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9月22日 ライソゾーム病の日【今日は何の日?】

【9月22日 ライソゾーム病の日】〔由来〕ライソゾーム病の研究・啓発活動を行う「Sakura Network Japan」が、本症の代表的な疾患であるファブリー病の原因遺伝子が、X染色体q22(キュウ・ニー・ニー)という語呂と疾患啓発のシンボルマーク『シルバーウイング』の活動開始が2012年9月22日であることから制定。関連コンテンツライソゾーム酸性リパーゼ欠損症【希少疾病ライブラリ】ファブリー病【希少疾病ライブラリ】ムコ多糖症I型【希少疾病ライブラリ】ニーマンピック病C1型へのHPβCDの可能性/Lancet

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緑内障ほか眼科疾患と認知症リスク~メタ解析

 一般的な眼科疾患と認知症との関係を調査するため、中国・Shenzhen Qianhai Shekou Free Trade Zone HospitalのJiayi Feng氏らは、コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、緑内障などの眼科疾患は、すべての原因による認知症やアルツハイマー病のリスク増加と関連している可能性が示唆された。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2023年7月29日号の報告。緑内障や白内障はすべての原因による認知症のリスク増加と関連 対象は、眼科疾患を有する患者。2022年8月25日までに公表された文献をPubMed、EMBASE、Web of Scienceなどのオンラインデータベースより、システマティックに検索した。緑内障、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、白内障とすべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症との関連を評価したコホート研究をメタ解析に含めた。ランダム効果モデルを用いてプールし、相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。不均一性の評価には、I2統計を用いた。サブグループ分析および感度分析を実施した。 緑内障などの眼科疾患と認知症との関係を調査した主な結果は以下のとおり。・研究25件、参加者1,141万709例をメタ解析に含めた。・AMD、緑内障、DR、白内障は、すべての原因による認知症およびアルツハイマー病のリスク増加との関連が認められた。それぞれの統合された推定値は、以下のとおりであった。●すべての原因による認知症 【AMD】RR:1.29、95%CI:1.13~1.48 【緑内障】RR:1.16、95%CI:1.03~1.32 【DR】RR:1.40、95%CI:1.21~1.63 【白内障】RR:1.23、95%CI:1.09~1.40●アルツハイマー病 【AMD】RR:1.27、95%CI:1.06~1.52 【緑内障】RR:1.18、95%CI:1.02~1.38 【DR】RR:1.21、95%CI:1.04~1.41 【白内障】RR:1.22、95%CI:1.07~1.38・血管性認知症発症と眼科疾患との関連は、認められなかった。・サブグループ分析では、DRとすべての原因による認知症リスクとのメタ解析の結果と一致しなかった。・メタ回帰分析では、AMDとすべての原因による認知症、AMDとアルツハイマー病、緑内障とすべての原因による認知症、緑内障とアルツハイマー病との関連に、不均一な潜在的な原因として地理的要因が影響していることが示唆された。

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脳トレゲームで認知症を防げるか?【外来で役立つ!認知症Topics】第9回

デジタル化で急成長を遂げた「脳トレ」市場「脳トレ」は、今では日本におけるいわば現代用語として定着した観がある。大型書店に行けば、幅が数メートルになるような「脳トレ」コーナーの展示棚もある。そうした本をめくってみると、四字熟語、算数、間違い探し、点つなぎなどが主流である。これらは、どうも懐かしさや、勉強したという満足感をその読者に与えるようだ。実際、学習塾系や受験参考書を扱う出版社から発行されたものが少なくない。蛇足ながら、山川出版の日本史の教科書、研究社の『新々英文解釈研究』なども同じような意味からか、高齢者がよく購入すると聞く。いずれにしても、こうした脳トレ関連現象は日本独自なものかとも思われる。ところで認知症予防や軽度認知障害(MCI)・認知症の治療としての脳トレはさておき、記憶の鍛錬法には歴史がある。たとえば、記憶術として指や場所を用いるもの、記憶を高める儀式や香などは紀元前からあったようだ。筆者が1980年代以降の欧米や日本で経験したものでは、見当識障害を改善し現実認識を深めることを目的とするリアリティ・オリエンテーションや、場所法と呼ばれる記憶術などがあった。もっともどれもその実行は容易ではなかった。多くは紙を媒体としたドリル、またメモ書きとその習慣的見返しなどの指導が行われてきた。個人的には、どれもそう簡単に身に付くものではなかったという印象がある。現在、欧米における脳トレの主体はBrain TrainingとかCognitive Trainingと呼ばれ、その多くはインターネットを媒体とする。これらはComputer Based Cognitive Training (CBCTとか CCTと略)と総称される。そして高齢者のみならず働く現役世代も広く対象としている。加えて、うつ病や統合失調症のような精神疾患にみられる認知機能障害への効果も数多く報告されている。ゲームを製造する欧米の主立った会社は2000年以降に創立されたが、産業としての脳トレは短期間に急成長している。2005年当時にはわずかに200万ドルであった市場規模が、2013年には13億ドル、2022年には78億ドルの巨大産業にのし上がっている。脳トレによる認知症予防の検証が活発にとくに高齢者の認知症予防はこの市場の中でも大きな部分を占めるだろう。その大きな契機となったのが、2016年7月の国際アルツハイマー病学会(AAIC)で米国国立衛生研究所(NIH)と民間会社であるPosit Science社が行ったアメリカ国内での臨床試験の報告だろう。そこでは脳エクササイズである「スピードトレーニング」により、認知症のリスクが半減したと報告された。その後にも、退役軍人協会の会員を対象に運転技術についての効果が検証されている。ここでもこうしたトレーニングをやることで自損事故が半減したと報告されたのである。さて過去20年ほどの間に、高齢者を対象に多くのCCTによる介入研究がなされてきた。一言で高齢者と言っても、対象は認知症やMCIの人、あるいは知的健康人である。最近ではこうした研究のレビューやメタアナリシスも報告されている1,2,3)。その結果、概して「小さいながらも統計学的に有意な効果」が報告されている。そしていくつかに分類される認知機能のうち、非言語性の記憶、言語性記憶、作動記憶、視空間技術、処理速度に効果があるとされる。しかし遂行機能や注意については、有意な効果はほぼ得られていない。一方で、CCTの運営・実施方法についても検討されている。やっぱり、と思うのは、グループでやるトレーニングに比べ、個別トレーニングでは効果がないということである。一体感とか競争心などが大切だということだろう。また一見逆説的ながら、週に3回以上のトレーニングは3回以下に比べて効果が劣るとのことである。筋トレなどでも類似の注意をする指導者がいる。これは毎日のようにやると、飽きて新鮮味がなくなり、注意力や集中力が欠けてくるということなのだろうか?長期的な介入、認知機能分野の複合的な効果に期待一方で多くの問題点や課題も指摘されている。まず介入期間の問題である。多くはせいぜい3ヵ月程度であり、例外的に長いものでも1年程度である。これでは短期的な効果はともかく、年単位の長期効果、まして認知症予防効果などにはとても言及できない。次にタスク、つまり介入の内容や問題は、伝統的に、注意、記憶、地誌的機能など神経心理学的な観点に基づいて作成されてきた。そこでわかっているのは、たとえば注意のタスクをやれば注意の機能で改善があるというように、やった分野は確かに伸びることである。しかし注意をやれば記憶というほかの認知機能分野も伸びるのかといったトランスファー(転移)効果の問題が注目されてきた。これまでのところ、この効果は難しそうだと考えられている。そうしたことから、タスクは伝統的な個々の神経心理学的分野から発展させた複合的なものが、より効果的だと考えられつつある。終わりに、2018年にアメリカの神経学会によりなされたMCIについてのガイドライン4)では、具体的な対応法として2つだけが述べられている。まず、週2回、6ヵ月以上の運動である。そして「数は少ないが、認知トレーニングの有効性も報告されている」と記されている。このようなことから「脳トレ」には、臨床医学としてさらなる成長が期待される。参考1)Lampi A, et al. Computerized cognitive training in cognitively healthy older adults: A systematic review and meta-analysis of effect modifiers. Pros Med 2014;11: e1001756.2)Bonnechere B, et al. The use of commercial computerised cognitive games in older adults: a meta-analysis. Sci Rep. 2020;10:15276.3)Lampit A, et al. Computerized Cognitive Training in Cognitively Healthy Older Adults: A Systematic Review and Network Meta-Analysis. medRxiv. 2020 Oct 11.4)Petersen RC, et al. Practice guideline update summary: Mild cognitive impairment: Report of the guideline development, dissemination, and implementation subcommittee of the American Academy of Neurology. Neurology. 2018;90:126-135.

