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低リスク大動脈弁狭窄症に自己拡張型弁のTAVRは有効か/NEJM

 手術リスクが低い重症大動脈弁狭窄症患者に対して、自己拡張型supraannularバイオ人工弁による経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の施行は通常手術施行に対して、24ヵ月時点の死亡または後遺障害を伴う脳卒中発生の複合エンドポイントについて非劣性であることが示された。米国・ベスイスラエル・ディーコネス医療センターのJeffrey J. Popma氏らによる無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年3月16日号で発表された。TAVRは、手術を受けた場合の死亡リスクが高い重症大動脈弁狭窄症患者の、手術に変わる治療法とされている。これまで、手術リスクの低い患者のTAVR施行については明らかにされていなかった。手術リスクが低い患者についてTAVR vs.手術の無作為化試験 研究グループは、手術後30日時点の死亡リスクが低いとみなされた重症大動脈弁狭窄症患者において、TAVRの有効性および安全性を、手術の有効性および安全性と比較する検討を行った。適格患者を2群に割り付け、一方にはTAVRを、もう一方には手術を行った。被験者は、ベースライン、退院時、施術後1、6、12、18、24ヵ月時点で評価を受けた。 被験者850例が12ヵ月のフォローアップを受けた時点で、ベイズ法を用いて24ヵ月時点の死亡または後遺障害を伴う脳卒中発生の主要複合エンドポイントに関する中間解析を行った。TAVRの手術に対する非劣性を確認 2016年3月28日~2018年11月27日に、オーストラリア、カナダ、フランス、日本、オランダ、米国の86施設で登録された1,468例が無作為化を受けた。そのうち1,403例(TAVR群725例、手術群678例)が施術を受け、解析治療コホートに包含された。被験者の平均年齢は74歳、女性は34.9%、手術リスクは全例で低く、両群間で有意な差はみられなかった。 事前規定の中間解析時点で、12ヵ月のフォローアップを受けていた被験者は、TAVR群432例、手術群352例だった。24ヵ月のフォローアップ完遂者はそれぞれ72例、65例で、各群のフォローアップ期間中央値は12.2ヵ月であった。 24ヵ月時点の主要エンドポイントの推定発生率はTAVR群5.3%、手術群6.7%であった(群間差:-1.4ポイント、群間差の95%ベイズ確信区間:-4.9~2.1、非劣性の事後確率>0.999)。 30日時点で、TAVR群は手術群と比べて、後遺障害を伴う脳卒中(0.5% vs.1.7%)、出血性合併症(2.4% vs.7.5%)、急性腎障害(0.9% vs.2.8%)、心房細動(7.7% vs.35.4%)の発生は低率であった。一方、中等症~重症大動脈弁閉鎖不全(3.5% vs.0.5%)、ペースメーカー植え込み施行(17.4% vs.6.1%)の発生は高率であった。 12ヵ月時点では、TAVR群は手術群よりも大動脈圧較差が小さく(8.6mmHg vs.11.2mmHg)、有効逆流弁口面積は大きいことが認められた(2.3cm2 vs.2.0cm2)。

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認知症高齢者における入院前後の抗コリン作用性負荷

 ドイツ・ライプニッツ予防研究疫学研究所のJonas Reinold氏らは、認知症高齢者における入院中の抗精神病薬と抗コリン作用薬の使用変化を評価し、抗精神病薬処方と抗コリン作用性負荷(ACB)の増加に関連する因子について検討を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年2月13日号の報告。 2012~14年にイタリア・ウディネ大学病院に入院した認知症患者のうち、退院時診断を受けた65歳以上の患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。入院前後3ヵ月間の処方薬は、各調剤薬局より収集し、退院時の処方はHospital Electronic Medical Records(EMR)より収集した。ACBは、Anticholinergic Cognitive Burden scoreを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・1,908例中、退院時に抗精神病薬を使用していた患者は37.0%(入院前:9.4%、入院後:12.6%)、抗コリン作用薬を使用していた患者は68.6%(入院前:49.1%、入院後:45.7%)であり、38.4%の患者のACBは、主に抗コリン作用を有する抗精神病薬の使用増加により、退院時の増加が認められた(退院時:33%、入院前:12%)。・退院時の抗精神病薬処方は、抗精神病薬による前治療(調整オッズ比[aOR]:4.85、95%CI:3.37~6.97)、精神状態(aOR:4.39、95%CI:3.47~5.54)、外科部門からの退院(aOR:2.17、95%CI:1.32~3.55)との関連が認められた。・ACBの増加は、精神状態(aOR:1.91、95%CI:1.52~2.39)、外科部門からの退院(aOR:1.75、95%CI:1.09~2.80)、内科部門からの退院(aOR:1.50、95%CI:1.04~2.17)、心不全(aOR:1.41、95%CI:1.00~1.99)との関連が認められた。 著者らは「認知症患者のACBは、退院時に高く、抗精神病薬の使用増加が主な原因であった。認知症高齢者を治療する際、臨床医は、抗精神病薬に関連するリスクとこれらの薬剤の中には抗コリン作用リスクを増加させる可能性があることを知っておく必要がある」としている。■関連記事抗認知症薬と抗コリン薬の併用、アジア太平洋諸国の現状高齢入院患者におけるせん妄と抗コリン薬に関する観察研究認知症における抗コリン薬負荷と脳卒中や死亡リスクとの関連

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国内初のCAR-T「キムリア」が承認/ノバルティス

 ノバルティス ファーマ株式会社は、2019年3月26日、「再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」を対象として、国内で初となるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法チサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア)の製造販売承認を取得した。 チサゲンレクルユーセルは、患者自身のT細胞を遺伝子導入により改変し、体内に戻すことで、CD19発現B細胞性の腫瘍(B-ALLとDLBCL)を認識して攻撃する新しいがん免疫細胞療法。チサゲンレクルユーセルによる治療は、継続的な投与を必要とせず、投与は一度のみとなる(単回投与)。 今回の承認は、再発または難治性のCD19陽性のB-ALLとDLBCLを対象とした、CAR-T細胞療法の国際多施設共同第II相試験(ELIANA試験、JULIET試験)の結果に基づいている。 再発または難治性のCD19陽性B-ALLの小児及び若年成人患者を対象としたELIANA試験では、主解析時点までに92例が登録され、75例がチサゲンレクルユーセルの投与を受けた。主要評価項目とされた全寛解率(完全寛解[CR]または血球数回復が不十分な完全寛解[Cri])は、中間解析時点で82.0%(41/50例)であった。また主解析時点で、寛解を達成した患者における寛解持続期間の中央値は未到達(追跡期間中央値9.92ヵ月)であり、持続した寛解が得られている。チサゲンレクルユーセルが投与された患者で高頻度に認められた副作用はサイトカイン放出症候群(CRS)(77%、58/75例)であり、重篤なCRSは63%(47/75例)に発現したが、死亡に至ったCRSはなかった。高頻度に認められたその他の副作用(承認時までの集計)は、低γグロブリン血症(39%)、発熱性好中球減少症(27%)、発熱、低血圧(各25%)、頻脈(24%)、脳症(21%)、食欲減退(20%)等であった。 それまでの治療に難治性あるいは、再発を繰り返して治療選択肢が限られた、再発または難治性のCD19陽性DLBCLの成人患者を対象としたJULIET試験では、追加解析時点までに165例が登録され、111例がチサゲンレクルユーセルの投与を受けた。主要評価項目とされた奏効率(完全奏効[CR]または部分奏効[PR])は、中間解析時点で58.8%(30/51例)であった。また、奏効が得られた患者における奏効持続期間の中央値は未到達(追跡期間中央値13.9ヵ月)であり、持続した奏効が得られている。チサゲンレクルユーセルが投与された患者で高頻度に認められた副作用は、CRS(58%、57/99例)であり、重篤な事象のCRSは29%(29/99例)に発現したが、死亡に至ったものはなかった。高頻度に認められたその他の副作用(承認時までの集計)は、発熱(25%)、低血圧(21%)等であった。 チサゲンレクルユーセルの治療を行う医療機関は、白血球アフェレーシスによる患者の細胞の採取、細胞の調製・凍結、同薬投与後に起こるサイトカイン放出症候群(CRS)や神経系事象といった副作用の管理などを綿密に行うことができる医療機関に限られる。また、今回の承認にあたって、厚生労働省より「緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍及び造血幹細胞移植に関する十分な知識・経験を持つ医師のもとで、サイトカイン放出症候群の管理等の適切な対応がなされる体制下で本品を使用すること」との承認条件が付与されており、今後、より具体的な要件が示される。 チサゲンレクルユーセルは、2017年8月、米国において、小児および若年成人の再発・難治性B-ALLを適応症として、初めて承認を取得したCAR-T細胞療法であり、2018年5月に2つ目の適応症である成人のDLBCLに対する承認を取得した。また、2018年8月、欧州において、小児・若年成人のALLおよび成人のDLBCLに対する販売承認を取得した。その後、カナダ、スイス、オーストラリアでも同様の適応で承認を取得している。

