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FDA、再発/難治性大細胞型B細胞リンパ腫の新CAR-T療法lisocabtagene maraleucelを承認/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年2月5日、米国食品医薬品局(FDA)が、原発性中枢神経系リンパ腫を除く、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)非特定型(インドレントリンパ腫に起因するものを含む)、高悪性度B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、およびグレード3B濾胞性リンパ腫を含む、2種類以上の全身療法による治療歴を有する再発または難治性(R/R)の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の成人患者の治療薬として、CD19を標的とするCAR-T細胞療法のliso-cel(lisocabtagene maraleucel、海外商品名:Breyanji)を承認したと発表。 liso-celは、あらかじめ定められた成分と4-1BB共刺激ドメインを有するCD19を標的とするCAR T細胞療法。3次治療以降のLBCLリンパ腫を対象とした最大のピボタル試験であるTRANSCEND NHL 001試験において、73%の奏効割合率および54%の完全奏効(CR)割合を示した。

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「新型コロナワクチンについて 第1版」を公開/国立感染研

 国立感染症研究所が、「新型コロナワクチンについて 第1版(2021年2月12日現在)」を公開した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの国内での接種開始にあたり、現在得られている知見を概要としてまとめたもの。これまで見つかっている3種類の変異株への効果についても考察されている。 本ページには、以下の内容が引用文献とともに掲載されている。・新型コロナウイルスの感染成立のメカニズムについて・日本で使用が検討されている3つの新型コロナワクチンの種類、組成、ベクターについて・海外での臨床試験における評価項目、臨床試験成績について・有効性の持続期間と今後の接種スケジュールの展望について・新規変異株に対するワクチン有効性について

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肥満症へのセマグルチド皮下注、平均体重変化率14.9%減/NEJM

 過体重または肥満の成人に対し、GLP-1受容体作動薬セマグルチド2.4mgの週1回皮下投与とライフスタイルへの介入は、持続的で臨床的意義のある体重の減少と関連することが示された。英国・リバプール大学のJohn P. H. Wilding氏らが、アジアや欧州、北米、南米の16ヵ国129ヵ所の医療機関を通じて、1,961例を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。肥満は世界的な健康課題で薬物治療のオプションは少ないが、今回の試験では、68週後の体重は平均約14.9%減少し、86%の被験者で体重が5%以上減少したことが報告された。NEJM誌オンライン版2021年2月10日号掲載の報告。BMI 30以上またはBMI 27以上+併存疾患の成人を対象に試験 研究グループは2018年6月~11月に、BMI 30以上(またはBMI 27以上で体重関連の併存疾患が1つ以上あり)で、非糖尿病の成人1,961例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、セマグルチド(2.4mg)またはプラセボの週1回皮下投与とライフスタイルへの介入を68週間行った。 主要エンドポイントは2つで、体重の変化と体重5%以上減少の達成率だった。主要推定値(同臨床試験の目的を反映する正確な説明)として、治療中断や救急介入実施の有無を問わない治療効果を評価した。セマグルチド群の過半数が体重15%以上減少 被験者の94.3%が試験を完了、91.2%が68週時点で体重の評価を受けた。救急介入はセマグルチド群で7例(肥満手術2例、その他の肥満薬物治療5例)、プラセボ群で13例(同3例、10例)が受けた。ベースラインの人口統計学特性は両群で類似しており、被験者の大半は女性(74.1%)で、平均年齢は46歳、平均体重は105.3kg、平均BMIは37.9、平均腹囲は114.7cmで43.7%が前糖尿病だった。 ベースラインから68週までの平均体重変化率の推定値は、プラセボ群-2.4%に対しセマグルチド群-14.9%で、推定治療群間差は-12.4ポイント(95%信頼区間[CI]:-13.4〜-11.5、p<0.001)だった。 68週時に体重5%以上の減少を達成したのは、セマグルチド群1,047例(86.4%)vs.プラセボ群182例(31.5%)で、10%以上の達成はそれぞれ838例(69.1%)vs.69例(12.0%)、15%以上の達成は612例(50.5%)vs.28例(4.9%)と、いずれもセマグルチド群で有意に高率だった(すべてのp<0.001)。 ベースラインから68週までの体重変化は、プラセボ群が-2.6kgに対しセマグルチド群は-15.3kgだった(推定治療群間差:-12.7kg、95%CI:-13.7~-11.7)。 セマグルチド群の被験者はプラセボ群の被験者と比べて、ベースラインからの、心血管の代謝に関する改善が大きく、また被験者自己申告の身体機能の増大も大きかった。 有害事象で最も多くみられたのは、悪心、下痢だったが、いずれも一時的で軽度〜中等度であり、時間の経過とともに沈静化した。なお治療中断率は、プラセボ群0.8%(5例)に対し、セマグルチド群が4.5%(59例)と高率だった。

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HCVワクチン第I/II相試験、慢性感染への予防効果認めず/NEJM

 C型肝炎ウイルス(HCV)に対する2種の遺伝子組み換えワクチンを接種するワクチンレジメン戦略について、重篤な有害事象は起きずレジメンの安全性は確認され、HCV特異的T細胞反応とHCV RNAピーク値の低下は認められたことが示された。一方で、HCVの慢性感染に対する予防効果は認められなかった。米国・ニューメキシコ大学のKimberly Page氏らが、第I/II相無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。HCV感染症に対しては、現在、安全で有効な治療法があるが、注射器で薬物を使用するHCV感染者がHCVの治療を求めることはまれであるという研究が示されており、HCV感染症を撲滅する取り組みにおいては、HCVの慢性感染を予防する安全で有効なワクチンが重要な要素になる。試験の結果を踏まえて著者は、「世界的な制御を成功させるには、HCV感染症予防のための他の戦略、スクリーニングおよび治療に加えて、予防的なワクチンが必要になるだろう」と述べている。NEJM誌2021年2月11日号掲載の報告。0日目、56日目に接種するワクチンレジメン 今回の検討では、HCVの感染リスクが高いが感染不明者へのワクチン接種の安全性を評価すること、およびワクチンレジメンがプラセボよりもHCV慢性感染に有効かどうかを確認することを主な目的とした。副次目的として、ワクチンの免疫原性を評価した。 研究グループは、2012~18年にジョンズ・ホプキンズ大学、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、ニューメキシコ大学で、無作為化前90日以内に薬物注射歴があるHCV感染不明の健康成人(18~45歳)548例を対象に試験を実施。遺伝子組み換えチンパンジーアデノウイルス3型ベクター(ChAd3)のプライミングワクチン接種と、遺伝子組み換え改変ワクシニアアンカラ(MVA)のブースター接種のワクチンレジメンについて検討した。両ワクチンは、HCV非構造蛋白をコード化したものだった。 被験者を無作為に2群に分け、0日目と56日目に一方には前述のワクチンを、もう一方にはプラセボを接種した。 安全性の主要エンドポイントは、ワクチン関連の重篤な有害事象、重度の局所または全身性の有害事象、臨床検査値で認められる有害事象だった。有効性の主要エンドポイントは、HCV慢性感染で、6ヵ月持続するウイルス血症と定義した。per-protocol集団で両群のHCV慢性感染はいずれも14例 548例(78%が男性、61%が白人)は、ワクチン接種群、対照群それぞれ274例に無作為に割り付けられた。 HCV慢性感染の発生率について、両群に有意差は認められなかった。per-protocol集団(ワクチン群261例、プラセボ群259例)でHCV慢性感染が認められたのは、両群とも14例だった(ワクチン群vs.プラセボ群のハザード比[HR]:1.53[95%信頼区間[CI]:0.66~3.55]、ワクチン有効性:-53%[95%CI:-255~34])。 修正intention-to-treat集団(ワクチン群256例、プラセボ群257例)では、HCV慢性感染が認められたのは、ワクチン群19例、プラセボ群17例だった(HR:1.66[95%CI:0.79~3.50]、ワクチン有効性:-66%[95%CI:-250~21])。 一方、感染後HCV RNAのピーク値幾何平均には、ワクチン群とプラセボ群で差が認められた(それぞれ、152.51×103 IU/mL、1,804.93×103 IU/mL)。また、HCVに対するT細胞反応は、ワクチン群では78%で検出された。 重篤な有害事象の発現頻度は、両群で同程度だった。