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食事の質は片頭痛にも影響

 イラン・Isfahan University of Medical SciencesのArghavan Balali氏らは、食事の質と片頭痛との関連性について、評価を行った。その結果、食事の質の改善は、片頭痛の頻度、重症度、関連する問題などの片頭痛アウトカムの改善と関連している可能性が示唆された。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2023年8月5日号の報告。 20~50歳の片頭痛患者262例を対象に、横断的研究を実施した。食事の質の評価には、Healthy Eating Index 2015(HEI-2015)およびAlternative Healthy Eating Index 2010(AHEI-2010)を用いた。食事の摂取量の評価には、168項目の食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いた。片頭痛のアウトカムには、臨床因子(重症度、期間、頻度、片頭痛に関連する問題)および血中一酸化窒素(NO)を含めた。食事の質と片頭痛アウトカムとの関連性は、線形回帰を用いて評価し、βおよび95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・HEI-2015では、関連する交絡因子で調整した後、HEIスコアが最も高い群(第3三分位)と最も低い群(第1三分位)との間において、片頭痛頻度の逆相関が認められた(β:-4.75、95%CI:-6.73~-2.76)。・AHEI-2010では、調整済みモデルにおいて、片頭痛頻度(β:-3.67、95%CI:-5.65~-1.69)および片頭痛に関連する問題(β:-2.74、95%CI:-4.79~-0.68)と逆相関が認められた。・AHEI-2010では、第2三分位と第1三分位との間において、片頭痛重症度の逆相関が認められた(β:-0.56、95%CI:-1.08~-0.05)。・食事の質とNOレベルとの関連は認められなかった(p>0.14)。・本メカニズムの解明には、今後の研究が求められる。

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睡眠の質を高めるため、多くの医師がしていることは?/1,000人アンケート

 2024年4月から医師の働き方改革の新制度がスタートするが、長時間労働に端を発する医師の過労問題は改善されていないのが現状である。そのような中、睡眠は健康管理の重要カテゴリーとして医学界を筆頭にさまざまな業界で注目されているが、長時間労働者の象徴とも言える医師は果たして睡眠時間を確保できているのだろうか―。そこで、ケアネットでは多忙を極める医師の睡眠時間の実態を調査するために「睡眠状況、睡眠への意識について」のアンケートを実施。回答結果を診療科別、年代別、病床数別に抽出した。平均睡眠時間/睡眠の質に満足、全体の48% 今回は平均睡眠時間(当直時を除く)や睡眠に対する満足度、気になっていることについてそれぞれ質問した。平均睡眠時間や睡眠の質に満足していると回答した割合が半数以上であった診療科は全9科(血液内科、皮膚科、泌尿器科、精神科/心療内科、神経内科、腎臓内科、総合診療科、耳鼻咽喉科、内科)であった。一方、満足している回答者が少なかったのは、眼科(25%)、産婦人科(30%)、放射線科(31%)と続き、臨床研修医(37%)も満足できていない実態が明らかになった。また、年代別の満足度を見ると70代以上(59%)、40代(50%)、60代(49%)と続いた。1日の平均睡眠時間、6時間が最多 経済協力開発機構(OECD)が33ヵ国を対象に行った「1日の睡眠時間(睡眠に充てる時間)」に関する調査によると、日本人の睡眠時間は7時間22分と33ヵ国平均(8時間28分)と比較しても1時間以上短い。さらに「スタンフォード式 最高の睡眠」の著者である株式会社プレインスリープ創業者/最高研究顧問の西野 精治氏らが調査した日本人の平均睡眠時間は6時間43分と報告されている。これらを参考に、ここでは「睡眠時間5時間以下を睡眠時間が短い」と定義すると、本アンケート全体では4人に1人が睡眠不足であり、血液内科、総合診療科、麻酔科、小児科などが該当した。ただし、血液内科においては睡眠時間が短くても現状に満足していると回答している人が多く、睡眠時間が長い=満足、につながるわけではないことも言えるのではないだろうか。ちなみに、こちらも年代で見てみると、睡眠への満足度が高かった70代の3割超は5時間睡眠であった。医師が睡眠時に気になっていること 続いて「医師自身が睡眠時において気にしていること」を尋ねたところ、回答者の2/3が睡眠中の悩みを抱えており、最も多かったのは中途覚醒で、50代以上の回答が多かった。そのほか、いびき、入眠障害も年齢層問わず悩みの種として挙げられた。睡眠の質向上のため、マットレスや枕にこだわる 今回のアンケートでは医師が睡眠のためにこだわっている物事、活用している物も聞いてみた。その結果、枕と回答した人が最も多く(397人)、オススメ商品として「テンピュール」「じぶんまくら」を多数が挙げていた。次にマットレス/布団(317人)と回答した人が多く、「エアウィーヴ」「コアラマットレス」「シモンズ」などが選ばれていた。また、睡眠のために、「ヤクルト1000」などの乳酸菌飲料やサプリメントの摂取、就寝時間や食事時間など時間管理を挙げる人も多かった。 なお、厚生労働省は今年3月、睡眠について気になっているけれど対処法がわからずに悩んでいる人、肥満、高血圧、糖尿病などの疾患がある人を含む幅広い人を対象に作成された『良い目覚めは良い眠りから知っているようで知らない睡眠のこと』というパンフレットとともにその解説書を公開しており、患者への生活指導のみならず医師にも役立つツールなので、ぜひ参考にされたい。 このほか、医師の睡眠実態の詳細ほか、以下のアンケ―ト結果では医師が個人の見解でオススメする寝具、意識して取り入れている物の一覧も公開している。『医師の平均睡眠時間、睡眠への満足度は?』<アンケート概要>目的:睡眠が健康管理の重要なカテゴリーとして注目されていることから、多忙な医師の睡眠状況、睡眠に対する意識を調査した。対象:ケアネット会員医師 1,000人調査日:2023年8月24日方法:インターネット