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ACS発症またはPCI施行のAF患者、アピキサバンは有益か/NEJM

 直近に急性冠症候群(ACS)を発症または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けP2Y12阻害薬を投与される心房細動患者において、アピキサバン(商品名:エリキュース)を含む抗血栓療法(アスピリンは非併用)は、ビタミンK拮抗薬+アスピリン療法またはアスピリン単剤療法と比べて、出血および入院が減少し、虚血イベントの発生において有意差はみられないことが示された。米国・デューク大学のRenato D. Lopes氏らによる2×2要因デザイン法の国際多施設共同無作為化試験「AUGUSTUS試験」の結果で、NEJM誌オンライン版2019年3月17日号で発表された。ACS発症またはPCIを受けた心房細動患者に対し、適切とされる抗血栓療法は明確にはなっていない。大出血または臨床的に重要な非大出血を主要アウトカムとして検証 試験では、ACS発症またはPCIが施行され、P2Y12阻害薬服用が予定されている心房細動患者を、アピキサバンまたはビタミンK拮抗薬の投与を受ける群、およびアスピリンまたは適合プラセボの投与を受ける群に無作為化し6ヵ月間治療した。 主要アウトカムは、大出血または臨床的に重要な非大出血とした。副次アウトカムは、死亡、入院、および複合虚血イベントなどであった。アピキサバンのビタミンK拮抗薬に対する主要アウトカムの発生ハザード比は0.69 33ヵ国から4,614例が登録された。主要または副次アウトカムに関して、2つの無作為化要因間に有意な相互作用はみられなかった。 大出血または臨床的に重要な非大出血の発生率は、アピキサバン群10.5%、ビタミンK拮抗薬群14.7%であった(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.58~0.81、非劣性および優越性ともにp<0.001)。アスピリン群は16.1%、プラセボ群は9.0%であった(HR:1.89、95%CI:1.59~2.24、p<0.001)。 アピキサバン群の患者はビタミンK拮抗薬群よりも、死亡および入院の発生率が低率であった(23.5% vs.27.4%、HR:0.83、95%CI:0.74~0.93、p=0.002)。虚血イベントの発生率は同程度であった。 なおアスピリン群の患者の死亡、入院および虚血イベントの発生率は、プラセボ群と同程度であった。

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024)意外と多い、乳房下の皮膚トラブル【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第24回 意外と多い、乳房下の皮膚トラブルしがない皮膚科勤務医デルぽんです☆今回は、高齢者でよく見かける皮膚トラブルについて描きました。高齢者の皮膚トラブルは、爪白癬、皮脂欠乏性湿疹、褥瘡、おむつ皮膚炎などさまざまですが、意外とあるのが“乳房下の間擦疹”。間擦疹とは、乳房下や腋窩など、皮膚がくっついてこすれる部分(間擦部)に起こる皮疹のことです。一般的には高温多湿の夏に起こりやすく、とくに肥満や多汗症の人によく見られます。老人性円背の方にも多く、“やっとの思いで間擦部を広げて診察をする”といったパターンも少なくありません。お胸の大きさにかかわらず起こりうる疾患ですが、とくにお胸のたわわな方は間擦部も広いため、症状が広範囲にわたってしまいます(大きなお胸の思わぬ罠…!?)。こうした乳房下の間擦疹。紅斑を見たときにまず考えたいのが、真菌感染の有無。蒸れる間擦部では真菌感染が起こりやすいため、必ず顕微鏡検査をして、真菌がいないことを確認したうえでステロイド軟膏の外用を行います(真菌が確認されたら、抗真菌薬の外用を行います)。いずれにしても、患部を乾燥した状態に保つことが必要なため、亜鉛華軟膏の重層塗布や、ガーゼを挟み込むなどの方法で、間擦部の乾燥を促すことも大切です。高齢者に意外と多い、乳房下の間擦疹についてでした。それでは、また~!

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第12回 緊急度が高い?歩くと息が切れる、夜中に目が覚める高血圧患者1【薬剤師のためのバイタルサイン講座】

前回は循環不全・ショックのお話でした。今回の症例は高血圧です。高血圧の患者さんは多くの場合、緊急度は高くありません。しかし、なかには緊急度の高い高血圧も存在します。今回のポイントは「自覚症状があり緊急度の高い高血圧」です。患者さんCの場合◎経過──188歳、男性。過去に心筋梗塞を繰り返し、「心臓の機能は悪いですよ」と医師から言われています。杖歩行が可能で気丈な方ですが、家族が心配して、85歳時から訪問診療を受けています。本日、あなたが訪問すると、いつものように元気に笑顔で出迎えてくれました。「今日も調子はバッチリですよ。ほら、こんなに元気です」「よかったですね」と薬を渡し、血圧を測ると、160/90mmHgでした。「少し高めですね。医師とも相談してみましょう」そう言って、次のお宅に向かおうとすると、玄関で奥様から「最近歩くと息切れがあるみたいです。夜中に苦しくなって起きることもあるみたいで...、まあ、顔もふっくらして体重が少し増えたみたいですから、元気な証拠なのでしょうか...」そのお宅をあとにしたあなたは、今日の出来事をかかりつけ医に連絡しておきました。高血圧の原因高血圧症は「本態性高血圧」と「二次性高血圧」に分類されます。高血圧症の中でもはっきりとした原因(基礎疾患)がないものを本態性高血圧といい、高血圧症の約90%がこれにあたります。塩分の過剰摂取・運動不足・肥満・ストレスや遺伝的な要因が関与しているといわれています。それに対して、原因となる疾患が存在する高血圧症は二次性高血圧と呼ばれます。その主な疾患を表1に示します。二次性高血圧ではその基礎疾患によって何らかの症状を自覚することがあります。今回の患者さんは、以前入院していた時に二次性高血圧は否定され、本態性高血圧であることがわかっていました。画像を拡大する