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肺血栓塞栓症はCOPD増悪の原因と考えてよいか?(解説:山口佳寿博氏)-1355

 まず言葉の定義から考えていく。COPDの分野にあって、“急性増悪”という言葉が使用されなくなって久しい。現在では、単に“増悪(Exacerbation)”という言葉を使用する。さらに、増悪は“気道病変(炎症)の悪化を原因とする呼吸器症状の急性変化”と定義される(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) 2006以降)。GOLD 2003では、増悪は狭義のもの(一次性原因)と広義のもの(二次性原因)の2種類に分類されたが、GOLD 2006以降では、気道病変(炎症)の悪化を原因とする“狭義の増悪”を“増悪”と定義し、それ以外の原因に起因する“広義の増悪”は増悪ではなく“増悪の鑑別診断/修飾因子”として考慮することになった(肺炎、肺血栓塞栓症、気胸、胸部外傷、胸水、心不全/不整脈、麻薬/鎮静剤、β blocker。GOLD 2011以降では、麻薬/鎮静剤、β blockerが鑑別から除外)。増悪の定義が厳密化されたのは、増悪様症状を示した症例のうち80%以上が感染性(気道感染)、非感染性(環境汚染など)による気道炎症の悪化に起因し、それに対してSteroid、抗菌薬を中心とした基本的治療法が確立されたためである。その意味で、肺血栓塞栓症(PTE:Pulmonary thromboembolism)は増悪を惹起する原因ではなく、増悪の鑑別診断となる病態であることをまず理解していただきたい。 COPDとPTEの合併に関しては古くから多くの検討がなされ、COPD患者におけるPTEの合併率は、19%(Lesser BA, et al. Chest. 1992;102:17-22.)から23%(Shetty R, et al. J Thromb Thrombolysis. 2008;26:35-40.)と報告されている。これらのPTE合併頻度は本邦の一般人口におけるPTEの発症頻度(剖検例での検討:無症候性の軽症を含め18~24%)とほぼ同等であり、COPD自体がPTE発症を助長しているわけではない。しかしながら、原因不明のCOPD増悪(一次性原因と二次性原因を含む)症例を解析した論文では、その3.3%(Rutschmann OT, et al. Thorax. 2007;62:121-125.)から25%(Tillie-Leblond I, et al. Ann Intern Med. 2006;144:390-396.)にPTEの合併を認めたと報告された。本論評で取り上げたCouturaudらの論文では、COPD増悪様症状を呈した症例の5.9%にPTEの合併を認めたと報告されている(Couturaud, et al. JAMA. 2021;325:59-68.)。これら3論文を合わせて考えると、増悪様症状を呈したCOPD患者のうち少なくとも10%前後に、二次性原因としてのPTEが合併しているものと考えなければならない。以上の解析結果は、安定期COPDはPTEの発生要因にはならないが、COPDの増悪様症状を呈した患者にあってはPTEに起因するものが少なからず含まれ、COPDの真の増悪(一次性増悪)の鑑別診断としてPTEは重要であることを示唆する。PTEの合併はCOPD患者のその後の生命予後を悪化させ、1年後の死亡率はPTE合併がなかったCOPD患者の1.94倍に達する(Carson JL, et al. Chest. 1996;110:1212-1219.)。 Couturaudらのものを含め現在までに報告された論文からは、COPDの真の増悪とPTEとの関連を明確には把握できない。COPDの増悪がPTEの危険因子となる、あるいは、逆にPTEの合併がCOPDの真の増悪をさらに悪化させるかどうかを判定するためには、増悪様症状を呈したCOPD患者を真の増悪(一次性原因)とそうでないもの(二次性原因)に分類し、各群でPTEの発症頻度を評価する必要がある。COPDの真の増悪は、一秒量(FEV1)関連の閉塞性換気指標の悪化、喀痰での好中球、好酸球の増加、喀痰中の微生物の変化などから簡単に判定できる。これらの変化は、PTEなどの二次性原因では認められないはずである。以上のような解析がなされれば、COPDの真の増悪とPTE発症の関係が正確に把握でき、COPDの真の増悪がPTE発症の危険因子として作用するか否かの問題に決着をつけることができる。今後、このような解析が世界的になされることを念願するものである。本邦のPTEガイドライン(cf. 10学会合同の『肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症[静脈血栓塞栓症]予防ガイドライン』[2004])では、COPDの増悪がPTEの危険因子の1つとして記載されているが、この場合の増悪がいかなる意味で使用されているのか、再度議論される必要がある。

