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血栓溶解療法は睡眠中の発症例では何時間以内まで有効か?(解説:内山真一郎氏)-1063

 EXTENDは、発症後4.5~9.0時間以内か、睡眠の中間時刻から9時間以内の覚醒時に発症していた脳梗塞のうち、自動灌流画像解析装置(RAPID)で救済しうる血流低下部位がある症例において、アルテプラーゼかプラセボを無作為割り付けして投与し、90日後の転帰良好例(改訂ランキン尺度が0または1)の割合を比較した介入試験であった。この試験にはオーストラリアと台湾の10施設ずつと、ニュージーランドとフィンランドの1施設ずつが参加した。 転帰良好例はアルテプラーゼ群でプラセボ群より有意に多かったが、症候性頭蓋内出血もアルテプラーゼ群で多かった。本試験は、睡眠中に発症した脳梗塞患者を対象とした試験としては、脳卒中発症後の推定時間がWAKE-UP試験、あるいは血栓除去術のDAWN試験やDEFUSE試験の9時間以内より長く、12時間以内の症例が含まれたことになるが、それでも有意な転帰改善効果があったことに意味がある。症候性頭蓋内出血もアルテプラーゼで増加したものの発現率は6%であり、上記の諸試験と同程度であった。 本試験は他の試験で先に良好な結果が報告されたため途中で中止されたことから、この治療可能時間枠に最終結論を下すにはパワー不足であり、さらなるエビデンスが必要であろう。また、RAPIDは非常に高価な装置なのでわが国では普及に問題があり、通常のMRIで簡便にミスマッチを評価できる方法の確立が望まれる。

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175)知っていますか? 低血糖のリスク【糖尿病患者指導画集】

患者さん用:知っていますか? 低血糖のリスク説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師前回の検査結果ですが、HbA1cが7%を切っていました。患者そうですか! よかった…。糖尿病教室で合併症のことを聞いてから心配で心配で…。(安堵した表情)医師ここまでよく頑張りましたね。合併症の予防には高血糖の改善が重要ですが、HbA1cが下がったので、これからは低血糖にも注意してくださいね。患者低血糖は、今までなったことがないので、大丈夫です。医師それはよかったです。ただ、インスリン治療を受けている患者さんのほとんどは、低血糖を経験しているといわれています。患者えっ、そうなんですか!?医師では、ここで問題です。この□□にはどんな言葉が入ると思いますか?患者一番上は交通事故…ですか? あとは…、わかりません。医師残りの答えは、認知症と心筋梗塞です。高齢になると、低血糖に気付きにくくなります。自覚のない低血糖を繰り返していると、これらのリスクも高まるので、ご家族にも低血糖についての注意を伝えておくようにしてください。患者はい。わかりました。(うれしそうな顔)●ポイント穴埋めクイズを用いて、質の良い血糖コントロールの大切さを説明します。患者さん用(解答):知っていますか? 低血糖のリスク■解答交通事故認知症心筋梗塞1)厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 低血糖2)一般社団法人 日本糖尿病学会 糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会報告

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第42回 処方箋がなくても立ち寄れる薬局【週刊・川添ラヂオ】

動画解説川添先生が薬剤師仲間とのツーリング先からお届けするキャンプ対談シリーズ。今回は高知県宿毛市から、岡山県のこやま薬局で働く金田崇文先生にお話を伺います。ドラッグストアでのアルバイト時代に臨床の面白さに出会い、薬局に勤めて15年。処方箋がなくても住民が立ち寄ってくれる場所にようやくなってきた!筋金入りの薬局薬剤師の熱い思いを、キャンプファイヤの香りとともに感じてください。

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新型タバコ時代!電子タバコと加熱式タバコは何が違う?(2)【新型タバコの基礎知識】第2回

第2回 新型タバコ時代!電子タバコと加熱式タバコは何が違う?(2)Key Points加熱式タバコは、タバコの葉を加熱してニコチン等を含んだエアロゾルを発生させる。電子タバコはリキッドを加熱し、エアロゾルを発生させる。加熱式タバコには、アイコス、グロー、プルーム・テックといった商品があり、電子タバコには、500種類以上のブランドがある。加熱式タバコがタバコとして販売されている一方、日本ではニコチン入りの電子タバコは規制され、公には販売されていない。今回は、退屈に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、新型タバコ(加熱式タバコと電子タバコ)の構造や規制の状況についてお伝えします。なぜなら、新型タバコ問題について医療者の皆さんから患者さんなど一般の方々に伝えていってもらう上で、簡単にでも理解しておいてもらう必要がある情報だからです。加熱式タバコは、従来からの紙巻タバコのようにタバコの葉に直接火をつけるのではなく、タバコの葉を加熱してニコチン等を含んだエアロゾルを発生させる方式のタバコです。アイコス、グローおよびプルームエスでは、それぞれの専用電子デバイスにより、タバコの葉を含む専用のスティックを200~350℃に加熱し、ニコチン等を含む気体状のエアロゾルを発生させ、吸引します(図1-A)。一方、プルーム・テックでは、粉末状のタバコの葉を含む専用カプセル内に、グリセロールやプロピレングリコール等を含む液体(リキッド)を加熱して発生させたエアロゾルを通して、ニコチン等をエアロゾル経由で吸引する仕組みとなっています(図1-B)。プルーム・テックではタバコの葉がある部分での温度が30℃程度と低くなっており、この部分が低温であることが産生される有害物質量が少ないことと関連しています(※最近市場に登場したプルームエスは、アイコスやグローと同様のタイプであり、200度で加熱する仕様)。画像を拡大するそして電子タバコは、プルーム・テックとよく似た構造をしています。電子タバコでは、吸引器に専用の液体(リキッド)を入れ、コイルを巻いたヒーターで熱し、発生したエアロゾルを吸い込みます(図2)。この基本構造は共通で、電圧が調節可能であったり、リキッド容量の大小があったりなど、さまざまな電子タバコ製品が開発されています。リキッドには、ニコチンや果物などさまざまな香りの人工香料、グリセロール、プロピレングリコールなどが用いられます。画像を拡大する新型タバコの外観、代表的なブランド名の例および規制の状況を表にまとめて示します(表1)。ご覧の通り、形態・形状は製品によって大きく異なります。電子タバコには、紙巻タバコにしか見えない外観のもの(タバコ型)やペン型のほか、タンク型といったリキッド容量が多く、電圧を調整できるタイプのものもあります。表1では電子タバコのブランド名として12種を例示しただけですが、世界中には500種類以上の電子タバコブランドがあります。今回の記事から、世の中にどんな新型タバコ製品があるのか、概要を把握していただければと思います。第3回は「加熱式タバコには、ニコチンは含まれない?」です。画像を拡大する

