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ソーシャルメディア使用時間とうつ病や大量飲酒との関連

 思春期のソーシャルメディアの使用は、さまざまな否定的なアウトカムにつながっているが、この関連性については明らかとなっていない。ノルウェー・Norwegian Institute of Public HealthのGeir Scott Brunborg氏らは、ソーシャルメディアに費やされた時間の変化が、思春期のうつ病、問題行動、一過性の大量飲酒と関連しているかを、一階差分(first-differencing:FD)モデルを用いて検討を行った。Journal of Adolescence誌7月号の報告。 ノルウェーの青年763人(男性の割合:45.1%、平均年齢:15.22±1.44歳)を対象に、6ヵ月間隔で2つのアンケートを実施した。ソーシャルメディアに費やされた時間の変化とうつ症状、問題行動、一過性の大量飲酒との関連性は、すべての時系列の要因を効果的にコントロールする統計手法であるFDモデルを用いて推定した。また、スポーツの頻度、教師不在でのレジャーの頻度、友人関係の問題の3つを経時的推定交絡因子として検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・3つの推定交絡因子で調整した後、ソーシャルメディアに費やされた時間の増加は、うつ症状(b=0.13、95%CI:0.01~0.24、p=0.038)、問題行動(b=0.07、95%CI:0.02~0.10、p=0.007)、一過性の大量飲酒(b=0.10、95%CI:0.06~0.15、p<0.001)の増加と関連が認められた。・しかし、これらの関連に対するエフェクトサイズは、あまり大きくはなかった。 著者らは「思春期においてソーシャルメディアに費やされた時間が増加すると、うつ症状、問題行動、一過性の大量飲酒の増加と、わずかではあるが関連することが示唆された」としている。

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HIV感染の1次治療、4剤cARTは3剤より優れるか/BMJ

 未治療のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者の治療において、4剤による併用抗レトロウイルス薬療法(cART)の効果は、3剤cARTと比較して高くないことが、中国・香港中文大学のQi Feng氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年7月8日号に掲載された。4剤と3剤のcARTを比較する無作為化試験は、過去20年間、継続的に行われてきた。その一方で、同時期の診療ガイドラインでは、標準的1次治療として3剤cARTが継続して推奨されており、4剤cARTへの言及はまれだという。HIV治療における4剤と3剤のcARTの有効性を比較するメタ解析 研究グループは、未治療のHIV感染患者の治療における4剤と3剤のcARTの効果を比較し、臨床および研究における既存の試験の意義を検証する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。 2001年3月~2018年6月の期間に医学データベースに登録された文献を検索し、選出された研究および関連する総説の引用文献リストも調査した。 対象は、未治療のHIV感染患者において4剤と3剤のcARTを比較した無作為化対照比較試験であり、1つ以上の有効性または安全性のアウトカムの評価を行った試験とした。 関心アウトカムは、検出限界未満のHIV-1 RNA量(<50コピー/mL)、CD4陽性T細胞数(/μL)の増加、ウイルス学的失敗、新たなAIDS関連イベント、全死因死亡、重症有害事象(≧Grade 3)とした。変量効果モデルを用いてメタ解析を行った。HIV感染患者4,251例の6つのアウトカムのすべてで、両cART群に差がない 12件の試験(HIV感染患者4,251例、このうち4剤cART群1,693例)が解析に含まれた。12試験の登録患者数中央値は214例(範囲:30~1,216例)で、平均年齢が37.1歳(32.9~43.5歳)、男性割合中央値が77.1%(58~100%)、フォローアップ期間中央値は48週(48~144週)であった。 対象のHIV感染患者について、すべての有効性および安全性のアウトカムに関して、4剤cART群と3剤cART群の効果は類似していた。3剤cART群を基準としたリスク比は、検出限界未満のHIV-1 RNA量が0.99(95%信頼区間[CI]:0.93~1.05)、ウイルス学的失敗が1.00(0.90~1.11)、新たなAIDS関連イベントが1.17(0.84~1.63)、全死因死亡が1.23(0.74~2.05)、重症有害事象は1.09(0.89~1.33)であった。また、CD4陽性T細胞数増加の2群間の平均差は、-19.55/μL(-43.02~3.92)だった。 結果は全般に、cARTのレジメンにかかわらず類似しており、すべてのサブグループおよび感度分析において頑健であった。 著者は、「これらの知見は、HIV感染患者の1次治療として3剤cARTを推奨する現行のガイドラインを支持するものである」とし、「この主題に関するこれ以上の試験は、既存のエビデンスの適正な系統的レビューで新たな研究が正当化された場合にのみ行うべきであるが、新たなクラスの抗レトロウイルス薬の登場により4剤cARTが3剤cARTを凌駕する可能性を排除するものではない」と指摘している。

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AIによる認知症診療は実現なるか、順大が日本IBMらと共同研究

 認知症の早期発見や診療において、AIは医師の強力な助っ人となるかもしれない。2019年7月10日、都内で記者説明会が開催され、AIによる新たな認知症診療システム開発と、食品介入などの臨床研究実施を目的とした産学連携プロジェクトの開始が発表された。参加企業は日本IBM、キリンホールディングス、三菱UFJリース、グローリー、日本生命、三菱UFJ信託銀行の6社。中心となる順天堂大学医学研究科神経学講座教授の服部 信孝氏をはじめ、各社の代表者が登壇し、本プロジェクトにおける役割と展望を語った。実は雑談が症状に影響? 遠隔診療でみえてきたこと 順天堂医院では、2017年からパーキンソン病をはじめとした神経難病の患者に対して、日本IBMの遠隔診療システムを一部で導入している。このシステムは、遠隔診療アプリの入ったタブレットを患者に提供し、自宅で医師の診察を受けられるというもの。患者側にはセットアップ等の必要はなく、ボタン1つで簡単に受診画面を起動できる。医師側は外来運用に合わせて予約や診察開始をコントロールでき、診察時の映像や音声データを蓄積することができる。将来的には、血圧などのデータも一元化して蓄積し、診療に活かしたいという。 費用は主に患者が負担し(プランによって異なるが月額4~5千円程度)、医師はオンライン診療料などで対応している。これまで、利用した患者の満足度はおおむね高く、医師側は症状や薬の服薬状況を会話と身体の動きから確認するほか、リラックスした状況で雑談を含めたやりとりをすることで、表情が明るくなる瞬間があるなど手応えを感じているという。 しかし日々の診察では、患者1人あたりに割ける診察時間は非常に短いのが実情だと、服部氏は指摘。パーキンソン病や認知症といった脳・神経系疾患の患者は、自宅にいる時と診察時とで状態が大きく異なったり、少しの言葉がけで大きく症状が改善したりするケースがあるとし、患者それぞれの症状・日常生活に対応した個別の介入・診療の必要性を強調した。AIを活用した診療システムで、症状やQOLを改善できるか 本プロジェクトでは、遠隔診療で得られた音声データを元に、AI(IBM Watson)を活用した会話アプリの開発を進めている。まず、医師と患者の実際の会話の中から多用される質問や声かけを抽出して、多数の会話スクリプトを準備。AIが状況を判断してその中から適切なものを選択し、学習によって精度を高めていく。医師と同じような対応ができるかどうか、実証実験を進めていく見通しだという。 さらに、それらの対応・声がけを受けた患者側にどのような影響・効果があったかの検証には、日本IBMの音声データ解析システムと、グローリーの表情認識技術を用いる。ある声がけに対して、患者の声のトーンや発語、表情にどのような変化があったかを、人間同士の対話とAIとの対話で、比較検証していく。 日本IBM常務執行役員の坪田 知巳氏は、今回の共同研究で得られたデータをもとに、対話AIによる認知症早期発見・予防効果の検証にもつなげていきたいと話す。例えば「同じ話を繰り返す」「話題が飛ぶ」「つっかえる」といった会話特性の変化、表情の変化を数値化し、将来的には、AIを使った認知症の診断基準の策定も視野に入れて支援していきたい、と展望を語った。食品や金融業界の企業が認知症研究に参画する理由 本プロジェクトのもう1つの柱として、食品や嗅覚トレーニングによる認知機能改善効果の検討が掲げられている。キリンホールディングスでは、ビールの苦み成分である熟成ホップ苦味酸と、カマンベールチーズに含まれるβラクトリンの認知機能改善効果を、ヒトを対象とした試験ですでに確認している。順天堂大学が持つ患者のバイオデータとこれらの研究結果を組み合わせ、認知症予防に関わる食事パターンの調査、食品介入による予防効果の検証を行っていく。 また、三菱UFJ信託銀行執行役員の石崎 浩二氏は、「日本の個人金融資産の70%を高齢者が保有している。認知症高齢者の保有率は6%とされるが、今後15年で倍増が見込まれており、これらが使われない資産となると日本経済への打撃は大きい」と話し、金融サービスのあり方自体に大きな変化が求められているとした。銀行窓口などで高齢者の変化に営業担当者が気づく事例が多いことにも触れ、それらを家族や専門家につなぐ役割を果たすこと、認知機能の変化に応じた新しい商品・サービスを提供することを目指すとの考えを示した。■「カマンベールチーズ認知症」関連記事認知症予防の可能性、カマンベールチーズvs.運動

