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第43回 母の死をきっかけにグリーフケアを極めた大森眞樹先生【週刊・川添ラヂオ】

動画解説今回のゲストは学校薬剤師、災害支援、ケア・カフェなど、さまざまな分野で活躍する熊本県の大森眞樹先生。母親を亡くし、自らグリーフ(悲嘆)を抱えた経験からグリーフケアの資格を取得。その重要性と傾聴の技術について語ります。家族、仕事、環境、そして医療者と患者さんの間でもロスはある。老年薬学会のにぎやかな会場の片隅で、真っすぐすぎる薬剤師の目に光るものが…。

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終末期14日間の化学療法、5%未満に減少/JCO

 終末期(end of life、以下EOL)がん患者の積極的治療について、わが国でも高齢者においては中止を支持する機運が醸成されつつあるのではないだろうか。米国ではEOL化学療法は、最も広く行われている、不経済で、不必要な診療行為として、ベンチマーキングで医師のEOL14日間の化学療法使用を減らす取り組みが行われている。その結果、同施行は2007年の6.7%から2013年は4.9%に減少したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPenny Fang氏らによる調査の結果、明らかになった。著者は、「首尾よく5%未満に減少した。この結果を現行のEOLオンコロジー戦略に反映することで、さらに高レベルのEOLの実践が期待できるだろう」と述べている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年5月29日号の掲載報告。 研究グループは全米のEOL化学療法と標的療法の最近の傾向を評価するため、SEER-Medicareデータベースを用いて、2007~13年に乳がん(1万9,887例)、肺がん(7万9,613例)、大腸がん(2万9,844例)、前立腺がん(1万7,910例)で死亡した65歳以上の患者について、EOL14日間の化学療法の使用に関するガイドラインベンチマーク指標を評価した。 EOL6ヵ月間の各タイムポイントでの化学・標的療法の非ベンチマーク指標を比較アウトカムとし、Cochran-Armitage検定法で時間的傾向を評価。また、医師レベルによるEOL化学療法の使用のばらつきを、マルチレベル・ロジスティックモデルおよび級内相関係数(ICC)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・EOL14日間の化学療法は、2007年6.7%から2013年は4.9%まで減少した(傾向のp<0.001、Δ=-1.8%)。・同様の減少傾向は、EOL1ヵ月間(傾向のp<0.001、Δ=-1.8%)および同2ヵ月間(傾向のp<0.001、Δ=-1.3%)にも認められた。・対象的に、EOL4~6ヵ月間の化学療法使用は増加していた(傾向のp≦0.04、Δ=0.7→1.7%)。・EOL6ヵ月間で化学療法を受けた患者は、全体の43.0%であった。・EOL6ヵ月間のすべてのタイムポイントの標的療法の頻度は、2007~13年にわずかだが安定的に上昇していた(傾向のp=0.09~0.82、Δ=-0.2→1.8%)・標的療法を受けた患者は、EOL14日間で1.2%、同1ヵ月間で3.6%であった。同6ヵ月間では13.2%であった。・マルチレベルモデルの評価(ICC法による)において、医師レベルに起因すると考えられるEOL14日間の化学療法のばらつきは5.19%であった。

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患者の死への立ち合い方-医学部で教わらなかった大切なこと

 医師として働いている以上、何百回と患者の死に立ち合う。死は医療者にとっての日常だが、患者と家族には人生で数回しかない出来事だ。ある意味、死に慣れている医療者の悪気ない言動は、時に家族の悲しみを深めてしまうことがある。死に立ち合うとき、医療者は何に気を付ければよいのだろうか? 『地域の多職種で作る「死亡診断時の医師の立ち居振る舞い」についてのガイドブック』1)作成者の日下部 明彦氏(横浜市立大学 総合診療医学教室)に話を聞いた。-当直医の心ない振る舞いが、ガイドブック作成の原点 緩和ケア病棟で責任者をしていたとき、ある当直医の先生に対して、何人もの看護師や遺族から苦情を受けていました。 患者の死亡診断時にバタバタと入室して死亡時刻だけ告げて去っていくといった医師の振る舞いが、遺族を蔑ろにしているように感じられるというのです。医療スタッフの中には、そうした当直医の言動で、それまでに緩和ケアチームで行ってきたケアを台無しにされたと感じる人もいました。 態度を改めるよう注意しようと思っても、当直医の先生は私よりもはるかに年上です。年下の私から指摘されても反発されるだけだろうと悩みました。考えた末の結論が、研究や論文として形にすることです。医師同士で話すための説得力があると思い、アンケート調査とハンドブック作成に至りました。-医師が患者の死亡診断に向かうまでの望ましい振る舞いを時系列で例示 ガイドブックでは、医師が患者の死亡診断に向かうまでの準備から退出までの望ましい振る舞いを、時系列で例示しています。 患者のカルテを確認し、お名前をフルネームで覚える、病気の経過を把握する、身だしなみを整える、自分の名前を名乗る、経過・死因の説明を行う、携帯電話ではなく時計で死亡時刻を確認するといったことです。 これらは遺族・訪問看護師・在宅医へのアンケートから、遺族が重要だと感じた項目を基にしています。 ガイドブックは1つの参考として、ご家族や先生方の働いている環境に応じて、その場の空気感を大切にしてもらえたらと思います。-患者の死期を予測してチームに周知することが医師に求められる役割 ガイドブックは死亡診断時の振る舞いに特化していますが、医師にしかできないことがほかにあります。 それは患者の死期を予測することです。なぜなら、人生の最終段階の医療・ケアは予後予測に基づいて計画されるべきだからです。 予後数週間のがん患者に対して、輸液で延命効果は得られないというコンセンサスがあります2)。また、予後数日と考えられる老衰の患者への褥瘡処置は、治癒を目的としたものではないはずです。 予後予測のエビデンスとしては、がん、老衰、慢性疾患それぞれに経過が異なることが知られています。がんの場合は、急激にADLが低下し、そのまま回復を遂げることなく数ヵ月のうちに亡くなることが一般的です。ですから、がん患者の予後予測は比較的容易といえます。老衰では徐々にADLが衰えていきます。慢性疾患では、入院を要する急性増悪のたびに亡くなる可能性がありますが、入院加療で回復する場合とそうでない場合を事前に予測することは困難です3)。 Palliative Prognosis Score4)といった指標も有用です。身体活動や食事摂取状況などをスコアリングして、1ヵ月単位の中期的な余命を算出することができます。週単位の予測指標(Palliative Prognostic Index)もあります。これらを参考に日々の身体診察を行うことで、予後予測の能力は上がっていくものと考えます。 そして予後予測は、患者に関わる多職種チームに必ず共有してほしい。その情報が共有されてこそ、患者の余命に即した治療・ケアを行うことができるからです。 老衰や慢性疾患といった予測が難しい場合も、そのときの病状で可能な限りの予測を立て、病状が変わるたびに更新し、チームに周知することが医師に求められる役割だと思っています。-患者の死が予期できなかった場合に遺族の悲しみが長期化・深刻化 予後予測は、医療スタッフと共有するためだけに行うのではありません。残された時間を家族に伝えることも重要です。それも、わかりやすい言葉で。 はっきりと伝えることで家族を傷つけるのではないかと、心配される先生もおられるかもしれません。ですが、実際はその反対です。 がん患者の家族に予後1ヵ月程度と伝えたときに、「それならば、頑張って自宅で看取ります」と前向きな返答をもらうことはしばしばあります。 患者の死が予期できなかった場合、遺族の悲しみが長期化・深刻化して複雑性悲嘆となり、疾患に発展しやすいことが知られています。配慮をもって余命をお伝えすることは、亡くなるまでの時間をより有意義に過ごすため、そして遺族の今後のために医師にしかできない最善のサポートだと思います。-医師が患者の死期を告げるには遠回しな言葉では伝わらない 医師が家族に予測を伝えるときの言葉も重要です。私たちも人間ですから、患者の死期を告げるのは心苦しいものです。「何が起きてもおかしくありません」「急変の危険があります」といった遠回しな表現になってしまうのは致し方ないことだと思います。 ただ、こうした言い方では家族に伝わらないということをぜひ知ってほしい。 ではどういった言い方がよいのか。たとえば、「数日のうちにお亡くなりになると思います」「今夜あたりお別れになると思います」といった表現は一例です。亡くなる、お別れ、といった言葉を使うと伝わりやすくなります。 言い方以上に重要なのは、予後をお伝えする意図も併せてお話しすることだと思っています。医師が患者の死期をお伝えするのは、亡くなるまでの時間をより良く過ごせるように願っているからにほかなりません。そして、最期まで家族ができることも、ぜひ伝えてほしい大切な点です。 たとえば、患者の聴覚は最期まで残っています。好きな音楽をかけたり話し掛けたりすれば、患者が明確に反応できなくても伝わっている、というようなことです5)。 患者が亡くなるまでの間に家族ができることを伝えることで、一見つらいお話をする意図が伝わりやすくなると感じています。-患者の死を遺族が健全な形で受容し立ち直っていけるサポートが緩和ケア 死はとてもデリケートな場面ですが、どのように振る舞えばいいかを医学部で教わることはありませんでした。精いっぱいの医療を提供していても、振る舞い方を知らないばかりに医療者が遺族を傷つけてしまうというのは、双方にとって悲しいことです。 WHOの定義によると、緩和ケアには遺族の悲嘆ケアも含まれています。遺族が患者の死を健全な形で受容し立ち直っていけるよう、診断から患者の死後に至るまでのサポートが緩和ケアということです。 このスキームは現在の医学部教育にも組み込まれていて、遺族ケアの視点に根差した関わり方は、今後さらに求められていきます。 私は、治療のゴールは「遺族に良い医療を受けたと思ってもらえること」だと思うのです。そうでなければ、将来にわたって医療者が信頼されることはないのではないかと。死亡診断を行う医師は、たとえ当直医であっても、遺族から見れば医療チームの1人です。医療者を代表して、遺族に良い医療を受けたと思ってもらえる振る舞いをしていくことが、医療の継続につながると信じています。 日下部 明彦(くさかべ あきひこ)氏横浜市立大学 総合診療医学教室 准教授1996年、横浜市立大学医学部卒業。横浜甦生病院ホスピス病棟長(2007年)、みらい在宅クリニック副院長(2012年)を経て、2014年より現職。初期研修修了後、消化器内科、ホスピス、在宅医を経験し、各医療機関から見た緩和ケアや終末期医療の課題解決に取り組む。■関連コンテンツCareNeTV「死への立ち合い方‐死亡診断書の書き方から遺族への接し方まで」※視聴には有料の会員登録が必要です。

