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【GET!ザ・トレンド】ステントで脳血栓を回収 脳血管内治療はここまで来た

脳血管内治療がさらに進歩している。今回は、同治療の第一人者である神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科部長 坂井 信幸氏に、その最新情報を聞いた。坂井氏によれば、脳動脈瘤や頸動脈などを含め脳血管内治療は、いまや年間2万件以上実施されているという。また、脳血管内治療専門医として認定された医師はおよそ950人だが、毎年100人程度増加しており、多くの医師が取り組み始めていることがわかる。脳血管内治療の進化脳の血管は細く屈曲蛇行し、なおかつデリケートで破れやすい。当然、挿入機器は細く柔らかく長いものになる。柔らかいものは押し込みにくいため、技術導入初期ではカテーテルの誘導そのものに苦労していたそうだ。その後の機器の開発は著しく、マイクロカテーテルは細く、滑りやすく、安全に脳血管に届くよう改良され、同時にガイドワイヤーなどの機器も大きく進化した。さらに、心臓などで用いられるステントも脳内に適用できるようになった。注目される局所線溶(再開通)療法この脳内ステントの登場により、さらに注目を浴びているのが局所線溶(再開通)療法だ。急性虚血性脳血管障害では、従来tPAで詰まった血栓を溶かすしか手段がなく、tPAの適応外症例や無効例には対応できなかった。tPAで対応できないこうした血栓を、血管内から挿入したワイヤー型やステント型のデバイスで回収し、再開通させるのが局所線溶(再開通)療法である。本邦では、中心循環系塞栓除去用カテーテル(Merciリトリーバー)が2010年に、ステント型血栓除去用カテーテル(Solitaire FR)が昨年(2014年)保険適用となっている。坂井氏の経験では、どちらも非常に速く血栓を確保し再開通できるという。この血管内カテーテル追加治療の有用性を確認すべく、いくつかの比較試験が最近行われている。まず昨年(2014年)12月にMR CLEAN1)試験が発表された。次いで本年(2015年)2月、ESCAPE2)、EXTEND-IA3)というSolitaire FRを用いた2つの無作為化比較試験の結果が発表された。ESCAPE試験においては、Solitaire FR追加群の機能的自立率はtPA単独群に比べ統計学的にも有意に改善(53%vs. 29%)。脳卒中による死亡率もtPA単独群に比べ2分の1近くとなり(10%vs. 19%)、統計学的にも有意に低減していた。(血管内治療の追加で脳梗塞の予後改善)。EXTEND-IA試験においては、tPA単独群に比べ機能的自立回復率が有意に改善(71% vs 40%)した。この両試験の結果は3月の日本脳卒中学会(STROKE2015)でも非常に大きな話題となったという。すべての適応患者に行われるべき局所線溶(再開通)療法これらの試験から局所線溶(再開通)療法の有用性が明らかとなった。可能な限り多くの適応患者にこの治療を受けてもらうため、日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会、日本脳神経血管内治療学会は3学会の合同で所定の適正使用指針を定め、脳血管内治療専門医および、それに準じる経験を有する医師に対しても広く情報提供している。とはいえ、tPA自体もすべての適応患者に用いられているわけではなく、おのずと次段階で用いられる局所線溶(再開通)療法を受けられる患者はさらに少なくなってしまうのが現状である。急性期の脳梗塞患者を診療する医師は、まずtPA適応患者を見極めて、必要であれば速やかに専門施設に送っていただきたいと坂井氏は述べる。機器の開発により、脳血管内治療の適応は今後ますます拡大していくと予想される。これらの疾患に関わるすべての医療者は、脳血管内治療の最新情報を収集し診療に実践していく必要があるだろう。脳血管障害の医療を担う若手医師へのメッセージ1)Berkhemer OA, et al. N Engl J Med. 2015;372:11-20.2)Goyal M, et al. N Engl J Med. 2015;372:1019-1030.3) Campbell BC, et al. N Engl J Med. 2015;372:1009-1018.

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【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(3)

近年の研究で、ヒトの脳にも“神経幹細胞”が存在し、新たな神経細胞をつくっていることが証明された。この神経幹細胞を有効に活用することで、脳神経を再生させる。それを実現する再生医薬品、SB623が開発されている。すでに米国での臨床試験も終了し、著しい効果を示しているという。今回は米国でその臨床試験を統括したスタンフォード大学 神経外科 総責任者である Gary Steinberg氏に聞いた。喜ばしい結果をもたらした初回の臨床試験今回の臨床試験では18人の移植患者に対し、SB623の影響をみた。当初は安全性試験であったが、同時に効果もみることとなった。まず安全性の結果を振り返ると、重篤な有害事象はみられず、また軽度なものも薬剤関連のものはみられなかった。一方、効果の1次評価項目はESS、2次評価項目としてその他の脳卒中評価指標および画像所見も取り入れている。その結果、統計学的にもベースラインからの有意な神経学的な改善が、投与1ヵ月後からみられている。改善は3ヵ月後にはさらに上昇し、6ヵ月後および12ヵ月後も有意な改善が維持されている。この改善効果は、ESS以外の神経評価指標でも確認された。Steinberg氏は「この一連の効果はわれわれの予測を大きく上回り、非常に喜ばしい驚きを与えてくれた」と述べた。予想外 画像所見と神経学的回復が相関したまた、予想外の事実の1つとして、脳MRI所見の変化がある。この所見は投与1週間後にみられた新しいシグナル変化である。この変化は1~2ヵ月後には消失するものの、患者の神経機能は改善し続ける。このシグナルは脳卒中のシグナルではない。このシグナルは運動機能に影響する前運動野に出現する。驚くべきことは、この所見の変化が6ヵ月と12ヵ月の神経学的回復と統計学的に有意に相関する。今後さらに探索する必要があるが、細胞にとって有益な何らかの炎症反応という可能性がある。もう1つ興味深い所見がある。脳のグルコース代謝をみているPETスキャンで脳卒中の病変部位と反対側の領域の代謝活性が上がっていたのである。そして、この代謝活性の上昇は6ヵ月と12ヵ月の神経機能改善と相関している。動物やヒトの研究が今盛んに行われているが、この反対側は卒中部位の回復促進に非常に重要で、卒中側の機能を引き継ぐ、あるいは卒中域を調整できることがわかっている。講演で紹介した患者は非常に印象的な回復をみせた。回復は投与1日で確認された。このようなケースは体験したことがなく、その驚きはショックと表現したほうが適切であった。とはいえ、すべての患者がこのように急速に回復するわけではない。18人の患者の全体像をみると、早期は1ヵ月程度で回復がみられ、3ヵ月で改善が増加し、6ヵ月、12ヵ月においても持続している。24ヵ月観察している患者は多くはないが、同様に改善が持続している。ちなみに、神経学的改善は年齢、用量、罹病期間とも相関せず、前述のフレアシグナルの出現と相関する。脳卒中発症後6ヵ月経過すると脳神経回路は死んで回復できないというのが、従来の定説である。しかし、この試験の結果は考え方を変えさせるものだ。個人的な推察ではあるが、脳卒中になっても脳の神経回路は死んでおらず、大きな阻害により働かない状態になっているが、再活性化されることで回路が再び働き始めるのではないだろうか。SB623の今後の可能性脳卒中においては、さまざまな幹細胞が研究されている。SB623はすでに臨床プログラムに進んでおり、またこれほどの効果を示せたことは画期的である。他の細胞は臨床に入ったばかりであり、それらと比べると明らかにアドバンテージがある。また、慢性脳卒中で効果をみせた意味は大きく、これは時間が経つとともに大きなベネフィットを生むだろう。この試験結果はわれわれに希望を与えるものだった。しかし、症例数は少なく対照群もない。解明すべき点も多々ある。次の段階として150人のアームで対照群と比較するPhase2B試験に進む。そして、より多くの被験者で効果を確認するPhase3試験へとさらに発展させる必要がある。脳卒中は破壊的な病気である。世界では1500万人の患者がいる。この薬剤の効果が証明されれば非常に多くの患者の人生が変化する。脳卒中の治療においては飛躍的進歩になると考えられる。日本の臨床医へのメッセージSteinberg氏メッセージ:2’11″

