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安定狭心症の血行再建適応評価はMRIとFFRのいずれで行うべきか?(解説:上田恭敬氏)-1076

 典型的な狭心症症状があって、トレッドミル負荷心電図陽性で、複数の冠危険因子を持つ918症例を登録して、MRIによる虚血評価を行う群とFFRによる虚血評価を行う群に無作為に割り付ける、国際多施設無作為化非劣性試験が行われた。主要評価項目は12ヵ月時点でのMACE(全死亡、心筋梗塞、target-vessel revascularization)であった。 MRI群(454症例)のうち445例が実際にMRIを受け、221例が虚血陽性となったためCAGが必要とされた。実際にCAGを実施した219例のうちCAG陽性であった184例(40.5%)が血行再建(PCIまたはCABG)の適応ありと判断されたが、実際に血行再建を受けたのは162例(35.7%)であった。逸脱としては、MRIを受けなかったのが9例、CAGを受けなかったのが2例、血行再建を受けなかったのが22例であった。 FFR群(464症例)のうち449例がCAGを受け、282例がCAG陽性であったためFFRが必要とされた。実際にFFRを実施した265例のうちFFR陽性であった213例(45.9%)が血行再建の適応ありと判断されたが、実際に血行再建を受けたのは209例(45.0%)であった。逸脱としては、CAGを受けなかったのが15例、FFRを受けなかったのが17例、血行再建を受けなかったのが15例であった。 MRI群とFFR群を比較すると、血行再建の適応ありと判断された割合は40.5%対45.9%(p=0.11)と差がなかったが、実際に血行再建を受けた割合は35.7%対45.0%(p=0.005)とFFR群で有意に高値であった。主要評価項目のMACEは3.6%対3.7%で非劣性が示された。また、12ヵ月時点で狭心症症状が消失している割合は49.2%対43.8%で差がなかった。よって、MRIによって虚血評価を行うことは、FFRによって虚血評価を行うことに比して、血行再建の実施率が低くなり、12ヵ月時点のMACEにおいて非劣性であることが示されたと結論している。 MACEの多くは虚血の有無や血行再建の必要性が検討された関心病変とは関係なく発生することや、虚血の原因とならないことが示された関心病変も後日MACEの原因となる場合があることから、予後が虚血の評価法に左右されないことを示唆する本研究の結論は正しいようにも思われるが、試験としてはいくつか疑問点がある。まず、典型的な狭心症症状があってトレッドミル陽性の症例を集めているにもかかわらず、半数以下の症例でしか血行再建の適応がなく実施もされておらず、12ヵ月の時点では狭心症症状が半数弱の症例で残存している状況をみると、それら数値の説明が論文中にないため、いずれの群においても血行再建の適応評価が適切に行われたのか疑問である。次に、MRI陽性者中のCAG陽性率が83.3%、FFR割付群全体のCAG陽性率が60.8%となっているが、「CAG陽性」の定義が記載されておらず、CAGの結果についても記載がない。CAG陰性の167例ではFFR群であるにもかかわらずFFRが実施されず、CAG陽性&FFR陰性の2例で狭心症症状軽減を目的としてPCIが実施されていることからも、FFRの実施が適切だったかどうか疑問である。CAGでは有意な狭窄でなくても虚血の原因となりうることは、FFRを用いた多くの研究で示されていることである。CAGやFFR、PCIといったinvasive strategyに関して、適切に行われたか否か疑問の残る試験ではないだろうか。

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第2回 眼科の手技 その1【一般内科医が知っておきたい他科の基本処置】

第2回 眼科の手技今回の眼科編では、眼の異常所見“Red eye”の診断について学習します。日常診療で患者さんの眼に異常をみかけたら、簡単な診療をすると喜ばれますし、白内障などの見落としてはいけない疾患の早期発見につながればさらに信頼度は高まります。ケース1では10歳女児の「眼の充血」からどのような手技、検査、視診が必要かを学びます。また、患者さんやその家族にできる療養指導やアドバイスなども網羅。解説は石井 恵美氏(やくも診療所 院長)、監修はへき地・離島医療の助っ人ゲネプロ。【眼科編 1】症例から診る眼の異常所見

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うつ病に対するボルチオキセチン治療と自殺リスク

 米国・BlackThorn TherapeuticsのAtul R. Mahableshwarkar氏らは、成人うつ病患者に対するボルチオキセチン治療に関連する自殺念慮や自殺行動のリスクを評価するため検討を行った。CNS Spectrums誌オンライン版2019年6月14日号の報告。 自殺関連事象は、2つの試験プール(短期[6~8週間]プール試験:10ランダム化プラセボ対照試験、長期[52週間]プール試験:3オープンラベル拡大試験)を用いて事後評価した。自殺関連事象の評価には、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)および治療下で発現した有害事象(TEAE)のデータを用いた。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時、短期プール試験においてC-SSRSの自殺念慮または自殺行動が報告された患者の割合は、プラセボ(14.7%)と同程度であった(ボルチオキセチン5mg:19.8%、ボルチオキセチン10mg:13.0%、ボルチオキセチン15mg:11.2%、ボルチオキセチン20mg:13.7%、デュロキセチン:13.2%)。また、6~8週間の治療期間を通じて変化は認められなかった(プラセボ:17.0%、ボルチオキセチン5mg:19.3%、ボルチオキセチン10mg:13.5%、ボルチオキセチン15mg:12.6%、ボルチオキセチン20mg:15%、デュロキセチン:11.3%)。・短期プール試験でのTEAEに基づく自殺関連事象の発生率は、プラセボ0.4%、ボルチオキセチン5mg:0.2%、ボルチオキセチン10mg:1.0%、ボルチオキセチン15mg:0.7%、ボルチオキセチン20mg:0.7%、デュロキセチン:0.7%であった。・52週間のボルチオキセチン治療後での発生率は、C-SSRSの自殺念慮9.8%、C-SSRSの自殺行動0.2%、TEAEに基づく自殺関連事象1%未満であった。・いずれの研究においても、自殺は完遂されなかった。 著者らは「うつ病患者の自殺念慮や自殺行動リスクの増加に、ボルチオキセチンは影響を及ぼさないことが示唆された」としている。■「ボルチオキセチン」関連記事ボルチオキセチン治療中のうつ病患者における睡眠と抑うつ症状との関係

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潰瘍性大腸炎の炎症の程度を便で診断

 2019年6月26日、アルフレッサ ファーマ株式会社は、体外診断用医薬品として潰瘍性大腸炎(以下「UC」と略す)の病態把握の補助に使用されるカルプロテクチンキット「ネスコートCpオート」が、6月5日に製造販売承認を取得したことを機に、都内で「潰瘍性大腸炎の治療継続における課題とは」をテーマにプレスセミナーを開催した。潰瘍性大腸炎患者に有用な診断キット セミナーは、日比 紀文氏(北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療[IBD]センター長)の司会により進行し、同氏は「潰瘍性大腸炎は全世界で500万人の患者が推定され、わが国はアメリカについで患者数が多い国である。潰瘍性大腸炎は現在も原因不明の疾患であり、主な症状は、持続反復する下痢、血便、頻回のトイレなどがあり、活動期と寛解期を繰り返すのが特徴。治療では、5SAS製剤、JAK阻害薬などが使用されている。潰瘍性大腸炎の適切な治療では、病態の正確な把握が必要だが内視鏡検査が広く行われている。しかし、内視鏡検査は侵襲性が高く、患者負担も大きいため、非侵襲性の検査が長らく待たれていた。今回製造販売承認されたネスコートCpオートであれば10分で測定ができ、外来でも有用だと期待しているし、患者にも身体・経済面でメリットがある」と潰瘍性大腸炎の疾患概要と本診断キット開発の意義を説明した。潰瘍性大腸炎治療の要は適切なモニタリング つぎに、講演として「潰瘍性大腸炎診療~便中カルプロテクチン測定の展望と課題~」をテーマに、久松 理一氏(杏林大学医学部 第三内科学教室 消化器内科 教授)がレクチャーを行った。 久松氏は、はじめに潰瘍性大腸炎の病態、症状を詳説し、とくに症状について、直腸に炎症があると残便感が消えず、絶えず下痢や腹痛におびやかされる状態になること、10代後半の若年から発症し、進学や就職など大切なライフイベントと重なることもあり、潰瘍性大腸炎は患者の生活の質や活動領域を著しく悪化させることを説明した。 治療では、患者の将来を見据え、大腸全摘の回避と大腸がんへのリスクを軽減する必要がある。先述の治療薬を使用して再燃する活動期の寛解導入療法と寛解期の寛解維持療法が行われる。そして、治療で重要なのが、適切なモニタリングであり、内視鏡検査が病勢評価のゴールドスタンダードとして使用されている。 しかし、内視鏡検査は、さまざまな患者負担があり、安全かつ簡易に内視鏡と相関するバイオマーカーの開発が望まれてきたと開発までの経緯を説明した。潰瘍性大腸炎の診断が外来の待ち時間でわかる こうした要望により開発されたのが「ネスコートCpオート」であり、これは便中のカルプロテクチンを測定し、検出された濃度により活動期と寛解期を把握するものである。カルプロテクチンは、主に好中球から分泌されるカルシウム結合タンパクで、腸内に炎症が起こると、腸壁から浸潤した白球血とともに糞便に入り体外に排出される。便中のカルプロテクチンは室温で5~7日程度安定し、その濃度と内視鏡的活動性は高い相関を示すという。検査は、患者より採取した便を検査することで、10分でカルプロテクチン濃度が測定できる。とくに便中のカルプロテクチン濃度は臨床症状が出現する前から上昇することから、再燃時の事前予測にも活用できる可能性もある。また、欧米ではカルプロテクチン測定は、すでにIBD(炎症性腸疾患)の診断・活動性評価に使用されているという。 今後の展望として、同氏は「外来の待ち時間で測定が完了し、医療側も新しい機器をそろえる必要のないこの診断キットは、軽症の潰瘍性大腸炎患者のモニタリングとして内視鏡検査を減らすことができる。主治医は患者と検査結果を見ながら治療方針を決めていくことができるようになる」と期待を寄せ、レクチャーを終えた。 なお、本製品は、現在保険申請の準備中である。

