サイト内検索|page:932

検索結果 合計:36551件 表示位置:18621 - 18640

18621.

VMP療法+ダラツムマブ、多発性骨髄腫のOS延長/Lancet

 幹細胞移植の適応がない新規診断の多発性骨髄腫の患者では、標準治療であるボルテゾミブ+メルファラン+prednisone(VMP)療法にダラツムマブを追加(D-VMP療法)すると、標準治療単独に比べ全生存(OS)期間が有意に延長することが、スペイン・サラマンカ大学病院のMaria-Victoria Mateos氏らが行った「ALCYONE試験」の中間解析で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月9日号に掲載された。ダラツムマブは、CD38を標的とするヒトIgGκモノクローナル抗体製剤であり、直接的な腫瘍縮小作用とともに免疫調節作用を有するという。本試験の主解析では、D-VMP療法により無増悪生存(PFS)期間が有意に延長することが、すでに報告されている。上乗せ効果を評価する実薬対照無作為化試験 本研究は、25ヵ国162施設が参加した多施設共同非盲検実薬対照無作為化第III相試験であり、2015年2月9日~2016年7月14日の期間に患者登録が行われた(Janssen Research & Developmentの助成による)。今回は、主な副次評価項目であるOSの結果が報告された。 対象は、新規に診断された多発性骨髄腫で、年齢(≧65歳)または重大な合併症のため、大量化学療法+自家幹細胞移植が適応とならない患者であった。 被験者は、D-VMPまたはVMPを行う群に無作為に割り付けられた。全例に、ボルテゾミブ(1.3mg/m2[体表面積]を、1サイクル目は第1、4、8、11、22、25、29、32日に、2サイクル目以降は第1、8、22、29日に皮下投与)+メルファラン(9mg/m2を、各サイクルの第1~4日に、1日1回経口投与)+prednisone(60mg/m2を、各サイクルの第1~4日に、1日1回経口投与)による1サイクル6週の治療が、最大9サイクル施行された。 これに加え、D-VMP群は、ダラツムマブ(16mg/kg[体重])を1サイクル目は週1回、2~9サイクル目は3週に1回投与し、その後は維持療法として4週に1回、増悪または許容できない毒性が発現するまで継続投与した。3年以上の追跡で死亡リスク40%低下、良好なPFSが持続 706例が登録され、D-VMP群に350例、VMP群には356例が割り付けられた。ベースラインの全体の年齢中央値は71歳(範囲40~93)で、211例(30%)は75歳以上であった。271例(38%)は国際病期分類(ISS)のStageIIIであり、98例(14%)は細胞遺伝学的プロファイルが高リスクであった。 追跡期間中央値40.1ヵ月(IQR:37.4~43.1)の時点で、D-VMP群83例(24%)、VMP群126例(35%)が死亡した。死亡のハザード比(HR)は0.60(95%信頼区間[CI]:0.46~0.80、p=0.0003)であり、D-VMP群で死亡リスクが40%低下した。Kaplan-Meier法による36ヵ月時のOS率は、D-VMP群が78.0%(95%CI:73.2~82.0)、VMP群は67.9%(62.6~72.6)であり、両群ともOS期間中央値には未到達だった。 主要評価項目であるPFSのHRは0.42(95%CI:0.34~0.51、p<0.0001)であり、D-VMP群で病勢進行または死亡のリスクが58%低かった。36ヵ月PFS率は、D-VMP群が50.7%(45.1~55.9)、VMP群は18.5%(14.4~23.1)であり、PFS期間中央値はそれぞれ36.4ヵ月(32.1~45.9)および19.3ヵ月(18.0~20.4)だった。 全奏効率(D-VMP群90.9%、VMP群73.9%、p<0.0001)および最良部分奏効以上(73%、50%、p<0.0001)、完全奏効以上(46%、25%、p<0.0001)、微小残存病変陰性(28%、7%、p<0.0001)の割合は、いずれもD-VMP群で有意に良好であった。また、微小残存病変陰性が12ヵ月以上持続した患者は、PFSおよびOSが優れた。さらに、これら最良総合効果のD-VMP群における改善は、年齢(<75歳、≧75歳)および細胞遺伝学的状態(標準リスク、高リスク)にかかわらず認められた。 前回の解析以降の追跡期間中に、D-VMP群で安全性に関する新たな懸念は特定されなかった。1~9サイクルの治療期間中に最も頻度の高かったGrade3/4の治療関連有害事象は、好中球減少(D-VMP群40%、VMP群39%)、血小板減少(34%、38%)、貧血(15%、20%)であった。また、D-VMP群のダラツムマブ維持療法期に最も頻度の高かった全Gradeの有害事象は上気道感染症(19%)であり、次いで気管支炎(15%)、ウイルス性上気道感染症(12%)、咳嗽(12%)、下痢(10%)の順であった。 著者は、「現在、他の第III相試験でもダラツムマブのOSに関して長期の追跡調査が進められているが、今回の有効性と安全性の知見は、標準治療への本薬の追加を強く支持するものである」としている。

18622.

HR+乳がん、術後ホルモン療法に1年のS-1併用が有効(POTENT)/SABCS2019

 ホルモン受容体陽性乳がん(HRBC)に対する術後療法として、5年間のホルモン療法に1年間のS-1の併用が有効であるとの試験結果が、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2019)で、京都大学の戸井 雅和氏より発表された。 本試験(POTENT試験)は、2012年2月~2016年2月に症例登録がなされた、国内多施設共同(139施設)のオープンラベル無作為化比較の第III相試験である。中間解析時に主要評価項目の閾値を達成したため早期に試験が中止され、今回の発表となった。・対象:StageI~IIIBのエストロゲン陽性かつHER2陰性再発リスク中~高の乳がん患者1,959例 (リンパ節転移状況は問わず)・試験群:S-1(2週連日投与1週休薬を1年間)と標準的ホルモン療法の併用群(S-1群) 解析対象957例・対照群:標準的ホルモン療法群(E群) 解析対象973例・評価項目:[主要評価項目]無浸潤疾患生存期間(iDFS)[副次評価項目]無病生存期間、全生存期間、安全性、バイオマーカー検索など 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値51ヵ月時点の5年時iDFS率はS-1群86.9%、E群81.6%で、ハザード比(HR)が0.63(95%信頼区間[CI]:0.49~0.81、p<0.0001)と、S-1群が統計学的に有意に良好な結果を示した。・各サブグループの解析(閉経状況、術前/術後の化学療法の有無、Ki-67値など)においても、ほぼ一貫してS-1群は良好な結果を示した。・安全性の報告に関しては、好中球減少、肝機能障害、消化器症状、色素沈着などがS-1群で多く報告されたが、いずれも対応可能であった。 SABCSのプレスリリースで戸井氏は「本試験の対象は日本人症例だけであり、安全性プロファイルに人種差がある可能性もあるが、HRBCへの術後ホルモン療法にS-1を併用することで、iDFSを有意に改善できる」と述べている。

18623.

