不全により低値であることが判明した。そのためカフェイン関連代謝産物をPDの診断マーカーとして利用する研究も進行しているという。また、PD発症と関係があるとされるαシヌクレインの伝播について、動物実験段階だが腸内細菌叢から神経炎症が脳に伝播し、脳全体に広がるというPD発症の仮説3)も説明され、今後の治療薬開発に腸がターゲットとなる可能性も示唆された。新しい「パーキンソン病診療ガイドライン」の特徴はCQとGRADEシステム 新しい「パーキンソン病診療ガイドライン」について触れ、その特徴は、「Clinical Question(CQ)」とともに推奨の強さ、エビデンスの確実性を示すために「GRADEシステム」を導入したことであるという。 早期PDの治療推奨としては、「特別の理由がない場合、診断後できるだけ早期に治療開始する方がよい」としながらも、「不利益に関する十分なエビデンスがないため、治療の開始に際しては、その効果と副作用、コストなどのバランスを十分考慮する必要がある」としている。また、「運動障害により生活に支障を来す場合はL-ドパで開始する方がよい」としながらも、「おおむね65歳以下発症など運動合併症のリスクが高いと推定される場合は、L-ドパ以外の薬物療法を考慮する。抗コリン薬やアマンタジンも治療薬の選択肢となり得るが、十分な根拠はない」としている。 進行期PDについては、「1日5回の服用回数、2時間のオフ時間、1時間の問題のあるジスキネジア」がみられる場合、脳深部刺激療法やレボドパ・カルビドパ配合経腸用液(LCIG)への治療法の変更を記述している。 最後に同氏は、「PDは、脳神経内科の専門医の診療により、さまざまなリスクが減り、治療成績や生命予後が良いことがジャーナル4)でも示されている。迷わずに脳神経内科医の診療を受けていただきたい」と語り、講演を終えた。

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50歳以上の帯状疱疹はワクチンで予防

 2018年7月19日から3日間、都内で日本ペインクリニック学会 第52回大会「あなたの想いが未来のペインクリニックを創る-専門性と多様性への挑戦-」が開催された。本稿では、7月20日のシンポジウム「帯状疱疹関連痛の治療、予防の未来を考える」から、木村 嘉之氏(獨協医科大学 麻酔科学講座 准教授)が発表した「帯状疱疹関連痛の疫学と予防」について、概要を紹介する。PPHNは、痛みの期間が長いと発症リスクが上がる 帯状疱疹は、初感染を経て細胞に潜伏した水痘・帯状疱疹ウイルスが何らかの原因により再燃することで発症し、これに起因した一連の痛みは、帯状疱疹関連痛と呼ばれている。帯状疱疹関連痛は、皮疹による痛み(侵害受容性疼痛)と、帯状疱疹後神経痛(神経障害性疼痛)に分けられ、病期に伴い痛みの性状は変化していく。 帯状疱疹の発症数は近年増加傾向にあり、わが国では、50歳以上で帯状疱疹の罹患率が上昇するという報告がある1)。とくに皮膚症状・疼痛が中等度~重症の患者では、痛みが遷延し、帯状疱疹後神経痛(PHN)に移行することがあり、海外では、50歳以上の帯状疱疹患者の18%がPHNを発症すると報告2)されている。 PHNのリスクは、重症度、年齢、ウイルスの感染部位などによって異なるが、痛み治療の遅れがPHN発症につながる可能性も指摘されている。PHNは、長期に続く痛み・かゆみが患者のQOLを大きく低下させるため、帯状疱疹の予防と適切な治療の早期導入が重要だ。PHNの予防には、帯状疱疹ワクチンが有効 PHNの予防として、木村氏は、まず水痘にならないこと、そして帯状疱疹を発症させないことを強調した。患者に水痘罹患歴がない場合は、水痘ワクチン接種で発症を予防できる。水痘に罹患しなければ、ウイルスの潜伏もなく、将来的な帯状疱疹の発症はないと考えられる。 水痘ワクチンは2014年から定期接種の対象になっているため、近年患者数は激減しているが、成人の90%以上は水痘・帯状疱疹ウイルスへの感染歴がある3)という。よって、この集団における将来的な帯状疱疹発症の予防が急務となる。同氏は、高齢者が水痘患者と接する機会が減ったことで、追加免疫効果を得られず、帯状疱疹ウイルスに対する抗体価が低下している可能性を指摘する。そこで推奨されるのが、帯状疱疹ワクチンだ。水痘の感染歴がある場合でも、ワクチン接種で抗体価をあげることによってウイルスの再活性化を予防できるという。 また、帯状疱疹の予防には、日常生活の中で、免疫力の低下(過度のストレスや体力低下など)を避けることも大切だ。同氏は、「50歳以上の患者さんには、帯状疱疹・PHNの予防策として、水痘・帯状疱疹ワクチンを推奨する必要がある」と強く訴えた。 