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第20回 抗うつ薬の中止後症状は漸減した場合でも生じる?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 SSRIやSNRIなどの抗うつ薬の中止(とくに突然の中止)により、脳内セロトニン濃度が低下し、中止後症状が生じる可能性があることはご存じの方も多いと思います。それを予防するために、薬剤を急に中止せずに漸減するというのは比較的よく行われている対策ですが、どれほど効果があるのでしょうか? 今回は、SSRIやSNRIによる中止後症状について調査したシステマティックレビューを紹介します。1つ目は、PRISMA(システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目)声明にのっとって書かれたシステマティックレビューです1)。fluoxetine(本邦未発売)、セルトラリン、パロキセチン、citalopram(本邦未発売)、エスシタロプラムなどのSSRIとプラセボまたは他の抗うつ薬を比較したランダム化比較試験15件、オープン試験4件、後ろ向き研究4件、症例報告38件に分けて解析が行われています。CINAHL、Cochrane Library、PubMed、Web of Scienceといったデータベースからの文献調査が2人の研究者によって独立して行われ、意見の不一致が生じた場合は他の研究者も交えて合意を形成しています。ランダム化比較試験において、漸減した場合と急に中止した場合を比較すると、中止後症状が発現する割合は変わらず、漸減が有意に優れているわけではありませんでした。なお、実薬での治療後にさらに実薬を継続した群よりも、プラセボに切り替えた群(急に中止した群)で有意に中止後症状が発現しやすいという結果でした。個人的な感想ですが、脳内セロトニン濃度を急激に下げない漸減は合理的な方法のように思えるのに、中止後症状を防げていないというのが意外でした。中止後症状として観察された症状は多岐にわたり、とくに多かったのがめまい、ふらつき、吐き気、頭痛、倦怠感、混乱などで、報告された症状は下表のとおりでした。中止後症状は、通常は薬剤中止後1~5日で生じ、数週間続いて徐々に治まりますが、長い場合では2ヵ月ほど続くこともあります。いずれのSSRIでも中止後症状が生じる可能性が示されており、とくにパロキセチンにおいてその頻度が高いという結果でした。著者のコメントとして、中止後症状というよりもベンゾジアゼピン系薬剤や抗精神病薬と同じく離脱症状と捉えるべきではないか、ということが書かれています。SNRI漸減でもSSRI同様に中止後症状が発現同じファーストオーサーにより、SNRIの中止後症状に関するシステマティックレビューも2018年に発表されています2)。同じくPRISMA声明にのっとり、PubMed、Cochrane Library、Web of Science、MEDLINEを含むデータベースから、デュロキセチン、ベンラファキシン、ミルナシプラン、SNRIなどのキーワードを用いて文献を調査しています。こちらも調査は独立した2人の研究者によって行われ、各研究者の文献評価で意見相違がある場合は他の研究者を含めて合意をとっています。ランダム化比較試験、オープン試験、前向き研究、後ろ向き研究、症例報告といった研究デザインを含む合計61の報告がレビューに含まれました。いずれも対象患者は18歳以上で、大部分は8週以上の治療期間の研究です。結果として、すべてのSNRI(ベンラファキシン、desvenlafaxine[本邦未発売]、デュロキセチン、ミルナシプラン、levomilnacipran[本邦未発売])で中止後症状が生じる可能性が示されています。その発現率はさまざまですが、ベンラファキシンの中止後が比較的高いことが示唆されています。プラセボ対照試験で見ると、プラセボ群の発現率が12%未満だったのに対し、ベンラファキシン37.5mg/日群で52%、75mg/日群で35%、150mg/日群で78%と有意に高く、とくに150mg/日を急に中止した場合に生じやすいことが報告されています。ランダム化比較試験とオープン試験の中止後症状の発現率は、ベンラファキシン23~78%、デュロキセチン6~55%、ミルナシプラン13~30%、levomilnacipran 9~10%と幅があります。症状として吐き気、めまい、頭痛などが比較的多いのは先の研究と同様です。SSRIのレビューで示唆されていることと同様、漸減の有無によらず多様な中止後症状の報告があり、その内容もSSRIの中止後に見られたものと類似しています。症状の多くは薬剤中止から24~48時間以内に起こり、数週間続く場合もまれにあるという結果でした。中止後症状が発現しやすいタイミング、消失する時期などを医師や患者さんに目安としてお伝えできると安心につながるとは思いますが、研究では幅があり過ぎるため、具体的に伝え過ぎると誤解を招くリスクもありそうです。投与再開または別の抗うつ薬へ切り替えることによって一時的な回復は期待できるかもしれませんが、長期的なメリットについては議論の余地があるところも扱いが難しいですね。1)Fava GA, et al. Psychother Psychosom. 2015;84:72-81.2)Fava GA, et al. Psychother Psychosom. 2018;87:195-203.

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災害関連不眠症の長期経過~福島原発所員のフォローアップ調査

 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所事故の災害関連体験と原子力発電所員の不眠症との関連、および各不眠症状への長期的な影響について、順天堂大学の野田(池田) 愛氏らが調査を行った。Sleep誌オンライン版2019年3月11日号の報告。 対象は、2011~14年までの3年間にアテネ不眠尺度を用いたアンケートおよび2011年の災害関連体験に関するアンケート調査に回答した発電所員1,403例。災害関連体験と不眠症との縦断的な関連を調査するため、混合効果ロジスティック回帰モデルを用いた。また、不眠症のサブタイプ(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒)に対する災害関連体験の潜在的な影響について、パス分析を用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・家族や同僚の死亡を除くすべての災害関連体験は、不眠症と有意な関連が認められた。・これらの外傷性曝露の大半は、時間に依存せず、不眠症リスクと関連していることが示唆された。・しかし、生命を脅かす危険を経験した影響は、時間とともに減少した。・パス分析では、生命を脅かす危険または爆発の目撃といった経験をした発電所員は、入眠の妨げとなる不安な場面を思い起こすと示唆された。・一方、早朝覚醒は、人生の不安定さと関連している可能性が示唆された。・社会的な差別や中傷が、3つの不眠症サブタイプと関連しており、生命を脅かす危険、財産の喪失、同僚の死亡といった他の経験にも影響されることが認められた。 著者らは「本調査結果より、災害関連体験を有する労働者に対して包括的な心理社会的支援が必要である」としている。■関連記事東日本大震災、深刻な精神状態の現状:福島医大震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善震災による被害で認知症リスク増加

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PD-L1陽性肺がん1次治療におけるペムブロリズマブ単剤の効果(KEYNOTE-042)/Lancet

 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された、PD-L1発現1%以上の進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブ単剤の1次治療を評価する第III相試験KEYNOTE-042試験の結果が、Lancet誌オンライン版2019年4月4日号に掲載された。 KEYNOTE-042は32ヵ国、213施設で行われたオープンラベル第III相試験。・対象:PD-L1 TPS1%以上の進行または転移を有するNSCLC患者・試験薬:ペムブロリズマブ200mg/日3週ごと・対照薬:カルボプラチン+パクリタキセルまたはペメトレキセド3週ごと(治験担当医の選択による)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)。[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)と奏効率(ORR)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)、安全性(TPS1%以上) 主な結果は以下のとおり。・1,274例の患者が、ペムブロリズマブ単剤群(n=637)と化学療法群(n=637)に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は12.1ヵ月であった。・TPS50%以上のOSは ペムブロリズマブ群20.0ヵ月、化学療法群12.2ヵ月と、有意にペムブロリズマブ群で延長した(HR:0.69、95%CI:0.56~0.85、p=0.0003)。・TPS20%以上のOSはペムブロリズマブ群17.7ヵ月、化学療法群13.0ヵ月と、有意にペムブロリズマブ群で延長した(HR:0.77、95%CI:0.64~0.92、p=0.0020)。・TPS1%以上のOSはペムブロリズマブ群16.7ヵ月、化学療法群12.1ヵ月と、有意にペムブロリズマブ群で延長した(HR:0.81、95%CI:0.71~0.93、p=0.0018)。・探索的研究でのTPS1~49%のOSはペムブロリズマブ群13.4ヵ月、化学療法群12.1ヵ月であった(HR:0.92、95%CI:0.77~1.11)。・TPS50%以上のPFSは、ペムブロリズマブ群7.1ヵ月に対し化学療法群6.4ヵ月(HR:0.81、p=0.0170)、TPS20%以上では6.2ヵ月対6.6ヵ月(HR:0.94)、TPS1%以上では5.4ヵ月対6.5ヵ月であった(HR:1.07)。・Grade3以上の治療関連有害事象発現は、ペムブロリズマブ群18%に対して化学療法群41%であった。■参考KEYNOTE-042試験(Clinical Trials.gov)■関連記事肺がん1次治療、PD-L1低発現でもペムブロリズマブ単剤?(KEYNOTE-042)/ASCO2018

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セリンクロの登場がアルコール依存症治療を継続させるきっかけに