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日本語版スマートフォン中毒尺度の有用性

 日本におけるスマートフォン使用は、他の多くの国と同様に若者の間で蔓延しており、時と場所を選ぶことなくオンラインやソーシャルメディアに費やす時間と関連している。ときわ病院の館農 勝氏らは、日本の大学生を対象に、日本語版のスマートフォン中毒尺度短縮版(Smartphone Addiction Scale-Short Version:SAS-SV)のテストを行った。Psychiatry Investigation誌2019年2月号の報告。 日本の大学生602例を対象に、アンケートを実施した。アンケート内容は、人口統計(年齢、性別など)、スマートフォンの所持、インターネット利用(平日と週末のインターネット利用時間、お気に入りのソーシャルネットワーキングサービス[SNS]など)、Youngのインターネット中毒テスト(Young's Internet Addiction Test:IAT)、日本語に翻訳したSAS-SVで構成された。 主な結果は以下のとおり。・アンケート回答者数は、573例(男性:180例、女性:393例)であった(平均年齢:19.3±1.3歳)。・最も人気のあったソーシャルメディアプラットフォームは、LINE(52.0%)であり、次いでTwitter(36.3%)であった。・総IATスコアは、45.3±13.2であり、4.5%が重度(IAT:70以上)であった。・平均SAS-SVスコアは、男性で24.4±10.0、女性で26.8±9.9であった。・カットオフスコアに基づきスマートフォン中毒陽性であったのは、男性の22.8%、女性の28.0%であった。・SAS-SVとIATの合計スコアに相関が認められた。 著者らは「スマートフォンユーザーの増加に伴い、スマートフォン使用に関連する問題も深刻となる。日本語版SAS-SVは、スマートフォン使用の問題を早期発見するために役立つ可能性がある」としている。■関連記事日本人学生のスマートフォン使用とうつ病リスクスマホ依存症になりやすい性格タイプ日本人小中学生のインターネット利用とうつ病や健康関連QOLとの関連

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低侵襲血腫除去+血栓溶解、脳内出血の予後を改善するか/Lancet

 30mL以上の脳内出血の治療において、MISTIEと呼ばれる画像ガイド下経カテーテル血腫除去術後に血栓溶解療法を行うアプローチは、標準治療と比較して1年後の機能的アウトカムを改善しないことが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のDaniel F. Hanley氏らが行ったMISTIE III試験で示された。研究の成果は、Lancet誌2019年3月9日号に掲載された。テント上脳出血による急性脳卒中は、合併症や死亡のリスクが高い。本症への開頭術による血腫除去は有益でないことが、大規模な無作為化試験で示されている。約500例対象に試験、1年後のmRSスコアを評価 研究グループは、低侵襲性の経カテーテル血腫除去術後に血栓溶解療法を行うアプローチ(MISTIE)の、脳内出血患者の機能的アウトカムの改善効果を検証する目的で、非盲検エンドポイント盲検無作為化対照比較第III相試験を行った(米国国立神経疾患・脳卒中研究所とGenentech社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上の非外傷性テント上脳内出血(30mL以上)の患者であった。被験者は、血腫の大きさ15mL以下を目標に画像ガイド下MISTIEを施行する群、または標準治療群に無作為に割り付けられた。MISTIEの血栓溶解療法は、アルテプラーゼ1.0mgを8時間ごとに最大9回投与することとした。 主要アウトカムは良好な機能的アウトカムとし、365日時の修正Rankinスケール(mRS)のスコアが0~3と定義され(事前に規定されたベースラインの共変量で補正)、修正intention to treat(mITT)解析が行われた。 2013年12月~2017年8月の期間に、北米、欧州、オーストラリア、アジアの78施設で506例が登録され、499例(MISTIE群:250例、標準治療群:249例)がmITT解析に含まれた。365日mRS 0~3達成率:45% vs.41% ベースラインの全体の年齢中央値は62歳(IQR:52~71)、61%が男性であった。血腫の部位は、大脳基底核が307例(62%)、lobar regionが192例(38%)で、脳内の血腫量は41.8mL(IQR:30.8~54.5)であり、グラスゴー昏睡尺度(GCS)スコアは10(8~13)、NIH脳卒中尺度(NIHSS)は19(15~23)だった。 mITT解析による365日時のmRS 0~3の達成率は、MISTIE群が45%、標準治療群は41%と、両群間に有意な差を認めなかった(補正リスク差:4%、95%信頼区間[CI]:-4~12、p=0.33)。 7日時の死亡率は、MISTIE群が1%(2/255例)、標準治療群は4%(10/251例)であり(p=0.02)、30日時はそれぞれ9%(24例)、15%(37例)であった(p=0.07)。 症候性脳出血(MISTIE群2% vs.標準治療群1%、p=0.33)および脳細菌感染(1% vs.0%、p=0.16)の発生はいずれも同等であったが、無症候性脳出血はMISTIE群で有意に多かった(32% vs.8%、p<0.0001)。また、30日時までに1件以上の重篤な有害事象が発現した患者は、それぞれ30%(76例)、33%(84例)であり、件数は126件、142件と、有意な差がみられた(p=0.012)。 著者は、「これらの知見は、血腫量15mL以下の達成に、より重点を置いたうえで、MISTIE技術のさらなる検討を求めるものである」としている。

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リファンピシン耐性結核に短期レジメンが有望/NEJM

 リファンピシン耐性結核の治療において、高用量モキシフロキサシンを含む9~11ヵ月の短期レジメンは、2011年のWHOガイドラインに準拠した長期レジメン(20ヵ月)に対し、有効性が非劣性で安全性はほぼ同等であることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAndrew J. Nunn氏らが実施したSTREAM試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月13日号に掲載された。バングラデシュのコホート研究では、多剤耐性結核患者において、2011年のWHOの推奨治療よりも治療期間が短いレジメンを用いた既存薬の投与により、有望な治癒率が得られたと報告されている。アフリカとアジア4ヵ国の非劣性試験 本研究は、多剤耐性結核の治療における、バングラデシュ研究と類似の短期レジメンの、2011年版WHOガイドライン準拠の長期レジメンに対する非劣性を検証する無作為化第III相試験である(米国国際開発庁[USAID]などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、フルオロキノロン系およびアミノグリコシド系抗菌薬に感受性で、リファンピシン耐性の肺結核患者であった。被験者は、高用量モキシフロキサシンを含む短期レジメン(9~11ヵ月)または2011年版WHOガイドライン準拠の長期レジメン(20ヵ月)を受ける群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。 有効性の主要アウトカムは132週時の「良好な状態」とした。その定義は、132週時の培養および試験期間中の培養でMycobacterium tuberculosisが陰性で、不良なアウトカム(割り付けレジメンに含まれない2剤以上による治療の開始、許容期間を超える治療の延長、死亡、直近の2つの検体のうち1つで培養陽性、76週以降の受診がない)を認めないこととした。群間差の95%信頼区間(CI)上限値が10%以下の場合に、非劣性と判定した。 2012年7月~2015年6月の期間に、424例(エチオピア:126例、モンゴル:33例、南アフリカ共和国:165例、ベトナム:100例)が割り付けの対象となり、383例(短期レジメン群:253例、長期レジメン群:130例)が修正intention-to-treat(mITT)解析に含まれた。mITT集団の主要アウトカム:78.8% vs.79.8% ベースライン時に全体の32.6%でHIV感染が、77.2%でcavitationが認められた。治療期間中央値は、短期レジメン群が40.1週(5パーセンタイル値37.0、95パーセンタイル値46.3)、長期レジメン群は82.7週(72.1、102.3)だった。 mITT解析による主要アウトカムは、短期レジメン群が78.8%(193例)、長期レジメン群は79.8%(99例)に認められ、HIV感染で補正した群間差は1.0(95%CI:-7.5~9.5)であり、非劣性が示された(非劣性:p=0.02)。また、per-protocol集団(321例)においても、短期レジメン群の長期レジメン群に対する非劣性が確認された(補正群間差:-0.7%、95%CI:-10.5~9.1、非劣性:p=0.02)。 Grade3~5の有害事象は、短期レジメン群が48.2%、長期レジメン群は45.4%に、重篤な有害事象は、それぞれ32.3%、37.6%にみられた。8.5%、6.4%が死亡した。 短期レジメン群で、QT間隔または補正QT間隔(Fridericia法で補正)の500msecまでの延長が多く認められたため(11.0% vs.6.4%、p=0.14)、厳重なモニタリングとともに、一部の患者では投薬の調整が行われた。フルオロキノロン系またはアミノグリコシド系抗菌薬への獲得耐性が、短期レジメン群の3.3%(8例)、長期レジメン群の2.3%(3例)にみられた(p=0.62)。 著者は、「今回の結果は有望だが、多剤耐性結核の治療では、薬剤感受性結核と同等の有効性と安全性をもたらす短期の簡便なレジメンを見つけ出すことが、依然として重要である」としている。