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前立腺がんのアンドロゲン除去療法と認知症~15万例の解析

 アンドロゲンの低下は、除脂肪体重の減少や糖尿病、心血管疾患、うつ病など、アルツハイマー病や認知症の危険因子を増大させる可能性がある。前立腺がんにおけるアンドロゲン除去療法(ADT)は認知機能に影響するのだろうか。今回、米国ペンシルバニア大学のRavishankar Jayadevappa氏らが、15万例超の高齢前立腺がん患者のデータを分析したところ、アンドロゲン除去療法を受けた後少なくとも10年間は、アルツハイマー病や認知症の診断と関連することが示された。JAMA Network Open誌2019年7月3日号に掲載。アンドロゲン除去療法の曝露:非曝露で認知症は21.6%:15.8% 本研究は、米国国立がん研究所(NCI)のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)-Medicare Linked Databaseを用いた後ろ向きコホート研究で、1996~2003年に新たに前立腺がんと診断された65歳以上の男性29万5,733例のうち、研究基準を満たした15万4,089例が対象。分析は2018年11月1日~2018年12月31日に行われた。著者らは、前立腺がんの診断から2年以内にアンドロゲン除去療法を受けた患者を同定し、生存期間分析でアンドロゲン除去療法曝露と追跡期間におけるアルツハイマー病または認知症の診断との関連を検討した。 アンドロゲン除去療法と認知症の関連についての主な研究結果は以下のとおり。・15万4,089例のうち、前立腺がん診断の2年以内に6万2,330例(平均年齢:76.0[SD:6.0]歳)がアンドロゲン除去療法を受け、9万1,759例(平均年齢:74.3歳[SD:6.0])がアンドロゲン除去療法を受けていなかった。平均追跡期間は8.3年(SD:4.7)であった。・アンドロゲン除去療法曝露はアンドロゲン除去療法非曝露と比較して、アルツハイマー病(13.1% vs.9.4%、差:3.7%、95%CI:3.3~3.9%、p<0.001、ハザード比[HR]:1.14、95%CI:1.10~1.18)と認知症(21.6% vs.15.8%、差:5.8%、95%CI:5.4~6.2%、p<0.001、HR:1.20、95%CI:1.17~1.24)の診断と関連していた。・NNT(number needed to harm)は、アルツハイマー病で18例(95%CI:17~19)、認知症で10例(95%CI:9.5~11)であった。

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DES留置後のクロピドグレル併用DAPT、至適期間は?/BMJ

 中国・中南大学のShang-He-Lin Yin氏らは、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)で薬剤溶出ステント(DES)留置後のクロピドグレルを用いる抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)について、標準(12ヵ月間)または長期(>12ヵ月間)と短期(<6ヵ月間)の有効性と安全性を比較検証したシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果を報告した。すべての臨床症状を有する患者において短期と比較して、長期は大出血と非心臓死が増加し、標準で全出血のリスクが増加した。また、急性冠症候群(ACS)患者では、短期と標準で有効性と安全性は同様であった。新世代DES留置患者では、短期と比較して長期で全死因死亡が増加した。著者は、「DAPTの至適期間は、患者個々の虚血/出血リスクを考慮すべきではあるが、本検討において、DESを留置するPCIではほとんどの患者に短期DAPTを考慮することが望ましいことが示唆された」とまとめている。BMJ誌2019年6月28日号掲載の報告。無作為化比較試験17件についてネットワークメタ解析を実施 研究グループは、Medline、Embase、Cochrane Library for clinical trials、PubMed、Web of Science、ClinicalTrials.govおよびClinicaltrialsregister.euを用い、1983年6月~2018年4月に発表された、PCIによるDES留置後のDAPTに関する無作為化比較試験を特定し、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。 解析には、DAPTの3つの期間(短期、標準、長期)のうち2つを比較検証した研究17件(計4万6,864例)が組み込まれた。 主要評価項目は、心臓死または非心臓死、全死因死亡、心筋梗塞、ステント血栓症、すべての出血性イベントとした。DES留置後のクロピドグレルを用いたDAPTは6ヵ月未満が望ましい 短期DAPTと比較し、長期DAPTは大出血(オッズ比[OR]:1.78、95%信頼区間[CI]:1.27~2.49)および非心臓死(OR:1.63、95%CI:1.03~2.59)の発生率増加が、標準DAPTはあらゆる出血(OR:1.39、95%CI:1.01~1.92)の発生率が増加することが示された。他の評価項目については顕著な差は確認されなかった。 感度解析の結果、短期または標準DAPTと比較し、18ヵ月以上のDAPTでは非心臓死と出血がさらに増加することが明らかとなった。サブグループ解析では、新世代DESを留置した患者において、長期DAPTは短期DAPTより全死因死亡が増加した(OR:1.99、95%CI:1.04~3.81)。また、ACSを呈し新世代DESを留置した患者において、標準DAPTは短期DAPTと同様の有効性と安全性を示した。 著者は、プールした試験の異質性は低く、結果の解釈に対する信用性は高いと考えられるとする一方、研究の限界として、クロピドグレルを基本にしたDAPTの期間を主に評価したもので、他のP2Y12阻害薬では結論が異なる可能性があること、いくつかの試験では報告されていない評価項目があることなどを挙げている。