 2019年3月28日、大塚製薬株式会社は、同社の製造販売する飲酒量低減薬ナルメフェン(商品名:セリンクロ)が発売されたことを機し、都内でプレスセミナーを開催した。セミナーでは、アルコール依存症の現状と治療の最新情報が解説された。推定患者数107万のうち受診者はわずか5万人 セミナーでは、「アルコール依存症をとりまく現状と治療 新しい診断治療ガイドラインを踏まえて」をテーマに、樋口 進氏(久里浜医療センター 院長)が講師としてレクチャーを行った。 わが国の飲酒実態とアルコール依存症治療のギャップに触れ、飲酒量全体は横ばいまたは微減となっている中で、アルコール依存症患者は約107万人と推定されているが、実際に治療を受けている患者は、約5万人とかなりの未診療患者がいると指摘した。この治療ギャップを埋めるためにも「医療連携の促進・地域の取り組み・軽症例のプライマリケアでの受診・診療ガイドラインの作成」などの取り組みが必要と同氏は提起する。重症依存症になる前に アルコール依存症の治療目標は、「飲酒を完全に断ち続けることが、最も安全かつ安定的」とされているが、そもそも患者が医療機関を受診しなかったり、治療中断をするために難渋しているという。そうした状況を変える取り組みとして、同氏が所属する久里浜医療センターでは、アルコール依存症手前の患者を対象に「プレアルコホリック外来」が開設されている。同外来では、アルコールの有害使用者を対象に、1ヵ月に1回外来個人精神療法とミーティングを行うもので、まず6ヵ月の断酒に挑戦し、その後断酒または節酒をするか患者に決めてもらうという。また、2017年4月からは「減酒外来」も開設し、この外来には比較的社会機能が保たれている患者が、自分の意思で来院するという。受診理由の多くは男女ともに「ブラックアウト(一時的記憶喪失)」であり、「社会機能が保たれているうちに、介入・進行予防をすることが重要」と同氏は早期治療の必要性を強調する。治療継続に期待できるナルメフェン(商品名:セリンクロ) 軽症例からの早期介入に使える治療薬が、3月より発売されたナルメフェン(商品名:セリンクロ)である。ナルメフェンの効果、安全性について行われた国内第III相試験では、アルコール依存症患者(DSM-IV-TR)と診断された20歳以上の男女666例のうち、ナルメフェン10mg群(180例)、同20mg群(242例)、プラセボ群(244例)に分け、24週、プラセボ対照、無作為化、多施設共同二重盲検並行群間比較試験で行われた。主要評価項目は、12週目におけるHDD(多量飲酒日)数*のベースラインからの変化量である。その結果、ベースラインからの変化量はプラセボ群で-7.91日/月であったのに対し、ナルメフェン10mg群で-12.09日/月、ナルメフェン20mg群で-12.25日/月とナルメフェン群で有意な減少を示した。安全性については、有害事象として悪心、めまい、傾眠などが報告されたが、重篤なものはなかった。以上の結果を受け、「減酒のための治療薬の登場により、患者に治療継続をさせるきっかけができる」と同氏は期待をにじませる。*1日のアルコール消費量が男性60g、女性40gを超えた日の1ヵ月あたりの日数新ガイドラインの重点は「軽依存症患者」「非専門医」に重点 次に2018年に上梓された『新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン』について触れ、新ガイドラインでは「軽依存症」「有害な使用」に焦点をおいた内容であること、非専門医でも対応できる基準を示していることを説明した。また、アルコール依存症の治療目標に関する推奨事項は「断酒とその継続」としながらも、選択肢の1つとして飲酒量低減を目標にして、失敗時の断酒への切り替え、軽症依存症では飲酒低減も目標になりうるなど柔軟な目標設定をしていることを説明した。そのほか、断酒への薬物治療としては、第1選択薬はアカンプロサートが推奨され、断酒への動機付けなどの第2選択薬としてジスルフィラムやシアナミドが、飲酒量低減を目標にする場合はナルメフェンを考慮すると説明した。 最後に、国は施策として「アルコール健康障害対策基本法」を制定するとともに、依存症拠点機関事業も実施し、アルコール依存症の対策を行っていると説明。「今後、各地域で依存症対策事業も開始されるので、アルコール依存症を非専門の医師が診療する機会も増えると思う。今後関係する学会や研究会も開催されるので、こうした場で知見を吸収してもらいたい」と述べ、セミナーを終えた。

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特売卵のコレステロール量は?/日本動脈硬化学会

 卵1個のカロリーについては取り沙汰されることが多く、ご存じの方も多いだろう。先日、JAMAでも卵の摂取量と心血管疾患の発症や死亡率との相関を示す論文が発表され、話題を集めている。では、われわれが日頃食べている卵には、一体どのくらいのコレステロールが含まれるのだろうか? 2019年3月27日、日本動脈硬化学会が主催するプレスセミナーが開催され、「LDLコレステロールと動脈硬化」をテーマに上田 之彦氏(枚方公済病院診療部長、日本動脈硬化学会広報・啓発委員)が登壇した。卵のコレステロールについての論文に関する学会の見解とは? 卵をいくつ食べても良いとしていたこれまでの報告に、待ったをかける結果が報告された。上田氏によると、卵によるコレステロール摂取量・摂取頻度を研究した論文は豊富だが、その理由として「卵は患者へのコレステロール摂取の聞き取りに使いやすい」とし、「おおよそ、中くらいの卵1個には、200~250mgのコレステロールが含まれている」とコメントした。また、本セミナーに出席していた丸山 千寿子氏(日本女子大学家政学部食物学科教授)によると、「今回発表されたJAMAの論文*で記述されている卵は1個50gで、日本でいうSサイズ。しかし、流通量が多く、セール品として販売されているのは60gのLサイズ。卵のコレステロール摂取量に関する研究データでは、実際よりも過小評価されている可能性がある」とし、「患者には、食べている卵の数だけではなく、大きさの確認も必要かもしれない」と付け加えた。コレステロールの上限値がなくなった訳ではない 2015年2月、米国農務省(USDA)と保健福祉省は、『食事でのコレステロール摂取制限は必要ない』と発表。これは、アメリカ心臓病学会/アメリカ心臓協会(ACC/AHA)が、“コレステロール摂取量を減らして血中コレステロール値が低下するかどうか判定する証拠が数字として出せない”として、「コレステロールの摂取制限を設けない」と見解を出したためだという。時を同じくして、日本人の食事摂取基準(2015年版)では、健常者における食事中コレステロールからの摂取量と血中コレステロール値の相関を示すエビデンスが十分ではないことから、コレステロール制限値を設けなかった。「これらのことから、日本人はコレステロールをいくら摂取しても良いという錯覚に陥ってしまった」と、上田氏は当時の状況を振り返った。この混乱を受け、2015年5月1日、日本動脈硬化学会はコレステロール摂取量に関する声明を発表し、高LDLコレステロール血症患者に当てはまる訳ではないことを注意換気した。 来年は『食事摂取基準(2020年版)』の発表が予定されている。ここでも、“循環器疾患予防の観点から目標量(上限)を設けるのは難しい”とし、記載を避けている。しかし、脂質異常症を有する者やハイリスク者については、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」を参考に、コレステロールの摂取を200mg/日未満と記載される予定である。 最後に同氏は「動脈硬化症には、コレステロール摂取量もさることながら、喫煙が一番いけない。今後、禁煙についての話題を提供していく」と締めくくった。

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LVAD使用の重症心不全に同種異系MPCは有益か/JAMA

 重症心不全で補助人工心臓(LVAD)植え込み術を受けた患者に対し、同種異系間葉系前駆細胞(MPC)の心筋内注入は、シャム注入と比較して6ヵ月時点でLVADからの一時的離脱成功率を改善しないことが、カナダ・トロント総合病院のTerrence M. Yau氏らが約160例を対象に行った第II相無作為化試験の結果、示された。LVADは心機能を改善するが、外植片が十分に回復する患者はほとんどいない。そのことが心機能回復を増大するための幹細胞に注意を向けることになっていたが、今回の結果を受けて著者は「所見は、心機能回復を促進するために間葉系幹細胞の心筋内注入は支持しないことを示すものであった」とまとめている。JAMA誌2019年3月26日号掲載の報告。同種異系MPC、1億5,000万個を心筋内注入 研究グループは2015年7月~2017年8月にかけて、北米19ヵ所の医療機関を通じて、重症心不全でLVAD適応となった患者159例を対象に無作為化試験を開始し、1年間追跡した(2018年8月に終了)。 被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、一方には同種異系MPC、1億5,000万個を心筋内注入した(106例)。もう一方の群には、シャム処置として凍結保護培地を注入した(53例)。 有効性の主要エンドポイントは、無作為化後6ヵ月間のLVADからの一時的離脱成功率で、3回にわたって計画的に評価を行った。主要エンドポイントはベイズ解析にて評価し、事後確率80%を離脱成功の閾値と事前に定義した。 安全性の主要エンドポイントは1年時に評価し、心筋内注入に関連した有害事象(心筋炎、心筋破裂、新生物、過敏症反応、免疫感作)とした。6ヵ月LVAD一時的離脱成功率、MPC群61%、対照群58% 被験者159例の平均年齢は56歳、女性は11.3%。1年の追跡完遂者は155例(97.5%)だった。ベイズ解析によるMPCがLVAD離脱成功を増す可能性を示す事後確率は69%で、事前に定義した閾値80%には達しなかった。 6ヵ月間のLVADからの一時的離脱成功率は、MPC群が平均61%、対照群が同58%で有意差は示されなかった(率比:1.08、95%信頼区間[CI]:0.83~1.41、p=0.55)。なお、安全性の主要エンドポイントの発生は認められなかった。 1年死亡率は、MPC群14.2%、対照群15.1%で、有意差はなかった(ハザード比:0.89、95%CI:0.38~2.11、p=0.80)。重篤有害事象の発現頻度も有意差はなかった(100患者月当たり70.9 vs.78.7、群間差:-7.89、95%CI:-39.95~24.17、p=0.63)。再入院率も同等だった(0.68 vs.0.75、-0.07、-0.41~0.27、p=0.68)。

