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非扁平上皮NSCLC1次治療、化学療法+ベバシズマブ+ニボルマブの4併用がPFS延長(ONO-4538-52/TASUKI-52)/ESMO2020

 ONO-4538-52/TASUKI-52試験は、非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療治療において、プラチナ化学療法とベバシズマブの併用にニボルマブを上乗せした初の無作為化二重盲検第III相試験である。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、その初回解析の結果を韓国・ソウル国立大学ブンダン病院のJong Seok Lee氏が発表した。・対象:未治療のStage IIIB/IVの非扁平上皮NSCLC患者(PD-L1発現問わず)・試験群:ニボルマブ(360mg)+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(3週間ごと6サイクル)→ニボルマブ+ベバシズマブ(ニボルマブ群)・対象群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ→プラセボ+ベバシズマブ(プラセボ群) ニボルマブ/プラセボ+ベバシズマブは、疾患進行または許容できない毒性発現まで継続・評価項目:[主要評価項目]独立放射線審査委員会(IRRC)評価の無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目 ]全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・日本、韓国、台湾の患者550例が1:1で無作為にニボルマブとプラセボに割り付けられた。 ・データカットオフ(2020年2月10日)での最低追跡期間は7.4ヵ月であった。・PFS中央値は二ボルマブ群12.1ヵ月に対しプラセボ群8.1ヵ月と、ニボルマブ群で有意に長かった(HR:0.56、96.37%CI:0.43〜0.71、p<0.0001)。12ヵ月PFS率は二ボルマブ群50.1%、プラセボ群30.2%であった。・PD-L1発現別のPFS HRは、PD-L1<1%で0.55、PD-L1 1〜49%で0.63、PD-L1≧50%で0.55であった。・ OSは評価に達していないが、ニボルマブ群の中央値は25.4ヵ月、プラセボ群24.7ヵ月であった(HR:0.85、95%CI:0.63〜1.14)。・ ORRは、ニボルマブ群61.5%、プラセボ群50.5%であった。・Grade3/4の治療関連有害事象(TRAE)はニボルマブ群で73.6%、プラセボ群で72.0%、治療中止につながるTRAEは二ボルマブ群16.5%、プラセボ群4.4%と、二ボルマブ群で多く観察されたが、治療関連死は二ボルマブ群1.8%、プラセボ群1.5%と同程度であった。 カルボプラチン・パクリタキセルとベバシズマブへのニボルマブの併用はPFSを有意に延長し、その効果はPD-L1発現に関係なく認められた。非扁平上皮NSCLCの1次治療となる可能性が示唆されると、Lee氏は述べた。

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ペムブロリズマブによるNSCLCの脳転移に対する効果/Lancet Oncol

 ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)が非小細胞肺がん(NSCLC)の脳転移に有効である可能性が示された。米国・イェール大学医学大学院のSarah B. Goldberg氏らは、NSCLCまたは悪性黒色腫の患者を対象としたペムブロリズマブの非盲検第II相試験において、脳転移病変に対する抗PD-1抗体の効果を検討しており、これまでに中間解析結果を報告している。今回、同試験のNSCLCコホートを対象とした最新の解析を行い、ペムブロリズマブは、PD-L1発現が1%以上のIV期NSCLC患者における脳転移病変に対して有効であり、安全性も確認されたことを報告した。著者は、「NSCLCによる中枢神経系(CNS)疾患に対する免疫療法のさらなる検討が必要である」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年5月号掲載の報告。ペムブロリズマブで脳転移病変の奏効が得られた患者は37例中11例 研究グループは、18歳以上のIV期NSCLCで、1つ以上の脳転移(5~20mm大)を有し、脳転移巣未治療または放射線療法後に増悪した患者を対象に、ペムブロリズマブ10mg/kgを2週間間隔で静脈内投与した。 CNS疾患の評価には、mRECISTを用いた。また、患者をPD-L1発現が1%以上(コホート1)、PD-L1発現が1%未満または評価不能(コホート2)の2つのコホートに分けた。 主要評価項目は、脳転移病変の奏効率(部分奏効または完全奏効を達成した患者の割合)であった。治療を受けたすべての患者を有効性および安全性の解析対象とした。 NSCLC患者を対象としたペムブロリズマブの脳転移病変に対する効果を検討した主な結果は以下のとおり。・2014年3月31日~2018年5月21日までの間に42例が治療を受けた。・追跡期間中央値8.3ヵ月において、ペムブロリズマブで脳転移病変の奏効が得られた患者は、コホート1で37例中11例(奏効率29.7%、95%信頼区間[CI]:15.9~47.0)、コホート2では0例であった。・ペムブロリズマブ投与によるGrade3~4の治療関連有害事象は、肺臓炎が2例、全身症状、大腸炎、副腎機能障害、高血糖および低カリウム血症が各1例であった。・重篤な治療関連有害事象は42例中6例(14%)に発現し、肺臓炎が2例、急性腎障害、大腸炎、低カリウム血症および副腎機能障害が各1例であった。・治療に関連した死亡は認められなかった。

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T790M陽性NSCLCに対するオシメルチニブとベバシズマブの併用(WJOG 8715L)/ESMO2020