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【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(3)

近年の研究で、ヒトの脳にも“神経幹細胞”が存在し、新たな神経細胞をつくっていることが証明された。この神経幹細胞を有効に活用することで、脳神経を再生させる。それを実現する再生医薬品、SB623が開発されている。すでに米国での臨床試験も終了し、著しい効果を示しているという。今回は米国でその臨床試験を統括したスタンフォード大学 神経外科 総責任者である Gary Steinberg氏に聞いた。喜ばしい結果をもたらした初回の臨床試験今回の臨床試験では18人の移植患者に対し、SB623の影響をみた。当初は安全性試験であったが、同時に効果もみることとなった。まず安全性の結果を振り返ると、重篤な有害事象はみられず、また軽度なものも薬剤関連のものはみられなかった。一方、効果の1次評価項目はESS、2次評価項目としてその他の脳卒中評価指標および画像所見も取り入れている。その結果、統計学的にもベースラインからの有意な神経学的な改善が、投与1ヵ月後からみられている。改善は3ヵ月後にはさらに上昇し、6ヵ月後および12ヵ月後も有意な改善が維持されている。この改善効果は、ESS以外の神経評価指標でも確認された。Steinberg氏は「この一連の効果はわれわれの予測を大きく上回り、非常に喜ばしい驚きを与えてくれた」と述べた。予想外 画像所見と神経学的回復が相関したまた、予想外の事実の1つとして、脳MRI所見の変化がある。この所見は投与1週間後にみられた新しいシグナル変化である。この変化は1~2ヵ月後には消失するものの、患者の神経機能は改善し続ける。このシグナルは脳卒中のシグナルではない。このシグナルは運動機能に影響する前運動野に出現する。驚くべきことは、この所見の変化が6ヵ月と12ヵ月の神経学的回復と統計学的に有意に相関する。今後さらに探索する必要があるが、細胞にとって有益な何らかの炎症反応という可能性がある。もう1つ興味深い所見がある。脳のグルコース代謝をみているPETスキャンで脳卒中の病変部位と反対側の領域の代謝活性が上がっていたのである。そして、この代謝活性の上昇は6ヵ月と12ヵ月の神経機能改善と相関している。動物やヒトの研究が今盛んに行われているが、この反対側は卒中部位の回復促進に非常に重要で、卒中側の機能を引き継ぐ、あるいは卒中域を調整できることがわかっている。講演で紹介した患者は非常に印象的な回復をみせた。回復は投与1日で確認された。このようなケースは体験したことがなく、その驚きはショックと表現したほうが適切であった。とはいえ、すべての患者がこのように急速に回復するわけではない。18人の患者の全体像をみると、早期は1ヵ月程度で回復がみられ、3ヵ月で改善が増加し、6ヵ月、12ヵ月においても持続している。24ヵ月観察している患者は多くはないが、同様に改善が持続している。ちなみに、神経学的改善は年齢、用量、罹病期間とも相関せず、前述のフレアシグナルの出現と相関する。脳卒中発症後6ヵ月経過すると脳神経回路は死んで回復できないというのが、従来の定説である。しかし、この試験の結果は考え方を変えさせるものだ。個人的な推察ではあるが、脳卒中になっても脳の神経回路は死んでおらず、大きな阻害により働かない状態になっているが、再活性化されることで回路が再び働き始めるのではないだろうか。SB623の今後の可能性脳卒中においては、さまざまな幹細胞が研究されている。SB623はすでに臨床プログラムに進んでおり、またこれほどの効果を示せたことは画期的である。他の細胞は臨床に入ったばかりであり、それらと比べると明らかにアドバンテージがある。また、慢性脳卒中で効果をみせた意味は大きく、これは時間が経つとともに大きなベネフィットを生むだろう。この試験結果はわれわれに希望を与えるものだった。しかし、症例数は少なく対照群もない。解明すべき点も多々ある。次の段階として150人のアームで対照群と比較するPhase2B試験に進む。そして、より多くの被験者で効果を確認するPhase3試験へとさらに発展させる必要がある。脳卒中は破壊的な病気である。世界では1500万人の患者がいる。この薬剤の効果が証明されれば非常に多くの患者の人生が変化する。脳卒中の治療においては飛躍的進歩になると考えられる。日本の臨床医へのメッセージSteinberg氏メッセージ:2’11″

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疼痛管理の改善が認知症患者の問題行動を減らす?