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脳卒中の診断、年齢の左桁バイアスはあるか

 人間には、年齢などの連続変数の左端の桁の数字に基づいて判断する傾向(left-digit bias:左桁バイアス)がある。このバイアスが医師の意思決定にも影響するのだろうか。最近の研究1)では、80歳の誕生日直前の患者より、直後の患者に冠動脈バイパス術を行う可能性が低かったことが示されている。今回、京都大学の福間 真悟氏らは、脳卒中に対する画像検査のオーダーに年齢の左桁バイアスが影響するかを検討した。その結果、男性患者に対してのみ、40歳前後でオーダーの不連続的な増加がみられ、医師の脳卒中リスクの推定に認知バイアスが存在することが示唆された。Social Science & Medicine誌2023年8月26日号に掲載。 本研究は、回帰不連続デザイン(RDD)によるコホート研究で、日本における全国的な労働年齢の健康保険の請求データベースから、2014年1月~2019年12月に時間外受診をした患者を解析対象とした。初診時、医師が脳卒中診断のために画像検査(CTまたはMRI)をオーダーしたかどうかを、患者年齢別に調査した。 主な結果は以下のとおり。・総受診数29万3,390件のうち、40歳からデータに基づいた最適バンド幅である6.0歳以内の4万8,598件を解析対象とした(平均年齢40.8歳[標準偏差3.4]、女性50.5%)。・脳卒中に対する画像検査を受ける基準の確率は0.9%であった。・40歳未満の患者より40歳以上の患者で、医師が画像検査をオーダーする可能性が高かった(調整後の差:+0.51パーセンテージポイント[pp]、95%信頼区間[CI]:+0.13~+1.07pp、p=0.01)。・脳卒中に対する画像検査のオーダーにおいて、男性患者では40歳で有意な非連続的変化がみられた(+0.84pp、95%CI:+0.24~+1.69pp、p=0.009)が、女性患者ではみられなかった。

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日本人高齢者の歩行速度と軽度認知障害リスクとの関係

 これまでの研究では、歩行速度の低下と認知機能低下との関連が示唆されている。しかし、この関連が高齢者集団の年齢および性別の影響を受けるかは、よくわかっていない。慶應義塾大学の文 鐘玉氏らは、年齢、性別の影響を考慮し、軽度認知障害(MCI)と歩行速度との関連について調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2023年8月2日号の報告。 本横断研究には、2016~18年に65歳以上の日本人高齢者8,233人が登録された。性別、年齢により層別化した後、対象者の歩行速度を5分位に分類し、それぞれのMCI有病率の差を算出した。歩行速度別のMCI有病率、年齢および性別の影響を評価するため、ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・多変数調整モデル2ロジスティック回帰分析では、歩行速度が最も遅い群と最も早い群との比較におけるMCIのオッズ比は、女性で2.02(95%信頼区間[CI]:1.47~2.76)、男性で1.75(同:1.29~2.38)であった。・層別分析では、歩行速度とMCIの関連性において、男性では年齢依存的な増加が認められたが、女性ではいずれの年齢層でも同様であった。 著者らは、その結果を踏まえて「歩行速度の低下とMCI有病率の増加との関連が確認され、この関連は性別や年齢により異なる可能性がある。したがって、年齢および性別を考慮した歩行速度の評価は、MCIのスクリーニングツールとして機能する可能性が示唆された」と述べている。

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記憶力に不安がある高齢者の運転はいかに危険か/長寿研ほか

 日本の高齢ドライバーを対象とした横断研究の結果、客観的認知障害の有無にかかわらず、主観的な記憶力の心配(subjective memory concerns、以下「SMC」)や、SMCに加えて歩行速度低下を有する運動認知リスク症候群(motoric cognitive risk syndrome、以下「MCR」)を有する人では自動車衝突事故やヒヤリハットを経験する確率が有意に高かったことを、国立長寿医療研究センターの栗田 智史氏らの研究グループが明らかにした。JAMA Network Open誌2023年8月25日号掲載の報告。 先行研究によって、MCRは処理速度や実行機能の低下などとの関連が報告されているが、MCRと自動車衝突事故との関連性に関する検討は十分ではない。簡便に実施できるMCR評価を行うことで衝突事故リスクに早期に気付くことができる可能性があるため、研究グループはMCR評価と衝突事故やヒヤリハットとの関連を検討した。 研究グループは、2015~18年に実施された同センターの大規模コホート研究(NCGG-SGS)のデータを用い、愛知県在住の65歳以上の高齢者の衝突事故やヒヤリハットの経験を調査した。運転しない人、認知障害がある人(ミニメンタルステート検査21点未満)、認知症の病歴のある人などは除外した。SMCは、老年期うつ病評価尺度(GDS)などを数種類の方法を用いて評価し、歩行速度低下は年齢や性別の平均値より-1.0SD以下とした。 参加者は、過去2年間の衝突事故と前年のヒヤリハットを対面で聴取され、(1)SMCも歩行速度低下も有さない群(対照群)、(2)SMCのみを有する群(SMC群)、(3)歩行速度低下のみを有する群(歩行速度低下群)、(4)MCRを有する群(MCR群)の4群に分けられた。ロジスティック回帰モデルを用いて、衝突事故またはヒヤリハットのオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を求めた。データは2023年2~3月に解析された。 主な結果は以下のとおり。・参加者1万2,475人の平均年齢は72.6(SD 5.2)歳で、56.9%が男性であった。・対照群は3,856人(30.9%)、SMC群は6,889人(55.2%)、歩行速度低下群は557人(4.5%)、MCR群は1,173人(9.4%)であった。・SMC群とMCR群では、衝突事故およびヒヤリハットの割合が他の群よりも多かった(調整標準化残差>1.96、p<0.001)。・ロジスティック回帰分析の結果、対照群と比べて、SMC群とMCR群では衝突事故が有意に多かった(【SMC群】補正後OR:1.48、95%CI:1.27~1.72、p<0.001、【MCR群】補正後OR:1.73、95%CI:1.39~2.16、p<0.001)。・同様に、SMC群とMCR群ではヒヤリハットも有意に多かった(【SMC群】補正後OR:2.07、95%CI:1.91~2.25、p<0.001、【MCR群】補正後OR:2.13、95%CI:1.85~2.45、p<0.001)。・MCR評価を客観的認知障害で層別化した結果、客観的認知障害の有無に関係なくSMC群とMCR群で有意に衝突事故とヒヤリハットが増加していた。・これらの結果は、高齢ドライバーの過失割合が半分以下の衝突事故を除外しても同様であった。 これらの結果より、研究グループは「これらの知見の一般化可能性を高め、外的妥当性を検証するためには、異なる環境におけるさらなる研究が必要である。これらの関連性のメカニズムも今後の研究の課題となる」とまとめた。

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第179回 血液凝固タンパク質2つがコロナ感染後の脳の不調と関連

