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世界初の経口GLP-1受容体作動薬発売/ノボ ノルディスクファーマ・MSD

2型糖尿病に新たな治療オプション登場 ノボ ノルディスクファーマとMSDは、2型糖尿病を効能・効果とする1日1回服用の世界初にして唯一の経口投与可能なGLP-1受容体作動薬であるセマグルチド(商品名:リベルサス錠)を、2月5日に発売した。 今回発売された経口のセマグルチドは、2型糖尿病患者の食事および運動療法で効果不十分な場合の血糖コントロールの改善を適応とする糖尿病治療薬として承認されている。 承認にあたっては、9,543人の成人2型糖尿病患者が参加したグローバル臨床開発プログラム(PIONEER)に基づきなされた。このPIONEERの10試験のうち、2つの第IIIa相臨床試験では、日本人2型糖尿病患者を対象に行われた。 単独療法を評価する臨床試験で示されたHbA1cの低下量は、投与後26週でセマグルチド7mg(1日1回服用)で1.6%、リラグルチド0.9mg(1日1回投与)で1.4%、他の経口血糖降下薬1剤との併用療法においては投与後26週でセマグルチド7mg(1日1回服用)で1.7%、デュラグルチド0.75mg(週1回投与)で1.5%だった。また、セマグルチド14mg(1日1回服用)については、日本人2型糖尿病患者の単独療法のHbA1cの低下量は、投与後26週で1.8%、他の経口血糖降下薬1剤との併用療法においては投与後26週で2.0%だった。 ノボ ノルディスクファーマ社は「日本の2型糖尿病患者さんの血糖コントロール改善のために、新たな治療オプションを提供することができると信じている」と抱負を語っている。 なお、本剤については、ノボノルディスクファーマとMSDが販売提携契約を結んでおり、両社共同で医療機関への情報提供活動を行う。製品概要製品名:リベルサス錠 3mg/7mg/14mg一般名:セマグルチド効能・効果:2型糖尿病用法・用量:通常、成人には、セマグルチド (遺伝子組換え) として1日1回7mgを維持用量とし経口投与する。ただし、1日1回3mgから開始し、4週間以上投与した後、1日1回7mgに増量する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、1日1回7mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合には、1日1 回14mgに増量することができる。製造発売承認日:2020年6月29日薬価基準収載日:2020年11月18日発売日:2021年2月5日薬価:リベルサス錠 3mg:143.20円/7mg:334.20円/14mg:501.30円製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社販売提携:MSD株式会社

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一般住民におけるTIA患者の脳卒中長期リスクは依然として非常に高い(解説:内山真一郎氏)-1351

 本研究は、フラミンガム研究のコホートを用いて1万4,000例以上を1948年から2017年にわたって追跡したデータを解析した研究である。2000年から2017年におけるTIA患者における発症後90日以内の脳卒中リスクは、1948年から1985年と比べて有意に低下していたが、10年間の脳卒中リスクはTIAを起こしたことのない住民と比べて4倍以上高かった。本研究におけるTIA経験者の脳卒中発症率は高く、平均8.9年間の追跡期間中に30%のTIA患者が脳卒中を発症していた。 この発症率は、われわれが行った国際前向きコホート研究(TIAregistry.org)における5年間の脳卒中発症率9%よりはるかに高い(Amarenco P, et al. N Engl J Med. 2018;378:2182-2190.)。われわれの研究は脳卒中専門施設においてTIA発症直後から専門医がガイドラインを遵守して行った研究であったのに対し、本研究は一般住民のコホート研究なので、多くのTIA患者は専門施設にアクセスすることができず、専門医による2次予防管理を受けることができなかったことが、この差をもたらしたと考えられる。TIAはともすれば無視または軽視されたり、後回しにされたりしやすいが、本研究結果はTIAを正しく認識し、発症後早期から専門医の診療を受け、厳格な2次予防対策を講じることができるような啓発活動と医療体制の構築が必要なことを示している。

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046)同僚医師にモヤモヤ…その理由は?【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第46回 同僚医師にモヤモヤ…その理由は?ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆私の勤め先では、1週間の皮膚科外来を数人の医師で分担しています。毎日処置が必要な患者さんなどは、必然的に別の医師にも対応をお願いすることになるので、お互いに持ちつ持たれつの関係です。ただ、たまにちょっとモヤっとする場面が…。たとえば、切開が必要な皮下膿瘍や重症型の多形紅斑、深めの挫創など、症状が重めの患者さんを十分な申し送りのない状態でパスされることがあります。もちろん、自分で判断しきれない場合、速やかにほかの医師へコンサルすべきとは思いますが、同じ施設の場合、診察の環境や条件は変わらないはず。場合によっては、手を変えることで解決することもあるでしょうが、こういうことが重なるとモヤモヤした気持ちになります。危ないと思ったら診ない、それもまた危機管理の1つかもしれません。ただ、ほかの医師や他院を紹介するにしても、専門性をもって判断し、きちんと必要性を確認してから申し送りや紹介状を準備するのが筋なのでは…?困ったら大きい病院へ紹介すればいいという問題でもないので、さじ加減は難しいところですが、専門医としての責任と自覚を持ってほしいと思わずにはいられません。私もまだまだ勉強不足なので、今後も真摯に勉強を続けたいです。それでは、また〜!

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術後チューインガムは消化管機能を回復させる【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第180回

術後チューインガムは消化管機能を回復させるpixabayより使用子どもがチューインガムにハマっています。私は、噛んだあといちいちゴミ箱に捨てないといけない煩わしさと、なぜかガムを食べると下痢をしてしまうので、チューインガムを噛むことはほとんどありません。駅のホームには、モラルのない人たちが吐き出したガムが黒い点々になって残っています。嘆かわしい。チューインガムといえば、以前「チューインガムを噛んで細くし、それを冷蔵庫で冷却して、自慰目的で尿道内に挿入していた」という男性の症例を過去に紹介しました(【第123回】膀胱内のチューインガムを摘出したビックリアイデア)今回は、なんとあのコクランから、腸閉塞予防のためのチューインガムのレビューが出ているので紹介したいと思います。Short V, et al.Chewing gum for postoperative recovery of gastrointestinal function. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Feb 20;2:CD006506.実は、昔からチューインガムが腸の機能を回復させる可能性が指摘されています。胃がんや大腸がんといった消化器系の手術後に有効とされており、腸閉塞のリスクを軽減することができます。このコクランレビューは、ガムを噛む群と噛まない群に分けて、術後の放屁までの時間、排便再開までの時間、入院期間などを比較した研究を解析したものです。驚くべきことに81研究が登録されました(せいぜい数研究だと思っていた……)。この結果、術後にガムを噛んでもらうことでおならがだいたい10時間くらい早く、便も半日くらい早く出ることがわかりました。消化管の機能回復が早かったということです。そのおかげで、なんと入院期間も短くなったそうです。術後の患者さんがクチャクチャとガムを噛んでいるシーンは想像しにくいですが、リスクが軽減できるならぜひ噛んでもらいたいところですね。製薬会社の皆さん、術後機能回復用チューインガムの発売、どうでしょうか。少し窒息・誤嚥リスクが高いですかね。

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第43回 副反応に匹敵!?新型コロナワクチンのもう1つの不安要素とは

