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腹壁ヘルニア修復術、ロボット手術は入院日数短縮せず/BMJ

 腹壁ヘルニアの修復術では、ロボット手術と腹腔鏡手術で術後90日までの入院日数に差はなく、ロボット手術は手術時間が2倍近く長く、医療費が有意に高額であることが、米国・McGovern Medical School at UTHealthのOscar A. Olavarria氏らの検討で示された。研究の詳細は、BMJ誌2020年7月14日号に掲載された。腹壁ヘルニア修復術におけるロボット手術と腹腔鏡手術を比較した、米国のデータベースを用いた後ろ向き研究では、術後の入院期間はロボット手術で短く、臨床アウトカムに差はないと報告されている。これらの知見を裏付けるために、無作為化対照比較試験の実施が望まれていた。入院日数を評価する実践的無作為化対照比較試験 本研究は、米国・ヒューストン市の集学的なヘルニア専門病院が参加した実践的な二重盲検無作為化対照比較試験であり、2018年4月~2019年2月の期間に患者登録が行われた(Intuitive Surgicalから研究者主導の助成金による支援を受けた)。 登録期間中に、連続的に受診した患者のうち、待機的な低侵襲ヘルニア修復術が適切と判定された124例を対象とした。被験者は、腹壁ヘルニア修復術としてロボット手術を受ける群(65例)または腹腔鏡手術を受ける群(59例)に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、術後90日までの入院日数とした。副次アウトカムには、救急診療部の受診、手術室入室時間、創部合併症、ヘルニア再発、再手術、腹壁QOL、費用が含まれた。手術時間:141分vs.77分、費用差:2,767米ドル ベースラインの全体(124例)の平均年齢は49.1(SD 13.1)歳で、85例(69%)が女性であった。ヒスパニック系が77%、アフリカ系米国人が12%、白人が8%で、平均BMIは32.1、肥満者(BMI>30)が69%を占めた。腹部手術歴は81%に認められ、瘢痕ヘルニアが81%、再発例は19%だった。123例(99%)が、90日のフォローアップを完了した。 術後90日までの入院日数(術後入院と再入院の合計)は両群とも0日であり、有意な差は認められなかった(p=0.82)。 副次アウトカムのうち、救急診療部の受診(ロボット手術群11% vs.腹腔鏡手術群9%)、創部合併症(20% vs.19%)、ヘルニア再発(0% vs.0%)、再手術(0% vs.2%)については、両群間に有意な差はなかった。 一方、手術室入室時間は、ロボット手術群が141(SD 56)分と、腹腔鏡手術群の77(37)分に比べ有意に長かった(平均差:62.89分、95%信頼区間[CI]:45.75~80.01、p≦0.001)。 費用は、ロボット手術群が1万5,865米ドル(1万2,746ポンド、1万4,125ユーロ)であり、腹腔鏡手術群の1万2,955米ドルと比較して高額であった(費用比:1.21、95%CI:1.07~1.38、補正後絶対費用群間差:2,767米ドル、95%CI:910~4,626、p=0.004)。 ロボット手術群では、術中に不注意による腸切開が2件認められたが、腹腔鏡手術群では発生しなかった。 modified Activity Assessment Scale(mAAS、1[不良]~100[完全]点、臨床的に意義のある最小変化量[MCID]:7点)による腹壁QOLスコア(中央値)は、ベースラインから1ヵ月後までに、ロボット手術群で3点改善し、腹腔鏡手術群では15点の改善が得られた(群間差:11.00点、95%CI:-0.33~21.08、p=0.06)。 著者は、「ロボット手術による腹壁ヘルニア修復術の広範な採用が推奨されるようになる前に、より大規模な多施設共同試験を行う必要がある」としている。

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ダパグリフロジン、2型DM合併問わずCKD患者に有益/AstraZeneca

 AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ)は、同社が行ったダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の第III相DAPA-CKD試験の結果を発表した。プラセボと比較し主要評価項目で腎保護を達成 慢性腎臓病(CKD)は、腎機能が低下することにより起こる重篤な進行性の疾患。最も一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎で、重篤な状態になると腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする末期腎不全(ESKD)となる。全世界で約7億人の患者が推定されている。 今回結果が報告されたDAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無を問わず、CKDのステージ2~4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例のCKD患者を対象に、ダパグリフロジン10mg投与による効果と安全性をプラセボと比較検討した国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験。 発表によるとダパグリフロジンは、成人CKD患者における、腎機能の悪化または死亡に関する主要複合評価項目(推定糸球体ろ過量[eGFR]の50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、腎不全による死亡のいずれかの発生と定義)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある効果を示し、2型糖尿病合併の有無にかかわらずCKD患者において、すべての副次的評価項目も達成した。 なお、安全性および忍容性プロファイルは、本剤の確立された安全性プロファイルと一貫。ダパグリフロジンの概要 ダパグリフロジンは、経口1日1回投与で単剤療法および併用療法の一環として使われる、ファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤。成人2型糖尿病患者の食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応とし、体重減少と血圧低下の副次的作用を有している。2型糖尿病患者を対象とする“DECARE-TIMI58心血管アウトカム試験”では、標準治療への追加療法で、プラセボと比較し、心不全による入院または心血管死の複合評価項目におけるリスクを低下した。 さらに、2020年5月、ダパグロフロジンは、米国において2型糖尿病合併の有無に関わらず左室駆出率が低下した(HFrEF)、成人心不全患者(NYHA心機能分類:IIからIV)の心血管死および心不全による入院のリスク低下に対する承認を取得した。 なお、わが国で承認されているダパグロフロジンの適応症は「2型糖尿病」および「1型糖尿病」。2020年8月現在で慢性腎臓病の適応を取得している国および地域はない。 現在、心不全患者を対象とした“DELIVER試験(左室駆出率が保持された心不全:HFpEF)”および“DETERMINE試験(HFrEFおよびHFpEF)”も進行中であり、同社では、「本試験は2型糖尿病合併の有無にかかわらず、慢性腎臓病患者において生存期間の改善を含む試験開始当初の想定をはるかに上回る有効性を示した最初の試験。この結果を今後、世界の科学コミュニティや保健当局と共有してきたい」と期待を寄せている。

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COVID-19抗体検査の診断精度(解説:小金丸博氏)-1266

 COVID-19の感染拡大を制御するためには、迅速かつ精度の高い診断検査が求められる。COVID-19の診断検査には主にPCR検査、抗原検査、抗体検査があるが、今回、抗体検査の診断精度をシステマティックレビューとメタ解析により検証した研究がBMJ誌に報告された。本研究の要点は、(1)抗体検査法の感度は検査法によって差があること、(2)市販の検査キットは施設内検査(in-house assay)と比べて感度が低いこと、(3)抗体検査の感度は発症後1週間以内で低く発症後3週以上で高いこと、の3点である。ELISA法の感度は84.3%(95%信頼区間:75.6%~90.9%)、LFIA法は66.0%(同:49.3%~79.3%)、CLIA法では97.8%(同:46.2%~100%)だった。プール解析した特異度は、ELISA法が97.6%、LFIA法は96.6%であり、CLIA法はプール化に適さず評価できなかった。LFIA法の感度は他の検査法より低く、特異度に関しては大きな差は認めなかった。診断精度は検査法によって差があるため、抗体検査の結果を評価する際にはどの検査法を用いたかを考慮する必要がある。 いずれの検査法も検査キットが市販されているが、それらの感度は施設内検査に比べて低かった。とくにLFIA法は、市販キットの感度が65.0%だったのに対して市販されていない検査では88.2%であり、大きな差を認めた。これらの結果から、市販の抗体検査キットを用いたpoint-of-care test(POCT:臨床現場即時検査)は現時点では推奨できないと考察されている。 検体採取のタイミングも抗体検査の結果を左右する要因となる。発症後3週以上の感度が69.9~98.9%であったのに対して、発症から1週間以内では13.4~50.3%と低かった。抗体検査は感染急性期の診断には不向きであり、感染の既往を判定する疫学調査などに用いるのが妥当と考える。 抗体検査を含め、COVID-19を診断するための検査が急速に普及しており、今後も診断精度を検証した研究が報告されることが予想される。それぞれの検査方法のメリット、デメリットを考慮し、目的に合わせて適切な時期に適切な検査を選択することが求められる。