血液凝固タンパク質2つがコロナ感染後の脳の不調と関連疲労に加えて認知機能障害、いわゆる脳のもやもや(brain fog)が数ある新型コロナウイルス感染(COVID-19)罹患後症状(long COVID)の1つとしてよく知られています。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染して認知機能障害に見舞われる人とそうでない人を隔てる仕組みへの血液凝固タンパク質2つの寄与を示唆する大規模観察試験結果が報告されました1)。試験ではCOVID-19で入院した患者約2千例(1,837例)が追跡され、入院時のそれらタンパク質2つと感染から半年と1年時点での認知機能障害の関連が認められました。その1つはフィブリノゲンです。C反応性タンパク質(CRP)に比してフィブリノゲンが入院時に多かった患者は少なかった患者に比べて記憶や注意などの認知機能の客観的検査成績や主観評価が劣りました。もう1つはDダイマーで、CRPに比してDダイマーが多かった患者は認知機能の主観評価が劣りました。たとえばDダイマーが多かった患者の6ヵ月時点の認知機能主観評価C-PSQ(0~7点)の点数は約1.5点劣りました。また、Dダイマーが多かった患者は疲労や呼吸困難の訴えや仕事への差し障りをより多く報告しました。フィブリノゲンやDダイマーとCOVID-19の関連を示した報告は今回が初めてではありません。先立つ複数の試験でCOVID-19入院患者にそれらタンパク質の増加が血栓過剰とともに認められています2)。フィブリノゲンが多いことと認知機能障害や認知症の関連を示したCOVID-19流行前の報告もあり、フィブリノゲンは認知機能欠損と何はさておき関連するのかもしれません。一方、DダイマーはCOVID-19以外で認知機能障害との関連は示されておらず、SARS-CoV-2感染に特有の指標かもしれません。フィブリノゲンやDダイマーが認知機能障害を引き起こすとしてその仕組みがいくつか想定されています。フィブリノゲンは脳の血液循環を妨げる血栓を形成するのかもしれません。あるいは神経系の受容体と直接相互作用することも想定されます。Dダイマーは肺での血栓形成をより反映していると思われ、それが呼吸困難に寄与し、酸欠による脳の不具合をもたらすのかもしれません。今回の試験結果を解釈するうえでいくつか注意点があります。1つは変異株がぼこぼこ出現する前のコロナ流行初期に募った被験者を対象にしていることであり、変異株が優勢の現在の感染患者に今回の結果が当てはまるかどうかは不明です。また、ワクチン非接種の重症の入院患者を対象としていることも注意が必要です。感染症状が軽度だったlong COVID患者は多く、そういう患者は今回の試験の対象ではありません。フィブリノゲンやDダイマー、あるいはより大まかに血栓を標的とする治療のlong COVID予防の裏付けはほとんどありません。抗凝固薬が治療手段の1つとしてみなされていますが、決定的な試験結果はまだありません2)。それに抗凝固薬は出血などの副作用と隣り合わせでもあります。抗凝固薬の検討のために必要な前段階として、認知機能障害をSARS-CoV-2感染後に被った患者の脳を画像診断して脳虚血の兆候があるかどうかを調べることを著者は提案しています1)。もし脳虚血が見つかるようなら先行きが心配な患者の感染初期のころの抗凝固薬使用の試験を実施する価値はありそうです。参考1)Taquet M, et al. Nat Med. 2023 Aug 31. [Epub ahead of print] 2)Clotting proteins linked to Long Covid’s brain fog / Science

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日本人のBMIと認知症リスク、男女間で異なる

 BMIと認知症リスクとの関連は、年齢によりばらつきがあり、性別の影響を受ける可能性がある。新潟大学のAlena Zakharova氏らは、地域在住の日本人を対象に、BMIと認知症リスクとの関連に対する性別の影響を明らかにするため、コホート研究を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌2023年8月1日号の報告。 ベースライン時(2011~13年)に40~74歳であった地域在住の日本人1万3,802人を対象に8年間のフォローアップ期間を伴うコホート研究を実施した。直接測定により収集された身長、体重、腹囲を含む社会人口統計学的およびライフスタイル、病歴に関する情報を自己記入式アンケートで収集した。BMIに基づき参加者を次の6群に分類した。低体重群(<18.5kg/mm2)、低普通体重群(18.5~20.6kg/m2)、普通体重群(20.7~22.6kg/m2)、高普通体重群(22.7~24.9kg/m2)、過体重群(25.0~29.9kg/m2)、肥満群(≧30.0kg/m2)。認知症発症に関する情報は、介護保険データベースより収集した。多変量調整ハザード比(HR)の算出には、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は、59.0歳であった。・男性では、BMIが高いほど認知症リスクが低かった(完全調整p for trend=0.0086)。・女性では、BMIと認知症リスクとの間にU字型の関連が認められ、低体重群(完全調整HR:2.12)、低普通体重群(同:2.08)、過体重群(同:1.78)は、対照群(高普通体重群)と比較し、認知症リスクが有意に高かった。・これらの所見は、フォローアップ期間の最初の4年間で認知症を発症した参加者を除外した場合でも、同様であった。 著者らは、これらの結果から、「過体重や肥満は、女性のみで認知症リスクを上昇させる可能性があり、肥満の性差が認知症リスクと関連していることが示唆された」と述べている。

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薬物+EC-ICバイパス術、ICA・MCA閉塞患者の脳卒中を抑制するか/JAMA

 内頸動脈(ICA)または中大脳動脈(MCA)にアテローム性動脈硬化症による閉塞を有し、患部に血行動態不全を認める症候性の患者においては、薬物療法(内科的治療)に頭蓋外-頭蓋内(EC-IC)バイパス術を併用しても、内科的治療単独と比較して脳卒中または死亡の発生を抑制しないことが、中国・National Center for Neurological DisordersのYan Ma氏らが実施した「CMOSS試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2023年8月22・29日合併号に掲載された。中国の13施設で行われた無作為化試験 CMOSS試験は、中国の13施設が参加した非盲検(アウトカム評価者盲検)無作為化試験であり、2013年6月~2018年3月に患者を登録した(中国国家衛生健康委員会の助成を受けた)。 対象は、年齢18~65歳、CT灌流画像上の血行動態不全に起因する一過性脳虚血発作または後遺障害のない虚血性脳卒中を認め、デジタルサブトラクション血管造影検査で片側性のICAまたはMCAの閉塞がみられ、修正Rankin尺度(mRS)スコアが0~2点の患者であった。 被験者を、EC-ICバイパス術+内科的治療を行う群(手術群)、または内科的治療のみを行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。内科的治療は、ガイドラインに基づき、抗血小板療法と脳卒中のリスク因子を管理するための薬物療法(必要に応じて高LDLコレステロールや高血圧の治療薬を使用)が行われ、禁煙(カウンセリング、経口禁煙補助薬)および減量(行動変容、薬物療法)が推奨された。 主要アウトカムは、無作為化から30日以内の脳卒中または死亡と、31日~2年までの同側の虚血性脳卒中の複合であった。9項目の副次アウトカムにも有意差なし 324例(年齢中央値52.7歳、男性79.3%)を登録し、手術群に161例、内科的治療群に163例を割り付けた。309例(95.4%)が試験を完遂した。 主要複合アウトカムは、手術群8.6%(13/151例)、内科的治療群12.3%(19/155例)で発生し、両群間に有意な差を認めなかった(発生率の群間差:-3.6%[95%信頼区間[CI]:-10.1~2.9]、ハザード比[HR]:0.71[95%CI:0.33~1.54]、p=0.39)。 30日以内の脳卒中または死亡は、手術群6.2%(10/161例)、内科的治療群1.8%(3/163例)で、31日~2年までの同側の虚血性脳卒中は、それぞれ2.0%(3/151例)、10.3%(16/155例)で発生した。 事前に規定された9項目の副次アウトカムはいずれも有意差を示さなかった。たとえば、2年以内のあらゆる脳卒中または死亡は、手術群9.9%(15/152例)、内科的治療群15.3%(24/157例)で発生し(発生率の群間差:-5.4%[95%CI:-12.5~1.7]、HR:0.69[95%CI:0.34~1.39]、p=0.30)、2年以内の致死的脳卒中は、それぞれ2.0%(3/150例)、0%(0/153例)で発生した(発生率の群間差:1.9%、95%CI:-0.2~4.0、p=0.08)。 著者は、「今後の試験でバイパス術を検討する際は、より大きなサンプルサイズ、バイパス術が最も有効な患者を同定するためのより精緻な患者選択基準の確立、バイパス術の至適なタイミングの解明、より長期の追跡期間が必要となるだろう」としている。