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バイオシミラーCT-P13は活動期クローン病に有効か/Lancet

 活動期クローン病患者に対し、インフリキシマブのバイオシミラーCT-P13投与はインフリキシマブ投与に対し、非劣性であることが示された。韓国・蔚山大学校のByong Duk Ye氏らが220例を対象に行った、第III相多施設共同無作為化二重盲検試験の結果で、著者は「バイオシミラーCT-P13は、活動期クローン病の新たな治療選択肢になりうるだろう」とまとめている。インフリキシマブ・バイオシミラーCT-P13は、強直性脊椎炎と関節リウマチにおいてインフリキシマブとの臨床比較が行われた後に、クローン病での使用が承認された。しかし、そのような形での承認に対して懸念があり、直接比較するため本試験が行われた。Lancet誌2019年3月28日号掲載の報告。バイオシミラーCT-P13とインフリキシマブ投与6週後のクローン病活動指数を比較 試験は2014年8月20日~2017年2月15日に、非生物学的治療が非奏効または忍容性がない活動期クローン病患者を対象に行われた。 被験者を無作為に1対1対1対1に割り付け、30週時点までバイオシミラーCT-P13またはインフリキシマブを投与し、(1)その後もCT-P13を継続(CT-P13継続群)、(2)その後はインフリキシマブに切り替え(CT-P13-インフリキシマブ群)、(3)その後もインフリキシマブを継続(インフリキシマブ継続群)、(4)その後はCT-P13に切り替え(インフリキシマブ-CT-P13群)の4群とした。投与のタイミングは、初回投与後2週、6週後と、その後は8週ごとに54週まで行った。 主要エンドポイントは、クローン病活動指数(CDAI)がベースラインから6週時までに70ポイント以上低下(CDAI-70)を達成した患者の割合だった。 インフリキシマブに対するバイオシミラーCT-P13の非劣性マージンは、両治療群間差の95%信頼区間(CI)両側下限値が、-20%より大きいことと規定した。バイオシミラーCT-P13群のCDAI-70達成率は69%、インフリキシマブ群74% 308例がスクリーニングを受け、適格被験者220例が試験に登録された。そのうち111例が初回投与CT-P13群に(うちCT-P13継続群56例、CT-P13-インフリキシマブ群55例)、109例が初回投与インフリキシマブ群に(うちインフリキシマブ継続群54例、インフリキシマブ-CT-P13群55例)、それぞれ割り付けられた。 6週後のCDAI-70達成例は、初回投与CT-P13群は77/111例(69.4%、95%CI:59.9~77.8)、初回投与インフリキシマブ群は81/109例(74.3%、同:65.1~82.2)だった。群間差は-4.9%(95%CI:-16.9~7.3)で、事前に規定した非劣性マージンに基づきバイオシミラーCT-P13のインフリキシマブに対する非劣性が示された。 なお、試験期間中に1つ以上の治療関連有害事象発生が報告されたのは、全体では147例(67%)で、CT-P13継続群は36例(64%)、CT-P13-インフリキシマブ群は34例(62%)、インフリキシマブ継続群が37例(69%)、インフリキシマブ-CT-P13群が40例(73%)だった。

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資産形成はバーチャルがキーワード【医師のためのお金の話】第19回

資産形成はバーチャルがキーワード私は、レンタルスペース事業を運営していましたが、収益が伸び悩んだため撤退を余儀なくされました。レンタルスペースはBAR仕様の内装で、本物の設備を導入し、ワイングラスなどの消耗品もたくさん置いていました。これらを引き揚げるため、1年ぶりにレンタルスペース内に足を踏み入れました。久しぶりに見るスペース内はかなり荒れていてショックを受けました。2年半ほどたくさんの人が使い倒したので、当初ピカピカだった室内は見る影もありません。たくさんの時間とお金を費やして立ち上げたビジネスが、無残な結果に終わるのはとても悲しいことです。経年劣化しないモノが重要私は少し感傷的になっていましたが、そのことを割り引いても室内の荒れ方はひどく、物質的なものは壊れていくということを改めて認識しました。私は、汚れていたり壊れている物を見るのがあまり好きではありません。雑然としていることが嫌いなので、できるだけ物を所有しない生活を心掛けています。このような性格の人間なので、資産運用に関しても、経年劣化しない投資対象を選好していることに気付きました。具体的には以下のようなモノです。株式通貨不動産(土地)金(ゴールド)これらはすべて経年劣化しない資産です。経年劣化しないので、税金などの費用を除くとメンテナンスフリーです。経年劣化しない理由は、金(ゴールド)を除くと実在するものではなくバーチャルな存在だからです。株式、通貨、不動産(土地)は一応物質としての形はありますが、本質的には人の意識の中にだけ存在します。株式は会社の所有権という形のないものですし、通貨に価値があると思うのは使用する人の共同幻想です。そして、土地は所有権という権利にすぎません。建物はともかく土地に関しては、あくまでバーチャルな存在なのです。土地を例にして、バーチャルなモノは経年劣化しないことを説明します。土地は100年経っても面積や形が変わることはありません。また、土地の面積や形を維持するために、特別な修繕は必要ありません。もちろん、隕石が衝突するなどの大規模な自然災害が発生して土地が消滅したり、戦争が起こって国家体制が変わることで現在の所有権制度が無効になる可能性はあります。しかし、天変地異や国家体制転覆が発生しない限り、通常の環境であれば土地は永遠です。メンテナンスフリーが理想一方、不動産の中でも実物資産である建物に関してはどうでしょうか? 日本のように雨量の多い地域では、建物の損壊が激しいです。屋上防水工事や外壁塗装などの大規模修繕を10年ごとに行わないと建物の劣化が進みます。仮に定期的なメンテナンスを施していても、経年劣化から逃れることはできません。建築から数百年経過している建物もまれに存在しますが、絶え間ないメンテナンスなくして建物が長期間にわたって存続することは不可能です。このように、実物資産の価値を維持するためには、経年劣化との戦いが不可避です。つまり、実物の資産は維持するだけでコストがかかり続けることになります。これに対してバーチャルな資産は、税などを除くと基本的にメンテナンスは不要です。もちろん、会社のビジネスモデルの陳腐化やインフレによる通貨価値の下落などのために、バーチャルな資産の価値が減少することはあります。しかし、これらの要因を除くとバーチャルな資産はメンテナンスフリーであるため、長期保有して資産形成を行ううえでは非常に有利なのです。投資もビジネスもバーチャルを意識しよう!資産形成の方法はさまざまです。一般的に大きな資産を作るためには、ビジネスもしくは投資での成功が必要です。ビジネスにおいても、IT革命以降はバーチャルな要素が大きくなりました。昔のように大規模な設備投資が不要となる業態が多くなっているからです。効率の良い資産形成を考えると、これからの時代はできるだけ実物を伴わないバーチャルな投資対象を選好するとよいでしょう。メンテナンス費用が少ないと、それだけ資産形成のスピードが加速します。投資やビジネスでは物質的な部分を減らして、できるだけバーチャルな要素を増やすことに注力しましょう!