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2型DM、食事の脂肪の質が死亡リスクと関連/BMJ

 2型糖尿病患者において、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取量増加は炭水化物または飽和脂肪酸の摂取と比較して、全死亡および心血管死の低下と関連していることが認められた。中国・浙江大学のJingjing Jiao氏らが、米国のNurses' Health StudyおよびHealth Professionals Follow-up Studyのデータを解析して明らかにした。著者は、「結果は、2型糖尿病患者の心血管死および全死亡の予防に、食事中の脂肪の質が重要な役割を果たすことを強調するものである」とまとめている。糖尿病患者の食事ガイドラインでは、良好な健康を維持するためにトランス脂肪の摂取を減らし、飽和脂肪を不飽和脂肪に置き換えることを推奨しているが、これは一般集団での検討結果に基づいたもので、糖尿病患者における特定の食事中の脂肪と全死亡および心血管死との関連性についてはほとんど知られていなかった。BMJ誌2019年7月2日号掲載の報告。米国の2つの大規模コホートから2型糖尿病患者約1万1千例を解析 研究グループは、2型糖尿病患者における食事中の脂肪と心血管死および全死亡との関連を評価する目的で、米国のNurses' Health Study(1980~2014年)およびHealth Professionals Follow-up Study(1986~2014年)の2型糖尿病患者1万1,264例について解析した。 参加者は、食事中の脂肪の摂取について、食事摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire:FFQ)を用いた2~4年ごとの調査を受けていた。 主要評価項目は、追跡期間中の全死亡と心血管死である。Cox比例ハザードモデルを用い、食事中の脂肪の摂取量と主要評価項目との関連について解析した。PUFA、n-3系PUFA、リノール酸の高摂取は低摂取より心血管死が2~3割低下 追跡期間中、死亡は2,502例(うち心血管死646例)が確認された。多変量解析の結果、PUFAの摂取は全炭水化物と比較し心血管死のリスク低下と関連していた。摂取量の第1四分位と比較した第4四分位のハザード比(HR)は、PUFAで0.76(95%信頼区間[CI]:0.58~0.99、傾向のp=0.03)、海産物由来のn-3系PUFAで0.69(95%CI:0.52~0.90、p=0.007)、α-リノレン酸で1.13(95%CI:0.85~1.51)、リノール酸で0.75(95%CI:0.56~1.01)であった。全死亡についても、PUFA、n-3系PUFA、リノール酸で同様の関連が確認されたが、植物性ではなく動物性の一価不飽和脂肪酸は全死亡のリスク増加と関連していた。 飽和脂肪酸からのエネルギーの2%を、総PUFAまたはリノール酸からの同等のカロリーに置き換えると、13%(HR:0.87、95%CI:0.77~0.99)、15%(HR:0.85、95%CI:0.73~0.99)、それぞれ心血管死のリスクが低下した。また、飽和脂肪酸からのエネルギーの2%を総PUFAに置き換えると、全死亡のリスクが12%低下した(HR:0.88、95%CI:0.83~0.94)。 なお著者は、血糖コントロールや糖尿病の重症度は評価されていないこと、食事や生活習慣の要因が自己報告であること、残余交絡の可能性などを研究の限界として挙げている。

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疼痛・疲労・精神的苦痛の支援を受けたことがない―がん患者の3~5割/JCO

 どれほどのがん患者が疼痛、疲労、精神的苦痛を有し、またそれらに対するケアは行われているのか。米国・がん協会のTenbroeck G. Smith氏らは、地域のがんセンターで治療を受けている患者を対象に、それらの有症率などを調査した。その結果、30~50%のがん患者が、疼痛、疲労および精神的苦痛について、話し合ったり、アドバイスを受けたり、期待した支援を受けたことがないと回答したという。著者は、「これら3つのがん関連症状の管理に関して改善の余地がある」と述べたうえで、それぞれの症状の有症率の高さについても「重要と思われる」と指摘している。Journal of Clinical Oncology誌2019年7月1日号掲載の報告。 研究グループは、米国のCommission on Cancer認定がんセンター17施設から、local/regional乳がん(82%)または大腸がん(18%)の患者を抽出してアンケート調査を行い、2,487例の回答を得た(回答率61%)。 主な結果は以下のとおり。・疼痛、疲労および苦痛について、臨床医と話し合ったと報告した患者の割合はそれぞれ76%、78%および58%、アドバイスをもらったと報告した患者の割合はそれぞれ70%、61%および54%であった。・疼痛、疲労および苦痛を経験した患者の割合は、それぞれ61%、74%および46%であった。・疼痛、疲労および苦痛を経験した患者の中で、支援を得たと報告した患者はそれぞれ58%、40%および45%であった。・根治的治療を受けている(または最近治療が完了した)患者は、根治的治療から時間が経った患者に比べ、症状に対する良好なケアを受けていると回答した。

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日本人卵巣がんのBRCA変異保有率は欧米と同等/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社は、卵巣がんにおけるBRCA1/2(以下、BRCA)遺伝子変異の保有率に関する大規模調査 Japan CHARLOTTE study(以下、CHARLOTTE)を国内63の医療施設で実施した。日本人症例における初の大規模な調査であり、婦人科領域のがんゲノム医療を推進する貴重なデータとなる。なお、CHARLOTTEの結果は、2019年7月1日付でInternational Journal of Gynecological Cancer電子版に掲載されている。卵巣がんにおけるBRCA遺伝子変異陽性の割合は14.7% CHARLOTTEは、国内における新規診断を受けた上皮性卵巣がん、原発性腹膜がん、卵管がん症例のBRCA遺伝子変異の保有率を把握することを目的に、2016年12月~2018年6月までに登録された666症例のうち、BRCA遺伝子検査を実施した634症例を対象に調査した。 日本人における卵巣がん患者のBRCA遺伝子変異の保有率については、データが限られていたが、本調査の結果から新規診断を受けた卵巣がんにおけるBRCA遺伝子変異陽性の割合は14.7%と欧米人を対象とした研究報告(14.1%)と同程度であることが明らかとなった。また進行卵巣がん(FIGO分類III期またはIV期)における陽性の割合は24.1%と、早期卵巣がん(4.9%)より高い保有率であった。 BRCA遺伝子変異の保有率に関する大規模調査Japan CHARLOTTE studyの主な結果は以下のとおり。・進行卵巣がん(FIGO分類III期またはIV期)におけるBRCA遺伝子変異の割合は24.1%(78例/BRCA1:16.3%、BRCA2:7.7%)であった。・卵巣がん全体(FIGO分類I期~IV期)のBRCA遺伝子変異の割合は14.7%(93例/BRCA1:9.9%、BRCA2:4.7%)で、欧米保有率と同程度であることが確認された。・診断名別のBRCA遺伝子変異は、上皮性卵巣がんで12.7%(68/534例)、卵管がんで29.2%(14/48例)、原発性腹膜がんで21.2%(11/52例)であった。・組織学的分類別では、短期間で発症し、進行がんが多い高異型度漿液性がんにBRCA遺伝子変異が最も多く、その割合は28.5%(78/274例)であった。・BRCA遺伝子検査を受けた患者の96%以上が、実施前のカウンセリングに対して実施者(臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーまたは担当主治医)の職種にかかわらず、「十分満足している」または「満足している」と回答した。

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未治療骨髄腫に対するダラツムマブ、レナリドミド、デキサメタゾン併用療法に期待するモノ(解説:藤原弘氏)-1075

 新規治療薬開発が進み、QOLの改善と全生存率(OS)の延長が進む多発性骨髄腫(MM)だが、いまだに治癒(Cure)しない。そこで、次の治療戦略が微小残存病変(MRD)陰性完全寛解(CR)の達成から無増悪生存(PFS)の延長、その先に治癒を見据えるのは理にかなっている。Proteosome阻害剤(PIs)、iMIDsに加えて抗体製剤の登場が、その流れを加速させている。 最近、自己造血幹細胞移植適応のない未治療MMに対するダラツムマブ併用レナリドミド/デキサメタゾン(DLd)療法のLd療法に対する優位性を示す大規模な第III相臨床試験(MAIA試験)の結果が、Facon T.博士らのグループからNew England Journal of Medicine誌に掲載された(内容はすでに2018年、米国血液学会で報告されていたが)。その結果は、白血球減少と感染症リスクはあるが、ダラツムマブ併用で無増悪生存率(PFS)が有意差をもって延長し、CR+sCR達成率に加えて、Flow-cytometer法による微小残存病変陰性(105個細胞中1個以下)達成率も有意差をもって勝っていた。再発難治性(r/r)MMに対して、ダラツムマブ併用がPFS/OSの達成に優れていることはすでに他試験でも報告されている。この結果を受けて、本邦でもヤンセンファーマが未治療MMに対するDLd療法の適応追加をこの4月に申請しており、早晩、未治療MM治療にダラツムマブが使えるようになるだろう。 そして、このMAIA試験では両群間でOSに差がなかった。より強い治療強度で、total-cell-killを目指す治療戦略が必ずしも患者OSの改善に寄与しないことは、日々血液悪性腫瘍患者と向き合う中でわれわれが体感・共有している事実である。 いわゆるreal-world(日常診療)においては、未治療MM患者のおよそ2/3はさまざまな要因で移植適応がない。また、移植はしても再発抑制のために少なくとも数年は何らかの維持療法を続けている。移植ができてもできなくても、現実は、病勢を制御しOSの延長を目指して、MM増悪まで延々と何らかの治療を継続している状況にある。私自身も、移植適応のない未治療MM患者に対しては、ダラツムマブの保険適用の関係もあるが、外来でPIs+iMIDs+デキサメタゾンの3剤併用療法を開始し、治療効果を得て抗体治療を含む維持療法へ移行する方針で治療し、またおよそ対応できてはいる。 しかしながら、MAIA試験のこの後を含めた長期観察によって、より深い寛解の達成とPFSの延長が治癒へつながることが示されるのなら、より積極的にtherapy-offそして治癒を目指して自分の治療方針も再考すべきだろう。そのためには、MRDの評価基準の確立や臨床試験でのその意義の検証など課題もあるのだが、単純にDLd治療後すぐに再燃する例は次にどうしようか?とも思ってしまう。「リスクとベネフィットを考慮して」とは使い古された表現だが、主にフロントラインの病院で高齢患者様が大部分を占めるMM診療を行い、その主たる治療目標を患者QOLの維持とOSの延長に置いている私としては、もう少し、経過を見極めたいとも感じるのは、いささか“覇気”に欠けるだろうか。

