サイト内検索|page:77

検索結果 合計:2862件 表示位置:1521 - 1540

1521.

脳血管内治療STANDARD

第1回 病気と治療法について第2回 脳血管内治療のセットアップ第3回 治療に必要な血管解剖第4回 穿刺とガイディングカテーテル第5回 急性期脳梗塞第6回 脳動脈瘤(コイル塞栓術)第7回 脳動脈瘤(フローダイバーター)第8回 頚動脈狭窄症第9回 頭蓋内動脈狭窄症第10回 周術期管理 脳血管内治療は、昨今の需要の高まりで脳神経外科医が身につけるべき必須のスキルになりつつあります。本番組では、この分野の第一人者である吉村紳一先生、兵庫医科大学の講師陣が、器材のセットアップから術式ごとの手技のポイント、周術期管理までをレクチャー。現在の脳血管内治療の標準となる知識と技術を網羅しています。脳血管内治療が適応となる代表的な4つの疾患、脳動脈瘤・頸動脈狭窄症・頭蓋内動脈狭窄症・急性期脳梗塞で、吉村先生が手術室から実際に手術を行いながら解説しているのも特徴です。この番組は、メジカルビュー社から刊行されている『脳血管内治療 スタート&スタンダード』と連動しています。実際の手術映像で同書の内容をよりリアルに学ぶことができます。書籍はこちら ↓【脳血管内治療 スタート&スタンダード】第1回 病気と治療法について第1回は、病気と治療法についてです。脳血管内治療の適応となる代表的な4つの疾患、脳動脈瘤・頸動脈狭窄症・頭蓋内動脈狭窄症・急性期脳梗塞から、それぞれに適応する治療法とその術式について詳しく解説していきます。第2回 脳血管内治療のセットアップ脳血管内治療においては、機器のセットアップが非常に重要です。とくに緊急治療においては必要な物品がすぐに取り出せるよう、セットを作っておくことが大切です。第2回では、脳血管内治療で用いる機器の基本的なセットアップについて紹介します。第3回 治療に必要な血管解剖脳血管内治療を行う上で、血管解剖を理解することは極めて重要です。鼠径部の穿刺から始まり、大動脈、頚部血管、頭蓋内動脈の構造を正確に理解すること、また、そのバリエーションを知っておくことは、治療を成功させるために不可欠です。脳動脈の詳細な解剖について紹介します。第4回 穿刺とガイディングカテーテル脳血管内治療を開始する最初のステップが、動脈の穿刺とシースの留置、そしてガイディングカテーテルの誘導です。治療方法、また治療対象によって穿刺の部位やシースの太さ、ガイディングカテーテルの種類などが異なりますが、この回では代表的な治療における機器と操作法について紹介します。第5回 急性期脳梗塞急性期脳梗塞に対する治療についてクリニカルエビデンスの解説、そして実際の手術の様子まで詳しく紹介します。兵庫医科大学脳神経外科で行われている、患者搬入から穿刺までの様子と、動脈硬化性脳梗塞、末梢血管閉塞の治療について、実際の動画を用いながら解説します。第6回 脳動脈瘤(コイル塞栓術)脳動脈瘤に対するコイル塞栓術は、破裂・未破裂どちらの動脈瘤に対しても行われ、近年ではステントを併用して行う機会も増えています。脳動脈瘤コイル塞栓術のエビデンスの解説と、兵庫医科大学で実際に行われた手術の様子をご覧ください。第7回 脳動脈瘤(フローダイバーター)大型・巨大脳動脈瘤においては、従来の開頭手術やコイル塞栓術では、良好な治療結果が得られにくいことが知られています。近年このような動脈瘤に対し、新たな治療機器であるフローダイバーターを用いた治療が可能となりました。この回では、フローダイバーターの留置法について、実際の手術映像を用いて詳しく解説します。第8回 頚動脈狭窄症頚動脈ステント留置術は、頚動脈の高度狭窄症に対する主流の治療となっています。他部位と異なり、治療中に血栓や血管の成分が脳に流れないよう、脳を保護しながら行う必要があります。この回では、対側内頚動脈閉塞を伴う、比較的リスクの高い症例における、治療の工夫について紹介します。第9回 頭蓋内動脈狭窄症頭蓋内動脈高度狭窄症によって脳虚血発作を来した場合に、ステントを用いた血管拡張術が行われることがありますが、本治療は血圧低下や脂質低下などの積極的内科治療に対する優位性が証明されていません。このため、内科治療抵抗例などの限定的な状況で行われていることに注意してください。この回では、その治療の実際と注意点について解説します。第10回 周術期管理脳血管内治療においては、周術期の抗血栓療法が極めて重要になります。また、腎機能低下例や造影剤アレルギーを有する症例においては、とくに注意が必要です。この回では、脳血管内治療の周術管理について詳しく解説します。

1522.

認知症診断後1年以内の自殺リスク

 重度の認知症であれば、自殺を実行するための機能が損なわれることで自殺を防ぐことができるが、初期および軽度の認知症の場合、認知機能が比較的保たれているため、疾患の進行による将来への不安を醸成し、自殺の実行を助長する可能性がある。韓国・延世大学校のJae Woo Choi氏らは、認知症診断を受けてから1年以内の高齢者の自殺リスクについて調査を行った。Journal of Psychiatry & Neuroscience誌オンライン版2020年10月29日号の報告。アルツハイマー型認知症は自殺リスクが高かった 国民健康保険サービスのシニアコホートデータを用いて、2004~12年に認知症と診断された高齢者3万6,541例を抽出した。認知症の定義は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア26以下および臨床的認知症評価尺度(CDR)スコア1以上またはGlobal Deterioration Scale(GDS)スコア3以上とし、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、その他/特定不能の認知症を含めた。性別、年齢、併存疾患、インデックス年で1:1の傾向マッチングを行い認知症でない高齢者を対照群として抽出し、2013年までフォローアップを行った。認知症診断後1年以内の自殺による死亡の調整済みハザード比(aHR)を推定するため、時間依存的Cox比例ハザードモデルを用いた。 認知症診断を受けてから1年以内の高齢者の自殺リスクの調査の主な結果は以下のとおり。・認知症診断後、最初の1年間で46例の自殺が確認された。・認知症高齢者は、対照群と比較し、自殺リスクが高かった(aHR:2.57、95%信頼区間[CI]:1.49~4.44)。・アルツハイマー型認知症(aHR:2.50、95%CI:1.41~4.44)またはその他/特定不能の認知症(aHR:4.32、95%CI:2.04~9.15)の高齢者は、対照群と比較し、自殺リスクが高かった。・他の精神疾患を合併していない認知症患者(aHR:1.96、95%CI:1.02~3.77)および合併している認知症患者(aHR:3.22、95%CI:1.78~5.83)は、対照群と比較し、自殺リスクが高かった。・統合失調症(aHR:8.73、95%CI:2.57~29.71)、気分障害(aHR:2.84、95%CI:1.23~6.53)、不安症または身体表現性障害(aHR:3.53、95%CI:1.73~7.21)と認知症を合併している患者は、認知症を合併していない各疾患の患者と比較し、自殺リスクが高かった。 著者らは「本研究は、自殺率の高い韓国の高齢者を対象とした試験であり、異なる背景を有する集団に本結果をそのまま当てはめるには、注意が必要である」としながらも「認知症診断後1年以内での自殺リスクの上昇が認められた」としている。

1523.