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第14回 発熱の症例・全てのバイタルが異常。何を疑う?-1【薬剤師のためのバイタルサイン講座】

今回の症例は、発熱を来した症例です。発熱のため受診される高齢者は少なくありませんが、なかには早期に治療を開始しないと生命にかかわる場合もあります。患者さんDの場合◎経過──191歳、女性。脳梗塞による後遺症のため寝たきりの生活で、施設に入所しています。自力では起き上がることができず、介助により車いすに移乗します。食事も介助を必要とします。自分でトイレに行くことができないのでオムツを使用しています。本日、あなたが施設に薬を届けに行くと、いつもは車いすに座っているのですが、今日はぐったりした様子でベッドに横になっていました。「少し熱があるみたいなんです」と施設の職員が言いました。「そうですか...」あなたは本日嘱託医が処方した内服薬に、解熱鎮痛薬が含まれていることに気が付きました。その日のバイタルサインは、表1のとおりです。体温の調節と発熱私たちの体温は、脳の視床下部にある体温調節中枢で調節されており、病原体に感染したりして侵襲を受けると上昇します。これが発熱です。猛暑のときの高体温(熱中症)とは機序が異なり、治療法も異なることは知っておくべきです。また、体温が1℃上昇すると、脈拍数が約20回/分上昇することも、思い出しておいてくださいね。◎経過──2数日後、たまたま別の用件でその施設を訪れたあなたは、施設の職員に先日発熱していた女性が具合悪そうだと聞きました。昨日の夜から食事も摂れない状態でした。もともと元気のある方ではないのですが、先日よりぐったりして呼びかけても眼を開けません。呼吸は速いように見えます。手をとると体温がとても高いことがすぐにわかりました。手首の動脈(橈骨動脈)を触れると脈は速くて弱く、毛細血管再充満時間(capillary refilling time; CRT)は3秒にまで延長していました。あなたは「ショックの徴候がある...」と考えました。「先生への連絡は?」とあなたが職員に尋ねると、「先ほど連絡しましたから、もうそろそろ着く頃と思うのですが...」と言われました。あなたが確認したバイタルサインは、表2のとおりです。到着した医師・看護師は診察を行い、導尿(尿道に管を入れて尿を排出させること)すると、膿のような濁った尿が排出されました。「尿路感染による(敗血症)だ」医師はそうつぶやくと、職員に家族を呼ぶよう依頼しました。看護師は生理食塩液の点滴を末梢静脈から速い速度で開始しました。

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アトピー性皮膚炎児の母、11年間睡眠不足

 アトピー性皮膚炎(AD)児の両親に睡眠障害が多いことは、これまでの小規模な診療所ベースのデータから示唆されていたが、長期にわたる集団ベース研究はほとんどなかった。先日、本サイトで紹介した、ADと睡眠の質に関するエビデンス報告を行った研究グループ (米国・カリフォルニア大学のFaustine D. Ramirez氏ら)が、AD児の母親の睡眠障害に関する解析報告を発表。その結果、AD児の母親は11年間ずっと入眠困難、睡眠不足、日中の疲労を訴えていることが示された。ただし、児の睡眠障害が母親の睡眠を妨害しているかどうかの詳細な関連性は不明であった。著者は「子どもの幸福と発達には、両親の身体的・精神的健全さの影響を強く受ける。さらなる研究で、どのような機序により睡眠障害が生じているのかを明らかにしなければならない」と述べ、「AD児のケアにおいて、医師は母親の睡眠障害や介護者の疲労についても考慮する必要がある」とまとめている。JAMA誌オンライン版2019年3月20日号掲載の報告。 研究グループは、英国の出生コホートを用いた縦断研究からAD児と非AD児それぞれの母親の長期にわたる睡眠障害を比較。これらの障害が、児の疾患重症度や睡眠障害と関連しているかを調査した。英国・エイボン州に在住で、1991年4月1日~1992年12月31日に出産が予定されていた全妊婦を対象とした、現在進行中のコホート研究「Avon Longitudinal Study of Parents and Children」のデータを用いて解析した。 本コホート研究の2次解析である本解析は、2017年9月~2018年9月に行われた。母と児のペアに対し、児が生後6ヵ月~11歳までフォローアップを行い、児のADの活動性や重症度の経時的変化を測定した。母親には、複数時点で繰り返し睡眠評価について自己申告してもらい、その結果を測定した。 主要評価項目は、母親の一晩の睡眠時間(6時間未満vs.6時間以上)、入眠困難、早朝早期覚醒、睡眠不足、日中の疲労についての経時的変化とした。 主な結果は以下のとおり。・1万3,988組の母と児が、児の誕生から中央値11年間(四分位範囲:7~11)のフォローアップを受けた。・母親の年齢は82.9%(1万1,585/1万3,972例)が21~34歳、人種は97.4%(1万2,001/1万2,324例)が白人であった。児の性別は51.7%(7,220/1万3,978例)が男児であった。・AD児の母親と非AD児の母親間で、睡眠時間(補正後オッズ比[AOR]:1.09、95%信頼区間[CI]:0.90~1.32)、早朝早期覚醒(同:1.16、95%CI:0.93~1.46)は、類似していた。・対照的に、AD児の母親は、児に喘息および/またはアレルギー性鼻炎が併存しているか否かにかかわらず、入眠困難(同:1.36、95%CI:1.01~1.83)、睡眠不足(同:1.43、95%CI:1.24~1.66)、日中の疲労(同:1.41、95%CI:1.12~1.78)の報告が多い傾向がみられた。・すべての評価について、児のAD重症度が高いほど母親の睡眠アウトカムは不良であった。関連の大きさおよび有意性は、児の睡眠障害について補正後も大部分は変わらなかった。

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日本において将来の認知症ケアに対し不安を感じている人の特徴

 認知症にやさしい地域社会を目指すことは、世界的な目標ではある。しかし、認知症の地域住民は、いまだ対処されていない認知症関連ケアのニーズを抱えている。東京都健康長寿医療センター研究所の岡村 毅氏らは、将来必要となった際に適切な認知症ケアを受けられない可能性について不安を感じている人の特徴を調査した。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年3月18日号の報告。 東京都の1地域に在住する65歳以上のすべての住民13万2,005人に対し、郵送によるアンケート調査を実施した。アンケートは、適切な認知症ケアを受けられない可能性についての不安を測定する項目ならびに、社会人口統計、抑うつ症状、フレイル、在宅状況、社会経済的状況、社会的サポート、開業医(GP)へのアクセス、認知症ケアの経験に関する項目を含んだ。 主な結果は以下のとおり。・不安を測定する項目に回答した7万4,171人中、将来必要となった際、適切な認知症ケアを受けられない可能性について不安を感じている人は、5万8,481人(78.8%)であった。・強制投入法(simultaneous)多重ロジスティック回帰分析では、不安との関連が予想される要因は以下のとおりであった。 ●うつ症状 ●フレイルまたはその予備群 ●女性 ●現在、社会経済的に不利な状況ではない ●気分がすぐれないときに、病院へ連れていける人がいない ●より若い(65~74歳) ●既婚 ●隣人を信頼していない ●高等教育レベル(9年超) ●困っているときに相談できる人がいない ●働いていない ●小児期に社会経済的に不利な状況を経験 ●隣人とは、あいさつを交わす程度の関係 ●認知症ケアの経験がない・GPへのアクセス、独居、外出が1回/週以下では、関連性は認められなかった。 著者らは「これらの不安を軽減するための介入に関して、さらなる研究が必要とされる」としている。■関連記事世界で最も高齢化している日本における認知症の推定コストたった2つの質問で認知症ルールアウトが可能レビー小体型認知症とアルツハイマー病における生存率の違い~メタ解析

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もう見過ごせない小児虐待

 昨年における児童虐待事件は、過去最多の1,380件が警察により摘発され、被害児童は1,394人だった。そのうち36人が亡くなっており、痛ましい事件は後を絶たない。 2019年3月都内にて、加茂 登志子氏(若松町こころとひふのクリニック メンタルケア科 PCIT研修センター長)が、「虐待について」をテーマに講演を行った。専門医でなくとも、診療を受けている患者が虐待やDVなどの問題を抱えている可能性があるかもしれない。虐待は年々増えている 児童虐待件数は、1990年に統計が開始されて以降、年々増加の一途をたどっている。2017年度中に、全国210ヵ所の児童相談所が対応した件数は13万3,778件(速報値)と過去最多であった。警察の積極的介入などにより発覚件数が増えているとも考えられるが、「おそらく、全体の件数も増えているだろう」と加茂氏は見解を示した。 虐待による死亡数は0歳児が最も多く、2003~2016年度の集計では3歳児以下が77.0%を占めている。同氏は「産後うつをイメージするとわかりやすい。母子心中が日本人では多い」と指摘した。しかし、0~17歳まで、全年齢で死亡事例があり、問題はそれだけではないという。 2017年度の報告によると、児童相談所に寄せられる相談のなかで1番多いのは心理的虐待(54.0%)だ。次いで、身体的虐待(24.8%)、ネグレクト(20.0%)、性的虐待(1.2%)と続く。両親間のDV目撃(面前DV)なども心理的虐待に含まれ、DVと虐待が併存する例も少なくない。「大きく報道されるのは亡くなった事例だが、生きていて虐待やDVを受けている事例はニュースにならない。辛い思いをしている子供はたくさんいる」と、関心を呼び起こした。適切な対応で将来的な虐待を減らす 虐待・DV被害を受けた子供の診断例(DSM-5)として、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」、誰に対しても愛着を示さない「反応性愛着障害」、誰にでも見境なく愛着行動を示す「脱抑制型対人交流障害」などがある。また、ICD-11においてPTSDは従来のものだけでなく“複雑性”が採用される見込みで、DVや虐待などによる長期反復型のトラウマは「複雑性PTSD」の症状を呈する可能性が高い。 治療は、国際的にEBP(evidence-based practice)の導入が主流であり、トラウマフォーカスト認知行動療法(TF-CBT)、家族のための代替案:認知行動療法(AF-CBT)、親子相互交流療法(PCIT)などが行われている。 被害児童にとって1番重要なことは“被害の場から離れる”ことで、さらに、安全・安心・安眠の確保と、安定した養育環境が必須だという。回復と成長には非専門家による心身のケアが必要であり、適切な対応は、虐待の世代間連鎖をブロックし、将来的な虐待の予防につながるため、社会的なサポートの充実が求められる。普段の診療時、疑わしい患者を見過ごさないこと 米国で行われた逆境的児童期体験(ACE)研究によると、18歳までに受けた虐待などの逆境体験は、精神疾患ばかりでなく、知的発達や学習能力へも影響し、体験数に比例して慢性身体疾患のリスクを高めることが明らかになっている。 同氏は「専門医でなくても、虐待やDVに関与する患者を診る機会は意外とあると思う。とくに、はっきりとした理由なく向精神薬を繰り返しもらいに来る女性患者には注意が必要。こちらから聞くと、答えてくれることもある。そういう人たちを見過ごさないようにすることも大切」と語った。