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ソリリス、小児の全身型重症筋無力症患者に対する追加承認を取得/アレクシオン

 アレクシオンファーマは、ソリリス点滴静注300mg(一般名:エクリズマブ[遺伝子組換え]、以下「ソリリス」)が日本において、免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)または血液浄化療法(PLEX)による症状の管理が困難な抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性の全身型重症筋無力症(gMG)の小児患者の治療に対する用法および用量の追加承認を、8月23日付で取得したと発表した。ソリリスが小児の難治性gMG患者に臨床的有効性を示した gMGは、筋機能および重度の筋力の低下を特徴とする希少な自己免疫疾患である。gMG患者の80%は抗AChR抗体陽性であり、神経細胞と筋肉の接着部である神経筋接合部(NMJ)のシグナル受容体に特異的に結合する自己抗体(抗AChR抗体)を産生する。この結合は、感染に対する身体の防御に不可欠な補体系を活性化し、免疫システムによるNMJの破壊が引き起こされる。これにより炎症が起こり、脳と筋肉との情報伝達の遮断につながる。gMGはどの年齢でも起こりえるが、最も一般的には40歳以下の女性および60歳以上の男性にみられる。初期症状には、構音障害、複視、眼瞼下垂、バランスの喪失などがあり、病気が進行すると、嚥下障害、息苦しさ、極度の疲労、呼吸不全など、より重篤な症状につながる可能性がある。 ソリリスは、小児および青年患者のgMGの治療薬として、日本で初めて承認された唯一の分子標的治療薬である。今回のソリリスの追加承認は、難治性gMGの小児患者を対象とした、ソリリスの第III相臨床試験の結果に基づいている。本試験では、免疫抑制療法が無効で重大な疾患症状が消失せず持続している難治性gMGの小児患者において、ソリリスの臨床的有効性が示された。ソリリスは、主要評価項目である定量的重症筋無力症(QMG)総スコア(疾患の重症度と運動機能を医師が評価する尺度)のベースラインから26週目までの変化に有意な改善を示した(-5.8[95%CI:-8.4~-3.13]、p=0.0004)。 東京女子医科大学小児科の石垣 景子氏は、「gMGの小児患者の治療において、利用できる免疫抑制薬などの現行の治療法では、疾患の進行に伴い、十分に症状をコントロールできない場合もあるなど課題があった。このたびの日本におけるソリリスの小児の適応拡大は、gMGの治療におけるC5補体阻害剤の効果を示すものであり、小児患者が運動機能を維持し、重篤な症状を軽減する可能性のある新たな治療選択肢を提供する」と述べている。また、Alexion(米国)のマーク・デュノワイエ最高経営責任者(CEO)は、「gMGと共に生きる小児患者は、標準治療に反応しなくなり、運動機能、会話、呼吸に影響を及ぼす症状が継続することがある。当社のファースト・イン・クラスのC5補体阻害剤であるソリリスは、小児患者の症状や家族の生活の質を改善する可能性がある。日本においてgMGの小児患者のコミュニティーに、最初で唯一の分子標的治療薬を届けることを誇りに思っている」と語っている。

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第178回 老化に伴う難聴を脳のコレステロール補強で防ぎうる

老化に伴う難聴を脳のコレステロール補強で防ぎうる老化と関連する難聴は大問題であり、65歳を超える高齢者の約3人に1人が多かれ少なかれそうなります。難聴は聞こえにくくなるという不便さを強いることに加えて認知機能低下が早まることや認知症リスクの上昇とも密接に関連します。そういう大きな問題をはらむ老化関連難聴を脳のコレステロール補強といういとも手軽な方法で防げるかもしれないことがアルゼンチンのチームによるマウス実験で示されました1)。ちまたではコレステロールといえば悪者と相場が決まっていますが、神経細胞膜の要員の1つであり、神経細胞や膜連携タンパク質の機能に不可欠です。コレステロールはシナプス膜に豊富で、タンパク質複合体の数々に結合したり影響を及ぼしたりしてそれらの構造や振る舞い、活性を調節することが最近の研究で示されています。シナプス形成、細胞間相互作用、細胞内伝達に与するコレステロールを中枢神経系(CNS)は手ずから生成します。というのも末梢のコレステロールは血液脳関門(BBB)を通過できず、CNSは他所から調達することができないからです。ゆえに脳のコレステロール濃度は厳密に調節されており、その調節の乱れは認知機能障害や種々の神経変性疾患と関連することが知られています。脳のコレステロールは老化の影響も受けます。たとえば老化に伴って海馬のコレステロールが減ります。また、老人や神経変性疾患患者の脳のコレステロールは乏しいという検体解析結果も報告されています。老化と関連するコレステロール減少の原因の1つは海馬でのコレステロール水酸化酵素CYP46A1の増加です。マウス海馬シナプスの老化に伴うコレステロール減少が主にCYP46A1亢進に起因し、シナプス受容体の行き来や陥入を立ち行かなくし、記憶障害をもたらすことが確認されています。注目すべきことに、脳のコレステロールを底上げすることで老化マウスのシナプスや認知機能の不備を減らしうることが示されています。また、神経変性疾患の治療効果もあるらしく、ハンチントン病マウスのシナプスや認知機能が脳へのコレステロール運搬粒子で改善しました。老化関連難聴は内耳の蝸牛の外有毛細胞(OHC)の損失を発端の1つとします。音信号の増幅に携わるOHCの側壁は厳密な管理下のコレステロールを含み、OHC側壁のコレステロール含量の変化はOHC側壁内のモータータンパク質プレスチンの機能や配置に影響を及ぼすようです。しかし内耳の病変にコレステロール変動がどう寄与しているかはこれまで調べられたことはありません。そこでアルゼンチン・ブエノスアイレス大学のチームはコレステロール欠乏が内耳蝸牛の老化病変に寄与するとの仮説を立て、若いマウスと老化マウスの内耳のCYP46A1とコレステロール量を調べてみました。すると予想どおり高齢マウスの内耳のCYP46A1は若いマウスに比べて多く、コレステロールは逆に減っていました。続いて若いマウスのCYP46A1を過剰に活性化するとどうなるかが調べられました。その実験にはCYP46A1を活性化することが知られるHIV治療薬エファビレンツが使われました。若いマウスにエファビレンツを投与したところOHCのコレステロールが減り、プレスチンも乏しくなって配置が変わり、難聴がもたらされました。そして研究は脳のコレステロール補強の効果検討というクライマックスを迎えます。若いマウスへのエファビレンツ投与に伴う難聴を脳のコレステロール補強で防げるかどうかが調べられました。上述のとおりコレステロールは血中から脳に入れません。そこでコレステロールに似た構造と働きをし、BBBを通過して脳に到達できる植物ステロールに白羽の矢が立てられました。ここでも狙いどおりの結果が得られ、エファビレンツ投与マウスに植物ステロールを食べさせたところOHC機能が改善し、プレスチンの分布も正常化しました。最近ではエファビレンツが一翼を担うことが多い抗レトロウイルス薬ひとそろいを使用するHIV/AIDS患者に聴覚障害が多いことが報告されています。今回の結果によると植物ステロールがその予防や治療に役立つかもしれません。また、植物ステロールの服用は老化と関連する難聴の手軽な予防法となる可能性もあり2)、動物やヒトでのさらなる検討が期待されます。参考1)Sodero SO, et al. PLoS Biol. 2023;21:e3002257.2)Common supplements might reduce natural hearing loss / Eurekalert