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ねころんで読める救急患者のみかた ナース・救急救命士・研修医のための診療とケア

さらっと読めて、マンガで笑えて、救急ですぐに使える知識が身に付くお得感満載救急×教育に情熱を注ぐDr.坂本ワールドへようこそ!「認知症かと思ったら意識障害だった! って経験はありますか?」「頭部打撲の患者さん、帰宅させていいのか迷ったことはないですか?」本書では、救急現場でのあるある患者さんについて、指導医と研修医と看護師の会話でリアルにそのシーンを提示。「ショックは血圧で判断するな!」などバイタルサインのキホンから、病歴聴取のポイント、身体所見の知識までぎゅっとまとめて解説しています。楽しい4コママンガ付きで、ポイントが自然と頭と心に残る“救急患者のみかた”がわかるエッセンスがつまっています。救急にかかわる医療者がこれを読まないなんて、もったいないですよ!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFの読み込みに、お時間をいただくことがあります。あらかじめご容赦ください。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFの読み込みに、お時間をいただくことがあります。あらかじめご容赦ください。    ねころんで読める救急患者のみかたナース・救急救命士・研修医のための診療とケア定価2,000円 + 税判型A5判頁数160頁発行2020年6月著者坂本 壮(総合病院国保旭中央病院 救急救命科医長/臨床研修副センター長)Amazonでご購入の場合はこちら

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M-1グランプリ(続編・その2)【ツッコミから学ぶこれからのセラピーとは?】Part 1

今回のキーワード文化心理学主流秩序上下関係裏メッセージ「セラピーハラスメント」「癒畜」その1では、なぜツッコミするのかという疑問にお答えしました。それでは、なぜツッコミは日本にあって欧米にないのでしょうか? そして、ツッコミから何を学べるでしょうか? その2では、ツッコミを歴史的に、そして文化心理学的に掘り下げ、これからのセラピーのあり方を一緒に考えていきましょう。なぜツッコミは「ある」の?それでは、そもそも、なぜツッコミは「ある」のでしょうか? すでに笑う心理の起源については、前回(M-1グランプリ【実はボケってメンタルの症状!? 逆にネタから症状を知ろう!】)で進化心理学的に探りました。さらに、ここからは、ツッコミの起源を、3つの段階に分けて、歴史的に探ってみましょう。(1)笑い話約20万年前に現生人類(ホモ・サピエンス)が誕生し、喉の進化によって、複雑な発声ができるようになり、言葉が誕生しました。やがて、生活の知恵や戒めを神話などのストーリーとして次世代に語り継ぎました。紀元前8世紀以降に、宗教的祭祀から演劇が誕生し、古代ギリシアでは悲劇と並んで喜劇も発展しました。これが、世界の笑い話の起源と言われています。一方、日本では、8世紀にできた古事記に、女神が全裸で滑稽な踊りを披露するという記載が残っており、これが日本の笑い話の起源と言われています。1つ目の段階は、笑い話です。この段階で、笑いの構造ができましたが、まだはっきりとしたツッコミは存在しません。ツッコミは見る人や読む人に委ねられています。(2)落語14世紀以降に、中世ヨーロッパの王様が小人症、奇形、知的障害などの障害者を魔除け目的に抱えるようになりました。彼らは、その特性から何をしても何を言っても許される存在でした。逆に、彼らを演じることで、民衆の真実を笑いに包んでうまく王様に伝える人が現れるようになりました。これが、ピエロの起源と考えられます。一方、日本では、16世紀の室町時代に、おとぎ衆と呼ばれる人たちが、戦国大名に仕え、滑稽なオチのつく世情を伝えるようになりました。これが、落語の起源と言われています。2つ目は、落語です。この段階で、ピエロやおとぎ衆がボケとツッコミを同時に演じています。(3)漫才20世紀以降に、欧米では、1人舞台(スタンダップ・コメディ)やお笑いドラマ(シチュエーション・コメディ)が主流になっていきました。なお、20世紀前半のアメリカでは、一時期にコンビによる漫才(ダブルアクト)が流行りました。しかし、現在は廃れています。一方、日本では、江戸時代以降、特に商業が栄えた大阪では笑い(同調)を商売に利用するようになりました(商人文化)。また、寄席も誕生しました。やがて、昭和初期以降に、おどけ役(ボケ)が鼓を打ち、語り部(ツッコミ)が歌を歌いながら舞うコンビによる祝福芸が広がりました。これが、漫才の起源です。3つ目は、まさに漫才です。この段階で、日本では、ボケとツッコミの役割が確立しました。なぜツッコミは「ある」の?これまで、なぜツッコミは「ある」のかという疑問を歴史的に探りました。しかし、厳密には、ツッコミは日本独特のものです。一方の欧米には、はっきりとしたツッコミがないです。なぜツッコミは日本にあって欧米にないのでしょうか? その理由を文化心理学的に3つ挙げてみましょう。(1)「なんでやねん」と見抜く―主流秩序1つ目は、日本は主流秩序がはっきりしていることです。主流秩序とは、集団主義によって「こうあるべき」という多数派の価値観です(均一性)。その価値観から少しでも外れた振る舞いは、すべてボケ(異常)として「なんでやねん」と鋭く見抜くツッコミをすることで、多くの人が気付かされて共感します。「あるあるネタ」とは、まさにその共感です。逆に言えば、政治などの社会派ネタは、政権という主流秩序へのツッコミ(批判)になるため、共感は得られず、ほとんどお笑いネタとして成り立たないというわけです。一方、欧米は、個人主義によって「人それぞれ」という多様性の価値観です。移民政策による多民族国家が多く、人種や宗教などの価値観もさまざまです。よって、そもそも多数派(主流秩序)が形成しにくく、ツッコミをしても必ずしも多くの人が共感するわけではないので、ツッコミをする意味がないというわけです。代わりに、人種、宗教、階層、政党、セクシャリティなどのそれぞれのターゲット層に狙いを絞った社会派ネタや下ネタは多いです。このように、欧米のお笑い(コメディ)は、細分化されて成り立っています。(2)「あほか」と見下す―上下関係2つ目は、日本は上下関係がはっきりしていることです。上下関係とは、集団主義によって家庭での親子や兄弟、職場での上司・部下や師匠・弟子、学校での先輩・後輩という支配服従の関係を重んじる価値観です。その価値観に守られているため、「あほか」と見下すツッコミをしても、「愛がある」「いじりであっていじめではない」という言い訳が成り立ちます。一方、欧米は、個人主義によって対等関係の価値観です。よって、ツッコミは、「偉そうだ」「ハラスメントだ」「かわいそうだ」という反感を買ってしまうので、ツッコミは逆効果になるというわけです。(3)「もうええわ」と見限る―裏メッセージ3つ目は、日本は裏メッセージが多いことです。裏メッセージとは、集団主義によって以心伝心しているからこそ否定的な表のメッセージを発しても真逆の肯定的な本心が伝わるという価値観です(ダブルバインド)。その価値観によって、たとえ「もうええわ」と相手を突き放して見限るツッコミをしても、それは本心ではないということを多くの人が理解できて、緊張緩和から共感する笑いが生まれます。先ほどの「あほか」というツッコミも、この裏メッセージとしてとらえることもできます。一方、欧米は、個人主義によって表メッセージのみの価値観です。はっきりと言ったことのみがそのまま伝わります。逆に言えば、曖昧な表現や、否定表現に裏メッセージなどを込めても通じません。よって、「おもしろくていいね」という肯定的なツッコミをするとしても、それはそもそも観客に委ねることができるので、ツッコミは邪魔になるというわけです。次のページへ >>

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M-1グランプリ(続編・その2)【ツッコミから学ぶこれからのセラピーとは?】Part 2