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日本人高齢者におけるアルコール摂取と認知症

 岡山大学のYangyang Liu氏らは、日本人高齢者におけるアルコール摂取の量や頻度と認知症発症との関連を評価するため、長期間のフォローアップを行った大規模サンプルデータを用いて検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年6月7日号の報告。 本研究は、日本で実施されたレトロスペクティブコホート研究。日本人高齢者5万3,311人を、2008~14年までフォローアップを行った。アルコール摂取の量や頻度は、健康診断質問票を用いて評価した。認知症発症は、介護保険の認知症尺度を用いて評価した。性別によるアルコール摂取のカテゴリー別の認知症発症率の調整ハザード比(aHR)、95%信頼区間(CI)を算出するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。アルコール摂取量によっては認知症発症リスクを減少させる可能性 アルコール摂取の量や頻度と認知症発症との関連を評価した主な結果は以下のとおり。・7年間のフォローアップ期間中に、認知症と診断された高齢者は、1万4,479例であった。・非飲酒者と比較し、アルコール摂取量が2ユニット(純アルコール換算:40g)/日以下の高齢者における多変量aHRは、時折の飲酒(男性、aHR:0.88、95%CI:0.81~0.96、女性、aHR:0.84、95%CI:0.79~0.90)および毎日の飲酒(男性、aHR:0.79、95%CI:0.73~0.85、女性、aHR:0.87、95%CI:0.78~0.97)において統計学的に有意な認知症発症リスク低下が認められ、男性では、時折の飲酒と毎日の飲酒において、有意な差が認められた。・しかし、アルコール摂取量が2ユニット/日超の高齢者では、時折の飲酒(男性、aHR:0.91、95%CI:0.71~1.16、女性、aHR:1.09、95%CI:0.72~1.67)および毎日の飲酒(男性、aHR:0.89、95%CI:0.81~1.00、女性、aHR:1.16、95%CI:0.84~1.81)において有意な差は認められなかった。 著者らは「高齢者において時折または毎日の2ユニット/日以下のアルコール摂取量では、認知症発症リスクを減少させる可能性があり、このような食生活をしている男性においては、より大きなメリットがもたらされると考えられる」としている。

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中高年ハイリスク2型DMにデュラグルチドが有用/Lancet