第24回 風邪薬1箱飲んだら、さぁ大変!【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)若年者の嘔気・嘔吐では必ず鑑別に!2)拮抗薬はきちんと頭に入れておこう!【症例】26歳女性。ご主人が帰宅すると、自宅で繰り返し嘔吐している患者さんを発見し、辛そうにしているため救急要請。救急隊からの情報では、リビングの机の上には市販薬の空箱が数箱あり、嘔吐物には薬塊も含まれていた様子。●受診時のバイタルサイン意識10/JCS血圧119/71mmHg脈拍98回/分(整)呼吸25回/分SpO299%(RA)体温36.2℃瞳孔3/3 +/+既往歴特記既往なし内服薬定期内服薬なし最終月経2週間前風邪薬の成分とはみなさん風邪薬を服用したことがあるでしょうか? 医療者はあまり使用することはないかもしれませんが、一般の方は風邪らしいなと思ったら薬局などで購入し、内服することは多いでしょう。救急外来や診療所に発熱や咳嗽を主訴に来院する患者さんの中には、市販薬が効かないから来院したという方が一定数いるものです。市販薬を指定されている量を内服している場合には、それが理由でとんでもない副作用がでることはまれですが、当然服用量が過剰になればいろいろと問題が生じます。風邪薬の成分は、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの解熱鎮痛薬、クロルフェ二ラミンマレイン酸塩などの抗ヒスタミン薬、ジヒドロコデインリン酸塩などの鎮咳薬、そして無水カフェインが含まれている商品が多いです。今回は救急外来で遭遇する頻度が比較的高い「アセトアミノフェン中毒」について重要な点をまとめておきます。その他、カフェイン、ブロン、ブロムなども市販薬の内服で起こり得る中毒のため、是非一度勉強しておくことをお勧めします。アセトアミノフェンの投与量以前、アセトアミノフェンは1日最大量1,500mg(1回最大量500mg)と少量の使用しか認められていませんでしたが、2011年1月から1日最大量4,000mg(1回最大量1,000mg)と使用可能な量が増えました。また、静注薬も発売され、みなさんも外来で痛みを訴える患者さんに対して使用していることと思います。高齢者に対しても、肝機能障害やアルコール中毒患者では2,000〜3,000mg/日を超えないことが推奨されていますが、そうでなければ1回の投与量は10〜15mg/kg程度(1,000mgを超えない)が妥当と考えられています。アセトアミノフェン中毒とはアセトアミノフェンは、急性薬物中毒の原因物質として頻度が高く、救急外来でもしばしば遭遇します。最も注意すべきは肝障害であり、アセトアミノフェン中毒で急性肝不全を呈した患者の3週間死亡率は27%と非常に高率です1)。そのため、十分量使用しながらも中毒にならないように管理する必要があります。アセトアミノフェンの大部分は肝臓で抱合され尿中に排泄されますが、一部は肝臓で分解され、N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)を生成し、これをグルタチオンが抱合することで尿中に排泄されます。NAPQIは毒性が高いのですが、アセトアミノフェンが適正の量であれば、グルタチオンによって解毒されます。しかし、過剰量の場合には、グルタチオンが枯渇し、正常の30%程度まで減少するとNAPQIが蓄積、肝細胞壊死へと進行してしまいます2)。そのため、アセトアミノフェンを過剰に摂取した場合には、グルタチオンを増やすことが必要になるわけです。NACとは中毒診療において重要なこととして、拮抗薬の存在が挙げられます。拮抗薬が存在する薬剤は限られるため頭に入れておきましょう(参考:第7回 意識障害その6 薬物中毒の具体的な対応は?)。アセトアミノフェンに対する拮抗薬はN-アセチルシステイン(NAC)です。NACは、グルタチオンの前駆体であり、中毒症例、特に肝細胞壊死へと至ってしまうような症例では必須となります。タイミングを逃さず、NACの投与が開始できれば肝不全は回避できます。ちなみにこのNAC、投与経路は経口です。静注ではありません。臭いをかいだことがある人は忘れない臭いですよね。腐った卵のあの臭い…。NACはいつ投与するかそれではいつNACを投与するべきでしょうか。アセトアミノフェンの血中濃度が迅速に判明する場合には、その数値を持って治療の介入の有無を判断することがある程度することが可能です。ちなみに、アセトアミノフェン摂取後の経過時間を考慮した血中濃度で判断する必要があり、内服直後の数値のみをもって判断してはいけません。一般的には4時間値が100μg/mLを超えているようであればNAC開始が望ましいとされます(以前は150μg/mLでしたが、肝障害発症の予防を強固に、そして医療費の削減のため基準値が下げられました)。“Rumack-Matthewのノモグラム”は有名ですね2)。そのため、摂取時間を意識した測定、経過観察が大切です。測定が困難な場合には、内服した量から推定するしかありません。アセトアミノフェンを150mg/kg以上(50kgであれば7,500mg)服薬していた場合にはNAC療法が推奨されます。この7,500mgという量をみてどのように思いますか? 前述した通り、アセトアミノフェンの1日の最大投与量として許容されている量は4,000mgです。中毒量が目の前に存在することがよくわかると思います。痛みに悩む患者さんは多く、処方されている薬を飲み過ぎてしまうと、簡単に中毒量に達してしまう可能性があるため注意が必要なのです。1箱飲んだら危険製品にもよりますが、アセトアミノフェンが含有される風邪薬や頭痛薬など鎮痛薬と称される市販薬は、1錠に含まれるアセトアミノフェンは80~200mg程度と少量の物が多いのですが、1箱80錠のものも存在します。また、インターネット上で購入しようと思えば500mg錠100錠など、中毒量を購入することは簡単にできてしまうのが現状です。初療時のポイントは、本症例のように嘔気・嘔吐を認める患者など過量内服患者を拾い上げること、そしてNACの適応となり得る量を内服していないかを血中濃度や推定内服量から見積もり判断することです。さいごにアセトアミノフェンは使用し易く、処方する機会は多いと思います。しかし、使用方法を間違ってしまうと肝不全へ陥ってしまう可能性のある恐い薬でもあります。安全な薬というイメージが強いかもしれませんが、いかなる薬もリスクであるため、処方する際には正しい内服方法を丁寧に患者さんに説明しましょう。また、過量内服患者ではNACの適応を理解し、肝障害を防ぎましょう。1)Ostapowicz G,et al. Ann Intern Med. 2002;137:947-954.2)Heard KJ. N Engl J Med. 2008;359:285-292.

1524.

“みえない”健康課題に対して、どのように向き合っていくか?

 2020年11月18日(水)に日本イーライリリー株式会社主催のオンラインプレスセミナーが開催され、“みえない多様性”について、社会医療法人 寿会 富永病院 副院長 脳神経内科部長・頭痛センター長の竹島 多賀夫氏が、職場に与える影響を片頭痛の事例から語った。また、日本イーライリリー コーポレート・アフェアーズ本部の山縣 実句氏からは、「“みえない多様性”に優しい職場づくりプロジェクト」の紹介があった。 竹島氏は、「片頭痛など、みえない健康課題を抱える人を理解し、職場環境の整備や発作時に配慮することが大切。仕事の生産性が向上するだけでなく、患者さんの人生にも良い影響を及ぼすだろう」と述べた。 「健康で働きやすい職場」の環境づくりを考えるうえで、このような啓発活動は重要であり、今後も広がっていくと考える。みえない健康課題の代表「片頭痛」が日常生活や職場に与える影響 片頭痛は女性に多く、症状として頭痛以外にも疲労や感覚過敏、光過敏などが生じることから、患者のQOLを著しく低下させ、日常生活に支障を来す。日常生活への支障を重症度で表すと、活動性精神病や認知症、四肢麻痺と同レベルの、重症度が一番高いところに位置する。片頭痛の患者では、日常生活や仕事への支障による生産性低下の割合も多くみられている。片頭痛を我慢して働く人は90%以上 片頭痛の症状が仕事に及ぼす影響に関して、日本イーライリリーが独自で実施したインターネット調査※では、疾患のつらさを我慢しながら働く人は90%以上いることがわかった。症状を我慢して周囲に伝達できない理由として、「伝える必要がないと思ったから」が49%、「伝える機会がなかったから」が36%と、1人で「つらさ」と向き合っている人が多いことも確認された。みえない「つらさ」を抱えながら働く人に、伝える機会やきっかけが必要とされている。“みえない多様性”に優しい職場づくりプロジェクトの発足 このようなことから、片頭痛をはじめ、さまざまな健康課題による痛みなどの症状や、周囲に理解されないことにより生じる当事者の「不安、支障、働きづらさ」は、“みえない多様性”と定義された。この“みえない多様性”があることを知り、当事者と周囲の人との相互理解を深めることで、一人ひとりが行動を変え、誰もが働きやすい環境をつくることを目的として、同社は健康経営に取り組む企業とともに「“みえない多様性”に優しい職場づくりプロジェクト」を発足させた。社員のみえない健康課題を理解するためのツール “みえない多様性”に優しい職場づくりプロジェクトでは、健康経営に関心がある人、管理職、健康課題を抱える当事者を対象とした、みえない多様性に関する解説・事例紹介・カードゲームを使用して議論しながら理解を深めていく啓発ツールが開発された。啓発ツールを使って片頭痛のみならず、さまざまな健康課題を抱える人にとって、働きやすい職場環境が社会全体に広がることが期待されている。まとめ “みえない多様性”に優しい職場づくりプロジェクトの活動が社会全体に広がっていくことで、健康に悩みを抱えていても、周囲の人へ伝えてよい、我慢しなくても大丈夫であるという安心感が生まれ、働くことに対して価値を見いだすことができるのではないだろうか。それが生産性の向上につながり、より良い社会の実現に必要であると考える。※インターネット調査の概要・調査名:「片頭痛、腰痛、およびアレルギー性鼻炎の患者さんの症状と仕事への影響に関するインターネット調査」(実施:日本イーライリリー株式会社)・調査期間:2020年10月5日~15日・調査手法:インターネット調査・調査地域:全国・調査対象と回収サンプルサイズ:合計674件(片頭痛:168件、腰痛:169件、アレルギー性鼻炎:165件)

1525.