 EGFR-TKIに耐性となりT790M陽性が確認された進行肺腺がんに対して、オシメルチニブとベバシズマブの併用は、オシメルチニブ単独に比し、無増悪生存期間(PFS)の延長を示せなかった。日本のWest Japan Oncology Group(WJOG)の試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で仙台厚生病院の戸井 之裕氏から発表された。 このWJOG8715L試験は、日本国内で実施されたオープンラベルの無作為化第II相試験である。・対象:EGFR-TKIで進行後T790M変異陽性が確認されたEGFR変異陽性進行肺腺がん81例・試験群:オシメルチニブ+ベバシズマブ(OB群)・対照群:オシメルチニブ(O群)・評価項目[主要評価項目]主治医判定によるPFS[副次評価項目]奏効率(ORR)、治療成功期間(TTF)、全生存期間(OS)、安全性 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値16ヵ月時点でのPFS中央値は、O群13.5ヵ月、OB群9.4ヵ月、HR1.44(95%CI:1.00~2.08)、p=0.20とOB群のほうが短かった。・ORRはO群55.0%、OB群71.8%と、OB群のほうが高かった。・抗VEGF薬投与歴のないO群のPFS中央値は13.7ヵ月、OB群のPFS中央値は11.1ヵ月であったが、抗VEGF薬の投与歴があったO群のPFS中央値は15.1ヵ月で、OB群のPFS中央値は4.6ヵ月と短かった。・TTF中央値はO群11.2ヵ月、OB群8.4ヵ月、HR1.54、p=0.12であった。・OS中央値は、O群22.1ヵ月で、OB群は未到達、HR1.02、p=0.96であった。・有害事象としての蛋白尿と高血圧は、有意にOB群で頻度が高く、貧血は有意にO群で高率であった。OB群に重篤な塞栓症や出血は認められなかった。

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非心臓手術後に生じる新規発症心房細動がその後の脳卒中・一過性脳虚血発症に関連(解説:今井靖氏)-1290

 一般的に心房細動の存在は脳梗塞や一過性脳虚血発作のリスクとなることは周知のことであるが、非心臓手術の際に生じた新規心房細動が脳梗塞・一過性脳虚血発作のリスクとなるか否かについては必ずしも明らかではない。本研究は、米国ミネソタ州のオルムステッド郡において2000~13年の間に非心臓手術を施行した際に術後30日以内に新規に心房細動を発症した550例を対象に行われた。そのうち452例については年齢、性別および外科手術日、手術内容が一致したコントロール群を設定し、主要臨床転帰は脳梗塞または一過性脳虚血発作発症、副次的臨床転帰はそれに引き続く心房細動発作、死亡、心臓血管死としている。中央値75歳、男性が51.8%の904例間の比較において心房細動を生じた患者では有意にCHA2DS2-VAScスコアが高く(中央値4[IQR:2~5] vs.3[IQR:2~5]、p<0.001)、中央値5.4年の追跡期間において71例が脳梗塞または一過性脳虚血発作を認め(ハザード比2.69[1.35~5.37])、266例で心房細動のエピソードを認めた(ハザード比7.94)。571例が死亡(ハザード比1.66)したが、172例が心臓関連死であった。 周術期の新規発症心房細動は外科的侵襲に伴う交感神経活性化、体循環血液量・心負荷の急激な変化に伴いもたらされる。非心臓手術時においても心臓手術、たとえば冠動脈バイパス手術においてもβ遮断薬を適宜投与し、輸液バランスに細心の注意を払いながら管理する。β遮断薬はハイリスク例においては心筋虚血の回避、不整脈イベントの減少により予後改善が得られるとの論文が過去複数報告されており、日本では必ずしも一般化されていないが、欧米では周術期管理においてβ遮断薬が多く使用される。日常診療下における心房細動発症あるいはその持続が脳血管障害のリスクになることは周知の事実であるが、侵襲によって誘発された心房細動がはたしてどの程度、脳血管障害や死亡へのインパクトがあるか必ずしも統計学的に明らかにされてこなかった。今回の研究ではこの非心臓血管外科周術期の新規発症心房細動が脳梗塞・一過性脳虚血発作の相当のリスクになることが示されたが、いかにそれを防ぐべきか、また術後の止血・再出血の観点から周術期にいかに抗凝固療法を行うべきかについては本研究からは回答を得ることができない。本研究に類似したものが今年POISE研究(Conen D, et al. Eur Heart J. 2020;41:645-651.)においても示されている。今後、抗凝固療法を含めた心房細動を周術期管理について新たな臨床試験・研究で検証する必要性がある。

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試験の待つ外来【Dr. 中島の 新・徒然草】(343)