 認知症患者の痛みは、気付かれることが少なく治療が不十分である。英国・ロンドン大学のElizabeth L Sampson氏らは、急性期総合病院に入院中の認知症患者を対象とした縦断的コホート研究において、疼痛が認知症の行動・心理症状(BPSD)と関連しており、疼痛管理の改善が問題行動を減少させ、認知症患者に対する入院ケアの質を向上させる可能性があることを示した。Pain誌2015年4月号の掲載報告。 研究グループは、認知症患者における疼痛の有病率、ならびに疼痛とBPSDとの関連を調べるため、英国の急性期総合病院2施設に入院した70歳超の認知症患者230例を対象に縦断的コホート研究を行った。 ベースライン、および4日ごとに、疼痛の有無と程度(はい/いいえの質問票、およびFACESスケールによる)、運動時ならびに安静時の疼痛(Pain Assessment in Advanced Dementia[PAINAD]による)、焦燥性興奮(agitation)(Cohen-Mansfield Agitating Inventory[CMAI]による)、BPSD(Behavioural Pathology in Alzheimer Disease Scale [BEHAVE-AD]による)について評価した。 主な結果は以下のとおり。・疼痛有病率は、入院時が27%で、入院中は39%まで増加した時期もあった。・FACESスケールを完全に実施できたのは5割で、重度の認知症患者ではこの割合が減少した。・PAINADでは、少なくとも1度は安静時疼痛あり19%、同様に運動時疼痛あり57%であった(うち16%は入院期間中を通して持続していた)。・疼痛は、CMAIスコアとは関連していなかった。・疼痛は、BEHAVE-AD合計スコアとは強く関連していた(運動時疼痛:β=0.20、95%信頼区間[CI]:0.07~0.32、p=0.002/安静時疼痛:β=0.41、95%CI:0.14~0.69、p=0.003)。関連性は、攻撃性および不安に関して最も強かった。

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認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加

 抗精神病薬治療は認知症高齢者における死亡率上昇と関連がある。しかし、無治療またはその他の向精神性の薬剤と比べた場合のリスクに対する絶対的影響については明確にされていない。米国・ミシガン大学のDonovan T. Maust氏らは、認知症高齢者における抗精神病薬による死亡リスクを明らかにするため、後ろ向きケースコントロール研究を実施した。その結果、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンなどの非定型抗精神病薬による治療は、無治療および抗うつ薬治療と比べ死亡リスクが大きく、用量依存的に死亡リスクが増大することを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年3月18日号の掲載報告。 研究グループは、無治療、あるいは抗うつ治療と比較した認知症患者における抗精神病薬、バルプロ酸およびバルプロ酸製剤、抗うつ薬使用における、絶対死亡リスクの上昇と有害必要数(NNH)(何人の患者を治療するごとに死亡1例が発生するかを示す指標)を明らかにする検討を行った。1998年10月1日~2009年9月30日に、米国退役軍人健康庁(VHA)にて後ろ向きケースコントロール研究を実施した。対象は、65歳以上の認知症患者9万786例で、最終分析は2014年8月に実施された。抗精神病薬(ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)、バルプロ酸およびバルプロ酸製剤、あるいは抗うつ薬の新規処方(薬剤使用者4万6,008例)について検討した。フォローアップ期間180日における死亡リスクおよびNNHの絶対変化を、複数のリスク因子をマッチングさせた非薬剤治療患者と比較した。薬剤治療開始患者では、各薬剤関連の死亡リスクを、年齢、性別、認知症罹患年数、せん妄の有無、その他の臨床的・人口学的特性を調整したうえで、抗うつ薬投与群を対照として用い、比較した。副次的分析ではオランザピン、クエチアピン、リスペリドンそれぞれに関する用量調整絶対死亡リスクを比較した。 主な結果は以下のとおり。・各要素をマッチさせた非薬剤治療群との比較において、ハロペリドール群では死亡リスクが3.8%(95%信頼区間[CI]:1.0~6.6%、p<0 .01)増加し、NNHは26(95%CI:15~99)であった。・次にリスペリドンの3.7%(同:2.2~5.3%、p<0 .01)、NNH 27(同:19~46)と続き、オランザピンは増加率2.5%(0.3~4.7%、p=0 .02)、NNH 40(21~312)、クエチアピンは2.0%(0.7~3.3%、p<0 .01)、NNH 50(30~150)であった。・抗うつ薬使用患者との比較において、死亡リスクの上昇およびNNHはハロペリドール群の増加率12.3%(8.6~16.0%、p<0 .01)およびNNH 8(6~12)から、クエチアピン群の3.2%(1.6~4.9%、p<0 .01)およびNNH 31(21~62)までの範囲にあった。・非定型抗精神病薬(オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)のグループ全体では、高用量群における死亡率が低用量群に比べて3.5%高く(0.5~6.5%、p=0 .02)、死亡リスクにおける用量反応関係が示された。・クエチアピンとの直接比較において、リスペリドン(1.7%、95%CI:0.6~2.8%、p=0 .003)およびオランザピン(1.5%、95%CI:0.02~3.0%、p=0.047)はいずれも用量調整死亡リスクの増加を認めた。・以上より、認知症高齢者における抗精神病薬の死亡率に与える絶対的影響は、これまでの報告より大きく、用量に伴い増加する可能性が示された。関連医療ニュース 認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか  担当者へのご意見箱はこちら

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「阿部式BPSDスコア」は軽度~中等度の認知症のBPSD評価に有用:岡山大