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HR+/HER2-進行乳がんへのPI3K阻害薬alpelisib、日本人解析結果(SOLAR-1)/日本臨床腫瘍学会

 ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんに対する、α特異的PI3K阻害薬alpelisibとフルベストラント併用療法の有効性を評価する第III相SOLAR-1試験の日本人解析結果を、第17回日本臨床腫瘍学会学術集会(7月18~20日、京都)で、愛知県がんセンターの岩田 広治氏が発表した。なお、同患者に対するalpelisib併用療法は、SOLAR-1試験の結果に基づき、2019年5月にPI3K阻害薬として初めてFDAの承認を受けている。alpelisib併用群とプラセボ群に割り付け SOLAR-1試験は、HR+/HER2-進行乳がん患者(ECOG PS≦1、1ライン以上のホルモン療法歴あり、進行後の化学療法歴なし)を対象とした国際第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験。登録患者はPIK3CA遺伝子変異陽性もしくは陰性コホートに分けられ、それぞれalpelisib併用群(alpelisib 300mg/日+フルベストラント500mg/1サイクル目のみ1日目、15日目に投与、以降28日を1サイクルとして1日目に投与)とプラセボ群(プラセボ+フルベストラント)に1:1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、PIK3CA陽性コホートにおける無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は、PIK3CA陰性コホートのPFS、両コホートの全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、安全性などであった。 alpelisib併用療法の主な結果は以下のとおり。・全体で572例が登録され、うち日本人は68例(PIK3CA陽性が36例、陰性が32例)。両コホートでそれぞれalpelisib併用群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた(陽性:alpelisib併用群17例 vs.プラセボ群19例、陰性:15例 vs.17例)。・日本人集団の年齢中央値は両群とも67歳。BMI中央値は25kg/m2 vs.21.4kg/m2で全体集団(26.5kg/m2 vs.26.1kg/m2)よりも低く、PS 0の割合は88.2% vs.89.5%と全体集団(66.3% vs.65.7%)よりも高かった。その他のベースライン特性は全体集団と同様であった。・PIK3CA陽性コホートにおけるPFS中央値は、全体集団ではalpelisib併用群11.0ヵ月に対しプラセボ群5.7ヵ月とalpelisib併用群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.50~0.85; p=0.00065)。これに対し日本人集団では、alpelisib併用群9.6ヵ月に対しプラセボ群9.2ヵ月と両群で差はみられなかった(HR:0.78、95%CI:0.35~1.75)。・PIK3CA陽性コホートにおけるalpelisibの曝露期間は、全体集団で平均8.0ヵ月、中央値5.5ヵ月(0.0~29.0)、平均相対的用量強度(RDI)77.8%だったのに対し、日本人集団では曝露期間の平均4.2ヵ月、中央値1.4ヵ月(0.3~21.1)、平均RDI 58.8%であった。・日本人集団において、全体集団と比較してalpelisib併用群で多くみられたGrade3以上の有害事象は、皮疹(日本人集団:43.8%/ 全体集団:20.1%)、膵炎(15.6%/5.6%)、重度皮膚有害反応(9.4%/1.1%)であった。・alpelisib併用群の有害事象による治療中止は、日本人集団では全Gradeで56.3%、Grade3以上で25.0%と、全体集団(25.0%、13.0%)と比較して多く発生した。日本人集団で治療中止につながった有害事象は、高血糖症(18.8%)、皮疹(12.5%)、重度皮膚有害反応(9.4%)など。Grade3以上の皮疹は多くが14日以内に起きていた。・投与開始後8日目におけるalpelisibの血中トラフ濃度を日本人と日本人以外で比較すると、平均値474ng/mL vs.454ng/mL、中央値410ng/mL vs.442ng/mLと差はみられなかった。 ディスカッサントを務めた虎の門病院の尾崎 由記範氏は、他のPI3K阻害薬による臨床試験での重篤な皮疹の発生率は3.8~8.0%(全体集団)1)2)で、43.8%という数字は顕著に高いことを指摘。alpelisibの第I相試験で皮疹の発生は用量依存的に増加している点3)、今回のサブセット解析で最初の数週間で多く発生している点などに触れ、日本人集団での最適用量の再検討や、経口非鎮静性抗ヒスタミン薬の予防的使用の検討が必要ではないかとの考えを示した。 岩田氏は発表後の質疑において、アジア人の他のポピュレーションでは全体集団と同様の結果が得られていることを明らかにし、日本人集団を対象とした追加試験を行う必要があるとした。

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非難されても致し方がない偏った論文(解説:野間重孝氏)-1081

 今回の論文評では少々極端な意見を申し述べると思うので、もし私の思い違い・読み違いだったとしたら、ご意見を賜りたくお願いしてから本題に入らせていただく。 本研究は虚血性心筋障害が疑われる患者に対して高感度トロポニンT/Iが心筋梗塞の正確な診断に利用されうるだけでなく、その予後情報としても利用できることを示そうと行われた研究である。具体的には救急外来受診時すぐに採血された値とその後一定時間をおいてから採血された2回目の採血結果を比較し、初回値だけを見るのではなく、2回目の数値を採血の間隔とも統合して見ることにより、より正確な診断のみでなく、その後の心血管イベントの発生リスクまでも予測できるとしたものである。 ここでまず重要なことは、典型的な症状を示し、心電図上明らかなST上昇が認められた症例は除外されていることである。この論文評をお読みの方の中には研修医の方もいらっしゃるのではないかと考えるので一言しておくと、2012年のESC/ACCF/AHA/WHFによる“Third Universal Definition of Myocardial Infarction”で心筋マーカーの上昇が心筋梗塞診断要件の1つとして位置付けられたことから、急性心筋梗塞の診断には心筋マーカーの上昇が必要と考え、臨床検査の結果を待とうという向きがありはしないかと懸念される。典型的症状+心電図上のST上昇は最も確実な心筋梗塞の診断であり、血液検査結果の到着を待つことなくただちに急性期治療を開始しなければならない。若い先生方、このあたりは絶対に過たないように声を大にしてお願いしたいと思う。 さて、問題は非典型例である。わが国においては、心電図変化が非典型的であったとしても心エコー図所見からasynergyがみられれば、緊急カテーテル検査を行うという方が多数派なのではないだろうか。かくいう私もそうしたほうなのだが、現在、海外では非典型例については(処置の準備をしておくことはもちろんだが)、まず検査結果をみようという向きが結構多いように感じられる。もちろんこれには純粋な科学的な理由ばかりではなく、保健医療などの問題も関係しているのではないかと推察するが…。 そこで本題であるが、そうした医療事情等の議論はさておいて、評者にはこの論文について、2つの重大な不満点がある。 第1はトロポニン測定に関する考え方がまったく述べられていないことである。 トロポニンT/IはトロポニンCとともに結合体を作り、アクチン・ミオシンへのカルシウムのコントロールをつかさどっている。これは骨格筋と同様であるのだが、トロポニンT/Iはその立体構造(conformation)が心筋固有のもの(isoform)であるため、健常時には血中にほとんど存在せず、心筋逸脱物質として取り扱うことができる。心筋に虚血性損傷が起こるとまず細胞膜に損傷が起こり、細胞液内可溶成分画内物質が逸脱する。代表的なのがCK、CK-MB、H-FABPなどである。これらがearly markerと呼ばれる。損傷がさらに進むと心筋の損傷から筋原線維タンパクが逸脱する。これらがlate markerと呼ばれ、その代表がトロポニン、ミオシン軽鎖である。すると、なぜトロポニンが早期反応物質として使用できるのかという疑問が起こるが、これには二通りの考え方がある。実はトロポニンはその6~7%が細胞質内に浮遊しており、それが測定されるのだという考え方。もう1つはmyocardiumの損傷は早期からトロポニン複合体の剥離を起こすため、測定が可能になるという考え方である。実際、トロポニンの上昇は厳密に測定すれば2層性なのだと主張する学者もいる。ちなみにearly markerといっても、必ずしもごく早期から測定できるわけではないのはCK-MBが良い例で、損傷が起こってから3~4時間を必要とする。高感度トロポニンがなぜ2時間程度から測定できるのか正確な機序はまだわかっていない。いずれにしても逸脱物質である以上、その値から心筋損傷の程度や予後を推定しようとするなら何度か測定し、AUC(area under curve)の積分値を考える必要がある。いつ起こったともわからない心筋損傷に対して、2点、それもその間隔が比較的ゆるく決められた2点の測定で代用できるというのなら、その根拠をしっかり示し、考察する必要がある。本論文ではこの点についてまったく述べられていない。学術論文では結果だけ示せばよいというものではないし、実際たまたまそうなったという可能性も否定できないのである。 なお、さきほど研修医の皆さんについて述べたが、生体内微量物質の定量とカットオフ値についての統計学的な知識については整理しておかれることを勧める。微量物質の正常値やカットオフ値の求め方について知っておくことは重要だからである。 第2点はさらに重要である。 こうしてトロポニン測定が行われた患者たちが、具体的にどのように治療されたのかという点についてまったく言及されていないのである。この論文は異常ともいえる長さのSupplementary Appendixが付けられているが、そのどこにもこうした問題についてのプロトコールが書かれていないのである(少なくともわかりやすいかたちで明記されていない)。というより、臨床試験で実患者を対象とした試験においてはこうした項目に対する記述は論文の倫理面からも結果解釈からも最重要項目の1つであるはずであるから、本文に明記されなくてはならないはずなのだが、まったく触れられていないのである。トロポニンを測定してみて、これはかなり危ないと考えられた患者もそのまま内科的に経過観察され、30日間のイベント発生に加えられたのだろうか? 加えて、本論文では心エコー図など他の検査所見についてもまったく言及されていないのである。当たり前だが、心筋梗塞の診断は血液検査のみで行うものではない。現在心筋梗塞の急性期の患者に対しては急性期インターベンションが施行されることにより、その予後が大幅に改善されることが証明されている。高名な臨床研究施設でそれぞれの倫理委員会を通った臨床研究なのだから、いい加減なやり方ではあろうはずがないと信じるが、このままの記述では人体実験が行われたと揶揄されても仕方のない論文構成ではないだろうか。 言い方は悪くなるのだが、いくつかの施設がそれぞれ自分たちのやり方で血液検査と予後調査をして、後から全体に通用させられるプロトコールを作って無理やりまとめたような印象があると言ったら少し言い過ぎだろうか? たとえば、現時点において臨床の場でトロポニンT、トロポニンIが並列的に測定されていることが多いが、それぞれの得失についての議論はまだ定まったとは言えない。実際、上昇までの時間、持続時間が微妙に異なることが知られている。また測定系の問題から、トロポニンT値からトロポニンI値を計算したり推定したりすることはできない。なぜトロポニンの研究をしようとしてトロポニンT/Iを混用したのか。各組織の都合に合わせたということではないのかというのは邪推だろうか。研究の全体像がつかみにくく、評価が難しい論文ではないかと思う。