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肺がん患者の7割が合併。食欲不振など悪液質の実態

 がん悪液質は、がん克服の重要な課題の1つとされており、肺がんでは死亡率上昇との関連も指摘されている。悪液質の定義と分類については2011年に、主に体重減少、サルコペニア(骨格筋量減少)、炎症および食欲不振に基づくものとの国際的なコンセンサスが発表されているが、フランス・パリ・サクレー大学のSami Antoun氏らは、非小細胞肺がん患者について初となるFearon基準に基づく分類を試みた。その結果、Fearon悪液質ステージ分類と、QOLの機能尺度および身体活動レベルはリンクしており、早期の悪液質を臨床的に検出するのに役立つ可能性が示されたという。Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle誌オンライン版2019年4月1日号掲載の報告。非小細胞肺がん患者がFAACT質問票の食欲不振/悪液質サブスケールに回答 研究グループは、Fearonらの基準と定量化パラメータを用い、非小細胞肺がん患者の悪液質のステージ分類を行う目的で、横断的な非介入の多施設共同研究を行った。非小細胞肺がん患者集団における悪液質の分布と、非小細胞肺がんの分子異常と悪液質の関連を示す初の研究である。 L3のCTスキャンにて骨格筋量を評価するとともに、患者にFAACT(Functional Assessment of Anorexia/Cachexia Therapy)質問票の食欲不振/悪液質サブスケール、EORTC QLQ-C30、および国際標準化身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire:IPAQ)に回答してもらい、分析評価した。 非小細胞肺がん患者の食欲不振など悪液質を調査した主な結果は以下のとおり。・56施設から非小細胞肺がん患者531例が登録され、312例が骨格筋量の測定を受けた。・非小細胞肺がん患者背景は、男性が66.5%で、平均年齢は65.2、79.9%がPS 0~1で、StageIIIB/IVが87.3%と大半を占めた。・非小細胞肺がん患者の38.7%が悪液質、33.8%が前悪液質、0.9%が不応性悪液質であった。・腫瘍の分子プロファイルは、悪液質の存在と有意に関連した。・EGFR、ALK、ROS1、BRAFまたはHER2陽性患者では悪液質の併存が23.9%であったが、K-RAS陽性では41.4%、分子異常のない患者では43.2%であった(p=0.003)。・悪液質のステージが進行しているほど、QOL(p<0.001)とIPAQ(p<0.001)の機能尺度が低下した。・サルコペニアは、悪液質の66.7%、および前悪液質患者の68.5%にみられた。・前悪液質の非小細胞肺がん患者の43.8%は、わずかな体重減少(2%以下)を伴うサルコペニアのみで、食欲不振はなかった。

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TIMI Studyから学ぶ臨床研究

 NPO法人 臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR/理事長 桑島 巖氏)は2019年4月20日、都内においてJ-CLEAR講演会を開催。6名の講演者が特定臨床研究の現状や糖尿病領域の臨床試験の変遷などについて発表した。 本稿では、第1部「特定臨床研究法施行のあとさき」に続き、第2部、第3部の話題をお届けする。SGLT2阻害薬は腎機能を保護するか 第2部では、「相次ぐ糖尿病新規治療薬:助っ人、それとも敵?」をテーマに2題の講演が行われた。 はじめに「SGLT2阻害薬の腎機能保護作用に関する最近の知見」をテーマに栗山 哲氏(東京慈恵会医科大学 客員教授)が講演を行った。患者数が1,330万人と推定される慢性腎臓病(CKD)をコモンディジーズと位置付けた上で、CKDによる心血管イベント発生のリスクと関連性を概括し、腎臓を守ることは生命予後の改善になると述べた。そして、心・腎保護作用としてSGLT2阻害薬によるEMPA-REG、CANVAS、DECLARE TIMI 58、CREDENCEの各試験結果を示し、試験内容を説明した。 腎臓保護のためには「糸球体障害、尿細管障害、血管障害」の3つがターゲットとなり、「KDIGOガイドライン2014」で示されたように血圧、血糖、ACE阻害薬/ARBなどを優先して考慮するとともに、脂質、尿酸、貧血、減塩なども同時に考えるべきと提案する。 これらの保護に作用するのがSGLT2阻害薬であり、その作用は、食塩感受性改善など食塩関連、血糖低下・糖毒性改善など血糖関連に多面的に作用するとともに、尿酸値の低下、LDL-Cの低下などにも作用する。これらの作用が先述の3つのターゲットを改善するとともに、腎機能障害進行抑制に寄与すると考えられると効果の仕組みを説明した。 最後に今後のSGLT2阻害薬の課題として、諸効果の持続可能性、副作用のリスクを挙げ、レクチャーを終えた。臨床研究結果が医師の行動を変えるためには 次に「医療の現実、教えます:脚気論争から糖尿病治療薬論争まで」をテーマに名郷 直樹氏(武蔵国分寺公園クリニック 院長)が、明治期の脚気論争から最近のディオバン事件までを振り返り、臨床研究の問題点を糖尿病治療薬とも絡め説明した。 「脚気論争」は医学史の中でもよく知られた史実で、「臨床試験の正確さよりも、なぜ治療に結びつく医療がなされなかったのか、“負の歴史”として語られている」と同氏は語るとともに、コレラ菌論争や現在の治療薬の偏重傾向にある糖尿病治療薬に関しても触れた。これら過去の反省を医療者は踏まえ、「病態生理から臨床データをひとつながりにする」「日々の実践教育にRCTによるEBM教育を入れる」「研究結果と現場のギャップを明確にする」などを今後の臨床研究に活かすべきだと提言を行った。 最後に、同氏は「臨床研究は医者の行動を変えないが、間違いながらも(軌道)修正可能な医療を進めていきたい。どういう研究をするかだけでなく、どう研究が使われるかも視野に入れる必要がある」と語り、講演を終えた。わが国が見習うべき臨床研究方法“TIMI Study” 第3部では「負けない臨床研究の作り方:TIMI Study*に学ぶ」をテーマに後藤 信哉氏(東海大学循環器内科 教授)が、最近臨床研究で目にする機会の多い“TIMI Study”の概要とわが国が進むべき方向性を解説した。 はじめに臨床研究の利害関係者を「臨床医・臨床研究者」「企業(薬剤、機器)」「規制当局」「患者」の4つに分け、それぞれの立場から臨床研究の目的・目標を説明した。それぞれの利益とは、臨床医・臨床研究者は質の高いジャーナルに論文を多数掲載すること、企業として製品で利益を生むこと、規制当局として許認可のために役立つ科学的根拠を得ること、患者にとって疾患が治癒することである。この4つの利害関係者の思いが合致し、目的を充足させていると思える体制の構築に成功しているのが“TIMI Study Group”だと語る。 具体的には、「ランダム化比較試験が、標準治療の転換を目指す唯一正しい方法とコンセプトを確立させている」「標準プロトコールとして、ランダム化比較試験が有効性と安全性を検証するものと完成させている」「同グループと協調して標準的プロトコールの症例登録をするため、各国のコーディネーターが決まっている」「同グループに臨床研究を委託することで薬剤開発メーカーは投資リスクを低くすることができる」「同グループが検証した臨床試験の結果は、アカデミアにはNEJMなどのhigh impact journalへの論文発表、規制当局には認可承認に必要な科学的データの提供、新薬開発メーカーには認可承認とその後の販売拡大に必要な科学的根拠を提供する」と5つの要素を挙げ説明した。 実際、同氏も参加したSGLT2阻害薬ダパグロフロジンの“DECLARE TIMI 58試験”を例に、試験がどのような目的とプロセスで行われ、結果どのような影響があったかを報告した。DECLARE TIMI 58試験では、企業と規制当局は同薬剤が心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中を増やさないことを示すことで、心不全入院、腎不全悪化予防の可能性を示唆した。臨床医・臨床研究者では本試験の論文がNEJMを含め他のジャーナルにも17本掲載され、患者には同薬剤への懸念を減らすインパクトがあったという。補足で同氏へのメリットとしては、共著の研究者になったことと“Circulation”への掲載のほか、わが国の研究貢献度の比重が増したと考えていると感想を語った。 そして、「こうした四者にメリットとなる研究を創造したTIMI Studyグループに、わが国の臨床研究も見習うべきところがある」と述べ、(1)「何が正しいか」を定義し、検証する方法を確立することが重要(2)検証する理論ができたら、その理論を広報して「世界を一色に染める」ことが重要(3)利害関係のある四者すべてが「Win/Win/Win」であると納得しながら、結果としては一人勝ちになる仕組みを考えることが重要と3つのポイントを提言し、レクチャーを終えた。*TIMI Study Groupとは、循環器領域に特化したアカデミック臨床研究機関。設立から約70以上の臨床研究を手掛け、いずれの結果も一流医学雑誌に発表・掲載されている。(ケアネット 稲川 進)■参考臨床研究適正評価教育機構■関連CLEAR!ジャーナル四天王