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レビー小体型認知症のパーキンソニズムに対するゾニサミド補助療法

 レビー小体型認知症(DLB)患者のパーキンソニズムに対してレボドパで効果不十分な場合、レボドパの増量とゾニサミド併用の効果および安全性の違いについては、よくわかっていない。大阪大学の池田 学氏らは、レボドパ300mg/日以下で治療されたパーキンソニズムを伴うDLB患者を対象に、ゾニサミド25mg/日併用療法とレボドパ100mg/日増量療法の比較を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2023年7月20日号の報告。 本DUEL研究は、多施設共同ランダム化非盲検並行群間非劣性試験として実施された。観察期間中、レボドパ300mg/日以下で4週間投与を行った。その後患者は、ゾニサミド25mg/日併用群またはレボドパ100mg/日増量群にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、16週目および24週目のMDS-UPDRS Part III総スコアの平均変化とした。 主な結果は以下のとおり。・16週目および24週目のMDS-UPDRS Part III総スコアの調整平均変化は以下のとおりであった。【ゾニサミド併用群】16週目:-6.3、24週目:-4.4【レボドパ増量群】16週目:-0.8、24週目:2.0・24週目の調整平均差は、-6.4(95%信頼区間:-13.5~0.7)であり、信頼区間の上限値は、非劣性マージン(3.0)よりも低かった。・MDS-UPDRS Part II、Eating Questionnaire、EuroQol-5 dimension-5 level (EQ-5D-5L)、Zarit介護負担尺度、その他の副次的評価項目の総スコアは、両群間で差は認められなかった。・有害事象の発生率は、両群間で差は認められなかった。 その結果を踏まえて著者らは、「レボドパで効果不十分な場合、ゾニサミド25mg/日を併用することで、DLB患者の運動症状に中程度の効果が期待できる。しかし、本研究では、レボドパ増量が想定されているほどの効果が得られなかったため、ゾニサミド25mg/日併用がレボドパ100mg/日と同程度の効果があるかは、検証できなかった」としている。

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第174回 レカネマブ承認へ、医療者を待ち受ける5つの関門

ついにアルツハイマー病(AD)に対する抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬が、日本の臨床現場に登場することが確定的となった。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は8月21日、エーザイと米国・バイオジェンが共同開発したlecanemabの承認を了承した。これにより年内には保険適用となる見込みだ。思えば2012年の米国のファイザーとジョンソン&ジョンソンによる抗Aβ抗体の静脈注射製剤bapineuzumabの開発中止に始まり、死屍累々だったAβ標的の新薬開発は、ようやく一つの成果を得た形だ。一方で、ADの治療現場では患者・家族の期待値と現実とのギャップが原因で、今後は患者・家族とのコミュニケーションで疲弊させられる可能性も増してくる。大雑把に言えば、疲弊させられる“関門”は5つある。まず、ADは認知症の6~7割を占める原因疾患だが、そのほかに脳血管性認知症、レビー小体型認知症があるが、一般人はこれらの個別の疾患よりもざっくりとした「認知症」というキーワードで認識している人のほうが多数派だろう。それゆえにlecanemabが実際に登場した段階では、ADかどうかにかかわらず「私も」「うちの家族も」という誤解した期待の声に医療従事者は振り回されることになる。ここが第1の関門である。さらに、lecanemabはご存じのように軽度ADと軽度認知障害(MCI)を総称した早期ADのみが適応だ。ここで中等度AD以上の患者・家族は落胆するはずだ。第2の関門である。そして第2関門まで通過した早期ADの患者・家族を待ち受けている第3の関門、それが検査方法である。今回の医薬品第一部会ではlecanemabの承認了承に合わせ、Aβを可視化する陽電子放出断層撮影(PET)用の放射性診断薬であるフルテメタモル(18F、商品名:ビザミル)、フロルベタピル(18F、同:アミヴィッド)の効能追加も了承され、検査面で地ならしも行われた。現在、Aβの蓄積を確認するためには、このアミロイドPETか脳脊髄液検査(CSF検査)という手段になる。しかし、前者は放射性物質の半減期が極めて短いため、地域によっては身近な医療機関では物理的に受けられないことが起こり得る。加えて十分なアミロイドPETの読影訓練を受けた医療従事者がいる医療機関も限られる。さらに保険適用になっても患者は数万円の自己負担が必要になる見込みである。一方で脳脊髄液検査は侵襲性の高い腰痛穿刺が必要になり、現在の保険適用されている体液バイオマーカーは脳脊髄液リン酸化タウ値のみ。ADの診断により適した脳脊髄液アミロイドβ42は保険適用となっていない。昨今では島津製作所が開発している簡易血液検査が注目されてもいるが、おそらくこれが承認されても、第一段階のスクリーニングのみの使用になり、最終的な確認のためにアミロイドPETという流れになる可能性は十分ある。いずれにせよこの第3の関門で、経済的、物理的な理由で検査を躊躇する、あるいは受けられない一部の患者・家族の苦悩と医療従事者は向き合わねばならない。さらにこれら3つの関門を通過して晴れて投与対象になったとしても、第4の関門として、年間数百万円の薬剤費という現実に多くの患者が直面する。たとえ高額療養費制度を使ったとしても、かなりの経済的な負担になることは確実で、その金額に尻込みをする患者・家族が少なからず発生することになるだろう。そして最後の関門は、投与を始めたものの効果を“実感”できない患者・家族から不満が出る可能性である。第III相試験「Clarity AD」で示されたlecanemabの有効性とは、臨床的認知症尺度(CDR:Clinical Dementia Rating)の合計点数(CDR-SB、18点満点)から見ると、プラセボに比べ、進行が27%抑制されていたというもの。一般人からすれば、数字だけを聞くと、劇的な効果と思う人もいるだろうが、この効果は患者・家族はおろか医療従事者ですら見た目で実感できるものではない。そもそも一般人の多くが「薬=病気を治すもの」と考えている中では、投与前に入念な説明をしても、この薬でADによる物忘れが以前よりも少なくなるのではないかなどの誤解交じりの期待を抱く人は残るはずだ。もしかしたら、医療従事者が患者・家族とのコミュニケーションで最も疲弊させられるのはこの点かもしれない。そして何より、実はこれらとは別の非常に大きな問題が浮上してくる可能性がある。それはlecanemabの投与対象のうちMCIは本人や周囲も気付かないことも多いため、後々に「もう少し早くlecanemabを使えていれば…」という事態が生じることだ。lecanemabというイノベーションは、これ以外にも予想もしなかった新たな課題を生むかもしれない。今回の承認にやや興奮しながらも、それと同じくらい不安も感じている。