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ウェルナー症候群〔WS:Werner syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義ウェルナー症候群(Werner syndrome:WS)とは、1904年にドイツの眼科医オットー・ウェルナー(Otto Werner)が、「強皮症を伴う白内障症例(U[ウムラウト]ber Kataract in Verbindung mit Sklerodermie:Cataract in combination with scleroderma)」として初めて報告した常染色体劣性の遺伝性疾患である。思春期以降に、白髪や脱毛、白内障など、実年齢に比べて“老化が促進された”ようにみえる諸症状を呈することから、代表的な「早老症候群(早老症)」の1つに数えられている。■ 疫学第8染色体短腕上に存在するRecQ型のDNAヘリカーゼ(WRN)遺伝子のホモ接合体変異が原因と考えられる。これまで全世界で80種類以上の変異が同定されているが、わが国ではc.3139-1G>C(通称4型)、c.1105C>T(6型)、c3446delA(1型)の3大変異が症例の90%以上を占める。一方、この遺伝子変異が、本疾患に特徴的な早老症状、糖尿病、悪性腫瘍などをもたらす機序の詳細は未解明である。■ 病因希少な常染色体劣性遺伝病だが、日本、次いでイタリアのサルデーニャ島(Sardegna)に際立って症例が多いとされる。1997年に松本らは、全世界1,300例の患者のうち800例以上が日本人であったと報告している。症状を示さないWRN遺伝子変異のヘテロ接合体(保因者)は、日本国内の100~150例に1例程度存在し、WS患者総数は約2,000例以上と推定されるが、その多くは見過ごされていると考えられる。かつては血族結婚に起因する症例がほとんどとされたが、最近では両親に血縁関係を認めない患者が増え、患者は国内全域に存在する。遺伝的にも複合ヘテロ接合体(compound heterozygote)の増加が確認されている。■ 症状思春期以降、白髪・脱毛などの毛髪変化、両側性白内障、高調性の嗄声、アキレス腱に代表される軟部組織の石灰化、四肢末梢の皮膚萎縮や角化と難治性潰瘍、高インスリン血症と内臓脂肪蓄積を伴う耐糖能障害、脂質異常症、骨粗鬆症、原発性の性腺機能低下症などが出現し進行する。患者は低身長の場合が多く、四肢の骨格筋など軟部組織の萎縮を伴い、中年期以降にはほぼ全症例がサルコペニアを示す。しばしば、粥状動脈硬化や悪性腫瘍を合併する。内臓脂肪の蓄積を伴うメタボリックシンドローム様の病態や高LDLコレステロール(LDL-C)血症が動脈硬化の促進に寄与すると考えられている。また、間葉系腫瘍の合併が多く、悪性黒色腫、骨肉腫や骨髄異形成症候群に代表される造血器腫瘍、髄膜腫などを好発する。上皮性腫瘍としては、甲状腺がんや膀胱がん、乳がんなどがみられる。■ 分類WRN遺伝子の変異部位が異なっても、臨床症状に違いはないと考えられている。一方、WSに類似の症状を呈しながらWRN遺伝子に変異を認めない症例の報告も散見され、非典型的ウェルナー症候群(atypical Werner syndrome:AWS)と呼ばれることがある。AWSの中には、LMNA遺伝子(若年性早老症の1つハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候の原因遺伝子)の変異が同定された症例もあるが、WSに比べてより若年で発症し、症状の進行も早いことが多いとされる。■ 予後死亡の二大原因は動脈硬化性疾患と悪性腫瘍であり、長らく平均死亡年齢が40歳代半ばとされてきた。しかし、近年、国内外の報告から寿命が5~10年延長していることが示唆され、現在では60歳を超えて生活する患者も少なくない。一方、足部の皮膚潰瘍は難治性であり、疼痛や時に骨髄炎を伴う。下肢の切断を必要とすることも少なくなく、患者のADLやQOLを損なう主要因となる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)WSの診断基準を表1に示す。早老症候はさまざまだが、客観的な指標として、40歳までに両側性白内障を生じ、X線検査でアキレス腱踵骨付着部に分節型の石灰化(図)を認める場合は、臨床的にほぼWSと診断できる。診断確定のための遺伝子検査を希望される場合は、千葉大学大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学へご照会いただきたい。なお、本疾患は、難病医療法下の指定難病であり、表2に示す重症度分類が3度または「mRS、食事・栄養、呼吸の各評価スケールを用いて、いずれかが3度以上」または「機能的評価としてBarthel Index 85点以下」の場合に重症と判定し、医療費の助成を受けることができる。表1 ウェルナー症候群の診断基準画像を拡大する図 ウェルナー症候群のアキレス腱にみられる特徴的な石灰化像 画像を拡大する分節型石灰化(左):アキレス腱の踵骨付着部から近位側へ向かい、矢印のように“飛び石状”の石灰化がみられる。火焔様石灰化(右):分節型石灰化の進展した形と考えられる(矢印)。表2 ウェルナー症候群の重症度分類 画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 薬物療法WSそのものの病態に対する根本的治療法は未開発である。糖尿病は約6割の症例に見られ、高度なインスリン抵抗性を伴いやすい。通常、チアゾリジン誘導体が著効を呈する。これに対してインスリン単独投与の場合は、数十単位を要することも少なくない。ただし、チアゾリジン誘導体は、骨粗鬆症や肥満を助長する可能性を否定できないため、長期的かつ客観的な観察結果の蓄積が望まれる。近年、メトホルミンやDPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬の有効性を示唆する報告が増え、合併症予防や長期予後に対する知見の集積が期待される。高LDL-C血症に対しては、非WS患者と同様にスタチンが有効である。四肢の皮膚潰瘍に対しては、皮膚科的な保存的治療を第一とする。各種の外用薬やドレッシング剤に加え、陰圧閉鎖療法が有効な症例もみられる。感染を伴う場合は、耐性菌の出現に注意を払い、起炎菌の同定と当該菌に絞った抗菌薬の投与を心掛ける。足部の保護と免荷により皮膚潰瘍の発生や重症化を予防する目的で、テーラーメイドの靴型装具の着用も有用である。■ 手術療法白内障は手術を必要とし、非WS患者と同様に奏功する。40歳までにみられる白内障症例を診た場合、一度は、鑑別診断としてWSを想起して欲しい。四肢の皮膚潰瘍は難治性であり、しばしば外科的デブリードマンを必要とする。また、保存的治療で改善がみられない場合は、形成外科医との連携により、人工真皮貼付や他部位からの皮弁形成など外科的治療を考慮する。四肢末梢とは異なり、通常、体幹部の皮膚創傷治癒能はWSにおいても損なわれていない。したがって、甲状腺がんや胸腹部の悪性腫瘍に対する手術適応は、 非WS患者と同様に考えてよい。4 今後の展望2009年以降、厚生労働科学研究費補助金の支援によって研究班が組織され、全国調査やエビデンス収集、診断基準や診療ガイドラインの作成や改訂と普及啓発活動、そして新規治療法開発への取り組みが行われている(難治性疾患政策研究事業「早老症の医療水準やQOL向上をめざす集学的研究」)。また、日本医療研究開発機構(AMED)の助成により、難治性疾患実用化研究事業「早老症ウェルナー症候群の全国調査と症例登録システム構築によるエビデンスの創生」が開始され、詳細な症例情報の登録と自然歴を明らかにするための世界初の縦断的調査が行われている。一方、WSにはノックアウトマウスに代表される好適な動物モデルが存在せず、病態解明研究における障壁となっていた。現在、AMEDの支援により、再生医療実現拠点ネットワークプログラム「早老症疾患特異的iPS細胞を用いた老化促進メカニズムの解明を目指す研究」が推進され、新たに樹立された患者末梢血由来iPS細胞に基づく病因解明と創薬へ向けての取り組みが進んでいる。なお、先述の全国調査によると、わが国におけるWSの診断時年齢は平均41.5歳だが、病歴に基づいて推定された“発症”年齢は平均26歳であった。これは患者が、発症後15年を経て、初めてWSと診断される実態を示している。事実、30歳前後で白内障手術を受けた際にWSと診断された症例は皆無であった。本疾患の周知と早期発見、早期からの適切な管理開始は、患者の長期予後を改善するために必要不可欠な今後の重要課題と考えられる。5 主たる診療科内科、皮膚科、形成外科、眼科(白内障)※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報千葉大学大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学 ウェルナー症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター ウェルナー症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)米国ワシントン州立大学:ウェルナー症候群国際レジストリー(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報ウェルナー症候群患者家族の会(患者とその家族および支援者の会)1)Epstein CJ, et al. Medicine. 1966;45:177-221.2)Matsumoto T, et al. Hum Genet. 1997;100:123-130.3)Yokote K, et al. Hum Mutat. 2017;38:7-15.4)Takemoto M, et al. Geriatr Gerontol Int. 2013;13:475-481.5)ウェルナー症候群の診断・診療ガイドライン2012年版(2019年中に改訂の予定)公開履歴初回2019年7月23日