 心血管疾患の既往または心血管リスク因子を有する2型糖尿病の中年~高齢患者の血糖コントロールにおいて、デュラグルチド(商品名:トルリシティ)皮下注は有用なマネジメントの方法となりうることが、カナダ・マックマスター大学のHertzel C. Gerstein氏らが実施した「REWIND試験」で示された。研究の詳細はLancet誌オンライン版2019年6月10日号に掲載された。デュラグルチドは多くの国で、2型糖尿病患者の高血糖のマネジメントに資するとして承認を得ている、長時間作用型のGLP-1受容体作動薬であり、心血管疾患の既往のある患者において、心血管アウトカムの改善効果が報告されている。50歳以上の心血管リスク因子を持つ患者が対象 本研究は、血糖コントロールの状態がさまざまな2型糖尿病患者において、既存の血糖降下レジメンへのデュラグルチド追加による主要有害心血管イベント(MACE)への影響を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験である(Eli Lilly and Companyの助成による)。 対象は、年齢50歳以上、BMI≧23で、2剤以内の安定用量の経口血糖降下薬を服用している2型糖尿病(HbA1c≦9.5%、下限値は設けない)で、心血管イベントの既往または心血管リスク因子を有する患者であった。 被験者は、デュラグルチド(1.5mg)またはプラセボを毎週1回皮下注射する群に無作為に割り付けられた。少なくとも6ヵ月ごとにフォローアップし、心血管および他の重篤な臨床アウトカムの評価が行われた。 主要評価項目は、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管死の複合エンドポイントの新規発症とした。HbA1c、体重、収縮期血圧、心拍数の改善効果も良好 2011年8月~2013年8月の期間に、24ヵ国371施設で9,901例(平均年齢66.2[SD 6.5]歳、女性4,589例[46.3%]、HbA1c中央値7.2%[IQR:6.6~8.1])が登録され、デュラグルチド群に4,949例、プラセボ群には4,952例が割り付けられた。 フォローアップ期間中央値5.4年(IQR:5.1~5.9)の時点で、主要複合エンドポイントは、デュラグルチド群は594例(12.0%、2.4件/100人年)で認められ、プラセボ群の663例(13.4%、2.7件/100人年)に比べ有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.79~0.99、p=0.026)。 非致死的脳卒中(HR:0.76、95%CI:0.61~0.95、p=0.017)はデュラグルチド群で有意に少なかったが、心血管死(0.91、0.78~1.06、p=0.21)と非致死的心筋梗塞(0.96、0.79~1.16、p=0.65)は、両群間に差はみられなかった。また、全死因死亡にも、両群間に差はなかった(デュラグルチド群536例[10.8%] vs.プラセボ群592例[12.0%]、HR:0.90、95%CI:0.80~1.01、p=0.067)。 フォローアップ期間中に、ベースラインとの差が、プラセボ群よりもデュラグルチド群で優れた評価項目として、HbA1c(最小二乗平均[LSM]が0.61%低い、p<0.0001)、体重(同1.46kg低い、p<0.0001)、BMI(同0.53低い、p<0.0001)、収縮期血圧(同1.70mmHg低い、p<0.0001)、平均動脈圧(同0.49mmHg[95%CI:0.25~0.73]低い)、脈圧(同1.82mmHg[1.53~2.12]小さい)、心拍数(同1.87拍/分高い、p<0.0001)、総コレステロール(同0.07mmol/L[0.03~0.10]低い)、LDLコレステロール(同0.05mmol/L[0.02~0.08]低い)などが挙げられた。 事前に規定されたとくに注目すべき有害事象(重篤な消化器イベント、重症低血糖、がん、膵炎)や、重篤な有害事象の頻度は、両群間に差はなかった。一方、フォローアップ期間中に、消化器有害事象がデュラグルチド群の2,347例(47.4%)で報告され、プラセボ群の1,687例(34.1%)と比較して有意に多かった(p<0.0001)。 著者は、「これらの結果により、心血管リスク因子を有する糖尿病患者のマネジメントにデュラグルチドを加えることにより、血糖値が低下し、低血糖の発生は最小化し、減量と血圧降下をもたらし、心血管イベントを抑制する可能性があることが示唆される」としている。■「デュラグルチド」関連記事デュラグルチドのREWIND試験は1次予防の壁を越えるか

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HER2陽性早期乳がん、トラスツズマブ投与期間短縮で効果は?/Lancet

 HER2陽性早期乳がんの治療において、トラスツズマブの6ヵ月投与は、12ヵ月投与に対し非劣性であることが、英国・ケンブリッジ大学のHelena M. Earl氏らが行った「PERSEPHONE試験」で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2019年6月6日号に掲載された。術後のトラスツズマブ治療は、HER2陽性早期乳がん患者のアウトカムを有意に改善する。標準的な投与期間は12ヵ月だが、より短い期間でも有効性はほぼ同様で、毒性は軽減し、費用は削減される可能性が示唆されている。HER2陽性早期乳がん患者にトラスツズマブを6ヵ月または12ヵ月投与 PERSEPHONE試験は、英国の152施設が参加した非盲検無作為化第III相非劣性試験であり、2007年10月~2015年7月の期間に患者登録が行われた(英国国立衛生研究所[NIHR]の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、HER2陽性で、化学療法の明確な適応がある浸潤性早期乳がん患者であった。被験者は、化学療法との併用(同時または逐次投与)で、3週ごとにトラスツズマブを静脈内投与(負荷用量8mg/kgののち、維持用量6mg/kg)または皮下投与(600mg)され、これを6ヵ月間または12ヵ月間施行する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は無病生存期間とした。非劣性マージンは4年無病生存率の3%であった。4年無病生存率:トラスツズマブ6ヵ月投与群89.4% vs. 12ヵ月投与群89.8% HER2陽性早期乳がん患者4,088例が登録され、トラスツズマブ6ヵ月投与群に2,043例(年齢中央値56歳[範囲23~83])、トラスツズマブ12ヵ月投与群には2,045例(56歳[23~82])が割り付けられた。 全体の69%がエストロゲン受容体陽性であった。術前化学療法を受けた620例では、89%がアンスラサイクリン系薬剤とタキサン系薬、9%がアンスラサイクリン系薬のみ、2%がタキサン系薬のみを投与され、術後化学療法を受けた3,468例では、それぞれ41%、47%、11%の投与であった。 フォローアップ期間中央値5.4年(IQR:3.6~6.7)の時点で、無病生存イベントはトラスツズマブ6ヵ月投与群が265例(13%)、12ヵ月投与群は247例(12%)に認められた。4年無病生存率は、それぞれ89.4%、89.8%で、ハザード比(HR)は1.07(90%信頼区間[CI]:0.93~1.24、非劣性のp=0.011)であり、6ヵ月投与群の非劣性が示された。 全生存率は、トラスツズマブ6ヵ月投与群が93.8%、12ヵ月投与群は94.8%であり、非劣性が確認された(HR:1.14、90%CI:0.95~1.37、非劣性のp=0.0010)。 トラスツズマブ6ヵ月投与群は、12ヵ月投与群に比べ重篤な有害事象(19%[373/1,939例] vs.24%[459/1,894例]、p=0.0002)が少なく、心毒性による早期治療中止(3%[61/1,939例] vs. 8%[146/1,894例]、p<0.0001)も少なかった。 著者は、「これらの結果は、再発リスクが本試験の患者と同程度の女性における、トラスツズマブ投与期間の短縮の検討を支持する」としている。

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カレーを食べて血管炎の症状指標に【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第141回

