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日本人高齢者における認知症リスクと音楽活動

 認知症リスクの低減のために、余暇の認知活動が推奨されている。大阪大学のAhmed Arafa氏らは、日本人高齢者における認知症リスクとさまざまな音楽活動との関連について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2021年4月6日号の報告。 日本老年学的評価研究(JAGES)プロジェクトに参加した65歳以上の高齢者5万2,601人を対象に、縦断的データを分析した。楽器演奏、カラオケ、合唱、民謡などの音楽活動についてアンケートを用いて評価した。認知症の診断には、介護保険制度で標準的に使用される認知症尺度を用いた。Cox回帰を用いて、音楽活動に関連した認知症のハザード比および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間の中央値は、5.8年であった。・男性における音楽活動未実施者と比較した認知症のハザード比は以下のとおりであった。 ●1つの音楽活動を実施:0.94(95%CI:0.82~1.07) ●複数の音楽活動を実施:0.59(95%CI:0.32~1.10)・女性における音楽活動未実施者と比較した認知症のハザード比は以下のとおりであった。 ●1つの音楽活動を実施:0.79(95%CI:0.69~0.90) ●複数の音楽活動を実施:0.89(95%CI:0.63~1.26)・楽器の演奏およびカラオケを行っていた高齢者は、音楽活動未実施者と比較し、男性では認知症リスクがわずかに減少し、女性では認知症リスクの有意な減少が認められた。 【男性】 ●楽器の演奏:0.70(95%CI:0.45~1.02) ●カラオケ:0.90(95%CI:0.79~1.04) 【女性】 ●楽器の演奏:0.75(95%CI:0.58~0.98) ●カラオケ:0.77(95%CI:0.68~0.89) 著者らは「音楽活動、とくに楽器の演奏やカラオケは、日本人高齢女性の認知症リスク低下との関連が認められた」としている。

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非虚血性心筋症に対する左脚ペーシングは有効か【Dr.河田pick up】

 左脚ブロックを改善させて、心室再同期を図るヒス束ペーシングは実現可能な方法であるが、リード留置が容易ではなく、閾値が高くなるという問題がある。本研究は、左脚ブロックを伴った非虚血性心筋症患者に対する心室再同期療法(CRT)の手段として、比較的新しい中隔アプローチによる左脚ペーシング(LBBP)が現実的に可能で有効な方法かを評価するために、中国・温州医科大学のWeijian Huang氏が米国や英国の研究チームと共に実施したもので、JACC誌に掲載された。非虚血性心筋症、完全左脚ブロック、左室駆出率≦50%の患者で、手技成功率などを評価 本研究は前向き多施設研究で、2017年6月~2018年8月、中国、米国、英国の6施設で実施された。非虚血性心筋症、完全左脚ブロック、左室駆出率≦50%、CRTもしくは心室ペーシングの適応で、左脚ペーシングが試みられた患者を対象とし、手技の成功率、術前後のQRS幅、LVEF、左室収縮末期容量、そして心不全NYHA分類を評価した。手技成功率は97%、QRS幅、LVEF、左室容量が改善 左脚ペーシングは、63人中61人(97%、平均年齢68±11歳、52.4%が男性)で成功した。左脚ペーシング中、QRS幅は169±16msから118±12ms(p<0.001)に短縮された。ペーシング閾値とR波は、1年後のフォローアップでも植込み時の値と変化が認められなかった(0.5±0.15 V/0.5 ms vs. 0.58±0.14 V/0.5ms、11.1±4.9 mV vs.13.3±5.3 mV)。LVEFは有意に改善し(33±8% vs.55±10%、p<0.001)、左室収縮期末期容量も減少した(123±61 ml vs.67±39 ml、p<0.001)。さらに、1年後には75%で正常化(≧50%)した。NYHA分類は、ベースラインの2.8±0.6から1年後に1.4±0.6まで改善していた。死亡や心不全での入院は、フォローアップ期間中見られなかった。左脚ペーシングは有効かつ有望な手技だが、より大規模で長期の観察が必要 左脚ペーシングは可能な選択肢であり、左脚ブロック患者において心室再同期療法を得るのに有効で、左室の器質的および機能的改善に結びついた。左脚ブロックを有する非虚血性心筋症患者に対する選択肢として、左脚ペーシングの低く安定したペーシング閾値は、His束ペーシングと比べても優れた点と考えられた。Dr.河田コメント ヒス束ペーシングは生理的ペーシングとして古くから試みられてきた。新しいデリバリーシステムが登場したこともあり、近年特に注目を浴びているが、植込み後のペーシング閾値の上昇やヒス束より遠位部で起きている左脚ブロックを修正できない点などが問題として挙げられており、それらの欠点を補うために左脚ペーシングが行われるようになってきた。個人的な印象でもHis束ペーシングに比べると、ペーシング閾値の上昇が起きにくいと感じている。ただ、この論文のケースの2/3は筆頭著者であるHuang氏の病院のケースであり、97%という成功率を一般的に当てはめるのは早計と考える。また、中隔深くにペーシングリードを突き刺して行うペーシングの長期成績や、リード抜去への影響は未だに不明であり、今後より大規模かつ長期のフォローアップの成績の解析が必要であると考えられる。(Oregon Heart and Vascular Institute  河田 宏)■関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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ファイザー製ワクチン、感染報告率の低下は接種後何日から?/感染研

 ファイザー製の新型コロナワクチンBNT162b2は、国内では2021年2月14日に薬事承認され、2月17日から医療従事者を対象とした先行接種が開始となった。国立感染症研究所は、先のワクチンの臨床的効果を迅速に評価するため、既存のサーベイランスデータを用いた仮想コホートを構成し、1回目接種後のCOVID-19報告率の変化を検討した(追跡期間は2021年4月30日まで)。その結果、報告率は1回目接種日から12日前後を境に低下する傾向がみられ、接種後0~13日の報告率と比較すると、14~20日で0.42倍、21~27日で0.39倍、28日以降で0.14倍であった。イスラエルで行われた先行研究では、1回目接種後から2回目接種までの期間のCOVID-19報告の抑制効果(VE)は46~60%と報告されており、本結果はそれと同等である可能性があるという。 本研究では、ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)と新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)のデータを用いて分析を行った。V-SYSのワクチン接種実績記録からワクチン被接種者の仮想コホートを構成し、HER-SYSのワクチン接種歴が記録されたCOVID-19患者のデータを、1回目のワクチン接種日と都道府県に基づいて突合した。 解析対象は、医療従事者への先行接種が開始された2021年2月17日から高齢者への接種開始前の4月11日までの期間に、新型コロナワクチンを少なくとも1回接種した医療従事者とした。主要評価項目は、報告されたCOVID-19症例の診断日で、副次評価項目は報告時有症状例の診断日と報告時無症状例の診断日。 主な結果は以下の通り。・観察期間中、医療従事者110万1,698人に対し1回目の新型コロナワクチン接種が実施され、このうち4月30日時点で2回目の接種終了者は104万2,998人(94.7%)だった。・4月30日までにHER-SYSに登録され、少なくとも1回のワクチン接種歴が記録されているCOVID-19症例は282例だった。・発症日がワクチン接種前だった1例を除く281例中、ワクチン接種後28日以内に診断された症例は256例(91.1%)だった。症例は、女性および20~40歳代が約7割を占めていた。・2回目の接種後に診断された症例は全体の16.7%で、このうち報告時無症状例が占める割合は40.7%、1回目接種後に診断された症例に占める報告時無症状例の割合(20.0%)より高い傾向にあった。・COVID-19報告率は、接種後0~13日が1.26/10万人日、14~20日が0.53/10万人日、21~27日が0.49 /10万人日、28日以降が0.18/10万人日だった。・接種後0~13日の報告率と比較した報告率比は、14~20日が0.42倍(95%CI:0.30~0.59)、21~27日が0.39倍(95%CI:0.27~0.56)、28日以降が0.14倍(95%CI:0.09~0.21)だった。報告時有症状例に比べ、報告時無症状例の報告率は全期間において低かった。