再び複数形で祝福だ!高齢者を国の宝とするために【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第30回

第30回 再び複数形で祝福だ!高齢者を国の宝とするために日本で行われた素晴らしい臨床研究であるELDERCARE-AF試験の結果がNEJM誌に掲載されました(N Engl J Med 2020;383:1735-1745)。心房細動があるとはいえ、通常用量の抗凝固療法がためらわれるような、出血リスクが高い80歳以上の高齢日本人を対象とした試験です。低用量NOACによる抗凝固療法が、大出血を増やすことなく脳卒中/全身性塞栓症を抑制することを示しました。この研究の参加者の平均年齢は86.6歳で、過半数の54.6%が85歳超えでした。このような高齢者は、ランダマイズ研究の除外基準に該当するのが常でした。高齢者に適応可能なエビデンスが存在しない中で、現場の医師は高齢の心房細動患者への対応を迫られています。脳卒中の減少と出血増加のバランスにおいて、試験の結果を慎重に解釈する必要がありますが、高齢者を対象としたエビデンスが登場したことは高く評価されます。日本社会は、高齢化において世界のトップランナーです。65歳以上の高齢者が全人口に占める割合である高齢化率が、7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」とされます。日本は1970年に高齢化社会、1994年に高齢社会、2007年に超高齢社会へと突入しました。高齢化社会から高齢社会となるまでの期間は、ドイツは42年、フランスは114年を要したのに対し、日本はわずか24年で到達しています。今後も高齢化率は上昇し、2025年には約30%、2060年には約40%に達すると予測されます。ある日の小生の外来診察室の風景です。「昨日、誕生日だったんですね。おめでとうございます!」電子カルテの年齢欄に、87歳0ヵ月と表示された女性患者さんに誕生祝いの声がけをしたのです。電子カルテは、誕生日を迎えたばかりの方や、間もなく誕生日の方が簡単にわかるので便利です。「87歳にもなって、めでたくなんかないですよ。これ以上、年はとりたくない」患者さんは、一見ネガティブな返答をしますが満面の笑みです。「今日まで長生きできてよかったね。年をとれることは素晴らしいことですね。おめでとう」外来では、誕生日の患者さんに必ず祝意を伝えることにしています。誕生日を祝福する意味はなんでしょうか。その意味は、その方の存在を肯定することにあります。子供の誕生日に成長を祝うこととは、少し意味合いが違います。自己の存在を肯定されることは、人間にとって最も満足度の高いことで、その節目が誕生日です。高齢人口が急速に増加する中で、医療、福祉などをどのように運用していくかは喫緊の課題です。逃げることなく正確に現状を把握し、次の方策を練ることは大切です。その議論の過程で、負の側面を捉えて嘆いていてもはじまりません。歴史上に類を見ない超高齢化社会の日本を世界が注目しています。対応に過ちがあれば同じ轍を踏むことがないようにするためです。今、必要なのは高齢者の存在を肯定する前向き思考です。高齢者を国の宝として活用するのです。その具体的成功例が、このELDERCARE-AF試験ではないでしょうか。高齢者医療のエビデンスを創出し、世界に向けて発信していくことは、高齢化社会のトップランナーである日本であるからこそ可能であり、むしろ責務です。あらためて、ELDERCARE-AF試験に関与された皆様に敬意を表し、複数形で祝福させていただきます。Congratulations!

1526.

70歳以上、ビタミンD・ω3・運動による疾患予防効果なし/JAMA

 併存疾患のない70歳以上の高齢者において、ビタミンD3、オメガ3脂肪酸、または筋力トレーニングの運動プログラムによる介入は、拡張期または収縮期血圧、非脊椎骨折、身体能力、感染症罹患率や認知機能の改善について、統計学的な有意差をもたらさなかったことが、スイス・チューリッヒ大学のHeike A. Bischoff-Ferrari氏らが行った無作為化試験「DO-HEALTH試験」の結果で示された。ビタミンD、オメガ3および運動の疾患予防効果は明らかになっていなかったが、著者は「今回の結果は、これら3つの介入が臨床アウトカムに効果的ではないことを支持するものである」とまとめている。JAMA誌2020年11月10日号掲載の報告。8群に分けて3年間介入、血圧、身体・認知機能、骨折、感染症などへの影響を評価 研究グループは、ビタミンD3、オメガ3、筋力トレーニングの運動プログラムについて、単独または複合的介入が、高齢者における6つの健康アウトカムを改善するかを検討した。70歳以上で登録前5年間に重大な健康イベントを有しておらず、十分な活動性があり認知機能が良好な高齢者2,157例を対象に、二重盲検プラセボ対照2×2×2要因無作為化試験を実施した(2012年12月~2014年11月に登録、最終フォローアップは2017年11月)。 被験者は無作為に、次の8群のうちの1つに割り付けられ3年間にわたり介入を受けた。2,000 IU/日のビタミンD3投与・1g/日のオメガ3投与・筋力トレーニングの運動プログラム実施群(264例)、ビタミンD3・オメガ3投与群(265例)、ビタミンD3投与・筋トレ実施群(275例)、ビタミンD3投与のみ群(272例)、オメガ3投与・筋トレ実施群(275例)、オメガ3投与のみ群(269例)、筋トレ実施のみ群(267例)、プラセボ群(270例)。 主要アウトカムは6つで、3年間にわたる収縮期・拡張期血圧(BP)の変化、Short Physical Performance Battery(SPPB)、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)、非脊椎骨折および感染症罹患率(IR)であった。6つの主要エンドポイントを複合比較し、99%信頼区間(CI)を示し、p<0.01を統計学的有意差と定義した。いずれも有意な影響はみられず 無作為化を受けた2,157例(平均年齢74.9歳、女性61.7%)のうち、1,900例(88%)が試験を完了した。フォローアップ期間中央値は2.99年であった。 全体的に、3年間の個別の介入または複合介入について、6つの主要エンドポイントに対する統計学的に有意なベネフィットは認められなかった。 たとえば、収縮期BPの平均変化差は、ビタミンDあり群とビタミンDなし群の比較では-0.8(99%CI:-2.1~0.5)mmHgで有意差なし(p=0.13)、オメガ3あり群とオメガ3なし群の比較では-0.8(-2.1~0.5)mmHgで有意差なし(p=0.11)であった。拡張期BPの平均変化差は、オメガ3あり群とオメガ3なし群では-0.5(-1.2~0.2)mmHgで有意差なし(p=0.06)であり、また、オメガ3あり群とオメガ3なし群の感染症罹患率の絶対差は-0.13(-0.23~-0.03)、IR比は0.89(0.78~1.01)で有意差はなかった(p=0.02)。 SPPB、MoCA、非脊椎骨折のアウトカムへの影響は認められなかった。 全体で死亡は25例で、群間で差はなかった。

1527.

第33回 発症までに約20年の認知症、新たな治療薬を短期の臨床試験で判断すべき?