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「心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)」発表/日本循環器学会

 「心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)」が、2019年3月29日に発表された。本ガイドラインは「肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(2012年改訂版)」および2011年発表の「拡張型心筋症ならびに関連する二次性心筋症の診療に関するガイドライン」の統合・改訂版。第83回日本循環器学会学術集会(3月29~31日、横浜)において、心筋症診療ガイドライン作成の合同研究班班長を務めた北岡 裕章氏(高知大学医学部 老年病・循環器内科学)が、その内容について講演した。 同氏は、心筋症診療ガイドラインの本改訂において重視した点として下記3つのポイントを挙げたうえで、心筋症全体の定義と分類、肥大型心筋症(HCM)、拡張型心筋症(DCM)の診断・治療について、主な改訂点を解説した。1.これまでの心筋症の分類法を参考にしながら、わが国の診療実態に即した心筋症の新しい定義の作成2.HCMは、EBMの十分でない疾患であるため、ACCF/AHA、ESCのガイドラインを参考に、わが国より発信されたエビデンスを盛り込みながら、診療現場での実際の意思決定に有用であること3.DCMにおける病因解明の進歩を折り込み、本症が左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)の代表的な疾患であることより、急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)を参照した最新の診療・治療方針を明示すること心筋症診療ガイドラインでは心筋症を4つの基本病態に整理 心筋症の分類としては、米国心臓協会(AHA)の病因による分類(2006年発表)、欧州心臓病学会(ESC)の形態による分類(2008年発表)が知られる。心筋症診療ガイドラインでは、従来通り形態や機能から心筋症を診断する。その際には、“常に病因としての遺伝性/非遺伝性を意識し、心アミロイドーシスやファブリー病など二次性心筋症を鑑別したうえで確定されるべきである”とされた。 原発性(特発性)心筋症としての病名を、肥大型心筋症、拡張型心筋症、不整脈原性右室心筋症、拘束型心筋症の4つに分類している。さらに“これらの病型にOverlapがあることを明示した”ことも重要なポイントである。新ガイドラインでは肥大型心筋症は安静時に圧較差がなくても負荷をかけて心エコー推奨 肥大型心筋症については、近年の報告から「左室壁15mm(家族歴がある場合は13 mm)以上の心肥大」と診断上の定義を心筋症診療ガイドラインでは明記。そして閉塞性肥大型心筋症(HOCM)については、安静時に圧較差がある症例に加えて、負荷によって30mmHg以上の圧較差を認める場合もHOCMとして定義している。北岡氏は、「従来、HOCMは安静時の圧較差30mmHg以上と提唱されてきた。しかしこの10年ほどで、安静時には圧較差が認められなくても、負荷をかけると認められる症例が多く存在し、HCM全体の7割程度で、圧較差が病態と関係するということが分かってきた」とその背景を解説した。HCMと確定診断された患者では、バルサルバ手技などによる負荷を、心エコー検査中に行うことを推奨している。 そのほか新たな心筋症診療ガイドラインでは、MRIは形態学的評価だけでなく、二次性心筋症との鑑別あるいは予後予測において、最も推奨度の高いクラスIに変更された。心筋生検については、MRIの進歩などによりルーチンでの実施は不要と位置付けられている。「ただし、決して心筋生検の重要性が後退したということではなく、不明の場合の最終検査としては非常に重要」と同氏は補足。また、遺伝子診断についての推奨度が2012年版から大きく再整理・変更されていることも説明された。肥大型心筋症の突然死予防にガイドラインでICD植込み適応をフローチャート化 肥大型心筋症の薬物治療については、従来通りで新ガイドラインに大きな変更はない。突然死予防は、ICD植込み適応の考え方が再整理された。2012年度版から5つの主要リスク因子および修飾因子を一部変更。これまで重みづけされていなかった各主要リスク因子についてエビデンスを基に重みづけし、フローチャートの形でICD植込み適応の推奨度を示した。 そのほか、圧較差と不整脈に対する治療法は、近年の知見を盛り込んだ形に一部変更されている。不整脈については、心房細動患者に対する抗凝固療法にクラスIの推奨度とエビデンスレベルが記された。エビデンスの充実からワルファリン使用の推奨が明記され、DOACについても「有用性が期待される」という形で新たに記載された。抗がん剤によるリスクを整理、またクラスIの推奨となった遺伝子検査も(DCM) 新たな心筋症診療ガイドラインでは、DCMの定義に大きな変更はないが、近年左室機能障害を引き起こす重要な原因として指摘されている抗がん剤について、報告されている発症率とともに一覧化された表が初めて掲載された。 検査に関しては、HCM同様二次性心筋症との鑑別や予後予測においてもMRIによる評価に推奨度が記載された。「ただし、HCMほどデータが十分ではないという判断から、クラスIIaの推奨度となっている」と同氏は話した。心筋生検の位置づけはHCMと同様となっている。 DCMにおける遺伝子検査については、「40以上ある原因遺伝子の中で、特にタイチンとラミンについては検査に臨床的意義があると判断された」と述べ、タイチンにIIa、ラミンにIの推奨度が記載されている。MitraClipの COAPT試験の結果を反映 DCMの治療に関しては、「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」に基づく内容となっている。加えて、その後の知見としてMitraClipの COAPT試験の結果も反映された。 また、ラミンA/C変異を有する患者は予後が悪いことが、日本人を対象とした試験でも報告されている。そのため、新たな心筋症診療ガイドラインでは“提言”の形で、ESCあるいはAHA/ACC/HRSガイドラインにおけるICD植込み適応(リスク因子と推奨度)を紹介している。

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日本人における糖尿病とがんリスクを検証~JPHC研究

 日本人集団における糖尿病とがんリスクについて、多目的コホート研究(JPHC研究)での前向きメンデルランダム化解析により、これらの関連を裏付ける強いエビデンスは見いだされなかったことを、国立がん研究センターの後藤 温氏らが報告した。従来の回帰モデルを用いたコホート研究では、2型糖尿病患者のがんリスク増加が一貫して示されていた。しかし、因果の逆転や糖尿病とがんに共通する危険因子による残余交絡が存在する可能性があり、糖尿病そのものががん発症に寄与しているかどうかは不明であった。International Journal of Cancer誌オンライン版2019年3月30日号に掲載。 JPHC研究における40~69歳の適格な3万2,949人から、サブコホート1万536人および新規にがんと診断された3,541人を用いて症例コホート研究を実施した。すでに知られている29個の2型糖尿病感受性遺伝子多型を用いて、糖尿病とがん全体および部位ごとのがんリスクとの関連について、逆分散加重法を用いてハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・糖尿病の確率が2倍になることによるがんのハザード比(HR)は、がん全体で1.03(95%信頼区間[CI]:0.92~1.15)、膵臓がんで1.08(同:0.73~1.59)、肝臓がんで0.80(0.57~1.14)、結腸がんで0.90(同:0.74~1.10)であった。・追加解析として、日本人における大腸がんの大規模ゲノムワイド関連解析の公開データを用いて分析したところ、HRは1.00(95%CI:0.93~1.07)であり、より精確な結果が得られた。

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ACC/AHAガイドライン、ESCガイドラインのエビデンスレベルは?/JAMA