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第25回 その吐血、緊急内視鏡は必要ですか?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)上部消化管出血を疑うサインを知ろう!2)緊急内視鏡の判断を適切に行えるようになろう!【症例】45歳男性。自宅で洗面器1杯分の吐血を認めたため、両親の運転する車で救急外来を受診した。独歩可能な状態で、その後吐血は認めていない。どのようなマネジメントが適切だろうか?●受診時のバイタルサイン意識清明/JCS血圧128/51mmHg脈拍95回/分(整)呼吸20回/分SpO297%(RA)体温36.0℃瞳孔3/3 +/+既往歴高血圧内服薬定期内服薬なしはじめに吐血を主訴に救急外来を受診する患者さんは多く、救急外来が血の海になることも珍しくありません。バイタルサインの管理、内視鏡のタイミング、輸血のタイミングなど悩んだ経験があるのではないでしょうか?今回はまず押さえておくべき上部消化管出血の管理についてまとめておきます。上部消化管出血を疑うサインとは新鮮血の吐血やコーヒー残渣様の嘔吐を認める場合には、誰もが上部消化管出血を疑うと思いますが、それ以外にはどのような場合に疑うべきでしょうか。黒色便、鉄欠乏性貧血などは有名ですね。救急外来などの外来で見逃しがちなのが、訴えがはっきりしない場合です。脱力など自宅で動けない、元気がない、倦怠感などの主訴で来院した場合には、消化管出血に代表される出血性病変を考えるようにしましょう。その他、急性冠症候群、カリウムやカルシウムなどの電解質異常、そして敗血症や菌血症を考えるとよいでしょう。[失神・前失神を見逃すな]失神は以前に「第13回 頭部外傷その原因は?」でも取り上げましたが、診察時には状態は安定しており重症度を見誤りがちです。しかし、心血管性失神を見逃してしまうと致死的となり得ます。また、出血に伴う起立性低血圧も対応が遅れれば、予後はぐっと悪くなってしまうため必ず出血源を意識した対応が必要になります。ちなみに、前失神は失神と同様に危険なサインであり、完全に意識を失っていなくても体内で起こっていることは同様であり軽視してはいけません。意識を失ったか、失いそうになったかは必ず確認しましょう。緊急内視鏡の適応は?目の前の上部消化管出血疑い患者さんの内視鏡はいつ行うべきでしょうか?ショックバイタルでマズい場合には誰もが緊急内視鏡が必要と判断できると思いますが、本症例のように、一見するとバイタルサインが安定している場合には意外と判断は難しいものです。いくつかの指標が存在しますが、今回は“Glasgow Blatchford score(GBS)”(表1)を覚えておきましょう。GBS≦1の場合には入院の必要性はなく、緊急での対応は一般的には不要です1,2)。前述した通り、失神は重要なサインであり、点数も2点と黒色便よりも高く設定されています。失神を認める上部消化管出血は早期の内視鏡治療が必要と覚えておきましょう。1分1秒を争うわけではありませんが、血圧が普段よりも低めであるが故に止まっているだけですので、処置を行うことなく帰宅の判断はお勧めできません。表1  Glasgow Blatchford score(GBS)画像を拡大するちなみに、Hb値は濃度であり、また早期に変化は認められないため、Hb値が問題ないからと出血はたいしたことないと判断してはいけません。黒色便を認める場合には、数日の経過が経っていることが多く、Hb値も普段よりも低下しています。GBSも2点以上となりますが、即刻内視鏡なのか、24時間以内に内視鏡なのか、より具体的な緊急度は、その他バイタルサインやNSAIDs、抗血栓薬などのリスク因子も考慮し判断します。[抗血栓薬内服中の患者ではどうする?]絶対的な指標はありませんが、頭部外傷患者の対応と同様に、内服しているから緊急かというとそうではありません。しかし、リスクの1つではあるため、具体的な処方薬と用量、内服している理由、効果の評価(PT-INRなど)などと共に慎重な経過観察が必要となります。抗血栓薬を止めるのは簡単ですが、そのおかげで脳梗塞などを引き起こしてしまっては困りますよね。明らかな出血を認めている場合に内服を中止することはもちろんですが、その後の具体的な対応をきちんと決めておく必要があります。GBS以外の有名なリスクスコアに“AIMS65”(表2)がありますが、それにはPT-INRの項目が含まれており、緊急度に関わるとされます3)。また、PT-INRが1.5未満であってもDOAC(Direct oral anticoagulants)内服中の患者では、早期の内視鏡が推奨されています。そのような理由から、抗血栓薬を内服している患者さんでは、早期の内視鏡(24時間以内)を行うのが理想的でしょう。※GBSもAIMS65も覚えるのは大変ですよね。私は“MDCalc”というアプリをスマホに入れて計算しています。表2 AIMS65画像を拡大する現実問題として、夜間や時間外などに来院した患者の内視鏡をすぐに行うのか、一晩様子をみてOKなのかどうかを判断する必要があります。上記の内容を頭に入れつつ、施設毎の対応を構築しておきましょう。消化器内科医師などがいつでもすぐに対応可能な施設であれば、GBS≧2でも輸液や輸血でバイタルサインが安定している場合には一晩待てるかもしれませんが、そうではない場合には、「GBSで◯点以上の場合」、「肝硬変患者の吐血の場合」、「抗血栓薬を内服している場合」には緊急で行うなど、具体的なプランを立てておくとよいでしょう。スコアは絶対的なものではありませんが、GBSやAIMS65などを意識しておくと、確認すべき項目を見落とさなくなるでしょう。失神の有無は前述の通り重要ですし、抗血栓薬などの影響から凝固線溶機能に異常を来している場合には拮抗薬など追加の対応が必要なこともありますからね。最後に、上部消化管出血に伴い緊急内視鏡の判断をした場合には、気管挿管など気道の管理が必要ないかは必ず意識してください。ショックや重度の意識障害は気管挿管の適応であり、バイタルサインが不安定な場合には確実な気道確保目的の気管挿管が必須となります。慌てて内視鏡室へ移動し、不穏になり急変、誤嚥して酸素化低下などは避けなければなりません。救急外来で人数をかけ対応することができればベストですが、どうしても少ない人数で対応しなければならない場合には、確実な気道確保を行い万全の状態で内視鏡を行うようにしましょう。まとめ失神・前失神を伴う上部消化管出血は緊急性が高い!GBSやAIMS65を参考に、患者背景・薬の内服理由も考慮し対応を!緊急内視鏡を行う場合には、気管挿管など気道管理の徹底を!1)Blatchford O, et al. Lancet. 2000;356:1318-1321.2)Stanley AJ, et al. BMJ. 2017;356:i6432.3)Saltzman JR, et al. Gastrointest Endosc. 2011;74:1215-1224.

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「ポタコールR」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第39回

第39回 「ポタコールR」の名称の由来は?販売名ポタコールR輸液一般名(和名[命名法])該当しない効能又は効果○大量出血や異常出血を伴わない循環血液量及び組織間液の減少時における細胞外液の補給・補正○代謝性アシドーシスの補正○熱源の補給用法及び用量通常成人は1回500~1000mLを徐々に静脈内に点滴注入する。投与速度は通常成人マルトース水和物として1時間あたり0.3g/kg体重以下(体重50kgとして本剤500mLを2時間以上)とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌(次の患者には投与しないこと)】高乳酸血症の患者[症状が悪化するおそれがある。]※本内容は2021年2月17日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2012年1月(改訂第7版)医薬品インタビューフォーム「ポタコール®R輸液」2)大塚製薬工場:医療用医薬品情報

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第45回 製薬企業からの奨学寄付金が賄賂に、三重大元教授再逮捕の衝撃

