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1990~2016年の世界のてんかん負荷調査の分析結果

 てんかんによる発作やその影響は、早期死亡や残存症状などの健康被害の原因となりうる。てんかんの負荷に関するデータは、健康管理計画やリソース配分において必要とされている。世界の疾病負荷(Global Burden of Disease:GBD)2016のてんかん共同研究者らは、てんかんによる健康被害を年齢、性別、年、場所別に定量化することを目的に、GBDのデータを用いて分析を行った。The Lancet. Neurology誌2019年4月号の報告。 1990~2016年の195の国と地域におけるてんかん負荷の評価を行った。年齢、性別、年、場所、社会人口統計学的指標(1人当たりの所得、教育、出生率の複合尺度)による、死亡、罹患率、障害調整生命年(disability-adjusted life-years:DALY、定義は損失生存年数[years of life lost:YLL]と障害生存年数[years lived with disability:YLD]の合計)として負荷を測定した。死亡に関する情報は人口動態登録と口頭剖検(verbal autopsy)より入手し、てんかんの有病率や重症度に関するデータは住民代表調査より得た。すべての推定値は、95%不確実性区間(UI)で算出した。 主な結果は以下のとおり。・2016年の活動性てんかん(特発性および2次性てんかん)の患者数は4,590万人(95%UI:3,990~5,460万)であった(年齢標準化有病率:621.5人/10万人、95%UI:540.1~737.0)。・このうち、活動性特発性てんかん患者は2,400万人(95%UI:2,040~2,770万)であった(有病率:326.7人/10万人、95%UI:278.4~378.1)。・活動性てんかんの有病率は年齢とともに増加し、5~9歳(374.8人/10万人、95%UI:280.1~490.0)および80歳以上(545.1人/10万人、95%UI:444.2~652.0)でピークに達していた。・活動性特発性てんかんの年齢標準化有病率は、男性で329.3人/10万人(95%UI:280.3~381.2)、女性で318.9人/10万人(95%UI:271.1~369.4)であり、SDIの五分位において類似していた。・特発性てんかんの世界的な年齢標準化死亡率は、1.74人/10万人(95%UI:1.64~1.87)であり、男性では2.09人/10万人(95%UI:1.96~2.25)、女性では1.40人/10万人(95%UI:1.23~1.54)であった。・年齢標準化DALYは、182.6人/10万人(95%UI:149.0~223.5)であり、男性では201.2人/10万人(95%UI:166.9~241.4)、女性では163.6人/10万人(95%UI:130.6~204.3)であった。・男性のDALY率が高値であったのは、女性と比較し、YLL率が高値のためであった。・特発性てんかんの年齢標準化有病率の変化は、6.0%(95%UI:-4.0~16.7)と有意ではなかったが、年齢標準化死亡率(24.5%、95%UI:10.8~31.8)および年齢標準化DALY率(19.4%、95%UI:9.0~27.6)では有意な減少が認められた。・SDIの五分位が低い国と高い国との年齢標準化DALY率の違いは、低所得環境におけるてんかん重症度の高さによるものが1/3を占め、SDIが低い国におけるYLL率の上昇が2/3を占めていた。 著者らは「1990~2016年にかけて疾病負荷が減少しているにもかかわらず、てんかんはいまだに障害や死亡に関連する重大な問題である。てんかんに関するデータが不十分な国では、標準化されたデータ収集を強化すべきである。低所得国における既存治療へのアクセス改善や世界的な新規薬剤の開発は、てんかんの負荷を減少させる可能性がある」としている。■関連記事てんかん患者の突然死、腹臥位がリスク因子か世界のてんかん研究を解析、有病率に影響を与える要因は医学の進歩はてんかん発症を予防できるようになったのか

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病棟患者のせん妄、ICU患者との違い

 入院患者ではせん妄がよくみられるが、その疫学はほとんどわかっていない。今回、オーストラリア・オースチン病院のEmmanuel Canet氏らは、病棟患者におけるせん妄患者の人口統計、臨床像、管理、アウトカムがICU患者と異なるかどうかを検証した。その結果、病棟患者のせん妄は、ICU患者のせん妄とは大きく異なり、臨床像は低活動型が優勢で、認知症が先行し、退院時に回復の可能性は低いことが示された。Internal Medicine Journal誌オンライン版2019年3月19日号に掲載。 本研究は、2013年3月~2017年4月にオーストラリアの大学付属病院に入院した患者の後ろ向きコホートで、退院時にICD-10基準を用いてせん妄をコードした。病棟患者100例とICU患者100例のランダムサンプルを調査した。 主な結果は以下のとおり。・入院患者6万1,032例のうち、2,864人(4.7%)がせん妄にコードされた。・ICU患者に比べて、病棟患者では年齢が高く(中央値:84歳vs.65歳、p<0.0001)、認知症であることが多く(38% vs.2%、p<0.0001)、手術を受けていた割合は低かった(24 vs.62%、p<0.0001)。・病棟患者の74%が低活動型せん妄であったのに対し、ICU患者の64%は活動型せん妄であった(p<0.0001)。・退院時の持続性せん妄は病棟患者で多かった(66% vs.17%、p<0.0001)。・多変量解析では、年齢と認知症は持続性せん妄を、手術は回復を予測した。

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心房細動の男性、脳卒中なしでも認知症に注意

 心房細動は脳卒中リスクを増大させ、認知障害や認知症のリスクを増大させる。しかし最近、脳卒中でない場合でもこの関連を示唆するエビデンスが出てきている。そこで、スウェーデン・ヨーテボリ大学のLina Ryden氏らは、コホートから脳卒中患者を除外しなかった場合とした場合の心房細動と認知症発症との関連を調査し、さらに性別や遺伝的因子についても検討した。Journal of Internal Medicine誌オンライン版2019年3月2日号に掲載。 著者らは、ヨーテボリH70出生コホート研究の一環として、2000~01年、70歳の被験者561例について、身体的および神経精神学的な総合検査を実施し、75歳時と79歳時にフォローアップ調査を行った。ベースライン時の心房細動は、ECG、代理報告、National Patient Register(NPR)により確認した。ベースライン時およびフォローアップ時の脳卒中は、自己報告、代理報告、NPRにより確認した。また、ベースライン時およびフォローアップ時の認知症は、神経精神学的検査、代理報告、NPRに基づき、DSM-III-R基準に従って診断した。 主な結果は以下のとおり。・心房細動を有する参加者は、12年間のフォローアップ期間に認知症リスクがほぼ3倍に増加し(HR:2.8、95%CI:1.3~5.7、p=0.004)、このリスクはベースライン時およびフォローアップ時に脳卒中を有する参加者を除いた後も残った。・この関連は、性別で層別した場合に男性のみ(HR:4.6、95%CI:1.9~11.2、p<0.001、性別と心房細動の交互作用:p=0.047)、またAPOE対立遺伝子ε4の非保有者のみ(HR:4.2、95%CI:1.8~9.7、p<0.001、APOEと心房細動の交互作用:p=0.128)で認められた。・心房細動による認知症の人口寄与危険度は13%であった。 著者らは、「無症候性脳血管リスクの指標としての心房細動の関連をさらに調査する必要がある」とし、また「心房細動の患者は認知症状を検査されるべき」と提言している。