なお、帯状疱疹が発症してしまった場合、PHNなど痛みの遷延化を防ぐためには、早期診断、抗ウイルス薬の投与とともに、痛みに対する適切な治療を開始することが重要となる。 海外では、ワクチン接種がPHNへの移行を予防する可能性が報告4)されている。わが国では、帯状疱疹ウイルスワクチン(生ワクチン)が発売されており、任意で接種を受けることができる。なお、2018年3月にはサブユニットワクチンが承認されており、発売が待たれる。〔8月13日 記事の一部を修正いたしました〕■参考1)国立感染症研究所 宮崎県の帯状疱疹の疫学(宮崎スタディ)2)Yawn BP, et al. Mayo Clin Proc. 2007;82:1341-1349.3)国立感染症研究所 感染症流行予測調査グラフ 抗体保有状況の年度比較「水痘」4)Izurieta HS, et al. Clin Infect Dis. 2017;64:785-793.日本ペインクリニック学会 第52回大会■関連記事こどもとおとなのワクチンサイトが完成

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高齢高血圧患者での起立性低血圧と認知症リスク

 起立性低血圧(OH)が認知症発症リスク増加と関連することが系統的レビューで示唆されたが、最も高リスクの超高齢高血圧患者ではデータが限られている。今回、オーストラリア・Neuroscience Research AustraliaのRuth Peters氏らが80歳以上の高血圧患者において調査した結果、OHは認知症や認知機能低下リスク増加と関連することが示された。European heart journal誌オンライン版2018年7月24日号に掲載。 参加者は、the Hypertension in the Very Elderly Trial(HYVET)コホートの80歳以上の高血圧患者。OHは、座位から立位への体位変換後2分以内に収縮期血圧が15mmHg以上低下および拡張期血圧が7mmHg以上低下と定義した。また、血圧測定する前の週にふらつき、軽い頭痛、失神があったがOHより血圧低下が小さい場合は、無症候性起立性低血圧(SOH)と定義した。比例ハザード回帰を用いて、ベースラインのOHおよびSOH、認知に関するアウトカムの関係を調べた。 主な結果は以下のとおり。・分析対象は3,121例、OHは538例に認められた。・OHは認知機能低下のリスク増加(906イベント)と関連していた(ハザード比[HR]:1.36、95%信頼区間[CI]:1.14~1.59)。認知症発症(241イベント)のHRは1.34(95%CI:0.98~1.84)であった。・心血管イベントの競合リスクを考慮すると、HRはそれぞれ1.39(95%CI:1.19~1.62)および1.34(95%CI:1.05~1.73)であった。・SOHは、認知機能低下のリスク増加(HR:1.56、95%CI:1.12~2.17)および認知症のリスク増加(HR:1.79、95%CI:1.00~3.20)と関連していた。・この領域のこれまでの論文のメタ解析にHYVETコホートの結果を組み入れると、OHでの認知症リスクは21%(95%CI:9~35)増加した。

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抗認知症薬処方前の甲状腺機能検査に関するレトロスペクティブ観察研究

 甲状腺機能低下症は、認知障害を引き起こす疾患として知られており、甲状腺ホルモンの補充により治療が可能である。そのため、日本を含め世界各国の認知症診療ガイドラインでは、認知症の診断を進めるうえで甲状腺機能検査(TFT)の実施を推奨している。しかし、これまで抗認知症薬を開始する前の認知症原因疾患の診断過程において、TFTがどの程度実施されているかについては、よくわかっていなかった。医療経済研究機構の佐方 信夫氏らは、日本における抗認知症薬処方前のTFT実施状況について調査を行った。Clinical Interventions in Aging誌2018年7月6日号の報告。 本レトロスペクティブ観察研究は、厚生労働省が構築しているレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて実施された。対象は、2015年4月~2016年3月に、65歳以上で認知症診断直後に抗認知症薬を新たに処方された26万2,279例。アウトカムは、抗認知症薬の処方開始日から過去1年間のTFT(血清甲状腺刺激ホルモンと遊離サイロキシンの測定)実施とした。 