ツッコミから何を学べる?―セラピーの二面性日本のツッコミのユニークさについて、文化心理学的に考えました。ただし、現代の日本社会の変化と同じように、ツッコミも個人主義化してきています。そして、より受け入れられるスタイルに変化しています。この変化は、セラピーも同じです。この点を踏まえて、ここから、ツッコミのスタイルと同じようにセラピーのスタイルを3つに分けて、それぞれのセラピーのプラス面とマイナス面を整理してみましょう。(1)教えるスタイルのセラピーa. プラス面このセラピーのプラス面は、望ましい行動が増えることです。例えば、行動療法は、特に子どもや発達障害の人にルールを教えます。心理教育は、病気へのかかわり方を教えます。アサーションはコミュニケーションの仕方を教えます。これは、まさに教師と生徒の関係です。b. マイナス面一方で、そのマイナス面は、クライエントが受け身で依存的になることです。例えば、メンタル症状の原因を掘り下げるセラピーでは、そのおおもとを過去の親との関係に結び付けることが多いです。昨今よく耳にする「毒親」という言葉が、まさにこれです。確かに、親子関係を見つめ直すきっかけをつくることはあります。しかし、メンタル症状の原因は、複数の要因が複雑に絡み合っています。親との関係は、要因の1つであってもすべてではないです。そもそも人間の心は、原因が分かれば直る単純な機械ではないです。もっともらしい「犯人」(スケープゴート)が見つかり、分かった気にはなりますが、そうなることで「こんなにつらいのはすべて親のせいだ」と決め付けてしまい、親に責任転嫁して、自分で症状を良くしていこうとはしなくなるリスクがあります。もう1つのマイナス面として、セラピストが独りよがりで権威的になることです。例えば、教えるスタイルのセラピストの中には「泣かしてなんぼ」と言う人がいます。確かに、泣いてしまったクライエントを受け止めることはよくあります。これは、セラピーの基本です。しかし、大の大人を泣くように仕向けるやり方は明らかに子ども扱いしており、一般的なコミュニケーションでは、はばかられます。にもかかわらず、セラピストは「これで心の中のわだかまりを吐き出してすっきりしたはず」「落ち着かなくなったのは、これから良くなる証拠」と解釈します。「カタルシス(浄化)」というワードを都合良く使い、治療的な意義を見いだします。逆に、「泣かないのは、無意識にセラピーに『抵抗』している」と解釈します。こうして、セラピストは、救世主のような気分になり、その万能感を得るために、ますます独りよがりになっていくリスクがあります。セラピストは決め付けたい、クライエントは決めてもらいたいというそれぞれの心理が根っこある場合は、彼らの相性は抜群です。これは、まさに教祖と信者の関係です。時代の流れから、こてこてのどつき漫才が笑えなくなってきているのと同じように、こてこての教えるスタイルのセラピーは曲がり角に来ています。今や、医師が説教するのが「ドクターハラスメント」になるのと同じように、教えるスタイルのセラピーは、「セラピーハラスメント」になるリスクがあると言えるでしょう。(2)支えるスタイルのセラピーa. プラス面このセラピーのプラス面は、寄り添って安心感があることです。例えば、それが支持療法や集団療法であることをすでにご説明しました。また、精神科デイケアや認知症デイケアなども基本的にそうです。これは、親と子どもの関係です。b. マイナス面一方で、そのマイナス面は、クライエントが居着いて幼くなることです。例えば、このセラピーでは、決して否定されないので、居心地が良いです。確かに、それだけで自尊心が安定して、症状が良くなることはあります。しかし、同時に、居心地が良いことに味を占めたり、セラピーを受けていること自体に満足して、居着いてしまうおそれがあります。すると、セラピーは、症状を良くする手段ではなく、目的そのものになってしまいます。これは、結婚相談所や英会話教室にも当てはまります。そこに所属していること自体で安心してしまうのです。もう1つのマイナス面は、居着くクライエントをセラピストが抱え込んで飼い馴らすようになることです。例えば、それが「居場所ビジネス」です。セラピーが「治療」という衣を着たビジネスに成り下がるリスクがあります。もちろん、重い精神障害や認知症の人には、この「居場所」が必要です。しかし、セラピストがもともと一時的に弱っていただけの一般のクライエントを金づるとしてセラピーを終了させないように仕向けていたとしたら、どうでしょうか? これは、もはや飼い主とペットの関係です。家畜、社畜ならぬ、「癒畜」(ゆちく)と言えるでしょう。(3)考えさせるスタイルのセラピーa. プラス面このセラピーのプラス面は、自己成長を促すことです。例えば、それが認知行動療法であることをすでにご説明しました。また、ブリーフセラピーもそうです。ブリーフセラピーとは、できるだけ前向きに考えさせることによって短期間(=ブリーフ)で困りごとを解決するセラピーです。これは、大人と大人の関係です。なお、このブリーフセラピーは、大人と大人の関係でありながら(むしろ大人と大人の関係だからこそ)、スクールカウンセリングでよく行われます。一方で、一般のカウンセリングルームではあまり広がっていないようです。その理由は、スクールカウンセリングは、生徒(クライエント)が卒業するまでというカウンセリングの期限があらかじめ決まっていること、カウンセラーの報酬が固定給であることが考えられます。一方の一般カウンセリングは、期限がないこと、歩合給であるため回数を重ねた方が儲かることから、ビジネスの観点に立つとブリーフセラピーが好まれないことが分かるでしょう。b. マイナス面一方で、そのマイナス面は、クライエントがもともと受け身であったり、幼い場合は効果がないことです。言い換えれば、自分で考える意思や能力がない場合は、考えさせることができないというわけです。この場合は、先ほどにも触れた教えるスタイルや支えるスタイルのセラピーが有効でしょう。 これからのセラピーのあり方とは?ツッコミのスタイルに重ね合わせながら、セラピーを分類し、そのプラス面とマイナス面を整理しました。セラピーは、これまで集団主義と相性の良い教えるスタイルと支えるスタイルでした。これからは個人主義的な考えさせるスタイルにシフトしていくでしょう。そのために必要なセラピーのあり方とは何でしょうか? それは、クライエントにセラピーのゴールを考えさせることです。どうなるのがゴールなのか? いつまでにゴールしたいのか? ゴールのために何を自分はするのか? このゴール設定は、主体性を促します。一方のセラピストのゴールは何でしょうか? それは、クライエントが自分で考えることができるようになること、つまりセルフセラピーをするようになり、セラピーを必要としなくなることでしょう。この覚悟こそ、セラピーだけでなく、家庭での子育て、学校での教育、職場でのリーダーシップにも通じる心のあり方と言えるのではないでしょうか?<< 前のページへ■関連記事M-1グランプリ【実はボケってメンタルの症状!? 逆にネタから症状を知ろう!】Part 13年B組金八先生(前編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 1

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小児期の神経発達症に伴う入眠困難を改善する「メラトベル顆粒小児用0.2%」【下平博士のDIノート】第55回