これほど世間にぬか喜びをもたらした新薬候補はほかにあるだろうか? 米・バイオジェン社が今年7月に米食品医薬品局(FDA)へ承認申請し、現在、優先審査の指定を受けているアルツハイマー型認知症治療薬候補のアデュカヌマブのことだ。優先審査指定により、FDAは来年3月7日までに承認可否を判断する予定だが、これに向けて最重要関門であるFDA末梢・中枢神経系薬物諮問委員会が11月6日に開催された。しかし、そこでの委員の採決ではほとんどが試験結果に否定的な見解を示した。平成26年度厚生労働科学研究費「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によると、2020年時点の認知症有病者数は602~631万人、65歳以上での有病率は17.2~18.0%である。同推計での2030年の有病者数は744~830万人、65歳以上での有病率は20.8~23.2%にまで達する。認知症の中でも患者数の約7割を占めるのはアルツハイマー型認知症であり、下衆な言い方をすれば、製薬企業にとって新薬開発に成功すればとてつもない「メガマーケット」になる。ところがアルツハイマー型認知症治療薬は、日本のエーザイが世に送り出した世界初の治療薬の塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)も含めて現時点では4成分しかなく、日本では2011年7月以降約10年も新薬は登場していない。これは海外でも同じだ。この不思議な空白期間の原因は、単純に製薬企業による新薬開発で失敗が続いてきたからである。そもそも既存のアルツハイマー型認知症治療薬は、いずれも神経伝達物質の分解酵素の働きを抑え、結果として脳内で減少しつつある神経伝達物質を増やして記憶障害などを改善する。しかし、周囲がアルツハイマー型認知症とわかるような高齢患者にこれらの薬を投与しても、効果を実感できるのは1年程度と言われる。最終的に神経細胞そのものが死滅してしまうためであり、いわば「電線(神経細胞)のないところに電気(神経伝達物質)は通らない」のだ。ならば電線(神経細胞)が破壊されるのを防げばよいことになる。その後の研究で、アルツハイマー型認知症患者の脳内では病状の進行とともにアミロイドβ(Aβ)やタウと呼ばれるタンパク質が異常蓄積していることが判明。これらが神経細胞を死滅させる原因と考えられた。ちなみにAβは、体内のあらゆる細胞にあるAβ前駆体タンパク質(APP)に酵素が働くことで作り出される。この結果、過去10年の新薬開発は、APPからAβを作り出す酵素βセクレターゼの働きを抑えるβセクレターゼ(BACE)阻害薬、脳内に沈着したAβを人工的な抗体で排除する抗Aβ抗体の2つのタイプが主流となった。冒頭で取り上げたアデュカヌマブは後者のタイプである。ところが2012年から2019年秋までにBACE阻害薬候補、抗Aβ抗体候補とも各3成分が相次いで有効性不十分で開発を中止。その中で次期新薬として最も有望視されていたのがアデュカヌマブだった。アデュカヌマブの初期の臨床試験では、投与患者の脳内を放射性診断薬を用いた画像診断で評価すると、アデュカヌマブ投与で脳内のAβ量は減少し、認知機能テストでも症状悪化が認められないことがわかった。この結果は科学誌「ネイチャー」に報告された。そもそも脳内Aβの定量化は、放射性診断薬の不安定さもあってかなり困難な作業であり、それを実現しただけでなく、その量の減少と定性指標を定量指標化したともいえる認知機能テスト結果との良好な相関を示せたのは当時アデュカヌマブぐらい。否が応でも期待は高まっていた。ところが2019年3月、バイオジェンは2つの第III相試験の無益性解析の結果、主要評価項目の達成は困難として開発中止を発表。バイオジェンとアデュカヌマブの共同開発・共同販促に合意していたエーザイの株価も一気に3割も下落した。競合他社の開発担当者ですら、この結果に「落胆のあまり言葉もでない」と吐露したほどだ。この時点で2020年代前半までのアルツハイマー型認知症の新薬登場は絶望視された。ところがそれから7ヵ月後の2019年10月、どんでん返しが起こる。バイオジェンが症例を追加して再解析を行った結果、中止した第III相試験のうちEMERGE試験では、アデュカヌマブの高用量投与群はプラセボ群に比べ、主要評価項目である臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB)で有意に症状悪化を抑制したことがわかったのだ。もう一つの第III相試験であるENGAGE試験では主要評価項目のCDR-SBを達成しなかったものの、サブグループ解析でEMERGE試験を支持する結果が得られたとして、この2つの試験結果に、第Ib相試験のPRIME試験も加え、バイオジェンはFDAに承認申請を行った。しかし、冒頭で触れたように諮問委員会はアデュカヌマブにほぼ否定的な見解を示した。諮問委員会の審議内容に法的拘束力はなく、最終的にアデュカヌマブが承認される可能性も残っているが、アデュカヌマブの有効性を認めることに対する委員の判断は拮抗したものではなく、圧倒的な反対多数であり、現状での承認にはかなり暗雲が立ち込めている。もっとも私個人はアデュカヌマブの承認可否にかかわらず、アルツハイマー型認知症治療薬の研究開発の在り方そのものを見直すべき時期に来ているのではないかと思っている。まず、近年、失敗続きのアルツハイマー型認知症治療薬の標的としてAβは正しいのか、すなわちAβ原因説が正しいのかという問題はある。現時点ではアルツハイマー型認知症の進行とともに患者の脳内にAβの蓄積が進むため、「これが原因だろう」と推定されているに過ぎない。そして実は根本の原因は別にあり、Aβの蓄積は、アルツハイマー型認知症の進行で併発的に起こっている可能性も否定できないことは確かだ。ここではまずAβが原因の一つである前提で考えてみたい。その場合の第一の問題はこれまでの研究からAβの蓄積開始から本格的なアルツハイマー型認知症の発症までは約20年は要すると言われている点である。つまりAβを標的とした治療薬候補の場合、有効性を確認するためには1~2年程度の評価では不十分である可能性があるということである。第二の問題はアルツハイマー型認知症では、一定以上症状が進んでしまうと、既存薬やこれまで開発された新薬候補のいずれも効果を発揮せず、効果が得やすいのは軽症あるいはそれ以前の前駆期と呼ばれる自分自身はおろか周囲も認知症であると気づかない患者であるという点だ。当然そうした人は医療機関を受診するわけもなく、どこにどの程度いるかすらわからない。これらを総合すると、Aβを標的としたアルツハイマー型認知症の治療薬候補に関する臨床試験では、病識のない不特定多数から対象者を見つけ出し、なおかつその人に治療薬候補を投与して緩やかな症状の進行抑制を長期間観察しなければならないわけだ。ざっくり考えただけでも必要な症例数、観察期間は膨大である。しかも、アルツハイマー型認知症の場合、病状進行や症状改善に関して厳密な意味での定量評価指標は乏しい。つまり厳格に臨床試験を行おうとすればするほど、既存の枠組みを超え、製薬企業の開発費用は莫大なものになる。一方、Aβがアルツハイマー型認知症の原因ではないのなら、新たなターゲットを探索するということになる。ただ、高齢化進展と医学の進歩とともに、前述のAβ原因説に立脚した場合のように、端緒となる原因から発症までの期間が長く、それを早期に抑えるために事実上無症状のような対象を想定した薬剤開発を行なわなければならないという事例は今後十分に想定しうることである。つまるところ現在行われているAβを標的としたアルツハイマー型認知症治療薬候補の臨床試験を入口に、一製薬企業による臨床試験の範疇を超え、アカデミア・行政が連携した規模の大きい公的財政出動を加えた新薬開発の枠組みも検討すべき時期に差し掛かっていると言えるかもしれない。

1528.

転倒リスクを測定、立位年齢を1分で測定できる「StA2BLE」とは

 皆さんはご自身の転倒リスクについて意識したことがあるだろうか? 転倒はQOLの低下を招くばかりか要介護の原因となる。そのため、国の政策でも転倒予防が掲げられているが、アンメットメディカルニーズであることから抜本的な解決にはつながっていない。 10月26日にWeb開催された日本抗加齢協会主催『第2回ヘルスケアベンチャー大賞』において、転倒リスクを回避できる画期的な技術についてプレゼンテーションした、合同会社アントラクトの「StA2BLEによる転倒リスク評価と機能回復訓練事業」が大賞に選ばれた。プレゼンターを務めた島 圭介氏(横浜国立大学大学院工学研究院 准教授/アントラクトCEO)らの研究は、転倒リスクから身を守るだけではなく抗加齢につなげることを目標に設計されており、立位年齢TMが抗加齢分野において新しい指標として活用が期待されると多くの審査員から支持を得た。本稿では、見事に賞金100万円を手にした島氏への取材内容を交えてお届けする。 転倒リスクを身体と感覚の両側面から測定できる インターネットでたまたま公募を知ったことが今回の受賞のきっかけと話す島氏。同氏らは転倒リスクを回避するための技術として、立位機能アシスト&検査装置「StA2BLE」を開発した。StA2BLEとは、指先への感覚刺激の制御によって世界で初めて転倒リスクの可視化を実現し、身体/感覚機能を同時に評価する検査法で、「ただ目を閉じて立っているとふらつくが、壁に手をつくことで立っていられる」という原理を応用している。従来の体力テスト(握力や柔軟性など)では測定できないような転倒のリスクを身体と感覚の両側面から測定可能な点が特徴だ。 立位機能アシストはライトタッチと呼ばれる、人が何かに触れると姿勢が安定する現象を見えない壁(仮想壁)で作りだして転倒を予防する。これを利用することでいつでも・どこでも転倒予防ができるので、安定した立位、歩行が可能になる。 検査装置は仮想壁を取り払うことで転倒リスク評価につなげる技術で、ふらつきを誘発させてわずか1分間で転倒リスクを測定するものである。転倒リスクは過去に何回転倒したか、1年に何回転倒したかなどが鍵となるが、「立位年齢TMを知ることで自身への必要なサポートを意識することができる」と最終審査でPRした。 また、アントラクトでは技術提供だけではなく、立位年齢TMを測定後、理学療法的知見に基づき個々に応じた立位機能改善の訓練プログラム「筋制御トレーニング」「身体認識トレーニング」「感覚柔軟化訓練」の3つを提供しているのも特徴だ。若年者から高齢者まで有用なことから、この技術を入院前に実施し立位年齢TMを若返らせれば「入院中やその後のリスク回避につながる」とも説明した。転倒リスクが生命に影響する産業現場へ参入 現時点でこの技術を体験したのは全国各地で開催された健康イベントなどに参加した約1,400名だが、同氏は将来ビジョンとして「転倒予防が重要な産業現場」への導入件数の増加を目指している。これについては、「産業現場は転落・転倒リスクが生命に影響することから、就業前の体操などが元来導入されている。健康な人でも転倒リスクは日々の体調に左右されるので、この部分に着目し、就業前にStA2BLEで転倒リスク確認を行ってから就業することを推奨していきたい」と話した。今後の販路拡大の方法については模索中のようだが、「各疾患での利用価値を計るため、今後は疾患別の転倒リスクを層別化できるよう取り組みたい」と研究者としての意気込みを語った。 最後に同氏は「この取り組みは平均寿命の延伸、ひいては高齢者の労働力の確保、医療費の削減につながり、社会に大きく貢献できる。StA2BLEこそ転倒事故ゼロの社会を目指す世界でただ1つの方法論となりうる。われわれは工学、社会学、都市科学の専門家集団として結束力を高め、今後は国の事業にも積極的に参画したい」と今後の展望を述べるとともに「皆さまの隣にStA2BLEが来る世界を目指していきたい」と喜びを噛み締めた。 このほかの受賞は以下のとおり。・学会賞株式会社レストアビジョン「視覚再生遺伝子治療薬開発」・ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞株式会社OUI「Smart Eye Cameraを使用した白内障診断AIの開発」株式会社Surfs Med「変形性膝関節症に対する次世代インプラントの開発」歯っぴー株式会社「テクノロジーで普及を拡張させる口腔ケア事業」・最優秀アイデア賞松本 成史氏(旭川医科大学)「メンズヘルス指標に有効な新規『勃起力』計測装置の開発」・アイデア賞佐藤 拓己氏(東京工科大学)「寿司を食べながらケトン体を高く保つ方法」松本 佳津氏(愛知淑徳大学)「長寿高齢社会を前提とした真に豊かな住空間をインテリアから考え、活用できる具体的な指標を作成する それは『豊かな人生』のデザイン」 ヘルスケアベンチャー大賞は、アンチエイジング領域においてさまざまなシーズをもとに新しい可能性を拓き社会課題の解決につなげていく試みとして、坪田 一男氏(日本抗加齢医学会イノベーション委員会委員長)らが2019年に立ち上げたもの。今年の応募総数は約40件に上り、ベンチャー企業や個人のアイデアによるビジネスプランを書類審査、1次審査、最終審査の3段階で評価し表彰した。

1529.