本態性血小板血症〔ET : essential thrombocythemia〕

1 疾患概要■ 概念・定義本態性血小板血症(essential thrombocythemia: ET)は、多能性造血幹細胞の腫瘍性増殖により、骨髄巨核球の過形成を来し、血小板増加をもたらす疾患である。WHO分類では、慢性骨髄増殖性腫瘍に分類されている。■ 疫学正確な発症頻度は不明であるが、ETの発症率は10万人あたり1~2.5人/年程度と推定されている。平均年齢は50~60歳。年齢の第1のピークは60歳にあり、性差はないが、第2のピークは30歳で、女性に多い1)。■ 病因ET症例の骨髄細胞において、トロンボポエチンのシグナル伝達を担うJAK2キナーゼの遺伝子変異(JAK2V617F)が約50%の症例で認められ、JAK2キナーゼが恒常的に活性化していることが、病因の1つと考えられている2)。また、約1%の症例でトロンボポエチン受容体をコードする遺伝子c-MPL遺伝子に変異がみられ(MPLW515L/K)、受容体の下流シグナルの恒常的な活性化が認められることも、病因の1つと考えられている3)。そのほか20%程度の症例でCALR遺伝子exon 9に挿入または欠失を認めるとの報告もある4)。■ 症状約半数の症例では無症状である。主な症状1)は以下のとおりである。(1)脾腫:約10%の症例で中等度の脾腫を認める(2)血管運動性症状:約20%の症例に微小循環不全によるものと考えられる、頭痛、失神、めまい、耳鳴、一過性視覚異常が認められる(3)血栓症:約17%の症例で認められる。血栓症は、静脈血栓より動脈血栓が多く、冠動脈血栓や四肢末端虚血の肢端紅痛症(erythromelalgia)がある(4)出血症状:約4%の症例で認められ、消化管や気道粘膜の出血が多い■ 分類ETは骨髄増殖性腫瘍に分類される。2次性骨髄線維症へ病型移行することがある。■ 予後ET の予後を規定するのは、血栓症や出血の合併である。また、一部の症例で骨髄線維症への移行や急性骨髄性白血病(AML)への移行が認められる。通常、ETの5年生存率は74~93%、10年生存率は61~84%と報告されている。骨髄線維症への移行は5年で2.7%、10年で8.3%、15年で15.3%と報告されている。AMLや骨髄異形成症候群(MDS)への移行は、発症後1.7~16年で認められると報告されており、頻度は0.6~5%と報告されている。ヒドロキシカルバミド(HU)〔商品名:ハイドレア〕単独投与例では、AMLやMDSへの移行率は低い。AML/MDSへの移行症例は化学療法抵抗性であることが多く、生存期間中央値は2~7ヵ月で、きわめて予後不良である。ETの主な死因は血栓症であり、とくに心血管系合併症である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)持続する45万/μL以上の血小板増加を認めた際に本疾患を疑う。本疾患は除外診断が重要であり、反応性血小板増加症、および他の骨髄増殖性腫瘍(真性多血症、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病など)を除外することにより診断する。ETの診断基準はさまざまなものがあるが、現在WHO(2016)の診断基準が多く使用されている(表1)。鑑別診断を含めた診断のアプローチを図1に示す4)。画像を拡大する画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)ETの予後に大きく影響するのは、血栓症や出血の合併である。そのため、血栓症や出血をいかに予防するかが重要となってくる。そのため、治療は血栓症の既往、年齢などにより血栓症のリスク分類がなされ、血栓症のリスクとJAK2遺伝子変異の有無に応じた治療法が選択される(図2)5)。画像を拡大する■ 血栓症のリスク分類低リスク群: 年齢5 主たる診療科血液内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本血栓止血学会(医療従事者向けのまとまった情報)日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン(2018年度版)(医療従事者向けのまとまった情報)1)Dan K, et al. Int J Hematol. 2006;83:443-449.2)Campbell PJ, et al. N Engl J Med. 2006;355:2452-2466.3)Beer PA, et al. Blood. 2008;112:141-149.4)Rumi E, et al. Blood. 2016;128:2403-2414.5)日本血液学会. 造血器腫瘍診療ガイドライン2018年度版. 金原出版株式会社;2018.6)Harrison CN, et al. N Engl J Med.2005;353:33-45.7)Gisslinger H, et al. Blood.2013;121:1720-1728.公開履歴初回2013年05月09日更新2019年12月24日

18624.

033)診察室で思わず焦る瞬間【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第33回 診察室で思わず焦る瞬間しがない皮膚科勤務医デルぽんです☆皮膚科はご存じのとおり、全身を覆いつくす皮膚を診察する科。視診・触診する部位にはもちろん、臀部や陰部など、お尻まわりの皮膚も含まれます。陰部などの診察が必要な場合、プライバシーに配慮し、基本的にはカーテンブース内で拝見しますが、下着を脱がずとも見える範囲なら、そのまま診察室の椅子で見せていただくこともあります。(若い女性やご本人が気にされる患者さんであれば、カーテンの中へご案内します)このように股を見る場合は、立ったままズボンだけ下ろしてもらって拝見することが多いのですが、そこでたまに起こるのが、こうした事件。つまり、パンツまで脱いで、そのまま診察椅子に座ってしまうこと・・・(!!)。「あっ!」と思ったときには時すでに遅し。そのまま座られてしまい、看護師さんと「あちゃ~」というアイコンタクトを交わすことも少なくありません。患者さんに悪気はないですし、次の患者さんを呼ぶ前に清潔にすれば済む話なのですが、なるべくそういう事態にはならないようにしたいところです。声の掛け方には改善の余地アリ!?今回は、お尻まわりの診察でたまに起こるプチ事件についてでした~!それでは、また~! よいお年をお迎えください!

18626.