小児期の神経発達症に伴う入眠困難を改善する「メラトベル顆粒小児用0.2%」今回は、メラトニン受容体作動性入眠改善薬「メラトニン(商品名:メラトベル顆粒小児用0.2%、製造販売元:ノーベルファーマ)」を紹介します。本剤は、小児期の神経発達症に伴う入眠困難、睡眠相後退型などの睡眠障害の改善が期待されています。<効能・効果>本剤は、小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善の適応で、2020年3月25日に承認され、2020年6月23日より発売されています。<用法・用量>通常、小児にはメラトニンとして1日1回1mgを就寝前に経口投与します。症状により、1日1回4mgを超えない範囲で適宜増減することができますが、増量する際は睡眠状況を観察しながら1週間以上の間隔を空けて行います。なお、投与開始3ヵ月後をめどに入眠困難に対する有効性および安全性を評価し、有効性を認めない場合には投与中止を考慮します。<安全性>国内で実施された臨床試験において、安全性評価対象308例中32例(10.4%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、傾眠13例(4.2%)、頭痛8例(2.6%)、肝機能検査値上昇3例(1.0%)などでした(承認時)。<患者さんへの指導例>1.この薬は、体内時計のリズムを整え、自然な睡眠を促すことで寝つきを改善します。2.1日1回、就寝直前に飲んでください。食事と同時や食事のすぐ後に飲むと、効果が弱くなる可能性があります。就寝後に起きて作業などを行う必要があるときは飲まないでください。3.昼間の強い眠気、めまいなどが現れることがあるので、高いところに登ったり、自転車などに乗ったりする際は注意しましょう。普段と違う様子が認められた場合は医師・薬剤師に相談してください。4.良い睡眠を取るために、毎日できるだけ同じ時間に就寝するなど、規則正しく生活しましょう。眠りやすくするために、日中の活動量を高めることなども有効です。<Shimo's eyes>本剤は、わが国で初めて、内因性ホルモンと同一の化学構造式を持つメラトニンを有効成分とした入眠改善薬です。メラトニン受容体に作用する既存薬剤としてはラメルテオン(商品名:ロゼレム)がありますが、小児での安全性は確認されていません。本剤は、小児期の自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)などを含む神経発達症の患児に用いることができます。眠れないことによって、「こだわりが強い」「落ち着きがない」「不注意」などの発達特性が強まり、日常生活に支障を来たしている場合などが本剤の適応の典型例と考えられます。相互作用については、抗うつ薬のフルボキサミン(同:デプロメール、ルボックス)を併用すると、本剤の主要な代謝酵素であるCYP1A2やCYP2C19が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する恐れがあるので併用禁忌となっています。服薬指導では、「朝、日の光を浴びる」「朝ごはんを食べる」「昼間はなるべく体を動かす」「夜は部屋を暗くして早く眠る」など、生活リズムの改善を指導しましょう。カフェインを含む飲料は、眠りを妨げるだけでなく、本剤の作用に影響する場合があるため、寝る前は飲まないようにする必要もあります。また、急に服薬を中止すると、昼間の問題行動や睡眠障害の悪化が生じることがあるため、症状が改善された場合も自己判断で中止せずに必ず相談するように伝えましょう。本剤の登場により、患者さんの睡眠と日常生活が改善されて、ご家族の負担軽減にもつながることが期待されます。参考1)PMDA 添付文書 メラトベル顆粒小児用0.2%

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第19回 COVID-19流行の拡大は小児ではなく無防備な大人が招いている?

5歳未満の幼い小児の上気道の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA量が成人をおよそ10~100倍上回ることを示した試験結果が先週木曜日(7月30日)にJAMA Pediatrics誌に掲載されました1)。試験ではSARS-CoV-2(COVID-19)の感染しやすさは調べられていませんが、著者は幼い小児が一般集団でのCOVID-19流行に加担しうるとの懸念を示しています。しかしその懸念とは対照的に、韓国での最近の試験によると、10~19歳は成人と同様に家族に感染を広げましたが、9歳以下の幼い小児から家族への感染はよりわずかでした2)。他の報告を見ても、バーモント大学の小児感染症医師Benjamin Lee氏とWilliam Raszka氏が先月中旬のPediatrics誌3)で主張している通り、小児から他人にCOVID-19を感染させることは稀なようです。スウェーデンの16歳未満のCOVID-19感染者39人を調べたところ、感染が家族の誰よりも早かった小児はわずか3人(8%;3/39人)のみで小児から家族への感染はほとんどなかったことが示唆されました4)。小児は感染源とはいえず、感染を大人に広げるのではなく大人からより感染していたようです3)。COVID-19で入院した小児10人を調べた中国での試験では、子供から感染したと思われるのは1人のみで残りの9人は大人から感染したものでした5)。フランスでの試験では9歳のCOVID-19男児が接触したクラスメート80人超が調査され、その誰も感染しませんでした6)。オーストラリアのニューサウスウェールズ州でSARS-CoV-2に感染した学生9人と大人(職員)9人に密に接した生徒735人と大人128人を調べたところ感染は2人のみでした7)。そのどちらも大人ではなく生徒であり、1人は低学年生(primary school)で大人から感染し、もう1人は高学年生(high school)で他の学友から感染したと推定されました。それらの報告の通り、小児は恐らく感染し難く滅多に他者に感染させないことを示すデータがこれまでの半年で集まっており、感染食い止め手段を講じずに集う大人こそ流行の拡大を招いているのであって小児はCOVID-19流行の主要な媒介者ではないと上述のRaszka氏は言っています8)。参考1)Heald-Sargent TA, et al. JAMA Pediatr. 2020 July 30. [Epub ahead of print]2)Contact Tracing during Coronavirus Disease Outbreak, South Korea, 20203)Lee B, et al. Pediatrics. 2020 May 26:e2020004879. [Epub ahead of print]4)COVID-19 in Children and the Dynamics of Infection in Families5)Cai J,et al.Clin Infect Dis. 2020 Feb 28. [Epub ahead of print]6)Danis K,et al. Clin Infect Dis. 2020 Jul 28;71:825-832.7)COVID-19 in schools – the experience in NSW8)Kids Rarely Transmit Covid-19, Say UVM Docs in Top Journal / University of Vermont

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周産期うつ病の日本における有病率~メタ解析

 周産期うつ病は、女性で問題となる重大な精神疾患の1つである。しかし、十分なレビューが行われておらず、日本人女性の周産期うつ病の有病率については、一定のコンセンサスが得られていない。獨協医科大学の徳満 敬大氏らは、日本人女性の周産期うつ病の信頼できる有病率の推定を試みた。Annals of General Psychiatry誌2020年6月26日号の報告。産後うつ病の有病率は1ヵ月時点で14.3% 1994~2017年に発表された出産前または産後うつ病の有病率に関するデータを含む研究を、2つのデータベース(PubMed、ICHUSHI)より特定した。公開されたレポートよりデータを抽出した。 周産期うつ病の有病率を推定した主な結果は以下のとおり。・1,317件のアブストラクトをレビューし、301件の文献を特定。研究には123件を含めた。・日本人女性10万8,431例中、1ヵ月時点での産後うつ病の有病率は14.3%であった。・妊娠中のうつ病有病率は、妊娠第2三半期で14.0%、妊娠第3三半期で16.3%であった。・産後うつ病の期間ごとの有病率は以下のとおりであった。 ●産後1ヵ月以内:15.1% ●1~3ヵ月:11.6% ●3~6ヵ月:11.5% ●6~12ヵ月:11.5%・初産婦は、経産婦(2回以上の出産を経験した女性)と比較し、産後うつ病の有病率が有意に上昇した(調整相対リスク:1.76)。 著者らは「出産に伴ううつ病の有病率は、出産が近づくにつれ増加し、産後の時間とともに減少すると考えられる。また、初産婦では産後うつ病リスクが高かったことから、医療従事者は初産婦により注意を払う必要がある」としている。

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併存症のある高齢乳がん患者、補助化学療法と生存は関連するか/JAMA Oncol