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骨髄腫に、ダラツムマブの皮下注新発売/ヤンセンファーマ

 ヤンセンファーマは、2021年5月19日、抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブとボルヒアルロニダーゼ アルファを配合した皮下投与製剤ダラキューロ配合皮下注(以下、ダラキューロ)の販売を開始した。ダラキューロは、本年3月23日に多発性骨髄腫を効能又は効果として製造販売承認を取得している。 ダラツムマブの点滴静注製剤(以下、ダラツムマブ IV)は、多発性骨髄腫に対して、複数の治療レジメンで承認されており、国内外の各種ガイドラインでも推奨されている。一方で、infusion reaction(急性輸液反応)を予防するため、投与に際しては500~1,000mlの輸液が必要となり、約3〜7時間の投与時間を要する。今回製造販売承認を取得したダラキューロでは、皮下投与に要する時間が約3〜5分へと短縮され、また固定用量となるため薬剤調製手順が簡略化されることにより、医療従事者および患者の負担が軽減されることが期待されている。 ダラキューロについては、日本人を含む再発・難治性の多発性骨髄腫を対象とした国際共同第III相試験(MMY3012試験[COLUMBA試験])において、ダラツムマブ IVに対する非劣性が単剤療法にて示され、安全性が確認されている。また日本人集団における薬物動態および有効性は全体集団と一貫しており、安全性に明らかな差異は認められなかった。ダラキューロ配合皮下注製品概要・製品名:ダラキューロ配合皮下注・一般名:ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)・効能又は効果:多発性骨髄腫・用法及び用量:他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には本剤1回15mL(ダラツムマブ(遺伝子組換え)として1,800mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として30,000単位(2,000単位/mL))を、併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルを考慮して、以下のA法又はB法の投与間隔で皮下投与する。 A法:1週間間隔、2週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。 B法:1週間間隔、3週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。・製造販売承認日:2021年3月23日・薬価基準収載日:2021年5月19日・発売日:2021年5月19日・薬価:15mL 1瓶 434,209円・製造販売元:ヤンセンファーマ株式会社

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Novavax製ワクチン、南ア変異株に効果/NEJM

 米国・Novavax製の遺伝子組み換えSARS-CoV-2ナノ粒子ワクチン「NVX-CoV2373」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防に有効であり、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陰性者において、より高い効果が認められた。NVX-CoV2373接種後の感染例の多くは、南アフリカ(B.1.351)変異株が原因であった。NovavaxのVivek Shinde氏らが、南アフリカで実施したNVX-CoV2373ワクチンの無作為化プラセボ対照第IIa/b相試験の結果を報告した。SARS-CoV-2変異株の出現が、COVID-19感染制御の進展を脅かしている。NVX-CoV2373ワクチンは、健康成人を対象とした第I/II相試験において安全性が確認されるとともに、強力な中和抗体産生と抗原特異的多機能CD4陽性T細胞反応との関連が示されていた。NEJM誌2021年5月5日号掲載の報告。南アフリカでHIV陽性/陰性の6,324例を対象にNVX-CoV2373ワクチンを評価 研究グループは、18~84歳のHIV陰性成人、および18~64歳の医学的に安定しているHIV陽性者を、NVX-CoV2373ワクチン(組み換えスパイクタンパク質5μg+Matrix-M1アジュバント50μg)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ2回接種した。接種するスタッフのみ割り付けを知っており、他の研究スタッフおよび参加者は盲検化されていた。 主要評価項目は、安全性、ならびにベースラインSARS-CoV-2血清陰性者における2回目接種後7日以上経過時点の検査で確認された症候性COVID-19発症に関する有効性とした。 6,324例がスクリーニングを受け、このうち4,387例が少なくとも1回の接種を受けた(ワクチン群2,199例、プラセボ群2,188例)。平均年齢は32.0歳で、65歳以上の高齢者は4.2%、男性が57%であった。また、抗スパイクIgG抗体の評価により、ベースラインで30.2%がSARS-CoV-2血清陽性であった。ワクチンの有効率は全体で約50%、HIV陰性者で60% 2回の接種を受けベースラインで血清陰性であった有効性解析対象集団(per-protocol集団)は2,684例(HIV陰性94%、HIV陽性6%)で、ワクチン群1,357例中15例、プラセボ群1,327例中29例において軽症~中等症のCOVID-19が発症した。 全体でのワクチン有効率は49.4%(95%信頼区間[CI]:6.1~72.8)、HIV陰性者におけるワクチン有効率は60.1%(95%CI:19.9~80.1)であった。 COVID-19を発症した44例のうち全ゲノムシークエンス解析が可能であった41例において、38例(92.7%)でB.1.351変異が確認された。B.1.351に対するワクチンの有効性(事後解析)は、HIV陰性者(ワクチン群11例、プラセボ群22例)において51.0%(95%CI:-0.6~76.2)であった。 初期の局所/全身の反応原性イベントは、ワクチン群で高頻度であったが、重篤な有害事象は両群においてまれであった。

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特発性肺線維症に抗菌薬は無効/JAMA

 特発性肺線維症(IPF)成人患者において、通常治療にコトリモキサゾール(ST合剤)またはドキシサイクリンを追加しても、通常治療単独と比較して呼吸器関連入院または全死因死亡までの期間に有意な改善は認められないことが、米国・New York Presbyterian Hospital/Weill Cornell MedicineのFernando J. Martinez氏らによる実用的な無作為化非盲検臨床試験「CleanUP-IPF試験」で示された。IPFは、肺微生物叢の変化が病勢進行と関連しており、線維化を伴う間質性肺疾患患者においてST合剤がアウトカムを改善することや、ドキシサイクリンはIPF患者の予後を改善し、メタロプロテアーゼを阻害することが予備的研究で示唆されていた。今回の結果を受けて著者は、「IPFの基礎にある病態に対する抗菌薬治療は支持されない」とまとめている。JAMA誌2021年5月11日号掲載の報告。ST合剤またはドキシサイクリン追加の有効性を通常治療単独と比較 研究グループは、2017年8月~2019年6月の期間に米国35施設において、40歳以上のIPF患者513例を通常治療に加えて抗菌薬を投与する群(254例)または通常治療単独群(259例)に1対1の割合で無作為に割り付け、2020年1月まで追跡調査を行った。 抗菌薬群では、ST合剤(スルファメトキサゾール800mg/トリメトプリム160mg)の1日2回投与+葉酸5mgの1日1回投与(128例)、またはドキシサイクリン投与(体重50kg未満は100mgを1日1回、50kg以上は100mgを1日2回)(126例)を行い、通常治療単独群ではプラセボは投与しなかった。 主要評価項目は、予定外の初回呼吸器関連入院または全死因死亡までの期間であった。無作為化された513例(平均年齢71歳、女性21.6%)の全例が解析に組み込まれた。予定外の呼吸器関連入院または死亡までの期間は、通常治療+抗菌薬で延長せず 本試験は、2019年12月18日、事前に計画された初回有効性解析の結果に基づきデータ安全性モニタリング委員会により早期中止が決定した。 平均追跡期間13.1ヵ月(中央値12.7ヵ月)において、主要評価項目のイベントは合計108例で発生した。通常治療+抗菌薬群で52例(100人年当たり20.4件、95%信頼区間[CI]:14.8~25.9)、通常治療単独群で56例(18.4件、13.2~23.6)であり、両群で有意差は認められなかった(補正後ハザード比[HR]:1.04、95%CI:0.71~1.53、p=0.83)。 主要評価項目に対する事前に規定した抗菌薬の影響(ST合剤vs.ドキシサイクリン)については、統計学的な相互作用は確認されなかった(補正後HRの比較:コトリモキサゾール群1.15[95%CI:0.68~1.95]vs.ドキシサイクリン群0.82[0.46~1.47]、p=0.66)。 主な重篤な有害事象(発現率5%以上)は、通常治療+抗菌薬群vs.通常治療単独群で呼吸器系有害事象が16.5% vs.10.0%、感染症が2.8% vs.6.6%などであった。とくに注目すべき有害事象は、下痢(10.2% vs.3.1%)および発疹(6.7% vs.0%)であった。