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のワクチン接種に関して、医療従事者の優先接種が早ければ今月中旬にも始まると言われている。各自治体や接種を受け付ける受託医療機関も含め、私の耳にはさまざまな情報が飛び込んできていて、円滑な接種の遂行に向けて現場が数多くの難題を抱えていることは承知している。新興感染症のパンデミックによるワクチン接種と言えば、2009年の新型インフルエンザ以来となるが、今回の新型コロナは感染症として社会全体に与えたダメージは測り知れず、なおかつワクチンの接種対象もほぼ全国民に及ぶため、2009年の経験はあまり役に立たない。そうした中ある自治体(都道府県レベル)では、副反応が起きた際にその患者に対応する専門チームを創設すると耳にした。いわばリスクコミュニケーションの一環である。この動きはその自治体独自のものらしいが、私はとくに今回のワクチン接種に関しては、この患者に直接対応する副反応対策チームの存在が大きな役割を果たすと思っている。そもそも新型コロナのワクチン接種に関しては、ご存じのように日本で最初に接種が開始されるのは米・ファイザー/独・ビオンテック、米・モデルナのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン。この種のワクチンが実用化されたのは世界初である。原理だけを見れば、安全性はむしろ既存の不活化ワクチンなどに比べて高いとも思えるのだが、これ以前に実績のないものゆえに逆に不安に思ってしまう接種対象者が出てきてしまう点は否めない。また、このmRNAワクチンはいずれも筋肉内注射である。といっても医療従事者の皆さんにとっては「それが何か?」と思われるだろう。少なくともワクチン接種全体で考えれば、筋肉内注射は珍しくもなんともないが、こと日本人に関していえば予防接種法に基づく定期接種に含まれているワクチンの中で筋肉内注射が標準となっているのは、副反応問題(個人的にはこのワクチンが原因とは思っていないが)で接種率低下が著しい、あのヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンのみである。ちなみに2016年10月から定期接種となったB型肝炎ワクチンは、成人の場合は筋肉内注射が一般的だが、日本国内で定期接種対象となった幼児の場合は皮下注射である。つまるところインフルエンザワクチンも含め筋肉内注射が一般的となっている欧米と比べ、この点は大きく異なる。で、それでも「だから何なの?」と言われてしまうかもしれない。だが、非医療従事者の間ではアメリカでのワクチン接種映像が放映されたことをきっかけにSNSをはじめ各所で「なんで注射針を腕に垂直に刺してるの?」などとおびえている人たちは少なからずいるのだ。先日も電車内で若い女性2人が「あのさ、新型コロナのワクチンって腕の筋肉に針指して注射するんだって」、「えー、マジ。痛そう。嫌だなあ」というやり取りをしていたのを聞いたばかりだ。未知のワクチンを経験のない方法で接種しなければならないことに怖さを感じるほうがむしろ自然である。ちなみにワクチン接種を冗談半分で「趣味」と公言し、国内承認・未承認も含め20種類のワクチンを接種済みの私は、A型肝炎、B型肝炎、腸チフス、帯状疱疹(商品名:シングリックス)、髄膜炎菌(B群以外)、髄膜炎菌B群、ダニ媒介性脳炎、HPVで筋肉内注射を経験しているが、はっきり言って筋肉内注射に伴う痛みは一定程度注射を行う人の手技に左右されている側面があると感じる。そうなると、副反応という点ではほとんど問題がないとしても(1)未知のワクチンへの怖さ、(2)未経験の筋肉内注射への怖さ、(3)人によって痛さが異なることによる疑問・不信感、というネガティブ要素がどうしても避けられない。その前提がある中で、国が主体となってこのワクチンを接種している以上、国や地方自治体、医療従事者の側にどうしても副反応が生じた際に接種者により親身に対応する窓口があることが望ましいと考える。これは単なる形式的意見ではなく、日本での過去のワクチンの負の歴史を踏まえてのことだ。負の歴史とはまさに前述したHPVワクチンの件である。この件についてメディア関係者が言及すると「お前が言うか」と言われるのは百も承知している。HPVワクチンの接種率の低下にメディアが大いに影響を及ぼしたことは事実であるからだ。ちなみに言い訳がましいかもしれないが、念のために言っておくと、私は医療以外の領域の取材・執筆も行っており、ちょうどHPVワクチンの定期接種化とそれに伴う副反応騒動の時期は、医療そのものの取材がほとんどストップしていた時期だった。あの時はただ横目で事態を眺めていたが、あれよあれよという間に事態は悪い方向に転がって行った。とはいえ、もしあの時、騒動の渦中にいたら自分が適切な報道ができていたと断言できる自信はない。その意味では今も忸怩(じくじ)たる思いを抱き続けている。そしてまさにあの時期、渦中におらずにたまたま横眼で眺めていたがゆえに、他の報道関係者と比べれば、どのようにして悪い方向に転んで行ったかをある程度は概説できる。ざっくり説明する構図は以下のようなものだ。まず、接種後に副反応を訴えた女児の親御さんたちの一部は、当然ながら医療従事者などにその状況を訴えた。そこでは概ね「ワクチンの副反応ではないと考えられる」旨の説明がなされている。こうした症状に関しては後に「機能性身体症状」という言葉で説明されるようになったのは今では周知のことである。ところが症状が改善しない女児とその親御さんの一部は、そうした医療従事者の説明に納得せず、行き場のない不安を抱えたまま社会をさまよい続けた。それを「受け止めた」のが弁護士などの法曹関係者や市民運動の活動家などだ。こうして受け止めた側には対外広報戦術に長け、大手メディアでキーマンとなる社会部記者とつながりを持つ人たちも少なくなかった。こうして、被害を訴える人たち → 法曹関係者・市民活動家 → 大手メディア社会部記者、という情報の流通ルートが成立し、一気に報道に火が付くことになった。実はこの当時、大手メディアの中でも科学部記者などは、副反応騒動にかなりクールに反応していたと記憶している。いわば医療従事者とほぼ同じような見解である。ところが大手新聞社などを中心とするレガシーメディアの社内権力構造は、おおむね社会部のほうが科学部よりも圧倒的に上位にある。その結果、社内ではあまりブレーキがききにくく、今のような事態に至っている。もっとも報道を事細かく見ていけば分かるが、最近の大手新聞ではHPVワクチン接種者での機能性身体症状をワクチンの副反応と報じる記事はほとんどないといっていいほど姿勢は転換している。さて話を戻そう。行政がリスクコミュニケーションの一環としてワクチン接種者の注射部位反応なども含めた副反応に対処することのメリットは何かだが、それは前述のHPVワクチンのケースで経験した、副反応を訴える人たちの声の流通のうち「医療従事者 → 弁護士・市民活動家」が「医療従事者・行政の専門チーム → 弁護士・市民活動家」と言う形で川上が強化される。このことはワクチンと因果関係が薄いと思われる有害事象に関する情報の川下(弁護士・市民活動家、メディアの社会部系記者)への流通量を劇的に減らせる効果を期待できる。それだけでもHPVワクチン騒動の二の舞となる確率は減らすことができるだろう。こうした観点から、自治体の副反応対策チームの取り組みが、私の耳にした自治体以外へも水平方向にも広がってほしいと切に願うのだ。ここで「じゃあお前たちメディアは何をするんだ?」と問われることだろう。私が考えるのは主に2つだ。1つは副反応対策チームの存在とその役割を積極的に報じ、不安を感じた人にその存在を知ってもらうこと、もう1つは「可能性がゼロではないリスク」なる迷信を安易に報じないことである。その意味ではメディアにとって今回の新型コロナワクチンの接種にかかわる報道は、今後の医療報道の分水嶺になる可能性があると考えている。

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統合失調症の薬理学的マネジメント~日本の専門医のコンセンサス