 複数の併存疾患を有する高齢乳がん患者において、補助化学療法は生存と関連するのか。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのNina Tamirisa氏らは、併存疾患を有する70歳以上の乳がん患者を対象に、補助化学療法と生存の関連を評価する、後ろ向きの大規模コホート研究を実施した。JAMA Oncology誌オンライン版2020年7月16日号に掲載の報告より。 対象は米国国立がんデータベースに登録された、70歳以上のエストロゲン受容体陽性、ERBB2陰性、Charlson/Deyo併存疾患指数が2または3の乳がん患者。2010年1月1日~2014年12月31日にリンパ節転移陽性乳がんの手術を受けていた。 年齢、併存症スコア、施設タイプ、施設の場所、病理学的TおよびN分類、補助内分泌療法と放射線療法の有無に基づく傾向スコアを用いた、二重ロバストCox比例ハザード回帰モデルにより、補助化学療法と全生存との関連が推定された。データ分析期間は、2018年12月13日~2020年4月28日。 主な結果は以下のとおり。・データベースに含まれる計244万5,870例のうち、1,592例(平均年齢:77.5[SD 5.5]歳、女性:96.9%)が包含基準を満たした。・これらの患者のうち、350例(22.0%)で化学療法が実施され、1,242例(78.0%)では実施されなかった。・化学療法グループと比較して、化学療法なしのグループは若く(平均年齢:74 vs.78歳、p<0.001)、原発腫瘍が大きく(pT3/T4:72例[20.6%] vs.182例 [14.7%]、p = 0.005)、リンパ節転移数が多かった(pN3:75例[21.4%]vs.81例[6.5%]、pN1:182例[52.0%]vs.936例[75.4%]、p<0.001)。・化学療法グループでより多く、他の術後療法も行われていた:内分泌療法(309例 [88.3%] vs.1,025例[82.5%]、p=0.01)、放射線療法(236例[67.4%]vs.540例[43.5%]、p<0.001)。・追跡期間中央値43.1ヵ月(95%CI:39.6~46.5ヵ月)において、化学療法グループと化学療法なしのグループの全生存期間中央値に、統計的有意差はみられなかった(78.9ヵ月[95%CI:78.9ヵ月~NR]vs.62.7ヵ月[95%CI:56.2ヵ月~NR]、p = 0.13)。・潜在的な交絡因子で調整後、化学療法の実施と生存率改善が関連した(ハザード比:0.67、95%CI:0.48~0.93、p=0.02)。 著者らは、複数の併存症を有するリンパ節転移陽性、エストロゲン受容体陽性の高齢乳がん患者において、化学療法の実施が全生存期間の改善に関連することが明らかになったとし、選択バイアスによる調整後これらの結果が得られたことからは、補助化学療法から治療効果が得られる可能性が高い患者を医師が慎重に選択したことが示唆されていると結論づけている。

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潜在性甲状腺機能低下症併発の急性心筋梗塞患者、ホルモン療法は有効か/JAMA

 潜在性甲状腺機能低下症を併発した急性心筋梗塞患者において、甲状腺ホルモン製剤レボチロキシンはプラセボと比較して、52週後の左室駆出率(LVEF)を改善しないことが、英国・ニューカッスル大学のAvais Jabbar氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年7月21日号に掲載された。甲状腺ホルモンは心筋収縮能の調節に重要な役割を果たしており、急性心筋梗塞患者における潜在性甲状腺機能低下症は不良な予後と関連するという。LVEFの改善を評価する無作為化試験 研究グループは、潜在性甲状腺機能低下症を併発した急性心筋梗塞患者におけるレボチロキシン治療の左室機能への効果を評価する目的で、二重盲検無作為化臨床試験を実施した(責任著者は、英国国立衛生研究所[NIHR]の助成を受けた)。 試験には英国の6病院が参加した。2015年2月~2016年12月の期間に、年齢18歳以上、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)または非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)で、潜在性甲状腺機能低下症を発症した患者が登録された。最後の患者のフォローアップは2017年12月であった。 被験者は、レボチロキシンまたはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。レボチロキシン治療は、血清チロトロピン(甲状腺刺激ホルモン[TSH])値0.4~2.5mU/Lを目標に、25μg(カプセル、1日1回)で開始し、52週間の投与が行われた。 主要アウトカムは52週時のLVEFであり、MRIで評価し、年齢、性別、急性心筋梗塞の種類、冠動脈の病変領域、ベースラインのLVEFで補正した。副次アウトカムは、左室容積、梗塞サイズ(60例のサブグループで評価)、有害事象、健康状態・健康関連QOL・うつ病の患者報告アウトカムであった。6つの副次アウトカムにも有意差はない 95例(平均年齢:63.5歳[SD 9.5]、男性:72例[76.6%]、STEMI:65例[69.1%])が登録され、レボチロキシン群に46例、プラセボ群には49例が割り付けられた。ベースラインの全体の血清チロトロピン値中央値は5.7mU/L(四分位範囲:4.8~7.3)、遊離サイロキシン値の平均値は1.14(SD 0.16)ng/dLであった。 52週時の主要アウトカムの評価は85例(89.5%、レボチロキシン群39例、プラセボ群46例)で行われた。ベースラインおよび52週時の平均LVEFは、レボチロキシン群がそれぞれ51.3%および53.8%であったのに対し、プラセボ群ではそれぞれ54.0%および56.1%であり、両群間に有意な差はなかった(補正後群間差:0.76%、95%信頼区間[CI]:-0.93~2.46、p=0.37)。 また、6つの副次アウトカムはいずれも、レボチロキシン群とプラセボ群の間で有意な差は認められなかった。 心血管系の有害事象は、レボチロキシン群で15件(33.3%)、プラセボ群で18件(36.7%)、心血管系の重篤な有害事象は、それぞれ2件(4.4%)および6件(12.2%)で発現した。また、非心血管系の有害事象は、レボチロキシン群で32件(64.4%)、プラセボ群で27件(55.1%)、非心血管系の重篤な有害事象は、それぞれ8件(17.8%)および11件(22.4%)でみられた。 著者は、「これらの知見は、急性心筋梗塞患者における潜在性甲状腺機能低下症の治療を支持しない」としている。

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第18回 医師の勤務実態調査、上位10%の時間外労働時間は年間1,824時間