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Siriに…通じた(泣)【Dr. 中島の 新・徒然草】(280)

二百八十の段 Siriに…通じた(泣)Siriとは皆さん御存じの iPhone の音声入力ツールです。単なる音声入力というより、色々返事をしてくれるキャラといってもいい存在かもしれません。で、ある日、私は思いついたわけです。このSiriを英語設定にして、「ドゥワミダセラッパミリン?」と言ってみたら、と。このカタカナの羅列は第二百七十三の段「ニック式英会話」で紹介したオーストラリア人講師、ニック先生 YouTube で “Do you want me to set up a meeting?” は、「ドゥワミダセラッパミリン?」で十分通じますよ、と解説していた台詞です。さらにニック先生は、「meeting は日本語の『味醂(みりん)』みたいな発音ですね」と説明していました。その時は笑いながら見ていたのですが、Siriに通じるのか、ちょっとやってみました。中島「ドゥー和見だ世良っぱ味醂?」(私がミーティングをセットしましょうか?)Siri“What date and time is your appointment?”(あなたのアポの日と時刻はいつなの?)つ、通じとるがな!ちなみに私の喋った部分も画面に表示されていて、ちゃんと “Do you want me to set up a meeting?”になっています。これは衝撃でした。「和見だ」が“want me to”に、「世良っぱ」が“set up a”に、そして「味醂」が“meeting”に、完璧に変換されています。「Siriに通じて嬉しい」と思う反面、「これが通じるのなら、今まで僕が習ってきた英語は何だったんだ? 最初からこういう風に教えてくれていたらよかったのに」と、そう思わずにはいられませんでした。さらに実験です。今度は、「アイダンナウェウェガナゴー」(I don't know where we're going to go.)とSiriに言ってみました。これもニック先生が「これで十分通じるよ。whereもwe're も、どっちも『ウェ』と発音しようね」とYouTubeで説明していたのをやってみたものです。中島「愛、旦那、上上賀名号!」(僕たち何処に行こうとしているのか、わからないよ)Siri“Don't worry about it, 伸.“(そのことについては心配しなくていいわよ、伸)中島「ありがとう、Siri(泣)」てか、通じてるじゃん、これも!私の喋った部分についても“I don't know where we're going to go.”と正確に、というか、意図通りに表示されています。どうなってんの?しかも私の台詞のうち、最初の「上」が“where”、次の「上」が“we're”と、キチンと区別されています。再び「僕たち日本人が習ってきた英語は何だったんだ。ちゃんと普段喋っている通りに教えてくれよ」と思ってしまいました。日本語に例えるとわかりやすいかもしれません。日本語教室で外国人に対して、「ありがとうございます」「こんにちわ」と教えていながら、自分たち日本人は日常会話で「あざーす」「ちゃーす」とやっているみたいなもんです。無茶苦茶やがな。というわけで、日々、「世良っぱ味醂」などと練習しております。下手な英語に根気よく付き合ってくれているSiri、ありがとう!最後に1句Siri相手 英語を練習 夏の日々

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第24回 脳梗塞/TIA患者の抗血小板薬2剤併用療法はいつまで行うのがベスト?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 抗血小板薬2剤併用療法(Dual antiplatelet therapy:DAPT)は、脳梗塞の既往がある患者さんやステント留置後の患者さんでよく行われるため、薬局で処方を見掛けることも多いと思います。今回は、2018年にBMJ誌に掲載された軽症虚血性脳梗塞または高リスク一過性脳虚血発作(TIA)患者におけるクロピドグレル+アスピリンのDAPTとアスピリン単独療法を比較したシステマティックレビュー(以下、SR)を紹介します1)。この研究が行われた背景には、BMJ Rapid Recommendations(RapidRecs)プロジェクトの一環として、治療方法の推奨を作るという目的があります。インパクトのある新規研究が発表されたら、診療ガイドラインの推奨を素早く作成するのが望ましいですが、現実的には特定の臨床上の疑問(Clinical question)に対して網羅的に研究を調査し、それらをまとめて分析統合を行う手順、つまりSRが行われ、新規研究が出てから推奨を作成するまでの時間的ギャップが課題となっています。たとえば、SRが最新かつ信頼があつい期間といえる“寿命”を調べた研究では、後行研究が出た後の統計的有意差の変化、効果量の50%を超える相対的な変化や意思決定に影響を与えるために十分な新情報、先行研究への重要な警告、より優れた治療法の出現を既存SRの寿命のシグナルとみた場合に、SRの“寿命”の中央値は5.5年で、1年以内に15%、2年以内に23%のエビデンスが覆り、7%はすでに出版時点で逆の結果が出ているという報告があり2)、タイムリーに新規研究を含めたまとめを作ることの大切さを物語っています。2020年には医学情報量が倍増するのにかかる期間はわずか0.2年(73日)になるという予測すらありますから3)、RapidRecsのように即座にSRを行う重要性は今後ますます増えるでしょう。DAPTを24時間以内に開始し、10~21日間の継続でベネフィット最大DAPT vs.アスピリン単独療法のSRに話を戻しますと、本研究は2018年7月にNew England Journal of Medicine誌に掲載されたPOINT trial(Johnston SC, et al. N Engl J Med. 2018;379:215-225.PMID: 29766750)の結果を受けて行われています。内容としては、急性軽症虚血性脳卒中または高リスクTIAと診断された患者で、クロピドグレル+アスピリンのDAPTを発症後3日以内に開始した場合と、アスピリン単独療法を発症後3日以内に開始した場合を比較し(最終的に組み入れられた研究は発症後24時間以内または12時間以内)、90日までの転帰(全死亡、脳卒中による死亡、非致死的虚血性/出血性脳卒中、頭蓋外出血、TIA、心筋梗塞、機能的転帰など)を調査した研究です。データベースのMEDLINE、EMBASE、CENTRAL、Cochrane Library、ClinicalTrials.gov、WHO website、PsycINFO、grey literatureを網羅的に検索して研究を集めています。2名の評価者によって、各研究のバイアスのリスクが評価され、最終的な合意形成は第三者を交えてされています。バイアスのリスクの評価基準は、Cochraneのrisk of biasツールの調整版が用いられており、各研究におけるランダム割り付けの有無、脱落データの割合、割り付けの隠蔽化、研究参加者/介入者/アウトカム評価者のマスキング、その他バイアスが評価されていますので、厳密な方法論で行われたSRとみてよいと思います。最終的に採用されたランダム化比較試験は3件(FASTER、CHANCE、POINT)で、合計症例数は1万447例でした。アウトカムごとに統合された結果をみると、DAPT群ではアスピリン単独群に比べ、非致死的脳卒中の再発が低減しており、リスク比は0.70(95%信頼区間[CI]:0.61~0.80)、絶対リスク減少率は1.9%(NNT換算すると53)でした。総死亡については両群で有意差はありませんでしたが(リスク比:1.27、95%CI:0.73~2.23)、中等度または重度の頭蓋外出血については、DAPT群のリスク比は1.71(95%CI:0.92~3.20)、絶対リスク上昇率は0.2%とアスピリン単独群よりも増加傾向にあり、軽微または小出血もDAPT群のリスク比は2.22(95%CI:1.60~3.08)、絶対リスク上昇率は0.7%と有意に増加しています。機能的転帰には有意差はありませんでした。経時的変化を見てみると、脳卒中イベントの発症の多くはDAPT群でもアスピリン単独群でもランダム化後10日以内に生じていますが、21日以降はほぼ平行線となっています。一方で、出血イベントはDAPT群で長期的にやや増えていきます。これらのことから、ハイリスクのTIAおよび軽度の虚血性脳卒中の患者における本研究の結果は、BMJ誌のClinical Practice Guideline4)のまとめとして以下の2点が強く推奨されています。イベント発生後24時間以内にDAPTを開始するDAPTは10~21日間継続し、21日を超える継続はしないDAPT継続中の患者さんの中には、脳卒中の再発が心配で治療を継続させたいという方もいるかもしれませんが、もし2剤で21日を超えて長期間投与されている場合は出血イベントのリスクを考慮し、処方医への情報提供を検討すべきと思います。1)Hao Q, et al. BMJ. 2018;363:k5108.2)Shojania KG, et al. Ann Intern Med. 2007;147:224-233.3)Densen P. Trans Am Clin Climatol Assoc. 2011;122:48-58.4)Prasad K, et al. BMJ. 2018;363:k5130.