 岡山大学の阿部 康二氏らは、認知症患者の行動と心理症状(BPSD)を評価する「阿部式BPSDスコア(Abe's BPSD score:ABS)」を開発し、スコアの有用性について、標準的BPSDスコアであるneuropsychiatric inventory(NPI)と比較検討した。その結果、NPIスコアと良好な相関性が示され、より短時間で評価でき、評価者間信頼性も高いことが明らかになった。結果を踏まえて著者は「阿部式BPSDスコアは軽度~中等度の認知症患者のBPSDの評価に有用である」と報告している。Neurological Sciences誌2015年1・2月号の掲載報告。阿部式BPSDスコアは評価が完了するまでの時間を有意に短縮 BPSDは、認知障害とともに認知症患者の大半でみられる重要な側面である。阿部氏らは、簡易なBPSD評価の開発に取り組んだ。まず、認知症介護者協会のメンバー全員(129例)に調査表を送り、地域における臨床的サーベイを行った。その後、10項目から成る新たなBPSDスコアを作成した。同スコアをNPIスコアと比較し、相関性(認知症792例)、スコア評価が完了するまでの時間(認知症136例)について検討した。また、評価者間信頼性について、主介護者・従介護者(70例)間でスコアを比較して調べた。 阿部式BPSDスコアの有用性についてNPIと比較検討した主な内容は以下のとおり。・阿部式BPSDスコアは、地域の介護者に対する臨床的サーベイに基づき作成された。・各BPSD評価項目は、頻度や重症度に基づき4段階(配点は最大1~9点)で評価し、BPSDの一時的発生を考慮に入れたものとなった。・阿部式BPSDスコアは、主介護者により44点満点で評価された。・認知症792例(78.6±7.0歳、MMSEスコア:19.0±5.9)で評価したNPIスコアとの相関性は良好であることが示された(r=0.716、p<0.01)。・認知症136例で評価したスコア評価が完了するまでの時間は、NPIスコア132.7±94.0秒に対し、阿部式BPSDスコアはわずか56.8±38.8秒で有意な短縮が認められた(p<0.01)。・主・従介護者の評価者間信頼性は高かった(r=0.964、p<0.01)。主介護者と従介護者の阿部式BPSDスコアの差はわずかであった(0.877倍)。・阿部式BPSDスコアは迅速かつ簡便にBPSDを評価する新しい検査法で、NPIと良好な相関性を示した。時間も短縮でき、評価者間信頼性も高かった。・阿部式BPSDスコアは、軽度~中等度の認知症患者のBPSD評価に有用である。関連医療ニュース 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット BPSD治療にベンゾジアゼピン系薬物治療は支持されるか 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的  担当者へのご意見箱はこちら

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PCI前の血栓除去は有効か?RCTの結果/NEJM

 プライマリPCIを受けるST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者への、ルーチンの用手的血栓除去の実施は、180日間の心血管死や心筋梗塞の再発などの複合アウトカムを改善しなかったことが示された。一方で、30日以内の脳卒中発生率は、用手的血栓除去により約2倍増大した。カナダ・ハミルトン総合病院のS.S. Jolly氏らが、1万732例について行った無作為化試験の結果、報告した。プライマリPCI時の用手的血栓除去は遠位塞栓を抑制し、微小血管の循環を改善するとされる。先行研究の小規模試験では、血栓除去による臨床転帰の改善が示唆されたが、大規模試験では相反する結果が報告されていた。NEJM誌2015年4月9日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。PCI前にルーチンの用手的血栓除去を実施 Jolly氏らは、プライマリPCIを実施予定のSTEMI患者1万732例を対象に、無作為化比較試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方にはPCI前にルーチンの用手的血栓除去を行い、もう一方にはPCIのみを行った。 主要アウトカムは、180日以内の心血管死、心筋梗塞の再発、心原性ショック、NYHA心機能分類IVの心不全の複合とした。主な安全性に関するアウトカムは、30日以内の脳卒中とした。30日以内の脳卒中発生率、血栓除去群が対照群の2.06倍 その結果、主要アウトカムの発生は、血栓除去群5,033例中347例(6.9%)、対照群5,030例中351例(7.0%)と、両群で同等だった(ハザード比:0.99、95%信頼区間:0.85~1.15、p=0.86)。 心血管死も、血栓除去群3.1%、対照群3.5%と同等だった(同:0.90、0.73~1.12、p=0.34)。主要アウトカムとステント血栓症または標的血管血行再建術の発生率も、それぞれ9.9%と9.8%で、同等だった。 一方、30日以内の脳卒中発生率については、対照群0.3%(16例)に対し血栓除去群は0.7%(33例)と、約2倍増大した(ハザード比:2.06、同:1.13~3.75、p=0.02)。

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認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか

 死亡診断書や処方箋データを用いた研究によると、認知症患者に対するハロペリドールによる治療は、心臓突然死のリスク増大と関連していることが示唆されている。ルーマニア・トランシルバニア大学のPetru Ifteni氏らは、ハロペリドールで治療した認知症患者の突然死例において心臓突然死率が高いかどうかを、剖検所見を用い調査した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2015年3月19日号の報告。 1989年から2013年までに、精神科病院に入院した行動障害を伴う認知症患者1,219例のうち、65例(5.3%)が突然死していた。突然死後、剖検を完了したのは55例(84.6%)であった。剖検例のうち27例(49.1%)が、経口ハロペリドール単剤(2.2㎎±2.1㎎/日)治療を受けていた。多変量比較および多変量回帰分析を用い、心臓突然死および非心臓突然死であった患者群との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・死亡の主な原因は、心臓突然死(32.7%)、心筋梗塞(25.5%)、肺炎(23.6%)、脳卒中(10.9%)であった。・心臓突然死患者と解剖学的に死亡原因が特定された患者では、ハロペリドールの治療率に差はなかった(p=0.5)。・心臓突然死患者では、アルツハイマー型認知症(p=0.027)、心臓病の既往歴(p=0.0094)の割合が高く、気分安定薬による治療率が低かった(p=0.024)。しかし、これらはいずれも心臓突然死の独立した危険因子ではなかった。・剖検データによる本調査では、精神科入院認知症患者に対する経口ハロペリドールの使用は、心臓突然死リスクと関連しないことが示唆された。関連医療ニュース 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 統合失調症患者の突然死、その主な原因は  担当者へのご意見箱はこちら

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「エドキサバンは日本の薬なのに…」1~遺伝子型と抗血栓療法下の出血、血栓イベントの関係~:ENGAGE AF-TIMI 48試験(解説:後藤 信哉 氏)-336~