三百四十三の段 試験の待つ外来ついこないだまで暑かったのに彼岸を過ぎたらめっきり涼しくなりました。風の中にもほのかに金木犀の匂いが……。さて、ある日の事、某病院から脳梗塞の患者さんが紹介されてきました。70代の男性で、循環器内科は当院にかかっておられます。心房細動で服用していた抗凝固薬を自己中断したら、途端に脳梗塞発症!それで某病院に搬入されたのです。そこの病院は良くなかったと患者さんは不満たらたら。丁寧な紹介状を見るかぎり、某病院ではキチンと診ておられたように思います。とはいえ、脳と心臓を別の医療機関で診るのも非効率なので私が対応しました。もちろん脳梗塞は脳卒中内科ですが、それを高齢者に言っても通じないのは皆さんご存じのとおり。中島「ところで、〇〇さん。脳梗塞が起こった原因はどのように聞いておられますか?」患者「それが何も聞いてませんねん」中島「前の病院で説明があったでしょう」患者「何にも教えてくれへんのですわ」普通は説明しますよね、しつこいくらい。紹介状にも「抗凝固薬の必要性を強調したのですが服用していただけませんでした」とあります。中島「じゃあ〇〇さんの理解でいいですから、私に説明してくれますか」患者「脳に血が溜まって。ほんで、なんやわからんけど、脳梗塞になったんや」中島「説明になっているとは言い難いですねえ」患者「すんまへん」御本人に説明してもらうと理解度がよくわかります。中島「じゃあ、私が説明しましょうか?」患者「お願いします」一生懸命説明したとて、また他所で「何も教えてくれへんかった」と言われても困るし。中島「後で試験しますから、真剣に聞いてくださいよ」患者「試験があるんでっか」中島「ありますよ。真面目に聞いてもらったかどうか、すぐにわかりますからね」患者「ちょっと待っておくんなはれ」何やらカバンからノートが出てきました。中島「おっ、なかなかいいですね」患者「ではお願いします」中島「まず〇〇さんの心臓には不整脈があるので」患者「はい」中島「血が淀んで心臓の中で固まってしまうんですよ」患者「血が淀んで固まる」大きな字でノートに書き始めます。中島「その血の塊が血液に乗って脳まで流れていって」患者「脳まで流れて」中島「脳の血管に詰まって、脳梗塞が起こったわけです」患者「脳に血が溜まる」中島「いやいや、血が溜まるのじゃなくて血管が詰まるんですよ」患者「血管が詰まる」中島「血管が詰まると脳が壊死するので脳梗塞になる…わけです」患者「脳梗塞になる」ノートには大きな字の文章が数行並びました。中島「じゃあ試験です。今、私が言ったことを説明してくれますか」患者「へっ、説明でっか」中島「ノートを見ながらでいいですよ」〇〇さん、そこまで狼狽しなくても。患者「脳に血が溜まって」中島「それ、全然違いますがな。まず心臓からいかないと」患者「心臓の血管が」中島「いやいや、心臓に不整脈があるから」患者「不整脈があるから」中島「血液が淀んで固まって」患者「血が固まって」中島「血の塊が血流に乗って、心臓から脳に流れていって」患者「流れていって脳に血が溜まって」中島「溜まらん、溜まらん。血の塊が脳の血管に詰まるんですよ」患者「そうか!」中島「脳の血管が詰まったら、脳が壊死して、脳梗塞になるわけです」患者「脳梗塞ね」中島「ほな、もう1回最初からいきましょか。まず心臓です」患者「心臓からいったらええわけでんな」ということで繰り返し練習あるのみ。誘導尋問だらけですが、何とか心臓から脳までたどり着けるようになりました。中島「じゃあ、次の外来でも試験しますからね」患者「とにかく心臓から始める、と」中島「そうそう。合格目指して頑張りましょう」患者「厳しいなあ」中島「当たり前ですよ。命がかかってるんだから」患者「先生が命をかけてくれるんやから、こっちも頑張らんと」中島「僕じゃなくて、命がかかっているのは〇〇さんのほうですがな」患者「そうなんですか!」どう言えば当事者意識を持ってもらえるのでしょうか?とはいえ、患者さんのほうも少しは達成感があったようです。誰の命がかかっているのかは、最後まで曖昧なままでしたが。ともあれ「試験しますよ」というと真剣になる人が多いようです。詳細な病状説明より、よっぽど実用的かもしれませんね。今後も活用したいと思います。最後に1句秋彼岸 脳外科外来 試験待つ

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第28回日本乳学会学術総会 会長インタビュー【Oncologyインタビュー】第22回

出演:愛知県がんセンター副院長兼乳腺科部長 岩田 広治氏2020年10月9日より、第28回日本乳学会学術総会がバーチャル開催される。総会の主題は「We Can Do ~making better future~」である。 会長の愛知県がんセンター副院長兼乳腺科部長 岩田 広治氏に総会の趣旨と見どころについて聞いた。参考第28回日本乳学会学術総会ホームページ9日から開催の日本乳学会学術総会、注目トピック

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日本脳炎【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第4回

