片頭痛の急性期治療、CGRP受容体拮抗薬rimegepantが有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2019/07/22

 

 片頭痛発作の治療において、経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬rimegepantはプラセボに比べ、急性期の痛みおよび痛み以外の最も苦痛な症状の改善効果が優れることが、米国・アルベルト・アインシュタイン医学校のRichard B. Lipton氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年7月11日号に掲載された。片頭痛の成因には、CGRP受容体の関与が示唆されており、rimegepantは片頭痛の急性期治療に有効である可能性がある。本薬はトリプタンとは作用機序が異なるため、トリプタンに反応しない患者にも有効である可能性があるという。

米国の49施設が参加したプラセボ対照無作為化試験

 本研究は、米国の49施設が参加した多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験であり、2017年7月~2018年1月の期間に患者登録が行われた(Biohaven Pharmaceuticalsの助成による)。

 対象は、年齢18歳以上、50歳前に片頭痛を発症し、1年以上の既往歴があり、直近3ヵ月間に中等度または重度の片頭痛発作が月に2~8回発現した患者であった。被験者は、1回の片頭痛発作の治療としてrimegepant 75mgを経口投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。

 主要エンドポイントは、痛みの消失および患者が自覚する(痛み以外の)最も苦痛な症状の消失とし、いずれも投与後2時間の時点で評価した。

2時間後に19.6%で痛みが、37.6%で最も苦痛な症状が消失

 1,086例が登録され、1,072例(修正intention-to-treat集団、rimegepant群537例、プラセボ群535例)で有効性の評価が可能であった。全体の88.7%が女性で、平均年齢は40.6±12.0歳だった。

 ベースラインの片頭痛発作の頻度は平均4.6±1.8回/月で、未治療では症状が平均32.5±22.1時間持続した。前兆のない片頭痛が734例、前兆のある片頭痛は338例であり、痛み以外の最も苦痛な症状は、光過敏が51.9%と最も多く、次いで悪心が29.6%、音過敏が15.3%であった。

 投与後2時間時に、痛みが消失していた患者の割合は、rimegepant群が19.6%と、プラセボ群の12.0%に比べ有意に高かった(絶対差:7.6ポイント、95%信頼区間[CI]:3.3~11.9、p<0.001)。

 また、投与後2時間時に、最も苦痛な症状が消失していた患者の割合は、rimegepant群は37.6%であり、プラセボ群の25.2%に比し有意に優れた(絶対差:12.4ポイント、95%CI:6.9~17.9、p<0.001)。

 投与後2時間時の光過敏がない患者の割合(rimegepant群37.4% vs.プラセボ群22.3%、絶対差:15.1ポイント、95%CI:9.4~20.8、p<0.001)、音過敏がない患者の割合(36.7% vs.26.8%、9.9、3.2~16.6、p=0.004)、痛みが軽減(投与直前の中等度または重度の痛みが、軽度または消失)した患者の割合(58.1% vs.42.8%、15.3、9.4~21.2、p<0.001)は、rimegepant群が有意に良好であった。悪心は両群間に差はなかった。

 とくに頻度が高かった有害事象は、悪心(rimegepant群1.8%、プラセボ群1.1%)と尿路感染症(1.5%、1.1%)であった。重篤な有害事象は、rimegepant群が1例(背部痛)、プラセボ群は2例(胸痛、尿路感染症)で認められた。肝機能検査では、正常上限値を超える血清アラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の上昇が、それぞれ2.4%、2.2%にみられた。

 著者は、「反応の一貫性や、他の治療法と比較した薬剤の安全性および有効性を決定するために、より大規模で長期の試験を要する」としている。

(医学ライター 菅野 守)