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薬機法改正で「服薬後のフォロー」が薬剤師の義務に【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第29回

2020年に法改正を目指している「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、薬機法)」により、薬局・薬剤師の業務が大きく変わりそうです。厚生労働省は薬局で働く薬剤師に対し、必要に応じて患者の服用状況や副作用を継続的に確認し、指導するよう義務付ける。現状は医師の処方箋に基づいた薬の調剤に偏っている。服用後に処方内容が適切かどうかをチェックするといった本来業務が不十分との指摘が多い。法改正で職務を明確にし、改善を促す。6月に医薬品医療機器法の改正案が通常国会で審議入りしたが、衆院採決前に閉会し継続審議となった。秋に想定する臨時国会での成立を目指す。2020年にも施行される見通しだ。(2019年7月9日付 日本経済新聞)改正と聞くと「何か悪いことをしたのかしら…」と思う人もいるかもしれませんが、今回の改正は2013年に薬事法から医薬品医療機器等法と改正された際に、施行後5年を目途に見直しをすることが決められていたものです。この改正案は、6月の通常国会では会期切れとなり採決されずに継続審議となりましたが、秋の臨時国会で成立する見込みです。改正案の概要としては、薬局薬剤師に対して、調剤時に限らず必要に応じて患者の薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行う義務、患者の薬剤の使用に関する情報を医師などに提供する努力義務を法制化することが求められています。単純に患者さんから聞いたことをそのまま医師に伝える伝言ゲームではなく、薬剤師の知識を生かした問題解決や処方提案のスキルが求められています。そのほかにも、薬局・薬剤師に関する項目として、患者さん自身が自分に適した薬局を選択することができるように、機能別の薬局を導入することが求められています。「患者の服薬情報の一元的把握」「服用後の継続的な服薬指導」「高齢者の多剤投与対応」「在宅医療」「専門性の高い薬学的管理が継続的に必要となる薬物療法」などのさまざまな課題で薬剤師が職能を発揮するために、入退院時に医療機関と情報共有したり、在宅医療で地域の薬局と連携したりしながら一元的・継続的に対応する「地域連携薬局」と、がんなどの専門的な薬学管理に他医療提供施設と連携して対応する「専門医療機関連携薬局」という2つの機能の薬局が想定されています。なお、テレビ電話などによる遠隔診療からの遠隔服薬指導も盛り込まれていますが、実施には多少猶予期間が設けられそうです。薬剤師の職務に服用後のフォローが義務化されるということは、非常に大きな変化です。これらが採決され、改正医薬品医療機器等法が施行されると、これは薬剤師の義務になり、責任も業務量も増えるでしょう。課題はたくさんあると思いますが、一般の方の「薬局の中にいる人」や「ただ薬を渡してくれる人」というイメージが変わるように、前向きに取り組みたいと思います。

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第4回 捨てる代わりに出品する―ヤフオク活用のススメ【外科医けいゆうの気になる話題】

第4回 捨てる代わりに出品する―ヤフオク活用のススメ皆さんは身の回りの不要品をどう処分していますか?私は「ヤフオク!(旧Yahoo!オークション、以下ヤフオク)」で売っています。ヤフオクを使い始めたのは16年前。これまで2,000人近くと取引をしてきました。取引の9割以上は出品者としての利用です。16年もヤフオクで取引をしていると、どんな商品でも「使いたい」という人はたくさんいるのだなと思うのです。たとえば、病院では毎年年度末に大量の医学書が捨てられているのを目にするのですが、医学書はマイナーなものを除いてはたいてい売れます。それから、勤務医の先生方は転勤などで引っ越しが多いと思いますが、その際、家電や家具はほぼ必ず売れます。私もヤフオクでどれだけ節約できたか計り知れません。しかも、今のヤフオクはとても簡便です。私が使い始めたころ、出品の手間はかなりのものでした。当時スマホはなく、デジカメで商品の写真を一枚一枚撮影してはパソコンに取り込んでアップロードしていました。また、今のように専用の連絡ツールもなかったため、取引が成立するとお互いにメールアドレスを教え合い、直接メールで金額や発送に関する連絡を行っていました。メールには氏名、住所、振込口座番号などの個人情報が記載され、こちらで落札者からの振込を確認できたら商品を発送する、という流れでした。発送方法についても、荷物の三辺の長さを測ったり、はかりに掛けて重さを測り、ネットで料金を調べて相手に伝える、といった面倒な作業がありました。また、定形外郵便などの安価な配送サービスは追跡ができないため、発送したはずなのになかなか届かず、相手から苦情が来たことも一度や二度ではありません。今思えば、相当敷居の高い仕組みだったと思います。こうしたストレスも、今ではすっかりなくなりました。16年間使い続けていると、年々システムが改良され、ネットに詳しくない人でも簡単に参入できるようになってきたことがよくわかります。まず、スマホアプリの使い勝手が非常に良くなったことで、スマホで写真を撮り、そのまま出品する、ということが簡単にできるようになりました。商品説明文も、以前は詳細な文章を打ち込んでいましたが、今では必要事項をチェックすれば、簡単な説明だけで出品が可能です。また、アプリ上でお互いが匿名のまま連絡を取り合うことができます。発送も、ヤフネコ!パックのネコポスや宅急便コンパクトなど、ヤマト運輸とヤフオクが連携した配送サービスを使えるようになりました。これらは、指定の大きさの範囲内であれば、全国一律料金でコンビニから匿名配送ができます。おまけに、配送追跡サービスや紛失・破損に対する補償まで付いています。先日、使用しなくなったワイングラスを売ったのですが、配送途中で割れるという事故が起こりました。かなり厳重に梱包したはずなのに、です。しかし、これもヤフネコ!パックのサービスで全額補償され、トラブルにならずに済みました。そんなわけで、ヤフオクは誰にでもオススメできるサービスです。ぜひ参考にしてみてください。ちなみに高額な家電・家具の発送は、クロネコヤマトの「らくらく家財宅急便」がオススメです。

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乳がん検診への超音波併用のベネフィット、非高濃度乳房でも/日本乳学会