今回は、ワクチンで予防できる疾患、VPD(vaccine preventable disease)の第3回として、「日本脳炎」を取り上げる。日本脳炎とは1)日本脳炎とは日本脳炎は、宿主であるブタから蚊(主にコガタアカイエカ)が媒介する日本脳炎ウイルスによって引き起こされるウイルス感染症である。日本脳炎ウイルスに感染したヒトのうち、症候を来す日本脳炎の発症は100~1,000人に1人程度とまれである。しかし、重症化することが多く、致命率は20~40%であり、小児や高齢者ではその危険性がさらに高くなる。生存した場合でも45~70%に神経学的後遺症が残るとされている1)。日本脳炎は発症しても有効な治療方法がなく重症化のリスクも高いため、蚊に刺されないための対策とともにワクチン接種による予防が重要となる。2)疫学日本脳炎ウイルスはアジアの多くの国におけるウイルス性脳炎の主要な原因であり、毎年約68,000人が発症し、約13,600~20,400人が死亡していると推計されている。東南アジアから西太平洋地域にかけての流行地域では、30億人以上が感染リスクにさらされている(図1)2)。図1 日本脳炎感染リスク地域2)画像を拡大するわが国でも以前は小児や高齢者に多くみられていたが、定期接種化を含めたワクチン接種の推進や蚊に刺される機会が減少したことなどから、患者数が減少傾向となり近年では年間数例程度にとどまっている(図2)3)。しかし、日本脳炎ウイルスを保有するブタは西日本を中心に広い地域で確認されており(図3)4)、感染リスクは依然として無くなっていないことから、予防接種の徹底が重要である。図2 日本脳炎患者報告数の推移(報告年別)3)画像を拡大する図3 ブタの日本脳炎ウイルス感染状況(2018)4)画像を拡大するワクチンの概要日本脳炎ワクチンの概要を表に示す5)。日本脳炎ワクチンは、日本脳炎感染リスクを75~95%減少することができる非常に効果の高いワクチンである。わが国では1954年より接種が始まり、1995年より定期接種として実施されるようになった。従来、マウス脳由来のワクチンが用いられていたが、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)発症との因果関係が危惧されるとの理由から、2005年5月より定期接種の積極性勧奨差し控えという対応がなされることとなった。2009年6月より乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが用いられるようになり、2010年4月より積極的勧奨が再開されている。また、2016年4月からは、それまで定期接種として実施されていなかった北海道においても、定期接種が行われるようになった。表 日本脳炎ワクチン5)画像を拡大する接種スケジュール1)定期接種日本脳炎ワクチンの定期接種として、標準的には第1期初回を3歳以上4歳未満、第1期追加を4歳以上5歳未満、第2期を9歳以上10歳未満に接種することとされている。定期接種1期としては、6ヵ月~90ヵ月未満の期間に接種が可能である。2015年には千葉県で10ヵ月児の日本脳炎患者発生も認められるなど、小児発症例も散見されることから、日本脳炎流行地域に渡航・滞在する小児、最近日本脳炎患者が発生した地域・ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児に対しては、生後6ヵ月からの接種開始が推奨されている6)。なお、3歳未満ではワクチン接種量が0.25mLであり3歳以上の接種量と異なることから注意が必要である。2)特例対象者2005年5月~2009年度にかけて行われた日本脳炎ワクチンの積極的勧奨の差し控えにより、接種機会を逸した対象者には、特例対象者として公費での接種が可能となっている。◆1995年4月2日~2007年4月1日の間に生まれた方20歳未満であれば4回のうち不足回数分を定期接種として受けることが可能である。<4回の接種が完了していない場合>6日以上の間隔をおいて残り回数を接種する。<接種をまったく受けていない場合>6日以上の間隔をおいて2回、2回目接種から6ヵ月以上あけて(おおむね1年)3回目、3回目接種から6日以上の間隔をおいて4回目を接種する。◆2007年4月2日~2009年10月1日の間に生まれた方生後6ヵ月~90ヵ月未満、9~13歳未満の間に、第1期の不足分を定期接種として受けることが可能である。9~13歳未満に第1期不足分を接種した場合は、第2期との接種間隔は6日以上あけるようにする。3)任意接種特例対象者以外でも、日本脳炎流行地域に渡航・滞在する場合、ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住している場合には任意接種を検討する。添付文書の用法および用量に従い、初回免疫として0.5mLを1〜4週間隔で2回、追加免疫として初回免疫後おおむね1年を経過した時期に0.5mLを1回接種する。日常診療で役立つポイント1)誰に接種を勧めるか?定期接種対象者はもちろんであるが、特例対象者についても接種漏れがないように対応すべきである。特例対象者は受診機会が少ない年齢層であるため、パンフレットなどを掲示したり、感染症など他の理由で受診した際に接種状況について確認するなどの工夫をしたい。また、定期接種・特例対象者には含まれないが、30歳以降では抗体保有率が低いこと(図4)、ワクチン接種済でも20歳以上では抗体価が低い場合があること(図5)から、流行地域への渡航時や地域における流行状況によっては5~10年毎の追加接種を検討する7)。図4 年齢/年齢群別の日本脳炎抗体保有状況(2019)4)画像を拡大する図5 日本脳炎ワクチン接種歴別の年齢/年齢群別日本脳炎抗体保有状況(2018)4)画像を拡大する2)いつ接種すべきか?日本脳炎ウイルスは蚊が媒介するため、夏になる前に初回免疫(2回)を終了させておくことが望ましい。3)副作用の不安への対応は?患者・家族のなかにはワクチン接種によるADEM発症を心配して接種を控えているケースがある。乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンでは、マウス脳混入によるADEM発症の可能性は排除されており、他のワクチン接種と同程度の発症リスクにとどまる。まずは、患者・家族の気持ちを受け入れ、ワクチン接種によるメリットと副作用の可能性を十分説明したうえで接種を推奨すると良い。今後の課題・展望日本脳炎は、まれではあるが重症脳炎を起こし、有効な治療法がないという点からも、ワクチン接種による予防が重要なVPDの1つである。世界的にみても感染リスクが高いわが国においては、現在の定期接種、特例対象者へのワクチン接種を確実に行うことだけでなく、流行地域における6ヵ月からの定期接種開始、海外渡航時や定期接種未完遂者のキャッチアップなど、積極的な対応が求められる。参考となるサイト1)日本脳炎とは(国立感染症研究所)2)Japanese encephalitis. WHO fast sheets.3)日本脳炎Q&A第5版(国立感染症研究所)4)感染症流行予測調査「日本脳炎」(国立感染症研究所)5)こどもとおとなのワクチンサイト.6)日本脳炎罹患リスクの高い者に対する生後6か月からの日本脳炎ワクチンの推奨について(日本小児科学会)7)予防接種に関するQ&A集(日本ワクチン産業協会)講師紹介