 エドキサバンは、日本企業が開発した薬剤である。日本が国際共同試験をリードして、日本国内に臨床データベースがあれば、日本の研究者は数多くの興味深い臨床的研究を発表できたはずである。今回Mega博士らが発表した遺伝子型とワルファリンの薬効については、高橋 晴美博士をはじめ、日本人研究者による先行研究がある。ENGAGE AF-TIMI 48試験は科学的にきわめて質の高い研究であり、かつ登録された症例の数が多いので、Mega博士らの本研究は今後も世界にインパクトを持つ。 ワルファリンは血漿蛋白に結合する。結合しなかったfreeワルファリンが、肝臓のCYP2C9により活性型ワルファリンに転換される。活性型ワルファリンの産生速度は、CYP2C9の遺伝子型に強く作用される。さらに、活性型ワルファリンはVKORC1による凝固因子の機能的完成を阻害する。その作用もVKORC1の遺伝子型に影響を受ける。薬理学的シミュレーション研究でもCYP2C9の遺伝子型とワルファリンの効果の関係の大きさは示唆されていた。この2つの遺伝子型を事前に知っていれば、ワルファリン治療に過剰に反応するグループ、大量のワルファリンが必要な患者グループの同定が可能との仮説が持たれていた。本研究では遺伝子型とワルファリン使用例の、使用早期の出血リスクの関係を示した。 個人の遺伝子を低廉に取得できる時代には、遺伝子型に基づいた個別化医療が期待できる。ワルファリンは個別化医療の恩恵を最も受ける薬剤と想定される。Mega博士らは、CYP2C9とVKORC1の遺伝子型を知れば、ワルファリン服用早期の出血イベントが低下することを示した。パーソナルゲノム情報を基盤とする、未来の個別化医療へのインパクトの高い研究である。日本企業の薬剤でありながら、日本の研究者は共著者にもいない。とてもインパクトの高い研究だけに、臨床データベースを国内に持てない悔しさを、あらためて感じさせる研究であった。

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脳梗塞の発症しやすい曜日

 脳卒中発症の時間的なパターンを知り、可能性のあるトリガーを探索することは、脳卒中発症率を減少させるために重要である。脳卒中が特定の曜日に頻繁に発症する場合、何らかの「トリガー因子」が脳卒中を誘発するものと考えられる。京都府医師会脳卒中登録事業委員会では、11年間にわたる病院ベースの脳卒中登録より、曜日による脳卒中発症率の違いを調査した。その結果、脳梗塞においては、年齢・性別にかかわらず日曜日より月曜日のほうが発症率が高かった。著者らは、脳梗塞では発症の「トリガー因子」が存在するという仮説を提案している。BMJ Open誌2015年3月24日号に掲載。 1999年1月~2009年12月の間に京都府全体で1万3,788例の脳卒中患者が特定され、京都府医師会脳卒中登録(KSR)に登録された。脳卒中を発症した曜日に基づいて患者を7グループに分類。曜日ごとの発症率の違いをχ2検定を用いて検討し、さらに日曜日の脳卒中発症率を基準とした各曜日の脳卒中発症のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を多項ロジスティック解析により算出した。 主な結果は以下のとおり。・脳卒中発症の各曜日のOR(95%CI)は、月曜日1.157(1.030~1.293)、火曜日1.101(0.981~1.236)、水曜日1.059(0.943~1.188)、木曜日1.091(0.972~1.225)、金曜日1.053(0.938~1.205)、土曜日1.074(0.956~1.205)であった。・脳卒中のサブタイプ別にみると、脳梗塞の発症率は、年齢・性別にかかわらず、日曜日より月曜日のほうが高かった(OR:1.189、95%CI:1.034~1.366、p=0.014)。・脳出血やくも膜下出血では曜日による差はみられなかった。・周期的に生じる要因が脳梗塞の発症率に影響を与えると思われ、これは危険因子の長期曝露による累積的影響とは異なるメカニズムを示唆している。

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慢性脳卒中に期待、神経幹細胞治療

 2015年3月19日、日本再生医療学会総会にて、米国・スタンフォード大学 脳神経外科 教授であるGary Steinberg氏が「Stem cell therapy for stroke(脳卒中の幹細胞治療)」と題して講演した。注目される脳卒中の神経幹細胞治療 脳卒中は世界の死因の第2位である。脳卒中は身体機能障害の主な原因であり、脳卒中による機能欠損には治療法がない。そのようななか、新たな治療法として神経幹細胞治療が注目を浴びている。神経幹細胞は多くの脳卒中の動物モデルの実験が行われ、栄養因子や成長因子、その他のタンパク質や分子を分泌し、生来からある脳の回復機能の強化により神経機能の再生に作用することが確認されている。多くの試験が行われており、ClinicalTrials.govによると現在17の幹細胞による虚血性脳卒中治療の臨床試験が進行中である。これらの試験では、種々の細胞由来の幹細胞が用いられ、さまざまな臨床ステージで行われている。投与経路も静脈、動脈、頭蓋内、クモ膜下(腔)内など多彩である。良好な結果を残した慢性脳卒中の臨床試験 Steinberg氏が紹介した臨床試験の中から、間葉系細胞由来の細胞医薬SB623の臨床試験の結果を紹介する。SB623はヒト間葉系細胞にNotch1遺伝子を導入した神経再生細胞である。脳卒中動物モデルでの神経再生作用と安全性が認められ、米国食品医薬品局(FDA)から治験を許可され、昨年試験を完了している。ちなみに、動物実験でシクロスポリンを使用せずに効果が認められたことから、臨床試験での免疫抑制薬の使用が除外されている。 このPhase I/IIa臨床試験はスタンフォード大学とピッツバーグ大学の共同で行われた。被験者は18~75歳の脳卒中患者18人。NIH脳卒中リスクスコア7以上。脳卒中発症後6ヵ月~36ヵ月経過し身体機能障害を有する。1次評価項目は安全性と神経学的機能改善効果で、投与6ヵ月から2年間評価される。投与は1回、局所麻酔下で随腔内の卒中部位の周囲に直接注入される。 有害事象の結果をみると、頭痛など軽度のものが多くを占めた。重度は硬膜下血腫、TIA(16ヵ月後)など4件。硬膜下血腫は移植の外科的手技によるもので、それ以外は細胞由来のものはみられなかった。サイトカイン(TNF-α、IL-6、IFN-γ)および細胞ドナーのHLA抗原に対する抗体レベルにも変化はみられなかった。 神経学的機能改善効果をみると、ESS(欧州脳卒中スコア)がベースラインに比べ、移植1ヵ月後で有意に改善(p=0.0024)、その後も改善は続き1年後も有意な改善を示していた(p=0.0012)。2年後の現在もその状況は続いている。その他、NIH脳卒中スコア、Fugl-Meyerスコアなどの神経機能評価指標も同様の結果を示している。 また、Steinberg氏は統計的な結果に加え、2人の有効例について患者のビデオを交え紹介した。2人とも重度な身体機能障害が2年以上続いていた症例だが、SB623投与1日目に上肢の運動がみられるなど運動機能に変化がみられる。その改善効果は1年後も持続してみられ、現在も改善は続いている。長年にわたり脳卒中に携わっている同氏も信じられないほどの驚きだったという。 治療前後の被験者の脳MRI画像をみると、1週間後に脳卒中所見ではないFLAIRシグナルが前運動野にみられる。シグナルは一過性で2ヵ月後には消失するが、この治療初期のFLAIRシグナルのサイズと神経学的改善が有意に相関することが明らかになった(p=0.016)。加えて、投与後に損傷部位の反対側の感覚運動皮質に出現するFDG PETの活性上昇が、NIH脳卒中スコアの改善と有意に相関していた(p=0.043)。「この試験の結果から、骨髄由来の間質細胞SB623による慢性脳卒中の治療は安全で実現可能な治療であろう」と同氏は述べた。脳卒中における神経幹細胞治療の今後 脳卒中における幹細胞治療はまだ初期段階であり、解決すべき多くの課題もある。しかし、将来期待できる治療法であり、今後は対照群を置いた臨床試験がより重要になるであろう。