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太田母斑のレーザー治療、ピコ秒アレキサンドライトが有用

 皮膚科のレーザー治療法では、技術の進展により種々のレーザー法が登場し、ナノ(1/10億)秒パルスのQスイッチレーザーに次いで、パルス幅の短いピコ(1/1兆)秒レーザーが臨床で用いられつつある。また、ピコ秒アレキサンドライトレーザー(PSAL)はさまざまな色素異常症に利用されているが、太田母斑についてQスイッチアレキサンドライトレーザー(QSAL)との直接比較データは限られている。中国・Peking Union Medical College(PUMC)& Chinese Academy of Medical Sciences(CAMS)のYiping Ge氏らは、無作為化試験を行い、PSALのほうが、臨床的アウトカムが良好で有害事象も少ないことを実証した。ただし、著者らは「客観的な評価およびアウトカムが不足している点で、結果は限定的」としている。Journal of American Academy of Dermatology誌オンライン版2019年3月15日号掲載の報告。 研究グループは、太田母斑の治療における、PSALとQSALの有効性と安全性について比較。試験登録された56例の病変部位を2つに分けて、それぞれPSAL群とQSAL群に無作為に割り付け、各病変に対し12週間ごとに最大6セッションの治療を行った。有効性と安全性は、フォローアップ時の視覚評価と自己報告に基づき判定した。 主な結果は以下のとおり。・PSAL群のほうが、クリアランスが有意に良好(4.53 vs.4.0)、治療セッションが少ない(5.26 vs.5.87)、重篤な痛みを伴わなかった(5.61 vs.6.40)。・患者の満足度は、PSAL群がQSAL群よりも高かった(4.5 vs.4.0)。・処置後の色素沈着症(26% vs.34%)やメラニン減少症(21% vs.47%)の発生率も、PSAL群がQSAL群よりも低率であった。

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日本人の食事摂取基準2020年版、フレイルが追加/厚労省

 2019年3月22日、厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の報告書とりまとめを了承した。昨年4月より策定検討会にて議論が重ねられた今回の食事摂取基準は、2020年~2024年までの使用が予定されている。策定検討会の構成員には、日本糖尿病学会の理事を務める宇都宮 一典氏や日本腎臓学会理事長の柏原 直樹氏らが含まれている。日本人の食事摂取基準(2020年版)の主な改定ポイントは? 日本人の食事摂取基準(2020年版)の改定では、2015年版をベースとしつつ、『社会生活を営むために必要な機能の維持および向上』を策定方針とし、これまでの生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病)の重症化予防に加え、高齢者の低栄養・フレイル防止を視野に入れて検討がなされた。主な改定点として、・高齢者を65~74歳、75歳以上の2つに区分・生活習慣病における発症予防の観点からナトリウムの目標量引き下げ・重症化予防を目的としてナトリウム量やコレステロール量を新たに記載・フレイル予防の観点から高齢者のタンパク質の目標量を見直しなどが挙げられる。日本人の食事摂取基準(2020年版)、まずは総論を読むべし 報告書やガイドラインなどを活用する際には、まず、総論にしっかり目を通してから、各論や数値を理解することが求められる。しかし、メディアなどは総論を理解しないまま数値のみを抜粋して取り上げ、問題となることがしばしばあるという。これに対し、策定検討会のメンバーらは「各分野のポイントが総論だけに記載されていると、それが読まれずに数値のみが独り歩きし、歪んだ情報が流布されるのではないか」と懸念。これを受け、日本人の食事摂取基準(2020年版)の総論には、“同じ指標であっても、栄養素の間でその設定方法および活用方法が異なる場合があるので注意を要する”と記載し、総論以外にも各項目の目標量などがどのように概算されたのかがわかるように『各論』を設ける。メンバーらは「各指標の定義や注意点はすべて総論で述べられているため、これらを熟知したうえで各論を理解し、活用することが重要である」と、活用方法を強調した。 以下に日本人の食事摂取基準(2020年版)の各論で取り上げられる具体的な内容を抜粋する。タンパク質:高齢者におけるフレイルの発症予防を目的とした量を算定することは難しいため、少なくとも推奨量以上とし、高齢者については摂取実態とタンパク質の栄養素としての重要性を鑑みて、ほかの年齢区分よりも引き上げた。また、耐容上限量は、最も関連が深いと考えられる腎機能への影響を考慮すべきではあるが、基準を設定し得る明確な根拠となる報告が十分ではないことから、設定しなかった。脂質:コレステロールは、体内でも合成される。そのために目標量を設定することは難しいが、脂質異常症および循環器疾患予防の観点から過剰摂取とならないように算定が必要である。一方、脂質異常症の重症化予防の目的からは、200mg/日未満に留めることが望ましい。炭水化物:炭水化物の目標量は、炭水化物(とくに糖質)がエネルギー源として重要な役割を担っていることから、アルコールを含む合計量として、タンパク質および脂質の残余として目標量(範囲)を設定した。ただし、食物繊維の摂取量が少なくならないように、炭水化物の質に留意が必要である。脂溶性ビタミン:ビタミンDは、多くの日本人で欠乏または不足している可能性があるが、摂取量の日間変動が非常に大きく、摂取量の約8割が魚介類に由来し、日照でも産生されるという点で、必要量を算出するのが難しい。このため、ビタミンDの必要量として、アメリカ・カナダの食事摂取基準で示されている推奨量から日照による産生量を差し引いた上で、摂取実態を踏まえた目安量を設定した。ビタミンDは日照により産生されるため、フレイル予防を図る者を含めて全年齢区分を通じて可能な範囲内での適度な日照を心がけるとともに、ビタミンDの摂取については、日照時間を考慮に入れることが重要である。日本人の食事摂取基準(2020年版)改定の後には高齢化問題が深刻さを増す 日本では、2020年の栄養サミット(東京)開催を皮切りに、第22回国際栄養学会議(東京)や第8回アジア栄養士会議(横浜)などの国際的な栄養学会の開催が控えている。また、日本人の食事摂取基準(2020年版)改定の後には団塊世代が75歳以上になるなど、高齢化問題が深刻さを増していく。 このような背景を踏まえながら1年間にも及ぶ検討を振り返り、佐々木 敏氏(ワーキンググループ長、東京大学大学院医学系研究科教授)は、「理解なくして活用なし。つまり、どう活用するかではなく、どう理解するかのための普及教育が大事。食事摂取基準ばかりがほかの食事のガイドラインよりエビデンスレベルが上がると、使いづらくなるのではないか。そうならないためにも、ほかのレベルを上げて食事摂取基準との繋がり・連携を強化するのが次のステージ」とコメントした。また、摂取基準の利用拡大を求めた意見もみられ、「もっと疾患を広げるべき。次回の改定では、心不全やCOPDも栄養が大事な要素なので入れていったほうがいい。今回の改定では悪性腫瘍が入っていないが、がんとともに長生きする時代なので、実際の現場に合わせると病気を抱えている方を栄養の面でサポートすることも重要(名古屋大学大学院医学系研究科教授 葛谷 雅文氏)」、「保健指導の対象となる高血糖の方と糖尿病患者の食事療法のギャップが、少し埋まるのではと期待している。若年女性のやせ、骨粗鬆症も栄養が非常に影響する疾患なので、次の版では目を向けていけるといい(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授 勝川 史憲氏)」、など、期待や2025年以降の改定に対して思いを寄せた。座長の伊藤 貞嘉氏(東北大学大学院医学系研究科教授)は、「構成員のアクティブな発言によって良い会・良いものができた」と、安堵の表情を浮かべた。 なお、厚労省による報告書(案)については3月末、パブリックコメントは2019年度早期に公表を予定している。