 従来の統合失調症ガイドラインは、臨床的に重要な問題を解決するための方法を必ずしも提供しているわけではない。慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、精神科専門医を対象に、統合失調症の治療オプションに関する調査を行った。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2021年1月12日号の報告。 日本臨床精神神経薬理学会の認定精神科医141人を対象に、統合失調症治療における19の臨床状況について、9段階で治療オプションの評価を行った(同意しない「1」~同意する「9」)。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬の第1選択薬は、主要な症状により以下のように異なっていた。【陽性症状】●リスペリドン:7.9±1.4●オランザピン:7.5±1.6●アリピプラゾール:6.9±1.9【陰性症状】●アリピプラゾール:7.6±1.6【抑うつ、不安症状】●アリピプラゾール:7.3±1.9●オランザピン:7.2±1.9●クエチアピン:6.9±1.9【興奮、攻撃性】●オランザピン:7.9±1.5●リスペリドン:7.5±1.5・顕著な症状のない患者の再発予防に対する第1選択薬として、アリピプラゾール(7.6±1.0)が選択された。・社会的統合のために選択された薬剤は、アリピプラゾール(8.0±1.6)、ブレクスピプラゾール(6.9±2.3)であった。・錐体外路症状の懸念がある患者に対する第1選択薬は、クエチアピン(7.5±2.0)、アリピプラゾール(6.9±2.1)であった。 著者らは「これらの臨床的推奨は、特定の状況における特定の抗精神病薬使用に関する専門医のコンセンサスを表しており、エビデンスとの間の現在のギャップを補完するものであろう」としている。

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子宮頸がんスクリーニングプログラム、hrHPV検査が有用/JAMA Oncol

 中国から子宮頸がんスクリーニングプログラムの新たな方法について検討した結果が報告された。中国・北京協和医学院のJunji Zhang氏らは、全国的な子宮頸がんスクリーニングプログラムにおける新しいスクリーニング法として、高リスク型ヒトパピローマウイルス(hrHPV)検査の有用性を評価する多施設共同無作為化非盲検臨床試験を行い、hrHPV検査はプライマリケア施設において有効な1次スクリーニング法であることを示した。著者は、「中国の全国的なスクリーニングプログラムにhrHPV検査(都市部ではPCR法、地方ではハイブリッドキャプチャー法)を導入することは妥当である」と結論付けている。JAMA Oncology誌オンライン版2020年12月30日号掲載の報告。 研究グループは、中国の都市部および地方のプライマリケア施設20ヵ所において、地域住民を対象とした無作為化非盲検臨床試験を行った。対象は35~64歳の女性で、1施設3,000例以上の参加を呼び掛け、合計6万732例が評価を受けた。 参加者はベースラインで、細胞診、hrHPV検査、または酢酸/ルゴールヨード(VIA/VILI)による肉眼検査(地方のみ)に無作為に割り付けられ、hrHPV検査陽性者は、細胞診トリアージ検査群、VIA/VILIトリアージ検査群(地方のみ)、または直接コルポスコピー群に無作為に割り付けられた。1次検査またはトリアージ検査で、細胞学的異常を認めた場合またはVIA/VILIで陽性と判定された場合は、直接コルポスコピーに紹介した。 24ヵ月後、細胞診、hrHPV検査およびVIA/VILIの同時スクリーニングを実施し、陽性結果を示したすべての女性がコルポスコピーに紹介された。 主要評価項目は、子宮頸部上皮内病変(CIN)のグレード2以上(CIN2+)およびCIN3+の検出率。副次評価項目はコルポスコピー紹介率であった。 主な結果は以下のとおり。・6万732例の年齢中央値は47歳で、無作為化の内訳は、都市部では細胞診が8,955例、hrHPVジェノタイプ判定検査が1万8,176例、地方ではVIA/VILIが1万1,136例、細胞診が7,080例、hrHPV検査が1万5,385例であった。・hrHPV検査陽性で直接コルポスコピーを紹介された患者は、ベースラインでの疾患検出率のリスク比(RR)が高かった。・検出率のRRは、都市部のhrHPV vs.細胞診でCIN2+が2.2(95%信頼区間[CI]:1.6~3.2)、CIN3+が2.0(1.2~3.3)であり、地方のhrHPV vs.細胞診では、それぞれ2.6(1.9~4.0)、2.7(2.0~3.6)、また、地方のhrHPV vs.VIA/VILIでは、それぞれ2.0(1.6~2.3)、2.3(1.8~3.1)だった。・24ヵ月時点の地方において、ベースラインhrHPV検査陰性例は、ベースライン細胞診陰性例に比べてCIN2+検出率のRRが0.3(95%CI:0.2~0.5)、またベースラインVIA/VILI陰性例に対しては0.3(0.2~0.6)と、いずれも有意に低かった。・同様に、CIN3+検出率のRRも、それぞれ0.3(95%CI:0.1~0.6)、0.4(0.2~0.8)と有意に低かった。・地方におけるhrHPV陽性例のコルポスコピー紹介率は、細胞診トリアージによって2.8%に低下し、CIN2+検出率は細胞診(RR:2.1、95%CI:1.3~2.6)またはVIA/VILI(RR:1.6、95%CI:1.03~2.1)に比べて有意に高かった。・細胞診トリアージによるhrHPVジェノタイプ判定検査は、都市部において細胞診と比較し、コルポスコピー紹介率を有意に低下させた(RR:0.8、95%CI:0.7~0.9)。

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アカラブルチニブ、慢性リンパ性白血病でイブルチニブに対する非劣性示す/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2021年1月25日、第III相ELEVATE-RR試験の肯定的な結果概要に基づき、選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬アカラブルチニブ(商品名:カルケンス)が、治療歴を有する高リスク慢性リンパ性白血病(CLL)の成人患者において、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)のイブルチニブに対する非劣性を示したことを発表した。 ELEVATE-RR試験は、欧米において最も一般的な種類の白血病であるCLLの成人患者を対象に、2種類のBTK阻害薬を比較する初めての第III相試験である。同試験では、安全性に関する重要な副次評価項目も達成しており、アカラブルチニブは、イブルチニブと比較して心房細動の発現率が統計的に有意に低いことが示された。さらに階層的検定を行ったところ、Grade3以上の感染症およびリヒター形質転換に差は認められなかった。その一方で、全生存期間に関して数値的に良好な傾向が認められた。 本試験のデータは、今後の医学学会で公表するとともに、欧米の保健当局に対しても提出する予定。

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COVID-19に対する薬物治療の考え方 第7版を公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏[東邦大学医学部教授])は、2月1日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第7版」をまとめ、同会のホームページで公開した。 本指針は、COVID-19の流行から約1年が経過し、薬物治療に関する知見が集積しつつあり、これまでの知見に基づき国内での薬物治療に関する考え方を示すことを目的に作成されている。 現在わが国でCOVID-19に対して適応のある薬剤はレムデシビルである。デキサメタゾンは重症感染症に関しての適応がある。また、使用に際し指針では、「適応のある薬剤以外で、国内ですでに薬事承認されている薬剤をやむなく使用する場合には、各施設の薬剤適応外使用に関する指針に則り、必要な手続きを行う事とする。適応外使用にあたっては基本的にcompassionate useであることから、リスクと便益を熟慮して投与の判断を行う。また、治験・臨床研究の枠組みの中にて薬剤を使用する場合には、関連する法律・指針などに準じた手続きを行う。有害事象の有無をみるために採血などで評価を行う」と注意を喚起している。 抗ウイルス薬などの対象と開始のタイミングについては、「発症後数日はウイルス増殖が、そして発症後7日前後からは宿主免疫による炎症反応が主病態であると考えられ、発症早期には抗ウイルス薬、そして徐々に悪化のみられる発症7日前後以降の中等症・重症の病態では抗炎症薬の投与が重要となる」としている。 抗ウイルス薬などの選択について、本指針では、抗ウイルス薬、抗体治療、免疫調整薬・免疫抑制薬、その他として分類し、「機序、海外での臨床報告、日本での臨床報告、投与方法(用法・用量)、投与時の注意点」について詳述している。紹介されている治療薬剤〔抗ウイルス薬〕・レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液100mgなど)・ファビピラビル〔抗体治療〕・回復者血漿・高度免疫グロブリン製剤・モノクローナル抗体〔免疫調整薬・免疫抑制薬〕・デキサメタゾン・バリシチニブ・トシリズマブ・サリルマブ・シクレソニド〔COVID-19に対する他の抗ウイルス薬(今後知見が待たれる薬剤)〕インターフェロン、カモスタット、ナファモスタット、インターフェロンβ、イベルメクチン、フルボキサミン、コルヒチン、ビタミンD、亜鉛、ファモチジン、HCV治療薬(ソフォスブビル、ダクラタスビル)今回の主な改訂点・レムデシビルのRCTを表化して整理・レムデシビルの添付文書改訂のため肝機能・腎機能を「定期的に測定」に変更(抗体治療薬の項目追加)・バリシチニブ+レムデシビルのRCT結果を追加・トシリズマブのREMAP-CAP試験などの結果を追加・シクレソニドの使用非推奨を追加