カレーを食べて血管炎の症状指標にいらすとやより使用前回に引き続いて、辛い物シリーズです。カレーを食べることで、血管炎の増悪を予兆している人が世の中にいるようです。すごいな! Donaldson SL, et al.Curry-assisted diagnosis in the rheumatology clinic.Oxf Med Case Reports. 2015;2015:297-299.巨細胞性動脈炎の患者さんの一部は、舌の異常を訴えることがあるようです1)。ひどいケースでは潰瘍や壊死にまで至るそうです2-4)。味覚障害を訴える人もいるようですが、私自身、巨細胞性動脈炎の症例をたくさん診ているわけではないので、よくわかりません。このケースシリーズに登場する患者さんの1人である63歳の白人男性も大血管炎に罹患しており、カレーなどの辛い物を食べた後に頭皮がピリピリするという症状を経験しました。ステロイドや免疫抑制薬による治療が導入された後も、定期的にカレーを食べているようです。よほどお好きなんでしょうか…。さて、彼がカレーを食べた後、頭皮がピリピリするという症状が起こる場合、血管炎の指標にしているバイオマーカーが上昇しやすくなるという現象が起こるそうです。カレーを食べて「あ、こりゃ血管炎悪くなっているな」というのが自分でわかるというのです。彼にとっては、血液検査の炎症性マーカーよりも、カレーを食べた後の頭皮のピリピリのほうが感度も特異度も高い指標になるのかもしれません。確かにめちゃくちゃ辛いカレーを食べると、頭のあたりがピリピリすることがありますが、血管炎の患者さんではあれは増悪しやすくなっているということなんでしょうか。1)Henderson AH. Br Med J. 1967;4:337.2)Sobrinho RABS, et al. Case Rep Med. 2017;2017:6327437.3)Zaragoza JR, et al. Case Rep Rheumatol. 2015;2015:901795.4)Grant SW, et al. Dent Update. 2013;40:669-670, 673-674, 677.

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抗うつ薬の治療効果に影響を及ぼす因子~メタ解析

 抗うつ薬への治療反応を事前に知ることは、臨床的に重要である。しかし、有意義なeffect modification(異なる治療反応に関連する変数)はわかっていない。統計数理研究所の野間 久史氏らは、effect modificationを明らかにするため、これまで日本で実施された抗うつ薬のプラセボ対照試験における被験者個人データ(IPD)を用いてメタ解析を行った。Journal of Affective Disorders誌2019年5月1日号の報告。 うつ病の急性期治療におけるbupropion、デュロキセチン、エスシタロプラム、ミルタザピン、パロキセチン、ベンラファキシンのプラセボ対照試験7件より、2,803例のIPDを取得した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時のハミルトンうつ病評価尺度(HRSD)の罪責感サブスケールスコアが高いほど、6週目のうつ病重症度の減少率が高く、この差は、現在の年齢または発症年齢が高いほど小さかった。・8週目のうつ病重症度では、HRSDの罪責感サブスケールスコアとベースライン時の自殺念慮の存在により、減少率が高いと予測された。また、HRSDの無快感および不眠スコア、2週目の早期治療反応は、より小さな減少を予測した。 著者らは「年齢、発症年齢、罪責感・無快感・不眠を含むいくつかのHRSDサブスケール、ベースライン時の自殺念慮の存在、早期治療反応は、うつ病患者に対する急性期抗うつ薬治療の治療反応における潜在的なeffect modificationであると考えられる。将来の研究において、うつ病治療と個人の特性とのマッチングを可能にするため、これらの追加変数を測定する必要がある」としている。

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高感度トロポニンT、アブレーション後のAF再発予測に有用か

 高感度トロポニンT(hs-TnT)が、心房細動(AF)アブレーション後のAF再発および主要心血管イベント(MACE)の予測に有用である可能性を、大阪市立大学の田村 尚大氏らが報告した。Journal of Cardiovascular Electrophysiology誌オンライン版2019年6月13日号に掲載。 本研究では、初期アブレーションを受けたAF患者227例(平均年齢66±10歳、持続性AF 98例)を連続して登録し、AFアブレーション前のhs-TnT値により、低レベル(0.005μg/L以下)54例、中程度レベル(0.006~0.013μg/L)127例、高レベル(0.014μg/L以上)46例の3群に分けた。アブレーション後のAF再発またはMACE(死亡、脳卒中、急性冠症候群、心不全入院を含む)の複合エンドポイントを評価した。 主な結果は以下のとおり。・hs-TnT中央値は0.008μg/Lであった。・慢性腎臓病罹患率、CHA2DS2-VAScスコア、BNP、左房径は、高hs-TnT群で最も高かった。・平均追跡期間15±8ヵ月の間に、AF再発およびMACEがそれぞれ56例(25%)および9例(4%)に発生した。・高hs-TnT群は、3群のうち最も高いAF再発率およびMACE発生率を示した(高レベル:39%および15%、中程度レベル:22%および2%、低レベル:19%および0%、log-rank p<0.05)。・多変量解析では、hs-TnT 0.014μg/L以上および持続性AFが複合エンドポイントの独立した予測因子であった。

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サルコペニアは肺がん患者の約半数に合併し、OSを短縮する/Chest

 健康寿命を延ばすキーワードの1つとして注目されるようになったサルコペニア(骨格筋減少)だが、疾患予後との関連も注目されている。中国・四川大学のMing Yang氏らは、さまざまな報告がある肺がん患者の予後との関連について、コホート研究のメタ解析を行い、サルコペニアは、肺がん患者の約2人に1人と非常に多く認められること、小細胞肺がん(SCLC)患者および種々のStageの非小細胞肺がん(NSCLC)患者で全生存期間(OS)不良の重要な予測因子であることを明らかにした。Chest誌オンライン版2019年5月22日号の掲載報告。 研究グループは、肺がん患者におけるサルコペニアの予後に及ぼす影響を評価する目的で、MEDLINE、EmbaseおよびCochrane Central Register of Controlled Trialsを用い、2018年7月23日までに発表された後ろ向きまたは前向きコホート研究を特定し、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。 個々の研究のバイアスリスクの評価には、Quality in Prognosis Study(QUIPS)を用いた。異質性および出版バイアスを調べ、サブグループ解析および感度解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・13件(計1,810例)の研究が解析に組み込まれた。・サルコペニアの有病率は、NSCLC患者で43%、SCLC患者で52%であった。・サルコペニアは、肺がん患者のOS不良と関連していた(HR:2.23、95%CI:1.68~2.94)。・この関連は、NSCLC(HR:2.57、95%CI:1.79~3.68)およびSCLC(HR:1.59、95%CI:1.17~2.14)のいずれにおいても認められた。・サルコペニアはNSCLCにおいて、StageI~II(HR:3.23、95%CI:1.68~6.23)およびStageIII~IV(HR:2.19、95%CI:1.14~4.24)における、OS不良の独立予測因子であった。・しかしながら、サルコペニアはNSCLC患者の無病生存(DFS)の独立予測因子ではなかった(HR:1.28、95%CI:0.44~3.69)。