<先週の動き>1.医師の勤務実態調査、上位10%の時間外労働時間は年間1,824時間2.データヘルス改革、2年間で保健医療情報データの利活用を集中的に推進3.新出生前診断、学会認定なしの半数が美容系クリニック4.「医療的ケア児等医療情報共有システムMEIS(メイス)」が本格的に運用開始5.今年4月までの新型コロナ感染による超過死亡への影響1.医師の勤務実態調査、上位10%の時間外労働時間は年間1,824時間厚生労働省の医政局医師等医療従事者の働き方改革推進室は、7月31日、「令和元年 医師の勤務実態調査」および「医師の働き方改革の地域医療への影響に関する調査」の結果を公表した。「医師の勤務実態調査」は、前回(2016年度)と同様、病院勤務医の長時間労働の実態を把握することが主たる目的で行われ、3,967施設(20.8%)から回答が回収され、医師からのWEB回答を含め、2万382人からの回答が得られた。週4日以上働いている病院勤務医を対象に、兼業先の労働時間も含めたデータ調査が行われた。今回、宿日直許可を取得した医療機関に勤務する医師において、宿日直中の待機時間を労働時間から除外しているが、上位10%の時間外労働時間は、前回の年間1,860時間と比較して若干改善傾向が見られるものの、年間1,824時間と、長時間労働の実態が明らかとなった。また「医師の働き方改革の地域医療への影響に関する調査」は、2024年4月に時間外労働の上限規制(年960時間)が適用されることを見据えて、(1)大学医局から関連病院への医師派遣などに影響があるか、(2)副業・兼業に該当する関連病院における勤務に影響があるかなど、働き方改革による地域医療提供体制への影響について調査したもの。地方大学と都市部に近い大学の消化器内科・消化器外科・産科婦人科、救急科・循環器内科など、計6診療科の協力を得て調査を行い、さらに調査結果をもとに、各大学の医局教授や医局長、大学病院の管理者、当該大学が所在する都道府県庁の医療行政担当者などにヒアリングが実施された。大学病院で働く医師の時間外・休日労働時間が960時間/年以内であっても、兼務先の労働時間を通算すると960時間/年を超過する医師が多く、勤務医の外勤によって維持されていた地域病院の医療体制が危惧される。(参考)「令和元年 医師の勤務実態調査」及び「医師の働き方改革の地域医療への影響に関する調査」の結果の公表について(厚労省)2.データヘルス改革、2年間で保健医療情報データの利活用を集中的に推進厚労省は、7月30日、第7回データヘルス改革推進本部を開催した。中では、オンライン資格確認システムやマイナンバーなどを活用しつつ、2021年に必要な法制上の対応などを行った上で、2022年度中に運用開始を目指し、「新たな日常にも対応したデータヘルスの集中改革プランについて」が議論された。これまで、健康保険データや特定健診データの利活用のために、情報基盤整備を進めてきたが、今後2年間に改革をさらに進め、電子処方箋の仕組み構築のほか、患者の同意のもと、全国の医療機関が患者の医療情報を確認できるようにし、さらに患者が自身の保健医療情報を活用できる仕組みを整備し、順次、運用していくこととなる。(参考)第7回データヘルス改革推進本部 資料(厚労省)マイナンバーカード起点に医療機関と個人が医療情報を確認へ、厚労省が今後2年で(日経クロステック)3.新出生前診断、学会認定なしの半数が美容系クリニック厚労省は、母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)の調査等に関するワーキンググループを7月22日に開催した。学会の認定を受けないまま検査を行っている54施設のうち、半数が美容系クリニックであったという結果をまとめた。2013年から始まった新生出生前診断は、学会認定を受けた大学病院など全国109施設で実施が認められているが、学会のルールに従わず、無認定のまま検査を行う施設が増加しており、問題となっている。中には年齢要件を設けず、性別判定など学会の指針では認められていない検査を提供するところもあった。このような実態から、出席した委員は「母体や胎児について詳しく知らない人が検査を提供しているのは問題」と指摘した。今回の調査結果を踏まえ、新出生前診断については何らかの形で対応がまとめられるだろう。(参考)母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)の調査等に関するワーキンググループ(第4回)の資料について(厚労省)4.「医療的ケア児等医療情報共有システムMEIS(メイス)」が本格的に運用開始厚労省は、7月29日に、「医療的ケア児等医療情報共有システム(MEIS)」の本格運用を開始した。医療的ケア児らが旅行などで出掛ける場合、児童らに関する主治医情報や常用薬などの基本情報を登録し、救急サマリーを作成しておくことで、救急時や災害時などに迅速な情報共有が可能になる仕組み。本システムは5月より試験運用を行なっており、6月末時点では、医療的ケア児137人、医師118人が登録しているが、全国には医療的ケア児は約2万人いるとされている。本システムの利用に当たっては、利用者による申し込み申請の際に主治医の登録が必要だが、複数の利用者(患者)を受け持つ医師は、事前に「ご利用申込書(主治医用)」を用いて登録し、医師IDをあらかじめ取得することで、その後の手続きを簡略化することが可能となっている。(参考)医療的ケア児等医療情報共有システム(MEIS)について(厚労省)5.今年4月までの新型コロナ感染による超過死亡への影響厚労省の「新型コロナウイルス感染症等の感染症サーベイランス体制の抜本的拡充に向けた人材育成と感染症疫学的手法の開発研究」研究班(代表研究者:鈴木 基氏/国立感染症研究所感染症疫学センター長)は、7月31日に、新型コロナウイルスによる影響を推計するために行われた「超過死亡」の結果について、発表した。超過死亡は、今年の死者数が過去の平均的な水準をどれだけ上回っているかを示すものであり、調査班では米疾病対策センターと欧州死亡率モニターの計算モデルを使い、2012~19年の死者数に基づき予測した平均的な死者数(統計学的に不確かな数は除く)を、20年の死者数から差し引いて解析した。その結果、今年1~4月にかけて、東京など5都県で合計138例の超過死亡があったと推計された。鈴木氏は、今回の結果について「見落としは多くはない」とした。一方、厚労省が7月28日に発表した人口動態推計統計速報では、同時期における新型コロナ以外を原因とする(交通事故、自殺、インフルエンザなどによる)死亡が前年までと比べて減少しており、上記の超過死亡を相殺する可能性もあるが、現時点では、日本の人口動態に大きな影響が出るほどではないとされている。(参考)我が国における超過死亡の推定(国立感染症研究所)人口動態統計速報(令和2年5月分)(厚労省)

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「痩せたい」は口だけで何もしない患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第36回

■外来NGワード「食べなきゃ、痩せます」(身もふたもない)「もっと運動しなさい」(あいまいな運動指導)「理想体重にしなさい!」(患者の気持ちを無視)■解説 外来で「痩せたい」と口にする割には、食事療法や運動療法になかなか取り組まない患者さんがいます。そういった患者さんに、「食事量を減らして、運動すれば必ず痩せます」と説得してもうまくいきません。なぜならそのような患者さんは、エネルギー出納バランスなどを理解していながら、行動に移せていないからです。食事指導・運動指導が実際の行動に結び付かない患者さんには、まず減量目標を立ててもらうことが大切です。ところが、「何kgぐらい痩せたいですか?」と質問すると、非現実的な減量目標を答える患者さんもいます。目標を決めるときは、「いつまでに」何kg痩せるのか、期間を限定して、現実的な減量目標を立てましょう。開始日とゴールを明確にすることで、具体的な作戦を立てようという気持ちが引き出されます。減量目標の決め方は、性格タイプにより相性があります。ユングのタイプ論に倣うと、外向的・論理型の患者さんはやや高めの目標のほうがやる気が出ますが、内向的・感情型の患者さんは少し緩めの目標として、家族と相談する時間を取るなどしたほうがよいでしょう。また、外向的・感情型の患者さんはざっくりした目標でも大丈夫ですが、内向的・論理型の患者さんは、血圧、血糖、脂質を改善するなら体重の3%減、肝機能を改善するなら5~10%減など、エビデンスに基づいて目標を決めたほうがよいでしょう。目標を決めるうえで、患者さんのタイプを見極めることも重要です。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師最近、体調はいかがですか?患者体調はいいんですけど、体重がなかなか…。痩せたいと思ってはいるのですが。医師なるほど。具体的に何kgぐらい痩せたいとかありますか?患者そうですね、ハタチのころは60kgだったので、あと10kg痩せたいです。けど、無理かなぁ…。確か、理想体重もそのくらいですよね。医師それなら、期間を決めましょう。3ヵ月なら何kgぐらい痩せられると思いますか?患者3ヵ月なら、10kgの減量は難しそうだし、3kgくらいですかね。医師いい目標ですね。目的により異なりますが、血圧、血糖、脂質の値を改善するなら、体重の3%を目安にした減量が第一目標になりますよ。患者わかりました。それなら、3ヵ月で3kg減を目標にします。医師はい。それでは、いつから減量に取り組みましょうか?患者今日からと言いたいところですが、夜に予定があるので、明日からにします。医師そうすると、3ヵ月後は〇月△日になりますので、カレンダーに印を付けておいていただけますか。患者わかりました。こうやって、日にちを決めて目標を決めたほうが励みになりますね。ところで、何から始めたらよいですか?(具体的な行動へ話が展開)■医師へのお勧めの言葉「3ヵ月で何kgぐらい痩せたいですか?」1)Perito ER, et al. Curr Opin Gastroenterol. 2013;29:170-176.

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事例007 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説今回は、C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料(以下「在宅リハ管理料」という)の査定です。2日にわたり実施された同管理料のうち1日分3単位が縦覧点検でD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)で査定となりました。D査定はおおむね算定ルール違反が理由です。病名不備ではないことがわかります。在宅リハ管理料は、月初めに行われており、実施単位も上限の週6単位までに収まっています。診療実日数が0日であることから、当月に医師の診療がないこともわかります。在宅リハ管理料には、「訪問診療を実施する保険医療機関において医師の診療のあった日から1月以内に行われた場合に算定する」とのルールがあります。そこで、カルテを調べたところ、前回の医師の診療は3月3日でした。レセプトチェックシステムが導入されており、「診療料の算定がありません」と注意が記録されていました。しかしながら、当月の実施は前月診療から1月以内であるとの思い込みと、前月と同一日は1月以内との思い込みが重なり、修正をせずに請求されていました。前回の診療日3月3日からみて4月3日は、1歴月+1日となり。1月を超えた日にあたります。レセプトチェックシステムの注意は煩雑に感じますが、大きな点数にかかる注意コメントには、必ず原点に立ち返って確認が必要だと教えてくれた事例でした。事例では、訪問診療がやむを得ず1月以上空いた場合には、システム上で表示され、注意が促せるように改修しています。

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COVID-19流行下の熱中症対応の手引き/日本感染症学会・日本救急医学会・日本臨床救急