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CDK4/6阻害薬ribociclib、進行乳がんのOS延長/NEJM

 HER2陰性ホルモン受容体陽性進行乳がんの治療において、標準的な内分泌療法にサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬ribociclibを併用すると、内分泌療法単独に比べ、全生存(OS)期間が有意に延長することが、韓国・ソウル大学校病院のSeock-Ah Im氏らが実施したMONALEESA-7試験で示された。研究の成果はNEJM誌オンライン版2019年6月4日号に掲載された。本試験の早期解析では、ribociclib追加によって、主要評価項目である無増悪生存(PFS)期間の延長が確認されており、今回は、プロトコルで規定された主要な副次評価項目であるOSの中間解析の結果が報告された。上乗せ効果を検証するプラセボ対照無作為化試験 MONALEESA-7は、国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験で、2014年12月~2016年8月に患者登録が行われた(Novartisの助成による)。 対象は、年齢18~59歳、HER2陰性、ホルモン受容体陽性で、局所領域再発または転移を有する進行乳がんであり、全身状態(ECOG PS)が0~1の患者であった。 被験者は、ribociclib(28日を1サイクルとし、1日1回600mgを21日間経口投与、7日間休薬)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。両群とも、内分泌療法として、ゴセレリン(3.6mgを各サイクルの1日目に皮下注)の投与を受け、非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(レトロゾール2.5mgまたはアナストロゾール1mg)もしくはタモキシフェン(20mg)を1~28日目に1日1回経口投与された。 672例が登録され、ribociclib群に335例、プラセボ群には337例が割り付けられた。死亡リスクが29%低減、後治療中のPFSも良好 OS解析のカットオフ日の時点で、ribociclib群は116例(34.6%)、プラセボ群は57例(16.9%)が治療を受けていた。フォローアップ期間中央値は34.6ヵ月であった。ribociclib群は83例(24.8%)、プラセボ群は109例(32.3%)が死亡した。 ITT解析では、ribociclib群はプラセボ群に比べOS期間が有意に延長し(評価不能vs.40.9ヵ月)、42ヵ月時の推定OS率はそれぞれ70.2%および46.0%と、ribociclib群で死亡リスクが29%有意に低減した(死亡のハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.54~0.95、log-rank検定のp=0.00973)。 アロマターゼ阻害薬の投与を受けたサブグループ(495例)における42ヵ月時の推定OS率は、ribociclib群が69.7%と、プラセボ群の43.0%に比べ有意に良好で、ITT集団の結果と一致していた(HR:0.70、95%CI:0.50~0.98)。タモキシフェンのサブグループ(177例)では、両群間に42ヵ月時の推定OS率の差は認めなかった(71.2% vs.54.5%、0.79、0.45~1.38)。 ribociclib群の219例と、プラセボ群の280例が試験治療を中止し、それぞれ151例(68.9%)および205例(73.2%)が後治療を受けた。後治療レジメンは、化学療法単独(ribociclib群22.4%、プラセボ群28.6%)および内分泌療法単独(22.4%、20.4%)が多かった。42ヵ月時に、化学療法による後治療を開始していなかった患者の割合は、ribociclib群がプラセボ群よりも高かった(65.8% vs.49.0%、HR:0.60、95%CI:0.46~0.77)。 42ヵ月時に生存または2次治療中に病勢が進行しなかった患者の割合(後治療中のPFS率)は、ribociclib群がプラセボ群に比し有意に高かった(54.6% vs.37.8%、HR:0.69、95%CI:0.55~0.87)。 有害事象の発現状況は、初回解析時と一致していた。主なGrade3/4のとくに注目すべき有害事象は、好中球減少(ribociclib群63.5%、プラセボ群4.5%)、肝胆道毒性作用(11%、6.8%)、QT間隔延長(1.8%、1.2%)だった。 著者は、「全生存および病勢進行後のアウトカムは、臨床的意思決定において重要な要因であるため、今回の早期治療ラインの結果は患者にとってきわめて重要である。後治療中のPFS解析では、1次治療と2次治療を通じたribociclibの有益性が示された」としている。

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HFpEFに対するneladenosonの第II相試験結果/JAMA

 左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)に対する、アデノシンA1受容体部分作動薬neladenoson bialanateの安全性と有効性を検討した、第IIb相無作為化試験の結果が、米国・ノースウェスタン大学のSanjiv J. Shah氏らにより発表された。5つの用量反応性について検討されたが、ベースラインから20週時点の運動能の変化について、用量間に有意差は認められなかったという。事前に定義した臨床的に意味のある変化差に到達した用量群もなく、著者は、「今回の結果を鑑みると、HFpEF患者の治療薬としてneladenosonのさらなる開発を進めるなら、新たなアプローチが必要と思われる」と述べている。HFpEFに対する効果的な治療法は現在までに確立されていない。neladenoson bialanateは前臨床試験において、心不全関連の心臓性・非心臓性異常を改善する可能性が示唆されたが、HFpEF治療についての評価は行われていなかった。JAMA誌2019年6月4日号掲載の報告。米国、ヨーロッパ、日本の計76施設で試験 試験は、neladenosonがHFpEF患者の運動能、身体的活動度、心バイオマーカー値、QOLを改善するのかどうか、また最適用量を見いだすことを目的とし、米国、ヨーロッパ、日本の計76施設で行われた。2017年5月10日~2017年12月7日に、45歳以上、NYHA心機能分類クラスII/IIIのHFpEFでナトリウム利尿ペプチド値上昇を認める患者305例を登録し、2018年6月20日まで追跡調査を行った。 被験者は、無作為に1対2対2対2対2対3の割合で、neladenoson 5mg群(27例)、10mg群(50例)、20mg群(51例)、30mg群(50例)、40mg群(51例)、適合プラセボ群(76例)の6群に割り付けられた。 主要評価項目は、ベースラインから20週時点の6分間歩行テストでの歩行距離の変化とした(最低限臨床的に意味のある差を40mと定義)。安全性に関する主要な評価項目として、徐脈性不整脈、有害事象などが含まれた。 neladenosonの各用量効果を評価するため、5つのモデリング技法(線形法、Emax法、2つのsigmoidal Emax法、quadratic法)を用いて複合的に比較し、用量反応性を評価した。最適用量の識別に至らず 無作為化を受けた305例は、平均年齢74歳、女性160例(53%)、6分間歩行テストの平均歩行距離は321.5mであった。261例(86%)が試験を完遂し、主要解析に包含された。 治療後20週時点の評価における歩行距離の、ベースラインとの絶対差は、プラセボ群0.2m(95%信頼区間[CI]:-12.1~12.4)に対して、neladenoson 5mg群19.4m(95%CI:-10.8~49.7)、10mg群29.4m(3.0~55.8)、20mg群13.8m(-2.3~29.8)、30mg群16.3m(-1.1~33.6)、40mg群13.0m(-5.9~31.9)であった。 neladenoson投与群はいずれも、臨床的に意味のある歩行延長距離40mを達成せず、neladenosonの最適用量の識別には至らなかった。 また、5つの異なる用量依存モデルにおいても、有意な用量反応性は認められなかった(Emaxモデルのp=0.05、quadraticモデルのp=0.18、sigmoidal Emax1モデルのp=0.21、線形モデルのp=0.39、sigmoidal Emax2モデルのp=0.52)。 重篤な有害事象の発生は、neladenoson投与群(61/229例[26.6%])とプラセボ群(21/76例[27.6%])で類似していた。2例超に認められた同事象で最も多かったのは、両群とも心不全による入院であった。