三重大事件、多くの医師が改めて肝を冷やすような展開にこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。2月13日夜の地震には驚きました。東日本大震災から10年経ってこれほど大きな余震が来るとは…。私自身、大きな地震には数回遭遇しています。1978年の宮城県沖地震の発生時には仙台にいました。東日本大震災の翌月、2011年4月に起きた大きな余震の時は気仙沼での取材に向かう途中でした。大きな揺れにはそれなりに慣れているつもりですが、13日のようなあのジワーッと長く続く揺れは、いつ経験してもとても嫌なものです。どこかで大きな災害が起きているのでは、と心配になるからです。近々、大震災10年の取材で再び東北を訪れる予定ですが、東北新幹線の復旧に時間がかかりそうで、どうなることか。今回の余震の被害も拡大しないことを願うばかりです。さて、今回はまた三重大学病院臨床部の事件を取り上げます。「もう三重大事件は飽きたよ」と言われそうですが、製薬企業から奨学寄附金をもらっている多くの医師たちが改めて肝を冷やすような展開になってきたので、情報提供の意味合いも含め、書いておきたいと思います。三重大病院臨床麻酔部元教授、第三者供賄の疑いで再逮捕津地方検察庁は1月27日、小野薬品工業(大阪)が製造・販売する薬剤「オノアクト(ランジオロール塩酸塩)」を多数発注する見返りに、大学の口座に現金200万円を振り込ませたとして、54歳の三重大病院臨床麻酔部元教授を第三者供賄の疑いで再逮捕しました。贈賄の疑いで小野薬品工業の社員2人も逮捕しました。元教授は1月6日、愛知、三重の両県警に第三者供賄の疑いで既に逮捕され、1月27日に津地検に起訴されています。こちらの容疑は2019年8月、病院で用いる生体情報モニターを日本光電製に順次入れ替えるよう取り計らう見返りに、自身が代表理事を務める一般社団法人の口座に200万円を振り込ませた疑いです。三重大病院臨床麻酔部についてはこの連載でも、「第25回 三重大病院の不正請求、お騒がせ医局は再び崩壊か?」でランジオロール塩酸塩の不正請求が発覚し、医局崩壊が再び始まるであろうことについて、「第36回 元准教授逮捕の三重大・臨床麻酔部不正請求事件 法律上の罪より重い麻酔科崩壊の罪」では、48歳の元准教授の男が公電磁的記録不正作出・同供用の疑いで津地方検察庁に逮捕されたことについて、「第40回 三重大元教授逮捕で感じた医師の『プロフェッショナル・オートノミー』の脆弱さ」で、本丸の元教授が医療機器の納入絡みで逮捕されたことについて書きました(再逮捕の容疑、「第三者供賄」については第40回を参照ください)。今回の再逮捕によって、一連の事件の発端となった昨年9月のオノアクトのカルテ改ざん・不正請求の事案についても、第三者供賄の可能性があるとされたわけです。元教授の製薬企業や医療機器会社への資金援助要求の強引さが改めて浮き彫りになるとともに、製薬企業の奨学寄附金のあり方にも一石投じる結果となりました。オノアクトの積極使用を部下に指示報道等によると、容疑者の元教授の再逮捕容疑は、2018年3月、オノアクトを多数発注する見返りに三重大の口座に200万円を振り込ませた疑いです。うち約160万円は研究活動の一環として民間企業への業務委託費として支出されていたとのことです。元教授は小野薬品から200万円を得られるとの見通しを示した上で、オノアクトの積極使用を部下に指示。小野薬品は200万円を送金し、直後からオノアクトの使用実績は急増したとのことです。再逮捕後の続報では、「オノアクトの使用量全国トップを目指したい」「(薬剤の使用を)目立たないように増やしていきたい」といった積極使用を勧めるメールを臨床麻酔部の部下らに送っていたことや、小野薬品の担当者が元教授に対し、薬剤の目標使用量を示していた疑いがあること、同社が推奨していない「予防投与」の実施を求めていたとみられることも報じられています。ところで、オノアクトの不正請求事件では、48歳の臨床麻酔部准教授(当時)が既に公電磁的記録不正作出・同供用罪で起訴され、1月27日に詐欺罪で追起訴されています。当初、元教授は、部下の元准教授が起こしたとされるカルテ改ざんについて、大学の調査に対し「(不正を)知っていれば改善させていた」と改ざんへの関与を否定していました。また、「オノアクト」を積極的に使うよう指示したことは認めたものの、「使われていない薬剤が大量にあるとは思っていなかった」とも主張していました。ところが、捜査が進むにつれ、元准教らの証言などで、オノアクトの廃棄を元教授に報告していたことや、病院内のミーティングで大量廃棄が問題となったことを元教授が把握していたことが明らかとなりました。津地検はこうした証言や積極使用の指示の証拠などから、オノアクトに関しても第三者供賄が成立すると考えたと見られます。研究医療機関の寄付集めや製薬企業の営業にも影響か今回の再逮捕で注目されるのは、小野薬品が振り込んだのは、同社の正規の手続きを経た「奨学寄付金」だった、という点です。報道等では、小野薬品は奨学寄附金として2018年3月に200万円、19年11月に150万円を拠出しているとのことです。奨学寄付金は本来、学術研究の振興や研究助成を目的としており、贈収賄には該当しないとされてきました。その決定は、製薬企業においては営業本部から切り離された部門が、薬剤の使用量、購入量とは関係なく行っているからです。また、奨学寄付金は大学の口座に入金されるため、本来であれば教授も自由に使うことはできないはずです。元教授は自ら設立した一般社団法人にうまく還流させていたのかもしれません。小野薬品についても、奨学寄付金の決定部門と現場の営業の間に何らかの情報のやり取りがあった可能性も考えられます。その辺りの詳細な経緯は、これから徐々に明らかになっていくと思いますが、いずれにせよ、奨学寄付金が第三者供賄という形で賄賂と判断されたことは、今後、大学病院をはじめとした研究医療機関の寄付金集めや、製薬会社の営業活動に大きな影響を及ぼすでしょう。またまたパワハラ事件勃発今回の話はここで終わってもいいのですが、三重大については別件の続報が入りましたので、それについても触れておきます。2月1日のCBCテレビは、「三重大病院…不祥事で麻酔科医一斉退職 背景にパワハラ『今辞めたら共犯者』」というタイトルで、昨年以降、不祥事が続いた三重大病院臨床麻酔部で一斉退職が起こった背景に、パワーハラスメントがあったことを報じました。それによれば、三重大臨床麻酔部は、去年9月のカルテ改ざん事件を受けて、臨床麻酔部を新たに率いる立場になった60代の男性医師が、部下の麻酔科医たちに対して次のような発言をした、とのことです。「皆さんの親・兄弟・配偶者、すべての人に伝わるよう叫び続けます。日本中に言います。三重大学を倒そうとしている人たちは、この人たちだと」。「この人たち」とは自分たちのことだと、複数の部下は受け取ったとのことです。男性医師は去年9月、カルテ改ざん事件に触れた上で、部下の医師らに、「いま病院を辞めたら、共犯者とみられてもしょうがない」などと辞職を阻止するような発言もしたとのことです。こういった言動について複数の医師が大学側にパワハラだと訴えました。三重大は、男性医師の発言はパワハラだと認め、この男性医師に厳重注意をしたということです。現在、臨床麻酔部は医師3人が逮捕された不祥事を受けて退職者が急増し、現在は18人から4人まで減ったとのことです。この男性医師が原因で辞めた医師もいるようです。私はこのニュースを読んで、「おいおいまたパワハラかよ」と思ったのですが、調べてみると、病院長から任され臨床麻酔部を新たに率いることになったこの男性医師というのは、「第25回 三重大病院の不正請求、お騒がせ医局は再び崩壊か?」でも書いた、2018年に助教からパワハラで訴えられた元教授(今回再逮捕された元教授の前任。2018年パワハラの民事訴訟で大学に賠償命令。その後定年退官)だったのです。いったい三重大病院と臨床麻酔部は何をやっているのでしょう。パワハラで問題となった医師を呼び戻さなければならないほど、麻酔科の指導者は払底しているのでしょうか。それとも、医師にとっての三重大病院の環境がいろいろな意味で悪過ぎるのでしょうか。旭川医大、三重大と国立大学病院の不祥事、ドタバタが続きます。このコロナ禍の中、地域医療を無視したガバナンスの緩み具合は、本当にやれやれとしか言いようがないです。

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うつ病に対するインターネットベースの認知行動療法~メタ解析

 患者自身に適した個別化された治療法を選択することで、うつ病に対するインターネットベースの認知行動療法(iCBT)の有効性を高めることができるかもしれない。スイス・ベルン大学のEirini Karyotaki氏らは、患者レベルのデータを使用して、うつ病に対するガイド付きまたはガイドなしのiCBTの短期および長期有効性を評価した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2021年1月20日号の報告。 PubMed、Embase、PsycInfo、Cochrane Libraryより、2019年1月1日までに公表されたランダム化比較試験(RCT)を抽出した。ガイド付きまたはガイドなしのiCBTを相互またはうつ病患者と対照群との比較を行ったRCTを選択した。選択基準を満たしたすべての研究より、利用可能な患者レベルのデータを収集した。うつ症状の重症度評価は、介入後、ランダム化6および12ヵ月後に評価した。さまざまな患者特性と相対的な治療効果との関連を評価するため、システマティックレビューおよび患者レベルのデータを用いたネットワークメタ解析を実施した。主要アウトカムは、こころとからだの質問票(PHQ-9)スコアとした。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした研究42件のうち、39件(うつ病患者:9,751例)をネットワークメタ解析に含めた。そのうち、8,107例分の患者データを統合した。・ガイド付き、ガイドなしのiCBTは、対照群と比較し、短期および長期有効性が高かった。・ガイド付きiCBTは、ガイドなしiCBTと比較し、介入後の有効性は有意に高かったが(PHQ-9スコア平均差[MD]:-0.8、95%信頼区間[CI]:-1.4~-0.2)、ランダム化6および12ヵ月後の差を示すエビデンスは見つからなかった。・ガイド付きiCBTとガイドなしiCBTの有効性の相対的な関連性に最も影響を及ぼす因子は、ベースライン時のうつ症状であった。・ベースライン時のPHQ-9スコアが5~9の閾値下うつ病患者では、ガイド付きiCBTとガイドなしiCBTの有効性の差は小さかった。一方、PHQ-9スコアが9超の患者では、ガイド付きiCBTは、良好なアウトカムとの関連が認められた。 著者らは「うつ病患者に対するガイド付きiCBTは、ガイドなしiCBTと比較し、有効性が高く、中等度~重度のうつ病患者では、その差はより顕著であった。軽度または閾値下うつ病患者では、ガイドなしiCBTでも同様の効果が期待できるようである。うつ病に対する治療リソースを最適化するために、個別化された治療方法を選択する必要がある」としている。

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前立腺がん・膵がんでオラパリブをどう使うか、遺伝子検査の位置付けは?