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日本の再生医療を世界で勝たせるために/再生医療学会

 本年(2019年)3月に行われた第18回日本再生医療学会総会の中で、外科医でもある衆議院議員 厚生労働委員長の冨岡 勉氏は「再生医療を推進するために政治はどう取り組むべきか」と題して基調講演を行った。世界で戦える日本の再生医療 世界時価総額ランキング上位20社中、1989年における日本企業は14社を占めた。しかし、2018年その数はゼロ。ほぼ米・中の争いである。研究の活性化指標である論文数の国別順位と国別論文シェアをみると、ゲノム編集、免疫療法、核酸医薬などがんゲノムに関連のテーマでわが国は上位にあるものの、その分野でも1位は米・中である。 このような中、日本が世界で勝てる分野の1つが再生医療分野だ。日本の再生医療は、iPS細胞発生国としての高度な技術力、学術コミュニティの活発さ、先進的シーズの存在という強みがある。さらに、再生医療の実用化を促す再生医療推進法などの再生医療3法が2013年に成立し、わが国の再生医療の規制制度は欧米国も模するほど先進的なものとなった。これからの日本の再生医療の戦い このような状況の中、わが国の再生医療等製品の研究は活発化したが、商業的に世界をリードしているとは言えない。承認品目数は欧州の36、米国の21に対し、日本は4製品である。その売り上げはまだ10数億程度であり、世界に渡り合える状況ではない。ただ、開発品目については、現在19と欧米には水をあけられているものの、規制制度の改善などで大きく増加していくと期待される。現在の弱みは、欧米でみられる集中型細胞製造拠点の欠如、商用流通に耐え得る細胞バンクの脆弱性などだという。 日本の再生医療が、今後世界と戦っていくためには、再生医療分野における新規参入を促進する制度整備、細胞を大量調達できる制度整備、再生医療審査の迅速化、医療経済的観点からのアプローチ、融合研究開発を行う中核センターの確立が必要である。冨岡氏は参加者の協力を仰ぎつつ「国会議員連盟はそのために全力を尽くす」と結んだ。

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認知症高齢者における入院前後の抗コリン作用性負荷

 ドイツ・ライプニッツ予防研究疫学研究所のJonas Reinold氏らは、認知症高齢者における入院中の抗精神病薬と抗コリン作用薬の使用変化を評価し、抗精神病薬処方と抗コリン作用性負荷(ACB)の増加に関連する因子について検討を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年2月13日号の報告。 2012~14年にイタリア・ウディネ大学病院に入院した認知症患者のうち、退院時診断を受けた65歳以上の患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。入院前後3ヵ月間の処方薬は、各調剤薬局より収集し、退院時の処方はHospital Electronic Medical Records(EMR)より収集した。ACBは、Anticholinergic Cognitive Burden scoreを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・1,908例中、退院時に抗精神病薬を使用していた患者は37.0%(入院前:9.4%、入院後:12.6%)、抗コリン作用薬を使用していた患者は68.6%(入院前:49.1%、入院後:45.7%)であり、38.4%の患者のACBは、主に抗コリン作用を有する抗精神病薬の使用増加により、退院時の増加が認められた(退院時:33%、入院前:12%)。・退院時の抗精神病薬処方は、抗精神病薬による前治療(調整オッズ比[aOR]:4.85、95%CI:3.37~6.97)、精神状態(aOR:4.39、95%CI:3.47~5.54)、外科部門からの退院(aOR:2.17、95%CI:1.32~3.55)との関連が認められた。・ACBの増加は、精神状態(aOR:1.91、95%CI:1.52~2.39)、外科部門からの退院(aOR:1.75、95%CI:1.09~2.80)、内科部門からの退院(aOR:1.50、95%CI:1.04~2.17)、心不全(aOR:1.41、95%CI:1.00~1.99)との関連が認められた。 著者らは「認知症患者のACBは、退院時に高く、抗精神病薬の使用増加が主な原因であった。認知症高齢者を治療する際、臨床医は、抗精神病薬に関連するリスクとこれらの薬剤の中には抗コリン作用リスクを増加させる可能性があることを知っておく必要がある」としている。■関連記事抗認知症薬と抗コリン薬の併用、アジア太平洋諸国の現状高齢入院患者におけるせん妄と抗コリン薬に関する観察研究認知症における抗コリン薬負荷と脳卒中や死亡リスクとの関連

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食べ物と認知症(解説:岡村毅氏)-1021

 これを食べると認知症にならない、というものはあるのだろうか?「危険な食べ物」などの読み物は世の中にあふれているが、科学とは別物だ。私自身も楽しく読んだり見たりするので、批判はしないが…それに支配されて生活している人がいるのは困った現象だ。 「やれ○○がいいとか悪いとか言いながら好き放題食べている日本人の何と多いことか…」 さて本研究はおよそ四半世紀という長い観察期間をとって、食べ物と認知症の発症の関係をみたものであった。臨床家は皆同意すると思うが、有意な関連はみられなかった。食べ物についてはAHEIという指標で包括的に見ている(個別ではない)点が限界(limitation)といえるが、ほかに現実的なやり方はないであろう。とはいえ、健康的な食生活はほかの多くの疾患を予防するので、健康的な食生活が望ましいことは変わりないので早とちりなきよう。 そもそも、○○を食べると認知症にならないというものが本当にあったとしたら、ヒトの集合知は侮れないので、科学者が指摘する前に、すでに人々はそのような食生活をしていることだろう。 本研究の興味深い報告は、実は、抄録にはない部分である。認知症を発症した人について、発症のはるか前には食生活は変わらないが、少し前から(およそ10年)変わり始めるのである。これは常識に照らし合わせて当然の現象であろう。認知機能が微妙に低下を始め、生活の端々で困難を感じ始めると、ストレスは増えるし、細かい自己制御をしている余裕もなく、ジャンクフードが増えたりすることだろう。なので短期間の観察だと差が出るのだ。 私たちは考え方を抜本的に変えなければならないのかもしれない。予防のために無理して頑張って○○をする、○○を食べる、ではないのだ。○○が健康的で好きだ、残念ながら時期がきて認知症になった、でも○○は続ける、に変わるべき時期かもしれない。 手前味噌で恐縮だが、東京都健康長寿医療センターの宇良研究員らが新潟県でしているRICE Studyは、認知症になっても楽しく稲作をするというものである1,2)。稲作というのは、かの地の高齢者にとっては単なる運動ではなく、深い意味のある行為なのである。社会参加、運動、野菜、仲間など、健康的で幸福な生活習慣というのは、認知症予防の文脈でもよく登場する。認知症になっても、「あなたは認知症だから社会から退場してもうデイケアでボール遊びするだけよ」などと言われずに、これまでの健康的生活を続けることができる社会であってほしいものだ。

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医療者と患者とメーカーの結束が創薬へ

 2月27日、ファイザー株式会社は、「世界希少・難治性疾患の日」に合わせ、「希少・難治性疾患を取り巻く現状と課題 筋ジストロフィー治療の展望・患者さんの体験談を交えて」をテーマにプレスセミナーを開催した。セミナーでは、筋ジストロフィーの概要や希少疾病患者の声が届けられた。希少疾病の解決に必要なエンパワーメント はじめに「筋ジストロフィーの現実と未来」をテーマに小牧 宏文氏(国立精神・神経医療研究センター 病院臨床研究推進部長)が、筋ジストロフィーの中でも予後が悪い、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに焦点をあて講演を行った。 神経筋疾患の多くは進行性で、遺伝子変異に由来し、脊髄前角、末梢神経、神経筋接合部、骨格筋などに影響を及ぼし、さまざまな運動機能を奪う疾患である。最近では、脊柱固定術など対症療法の進歩、人工呼吸器など医療機器の向上もあり、平均死亡年齢は17歳(1976年)から30歳以上(2006年)に伸びている。また、主な死因でみても1980年代では呼吸不全、心不全の順位だったものが、現在では心不全が1位となるなど変化をみせているという。 筋ジストロフィーは、骨格筋だけでなく、呼吸筋、心筋、平滑筋、咀嚼、骨格などに関係する全身性疾患であり、診断から治療、そして予後のフォローまで包括的な診療体制が必要となる。そのため小児科にとどまらず、脳神経内科、整形外科、リハビリテーション科など多領域にわたる連携が必要であり、自然歴を踏まえた定期検査、そして患者のケアを積み重ねていくプロアクティブケア(先回りの医療)が必要と語る。 同時に、治療薬の開発も大切で、そのためには各診療科が連携し、患者の早期発見、臨床研究の実施と個々の患者から得られる臨床データや患者の声を蓄積・シェアし、治療研究に関わることで、その結果を分かちあう仕組み作りが大切だと提案する。そして、この医薬品開発について、期限が限られた大きな目標と捉え、集団で取り組むプロジェクトと説明。成果を出すためにも医療者、患者、企業、公的機関がエンパワーメントを持って取り組むことが期待されると展望を語り、講演を終えた。患者の声を社会に届ける仲立ちに つぎに遠位型ミオパチーという希少疾病患者として織田 友理子氏(NPO法人PADM[遠位型ミオパチー患者会] 代表)が車椅子で登壇し、「超希少疾病とともに歩んだ10年」と題し講演が行われた。講演では、本症の確定診断がついた後、患者の要望などを社会に届けるべく患者会を発足させたこと、治療薬創薬に製薬メーカーへ患者の声を届けるためにNPOを立ち上げるとともに、Webサイト「車椅子ウォーカー」を開設し、同じ境遇の患者がより外へ気軽に出られるように情報提供を行っていることなどを語った。最後に同氏は「自分が今できることは患者として話すことである。患者が個々に持っている、それぞれの幸せが実現できるように、今後も“RDD JAPAN 2019”のような場で病気のこと、患者のことが社会に伝えられるように活動を続けていきたい」と抱負を語った。■参考RDD JAPAN 2019NPO法人PADM車椅子ウォーカー■関連記事希少疾病・難治性疾患特集デュシェンヌ型筋ジストロフィー