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会員医師の最多年収帯は1,600~1,800万円

 ケアネットでは、5月30日(木)~6月3日(月)に会員医師1,000人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その結果、81%の医師が1,000万円以上の年収額を回答し、その中で最も多い年収帯は1,600~1,800万円であった(全体の13%)。また、全体の63%の医師が1,000~2,000万円に分布し、2,000~3,000万円は16%、3,000万円以上は4%であった。8割の会員医師が1,000万円以上の年収と回答 医師の年収を年代別にみると、35歳以下の9%が600万円未満、8%が600~800万円、14%が800~1,000万円と1,000万円未満と回答した会員医師が31%だった。しかし、年代が1段階上の36~45歳では、1,000万円未満の割合は20%と減り、8割の会員医師が1,000万円以上の年収額と回答した。 男女別の医師の年収では、全年代男性の16%が1,000万円未満だったのに対し、全年代女性の59%が1,000万円未満と男女間で大きな開きをみせた。 上記のほか、病床数、勤務先別、診療科別の医師の年収分布についても、以下のページで結果を発表している。医師の年収に関するアンケート2019【第1回】昨年度の年収

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経口セマグルチドの心血管安全性を確認/NEJM

 心血管リスクが高い2型糖尿病患者を対象とした、標準治療への経口セマグルチド追加投与の安全性を評価した多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Peptide Innovation for Early Diabetes Treatment 6:PIONEER 6試験」の結果が報告された。カナダ・トロント大学のMansoor Husain氏らによる検討で、心血管安全性について、経口セマグルチドのプラセボに対する非劣性が示された。GLP-1受容体作動薬セマグルチドは、現在国内外で承認・発売されているのは皮下注射剤のみで、経口剤の心血管安全性を確立することが望まれていた。NEJM誌オンライン版2019年6月11日号掲載の報告。心血管ハイリスクの2型糖尿病患者3,183例を対象に試験 PIONEER 6試験は、21ヵ国214施設で実施された。対象は、心血管リスクが高い(50歳以上で心血管疾患またはCKDを有する、もしくは60歳以上で心血管リスク因子を有する)2型糖尿病患者3,183例で、2017年1月~8月の期間に、標準治療に加え経口セマグルチド1日1回投与を受けるセマグルチド群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、time-to-event解析における主要心血管イベント(MACE:心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中)の初回発生で、最低122件のイベントが発生するまで追跡した。非劣性マージンを主要評価項目のハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)上限値1.8とし、層別Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。 3,183例の患者背景は、平均年齢が66歳で、2,695例(84.7%)が心血管疾患またはCKDを有する50歳以上の患者であった。経口セマグルチド群のMACE発生、プラセボに対して非劣性(HR:0.79) 追跡期間中央値15.9ヵ月において、MACEの発生はセマグルチド群3.8%(61/1,591例)、プラセボ群4.8%(76/1,592例)であった。HRは0.79、95%CIは0.57~1.11であり、心血管安全性に関してセマグルチドのプラセボに対する非劣性が示された(非劣性のp<0.001)。 主要評価項目の個別イベントの発生については、心血管死がセマグルチド群0.9%(15/1,591例)、プラセボ群1.9%(30/1,592例)(HR:0.49、95%CI:0.27~0.92)、非致死的心筋梗塞は2.3%(37/1,591例)と1.9%(31/1,592例)(HR:1.18、95%CI:0.73~1.90)、非致死的脳卒中は0.8%(12/1,591例)と1.0%(16/1,592例)(HR:0.74、95%CI:0.35~1.57)に認められた。また、全死因死亡率は、セマグルチド群1.4%(23/1,591例)、プラセボ群2.8%(45/1,592例)であった(HR:0.51、95%CI:0.31~0.84)。 治験薬の投与中止に至った有害事象の発現頻度は、セマグルチド群11.6%、プラセボ群6.5%であり、理由として最も多かったのは消化器症状であった。■「セマグルチド」関連記事2型DMへのGLP-1、経口薬vs.皮下注/Lancet

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局所進行子宮内膜がん、術後化学放射線療法vs.化学療法/NEJM

 StageIIIまたはIVAの子宮内膜がん患者において、化学療法と放射線療法の併用は化学療法単独と比較し、無再発生存期間を延長しないことが示された。米国・ノースウェスタン大学のDaniela Matei氏らが、第III相多施設共同無作為化試験「Gynecologic Oncology Group 258:GOG 258試験」の結果を報告した。StageIII/IVAの子宮内膜がんは全身または局所再発の重大なリスクがあり、これまで化学療法と放射線療法の併用について検証されてきたが、化学療法単独と比較した有効性については確認されていなかった。NEJM誌2019年6月13日号掲載の報告。813例を対象に試験、無再発生存期間を比較 研究グループは、FIGO StageIII/IVAの子宮内膜がん、またはStageI/IIの明細胞がんまたは漿液性子宮内膜がんで腹膜洗浄細胞診陽性の患者を、6ヵ月間の化学放射線療法群(シスプラチン+放射線療法→カルボプラチン+パクリタキセル)と、6サイクルの化学療法単独群(カルボプラチン+パクリタキセル)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は無再発生存期間。副次評価項目は全生存期間、安全性および生活の質(QOL)などとした。intention-to-treat集団にて、層別log-rank検定および線形混合モデルを用いて解析した。化学放射線療法と化学療法単独で無再発生存率に有意差なし 2009年6月29日~2014年7月28日に813例が登録され、適格基準を満たした736例(化学放射線療法群370例、化学療法単独群366例)が解析対象となった。このうち707例が無作為に割り付けられた介入を受けた(それぞれ346例および361例)。追跡期間中央値は47ヵ月であった。 60ヵ月時点における無再発生存率(Kaplan-Meier推定値)は、化学放射線療法群59%(95%信頼区間[CI]:53~65)、化学療法単独群58%(95%CI:53~64)であった(ハザード比[HR]:0.90、90%CI:0.74~1.10)。 化学放射線療法群は化学療法単独群と比較し、5年の膣再発率(2% vs.7%、HR:0.36、95%CI:0.16~0.82)および5年の骨盤・大動脈周囲リンパ節再発率(11% vs.20%、HR:0.43、95%CI:0.28~0.66)が低かった。しかし、遠隔再発率は化学放射線療法群が高率であった(27% vs.21%、HR:1.36、95%CI:1.00~1.86)。 Grade3以上の有害事象は、化学放射線療法群で202例(58%)、化学療法単独群で227例(63%)に認められた。

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第21回 緊急避妊薬を巡って議論が紛糾【患者コミュニケーション塾】