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アパルタミド、前立腺がんで国内承認/ヤンセン

 ヤンセンファーマ株式会社は、2019年3月26日、前立腺がん治療薬アパルタミド(商品名:アーリーダ)について、「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺」を効能・効果とする製造販売承認を取得したと発表。 遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん患者を対象に、アンドロゲン除去療法(ADT)・アパルタミド併用群(アパルタミド群)とADT・プラセボ群(プラセボ群)を比較した第III相臨床SPARTAN試験では、アパルタミド群の無転移生存期間(MFS)中央値40.51ヵ月に対、プラセボ群では15.70ヵ月、とアパルタミド群で有意に改善した(HR:0.297、95%CI:0.244~0.362、p<0.0001)。 アパルタミドは日本新薬株式会社とコ・プロモーションで情報提供並びに情報収集を実施する。 SPARTAN試験結果は2018年2月にThe New England Journal of Medicine誌に掲載された。

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食べ物と認知症(解説:岡村毅氏)-1021

 これを食べると認知症にならない、というものはあるのだろうか?「危険な食べ物」などの読み物は世の中にあふれているが、科学とは別物だ。私自身も楽しく読んだり見たりするので、批判はしないが…それに支配されて生活している人がいるのは困った現象だ。 「やれ○○がいいとか悪いとか言いながら好き放題食べている日本人の何と多いことか…」 さて本研究はおよそ四半世紀という長い観察期間をとって、食べ物と認知症の発症の関係をみたものであった。臨床家は皆同意すると思うが、有意な関連はみられなかった。食べ物についてはAHEIという指標で包括的に見ている(個別ではない)点が限界(limitation)といえるが、ほかに現実的なやり方はないであろう。とはいえ、健康的な食生活はほかの多くの疾患を予防するので、健康的な食生活が望ましいことは変わりないので早とちりなきよう。 そもそも、○○を食べると認知症にならないというものが本当にあったとしたら、ヒトの集合知は侮れないので、科学者が指摘する前に、すでに人々はそのような食生活をしていることだろう。 本研究の興味深い報告は、実は、抄録にはない部分である。認知症を発症した人について、発症のはるか前には食生活は変わらないが、少し前から(およそ10年)変わり始めるのである。これは常識に照らし合わせて当然の現象であろう。認知機能が微妙に低下を始め、生活の端々で困難を感じ始めると、ストレスは増えるし、細かい自己制御をしている余裕もなく、ジャンクフードが増えたりすることだろう。なので短期間の観察だと差が出るのだ。 私たちは考え方を抜本的に変えなければならないのかもしれない。予防のために無理して頑張って○○をする、○○を食べる、ではないのだ。○○が健康的で好きだ、残念ながら時期がきて認知症になった、でも○○は続ける、に変わるべき時期かもしれない。 手前味噌で恐縮だが、東京都健康長寿医療センターの宇良研究員らが新潟県でしているRICE Studyは、認知症になっても楽しく稲作をするというものである1,2)。稲作というのは、かの地の高齢者にとっては単なる運動ではなく、深い意味のある行為なのである。社会参加、運動、野菜、仲間など、健康的で幸福な生活習慣というのは、認知症予防の文脈でもよく登場する。認知症になっても、「あなたは認知症だから社会から退場してもうデイケアでボール遊びするだけよ」などと言われずに、これまでの健康的生活を続けることができる社会であってほしいものだ。

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偽性副甲状腺機能低下症〔PHP:pseudohypoparathyroidism〕