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第26回 垣間見えた日医と医学会の不仲の実態、背景にある歴史的経緯とは

日本医師会(日医)と日本医学会(医学会)/日本医学会連合の不仲の実態が漏れ始めた。医学会前会長で、地域医療振興協会会長の高久 史麿氏(高=はしごだか、以下同)の仲介により、日医のある会合で医学会/日本医学会連合の門田 守人会長が講演をすることになったが、日医の中川 俊男会長が断りを入れたという。医療界の長老・高久氏の口利きにもかかわらず、と関係者の間で驚きの声が上がったようだが、実は両団体には簡単に不信感を払拭できない背景があった。両団体の歴史を振り返ってみる。医学会は日本聯合医学会という名称で1902年(明治35年)に発足、1910年(明治43年)に日本医学会と改称した。一方、日医は医学会発足から14年後の1916年(大正5年)、大日本医師会の名称で設立された。そして戦後の1947年(昭和22年)、GHQによって解体させられ、社団法人として再出発する。GHQは日医に学術的な機能を持たせるため、翌年、医学会の意向に反して医学会を日医に合流させた。日医の定款に「本会に、日本医学会を置く」と書き込まれる。先行して設立された団体にもかかわらず、日医の風下に立つ形となった医学会には屈辱だっただろう。ある医学会の役員は「GHQにしてやられた」と、当時についていまだに悔しさを滲ませる。それから60年ほど経った2006年(平成18年)頃から、医学会の中で、日医から独立して法人化すべきとの意見が出てきた。その後、日医と医学会の執行部で話し合いが重ねられ、2011年(平成23年)、当時の原中勝征・日医会長が医学会法人化を認める旨の方針を示した。しかし、地方の医師会代議員らには話が十分に伝わっていなかった。日医が2013年(平成25年)に公益社団法人化する際、定款変更委員会で問題化。「医学会に対して譲歩するのか」「独立を認めるような人が日医会長では困る」などといった意見が相次ぎ、翌年の日医会長選で再選を目指す横倉 義武氏の立場を危うくする事態にまでなった。日医は苦肉の策として、定款変更できないため法人化を待ってほしいと日本医学会に打診。これに対し、日本医学会の役員は「これまで散々議論してきたにもかかわらず、定款変更できないから待ってくれと。今さら何を言っているんだ、という気持ちだった」と怒りを露わにする。日本医学会としては、とにかく法人格を持つ組織を作る必要があると判断。そこで、日医の定款を変更しなくてもできる方法として、日本医学会連合という名称で2014年(平成26年)に法人格を取得したのだった。日医の組織の一部として医学会は残るが、実態は同じ組織である日本医学会連合は日本専門医機構や日本医療安全調査機構などの組織に日医と同様、法人社員として参画している。医学会の副会長時代から“独立”に向けて活動していた門田氏にしてみれば、いったん認められた独立を覆した横倉日医時代の副会長だった中川氏は信用できないだろう。一方の中川氏にとっても、独立派の急先鋒だった門田氏を良く思ってはいまい。両団体のトップに立つ二氏の私的感情が、医療界の足を引っ張らなければいいが……。

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アジア人統合失調症患者におけるBMIと錐体外路症状との関係~REAP-AP研究

 これまでBMIとパーキンソン病との関連がいくつか報告されているが、統合失調症患者におけるBMIと抗精神病薬誘発性の錐体外路症状(EPS)との関連を報告した研究は少ない。韓国・Inje University Haeundae Paik HospitalのSeon-Cheol Park氏らは、統合失調症患者におけるBMIとEPSの関連を評価するため、検討を行った。Psychiatria Danubina誌2020年夏号の報告。 向精神薬処方に関するアジア国際共同研究の抗精神病薬(Research on Asian Psychotropic Prescription Patterns for Antipsychotics:REAP-AP)のデータを用いて、体重で層別化した統合失調症患者1,448例を対象にEPSの発現率を比較した。体重の層別化には、WHOの肥満度分類およびアジアパシフィック肥満分類を用いた。主な結果は以下のとおり。・WHO肥満度分類を用いた検討において、多項ロジスティック回帰モデル(交絡因子の潜在的な影響を調整)では、低体重は運動緩慢、筋強剛の発現率増加および歩行障害の発現率低下との有意な関連が認められた。・アジアパシフィック肥満分類を用いた検討において、多項ロジスティック回帰モデル(交絡因子の潜在的な影響を調整)では、低体重は筋強剛の発現率増加との有意な関連が認められた。 著者らは「アジア人統合失調症患者では、低体重が筋強剛の発現率増加と段階的なパターンで関連していることが明らかとなった。このメカニズムについては、不明な点があるものの、第1世代抗精神病薬の使用や抗精神病薬の用量にかかわらず、低BMIが筋強剛の発現に影響を及ぼしていると推測される」としている。

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切除不能StageIII NSCLC、デュルバルマブ地固め療法、半数が4年生存(PACIFIC)/ESMO2020