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GLP-1受容体作動薬セマグルチドは中止により体重減少効果が消失する(解説:住谷哲氏)-1392

 ダイエットでよく知られた現象にヨーヨー効果(yo-yo effect)がある。運動や食事でうまく減量できても、サボるとすぐに元の体重に戻ってしまうことが、玩具のヨーヨーの上下運動に似ていることから名付けられた。運動による筋肉量の維持を伴わずにカロリー制限だけで減量を試みると、減った筋肉量が脂肪に置換されてその後の減量が一層困難になる弊害もよく知られている。 STEPは抗肥満薬としてのGLP-1受容体作動薬セマグルチド注射薬開発を目的とした国際第III相試験プログラムである。すでにSTEP 1-3において、2型糖尿病の合併の有無に関係なく、セマグルチド2.4mg/週の投与により著明な体重減少がもたらされることが報告されている。STEP 4である本試験では、セマグルチドによる体重減少が投与を中止することでリバウンドするか否かを検討したwithdrawal trialである。 STEP 1-3とほぼ同様のプロトコルで実施された本試験において、対象患者はセマグルチド2.4mg投与20週後に2対1の割合でセマグルチド継続群と中止群にランダム化され、その後68週まで観察された。結果は、中止群では中止4週後にすでに体重のリバウンドが認められ、その後68週まで体重が増加し続けた。一方、継続群では68週までさらなる体重減少が持続した。つまりセマグルチド投与による体重減少効果は中止すると同時に消失すると考えられる。中止群における68週でのベースラインからの体重減少は論文中のグラフから見ると約8%程度である。STEP 1におけるプラセボ群における体重減少は約3%程度なので、概算すると中止48週後においても5%の体重減少は維持できている。単純に考えると中止1年後にはほぼ元の体重に戻ると考えていいだろう。 読者の多くも、外来で患者さんに「この薬はずっと飲み続けないとだめですか?」と質問されたことがあると思う。「薬で血糖(血圧、コレステロール値など)を抑えているので病気を治す薬ではありません。将来起こるかもしれない心臓病などの予防のためにずっと服用する必要があります」といつも答えているが、セマグルチドにもまったく同じことが言える。体重減少を維持するためには投与を続ける必要がある。長期投与に伴う安全性の問題、医療経済上の問題など、抗肥満薬としての一般的治療薬となるまでは解決すべき問題は山積していると思われる。

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YouTube中毒を克服する【Dr. 中島の 新・徒然草】(375)

三百七十五の段 YouTube中毒を克服する5月半ばにして梅雨入りしてしまいました。雨さえ降っていなければ涼しく過ごしやすい天気です。降ったら降ったで人流が減り、コロナ対策になりますね。大阪のコロナ新規感染者数も、ついにピークアウトした感があります。7日間平均の最大は4月20日の1,150人でしたが、5月18日には641人にまで減りました。緊急事態宣言下とはいえ人も車も多く、いつもの風景にしか見えません。しかし、数字が改善しているので緊急事態宣言にも効果があったと思われます。今回の宣言に効果のあった理由は何でしょうか?人々を3つのグループに分けると考えやすいと思います。第1のグループは緊急事態宣言の有無にかかわらず、常に自粛している人たち。医療従事者なんかは大部分がこのグループですね。コロナの恐ろしさを目の当たりにしつつ、自宅と職場の往復で毎日が過ぎていきます。第2のグループは緊急事態宣言によって行動の変わる人。多くの一般の方がこのグループではないでしょうか。そして第3のグループは緊急事態宣言を無視して濃厚接触を繰り返している人。酒を飲んで大騒ぎしたり、カラオケしたり。この人たちの行動は目立ちますが、数としては少ないのだと思います。で、コロナを抑え込むためには、大多数を占める第2グループの行動が鍵になります。つまり、緊急事態宣言があれば自粛するが、なければ自粛しない人たち。この人たちが常時慎重な行動をすれば、徐々にコロナの新規感染者数が減るはずです。そうすれば都道府県がわざわざ飲食業に自粛要請する必要もありません。皆が1人で行って、1人で静かに食べる。単にそれだけのことです。アルコールを飲みたければ家で飲む。何も難しいことはありません。そうやって時間稼ぎをしている間にワクチンが行き渡れば、自然にコロナは収束するはず。簡単なことだと思うのですが……。ところでタイトルにした YouTube の話。何回も述べていますが、私は2015年の春から自宅にテレビがありません。なので、リオ五輪も平昌五輪も知らない間に終わってしまいました。平昌なんか、いまだにヒラマサと呼びそうになります。ピョンチャンですよね、確か。テレビがなければ時間が沢山できるはずでした。ところがそこに現れたのが YouTube。好きなチャンネルをいつでも何度でも見ることができます。中毒性が高く、考えようによってはテレビより危険。休みの日なんか、気がつけば動物ビデオをずっと見てしまいます。ハイエナとライオンの戦いとか、チーターの子育てとか。一体、人生の何の役に立つのか?自分で自分にツッコミを入れずにはおれません。こりゃ駄目だ!というわけで YouTube を長時間見ない方策を考えました。まずは YouTube の危険性を認識する次に YouTube に代わるものを探すそして心穏やかな毎日を過ごすこれらの中で一番大切なのは YouTube の代替物を探すことですね。今、試しているのはキンドル(電子出版)の英語小説。決して難しい小説を読むわけではありません。700語以内とか1,000語以内とか、限られた語彙で書かれた平易な英語小説です。色々なシリーズがありますが、私は Oxford Bookworms Library を読み始めました。易しいほうから、Starter、Stage 1……と続いて、Stage 6 まで全部で7段階。まずは Stage 2 の "Dead Man's Island" を読んでみました。英検では準2級~2級相当とされています。小さな島に住む大金持ちの男性の話ですが、これがなかなか面白い。辞書をひくことなく最後まで読めました。難しい単語を使わずにここまで表現できるのか、と感心させられます。次に Stage 3 の "Skyjack!"搭乗していた飛行機が過激派に乗っ取られる話です。英検では2級相当ですが、これも辞書要らず。2~3語ほど「ん?」と思った単語はありますが、文脈から容易に意味を推測できました。ストーリーも手に汗を握るものでお勧めです。そして Stage 4(英検2級~準1級相当)の "The Thirty-Nine Steps"国家間の戦争を仕掛けようと暗躍する人たちの話です。まだ途中ですが、辞書を使ったのは1回か2回、読むのに苦労はありません。Bookworms のシリーズは、イギリスを中心にヨーロッパを舞台とした小説が多いようです。登場人物が容赦なく殺されてしまうのがイギリスらしさかも。さて、英語小説を読むことのいいところは、罪悪感のなさです。知らないうちに何時間も経っていたとしても、何ら恥じることはありません。むしろ、「英語の小説に夢中になる俺、スゲエ!」と思ってしまうくらいです。また、寝るときにスマホで読もうとすると3分以内に眠りにつけます。これ以上の睡眠薬は、この世に存在しないでしょう。というわけで英語小説を使って YouTube 中毒からの脱出を図っております。なんか読書に夢中だった子供時代を思い出してしまいました。もし YouTube に毒されている読者がおられましたら、是非やってみてください。最後に1句ユーチューブ はまるな危険 距離を置け