新型コロナ、どの国のワクチンを希望する?医師1,000人アンケート

 新型コロナワクチン接種の優先対象について、厚生労働省は11月9日の厚生科学審議会において、高齢者や基礎疾患がある人を優先的に接種する方針を固めた。今後はどのような基礎疾患を有する人を対象にするのかが話し合われる予定だ。今回の話し合いでは医療者への優先接種が見送りとなったが、医療者では接種を求める者と接種に抵抗を示す者はどの程度いるのだろうかー。そこで、ケアネットでは10月15日(木)~21日(水)の期間、会員医師1,000人に対し「医師のワクチン接種に対する心境について」に関するアンケートを実施。その結果、全回答者のうち接種を希望するのは61.2%だった。 本アンケートでは30代以上の医師(勤務医、開業医問わず)を対象とし、新型コロナワクチン接種希望の有無や投与する際の懸念点などについて調査、集計結果を年代や病床数、診療科で比較した。接種を希望する医師の年代や診療科に違いはほとんど見られなかったが、脳神経外科(44%)、神経内科(42%)、糖尿病・代謝・内分泌内科(46%)、救急科(36%)で接種希望者が半数を下回っていた。  このほか、「どこの国が開発したワクチンを希望するか」「接種したくない理由」「接種希望者が投与する上で気になること」「これまでのインフルエンザウイルスワクチンの接種状況」などを聞いた。どこの国が開発したワクチンを希望するかで最多は国内開発 接種を希望すると回答した629例(61.2%)に対し「どこの国が開発したワクチンを希望するか(複数回答可)」を聞いたところ、日本国内で開発を進めるアンジェスに票を投じたのは396人、続いて英国(アストラゼネカ/GSK)231人、米国(ファイザー/モデルナ)222人と続いた。どこ国が開発したワクチンがいいかのアンケートでは、国内開発ワクチンへの期待の高さが伺えた。 接種したくない理由、接種希望者が投与する上で気になることについては、安全性などのエビデンス不足と回答した方が863人と圧倒的に多かった。次いで、安定性の供給(151人)、投与量・投与回数の問題(134人)と続いた。ワクチン接種優先対象の基礎疾患を有する医師は約2割 今回、ワクチン接種の優先対象に基礎疾患がある人が含まれたことを踏まえ、基礎疾患を有する医師数を把握するため「医師の持病の有無」についても調査した。その結果、持病があると回答したのは26.7%(274人)だった。年代別で見ると、30代、40代ではそれぞれ15%程度に留まっていたが、50代では30%、60代では47%、70代以上では半数の46%が持病を抱えながら医療に携わっていることが明らかになった。インフルエンザワクチンは医師の9割が毎年接種 インフルエンザワクチンの接種状況が新型コロナワクチン接種の希望にどの程度影響するかを見るため、これまでのインフルエンザワクチンの接種状況を聞いたところ、年代や診療科を問わず約9割の医師が毎年接種していた。 アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中

1530.

添付文書改訂:フォシーガ適応に慢性心不全/フルティフォームに小児用量/メマリー副作用に徐脈性不整脈/ネオーラル内用液適応に川崎病【下平博士のDIノート】第62回

フォシーガ:SGLT2阻害薬で初の心不全適応<対象薬剤>ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物錠(商品名:フォシーガ錠5mg/10mg、製造販売元:アストラゼネカ)<改訂年月>2020年11月(予定)<改訂項目>[追加]効能・効果慢性心不全。ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。<Shimo's eyes>SGLT2阻害薬は、近年、心血管予後や腎予後の改善に関する報告が次々となされています。本剤は、20ヵ国410施設で左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者を対象に実施した無作為化二重盲検第III相試験「DAPA-HF試験」の探索的解析結果において、推奨治療への追加が、糖尿病の有無にかかわらず心血管死または心不全増悪のリスクをプラセボと比較して有意に低下させたことが示されました。今回の改訂により、わが国で初めての心不全適応を持つSGLT2阻害薬となります。作用機序は不明ですが、製造販売元のアストラゼネカは、体液量調節を介した血行動態に対する作用などが心不全の改善に寄与する可能性に言及しています。本剤は、HFrEF患者であれば、糖尿病合併の有無によらず、標準治療に併用して使用することができます。なお、左室駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)における本剤の有効性および安全性は確立していません。参考アストラゼネカのSGLT2阻害剤フォシーガ、DAPA-HF試験サブ解析で心不全悪化または心血管死の発現率の低下を示すフルティフォーム:新たに小児適応が追加<対象薬剤>フルチカゾンプロピオン酸エステル・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入薬(商品名:フルティフォーム50エアゾール56吸入用/120吸入用、製造販売元:杏林製薬)<改訂年月>2020年6月<改訂項目>[追加]用法および用量小児:通常、小児には、フルティフォーム50エアゾール(フルチカゾンプロピオン酸エステルとして50μgおよびホルモテロールフマル酸塩水和物として5μg)を1回2吸入、1日2回投与する。<Shimo's eyes>本剤は、ステロイド吸入薬(ICS)フルチカゾンプロピオン酸エステル(商品名:フルタイド)と、長時間作用型β2刺激薬(LABA)ホルモテロールフマル酸塩(同:オーキシス)の配合吸入薬です。小児適応のある吸入薬は成人と比べるとまだ少ないですが、今回の改訂により小児気管支喘息の新たな治療選択肢が増えました。なお、高用量製剤(フルティフォーム125)には小児への適応がないので注意しましょう。小児は1回2吸入、1日2回の投与となっており、それ以上の増量はできません。また、5歳未満の小児では臨床試験が未実施のため注意喚起がされています。ボンベをうまく押せない場合は吸入補助器具(フルプッシュ)、吸気の同調が難しい場合にはスペーサーを用いるなど、適正に使用できるようにしっかりサポートしましょう。参考杏林製薬 添付文書改訂のお知らせメマリー:重大な副作用に徐脈性不整脈が追加<対象薬剤>メマンチン塩酸塩製剤(製品名:メマリー錠・OD錠 5mg/10mg/20mg、製造販売元:第一三共)メマンチン塩酸塩ドライシロップ(同:メマリードライシロップ2%、製造販売元:第一三共)<改訂年月>2020年6月<改訂項目>[新設]重大な副作用不整脈(頻度不明):完全房室ブロック、高度な洞徐脈などの徐脈性不整脈が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。<Shimo's eyes>国内で本剤との関連性が否定できない重篤な徐脈性不整脈関連の報告が集積したことから、「重大な副作用」の項に「完全房室ブロック、高度な洞徐脈などの徐脈性不整脈」が追記されました。めまい、気を失う、立ちくらみ、脈が遅くなる、息切れ、脈が飛ぶというような症状が現れていないかどうかの聞き取りが重要です。速やかな投与中止が求められる副作用ですので、異常が見られた場合はすぐに処方医に報告・相談しましょう。参考PMDA メマンチン塩酸塩の「使用上の注意」の改訂について第一三共 使用上の注意改訂のお知らせネオーラル内用液:効能・効果に川崎病の急性期が追加<対象薬剤>シクロスポリン製剤(製品名:ネオーラル内用液10%、製造販売元:ノバルティス ファーマ)<改訂年月>2020年2月<改訂項目>[追加]効能または効果川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)[追加]用法および用量〈川崎病の急性期〉通常、シクロスポリンとして1日量5mg/kgを1日2回に分けて原則5日間経口投与する。<Shimo's eyes>川崎病は、主に乳幼児が罹患する原因不明の血管炎症候群です。冠動脈が侵襲されることによる冠動脈病変(CAL)の合併が知られており、CALは突然死や心筋梗塞を引き起こすことがあります。急性期の標準治療として、静注用免疫グロブリン(IVIG)の単回静脈内投与とアスピリンの経口投与の併用療法が行われます。しかし、約20%の患児は十分な効果を得られず、CAL合併のリスクが高くなることが指摘されています。そこで、川崎病の過剰な炎症反応を免疫抑制薬で制御することで、CALの進行を抑制できるのではないかという考えから、本剤の国内第III相医師主導治験が行われました。その結果、CALの合併割合が、標準治療群の31.0%(27例/87例)に対し、本剤併用群では14.0%(12例/86例)と有意に低下したため、川崎病のIVIG不応例またはIVIG不応予測例には、従来の標準治療に本剤を併用できることになりました。なお、発病後7日以内に投与を開始することが望ましいとされています。参考ノバルティス ファーマ 添付文書改訂のお知らせ

1531.