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食道がん3次治療以降、ペムブロリズマブの効果持続(KEYNOTE-180)/ASCO2019

 2レジメン以上の治療歴のある進行および転移のある食道扁平上皮がん、食道腺がん、食道胃接合部領域がん患者121例を対象にペムブロリズマブの単剤療法を行ったオープンラベル第II相試験KEYNOTE-180の長期追跡結果を、国立がん研究センター中央病院消化菅内科の加藤 健氏がシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で報告した。 同試験の登録患者はPS0~1の扁平上皮がん63例、腺がん58例の合計121例。CPS10以上のPD-L1陽性48%、前治療歴は2レジメンが88%、3レジメン以上が12%であった。被験者は、ペムブロリズマブ300mgの投与を3週ごとに、病勢進行、予期せぬ治療関連有害事象発症まで受けた(最長投与2年間)。主要評価項目は客観的奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全生存率(OS)、奏効期間(DOR)、安全性、忍容性。昨年のASCP2018で発表された追跡期間中央値5.8ヵ月から、さらに10ヵ月の追跡を行った(奏効者の追跡期間中央値21.3ヵ月)。 全体のORRは10%(12/121例)で、内訳はCRが2%(2例)、PRが8%(10例)であった。組織型別のORRは扁平上皮がん14%、腺がん5%。PD-L1発現別のORRはCPS10以上14%、CPS10未満6%であった。 一方、副次評価項目であるPFS中央値は全体で2.0ヵ月、組織型別では扁平上皮がん2.1ヵ月、腺がん1.9ヵ月、PD-L1発現別ではCPS10以上10未満ともに2.0ヵ月であった。OS中央値は全体で5.8ヵ月、組織型別では扁平上皮がん6.8ヵ月、腺がん3.9ヵ月、PD-L1発現別ではCPS10以上6.3ヵ月、CPS10未満5.4ヵ月であった。DOR中央値は、全体、治療歴別、PD-L1発現状況別のいずれでも未到達であった。 Grade3以上の有害事象発現率は16%で、安全性プロファイルは従来の報告と同様であった。 10ヵ月の追加追跡でもペムブロリズマブは、組織型、PD-L1発現状態にかかわらず持続的な効果を示した。CPS10以上、扁平上皮がんの症例では持続的なOSベネフィットが得られた。著者らは、この結果はペムブロリズマブが進行および転移のある食道がんの3次治療以降の重要な選択肢であることを支持するものとの見解を示した。

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双極性障害維持療法に対するリチウムとラモトリギンの有効性と安全性~メタ解析

 リチウムまたはラモトリギンで臨床的に安定している成人双極性障害(BD)患者に対し、これらの薬剤を投与し続けるべきかについては、十分に確立されていない。藤田医科大学の大矢 一登氏らは、臨床的に安定している成人BD患者へのリチウムおよびラモトリギン維持療法の有効性と安全性について評価するため、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年4月26日号の報告。 本メタ解析には、リチウムまたはラモトリギンに対し急性反応を示した患者を選択した強化デザイン(enrichment design)による、二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のみを含めた。PubMed、Cochrane Library、Embaseより、2018年11月15日までの研究を検索した。主要アウトカムは、試験終了時点での気分エピソードの再発率とした。その他のアウトカムは、試験終了時の躁病/軽躁病/混合エピソードまたはうつ病による再発率、試験中止率、死亡、自殺による死亡とした。リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。変量効果モデルにより有意な群間差が認められた際、治療必要数(NNT)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・リチウムに関する研究2件(218例)、ラモトリギンに関する研究4件(706例)が抽出された。・あらゆる気分エピソードによる再発率の減少について、リチウム(RR:0.52、95%CI:0.41~0.66、p<0.00001、I2:0%、NNT:2.3[1.6~4.2])およびラモトリギン(RR:0.81、95%CI:0.70~0.93、p=0.004、I2:0%、NNT:8.3[5.0~25.0])は、プラセボよりも優れていた。また、全原因による試験中止についても、両剤ともにプラセボよりも優れていた。・他のアウトカムについては、プラセボとの間に有意な差は認められなかった。 著者らは「臨床的に安定している成人BD患者に対するリチウムおよびラモトリギン維持療法は、再発防止に有用であることが示唆された。しかしながら、本分析における試験数および患者数は少数であった」としている。

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HER2陽性乳がん術前療法、T-DM1 vs.HPD(PREDIX HER2)/ASCO2019

 HER2陽性の乳がん患者を対象とした、術前療法としてのトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と、トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル併用(HPD)療法との比較試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、スウェーデン・カロリンスカ研究所のJonas C. S. Bergh氏より発表された。これはオープンラベルの第II相無作為化比較試験である。試験デザイン・対象:HER2陽性、リンパ節転移陽性および/または腫瘍径20mm以上を有する乳がん患者・試験群:トラスツズマブ エムタンシン3.6mg/kg(T-DM1群)・対照群:トラスツズマブ(皮下注製剤)600mg/body+ペルツズマブ840mg/body+ドセタキセル75mg/m2 or 100mg/m2(HPD群) 両群ともに、3週間隔で6コース投与 ペルツズマブは、2コース目以降は420mg/body 両群ともに、腫瘍縮小効果がない場合や、許容できない副作用発現の場合は治療途中でのクロスオーバー投与を許容 手術後はトラスツズマブ(皮下注)+エピルビシン+シクロホスファミドの術後療法を実施(ホルモン受容体(HR)陽性の場合はホルモン療法も)・評価項目:[主要評価項目]病理学的完全奏効率(pCR率)[副次評価項目]無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)、安全性、QOL、乳房温存率など 主な結果は以下のとおり。・2014年12月から2018年10月の間に、本試験に202例が登録され、197例が解析対象とされた。・pCR率はT-DM1群45%、HPD群47%で、両群間には統計学的な有意差は検出されなかった(p=0.359)。・また、HER2陽性/HR陽性のグループにおいては、pCR率はT-DM1群36%、HPD群36%であった(p=0.929)。・さらにHER2陽性/HR陰性のグループにおいては、pCR率はT-DM1群59%、HPD群67%であった(p=0.502)。・Grade3/4の有害事象について、肝毒性はT-DM1群で6%、HPD群で1%、発熱性好中球減少はT-DM1群3%、HPD群26%、下痢がT-DM1群0%、HPD群14%、発疹がT-DM1群0%、HPD群3%で発生し、忍容性はT-DM1群のほうが良好であった。