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6年ぶりの改訂!『頭部外傷治療・管理のガイドライン(第4版)』発表

 3月8日、第42回日本脳神経外傷学会において、6年ぶりの改訂となる『頭部外傷治療・管理のガイドライン(第4版)』(委員長:冨永 悌二氏[東北大学病院副病院長]、委員57名)の概要が、刈部 博氏(仙台市立病院脳神経外科部長)から発表された。なお、本ガイドラインの出版は、本年秋を予定している。頭部外傷診療現場の変化にガイドラインが対応 現在、頭部外傷の診療現場は、初期診療~後療法~社会復帰支援といった一連の診療が求められるとともに、初期診療に救急医や研修医が占める割合が増加するなど大きな変化が起こっている。この状況に対応するため、新たな『頭部外傷治療・管理のガイドライン』では、画像診断、凝固障害、多発外傷、高次脳機能障害および早期リハビリテーションの項目を充実することに力が注がれた。ガイドラインの対象が広がり、タイトルも「頭部外傷」に変更 以前に比べ、頭部外傷患者として、高齢者軽症例や抗血栓薬使用例が増加していることも大きな変化である。それを受け、新たな『頭部外傷治療・管理のガイドライン』では、対象患者が広がった。具体的には、従来は「成人頭部外傷の中等症・重症」であったが、新ガイドラインではさらに「軽症・中等症からの重症化例」が追加された。 また、対象患者の広がりに合わせてガイドラインのタイトルも従来の「重症頭部外傷」から「頭部外傷」に変更された。新ガイドラインは新たに「頭部外傷における凝固障害」の項目が追加 新たな『頭部外傷治療・管理のガイドライン』は、項目が大きく増え、全12項目、補追4項目から成る。前回に比べ「小児頭部外傷」「高齢者頭部外傷」「スポーツ頭部外傷」「外傷に伴う高次脳機能障害」「外傷に伴う低髄液圧症候群」の項目が充実し、新たに「頭部外傷における凝固障害」「早期リハビリテーション」「外傷急性期の精神障害」「多発外傷」の項目が作られた。 また、推奨グレード、エビデンスレベル、600超の引用文献が明記された点も大きな変更点である。

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中年期の食事内容は認知症リスクと関連するか/JAMA

 中年期の食事内容とその後の認知症発症リスクに、関連は認められないことが示された。フランス・モンペリエ大学のTasnime N. Akbaraly氏らが、8,000例超を中央値25年間追跡した結果で、JAMA誌2019年3月12日号で発表された。これまでに、食事内容と認知機能との関連が観察試験で示されているものの、その多くは認知症の前臨床期を考慮するには追跡期間が不十分で、エビデンスが確認された介入試験はない。11項目の食事内容の質スコア「AHEI」を3期にわたり評価し、認知症発症者を追跡 研究グループは、1985~88年に住民ベースコホート試験を開始し、1991~93年、1997~99年、2002~04年に食事摂取内容に関する評価を行い、2017年3月まで追跡して認知症発症との関連を調べた。 食事摂取内容の評価は、食事摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire:FFQ)から、11項目の食事内容の質スコアを示す代替健康食指数(Alternate Healthy Eating Index:AHEI、スコア範囲:0~110)を導き出した。同スコアとその後の認知症発症リスクとの関連を検証した。 主要アウトカムは、電子カルテで確認された認知症発症とした。11項目のAHEIスコアとも、認知症発症との関連性みられず 1991~93年時点で認知症の認められなかった8,225例を対象に調査を行った。被験者は、平均年齢50.2歳(SD 6.1)、男性が5,686例(69.1%)だった。 中央値24.8年(四分位範囲:24.2~25.1)の追跡期間中に認知症を発症したのは344例だった。1991~93年、1997~99年(追跡期間中央値19.1年)、2002~04年(同13.5年)のAHEIスコア(三分位範囲値)と認知症発症率には、いずれも関連は認められなかった。 1991~93年の、AHEIスコアの最も不良な三分位範囲(食事の質が最も低いことを示す)の認知症発症率は、1.76(95%信頼区間[CI]:1.47~2.12)/1,000人年だったのに対し、中程度の三分位範囲の同発症率の絶対差は0.03(同:-0.43~0.49)/1,000人年、最良の三分位範囲の同差は0.04(同:-0.42~0.51)/1,000人年だった。 1997~99年では、AHEIスコアの最も不良な三分位範囲の認知症発症率は、2.06(95%CI:1.62~2.61)/1,000人年だったのに対し、中程度の三分位範囲の同発症率の絶対差は0.14(同:-0.58~0.86)/1000人年、最良の三分位範囲の同差は0.14(同:-0.58~0.85)/1,000人年だった。 2002~04年についても、AHEIスコアの最も不良な三分位範囲の認知症発症率は3.12(95%CI:2.49~3.92)で、その他の三分位範囲の同発症率の絶対差は、中程度スコアが-0.61(同:-1.56~0.33)/1,000人年、最良スコアが-0.73(同:-1.67~0.22)/1,000人年だった。  多変量解析において、AHEIスコアの1標準偏差増加による認知症発症の補正後ハザード比は、1991~93年、1997~99年、2002~04年それぞれで、0.97(95%CI:0.87~1.08)、0.97(同:0.83~1.12)、0.87(同:0.75~1.00)で、有意性は認められなかった。

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閉経後のホルモン補充療法でアルツハイマー症リスク増加か/BMJ