 前立腺がん、膵がん、卵巣がんに対し、PARP阻害薬オラパリブ(商品名:リムパーザ)が2020年12月25日に追加承認を取得した。同薬が初めて承認された前立腺がん、膵がんにおける治療の実際について、1月20日オンラインメディアセミナー(共催:アストラゼネカ、MSD)が開催され、大家 基嗣氏(慶應義塾大学医学部 泌尿器科学教室)、池田 公史氏(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科)が登壇。各領域におけるオラパリブの使い方、遺伝子検査の位置付けについて講演した。オラパリブの適応取得の根拠となった第III相試験の結果 去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)は、診断後の生存期間は約3年程度とされ、予後不良な病態である。さらに、CRPCになると治療への抵抗性に関係してさまざまな遺伝子変異が発生することが知られ、なかでもDNAの修復に関わるBRCA遺伝子に変異があると、さらに予後が不良となる。進行前立腺がんでは、5~6人に1人程度の割合(18%)で、BRCA1/2遺伝子に変異が生じているとされ、遺伝によるもの(生殖細胞系列変異)と後天的に生じたもの(体細胞変異)がそれぞれ約半数ずつ含まれると報告されている1)。 今回オラパリブが適応となったのは、「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」。オラパリブの適応取得の根拠となった第III相PROfound試験では、アンドロゲン受容体標的薬(ARAT)が無効となったBRCA遺伝子変異陽性の転移を有する去勢抵抗性前立腺がん患者(160例)において、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値を、エンザルタミドまたはアビラテロン(ARAT)投与群3.0ヵ月に対しオラパリブ投与群では9.8ヵ月と延長した(ハザード比[HR]:0.22、95%信頼区間[CI]:0.15~0.32)。全生存期間(OS)中央値についても、ARAT投与群14.4ヵ月に対しオラパリブ投与群20.1ヵ月と延長している(HR:0.63、95%CI:0.42~0.95)。 同試験でのオラパリブ投与群の主な有害事象は、貧血、悪心、食欲減退、疲労、下痢など。大家氏は「副作用は非常に穏やかな印象」とし、経口薬でもあり、適応の患者さんには確実に届けていきたいと話した。ただし、適切な対処と定期的なモニタリングが必要な副作用として、貧血、血小板減少、リンパ球減少、白血球減少、間質性肺疾患を挙げた。オラパリブの適応を判断する2つの検査法 オラパリブの適応を判断するコンパニオン診断としては、体細胞変異と生殖細胞系列変異を検出するFoundationOne CDx、生殖細胞系列変異を検出するBRACAnalysisの2つの検査法が承認されている。体細胞変異と生殖細胞系列変異が約半数ずつとされる前立腺がんでは両方を検査したいところだが、FoundationOne CDxを使った場合、コンパニオン診断として使用しただけでは、医療機関の持ち出し分が発生してしまう。オラパリブを含めた標準治療終了(見込み)後にエキスパートパネルを開催し、患者への結果説明まで行うと持ち出し分は発生しない。このため大家氏は、「事務系含め病院内でのコンセンサスを得たうえで、患者さんを長くフォローできるようシステムを構築しておく必要がある」と述べた。 また遺伝子検査を行うタイミングについて、日本泌尿器科学会では見解書2)をホームページに掲出している。「ARAT1剤が抵抗性になった時点で行うというのが学会としての見解」と同氏。学会からは厚生労働省へ要望書も提出しているという。「医療機関側の持ち出しが発生するような形ではなくFoundationOne CDxが活用可能となるよう、注力していきたい」と話した。膵がんに対するオラパリブの適応取得の根拠 膵がん患者の5年生存割合は10%未満と報告されており3)、がんの中で最も予後が悪い。今回承認された、膵がんに対するオラパリブの適応は、「BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵がんにおける白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法」。プラチナ製剤を含む化学療法(16週以上)後に病勢進行が認められていない (CR、PR、SD)患者に対する維持療法として使用できる。なお、固形がんにおけるBRCA遺伝子変異陽性割合をがん種ごとに調べた研究では、膵がん患者の5.2%が陽性であったと報告されている4)。膵がんでは、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(gBRCA)のみを対象として承認されている。 オラパリブの適応取得の根拠となった第III相POLO試験は、gBRCA遺伝子変異陽性で、プラチナ製剤を含む一次化学療法後に疾患進行が認められていない、遠隔転移を有する膵腺がん患者(154例)が対象。主要評価項目であるPFS中央値を、プラセボ群3.8ヵ月に対しオラパリブ投与群では7.4ヵ月と有意に延長した(HR:0.531、95%CI:0.346~0.815)。OS中央値については、中間解析時点では、プラセボ群18.1ヵ月に対しオラパリブ投与群18.9ヵ月と両群間で有意な差は得られていない(HR:0.906、95%CI:0.563~1.457)。ただし、オラパリブ群で生存曲線が後半になるにつれ若干伸びてきている傾向がみられ、1月開催のASCO GIで発表されたアップデートデータでは、よりオラパリブ群で良好な傾向が報告されている。 同試験でのオラパリブ投与群でみられた主な有害事象は、疲労、悪心、腹痛、下痢、貧血、食欲減退、便秘。しかしGrade3以上の有害事象は少なく、「忍容性は高いと考えられる」と池田氏はコメントした。膵がん患者でのオラパリブの適応を判断する検査結果がでるまでの治療は? 膵がん患者におけるオラパリブの適応を判断するコンパニオン診断には、生殖細胞系列変異を検出するBRACAnalysisを用いる。ここで課題となるのが、検査結果が出るまでにかかる約3週間という期間だ。「膵がんの患者さんにとって、3週間は貴重な時間」と同氏。ゲムシタビン(Gem)+ナブパクリタキセル(nab-PTX)による治療を開始しておいて、もし検査結果が陽性であればプラチナ製剤に切り替えるというのが1つの考え方とした。「Gem+ nab-PTXが効いていれば継続するという考え方もあるが、個人的には、積極的にプラチナ製剤に切り替えていっていいのではないかと考えている」と話し、その理由として、BRCA遺伝子変異陽性患者におけるプラチナ製剤の有効性が示されていること、進行してプラチナ製剤が使えなくなると治療法が限られてしまうことを挙げた。

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光免疫療法 抗体薬物複合体アキャルックス、約20施設から順次拡大/楽天メディカルジャパン

 楽天メディカルジャパンは、2021年2月8日、光免疫療法の抗体薬物複合体であるセツキシマブ サロタロカンナトリウム(商品名:アキャルックス)、および同医薬品と組み合わせて用いる医療機器レーザ装置「BioBladeレーザシステム」を日本において2021年1月1日(レーザ機器本体は2020年12月14日)に販売を開始したと発表。また、同医薬品および医療機器による治療を開始または予定している医療機関についても、あわせて明らかにした。治療開始施設・愛知県がんセンター病院・国立がん研究センター東病院・東京医科大学病院治療開始予定施設・大阪国際がんセンター・大阪大学医学部附属病院・岡山大学病院・関西医科大学附属病院・九州大学病院・京都大学医学部附属病院・久留米大学病院・神戸大学医学部附属病院・埼玉医科大学国際医療センター・東京医科歯科大学医学部附属病院・鳥取大学医学部附属病院・広島大学病院・北海道大学病院・宮城県立がんセンター・横浜市立大学附属病院