認知症予防に対するサウナの効果

 サウナのような温熱環境の繰り返しの利用は、認知症発症を予防するうえで、有益である可能性が示唆されている。しかし、疫学的エビデンスはあまり多くない。フィンランド国立保健福祉研究所のPaul Knekt氏らは、サウナによる温熱環境(サウナの利用頻度、セッション回数、滞在時間、温度)とその後の認知症発症リスクとの関連を調査するため、プロスペクティブコホート研究を実施した。Preventive Medicine Reports誌2020年10月2日号の報告。 対象は、Finnish Mobile Clinic Follow-up Surveyにおける認知症でない30~69歳の男女1万3,994例。フォローアップ期間39年の間に、1,805例が認知症と診断された。サウナの利用状況は、アンケートにより収集した。Coxモデルに基づく分析には、サウナ利用変数と潜在的な交絡因子を含めた。 主な結果は以下のとおり。・サウナの利用が4回/月未満または利用していない人と比較した9~12回/月の人の認知症発症ハザード比は、以下のとおりであった。●フォローアップの最初の20年間のハザード比:0.47(95%CI:0.25~0.88)●フォローアップ期間全体(39年間)のハザード比:0.81(95%CI:0.69~0.97) 著者らは「サウナの利用が、認知症の発症に対し保護的に作用するという仮説は支持された。サウナ利用によるベネフィットを検証するためには、さらなる研究が求められる」としている。

1532.

ペットを飼うことが認知症患者に及ぼす影響

 ペットを飼うことについては、多くの集団において病気に対するポジティブな影響が報告されているが、認知症患者における身体的および心理的ウェルビーイングとの関連はよくわかっていない。英国・マンチェスター・メトロポリタン大学のCarol Opdebeeck氏らは、ペットを飼うことが認知症患者に及ぼす影響について調査を行った。Journal of Applied Gerontology誌オンライン版2020年10月7日号の報告。認知症に対するポジティブな影響はペットを飼うことより世話をしているかと関連 本研究には、Improving the experience of Dementia and Enhancing Active Life(IDEAL)研究より、軽度~中等度の認知症在宅患者1,542例のベースラインデータを使用した。ペットの所有およびその世話と、自己報告による歩行、孤独感、うつ病、QOLとの関連を調査するため、回帰分析を用いた。 ペットを飼うことが認知症患者に及ぼす影響について調査した主な結果は以下のとおり。・共変量で調整後、ペットを飼うことは、前の週に3時間以上歩行した経験と関連が認められた。・犬を飼っていて、その世話をしている患者は、犬を飼っていない患者よりも、孤独を感じることが少なかった。・ペットを飼っているが、その世話をしていない患者は、ペットを飼っていない患者よりも、うつ病の増加およびQOL低下との関連が認められた。 著者らは「認知症患者に対するポジティブな影響は、ペットの世話をしているかどうかと関連していた」としている。

1533.

4割の人はがんより認知症への罹患に不安、期待される予防策とは?

 日本認知症予防学会と食から認知機能について考える会が9月に「食と認知機能に関する意識調査の結果発表」を公開し、食や食成分による認知機能改善効果を期待する人が5割以上にのぼることを明らかにした。この詳細は、浦上 克哉氏(鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座環境保健学分野 教授/日本認知症予防学会 理事長)が食から認知機能について考える会発足記者会見で報告した。 この調査は1)認知症の理解、認知症の予防に対する理解レベルの確認、2)とくに食生活が関与する認知症予防への理解と信頼感の確認、3)認知症予防への関心喚起を目的とし、2020年3月にWebを用いて、30代以上の一般男女1,030名と日本認知症予防学会学会員380名(医師:102名、メディカルスタッフ:278名)に行った。一般人より医療者のほうが食事に認知機能改善を期待 本調査では、認知機能の低下へのイメージ、食や食成分・機能性表示食品の認知機能改善の効果への期待度、機能性表示食品等の食成分エビデンスの信頼度やその理由などを設問に設定し、一般結果と医師・メディカルスタッフの回答結果を比較した。たとえば、“食や食成分が認知機能改善に効果があると思いますか”という質問では、一般と医師・メディカルスタッフの回答割合の傾向はほぼ同じであるものの、一般人のほうが食に対する懐疑的な意見が多かった。一方で機能性表示食品について同様の質問をしたところ、医師・メディカルスタッフは、「大いに期待」「やや期待」という声が多かった。ただし、機能性表示食品等のエビデンスへの信頼度については、一般も医師・メディカルスタッフ共に8割近くが「信頼できない」「どちらともいえない」と回答している。これについて浦上氏は「『信頼できる学術誌で発表されていない』『データが不十分』『企業に有利なことしか開示していない』という理由だった。科学的根拠を信頼しているのは約2割にとどまる」とし、「学会として正しい情報提供に努めたい」と説明した。がんより認知症への罹患を不安視 このほか、認知機能の低下に対するイメージや認知症の病態に関する質問から、医師・メディカルスタッフの約8割が“認知症について一般には正しく理解されていない”と感じていたこと、自分が最もなりたくない疾患として認知症ががんを上回っていたことも明らかになった(一般vs.医師・メディカルスタッフで比較、認知症:47.6%vs. 35.0%、がん:38.5%vs. 25.8%、脳血管疾患:4.9%vs. 18.9%)。これを踏まえて浦上氏は「20年前に行われた調査ではがんが最も罹患したくない疾患だったが、現在では40歳を境にがんより認知症になりたくないと考えている人が多い。男女別でみると、女性のほうが認知症に対し不安視しているが、これは罹患しやすさが影響していると考えられる」と調査内容を分析した。食材のエビデンス+食事で脳を生き生きさせる 続いて記者会見で認知機能改善につながる食品成分とエビデンスの重要性について解説した鳥羽 研二氏(東京都健康長寿医療センター 理事長)は、「認知症に対し、一つの食材(オリーブオイル、ワイン、魚など)による効果はエビデンスが不十分だが、現在、日本で実施されている食事と認知症に関する3つの大規模臨床試験(久山町研究、大崎研究、NILS-LSA)に共通するのは、地中海食のようにバランスのとれた栄養素を取っている点。しかし、各地域で食されている一つ一つの食材は異なっており、この点は注目に値する」とコメントした。 また、人間の機能に食が与える影響について、「目で見て楽しむ、鼻で香りを嗅ぐ、口で噛むなどの食行動が感覚情報として大脳皮質に作用することで脳の健康につながるという考えがある。食事の栄養素も重要であるが、運動、栄養、生活習慣病、フレイル、意欲や関心、社会参加が影響している点を踏まえ、『食』を“SHOKU”(Sports、Hobby、Oral Frail、Knot、Unfavorable life style) と捉えて、食の認知機能への影響を考えていくことが大切ではないか」と考えを示した。

1534.

食事のパターンや質と認知症との関連~メタ解析

 食事は、神経変性疾患の発症や進行を予防または遅らせることができる、重要なライフスタイル要因である。すべてではないものの、最近報告されたいくつかの研究において、健康的な食事パターンの順守が認知症リスクの低下に寄与する可能性が示唆されている。米国・ペンシルベニア州立大学のYi-Hsuan Liu氏らは、食事パターンと認知症リスクとの関連をシステマティックに調査し、メタ解析を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年9月11日号の報告。 1981年1月1日~2019年9月11日までのPubMed、Web of Science、Cumulative Index for Nursing and Allied Healthのデータベースを用いて、英語で発表されたプロスペクティブ研究をシステマティックに検索した。プールされたリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)は、変量効果モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・特定された16研究のうち、12研究(6万6,930例)をメタ解析に含めた。・質の高い食事や健康的な食事パターンの順守は、質の低い食事または健康的でない食事パターンと比較し、認知症リスクの有意な低下が認められた。 ●全体的な認知症リスク:プールされたRR:0.82、95%CI:0.70~0.95、12研究 ●アルツハイマー病:プールされたRR:0.61、95%CI:0.47~0.79、6研究・年齢、性別、フォローアップ期間、食事の質の評価方法、研究の実施場所、研究の質により層別化されたサブグループ解析でも、同様の結果が認められた。 著者らは「健康的な食事パターンの順守は、全体的な認知症リスクの低下と関連が認められた。認知症の発症や進行に対する健康的な食事の役割についてエビデンスを追加するためには、さらなるランダム化比較試験が必要である」としている。

1535.