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COVID-19外来患者への中和抗体2剤併用療法は有効か?/JAMA

 軽症~中等症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者において、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の中和抗体であるbamlanivimabとetesevimabの併用療法は、プラセボと比較し11(±4)日目のSARS-CoV-2ウイルス量を有意に減少させることが確認された。米国・ベイラー大学医療センターのRobert L. Gottlieb氏らが、COVID-19外来患者を対象に、bamlanivimab単独療法またはbamlanivimab+etesevimab併用療法の有効性と安全性を検討する無作為化二重盲検プラセボ対照第II/III相試験「BLAZE-1試験」の結果を報告した。すでにBLAZE-1試験第II相コホートの中間解析として、bamlanivimabによるウイルス量減少効果が報告され、この結果に基づき米国では2020年11月より、軽症~中等症COVID-19患者で成人および12歳以上の小児(体重40kg以上)、かつ、重症化または入院するリスクが高い患者に対するbamlanivimabの緊急使用が許可されている。JAMA誌オンライン版2021年1月21日号掲載の報告。単独療法、bamlanivimab 2,800mg+etesevimab 2,800mg併用療法をプラセボと比較 研究グループは、米国の49施設において、SARS-CoV-2検査陽性で1つ以上の軽症~中等症の症状を有するCOVID-19外来患者を、2020年6月17日~8月21日の期間はbamlanivimab(700mg、2,800mg、7,000mg)単独群またはプラセボ群に、2020年8月22日~9月3日の期間はbamlanivimab(2,800mg)+etesevimab(2,800mg)併用療法群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、11(±4)日目までのウイルス量の変化。事前に設定された副次評価項目は、ウイルス排除(3項目)、症状(5項目)、29日時点での臨床アウトカム(COVID-19関連入院、救急外来受診、または死亡)の9項目で、各治療群とプラセボ群との比較検証を行った。ウイルス量はbamlanivimab+etesevimab併用療法でプラセボより有意に減少 613例がスクリーニングを受け、592例が無作為化された。このうち、治験薬の投与を受けた577例(bamlanivimab 700mg群101例、2,800mg群107例、7,000mg群101例、併用群112例、プラセボ群156例)が解析対象となった(データカットオフ日:2020年10月6日)。 解析対象577例(平均[±SD]年齢44.7±15.7歳、女性54.6%)のうち、533例(92.4%)が有効性評価期間(29日)を完遂した。 SARS-CoV-2ウイルス量(log)のベースラインから11日目までの変化量は、700mg群が-3.72、2,800mg群が-4.08、7,000mg群が-3.49、併用群は-4.37、プラセボ群は-3.80であり、プラセボ群との群間差は700mg群が0.09(95%信頼区間[CI]:-0.35~0.52、p=0.69)、2,800mg群が-0.27(-0.71~0.16、p=0.21)、7,000mg群が0.31(-0.13~0.76、p=0.16)、併用群は-0.57(-1.00~-0.14、p=0.01)であった。 副次評価項目については、84項目中10項目で各治療群とプラセボ群との間に有意差が認められた。COVID-19関連入院または救急外来受診の患者の割合は、プラセボ群5.8%(9件)、700mg群1.0%(1件)、2,800mg群1.9%(2件)、7,000mg群2.0%(2件)、併用群0.9%(1件)であった。即時型過敏反応は9例(bamlanivimab群6例、併用群2例、プラセボ群1例)報告され、治療期間中の死亡例はなかった。

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TNF阻害薬効果不十分のRA、トシリズマブvs.リツキシマブ/Lancet

 TNF阻害薬で効果不十分の関節リウマチ患者において、RNAシークエンシングに基づく滑膜組織の層別化は病理組織学的分類と比較して臨床効果とより強く関連しており、滑膜組織のB細胞が低発現または存在しない場合は、リツキシマブよりトシリズマブが有効であることを、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のFrances Humby氏らが、多施設共同無作為化非盲検第IV相比較試験「rituximab vs tocilizumab in anti-TNF inadequate responder patients with rheumatoid arthritis:R4RA試験」の16週間の解析結果、報告した。生物学的製剤は関節リウマチの臨床経過を大きく変えたが、40%の患者は十分な効果を得られないことが示唆されており、その機序はいまだ明らかになっていない。関節リウマチ患者の50%以上は、リツキシマブの標的であるCD20 B細胞が滑膜組織に存在しない、または少ないために、IL-6受容体阻害薬のトシリズマブのほうが有効である可能性が考えられていた。Lancet誌2021年1月23日号掲載の報告。滑膜組織のB細胞発現で分類し、リツキシマブとトシリズマブの有効性を比較 研究グループは欧州5ヵ国(英国、ベルギー、イタリア、ポルトガル、スペイン)の19施設において、「ACR/EULAR関節リウマチの分類基準2010年」を満たし、英国のNICEガイドラインに従いリツキシマブによる治療の対象となる18歳以上の関節リウマチ患者を登録。ベースラインの滑膜生検におけるB細胞発現(組織学的にB細胞が多い「B細胞rich」または少ない「B細胞poor」に分類)を層別因子として、リツキシマブ群(1,000mgを2週間隔で2回点滴投与)またはトシリズマブ群(8mg/kgを4週間隔で点滴投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。また、層別化の精度を高めるため、ベースライン滑膜生検組織についてRNAシークエンシングを行い、B細胞の分子シグネチャーで再分類した。 主要評価項目は、臨床的疾患活動性指標(CDAI)のベースラインからの50%改善(CDAI 50%)とした。RNAシークエンシングでB細胞poorの場合、トシリズマブが有意に奏効 2013年2月28日~2019年1月17日に164例が組織学的に分類され、リツキシマブ群(83例、51%)またはトシリズマブ群(81例、49%)に割り付けられた。 組織学的なB細胞poorの患者集団では、CDAI 50%を達成した患者の割合はリツキシマブ群(45%、17/38例)とトシリズマブ群(56%、23/41例)で有意差は認められなかった(群間差:11%、95%信頼区間[CI]:-11~33、p=0.31)。しかし、RNAシークエンシングによるB細胞poorの患者集団では、CDAI 50%を達成した患者の割合はリツキシマブ群(36%、12/33例)と比較してトシリズマブ群(63%、20/32例)で有意に高かった(群間差:26%、95%CI:2~50、p=0.035)。 有害事象の発現率はリツキシマブ群70%(76/108例)、トシリズマブ群80%(94/117例)(群間差:10%、95%CI:-1~21)、重篤な有害事象の発現率はそれぞれ7%(8/108例)、10%(12/117例)であり(3%、-5~10)、いずれも両群で有意差はなかった。