市販類似薬の保険外しは中間報告で見送りへ【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第38回

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の改正法の公布や、2020年度の診療報酬改定に向けた議論によって薬局や薬剤師の業務や役割が注目されている中、また1つ薬局に大きな変化が起きようとしていました。政府の全世代型社会保障検討会議(議長=安倍晋三首相)は19日にまとめた中間報告で、論点の1つだったOTC類似薬の保険上の取り扱いについて、具体的な記載を見送った。これまでの会議で活発に議論されていないことも影響したようだが、政府関係者によると検討課題として消えたわけではないという。来年夏の最終報告に向けた議論でテーマとして浮上するのか、もしくは主要な議論の場が別になるのか、本格的な対応は来年以降に持ち越しとなった。(2019年12月20日付 日刊薬業)この市販類似薬を保険適用から除外する議論を、以前も耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。2年に1度行われる診療報酬改定の議論の際に、主に保険者側からの要望によっていつも議題に挙げられていたものの、さまざまな理由により保険除外が実現することはありませんでした。そして、また報酬改定の足音が聞こえてきた2019年8月に、健康保険組合連合会(健保連)が花粉症の市販薬を保険適用から除外することと自己負担率を引き上げることを厚生労働省に提言し、再び議論が巻き起こりました。健保連は全国の健康保険組合の連合組織で保険者の筆頭といえる立場ですから、医療費増大に最も厳しい立場として提言したと考えられます。政府としても、医療費が2018年度の39兆円から2025年度には47兆円超になると推計していたり、最近では非常に高薬価な薬剤も登場していたりしますので、「大きなリスクは共助、小さなリスクは自助」という考え方の「大きなリスク」を支えるためには、もう「小さなリスク」は切り捨てなければならない切羽詰まった状態であるのでしょう。処方箋が減り売り上げは下がるが、新たな客層が薬局へでは、市販類似薬が本当に保険除外となった場合、どのようなことが起こるのでしょうか。たとえば、患者さんが「ちょっと風邪ひいたかな?」と思って気軽に病院を受診した場合、医師が市販の風邪薬で対処できると診断すると、医療用の総合感冒薬を全額自己負担で処方してもらうか、もしくは薬をもらわずに自ら市販の風邪薬を買うか選択することになると考えられます。保険適用除外の市販類似薬は一般メディアでも広く報道されると思うので、患者さんは自分や家族が軽症と判断すれば受診を控えるかもしれません。そして、この状態がしばらく続くと、市販の風邪薬で治療できた経験がある人が増え、「風邪をひいたら市販の風邪薬」と認識し、さらに風邪での受診が減る…ということは想像に難くないでしょう。もしそうなると、処方箋枚数が減るため、薬局の売り上げは下がると予想されます。また、市販薬独特の成分などもあるため、販売対応の面でも新たな取り組みが必要になるかもしれません。いずれにしても、処方箋調剤をメインに行ってきた薬局や薬剤師は危機感を募らせているのではないでしょうか。しかし、見方を変えれば、これまで慢性疾患などで定期的に診察を受けていた患者さん以外でも薬局に来る機会が増えるかもしれませんので、薬局や薬剤師が信頼を得る大きなチャンスだと捉えることもできそうです。12月19日の中間報告では、OTC類似薬の保険適用について具体的な記載は見送られましたが、来年夏の最終報告まで結論はわかりません。議論が継続される場合、医師側は必ず反対の考えを示すでしょう。「医師以外の誰が判断し、適切に対応できるのか」という主張に、患者さんと接して市販薬を販売する薬剤師側は何か異論、反論、提案するのでしょうか。もし保険除外の実現が政府や保険者の本懐で避けられないのであれば、いざというときに問題が生じないように、普段から薬剤師が市販薬の販売に関与している必要があるでしょう。今後の議論から目が離せません。

18627.

早期TN乳がんの術前化療後のctDNA検出が再発と関連/SABCS2019

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)で術前化学療法(NAC)後に手術を受けた女性において、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)検出が遠隔無病生存期間(DDFS)および全生存期間(OS)に関連することが示された。米国・Indiana University Simon Cancer CenterのMilan Radovich氏が、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2019)で発表した。 本研究では、第II相BRE12-158試験(NAC後に残存病変を有する早期TNBC患者を、遺伝子に基づく治療と主治医選択の治療に無作為に割り付け)に登録された患者から採取した血漿サンプルを分析した。本試験には196例が参加し、FoundationOne Liquidにより142例のctDNA配列が解析された。ctDNA検出とDDFSおよびOSとの関連について、log-rank検定による単変量解析およびCox比例ハザードモデルを使用した多変量解析で評価した。 主な結果は以下のとおり。・142例のうち90例(63%)で変異したctDNAが検出され、最も多い変異はTP53であった。・追跡期間中央値17.2ヵ月において、ctDNA検出がDDFSと有意に関連し、ctDNA陽性例ではDDFS中央値が32.5ヵ月であったのに対し、陰性例では未到達であった。・24ヵ月後のDDFS率は、ctDNA陰性例81%に対し、陽性例では56%であった。多変量解析においても、残存腫瘍量、リンパ節転移の数、腫瘍の大きさ、ステージ、悪性度、年齢、人種を含む共変量を調整後、ctDNA検出とDDFSの間に独立した関連が認められ、ctDNA陽性例は陰性例に比べて遠隔再発リスクが3倍高かった。・ctDNA検出はOSの低下にも関連しており、ctDNA陽性例は陰性例に比べ死亡リスクが4.1倍高かった。 SABCS2019のプレスリリースで、本研究のシニアオーサーであるBryan P. Schneider氏(Indiana University)は「この結果は、術前化学療法後にctDNAが検出された早期TNBC患者は再発リスクが高いことを証明している」と述べている。

18628.

保険償還NGSパネル検査をどう臨床応用するか/日本肺学会

 2019年6月にNGS(次世代シーケンサー)パネル検査が保険収載された。12月に行われた第60回日本肺学会学術集会では、収載から半年が経過した現状において、臨床現場で感じる問題点を近畿大学の武田 真幸氏が発表した。問題点1 NGSパネル検査の定義が定まっていない 保険収載されたNGSパネル検査は「NCCオンコパネル」「Foundation One CDx」の2種類で、多数の遺伝子変異を同時に調べて未承認薬につなげる「プロファイル検査」として承認された。一方で、「オンコマインDX」は非小細胞肺がん(NSCLC)の4つの遺伝子変異を調べ、承認薬につなげる「コンパニオン検査」として承認されており、プロファイル検査と比較した場合に、治療開始直後から使える、費用が安価、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)への登録が不要、がん診療連携拠点病院以外でも使えるなど、実施条件が大きく異なる。武田氏は「海外では『オンコマインDX』を遺伝子パネル検査として使っている現状がある。肺がんではコンパニオン検査としてオンコマインを使えるため治療戦略が立てやすいが、肺がん以外での固形がん患者では、遺伝子パネル検査での運用となるため、同じようにはいかない」と話した。問題点2 検査を行うタイミングが標準治療後に限定される 武田氏はNGSパネル検査利用の問題点として、「利用が標準治療後に限定されているが、患者さんの状態によってどこまでを標準治療とするかは大きく異なる。1次治療のみに留まる患者さんも相当数いる中で、パネル検査を使うタイミングの判断が難しい」とした。問題点3 再検査ができない NGSパネル検査が保険適用されるのは1回のみ、分析が失敗に終わった場合でも保険適用で再検査が受けられない点は問題だ、と述べた。問題点4 費用が回収できない場合がある NGSパネル検査は保険収載が2分割で設定されており、最初の患者説明・検体提出時には一部費用しか請求できず、エキスパートパネル・C-CAT 登録を経て、検査結果が戻ってきた時点で初めて残りを請求できる。この間に病状が変わることも多く、死亡したために残りの請求ができなかったケースがすでに出ているという。問題点5 検査結果が出るまで時間がかかる 検体提出から結果が出るまでに時間がかかる点も問題点として挙げた。「Foundation One CDx」、「NCCオンコパネル」とも1ヵ月前後かかる。しかしながら、これは費用回収の問題等が解消されれば受け入れられる範囲の問題だとした。問題点6 がんゲノム情報管理センター(C-CAT)の登録が煩雑 「現場における最大の問題は、国が義務付けているC-CATへの登録だ」と述べ、登録における必要な情報の多さと煩雑さが現場の医師を疲弊させていると強調し、入力自動化などの仕組みの導入を求めた。問題点7 腫瘍の不均一性から検査の失敗が多い 腫瘍には、原発巣と転移巣で腫瘍の遺伝子変異の特徴が異なってくる可能性(空間的不均一性)があり、また抗がん剤等の介入による経時的な経過でも腫瘍の特徴に変化(時間的不均一性)が生じる可能性があるが、「現状のNGSパネル検査は分析の失敗も多い中、1回しか受けられないのは問題」とした。しかし、「来年以降リキッドバイオプシーが承認されれば、空間的不均一性についてはある程度は解決する問題ではないか」との見解を述べた。問題点8 実際に効果的な治療につなげていく出口戦略の欠如 最後に、「遺伝子変異が判明しても、その変異に対応する治療薬が限られ、コストをかけて検査しても、結果がその後の治療につながる確率が低い」ことを挙げた。そして、「検査ばかりが注目されているが、治療につながることが重要。ここが一番の問題点だと認識している」とまとめた。

18629.