 閉経後女性への全身ホルモン補充療法では、エストロゲンと併用する黄体ホルモン製剤の種類や開始年齢にかかわらず、長期の投与によりアルツハイマー病のリスクが増大する可能性が、フィンランド・ヘルシンキ大学のHanna Savolainen-Peltonen氏らの検討で示された。ただし、膣内エストラジオール療法ではこのようなリスク上昇はなかった。研究の成果は、BMJ誌2019年3月6日号に掲載された。いくつかの観察研究により、ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクに対し防御的な作用を有する可能性が示唆されているが、この知見はプラセボを対照とするWomen's Health Initiative Memory Study(WHIMS)では支持されていない。WHIMSでは実臨床とは異なり、ホルモン補充療法は65歳以上で開始されていることから、エストロゲンが神経保護的に働くのは、閉経が始まってすぐの時期に投与が開始された場合に限られるとの仮説が提唱されていた。フィンランドの約17万人の閉経後女性の症例対照研究 研究グループは、フィンランド人の閉経後女性において、ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクに影響を及ぼすか、また、このリスクは治療開始年齢や治療期間と関連するかを検討する目的で、全国的な症例対照研究を実施した(ヘルシンキ大学病院などの助成による)。 1999~2013年のフィンランドの全国的な住民薬剤登録から、神経科医または老年病医によりアルツハイマー病の診断を受けた閉経後女性8万4,739例のデータを抽出した。対照として、フィンランドの全国的な住民登録から、年齢および病院の所在地域をマッチさせたアルツハイマー病の診断を受けていない閉経後女性8万4,739例のデータを得た。 条件付きロジスティック回帰分析を用いて、アルツハイマー病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。リスクが9~17%増加、開始年齢は決定因子ではない アルツハイマー病と診断された女性では、8万3,688例(98.8%)が60歳以上であり、4万7,239例(55.7%)は80歳以上であった。アルツハイマー病女性のうち、5万8,186例(68.7%)はホルモン補充療法を受けておらず、1万5,768例(18.6%)が全身療法(エストラジオール単剤、エストロゲンと黄体ホルモン製剤[酢酸ノルエチステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、その他の製剤または配合薬]の併用など)を、1万785例(12.7%)が膣内エストラジオール療法を受けていた。 アルツハイマー病群は対照群に比べ、全身ホルモン補充療法を受けている女性の割合が有意に高く(18.6% vs.17.0%、p<0.001)、膣内エストラジオール療法を受けている女性の割合は有意に低かった(12.7% vs.13.2%、p=0.005)。両群間で、全身ホルモン補充療法の施行期間に有意な差はなかった。 全身ホルモン補充療法の使用により、アルツハイマー病のリスクは9~17%増加した。全身ホルモン補充療法のうち、エストラジオール単剤(OR:1.09、95%CI:1.05~1.14)とエストロゲン+黄体ホルモン製剤併用(1.17、1.13~1.21)で、リスクに差はなかった。エストロゲン+黄体ホルモン製剤併用療法におけるアルツハイマー病のリスク上昇には、個々の黄体ホルモン製剤の種類による差はなく、いずれの薬剤でも有意にリスクが高かった。 一方、治療開始年齢が60歳未満の女性では、投与期間が10年以上に及ぶと、リスクが有意に上昇した(エストラジオール単剤のOR:1.07、1.00~1.15、p=0.04、エストロゲン+黄体ホルモン製剤1.20、1.13~1.26、p<0.005)。また、全身ホルモン補充療法の開始年齢はアルツハイマー病のリスク上昇の確固たる決定因子ではなかった。さらに、膣内エストラジオール療法を専用した場合、リスクへの影響は認めなかった(OR:0.99、95%CI:0.96~1.01)。 アルツハイマー病群では、全身ホルモン補充療法を受けた女性は、膣内エストラジオール療法を受けた女性や、ホルモン補充療法を受けていない女性に比べ、アルツハイマー病の発症時期がより早期であった。 著者は、「絶対値として、ホルモン補充療法を受けている70~80歳の女性1万人当たり、受けていない場合に比べアルツハイマー病の診断が年に9~18件多くなり(発症率:105件/1万人年)、とくに投与を10年以上継続している女性ではリスクが高いと推測される」とまとめ、「ホルモン補充療法の使用者には、アルツハイマー病の絶対リスクの上昇が小さくても、長期の使用に伴うリスクの可能性はあると伝えるべきだろう」としている。

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気候変動と認知症入院リスクとの関連

 人間が引き起こす気候変動がここ数十年で加速しており、健康への悪影響が懸念されている。しかし、高齢者の神経疾患に対する気候変動の影響は、まだよくわかっていない。米国・ハーバード公衆衛生大学院のYaguang Wei氏らは、ニューイングランドにおける認知症の入院と夏季、冬季の平均気温および気温変動との関連について検討を行った。Environment International誌オンライン版2019年2月26日号の報告。 認知症の入院と夏季、冬季の平均気温および気温変動との関連を推定するため、時間依存共変量Cox比例ハザードを用いた。各地域の気温は、衛星画像データを利用した予測モデルを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・夏季(ハザード比[HR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.96~1.00)または冬季(HR:0.97、95%CI:0.94~0.99)の気温が平均よりも高かったとき、認知症関連入院リスクは低下した。一方、気温変動の大きい地域の高齢者では、認知症関連入院リスクが上昇した。・性別、人種、年齢、メディケア二重資格による交互作用(Effect modification)は、サブグループにおける脆弱性を調査するために考慮された。 著者らは「本結果より、平均気温より低いとき、および気温変動が大きいときに、認知症関連入院リスクの上昇が示唆された。気候変動は、認知症の進行やそれに伴う入院コストに影響を及ぼす可能性がある」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか統合失調症患者の入院、1日の気温差が影響気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加(3月18日 記事の一部を修正いたしました)

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第6回 頭痛【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第6回 頭痛「頭痛」は人類の誕生とともに出現したであろうし、その歴史が続く限り存在する、絶えることのない症状の1つと考えられます。したがって、誰もが経験する痛みの症状でもありますし、医療者側としても理解しやすい症状です。頭痛は、精神的なストレスや緊張が大いに関係しています。ある意味では、精神・心理学的問題を基盤とする現代病の1つでもありますし、この種の頭痛に悩まされている患者さんが増加しております。今回は、この頭痛を取り上げたいと思います。片頭痛などのように頭痛のみを主症状とする痛みと、その一方で脳の重大な病変の1症状として頭痛や脳以外の病気の合併症としての頭痛があります。前者を1次性頭痛、後者を2次性頭痛として分類しています。1次性頭痛1)片頭痛女性に多くみられます。頭痛頻度としては数回/月、持続は数時間~3日間程度です。症状として、最初の頃、多くは拍動性ですが、次第に中等度~重度の非拍動性持続性激痛に変わっていきます。もちろん日常生活にも支障を来します。随伴症状としては視野の一部に欠損が生じ、その欠損部の周囲に光輝く色づいたふち飾り様の像が現れる閃輝暗点などの前兆のほかに、光を異常にまぶしく感じたり、音に過敏になったりします。また、完全な半盲や半身のしびれ感や脱力感、言葉が出にくくなったりします。これらの前兆は15~30分程度持続し、その後に頭痛が片側性にみられます。頭痛発作中には悪心・嘔吐や顔面の発汗、錯乱状態を来すこともあります。誘発因子には、精神的ストレスが最も多く、動作、運動、疲労なども挙げられます。また、遺伝素因が認められております。2)緊張型頭痛女性に多くみられます。頭痛頻度としてはほぼ毎日、持続は30分~7日間程度です。症状としては圧迫感、締め付け感がみられます。頭痛は両側性にみられ、程度としては軽度~中等度ですので、日常生活に支障は少ないようです。誘発因子としては、疲れ目、耳の炎症や蓄膿症などの耳鼻科的疾患が考えられます。そのほかに、噛み合わせ不均衡などによって顎関節に負担がかかり、その負担が側頭部に移行して痛みが生じます。また、頸椎症による頸部の神経刺激のために生じる頸部筋肉の収縮や疲労、姿勢も誘発因子になります。随伴症状としては肩こり、疲労、倦怠感などの不定愁訴なども挙げられます。精神的緊張度が高く、神経質な性格の方は緊張性頭痛を発症しやすいようです。3)群発頭痛1次性頭痛の中では最も少ない頻度です。男性に多くみられます。頭痛の頻度としては、群発期では数週間~数ヵ月にわたって連日発症し、寛解期は数ヵ月~数年程度です。症状としては、就寝後30~60分くらいしてから起こる片側性の激しい頭痛です。「眼の奥が抉り取られるような」とか「灼けるような」などの激しい表現がされています。当然のことですが覚醒してしまいます。頭痛側の顔面の紅潮や発汗、眼球結膜の充血、鼻閉、鼻汁、流涙もみられます。持続時間は、15分~3時間程度ですが、頭痛の程度は重度であり、じっとしていられないと表現されています。もちろん日常生活にもかなり支障を来します。誘発因子には、アルコール、ヒスタミンが挙げられておりますが、寛解期にはアルコールを飲用しても頭痛発作は生じません。また、遺伝素因が5%に認められています。2次性頭痛問題となるのは、生命の危機を伴い緊急処置を要する頭痛です。注意すべきは、くも膜下出血、脳出血、髄膜炎、脳腫瘍、急性緑内障、頭部外傷、脳梗塞などです。十分に慎重な診察が必要です。また、頭部に痛みが生じる疾患としては、帯状疱疹関連痛、側頭動脈炎、三叉神経痛、後頭神経痛、大後頭三叉神経症候群、頸椎疾患、副鼻腔炎、顎関節症、心因性頭痛などが挙げられます。それぞれの疾患に関し鑑別診断が重要です。今回は頭痛についてまとめました。上記の分類のほかに牽引性頭痛(脳腫瘍、頭蓋内血腫、水頭症、低髄圧性頭痛などで重く鈍い痛み)、炎症性頭痛(髄膜炎、くも膜下出血、側頭動脈炎、静脈炎、神経炎など自発痛とともに軽刺激でも痛みを生じるようになるもの)、神経痛性頭痛(大・小後頭神経痛、大耳介神経痛、三叉神経痛などで刺すような激しい痛みですが、発作が治まると無症状のもの)、眼・耳鼻・歯疾患性頭痛(緑内障、眼精疲労、眼炎症、眼出血、血管運動性鼻炎、急性・慢性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔変形、鼻咽頭炎、咬合不全、齲歯など)、精神的頭痛(抑うつ状態、神経症、ヒステリーなど)もありますが、注意しなければならないことに、頭痛には混合性も多く含まれていることです。それだけに明確に分類できるものではありませんが、それでも興味を持って診療にあたればきっと役に立つと思います。次回は、「上肢の痛み」を取り上げます。1)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:122-123.2)山村秀夫ほか編集. 痛みを診断する. 有斐閣選書;1984.p.40-56.