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高齢者のうつ病と近隣の緑地との関係

 近隣に緑地や植物があることは、健康やウェルビーイングの指標と関連しているが、高齢者のうつ病との関連は、あまり研究されていない。うつ病における環境要因を明らかにすることは、予防および治療の両面において、これまでのうつ病介入を補完する可能性がある。米国・マイアミ大学のTatiana Perrino氏らは、フロリダ州マイアミ・デイド郡の高齢者を対象に、近隣の緑地とうつ病診断との関連について調査を行った。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年6月13日号の報告。 メディケア(高齢者向け公的医療保険制度)に登録されている24万9,405人を対象に分析を行った。対象者は、2010~11年の2年間、マイアミの同じ場所に居住していた65歳以上。マルチレベル分析では、近隣の緑地(衛星画像による平均ブロックレベル正規化植生指標で評価)とうつ病診断(メディケアデータで評価)との関連を評価した。共変量は、年齢、性別、人種/民族、併存疾患数、近隣の平均世帯収入とした。 主な結果は以下のとおり。・うつ病と診断された患者は、9%以上であった。・人口統計および併存疾患で調整した後においても、高レベルの緑色度は、うつ病の低リスクと関連が認められた。・三分位で近隣の緑色度が最も低かった住民と比較し、中程度の住民はうつ病オッズ比が8%低く(OR:0.92、95%CI:0.88~0.96、p=0.0004)、最も高かった住民ではうつ病オッズ比が16%低かった(OR:0.84、95%CI:0.79~0.88、p<0.0001)。 著者らは「高レベルの緑色度は、高齢者のうつ病リスクを低下させる可能性がある。中程度であったとしても、緑が増加することは、健康促進へのアプローチ強化につながる可能性がある」としている。

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非左脚ブロックに対するCRT-Dの効果【Dr.河田pick up】

 非左脚ブロックに対する心臓再同期療法(CRT)の有効性については、賛否両論があり、いまだ結論が出ていない。本研究では、米国のナショナルデータベースである、全米心血管データ登録(NCDR)の植込み型除細動器(ICD)レジストリを用いて、非左脚ブロック患者を右脚ブロック群と非特異的心室内伝導障害群に分け、除細動器を伴った心臓再同期ペースメーカー(CRT-D)の有効性を評価した。 この論文は、私(Hiro Kawata)とJonathan Hsu氏らがJournal of the American College of Cardiology誌6月号に発表した。非左脚ブロック患者11,505例を多変量解析 メディケアは主に65歳以上の高齢者を対象とする保険制度である。NCDRは、メディケア対象患者のエビデンスを構築するために作られ、米国心臓病学会(ACC)が管理するNCDRのデータにICD患者の情報を登録することが義務付けられている。この種のデータでは世界でも最大規模である。今回の研究は、そのNCDR-ICDデータベースを用いて、2010年~13年にICDが植込まれた患者のうち、CRTの植込みの適応がある11,505例が対象。ICDが植込まれた患者とCRT-Dが植込まれた患者の予後を、右脚ブロック群と非特異的心室内伝導障害群に分けて多変量解析を行った。右脚ブロック群、QRS幅に関わらず、CRT-D(ICDと比べて)で予後は改善せず このうち右脚ブロック群においては、QRSの長さにかかわらず、ICDと比較しても予後の改善が見られなかった。一方、非特異的心室内伝導障害群においては、QRSが150ms以上の患者で、3年後における死亡率低下との関連が認められた(ハザード比[HR]:0.602、95%信頼区間[CI]:0.416~0.871、p=0.0071)。非特異的心室内伝導障害、QRS≧150ならCRT-Dが有用 今回の研究において、右脚ブロック群では、QRSの長さにかかわらずCRT-DはICDを上回る効果を示すことができなかった。つまり、右脚ブロックへのCRT-D移植を支持するエビデンスはなく、やみくもにCRT-Dを植え込むことは避けるべきであると思われる。一方、非特異的心室内伝導障害を有するケースでは、QRSが150ms以上であればCRT-Dが有用な可能性がある。 右脚ブロックでCRT-D適応が不明確なケースにおいては、最近では行われなくなってはいるものの、心エコーでの同期不全による評価も有用との報告もある1)。現在、非特異的心室内伝導障害に対するCRT-D移植を評価する無作為試験が進行中であり、今後その報告が待たれる2)。1)Hara H,et al.European heart journal. 2012 Nov;33(21);2680-91. doi: 10.1093/eurheartj/ehs013.2)Eschalier R,et al. BMJ open. 2016 11 11;6(11);e012383. doi: 10.1136/bmjopen-2016-012383.(Oregon Heart and Vascular Institute 河田 宏)

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tanezumabが疼痛コントロール不良の変形性関節症に有効/JAMA

 標準的鎮痛薬による痛みのコントロールが不十分な中等症~重症の股関節・膝変形性関節症(OA)患者において、ヒト化モノクローナル抗体tanezumabはプラセボと比較して、疼痛や身体機能などを有意に改善することが、米国・ノースウェスタン大学のThomas J. Schnitzer氏らによる多施設共同無作為化二重盲検試験の結果、示された。一方で改善はわずかで、治験薬投与を受けた患者の関節に関する安全性イベントおよび全関節置換の発生はより多かった。結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、今回示された有効性および有害事象の所見の臨床的重要性を確認する必要がある」と述べている。JAMA誌2019年7月2日号掲載の報告。tanezumabを1日目、8週目に計2回投与 研究グループは2016年1月~2018年5月14日(最終患者受診日)にかけて、中等症~重症の股関節/膝OAで、OA鎮痛薬による疼痛コントロールが不十分であり、急速に進行するOAなど、事前に規定した関節の安全性に関する状態がX線像で認められなかった18歳以上の患者698例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に3群に分け、第1日目と第8週目にtanezumab 2.5mgを皮下投与(231例)、第1日目にtanezumab 2.5mgを、第8週目に同5mgを投与(233例)、第1日目と第8週目にプラセボ投与(232例)を、それぞれ実施した。 tanezumab投与についての主要評価項目は、(1)ベースラインから第16週までのWOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index)疼痛サブスケール(0[痛みなし]~10[極度の痛み])の変化、(2)WOMAC身体機能サブスケール(0[問題なし]~10[極度に困難])の変化、(3)患者によるOAの総合的評価(patient global assessment of osteoarthritis[PGA-OA]、1[非常に良好]~5[非常に不良])の変化だった。tanezumabでWOMAC疼痛・身体機能スコア、PGA-OAともに有意に改善 被験者698例のうち試験薬の投与を1回以上受けた例は696例(平均年齢:60.8歳[SD 9.6]、女性65.1%)、試験を完了したのは582例(83.6%)だった。 ベースラインから第16週までのWOMAC疼痛スコアは、tanezumab 2.5mg群が7.1から3.6へ、tanezumab 2.5/5mg群が7.3から3.6へ、プラセボ群が7.3から4.4へ、それぞれ低下した。対プラセボ群との最小二乗平均差は、tanezumab 2.5mg群-0.60(95%信頼区間[CI]:-1.07~-0.13、p=0.01)、tanezumab 2.5/5mg群-0.73(同:-1.20~-0.26、p=0.002)だった。 同期間のWOMAC身体機能スコア平均値は、tanezumab 2.5mg群が7.2から3.7へ、tanezumab 2.5/5mg群が7.4から3.6へ、プラセボ群が7.4から4.5へとそれぞれ低下した。プラセボ群との差は、tanezumab 2.5mg群が-0.66(95%CI:-1.14~-0.19、p=0.007)、tanezumab 2.5/5mg群が-0.89(-1.37~-0.42、p<0.001)だった。 同期間のPGA-OAスコアも、tanezumab 2.5mg群が3.4から2.4へ、tanezumab 2.5/5mg群が3.5から2.4へ、プラセボ群が3.5から2.7へ減少した。プラセボ群との差は、tanezumab 2.5mg群が-0.22(同:-0.39~-0.05、p=0.01)、tanezumab 2.5/5mg群が-0.25(-0.41~-0.08、p=0.004)だった。 なお、急速進行OAの発生がtanezumab治療群にのみ認められた(2.5mg群5例[2.2%]、2.5/5mg群1例[0.4%])。全関節置換術を行ったのは、tanezumab 2.5mg群は8例(3.5%)、tanezumab 2.5/5mg群が16例(6.9%)、プラセボ群は4例(1.7%)だった。