 同時化学放射線療法(cCRT)後に疾患進行のない切除不能StageIII非小細胞肺がん(NSCLC)におけるデュルバルマブ地固め療法の第III相PACIFIC試験。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、デュルバルマブ群初とはる全生存期間(OS)を含む4年生存データを、英国・マンチェスター大学のC. Faivre-Finn氏が発表した。・対象:cCRT後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者・試験群:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月(473例)・対照群:プラセボ、2週ごと12ヵ月(236例)・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央評価委員会(BICR)判定による無増悪生存期間(PFS)、OS[副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までの時間、安全性などCRTの1~42日後に、被験者はデュルバルマブとプラセボに2対1に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・2020年3月20日現在、追跡期間中央値は34.2ヵ月であった。・OS中央値はデュルバルマブ群47.5ヵ月、プラセボ群29.1ヵ月であった(HR:0.71、95%CI:0.57〜0.88)。 ・4年OS率は、デュルバルマブ群49.6%、プラセボ群6.3%であった。・PFS中央値は、デュルバルマブ群17.2ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月であった(HR:0.55、95%CI:0.44〜0.67)。・4年PFS率は、デュルバルマブ群35.3%、プラセボ群19.5%であった。

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肺がん1次治療におけるペムブロリズマブ単独治療の5年生存率、30%超(KEYNOTE-024)/ESMO2020

 PD-L1 発現(TPS≧50%)の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるペンブロリズマブ単剤治療は第III相KEYNOTE-024試験の追跡期間11.2ヵ月の解析で、化学療法と比較して有意な無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の改善が示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、同試験の5年追跡結果を、米国・Sidney Kimmel包括的がんセンターのJ.R. Brahmer氏が発表した。・対象:転移を有する未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLC患者(305例)・試験群:ペムブロリズマブ200mg 3週ごと(154例)・対照群:治験担当医が選択したプラチナベース化学療法 4~6サイクル(151例)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]OSなど 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2020年6月1日)の追跡期間中央値は59.9ヵ月であった。・化学療法群のペムブロリズマブへのクロスオーバーは66.0%(99/150例)であった。 ・OS中央値はペムブロリズマブ群26.3ヵ月、化学療法群13.4ヵ月であった(HR:0.62、95%CI:0.48〜0.81)・5年OS率はぺムブロリズマブ群31.9% 、化学療法群16.3%であった。・全奏効率(ORR)はペムブロリズマブ群46.1%(CR4.5%、PR41.6%)に対し、化学療法群31.1%(CR0%、PR31.1%)であった・DORは、ペムブロリズマブ群29.2ヵ月に対し、化学療法群6.3ヵ月であった。・全Grade治療関連有害事象(TRAE)発現は、ペムブロリズマブ群76.6%に対し化学療法群90.0%、Grade3〜5のTRAEの発現は、ペムブロリズマブ群で31.2%に対し化学療法群53.3%であった。 ペムブロリズマブ単剤治療は、高いクロスオーバー率にもかかわらず、引き続きOSの改善を示している。5年OS率は、30%を超え、化学療法の約2倍であり、かつ持続的な効果を示している。ペムブロリズマブ単剤治療は、PD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLCの1次治療において有効な治療方法であることを、この試験結果は示していると、Brahmer氏は述べた。

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SGLT2阻害薬ertugliflozinの心血管効果は?/NEJM

 2型糖尿病でアテローム動脈硬化性心血管疾患を有する患者において、標準治療に加えてのSGLT2阻害薬ertugliflozinの投与はプラセボ投与に対して、主要有害心血管イベント(心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合)の発生は非劣性であった。また、副次評価項目の心血管死または心不全による入院の複合アウトカムについて、プラセボに対する優越性は示されなかった。米国・ハーバード大学医学大学院のChristopher P. Cannon氏らが、8,246例超を対象に行った多施設共同無作為化二重盲検試験で明らかにした。ertugliflozinは、2型糖尿病の血糖コントロールを改善するとして米国その他の国で承認されている。同薬の心血管効果については、明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2020年9月23日号掲載の報告。ertugliflozinの主要有害心血管イベントについて対プラセボの非劣性を検証 研究グループは、2型糖尿病でアテローム動脈硬化性心血管疾患を有する患者を無作為に3群に割り付け、標準的治療に加えて、ertugliflozin 5mg/日、同15mg/日、またはプラセボをそれぞれ投与した。 ertugliflozinの2投与群についてはデータをプールし解析。試験の主要目的は、主要評価項目とした主要有害心血管イベント(心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合)について、ertugliflozin群がプラセボ群に対し非劣性を示すことができるかであった。非劣性マージンは1.3(ertugliflozinのプラセボに対するハザード比[HR]の信頼区間[CI]上限値95.6%)とした。 第1副次評価項目は、心血管死または心不全による入院の複合アウトカムとした。ertugliflozin群の主要有害心血管イベントの非劣性は示されたが 合計8,246例が無作為化を受け、平均追跡期間は3.5年だった。 ertugliflozinまたはプラセボを1回以上投与された8,238例において、主要有害心血管イベントの発生は、ertugliflozin群653/5,493例(11.9%)、プラセボ群327/2,745例(11.9%)だった(HR:0.97、95.6%CI:0.85~1.11、非劣性のp<0.001)。 心血管死または心不全による入院の発生は、ertugliflozin群444/5,499例(8.1%)、プラセボ群250/2,747(9.1%)だった(HR:0.88、95.8%CI:0.75~1.03、優越性のp=0.11)。 また、心血管死に関するHRは0.92(95.8%CI:0.77~1.11)、腎疾患死、腎代替療法、またはベースラインからの血清クレアチニン値の2倍化のいずれかの発生に関するHRは0.81(95.8%CI:0.63~1.04)だった。 肢切断実施は、ertugliflozin 5mg群54例(2.0%)、同15mg群57例(2.1%)、プラセボ群45例(1.6%)だった。