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インサイド・ヘッド(続編・その1)【やったのは脳のせいで自分のせいじゃない!?】Part 1

今回のキーワード自由意志リベット決定論分離脳「潜在意識」「ホムンクルス問題」2021年3月号で、子どもから大人まで楽しめるディズニーアニメ「インサイド・ヘッド【なんで悲しみは「ある」の?どうすれば?(感情心理学)】」を紹介しました。この作品では、ライリーという女の子の頭の中で、感情の小人たちがコミカルに活躍する様子が描かれていました。そして、彼らの働きぶりから、感情心理学を学びました。ただ、皆さんの中で、この作品を見終わった人は、いつもの純粋なディズニーアニメにない、ある不気味さに気づきませんでしたか? それは、主人公であるはずのライリー自身がどう考えて、どう行動しようとするかという彼女自身の心の中(意識)がいっさい描かれていないことです。もっと言えば、ライリーが完全に小人たちの操縦通りに動く「ロボット」になっており、自分で決める能力(自由意志)がないように描かれていることです。今回は、この作品への続編記事として、制作者が確信犯的に仕込んだこの「私たちに自由意志はないの?あるの?」という裏メッセージを脳科学的に読み解きます。そして、意識を生み出す脳の正体を解き明かします。さらに、意識の起源を進化心理学的に迫ります。そこから、私たちはなぜ自由意志があると思ってしまうのかという問いへの答えを探っていきましょう。 意識の正体とは?意識とは、脳が作り出している脳の一部と理屈では理解できるような気がします。と同時に、1つの魂という存在として体に宿っているようにも感じています。そもそも意識とは何でしょうか? まず、ライリーとライリーの頭の中(脳)の関係から、意識の正体を解き明かしてみましょう。小人たちがいつもいる司令部の建物は、よくよく見ると、脳のど真ん中にある間脳を逆さまにした形をモデルにしています。間脳とは、感覚入力の中継(視床)、自律神経やホルモンの調整(視床下部)、ホルモンの指令(下垂体)をする3つの部位が合わさった、まさに中枢です。また、小人たちの目の前にある感情操縦デスクは、脳の神経細胞のシグナル伝達をする接合部位(シナプス後部)の形をモデルにしています。彼らは、この感情操縦デスクのボタンやレバーを動かすことで、ライリーは考え、行動するように描かれています。つまり、この作品の裏メッセージを脳科学的に読み解くと、意思決定は、意識が行っているのではなく、実は先に脳が行っているということです。つまり、意識の正体とは、脳が決めたことをただ見ているだけであるということです。簡単に言うと、意識は、主役ではなく、観客であるということです。これは、実際に、リベットによる実験で明らかになっています。この実験では、開頭手術中の患者の脳(随意運動野)に電極を取り付けます。そして、手を動かそうと意図した瞬間、手を動かす脳の指令信号(運動準備電位)が出る瞬間、実際に手が動く瞬間のそれぞれ3つのタイミングの時間差を計りました。もともとの予想は、「意図する→指令信号が出る→実際に動く」という順番でした。ところが、実験の結果は、「指令信号が出る→(0.3秒経過)→意図する→(0.2秒経過)→実際に動く」という衝撃の結果だったのでした。これは、その後のfMRIによる追試研究でも繰り返し確かめられています。意識とは、これまで「司令部」として能動的に決断を下しているように思われていましたが、実は私たちがそう思い込んでいるだけであり、実際は、脳が決めたことを0.3秒後に受け身的に見ているだけであったということです。つまり、私たちの考えや行動はあらかじめ脳によって決められていることになります。これは、決定論(神経生物学的決定論)と呼ばれ、実際に現在の多くの脳科学者たちから支持されています。ただし、そうなると、ある問題が起きます。たとえば、ライリーが家出をするために、ママの財布からクレジットカードを盗むシーンがあります。これは、ライリーの頭の中で、イカリという小人の暴走によるものでした。つまり、問題とは、盗んだのは小人(脳)のせいであり、ライリー自身(意識)のせいじゃない、ライリーに盗みの責任はないという理屈が成り立つことです。言い換えれば、自分(意識)に、自分の考えや行動を決める能力(自由意志)がないということは、犯罪行為の責任を問えなくなるかもしれないことを意味します。果たして、私たちに自由意志はないと言えるのでしょうか? この答えを探るために、脳の意思決定のプロセスをもっと掘り下げてみましょう。次のページへ >>

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インサイド・ヘッド(続編・その1)【やったのは脳のせいで自分のせいじゃない!?】Part 2