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膜性腎症、リツキシマブvs.シクロスポリン/NEJM

 膜性腎症へのリツキシマブ静脈内投与は、シクロスポリン経口投与に対して、12ヵ月(1年)時点の蛋白尿の完全寛解または部分寛解の導入について非劣性であることが示された。また、24ヵ月(2年)時点までの蛋白尿寛解の維持について優越性が示された。米国・メイヨークリニックのFernando C.Fervenza氏らが、130例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年7月4日号で発表した。膜性腎症にはB細胞異常が関与しており、リツキシマブによるB細胞除去は、同患者の蛋白尿の完全寛解・部分寛解の導入・維持について、シクロスポリン治療に対して非劣性となる可能性が示されていた。24ヵ月時点の蛋白尿の完全寛解/部分寛解の複合アウトカムを評価 研究グループは、膜性腎症で24時間の蛋白尿が5g以上、定量クレアチニンクリアランス値が40mL/分/1.73m2体表面積以上で、アンジオテンシン系阻害薬を3ヵ月以上投与されている患者130例を対象に、無作為化試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはリツキシマブを静脈内投与(1回1,000mgを14日間隔で計2回投与、部分奏効の場合は6ヵ月後に再投与)、もう一方の群にはシクロスポリンを経口投与し(開始用量3.5mg/kg体重/日を12ヵ月間)、24ヵ月間フォローアップした。 主要アウトカムは、24ヵ月時点での蛋白尿の完全寛解/部分寛解の複合だった。臨床検査値と安全性についても評価を行った。完全寛解/部分寛解、リツキシマブ群60%、シクロスポリン群20% 12ヵ月時点で、完全寛解/部分寛解が認められたのは、リツキシマブ群65例中39例(60%)に対し、シクロスポリン群65例中34例(52%)だった(リスク差:8ポイント、95%信頼区間[CI]:-9~25、非劣性のp=0.004)。 24ヵ月の時点で完全寛解/部分寛解が認められたのは、リツキシマブ群39例(60%)、シクロスポリン群13例(20%)だった(リスク差:40ポイント、95%CI:25~55、非劣性・優越性ともp<0.001)。 寛解を認めた抗ホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)抗体陽性の被験者では、抗PLA2R自己抗体価の低下がリツキシマブ群でシクロスポリン群よりも速く、その程度も大きく持続期間も長かった。 重篤な有害事象の発現は、リツキシマブ群11例(17%)、シクロスポリン群20例(31%)で認められた(p=0.06)。

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ステントを捨てんといてな! 薬剤コーティングバルーンの好成績(解説:中川義久氏)-1074

 薬剤コーティングバルーン(Drug-coated balloon:DCB)は、ステント再狭窄病変や小血管への治療において有効とされてきた。血管径が十分に維持されたde-Novo病変を、バルーン拡張のみで終了することは、急性冠閉塞の危険性も高く再狭窄の懸念もあることから、金属製ステントの適応とされてきた。とくに薬剤溶出性ステント(DES)の成績向上とともに、DESの使用は確立したものと考えられていた。その確信に風穴を開けるような報告がLancet誌オンライン版2019年6月13日号にデビューした。その名も「DEBUT試験」である。出血リスクが高い患者に対するPCIにおいて、DCBはベアメタルステントに比べて勝っていることを示したものである。前拡張を適切に行い、血流を障害するような解離もなく、強いリコイルもないことを確認した場合にDCBで薬物を塗布して終了するという治療戦略である。確かに、この方法で急性閉塞や再狭窄などのイベントなく経過できれば、leave nothing behind(異物を残さない)というコンセプトを実現することができる。 一方で克服すべき課題もある。実臨床の現場から退場宣告を受けた状態にあるベアメタルステントへの優越性を証明したところでインパクトは小さい。比較すべきは、DCB vs.DESであろう。また、DCBのみで終了しても急性冠閉塞のリスクが本当にないのかは懸念がある。かつてバルーンのみでのPCI(当時はPTCAと呼んでいた)の時代に、急性冠閉塞の怖さを体験している自分には、その不安は払拭できないというのが正直な気持ちである。末梢動脈疾患へのDCB治療を巡る混乱についても注意が必要である。これは、大腿動脈・膝窩動脈へのパクリタキセルコートバルーンによる治療で死亡リスクが増すのではないかという懸念である。冠動脈領域であれば末梢動脈領域への治療よりも薬剤の曝露量は少ないことは推測される。しかし、この懸念へのエビデンス提示も必要と考えられる。 このような課題があるとはいえ、かつて生体吸収性スキャホールドが達成しようとして挫折した理想をDCBが具現化しようとしていることは興味深い。DCBは世界に先駆けて日本での使用実績が多い分野でもあり、本邦からの情報発信に期待したい。

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医師の起業に役立つ7つのビジネスモデル【医師のためのお金の話】第22回

医師の起業に役立つ7つのビジネスモデル先日、医師向けの医学論文意見交換サイトQuotomyを運営している大谷 隼一先生と、起業についてお話する機会がありました。大谷先生が勤務されている病院では、若手医師が起業を志すケースが多いそうです。医療とビジネスの間に横たわる障壁が確実に低くなってきていることを感じます。ただ、やみくもに起業しても成功するわけではありません。起業は道なき道を自分の経験と勘に従ってソロリソロリと進んでいくものです。そして、至る所に落とし穴が隠れています。小さな落とし穴であれば這い上がってこられますが、致命傷になってしまう大きな落とし穴も無数に存在します。机上の空論では、これらの落とし穴を回避することは不可能です。「習うより慣れよ」が起業を成功させるためには重要なのです。そうは言っても、もちろん押さえておくべきポイントはあります。それはビジネスモデルです。絶対に知っておくべき7パターンビジネスモデルとは、利益を生み出す商品やサービスに関する事業戦略と収益構造のことです。簡単に言うと、「誰に何をどのようにして提供して、どの部分でどれだけ儲けるかを簡潔に言い表したもの」です。いわゆるビジネスの戦略に相当します。ビジネスモデルが優れているからと言って起業が成功するわけではありませんが、稚拙であると確実に失敗します。このように言うと難しそうに思えますが、ビジネスモデルは小学生でも理解できる程度のものです。ここでは一般的によく言われている7つのパターンを挙げてみます。1)物販モデル(自動車、農家、工場など)2)小売モデル(スーパー、コンビニエンスストアなど)3)広告モデル(新聞、雑誌など)4)ライセンスモデル(映画、協会など)5)消耗品モデル(プリンターメーカーなど)6)継続課金モデル(電力会社、携帯電話など)7)マッチングモデル(不動産仲介、人材募集サイトなど)世の中のサービスは、上記のいくつかのパターンを組み合わせたものが多いです。たとえば、「食べログ」は3)広告モデルと6)継続課金モデルを組み合わせたビジネスモデルです。継続課金モデルとの組み合わせがカギそれでは、私たちが起業する場合に最もおすすめのビジネスモデルは何でしょうか?前述のビジネスモデルの中で最も安定的にビジネスを展開できると言われているのは6)継続課金モデルです。このビジネスモデルの代表例は、電力会社や携帯電話会社です。不動産賃貸業もこのモデルに該当します。電力会社は電気料金を、携帯電話会社は通信料を、大家さんは賃料を毎月課金し続けます。消費者はこれらの商品やサービスを利用し続けざるを得ません。継続課金モデルを採用している会社は、定期的に流入する売上のおかげで安定的なビジネスを展開できるのです。実際、このビジネスモデルを採用している企業の数は多く、最近では動画配信サイトの「Netflix」に代表されるサブスクリプション(売買ではなく特定期間内の使用権を販売する)方式が注目を集めています。ちなみに私の知り合いの医師は医療系コンサルティング事業を起業しましたが、顧問料として月額料金を徴収しています。この継続課金による定期収入でスタッフ給与などの固定費を賄って安定性を確保しつつ、クライアントが抱えている問題を解決するためのソリューションを提供することで青天井の収益を目指す戦略を掲げています。このケースは、前述の1)物販モデルと6)継続課金モデルの組み合わせであり、安定性と収益性を兼ね備えた秀逸なビジネスモデルのようです。押さえるべきは拡大よりも「絞り込み」ビジネスモデルで押さえておくべきポイントの1つに、対象とする領域や顧客の絞り込みが挙げられます。ありがちなのは、できるだけ多くの顧客を獲得しようとして、事業領域を広げ過ぎてしまうことです。ビジネスで利益を出すためには、事業領域の拡大ではなくて絞り込みが必要です。事業領域が広いと知識や経験を蓄積するのに時間が掛かります。これでは競合相手に勝つことはできません。ある領域に特化して付加価値をつけることが、競合相手を抑えて利益を出すことにつながるのです。前述の医療系コンサルティング事業を起業した医師は、クライアントを某専門職に絞っており、提供するサービスはある1つの問題解決手法に特化しています。このため、きわめて狭い領域ではあるものの、高い競争力を武器にして順調に業績を拡大しているようです。