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急性期病院での認知症看護、その課題は:愛媛大

 認知症は公衆衛生上の大きな問題であり、ますます多くの認知症患者が合併症治療のために急性期病院へ入院している。一方で、急性期病院における認知症患者の看護に関する問題は、明らかにされてこなかった。愛媛大学の福田 里砂氏らはフォーカスグループインタビュー(FGI)を用いた質的研究を行い、主な問題として、さまざまな問題や困難が相互に作用して悪循環に陥っていること、看護師は矛盾を感じながらもそのような状況に対応するため最善を尽くしていることの2点を示した。International Journal of Qualitative Studies on Health and Well-being誌オンライン版2015年2月24日号の掲載報告。 研究グループは、2008年2月~12月に西日本の急性期病院6施設においてFGIを実施した。対象はICUを除いた外科および内科病棟の看護師で、看護師歴3年未満、最近配属された病棟で認知症患者の看護の経験がない看護師および看護師長は除外された。インタビュー時間は1~1.5時間であった。 主な結果は以下のとおり。・参加者は計50人で、平均経験年数は9.8年であった。・8つのフォーカスグループが得られ、急性期病院における認知症患者の看護に関する問題は7つのグループに分類された。・そのうち3つのグループ[問題となる患者の行動、問題が繰り返し起こること、問題が多くの人々(家族や同室の患者)にも及ぶこと]は相互に作用し、悪循環となっていることが判明した。・看護師の経験不足や病院の体制が整っていないことが、この悪循環をさらに悪化させていると思われた。・この悪循環に対処するため、看護師は自分たち自身あるいは病院のために対策を講じていた。関連医療ニュース 精神疾患患者、救急受診の現状は 複雑な薬物療法レジメン、認知症介護者の負担増加 救急搬送患者に対する抗精神病薬の使用状況は  担当者へのご意見箱はこちら

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山中伸弥氏が語るiPS細胞研究の発展と課題

 2015年3月19日、日本再生医療学会にて、京都大学 iPS細胞研究所(Center for iPS Cell Research and Application, Kyoto University、以下CiRA)の山中 伸弥氏が「iPS細胞研究の現状と医療応用に向けた取り組み」と題して講演した。進むiPS細胞再生医療 理化学研究所などのiPS細胞を使った加齢黄斑変性患者を対象とした臨床研究が承認され、iPS細胞研究の医療応用に向けて大きな一歩を踏み出した。CiRAでもいくつもの研究が進んでいる。パーキンソン病:ドパミン産生神経細胞の高純度の作製に成功し、現在サルのパーキンソン病モデルを用いて効果と安全性を検証中である。良好な結果であることから、年内に臨床研究の申請へと進める予定である。iPS細胞による輸血:血小板の元である巨核球、赤血球前駆細胞作製に成功。とくに血小板は大量培養のシステムを確立している。早い段階で臨床研究に入ると予想される。血小板も赤血球も放射線を当てることができ、増殖性の残っている細胞はすべて殺せるため安全性を確保できるという。本邦は急速な高齢化により今後10年以内に献血だけでは輸血が補えなくなると予想される。このように献血を補うアプローチは喫緊の課題だ。糖尿病:2次元カルチャーと3次元カルチャーでアプローチしている。2次元カルチャーでは、すでにiPS細胞からインスリン産生細胞の作製に成功している。マウスへの移植で血中のヒトC-ペプチドが増加することも確認されている。将来糖尿病の再生医療を実現。また3次元カルチャーでは、iPS細胞から膵臓を丸ごとつくることを目指す。現在、膵臓のオルガノイド作製に成功しており、今後の発展に期待がかかる。心筋再生治療:大阪大学では、すでに骨格筋芽細胞シートで重症心不全に対する良好な成績をあげているが、iPS細胞由来の心筋細胞シートについても大阪大学との共同研究で、作製に成功。動物での改善が示されている。さらに、心筋細胞シートに加え、心筋、内皮細胞、血管壁細胞で構成された心臓細胞シートの作製に成功。こちらも動物モデルで有意な心機能の改善が確認されている。心臓移植の待機中に亡くなる方も少なくない。そのような患者の延命につながると期待される。関節疾患:関節軟部疾患に対する再生医療アプローチを行っており、ヒトiPS細胞からの軟骨細胞作製に成功している。iPS細胞由来の軟骨細胞の移植により外傷等比較的欠損が小さい症例への治療に期待がかかる。筋ジストロフィー:筋ジストロフィー患者由来のiPS細胞から骨格筋幹細胞を作製し、この細胞を筋ジストロフィーモデルの免疫不全マウスへ移植することで病態の再現に成功。今後臨床応用を目指す。iPS細胞によるがん免疫の若返り:T細胞などの免疫細胞はがん細胞を攻撃するが、加齢に伴い免疫細胞は疲弊し、がん細胞の増殖転移が進む。そこで、がん細胞を攻撃する特定のT細胞を採取し、その細胞からiPS細胞を誘導・増殖させ、攻撃特性を持ったT細胞を再び作製することに成功している。がんに対する将来の治療として期待される。再生医療用iPS細胞ストック 倫理問題、費用、時間など多くの面で自家移植には限界がある。iPS細胞による再生医療を実現するためには、他家移植が主流となる。CiRAではiPS細胞をストックする計画を進めている。京大病院のiPS外来では患者の診察とともにiPS細胞ドナー候補ボランティアから献血を行っている。採取した血液はCiRA内のCPCに持ち込まれ、iPS細胞の樹立を行っている。  しかしながら、拒絶反応を減らすためにはHLAの一致が必要。HLAは膨大なバリエーションがあり、一致する確率はきわめて低い。効率よく一致させるためには、HLAホモドナーからの細胞作製が必須だ。日本人で最頻度のHLAタイプのホモドナー1人からiPS細胞をつくると、日本人の20%をカバーできる。違うホモで作製すると80%、140人で95%がカバーできる。最初の目標は日本人の50%のカバーだという。とはいえ、数十人のホモドナーを見つけるには数十万人を調べる必要がある。そのため、臍帯血バンク、日本赤十字社、骨髄バンクといったHLAの情報を管理している外部との連携を進めている。医療応用に必要な人材の確保 iPS細胞の研究には研究者だけでなく、優秀な技術員、規制専門家、契約専門家、知財専門家、広報専門家、事務職員など多くの人材が必要である。一方、国立大学の定員ポストは研究員のみである。実際のCiRAでは300人以上が雇用されているが、無期雇用は1割で、残りの9割は有期雇用である。これは国立大学の研究機関に共通する課題であり、安定雇用に活用できる運営費交付金の割合を増やすよう要望している。 とはいえ、米国では州からの援助は予算の5%。残りの95%はトップがさまざまなスポンサーから集め、安定的な雇用を確保している。そのため、CiRAもiPS細胞基金を立ち上げ、山中氏自ら活動し、研究者の長期雇用、研究環境改善、若手研究者教育に資金を募っているという。iPS細胞研究基金HP