腰椎穿刺の脊髄血腫リスク、血液凝固障害との関連は?/JAMA

 腰椎穿刺には脊髄血腫のリスクがあり、とくに血液凝固障害を有する患者でその懸念が高まっているが、発生頻度は確立されていないという。デンマーク・Aalborg大学病院のJacob Bodilsen氏らは、腰椎穿刺と脊髄血腫の関連について検討し、脊髄血腫の発生率は血液凝固障害のない患者で0.20%、血液凝固障害を有する患者では0.23%との結果を得た。研究の詳細は、JAMA誌2020年10月13日号で報告された。腰椎穿刺は、中枢神経系の感染症や神経学的疾患、特定のがんの診断と治療において重要な手技であるが、血液凝固障害を有する患者で脊髄血腫のリスクを強く懸念する医師が、その施行を躊躇する可能性が危惧されている。デンマークの全国的なコホート研究 研究グループは、腰椎穿刺後の脊髄血腫のリスクを、血液凝固障害の有無別に評価する目的で、デンマークの地域住民を対象とする全国的なコホート研究を行った。 デンマークの全国規模の医学レジストリを用いて、2008年1月1日~2018年12月31日の期間に腰椎穿刺を受け、脳脊髄液の解析が行われた患者を特定した(2019年10月30日までフォローアップ)。血液凝固障害は、血小板が150×109/L未満、プロトロンビン時間(PT)の国際標準化比(INR)が1.4以上、または活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が39秒以上と定義された。 主要アウトカムは、腰椎穿刺後30日の時点における、血液凝固障害の有無別の脊髄血腫のリスクとした。低リスク患者の選択によるバイアスの可能性も 6万4,730例(年齢中央値43歳[IQR:22~62]、51%が女性)で、8万3,711件の腰椎穿刺が同定された。血液凝固障害の内訳は、血小板減少が7,875例(9%)、高INR値が1,393例(2%)、APTT延長が2,604例(3%)であった。フォローアップは、参加者の99%以上で完遂された。 30日以内の脊髄血腫は、血液凝固障害のない患者では4万9,526例中99例(0.20%、95%信頼区間[CI]:0.16~0.24)で、血液凝固障害を有する患者では1万371例中24例(0.23%、0.15~0.34)で発生した。 脊髄血腫の独立のリスク因子として、男性(補正後ハザード比[HR]:1.72、95%CI:1.15~2.56)、年齢41~60歳(1.96、1.01~3.81)、年齢61~80歳(2.20、1.12~4.33)が挙げられた。 脊髄血腫のリスクは、全体として血液凝固障害の重症度が高くなっても有意な増加を認めなかった。また、小児、感染症、神経学的疾患、血液腫瘍のサブグループでも、重症度の上昇に伴うリスクの増加はみられなかった。さらに、腰椎穿刺の累積件数が多い患者でリスクが増加することもなかった。 外傷性腰椎穿刺の頻度は、INR値が正常な患者(28.2%、95%CI:27.7~28.75)と比較して、INR値が1.5~2.0の患者(36.8%、33.3~40.4)で高く、同2.1~2.5の患者(43.7%、35.8~51.8)、同2.6~3.0の患者(41.9%、30.5~53.9)でも高かった。また、外傷性脊髄穿刺の頻度は、APTTが正常な患者(21.3%、20.6~21.9)と比較して、APTTが40~60秒(26.3%、24.2~28.5)の患者で高く、リスク差は5.1%(95%CI:2.9〜7.2)であった。 著者は、「これらの知見は、腰椎穿刺に関する意思決定に有益な情報をもたらす可能性があるが、得られたデータは、医師が相対的に腰椎穿刺による脊髄血腫のリスクが低い患者を選択したことによるバイアスを反映している可能性がある」としている。

1536.

日本の若年性認知症の年間発症率とそのサブタイプ

 若年性認知症の発症率を調査することは、困難であるといわれている。東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症疾患医療センターの年次報告データを用いて、日本における若年性認知症の発症率について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2020年9月28日号の報告。 認知症疾患医療センターは、日本の全国的な保健プログラムの一環として設立された認知症専門医療サービスで、2018年時点で全国に440施設存在する。これらの施設の年次報告データを用いて、2018年4月1日~2019年3月31日に新たに若年性認知症または遅発性認知症と診断された患者数、精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)による診断構成比を算出した。若年性認知症の年間発症率は、分子を患者数、分母を18~64歳の人口とし推定した。 主な結果は以下のとおり。・若年性認知症と診断された患者は1,733例であった。・若年性認知症のサブタイプの内訳は以下のとおりであった。 ●アルツハイマー型認知症:52.1% ●前頭側頭型認知症:8.9% ●血管性認知症:8.8% ●物質・薬物誘発性の神経認知障害:7.1% ●レビー小体型認知症:6.5% ●別の疾患による神経認知障害:3.9%・若年性認知症の年間発症率は、2.47/10万人年と推定された。 著者らは「本研究により、日本における若年性認知症の推定発症率が明らかとなった。全国の若年性認知症の疫学的モニタリングのためには、認知症疾患医療センターが重要な存在であることが示唆された」としている。

1537.

第30回 経口液剤AMX0035でALS患者の生存も改善

世界保健機関(WHO)主催の世界30ヵ国以上での無作為化試験(Solidarity)の査読前報告が先週木曜日15日にmedRxivに掲載され1,2)、残念ながらギリアド社のベクルリー(Remdesivir、レムデシビル)やその他3つの抗ウイルス薬・ヒドロキシクロロキン、カレトラ(lopinavir/ritonavir)、インターフェロン(Interferon-β1a)はどれもCOVID-19入院患者の死亡を減らしませんでした。たとえばレムデシビル投与群の28日間の死亡率は非投与対照群の11.2%(303/2,708人)とほとんど同じ11%(301/2,743人)であり1,3)、その差は有意ではありませんでした(p=0.50)。そんなSolidarity試験とは対照的に、その発表の翌16日、脳や脊髄の運動神経が死ぬことで生じる難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬候補の良いニュースがありました4-6)。先月9月初めにNEJM誌に掲載されたプラセボ対照第II相試験(CENTAUR)でALS進行を有意に抑制した神経死抑制剤AMX0035がその試験と一続きの非盲検継続(OLE)試験で今度は有意な生存延長をもたらしたのです。米国マサチューセッツ州ケンブリッジ拠点のAmylyx社が開発しているAMX0035は昔からある成分2つが溶けた経口の液剤です。成分の1つはヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬・フェニル酪酸ナトリウム(sodium phenylbutyrate)、もう1つは胆汁酸・タウルソジオール(Taurursodiol)です7)。今回発表されたOLE試験に先立つCENTAUR試験にはALS患者137人が参加し、それらのうち3人に1人はプラセボ、あとの3人に2人はAMX0035を6ヵ月間服用しました。NEJM誌報告によると6ヵ月間のAMX0035服用群の体の不自由さの進行はプラセボに比べてよりゆっくりでした7)。また、AMX0035服用は腕の筋力低下も抑制しました。今回のOLE試験にはCENTAUR試験から継続して90人が参加し、全員がAMX0035を服用し、CENTAUR試験の始まりから数えて最大約3年間(35ヵ月間)追跡されました。その結果、生存期間中央値はAMX0035を最初から服用し続けた患者(56人)では25ヵ月、当初プラセボを服用した患者では18.5ヵ月であり(p=0.023)、最初からのAMX0035服用患者は当初プラセボを服用した患者に比べて有意に半年以上(6.5ヵ月)生存が延長されました8)。細胞内小器官・小胞体(ER)へのストレスや機能障害、それにミトコンドリアの機能や構造の欠損がALSの発病要因と目されており、AMX0035に含まれるフェニル酪酸ナトリウムはERがストレスを受けて誘発する毒性を緩和し、もう1つの成分タウルソジオールはミトコンドリアを助けて細胞を死に難くします7)。米国ワシントン D.C.の隣街アーリントンを本拠とするALS患者の会・ALS Association等はAMX0035をALS患者ができるだけ早く使えるようにする請願活動を先月初めに開始しており、16日のニュースによると5万人近く(4万7,000人以上)が請願に署名しています4)。参考1)Repurposed antiviral drugs for COVID-19; interim WHO SOLIDARITY trial results. medRxiv. October 15, 2020.2)Solidarity Therapeutics Trial produces conclusive evidence on the effectiveness of repurposed drugs for COVID-19 in record time / WHO 3)Remdesivir and interferon fall flat in WHO’s megastudy of COVID-19 treatments / Science4)AMX0035 Survivability Data Adds to Urgency to Make Drug Available / ALS Association5)Amylyx Pharmaceuticals Announces Publication of CENTAUR Survival Data Demonstrating Statistically Significant Survival Benefit of AMX0035 for People with ALS / BUSINESS WIRE6)Investigational ALS drug prolongs patient survival in clinical trial / Eurekalert7)Paganoni S,et al. N Engl J Med. 2020 Sep 3;383:919-930.8)Paganoni S,et al. Muscle & Nerve. 16 October 2020. [Epub ahead of print]

1538.