主な結果は以下のとおり。・抗認知症薬処方前のTFT実施率は32.6%であった。・TFT実施率は、診療所において26%であったのに対し、病院では約1.5倍の38%、認知症疾患医療センターでは約2.2倍の57%(調整リスク比:2.17、95%CI:2.01~2.33)であった。・患者が高齢になるほど、TFT実施率が低下する傾向が認められた(65~69歳:39.4%、70~74歳:37.2%、75~79歳:36.6%、80~84歳:33.9%、85歳以上:28.1%)。 著者らは本研究結果を踏まえ、以下のようにまとめている。・本研究では、認知症診断直後に抗認知症薬を処方された患者のうち、約67%が処方前の1年間にTFTを実施されていないことが示された。これは、TFT実施が診療ガイドラインで推奨されている点から、問題であると考えられる。・認知症疾患医療センターや病院でのTFT実施率が、診療所と比較して高かったことは、設備的に血液検査を実施しやすい状況にあることが考えられる。また、診療する医師に、神経内科や精神科などに所属する、認知症の鑑別診断に習熟した医師が多いことも要因であると思われる。・甲状腺機能低下症は、加齢に伴う身体機能の変化と区別がつきにくく、高齢者では診断されにくい傾向があるが、早期に治療すれば認知機能障害の回復も期待できることから、典型的な所見を示さなくても、認知症診断時にはTFTを実施すべきである。治療可能な疾患による認知症は適切に鑑別すべきであることを、抗認知症薬を処方する医師にあらためて周知する必要があると考えられる。■関連記事日本における抗認知症薬の処方量に関する研究認知症になりやすい職業は新規アルツハイマー型認知症治療剤の発売による処方動向の変化:京都大

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第4回 特別編 覚えておきたい熱中症の基本事項【救急診療の基礎知識】

覚えておきたい熱中症の基本事項7月に入り東京も連日気温が30℃を超え、40℃近い猛暑が続いています。連日熱中症による症状で救急搬送、外来受診される患者さんが後を絶ちません。熱中症に限りませんが、早期に異常を認知し、介入すること、そして、何より予防に努めることが非常に大切です。暑さに負けないために今回は熱中症の基本的事項をまとめておきましょう。●診療のPoint(1)夏場は常に熱中症を疑え!(2)非労作性熱中症は要注意! 屋内でも熱中症は起こりうる!(3)重症度を頭に入れ、危険なサインを見逃すな!熱中症の定義「熱中症とは何ですか?」と質問されて正確に答えられるでしょうか。以前は熱射病、熱痙攣、熱失神という言葉が使用されていましたが、現在は用いられません(重症度と共に後述します)。熱中症とは「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」とされ、「暑熱による諸症状を呈するもの」のうちで、他の原因疾患を除外したものと定義されています。わが国では毎年7~8月に熱中症の発生率が多く、「今そこにある危機」と認識し、熱中症の症状を頭に入れ意識しておく必要があるのです。熱中症の死亡率本邦の年間発症数は約40万人、そのうち8.7%(約3万5,000人)が入院、0.13%(約520名)が死亡しています。この数値は現在も大きな変化はなく、2016年の死亡者数は621名で65歳以上が79.2%という結果でした(厚生労働省 人口動態統計)。2018年は2017年より暑く、熱中症患者は増加することが予想されます。熱中症を軽視してはいけません。労作性vs.非労作性熱中症と聞くと炎天下の中、スポーツや仕事をしている最中に引き起こされるイメージが強いですが、それだけではありません。熱中症は、「労作性熱中症」と「非労作性熱中症」に分類(表1)され、屋内でも発生します。そして、この非労作性熱中症が厄介なのです。画像を拡大する労作性熱中症の患者背景としては若年男性のスポーツ、中壮年男性の労働(建設業、製造業、運送業、とくに日給制のような短い雇用期間の方)、非労作性熱中症では独居の高齢者が典型的です。労作性熱中症の場合には、若く、集団で活動していることが多く、基礎疾患もなく早期に発見、介入できるため予後は良好ですが、非労作性熱中症は、自宅で発生することが多く、発見が遅れ、また心疾患などの基礎疾患、利尿薬などの内服薬などの影響から治療に難渋することがあるわけです。実際、救急医学会の熱中症実態調査において、熱中症の死亡の危険因子は、(1)高齢、(2)屋内発症、(3)非労作性熱中症でした1)。重症度に影響するばかりでなく、再発防止手段にも影響します。