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~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】

第1回 うつ病の診断と治療第2回 うつ病の薬物療法第3回 双極性障害第4回 発達障害第5回 不眠第6回 不安障害第7回 認知症の診断第8回 認知症の治療第9回 自傷・摂食障害第10回 人格障害・心気症第11回 アルコール依存症第12回 統合失調症 うつ、不眠、認知症や発達障害。精神科領域の疾患は内科で日々出合うもの。頻繁に診察するものの精神科領域の対応や処方は実は苦手…という先生も多いのではないでしょうか。「Dr.前野のスペシャリストにQ!」第7弾は精神科を取り上げます。CareNet.com医師会員から集めた疑問をプライマリケア医視点で前野哲博先生が厳選。精神科のスペシャリスト松崎朝樹先生が、日常診療に役立つノウハウを交えてズバリ一問一答で解決します。第1回 うつ病の診断と治療内科で最もよく診察する精神疾患はうつ病。頻度が高いからこそ出てくる疑問を前野先生が厳選。簡便なスクリーニング方法、希死念慮の確認方法、疑ったときのファーストアクションなどのエッセンスを松崎先生がクリアカットに解説します。第2回 うつ病の薬物療法今回はうつ病の薬物療法、専門医の治療戦略と、内科で使いやすい1剤を伝授。症状が軽くなったら薬をやめていい?とりあえず抗不安薬で様子をみてもいい?うつ病の薬物療法で内科医が陥りがちなピットフォールもひとつずつ解消します。第3回 双極性障害実はうつ病と見誤りやすいのが双極性障害。どんなときに双極性障害を疑うか。内科医は決して手をつけてはいけないと思いがちですが、患者が精神科に受診するまでのつなぎに、していいこと、してはいけないことをズバリ回答します。第4回 発達障害一時期、診断自体が”流行”してしまった発達障害。自閉スペクトラム症とADHDそれぞれの疾患像と必要な対応をコンパクトに解説します。プライマリケアでは、診断や処方よりも、QOLを向上させる関わり方を理解し家族に指導できることが重要。そのポイントを松崎先生に教えてもらいます。第5回 不眠プライマリケアでよく出会う”不眠”。睡眠薬を処方する前に確認すべきことが実は多いんです。つまり、睡眠薬が必要ない例を見極める質問を2つ紹介します。そして、睡眠薬を処方するときのポイントを伝授。ベンゾジアゼピン系の依存をなるべく作らない最新の処方、そしてすでに依存になっている睡眠薬の減らし方を学びましょう。第6回 不安障害”抗不安薬”という名前に惑わされないでください。不安障害の治療薬はSSRI。わかっていても抗不安薬のほうが出しやすいと感じる先生へ、初めの一手として専門医が勧める処方例をお教えします。長期服用してきた抗不安薬の減らし方も、スペシャリストのワザをあれもこれも惜しげなく伝授します!第7回 認知症の診断最近もの忘れがひどくて、という患者。エピソード記憶があれば認知症ではないとするのは実は間違い。認知症を早期発見するには、こうした訴えを無視しないことが重要。ではどう対応するのがよいのか?認知症の診断に関する疑問に答えます。第8回 認知症の治療抗認知症薬はどれを使うべき?専門医受診を促すよい方法は?疲弊した家族にどう対応すべきか?周辺症状への対処は?認知症治療で必ず遭遇する”困った”を解消します。第9回 自傷・摂食障害アピールだろう、どうせ死ぬ気はない、と邪険にしがちな自傷や摂食障害。面倒と感じる気持ちはあっても、医療者として押さえておくべき対応をお教えします。第10回 人格障害・心気症パーソナリティ障害、心気症、いずれも医療者の陰性感情が生じやすいもの。診断も薬物療法もあまり効果がない、それでも診療を続けないといけないとき、精神科専門医はどのように考えて対応しているのか、スペシャリストのノウハウを紹介します。第11回 アルコール依存症酒が1週間止められないなら、アルコール依存と診断し断酒あるいは節酒を指示する。治療方針はシンプルですが断酒できないから病気なので、診療にへきえきすることもあるのではないでしょうか。治療のポイントは患者そして患者家族との関わり方にあります。離脱対策や長期入院時の注意点など、必要不可欠なトピックを10分にまとめました。第12回 統合失調症統合失調症はきちんと服薬していれば、恐れるような疾患ではありません。統合失調症の陰性症状とうつ病をどう見分けるか、専門医受診までのファーストチョイス、内科で出合う慢性期統合失調症管理のポイント、入院が決まったときに確認すべき点といった非専門医に必要十分な統合失調症対応のエッセンスを伝授します。

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適応拡大に向けた朗報!〜論文を読み解く上で重要な“国民性”〜(解説:西垣和彦氏)-1062