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ASCO2019レポート 乳がん

レポーター紹介2019年5月31日~6月4日まで5日間にわたり、ASCO2019が開催された。2019年のテーマは“Caring for every patient, Learning from every patient”であった。薬物療法の大きな演題が少なかった代わりに、支持療法やサバイバーケアの演題が多く取り上げられているように感じた。乳がんにおいては直接私たちの実臨床を変えるような試験の発表はなかったが(残念ながらプレナリーセッションもなし)、日常臨床の中で解決しなければならないクリニカルクエスチョンに回答する試験、今後の開発の方向性を示唆する試験の発表が多かったように感じる。その一方で、日本が参加していない試験の報告も多く、わが国の世界の治療開発の中での課題を再認識させられた学会でもあった。乳がんのLocal/Regional口演から2演題、Metastatic口演から5演題を紹介する。臨床的リスク因子がOncotypeDXによる再発スコアに及ぼす影響(TAILORx追加解析)OncotypeDXは乳がん組織中の21遺伝子のメッセンジャーRNA発現を解析することにより再発リスクの予測、化学療法の上乗せ効果を予測する検査である。TAILORx試験は、再発スコア(RS)を11以下の低リスク、12~25の中間リスク、25以上の高リスクに分け、中間リスクに対する化学療法の上乗せ効果を検証した第III相試験である。主たる解析結果は昨年のASCOで発表され、中間リスクに対する化学療法の上乗せ効果は認められなかった。サブグループ解析では50歳以下でRSが16~20では2%の、21~25では7%の化学療法上乗せ効果が示唆された(Sparano JA, et al. N Engl J Med.2018;379:111-121.)。今回の発表では、RSに臨床的リスク因子を加えた解析が行われた。臨床的低リスクは3cm以下かつ低グレード、2cm以下かつ中間グレード、1cm以下かつ高グレードと定義され、臨床的低リスクに当てはまらない症例が臨床的高リスクと分類された。臨床的高リスクは30%であった。無病生存期間(disease free survival:DFS)および遠隔無再発生存期間は、RS11~25の中間リスクにおいて臨床リスクによる差を認めなかった。化学療法の有益性が示唆されている50歳以下のRS16~25に限った解析では、RS16~20かつ臨床低リスクでは化学療法上乗せ効果を認めなかった。また、この集団における化学療法の上乗せ効果は化学療法誘発閉経によるものである可能性が示唆された。今回の結果はOncotypeDXの実臨床での使い方に大きな影響を及ぼすものではないが、50歳以下(未閉経)RS16~25の場合に化学療法を上乗せするかどうかの参考にはなりえるかもしれない。本研究の結果は発表同日、論文発表された(Sparano JA, et al. N Engl J Med. 2019;380:2395-2405.)。HER2陽性乳がんに対する術前ペルツズマブ+化学療法vs.T-DM1+ペルツズマブ (KRISTINE試験)本試験はHER2陽性早期乳がんを対象とした、ペルツズマブ+トラスツズマブ+カルボプラチン+ドセタキセル(TCH+P)とT-DM1+ペルツズマブ(T-DM1+P)を比較する第III相試験である。各施設判定での主要評価項目は病理学的完全奏効(pathological complete response:pCR)率であり、pCRは56% vs.44%でTCH+P群で良好であった (Hurvitz SA, et al. Lancet Oncol. 2018;19:115-126.)。一方で、Grade3の有害事象や重篤な有害事象の発生頻度などでT-DM1+ペルツズマブ群のほうが安全性は良好であった。今回の発表では、副次評価項目の無イベント生存率(event free survival: EFS)、無浸潤がん生存率(invasive disease free survival:IDFS)などについて発表された。3年EFSはTCH+P群 vs.T-DM1+P群で94.2% vs.85.3%(層別化ハザード比:2.61、95%CI:1.36~4.98)とTCH+P群で良好であり、主要評価項目のpCR率と同様の傾向を示した。イベントとしては手術前の増悪がT-DM1+P群で15例(6.7%)と、イベントの約半数を占めていた。TCH+P群では0例であり、手術前の増悪がEFSの差につながったと考えられる。手術前に増悪した15例のうち14例についてHER2のmRNA発現が解析されており、全例で中央値を下回っていた。また、HER2の免疫組織化学染色は15例のうち10例(66.7%)が2+であり、このようなHER2の発現状況がT-DM1+Pの効果に影響を及ぼした可能性が考えられる。3年IDFSは92.0% vs.93.0%で両群に差は認めなかった。KATHERINE試験(von Minckwitz G, et al. N Engl J Med. 2019;380:617-628.)では術前治療で腫瘍が残存した症例に対してT-DM1の術後治療が無病生存(disease free survival:DFS)、全生存期間(overall survival:OS)を改善している。今回の結果との違いはHER2の発現の違いによる可能性は示唆されるが、さらなる検討が必要であろう。抗HER2療法で進行したHER2陽性転移乳がんに対するmargetuximab+化学療法 vs.トラスツズマブ+化学療法の比較第III相試験(SOPHIA試験)本試験は新しい抗HER2抗体であるmargetuximabと化学療法の併用をトラスツズマブと化学療法の併用と比較する試験である。margetuximabはトラスツズマブと同様の特異性と結合性の抗体認識部分を持ち、下流シグナルの抑制効果も同等である。トラスツズマブと異なるのはFCγ受容体結合部位であり、IgG1の野生型のままのトラスツズマブと異なり、CD16Aを活性化し、CD32Bを抑制するよう改変されている。CD16Aの遺伝子型が抗HER2抗体の治療効果予測因子となることが示唆されているため、margetuximabはCD16Aの変異型を有する腫瘍に対しても有効性が高いことが期待された。本試験は2レジメン以上の抗HER2治療歴(転移乳がんに対して1~3レジメン)の症例を対象として、主治医選択化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビンまたはビノレルビン)と併用して抗HER2抗体を1:1に割り付けた。margetuximab群に266例、トラスツズマブ群に270例が割り付けられた。主要評価項目は無増悪生存期間(progression free survival:PFS)およびOSであった。前治療としてトラスツズマブおよびペルツズマブは両群で全例が、T-DM1はそれぞれ約91%が受けていた。PFSの中央値は5.8ヵ月 vs.4.9ヵ月(ハザード比:0.76、95%CI:0.59~0.98、p=0.033)とmargetuximab群で良好であった。事前に計画されたCD16Aの遺伝子型によるサブ解析ではCD16A-FFもしくはFVではmargetuximab群で良好であったが、VVでは有意差を認めなかった。FF、FVのみでの解析では有意差を認めなかったが、margetuximab群で良好な傾向であった。また、OSについては有意差を認めなかった。奏効率、臨床的有用率についてもmargetuximabで良好であった。有害事象においてはmargetuximab群でinfusion-related reactionが多い傾向を認めた。今後、抗HER2抗体で進行した転移乳がんの治療として、margetuximabは1つの選択肢となってくる可能性があるが、残念ながら日本からはこの試験には参加していない。転移のあるHER2陽性乳がんにおけるneratinib+カペシタビンvs.