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恫喝や暴言も、医療者への風評被害の実態/日医

 日本医師会・城守 国斗常任理事が、3日の記者会見で「新型コロナウイルス感染症に関する風評被害の緊急調査」について、結果を公表した。これは、昨年11月に開催された都道府県医師会長会議で問題提起され、各地域の被害状況について全47都道府県医師会が調査したもの。全国から698件の報告、「近寄るな」「責任を取れ」など心ない言葉も 風評被害を受けた対象としては、総回答数698件のうち「医師以外の医療従事者」に対する被害が277件(40%)と最も多かった。次いで「医療機関」が268件(38%)、「医師または医療従事者の家族」が112件(16%)、「医師」が21件(3%)、「その他」が20件(3%)という内訳だった。「医師以外の医療従事者」に対する風評被害は、主に看護師に対するものが多かったという。《具体的な事例1:医師》・濃厚接触者ではなく、新型コロナ患者の対応をしていないにもかかわらず、自治体より乳児健診前の2週間は勤務しないように要望された。・検死に赴いたにもかかわらず、当該関係者から、あたかも自分が新型コロナに罹患しているかのような対応を受けた。・防護服着用で診察などの対応をしていると、その格好を揶揄するような指摘をされた。・このような時だから、医師は遠出をするべきではないとを言われた。・医師が近隣に引っ越してくると知った住人から、「窓も開けられなくなる」「引っ越しを延期してもらえないか」といったクレームが出た。《具体的な事例2:医師以外の医療従事者》・新型コロナを診ている医療機関か否かにかかわらず、医療機関に勤務しているだけで、「近寄るな」「(集まりや習い事に)来ないで欲しい」「(美容院などの)予約を受けられない、しばらく利用を控えて欲しい」「一緒にエレベーターに乗るのが怖い」などの扱いや暴言を受けた。・保育園などに子供の預かりを拒否され、新型コロナの対応に当たっていないことを説明しても聞き入れられず、仕事を休むことを強いられた。・勤務先医療機関に初めて新型コロナ患者が入院した際、ほかの通院患者から「自分の家族は大丈夫なのか。何かあったら責任を取ってもらう」と言われた。・病院職員に陽性者が出たため、PCR検査を受けた。陰性だったが、自宅待機をしていたところ、近隣住民から電話が殺到、嫌がらせのようなものもあった。・買い物に行くと、知人である従業員から「何しに来たの?早く帰って」と言われた。・感染拡大地域から通勤していることで、同僚から避けられ、車が県外ナンバーであることで肩身の狭い思いをすることがあった。《具体的な事例3:医療機関》・「診療・検査医療機関」であることが県ホームページに掲載されると、受診患者数が大きく減少した。・近隣医療機関で新型コロナ患者が出たことを受け、「(当院でも)患者が出た」「スタッフが感染している」など、SNSに誤った情報を書き込まれた。・病院敷地内にユニットハウスを建て、発熱外来として利用していると、近隣住民から「窓を開けるな」など、クレームがあった。・医療機関に勤務していることを職員の家族らが心配し、職員の退職の原因となった。・「お前らのせいで学校が再開できなくなった。どうしてくれるんだ」「感染拡大の責任を取れ」「職員を外出させるな」「職員の住んでいる場所を教えろ」など、恫喝めいた問い合わせがあった。《具体的な事例4:医療従事者の家族》・子供が「学校に来てもいいのか?お母さんは看護師だろ?」と言われるだけでなく、本人が新型コロナに感染しているかのような扱いを受けた。・医療従事者の子供というだけで、別室保育や別室授業などの対応をされたほか、登園や登校をしばらく控えるように要望された。・子供の地域活動(友達付き合い、習い事、クラブ活動など)が、直接的・間接的に拒否され、子供が精神的に不安定となった。・家族が新型コロナを診療している医療機関に勤務しているため、親のデイサービス利用が断られたり、取引先から「取引を止める」と言われたり、会社内で「お前の家族はコロナじゃないのか」「お前も感染してるんじゃないのか」と言われた。 このように、新型コロナウイルス感染症に対する過剰な心配と思われる事例が多く見られた。中には、家族や親戚から交流を避けられるといった事例も散見され、医療従事者が精神的にも大きなダメージを受けていることが心配される。城守氏「風評被害というよりも“いわれなき差別”」 風評被害への対応としては、「不安で通院できないといった問い合わせがあった際は、保健所の指導の下、感染対策をしっかり行っているので安心して通院してほしいと説明した」「慢性疾患により定期的な通院が必要な患者には個別に連絡し、病院内では感染対策を行っていること、定期的な受診が重要であることを説明した」「周辺住民を対象に勉強会を開催し、正しい情報が広まるよう努めた」など、その多くが繰り返し丁寧に説明し、医療従事者・医療機関への理解を求めていた。 城守氏は、「全国規模で風評被害が発生していることが明らかとなった。中には、医療従事者に対する“いわれなき差別”とも言える事例が多く見られ、由々しき事態であると考えている。国に対しても何らかの早急な対応を求めたい」と述べた。なお、被害状況に地域差などは見られず、報告がなかった県は7つほどあったという。調査概要1.名称:新型コロナウイルス感染症に関する風評被害の緊急調査2.目的:令和2年度第2回都道府県医師会長会議(2020年11月17日開催)で新型コロナウイルス感染症に関する医療従事者などへの風評被害について問題提起されたことを受けて、日本医師会として医療従事者などに対する風評被害の実態を把握し、その結果を基に、医療の最前線で奮闘している医療従事者の置かれている状況について、国民に理解を求める。3.対象:2020年10月1日~12月25日までに各地域で起こった風評被害4.内容:風評被害の対象者(医療機関、医師、医師以外の医療従事者、医療従事者の家族、その他)、具体的事例、対応策5.方法:都道府県医師会の協力のもと、各地域の被害状況について調査し、その結果を、2021年1月15日を期限としてメールで回答いただいた。6.回答:47都道府県医師会すべてより回答(総回答数698件)