どうやって意思決定をするの?それでは、どうやって脳は意思決定をするのでしょうか? 次に、小人たちの働く様子から、脳の意思決定のメカニズムを解き明かしてみましょう。ライリーの頭の中では、小人たちが、感情操縦デスクの前で、イス取りゲームのように、せめぎ合うようにボタンを押しています。ちなみに、ライリーのママとパパの頭の中は、会議室のように小人たちはみんな座って意見を言い合ってボタンを押しています。脳科学的に言えば、これがシグナル伝達です。これは、気質(遺伝素因)、これまでの経験(生育環境)、その時の体調などに照らし合わせた瞬時の感情のアルゴリズムに従って、まさにせめぎ合うように働いています。こうして、意思決定が行われます。さらに、実際は、5人の感情の小人たちの下に、さらに小さな小人たちがたくさんいます。たとえば、顔を認識する小人、親密さ(血縁)を認識する小人、協力を促す小人、裏切りを見抜く小人など特定の働きをするさまざまなサブシステムです(心的モジュール)。ちなみに、かつてフロイトが説いた規範意識(超自我)も、この小人の1人と捉えることができます。彼らは、ライリーの体験(外界からの知覚刺激)に別々に次々と反応しています(並列分散処理)。この膨大な反応(ニューラルネットワーク)を、感情の小人たちが取りまとめ、意識に上げてくるのです(ソマティック・マーカー)。つまり、意思決定は、意識によるトップダウンではなく、脳活動(ニューラルネットワーク)によるボトムアップであるということです。簡単に言うと、意思決定は、ワンマンによる独裁政治ではなく、多数決による民主主義であるということです。これは、脳梁の切断(分離脳)の研究で判明しています。脳梁とは、左右の大脳半球をつなぐ部位です。難治性てんかんへの脳梁離断術後で左右の大脳半球が完全に切り離されると、それぞれの大脳半球が独立して知覚し、ばらばらに動いてしまう症例があることが分かっています(エイリアンハンド症候群)。たとえば、「他人」(エイリアン)の手のように勝手に物を取ろうとしている片方の手を、もう片方の「自分」の手が押さえ込んで、もみ合いになってしまうことです。つまり、脳梁の部位でのネットワークが途切れてしまったために、連携のアルゴリズムがうまく働かなくなってしまったのです。意思決定のアルゴリズムは、SNSのアドワーズ広告にも例えられます。この広告システムは、ユーザーのニーズ(検索ワードの傾向)に合わせた広告を自動的に表示します。これと同じように、脳のシステムは外界刺激に最適化された反応をするのです。「潜在意識」で説明できないの?先ほど紹介した決定論を支持するリベットの実験を「潜在意識」(無意識)という考え方で反論できないでしょうか? これは、意識が「手を動かそうと意図した瞬間」の0.3秒前の「手を動かす脳の指令信号が出る瞬間」に、まず「潜在意識」が潜在的に「手を動かそうと意図」し始めているからであるという理屈です。しかし、この「潜在意識」の正体は、まさに先ほどご説明した「指令信号が出る瞬間」から0.3秒間の脳活動のせめぎ合い(アルゴリズム)に過ぎません。つまり、「潜在意識」は結局、単一の意識であるという根拠がありません。よくよく考えると、もし「潜在意識」が存在して、これを含む意識がワンマンで決めているとしたら、その役割の脳の部位があるはずです。つまりは「意識を司る脳」の部位です。以前から、それは前頭葉であると考えられてきました。しかし、ここで問題が起きます。たとえば、それを脳の中にいる1人だけの小人としましょう(ホムンクルス)。すると、その小人がどうやって決めるかはまた分かりません。そこで、その小人の「脳」の中に1人のさらに小さな小人がいるはずと考えます。すると、さらにその小さな小人にも・・・と延々と繰り返してしまい、結局、答えが出ないことになってしまいます(ホムンクルス問題)。意思決定のメカニズムから、やはり私たちに自由意志はないのでしょうか? この答えを探るために、次回に意識はどうやって生まれるのかを解き明かしてみましょう。 << 前のページへ

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緩和ケアの基盤となるのはナラティブなやりとり、日常診療の範囲内で取り組めます!【非専門医のための緩和ケアTips】第3回

第3回 緩和ケアの基盤となるのはナラティブなやりとり、日常診療の範囲内で取り組めます!前回までに、緩和ケアを実践する際に、患者さんと医学情報だけでなく、物語的(ナラティブ)なやりとりをすることも大切、ということをお話ししました。一方で、実際に取り組もうとすると、なかなか難しく感じる方も多いと思います。では、どうやって毎日の診療に緩和ケアを“実装する”とよいのでしょうか? 頂いた質問から見てみましょう。今日の質問緩和ケアが大切なのはわかるんですが、とにかく時間がありません…。患者さんの話を30分近く聞いたりする時間をとるのは無理です。うちは診療所なので、緩和ケアだけに取り組むスタッフを配置するわけにもいきません…。「時間がないから、緩和ケアができない」問題ですね。この方がおっしゃるように、緩和ケアを実践する中では、ベッドサイドで30分以上お話を伺ったり、ご家族を交えて今後の療養について話し合ったりすることがあります。これぞ「The 緩和ケア」って感じですよね。皆さんが目にする、ドラマなどでの緩和ケアのシーンの多くも、こういった“ガッツリとした”緩和ケアではないでしょうか?確かに、こうした「ガチ緩和ケア」もありますが、私たち専門家も、患者さん全員にいつでもこうしたケアを行っているわけではありません。重要なのは「必要な人」に「必要なタイミング」で「必要なスタイル」の緩和ケアを提供することです。だって、外来で「いつもの薬、もらいに来ました〜」みたいなテンションの患者さんに「今から1時間、あなたの話を聞かせてください!」なんて言ったところで、びっくりされちゃいますよね。では、どうすればいいのでしょうか?それは、「患者さんがナラティブ(物語的)な話をしたいときに、短時間でよいので遮らずに聞き、医療者側もその話に関心があることを伝える」というものです。先日、私の内科の外来で、患者さんに新型コロナの生活への影響について聞いたところ、「以前はよく旅行に行っていたけど、すっかり行けなくなってしまって…」という話になりました。その方は脳血管障害後の片麻痺があり、旅行に出るのはそれなりに大変なはずです。そこに話を向けると「家族がサポートしてくれるので」「これまで行ったところでよかったのは阿蘇ですね。あの景色は今でも思い出します」など、旅行の思い出や家族への感謝の言葉が出てきました。その方にとって旅行というイベントがいかに大切なものか、障害を抱えながらもご家族に支えられてきたことを振り返り、共有してもらった時間でした。このやりとりによってすぐに医学的な介入が変化するわけではありません。ただ、「どういったことを大切にしてきた方か」「何に価値を感じる方か」といった情報を知り、そのやりとりを積み重ねていくことが、その後、人生における大切で難しい決断を本人・家族と医療者が一緒にしていく基盤となるのです。今回の旅行のお話、聞いていたのは3分程度でしょうか。そんなに長い時間ではありません。他の医学的な治療説明のほうが、時間がかかりませんか? たとえば、インスリン導入の注意点を説明する場合、私は3分では到底終わりません。もしかしたら、患者さんにとっては詳し過ぎる医学的な説明を少し少なめにして、その分で話を聞く、というやり方もよいかもしれません。もちろん、私も外来の患者さん全員とこうした話をしているのではなく、治療以外のことに話題が及ぶのは1日の外来で1、2人程度です。患者さんも毎回、雑談を期待しているわけではないでしょう。あくまでも両者にとって無理のない範囲で、「時々は医学的なこと以外の話をしてみよう」と思って取り組むくらいで十分だと思います。「急がないけれど大切なこと」を「タイミングが合ったときに聞く」というスタンスが、外来など継続性のある医療の中での緩和ケアの実践になるのです。というわけで、物語的(ナラティブ)なやりとりは、時間がかかるものもあれば、もっと手軽に日常診療の範囲内で取り組めるものもある、ということをご理解いただければと思います。今回のTips今回のTips緩和ケアの基盤となるナラティブなやりとり、日常診療の範囲内で取り組める!