 本格的な夏を迎え、熱中症による搬送数も増えている臨床現場では、今までの夏とは異なり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染防止に配慮した対応に迫られている。 先般、日本感染症学会・日本救急医学会・日本臨床救急医学会・日本呼吸器学会の4学会はワーキンググループを構成し、6月1日付けで「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」を発表した。そして、今回この提言の追補版として、国内外の論文2,736件の情報を抽出し、臨床現場で活用可能な「新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(医療従事者向け)」を作成し、公開を開始した。 本手引は、6つのクリニカルクエスチョンに対し、詳細に解説を加える体裁で書かれ、今後も4学会では情報収集とアップデートを行うとしている。クリニカルクエスチョン一覧・予防(マスク・エアコン) Q 熱中症を予防する上でのマスク着用の注意点は何か?A マスクを着用する際は、長期間(1時間以上)の運動を避けることが望ましい。Q COVID-19の予防で「密閉」空間にしないようにしながら、熱中症を予防するためには、どのようにエアコンを用いるべきか?A 換気により室内温度が高くなるため、エアコンの温度設定を下げるなどの調整を行い、熱中症対策とCOVID-19対策を両立することが望ましい。・診断(臨床症状・血液検査・CT 検査)Q 熱中症とCOVID-19は臨床症状から鑑別できるか?A 呼吸器症状や嗅覚障害・味覚障害を認める場合はCOVID-19を疑う根拠になるが、臨床症状のみから熱中症とCOVID-19を鑑別することは困難である。Q 血液検査は熱中症とCOVID-19の鑑別に有用か?A 両者の鑑別に有用な血液検査の検査項目はない。Q 高体温、意識障害で熱中症を疑う患者の CT 検査はCOVID-19の鑑別診断に有用か?A 確定診断のための有用性は低いが、除外診断に一定の役割を果たしうるため、とくにCOVID-19を疑う患者においては、スクリーニング検査として実施することが望ましい。・治療(冷却法) Q 従来同様、蒸散冷却法(evaporative plus convective cooling)を用いて、患者を冷却してよいか?A 蒸散冷却法は原則使用せず、各施設での使用経験や準備の状況に応じて、蒸散冷却法の代替となる冷却法を選択するのが望ましい。

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双子の認知症リスク

 認知症発症の根底には、性差によるホルモンの影響が関与している可能性がある。米国・南カリフォルニア大学のJing Luo氏らは、同性および異性の二卵性双生児における認知症発症率を比較し、推定される出生前のホルモン環境が認知症リスクと関連しているかを検討した。Alzheimer's & Dementia(Amsterdam, Netherlands)誌2020年6月21日号の報告。 対象は、Swedish Twin Registryより抽出された60歳以上の二卵性双生児ペア4万3,254例。男女別に生存分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・異性ペアの女性は、同性ペアの女性と比較し、認知症リスクが有意に低かったが、その差は70歳以降で認められた(ハザード比:0.64、p=0.004)。・結果は認知症の出生後のリスク因子では説明されず、双子のタイプとアポリポ蛋白E(APOE)ε4との相互作用は認められなかった。・男性では、同性ペアと異性ペアの間で有意な差は認められなかった。 著者らは「本結果は、出生前の男性的なホルモン環境が、女性の認知症リスクの低下と相関していることを示唆するものである」としている。

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日本のがん患者のカウンセリングニーズは?1万件超の電話相談を分析

 日本のがんサバイバーらのアンメットニーズを、電話相談の主訴から、男女差を主眼に解析し、その特徴をあぶりだした神奈川県立がんセンター 臨床研究所 片山佳代子氏らの研究が、Patient Education and Counseling誌2020年5月16日に掲載された。 分析されたがん患者の電話相談は10,534件。男女別相談者別にデータのコーディングを行い、複数の関連コードをまとめ主要な19のカテゴリーを生成した。属性と生成されたカテゴリーのクロス集計を行い、語句と性別の関係をコレスポンディング分析によって可視化している。またテキストマイニング手法を使い出現頻度の高かった単語「不安」と「心配」の係受け関係となるkeywordを抽出し可視化することで男女差を浮き彫りにした。 主な結果は以下のとおり。・全相談件数のうち、約7割が女性から相談であった。・男性は胃がん(11.8%)、女性では乳がん(18.4%)の相談が多く、男女共にがんの確定診断のないものからの相談が20%を占めた。・男女に共通して多かった相談カテゴリーは「治療」(各々21.6%、31.0%)、「がんの疑い」(各25.2%)、「医療者への不信感/コミュニケーションの欠如」(20.2%、20.8%)、「手術」について(19.5%、30.2%)となった。・男性は女性と比べて検査や医療施設に関する質問や、転院相談、一般的ながん情報の収集が多く、日常生活への不安や精神的なサポートのニーズは少なかった。男性サバイバーは的確な情報を収集し、自分で解決するスタイルを好むようである。医療者への不満に対して見切りも早く、そのため転院相談が多いのではないかと関連が考えられる。・男性は精神的サポートを必要としていないのか、あってもしないのかは本研究からは不明としている。・一方女性は、広範囲な事柄について直接的な支援を求めており、心配や不安に感じる事柄が多岐に渡る。妻として夫の禁煙相談や飲酒に関する相談や、遠隔地で独居している親の相談など家族の代表としての相談も多い。こうしたことを鑑みると、地域の患者会やピアサポートを紹介することは理にかなっているようである。 筆者は、日本のがんの相談支援には性別による特有のスタイルを理解し、それに対応する必要があると述べている。ピアサポーターの養成等、相談現場での活用が望まれる。 男性の場合、一般には的確な情報を渡しつつ、一方 で 嗜癖物の乱用 がないか医療現場や相談支援者が確認すること、またがん情報の発信においても、患者視点のニーズを把握し、患者目線の情報を提供するオンラインプラットフォームが必要であると述べている。

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再発・難治性多発性骨髄腫、KdD療法でPFS改善/Lancet