意識して対応しましょう。熱中症の重症度以前、熱中症は、熱射病、熱痙攣、熱失神などの呼び名がありましたが、現在は重症度を理解しやすいように表2のように分類されています1)。I度は必ずしも体温は上がりません。症状で判断します。II度は頭痛や嘔吐、倦怠感に加え、深部体温の上昇を認めます。III度は、意識障害、臓器障害を認め、早急な対応が必要になります。画像を拡大する熱中症を疑うことは、病歴から難しくありませんが、重症度の判断は初期評価をきちんと行わなければ見誤ります。とくに重篤化しやすい、非労作性熱中症の高齢者には注意が必要です。意識が普段と同様か否か、腎前性腎障害に代表される臓器障害を認めていないかを評価しましょう。熱中症の治療治療の原則、「安静」「環境改善」「塩分+水分の補給」は絶対です。重症度や経口摂取の可否を評価し、細胞外液の点滴の適応を判断します。高齢者がぐったりしている、十分な飲水が困難な場合には、点滴を選択したほうがよいでしょう。また、点滴が必要と評価した患者では、採血や血液ガスも検査・評価し、臓器障害の有無も併せて確認しましょう。熱中症II度以上は、体温調節中枢が正常に機能していない状態です。皮膚や筋肉の血管拡張、血流増加、多量の発汗によって循環血液量減少性ショックへと陥ります。急速な輸液に加え、高体温が持続すると多臓器不全(意識障害、痙攣、急性腎障害、DIC etc.)を伴い、輸液だけでなく呼吸管理や透析などの全身管理が必要となることもあります。初期対応としては以下の2点を意識し、速やかに対応しましょう。(1)目標体温深部体温*が39℃を超える高体温の持続は予後不良因子であり、38℃台になるまでは積極的な冷却処置を行いましょう。*深部体温中枢温を正確に反映する部位は腋窩温でも皮膚温でもありません。最も好ましいのは深部体温(膀胱温、直腸温、食道温)です。救急外来など初療時には、直腸温を測定するか、温度センサー付きバルーンカテーテルを利用し、膀胱温を測定するとよいでしょう。健康な人の体温の平均値は、腋窩温36.4℃に対して直腸温37.5℃と約1℃異なると言われていますが、高体温で発汗している場合や測定方法によって、腋窩温や皮膚温は容易に変化します(正しく測定できません)。熱中症、とくに重症度が高いと判断した症例では、深部体温を測定する意識をもちましょう。(2)冷却方法体表冷却法が一般的です。気化熱を利用します。ぬるま湯(40〜45℃)を霧吹きを用いて体表にかけ、扇風機などで扇ぐとよいでしょう。本当に熱中症か?!熱中症は環境因子だけでも十分起こりえますが、普段であれば自己対応(環境を変える、水分・塩分を摂取する)ができずに発生した可能性があります。つまり、熱中症に陥った原因をきちんと検索する必要があります。とくに非労作性熱中症の場合には、尿路感染症や肺炎などの感染症などが引き金となっているかもしれません。また、薬剤やクリーゼなども熱中症様症状をとることがあります。これらの鑑別は病歴をきちんと把握すればおおよそ可能です。明らかに部屋が暑かった、当日の朝までは普段どおりであったなどの病歴がわかれば、感染症や薬剤の影響は考えづらいでしょう。それに対して、数日前から体調の変化があった場合には、感染症などの影響も考え対応する必要があります。発熱か高体温か判断できず、とりあえず血液培養を2セット提出するのは簡単ですが、それ以上に病歴聴取や身体所見を評価することのほうが大切です。プロカルシトニンも鑑別には役立たないため提出は不要でしょう。熱中症の予防熱中症は予防可能です。起こしてしまった人へは、治療だけでなく正しい熱中症の知識、そして周囲の方への啓発・指導を含め、ポイントを絞って熱中症を起こさないために必要なことを伝えましょう。「また熱中症の患者か!?」と思うのではなく、チャンスだと思い、再発予防に努めましょう。熱中症の基本的事項を伝授熱中症の初期症状、非労作性熱中症に関して伝えましょう。症状が熱中症によるものであることを知っておかないと対応できません。また、熱中症は屋外で起こるものと思っていると、非労作性熱中症に陥ります。高齢の方からは「風通しがいいのでクーラーは使用していません(設置していません)」、「クーラーは嫌いでね」という台詞をよく聞きますが、必要性をきちんと説明し、理解してもらうことが大切です。●熱中症の発生リスク評価を伝授猛暑が続いていますが、どの程度危険なのかを認識しなければ、「大丈夫だろう」と軽視してしまいます。朝のニュースをテレビやスマホで確認するのもよいですが、暑さ指数(Wet Bulb Globe Temperature:WBGT)を確認する癖をもっておきましょう。熱中症の発生に関与する因子は気温だけではなく、湿度、風速、日射輻射です。