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第58回 世界との比較で見えてきた日本のコロナ対策の課題と対応

新型コロナウイルス感染症を巡っては、検査やワクチン接種が遅々として進まず、治療においても病床数が不足している日本。NPO法人医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏が4月24日、「これまでのコロナ対策を問う」と題した講演会において問題点の指摘と提言を行った。以下、講演の概要を紹介する。季節性の“風邪コロナ”の動向にも注視を緊急事態宣言後の新規感染者数の増加に対し、「リバウンド」という言い方がされるが、世界で感染者数が増加しているということは、日本固有以外の理由がある。それは変異株の拡大と季節性の変動の影響だ。前者については改めて説明の必要はないが、後者については新型コロナ流行を予測する上で重要だ。コロナは元々、風邪のウイルスで、新型コロナが流行する以前から4種のウイルスが世界で流行を繰り返してきた。このような“風邪コロナ”は夏と冬の年2回流行することから、新型コロナも夏に流行する可能性がある。しかし日本の場合、現在の状況では今夏はおろか、今冬であっても国民の大半がワクチン接種を完遂するのは無理だろう。G7の中では、英国と米国において感染者数が激減している。英国については、昨夏の日本の第2波までは、感染者数の急増により「世界の負け組」と呼ばれたが、年末年始頃から減少に転じた。また、米国は死亡者数の急増から第2次世界大戦末の様相とまで言われた。両国はなぜ感染者数の減少に成功したのか、そしてその他の欧州諸国がなぜうまくいっていないのかを分析すべきだ。ワクチン接種数5割超で集団免疫を獲得日本に関しては、やり方次第で緊急事態宣言は必要なかったと考える。各国の人口10万人当たりのワクチン接種率(4月13日現在、1回目接種)のデータによると、英米両国の接種率は約6割。対する日本は1.3%。英米の感染者数の減少傾向を見ると、集団免疫を獲得していることがうかがえる。このことが示すのは、接種率が5割を超えれば感染者数を抑えられるということだ。ただし、速やかな接種でなければいけない。ちなみに、接種率1位はチリで約65%。しかし、同国の感染者数は急増した。ワクチンの主な購入先は中国のメーカーだ。中国製は不活化ワクチンで、有効性は5〜7割。これに対し、米国のファイザー製やモデルナ製はmRNAワクチンで、有効性は約9割だ。後者は世界初のワクチンで、接種後何が起きるかわからないからと、当初は中国製ワクチンが求められていたが、チリの状況が明らかになってから潮目が変わった。菅 義偉首相が4月、5,000万回分のワクチンの追加供給をファイザーと合意した頃、中国は1億回分を輸入した。習 近平・国家主席は自国のワクチンを危ないと思ったのか。一方、ファイザー製は短期的な有効性や安全性が明らかになりつつある。「特例承認」制度を早期に生かせなかった日本日本の接種率が低い理由に、接種開始の遅れがある。主要先進国では昨年12月に始まったが、日本は今年2月からだ。田村 憲久・厚生労働大臣は、安全性チェックのため治験が必要だと言ったが、ファイザー製ワクチンの治験にヨーロッパで参加した国はドイツのみで、多くが自国での治験にこだわらなかった。形だけのブリッジ試験を実行した日本とは危機意識が違うと言えよう。日本は緊急事態と言っても平時の対応だ。医薬品医療機器等法に基づく特例承認という制度があって、治験せずとも承認できるのに、政治判断をしなかった。問題を指摘された菅首相の答弁は、「法改正が必要」との苦しい説明だった。ワクチンを確保したら、あとは打つだけ。欧米では医学生や看護学生、軍人でも接種できる。日本も規制を緩和して打ち手を増やさなければいけない。日本は経済的に大きなダメージを受けている。2020年のGDPは、前年比で-5.1ポイント、アジア圏域では中ぐらいだが、東アジアの中では最下位だ。一方、ヨーロッパで感染対策を緩めたスウェーデンでは、ロックダウン措置をしなかった結果、死亡者数が増えた。2020年のGDPは前年比‐4.2ポイント。高齢者層の経済活動自粛などが要因として考えられる。国際標準とは真逆の日本の対応策日本のコロナ施策における最大の問題点は、PCR検査を抑制したことだ。G20における10万人当たりのPCR検査数(2020年12月9日前後の数字)を見ると、トップは米国で約6万5,000件。翻って、日本は14位で5,000件以下だ。世界のコロナ対策が大きく動いたのは、昨年8月。リードした米国では、新学期が始まるタイミングだった。学校では対面でないと教育効率が下がったり、教員の雇用に影響したりする。週2回の検査により陽性者が早期に発見できるという研究結果を根拠に、実行することにした。日本も東京五輪・パラリンピックの選手や関係者は週2回検査(その後、毎日に変更)するというが、子ども達に週2回検査しようとはしない。ダブルスタンダードになっている。OECD加盟国と中国の10万人当たりのCOVID-19関係論文数(2020年12月28日現在)を見ると、トップはスイスで、日本は34位。「イソジンでうがいをすれば感染を防げる」「PCR検査を増やせば医療が崩壊する」「マスク会食をしましょう」などという言説が行政トップから発せられるのが日本なのだ。実際は逆で、検査をして陰性の人はマスクを外して外食しましょう、これが国際標準であるということは明白だ。大学病院での受け入れ増に必要な感染症改正欧米と比べて患者数が少ない日本で医療が逼迫するのは、コロナ感染者の受け入れ病床数が少ないからだが、とくに問題なのは、大学病院が少数の感染者しか受け入れられない点だ。それはコロナが感染症法に規定されている法定感染症で、受け入れ病院として大学病院は認定されていないからだ。言うまでもなく、コロナは「総力戦」。科学的かつ合理的でなければならない。

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2型糖尿病、「座る時間の短縮」も指導して

 身体活動に加えて、座位中心の生活習慣を2型糖尿病のリスク評価に含める必要がある。2型糖尿病のリスク低減には、身体活動の促進と座位中心の生活習慣の回避を併せた指導が重要であると、スペイン・ナバラ大学のMaria Llavero-Valero氏らによって示された。Nutrition, Metabolism & Cardiovascular Diseases誌2021年2月8日号の報告。 身体活動と座りがちな行動―。ともに独立して2型糖尿病進展との関連性が示されている。しかし、両者の組み合わせによる検証は乏しい。そのため、本研究では身体活動スコアの評価だけでなく、座位中心の生活習慣スコアも併せて評価し、2型糖尿病との関連性を比較検証した。 地中海コホートを用いたSUNプロジェクト開始時点において、2型糖尿病を発症していなかった参加者(1万9,524例)を中央値10.4年間追跡し、2018年に分析を実施した。身体活動と座りがちなパラメーター(テレビ視聴時間と座り時間)は質問票を通じて評価し、各身体活動量はMETs・時/週で表した。その後、8項目のアクティブ+座位中心の生活習慣スコアを算出した。2型糖尿病はADA基準に従って定義した。潜在的交絡因子はCox回帰モデルを用いて調整した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中、1万9,524例のうち175例に2型糖尿病の新規発症例が観察された。・多変数解析によって、高レベルの身体活動は2型糖尿病と強く逆相関し、最低カテゴリと最高カテゴリの間において有意な差を示した(ハザード比[HR]:0.51、95%信頼区間[CI]:0.32~0.79、p for trend<0.001)。・身体活動だけでなく、より包括的なアクティブ+座位中心の生活習慣の合計スコアも考慮すると、最低カテゴリと最高カテゴリの間にさらに強い差が示された(HR:0.40、95%CI:0.20~0.80、p for trend<0.001)。

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遺伝性血管性浮腫患者の支援団体が稼働/遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム