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臨床開発中止で患者2万超例分のデータが未公表/BMJ

 カナダ・マギル大学のAmanda Hakala氏らは、臨床開発中止となった薬物(stalled drugs)の試験報告へのアクセシビリティについて、登録試験を系統的に評価して定量化を行った。その結果、開発に成功し承認された薬物(licensed drugs)の試験公表率は75%に対し、開発が中止となった薬物については37%で、公表について両者に大きな差があることを明らかにした。著者は、「開発が遅れている薬物試験で収集された情報の大半が、研究や臨床に生かされてない」と述べ、「臨床研究における透明性、倫理性、説明責任を促進するポリシー改善を行うべきことが実証された」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年3月9日号掲載の報告。がん、心血管疾患または神経障害領域の登録試験の公表率を定量化 検討は、clinicaltrials.gov、Google Scholar、PubMed、Embaseなどを検索して、がん、心血管疾患、神経障害領域の「承認薬」と「臨床開発中止薬」の登録試験を調べ、公表状況を評価した。評価に組み込んだ「承認薬」の試験は、2005~2009年にFDAの承認を受けた薬物の試験で、「臨床開発中止薬」の試験は、2009年までに1つ以上の第III相試験が完了し2009年12月31日以降の臨床試験実施のエビデンスがないものを適格とした。 公表の適格基準は、2006年1月1日~2008年12月31日の間に1人以上の被験者を登録し主要アウトカムを報告していた、clinicaltrials.govへ登録されていた第II、IIIまたはIV相試験とした。公表率は承認薬試験75%に対し臨床開発中止となった薬の試験は37% 承認薬の登録試験の補正前公表率は75%(72/96例)に対し、臨床開発中止薬の試験は37%(30/81例)であった。公表率は、承認薬試験のほうが2.7倍良好であった(ハザード比:2.7、95%信頼区間[CI]:1.7~4.3)。 承認薬試験では、疾患タイプ、スポンサーシップ、試験フェーズ、試験地にかかわらず公表率が高かった。 承認薬試験との比較において、臨床開発中止薬試験の未公表率は、登録が完了していなかった試験で有意に高かった。 臨床開発中止薬試験に参加していた患者、総計2万135例分のデータが未公表であることが判明した。

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カマンベールチーズ 認知症予防に効果あり?

 キリン株式会社の基盤技術研究所は、小岩井乳業株式会社、東京大学大学院 農学生命科学研究科と共同で、乳製品のアルツハイマー病予防効果を調べるため、アルツハイマー病モデルマウスを用いて実験を行った。その結果、カマンベールチーズの摂取がアルツハイマー病の予防に役立つ可能性があることを発表した。本研究の成果は、PLoS One誌2015年3月11日号で2報にわたる論文として掲載されている。 チーズなどの発酵乳製品を摂取することにより老後の認知機能低下が予防されることは、疫学の分野ですでに報告されていたが、認知症への予防効果のメカニズムや有効成分は不明だった。今回の研究ではこの点に着目し、市販のカマンベールチーズの摂取によるアルツハイマー病への効果を検証した。 その結果、アルツハイマー病モデルマウスにカマンベールチーズから調製した餌を摂取させると、脳内のアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβの沈着が有意に抑制され、脳内の炎症状態が緩和されることが認められた。 さらに、有効成分としてカマンベールチーズにオレイン酸アミド※1とデヒドロエルゴステロール※2が含まれていることが確認された。これらの成分は、乳の微生物による発酵過程で生成されたと考えられる。※1 オレイン酸アミド…アミド基を有する脂肪酸で、睡眠関連物質として発見されている。脳内のアミロイドβなどの老廃物を除去する役割を担うミクログリアと呼ばれる細胞を活性化しながら、抗炎症活性を示す。※2  デヒドロエルゴステロール…菌類の細胞膜の構成成分であるステロールの一種。 抗炎症活性を示す。詳細はプレスリリースへ