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若年性認知症と紛らわしい、初老期のADHD【外来で役立つ!認知症Topics】第8回

認知症専門クリニックの当院を訪れる患者さんの平均年齢は75歳、偏差は10歳くらいかと思う。だから40~65歳の患者さんが来られると、「若年性認知症か?」とまずは疑う。実際にはそれもあるが、複雑部分発作のようなてんかん性疾患や、睡眠時無呼吸症候群だと診断される人も少なくない。ところがここ数年、認知機能についても脳画像などの生物学的な診断指標についても問題なく、最終的に正常と診断する例が増えてきた印象がある。そこでこうした患者さんには、何か共通する背景があるのではないかと思うようになった。理系の学校卒、技術職で働いてきた人で、いわゆる理屈屋さんの傾向があるか?とまず思い当たった。そこで「そもそもどうして来院されたのですか?」と改めて尋ねると、「実は自分でも悪いとは思っていない。上司(あるいは女房)が認知症かどうか専門医に調べてもらうように言ったから」という回答が多いことがわかった。たまたまこの頃、「60歳以上の注意欠如・多動症ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)にご注意を」という主旨の英文記事1)を読んだ。「60歳以上のADHD」という言葉に、「ほーっ」と感心した。実は20年ほど前に「大人になったADHD」という言葉を知ったとき、まず驚いたものだ。というのは、子供の頃の同級生や知友を思い浮かべても、ADHDは児童期には目立っても成長とともに改善し、多くの場合、成人になると治るものとずっと私は思っていたからである。ADHDは大人になってから表面化することもその専門家である岩波 明氏によると、「ADHDは、成人の3〜4%が持っているといわれており、診断を受ける大人が増えている。とくに症状が軽い場合、また周囲の環境によっては見過ごされることもある。しかし大人になると、就職や結婚などによって行動の範囲や人間関係が複雑になるため、それに対処しきれなくなったときに問題が表面化し、症状に気付くことがある」と述べられている。そして注意に関わる特徴として、「注意を持続するのが難しい」、「ケアレスミスが多い」、「片付けが苦手・忘れ物が多い」などを指摘されている2)。それを思い出した上で、60歳以上のADHDの特徴を丁寧に読み返してみた。(1)スイスチーズ記憶:覚えているものもあるが、スコンと抜けるものもある、いわゆる斑ぼけ。(2)気を逸らされるとやりかけの仕事を忘れてしまう。(3)物を定位置に戻さない。(4)くり返し、真っ白になる。(5)家計などの金銭収支を合わせられない。(6)周りに配慮せずしゃべり過ぎる。(7)他者を遮る。(8)他者と安定した関係が保てない。とあった。こうした目で認知症疑いの受診者を見直してみると、先ほどは最終的に知的正常とした中にも、ADHDと考え直すケースが少なくないと考えた。だから最近では、テストが正常であっても、ADHDでは?と思い直して、そのチェックのためにAQ(自閉症スペクトラム指数)3)を施行している。上記の症状のうち、とくに(1)~(5)は認知機能がらみである。一方で(6)~(8)は、従来からのいわゆる「キャラ」関連であろう。そもそもどうして初老期以降になってADHDが顕在化するのか? 答えはわからないのだが、やはり加齢化による機能低下は重要だろう。認知症は、以前は「痴呆症」と呼ばれたように、知性や知識の病である。ところで精神現象を包括する語に「知情意」がある。「情」とは心、「意」とは意欲である。ADHD の素因がある人は、年齢を重ねた時に、ミニメンタルステート検査(MMSE)、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDSR)などで定量化しやすい知のみならず、情意についても、ほころびを生じやすいのではなかろうか。(6)~(8)は、本来の傾向が、この情意のほころびによって強められた現れなのかもしれない。こうしたことで、当事者の周囲が見て取る「知情意」の変化が認知症の初期症状と捉えられ、認知症専門外来という話になるのかもしれない。初老期のADHD治療さて治療においては、まず自分にはどんな問題があるかを、初老期になった当事者に自覚してもらう必要がある。上記報告1)はこれを簡潔に述べている。(1)先送りにしがちだ。(2)苛つきやすい自分をコントロールする必要がある。(3)制限時間を意識した段取りと進行が求められる。(4)落ち着かなさ、雑念が頭の中を駆け巡る、しゃべり過ぎ。などは過活動の残骸と考えよう。またADHDに適応がある薬物には、メチルフェニデート(商品名:コンサータ)、アトモキセチン(ストラテラ)、グアンファシン(インチュニブ)、リスデキサンフェタミン(ビバンセ)の4剤がある。いずれも副作用など危険性も高く、その処方にはADHDに精通した医師の関わりが求められているだけに、医師なら誰でもとはいかないだろう。終わりに、初老期以降のADHDと思しき人の病識、あるいは自覚について。それがある人と、まったくといっていいほどない人にきれいに二分されるという印象がある。筆者がADHD疑いと思っても本人が否定する場合は、本人と近しい人にもAQをやってもらう。それと本人の回答が明らかに乖離することが、こうしたケースの特徴のようだ。参考1)Nadeau K. A Critical Need Ignored: Inadequate Diagnosis and Treatment of ADHD After Age 60. ADDITUDE. 2022 July 14.2)NHK健康チャンネル 大人の「注意欠如・多動症(ADHD)」とは?特徴や治療を解説!(2023年7月21日)3)若林明雄ほか. 自閉症スペクトラム指数(AQ)日本語版の標準化. 心理学研究. 2004;75:78-84.