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認知症の7つの危険因子、発生リスクへの影響は

 認知症発生の主要な危険因子として、糖尿病、高血圧、肥満、身体不活動、重度の精神的苦痛、喫煙、低学歴がある。東北大学の小瀧 由美香氏らは、大崎コホート2006研究において、これら認知症の7つの危険因子の総数で人口寄与割合(PAF)を推定した。その結果、危険因子総数を減らすことが認知症発生リスクの減少に有意に寄与することが示唆された。Journal of Neurology誌オンライン版2019年3月2日号に掲載。危険因子の総数と認知症発生との間に用量反応関係 本研究は65歳以上の8,563人の地域在住者が対象のコホート研究である。ベースライン調査(2006年)では、認知症の7つの主要な危険因子(糖尿病、高血圧、肥満、身体不活動、重度の精神的苦痛、喫煙、低学歴)に関するデータを収集した。危険因子の総数を曝露変数とし、危険因子の総数(0、1、2、3以上)により参加者を4群に分類した。認知症発生に関するデータは、介護保険データベースを参照した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(95%CI)は、Cox比例ハザードモデルを使用して推定した。さらに、HRとコホートデータにおけるリスク保有割合からPAFを計算した。 認知症の危険因子と発生データを分析した主な結果は以下のとおり。・577人(6.7%)で認知症が発生した。・危険因子の総数と認知症発生との間に用量反応関係が観察された。・年齢・性別で調整したHR(95%CI)は、危険因子がなかった群と比べ、危険因子が1つの群で1.25(0.92~1.70)、2つの群で1.59(1.18~2.15)、3つ以上の群で2.21(1.62~3.01)であった(傾向性のp<0.001)。・参加者の危険因子の総数が全員0個になった場合、PAFは32.2%となる。・参加者の危険因子の総数の分類が全体的に1段階改善した場合、PAFは23.0%となる。

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肥満と認知症リスク

 65歳未満での過体重や肥満は、認知症発症率の増加に影響することが示唆されているが、65歳以上での過体重や肥満では、逆説的であるといわれている。認知症診断前の体重減少、喫煙や体重減少を引き起こす疾患の影響が、相反する結果をもたらしている可能性がある。英国・エクセター大学のKirsty Bowman氏らは、65~74歳の英国プライマリケア集団における認知症診断前の体重減少、短期または長期のBMIとの関連について検討を行った。Age and Ageing誌オンライン版2019年2月6日号の報告。 認知症と診断されていない、ベースライン時にがん、心不全、合併症のない非喫煙者25万7,523例(A群)およびこれらの交絡因子を有する16万1,927例(B群)を対象に14.9年までフォローアップを行った。死亡率は、競合ハザードモデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・A群では、9,774例が認知症と診断された。繰り返し体重測定を行っていた患者の54%において、診断前までの10年間で2.5kg以上の体重減少が認められた。・10年未満の肥満(30.0kg/m2以上)または過体重(25.0~29.9/m2)は、22.5~24.9/m2と比較し、認知症発症率の減少が認められた。・しかし、10~14.9年までの肥満は、認知症発症率増加と関連が認められた(ハザード比[HR]:1.17、95%信頼区間[CI]:1.03~1.32)。・長期の分析では、過体重の保護的関連は消失した(HR:1.01、95%CI:0.90~1.13)。・B群では、6,070例が認知症と診断されており、肥満は、短期または長期の認知症リスク低下との関連が認められた。 著者らは「喫煙、がん、心不全、多発性疾患のない65~74歳における肥満は、長期の認知症発症率の増加との関連が認められた。短期間では、逆説的な関連が認められたことが、相反する結果をもたらした可能性であると考えられる。高齢者の認知症リスクに対する肥満や過体重の保護効果に関する報告は、とくに認知症診断前の体重減少を反映している可能性がある」としている。■関連記事レビー小体型認知症とアルツハイマー病における生存率の違い~メタ解析脂肪摂取と認知症リスクに関するメタ解析中年期以降の握力低下と認知症リスク~久山町研究

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加糖飲料と人工甘味飲料、認知機能との関連は

 砂糖入り飲料(SSB)および人工甘味料入り飲料(ASB)と認知機能低下との関連について結果が一致していない。ASBはカロリーが低く、砂糖の含有量が抑えられているため、SSBより健康的と思われているが、人工甘味料の摂取が認知症リスクと関連していたという報告もある。今回、スペイン・ナバラ大学のMariana I Munoz-Garcia氏らの縦断的な検討では、SSBの摂取で6年後の認知機能低下と有意に関連がみられたが、ASBでは有意ではなかったことが報告された。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2019年2月22日号に掲載。 本研究では、55歳以上の大学卒業生のSeguimiento Universidad de Navarra (SUN)コホートのサブサンプルについて、「認知状態に関するスペイン語での電話インタビュー」(STICS-m)により6年の間隔で2回評価した。SSBとASBの摂取量は、食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて評価した。心血管代謝変数を含む潜在的な交絡因子を調整し、6年でのSTICS-mスコアの変化を従属変数として線形回帰モデルを当てはめた。 主な結果は以下のとおり。・全サンプルにおいて、SSBの摂取とSTICS-mにより評価された認知機能の変化との間に有意な関連が認められ、1杯/月を超えて摂取していた被験者では、摂取経験なし/ほとんどなしの被験者に比べ、−0.43(95%CI:−0.85~−0.02、p=0.04)の変化がみられた。・ASBの摂取との関連は有意でなかったが、ポイント推定値は認知機能低下を示唆する負の値を示した。

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日本におけるレビー小体型認知症の診断、治療に関する調査

 レビー小体型認知症(DLB)は、認知症患者の行動と心理症状(BPSD)を伴う進行性の認知症である。横浜市立大学の小田原 俊成氏らは、日本におけるDLB治療に関して、現在の臨床診断の状況調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年2月5日号の報告。 日本で認知症臨床に携わっている医師を対象に調査を行った。対象医師は、精神科医(P群)と神経内科・脳神経外科医(NS群)の2群に分けられた。DLBの診断と治療、とくにBPSD治療に関するアンケートを実施し、両群間の比較分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・P群は、NS群と比較し、バイオマーカーによる検査頻度が低く、自分自身の治療戦略を決定する頻度が高かった。・両群において、最も治療優先順位の高い症状は、幻覚もしくは妄想であった。・両群において、回答者の70%以上が、BPSDの治療に難渋していた。・非定型抗精神病薬は、P群においてより頻繁に使用されていたが、NS群でも70%の患者に使用されていた。・非定型抗精神病薬の使用が1年以上に上る患者は、3分の1を占めていた。 著者らは「本調査は、DLB患者のマネジメントをするうえで臨床医が直面する問題を浮き彫りにし、DLB患者のBPSDを効果的に治療する必要性を明らかにした」としている。■関連記事認知症のBPSDに対する治療の有効性・安全性比較~メタ解析日本における向精神薬使用とBPSDとの関連は:北大認知症、アルツハイマー型とレビー小体型の見分け方:金沢大学