 主要な心臓血管関連学会のガイドラインでは、複数の無作為化臨床試験(RCT)または単一の大規模RCTのエビデンスによって支持される推奨の割合はきわめて低く、このパターンは、2008~18年の改訂でも意義のある改善はなされていないことが、米国・デューク大学のAlexander C. Fanaroff氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、JAMA誌2019年3月19日号に掲載された。臨床決定は、臨床転帰を評価した複数のRCTによるエビデンスに基づくのが理想だが、歴史的には、この種のエビデンスに完全に基づく臨床ガイドラインの推奨はほとんどないという。ACC/AHAガイドラインおよびESCガイドラインの現行と旧版を調査 研究グループは、現行の主要な心臓血管関連学会のガイドラインの推奨を支持するエビデンスのクラス(I~III)とレベル(LOE、A~C)について解析し、経時的なLOEの割合の変化を調査した。 学会のウェブサイトで同定された現行の米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)および欧州心臓病学会(ESC)の臨床ガイドライン(2008~18年)と、現行のガイドラインが参照した直近の旧版(1999~2014年)のガイドラインを調査の対象とした。 各ガイドラインについて、推奨の数とLOEの分布を検討した(LOE A:複数のRCTまたは単一の大規模RCTのデータによって支持されている、LOE B:観察研究または単一のRCTのデータで支持されている、LOE C:専門家の意見のみ)。主要評価項目は、LOE Aのエビデンスで支持されている推奨の割合とした。LOE A推奨の割合はACC/AHAガイドライン 8.5%、ESCガイドライン 14.2% 現行の26のACC/AHAガイドラインには、推奨が2,930件(1つのガイドライン当たりの中央値121件[四分位範囲:76~155])含まれた。そのうち、248件(8.5%)の推奨がLOE Aに分類され、1,465件(50.0%)がLOE B、1,217件(41.5%)はLOE Cであった。LOE A推奨の割合の中央値は7.9%(四分位範囲:0.9~15.2%)だった。 一方、現行の25のESCガイドラインには推奨が3,399件(1つのガイドライン当たりの中央値130件[四分位範囲:111~154])掲載されていた。484件(14.2%)の推奨がLOE Aに分類され、1,053件(31.0%)がLOE B、1,862件(54.8%)はLOE Cであった。 現行ガイドラインを旧版と比較すると、LOE Aの推奨の割合の中央値は、ACC/AHAガイドライン(現行9.0% vs.旧版11.7%)およびESCガイドライン(15.1% vs.17.6%)のいずれもが、増加していなかった。 下位専門分野別の解析では、LOE A推奨の割合は冠動脈疾患が最も高く、先天性心疾患/心臓弁膜症が最も低かった。また、先天性心疾患/心臓弁膜症を除き、LOE A推奨の割合は、ESCガイドラインがACC/AHAガイドラインよりも高かった。 著者は、「今回の結果は、過去10年にわたる臨床試験の簡略化と促進に向けた努力が、RCTによってより良く支持されたエビデンスに基づく推奨へと転換されていないことを示している」と指摘している。

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原発性硬化性胆管炎〔primary sclerosing cholangitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis:PSC)は、小胆管周囲にonion-skin様の結合織に囲まれる炎症により特徴付けられる肝の慢性炎症である。結合織の増加により胆管は狭窄、閉塞を起こし、胆汁うっ滞を来し、閉塞性黄疸となり、最終的には肝硬変、肝不全に進展する。PSCの発症・進展には、自己免疫機序が深く関わることが推定されているものの、血清学的に特異的な免疫指標は残念ながら同定されておらず、病因は現在も不明である。■ 疫学2012年の全国疫学調査によると、国内症例数は2,300名前後、人口10万人当たりの有病率は0.95程度と推測されている。しかし、欧米諸国で近年発症率の増加が報告されていること、画像検査の進歩により診断率が向上していることにより、実際の患者数はもう少し多いことが推察される。患者は、男性にやや多く、20代と60代の二峰性を示す。わが国では肝内・肝外胆管両者の罹患症例が多く、潰瘍性大腸炎の罹患合併が34%で、とくに若年者に高率である。また、胆管がんの合併を7.3%に認めている。■ 病因PSCには炎症性腸疾患との関連が認められており、欧米ではPSC患者の80%で合併がみられるが、わが国ではその頻度は低く、とくに高齢者では合併例は少ない。潰瘍性大腸炎患者の約5%とクローン病患者の約1%がPSCを発症する。こうした関連性といくつかの自己抗体(例:抗平滑筋抗体、核周囲型抗好中球抗体[pANCA])の存在から、免疫を介した発生機序が示唆されている。T細胞が胆管の破壊に関与するとみられることから、細胞性免疫の障害が示唆されている。家系内で集積傾向がみられ、自己免疫疾患との相関もしばしば報告され、HLAB8およびHLADR3を有する人々での頻度がより高いことから、遺伝的素因の存在が示唆されている。遺伝的素因のある人々では、おそらく原因不明の誘因(例:細菌感染、虚血性の胆管傷害など)によってPSCが引き起こされると考えられている。■ 症候病初期には無症状で、偶然の機会に胆道系酵素の上昇などで発見されることもある。発症は通常潜行性で、進行性の疲労や掻痒感が認められる場合が多い。約10~15%の症例では、右上腹部痛と発熱を認める。診断時の症状についての全国アンケート調査では、黄疸28%、掻痒感16%が認められるとの報告がある。病態が進行すれば、脂肪便、脂溶性ビタミン欠乏を来す場合があり、持続性の黄疸により病態は進行し、肝硬変の症状を呈する。約75%の症例で症状を伴う胆石や総胆管結石症を伴うことが報告されている。なお、一部の症例では晩期まで無症状のまま経過し、肝脾腫、肝硬変の状態で診断される場合もあるが、本疾患は緩徐ながら確実に進行し、末期には非代償期肝硬変に至る。診断から肝不全に至るまでの期間は、約12年とされている。なお、合併が多い炎症性腸疾患とは独立した経過をたどり、潰瘍性大腸炎はPSCに数年遅れて発現するケースがあり、合併が認められた場合、潰瘍性大腸炎は比較的軽症の経過をとる傾向があるとされている。結腸全摘術を施行された場合でも、PSCの経過には変化がないことが報告されている。そのほか、PSCと炎症性腸疾患両者が存在すると大腸がんのリスクが上昇し、このリスクはPSCに対して肝移植を施行しても変わらないことが報告されている。■ 予後わが国の全国調査によれば、肝移植なしの5年生存率は75%とされている。肝移植症例では、とくに近親者からの移植症例で再発が高頻度であるとの報告がある。早期症例では、肝硬変に至るまでの期間は15~20年とされているが、8~10%の症例では胆管がんの合併があるので注意が必要である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)確定診断に至る臨床的特異的マーカーは存在せず、また、肝生検でも確定診断は困難である。診断は、肝内外胆管病変の画像診断によるが、類似の画像所見を示す疾患、とくに自己免疫性膵炎(AIP)に伴う胆管炎との鑑別が重要である。診断に当たっては、以下の臨床像に十分留意する。(1)胆汁うっ滞に基づく腹痛、発熱、黄疸などの症状、(2)炎症性腸疾患、とくに潰瘍性大腸炎の存在、(3)6ヵ月以上持続する胆道系酵素、AlPの正常上限2~3倍以上の持続上昇。 また、画像所見や超音波検査では、(1)散在する胆管内腔の狭窄と拡張、(2)散在する胆管壁肥厚に留意が必要となる。そして、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)では(1)肝内外胆管の散在する輪状、膜状、帯状狭窄および憩室様突出、数珠状狭窄、(2)肝内外胆管の毛羽立ち、刷子縁様の不整像、(3)肝内胆管分枝像の減少、(4)肝外胆管狭窄に符合しない肝内胆管拡張、などの特徴的所見が認められ、ERCP施行によりこれら所見はより明確になる(図1、2)。(図1、2入る)画像を拡大する画像を拡大するなお、診断確定に当たっては、以下の(1)~(9)の疾患の除外が重要であり、IgG4関連硬化性胆管炎の鑑別も重要である(下に挙げた厚生労働省研究班の診断基準を参照)。(1)IgG4関連硬化性胆管炎、(2)胆道感染症による胆管炎、(3)胆道悪性腫瘍、(4)胆管結石、(5)腐食性硬化性胆管炎、(6)先天性胆道異常、(7)虚血性胆管狭窄、(8)胆道外科手術後状態、(9)floxuridine動注による胆管障害。病変の広がりにより、1)肝内型、2)肝外型、3)肝内外型に分類される。2016年原発性硬化性胆管炎診断基準厚生労働省難治性肝・胆道疾患に関する調査研究班(滝川班)【原発性硬化性胆管炎の疾患概念】原発性硬化性胆管炎は病理学的に慢性炎症と線維化を特徴とする慢性の胆汁うっ滞を来す疾患であり、進行すると肝内外の胆管にびまん性の狭窄と壁肥厚が出現する。病因は不明である。胆管上皮に強い炎症が惹起され、胆管上皮障害が生ずる。診断においてはIgG4関連硬化性胆管炎*、発症の原因が明らかな2次性の硬化性胆管炎**、悪性腫瘍を除外することが重要である。わが国における原発性硬化性胆管炎の診断時年齢分布は2峰性を呈し、若年層では高率に炎症性腸疾患を合併する。持続する胆汁うっ滞の結果、肝硬変、肝不全に至ることがある。有効性が確認された治療薬はなく、肝移植が唯一の根治療法である。【原発性硬化性胆管炎の診断基準】IgG4関連硬化性胆管炎*、発症の原因が明らかな2次性の硬化性胆管炎**、胆管がんなどの悪性腫瘍を除外することが必要である。A.診断項目I.大項目A. 胆管像1)原発性硬化性胆管炎に特徴的な胆管像の所見を認める。2)原発性硬化性胆管炎に特徴的な胆管像の所見を認めない。B. アルカリフォスファターゼ値の上昇II.小項目a. 炎症性腸疾患の合併b. 肝組織像(線維性胆管炎/onion skin lesion)B.診断上記による確診・準確診のみを原発性硬化性胆管炎として取り扱う。*IgG4関連硬化性胆管炎は、“Clinical diagnostic criteria of IgG4-related sclerosing cholangitis 2012”(Ohara H,et al. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2012;19:536-542.)により診断する。**2次性硬化性胆管炎は以下の通りである(Nakazawa T, et al. World J Gastroenterol. 2013;19:7661-7670.)。先天性カロリ病Cystic fibrosis慢性閉塞性総胆管結石胆管狭窄(外科手術時の損傷によるもの、慢性膵炎によるもの)Mirizzi症候群肝移植後の吻合狭窄腫瘍(良性、悪性、転移性)感染性細菌性胆管炎再発性化膿性胆管炎寄生虫感染(cryptosporidiosis、microsporidiosis)サイトメガロウイルス感染中毒性アルコールホルムアルデヒド高張生理食塩水の胆管内誤注入免疫異常好酸球性胆管炎AIDSに伴うもの虚血性血管損傷外傷後性硬化性胆管炎肝移植後肝動脈塞栓肝移植後の拒絶反応(急性、慢性)肝動脈抗がん剤動注に関連するもの経カテーテル肝動脈塞栓術浸潤性病変全身性血管炎アミロイドーシスサルコイドーシス全身性肥満細胞症好酸球増加症候群Hodgkin病黄色肉芽腫性胆管炎通常、肝生検は診断に必須ではないが、施行した場合には、胆管増生、胆管周囲の線維化、炎症、および胆管の消失が認められる。疾患が進行するにつれて、胆管周囲の線維化が門脈域から拡大していき、最終的には続発性胆汁性肝硬変に至る。なお、小児症例では、自己免疫性肝炎との鑑別が困難な症例が多数存在することに、注意が必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)確立された治療法は現在なく、進行した場合は、肝移植が唯一の治療法となる。通常、無症状の患者はモニタリング(身体診察と肝機能検査を年2回など)のみで経過観察する。ウルソデオキシコール酸(商品名:ウルソ[5mg/kg、1日3回、経口、最大15mg/kg/日])は、掻痒を緩和し、生化学マーカー値を改善し、現在第1選択薬となっており、2012年の全国調査でも81%の症例で投与されているが、残念ながら、生存率は改善できない。脂質異常症の治療薬であるベザフィブラート(同:ベザトール)のPSCに対する有効性も報告されているが、報告では胆道系酵素の改善のみで、組織学的な改善や画像診断上の改善を促すものではないが、ウルソデオキシコール酸治療で十分な効果が得られなかった症例でも一定の改善効果がある点が注目されている。慢性胆汁うっ滞および肝硬変に至った場合には、支持療法が必要である。細菌性胆管炎の発症時には、抗菌薬が必要であり、必要に応じて治療的ERCPも施行する。単一の狭窄が閉塞の主な原因と考えられる場合(優位な狭窄、約20%の患者にみられる)は、ERCPによる拡張術(腫瘍の確認のための擦過細胞診も行う)とステント留置術により症状を緩和することができる。PSC患者では、肝移植が期待余命を延長する唯一の治療法であり、治癒も可能である。繰り返す細菌性胆管炎または肝疾患末期の合併症(例:難治性腹水、門脈大循環性脳症、食道静脈瘤出血)には、肝移植が妥当な適応である。脳死肝移植が少ない本邦では生体肝移植が主に行われているが、生体肝移植後PSCの再発率が高い可能性が、わが国から報告されている。4 今後の展望診断に有用な臨床マーカーの確立、病態の解明とそれに基づいた治療法の確立が大きな課題である。5 主たる診療科消化器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 原発性硬化性胆管炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Nakazawa T, et al. J Gastroenterol. 2017;52:838-844.2)Chapman R,et al. Hepatology. 2010;51:660-678.公開履歴初回2019年4月9日