とくに湿度は大きく影響し、これらを実際に計測し算出して出てきた数値がWBGTです。細かなことは割愛しますが、WBGT>28℃になると熱中症が急増し危険と判断します(表3)。画像を拡大する●環境省の熱中症予防情報を伝授環境省熱中症予防情報サイトでは、WBGT(暑さ指数)を都道府県、地点別に確認できます。本稿執筆時の7月19日10時現在の東京都(都道府県)、東京(地点)のWBGT値は31.9℃(危険)と赤表示され、一目で熱中症のリスクが高いことがわかります。3日間の予測も併せて確認できるため、熱中症を予防する立場にある学校の教師や職場の管理者は必ず確認しておく必要があります。朝のニュースなどで危険性は日々報道されていますが、それでもなお発生しているのが熱中症です。願わくは、自ら確認し意識しておくことが必要と考えます。「熱中症の危険がある」ということを事前に意識して対応すれば、体調の変化に対する対応も迅速に行えるでしょう。●熱中症? と思った際の対応を伝授こむら返りや頭痛、倦怠感などを自覚し、環境因子から熱中症? と判断した場合には、速やかに環境を改善し(日陰や店舗内など涼しい場所へ移動)、水分だけでなく塩分を摂取するように勧めましょう。症状が改善しない場合や、自身で水分・塩分の摂取が困難な場合には、時間経過で改善することも多いですが、症状の増悪、一人暮らしで経過を診ることができる家族がいない場合には、病院へ受診するように指示したほうがよいでしょう。屋内外のリスクを見極め夏を過ごす7月は熱中症予防強化月間の重点取組期間です(厚生労働省「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」)。まだまだ暑い日が続きます。日頃の体調管理を行いつつ、屋外でのスポーツや作業をする場合には、リスクを評価し、予防に努め、屋内で過ごす場合には、温度・湿度を意識した環境の設定を行い、夏を乗り切りましょう!1)日本救急医学会熱中症に関する委員会. 熱中症の実態調査-日本救急医学会Heatstroke STUDY 2012最終報告-.日救急医会誌. 2014;25:846-862.

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魚類の摂取と認知症リスクに関するメタ解析

 英国・ウルバーハンプトン大学のAishat T. Bakre氏らは、魚類の摂取と認知症リスクおよび用量反応との関連性を評価し、低、中、高所得国におけるこれらの関連性の変化について調査を行った。Public health nutrition誌2018年7月号の報告。 新たにコミュニティベースの横断研究およびシステマティック文献レビューを実施した。対象地域は、中国の都市部と農村部。人口ベースの研究は、世界的な文献よりシステマティックに検索を行った。中国の6つの省における60歳以上の中国人6,981例が、認知症の有病率とリスクファクターに関する健康調査に参加した。さらに、適格基準を満たした11研究より3万3,964例がシステマティックレビュー、メタ解析に含まれた。 主な結果は以下のとおり。・新たな中国の調査では、326例(4.7%)が認知症と診断された。過去2年間に一定量の魚類を摂取していた人は、魚類を摂取していなかった人と比較し、認知症リスクが低下していたが(調整OR:0.73、95%CI:0.64~0.99)、用量反応については統計学的に有意な差が認められなかった。・文献および新たな研究から得られたデータによるメタ解析では、魚類を摂取していた人の認知症の相対リスク(RR)は、0.80(95%CI:0.74~0.87)であり、その影響は、所得水準の異なる国々でも同様であった。・プールされた用量反応データによるRRは、低所得国で0.84(95%CI:0.72~0.98)、中所得国で0.78(95%CI:0.68~0.90)、高所得国で0.77(95%CI:0.61~0.98)であった。・アルツハイマー病に関するRRは、低所得国で0.88(95%CI:0.74~1.04)、中所得国で0.79(95%CI:0.65~0.96)、高所得国で0.67(95%CI:0.58~0.78)であった。 著者らは「より多い魚類の摂取は、認知症リスクの低下と関連が認められた。魚類の摂取量を増やすことは、所得水準にかかわらず、世界中の認知症予防に役立つと考えられる」としている。■関連記事魚を食べると認知症は予防できるのか地中海ダイエットは認知症予防に効果があるのか日本食は認知症予防によい:東北大