電子処方ツール導入によるベンゾジアゼピン処方への影響

 電子処方ツール(e処方)は、処方プロセスの妥当性および医療の質に関して、いくつかのベネフィットが認められている。しかし、デジタル化の好ましくない影響である、対面式の直接的な会話を省く簡便かつ迅速な処方プロセスにより、ベンゾジアゼピン(BZD)などの乱用リスクが高い薬剤の処方を促進してしまう可能性がある。スイス・Regional Hospital of Bellinzona and ValliのRosaria Del Giorno氏らは、5つの指導病院ネットワークにおいて、入院患者に対する新規BZD処方に対するe処方の影響を調査するため、パネルデータ調査を行った。Diagnostics誌2019年11月15日号の報告。 2014年7月~2019年4月までの観察期間中に、入院患者4万3,320例の分析を行った。新規BZD処方に対するe処方の影響を推定するため、固定効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・e処方の導入により、新規BZD処方の有意な増加が認められた(絶対値:1.5%増、相対値:43%増[p<0.001])。・この関連性は、男性(絶対値:2.3%増、相対値:65%増[p<0.001])、女性(絶対値:1.8%増、相対値:58%増[p=0.01])、70歳以上(絶対値:1.6%増、相対値:59%増[p<0.001])でも同様であった。・時間依存独立変数で調整後も、e処方の導入により、同様に有意な影響が認められた。 著者らは「e処方導入は、院内での新規BZD処方の有意な増加と関連が認められた。過剰処方や乱用リスクがある薬剤は、リスクを最小限にするためにも、e処方を慎重に使用する必要がある。これらの相互作用を分析し、質の高いケアを推進していくためには、ほかの環境や国でのさらなる研究が求められる」としている。

18630.

乳房温存手術後の同側再発の抑制に、加速乳房部分照射は有効か/Lancet

 乳房温存手術では、腫瘍摘出術後の加速乳房部分照射(APBI)は全乳房照射と比較して、同側乳房腫瘍再発(IBTR)のコントロールにおいて同等性の判定基準を満たさないことが、米国・NRG OncologyのFrank A. Vicini氏らの検討で示された。研究の詳細は、Lancet誌2019年12月14日号に掲載された。早期乳がんに対する乳房温存手術後の全乳房照射はIBTRを抑制し、乳房全切除術と同等の結果をもたらす。一方、腫瘍のある四分円にのみ照射するAPBIは治療期間の短縮をもたらすが、その効果が乳房全切除術と同等かは知られていない。4ヵ国で行われた無作為化同等性試験 本研究は、4ヵ国(米国、カナダ、アイルランド、イスラエル)の154施設が参加した無作為化第III相同等性試験(NSABP B-39/RTOG 0413)であり、2005年3月21日~2013年4月16日の期間に患者登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上の女性で、早期(Stage 0/I/II、遠隔転移はないが最大3個の腋窩リンパ節が転移陽性)の乳がん(腫瘍径≦3cm、すべての組織型、多病巣性乳がん)が認められ、腫瘍摘出術後の切除断端が陰性(がん細胞が検出されない)の患者であった。 被験者は、APBIまたは全乳房照射を受ける群に無作為に割り付けられた。APBIは、8日以内に5治療日で、小線源治療(34Gy)または外照射療法(38.5Gy)を行った。全乳房照射は、外照射療法により総線量50Gyを25日に分けて5週間で照射した(腫瘍床への追加照射の有無にかかわらず)。患者、担当医、統計解析者には治療割り付け情報がマスクされた。 主要アウトカムは、初回の浸潤性または非浸潤性IBTRとし、脱落例を除くintention-to-treat集団で解析が行われた。同等性の検定は、相対リスクのマージンの50%増加とし、ハザード比(HR)の90%信頼区間(CI)が0.667~1.5の範囲内の場合に同等と判定した。10年累積IBTR発生率の絶対差は1%未満 4,216例(APBI群2,107例、全乳房照射群2,109例)が登録され、4,125例(2,089例、2,036例)が主要アウトカムの解析に含まれた。追跡期間中央値は10.2年(IQR:7.5~11.5)。 ベースラインの全体の年齢中央値は54歳(IQR:47~64)、2,587例(61%)が閉経後、3,788例(90%)が白人で、3,185例(76%)が浸潤性乳がん、1,031例(24%)が非浸潤性乳管がん(DCIS)であり、浸潤性のうち2,518例(79%)とDCISの908例(88%)がホルモン受容体(ER、PgR)陽性であった。 IBTRの発生率は、APBI群が4%(90/2,089例)、全乳房照射群は3%(71/2,036例)であった。HRは1.22(90%CI:0.94~1.58)であり、APBI群の同等性の判定基準は満たされなかった。10年累積IBTR発生率は、APBI群が4.6%(95%CI:3.7~5.7)、全乳房照射群は3.9%(3.1~5.0)であり、両群間の絶対差はわずか0.7%であった。 10年無再発生存率(APBI群91.8%、全乳房照射群93.4%、HR:1.33、95%CI:1.04~1.69、p=0.02)は全乳房照射群で良好であったが、10年無遠隔病変生存率(96.7%、97.1%、1.31、0.91~1.91、p=0.15)、10年生存率(90.6%、91.3%、1.10、0.90~1.35、p=0.35)、10年無病生存率(78.1%、79.7%、1.12、0.98~1.29、p=0.10)は両群間に差はなかった。乳がんの再発による死亡率は、APBI群が2%(49例)、全乳房照射群も2%(44例)だった。 サブグループ解析(探索的事後解析)では、腫瘍径≦10mmの浸潤性乳がんで、APBI群の10年IBTR発生率が良好な傾向が認められた(APBI群2.0%、全乳房照射群3.9%、HR:0.58、95%CI:0.27~1.22、交互作用のp=0.01)。 APBI群で、最も高い毒性のグレードが1の患者は40%、2は44%、3は10%、全乳房照射群ではそれぞれ31%、59%、7%であり、Grade4/5は10例(<1%)および6例(<1%)で発現した。1つ以上の2次原発がん(APBI群9%[192例]、全乳房照射群10%[200例]、HR:0.93、95%CI:0.76~1.13、p=0.46)の頻度は両群間で類似しており、このうち対側乳がんと同側の乳房肉腫は、APBI群が33%(63例)、全乳房照射群は36%(72例)で認められた(0.83、0.59~1.17、p=0.29)。治療関連死はみられなかった。 著者は、「これらの知見は、乳房温存手術における腫瘍摘出術後の全乳房照射を支持するものだが、10年累積IBTR発生率の絶対差は1%未満であり、一部の女性ではAPBIが許容可能な代替法となる可能性がある」としている。

18631.