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早期TN乳がんの術前療法、アテゾリズマブ+化療でpCR改善(IMpassion031)/Lancet

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する術前補助療法として、アテゾリズマブ+化学療法(nab-パクリタキセル/ドキソルビシン/シクロホスファミド)の併用は、プラセボ+化学療法と比較して病理学的完全奏効(pCR)率を有意に改善し、忍容性は良好であることが明らかとなった。米国・ダナ・ファーバー/ブリガム&ウィメンズがんセンターのElizabeth A. Mittendorf氏らが、13ヵ国75施設で実施された国際共同無作為化二重盲検第III相試験「IMpassion031試験」の結果を報告した。早期TNBCに対する術前補助療法では、アントラサイクリン/シクロホスファミドやタキサンベースの化学療法が推奨されている。一方、PD-L1陽性の転移があるTNBC患者では、アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル併用が無増悪生存期間や全生存期間の改善に有効であることが、IMpassion130試験で示されていた。Lancet誌オンライン版2020年9月20日号掲載の報告。化学療法へのアテゾリズマブ追加の有効性をプラセボと比較 IMpassion031試験の対象は、未治療で組織学的に確認されたStageII~IIIのTNBC患者(18歳以上)で、化学療法+アテゾリズマブ(840mg、2週間隔、静注)群または化学療法+プラセボ群に、ステージ(IIまたはIII)とPD-L1発現(<1%または≧1%)で層別化して1対1の割合で無作為に割り付けた。いずれも、nab-パクリタキセル(125mg/m2、毎週、静注)と併用投与を12週間行った後、ドキソルビシン(60mg/m2、2週間隔、静注)およびシクロホスファミド(600mg/m2、2週間隔、静注)との併用投与を8週間行い、手術を実施した。手術後は、アテゾリズマブ群ではアテゾリズマブ1,200mgを3週間隔(静注)で11回投与し、プラセボ群は経過観察を継続した。 主要評価項目は、無作為化された全患者(ITT集団)およびPD-L1陽性患者(PD-L1発現≧1%)におけるpCRとした。 2017年7月7日~2019年9月24日の期間に、333例が無作為に割り付けられた(アテゾリズマブ群165例、プラセボ群168例)。カットオフ日(2020年4月3日)時点で、追跡期間中央値はアテゾリズマブ群が20.6ヵ月(IQR:8.7~24.9)、プラセボ群が19.8ヵ月(IQR:8.1~24.5)であった。アテゾリズマブ+化学療法で、PD-L1発現状態にかかわらずpCR率が17%有意に増加 ITT集団におけるpCR率は、アテゾリズマブ群が58%(95/165例)(95%信頼区間[CI]:50~65%)、プラセボ群が41%(69/168例)(95%CI:34~49%)で、アテゾリズマブ群が有意に高かった(群間差:17%、95%CI:6~27、片側p=0.0044[有意水準p<0.0184])。 PD-L1陽性患者におけるpCR率は、アテゾリズマブ群が69%(53/77例)(95%CI:57~79%)、プラセボ群が49%(37/75例)(95%CI:38~61%)であった(群間差:20%、95%CI:4~35%、片側p=0.021[有意水準p<0.0184])。 術前補助療法期において、Grade3/4の有害事象は両群で差はなく、治療関連の重篤有害事象はアテゾリズマブ群37例(23%)、プラセボ群26例(16%)で認められた。両群で各1例、Grade5の有害事象である死亡(アテゾリズマブ群:交通事故、プラセボ群:肺炎、ともに治療とは関連しない)が報告された。

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COVID-19急性呼吸不全への副腎皮質ステロイド薬投与について(解説:小林英夫氏)-1289

 本論文はCOVID-19による急性呼吸不全症例に対するヒドロコルチゾンの治療効果を検討する目的で開始されたが、デキサメタゾンによるCOVID-19死亡率抑制効果が国際的に認証されたため、中断となった報告である。副腎皮質ステロイド薬の種類により治療効果に大きく差が生じる可能性は低いだろうと予想されるので、試験中止は妥当な選択であったのかもしれない。中断試験であるのでその結果解釈にバイアスが大きいが、プラセボ群との間で治療効果に有意差を検出できなかった点、投与群中約4割で効果を認めなかった点、には留意しておくべきであろう。副腎皮質ステロイド薬が治療効果をもたらさない症例が存在することはデキサメタゾンでも同様である。 2020年9月2日、世界保健機関(WHO)はCOVID-19重症患者を対象に、副腎皮質ステロイド薬の使用を推奨する治療ガイダンスを公表した。同じく厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部による『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第3版』でもデキサメタゾンに予後改善効果がある論文を引用している。副腎皮質ステロイド薬による効果発現機序については、抗炎症作用説、サイトカインストーム抑制説や免疫応答改善説などがみられるが、懐疑論もあり、いまだ完全に解決できていないのが実情である。ただし、実臨床で使用することへの反論の声は少ない。同時に、WHOを含めた推奨意見の対象は重症呼吸不全症例であり、非重症者への効果は不明で推奨されていないことも認識しておきたい。また、投与薬剤・量・方法も何が最善なのか明確ではない。デキサメタゾンの使用報告が先行したため推奨対象となっているが、ほかの副腎皮質ステロイド薬との優劣やパルス療法の妥当性も不明である。ちなみに、本邦のパルス療法はメチルプレドニゾロン1,000mg/回/日を3日間投与とするのが一般的だが、米国の呼吸器教科書では250mg/1回を1日4回、3日間投与となっている。 本論文はJAMA誌2020年9月2日online号の掲載で、この号にはCOVID-19への副腎皮質ステロイド効果について計3本の論文とそれらへの論評が掲載されている。本論文単独を参照されるよりも、論評を読まれることをお勧めさせていただく。