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第11回 意識障害 その9 原因が1つとは限らない! それで本当におしまいですか?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)確定診断するまで思考停止しないこと!2)検査は答え合わせ! 異常値だからといって、原因とは限らない!3)急性か慢性か、それが問題だ! 検査結果は必ず以前と比較!【症例】68歳男性。数日前から発熱、倦怠感を認め、食事量が減少していた。自宅にあった解熱鎮痛薬を内服し様子をみていたが、来院当日意識朦朧としているところを奥さんが発見し救急要請。救急隊の観察では、明らかな構音障害や麻痺は認めず、積極的に脳卒中を疑う所見は乏しい。●搬送時のバイタルサイン意識10/JCS、E3V4M6/GCS血圧142/88mmHg脈拍78回/分(整)呼吸20回/分SpO295%(RA)体温38.2℃瞳孔3/3mm+/+既往歴高血圧(50歳〜)、脂質異常症(44歳〜)内服薬アムロジピン、アトルバスタチン今回は意識障害の最終回です。今までいろいろと述べてきましたが、復習しながら鑑別を進めていきましょう。意識障害の原因は“AIUEOTIPS”に代表されるように多岐にわたります。難しいのは、何か1つ意識障害の原因となりうるものを見いだしたとしても、それのみが原因とは限らないことです。脳出血+痙攣、敗血症+低血糖、アルコール+急性硬膜下血腫、急性期疾患+薬剤の影響、などはしばしば経験します。目の前の患者さんの症状は、自身が考えている原因できちんと説明がつくのか、矛盾点は本当にないのか、最終的に診断をつける際には必ず自問自答しましょう。救急外来での実際のアプローチ今回も10’s rule(表1)をもとに考えていきましょう。画像を拡大する患者さんは数日前から発熱を認め、徐々に状態が悪化しているようです。血圧はやや高めですが、CPSS※(構音障害、顔面麻痺、上肢の麻痺)陰性で、頭痛の訴えもなく脳卒中を積極的に疑う所見は認めませんでした。糖尿病の既往もなく、低血糖の検査前確率は低いですが、感染症(とくに敗血症)に伴う副腎不全や薬剤などの影響で、誰もが低血糖になりうるため、10’s ruleにのっとり低血糖は否定し、頭部CT検査を施行する方針としました。CTでは、予想通り明らかな異常は認めませんでした。qSOFAは意識障害以外該当しないものの、発熱も認め感染症の関与も考え、fever work upを施行する方針としましたが…。※ Cincinnati Prehospital Stroke Scale急性か慢性か、それが問題だ!採血(もしくは血液ガス)の結果でNa値が126mEq/Lを認めました。担当した研修医は、「低ナトリウム血症による意識障害の可能性」を考えました。これはOKでしょうか?採血以外にも、救急外来では心電図やX線、エコー、CTなどの検査を施行することは多々あります。その際、検査に何らかの異常を認めた際には、必ず「その異常はいつからなのか?」という視点を持つ必要があります。以前と異なる変化であれば、今後介入の必要はあるかもしれませんが、少なくとも急性の変化と比較し、緊急性はぐっと下がります。以前の結果と比較(問い合わせをしてでも)することを心掛けましょう。忙しい場合には面倒に感じるかもしれませんが、急がば回れです。不適切な介入や解釈を行わないためにも、その手間を惜しんではいけません。低ナトリウム血症は高齢者でしばしば認めますが、急性の変化でない限り、そして著明な変化でない限り、通常無症候性です。救急外来では120mEq/L台の低ナトリウム血症では、最低限の介入(塩分負荷または飲水制限)は原因に応じて行いますが、それのみで意識障害、痙攣、食思不振などの直接的な原因とは考えないほうがよいでしょう。慢性的な変化、もしくは何らかの急性疾患に伴う変化と考え対応する癖を持ちましょう。大切なのはHi-Phy-Vi!Rule 2にもありますが、やはり大切なのは病歴、身体所見やバイタルサイン(Hi-Phy-Vi:History、Physical、Vital signs)です。この患者さんは、急性の経過で発熱を伴っています。そして、熱のわりには心拍数は上昇していません。このような経過の患者さんに低ナトリウム血症を認めたわけです。何かピンッとくる疾患はあるでしょうか?急性の経過、そしてSIRSやqSOFAは満たさないものの、発熱を認め、呼吸回数も高齢者にしては多いという点からは、感染症の関与が考えられます。菌血症を疑わせる悪寒戦慄は認めませんでしたが、いわゆる細菌感染症として頻度が高いfocusは鑑別の上位に挙がります(参考に第6回 意識障害 その5)。肺炎、尿路感染症、皮膚軟部組織感染症、胆道系感染症などは意識して所見をとらなければ高齢者では容易に見逃してしまうものです。この患者さんは改めて聴診すると、右下葉で“coarse crackles”を聴取しました。同部位のX線所見も淡い浸潤影を認めました。しかし、喀痰のグラム染色では有意な菌は認められませんでした。もうおわかりですね?レジオネラ症(Legionella disease)意識障害などの肺外症状(表2)、グラム染色で優位な菌が認められないとなると、必ず鑑別に入れなければならない疾患が「レジオネラ症」です。レジオネラ肺炎は重症肺炎の際には必ず意識して対応しますが、本症例のように明らかな酸素化低下などの所見が認められない場合や肺外症状をメインに来院した場合には、意識しなければ、初診時に診断することは容易ではありません。しかし、レジオネラ肺炎(Legionella pneumophila)は、マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)やクラミドフィラ(Chlamydophila pneumoniae)など、そのほかの非定型肺炎とは異なり、初診時に疑い治療介入しなければ、予後の悪化に直結します。見逃してはいけないわけです。画像を拡大するレジオネラ症を疑う手掛かりとしては、私は表3を意識するようにしています2,3)。そのほか、検査結果では、電解質異常(低ナトリウム血症、低リン血症)、肝機能障害、CPK上昇を意識しておくとよいでしょう。絶対的なものではありませんが、レジオネラ症らしいか否かを判断するスコアもあるので一度確認しておきましょう4)。画像を拡大するさいごに意識障害の原因は多岐にわたります。自信を持って確定診断するまでは、常に「本当にこれが原因でよいのか?」と自問自答し、対応することが大切です。忙しいが故に検査結果などの異常値を見つけると、そこに飛びつきたくなりますが、そもそも何故その数値や画像の異常が出るのか、それは本当に新規異常なのか、症状は説明がつくのか、いちいち考える癖をつけましょう。その場での確定診断は難しくとも、イチロー選手のように「後悔などあろうはずがありません!」と断言できるよう、診断する際にはこれぐらいの覚悟で臨みましょう。1)Cunha BA. Infect Dis Clin North Am. 2010;24:73-105.2)坂本壮. 救急外来ただいま診断中!. 中外医学社;2015.p.280-303.3)坂本壮. 救急外来 診療の原則集―あたりまえのことをあたりまえに. シーニュ;2017.p.65-67.4)Gupta SK,et al. Chest. 2001;120:1064-1071.