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ペリー症候群〔Perry syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義ペリー症候群は、パーキンソニズム、うつ・アパシー、原因不明の体重減少、中枢性呼吸障害を来す常染色体優性の家族性パーキンソン病である。ペリー症候群はDCTN1遺伝子が原因遺伝子であり、病理学的にはTAR DNA-binding protein 43(TDP-43)プロテイノパチーに分類される1,2)。■ 疫学ペリー症候群は、世界でこれまでに20家系を超える報告があり、世界中に分布しているが、わが国からは5家系の報告がある。うち4家系は九州にみられるが、それぞれの変異は異なる。他の家族性パーキンソン病と比較しても、まれな疾患である。■ 病因ペリー症候群は、DCTN1遺伝子が原因遺伝子であり、DCTN1はダイナクチン複合体の最も大きなサブユニットであるp150gluedをコードする。ダイナクチン複合体は微小管に沿って細胞内輸送を行い、ペリー症候群の遺伝子変異はp150gluedの微小管結合部位あるいはその近傍に認める1)。培養細胞研究ではペリー症候群遺伝子変異を過剰発現させた細胞で微小管結合能低下が報告されている3)。病理学的検討によりパーキンソニズムは黒質のドパミン神経細胞脱落と、うつは縫線核や青斑核の神経細胞脱落と、中枢性呼吸障害は延髄腹外側のpre-Botzinger complex(注:Botzingerのoはウムラウトが付く)の神経細胞脱落との関連が報告されている4,5)。体重減少については、視床下部の神経細胞減少との関連の可能性が報告されている4)。ペリー症候群はTDP-43プロテイノパチーに分類されるが、筋萎縮性側索硬化症や前頭側頭型認知症とはTDP-43凝集体の分布が異なり、ペリー症候群では脳幹部、基底核に局在するTDP-43病理がみられる。また、TDP-43凝集体は、neuronal cytoplasmic inclusions(NCIs)、neuronal intranuclear inclusions(NIIs)、dystrophic neurites(DNs)、axonal spheroids、oligodendroglial cytoplasmic inclusions(GCIs)、perivascular astrocytic inclusions(PVIs)に分類され、筋萎縮性側索硬化症や前頭側頭型認知症ではNCIsやGCIsが多くみられるが、ペリー症候群ではNCIsやDNs、PVIsが多くみられる2)。ペリー症候群のTDP-43凝集体の電子顕微鏡像も筋萎縮性側索硬化症や前頭側頭型認知症とは異なり、アルツハイマー病に類似している。筆者らの検討では、ペリー症候群脳ではさらにダイナクチン蛋白凝集もみられたが、これらは筋萎縮性側索硬化症や前頭側頭型認知症ではみられなかった2)。以上よりペリー症候群は、筋萎縮性側索硬化症や前頭側頭型認知症とは病理学的特徴が異なり、新たなTDP-43プロテイノパチーといえる。■ 症状・予後ペリー症候群は、パーキンソニズム、うつ・アパシー、原因不明の体重減少、中枢性呼吸障害の4徴候が特徴である。ペリー症候群は、孤発性パーキンソン病と比較して若年発症で経過が早く、わが国のペリー症候群の発症年齢は48歳前後で(範囲:35~70歳)、罹患期間が約5年(範囲:2~12年)である。筋強剛、動作緩慢、姿勢保持障害がみられ、体重は半年単位で10kg以上の減少がみられる症例が多い。うつやアパシーが高頻度でみられ、うつは重症であることが多い。睡眠障害の合併もみられ、不眠、中途覚醒の頻度が多い。夜間に呼吸不全に陥る症例が多く、死亡原因は呼吸不全、肺炎、自殺、突然死などである。認知機能障害や前頭葉症状、自律神経障害、嚥下障害、垂直性の眼球運動制限などの眼球運動障害の報告もある1)。これまでの家系報告では家系間において類似した臨床症状、臨床経過を呈すると報告されてきたが、大牟田家系(F52L変異)では他の家系と比較し、発症年齢が高く、進行も緩徐である1,3)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査頭部MRIで特異的な所見を示さないことが多いが、進行期に前頭葉萎縮を示す症例や脳血流SPECT検査で前頭葉に血流低下を認める症例もある1)。ドパミントランスポーターシンチグラフィやMIBG心筋シンチグラフィーでの取り込み低下の報告もある1,3)。■ 遺伝学的検査2009年に筆者らとメイヨー・クリニック(米国)のグループによりDCTN1原因遺伝子変異が発見され、現在までに9つの遺伝子変異(p.F52L、p.K56R、p.G67D、p.G71A、p.G71E、p.G71R、p.T72P、p.Q74P、p.Y78C)が報告されている。