医師数32万7,210人、増えた科や多い都道府県は?―厚労省調査

 厚生労働省は19日、「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果を取りまとめ、公表した。それによると、全国の医師数は、32万7,210人で、前回調査(16年)に比べ2.4%増となり、一貫して増加傾向が続いている。このうち、女性医師は7万1,758人で、前回よりも6.3%増と大きく数字を伸ばし、過去最多を更新した。一方、医療施設に従事する医師の平均年齢は上がり続けており、診療所に従事する医師の平均年齢は初めて60歳代となり、高い年齢層が支えていることがわかる。 「医師・歯科医師・薬剤師統計」は、厚労省が2年おきに実施しており、今回は2018(平成30)年12月31日時点に調査を行ったもの。それによると、全国の医師数は32万7,210人(前回比で7,730人、2.4%増)、歯科医師数は10万4,908人(同375人、0.4%増)、薬剤師数は31万1,289人(同9,966人、3.3%増)であった。都道府県別にみた医師数が最も多いのは徳島県 医師数を男女別にみると、男性医師は25万5,452人(前回比で3,465人、1.4%増)、女性医師は7万1,758人(同4,265人、6.3%増)となっており、女性医師数の躍進が顕著であった。 医師のうち、医療施設従事者は31万1,963人(総数の95.3%)で、前回比で7,204人(2.4%)増加した。平均年齢は49.9歳。このうち、病院は44.8歳で前回調査時から0.3ポイント上昇し、診療所は60.0歳で前回から0.4ポイント上昇して、初めて60歳代となった。 主たる診療科別にみると、前回調査時より従事者が増えたのは、美容外科が最も多く(対前回比で130%)、以下、産科(同112%)、腎臓内科・救急科(同111%)、リハビリテーション科(同109%)などとなっている。一方、従事者が減ったのは、気管食道外科が最も多く(対前回比で94%)、以下、外科(同95%)、肛門外科(同97%)、内科・産婦人科・臨床検査科(同99%)などとなっている。なお、本稿で紹介した診療科別の統計結果においては「臨床研修医」や「不詳」および「その他」の回答はいずれも除外している。 従業地の都道府県別にみた医療施設に従事する人口10万人当たりの医師数は、全国では246.7人で、前回比で6.6人増加した。このうち、医師数が最も多いのは徳島県(329.5人)で、次いで京都府(323.3人)、高知県(316.9人)などとなっている。一方、最も少ないのは埼玉県(169.8人)で、次いで茨城県(187.5人)、千葉県(194.1人)などとなっている。

18632.

カテーテル治療の波はついに三尖弁にも来た(解説:上妻謙氏)-1159

 経皮的僧帽弁クリップ術(MitraClip)は、手術ハイリスクの重症僧帽弁閉鎖不全に対する治療としてわが国でも普及してきている。弁膜症を伴う心不全のカテーテル治療は超高齢社会におけるニーズが高い。その中で三尖弁に対するカテーテル治療についてはデバイスの開発が遅れていた。このTRILUMINATE試験は、MitraClipの技術を三尖弁用に改良したTriClipという製品を使用し、十分な薬物治療を受けてもNYHA II度以上の心不全症状のある中等度以上の三尖弁閉鎖不全症(TR)患者をエンロールしたシングルアームスタディである。 エコーにて推定肺動脈圧60mmHgを超える患者は除外された。パフォーマンスゴールは過去の従来療法患者のアウトカムから設定された。安全性のプライマリーエンドポイントは6ヵ月の心血管イベントで心血管死、心筋梗塞、脳卒中、新規発症腎不全、心内膜炎、術後合併症に対する心臓手術の複合エンドポイントである。また有効性のエンドポイントは30日後三尖弁逆流の1グレード以上の減少である。117例がスクリーニングされ、97例がinclusion criteriaに合致し、そのうち85例の患者がこの治療を受けた。初期の手技成功は100%で、退院時にTRが1グレード以上減少したのはコアラボの評価で91%であった。2クリップ要する患者が約半数で、1クリップで済んだのは20%しかなく、複数のクリップを必要とすることが多かった。有効性のプライマリーエンドポイントである30日でのTR 1グレード以上の減少は86%で得られた。パフォーマンスゴールと設定された35%をはるかに超える95%信頼区間のlower limit 77.3%を達成した。安全性の複合エンドポイントの頻度は6ヵ月で4%と低かった。これもパフォーマンスゴールである39%を有意に下回った。 三尖弁は単独で外科手術されることが少なく、カテーテル治療での逆流の改善が得られることは切望されていた。少数例のパイロットスタディではあるが、この技術が期待できるものであることを示したので、有効性検証のランダマイズトライアルが施行されることが期待される。

18633.