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強力ステロイドの外用の継続使用、骨粗鬆症と関連

 作用が強力なステロイド外用薬の継続的使用は、用量依存的に骨粗鬆症や骨粗鬆症性骨折のリスクを増大するとの研究結果が示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のAlexander Egeberg氏らが、2003~17年に強力もしくは非常に強力なステロイド外用薬治療を受けたデンマーク成人患者72万3,251例について後ろ向きに解析し、明らかにした。これまで内服もしくは吸入コルチコステロイドについては、継続的使用や大量使用において骨粗鬆症や骨粗鬆症性骨折リスクとの関連性があることが示唆されていたが、外用薬については大規模な検討は行われていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年1月20日号掲載の報告。 研究グループは、強力な、もしくは非常に強力な局所コルチコステロイド(TCS)の累積曝露と主要な骨粗鬆症性骨折(MOF)リスクとの関連を調べるため、全国的な後ろ向きコホート研究を実施した。対象は、2003年1月1日~2017年12月31日に強力もしくは非常に強力なTCS治療を受けたデンマーク成人とした。 データはデンマーク全国レジストリから入手し、記入済みの処方データをモメタゾンフランカルボン酸エステル(1mg/g)に等価用量変換して評価した。患者は、モメタゾンを等価用量で累積500g以上処方されていた場合に曝露群とし、200~499gの患者を参照群とした。 主要アウトカムは、骨粗鬆症またはMOFの診断とした。Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、年齢・性別・社会経済的状態・使用薬・併存疾患で補正後にハザード比(HR)を95%信頼区間(CI)値とともに算出して評価した。データ解析は2019年6月1日~8月31日に行われた。 主な結果は以下のとおり。・解析には、等価用量200g以上のモメタゾン治療を受けていた、計72万3,251例の成人患者が含まれた(女性52.8%、平均年齢52.8[SD 19.2]歳)。・強力もしくは非常に強力なTCSの使用増大と、骨粗鬆症およびMOFリスクとの間に用量依存の関連が認められた。・たとえば、MOFのHRは、500~999g曝露群では1.01(95%CI:0.99~1.03)、1,000~1,999g曝露群は1.05(1.02~1.08)、2,000~9,999g曝露群は1.10(1.07~1.13)、1万g以上曝露群は1.27(1.19~1.35)であった。・骨粗鬆症およびMOFの相対リスクは、いずれもTCSの累積用量が倍増するごとに3%増大した(いずれもHR:1.03[95%CI:1.02~1.04])。・全体的な集団寄与リスクは、骨粗鬆症が4.3%(95%CI:2.7~5.8)、MOFが2.7%(1.7~3.8)であった。・危害を受ける患者が1人増えるのに要した最低曝露(454人年)は、MOFを呈した1万g以上曝露群で観察された。

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コロナワクチン「コミナティ」使用時の具体的な注意点

 「SARS-CoV-2による感染症の予防」を効能・効果として2月14日に特例承認されたファイザーの「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(商品名:コミナティ筋注)について、同日、本剤の使用に当たっての具体的な留意事項の通知が、厚生労働省から都道府県などの各衛生主管部(局)長宛に発出された。 本通知には、薬剤調製、接種時の具体的な注意点が記載されており、以下に一部抜粋する。■解凍方法・冷蔵庫(2~8℃)で解凍する場合は、解凍および希釈を5日以内に行う・室温で解凍する場合は、解凍および希釈を2時間以内に行う・解凍後は再冷凍しない■希釈方法・希釈前に室温に戻しておく・本剤のバイアルに日局生理食塩液1.8mLを加え、白色の均一な液になるまでゆっくりと転倒混和する。振り混ぜない・希釈後の液は6回接種分(1回0.3mL)を有する。デッドボリュームの少ない注射針または注射筒を使用した場合、6回分を採取することができる。標準的な注射針および注射筒等を使用した場合、6回目の接種分を採取できないことがある。1回0.3mLを採取できない場合、残量は廃棄する・希釈後の液は2~30℃で保存し、希釈後6時間以内に使用する。希釈後6時間以内に使用しなかった液は廃棄する■薬剤接種時の注意・通常、三角筋に筋肉内接種する。静脈内、皮内、皮下への接種は行わない また本剤の適正使用として、本剤の成分に対して重度の過敏症の既往歴のある者等は予防接種を受けることが適当でないとし、本剤の成分を示している。・トジナメラン(有効成分)・[(4-ヒドロキシブチル)アザンジイル]ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカン酸エステル)・2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド・1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン・コレステロール・精製白糖・塩化ナトリウム・塩化カリウム・リン酸水素ナトリウム二水和物・リン酸二水素カリウム そのほか、注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射としてあらわれる失神への対処、妊婦または妊娠している可能性のある女性への接種の考え方なども記載されている。

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精製穀物の摂取量と死亡・心血管リスクが相関/BMJ

 精製した穀物の取り過ぎは、死亡および主要心血管イベントのリスク増加と関連することが、低・中所得国を含む世界21ヵ国で実施された前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)研究」の結果、明らかとなった。インド・St John's Research InstituteのSumathi Swaminathan氏らが報告した。これまで、全粒穀物について、摂取量が多いほど死亡および心血管疾患のリスクは低下することが知られていたが、精製穀物との明確な関連は観察されていなかった。著者は今回の結果から、「世界的に、精製穀物の消費量減少を検討する必要がある」とまとめている。BMJ誌2021年2月3日号掲載の報告。PURE研究の21ヵ国約15万人について解析 研究グループは、精製穀物、全粒穀物および白米の摂取量と、心血管疾患、全死亡、血中脂質および血圧との関連を評価する目的で、PURE研究のうち、北米、欧州、南米、アフリカ、中東、南アジア、東南アジアおよび中国を含む21ヵ国のデータを用いて評価した。 解析には、2003年1月から登録され2019年7月まで追跡された14万8,858人が含まれた。追跡期間中央値は9.5年。 摂取量算出は、各国で検証済みの食物摂取頻度調査票が用いられた。 主要評価項目は、死亡または心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、脳卒中、心不全)の複合エンドポイントで、穀物摂取量とこれらの関連について多変量Cox frailtyモデルを用いてハザード比を算出して評価した。精製穀物摂取量350g/日以上、50g/日未満と比較して約1.3倍 解析対象は、ベースラインで心血管疾患を有する参加者を除外した13万7,130人であった。このうち、追跡期間中に9.2%(1万2,668人)で複合エンドポイントのイベントが発生した。 精製穀物の摂取量が最も多い群(1日350g以上)は最も少ない群(1日50g未満)と比較して、全死因死亡(ハザード比[HR]:1.27、95%信頼区間[CI]:1.11~1.46、傾向のp=0.004)、主要心血管イベント(HR:1.33、95%CI:1.16~1.52、傾向のp<0.001)、および複合エンドポイント(HR:1.28、95%CI:1.15~1.42、傾向のp<0.001)のリスクが有意に増加した。 また、精製穀物の摂取量が多いほど収縮期/拡張期血圧が高かったが、全粒穀物または白米の摂取量と健康状態との間に有意な関連は認められなかった。

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COVID-19関連小児多系統炎症性症候群、IVIG+ステロイドが有効/JAMA