 明らかな原因が見当たらない脳梗塞である塞栓源不明脳塞栓症(Embolic Stroke of Undetermined Source:ESUS)に対する、ダビガトランの再発予防効果を検証する国際共同臨床試験RE-SPECT ESUS試験が発表された。さらに日本脳卒中学会2019で、RE-SPECT ESUS日本人サブグループ解析も発表され、この分野は大変注目されている。ESUSを巡る経緯 脳梗塞は世界各国の死因の上位を占める重篤な疾患である。とくに日本を含めた東アジアでの罹患率が高く、わが国の死因順位第4位が脳血管疾患である。脳梗塞の最も重要な問題点は、脳梗塞後遺症のため介護が必要となる可能性が高いことであり、超高齢社会を迎えるわが国の最重要疾患と位置付けられる。 脳卒中の4分の3は脳梗塞であり、内訳はラクナ梗塞が25%、アテローム血栓性脳梗塞が25%、心原性脳塞栓症が20%であり、そのほか動脈解離、血管炎など特定の原因による脳梗塞が5%に認められる。一方、原因疾患の明らかでない脳梗塞が全体の25%程度あり、潜因性脳卒中(Cryptogenic Stroke)と呼ばれてきたが、2014年Hart氏らは潜因性脳卒中のうちの原因不明な塞栓性梗塞をESUSと称することを提唱した。 ESUSに対する有効な薬物治療法は現在確立していないが、2006年に発表されたアスピリンとワルファリンで比較したWARSS試験のESUSに関するサブ解析で、有効性に差がなく、ワルファリンに重大な出血性合併症が多かった結果から、アスピリンが推奨されてきた。近年の研究から、ESUSの原因として最も頻度が高く重要と考えられるのが潜在性発作性心房細動であることから、心原性脳血栓塞栓症予防に用いられる直接トロンビン阻害薬や第Xa因子阻害薬などの直接経口抗凝固薬が有効かもしれないとの仮説が立てられ、検証されることとなった。RE-SPECT ESUS試験の結果 ESUS患者の多施設共同無作為化二重盲検試験で、ダビガトラン150mgまたは110mgの1日2回投与と、アスピリン100mgの1日1回投与とを比較。主要転帰は脳梗塞の再発、主要安全性転帰は大出血。564施設で5,390例が登録され、ダビガトラン群(ダビ群:2,695例)とアスピリン群(ASA群:2,695例)に無作為に割り付けられた。中央値19ヵ月の追跡期間中に、脳梗塞の再発はダビ群177例(6.6%、4.1%/年)とASA群207例(7.7%、4.8%/年)に発生し、ダビガトランのアスピリンに対する優越性は示せなかった(HR:0.85、95%CI:0.69~1.03、p=0.10)。また大出血は、ダビ群77例(1.7%/年)とASA群64例(1.4%/年)に発生し、ダビ群とASA群は同等であった(HR:1.19、95%CI:0.85~1.66)。RE-SPECT ESUS試験の意義 本試験は、一見すると失敗と思える。しかし、昨年発表されたリバーロキサバンのNAVIGATE ESUSでは、脳梗塞の再発予防についてはダビガトランと同様にリバーロキサバンでも優越性は認められなかったが(リバーロキサバン群(リバ群)172例:5.1%/年、ASA群160例:4.8%/年、HR:1.07、95%CI:0.87-1.33、p=0.52)、大出血発症率はダビガトランと異なりリバ群のほうがASA群より有意に高かった(リバ群62例:1.8%/年、ASA群23例:0.7%/年、HR:2.72、95%CI:1.68-4.39、p<0.001)。 ダビガトランとリバーロキサバンの大出血発症率の違いは、両薬剤の性質で理解できるが、なぜ両剤ともアスピリンに対してESUSの再発予防で優越性を示せなかったのか? その一因がRE-SPECT ESUSの日本人サブグループ解析で明らかとなった。 RE-SPECT ESUSには、わが国からは594例(11%)が登録されている。この日本人データを解析したものが日本人サブグループ解析である。解析の結果、脳梗塞の再発はダビ群294例中20例(4.3%/年)とASA群300例中38例(8.3%/年)に発生し、試験全体の解析結果と異なり、ダビ群で有意に低い結果であった(HR:0.55、95%CI:0.32~0.94)。一方、大出血はダビ群294例中10例(2.5%/年)、ASA群300例中15例(3.8%/年)で同等という全体の解析と一貫した結果であった(HR:0.73、95%CI:0.32~1.62)。 試験全体で有意差のない大規模試験において、n数を約10分の1にして有意差が出ることは通常期待できないものであるが、なぜ日本人サブグループ解析で有効性が証明されたのか? この要因として、日本人という均一性と、わが国の脳卒中治療に携わる医師がESUSの定義をかなり厳密に考える国民性にある。ESUSは、頭部CTまたはMRI、12誘導心電図、経胸壁心エコー、心電図モニター(24時間以上)、頭蓋内外動脈の画像検査などを用いて、(1)ラクナ梗塞でない病巣の検出、(2)虚血病巣を灌流する頭蓋内外の血管に50%以上の狭窄性病変がない、(3)高リスク塞栓源心疾患がない、(4)脳梗塞を来す他の特異的な疾患(血管炎、動脈解離など)がない、の4項目すべてに該当する場合をESUSと定義する。したがって、ESUSが基本的には原因疾患が明らかな脳梗塞を除外する必要性のある診断である以上、種々のモダリティーを用いて除外診断を丁寧に行い、いかに登録患者を純化したのかにかかっている。これらの検査をきちんと行ってESUSと診断できた患者だけを登録する国民性は、世界に誇れるものである。最後に これまでの大規模試験でも、世界全体の結果と日本人だけを集めた結果とが大きく異なっていることは多々あった。これには、人種差、日本人集団という均一性だけでなく、試験医師の国民性も影響することを知るべきである。RE-SPECT ESUS試験から、ESUSと診断した患者に対するダビガトラン投与は、今後わが国でのESUSの標準治療となる。ダビガトランのESUS適応拡大に導く朗報であり、早急な適応拡大を望む。

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疲れた医師の精神安定本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第19回

【第19回】疲れた医師の精神安定本帯にも書かれていますが、チョーゆるいです。そのゆるさがたまらないし、完成度を高くしていると思います。この本は、タイトルどおり、研修医の人生をより良くするための本で、若干チャラめの仕上がりになっています。チャラ書評を目指しているこのコーナーで紹介しないわけにはいきません。『研修医のための人生ライフ向上塾!』鈴木 瞬/著. 日経BP社. 2019チャラめとは言いつつも、筆者は産業医であり、内容は真面目です。特筆すべきはコメディカルスタッフとのコミュニケーション術やストレス解消法など、超実用的な内容がふんだんに盛り込まれていることです。とくに、この4月から研修医として働きはじめ、ローテーションをちょっとでもストレスに感じている人はぜひ読んでください。医師・ナース間のトラブル、ありますよね。私も研修医時代は看護師長に怒られまくったぜよ。思い出すだけでツライ…。この本では、実際にトラブルが起こったというシミュレーションで話が進んでいくので、これを読んでいれば、過去の私のように帰宅後ゴミ箱に向かって看護師長のバカヤローとか叫ばなくても大丈夫そうです。指導医の立場で読んでいて刺さったのが、「イケてない先輩ほど、普段褒められていない分、自分の承認欲求を満たすために余計かつポイントのずれたアドバイスをしがちだから、こっちから先に褒めてしまおう」といった内容のアドバイス。全国のイケてない指導医の皆さん、必読です。また、クラッシャー上級医という後出しじゃんけんドクターの紹介もあり、指導医として読んでいてツラい部分もありました(笑)。研修医のうちにしっかりそろえておきたいアイテムとして、(1)寝心地の良いベッドと布団、(2)愛着と機能が両立したバッグ、の2つが挙げられています。その理由の説得力たるや、あなた。「家は寝るために帰るところです」という超正論が書かれていました。ちなみに、私は愛着のあるバッグなんて持ってなくて、ZOZOTOWNで80%引きになっていた売れ残りのバッグを普段使っています。というわけで、なんというか、医師やっててツラいな~と思っている人は全員買いましょうコレ。心が落ち着きますよ。よくよく考えると研修医に限らず、新社会人全員にオススメできる内容で、なんなら管理職や労務に携わる人も持っておいて損はないと思います。『研修医のための人生ライフ向上塾!』鈴木 瞬/著出版社名日経BP社定価本体2,700円+税サイズA5判刊行年2019年■関連記事CareNeTV「無敵の研修医ストレスマネジメント」※視聴には有料の会員登録が必要です。

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統合失調症における洞察力と服薬アドヒアランスとの関連~CATIEデータ分析