第35回 本物?ニセモノ?下壁誘導Q波を見切るエクセレントな方法(前編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第35回:本物?ニセモノ?下壁誘導Q波を見切るエクセレントな方法(前編)一般的に「異常Q波」=必ず「心筋梗塞」…と思われがちですが、100%ではなく、実際には“フェイク”Q波も存在します。今回は、なかでも頻度の高いニサンエフ(II、III、aVF)の下壁誘導で検証してみましょう。心電図を“技巧的”にとることで、霧がはれ、明瞭な視界が広がる体験をDr.ヒロがナビゲートします。2回シリーズの今回は前編で、今までのおさらいを兼ねた“伏線”的な内容です。では始めましょう。症例提示48歳、男性。糖尿病にてDPP-4阻害剤を内服中。泌尿器科より以下のコンサルテーションがあった。『腎がんに対して全身麻酔下で左腎摘除術を予定しています。自覚症状はとくにありませんが、術前心電図にて異常が疑われましたので、ご高診下さい』174cm、78kg(BMI:25.6)。血圧123/72mmHg、脈拍58/分・整。喫煙:15~20本×約30年(現在も喫煙中)。術前検査として記録された心電図を示す(図1)。(図1)術前外来の心電図画像を拡大する【問題2】心電図(図1)の自動診断は「下壁梗塞の可能性:III、aVF」となっている。これはどの所見によるものか?解答はこちら異常Q波解説はこちら今回は泌尿器科手術が予定された男性が題材です。術前検査としての心電図の考え方は過去に扱いましたね。年齢も若く、運動耐容能にも問題なさそうですが、糖尿病で中等度以上の手術リスク(腎摘除術)とくれば、一定の注意を払って眺めるべき心電図でしょう(第12回)。1問目は「自動診断」をいじるDr.ヒロ独特の問題です。あ、“性格悪い”って思わないでくださいね(笑)。さて、心電図(図1)をどう読みますか? 油断すると「心拍数54/分・洞調律…以上」と読んでしまいそうですが、キチンと眺めると「系統的判読」(第1回)での“クルッと”の“ク”のプロセスで引っかかりませんか?。アップデートした「異常Q波」の定義を思い出しましょう。“1ミリとお隣を思い出せ”古い心筋梗塞の“爪痕”を示唆する「異常Q波」は「V1~V3」と「それ以外」の誘導で考える、と第33回で扱いました。「V1~V3」は“存在”重視で、「それ以外」は幅と深さに着目した“1ミリの法則”でしたね。すると、心電図(図1)には、たしかにIII、aVF誘導に明らかな「異常Q波」があります。ただ、もう一つ紹介したDr.ヒロ独自の“お隣ルール”も忘れないで。“サンエフ”と来たら、そう、“ニ”ね。「下壁誘導」は“ニサンエフ”で1セットですから、II誘導も眺めてください。これが隣接誘導群の考え方です。II誘導のQ波は「深さ」が2mmくらいありますが、「幅」はどうでしょうか? もし見にくければ、拡大して眺めてみてください。たとえば2拍目。はじまりがオレンジ太線上にあり、1mmはありそうでしょ?診断基準は「幅≧0.03秒」つまり“1mm弱”で該当するので、これはアウトです。ですから、自動診断はサンエフだけでも、実際にはII、III、aVF誘導すべてに「異常Q波」があるというのが正確な読みになります。これは“偶然”や“こじつけ”じゃないんです。「III・aVF」にQ波があるから「II」もしっかり見るのは“必然”です。それと、慣れてきたらザーッとQ波を見渡す段階で「なんかII誘導、目立つなぁ~」という感性が芽生えてくるとボクは信じています。■心電図診断■洞調律(54/分)異常Q波(II、III、aVF)【問題2】この患者に「下壁梗塞」はあるか? また、それを調べるならどんな画像検査を追加するか?解答はこちら心エコー、心臓MRI、核医学(RI)検査など解説はこちら今回は泌尿器科の症例なので、非専門医の先生がこの心電図を見ると、きっと自動診断に目をやって、こう思うかもしれません。『えっ、心筋梗塞? どこが? IIIにもaVFにもST変化はないのになぁ…。循環器医に聞いてみよう』実はここが次回への“伏線”です。心電図を工夫して詳しく見ることで、ほかの画像検査にも決して劣らない深い洞察ができることについては次回お話ししましょう。多くの病院で比較的手軽に施行可能だという点では「心エコー」、普通はこの“一択”になるでしょうか。より病院規模が大きくなるにつれ、心臓MRIやRI検査、冠動脈CTなどでも精査できそうです。“「とりあえず心エコー」の危うさ”2問目では、この患者さんに「下壁梗塞」が本当にあるかを問うています。状況的には「急性」のものは考えにくいので、普通は「陳旧性」心筋梗塞があるかがポイントになるでしょう。年齢はやや若目ですが、糖尿病や喫煙歴(しかもcurrent smoker)もあるため、始めにすべきは、心筋梗塞の既往確認(問診)です。『◯◯さんは、昔、心筋梗塞になったことがありますか?』でも、ご本人の返事は“No”―このような状況を思い浮かべてください。心臓MRI(CMR)やRI検査は、検査可能な病院のほうが圧倒的に少なく、中小規模の病院であれば「心エコーを入れて終了」となりがちです。でも、心エコー室だっていつでもウェルカムではありませんし、それ以上に“とる人”(検査者)や“見る人”(診断医)の能力に大きく依存するという意味で「不確実性」の高い検査だと言えるかもしれません。コスト(保険点数:880点[平成30年度診療報酬])だってバカになりません。あ、ボクは別に心エコーの“アンチ”ではございませんので悪しからず。ちなみに、この方は下壁の限局性壁運動低下、いわゆるasynergyがあり、にわかに“本物”疑惑が浮上したのです。通常は深く考えず、冠動脈CTやRI、ないしMRIに進むかもしれませんが、ボクの得意ジャンルは「心電図レクチャー」です。こういう時に心電図を使ってどう考えていくのか、次回語ろうと思います。そうそう、前回紹介した“周囲確認法”を覚えていますか? ただ、今回は「ST-T変化」がないので、「いやいや、心筋梗塞はないよ」と思いたいですが…どうなるでしょうか。今年一年、皆さまのお世話になりました。よい新年をお迎えください!Take-home Message異常Q波=100%本物ではなく、フェイクQ波の可能性がある。「おかしな心電図→何でも心エコー」はやめよう!【古都のこと~城南宮~】城南宮(じょうなんぐう)は、伏見区にある「方除(ほうよけ)の大社」です。“鳴くよウグイス”の794年(延暦13年)、長岡京から平安遷都した際に創建されました*。当時から熊野詣の精進所となるなど、高貴な人々が方位の災厄からの無事を祈願した場所だったのだそう。さらに、平安時代後期には、白河上皇や鳥羽上皇が城南宮を取り囲むように離宮を造設して院政の拠点にしたほか、この離宮を中心に雅やかな宴や歌会などの王朝文化が花開いたと言われています。また、1868年(慶応4年)、倒幕をもくろむ薩摩藩の砲撃により鳥羽伏見の戦いの火ぶたが切られたのも、この場所です。また、城南宮は方除け・厄除けもさることながら、「車のお祓い」の神社としても有名で、京都市内でもブルーの“キラキラ”交通安全ステッカーを貼った車はひときわ目を引きます。古くは羅城門への「鳥羽の作り道」にはじまり、高速・幹線道路に姿を変えた今でも、城南宮には常に道行く人々の安全を見守ってきた“実績”があるのです。ほかに昭和の名造園家 中根金作(1917~1995)による「神苑-源氏物語花の庭-」も魅力的で、とくに春と秋はMustスポットだと個人的には思います。2020年の交通安全を祈願しに、愛車とともにお正月にもう一度行こうかなぁ。*:「平安城の南のお宮」の意。

18635.