 小児多系統炎症性症候群(MIS-C)の初期治療は、免疫グロブリン静注療法(IVIG)とメチルプレドニゾロンの併用療法がIVIG単独と比較し有効であることが、フランス国内のサーベイランスシステムのデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果で明らかとなった。同国・パリ大学のNaim Ouldali氏らが報告した。MIS-Cは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染に関連する最も重症の小児疾患で、死に至る可能性もあるが、最適な治療戦略はわかっていない。JAMA誌オンライン版2021年2月1日号掲載の報告。フランス全例調査、IVIG+メチルプレドニゾロン併用療法vs.IVIG単独の有効性を比較 2020年4月に欧州と米国で小児の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と関連すると思われるMIS-Cが報告されて以降、フランスではMIS-Cが疑われる症例はすべて同国の公衆衛生局に報告された。 研究グループは、このサーベイランスシステムのデータを用い、MIS-Cの初期治療としてのIVIG+メチルプレドニゾロン併用療法とIVIG単独の有効性について、傾向スコアマッチング法により後ろ向きに解析した。研究期間は2020年4月1日~2021年1月6日。 主要評価項目は、初期治療開始2日後の発熱持続、または7日以内の発熱再発で、これらを治療失敗と定義した。副次評価項目は、2次治療、血行動態補助、初期治療後の急性左心室機能不全および小児集中治療室在室期間であった。併用療法群で治療失敗リスクが有意に低い MIS-Cが疑われる小児患者は181例で、このうち111例が世界保健機関(WHO)の定義を満たした(女児58例[52%]、年齢中央値8.6歳[四分位範囲:4.7~12.1])。111例中5例は、併用療法およびIVIG単独療法のいずれも受けていなかった。 治療失敗は、併用療法群34例中3例(9%)、IVIG単独群72例中37例(51%)に認められた。併用療法群はIVIG単独群と比較して、治療失敗のリスク低下と関連していた(絶対リスク差:-0.28[95%信頼区間[CI]:-0.48~-0.08]、オッズ比[OR]:0.25[95%CI:0.09~0.70、p=0.008])。 併用療法群はIVIG単独群と比較して、2次治療実施のリスクも有意に低下した(絶対リスク差:-0.22[95%CI:-0.40~-0.04]、OR:0.19[95%CI:0.06~0.61、p=0.004])。また、血行動態補助(同:-0.17[-0.34~-0.004]、0.21[0.06~0.76])、初期治療後の急性左心室機能不全(-0.18[-0.35~-0.01]、0.20[0.06~0.66])、および小児集中治療室在室期間(中央値4日vs.6日、群間日数差:-2.4、95%CI:-4.0~-0.7)についても同様であった。

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頬粘膜投与でてんかん重積発作を抑える「ブコラム口腔用液2.5mg/5mg/7.5mg/10mg」【下平博士のDIノート】第68回

頬粘膜投与でてんかん重積発作を抑える「ブコラム口腔用液2.5mg/5mg/7.5mg/10mg」今回は、抗けいれん薬「ミダゾラム(商品名:ブコラム口腔用液2.5mg/5mg/7.5mg/10mg、製造販売元:武田薬品工業)」を紹介します。本剤を使用することで、医療機関外であっても18歳未満のてんかん重積状態患者の発作を速やかに抑えることができます。<効能・効果>本剤は、てんかん重積状態の適応で、2020年9月25日に承認され、2020年12月10日より発売されています。<用法・用量>通常、ミダゾラムとして、修正在胎52週(在胎週数+出生後週数)以上1歳未満の患者には1回2.5mg、1歳以上5歳未満の患者には1回5mg、5歳以上10歳未満の患者には1回7.5mg、10歳以上18歳未満の患者には1回10mgを頬粘膜投与します。シリンジ液剤の全量を片側の頬粘膜に緩徐に投与しますが、体格の小さい患者や用量が多い場合は、必要に応じて両側の頬粘膜に半量ずつ投与することができます。なお、18歳以上の患者に対する有効性および安全性は確立されていません。<安全性>国内第III相試験(SHP615-301試験、SHP615-302試験)において、副作用は25例中5例(20.0%)で報告されており、主なものは、鎮静、傾眠、悪心、嘔吐、下痢各1例(いずれも4.0%)でした。なお、重大な副作用として、呼吸抑制が1例(4.0%)で報告されており、無呼吸、呼吸困難、呼吸停止などが注意喚起されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、歯ぐきと頬の間に投与することで、脳内の神経の過剰な興奮を鎮めて、てんかん重積状態の発作を抑えます。2.発作が開始してすぐに本剤を投与せず、自然に発作がおさまるかどうか観察し、投与判断の目安は医師の指示に従ってください。患者さんに嘔吐やよだれがある場合は、投与前に拭き取ってください。3.投与する際は、片側の頬をつまみ広げ、シリンジの先端を下の歯ぐきと頬の間に入れ、ゆっくりと全量を注入します。体格が小さい場合や使用量が多い場合は、医師の指示によって両側の頬に半量ずつ注入することもできます。4.この薬は頬粘膜から吸収されるため、可能な限り飲み込まないように注意してください。5.投与後は、原則救急搬送の手配を行い、医療者がこの薬の使用状況を確認できるように使用済みのシリンジを提示してください。6.保管時は、プラスチックチューブに封入された状態でふた側を上向きにして立てた状態にしてください。ふた側を下向きまたは水平にして保管すると、含量が低下する恐れがあります。<Shimo's eyes>通常、てんかん発作の多くは1~2分でおさまりますが、30分以上持続すると脳への長期的な後遺障害に至る可能性が高くなります。そのため、発作が5分以上持続する場合はてんかん重積状態と判断して、治療を始めることが国内外のガイドラインで推奨されています。2020年2月時点で、ミダゾラム口腔用液は欧州を中心に世界33ヵ国で承認されていますが、わが国で発売されているのは注射製剤(商品名:ミダフレッサ)のみで、ほかの小児を含む早期てんかん重積状態の第1選択薬として推奨されている薬剤もジアゼパムやロラゼパムの注射製剤でした。注射製剤は医療機関で投与されますが、救急搬送に時間を要して治療開始までに30分以上経過してしまう例が多く、患者団体や関連学会から非静脈経路で利便性および即効性の高い薬剤の開発が要望されていました。本剤は、国内初のてんかん重積状態に対する頬粘膜投与用のプレフィルドシリンジ製剤で、医療機関外でも家族や介護者などによって投与することができます。第III相臨床試験では、5分以内に64%、10分以内に84%で持続性発作が消失するという速やかな効果が認められました。適応があるのは18歳未満の患者さんで、年齢別に4種類の投与量のシリンジがあり、ラベルで色分けされています。主成分であるミダゾラムはCYP3A4の基質であり、本剤はCYP3A4を阻害あるいは誘導する薬剤との併用は禁忌です。副作用として呼吸抑制および徐脈などが現れる恐れがあるため、本剤の投与時は患者さんの呼吸や脈拍数に異常がないかなどを注意深く観察するとともに、救急車の手配も並行して行うなど冷静な対応が求められます。近年、アナフィラキシーに対するアドレナリン注射液(同:エピペン)に加え、糖尿病の低血糖状態に対する点鼻グルカゴン製剤(同:バクスミー点鼻粉末剤)、そして本剤など、患者さんの緊急時に身近な人が対応できる製剤が増えてきました。薬局では、患者さんや家族・介護者がいざというときに正しく安全に使えるよう、使用方法について理解度の確認が重要です。※2022年7月より、学校・保育所等で児童がてんかんを発症した場合、教職員が当該児童生徒等に代わって投与可能となりました。参考1)PMDA 添付文書 ブコラム口腔用液2.5mg/ブコラム口腔用液5mg/ブコラム口腔用液7.5mg/ブコラム口腔用液10mg

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冬はビタミンD不足【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第27回

「北ドイツの冬は寒いんじゃないの?」とよく聞かれますが、近年は温暖化の影響もあって、そこまで酷い寒さに悩まされることはありません。実はドイツは南にアルプス山脈があるため、どちらかと言うとむしろ南ドイツの方が寒くなりやすい傾向があるそうです。それよりも問題になるのは日照時間です。北ドイツは冬季の間、日照時間が極めて短くなります。冬至のときで大体昼が6時間くらいです。真っ暗なうちに家を出て、真っ暗になってから家に帰ります。ドイツの冬は日中も曇りが多いので、回診中に晴れ間が少しでもみえたら、一時中断して談話室にいってしばらく日光浴をしたりします。私自身は夜型インドア派ですので、さほど困るわけではありませんが、それでも季節がうつろい日照時間が少しずつでも伸びてくれると、多少なりともホッとする感じを受けます。夏も冬も極端に昼夜が長いヨーロッパ北部の気候ドイツに限らずヨーロッパ全体で言えることですが、この時期はどうしてもうつ傾向になっちゃう人がたくさん出てきます。そこで大抵の人はビタミンDのサプリメントを摂取することになります。実際にスーパーにいくと、それは沢山の製品が販売されていて、どれを買えばいいやら…。錠剤タイプや液体タイプ、週に1回飲むだけでいいタイプも販売されています。もちろん逆に夏は日照時間が長くなります。夜の11時ごろでもまだ空がほんのり明るかったりします。ちょうど夏の時期にイスラム教のラマダン(断食)が行われるのですが、たとえドイツであっても、ムスリムの同僚たちは日没まで飲まず食わずで働いています。そのため夕方くらいになると、低血糖でフラフラしています。呼びかけても返事が弱々しい感じです。日没と同時に一気にドカ食いして次の日に備えようとしている姿は本当に大変そうです。日照時間の激しい変化に対応するのは、生物的にも文化的にもいろいろと大変なのです。