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インスリン治療、認知症リスクに関連か

 糖尿病は認知症の危険因子と報告されているが、糖尿病治療薬と認知症との関連についての研究は少なく結果も一貫していない。今回、インスリン、メトホルミン、スルホニル尿素(SU)類の使用と認知機能および認知症リスクとの関連について、イスラエル・ハイファ大学のGalit Weinstein氏らが5つのコホートの統合解析により検討した。その結果、インスリン使用と認知症発症リスクの増加および全般的認知機能の大きな低下との関連が示唆された。著者らは、「インスリン治療は、おそらく低血糖リスクがより高いことにより、有害な認知アウトカムの増加と関連する可能性がある」としている。PLOS ONE誌2019年2月15日号に掲載。 本研究では、フラミンガム心臓研究、ロッテルダム研究、Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)研究、Aging Gene-Environment Susceptibility-Reykjavik Study(AGES)およびSacramento Area Latino Study on Aging (SALSA)の5つの集団ベースのコホートの結果を統合した。各コホートにおけるインスリン、メトホルミン、SU類の使用者と非使用者との差について、認知および脳MRIを線形回帰モデルで、また認知低下および認知症/アルツハイマー病リスクを混合効果モデルおよびCox回帰分析を用いて、それぞれ評価した。結果はメタ解析手法を用いて統合され、前向き解析には糖尿病患者3,590例が含まれた。 主な結果は以下のとおり。・血糖コントロール指標を含む潜在的な交絡因子を調整後、インスリン使用が、認知症発症リスクの増加(pooled HR(95%CI):1.58(1.18~2.12)、p=0.002)および全般的認知機能の大きな低下(β=−0.014±0.007、p=0.045)と関連していた。さらに腎機能を調整し、生活習慣の改善のみで治療された糖尿病患者を除いても、認知症発症との関連は変わらなかった。・インスリン使用とアルツハイマー病リスクとの間に有意な関連はみられなかった。・インスリン使用は認知機能および脳MRIに関連していなかった。・メトホルミンやSU類の使用と、脳機能および構造のアウトカムとの間に、有意な関連はみられなかった。・コホート間に有意な異質性は示されなかった。

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レビー小体型認知症のBPSD、対応のポイントは?

 2019年2月20日、大日本住友製薬主催により、レビー小体型認知症(DLB)に関するプレスセミナーが開催され、その中で2つの講演が行われた。DLBは早期介入が重要 初めに、小田原 俊成氏(横浜市立大学 保健管理センター教授・センター長)が、DLBの現状、認知機能障害、行動・心理症状(BPSD)の特徴について講演を行った。 現在、日本国内におけるDLBの推定患者数は、50~100万人程度とされている。しかし、類似疾患との鑑別が難しく、DLBと診断されていない患者も多く存在すると考えられている。実際に、臨床診断されるDLBの割合は4%程度だが、病理診断される割合は20%近いという報告もある。小田原氏によると、「アルツハイマー型認知症(AD)では初期からほとんどの症例で記憶障害を呈する一方で、DLBでは初期から記憶障害を呈するのは3分の1程度である」、「注意・遂行機能や、視知覚機能の障害が、ADよりも強く現れる」といった点がDLBに特徴的だという。さらに、DLBではADに比べ、妄想、幻覚、不安、睡眠障害といったBPSDによる弊害も多い。これらは、患者本人のみならず介護者の大きな負担やQOLの低下に直結するため、「介護者がレビー小体型認知症の特徴的症状を把握し、患者本人に受診動機を持ってもらう。そうすることで、早期に治療介入を行えるようにすることが大切である」と述べた。DLBにおけるBPSD、「運動症状への対応」がカギ 次に、服部 信孝氏(順天堂大学医学部 脳神経内科)より、DLBの非運動・運動症状の特徴について講演が行われた。 DLBの鑑別診断が難しい要因として、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)と病理学的に同一のスペクトラムであるため、両疾患の診断基準を同時に満たすケースが存在することも挙げられると、服部氏は語る。一方、両者を正確に区別することは難しいものの、DLBでは、記憶障害がみられるようになる数年前から、便秘、嗅覚障害、レム期睡眠行動異常症(RBD)、抑うつの症状などが現れる点が特徴的であるという。この中でもとくに「RBD」は、2017年に改訂されたDLBの臨床診断基準で中核的臨床特徴に位置付けられるなど、その重要性が注目されている。中核的臨床特徴には、このほかに「認知機能の変動」、「繰り返す具体的な幻視」、「特発性パーキンソニズム」があるが、パーキンソニズムは、転倒による予後の悪化や、患者のADL・QOL低下、介護者のQOL低下、社会的コストの上昇(パーキンソニズムのスコアが1上昇すると827米ドルのコスト上昇という報告もある)などがみられるため、とくに注意が必要だと服部氏は強調する。その一方で、「DLBのパーキンソニズムに対する薬物療法は、精神症状を悪化させる可能性があるため、精神症状をコントロールしつつ、運動症状を治療していくことが大切。運動症状が悪化する前に、RBDや嗅覚障害などの特徴からDLBを早期に発見し、早期に治療介入していくことが重要である」と述べ、講演を締めくくった。

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脊髄性筋萎縮症〔SMA:spinal muscular atrophy〕