1 疾患概要■ 概念・定義副甲状腺ホルモン(PTH)に対する不応性のために、低カルシウム血症、高リン血症などの副甲状腺機能低下症と同様な症状を呈する疾患である。血中PTH濃度は異常高値となる。ホルモン受容機構を構成するオルブライト遺伝性骨ジストロフィー(Albright’s hereditary osteodystrophy:AHO)と呼ばれる症候を合併する病型をIa型、合併しないものをIb型と呼ぶ。■ 疫学わが国における本症の患者数は約400人と推計されている。性差はない。■ 病因PTH受容体はG蛋白カップリング型受容体である。その細胞内シグナルはα、β、γのサブユニットから構成されるGsタンパク質を介して、アデニル酸シクラーゼの活性化によりサイクリックAMP(cAMP)を生成する系に伝えられる。偽性副甲状腺機能低下症のPTH不応性の原因はGsαタンパク質の機能低下である。Gsαタンパク質の発現は組織特異的インプリンティングを受けており、腎近位尿細管、下垂体、甲状腺、性腺などでは母由来アレル優位となっている。一方、骨、脂肪組織を含む他の大部分の組織では、父由来アレルと母由来アレルから同量のGsαタンパク質が産生される。Gsαタンパク質はGNAS遺伝子によってコードされている。組織特異的インプリンティングの維持にはGNAS遺伝子の転写調節領域のCpGメチル化状態が重要であり、アレルの親由来によってその状態が異なっていることが知られている。Ia型は、母由来のGNAS遺伝子アレルに変異が生じて正常なタンパク質が産生されない場合に起こる、常染色体顕性の母系遺伝である。すなわち、PTHの主たる標的組織である腎近位尿細管では、母由来の変異が主に発現するためにPTH不応となって低カルシウム血症、高リン血症を呈している。同様に、母由来アレル優位である甲状腺、下垂体、性腺においても甲状腺刺激ホルモン(TSH)不応による原発性甲状腺機能低下症、ゴナドトロピン不応による原発性性腺機能障害、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)不応による成長ホルモン分泌不全などが発症することがある。AHOは骨や脂肪組織などの非インプリンティング組織の異常であるが、正常Gsαタンパク質発現量の半減(ハプロ不全)によるものと考えられる。実際、父由来のGNAS遺伝子アレル変異の場合、血清カルシウム濃度は正常であるが、AHOを呈し、偽性偽性副甲状腺機能低下症と呼ばれている。Ib型では、組織特異的インプリンティングに重要なGNAS遺伝子の転写調節領域のメチル化状態における異常(エピジェネティック変異)が関連している。母由来アレルにこの異常が生じると、インプリンティング組織ではGsαタンパク質発現が減少するが、非インプリンティング組織ではこの影響を受けないので、AHOを合併しない。■ 症状1)低カルシウム血症に伴う症状口周囲や手足のしびれ、テタニー、痙攣、意識障害を呈することがある。これらの症状は、小児期以降から成人期に出現することが多く、Ib型の主訴として受診することが多い。2)AHOIa型では、低身長、円形顔貌、肥満、短指趾症、軟部組織の異所性骨化、歯牙低形成、知的障害を特徴とするAHOを認める症例が多く、診断のきっかけになる。3)他のホルモン異常TSH不応性は最も多く認められるホルモン異常で、Ia型の80~90%、Ib型の約40%にみられる。先天性甲状腺機能低下症として、偽性副甲状腺機能低下症より先に診断されることがある。ゴナドトロピン不応性による月経異常、不妊症、GHRH不応性による成長ホルモン分泌不全を呈することがある。以上のホルモン異常は、Ia型での報告が多いが、Ib型でも認められる。■ 予後基本的に低カルシウム血症の治療は、生涯、活性型ビタミンD製剤の服用を必要とする。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)本症は指定難病に認定されており、厚生労働省難治性疾患克服研究事業「ホルモン受容機構異常に関する調査研究」班によって作成された診断基準と重症度分類(表)が使用されている。表 診断基準と重症度分類A.症状1.口周囲や手足などのしびれ、錯感覚2.テタニー3.全身痙攣B.検査所見1.低カルシウム血症、正または高リン血症2.eGFR 30mL/min/1.73m2以上3.Intact PTH 30pg/mL以上C.鑑別診断以下の疾患を鑑別する。ビタミンD欠乏症*血清25水酸化ビタミンD(25[OH]D)が15ng/mL以上であってもBの検査所見であること。25(OH)Dが15ng/mL未満の場合には、ビタミンDの補充などによりビタミンDを充足させた後に再検査を行う。D.遺伝学的検査1.GNAS遺伝子の変異2.GNAS遺伝子の転写調節領域のDNAメチル化異常<診断のカテゴリー>Definite:Aのうち1項目以上+Bのすべてを満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外し、Dのいずれかを満たすもの。Probable:Aのうち1項目以上+Bのすべてを満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外したもの。Possible:Aのうち1項目以上+Bのすべてを満たすもの。<重症度分類>下記を用いて重症を対象とする。重症:PTH抵抗性による低カルシウム血症に対して薬物療法を必要とすることに加え、異所性皮下骨化、短指趾症、知能障害により日常生活に制約があるもの。中等症:PTH抵抗性による低カルシウム血症に対して薬物療法を必要とするもの。軽症:とくに治療を必要としないもの。※診断基準および重症度分類の適応における留意事項1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見などに関して、診断基準上に特段の規定がない合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状などであって、確認可能なものに限る)。2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6ヵ月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。3.なお、症状の程度が上記の重症度分類などで一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。原発性副甲状腺機能低下症との鑑別が必要な場合や、ビタミンD欠乏症との鑑別が困難な場合にはEllsworth-Howard試験を行う。同試験はPTHに対する腎の反応性(尿中リン酸増加反応とcAMP増加反応)を指標にするものである。尿中cAMP増加反応が正常にもかかわらず尿中リン酸増加反応の低下がある場合、Gタンパク質より下流のシグナル伝達障害に起因するII型偽性副甲状腺機能低下症とする考えがあるが、ビタミンD欠乏症、尿細管障害でも同様の所見がみられるため論議のあるところである。Ia型でAHOを欠いたり、Ib型でもAHOを認めたりする症例があるので、臨床像のみから分子遺伝的異常を断定することは困難である。遺伝学的検査は、指定難病の認定に必須ではないが、両者の分子生物学的診断にはきわめて有用である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 薬物療法低カルシウム血症に対しては、Ca補充と活性型ビタミンD製剤投与を行う。血清カルシウム正常化と高カルシウム尿症を来さないようにする。TSH不応性による甲状腺機能低下症を合併する場合には甲状腺ホルモン薬の補充療法、ゴナドトロピン不応症には性ホルモン補充療法、GHRH不応性による成長ホルモン分泌不全を合併する場合には成長ホルモン投与を行う。■ 手術療法異所性皮下骨化は運動制限、生活制限の原因となる場合、外科的切除の適応になることがあるが、同一部位に再発することもある。4 今後の展望臨床的にも分子遺伝学的にも大変興味深い疾患である。インプリンティングの組織特異性を規定する因子、機序は不明である。また、GNAS遺伝子メチル化異常を来す孤発例のエピジェネティック変異の大部分は原因が不明である。さらに、II型の実態は不明で概念的なものにとどまっている。以上の課題に関して、今後の研究の進展が期待される。5 主たる診療科小児科、内分泌内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 偽性副甲状腺機能低下症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)皆川真規. 最新医学. 2016;71:1930-1935.2)佐野伸一朗. 医学のあゆみ. 2017;263:307-312.公開履歴初回2019年3月26日

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10連休中のトラブルを防ぐために【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第21回

皇太子さまが5月1日に新天皇に即位されることに伴い、今年のゴールデンウイークは4月27日~5月6日までの10連休となります。国内外問わずキラキラしたロイヤル行事が好きな私としては待ち遠しいのですが、一方で、医療機関の10連休の対応について気がかりな点もあります。今回の10連休の医療機関の対応については、厚生労働省より「本年4月27日から5月6日までの10連休における医療提供体制の確保に関する対応について」および「本年4月27日から5月6日までの10連休等の長期連休における診療報酬等の取扱いについて」という通知が発出されています。地域の医療者などと十分に調整するなど、連休であっても医療提供に支障のない体制を確保することが求められています。各都道府県知事に対する通知には、「比較的専門性がある入院を含む医療の提供が求められる区域である二次医療圏に関して、2月中旬をめどに状況を把握すること」とありますが、私の関係する地域では3月中旬になっても近隣の医療機関の対応はまだ明確になっていません。病院やクリニック、薬局がどういうスケジュールでお休みにするか、というのはその地域や施設ごとの判断になり、情報伝達は伝言ゲーム的に時間がかかるのだろうと推測しますが、多少の不安があります。広い範囲から患者が来ることを想定し、疑義照会の連絡先の確認を今回の通知や対応に関して気になる点がいくつかあります。1つ目は、疑義照会に関してです。当該通知には、「10連休中に行政機関や地域の医療関係者などの間で連絡を取ることができる体制(処方箋に疑義が生じた場合などに処方医と調剤を行う薬剤師が連絡を取ることができる体制などを含む)を確保すること」とあります。二次医療圏となると、通常のかかりつけの患者さんの範囲よりも広くなり、思いがけない医療機関が含まれることもあるのではないかと思います。地域の薬剤師会や医薬品卸会社の力を借り、少し広い範囲から患者さんが来ることを想定して、休診中のクリニックなどの連絡先を確認しておいたほうがいいかもしれません。とくに、近隣のクリニックなどが休診する場合は、この通知を根拠にして緊急の場合に連絡が取れるようにお願いしておいたほうがよいでしょう。2つ目は加算の取り扱いです。結論から言うと、調剤料はゴールデンウイークの10日間は夜間・休日等加算などを加算することになります。通常よりも支払額が多くなることを明確にしておかなくてはトラブルになりかねません。最後に、連休というといつも頭をよぎることがあります。それは、連休中に「あ、お薬がない!」と来局や電話をされる患者さんが毎年いらっしゃることです。今薬局を利用する患者さんの次の受診日は4月末や5月初旬ではありませんか? あらかじめ「連休中の薬はありますか?」と患者さんに確認を行うことで、お互いに楽しい10連休が過ごせるかもしれません。