 再発・難治性多発性骨髄腫患者の治療において、プロテアソーム阻害薬カルフィルゾミブ+デキサメタゾン+抗CD38モノクローナル抗体製剤ダラツムマブ(KdD)による3剤併用療法は、カルフィルゾミブ+デキサメタゾン(Kd)に比べ、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、ベネフィット・リスクのプロファイルも良好であることが、ギリシャ・アテネ大学のMeletios Dimopoulos氏らが実施した「CANDOR試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年7月18日号に掲載された。新規に診断された多発性骨髄腫の治療では、レナリドミド+ボルテゾミブにより生存期間が改善されているが、多くの患者は病勢の進行または毒性により治療中止に至るため、再発・難治性多発性骨髄腫における新たな治療法の必要性が高まっている。カルフィルゾミブ+ダラツムマブは、第I相試験(MMY1001試験)において再発・難治性多発性骨髄腫に対する実質的な有効性と忍容可能な安全性が報告されている。ダラツムマブ併用の有用性を評価する無作為化第III相試験 研究グループは、再発・難治性多発性骨髄腫の治療におけるKdDとKdの有効性と安全性を比較する目的で、非盲検無作為化第III相試験を行った(Amgenの助成による)。 対象は、北米、欧州、オーストラリア、アジアの102施設から登録された1~3レジメンの前治療を受けた再発・難治性多発性骨髄腫患者であった。被験者は、KdDまたはKdによる治療を受ける群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、intention to treat集団におけるPFSであった。1年後のCRかつMRD陰性の割合:13% vs.1% 2017年6月13日~2018年6月25日の期間に466例が登録され、KdD群に312例(年齢中央値64.0歳、女性43%)、Kd群には154例(64.5歳、41%)が割り付けられた。前治療ライン数中央値は両群とも2.0で、2ライン以上の患者の割合は両群とも54%であった。KdD群で、造血幹細胞移植歴(63% vs.49%)のある患者が多く、75歳以上(9% vs.14%)の患者が少なかった。 全体の42%がレナリドミドを含むレジメン、90%はボルテゾミブを含むレジメンの投与歴があり、33%がレナリドミド抵抗性、29%はボルテゾミブ抵抗性だった。 フォローアップ期間中央値が約17ヵ月の時点でのPFS期間中央値は、KdD群が未到達、Kd群は15.8ヵ月であり、KdD群で有意に延長していた(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.46~0.85、p=0.0027)。18ヵ月PFS率は、KdD群が62%、Kd群は43%だった。事前に規定されたすべてのサブグループで一貫して、KdD群においてPFSのベネフィットが認められた。 全奏効割合は、KdD群が84%と、Kd群の75%に比べ有意に高く(オッズ比[OR]:1.925、95%CI:1.2~3.1、p=0.0080)、非常によい部分奏効(VGPR)以上の達成割合はそれぞれ69%および49%であり、完全奏効(CR)の達成割合は29%および10%であった。また、12ヵ月時の微小残存病変(MRD)陰性割合は、KdD群が18%、Kd群は4%であり(5.8、2.4~14.0、p<0.0001)、12ヵ月時のCR+MRD陰性の割合は、それぞれ13%および1%(11.3、2.7~47.5、p<0.0001)だった。 全生存(OS)期間中央値は、両群とも未到達であり、18ヵ月OS率は、KdD群が80%、Kd群は74%だった。治療期間中央値は、KdD群が70.1週と、Kd群の40.3週に比べ長かった。 Grade3以上の有害事象は、KdD群が82%、Kd群は74%で発現し、重篤な有害事象はそれぞれ56%および46%にみられた。全Gradeの有害事象で、KdD群で頻度の高いものとして、血小板減少症(37% vs.29%)、下痢(31% vs.14%)、上気道感染症(29% vs.23%)、疲労感(24% vs.18%)が認められた。 Grade3以上の注目すべき有害事象として、気道感染症(KdD群29% vs.Kd群16%)、心不全(4% vs.8%)、急性腎不全(3% vs.7%)、虚血性心疾患(3% vs.3%)、ウイルス感染症(6% vs.2%)などが認められた。治療中止の原因となった有害事象は、KdD群が22%、Kd群は25%にみられた。 著者は、「カルフィルゾミブ+デキサメタゾン+ダラツムマブによる3剤併用療法は、レナリドミド曝露歴のある患者やレナリドミド抵抗性の患者を含め、再発・難治性多発性骨髄腫の治療における有効かつ忍容可能な新たな治療選択肢として検討を進める必要がある」としている。

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医療機関への寄付、 患者側の受け止め方は?/JAMA

 米国では、医療機関支援の資金源として、フィランソロピー(主に寄付による活動支援)の重要性が増しているが、倫理的ガイドラインの策定に資する実証的なエビデンスはほとんどないという。そこで、米国・ミシガン大学のReshma Jagsi氏らは、病院や医師に感謝の思いを持つ患者に慈善的な寄付を促す方法について、一般の人々の受け止め方を評価するための調査を行った。その結果、多くの人々が、寄付をする可能性のある患者を特定したり、寄付を促したり、寄付者に感謝の念を伝えるための法的に許容されているアプローチを支持しないことが明らかとなった。JAMA誌2020年7月21日号掲載の報告。ウェブベースの質問票を用いた記述的解析 研究グループは、米国人を代表する、確率に基づくサンプル(Ipsos KnowledgePanel)を用いて、一般集団を代表する主要コホートと、3つの補足的コホート(高額所得者、がん患者、心疾患患者)から意見を募った(米国・Greenwall財団の助成による)。意見の収集には、ウェブベースの質問票を使用した。 記述的解析(人口統計学的に米国人を代表するサンプルとなるように重み付け)により、次の3つの問題に関して、回答者の考え方を評価した。(1)病院が、寄付を行う可能性のある患者を特定し、寄付を要請し、謝意を伝えるために使用する戦略の受容性、(2)医師が患者と寄付について話し合うことの影響に関する理解、(3)寄付金の使用と管理に関する見解。 一般集団513人(女性51.6%、非ヒスパニック系白人63.5%)、年収25万ドル以上の253人(46.0%、72.2%)、がんの診断を受けた260人(51.4%、82.2%)、心疾患の既往歴を有する256人(40.6%、77.2%)が調査を完了した。83.2%が、「寄付の話題は患者-医師関係を損なう」 「患者が参加する可能性のある公的会合で、医師が寄付を募る」に同意を表明したのは、一般集団が55.5%、高額所得者が65.5%、がん患者が57.4%、心疾患患者は58.0%であり、「病院の待合室に、資金調達の担当職員が、寄付の方法に関する情報を掲示する」への同意は、それぞれ76.2%、77.8%、77.2%、73.1%だった。 一般集団では、47.0%が「医師が、患者に許可を得た後、病院の資金調達の担当職員に患者の名前を伝える」ことを、明確に許容する、または高い確実性で許容すると回答し、8.5%は「許可を得なくても紹介してよい」を支持していた。これらへの高額所得者の支持は、それぞれ58.6%および10.9%、がん患者は53.3%および6.3%、心疾患患者は41.0%および6.0%だった。 一般集団の79.5%は、「患者が寄付を話題にした場合には、医師が患者に寄付について話してもよい」とし、14.2%は「患者が話題にしなくても、寄付について話してよい」と回答した。これらへの高額所得者の支持は、それぞれ87.6%および19.5%、がん患者は83.6%および14.5%、心疾患患者は87.6%および11.1%だった。 また、9.9%が「多額の寄付が可能な患者を特定するために、病院の資金調達担当職員が、公的に利用できるデータを用いて資産の審査を行うことを許容する」と答えた。高額所得者の19.9%、がん患者の6.5%、心疾患患者の9.3%が、これを許容した。 一般集団の83.2%は、「医師が患者に寄付の話をすることは、患者-医師の関係を損なう可能性がある」との見解に同意した。また、44.5%が「すべての医師は、金銭の寄付について患者と話し合う方法に関する研修を受けるべき」に同意し、53.3%は「研修は資金調達に関心のある医師だけでよい」とした。 ある患者が100万ドルを寄付したと仮定すると、一般集団の50.1%は、「病院がその患者に、より快適な病室を提供することで謝意を伝えるのを許容する」と回答し、26.0%は謝意の表明として「優先的な診察の予約の提供」を、19.8%は「医師の携帯電話番号の提供」を許容すると答えた。 また、ある患者が100万ドルを寄付した場合に、高額所得者の37.5%、がん患者の23.6%、心疾患患者の23.3%が、「病院が、優先的な診察の予約の提供によって謝意を表す」ことを許容するとした。 著者は、「これらの知見は、現在の資金調達の実践が、利害関係者(とくに、一部の一般集団や患者)が許容できると考えていることと、どこで乖離しているかを明らかにすることで、資金調達の実践や施策の策定に有益な情報をもたらす可能性がある」としている。

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2型糖尿病適応のimeglimin、国内製造販売承認を申請/大日本住友製薬

 2020年7月30日、大日本住友製薬は2型糖尿病治療薬として開発中のimegliminの国内製造販売承認の申請を行ったと発表した。本剤は2021年度に国内で世界初となる上市を予定している。 imegliminは、ミトコンドリアの機能を改善するという独自の作用機序を有し、膵臓・筋肉・肝臓において、グルコース濃度依存的なインスリン分泌の促進と、イ ンスリン抵抗性の改善および糖新生の抑制という作用を示すことで血糖降下作用が期待されている。さらに、本剤の作用機序は、糖尿病によって引き起こされる細小血管・大血管障害の予防につながる血管内皮機能および拡張機能の改善作用や、膵臓β細胞の保護作用を有する可能性も示唆されている。これより、経口薬である本剤は、単剤および併用による2型糖尿病の血糖コントロールにおいて幅広く使用される可能性がある。 これまで大日本住友製薬およびPoxel社(フランス)は、第III相試験のTIMES試験をはじめ、日本国内で共同開発プログラムを進めており、両社は2017年10月に、日本、中国、韓国、台湾、その他東南アジア9ヵ国を対象に、imegliminの開発および製品化に関する提携契約を締結していた。

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