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【GET!ザ・トレンド】変わる多発性硬化症診療

多発性硬化症(MS)治療薬の開発が目覚ましい。2000年に再発抑制薬(疾患修飾薬:DMD)としてインターフェロンが登場し、病状・病態の進展抑制が注目されるようになった。その後もたくさんのDMDの開発が進み、近々B細胞除去薬の登場も期待されている。そこで神経内科以外の先生方が読まれることを念頭に、MS診断の要点と今後期待される治療について概説したい。診断のコツわが国におけるMS患者は増加の一途をたどっており、現在国内における推計患者数はおよそ1万8000人である。以前から発症リスクは女性の方が高いと言われてきたが、近年では男性1に対し女性3まで増えているという。若年成人,特に20~30代の発症が多く、つまり典型的な患者像は、「出産年齢の女性」となろう。MSを疑うべき症状は多様である。典型的な症状(障害部位)としては、視力障害(視神経)、複視(脳幹)、ふらつき(小脳)、手足の痺れや痛み、脱力(脳及び脊髄)などを挙げ得るが、排尿障害や認知機能障害も見逃したくない。初診時に注意深く聞き出したいのが、「神経症状の既往」である。数年前までさかのぼり、同様の症状がなかったか問診する。たとえ患者さんが「今回初めて」と言っても鵜呑みにはしない。また問診の結果、同じような症状はなかったことが明らかになった場合でも、他の神経症状の既往の有無を尋ねる。その際には、必ず具体的な症状を挙げながら問診するようにする。また「ウートフ現象」の有無も確認する。「ウートフ現象」とは、「体温上昇に伴う一過性の症状増悪」である。MS患者ではこの症候が認められることが多い。入浴後や外気温が高い時期の痺れや脱力、一過性の視力低下が多い。このような症状からMSを疑い、MRI撮像や髄液検査を行う。MSの分類MSは大別すると「再発寛解型」(増悪と寛解を繰り返す)と「1次性進行型」(はじめから症状は徐々に進行)、「2次性進行型」(後出)の3タイプに分けられる。うち、MS初期に分類されるのは「再発寛解型」と「1次性進行型」だが、日本では9割以上が「再発寛解型」である。なお「再発寛解型」の数割は「2次性進行型」(徐々に症状が増悪。ただし、途中、再発や進行が停止する時期があっても良い。)へ進展する。再発寛解型MSに対する治療には、現在6種類のDMD、すなわち、グラチラマー酢酸塩、インターフェロン(IFN)β-1b、IFNβ-1a、フマル酸ジメチル、フィンゴリモド、ナタリズマブ、が使用可能である。また、最近、二次性進行型に対するDMD,シポニモドが承認された。これらの薬剤は併用することはないため、疾患活動性や患者のライフプラン等を考慮し、適切な薬剤を選択する必要がある。早期からの疾患活動性抑制が重要まず疾患活動性の高いMSでは、早期から再発抑制効果の高いDMD使用を考慮する。そのような例では、転帰が不良だからである [Leray E et al. Brain 2010; 133: 1900] 。早期治療開始の有用性を示すエビデンスとしては、EDSS 4.0に到達する期間が、診断1年以内にDMDを使用した群の方が、3年以上経過してから使用した群よりも有意に長かったとの報告がある[Kavaliunas et al., Mult Scler. 23: 1233-1240, 2017]。さらに、大規模な前向き観察研究において、早めにDMDを、特にグラチラマー酢酸塩やインターフェロンよりもより強力なフィンゴリモドやナタリズマブといったDMDを使用することで、その後の二次性進行型への移行を有意に抑えられたと報告されている[Brown et al., JAMA. 321: 175-187, 2019]。ただし有効性の高い薬剤は、有害事象リスクも高いことが多いので、症例ごとにリスク・ベネフィットをよく見極める必要がある。臨床所見だけで治療効果を評価しないさて再発寛解型に対するDMDの有効性評価には、臨床所見に加え、MRI所見も必須である。臨床上再発が抑制されているにもかかわらず、MRI上で病巣が増加・拡大している患者は決して珍しくない。そしてMS初期のMRI上病変増加や脳萎縮は、ボディーブローのようにMS患者の長期予後に悪影響を及ぼす。事実、MS初期のMRI上病変数は、約15年後の2次性進行型MSや身体障害のリスクであるとされる[Brownlee WJ et al. Brain. 2019; 142: 2276] 。したがってDMD使用下で臨床的な増悪を認めなくとも、半年に1回はMRIで評価すべきである。進行性多巣性白質脳症(PML)リスクのあるDMDを用いているならば、3~6カ月に1回が望ましい。加えて、患者の希望や疾患活動性がないとの判断によりDMDを使用しない患者においても、6カ月~1年に1回は必ずMRIで定期的に病巣を評価する。再発まで放置した結果、MRI上の病巣が著明に増加していたというケースも経験している。患者にMRI上の病巣を見せ、増加の可能性を説明し、目の前で次回MRIの予約を入れる。こうすれば薬剤処方の必要がない患者でも、次回来院の可能性は飛躍的に高くなる。なお、個人的には、認知機能の経時的評価も必要ではないかと考えている。タブレットを用いた簡便な検査方法が開発されているので、余裕があれば評価していただきたい。新しい治療薬「B細胞をターゲットとした治療薬」の可能性海外では現在、B細胞除去薬であるオクレリズマブが広く用いられている。しかし、わが国に導入の予定はない。同じくB細胞除去薬であるリツキシマブも、スウェーデンでは適用外使用だがMSに汎用されており、その有用性が報告されている[Granqvist M et al. JAMA Neurol. 2018; 75: 320] 。わが国では、現在、慢性リンパ性白血病に用いられているB細胞除去薬オファツムマブが、近々使用可能になると言われている。MS例におけるオクレリズマブの再発抑制作用はナタリズマブと差がないと報告されており[Lucchetta RC et al. CNS Drugs. 2018; 32: 813] 、同じB細胞除去薬であるオファツムマブの効果にも注目したい。ただしオクレリズマブ同様、オファツムマブも感染症リスクへの注意は必要であろう。なお、ナタリズマブは近時、投与間隔を標準的な4週間よりも長くとる "Extended Infusion Dosing" (EID)を用いると、PMLリスクが低減すると報告されており[Ryerson LZ et al. Neurology. 2019; 93: e1452]、抗JCウイルス抗体陽性患者へのナタリズマブ投与の際には、検討の価値はあると思われる。後遺症への薬剤も開発中現在、MSを完治し得る薬剤は、開発の糸口さえ見つかっていない。そのため上記のようにDMDの開発が盛んだが、それに加え、後遺症軽減を目指した薬剤の開発も進んでいる。その一つが、MSで障害された神経再生を介して後遺症の軽減を目指す薬剤である。先行していたLINGO-1(神経再生阻害因子)阻害剤であるオピシヌマブ(opicinumab)は、残念ながら、第二相試験で神経修復作用にプラセボと有意差を認めなかったが [Cadavid D et al. Lancet Neurol. 2017; 16: 189] 、LINGO-1以外に介入する神経再生薬の開発も進んでおり、今後の成果を待ちたい。最後にMSはすぐに生死に直結する疾患ではない。しかしながら若年発症が多いこともあり、患者さんの人生にとってはかなりの重荷である。したがって、診断・治療に難渋、あるいは迷った場合は、いたずらに経過観察することなく、遠慮せず専門医に相談、紹介していただければ幸いである。

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腰が抜けた!【Dr. 中島の 新・徒然草】(360)

三百六十の段 腰が抜けた!「1月行った、2月逃げた、3月去った」とはよく言ったもの。月日が経つのは速いですね。もう2月になってしまいました。さて、先日のこと。認知症で他院に通院中の80歳代女性。頭部MRIを撮影したら未破裂脳動脈瘤が見つかったとのこと。慌てて当院の脳外科外来に紹介されてきました。息子さん同伴の受診ですが、肝心のMRIは家に忘れてきました。御本人は虚ろな目で床を見ているだけなので、もっぱら息子さんに説明します。診療情報提供書には、動脈瘤の直径は2ミリとあります。そのサイズなら年齢からしても、まずは手術せずに様子をみることがほとんどです。手術しないからといって「では、さようなら」と言われたら不安ですよね。なので、半年後くらいに経過観察のMRIを撮影してサイズを観察しましょう。そのように説明すると、息子さんは「是非そのようにお願いします!」とのこと。患者さん本人は床を見つめたまま一言もしゃべらず。あと、認知症ですが、別の病気が原因で調子が悪いこともあります。たとえば甲状腺機能低下症とかビタミン不足とか、ですね。おそらく紹介元でチェックされているとは思いますが、今後のこともあるので、当院でも調べておきましょう。そう説明すると、息子さんは「是非ともお願いします!」とのこと。御本人は相変わらず沈黙のまま。本日帰りに採血しておいていただき、2週間後の再診で結果の説明をしましょう。その時には本日忘れてきたMRIと、できればお薬手帳も持ってきてください。患者さんが来院するのが大変なら、息子さんだけでもいいですよ。御本人は床を見つめたままピクリとも動きません。ここまで進行してしまうと病院に連れてくるのも一苦労だったと思います。そんなところでいいでしょうか?紹介元の先生には私の方から返事を郵送しておきます。完全に患者さん本人を無視して話を進めてしまったので、ちょっと罪悪感が湧いてきました。形だけでも声を掛けておかなくては。中島「じゃあ〇〇さん、よく調べておきましょうね」○○さん「先生、よろしくお願いします」どわあ!しゃ、しゃべった!!中島「と、とにかくですね。け、検査の方を……」○○さん「結果が良かったらいいのですけど」ちょ、ちょっと待って。ついて行かれへん、この状況に!さっきの床を見つめていた虚ろな目はどこに行ったんですか?息子さん「じゃあ帰ろか」○○さん「うん」どこも悪くなさそう。ひょっとして壮大なギャグをかまされたんか、俺は?大阪のオバちゃんなら、やりかねん。でも、本人も息子さんも極めて真剣です。動揺を隠しつつ、私も平静を装いました。中島「ではお大事になさってください」これ、便利な言葉ですね。どんな状況でも使えます。それにしても何だったのか、あれは。とにかく、認知症については紹介元が診ているわけですから、私ごときが口を挟むのはもうやめておきます。それにしても驚いた。まるで、マネキンのふりした人が急に動き出すドッキリみたいな体験です。何事も先入観はいけません。改めて肝に銘じました。最後に1句春風に 眠り覚ました 認知症