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心電図の読み“型”教えます! Season 1

「Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター」を1冊にドンとまとめました!CareNet.comの人気WEB連載「Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター」を待望の書籍化。ライトで明快な語り口はそのままに、大幅に加筆修正を行って、盛りだくさんの内容になりました。何度も心電図の壁にぶつかりながらも、己の力で超えてきた著者だからこそ見いだせた、系統的な心電図判読法を伝授します。既存の心電図教育に一石を投じる、この型破りな読み“型”は、壁を超えるための強大な武器となるでしょう。章末クイズやコラムも充実。挫折を繰り返した人にこそおすすめしたい、確かな力が身に付く1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。    心電図の読み“型”教えます! Season 1定価3,200円 + 税判型A5判頁数152頁発行2019年3月著者杉山裕章Amazonでご購入の場合はこちら

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医療者と患者とメーカーの結束が創薬へ

 2月27日、ファイザー株式会社は、「世界希少・難治性疾患の日」に合わせ、「希少・難治性疾患を取り巻く現状と課題 筋ジストロフィー治療の展望・患者さんの体験談を交えて」をテーマにプレスセミナーを開催した。セミナーでは、筋ジストロフィーの概要や希少疾病患者の声が届けられた。希少疾病の解決に必要なエンパワーメント はじめに「筋ジストロフィーの現実と未来」をテーマに小牧 宏文氏(国立精神・神経医療研究センター 病院臨床研究推進部長)が、筋ジストロフィーの中でも予後が悪い、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに焦点をあて講演を行った。 神経筋疾患の多くは進行性で、遺伝子変異に由来し、脊髄前角、末梢神経、神経筋接合部、骨格筋などに影響を及ぼし、さまざまな運動機能を奪う疾患である。最近では、脊柱固定術など対症療法の進歩、人工呼吸器など医療機器の向上もあり、平均死亡年齢は17歳(1976年)から30歳以上(2006年)に伸びている。また、主な死因でみても1980年代では呼吸不全、心不全の順位だったものが、現在では心不全が1位となるなど変化をみせているという。 筋ジストロフィーは、骨格筋だけでなく、呼吸筋、心筋、平滑筋、咀嚼、骨格などに関係する全身性疾患であり、診断から治療、そして予後のフォローまで包括的な診療体制が必要となる。そのため小児科にとどまらず、脳神経内科、整形外科、リハビリテーション科など多領域にわたる連携が必要であり、自然歴を踏まえた定期検査、そして患者のケアを積み重ねていくプロアクティブケア(先回りの医療)が必要と語る。 同時に、治療薬の開発も大切で、そのためには各診療科が連携し、患者の早期発見、臨床研究の実施と個々の患者から得られる臨床データや患者の声を蓄積・シェアし、治療研究に関わることで、その結果を分かちあう仕組み作りが大切だと提案する。そして、この医薬品開発について、期限が限られた大きな目標と捉え、集団で取り組むプロジェクトと説明。成果を出すためにも医療者、患者、企業、公的機関がエンパワーメントを持って取り組むことが期待されると展望を語り、講演を終えた。患者の声を社会に届ける仲立ちに つぎに遠位型ミオパチーという希少疾病患者として織田 友理子氏(NPO法人PADM[遠位型ミオパチー患者会] 代表)が車椅子で登壇し、「超希少疾病とともに歩んだ10年」と題し講演が行われた。講演では、本症の確定診断がついた後、患者の要望などを社会に届けるべく患者会を発足させたこと、治療薬創薬に製薬メーカーへ患者の声を届けるためにNPOを立ち上げるとともに、Webサイト「車椅子ウォーカー」を開設し、同じ境遇の患者がより外へ気軽に出られるように情報提供を行っていることなどを語った。最後に同氏は「自分が今できることは患者として話すことである。患者が個々に持っている、それぞれの幸せが実現できるように、今後も“RDD JAPAN 2019”のような場で病気のこと、患者のことが社会に伝えられるように活動を続けていきたい」と抱負を語った。■参考RDD JAPAN 2019NPO法人PADM車椅子ウォーカー■関連記事希少疾病・難治性疾患特集デュシェンヌ型筋ジストロフィー

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統合失調症における向精神薬補助療法の有効性比較

 統合失調症治療では、抗精神病薬に加え向精神薬が用いられるが、これらの向精神薬補助療法の有効性を比較したエビデンスは、ほとんどない。米国・コロンビア大学のT. Scott Stroup氏らは、実臨床における統合失調症に対する向精神薬補助療法の有効性を比較検討した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2019年2月20日号の報告。 2001年1月~2010年12月までの全米メディケイドデータを使用し、有効性比較研究を行った。1剤の抗精神病薬で安定して治療されている18~64歳の統合失調症外来患者を対象に、抗うつ薬、ベンゾジアゼピン、気分安定薬、他の抗精神病薬による治療開始後の結果を検討した。データ分析は、2017年1月~2018年6月に実施した。4つの治療群における共変量のバランスをとる傾向スコアを推定するため、多項ロジスティック回帰モデルを用いた。治療企図解析(ITT解析)に基づいて365日後の治療転帰を比較するため、加重Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。主要アウトカムは、精神障害による入院リスク、精神障害による救急受診リスク、すべての原因による死亡リスクとした。 主な結果は以下のとおり。・成人統合失調症外来患者は、8万1,921例(平均年齢40.7±12.4歳、女性:3万7,515例[45.8%])であった。併用薬剤は、抗うつ薬3万1,117例、ベンゾジアゼピン1万1,941例、気分安定薬1万2,849例、他の抗精神病薬2万6,014例であった。・他の抗精神病薬使用患者と比較し、抗うつ薬使用患者は精神科入院リスクが低く(ハザード比[HR]:0.84、95%CI:0.80~0.88)、ベンゾジアゼピン使用患者は精神科入院リスクが高かった(HR:1.08、95%CI:1.02~1.15)。気分安定薬使用患者では、有意な差が認められなかった(HR:0.98、95%CI:0.94~1.03)。・精神科救急受診リスクに関しても、同様の関連性が認められた。抗うつ薬(HR:0.92、95%CI:0.88~0.96)、ベンゾジアゼピン(HR:1.12、95%CI:1.07~1.19)、気分安定薬(HR:0.99、95%CI:0.94~1.04)。・気分安定薬の使用は、死亡リスクの増加との関連が認められた(HR:1.31、95%CI:1.04~1.66)。 著者らは「統合失調症治療において、抗うつ薬補助療法は、他の向精神薬と比較し、精神科入院および救急受診リスクの低下と関連が認められた。ベンゾジアゼピンおよび気分安定薬とアウトカム不良との関連については、臨床的に注意し、さらなる調査が必要とされる」としている。■関連記事統合失調症患者への抗精神病薬と気分安定薬併用、注意すべきポイントは統合失調症患者への抗うつ薬併用、効果はどの程度か統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか?