1 疾患概要■ 概念・定義運動神経系は、脳から脊髄の上位運動ニューロンと、脊髄から筋肉の下位運動ニューロンに大別される。脊髄性筋萎縮症(SMA)では、この脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞)が選択的に障害されることにより、下位運動ニューロン障害を示す疾患である。上位運動ニューロン徴候は伴わず、体幹、四肢の近位部優位の筋力低下、筋萎縮を示す1)。■ 疫学筆者らが実施した2017年の1年間における疫学調査では、有病率は総人口10万人当たり1.16、発生率は出生1万人当たり0.6であった。■ 病因SMAの原因遺伝子はSMN1(survival motor neuron 1)遺伝子であり、第5染色体長腕5q13に存在し、同領域に向反性に重複した配列のSMN2遺伝子も存在する(図)。SMN1遺伝子は両親から欠失を受け継ぎ、ホモ接合性の欠失により発症する場合が多い。SMN1遺伝子の下流にはNAIP(neuronal apoptosis inhibitory protein)遺伝子が存在する。臨床的重症度の幅は、SMNタンパク質の発現量、すなわちSMN2遺伝子がどの程度、SMNタンパク質を産生するかで説明できる。臨床像が軽症の場合、SMN1遺伝子欠失ではなく遺伝子変換によりSMN1遺伝子がSMN2遺伝子になること、すなわちSMN2遺伝子の遺伝子産物の量が多くなり、臨床症状の重症から軽症の幅の説明となっている。図 SMAの原因遺伝子(SMN1とSMN2)画像を拡大する■ 分類SMAの分類としては表に示すように、発症年齢、臨床経過に基づき、I型(OMIM#253300)、II型(OMIM#253550)、III型(OMIM#253400)、IV型(OMIM#27115)に分類される。胎児期発症の最重症型を0型と呼ぶこともある。筆者らは運動機能に基づき、I型をIa、 Ib、II型をIIa、 IIb、III型をIIIa、 IIIbにサブタイプ分類し、それぞれの亜型間で運動機能の喪失に有意差があることを示した2)。このような細分類は、薬事承認された核酸医薬品、遺伝子治療薬をはじめ、新規治療薬の長期の有効性評価に有用である。表 最高到達運動機能によるSMAの分類画像を拡大する■ 症状舌や手指の筋線維束性収縮などの脱神経の症状と近位筋優位の骨格筋の筋萎縮を伴った筋力低下の症状を示す。次に型別の症状を示す。I型:重症型、急性乳児型、ウェルドニッヒ・ホフマン(Werdnig-Hoffmann)病筋力低下が重症で全身性である。妊娠中の胎動が弱い例も存在する。発症は生後6ヵ月まで。発症後、運動発達は停止し、体幹を動かすこともできず、筋緊張低下のために体が柔らかいフロッピーインファントの状態を呈する。肋間筋に対して横隔膜の筋力が維持されているため吸気時に腹部が膨らみ胸部が陥凹する奇異呼吸を示す。支えなしに座ることができず、哺乳困難、嚥下困難、誤嚥、呼吸不全を伴う。舌の線維束性収縮がみられる。深部腱反射は消失、上肢の末梢神経の障害によって、手の尺側偏位と手首が柔らかく屈曲する形のwrist dropが認められる。人工呼吸管理を行わない場合、死亡年齢は平均6〜9ヵ月であり、2歳までに90%以上が死亡する。II型:中間型、慢性乳児型、デュボビッツ(Dubowitz)病発症は1歳6ヵ月まで。支えなしの起立、歩行ができないが、座位保持が可能である。舌の線維束性収縮や萎縮、手指の振戦がみられる。腱反射は減弱または消失。次第に側弯が著明になる。II型のうち、より重症な症例は呼吸器感染に伴って、呼吸不全を示すことがある。III型:軽症型、慢性型、クーゲルベルグ・ウェランダー(Kugelberg-Welander)病発症は1歳6ヵ月以降。自立歩行を獲得するが、次第に転びやすい、歩けない、立てないという症状が出てくる。後に、上肢の挙上も困難になる。IV型:成人発症小児期や思春期に筋力低下を示すIII型の小児は側弯を示すが、成人発症のSMA患者では側弯は生じない。それぞれの型の中でも臨床的重症度は多様であり、分布は連続性である。■ 予後I型は無治療では1歳までに呼吸筋の筋力低下による呼吸不全の症状を来す。薬物治療をせず、人工呼吸器の管理を行わない状態では、90%以上が2歳までに死亡する。II型は呼吸器感染、無気肺を繰り返す例もあり、その際の呼吸不全が予後を左右する。III型、IV型は生命的な予後は良好である。2017年のヌシネルセン(商品名:スピンラザ)の薬事承認以降、従来のSMAの予後は大きく変貌した。2020年には遺伝子補充療法オナセムノゲンアベパルボベク(同:ゾルゲンスマ)が2歳未満を適応として薬価収載された。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)上記の臨床症状からSMAを疑う。中枢神経機能障害、関節拘縮症、外眼筋、横隔膜、心筋の障害、聴覚障害、著しい顔面筋罹患、知覚障害、血清クレアチンキナーゼ値が正常上限の10倍以上、運動神経伝導速度が正常下限の70%以下、知覚神経活動電位の異常などの所見がある場合、SMAとは考えにくい。SMAにおいて、遺伝子診断は最も広く行われる非侵襲的診断方法であり、確定診断となる。末梢血リンパ球よりDNAを抽出し、SMN1遺伝子のexon 7、8の欠失の有無にて診断し、SMN2遺伝子のコピー数にて型を推定する。SMN1遺伝子のホモ接合性の欠失はI型、II型では90%以上に認められるが、III型、IV型では低く、遺伝子的多様性が考えられる。筋生検は実施されなくなっている。遺伝学的検査によって欠失・変異が同定されなかった場合に、他の疾患の可能性も考えて実施される。SMAでは、小径萎縮筋線維の大集団、群萎縮group atrophy、I型線維の肥大を示す。筋電図では高電位で幅が広いgiant spikeなどの神経原性変化を示す。SMN遺伝子を原因としないSMAにおいて、指定難病(特定疾患)の診断として筋電図が実施される。また、ヌシネルセンなどの治療・治験の有効性評価としてC-MAPが測定されることもある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)遺伝学的検査によりSMN1遺伝子の欠失または変異を有し、SMN2遺伝子のコピー数が1以上であることが確認された患者へのアンチセンスオリゴ核酸(ASO)薬であるヌシネルセン髄腔内投与3,4)の適応が認められている。乳児型では初回投与後、2週、4週、12週、以降4ヵ月ごとの投与、乳児型以外では初回投与後、4週、12週、以降6ヵ月ごとの投与である。一方、臨床所見は発現していないが遺伝学的検査によりSMAの発症が予測される場合も含み、2歳未満の患者において抗AAV9抗体が陰性であることを確認された患者への遺伝子治療薬オナセムノゲンアベパルボベク静脈内投与が認められている。これは1回投与である。これらの治療開始は、早ければ早いほど有効性も高く、早期診断・早期治療開始が重要である。ベクター製剤の投与では肝機能障害、血小板減少などの副作用が報告されている5)。投与前日からのプレドニゾロン継続投与が必須である。I型、II型では、授乳や嚥下が困難なため経管栄養が必要となる場合がある。また、呼吸器感染、無気肺を繰り返す場合は、これが予後を大きく左右する。I型のほぼ全例で、救命のためには気管内挿管、後に気管切開と人工呼吸管理が必要であったが、上記の治療により人工呼吸管理を要さない例もみられるようになった。I型、II型において、非侵襲的陽圧換気療法(=鼻マスク陽圧換気療法:NIPPV)は有効と考えられるが、小児への使用には多くの困難を伴う。また、すべての型において、筋力に合わせた運動訓練、理学療法を行う。III型、IV型では歩行可能な状態の長期間の維持や関節拘縮の予防のために、理学療法や装具の使用などの検討が必要である。小児においても上肢の筋力が弱いため、手動より電動車椅子の使用によって活動の幅が広くなる。I型やII型では胃食道逆流の治療が必要な場合もある。脊柱変形に対しては脊柱固定術が行われる場合もある。4 今後の展望核酸医薬品はRNAに作用して転写に影響を与えるため、病態修飾治療として症状が固定する前、さらには発症の前に投与することでSMAの症状の発現を抑え、軽減化もしくは無症状化する可能性がある。薬物動態の解析により、高用量による有効性が考えられ、わが国も参加して高用量投与の国際共同治験が開始されている。ヌシネルセンと同様のメカニズムを持つ低分子医薬品経口薬(risdiplam)の開発もなされ治験が実施され、有効性があったとされている。有効性が証明されれば、投与経路が経口であることから負担が軽減するという点でも期待される。アデノ随伴ウイルス(AAV9)をベクターとする遺伝子治療は、疾患の原因であるSMN1遺伝子を静脈注射1回にて投与するもので、第II、第III相試験において乳児への有効性の報告がなされ6)2歳未満を適応として保険収載された。発症前または発症後のできるだけ早期の1回投与で永続的な有効性を示すとされ、次世代のSMA治療といえる。SMAの今後の治療・発症予防としては、遺伝学的解析による新生児スクリーニングを行い、SMN1遺伝子の両アレル性の遺伝子変異を示した例に対する治療により発症抑制を行うことが必要である。これらの治療法の進歩に伴い、SMAの有効性評価の判定にはバイオマーカーの開発が重要である。SMAの有効性評価は、運動機能評価により行われるが、SMAでは年齢や型や運動機能の幅が広く均一の評価法がない。そのために、長期間の有効性を数値などで示すことができない。そこで、均一な評価としてバイオマーカーが必須であると考え、筆者らはイメージングフローサイトメトリーによる血液細胞中のSMNタンパク質量測定を考案した。長期にわたるSMA治療の有効性の指標として有用であると考えている7)。5 主たる診療科小児期発症の場合は神経小児科、15歳以上は脳神経内科が担当する。遺伝学的検査、遺伝カウンセリングは遺伝子診療部が担当する。筆者らの所属する「ゲノム診療科」では、確定診断、出生前診断などの遺伝学的検査とともに、診断・治療・療育などのコンサルトにも対応している。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 脊髄性筋萎縮症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報:SMAは国の指定難病、特定疾患に認定されている。厚生労働省補助事業として、行政・福祉・助成制度をはじめとしたさまざまな情報が掲載されている)SMARTコンソーシアム (患者登録システム)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報:筆者らの運営しているSMARTコンソーシアムは治療を目指す患者登録システム。実績として登録者による治験実施や新規治療の進歩があった)神経変性疾患領域における基盤的調査研究班(研究代表者:中島健二氏) 脊髄性筋萎縮症(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会(患者とその家族および支援者の会:1999年に設立。ホームページにおける情報提供や定期的な会合など活動を行っている)1)SMA診療マニュアル編集委員会(代表 齋藤加代子)編. 脊髄性筋萎縮症診療マニュアル 第1版. 金芳堂;2012.p.1-5.2)Kaneko K, et al. Brain Dev. 2017;39:763-773.3)Finkel RS, et al. N Engl J Med. 2017;377:1723-1732.4)Mercuri E, et al. N Engl J Med. 2018;378:625-635.5)Waldrop MA, et al. Pediatrics. 2020;146:e20200729.6)Mendell JR, et al. N Engl J Med. 2017;377:1713-1722.7)Otsuki N, et al. PLoS One. 2018;13:e0201764.公開履歴初回2019年2月26日更新2021年2月2日