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パンデミック再び、ICUで苦悩するコロナ治療・その2【臨床留学通信 from NY】第17回

第17回:パンデミック再び、ICUで苦悩するコロナ治療・その2前回でも書きましたが、レジデントのローテーションで、12月上旬から中旬にコロナの第2波がニューヨークにやってきたタイミングでICU勤務をしました。そこでは、4月のパンデミック時と何も変わっていない、コロナという病気で重症化してしまうと本当に打つべき手がないということを実感しました。レムデシビルは軽症であれば効くのかもしれませんが、重症になってしまうとウイルスそのものより全身の炎症がメインであり、もはや効かない印象です1)。当院はECMOがないため、必要があれば他院への転院となりますが、100%酸素の人工呼吸器設定で酸素飽和度が80%辺りになると、残るは腹臥位に変えるかどうかくらいですが、医療従事者数人がかりでコロナ患者の体位を変えるのは本当に大変です。有効性ははっきりしないものの、どうしようもない低酸素の人に対し一酸化窒素を使うこともあります2)。RCTでは当初否定的でしたが、回復期血漿療法は継続して使用しており、最近になってNEJMに有効性を証明した論文が発表されました3、4)。トリシズマブに関しては、ネガティブスタディが出たこともあって第1波のころと異なりこの冬は下火となっていましたが5)、Mount Sinaiから人工呼吸器治療を受けていない患者であれば人工呼吸器もしくは死亡を回避する可能性が高いというデータが発表された6)ため、プラクティスが再び変わるかもしれません。サンクスギビング後の第2波は、2020年末にかけて一気に増えることはありませんでしたが、病院としてはクリスマス後や年始の増加に備え、いつでもICUを増やせる体制で臨みました。そんな訳で、レジデントとして最後のクリスマスと年末年始は、ICUで休みなしの勤務となりました。勤務は朝7時から夜7時半までをロングコール、朝7時から夕方4時前後までをショートコール、夜間7時から朝7時半~9時までをナイトフロートと呼び、それらをレジデント4人によるシフトで回し、計16人のICU患者をカバーしました。シフト制とはいえ、例えばロングコールをした後、24時間の休憩後にナイトフロートを3~4日連続勤務し、24時間弱の休憩を挟んで昼間のシフトに戻ったりするので、体力的にかなりつらく、ナイトフロート中は実質寝られません。卒後1年目のインターンが患者の約半分ずつを担当し、私はレジデントとして彼らを管理・監督をします。Physician AssistantたちもICU管理のために専門的に教育されてはいますが、慣れ・不慣れの程度が人によって異なるため、彼らを監督しなければいけないこともあります。日中はアテンディングと呼ばれる指導医の人が1人ずつ回診していくのですが、朝8時過ぎから昼の12時、場合によっては13~14時近くまで行ったうえ、患者1例ずつディスカッションをして治療方針を決めていきます。1症例ごとプレゼンテーションするのはインターンの役目ですが、それをうまくできるようにサポートする必要があります。どうしても重症な症例が多いので時間が掛かり、その合間にも容赦なくICU入院者が来るため、そこをいかにまとめるかがレジデントの仕事となります。参考1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32827627/2)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33347987/3)https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2033700?query=featured_home4)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33232588/5)https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa20288366)https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2030340?query=featured_homeColumn画像を拡大する私はICU配属だったこともあり、医療従事者の中でも比較的早い1月7日に2回目のワクチンを接種しました。さらにわれわれの施設では、1月11日から高齢者や教職員、交通機関の職員に対してもワクチン接種を開始したのですが、供給不足となってしまって一時中止しています。一刻も早くパンデミックからの収束を願います。写真は、昨年末に撮影したロックフェラーセンターのクリスマスツリーです。今年は“密”を避けるため、遠目からの観賞となりました。

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第43回 病床協力だけでは見えないコロナ診療の実情

感染症法改正などの議論で、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れに応じない病院に対し、病院名公表などの措置が検討されたり、大阪府の吉村 洋文知事が「民間でコロナを受け入れている病院の比率が低い」と発言したりするなど、民間病院に対する風当たりが厳しい。こうした「患者受入登録」だけで病院が評価されることに疑問を持った大阪府保険医協会は1月26日、民間病院のコロナ患者受け入れ状況を把握するため、府内全病院を対象に実施した緊急アンケートの結果を公表した。それによると、府の要請に応じて病床登録した民間病院は1割程度だった。その理由をひも解くと、「病院の構造的な問題」や「専門スタッフがいない」など物理的・人的な問題が浮かび上がった。一方、未登録であっても何らかの形でコロナ患者に対応している病院があることも明らかになった。未登録の民間病院もコロナ患者に対応大阪府保険医協会は1月19日、府内484病院を対象にアンケートを実施。1月26日現在、132施設から回答を得た。このうち、民間病院は122施設から回答があった。コロナ患者の受け入れ病床の状況については、府が昨年12月に各1~2床の確保を要請した108施設中40施設が回答。その結果、病床を登録したのは5施設(12.5%)にとどまった。登録しない理由(複数回答可)として、「動線確保や個室の数など病院の構造上の問題」(30施設)、「感染症専門スタッフがいない・少ない」(26施設)、「重症化した際の転送先に不安がある」(21施設)などが挙がった。一方、コロナ患者への対応についての実績・経験を尋ねたところ、いずれも未登録の民間病院79施設が、コロナ患者の入院受け入れや軽快後の後方病床を担うなど、何らかの形でコロナ患者を受け入れていることもわかった。病院が悪者にされ現場の士気が保てない自由回答では、「公立病院などでコロナ患者を受け入れている分、コロナ患者以外の疾患を民間病院が担ってくれている」(コロナ患者を受け入れている公立病院)、「頑張っている病院が悪者にされ、現場の士気が保てない」(コロナ患者を受け入れている民間病院)、「コロナ病床が埋まっている限り、通常の2次救急ができなくなっている」(コロナ患者の受け入れを要請されている民間病院)などの意見が寄せられた。大阪府保険医協会は「民間病院攻撃に繋がるような国や大阪府の方針や情報発信は、国民と医療機関に責任を転換し、さらに国民に“分断”を持ち込みかねないもので看過できない。国や大阪府は、これまでの政策の過ちを真摯に受け止め、十分な補償と情報提供、新型コロナウイルス感染防止対策への国民・府民の主体的・積極的参加を促す政策をとるよう、強く要望する」とコメントした。今回のアンケート結果からもわかるように、コロナ患者の受け入れ人数のみで評価するのは、あまりに問題の捉え方が表面的過ぎるということだ。コロナ以外の疾患診療や、軽快後の後方病床も重要な役割である。コロナ診療の最前線に立たない医療者、機関への逆風を煽るような行政のやり方では、直面する医療崩壊やひっ迫状況の打開に到底なり得ない。