 マンモグラフィ検査の限界として、高濃度乳房で腫瘍が発見されにくくなる“マスキング効果”が指摘されている。そのため、「高濃度であれば追加検査を推奨し、非高濃度であれば安心」という論調がある。しかし、少なくとも40代の女性においては、高濃度か非高濃度かによらず、超音波検査の追加によってベネフィットが得られる可能性が示唆されている。第27回日本乳学会学術総会にて、東北医科薬科大学医学部・乳腺内分泌外科の鈴木 昭彦氏が、「J-STARTからみたDense Breast対策」と題して講演した。 米国では、2019年3月に乳がん検診に関する新たな方針案が示された。この方針案では、受診者への乳房構成の通知を義務付けることで、検診受診の判断を個人の裁量に委ねる方向性となっている。一方本邦では、40代後半から50代前半で最も乳がん罹患率が高いにもかかわらず、この年代でマンモグラフィの感度が低いため、いかに有効な検診を提供できるかが重要となる。超音波検査の追加によって非高濃度乳房でもがん発見率と感度上昇 鈴木氏らは、J-START試験参加者のうち、乳房構成のデータのある一部(11,432人)の症例を対象に、高濃度乳房群と非高濃度乳房群における超音波検査の影響を解析した。マンモグラフィ+超音波検査の介入群(超音波検査追加群)と、マンモグラフィのみのコントロール群の人数はそれぞれ5,781人 、5,651人であった。 全体の初回検診結果をみると、がん発見率:超音波検査追加群0.74% vs.コントロール群0.42%、要精検率:14.1% vs.9.8%、感度:93.5%(95%信頼区間:0.86~1.01)vs.72.7%(0.58~0.88)でp=0.02、特異度:86.6%(85.7~87.5)vs.90.6%(89.8~91.4)でp<0.001と、J-START試験の全国集計値とほぼ同様の傾向であった。 次に、高濃度乳房群(きわめて高濃度+不均一高濃度)と非高濃度乳房群(乳腺散在+脂肪性)で初回検診結果を比較すると、がん発見率は、高濃度乳房群で超音波検査追加群0.74% vs.コントロール群0.40%と超音波検査追加群で上昇した。一方の非高濃度乳房群でも、0.75% vs.0.46%と超音波検査追加群で高く、非高濃度乳房であっても、超音波検査の追加によって一定数の乳がんが新たに発見されていることが明らかとなった。 感度においても、高濃度乳房群で96.2%(88.8~103.2)vs. 72.2%(51.5~92.9)と超音波検査追加群で約24%上昇し、非高濃度乳房群でも90.0%(95%CI:76.9~103.6)vs. 73.3%(51.0~95.7)と超音波検査追加群で約17%上昇した。40代女性への超音波検査の上乗せは乳がん発見率を大きく改善 鈴木氏らによる2008年発表の研究1)において、年齢別・乳房構成別にマンモグラフィのがん発見感度をみると、40代女性では高濃度乳房だけでなく、乳腺散在の場合も50代以上と比較して感度が低い傾向がみられている(40代:69.2%、50代:80.7%、60代:79.7%)。 また、不要な要精検率の増加という“検診による不利益”についても検討。J-START試験参加者のうち、2007~08年の参加者6,731人をサンプル調査し、超音波検査追加群とコントロール群の初回および2回目検診における要精検率の変化を調査した。その結果、超音波検査追加群の要精検率は初回13.1%、2回目5.6%、コントロール群の要精検率は初回6.9%、2回目4.3%であった。しかし、陽性反応的中率(PPV)は超音波検査追加群で初回3.6%、2回目6.4%と上昇しており、検診の精度は保たれていた。 鈴木氏は、「検診の真の有効性を証明する指標は死亡率減少であり、現状で超音波検査を無条件で推奨できるエビデンスは存在しない。しかし、40代の日本人女性への超音波検査の上乗せは、乳がん発見率を大きく改善し、その効果は高濃度乳房でとくに顕著だが、非高濃度乳房でも明確にみられる。精度管理により不利益を最小化する努力が重要なのではないか」と締めくくった。

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今どきの女性目線を川田アナから学ぶ/日本Men’s Health医学会

 2019年7月13~14日に第19回日本men’s Health医学会が開催。本学会の目玉でもあるトークショーにフリーアナウンサーの川田 裕美氏(株式会社セント・フォース所属)を招き、学会理事長の堀江 重郎氏(順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学教授)と大会長の森下 竜一氏(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学教授)の3名によるトークで会場内に盛り上がりをみせた。今どき女性の求める相手とは? 昭和時代には“タバコ”が男の象徴だったと話す堀江氏と森下氏。禁煙時代を生きる川田氏にとって、理想とする男性像を両氏から質問されると、「過去に吸っていたけれど、“今は止めた”と聞くとステキに感じる」と、禁煙意識をもつ男性に好感を抱くとコメント。また、「若いうちから将来を見据え、食事や睡眠習慣などのライフスタイルを変えることができる方に魅力を感じる」とし、「女性が筋肉のようなビジュアルで惹かれるのは20代。年齢を重ねるにつれて子供のことを意識するようになるため、男性に惹かれるポイントが外見から内面に変化していく」と現代女性の心を代弁した。 これまで不妊といえば、女性の問題として取り上げられていたが、近年は男性不妊も問題視されている。川田氏は「男性側が不妊のチェック(ブライダルチェック)をする人が増えている。これに思いやりを感じる」と結婚を控える女性の視点でコメント。堀江氏は「その結果で破談になることもあるが、検査を受けることは重要。ただし、検査結果で将来をどうしていくのか、きちんと考えてから受ける必要がある」と、検査の価値と注意点について語り、川田氏は「検査を含め、結婚前から話し合える相手が理想」と語った。テストステロンと人生観 結婚すると太る男性がいるが、この原因としてテストステロンの分泌低下が影響しているという。森下氏らが「幸せなのになぜ下がるのか」と驚きを示したのに対し、堀江氏は「テストステロン分泌に幸せかどうかは関係ない。テストステロンは特定の女性を射止めて目移りしなくなったら下がるもの」と、結婚後に急激に低下する理由を説明した。一方、女性の体重は、エストロゲン値の変動が影響するため、堀江氏は「結婚によって左右されないのでは」とコメントした。 そのほか、見た目でも個人のテストステロン値の高さが垣間見える指標として、堀江氏は「男性の場合、ネックレスやブレスレットをしている人のホルモン値は高い。なぜなら、自分を表現しようとする気持ちが強いから」と語った。 人間の活力であり生活の源となるテストステロンは、年齢とともに分泌量の低下が否めない。しかし、抗加齢医学により分泌維持や補充療法(現時点では保険適用外)は可能である。人生100年時代を迎えた今、テストステロン分泌低下と定年退職が同時期に訪れる日本において、定年後の約40年間にどんな生活を送りたいのか-食生活や運動、見た目などを今から見つめ直し、理想像を描いておくことがテストステロン維持の第一歩となりそうだ。

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アカラシアの1次治療、経口内視鏡的筋層切開術が有効/JAMA

 未治療の食道アカラシアの治療において、経口内視鏡的筋層切開術(peroral endoscopic myotomy:POEM)は、内視鏡的バルーン拡張術(pneumatic dilation)に比べ、2年後の治療成功率が有意に高いことが、オランダ・アムステルダム大学のFraukje A. Ponds氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年7月9日号に掲載された。症例集積研究により、アカラシアの治療におけるPOEMの良好な結果が報告されている。アカラシアの現在の標準的な1次治療はバルーン拡張術とされ、より侵襲性の高いPOEMや腹腔鏡下 Heller 筋層切開術を1次治療とすることには疑問を呈する意見があり、これらの直接比較には意義があるという。5ヵ国6施設が参加した無作為化試験 本研究は、オランダ、ドイツ、イタリア、香港、米国の6施設が参加した多施設共同無作為化試験であり、2012年9月~2015年7月の期間に患者登録が行われた(Fonds NutsOhraなどの助成による)。 対象は、18~80歳、新規に症候性アカラシアと診断され、治療を受けておらず、重症度の指標であるEckardtスコア>3点の患者であった。Eckardtスコアは、嚥下障害、逆流、胸痛の頻度と、体重減少の程度により、0~12点で評価した(点数が高いほど重症度が高い)。 被験者は、POEMまたはバルーン拡張術を受ける群に無作為に割り付けられた。初回のバルーン拡張術には30mmバルーンを用い、3週間後もEckardtスコア>3点の場合には、35mmバルーンによる拡張術を行った。 主要アウトカムは、2年時の治療成功(Eckardtスコア≦3点、かつ重度の治療関連合併症がない、または内視鏡的/外科的再治療が行われていない)とした。治療成功例において、14項目の副次エンドポイントの評価を行った。2年時治療成功率:92% vs.54%、3ヵ月と1年時も有意に良好 130例(平均年齢48.6歳、73例[56%]が男性)が治療を受け、126例(95%、POEM群63例、バルーン拡張術群63例)が試験を完遂した。 主要アウトカムである2年時の治療成功率は、POEM群が92%(58/63例)と、バルーン拡張術群の54%(34/63例)に比べ有意に優れた(絶対差:38%、95%信頼区間[CI]:22~52、p<0.001)。 副次エンドポイントである3ヵ月時(POEM群98% vs.バルーン拡張術群80%、絶対差:18%、95%CI:7~30、p=0.001)および1年時(95% vs.66%、31%、17~45、p<0.001)の治療成功率も、POEM群が有意に良好であった。 積算弛緩圧中央値(POEM群9.9mmHg vs.バルーン拡張術群12.6mmHg、絶対差:2.7mmHg、95%CI:-2.1~7.5、p=0.07)および食道排泄能の指標である一定間隔を空けた食道造影検査におけるバリウム柱の高さ(2.3cm vs.0cm、2.3cm、1.0~3.6、p=0.05)には、両群間に有意な差はみられなかった。 逆流性食道炎(41% vs.7%、絶対差:34%、95%CI:12~49%、p=0.002)およびプロトンポンプ阻害薬の使用(41% vs.21%、20%、1~38、p=0.004)は、いずれもPOEM群で頻度が高かった。 重篤な有害事象は、POEM群では認めず、バルーン拡張術群では2例(30mmバルーンを用いた拡張術後の穿孔による13日の入院、穿孔の徴候のない胸痛による1日の入院)にみられた。POEM群のほうが有害事象の頻度が高く(67% vs.22%)、逆流性食道炎(29例)と逆流症状(8例)が多かった。 著者は、「これらの知見は、アカラシア患者の初回治療選択肢としてのPOEMの考慮を支持する」としている。