 遺伝性血管性浮腫(Hereditary Angioedema:HAE)は、主に遺伝子変異が原因で血液中のC1インヒビターの低下などに起因し、体のいたるところで持続する腫れやむくみを繰り返す疾患である。皮膚手足、顔面、生殖器などが腫れた場合は、一見すると「じんま疹」に似ていることがあるが、強いかゆみを伴わないのが特徴だ。特にのどが腫れた場合、呼吸困難となり、生命の危険を来す可能性があり、早期の確定診断が必要だが、本症と診断されずに、日ごろの症状に苦しむ患者も多い。 こうした患者を救うため、適切な早期診断と診断率向上を目指す一般社団法人 遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(略称:DISCOVERY)が、2021年2月8日に設立され、5月16日の「HAE疾患啓発デー」より本格的に稼働を開始した。わが国のHAE顕在患者は20% HAEは、希少疾患であり、わが国の有病率は5万人に1人。国内には診断・治療中の患者が430名程度という報告があるが、推定される国内患者数に対し20%に留まっているという。また、初発から診断までの平均期間につき日本は13.8年、欧米は10年未満と欧米との比較で大きなギャップがある。そのためコンソーシアムでは、HAEと診断されずに症状に苦しむ患者を救うために、本症の診療と向き合っている医療従事者、学会、患者団体、製薬企業などが協働し、それぞれの専門性や創造性を通じて、わが国における適切な早期診断および診断率の向上を目指していく。3つのワーキンググループで患者を支援 コンソーシアムでは、HAEと診断されずに症状に苦しむ患者のために、3つのワーキンググループ(WG)を立ち上げて活動を推進する。〔医療データAI分析WG〕電子カルテやレセプト、健診データなどを基に、HAEと診断されずに症状に苦しむ患者を特定するための診断支援人工知能(AI)を構築し、そのAIを活用して日常診療での見落とし回避などの仕組みを構築・推進する〔非専門医診断支援WG〕HAE非専門医に対する知見提供に加え、HAE専門医コミュニティを構築し、テクノロジーを活用して非専門医が専門医に診断相談をする仕組みを形成・推進する〔未診断患者向け疾患啓発WG〕未診断患者が中心となってお互いにコミュニケーションする仕組みの構築、ならびに当該仕組みを介した疾患啓発情報や自己診断支援ツールを提供する

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RA系阻害薬は、COVID-19入院患者に継続してよい?

 COVID-19入院患者において、レニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬の継続有無による転帰の差はないことが、米国・ペンシルベニア大学のJordana B. Cohen氏によって明らかにされた。RA系阻害薬は、COVID-19入院患者でも安全に継続できるという。The Lancet. Respiratory Medicine誌2021年3月号の報告。 RA系阻害薬(ACE阻害薬またはARB)の服用は、COVID-19の重症度に影響を与える可能性が示唆されている。世界7ヵ国20の大規模な委託病院において、前向き無作為化非盲検試験REPLACE COVID試験(ClinicalTrials.gov:NCT04338009)を実施し、RA系阻害薬の継続と中止がCOVID-19入院患者の転帰に影響を与えるかどうか、検証した。 2020年3月31日~8月20日の期間、COVID-19で入院し、入院以前にRA系阻害薬を服用していた18歳以上の152例を登録し、RA系阻害薬による治療の継続群または中止群のいずれかにランダムに割り付けた(継続群75例、中止群77例)。主要評価項目は、4項目(死亡までの期間、人工呼吸器の持続時間、腎代替療法または昇圧剤療法の時間、および入院中の多臓器不全)のランク付けによる総合ランクスコア。intention-to-treat集団にて、1次分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・試験対象は、平均年齢62歳(SD12)、女性45%、平均BMI 33kg/m2(SD8)で、52%は糖尿病患者だった。・RA系阻害薬中止群と比較して、継続群は総合ランクスコアに影響を与えなかった(継続群:ランクスコア中央値73[IQR:40~110]、中止群:81[38~117]、β係数8[95%CI:-13~29])。・中止群の77例中14例(18%)に対して、継続群の75例中16例(21%)が集中治療室での治療または侵襲的人工呼吸を必要とした。・中止群の77例中10例(13%)に対して、継続群の75例中11例(15%)が死亡した。・中止群の28例(36%)と継続群の29例(39%)に、少なくとも1件の有害事象(各治療群間における有害事象のカイ二乗検定 p=0.77)があった。・フォローアップ中、2群間の血圧値、血清カリウム値、血清クレアチニン値に差は認められなかった。

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米国でダパグリフロジンがCKDの適応承認/アストラゼネカ

 SGLT2阻害薬の活躍の場が拡大している。AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ)のSGLT2阻害剤ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が、進行リスクのある成人の慢性腎臓病(CKD)における適応承認を米国で取得した。適応症は、慢性腎臓病におけるeGFRの持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、および心不全入院のリスク低減。 ダパグリフロジンは、経口で1日1回投与の、ファーストインクラスの選択的SGLT2 阻害剤であり、心臓、腎臓、膵臓における基本的な関連性の解明に伴い、心臓・腎臓に及ぼす影響から、予防、そして臓器保護へと研究は進化している。 CKDは、腎機能の低下を伴う重篤な進行性の疾患で、世界で約8.4憶人の患者がいると推定されている。そして、その多くはまだ診断されていない状態である。CKDを発症する最も一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎で、CKDは高い有病率や、心不全や若年死をもたらす心血管イベントリスクの増加に関与している。最終的に末期腎不全(ESKD)に進行すると血液透析や腎移植を必要とする状態となる。 アメリカ食品医薬品局(FDA)による今回の承認は、DAPA-CKD試験(第III相)の良好な結果に基づいており、また、本年の初めにFDAより付与された優先審査指定に続くもの。 DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDステージの2~4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例を対象に、ダパグリフロジン10mg投与による有効性と安全性をプラセボと比較検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験。 第III相DAPA-CKD試験においてダパグリフロジンは、CKDステージ2~4、かつ、尿中アルブミン排泄の増加を認める患者を対象に、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)もしくはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)による標準治療への併用で、腎機能の悪化、末期腎不全への進行、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合評価項目を、プラセボと比較し39%低下させた(p

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日本循環器協会が発足―予防啓発や人材育成など7つの事業を柱に