ワクチンの歴史と概念【今、知っておきたいワクチンの話】総論 第1回

予防接種の意義予防接種とは、病気に対する免疫をつけたり、免疫を強くするために、ワクチンを接種することをいう。その目的は、ワクチンを接種した人が病気に罹患することや、発病、重症化を予防したり、人に感染させてしまうことで社会に病気がまん延してしまうのを防ぐことである。そして最終的には、その感染症の排除・根絶などを目的としている。日本の予防接種の歴史わが国における予防接種は、1849年の種痘接種に始まり、今まで多くの感染症を予防してきた。たとえばジフテリアは1945年には約8万6,000人の患者の届出があり、その10%が亡くなっていたが、近年では患者報告は無くなっている。ポリオや狂犬病も過去の病気になり、2015年にはWHOから麻しん排除国と認定された。一方で、海外から疾患に罹患した人の入国がたびたび報告され、国内での流行を阻止するために、予防接種率を上げておくことが重要であることに変わりはない。また、わが国の予防接種制度の歴史(表1)は、ワクチンの副反応、有害事象(ワクチンと実際には関係のない、ワクチン接種後に起こる負の事象)に影響を受けながら変遷を遂げてきた。表1 日本の予防接種制度の主な歴史画像を拡大する(上部)画像を拡大する(下部)予防接種で防げる病気予防接種で防げる病気を“Vaccine Preventable Diseases(VPD)”という。予防接種には、予防接種法に基づき実施される「定期接種」、「臨時接種」、「新臨時接種」と、予防接種法に基づかない「任意接種」がある(表2)。表2 予防接種の対象疾患画像を拡大する定期接種と任意接種定期接種は、市区町村が主体となって実施する。定期接種には、A類疾病とB類疾病がある。前者は主に集団予防と重篤な疾患の予防のため、本人(保護者)に努力義務があり、国は接種を積極的に勧奨しているワクチン。後者は主に個人予防に重点を置いているワクチンと分類されている。接種費用は、定期接種は公費(一部で自己負担あり)、任意接種は自己負担である。なお、「臨時接種」とは、まん延予防上緊急の必要があるときに実施され、「新臨時接種」は病原性の低い新型インフルエンザが発生したときなどに実施される接種方法である。ワクチンの種類ワクチンは、生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドに大別される。また、抗毒素は発病の予防と治療目的に接種する(表3)。表3 ワクチンの種類画像を拡大する年々、海外へ渡航する人とわが国に入国する人が増えており、海外からVPDが持ち込まれる機会が増えている。来年(2020年)には東京オリンピック・パラリンピックの開催もあり、わが国で定期接種として推奨されているワクチンが、諸外国では接種されていない場合やその逆も考えられ、現時点で国内で流行していないVPDが持ち込まれる可能性がある。予防接種は有効な感染予防手段であるため、定期接種や必要な任意接種の接種率をさらに高めておき、日本でVPDが発生することの無いように各々が関心を高めていくことが望まれる。各ワクチンについては、今後の各論を参照いただきたい。講師紹介

18636.

新規ADC薬のDS-8201、既治療HER2+乳がんで腫瘍縮小効果/NEJM

 多くの前治療歴(レジメン数中央値6)のある転移を有するHER2陽性乳がんの治療において、trastuzumab deruxtecan(DS-8201)は持続的な腫瘍縮小効果(奏効率60.9%、奏効期間中央値14.8ヵ月)をもたらすことが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShanu Modi氏らが行った「DESTINY-Breast01試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年12月11日号に掲載された。また同日、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2019)にて発表された。trastuzumab deruxtecanは、トラスツズマブと同じアミノ酸配列を持ち、HER2を特異的な標的とするヒト化モノクローナル抗体と、細胞傷害性薬剤(ペイロード)である強力なトポイソメラーゼI阻害薬を、開裂可能なテトラペプチドベースのリンカーを介して結合した抗体薬物複合体(ADC)。既治療のHER2陽性進行乳がんの第I相用量設定試験(DS8201-A-J101試験)では、奏効率59.5%、奏効期間中央値20.7ヵ月と報告されている。trastuzumab deruxtecan(DS-8201)の有効性を2部構成の単群第II相試験で評価 本研究は、北米、日本を含むアジア、欧州の8ヵ国72施設が参加した2部構成の多施設共同非盲検単群第II相試験であり、2017年10月~2018年9月の期間に患者登録が行われた(Daiichi SankyoとAstraZenecaの助成による)。 対象は、年齢18歳以上(日本と韓国は20歳以上)の切除不能または転移を有するHER2陽性乳がんで、全身状態(ECOG PS)が0/1であり、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)による治療歴のある患者であった。 試験の第1部では、被験者はtrastuzumab deruxtecanの3つの用量(5.4、6.4、7.4mg/kg、3週ごとに静脈内投与)に無作為に割り付けられ、推奨用量が決定された。第2部では、推奨用量による治療の有効性と安全性の評価が行われた。 主要評価項目は、中央判定による奏効率(完全奏効[CR]+部分奏効[PR])とし、主な副次評価項目は病勢コントロール率(DCR、CR+PR+安定[SD])、臨床的有用率(CBR、CR+PR+6ヵ月以上持続するSD)、奏効期間、無増悪生存(PFS)期間、安全性などであった。trastuzumab deruxtecan投与でDCR 97.3%、CBR 76.1% 第1部では、trastuzumab deruxtecanの第2部での推奨用量が5.4mg/kgと決定された。 5.4mg/kg群(184例)の年齢中央値は55.0歳(範囲:28.0~96.0)で、23.9%が65歳以上であり、97例(52.7%)がホルモン受容体陽性腫瘍であった。前治療レジメン数中央値は6(2~27)で、全例にT-DM1とトラスツズマブの治療歴があり、121例(65.8%)がペルツズマブ、100例(54.3%)がその他の抗HER2療法を受けていた。 治療期間中央値は10.0ヵ月(範囲0.7~20.5)で、追跡期間中央値は11.1ヵ月(範囲0.7~19.9)であり、128例(69.6%)が6ヵ月以上の治療を受けていた。 第2部では、184例中112例で奏効が得られ、奏効率は60.9%(95%信頼区間[CI]:53.4~68.0)であった。内訳はCRが6.0%、PRは54.9%であった。DCRは97.3%、CBRは76.1%だった。 T-DM1投与中または投与後に増悪した180例のうち、奏効が確認されたのは61.1%であった。また、T-DM1投与の直後にtrastuzumab deruxtecanの投与を受けた56例中36例(64%)で奏効が得られた。 奏効期間中央値は14.8ヵ月(95%CI:13.8~16.9)、PFS期間中央値は16.4ヵ月(12.7~未到達)であった。また、6ヵ月の時点での全生存(OS)率の推定値は93.9%(89.3~96.6)、1年OS率は86.2%(79.8~90.7)であり、OS期間中央値には未到達であった。 trastuzumab deruxtecan投与による最も頻度の高いGrade3以上の有害事象は、好中球数の減少(基本語として好中球数減少[neutrophil count decreased]と好中球減少[neutropenia]を含む)であり、20.7%(38/184例)に認められた。次いで、貧血が8.7%(16例)、悪心が7.6%(14例)にみられた。発熱性好中球減少は3例で発現した。独立判定委員会により、13.6%(25例)が試験薬関連の間質性肺疾患(Grade1/2:10.9%、Grade3/4:0.5%、Grade5:2.2%)と判定された。 著者は、「間質性肺疾患のリスクを考慮し、肺症状への配慮と注意深いモニタリングが求められる」としている。

18637.