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ナトリウムとカリウムの適切な1日摂取量は/BMJ

 世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、1日の栄養摂取量として、ナトリウムは2.0g未満に制限を、カリウムは3.5g以上摂取を推奨している。今回、カナダ・マックマスター大学のMartin O'Donnell氏らが行った調査(PURE試験)では、これら2つの目標を同時に満たす者はきわめてまれで、死亡/心血管イベントのリスクが最も低いのは、ナトリウム摂取量が3~5g/日でカリウム高摂取量(≧2.1g/日)の集団であることが明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2019年3月13日号に掲載された。ナトリウムについては相反する知見が報告されているが、多くでは摂取量と死亡にJ字型の関連が示されている。これに対し、カリウムは一般に摂取量が増えるに従って死亡が直線的に低下することが報告されている。一方、ナトリウム/カリウム比と臨床アウトカムとの関連を示唆する観察研究の報告もある。18ヵ国、10万人の早朝空腹時尿から摂取量を推算 研究グループは、ナトリウムとカリウムの摂取量の代替測定値として尿中排泄量を測定し、心血管イベントおよび死亡との関連を、現在のWHO推奨1日摂取量との比較において検討する目的で、国際的な前向きコホート研究を実施した(欧州研究会議[ERC]の助成による)。 18の高/中/低所得国の都市部および農村部の住民10万3,570例(35~70歳)から、早朝空腹時尿を採取した。主要アウトカムは、摂取量の代替測定値としてのナトリウムとカリウムの推定24時間尿中排泄量と、全死因死亡および主要な心血管イベント(心血管死、脳卒中、心筋梗塞、心不全)との関連とした。解析には、多変量Cox回帰を用いた。 ナトリウム排泄量を低(<3g/日)、中(3~5g/日)、高(>5g/日)の3つに、カリウム排泄量は中央値2.1g/日を基準に高(≧2.1g/日)と低(<2.1g/日)の2つに分け、これらを組み合わせた6つのカテゴリーについて解析を行った。WHO推奨の同時達成は0.002%、ナトリウムはJ字型の関連 参加者の41.8%が中国からで、ナトリウムとカリウムの尿中排泄量の平均推定値は、それぞれ4.93g/日、2.12g/日であった。フォローアップ期間中央値8.2年の時点で、7,884例(6.1%)が死亡または心血管イベントを経験した。 尿中ナトリウム排泄量の増加はカリウム排泄量増加と正の相関を示した(補正前、r=0.34)。また、ナトリウムの超低排泄量(<2g/日)とカリウムの高排泄量(>3.5g/日)を同時に満たした参加者は、0.002%ときわめて少なかった。 ナトリウム排泄量が高値および低値の双方の集団で、死亡/重大な心血管イベントのリスクが高く、J字型の関連を示した。カリウム排泄量と死亡/重大な心血管イベントには反比例の関連が認められた。 6つのカテゴリーのうち、ナトリウム中排泄量(3~5g/日)/カリウム高排泄量(≧2.1g/日)の群(全コホートに占める割合:21.9%)が、死亡/心血管イベントのリスクが最も低く、イベント発生率は6.4%であった。 これを参照群として比較すると、死亡/心血管イベントのリスクが最も高かったのは、低ナトリウム/低カリウムの群(イベント発生率:9.4%、ハザード比[HR]:1.23、95%信頼区間[CI]:1.11~1.37、全コホートに占める割合:7.4%)であり、次いで高ナトリウム/低カリウムの群(8.8%、1.21、1.11~1.32、13.8%)、低ナトリウム/高カリウム群(6.8%、1.19、1.02~1.38、3.3%)、高ナトリウム/高カリウム群(7.5%、1.10、1.02~1.18、29.6%)の順であった。また、中ナトリウム/低カリウム群は、参照群に比べリスクが高かった(7.8%、1.10、1.01~1.19、24.0%)。 カリウム排泄量が増加するに従って、ナトリウム高排泄量との関連で増加した心血管リスクが減衰し、ナトリウム高排泄量と心血管リスクとの関連はカリウム低排泄量の集団で最も顕著だった。 著者は、「本研究の知見は、WHOの推奨の実行可能性に疑問を呈するものである。ナトリウム摂取と死亡/心血管イベントのJ字型の関連は、現行のWHOの低ナトリウム食(<2.0g/日)の推奨を支持せず、ナトリウム/カリウム比の使用には同意しないものである」としている。

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心血管イベント抑制を確認、ACLY遺伝子変異/NEJM

 ATPクエン酸塩リアーゼ阻害薬やHMGCR阻害薬(スタチン)と似たような作用を持つ遺伝子変異が確認された。同様の作用メカニズムで血漿LDLコレステロール値を下げると考えられ、心血管疾患のリスクに対しても同様の影響を示すという。英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らが、メンデルランダム化解析により明らかにした。ATPクエン酸塩リアーゼは、スタチンがターゲットとする3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A還元酵素(HMGCR)のコレステロール生合成経路の上流に存在する酵素であるが、ATPクエン酸塩リアーゼの遺伝子阻害が有害転帰と関係するのかは不明であった。また、LDLコレステロール値の1単位低下当たりの影響がHMGCRの遺伝子阻害と同様であるのかも明らかになっていなかった。NEJM誌2019年3月14日号掲載の報告。ACLYスコアとHMGCRスコアを作成し、心血管イベントやがんとの関連を評価 研究グループは、ATPクエン酸塩リアーゼ阻害薬とHMGCR阻害薬(スタチン)の作用を模倣する操作変数として、ATPクエン酸塩リアーゼをコードする遺伝子(ACLY)における遺伝子変異と、HMGCRにおける遺伝子変異からなる遺伝子スコアをそれぞれ作成した。 作成したACLYスコアおよびHMGCRスコアと、血漿脂質値、リポ蛋白値との関連を比較し、また、心血管イベントリスクやがんリスクとの関連についても比較した。心血管イベントリスクへの影響は同様 解析には、総計65万4,783例の被験者データが包含された。そのうち10万5,429例が主要心血管イベントを発症した被験者であった。 ACLYスコアとHMGCRスコアは、血漿脂質値およびリポ蛋白値の変化のパターンとの関連が同様であった。また、LDLコレステロール値の10mg/dL低下における心血管イベントリスクへの影響も同様であった。心血管イベントのオッズ比(OR)は、ACLYスコアが0.823(95%信頼区間[CI]:0.78~0.87、p=4.0×10-14)、HMGCRスコアは0.836(95%CI:0.81~0.87、p=3.9×10-19)であった。 ATPクエン酸塩リアーゼおよびHMGCRの生涯性遺伝子阻害はともに、がんリスク増大との関連はみられなかった。

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