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神経難病へのメマンチンの可能性:群馬大

 脊髄小脳変性症1型(SCA1)はSca1遺伝子内にあるCAGリピートの伸長を原因とする進行性の神経変性疾患である。SCA1症状の発症機序は明確になっていないが、ニューロンの異常活性が、この疾患の特徴であるニューロン細胞死の一因となっている可能性が高い。群馬大学の飯塚 朗氏らは、SCA1ノックイン(KI)マウスにN-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)のメマンチンを長期経口投与し、SCA1の発症メカニズムについて検討した。その結果、マウスの体重減少抑制と生存期間の延長が認められ、SCA1の発症にNMDAR異常活性が関与している可能性を示唆した。Neuroscience Letters誌オンライン版2015年2月25日号の掲載報告。 本研究では、SCA1 KIマウスを用いて、低親和性非競合的NMDARアンタゴニストのメマンチンを投与し、SCA1発症過程にシナプス領域外NMDAR活性が関与している可能性について検討した。 主な結果は以下のとおり。・KIマウスでは、ataxin 1遺伝子上のエクソンが異常伸長154CAGリピートと置換されている。・SCA1 KIマウスに生後4週から死亡するまでメマンチンを経口投与したところ、体重減少の抑制と寿命の有意な延長が認められた。・さらに、メマンチンは小脳内のプルキンエ細胞および迷走神経背側運動核にある運動ニューロンの減少を有意に抑制した。・プルキンエ細胞と運動ニューロンはどちらも運動機能や副交感神経の機能に不可欠なものである。これらの結果はシナプス領域外NMDARの異常活性がSCA1 KIマウスのニューロン細胞死に関与することを裏付けるものであり、メマンチンが人間のSCA1患者に対し治療効果を有することも示唆している。関連医療ニュース マグネシウム摂取と脳内NMDA受容体の関与が明らかに 2つのNMDA受容体拮抗薬、臨床像はなぜ異なるのか ドネペジル+メマンチン、アルツハイマー病への効果はどの程度?  担当者へのご意見箱はこちら

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抗凝固療法の出血リスク、遺伝子型で異なる/Lancet

 ワルファリンの出血リスクについて、CYP2C9、VKORC1の遺伝子型を持つ患者において早期出血の傾向がある人を特定できることが示された。米国ハーバード・メディカル・スクールのJessica L Mega氏らが、ENGAGE AF-TIMI 48試験の被験者データを分析し報告した。検討では、ワルファリンと比較して、エドキサバンの早期安全性に関するベネフィットが大きいことも明らかになったという。Lancet誌オンライン版2015年3月10日号掲載の報告より。ワルファリン感受性について遺伝子型に基づき3分類し評価 研究グループは、遺伝子型により、ワルファリンによる出血リスクが高い患者を特定可能か、またワルファリンと比べてより安全な直接作用経口抗凝固薬を特定可能かを検討した。 ENGAGE AF-TIMI 48は、心房細動患者を対象とした無作為化二重盲検試験で、被験者をワルファリン群、エドキサバン高用量(60mg)群、エドキサバン低用量(30mg)群に無作為に割り付けて、国際標準比(INR)2.0~3.0の達成について検討した試験であった。 事前規定の遺伝子分析に組み込まれたサブグループ患者は、CYP2C9、VKORC1の遺伝子型を持つことが示された。そのデータを用いて、ワルファリンへの反応性について、3つの遺伝子型機能区分(標準、感受性が高い、感受性が高度に高い)に分類し分析した。ワルファリン感受性が高いほど出血リスクが高いことが判明 遺伝子分析に含まれたのは、1万4,348例の患者であった。 このうちワルファリン群の患者4,833例は、ワルファリン感受性について、標準群2,982例(61.7%)、感受性が高い群1,711例(35.4%)、非常に感受性が高い群140例(2.9%)に分類された。 標準群と比較して、他の2群は治療開始90日間において抗凝固作用が過剰であった時間割合が大きかった。標準群は中央値2.2%(IQR:0から20.2%)に対し、感受性が高い群は8.4%(同:0~25.8%)、非常に感受性が高い群は18.3%(同:0~32.6%)であった(傾向のp<0.0001)。 そしてワルファリン出血リスクは感受性が高いほど増大することが認められた。標準群と比較した感受性が高い群のハザード比は1.31(95%信頼区間[CI]:1.05~1.64、p=0.0179)、非常に高い群は2.66(同:1.69~4.19、p<0.0001)であった。遺伝子型は臨床リスクスコアとは異なる独立した情報を与えることが認められた。 一方、治療開始90日間において、ワルファリン群と比較してエドキサバン群で出血リスクが低く、感受性について標準群よりも感受性が高い群および非常に感受性が高い群で、より低下することが両用量群ともに認められた(エドキサバン高用量群の相互作用p=0.0066、低用量群の相互作用p=0.0036)。 90日以降は、出血リスクの低下に関するベネフィットはエドキサバン群とワルファリン群で遺伝子型を問わず同程度であった。

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アルツハイマー病へのDBS、臨床応用への可能性は

 米国・ペンシルベニア大学のKeyvan Mirsaeedi-Farahani氏らは、アルツハイマー病(AD)に対する脳深部刺激療法(DBS)の費用対効果、臨床効果を標準治療との比較で検討した。その結果、軽度AD患者でDBSの成功率が20%以上であれば費用対効果は高いこと、80%を超えれば臨床効果、費用対効果ともに標準治療より高くなることを報告した。ADは記憶機能の障害を特徴とし、本症状はADの標準治療によりわずかな改善を認める。しかし最近の報告により、DBSが記憶機能を改善する可能性が示唆されていた。Journal of Neurology誌オンライン版2015年3月6日号の掲載報告。 研究グループは本検討に当たり、莫大な機器費用とDBS手術に伴う身体的負担を考慮したうえで、DBSがADの標準治療と同等な効果を示すための臨床的、経済的閾値を設定した。そのうえで、文献レビューによりAD進行の可能性、健康関連QOL、ADの各ステージのコストに関する情報を取得し、5年間の決定分析モデルを用いて検討を行った。質調整生存年(QALY)における累積QOLと標準治療のコストを、既知の合併症発生率およびQOLデータを用い、理論的DBSによるさまざまな成功率と比較した。モデルの基本症例は軽度AD患者とした。DBSによる成功は、「1年目にADが最低ステージへ後退あるいは維持(軽度認知症と非認知症の間)、残りの4年間は自然経過をたどった場合」と定義した。 主な結果は以下のとおり。・標準治療単独群と比べ、軽度AD患者に対するDBSでは、周術期合併症がQOLに与える影響を打ち消すために求められる成功率は3%であった。・軽度AD患者に対して、DBSが20%($200 K/QALY)あるいは74%($50 K/QALY)以上の成功率で実施されるなら、DBSは費用対効果が高いと考えられた。・もしDBSの成功率が80%を超えれば、臨床効果、費用対効果とも標準治療より高くなる。・本研究から、ADに対し費用対効果が高いとされるDBSの臨床的経済的閾値は相対的に低いことが示された。関連医療ニュース 認知症によいサプリメント、その効果は 新たなアルツハイマー病薬へ、天然アルカロイドに脚光 これからのアルツハイマー病治療薬はこう変わる  担当者へのご意見箱はこちら

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