イキセキズマブ、X線陰性体軸性脊椎関節炎に有効/Lancet

 X線画像で明確な所見のない体軸性脊椎関節炎患者の治療において、イキセキズマブはプラセボに比べ、疾患の徴候と症状(ASAS40)を有意に改善することが、米国・オレゴン健康科学大学のAtul Deodhar氏らが行った「COAST-X試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月5日号に掲載された。イキセキズマブはインターロイキン17A(IL-17A)に高い親和性を有するモノクローナル抗体であり、すでにX線所見を伴う体軸性脊椎関節炎(別名:強直性脊椎炎)における有効性が報告されている。イキセキズマブ2種の投与法とプラセボをASAS40の達成で比較 本研究は、欧州、日本を含むアジア、北米、南米の15ヵ国107施設が参加した52週の二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験であり、2016年8月2日~2018年1月29日の期間に患者登録が行われた(Eli Lilly and Companyの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、X線画像で明確な仙腸関節炎所見がみられない活動性の体軸性脊椎関節炎(X線所見を伴わない体軸性脊椎関節炎)で、客観的な炎症の徴候(MRI所見またはC反応性蛋白>5mg/L)があり、2剤以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の効果が不十分またはNSAID不耐の患者であった。 被験者は、イキセキズマブ(80mg)を4週ごと(Q4W)に投与する群、同2週ごと(Q2W)に投与する群、またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。16週以降は担当医の裁量で、基礎治療薬の変更や非盲検下でのQ2Wへの切り換え、あるいはこれら双方が許容された。 主要エンドポイントは、16週および52週時の国際脊椎関節炎評価学会(ASAS)の基準によるASAS40の達成とした。ASAS40は、主要ドメインの4項目(患者による疾患活動性の総合評価、脊椎痛、機能、炎症)のうち3項目以上で、ベースラインから40%以上かつ2単位(0~10点)以上の改善が認められ、さらに残りの1項目でまったく悪化が認められない場合と定義された。治療を切り換えた患者は、ロジスティック回帰分析ではnon-responderとされた。ASAS40達成率は52週時でイキセキズマブQ4W群30%、Q2W群31%、プラセボ群13% 303例が登録され、プラセボ群に105例(平均年齢39.9[SD 12.4]歳、女性58%)、イキセキズマブQ4W群に96例(40.9[14.5]歳、48%)、イキセキズマブQ2W群には102例(40.0[12.0]歳、52%)が割り付けられた。96%が16週の治療を、87%が52週の治療を完遂した。 2つの主要エンドポイントはいずれも満たされた。すなわち、16週時のASAS40達成率は、イキセキズマブQ4W群が35%(34/96例)、イキセキズマブQ2W群が40%(41/102例)、プラセボ群は19%(20/105例)であった(Q4W群vs.プラセボ群p=0.0094、Q2W群vs.プラセボ群p=0.0016)。また、52週時のASAS40達成率は、それぞれ30%(29/96例)、31%(32/102例)、13%(14/105例)であった(Q4W群vs.プラセボ群p=0.0045、Q2W群vs.プラセボ群p=0.0037)。 強直性脊椎炎疾患活動性スコア(Ankylosing Spondylitis Disease Activity Score:ASDAS)<2.1(低疾患活動性)の達成率も、イキセキズマブによる2つの治療群がプラセボ群に比べ有意に優れた(16週時:Q4W群28%[対プラセボ群p=0.0080]、Q2W群32%[同p=0.0009]、プラセボ群12%、52週時:30%[同p=0.0003]、27%[同p=0.0009]、9%)。 同様に、BASDAI(Bath Ankylosing Spondylitis Disease Activity Index)、SF-36 PCS(Medical Outcomes Study 36-item Short-Form Health Survey Physical Component Score)、SPARCC(Spondyloarthritis Research Consortium of Canada)の仙腸関節スコア(16週のみ)も、イキセキズマブ群で有意に良好であった。 イキセキズマブ群で最も頻度の高い治療関連有害事象は鼻咽頭炎(Q4W群19%、Q2W群16%)と注射部位反応(11%、17%)であった。とくに注目すべき治療関連有害事象については、Q4W群で重篤な感染症が1例に認められた。重篤な有害事象は4例(Q4W群2例、Q2W群1例、プラセボ群1例)に、有害事象による治療中止も4例(1例、1例、2例)にみられた。悪性腫瘍および死亡の報告はなかった。また、新たな安全性シグナルは特定されなかった。 著者は、「イキセキズマブは、X線画像で明確な所見のない体軸性脊椎関節炎で、NSAIDの効果が不十分または不耐の患者において、新たな治療選択肢となる可能性が示唆される」としている。

18638.

PPIで認知症リスクが1.3倍~メタ解析

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用と認知症リスクについて、中国・Anhui Medical UniversityのYun Zhang氏らが、調査を行った。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2019年11月21日号の報告。 英語と中国語のデータベースより、2018年12月までの文献を包括的に検索した。プールされたハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、変量効果モデルを用いて算出した。サブグループ解析と感度分析も実施した。不均一性の評価には、Cochran's Q検定およびI2検定を用いた。出版バイアス評価には、Begg検定およびEgger検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・6研究、16万6,146例が抽出された。・全体的な結果では、PPI使用による認知症リスクの有意な増加が認められた(HR:1.29、95%CI:1.12~1.49)。・サブグループ解析では、PPI使用と認知症リスクとの有意な関連が、欧州の患者(HR:1.46、95%CI:1.23~1.73)および65歳以上(HR:1.39、95%CI:1.17~1.65)で認められた。・フォローアップ期間5年以上では、プールされたHRは、1.28(95%CI:1.12~1.46)であり、PPI使用患者の認知症リスクが1.28倍に増加していることが示唆された。・地域的な影響については、欧州の患者の全体的なプールHR推定値は、1.46(95%CI:1.23~1.73)であった。・出版バイアスは認められなかった。 著者らは「本結果では、PPI使用が認知症リスクを上昇させることが認められた。これらの調査結果を確認するためにも、高品質なコホート研究が求められる」としている。

18639.

LOXO-292のRET肺がんに対する有効性(LIBRETTO-001)/日本肺学会

 RET融合遺伝子陽性がんは全身のさまざまな臓器で見られる。非小細胞肺がん(NSCLC)においても2%を占めるといわれる。RET融合遺伝子陽性がんでは、半数に脳転移があるとの報告もある。従来のマルチキナーゼ阻害薬によるRET融合遺伝子陽性がん治療では、有効性に限度がみられた。selpercatinib(LOXO-292)は、選択性の高いRET阻害薬であり、幅広いがん種への有効性を示すとともに、CNSへの移行性も良好な薬剤である。 LOXO-292の国際第I/II相試験LIBRETTO-001の結果は本年の世界肺学会(WCLC2019)で発表された。第60回日本肺学会学術集会では、国立がん研究センター東病院の後藤 功一氏がそのアンコール発表を行った。 今回の発表は、2017年5月の登録開始から2016年6月までの肺がん初回データをまとめたもの。主要評価項目は客観的奏効率(ORR)、副次評価項目は奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性。登録されたRET融合遺伝子陽性がんの総数は531例、そのうちNSCLCは253例であった。今回の発表では、前治療としてプラチナベース化学療法を実施した患者184例中の105例が解析対象であった。 主な結果は以下のとおり。・患者の年齢中央値は61歳、女性59%、前治療レジメン中央値は3(55%がPD-1/L1阻害薬実施、48%がマルチキナーゼ阻害薬実施)、脳転移は35%に認められた。・ORRは68%(95%信頼区間[CI]:58~76)であった。・CNS奏効率は91%(95%CI:59~100)であった。・DoR中央値は20.3ヵ月(95%CI:13.8~24.0)、PFS中央値は18.4ヵ月(95CI:12.9~24.9)であった。・今回の解析対象ではないが、未治療患者のORRは85%(95%CI:69~95)であった。・頻度の高い治療関連有害事象(TRAE)は口喝(27%)、AST上昇(22%)、ALT上昇(21%)。TRAEによる治療中止は1.7%であった。

検索結果 合計:36551件 表示位置:18621 - 18640