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高齢者NSCLCの1次治療、カルボプラチン+ペメトレキセドがドセタキセルに非劣性/日本臨床腫瘍学会

 高齢者の進行期非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対しては、ドセタキセル単剤(DOC)が標準治療である。一方、カルボプラチン+ペメトレキセドからペメトレキセドの維持療法(CBDCA/PEM)は、その実用性から非扁平上皮NSCLCの1次治療として多く使われており、また高齢者の進行期非扁平上皮NSCLCの第II相試験においても有効性を示している。そのような中、徳島大学の軒原 浩氏らは、第17回日本臨床腫瘍学会学術集会でCBDCA/PEMのDOC単剤治療に対する非劣性を検証するJCOG1210/WJOG7813L試験の結果を発表した。対象:化学療法未治療の75歳以上のStageIII/IVまたは術後再発非扁平上皮NSCLC試験薬:カルボプラチン(AUC5)+ペメトレキセド(500mg/m2)3週ごと4サイクル→ペメトレキセド(500mg/m2)3週ごと病勢悪化まで対照薬:ドセタキセル60mg/m2 3週ごと病勢悪化まで評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効割合(ORR)、症状スコア、有害事象などCBDCA/PEMの非劣性マージンは、ハザード比(HR)1.154に設定された。 主な結果は以下のとおり。・433例がドセタキセル群217例とCBDCA/PEM群216例に無作為に割り付けられた。治療対象は両群共に214例であった。・患者の年齢中央値は両群とも78歳、男性はCBDCA/PEM群57%とDOC群58%、StageIVが75%と76%、腺がんが98%と96%であった。・OS中央値はCBDCA/PEM群18.7ヵ月、DOC群15.5ヵ月(HR:0.850、95%CI:0.684~1.056、片側p<0.0029)と、予め設定された非劣性マージン(1.154)を達成し、CBDCA/PEMのドセタキセルに対する非劣性が証明された。・PFS中央値はCBDCA/PEM群6.4ヵ月、DOC群4.3ヵ月であった(HR:0.739:95%CI:0.609~0.896)。・ORRはCBDCA/PEM群36.8%、DOC群28.2%であった(p=0.0740)。・Grade3~4の好中球減少症の発現(46.3%対86.0%)および白血球減少の発現(28.0%対68.7%)はCBDCA/PEM群で低く、Grade3~4の血小板減少の発現(25.7%対1.4%)および貧血の発現(29.4%対1.9%)はCBDCA/PEM群で高かった。また、Grade3~4の発熱性好中球減少の発現(4.2%対17.8%)はCBDCA/PEM群で低かった。

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双極性障害患者における日中の光曝露とうつ症状との関連

 光療法などの人工的な光曝露は、双極性うつ病に有効であるが、双極性障害(BD)患者におけるコントロールされていない日中の光曝露とうつ症状との関連は、明らかとなっていない。藤田医科大学の江崎 悠一氏らは、日常生活におけるBD患者の日中の光曝露とうつ症状との関連について調査を行った。Journal of Psychiatric Research誌2019年9月号の報告。 本研究は、BD患者181例を対象とした横断的研究である。平均日中光強度および照度1,000ルクス以上の総時間を、周囲光を測定するアクチグラフを用いて、7日間連続で測定した。うつ症状はMontgomery Asbergうつ病評価尺度を用いて評価し、8点以上をうつ状態と定義した。 主な結果は以下のとおり。・うつ状態の患者は、97例(53.6%)であった。・平均日中光強度の三分位で最も高かった群では、うつ状態の割合が有意に低かった(p for trend=0.003)。・年齢、雇用状態、BD発症年齢、ヤング躁病評価尺度のスコア、就寝時刻、身体活動で調整後の多変量解析では、平均日中光強度の三分位で最も高かった群は、最も低かった群と比較し、うつ状態のオッズ比(OR)が有意に低かった(OR:0.33、95%CI:0.14~0.75、p=0.009)。・同様に、照度1,000ルクス以上の総時間の三分位で最も高かった群は、最も低かった群と比較し、うつ状態のORが有意に低かった(OR:0.42、95%CI:0.18~0.93、p=0.033)。 著者らは「BD患者では、日常生活における日中の光曝露の増加が、うつ症状の軽減と関連していることが示唆された」としている。

