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心血管疾患は、早期死亡の主要な原因であり、LDL-C値の上昇は介入可能なリスク因子とされる。LDL-Cに関連する疾病負担を評価することは、心血管疾患の予防および治療戦略を策定するうえできわめて重要と考えられる。米国・ワシントン大学のChristian Razo氏らGBD 2023 LDL Cholesterol Collaboratorsは、世界疾病負担(GBD)研究の一環として、1990~2023年におけるLDL-C値上昇(35~54mg/dLとの比較)に起因する虚血性心疾患および虚血性脳卒中の疾病負担を、世界、地域、国ごとに推定し、人口増加、高齢化、曝露量の変化などが疾病負担の傾向に及ぼす影響を定量化した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年7月29日号で報告された。204の国と地域で、LDL-C関連の死亡数、DALYを評価 研究グループは、204の国と地域における人口レベルのLDL-C曝露量、およびそれに関連する健康損失を推定した(ゲイツ財団の助成を受けた)。平均LDL-C値は、161ヵ国の806件の研究に基づいて推算した。また、相対リスクは、38件の無作為化臨床試験を対象としたメタ解析から導出した。 1990~2023年に、年齢25歳以上の成人について、死亡および障害調整生存年(DALY)の集団寄与危険割合(PAF)を年齢層別および性別に推定し、95%不確実性区間(UI)を算出した。 主要評価項目は、虚血性心疾患および虚血性脳卒中によるLDL-Cに起因する死亡数およびDALYのPAF、件数、発生率(全年齢および10万人当たりの年齢調整値)とした。LDL-C上昇の成人が、25億人から46億人に増加 1990~2023年に、LDL-C値が54mg/dL以上の25歳以上の成人数は、約25億人(95%UI:24億~26億)から約46億人(95%UI:43億~47億)へと増加した。 1990年以降、LDL-C値上昇による死亡数とDALYは約39%増加した。2023年に、LDL-C値の上昇は、360万人(95%UI:220万~540万)の死亡(世界の総死亡数の6.0%)と、9,070万DALY(95%UI:5,890万~1億2,330万)(総DALYの3.2%)の原因となった。 2023年に、LDL-Cが寄与したDALYの33%が、LDL-C値54~116mg/dLの人々であり、残りの67%は同値が116mg/dL以上であった。LDL-C関連の心血管疾患死亡率は大幅に減少 全世界の全年齢層では安定していたものの、1990年以降、LDL-C値上昇に起因する心血管疾患による年齢調整死亡率が45.6%、DALY率は39.5%減少しており、年間減少率は0.45%だった。 また、男女とも、DALY率は年齢の上昇に伴って着実に増加した。2023年に、LDL-C関連DALYは女性(3,570万、95%UI:2,240万~5,180万)に比べ男性(5,500万、95%UI:3,730万~7,530万)で高かった。1990~2023年に、LDL-Cによる年齢層別のDALY率は、全年齢層および男女とも世界的に減少した。人口増加と高齢化が、LDL-Cの負担増加を牽引 2023年に、LDL-Cの寄与による年齢調整DALY率は東ヨーロッパ(2,252.6/10万人、95%UI:1,507.4~3,038.2)で最も高く、高所得のアジア太平洋地域(322.0/10万人、95%UI:208.7~446.6)で最も低かった。世界のLDL-Cによる健康負担の3分の1(34%)は、インドと中国で発生していた。 人口増加と高齢化が、LDL-Cによる負担の増加を牽引していた。また、LDL-Cへの曝露およびリスク補正後DALY率には顕著な地域格差がみられ、その傾向は社会人口統計学的特性指数(SDI)が中位の国へと転換していた。公平なスクリーニングと対象を絞った介入の拡大が急務 これらの結果を踏まえて著者は、「LDL-C値の上昇を予防・管理することは、世界的に心血管疾患による死亡を回避し、健康寿命を延ばすことにつながる」「LDL-Cの管理法は進歩しているものの、1990年以降、人口増加と高齢化により、その絶対的な負担は増加し続けており、その傾向はSDI中位国への転換が進んでいる」とまとめている。 また、「国連の持続可能な開発目標(SDGs)の期限が迫る中、これらの知見は、医療へのアクセスを改善し、生涯にわたって心血管の健康を促進するために、偏りのない公平なスクリーニングと対象を絞った介入の拡大が、緊急に必要であることを強調するもの」と指摘している。