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外来は患者1人につき30分以上でも大忙し!その訳は…【臨床留学通信 from NY】第12回

第12回:外来は患者1人につき30分以上でも大忙し!その訳は…2018年7月からの1年間、私は米国研修医としてフレッシュマンの一員となり、内科レジデントだったものの、特別にインターンと呼ばれ、2年目ないし3年目の下に配属されました。これが日本語だったら問題ないのですが、英語なのでひと際苦労しました。薬1つとってみても、名前が違う上に量も異なります。保険や医療の仕組みも日本と大きく異なるので、当初はかなり苦労しました。勤務シフトは、主に2週間ごとのローテーションで、52週のうち2週×2回のまとまったバケーションをもらえるのは米国の働き方の良い点です。 慣れるまでが一苦労!米国特有の勤務ローテーションとカルテ書き病棟はチーム制で、1人のアテンディング(指導医)、レジデント(2~3年目、1人)、インターン(2~3人)で構成されます。1日の流れは、朝6時ごろに病院に出勤し、5~10人程度を診察。7時ごろにレジデントが出勤してきた段階で異常があれば、それをディスカッションします。そして、8時半ごろアテンディングがやって来て、計20人弱の患者の状態をディスカッションし(そのためにプレゼン準備が必要)、時にはベッドサイドに赴き皆で診察します(昨今のCOVIDの影響で、ベッドサイドはかなり減りました)。内科的疾患の中でコンサルタントが必要であれば、その必要性についても検討し、感染症内科、腎臓内科、循環器内科、消化器内科、神経内科や外科系の科にコンサルトします(日本と違いホスピタリストと呼ばれる総合内科医がPrimaryで患者の診療を行い、必要に応じて専門医にコンサルタントする仕組みです)。例えば、循環器内科医はCCUの患者以外は主だって診ることがなく、総合内科医側で診療、判断ができる心不全、NSTEMIなどは、コンサルトなく治療し、退院させます。米国において大変なのが、カルテの作成です。診療費用は、カルテを基に算出されるためしっかり書かなければならず、米国のレジデントは、PCに向かう時間が長いことが問題視されています。しかも、ここニューヨークは患者層も多種多様な人種のるつぼです。とくにダウンタウンは、ヒスパニック系や中国系の患者さんが多く、通訳を介して診療することもあります。また、病棟とは別にICUローテーションもあるのですが、朝5時ごろに病院に行き、複雑な背景を持つ患者についてプレゼンするための準備が必要であり、かなり大変でした。ただ、それが週7日間ではなく、レジデントの場合は週80時間の上限が設けられており、トータルでは日本の研修医より労働時間が少ないと思います。私が勤務するMount Sinai Beth Israelは、経営を合理化するためのダウンサイジングを進めており、腫瘍疾患を診る診療科などがありません。そのため、私は同じマンハッタンにあってMount Sinai系列の大学病院であるMount Sinai Hospitalで血液腫瘍系のローテーションも経験しました。また、選択ローテーションの際に、臨床研究のため同院に出入りすることもできます。関連病院は経営母体も同じであり、レジデントが柔軟に行き来できるのも、米国の特長のひとつかもしれません。外来ローテーションは、病棟やICUとは異って、いわゆる「9時5時勤務」であり、インターンにとっては体力回復できるありがたい期間です。アテンディングの指導の下ですが、プライマリケア外来で主体的に患者を診る仕組みで、そこは日本と異なる点かと思います。外来も患者1人につき30~40分の枠が取られていますが、その中で複雑な背景について問診で聴き、カルテ記入、さまざまなドキュメントの作成業務があり、実際それくらい、もしくはそれ以上かかってしまうので、そこは米国の医療現場の問題点かもしれません。もっとも大変なローテーションはNight Floatです。夜8時から朝8時まで週6日間働くという鬼のようなシフトで、昼夜逆転といっても、実際昼間はあまりよく眠れない上、夜もなかなか集中しづらい状況です。ただし、ほぼ1人のレジデントが24時間働かなくて済むよう調整・管理は厳格に行われており、36時間労働が多い日本とはかなり違うと言えるでしょう。こうした米国での働き方は、膨大な医者の数かつ高い医療費によって支えられているのだと日々実感しています。ColumnCOVID-19の影響は、当然ながら循環器領域だけに限りません。COVID−19における研究を多岐にわたり推し進めていますが、オリジナルデータによるコホート研究と論文化されたデータをまとめるSystematic review and/or meta-analysisを主にやっています。特にSystematic review and/or meta-analysisの手法は渡米してから学んだもので (といっても、日本の静岡医療センターにおられる高木 寿人先生にご指導いただいています1))、その手法を循環器領域だけでなく、他科領域でも活用し、COVID-19の全体像を世の中に提示できるよう日々勉強中です2-4)。1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=hisato+takagi+kuno+toshiki&sort=date&size=1002)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=toshiki+kuno+covid&sort=date3)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32725955/4)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32797198/

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