 統合失調症治療において、抗精神病薬の服薬アドヒアランスは重要である。疾患に対する洞察力低下は、服薬ノンアドヒアランスの主な要因の1つであり、臨床アウトカムに悪影響を及ぼす。カナダ・トロント大学のJulia Kim氏らは、CATIE研究データを用いて、統合失調症患者の洞察力低下と抗精神病薬の服薬ノンアドヒアランスの割合、および服薬ノンアドヒアランスまでの期間との関係について検討を行った。Neuropharmacology誌オンライン版2019年5月8日号の報告。統合失調症患者の服薬アドヒアランス改善に洞察力の向上が寄与 PANSS項目のG12(判断力と洞察力の欠如)を用いて、統合失調症患者の洞察力を評価した。洞察力の程度により、統合失調症患者を障害なし(PANSS G12=1)、軽度(PANSS G12=2~3)、中等度~重度(PANSS G12=4以上)の3群に割り当てた。服薬ノンアドヒアランスの定義は、1ヵ月の処方錠数の80%未満服用とした。各群の服薬ノンアドヒアランスまでの期間は、カプランマイヤーおよびCox回帰分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・服薬ノンアドヒアランスの割合は、6ヵ月後(χ2[2]=8.80、p=0.012)および18ヵ月後(χ2[2]=10.04、p=0.007)において、有意な群間差が認められた。・中等度~重度の統合失調症患者における洞察力低下は、軽度(χ2=4.70、p=0.030)または障害なし(χ2=11.92、p=0.001)の患者と比較し、早期の服薬ノンアドヒアランスとの関連が認められた。・この関連は、疾患重症度、薬物使用、投薬に対する態度、認知機能、敵意の程度、うつ症状で調整後も有意なままであった。 著者らは「本研究結果は、洞察力低下と抗精神病薬の服薬アドヒアランスに強い関連性が認められることを示唆している。洞察力を向上させるための介入は、統合失調症患者の服薬アドヒアランス改善、ひいては疾患の他の臨床アウトカムの改善に寄与する可能性がある」としている。

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成人の8割が感染、歯周病予防に効く「ロイテリ菌」とは

 5月30日、オハヨー乳業・オハヨーバイオテクノロジーズは「歯周病への新たな良化習慣」をテーマとしたプレスセミナーを開催した。国内の歯周病(歯肉炎および歯周疾患)患者数は330万人を超え、30~50代の約8割が罹患するなど、最も罹患率の高い疾患とされる。本セミナーでは、若林 健史氏(日本歯周病学会理事・専門医・指導医/日本大学 客員教授)と坂本 紗有見氏(銀座並木通りさゆみ矯正歯科デンタルクリニック81 院長)が講演し、ロイテリ菌(Lactobacillus reuteri)の「バクテリアセラピー」によって歯周病予防効果が期待できる、との研究内容を発表した。歯磨き・歯科検診に続く予防策「バクテリアセラピー」 歯周病の治療を専門とする若林氏は、口腔内に生息する細菌が全身の健康に影響する、歯周病もむし歯も子供の頃からの感染予防が重要、という前提を説明した。また、最近の研究では、歯周炎によってアルツハイマーの発症リスク増加の示唆1)や介護施設で口腔ケアを徹底することで肺炎の発症・死亡者数が低下する報告2)がされるなど、「口腔内だけに留まらない疾患との関連性も指摘されている」とした。若林氏はこうした歯周病と全身疾患の関わりを「ペリオドンタルシンドローム」と名付け、啓蒙活動を行っている。次に、歯磨き・歯科定期検診に続く第3の歯周病予防策として注目される手法として「バクテリアセラピー」を紹介。バクテリアセラピーとは、“口の中にいる善玉菌を増やし、むし歯菌・歯周病菌を減らす”もので、抗菌薬による薬物治療と比較した場合、1)効果が持続する、2)耐性フリー、3)安全である、という優位点があるという。「ロイテリ菌」の歯周病予防効果に着目 続いて坂本氏が、「バクテリアセラピーにはロイテリ菌が有用である」と提唱。ロイテリ菌は、バクテリアセラピー研究で有名なスウェーデンのカロリンスカ研究所・医科大学と特許を持つBio Gaia社が、提携して研究を進めている。ロイテリ菌は1980年代にペルー人の母乳から発見されたもので、日本人は7人に1人が保有するが、そのほかの先進国のヒトから検出されることは少なく、米国人はまったく保有していない。世界100以上の国と地域で使用実績があり、200以上の臨床研究が発表される一方、副作用の報告は1件もないという。ロイテリ菌は体内で「ロイテリン」という有害な菌を抑える物質を生成し、歯周病菌の増殖を抑制する効果が期待できる。歯周病患者を対象とした二重盲検ランダム化比較試験において、ロイテリ菌とプラセボをそれぞれ30日間摂取した群を比較したところ、ロイテリ菌摂取群は、プラーク有りの患者数、歯茎の出血有りの患者数などが減少し、プラセボ摂取群に対し有意差が認められた3)。坂本氏は「安全性が高く、データも豊富なロイテリ菌を長年注目してきた。日本は平均寿命と健康寿命の差が最も大きい国。バクテリアセラピーで歯周病を予防することが、この差を縮めることに役立つはず」とコメントした。 ロイテリ菌関連商品としては、ヨーグルト・サプリメントが市販されている。

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胃がん、ペムブロリズマブによる1次治療の結果(KEYNOTE-062)/ASCO2019