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第24回 心電図の壁~復刻版~(前編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第24回:心電図の壁~復刻版~(前編)今でこそ心電図に関するさまざまなテキストを出版し、多くの講義・セミナーの機会をいただいているDr.ヒロですが、かつては心電図や不整脈が不得手だったのです…多くの人と同じか、それ以上に苦労して何度もくじけそうになりました。そんなボクだからこそ、いかにして困難を乗り越えたかを語ることで、心電図学習で悩む人へ勇気を与えられるのではないかと、かつて、医学書院の「内科医の道」という若手医師向けのシリーズ企画の中で、あるエッセイ*を執筆しました。このシリーズは、著名な先生方が若手に向けたメッセージをWEB上で発信するもので、ボク自身も時々興味深く読んでいた企画でした。もちろん自分には分不相応だとは思いつつ…当時のボクは承諾してしまいました。その時つけたタイトルが『心電図の壁』。大先輩でもある養老 孟司先生の影響を受けていないとは言いません(笑)。*杉山裕章. 内科医の道[電子版エッセイ]. 医学書院;2012.第48回. (※2018年に公開終了)ニガテ・キライ・ムリの状態から、どう“壁”を乗り越えてきたか-そのプロセスが心電図を学びたい“迷える子羊”たちのお役に少しでも立てればと懸命に書きました。この自分の成長日記とも言えるエッセイも、今では時の流れで“閲覧不能”となってしまいましたが、医学書院と交渉し、自らツッコミ的な補足も追加しつつ、本連載の番外編として2回シリーズでお届けできることになりました。いつものようなレクチャー調でもなく、気軽にご笑読いただけたら嬉しいです。では、はじまり、はじまり~。注)黄緑枠部分がエッセイ、グレー枠部分が現在のDr.ヒロによるツッコミです。原稿依頼をいただいた時、若手医師へ向けたWebエッセイ企画とのことで、本当はお断りしたかった。なぜって、自分こそ“読者”たるべき若者1)だから。でも、いろいろと考えた挙句、心電図についての“苦労話”を皆さんに聞いてもらうことで、少しはお伝えできることもあろうかと思ってお引き受けした。学生時代を思い返してみると、お世辞にも真面目とは言えなかったと思う。でも、外部病院実習2)で配属になった循環器の先生方のカテーテル室やCCUを駆け回るパワフルな姿がとてもカッコ良く見え、自分もやってみたくなったのだ3)。でもオレって…シンデンズとか全然ダメじゃん(泣)。当時は何だかよくわからないけれど心電図が循環器の“象徴”な気がして、試験そのほかでもひどい目にあった記憶が頭から離れなかったからかもしれない。とにかく心電図が大のニガテだった。1:当時33~34歳。冷静になってみるとそんなに若くはないか…。2:とくに印象的だったのは、T病院とM病院の2つ。3:今も最前線で活躍されておられる某医師。当時、若くてバリバリの彼に向けられたナースたちの眼差しはとても印象的だった。容姿もカッコよく、しかもデキる…まさに“完璧”!そんな自分を少しだけ変えたのは、ひょんなことから参加した学内の“心電図ゼミ”だった。有志の勉強会なんてものに参加したことなんて一度もなかったが、わらをもつかみたい気持ちが背中を押してくれたか4)。それは毎週1人1枚、ナマの心電図波形が与えられ、ノーヒントの状態で担当教授と十数人の同級生の前で自分なりの診断・解釈を述べるものであった。ボクが普段やっている“マルチョイ”方式のクイズとはレベルが違う。今で言う、“リアル・ガチ”だ(頼みの綱の自動診断結果も消されていた…)。ほかの人が読んできた心電図もコピーして配布されるため、1回このゼミに行くと、必ず十数個の新しい課題が生まれた。正しく読み切れたときもあれば、全然アサッテの診断をしてしまったことも多々あった5)。出席者の多くも皆、それなりに間違った。しかし、その教授は、たとえ間違った診断をしても決してけなすことなく、その場で“どう読むのか”を、逐一教えてくれた6)。プロ(循環器)の視点に触れた瞬間はしばしば身震いがした。4:実は、当時仲良くしていた友人が参加すると言ったため、何か不安になって一緒について行った。5:今でこそ「系統的判読法」などと1枚の心電図から漏れなく所見を拾い上げることの重要性を強調してるが、当時は指定教科書とブツ(心電図)とをウンウンうなって見比べながら恥をかきたくない一心で必死でやっていたっけなぁ(その甲斐なく敗れさったことも数知れず)。6:同教授は退官されるまで毎年同ゼミを開催されていたそう。心電図はいわんや、まさに教育のプロフェッショナル!約半年間、なぜだか休まず通った。必修の授業だってサボることのあった“劣等生”が。いつしか、自分が担当でない問題にも自分なりの所見をつけてからセッションに参加するようにもなった7)。ただ、その後は苦労の連続だった。国家試験にどうにか通って医師1年目、大学病院で入院サマリーや諸雑用に追われ、心電図はおろか、ほとんど勉強なんてできなかった。もともと自分の要領が悪く、種々のストレスや疲労にも悩まされることもあったのだが。ゼミで築いた“土台”も見事に退化してしまった。7:学生時代に用いていた教科書の大半は廃棄したが、この心電図“教材”は捨てずにファイリングして残してあるほど愛着アリ。2年目は“野戦病院”8)に出た。当然、心電図の講義なんてない。でも、そこでダメ研修医に再度転機が訪れた。1つ上の先生が、「あなた、循環器に興味があるのなら、心電図の“下読み”してみたら? ○○先生が添削してくれるから勉強になるわよ」と勧めてくれたのがキッカケだった9)。それは、院内で毎日記録される山のような心電図の所見を他科のドクターにもわかるよう紙に記載する仕事だった10)。この“下読み”に、コワモテ循環器部長が目を通し、間違っていれば赤ペンで修正してくれるというのだ。しかも、生理検査室の人は、訂正が入った心電図と“正解”できたものとを別に分けておいてくれた11)。それ以後1年近くの間、頼まれてもないのに院内ほぼすべての心電図に目を通す、出来の悪い下読み工場をオープンさせた。はじめのうちはドン引きするくらい直され、不整脈やペースメーカーの心電図などは最後までまったく歯が立たなかった。だが、毎回ドキドキしながら添削結果と向き合った経験は貴重ではあり、一度は失いかけた心電図への“情熱”が徐々に湧き上がってくるのを感じた12)。 8:飲み屋街としても有名な神楽坂付近の病院で、名称は変わっても現在も同じ場所にある。 9:何度か一緒に飲みに行き(ご馳走になっていた)、「腎臓内科の紹介でこの病院に来たんですけど、今更ながらやっぱり循環器やりたいなぁって思ってるんです」なーんて相談したような気が…。10:当時はまだ電子カルテはなく、複写式の短冊状の紙にボールペンで所見を書いた。個々人に“ポケベル”が手渡されており、それが鳴るたび近くの電話機にダッシュしていたなぁ…。11:悩みに悩んでつけた所見が予想通り“誤り”であったもの、そして逆に自分では難なく診断できたと思っていたのに訂正が入り、「そう考えるのか」と多々学ぶことも。悩んだ末に出した回答が“正解”だった時は、ニコニコとスキップして病棟に戻るくらい喜んだなぁ。12:現在でも循環器レジデントなどのdutyとして心電図“下読み”があるようだが、“添削”まで入る環境は比較的少ないのでは。研修自体はいろいろ苦労もしたけれど、この点は恵まれていたと思う。今回はここまで。今振り返ると、かつての教授や部長と同じような立ち居振舞いや試みは、現時点でのボクにはできていません。時勢も変化も踏まえ、Dr.ヒロが選んだのは書籍やWEBでの連載による講義に重点を置くという道です。ただ、それでも“胸のうちは一つ。医学生や研修医・レジデント諸氏に以下のTake home messageを実践してもらいたい―それだけです。今回はDr.ヒロのライフ・ワークの根幹に触れる話をお届けしました。次回は、循環器医になってからの“心電図の壁”への挑戦ストーリーをお届けします。お楽しみに!Take-home Message教科書や問題集だけではなく“生”の心電図に数多く触れよ!心電計の自動診断や先輩の読みに頼らず、自分なりの所見・診断をつける“訓練”をすべし!自分がわからなかった心電図をプロ(循環器医)がどう読んだかチェックして真似よ!【古都のこと~心リハ学会2019教育講座】今回は夏休み特別編をお送りします。2019年7月13日、大阪国際会議場にて第25回日本心臓リハビリテーション学会学術集会(大会長:木村 穣氏[関西医科大学健康科学科])が開催され、Dr.ヒロは教育基礎講座『心電図とのつき合い方、教えます!~心臓リハビリテーション編~』*のレクチャーをする機会に恵まれました。実は、本学術集会への参加は初めてだったのですが、医師もさることながら、理学療法士や看護師などのコメディカルの方々の熱気がダイレクトに伝わってくる、本当に素晴らしい学会であり、今まで不参加であった自分を恥じました。当日は600人収容の会場が超満員、立ち見が数十人どころか会場の外まで人がギッシリ! こうした状況で講演をさせてもらえることは非常に光栄に感じます。さらに、ボクがレジデント時代を過ごした際の恩師が座長という別のプレッシャーもありました(笑)。ただ、いざ始まってしまえば、いつも通り「心電図・不整脈が好きだー」という情熱を前面に押し出す“熱血講義”スタイルで行うことができました。写真はタイトルスライドで、本連載での著者紹介イラスト、背景は伏見稲荷大社(伏見区)の千本鳥居の様子です。心電図は循環器領域の“言葉”の一つであり、その重要性はもちろん心臓リハビリテーションの世界でも変わらないと思います。聴講してくださった皆さんが、レクチャーから何かしらの「ヒント」を感じ取り、ひいては彼ら彼女らが担当する患者さんの健康回復につながるとしたら、演者冥利に尽きるものです。*:当日使用したスライド資料はこちらから

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最終回 常にプロフェッショナルであるために【週刊・川添ラヂオ】

動画解説最終回で川添先生が語るのは記憶に残る2人の患者さんに関するエピソード。その2人はなんと川添先生に激怒した患者さんで、彼らに言われた言葉が先生の生き方の原動力になっているんだそうです。若き先生がやってしまった失敗とは?いつまでも挑み磨き続ける川添先生からみなさんへのラストエール。

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前立腺がんに対する重粒子線治療の有益性に関するエビデンス/Lancet Oncol

 前立腺がんに対する重粒子(炭素イオン)線治療の有益性に関するエビデンスが日本発で発信された。量子科学技術研究開発機構(NIRS)のOsama Mohamad氏らによる検討の結果、限局性前立腺がんに対する重粒子線治療は、光子線治療よりも2次がんリスクが低いと思われる所見が示されたという。これまでに、絶対数は少ないが光子線治療は手術を受けた患者よりも2次がんリスクが高いことが示されていた。重粒子線治療は、理論的には光子線治療よりも2次がんの誘発リスクは低いが、世界的にオファーが少なく、入手できるデータも1994年以降のものと限定的であり臨床研究が進んでいなかった。著者は「結果の裏付けには長期に追跡した前向き評価が必要であるが、今回示されたデータは、通常治療後の全生存期間(OS)が長期と予想される患者、反対に不良なアウトカムを有する患者に対し、広く重粒子線治療を適用することを支持するものである」と述べている。Lancet Oncology誌2019年5月号掲載の報告。重粒子線治療は光子線治療や手術よりも2次がんのリスクが有意に低い 研究グループは、後ろ向き傾向スコア重み付けコホート研究にて、限局性前立腺がん患者の重粒子線治療後の2次がんリスクについて、光子線療法後または手術後患者と比較する検討を行った。 日本のNIRSにて、1995年6月27日~2012年7月10日に前立腺がんで重粒子線治療を受けた患者の記録をレビューすると共に、1994年1月1日~2012年12月31日に前立腺がんの診断および治療を受けた大阪府がん登録の患者の記録を抽出して評価した。組織学的に限局性前立腺がんと確認されており、少なくとも3ヵ月間フォローアップを受けていた患者(年齢制限なし)を適格とした。転移、リンパ節転移陽性、浸潤転移(T4ステージ)を認める患者、悪性腫瘍の既往がある、または同時性がんの患者、放射線療法または化学療法を受けたことがある患者は除外した。 多変量解析にて、重粒子線治療後の2次がんの予測因子を推定し、傾向スコア逆重み付け法にて後ろ向きに、限局性前立腺がん患者における重粒子線治療vs.光子線治療vs.手術後の2次がん発生率を比較した。 前立腺がんで重粒子線治療を受けた患者の記録をレビューした主な結果は以下のとおり。・NIRSで前立腺がんの重粒子線治療を受けた患者は1,580例であった。そのうち1,455例(92%)が試験の適格条件を満たした。・大阪府がん登録では前立腺がん患者3万8,594例が特定された。そのうち光子線療法を受けた1,983例(5%)と、手術を受けた5,948例(15%)を解析に包含した。・追跡期間中央値は、重粒子線治療群7.9年(5.9~10.0)、光子線治療群5.7年(4.5~6.4)、手術群6.0年(5.0~8.6)であった。・重粒子線治療群で2次がんが診断されたのは234例であった。一部の患者は複数の腫瘍を呈した。・多変量解析の結果、重粒子線治療群の2次がんの高リスク因子と関連していたのは、年齢(71~75歳vs.60歳以下のp=0.0021、75歳超vs.60歳以下のp=0.012)、喫煙(p=0.0005)であった。・傾向スコア重み付け解析の結果、重粒子線治療群は光子線治療群よりも2次がんのリスクが有意に低かった(HR:0.81、95%CI:0.66~0.99、p=0.038)。また、手術群と比べても有意に低かった(0.80、95%CI:0.68~0.95、p=0.0088)。・一方で、光子線治療群は手術群よりも、2次がんのリスクが有意に高かった(HR:1.18、95%CI:1.02~1.36、p=0.029)。