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第47回 COVID-19伝播の阻止や変異株への抗体反応をワクチンが助け、抗原検査が検診を一変しうる

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンを接種すればたとえ感染しても抑えが効いてウイルスは他人を感染させるほどには増え難いらしく、他人を感染させうる人のみを見分ける抗原検査はその感染(COVID-19)の検診の有り様を一変させるかもしれません。また、2社のmRNAワクチンは変異株に対抗する中和抗体をどうやら底上げするようです。PfizerのCOVID-19ワクチンはウイルス量を抑えて感染伝播を減らしうるイスラエルでPfizer/BioNTechのCOVID-19ワクチンBNT162b2接種済みの人と非接種の人の感染の程度を比較したところ1回目接種後12~28日のウイルス量はワクチン非接種の人の4分の1ほどに抑えられており、同ワクチンはすでに裏付けられている発症予防に加えて他人を感染させ難くする効果もあると示唆されました1,2)。ウイルス量が多い人ほど他人を感染させやすいことはLancet Infectious Diseases誌に最近掲載された別の試験で示されています。SARS-CoV-2に感染した282人とそれらと密接に接触した753人を調べたその試験の結果、他人を感染させたのは3人に1人(90人;32%)のみで、ウイルス量が多い人ほど他人を感染させていました3,4)。また、咳がある人とない人の他人への感染伝播に差はありませんでした。ということはウイルス量が多い感染者に接触した人の追跡がとくに重要なようであり4)、次に紹介する試験ではウイルス量が多くて他人を感染させやすい人の同定に抗原検査が重宝しうることが示唆されています。BD社の抗原検査はCOVID-19を移しうる有症者の検出でPCR検査に勝るようだCOVID-19を他人に感染させうる患者の検出を比較した試験でベクトン・ディッキンソン(BD)社のわずか15分ほどで済む抗原検査(製品名Veritor)がウイルスのRNAを検出するPCR検査を凌ぐと示唆され5,6)、抗原検査はCOVID-19検診の有り様をやがて一変させるかもしれません7)。試験にはCOVID-19発症患者251人が参加し、気道検体の抗原検査とPCR検査が培養検査の結果とどれだけ一致するかが調べられました。培養検査は増殖しうるウイルスが採取検体に存在するかどうかを調べます5)。培養細胞でウイルスが増えれば検体に生きているウイルスが存在することを意味し、感染可能なウイルスがいたことを示唆します。一方、培養細胞でウイルス増殖がなかった検体の患者には他人に移って感染しうるほどの生存ウイルスは恐らく存在しません。試験の被験者251人のうち培養検査で陽性だったのは28人でした。PCR検査では培養検査陽性28人とその他10人を含む38人が陽性でした。PCR検査では陽性で培養検査では陽性でなかったその差し引き10人は検体採取時点で他人を感染させる心配は恐らくなかったようです。PCR検査はそれら10人の検体のウイルスRNA断片か無欠だが少量のSARS-CoV-2を検出したのしょう。PCR検査とは対照的にBD社の抗原検査の陽性判定は培養検査とより一致していました。抗原検査で陽性の27人は培養検査でも陽性で、抗原検査と培養検査の陽性判定が食い違っていたのは1人のみでした。目下のCOVID-19流行下での検査の主な目標の1つは他人を感染させうる人を同定して暫く出歩かないようにしてもらうことです5)。安価でより多くに届けうる抗原検査は日々の暮らしでのCOVID-19伝播を封じることに大いに貢献すると今回の試験主導医師の1人Charles Cooper氏は言っています5)。今回の試験と同様にPCR検査が他人を感染させそうにない人を無闇に検出してしまうことは先立つ幾つかの試験でも示唆されています8-11)。それらの試験によると発症後8日の検体のほとんどは、PCR検査ではウイルスRNAが検出されたのとは対照的に感染可能ウイルスを有していませんでした。PCR検査のように感染可能なウイルスが存在しない人を無闇に陽性判定しない抗原検査を使うことで感染者の隔離期間をより短縮できるかどうかの検討が必要と今回の試験の著者は言っています6)。また、今回の試験は有症者が対象でしたが、無症状の人の抗原検査の性能を調べる試験をBD社はすでに進めています7)。Pfizer/BioNTech やModernaのワクチンで新型コロナウイルス変異株阻止抗体を底上げしうる南アフリカで見つかって広まる心配なSARS-CoV-2変異株B.1.351(南ア変異株)に対抗する中和抗体反応をPfizer/BioNTech やModernaのワクチン1回の接種で強力に底上げしうることが感染を経た人へのそれらワクチン接種前後の血液検体比較で示されました12,13)。米国・ワシントン州シアトルのがん研究センターFred Hutchinson Cancer Research CenterのAndrew McGuire氏のチームはCOVID-19を経た10人から血液を採取し、続いてPfizer/BioNTech かModernaのワクチンの1回目接種後に再び血液を採取しました。Pfizer/BioNTech とModernaのワクチンはどちらも中国の武漢市で見つかったSARS-CoV-2元祖株(Wuhan-Hu-1)スパイクタンパク質を作るmRNAでできています。採取した血液を使ってその元祖株と南ア変異株の細胞感染を阻止する中和抗体活性を調べたところ、ワクチン接種前の時点で元祖株への中和抗体活性は弱いながらもほとんど(10人中9人)が有しており、南ア変異株への中和抗体活性を有していたのは半数の5人のみでした。ワクチン接種後には元祖株と南ア変異株への中和抗体がどちらもおよそ1,000倍上昇していました。すでに感染を経ている人へのPfizer/BioNTech やModernaのmRNAワクチン接種はたとえ1回でも有意義であり、スパイクタンパク質に対してすでに備わる抗体反応を底上げすればワクチンが目当てとするウイルスのみならず新たに出現する変異株への中和抗体も有意に増強できそうです13)。参考1)Pfizer’s COVID-19 Vaccine Reduces Viral Load: Study / TheScientist2)Decreased SARS-CoV-2 viral load following vaccination. medRxiv. February 08, 20213)What makes a person with COVID more contagious? Hint: not a cough / Nature4)Marks M,et al. Lancet Infect Dis. 2021 Feb 2:S1473-3099,30985-3. [Epub ahead of print]5)New Clinical Data Shows BD Antigen Test May Be More Selective In Detecting Infectious COVID-19 Patients Than Molecular Tests / PRNewswire6)Pekosz A, et al. Clin Infect Dis. 2021 Jan 20:ciaa1706. [Epub ahead of print]7)Antigen tests could change Covid-19 screening culture / Evaluate8)Wolfel R, et al. Nature. 2020 May;581:465-469.9)La Scola B, et al. Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2020 Jun;39:1059-1061.10)Bullard J, et al. Clin Infect Dis. 2020 May 22:ciaa638. [Epub ahead of print]11)Repeat COVID-19 Molecular Testing: Correlation with Recovery of Infectious Virus, Molecular Assay Cycle Thresholds, and Analytical Sensitivity. medRxiv. August 06, 2020. 12)Vaccines spur antibody surge against a COVID variant / Nature13)Antibodies elicited by SARS-CoV-2 infection and boosted by vaccination neutralize an emerging variant and SARS-CoV-1. medRxiv. February 08, 2021

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