ペリー症候群の診断においてDCTN1遺伝子変異の検出が必要であるが、遺伝学的検査施行に先立って遺伝カウンセリングを行う必要がある。■ 鑑別診断他の遺伝性パーキンソン病や進行性核上性麻痺、MAPT変異を伴う前頭側頭葉変性症などが鑑別となる。病初期においては孤発性パーキンソン病と鑑別が困難な症例も存在する1,3)。垂直性眼球運動障害を呈するペリー症候群患者の症例もあり、進行性核上性麻痺との鑑別が必要である1)。わが国から、MAPT変異を伴う前頭側頭葉変性症患者で、ペリー症候群患者でみられる4徴候を呈した症例が報告されたが、剖検脳ではTDP-43病理はみられなかった6)。■ 診断基準筆者らは診断基準を作成した1)。作成した診断基準を次に示す。確実例は、(1)パーキンソニズムとパーキンソニズムの家族歴または中枢性の低換気や無呼吸の家族歴を伴い、DCTN1遺伝子変異を認める症例、(2)ペリー症候群の4徴候を認め、DCTN1遺伝子変異を認める症例、(3)ペリー症候群の4徴候を認め、神経病理学的検討で黒質の神経細胞死とTDP-43病理を認める症例である。ただし、DCTN1遺伝子変異以外の遺伝子変異がみられる場合は、黒質の神経細胞死とTDP-43病理を認めること、神経病理で他の神経変性疾患に特徴的な所見がみられた場合は、DCTN1遺伝子変異を検出する必要がある。ペリー症候群診断基準1)(A 症状)(主要症状(家族歴を含む)1)パーキンソニズム(動作緩慢、筋強剛、姿勢時振戦を含む振戦、姿勢保持障害のうち2つ以上の症状)2)うつまたはアパシー3)低換気や無呼吸などの呼吸障害(心疾患や呼吸器疾患に伴わない症状)4)原因不明の体重減少5)パーキンソニズムの家族歴または中枢性の低換気や無呼吸の家族歴支持症状1)5年以内の急速な症状の進行2)50歳未満の発症B 検査項目(遺伝子変異および病理所見)1)DCTN1遺伝子変異2)神経病理学的検討で黒質の神経細胞死とTDP-43病理(主に脳幹や基底核の神経細胞質内のTDP-43陽性の凝集体、神経細胞核やグリア細胞にTDP-43陽性凝集体が認められる)C 参考項目症状1)認知機能障害2)前頭葉症状3)眼球運動障害(垂直性の眼球運動制限など)4)自律神経障害5)睡眠障害検査所見1)頭部MRI/CTは正常もしくは前頭側頭葉の萎縮2)脳ドパミントランスポーターシンチグラフィで線条体への取り込み低下3)MIBG心筋シンチグラフィーで心筋への取り込み低下4)脳血流シンチグラフィーで前頭側頭葉の血流低下D 鑑別診断パーキンソン病、進行性核上性麻痺、MAPT変異を伴う前頭側頭葉変性症など<診断のカテゴリー>・確実1)主要症状の1)パーキンソニズムと5)パーキンソニズムの家族歴または中枢性の低換気や無呼吸の家族歴を伴い、検査項目の1)DCTN1遺伝子変異を認めること。2)主要症状の1)パーキンソニズム、2)うつまたはアパシー、3)低換気や無呼吸などの呼吸障害、4)原因不明の体重減少を伴い、検査項目の1)DCTN1遺伝子変異を認めるか、2)神経病理学的検討で黒質の神経細胞死とTDP-43病理を認めること。※DCTN1遺伝子変異以外の遺伝子変異もしくは神経病理で他の神経変性疾患に特徴的な所見がみられた場合は、検査項目の1)DCTN1遺伝子変異を認めるか、2)神経病理学的検討で黒質の神経細胞死とTDP-43病理を認めることの両方の基準を満たす必要がある。・ほぼ確実主要症状のすべての項目を満たす。・可能性がある主要症状の1)パーキンソニズムと5)パーキンソニズムの家族歴または中枢性の低換気や無呼吸の家族歴を伴い、支持症状の1)5年以内の急速な症状の進行または2)50歳未満の発症を認めること。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)L-dopa治療効果はほぼ全例にみられるが、孤発性パーキンソン病と比較して効果は乏しく、早期に運動合併症がみられる。孤発性パーキンソン病と同様にpundingや衝動制御障害の報告もある1)。うつに対して抗うつ薬などの薬物療法が考慮されるが効果は乏しい1)。中枢性呼吸障害に対しては、人工呼吸器管理が必要である。ペリー症候群患者で横隔膜ペーシングを導入した報告があり1)、人工呼吸器装着を回避できる画期的な治療法となる可能性がある。4 今後の展望ペリー症候群はパーキンソニズム、うつ・アパシー、原因不明の体重減少、中枢性呼吸障害の4徴候がみられ、DCTN1遺伝子が原因遺伝子で、病理学的にはTDP-43プロテイノパチーに分類される。