 国内の進行・再発胃がんでの免疫チェックポイント阻害薬の使用は、化学療法無効後のニボルマブ、同じく化学療法無効後の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)例に対するペムブロリズマブがそれぞれ単剤療法で承認されている。ただ、現時点ではこうした進行・再発胃がんでの1次治療で承認されている免疫チェックポイント阻害薬は存在しない。KEYNOTE-062、胃がんのペムブロリズマブ1次治療の有効性を評価 そうした中、進行胃・胃食道接合部腺がんに対する1次治療での抗PD-1抗体ペムブロリズマブの有効性を評価した第III相試験「KEYNOTE-062」の結果から、PD-L1陽性(CPS1以上)の患者で、ペムブロリズマブ単独療法は標準治療の化学療法に対して、全生存期間(OS)で非劣性、CPS10以上では臨床的に意義のある改善を示すことがわかった。また、ペムブロリズマブと化学療法の併用は、化学療法単独に対してOSで優越性を示せなかった。スペインVall d’Hebron University Hospital and Institute of OncologyのJosep Taberneroがシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で報告した。 同試験の対象はPS0~1でHER2/neuタンパク陰性、PD-L1陽性(CPS1以上)の局所進行で手術不能あるいは転移のある胃がん・胃食道接合部腺がん患者763例。登録患者はペムブロリズマブ単独群256例、ペムブロリズマブ+化学療法(シスプラチン+5FUあるいはカペシタビン)群257例、プラセボ+化学療法群250例に無作為に割り付けられた。いずれの群も毒性による忍容性の限界、病勢進行、患者本人および医師による中断決定まで投与が実施された。 主要評価項目はOS、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は客観的奏効率(ORR)、安全性。 ペムブロリズマブ単独群とプラセボ+化学療法群との比較では、CPS1以上でのOS中央値はペムブロリズマブ単独群10.6ヵ月、プラセボ+化学療法群11.1ヵ月で、ペムブロリズマブ単独療法は化学療法単独に対して非劣性だった(HR:0.91、95%CI:0.69~1.18)。一方でCPS10以上では、OS中央値がそれぞれ17.4ヵ月、10.8ヵ月で有意なOS改善が認められた(HR:0.69、95%CI:0.49~0.97)。ただ、PFSについてはCPS1以上でのPFS中央値はペムブロリズマブ単独群が2.0ヵ月、プラセボ+化学療法群が6.4ヵ月(HR:1.66、95%CI:1.37~2.01)、CPS10以上でそれぞれ2.9ヵ月、6.1ヵ月(HR:1.10、95%CI:0.79~1.51)で化学療法に対するペムブロリズマブの優越性は示せなかった。ORRはCPS1以上でそれぞれ14.8%、37.2%、CPS10以上で25.0%、37.8%だった。胃がんの1次治療におけるペムブロリズマブは化学療法と同等のベネフィット ペムブロリズマブ+化学療法群とプラセボ+化学療法群の比較では、CPS1以上でのOS中央値はペムブロリズマブ+化学療法群が12.5ヵ月、プラセボ+化学療法群が11.1ヵ月(HR:0.85、95%CI:0.70~1.03、p=0.046)、CPS10以上ではそれぞれ12.3ヵ月、10.8ヵ月(HR:0.85、95%CI:0.62~1.17、p=0.158)で、いずれも化学療法単独に対するペムブロリズマブ+化学療法の優越性は示せなかった。PFS中央値はCPS1以上でペムブロリズマブ+化学療法群6.9ヵ月、プラセボ+化学療法群6.4ヵ月(HR:0.84、95%CI:0.70~1.02、p=0.039)、CPS10以上でそれぞれ5.7ヵ月、6.1ヵ月であった(HR:0.73、95%CI:0.53~1.00)。ペムブロリズマブ+化学療法群のORRはそれぞれCPS1以上で48.6%、CPS10以上で52.5%であった。 全有害事象発現頻度はペムブロリズマブ単独群が54%、ペムブロリズマブ+化学療法群が94%、プラセボ+化学療法群が92%、Grade3以上の有害事象発現頻度はそれぞれ16%、71%、68%となり、ペムブロリズマブ単独では良好な安全性で、ペムブロリズマブ+化学療法と化学療法のみでは同等だった。なお、いずれの群でもこれまで知られていない副作用の発現は認められなかった。 Tabernero氏は「CPS1以上のPD-L1陽性進行胃がん・胃食道接合部がんの1次治療ではペムブロリズマブは化学療法と同等、CPS10以上ではより良好なOSベネフィットがあり、忍容性ではペムブロリズマブが良好」と最終結論を述べた。

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乳がん化学療法、望ましいアントラサイクリンは?

 アントラサイクリン系抗がん剤の心毒性は古くから知られており、抗腫瘍効果との兼ね合いがよく話題に上る。中国・上海中医薬大学のZhujun Mao氏らは、乳がんに対するアントラサイクリン系薬の有用性はなお議論の的であり結論が得られていないとして、無作為化臨床試験のネットワークメタ解析を行った。その結果、心毒性と抗腫瘍効果を考慮すると乳がんの化学療法に適したアントラサイクリン系薬は、ドキソルビシンリポソームまたはエピルビシン+デクスラゾキサンであることが示されたという。Oncology Research and Treatment誌オンライン版2019年5月17日号掲載の報告。 研究グループは、乳がんに対するアントラサイクリン系薬の心毒性と有効性を評価する目的でネットワークメタ解析を行った。PubMed、Embaseおよびコクラン・データベースを用い、2018年8月までに発表された論文を検索し、アントラサイクリン系薬の心毒性と有効性を検討した無作為化臨床試験19件(乳がん患者計3,484例)を特定した。 ドキソルビシン、エピルビシン、ドキソルビシンリポソーム、ドキソルビシン+デクスラゾキサン(DD)およびエピルビシン+デクスラゾキサン(ED)の5つの治療戦略に関する研究を適格として解析した。 主な結果は以下のとおり。・直接比較のメタ解析では、エピルビシン、ドキソルビシンリポソーム、DDおよびEDは、ドキソルビシンと比較して心保護作用が有意に優れており、オッズ比はそれぞれ1.64、3.75、2.88および3.66であった。・奏効率は、ドキソルビシンリポソームが最も高く、次いでドキソルビシン、エピルビシン、EDおよびDDの順であった。・ベネフィットとリスクのバランスが最も好ましいのはEDで、次いでドキソルビシンリポソーム、DD、エピルビシン、ドキソルビシンの順であった。

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転移ホルモン感受性前立腺がん、標準治療+エンザルタミドが有効/NEJM

 新規アンドロゲン受容体標的薬エンザルタミド(商品名:イクスタンジ)は、転移を伴うホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)患者において、標準治療と比較し無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に延長した。ただし、エンザルタミド群では、とくに初期にドセタキセルの治療を受けた患者において、痙攣発作や他の有害事象が多くみられた。オーストラリア・モナッシュ大学のIan D. Davis氏らが、mHSPCの1次治療としてテストステロン抑制±ドセタキセルへのエンザルタミド併用の有効性および安全性を検証した、無作為化非盲検第III相試験「Enzalutamide in First Line Androgen Deprivation Therapy for Metastatic Prostate Cancer trial:ENZAMET試験」の結果を報告した。エンザルタミドは、去勢抵抗性前立腺がん患者のOSを改善することが示唆されていたが、ドセタキセルの有無にかかわらずテストステロン抑制とエンザルタミドとの併用がmHSPC患者のOSを改善するかは不明であった。NEJM誌オンライン版2019年6月2日号掲載の報告。mHSPC患者1,125例で、標準治療±エンザルタミド併用の有効性を評価 研究グループは、2014年3月~2017年3月の期間で、mHSPC患者1,125例を、テストステロン抑制+エンザルタミド(エンザルタミド群)または非ステロイド性抗アンドロゲン療法(標準治療群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目はOS、副次評価項目は前立腺特異抗原(PSA)値によるPFS、臨床的なPFS、有害事象などであった。Kaplan-Meier法、非調整log-rank検定、Cox比例ハザードモデルなどを用いて解析した。エンザルタミド併用でOSとPFSが有意に延長 追跡期間中央値34ヵ月において、死亡はエンザルタミド群102例、標準治療群143例であった(ハザード比[HR]:0.67、95%信頼区間[CI]:0.52~0.86、p=0.002)。Kaplan-Meier法による3年OS率は、エンザルタミド群で80%(94例)、標準治療群で72%(130例)であった。 PSA-PFS(イベント数174例 vs.333例、HR:0.39、p<0.001)および臨床的PFS(167例 vs.320例、HR:0.40、p<0.001)も同様に、エンザルタミド群で良好な結果が得られた。 有害事象による治療中断は、エンザルタミド群が標準治療群よりも多かった(それぞれ33例および14例)。倦怠感はエンザルタミド群が多く、痙攣発作はエンザルタミド群で7例(1%)確認され、標準治療群では確認されなかった。

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