 緊急避妊薬を巡って議論が紛糾2018年度の診療報酬改定で「オンライン診療料」が新設されました。これに先立ち、厚生労働省では検討会を設置し、2018年3月にオンライン診療に関するガイドライン「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を作成しました。私も構成員の一人としてガイドライン作成の議論に参加しました。ただ、オンライン診療を巡っては、どのような問題が発生するか始めてみないとわからない部分も多かったことと、オンラインにまつわる情報や機器の変遷もめまぐるしいということもあり、ガイドラインは1年後から見直しをすることが決まっていました。早速、ガイドライン見直しの検討会が2019年1月に始まり、再び私も構成員としてさまざまな議論に加わりました。オンライン診療は、「初診は対面で診療を行うこと」が原則とされています。ところが、2月に開催された第2回目の検討会では、早くも「初診対面診療の原則の例外」が議題に挙がってきました。オンライン診療をおこなっている医師や関係者から、例外として検討してほしいと提案・要望があったものとして、「男性型脱毛症(AGA)」「勃起不全症(ED)」「季節性アレルギー性鼻炎」「性感染症」「緊急避妊薬」が紹介されました。私は前の4つの症状については、やはり初診時は直接症状を確認したり、持病がないかの確認をしたりする必要があるので、原則を外してはいけないと考えました。しかし、最後の「緊急避妊薬」に関しては、ほかとは分けて考える必要があると思ったのです。性的被害やデートレイプでも「受診前提」はきつい緊急避妊薬はアフターピルとも呼ばれ、望まない妊娠を避けるために、性交渉から72時間以内に服用することで妊娠を防ぐことができます。もちろん、100パーセントの効果が望めるわけではありませんが、約80パーセントというかなり高い割合で防ぐことができると言われています。ひと口に「望まない妊娠」と言っても、単に避妊に失敗した、軽い気持ちで性交渉したという人もいるでしょう。また、このような緊急避妊薬が手に入ることで、適切に避妊しなくなるという懸念もあります。しかし中には、性的被害に遭った少女や女性もいれば、デートレイプと呼ばれる、拒否できなかった性交渉によって妊娠の可能性が生じた人もいるわけです。そのような“負”の精神状態に置かれている人が、「まずは婦人科を受診して対面診療を」と言われてしまうと、緊急避妊薬を手に入れるハードルはかなり高くなります。それならば、まずはオンライン診療でアプローチできたほうが救われる女性が増えるのではないかと考えました。というのも、私は小学4年生のときに性的被害を受けています。レイプには至りませんでしたが、路地裏に連れて行かれ、「声を出したら殺す」と胸倉をつかまれて脅されながら、陰部に指を入れられました。それはそれは恐ろしい体験で、心臓から冷や汗が流れるような恐怖を味わいました。そのことが親にバレてしまったあと、私が被害を受けた以上に屈辱だったのは、父親が警察に通報したことで自宅に刑事たちがやって来て、現場検証に連れて行かれたことでした。自分が殺されかけた場所に舞い戻り、何をされたのかを話すということがどれだけ心に傷を負うことか、痛いほど経験しています。それだけに、もし婦人科に連れて行かれて、事情を聞かれ、診察をされるとなると、とくに少女にとっては受け入れられる状況とはとても思えませんでした。専門家の反対でかなり限定的になる気配この検討会の構成員は、女性が私一人だけです。私は本来、女性を武器にすることは好きではなく、「男性にはわからないと思いますが」という発言もまずしません。しかし、この問題だけは多くの女性のために私が頑張って発言する必要性を強く感じ、いつも以上に熱を込めた発言を繰り返してきました。この議題が出た当初は、積極的に賛成する構成員がおらず孤軍奮闘でしたが、次第にほかの構成員の賛同が得られるようになってきました。ところが、参考人として検討会に出てきてた産婦人科医が「非常に専門性の高い診断が必要なので、オンラインで診療するとしても処方できるのは産婦人科専門医に限るべきだ」と発言しました。しかし、全国津々浦々にオンライン診療ができる産婦人科専門医がいるわけではなく、性的被害等は全国どこでも起きているわけです。そこで、緊急避妊薬をオンライン診療で処方するのは、産婦人科専門医あるいは事前に厚労省が指定する研修を受講した医師、という方向で話し合いが進んでいきました。また、緊急避妊薬を服用したあとに性器出血があったとしても、必ずしも生理とは限らず妊娠している可能性があることや異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性もあることを考慮して、オンライン診療から3週間後の産婦人科受診の約束を確実に行う。緊急避妊薬の処方は1錠のみとし、ウェブで見える状態下などで内服の確認をする。処方する医師は、医療機関のウェブサイトなどで、緊急避妊薬に関する効能(成功率)、その後の対応のあり方、オンライン診療から薬が手に入るまでの時間、転売や譲渡は禁止されていることなどを明記する、という方向で議論が進みました。一方、緊急避妊薬のオンライン診療を要望している団体の方々は、緊急避妊薬を処方する医師は、産婦人科専門医に限定する必要はない。処方する対象は性暴力被害者に限定せず、必要とするすべての女性にしてほしい。3週間後の受診は必須ではなく、推奨にしてほしい。緊急避妊薬の処方に際して、必ずしも後日の受診を要するわけではない、と主張されています。その主張は私も同感ですが、正論を前面に押し出すと反対勢力は必ず態度を硬化させるので、まずは一歩を踏み出すためのある程度の妥協は必要と考えています。こうしてまとまったガイドラインの改定案は、6月10日に以下の内容で承認されました。例外として、地理的要因がある場合、女性の健康に関する相談窓口等に所属する又はこうした相談窓口等と連携している医師が女性の心理的な状態にかんがみて対面診療が困難であると判断した場合においては、産婦人科医又は厚生労働省が指定する研修を受講した医師が、初診からオンライン診療を行うことは許容され得る。ただし、初診からオンライン診療を行う医師は一錠のみの院外処方を行うこととし、受診した女性は薬局において研修を受けた薬剤師による調剤を受け、薬剤師の面前で内服することとする。その際、医師と薬剤師はより確実な避妊法について適切に説明を行うこと。加えて、内服した女性が避妊の成否等を確認できるよう、産婦人科医による直接の対面診療を約三週間後に受診することを確実に担保することにより、初診からオンライン診療を行う医師は確実なフォローアップを行うこととする。厚労省は今回の議論を受けて、緊急避妊薬を処方できる医療機関のリストを作成すると打ち出しています。これにより、産婦人科以外の医療機関もリストにあれば、診察を恐れる少女や女性のハードルを下げることができるとかすかな期待を抱いています。そもそも、緊急避妊薬の存在や効能自体を知っている人は少ないだけに、情報の周知が必要だと私は考えます。というのも、望まない妊娠の可能性がある少女や女性がインターネットやSNSを介して、緊急避妊薬と称する“薬”を手に入れている現状があるからです。そのような手段で手に入れた“薬”が、偽薬である可能性もあります。それだけに、きちんとした医療機関で処方されることがやはり必要なのです。世界に目を向けてみれば、各国の医療事情は異なるとはいえ、76ヵ国で医師の処方せんなしで薬局の薬剤師によって販売され、19ヵ国では直接薬局で入手することが可能なのです。国際産婦人科連合(FIGO)などでは「医師によるスクリーニングや評価は不要」「薬局カウンターでの販売が可能」と声明を出しているそうです。そんな中、先進国であるはずの日本では、世界的な動きに逆行して、必要とする女性が緊急避妊薬を手に入れるハードルを高くしようとしているとの批判もあるようです。実際に検討会を傍聴している現役の産婦人科医からも、同様の意見を数多く聞きました。いずれにせよ、本来、女性の健康やからだを守るべき産婦人科医の間で意見が割れているのは残念なことだと思います。もっと多くの方にこの問題に関心を持っていただき、声を出せずにいる女性を守る機運を高めていくことができればと思っています。