レビー小体型認知症とアルツハイマー病を鑑別する新たな方法

 レビー小体型認知症(DLB)とアルツハイマー型認知症(AD)を鑑別するうえで、SPECTによる局所脳血流(rCBF)の評価が有用であり、指標としてCingulate Island Signスコア(CIScore)が用いられる。しかし、いくつかの症例ではADの偽陽性が報告されている。この問題を解決するため、福岡大学の本田 学氏らは、後頭葉と海馬傍回のrCBFを組み込んだ新たな鑑別診断法の開発を試みた。Japanese Journal of Radiology誌オンライン版2020年9月16日号の報告。 DLB患者27例とAD患者31例を対象に、Tc-99 m-ECD SPECTを実施した。両側上後頭回、中後頭回、下後頭回、楔部、扁桃体、海馬、海馬傍回の平均Zスコアを評価した。DLBの基準は次の(1)~(4)とし、それぞれの診断能力を比較した。(1)CIScoreが0.27未満、(2)平均Zスコア1超の後頭回が3つ以上、(3)平均Zスコア1超の海馬領域が1つ以下、(4)は(2)と(3)両方の組み合わせ。 それぞれの診断精度は、以下のとおりであった。・CIScore:69%・後頭回:84%・海馬領域:76%・後頭回と海馬領域の組み合わせ:93% 著者らは「後頭回と海馬領域のrCBF分析を組み合わせた新たな診断方法は、DLBとADを鑑別するうえで、最大の診断能力を示した」としている。

1539.

アンチエイジングのためのHealthy Statement作成が始動/日本抗加齢医学会

 近年、EBM普及推進事業Mindsの掲げるガイドライン作成マニュアルが普及したこともあり、各学会でガイドラインの改訂が活発化している。さまざまな専門分野の医師が集結する抗加齢医学においても同様であるが、病気を防ぐための未病段階の研究が多いこの分野において、ガイドライン作成は非常にハードルが高い。Healthy Statement-ガイドライン作成の第一歩 そこで、日本抗加齢医学会は第20回総会を迎える節目の今年、ワーキング・グループを設立し、今後のガイドライン作成、臨床への活用を目的にコンセンサス・レポートとしてHealthy Statement(以下、ステートメント)の作成を始めた。ステートメントの現況は、9月25日(金)~27日(日)に開催された第20回日本抗加齢医学会の会長特別プログラム1「Healthy Agingのための学会ステートメント(ガイドライン)作成に向けて」にて報告された。 ステートメントは健康寿命の延伸に関して科学的なエビデンスが蓄積されつつある4つの分野(食事、運動、サプリメント、性ホルモン)が検討されており、今回、新村 健氏(兵庫医科大学内科学総合診療科)、宮本 健史氏(熊本大学整形外科学講座)、阿部 康ニ氏(岡山大学脳神経内科学)、堀江 重郎氏(順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学/日本抗加齢医学会理事長)らが、各部門の作成状況を発表した。各分野、抗加齢に特化したデータ抽出進む 『食事・カロリー制限とアンチエイジング』について講演した新村氏は、「抗加齢医学の領域において、食事療法・カロリー制限に関するエビデンスは十分と言えず、ガイドライン・診療の手引きを作成するだけの材料が揃っていないのが現状」とし、「食事療法の選択としては日本人での実行性と重要性を重視し、健常者または重篤な疾患を持たない者を対象者に想定している」と述べた。さらに今後の方針として「1つの食事療法に対して、複数のアウトカムから評価し、アンチエイジング医学の多様性を意識する」と話した。 『運動・エクササイズとアンチエイジング』については宮本氏がコメント。「運動介入と高齢者の骨密度、認知症や寿命延伸に関するデータをまとめ、CQを作成した。とくに運動介入は高齢者の骨密度の軽度の増加、認知症予防に強く推奨される。また要介護化の予防に中等度、寿命・健康寿命の延伸には弱く推奨される」など話した。 『サプリメント・機能性表示WGからの報告』について阿部氏が講演。「本ワーキング・グループは感覚器、歯科、循環器、消化器/免疫、皮膚科、脳神経の6領域において活動を行っている。サプリメントは分類上では機能性表示食品に該当するが、医薬品のように観察研究や介入研究が多くデータが豊富に揃っていた。評価文、根拠文献、評価上の要点、エビデンスグレードの各案が出揃い、完成近い品目もある」と解説した。このほか、アルツハイマー病治療において、アミロイドβの根本治療が全滅している現在、サプリメント活用のメリットにも言及した。 『テストステロン(男性ホルモン)』については堀江氏が既存のエビデンスとして、テストステロン低値の人の早逝、内蔵脂肪との関連、そのほか低テストステロンが惹起する身体機能の低下や合併症について説明。「テストステロンはメタボリックシンドローム、耐糖能異常、うつ病、フレイルなどの疾患との関連において十分なエビデンスが存在する。これらのデータを踏まえ、テストステロンは未病のための明日の健康指標になる。さらには、社会参画や運動量など人生のハツラツ度に影響するホルモンであることから、今日の健康指標にもつながる」とし、「今後、性ホルモン分野としてエストロゲン、テストステロンの両方について報告していく」と締めくくった。抗加齢医学の目標、ステートメント完成は2021年を目処 講演後、大会長の南野氏は「抗加齢医学は集団も然り、研究疾患もヘテロである。このヘテロジェナイティを認識したうえで、足りないエビデンスをわれわれで補うことが最終目標である」と述べた。これに堀江氏は「われわれは疾患ではなく、疾患に至る前段階を捉えて研究を行っている。診療ガイドラインの疾患アウトカムと異なるエビデンスが必要であり、それゆえ研究対象も従来の研究とは異なる。たとえば、高齢者の認知機能ではなく40歳くらいの若年者の機能探索がその1つである」と補足し、今後の抗加齢医学会の進むべき道について強調した。Healthy Statementは来年6月頃までにまとめられ、2021年の本学術集会にて発表される予定である。 なお、本講演は10月8日(木)~21日(水)の期間限定でケアネットYouTubeにて配信している。

1540.

急増するオンライン学会、参加経験と満足度は?/医師1,000人に聞きました

 新型コロナウイルス感染症の影響により、今年には入って急増したのがオンライン(Web)上で行われる学会だ。感染流行初期の2、3月は開催中止に追い込まれる学会が多かったが、4月以降からオンラインへのシフトが本格化し、秋以降もオンライン上のみ開催、もしくは現地開催とのハイブリッド形式を採用する学会が大半となっている。 ケアネットでは、会員医師に協力いただき、オンライン学会への参加経験の有無や、参加した感想をアンケート形式で聞いた。2020年8月13日~19日に1,000名を対象にオンライン学会への参加経験の有無を聞き、「参加経験あり」の回答者に参加学会や満足度、感想を聞いた。半数以上が「参加経験有」と回答 「オンライン学会への参加経験あり」と回答したのは1,000名中556名。アンケートを実施した8月中旬時点で回答者の半数以上がオンライン学会へ参加した経験があった。参加経験者に絞った設問では、参加者が多かったのは日本内科学会、日本循環器学会、日本外科学会の順となった。オンライン化で気軽に参加できることも影響したのか、参加学会は海外学会も含めて多岐にわたり、計50以上の名前が挙がった。満足度は「10点満点中6.7点」 続いて参加したオンライン学会に対する満足度を「10点満点」で聞いた質問では、回答者の平均は6.7点となった。8点とした回答者が135名(24.2%)と最も多く、概ね満足した参加者が多かったようだ。参加者が5名以上いた学会のうち、日本内分泌学会(8.6点)、日本医学放射線学会(8.3点)、日本整形外科学会(7.9点)の順に満足度が高かった。一方、「0点」とした回答者は13名(2.3%)で、その全員が同じ学会の参加者だった。該当学会は当日の通信環境が悪く、サイトに接続できなかった参加者が多数いたことが低評価の要因となったようだ。よい点「移動時間がない」、悪い点「ライブ感がない」 参加者にオンライン学会のよかった点、悪かった点を聞いた設問(複数回答可)では、よい点は「移動時間がかからなかった」(356名・64.0%)が最も多く、「移動宿泊費がかからなかった・学会費が安くなった」(266名・47.8%)、「都合のよい時間に何回でも視聴できた」(260名・46.7%)が続いた。一方、悪かった点では「ライブ感がなく、参加した感覚に乏しかった」(159名・28.5%)、「現地の観光や飲食の楽しみがなくなった」(146名・26.2%)、「ほかの参加者とのコミュニケーションの機会が失われた」(138名・24.8%)、「通信環境・配信環境に難があった」(101名・18.1%)といった回答が続いた。しかし、「よかった点はない」との回答者が15名(2.6%)だったのに対し、「悪かった点はない」との回答者は72名(12.9%)と、オンライン学会に対して好意的な参加者が多いことが伺われる。「コロナにかかわらず、来年もオンライン希望」が6割以上 参加者の高い満足度の裏付けとして、「COVID-19の蔓延状況にかかわらず、来年以降も完全オンライン開催を希望しますか?」との設問に対し、「希望する」「どちらかといえば希望する」の回答者はあわせて64%となり、自由回答欄には「オンライン化の流れは変えられない」「来年以降もハイブリッド開催が主流になりそう」といった声が多く寄せられた。学会側は通信環境などの基本的な部分を整備しつつ、オンラインでのライブ感の醸成や参加者同士のコミュニケーション手段の用意など、ウィズコロナ時代の学会像を試行錯誤しながらつくる時代に入ったようだ。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。急増するオンライン学会、参加者の満足度は?

検索結果 合計:2862件 表示位置:1521 - 1540