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アルツハイマー病治療薬レカネマブ、厚労省専門部会が薬事承認を了承/エーザイ・バイオジェン

 2023年8月21日、lecanemab(一般名:レカネマブ、商品名:レケンビ点滴静注200mg/同500mg、以下「レカネマブ」)は、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において製造販売承認が了承された。今回の了承に際して、エーザイとBiogen(米国)は共同ステートメントを発表し、「厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において、レカネマブの早期アルツハイマー病治療薬としての製造販売承認が了承されたことは、わが国のアルツハイマー病治療における大きな前進であると受け止めている」とした。 レカネマブは大規模グローバル臨床第III相検証試験であるClarity AD試験のデータに基づき、7月に米国食品医薬品局(FDA)よりアルツハイマー型認知症治療薬として「フル承認」を取得していた。

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第177回 血小板因子が脳を若返らせる

血小板因子が脳を若返らせる3チーム3様の視点で取り組んだ脳の若返り因子探索がどれも1つの成分に行き着き、それらの成果が3チームの示し合わせのうえで先週16日にNature誌とその姉妹誌2つに同時に報告されました1)。若い動物と老いた動物の血液循環をつなぐと老いた動物が若返ることが知られています。2014年に発表された実験では、血液から細胞を省いた部分である血漿にその効果があることが示されました。その実験では若いマウスの血漿が老いたマウスに注射されました。すると老化に伴う認知機能障害が改善し、学習や記憶が向上しました2)。その報告の筆頭著者だった米国・カリフォルニア大学のSaul Villeda氏が指揮役になってからのさらなる研究で血小板から放たれる血小板第4因子(PF4)が老化マウスの認知機能を改善することが突き止められ、Nature誌にその成果が発表されました3)。まずVilleda氏らは若いマウスの血漿の血小板分画を老化マウスに投与すると脳の老化の特徴である神経炎症指標が落ち着くことを見出しました。続いて血小板分画のどの成分がそれらの有益効果を担うかという検討に移り、若いマウスの血漿にはPF4が豊富なことを発見します。ヒトでも同様で、老人より若い人の血漿検体にはPF4がより豊富でした。運動は老化に伴う認知機能低下を食い止める働きがあり、脳の海馬(の歯状回)の神経新生が運動で増えることへのPF4の寄与が先立つ研究で示唆されています。また、ヒトやサルのPF4が老化に応じて減ることが確認されています。ということはPF4に若返りの作用があるのかもしれません。どうやらその予想は正しく、Villeda氏らのチームが老いたマウスにPF4を注射したところ若い血漿を投与したときと同様の効果が認められました。PF4が投与された老化マウスでは海馬の神経炎症が和らぎ、シナプス可塑性に携わる指標の発現が高まり、記憶や学習の検査成績が良くなりました。神経新生が運動で増えることにどうやらPF4が寄与することを示した上述の成果を2019年に報告したTara Walker氏らの新たな研究でもPF4の抗老化作用がマウス実験で示され、Villeda氏らのNature誌報告と同時にNature Communications誌にその成果が発表されました4)。Walker氏らの新たな研究の結果、運動で血小板が活性化することで老化マウスの海馬の細胞増殖が向上し、血小板由来の成分であるPF4の全身循環の増加が海馬の神経新生促進を介して認知機能を若返らせることが示されています。同時に発表されたもう1つの報告では、寿命を延ばすことが知られるホルモンの働きに必要な因子の探索でPF4が発掘されました。クロトー(klotho)と呼ばれるそのホルモンは長寿をもたらすことに加えて脳機能も改善します。しかし末梢に投与したクロトーは血液脳関門(BBB)を通過できず、脳に到達しません。そこで、クロトーと脳機能改善の関係を仲立ちする成分が探索され、意外にもPF4がその作用を担うことが突き止められました。Nature Aging誌に掲載されたその研究の結果、クロトーはPF4を含む血小板因子を増やし、末梢に投与したPF4は脳に到達可能であり、マウスの老いも若きもPF4投与で認知機能が上向きました5)。ところで、PF4を欠くマウスでもクロトーは認知機能向上効果を有しました。ということはクロトーと認知機能向上の関連を橋渡しするPF4以外の未知の因子がどうやら存在するようです。血小板因子の手入れで老化による脳の衰えを回復できるかもしれないとVilleda氏らの報告には記されています3)。また、アルツハイマー病などの高齢者の認知症の治療にも血小板因子が役立ちそうです。参考1)Blood factor can turn back time in the aging brain / Eurekalert2)Villeda SA, et al. Nat Med. 2014;20:659-663.3)Schroer AB, et al. Nature. 2023 Aug 16. [Epub ahead of print]4)Leiter O, et al. Nat Commun. 2023;14:4375.5)Park C, et al. Nat Aging. 2023 Aug 16. [Epub ahead of print]

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アルツハイマー病のリスク因子

 アルツハイマー病は最も一般的な認知症であるが、その原因はいまだ不明である。その理由として、多因子疾患であるアルツハイマー病に関する研究が十分に行われていない可能性が挙げられる。オーストラリア・シドニー大学のMichael Allwright氏らは、UK Biobankのデータセットを用いて、アルツハイマー病に関連する既知のリスク因子をランク付けし、新たな変数を模索するため本研究を実施した。その結果、アルツハイマー病の最も重大なリスク因子は、APOE4対立遺伝子の保有であることが再確認された。APOE4キャリアにおける新たなリスク因子として肝疾患が抽出された一方で、「不眠/不眠症」は、APOE4のステータスとは無関係にアルツハイマー病の予防効果が確認された。著者らは、肝疾患を含む併存疾患の将来的な治療により、アルツハイマー病のリスクが同時に低下する可能性があるとしている。Aging Brain誌2023年6月17日号の報告。 高次元データに対するカスタム機械学習アプローチを用いて、後にアルツハイマー病と診断された2,090例以上を含む60~70歳のUK Biobank参加者15万6,209例のサブコホートにおいて、アルツハイマー病との関係をプロスペクティブに調査した。 主な結果は以下のとおり。・APOE4対立遺伝子の保有の次に高ランクのリスク因子は、TOMM40-APOE-APOC1遺伝子座内の他の遺伝的変異であった。・APOE4キャリアのステータス別に層別化すると、APOE4キャリアにおける最大のリスク因子は「AST:ALT比」「治療/投薬の数」「入院期間」であり、保護因子は「不眠/不眠症」であった。・非APOE4キャリアでは、「社会経済的地位の低さ」「教育年齢の少なさ」が上位であったが、エフェクトサイズはAPOE4キャリアよりも小さかった。

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アルツハイマー病、早発型と遅発型の臨床的特徴の違い~メタ解析

 認知症で最も一般的な病態であるアルツハイマー病は、発症年齢による比較検討が多くの研究で行われているが、その違いは明らかになっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのPaige Seath氏らは、アルツハイマー病の早発型(65歳未満、early-onset:EO-AD)と遅発型(65歳以上、late-onset:LO-AD)の臨床的特徴を比較するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、EO-AD患者はベースライン時の認知機能、認知機能低下速度、生存期間においてLO-AD患者と異なる特徴を有しているが、それ以外の臨床的特徴は同様であることが示唆された。International Psychogeriatrics誌オンライン版2023年7月11日号の報告。 Medline、Embase、PsycINFO、CINAHLのデータベースをシステマティックに検索し、EO-AD患者とLO-AD患者における診断までの時間、認知機能スコア、1年当たりの認知機能低下、ADL、神経精神症状、QOL、生存期間を比較した研究を抽出した。変量効果モデルを用いた逆分散法により、各アウトカムへの全体的な影響の推定値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析には42研究(EO-AD:5,544例、LO-AD:1万6,042例)を含めた。・EO-AD患者は、LO-AD患者と比較し、ベースライン時の認知機能が著しく低く、認知機能低下の速度が速かったが、生存期間は長かった。・EO-AD患者は、発症から診断までの期間、ADL、神経精神症状について、LO-AD患者との違いは認められなかった。・EO-AD患者とLO-AD患者のQOLの違いへの全体的な影響の推定には、データが不十分であった。 結果を踏まえて著者は、「アルツハイマー病における発症年齢の影響をより理解するため、臨床症状に焦点を当てた標準化された質問票を用いた大規模研究が必要である」としている。

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