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便乗英会話の効能【Dr. 中島の 新・徒然草】(277)

二百七十七の段 便乗英会話の効能女房が、フィリピン人講師相手にオンラインで英会話の勉強をしている話は、前にも述べました。最近は、担当の先生も2人くらいに固定されてきたようです。でも、あまり親しくなりすぎると、英語の勉強のはずが単なる雑談になってしまいがち。フィリピン人先生がペラペラ喋ってこちらが相槌を打つだけだと、効果が期待できません。なので、授業の方法をリクエストし、先生になんらかの質問を出してもらって、それに対して英語で答えるという方法を始めました。たとえば、「友達が結婚するにあたって、車を買うか家を買うか悩んでいる。どちらか1つだけ買うとして、どちらを勧めるか?」といった質問です。これに対して女房は、「あー」とか「うー」とか言いながら答えるのですが、自分の考えを頭の中でまとめながら英語で表現するという2つの作業を同時にやるのは、やはり苦しいみたいです。30分のレッスンでクタクタになった女房の前に、中島が登場。中島「今日の英語レッスンはどう?」女房「頑張ったけどクタクタや」中島「どんな課題が出たわけ?」女房「結婚する友達に車を買うか家を買うか、アドバイスしなさいってやつ」中島「ちょっと僕がやってみていい?」女房「どうぞ」以下、英語。僕がやっても、苦しいものは苦しい。私なら車をお勧めする。というのは、家を買ってしまったら重大な状況を招く可能性があるからだ。例としては、突然の転勤なんかがある。ローンを支払いながら、家賃も払う羽目になってしまう。だから、どちらか1つを買うなら車の方が良い。こんな感じです。まず結論を言い、その根拠や例を挙げ、最後にもう1度結論を言って締めくくります。しかしですね。実際にやってみると、簡単な英語表現が出てきません。「転勤」ってなんていうのかな? 「家のローン」は、そのままローンでいいのか? 「家賃」はなんだったかな? 簡単な言葉なのに難しい!読者の皆様はこういった表現、英語でスラスラ出てきますか?やはり難しいんじゃないかと思います。後で調べてみると、「転勤」は transfer のようです。「転職」と言いたい場合は job transfer になります。「ローン」は loan でもいいけど、「家のローン」については mortgage が好んで使われています。そして、「家賃を支払う」はpay the rent と言うみたい。ホント、簡単だけど言えません。とはいえ、これらの表現を知っておきさえすれば、何とか答えられそうではあります。全く知らない場合でも、自分の知っている単語に置き換えて表現すればいいですね。ロジックさえしっかりしていれば、相手には伝わるはずです。というわけで、女房のオンライン英語レッスンに便乗して、自分も少しだけ勉強しています。もちろん、自分自身がオンライン英会話を行うのが一番いいと思うし、実際やっていたこともあるのですが、しばらくサボッていたせいで、再開するのには心理的ハードルが高くなってしまいました。なんだかオンライン登校拒否みたいだ。でも、何もやらないよりはずっといいと思って、今日も安直な便乗英会話を続けています。というわけで最後に1句人にさせ 良いとこどりの 英会話

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ASCO2019レポート 消化器がん(Lower GI)