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「薬剤師以外による調剤可能」通知の衝撃度【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第22回

薬剤師法第19条において、「自己の処方箋以外において、薬剤師以外の者が調剤してはならない」と定められていますが、実際には調剤業務という言葉の定義や範囲がグレーなこともあり、問題となることがありました。このたび、厚生労働省より初めてこの議論に終止符を打つ通知「調剤業務のあり方について」が2019年4月2日付で発出され、衝撃が走っています。結論としては、ピッキングや一包化などの調剤業務を非薬剤師が行うのは可能と明言するものですが、ただ単に調剤業務を非薬剤師に任せてよいというわけではないということに注意が必要です。全薬局薬剤師、薬局従事者が一字一句逃さずに読むべき通知ですが、ここでは大きく2つのポイントを示します。1. 調剤業務を薬剤師以外に行わせる方法と業務範囲「薬剤師の目が現実的に届く限度の場所で」「調剤した薬剤の品質などで患者に危害が及ぶことがなく」「当該業務を行う者が判断を加える余地に乏しい機械的な作業」の場合に非薬剤師に調剤業務を任せることができます。具体的には、PTPシートのピッキングや一包化された薬の数量確認が例として挙げられていますが、あくまでも最終的な確認は薬剤師が行う必要があり、軟膏剤、水剤、散剤などの計量、混合は含まれません。この通知を読んだ薬局従事者全員が、この業務はできる、この業務はできない、と同一の判断ができればいいのですが、薬局によって、また人によって調剤業務の解釈が異なる場合があります。そのため、薬局開設者は、誰が読んでも同一の解釈ができるように、手順書の作成、研修の実施、記録などの対応が求められています。調剤できる能力や理解があることを確認しているという意味で、テストなどを実施し、記録してもいいかもしれません。また、実際に非薬剤師が調剤業務を行った場合にも、誰が調剤したのかという記録は必要ですので、日々の業務における手順の共有や見直しなども必要になるでしょう。2. 通知の目的昨年末に厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会により出された「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」には、薬剤師の行う対人業務を充実させる観点から、対物業務の効率化を図る必要がある、と記載されています。調剤機器やIT技術などの活用により業務の効率化が可能になったことも踏まえ、薬剤師にしかできない本来業務を果たすために、今回の調剤業務のあり方についての通知が発出されたものと考えられます。何のためにこの通知が発出されたのか、ということを肝に銘じながら非薬剤師に調剤業務を任せるべきでしょう。調剤業務を非薬剤師に任せた場合、薬剤師はカウンターや患者さん宅でより薬学的な専門性の高い業務や医師への提案、投薬後の患者フォローを行う割合を増やすのが当然です。薬剤師は疾患についての勉強だけでなく、コミュニケーション力や他職種からの情報収集力など、対人スキルをよりいっそう磨く必要があるでしょう。この通知には、具体的な業務に関してはさらに整理を行い、別途通知を出す旨の記載があります。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の改正の議論のなかで、薬局や薬剤師のあり方について非常に辛辣な意見があったことや、「薬剤師の行う対人業務を充実させる」という目的と方向性を考えると、次の通知は非薬剤師に任せられる調剤業務という範囲にとどまらない可能性があります。私としては、今回の通知の事前情報の少なさと発出のタイミングにギョッ!としたのは事実ですが、このくらいのサプライズがまだほかにあっても不思議ではありません。引き続き、動向を見守りたいと思います。

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「がん患者におけるせん妄ガイドライン」が発刊!

 「せん妄」と聞くと、術後せん妄や高齢者をイメージすることが多いのではないだろうか。しかし、がん自体やその治療の副作用に伴う痛みや不安・不眠を取り除くために使用するオピオイド、ならびに精神安定薬の使用も、せん妄の大きな要因の一つになっているという。このような現状を踏まえ、2019年2月27日、日本サイコオンコロジー学会と日本がんサポーティブケア学会が協力し、「がん患者におけるせん妄ガイドライン」を発刊した。がん患者を念頭においたせん妄ガイドラインはあまり多くない せん妄は、患者だけでなく、介護をする家族や医療者にも大きな影響をもたらすため、超高齢社会を迎えた日本では、せん妄の予防・対策が重要になると予想される。「がん患者におけるせん妄ガイドライン」は、がん患者のせん妄に関する先行知見や実証的なエビデンスが、臨床に即した形でまとめられている。序文では、明智 龍男氏(日本サイコオンコロジー学会代表理事)や田村 和夫氏(日本がんサポーティブケア学会理事長)が、「せん妄に関してはたくさんの指針やガイドラインがあります。一方、がんという疾患の軌跡の特殊性も念頭においたガイドラインはあまり多くありません」など、発刊の経緯を記している。医療者の疑問に答えるせん妄ガイドライン 「がん患者におけるせん妄ガイドライン」では、がん患者におけるせん妄の基礎知識を総論とし、全4章から成る。評価方法や薬物療法・非薬物療法などに関する9つの臨床疑問を設けて、現場に即した指針が提示されている。 I章は、ガイドラインの目的や使用上の注意、エビデンスレベルと推奨の強さについて。II章は、総論と表し、がん患者におけるせん妄の頻度やその特徴、原因、治療方法が記載されている。臨床での疑問に触れているIII章では、「がん患者のせん妄には、どのような原因(身体的原因・薬剤原因)があるか?」、「せん妄を有するがん患者に対して、せん妄症状の軽減を目的としてベンゾジアゼピン系薬を単独で投与することは推奨されるか?」、「せん妄を有するオピオイド投与中のがん患者に対して、せん妄症状の軽減を目的としてオピオイドを変更すること(スイッチング)は推奨されるか?」などに対して解説がされている。第IV章には、資料として概要やシステマティックレビュー、今後の検討課題、患者・家族へのせん妄説明パンフレットなどが盛り込まれている。

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ラムシルマブ+エルロチニブ、EGFR陽性NSCLCの1次治療で主要評価項目を達成/リリー

 イーライリリーアンドカンパニーは、2019年3月12日、ラムシルマブ(商品名:サイラムザ)の第III相試験(RELAY)で、サイラムザ+エルロチニブ併用療法がプラセボ+エルロチニブの併用に比べ、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に延長したことを発表。本試験は、転移のあるEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療で、サイラムザ+エルロチニブの併用療法をプラセボ+エルロチニブの併用と比較したもの。 RELAY試験で認められたラムシルマブ+エルロチニブの併用療法の安全性のプロファイルは、これまでラムシルマブおよびエルロチニブにおいて報告されている安全性のプロファイルと同様であった。プラセボと比較してラムシルマブ群で5%以上高く発現したGrade3以上の主な副作用は、高血圧、ざ瘡様皮膚炎、下痢であった。 有効性及び安全性の結果の詳細は2019年の医学学会で発表予定。

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