ラパチニブ+カペシタビンの比較第III相試験(NALA試験)neratinibはHERファミリーのチロシンキナーゼドメインに不可逆的に結合することにより、下流シグナルを抑制する少分子化合物である。NALA試験は転移乳がんに対し2レジメン以上の抗HER2治療の既往がある症例を対象としてneratinib+カペシタビンvs.ラパチニブ+カペシタビンを比較する第III相試験で、主要評価項目はPFSおよびOSであった。neratinib群に307例が、ラパチニブ群に314例が登録された。PFSはハザード比0.76(p=0.0059)とneratinib群で良好であった。もう1つの評価項目であるOSではneratinib群で良好な傾向は認めたものの、統計学的には有意ではなかった。副次評価項目の中枢神経転移に対する介入の割合はneratinib群の22.8%に対し、ラパチニブ群で29.2%とneratinib群で良好であった(p=0.043)。有害事象は下痢(とくにGrade3/4の下痢)、悪心、嘔吐、食欲低下がneratinib群で多く、手足症候群はラパチニブ群で多い傾向にあった。患者報告によるQOLでは両群間に差を認めなかった。トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対するアテゾリズマブ+nab-PTX併用試験のOSアップデート(IMpassion130)アテゾリズマブ+nab-PTX併用療法のTNBCに対する初回治療の結果は昨年の欧州臨床腫瘍学会で発表され、乳がんへの適応拡大が期待されている(Schmid P, et al. N Engl J Med. 2018;379:2108-2121.)。本試験ではPD-L1の発現(1%以上または未満)によって層別化が行われた。PD-L1は41%の症例で陽性であった。主要評価項目はPFSであり、ITT集団では7.2ヵ月 vs.5.5ヵ月、PD-L1陽性集団では7.5ヵ月 vs.5.0ヵ月で、アテゾリズマブ群で良好であった。今回は2回目の中間解析の結果が発表された。観察期間の中央値は18.0ヵ月であり、ITT集団で59%の死亡イベントが発生していた。ITT集団における生存期間中央値(median survival time:MST)は21.0ヵ月 vs.18.7ヵ月(ハザード比:0.86、95%CI:0.72~1.02、p=0.0777)、24ヵ月生存率は42% vs.39%であり、アテゾリズマブ群で良好な傾向を認めたものの、統計学的有意差は認めなかった。PD-L1陽性集団における解析はITT集団で陽性だった場合にのみ行う統計手法が用いられていたため参考値ではあるが、MSTは25.0ヵ月 vs.18.0ヵ月、24ヵ月生存率は51% vs.37%であり、より差が開く傾向がみられた。PD-L1陰性では、MSTは19.7ヵ月 vs.19.6ヵ月であり、アテゾリズマブ追加の有無にかかわらず差を認めなかった。MST、24ヵ月生存率のいずれもプラセボ群ではPD-L1陽性の場合に短い傾向がみられ、PD-L1が予後予測因子でもある可能性が示されている。乳がんにもついに免疫チェックポイント阻害剤の波が到達しようとしている。有害事象のマネジメントも含めて、先人たちに学びながら有効な治療を安全に患者さんに届けるようにしていきたい。なお、余談ではあるが本試験の共同演者には愛知県がんセンターの岩田 広治先生が入っていた。最近では国内からの参加のある国際共同試験の多くで共同演者に日本の先生が入っていることも多く、非常にうれしく感じている。ホルモン受容体陽性乳がんを対象としたエリブリン+ペムブロリズマブ併用療法とエリブリン単剤療法のランダム化第II相試験ホルモン受容体陽性乳がんは免疫学的には“コールド”と考えられており、免疫チェックポイント阻害剤の効果が得られにくいと考えられている。免疫チェックポイント阻害剤単剤では2.8~12%の奏効率が報告されている。一方で化学療法との併用の術前治療ではpCR率を上げることが報告されており、化学療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用はホルモン受容体陽性乳がんの治療として有望である可能性が残されていた。本研究ではエストロゲン受容体および/またはプロゲステロン受容体陽性HER2陰性で、2レジメン以上のホルモン療法歴(術後治療含む)、転移乳がんに対する0~2レジメンの化学療法歴を有する症例を対象として、エリブリン+ペムブロリズマブ併用療法とエリブリン単剤療法を比較した第II相試験である。主要評価項目はPFS、副次評価項目として奏効率・臨床的有用率とOSが設定されていた。44例が併用群、46例が単剤群に割り付けられた。PFSは4.1ヵ月 vs.4.2ヵ月(ハザード比:0.8、95%CI:0.5~1.3、p=0.33)であり両群間に差を認めなかった。PD-L1陽性集団に限った解析でも同様の傾向であった。奏効率はITT集団で27% vs.34%、PD-L1陽性集団で23% vs.45%と、併用群で低い傾向であった。OSは両群間に差を認めなかった。有害事象は多くの項目で両群間に大きな差を認めなかったが、併用群では2例の免疫関連有害事象による治療関連死を認め、単剤群では認めなかった。本試験の結果をもって、ホルモン受容体陽性乳がんに対する免疫チェックポイント阻害剤の有用性を結論付けることはできないが、併用群で奏効率が低下した理由についてはreverse translational researchが必要であろう。MONALEESA-7 副次評価項目の全生存期間の中間解析で有意に延長MONALEESA-7は閉経前転移乳がんを対象に1次ホルモン療法に対するCDK4/6阻害剤であるribociclibの上乗せをみた第III相試験である。ホルモン療法としてはタモキシフェンもしくはアロマターゼ阻害剤とLHRHアゴニストであるゴセレリンが併用された。前治療としてホルモン療法は許容されておらず、化学療法は1レジメンのみ許容されていた。主要評価項目はPFS、キー副次評価項目としてOSが設定されていた。PFSの結果は昨年のSan Antonio Breast Cancer Symposiumで発表され、ribociclib群で23.8ヵ月に対しプラセボ群で13ヵ月(ハザード比:0.55、95%CI:0.44~0.69、p<0.0001)とribociclib群で良好であり、閉経前の症例においてもこれまでに閉経後を対象として行われてきたCDK4/6阻害剤と同様の上乗せ効果が得られることが示された。今回の発表では観察期間中央値34.6ヵ月時点でのOSの中間解析結果が発表された。生存期間中央値はribociclib群では未達であり、プラセボ群では40.9ヵ月であり、中間解析に割り振られたp値を下回りribociclib群で有意に長かった(ハザード比:0.712、95%CI:0.535~0.948、p=0.00973)。点推定値では、36ヵ月で71.2% vs.64.9%、42ヵ月で70.2% vs.46.9%と観察期間が延長するにつれて差が開いていく傾向を認めた。本試験はCDK4/6の1次治療への上乗せを検証した試験の中で、OSの結果を公表し統計学的有意差を認めた初の試験である。本試験の対象は閉経前であるため、現在の国内で1次治療に使用できるCDK4/6阻害剤に直接応用することはできない。また、中間解析でありイベントが十分に発生していないことなどから、今後の結果については最終解析の結果を待つ必要がある。本試験結果は発表同日New England Journal of Medicine誌に論文公表された( Im SA, et al. N Engl J Med. 2019 Jun 4. [Epub ahead of print])。なお、ribociclibは国内での開発が中止となっているため、本試験には日本からは不参加である。閉経前に対するCDK4/6の国内における開発は非常に重要であり、閉経前後を含めてタモキシフェンにパルボシクリブの上乗せを検証する、日本を含めたアジア共同医師主導治験のPATHWAY試験(UMIN000030816)の症例集積が完了する見込みである。結果の公表が待たれる。

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