レポーター紹介2019年5月31日~6月4日まで、イリノイ州シカゴにあるMcCormick Placeにて2019 ASCO Annual Meetingが開催された。本稿では、その中から大腸がん関連の演題をいくつか紹介したい。進行再発大腸がんに対する新しい薬剤はここ数年登場しておらず、残念ながら今年のASCOでも、すぐに臨床現場に登場するような新規薬剤の発表はなかった。しかし、臨床家として興味深い演題は多数みられ、そのうちのいくつかを周術期化学療法、進行再発大腸がんに対する化学療法、手術手技のそれぞれに分けて紹介する。周術期化学療法ASCOにおける大腸がんに対する周術期化学療法の発表としては、2017年のIDEA collaborationが記憶に新しい。StageIII結腸がんに対する術後補助化学療法の至適投与期間についての検討である。標準治療であるオキサリプラチン併用レジメ(FOLFOXもしくはCAPOX)の6ヵ月投与に対して、試験治療である3ヵ月投与の非劣性が検証された。試験全体の結果はnegativeであったものの、リスク、治療レジメによる差がみられ、その後の各ガイドラインの記載、日常診療に影響を与えた。#3501:Prospective pooled analysis of four randomized trials investigating duration of adjuvant (adj) oxaliplatin-based therapy (3 vs 6 months {m}) for patients (pts) with high-risk stage II colorectal cancer (CC).IDEA collaborationに参加した6つの臨床試験のうち、4つの試験(SCOT、TOSCA、ACHIEVE-2、HORG)ではStageIIIとともにハイリスクStageII症例も登録されており、その結果が報告された。ハイリスクの因子として挙げられたのは、T4、低分化、不十分なリンパ節郭清、血管・神経浸潤、閉塞、穿孔である。統計学的にはオキサリプラチンの上乗せ効果が60%まで低下することを許容し、非劣性マージンは1.2、80%の検出力で542イベントが必要との仮説であった。ハイリスクStageII症例3,273例が、試験治療である3ヵ月群と標準治療である6ヵ月群に無作為割り付けされ、3ヵ月群では有意に有害事象の低減がみられたものの(p<0.0001)、主要評価項目である5年無病生存率(DFS)は3ヵ月群80.7% vs.6ヵ月群83.9%であり非劣性は証明されず、試験全体としてはnegative studyであった(HR:1.18、80%CI:1.05~1.31、p=0.3851)。レジメと期間ごとの5年DFSはCAPOX 3ヵ月81.7% vs.6ヵ月82.0%、FOLFOX 3ヵ月79.2% vs.6ヵ月86.5%であり、CAPOXにおいてその差は小さい傾向にあった。これらの結果から発表者は、ハイリスクStageII症例の術後補助化学療法を行う場合、CAPOXなら3ヵ月、FOLFOXなら6ヵ月と結論付けていた。#3504:FOxTROT: an international randomised controlled trial in 1052 patients (pts) evaluating neoadjuvant chemotherapy (NAC) for colon cancer.切除可能大腸がんに対しては術後補助化学療法が標準治療であるが、術前化学療法は切除前に化学療法を行うことにより腫瘍縮小による切除率の向上、微小転移の抑制などが期待される。FoxTROT試験は、切除可能大腸がんにおいて術前化学療法が治療成績を改善するか、を検証した第III相試験である。T3-4、N0-2、M0かつFOLFOX療法、手術が可能と考えられる1,052例が、試験治療である術前化学療法群(FOLFOX 3コース→手術→FOLFOX 9コース:NAC群)、もしくは標準治療である術後補助化学療法群(手術→FOLFOX 12コース:術後治療群)に2:1で無作為割り付けされた。NAC群においてRAS野生型であればパニツムマブの併用が許容された。2点において主治医の裁量での変更が可能であり、治療全体の期間が高齢者や再発リスクの低い症例では全体の投与期間が24週ではなく12週でもよい、FOLFOXの代わりにCAPOXでもよい、という設定であった。術前化学療法は安全に施行され全体として大きな合併症の増加はみられなかった。不完全切除率(R1、R2もしくは非切除)はNAC群4.8%、術後治療群11.1%であり、NAC群において有意に低かった(p=0.0001)。病理組織学的検討では、pT0は4.1% vs.0%、pN0は59.4% vs.48.8%で、いずれもNAC群においてdown stagingが得られていた(p<0.0001)。NACによる病理組織学的効果は59%の症例で確認され、pCRの症例を3.5%認めた。主要評価項目である2年後の再発もしくは腫瘍残存はNAC群13.6%、術後治療群17.2%であり、NAC群において予後良好な傾向を認めたものの有意差を認めなかった(HR:0.75、p=0.08)。NAC群におけるパニツムマブの上乗せ効果は認めなかった(p=0.30)。主要評価項目では統計学的有意差を認めなかったものの、大腸がんに対するNACは新たな概念であり、今後の続報を待ちたい発表であった。進行再発大腸がんに対する化学療法ここ数年のASCOでは免疫チェックポイント阻害剤(Immune Checkpoint Inhibitor: ICI)が大きな話題である。大腸がんにおいてはマイクロサテライト不安定性を認める症例(MSI-high)ではICIの効果が期待されるものの、その割合は大腸がん症例全体の数%にすぎず、大腸がんの多くを占めるMSS症例に対する効果は期待できなかった。#2522:Regorafenib plus nivolumab in patients with advanced gastric (GC) or colorectal cancer (CRC): An open-label, dose-finding, and dose-expansion phase 1b trial (REGONIVO, EPOC1603).制御性T細胞(regulatory T cells:Tregs)や腫瘍関連貪食細胞(tumor-associated macrophages:TAMs)は抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体治療に対する抵抗性に関与すると考えられている。レゴラフェニブは大腸がんにおいていわゆるLate lineで使用される薬剤であるが、血管新生阻害作用や腫瘍関連キナーゼ阻害作用を持ち、TAMsを減らすことが腫瘍モデルにて示されている。本試験は、標準治療に不応・不耐となった進行・再発胃がん、大腸がん症例を対象としたレゴラフェニブとニボルマブの併用療法の第Ib相試験である。主要評価項目は用量制限毒性(DLT)、最大耐用量(MTD)と推奨用量(RD)であり、副次評価項目は奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、病勢コントロール率(DCR)であった。レゴラフェニブの1日1回で21日間内服・7日間休薬とニボルマブの3mg/kgを2週ごとに点滴静注を併用する投与スケジュールであった。レゴラフェニブの用量は80mg/day、120mg/day、160mg/dayの3レベルが設定され、低いほうから3例ずつ投与し有害事象がなければ増量していくdose-escalation cohortと、求められたRDで治療を行うexpansion cohortが設定された。胃がん25例、大腸がん25例が登録され、MSI-highは1例(2%)、MSSが49例(98%)であった。レゴラフェニブのdose-escalation cohortにおいて80mg/day、120mg/day、160mg/dayにそれぞれ4例、7例、3例が登録され、160mg/dayのレベルにてGrade3の発疹、蛋白尿、結腸穿孔を認めた。この結果から推奨用量は120mg/dayとなったが、その後Grade3の皮膚症状の頻度が多かったため最終的にレゴラフェニブの用量は80mg/dayとされた。胃がん、大腸がんを合わせた50例全体のORRは40%(95%CI:26~55)、DCRは88%(95%CI:76~96)であった。レゴラフェニブの用量別のORRの検討では、80mgは45%、120mgは36%、160mgは33%であった。大腸がん全体のORRは36%であり、MSSだけに限ると33%であった。胃がんのORRは44%であり全例がMSSであった。全体のPFS中央値は6.3ヵ月であった。消化器がんにおいて今までICIの効果が期待できなかったMSS症例で、レゴラフェニブとの併用においてICIの効果を認めたことは特筆すべきと考える。レゴラフェニブをTregsやTAMsを抑えるために使用するという発想も興味深く、今後の第II相、第III相試験の結果が待たれる。手術手技ASCOは化学療法のみの学会ではなく手術手技、放射線治療、支持療法、緩和ケア、予防、早期発見、医療経済、サバイバーシップなど多岐にわたる発表が行われる。本邦からの大腸がん手術手技に関する演題がPoster Discussion Sessionにおいて発表された。#3515:A randomized controlled trial of the conventional technique versus the no-touch isolation technique for primary tumor resection in patients with colon cancer: Primary analysis of Japan Clinical Oncology Group study JCOG1006.大腸がん手術時に最初に血管の結紮を行うno-touch isolation technique(NTIT)は、手術手技による腫瘍細胞の血行性転移を防ぐことに有効と考えられていたが、大規模な有効性のデータは存在しなかった。JCOG1006はこのNTITの有効性を検証した第III相試験である。主な適格症例は組織学的に確認された大腸がん(回盲部~Rs直腸まで)、T3-4、N0-2、M0などである。症例はconventional technique(CoT:[1]腸管の剥離・授動→[2]辺縁血管の結紮→[3]腸管切離→[4]脈管根部での結紮)もしくはNTIT([1]脈管根部での結紮→[2]辺縁血管の結紮→[3]腸管切離→[4]腸管の剥離・授動)に無作為化された。手術はすべて開腹手術であり、術後病理組織学的にStageIIIと診断された症例はカペシタビンによる術後補助化学療法を受けた。主要評価項目は無病生存期間(DFS)であった。2011年1月~2015年11月に853例が登録され、CoT 427例、NTIT 426例に無作為化された。3年DFSはCoT 77.3%、NTIT 76.2%であり、NTITの優越性は証明されなかった(HR:1.029、95%CI:0.800~1.324、p=0.59)。3年OSはCoT 94.8%、NTIT 93.4%であった(HR:1.006、95%CI:0.674~1.501)。これらの結果からNTITは術後再発率、生存率に寄与しないと結論付けられた。本試験は結果としてnegative studyであったが、臨床現場のClinical Questionに対してきちんとした第III相試験を立案、実施、解析、発表するその姿勢は素晴らしく、そのことが評価されてのPoster Discussionへの採択であったと感じられた。最後に今年のASCO大腸がん領域の演題からいくつかを紹介したが、上記演題のほかにも進行再発がんに対するTripletレジメや、抗PD-1抗体+抗CTL-4抗体、抗PD-1抗体+放射線治療など、さまざまな興味深い演題の発表があった。ASCO2019のテーマは“Caring for Every Patient, Learning from Every Patient”であり、上記のようなさまざまなエビデンスを理解したうえで、患者一人ひとりから学び、患者一人ひとりに最良の治療、ケアを提供していくことが大切であると考えられた。

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