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日本におけるCOVID-19第2波によるうつ病リスク

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる社会的混乱は今も続いており、これが国民の社会的抑制につながっている。北里大学の深瀬 裕子氏らは、COVID-19によるメンタルヘルス関連のリスク因子を明らかにし、具体的な対処方法について検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年1月12日号の報告。 日本でCOVID-19の第2波が起こっていた2020年7月に、Webベースの調査を実施した。人口統計、こころとからだの質問票(PHQ-9)、怒りの状態、怒りのコントロール、コーピング尺度(Brief COPE)を測定した。設定変数によるPHQ-9スコアの多変量ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象者2,708人のうち、18.35%がうつ病であった。・ロジスティック回帰分析では、抑うつ症状発症の予測因子は、以下のとおりであった。●基礎疾患あり(オッズ比[OR]:1.96、95%信頼区間[CI]:1.32~2.92)●無職(OR:1.85、95%CI:1.22~2.80)●マイナスの経済状況の経験(OR:1.33、95%CI:1.01~1.77)●怒りの状態(OR:1.17、95%CI:1.14~1.21)●怒りのコントロール(OR:1.08、95%CI:1.04~1.13)・一方、抑うつ症状発症のORが1未満であった因子は以下のとおりであった。●年齢が高い(OR:0.97、95%CI:0.96~0.98)●世帯収入800万円以上の高収入(OR:0.45、95%CI:0.25~0.80)●既婚(OR:0.53、95%CI:0.38~0.74)・対処戦略と抑うつ症状との関連について、ORは以下の順であった。●プランニング(OR:0.84、95%CI:0.74~0.94)●機器的サポートの利用(OR:0.85、95%CI:0.76~0.95)●自粛(OR:0.88、95%CI:0.77~0.99)●行動の放棄(OR:1.28、95%CI:1.13~1.44)●自己非難(OR:1.47、95%CI:1.31~1.65) 著者らは「日本ではロックダウンは行われなかったが、COVID-19パンデミックに伴う長期的な心理的苦痛によって、抑うつ症状の有症率は、パンデミック前の2~9倍に増加した。社会的混乱への対処または回避する方法を、1人または他者と実践することは、メンタルヘルスの維持に役立つが、人口統計的影響が対処戦略より強く、高リスク因子を有する人への治療が求められる」としている。

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脈拍触知不能後の心臓活動再開率は14%、4分後に再開例も/NEJM

 生命維持措置を停止し脈拍触知不能後に、少なくとも1サイクルの心臓活動の一過性の再開が、心電図・血圧波形の後ろ向き解析で認められた患者は14%で、同様の再開率は、ベッドサイドの医師の前向き観察でわずかに1%確認されるにとどまったことが示された。カナダ・Children’s Hospital of Eastern OntarioのSonny Dhanani氏らが、これまで臓器提供に関して心停止後の脈拍触知不能時間は最短でもどれくらい必要なのか、十分な研究はされていなかったことから、631例を対象に前向き観察試験を実施。試験では、脈拍触知不能後の心臓活動の再開までの最長経過時間は4分20秒だったことも明らかにされた。NEJM誌2021年1月28日号掲載の報告。3ヵ国20ヵ所のICUで前向き観察試験 研究グループは3ヵ国20ヵ所(カナダ16、チェコ3、オランダ1)の集中治療室で、生命維持措置を計画どおりに停止し死亡した成人について、前向き観察試験を行い、心臓の電気活動と拍動活動の再開率と、そのタイミングについて検証した。 被験者について、死亡判定後30分間にわたりモニタリングを行うとともに、ベッドサイドで医師が心臓の活動再開を前向きに報告した。 血圧と心電図(ECG)波形を記録するとともに、後ろ向きレビューでベッドサイドの観察結果を確認およびその他の心臓の活動再開の有無を調べた。最後のQRS波が最後の動脈拍動と一致は19% 1,999例がスクリーニングを受け、そのうち631例が試験対象として包含された。 臨床的に報告された心臓活動や呼吸運動、またはその両者について、波形解析で確認されたのは5例(1%)だった。 480例を対象にECGと血圧の波形を後ろ向きに解析したところ、脈拍触知不能後に心臓活動の再開が認められたのは67例(14%)だった(ベッドサイドの医師により報告された5例を含む)。 脈拍触知不能後、心臓活動の再開までの最長経過時間は4分20秒だった。最後のQRS波の発生が最後の動脈拍動と一致していたのは19%だった。

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TIA発症後90日脳卒中リスク、時代とともに低下傾向/JAMA

 米国における1948~2017年の一過性脳虚血発作(TIA)の推定罹患率は1.19/1,000人年であり、脳卒中リスクは、TIA罹患者がTIA非発症者との比較において有意に高かった。一方でTIA後90日の脳卒中リスクは時代とともに低下しており、2000~17年では1948~85年に比べ有意に低下していた。TIAとその後の脳卒中リスクとの関連を正確に推定することは予防への取り組みを改善し、脳卒中の負荷を限定的なものとすることに役立つとして、米国・ハーバード大学医学大学院のVasileios-Arsenios Lioutas氏らが、フラミンガム心臓研究の参加者約1万4,000例のデータを解析し明らかにした。JAMA誌2021年1月26日号掲載の報告。TIA初発群と非発生対照群の脳卒中リスクを検証 研究グループは、住民ベースのTIA罹患率とTIA後の長期にわたる脳卒中リスクの傾向を明らかにするため、フラミンガム心臓研究の参加者データを解析評価した。 参加者のうち、ベースラインでTIAや脳卒中の既往がない1万4,059例のデータを、1948年~2017年12月31日まで前向きに追跡。TIA初発群と、年齢・性別で1対5の割合で適合したTIA非発生群を比較検証した。 主なアウトカムは、TIA罹患率、TIA後の短期(7日、30日、90日)・長期(1~10年超)の脳卒中発生割合、TIA後の脳卒中発生vs.適合対照群の脳卒中発生、3期間(1948~85年、1986~99年、2000~17年)を比べたTIA後90日時点の脳卒中リスクの時間的傾向だった。TIA後の脳卒中発生までの期間中央値は1.64年 1万4,059例を対象とした66年(36万6,209人年)の追跡において、TIAを呈したのは435例だった。うち女性は229例(平均年齢73.47[SD 11.48]歳)、男性は206例(70.10[10.64]歳)。TIA非発生の適合対照群として2,175例を特定し比較検証した。 TIAの推定罹患率は1.19/1,000人年だった。TIA後の中央値8.86年の追跡期間中、130例(29.5%)の脳卒中が報告された。そのうちTIA後7日以内の発生は28件(21.5%)、30日以内は40件(30.8%)、90日以内は51件(39.2%)、1年以上は63件(48.5%)で、TIA後の脳卒中発生までの期間中央値は1.64年(四分位範囲:0.07~6.6)だった。 年齢・性別で補正後の脳卒中10年累積発生率は、TIA初発群は0.46(95%信頼区間[CI]:0.39~0.55、130件/435例)、適合対照群は0.09(0.08~0.11、165件/2,175例)で、完全補正後ハザード比(HR)は4.37(95%CI:3.30~5.71、p<0.001)だった。 1948~85年のTIA後90日脳卒中発生率は16.7%(26件/155例)、1986~99年の同発生率は11.1%(18件/162例)、2000~17年の同発生率は5.9%(7件/118例)だった。第1期(1948~85年)と比較した脳卒中発生の90日リスクに関するHRは、第2期(1986~99年)は0.60(95%CI:0.33~1.12)、第3期(2000~17年)は0.32(95%CI:0.14~0.75)で、時代とともに低下している傾向が認められた(傾向に関するp=0.005)。

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