筆者らは前述のようにペリー症候群の診断基準を作成し、臨床、病理、遺伝学的疾患概念としてペリー病への名称変更を提唱した1)。5 主たる診療科神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター ペリー症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Mishima T,et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2018;89:482-487.2)Mishima T, et al. J Neuropathol Exp Neurol. 2017;76:676-682.3)Araki E, et al. Mov Disord. 2014;29:1201-1204.4)Wider C, et al. Parkinsonism Relat Disord. 2009;15:281-286.5)Tsuboi Y, et al. Acta Neuropathol. 2008;115:263-268.6)Omoto M, et al. Neurology. 2012;78:762-764.公開履歴初回2018年07月24日

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エキストラヴァージンオリーブオイルまたはナッツ強化地中海食の順守は心血管病ハイリスクを有するも未発症のコホートにおけるイベント抑制に有用!(解説:島田俊夫氏)-889

 地中海食はこれまで広く心血管病リスクを抑制する食事として受け止められてきた。本論文はスペイン国内多施設による心血管病ハイリスクで心血管病未発症、年齢55〜80歳、7,447名(女性57%)のコホートを対象にカロリー制限のない(1)エキストラヴァージンオリーブオイル強化地中海食群、(2)ミックスナッツ強化地中海食群、(3)低脂肪コントロール食群の3群にランダムに割り付け、約5年間追跡した。ところが無作為割り付け後、一部の世帯で割り付け逸脱が発生した。この事実の判明以前に、採択・掲載済み論文1)は解析に不備があると判断し、疑いを含めた1,558名を除外して新たに行った解析結果は以前の結果と一致を認めたけれども、掲載済み論文は自主的に掲載を撤回した。 新たに行われた統計解析においては、傾向分析を使用し主共変量のバランスを3群間で評価した結果バランスが担保されていることが確認できたが、傾向分析の結果を基にintention-to-treat解析を実施した。対照群に対するハザード比は地中海食+エキストラヴァージンオリーブオイル群、地中海食+ミックスナッツ群ではそれぞれ0.69(95%信頼区間0.53~0.91)、0.72(95%信頼区間0.54~0.95)と対照群に対して有意に低値を示した。今回の解析結果も初回解析の結果と一致した。 今回の解析では1次エンドポイントに関して、全体で288名にイベントが発生した。イベント発生率は地中海食(1)群で3.8%、(2)群で3.4%と、コントロール群の4.4%と比較すると両地中海食群で有意にイベントの発生が低かった。 今回の再解析の結果は、地中海食(1)群および(2)群でコントロール群に比べ、1次エンドポイントである主心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管系の原因による死亡)の発生が有意に抑制されることが明らかになった。地中海食(1)(2)の両群でいずれでもコントロール群に比べ、主イベントの発生が有意に抑制された。強化地中海食2群相互間には概して有意差は認めなかった。本論文に対する筆者コメント 問題はカロリー制限を設けなかったことおよび地中海地域内での比較のため地中海食の食習慣が広く浸透している地域でもあり、コントロール群に地中海食の影響が色濃く反映されている可能性が濃厚で、コントロール群としてふさわしかったか否かに疑問が残るところである。これを踏まえて、この結果をただちに一般化することには慎重でなければならないと考える。 それゆえに、エキストラヴァージンオリーブオイルあるいはミックスナッツ強化食が、地中海食の心血管疾患予防効果を強化する可能性を単に示した結果と受け止めれば、解釈のうえで問題はない。言い換えれば、ナッツやエキストラヴァージンオリーブオイルの食事への強化または補充は、心血管病の発症抑制を強化する補助手段となりうる可能性を示している。

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