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日本人高齢者の身体能力と認知症発症との関連

 身体能力を評価することは、認知症リスク評価を容易にする可能性がある。しかし、どのような身体能力が認知症発症と最も関連するかについては、明らかとなっていない。国立長寿医療研究センターの土井 剛彦氏らは、日本人高齢者における身体能力と認知症発症との関連について検討を行った。Physical Therapy誌オンライン版2019年6月4日号の報告。 本研究は、地域在住の高齢者を対象としたプロスペクティブ研究である。65歳以上の高齢者1万4,313人のうち、2011~12年に5,104人が研究参加を承諾し、そのうち4,086人(女性の割合:52%、平均年齢72.0歳)が基準を満たしていた。ベースライン時の身体能力として、握力テスト、5回椅子立ち上がりテスト(Five-Times Sit-to-Stand Test:FTSST)、Timed Up & Go Test(TUG)より身体能力レベルを収集した。各テストにおける身体能力レベルは、性別層別四分位値に基づいて、最高レベルのC1から最低レベルのC4に分類した。認知症発症に関する情報は、毎月の医療記録より収集した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中(平均期間:42.9ヵ月)に認知症を発症した高齢者は、243人(5.9%)であった。・log-rank検定では、低身体能力レベルは、認知症の重大なリスク因子であることが示唆された。・共変量で調整した後、Cox比例ハザードモデルでは、FTSST-C4群において、認知症リスクと有意な関連が認められた(ハザード比:1.69、95%CI:1.10~2.59)。・同様に、TUG-C4群においても、認知症リスクと有意な関連が認められた(ハザード比:1.54、95%CI:1.01~2.35)。・握力レベルと認知症リスクとの間に有意な関連は認められなかった。・本研究では、医療記録データの使用による制限を受けた。 著者らは「身体能力レベルの低さは、認知症リスクと関連が認められた。認知症リスクを評価する際には、身体機能の適切な評価を行うべきである」としている。

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砂糖入り飲料、がんのリスク増大/BMJ

 砂糖入り飲料の消費は、全がんおよび乳がんのリスクを増加させ、100%果物ジュースも全がんのリスクと関連することが、フランス・パリ第13大学のEloi Chazelas氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2019年7月10日号に掲載された。砂糖入り飲料の消費は最近10年で世界的に増加しているという。砂糖入り飲料と肥満リスクには明確な関連が認められ、肥満は多くのがんの強力なリスク因子とされる。10万人以上の住民を対象とするフランスのコホート研究 研究グループは、100%果物ジュースを含む砂糖入り飲料および人工甘味料入り飲料と、がんのリスクとの関連の評価を目的とする住民ベースの前向きコホート研究を行った(フランス保健省などの助成による)。 解析には、フランスで2009年にWebベースで登録が開始されたNutriNet-Santeコホートの2018年までのデータ(10万1,257例)を用いた。 砂糖入り飲料および人工甘味料入り飲料の消費の評価には、3,300項目の食品および飲料に関して、参加者の日常的な消費状況が記録されるようデザインされた反復的24時間食事記録法を用いた。飲料のタイプごとに、男女別の消費量をそれぞれ4段階に分けて解析した。 主要アウトカムは、飲料の消費と全がん、乳がん、前立腺がん、大腸がんの関連とした。競合リスクを考慮し、多変量で補正したFineとGrayのハザードモデルを用いて評価を行い、部分分布のハザード比(HR)を算出した。がん予防における修正可能なリスク因子である可能性 10万1,257例(平均年齢42.2[SD 14.4]歳)のうち、女性が7万9,724例(78.7%)を占め、男性は2万1,533例(21.3%)であった。飲料のタイプ別の割合は、砂糖入り飲料(100%果物ジュースを除く)が36%、100%果物ジュースが45%で、人工甘味料入り飲料は19%だった。 追跡期間中央値5.1年(49万3,884人年)の間に、2,193例が初発のがんを発症した。内訳は、乳がんが693例(閉経前283例、閉経後410例)、前立腺がんが291例、大腸がんは166例で、診断時の平均年齢は58.5±12.0歳だった。 砂糖入り飲料の消費は、全がん(消費量100mL/日増加の部分分布HR:1.18、95%信頼区間[CI]:1.10~1.27、p<0.001)および乳がん(1.22、1.07~1.39、p=0.004)のリスクと有意な関連が認められた。乳がんは、閉経前(p=0.02)が閉経後(p=0.07)よりも関連性が明確であったが、砂糖入り飲料の消費量中央値は、閉経期(88.2mL/日)のほうが閉経前(43.2mL/日)に比べ多かった。 砂糖入り飲料の消費は、前立腺がんおよび大腸がんとは関連がなかった。また、肺がんにも関連は認めなかったが(p=0.1)、統計学的検出力がきわめて低かった。 人工甘味料入り飲料の消費は、がんのリスクとは関連しなかったが、全サンプルに占める消費の割合が相対的に低かったことから、統計学的検出力が不十分であった可能性がある。 サブ解析では、100%果物ジュースの消費は全がん(消費量100mL/日増加の部分分布HR:1.12、95%CI:1.03~1.23、p=0.007)のリスクと有意な関連を示した。 著者は、「これらの結果は、他の大規模な前向き研究で再現性を検証する必要がある」とし、「欧米諸国で広く消費されている砂糖入り飲料は、がん予防における修正可能なリスク因子である可能性が示唆される」と指摘している。

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片頭痛の急性期治療、CGRP受容体拮抗薬rimegepantが有効/NEJM

 片頭痛発作の治療において、経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬rimegepantはプラセボに比べ、急性期の痛みおよび痛み以外の最も苦痛な症状の改善効果が優れることが、米国・アルベルト・アインシュタイン医学校のRichard B. Lipton氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年7月11日号に掲載された。片頭痛の成因には、CGRP受容体の関与が示唆されており、rimegepantは片頭痛の急性期治療に有効である可能性がある。本薬はトリプタンとは作用機序が異なるため、トリプタンに反応しない患者にも有効である可能性があるという。米国の49施設が参加したプラセボ対照無作為化試験 本研究は、米国の49施設が参加した多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験であり、2017年7月~2018年1月の期間に患者登録が行われた(Biohaven Pharmaceuticalsの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、50歳前に片頭痛を発症し、1年以上の既往歴があり、直近3ヵ月間に中等度または重度の片頭痛発作が月に2~8回発現した患者であった。被験者は、1回の片頭痛発作の治療としてrimegepant 75mgを経口投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、痛みの消失および患者が自覚する(痛み以外の)最も苦痛な症状の消失とし、いずれも投与後2時間の時点で評価した。2時間後に19.6%で痛みが、37.6%で最も苦痛な症状が消失 1,086例が登録され、1,072例(修正intention-to-treat集団、rimegepant群537例、プラセボ群535例)で有効性の評価が可能であった。全体の88.7%が女性で、平均年齢は40.6±12.0歳だった。 ベースラインの片頭痛発作の頻度は平均4.6±1.8回/月で、未治療では症状が平均32.5±22.1時間持続した。前兆のない片頭痛が734例、前兆のある片頭痛は338例であり、痛み以外の最も苦痛な症状は、光過敏が51.9%と最も多く、次いで悪心が29.6%、音過敏が15.3%であった。 投与後2時間時に、痛みが消失していた患者の割合は、rimegepant群が19.6%と、プラセボ群の12.0%に比べ有意に高かった(絶対差:7.6ポイント、95%信頼区間[CI]:3.3~11.9、p<0.001)。 また、投与後2時間時に、最も苦痛な症状が消失していた患者の割合は、rimegepant群は37.6%であり、プラセボ群の25.2%に比し有意に優れた(絶対差:12.4ポイント、95%CI:6.9~17.9、p<0.001)。 投与後2時間時の光過敏がない患者の割合(rimegepant群37.4% vs.プラセボ群22.3%、絶対差:15.1ポイント、95%CI:9.4~20.8、p<0.001)、音過敏がない患者の割合(36.7% vs.26.8%、9.9、3.2~16.6、p=0.004)、痛みが軽減(投与直前の中等度または重度の痛みが、軽度または消失)した患者の割合(58.1% vs.42.8%、15.3、9.4~21.2、p<0.001)は、rimegepant群が有意に良好であった。悪心は両群間に差はなかった。 とくに頻度が高かった有害事象は、悪心(rimegepant群1.8%、プラセボ群1.1%)と尿路感染症(1.5%、1.1%)であった。重篤な有害事象は、rimegepant群が1例(背部痛)、プラセボ群は2例(胸痛、尿路感染症)で認められた。肝機能検査では、正常上限値を超える血清アラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の上昇が、それぞれ2.4%、2.2%にみられた。 著者は、「反応の一貫性や、他の治療法と比較した薬剤の安全性および有効性を決定するために、より大規模で長期の試験を要する」としている。

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