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会員医師の約6割が医師不足・偏在を実感(会員医師アンケート調査報告)

CareNet.comでは、過日、会員医師の方々に「現在・将来の医師不足、偏在について」をテーマにアンケートへのご協力をお願いしました。今回、その結果がまとまりましたので報告いたします。2019年2月20日にCareNet.comの会員医師を対象にインターネット上でアンケートを実施、回答者総数は340名でした。結果概要医師不足・偏在を実感している会員医師は約6割Q1 今回発表された医師不足や偏在、将来の推計の数字は実感できますか。(回答は1つ)1 実感できる2 実感できない「医師の都会志向」「医局人事」など複雑に絡み合う理由Q2で「実感できる」・「実感できない」の具体的理由についてお聞きしたところ、「実感できる」と回答した会員医師のコメントでは「医師の都会志向」、「へき地人口のさらなる減少」、「医局人事が厳しい」などのコメントがあった。また、「実感できない」と回答した会員医師のコメントでは、「医師の絶対数よりも偏在」、「厚生労働省の統計への信頼性」、「医師の頭数ではなく緊急対応の有無」などのコメントが寄せられた。Q2 「Q1」の回答の理由をお聞かせください。「1 実感できる」回答のコメント(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承ください)●地域偏在の問題都市部への集中、へき地医療の衰退医師の将来設計が都会志向地方に医師が残らず、内科志望者も激減都会での勤務を希望する医師が多いという実感地方中核都市でさえ医師が不足している東京への一極集中が問題医師不足地域で勤務しているが、医師1人に対する負担は東京での勤務時とは比べものにならないくらい大変●診療科偏在の問題主要診療科のなり手が減ってきた外科、小児科、産婦人科では医師不足が進むと思う外科や産婦人科の医師がどんどん疲弊している新専門医制度により、さらに内科系が減る可能性近隣の産科が閉院している診療科によって忙しさが違いすぎる内科、とくに循環器、糖尿病内分泌、脳神経内科の医師が少ないように感じる当地域ではマイナー科も不足し、皮膚科受診をする際は予約が3日後になっている近隣の小児科開業医の高齢化が顕著休日、夜間の救急体制では、顕著に医師数が不足当直勤務後に引き続き勤務する先生方が多い都心部では、皮膚科や耳鼻科が非常に多い印象●医学教育、行政の問題医局人事が大変厳しい将来の見通しが立っていたのに、厚生労働省の対応が遅すぎる自分の医療圏では公的病院の医師がどんどん辞めていくどこの医療機関も医師確保に苦労している地域枠で入学した医師はまず不足地域で働くべき身近で医療崩壊が起こっている若い医師の派遣がない●医療そのものの問題医師の就業環境が劣悪すぎるしばらくは高齢者が増加するため、医師が必要になるのは明らか医師の絶対数がやはり不足「2 実感できない」回答のコメント偏在は実感できるが、医師の絶対数が不足しているとは思えない医療の現場で感じる実感と違うが、将来は不足すると思う医師の不足よりも、フリーアクセスや自己負担が少ないことによる過剰受診が問題表面上の数字よりも医師の雑用や勤務内容などの改善が先だと考える厚生労働省の統計はうのみにできない人口過疎地に医療だけ充実させても解決にはならない人口そのものも偏在があるのではないか医師不足県にいるが、実際周囲で医師が不足しているとの声は聞かれない産婦人科や小児科は頭数ではなく、当直や緊急対応ができるか否かが問題コンビニ出店並のクリニック密集地域に住んでいるので実感がない意外にも「内科」も医師不足Q3で「医師不足だと思う診療科」を尋ねたところ、多い順番で「産婦人科」(175)、「外科」(155)、「小児科」(139)、「内科」(136)、「救急科」(119)の順だった。「内科」の回答が多かった点、ひと頃問題になった「麻酔科」を挙げる会員医師が少なかった点から現場のニーズが垣間見られた。Q3 現在、医師が不足していると思う診療科をお選びください。(回答はいくつでも)1 内科2 小児科3 皮膚科4 精神科5 外科6 整形外科7 産婦人科8 眼科9 耳鼻咽喉科10 泌尿器科11 脳神経外科12 放射線科13 麻酔科14 病理科15 救急科16 形成外科17 リハビリテーション科18 その他19 不足していると思う診療科はない画像を拡大する必ずしも医師数増加だけでない解決策もあるQ4で「医師不足・偏在」への解決策について尋ねたところ、多い順に「病院・診療所・クリニックの適正配置」(155)、「診療報酬で地域差を設ける」(119)、「医師の就業の流動性」(107)の順だった。医師への待遇改善と偏在をなくすことで解決できる内容が多くを占めた。また、「8 その他」へ寄せられた提言として、「医師免許の全国区と地域区の2本立て化」、「女性医師の待遇改善」、「患者数の多い診療科の報酬減」、「患者の受診への意識改革と啓発」などの声が寄せられた。Q4 医師不足や偏在の解決には何が必要だと思われますか。(回答はいくつでも)1 医学部の定員増員2 医師の就業の流動性3 専門医制度の改革4 病院・診療所・クリニックの適正配置5 患者の診療抑制の実施6 診療報酬で地域差を設ける7 外国人医師や医師以外の医療者の活用8 その他画像を拡大する「8 その他」で寄せられたコメント(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承ください)●医師や専門医資格への提言地方に魅力ある教育病院を設置し、若手医師を勤務させる地方医師の専門医更新の免除医師国家試験の合格基準を2段階とし、上位は全国区免許、下位は医師不足県限定免許とする。診療実績で全国区免許へ格上げする女性医師の待遇を改善する医師不足が指摘されている診療科へ進む医師へのメリットを増やす勤務医の所得を増やす医学部の地域合格枠の拡大と地域義務年限の引き上げ医師のボランティア的な仕事に対しての十分な報酬適切な人材を医師にすること●医療制度や診療報酬への提言地域枠への補助金制度を直接医師に支払う急性期病院の内科・外科の診療報酬を上げる患者数が多い診療科の診療報酬を削減する開業医を減らす方策、たとえば勤務医の給与控除を増やす医局制度の復活と強制的な医師のローテーション応召義務の廃止都会の大学医学部の統廃合または自治医大化医師の強制配置●社会への提言医師法など時代に合わせたフレキシブルな改正患者の受診への意識改革と啓発アンケート概要内容「現在・将来の医師不足、偏在についてお聞かせください」実施日2019年2月20日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師340名アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。関連記事推計1万6,226人の内科医が2030年に不足16県が医師少数、改正医療法で是正となるか?

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