 5月10日、循環器病の新たな団体として『日本循環器協会』が発足した。代表理事に小室 一成氏(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授)、平田 健一氏(神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野教授)を迎え、各都道府県などと連携を取ることで、患者の心不全予防の啓発に力をいれていく。日本循環器学会・日本心臓財団と三位一体で活動 循環器病による国内死亡率は近年の高齢化に伴いがんよりも高い。また、健康寿命にも大きく影響を及ぼしており、平均寿命に対し、健康寿命は男性で8.84年、女性で12.35年も短く、国としての大きな問題になっている。そこで、2016年から「脳卒中・循環器病克服5ヵ年計画」や「脳卒中・循環器病対策基本法」が、昨年10月には「循環器病対策推進基本計画」が動き出したことで、各都道府県でも基本計画が実行されていくことになる。これまでも循環器病領域には歴史のある日本循環器学会や日本心臓財団が存在するが、いずれも患者やサポート企業、自治体との連携が限定的であったことを踏まえ、市民により近い距離での情報発信や患者・家族サポートなどの活動を行うための新たな組織が必要となり設立に至った。 小室氏は「 “心不全は4回予防できる”。このなかで協会の関与する範囲は広く、ステージAの前段階である予防啓発からステージDの緩和ケアにまで及ぶ。われわれは事業活動として7つの柱を推進し、患者向けの相談窓口の設置、医師以外の医療者の育成にも積極的に関わっていく。臨床研究の分野においても上市した薬剤の日本人での適正などの把握に努める」と説明した。また、このコロナ禍で心筋梗塞による外来者数は減少傾向を示すことに触れ、「受診控えをなくすための啓発も必要」とコメントした。 同じく代表理事を務める平田氏は、「平均寿命と健康寿命の乖離を縮めるために循環器病対策が課題となる。救急診療にならびリハビリテーションも有効な治療法。これまで、循環器診療は“救命”は当然の意義であったものの、予防啓発活動や市民活動に及んでおらず、以前より問題視されてきた。患者・患者家族の言葉を拾い上げるためにはなくてはならない団体として、今日の設立は日本循環器学会としても長年の夢であった。車の両輪のように日本循環器学会や日本心臓財団と一丸となって取り組んでいきたい」とコメントした。日本循環器協会の主な事業活動(1)シンポジウム、セミナー、レクチャー会等の開催(2)産学連携による一般向けおよび医療者向け広報・啓発資材の制作・配布(3)SNSを利用した国民に向けた循環器病の予防及び治療に関する知識の普及啓発(4)循環器病の患者・家族への療養指導(5)患者・家族支援を目的としたチャリティ活動(6)チーム医療実践のための多職種ネットワーク形成支援と調査研究(7)循環器病診療に係る人材の育成 ※特に循環器専門医以外のメディカルスタッフの育成(8)産学連携および患者団体との連携に基づく循環器領域の調査・研究(9)循環器に関する基礎・臨床研究の支援(10)国外を拠点とする循環器病関連団体と連携した予防啓発活動及び交流事業 なお、協会ホームページは今後の作成を予定している。

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無症候性新型コロナ感染、ワクチン完了で発生率86%減/JAMA

 イスラエル・テルアビブの3次医療センター(1ヵ所)に勤務する医療従事者について、新型コロナワクチン「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)の接種完了者は非接種者と比べて、2回目接種後7日超の症候性および無症候性のSARS-CoV-2感染の発生率が有意に減少したことを、同国Tel Aviv Sourasky Medical CenterのYoel Angel氏らが報告した。なお、結果は観察デザインに基づく調査のため限定的だとしている。症候性SARS-CoV-2感染へのBNT162b2ワクチンの有効性については、無作為化試験で推定値が示されているが、無症候性SARS-CoV-2感染への効果については不明であった。JAMA誌オンライン版2021年5月6日号掲載の報告。接種完了を、2回目接種後7日超と定義 研究グループは、2020年12月20日~2021年2月25日に、テルアビブの3次医療センターに勤務する医療従事者について行われた鼻咽頭スワブによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査の結果から、症候性および無症候性SARS-CoV-2感染者に関するデータを集めて分析した。ロジスティック回帰法にて、ワクチン接種完了群と非接種群の感染を、発生率比(IRR)を求めて比較した。被験者の居住地やPCR検査回数によって補正を行った。 ワクチン接種歴は、職場の健康データベースから入手し、接種完了は2回目接種後7日超が経過していることと定義した。 主要アウトカムは、ワクチン接種完了群vs.非接種群の症候性および無症候性SARS-CoV-2に関する補正後IRRであった。副次評価項目は、ワクチン1回接種群(1回目接種後7~28日)に関するIRR、ワクチン接種完了21日超群に関するIRRなどだった。無症候性SARS-CoV-2、ワクチン接種完了群で86%減 被験者の医療従事者は6,710例で、平均年齢は44.3(SD 12.5)歳、女性は4,465例(66.5%)だった。追跡期間の中央値は63日で、BNT162b2ワクチンの1回以上接種者は5,953例(88.7%)、2回接種者は5,517例(82.2%)、非接種者は757例(11.3%)だった。ワクチン接種者はより高年齢(平均年齢:接種者44.8歳、非接種者40.7歳)で、男性の割合が高かった(それぞれ、31.4%、17.7%)。 症候性SARS-CoV-2感染は、ワクチン接種完了群8例、非接種群38例で発生した。感染の発生率はそれぞれ、4.7件/10万人日、149.8件/10万人日で、補正後IRRは0.03(95%信頼区間[CI]:0.01~0.06)だった。また、無症候性SARS-CoV-2感染は、ワクチン接種完了群19例、非接種群17例で、それぞれ発生率は11.3件/10万人日、67.0件/10万人日、補正後IRRは0.14(95%CI:0.07~0.31)だった。 傾向スコア感度分析を行っても、結果に質的変化はなかった。

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閉経後の卵巣がんスクリーニング、死亡率低下せず/Lancet

 閉経後の女性を対象とした年1回の卵巣・卵管がんスクリーニングの実施は、同疾患での死亡率低下が期待できず推奨できないことが示された。卵巣がんは、発見時には大半が進行がんと診断される、依然として予後不良の疾患である。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのUsha Menon氏らは、同国の卵巣がん検診の共同研究(UKCTOCS)を行い、集団スクリーニングが卵巣がん死を低下するかどうかを調べた。結果は、StageIII/IVの発生率は、スクリーニングを実施しない場合に比べ低下したものの、がん死の低下は有意ではなかったという。Lancet誌オンライン版2021年5月12日号掲載の報告。閉経後の卵巣・卵管がんスクリーニングを年1回実施 研究グループは、イングランド、ウェールズ、北アイルランドの国民保健サービス(NHS)の13施設を通じて、50~74歳の閉経後の女性を対象に無作為化試験を行った。両側卵巣摘出術、卵巣がんの既往、完治していない非卵巣がん、卵巣がん家族性リスク増大のいずれかがある対象者は除外した。 適格被験者を、コンピュータ生成乱数表を用いた32ブロックに割り付け、1対1対2の割合で、血清CA125値と経腟超音波検査群(複数の手段によるスクリーニング、MMS群)、経腟超音波検査のみのスクリーニング群(USS群)、または非スクリーニング群に無作為化した。それぞれ年1回実施し、英国内レジストリを基に追跡した。 主要アウトカムは、2020年6月30日時点の卵巣または卵管がん(WHO 2014基準)による死亡だった。解析は、intention to screenでMMSとUSSをそれぞれ非スクリーニングと比較して多目的検定を用いて行われた。スクリーニングの有無や種類について、試験実施者と被験者は認知していたが、アウトカムのレビュー委員にはマスクされた。閉経後の卵巣・卵管がん死亡率は各群ともに0.6%と同等  2001年4月17日~2005年9月29日に閉経後の女性124万3,282例が参加し、適格被験者20万2,638例が無作為化を受け、20万2,562例について解析を行った。MMS群は5万625例(25.0%)、USS群は5万623例(25.0%)、非スクリーニング群は10万1,314例(50.0%)だった。 追跡期間中央値16.3年(IQR:15.1~17.3)時点で、2,055例の閉経後の女性が卵巣・卵管がんの診断を受け、MMS群522例(1.0%)、USS群517例(1.0%)、非スクリーニング群1,016例(1.0%)だった。 MMS群は非スクリーニング群との比較において、StageIが47.2%(95%信頼区間[CI]:19.7~81.1)増大し、StageIVは24.5%(-41.8~-2.0)減少した。同じくMMS群では非スクリーニング群との比較で、StageIまたはIIの総罹患率は39.2%(16.1~66.9)増大し、StageIIIまたはIVは10.2%(-21.3~2.4)減少した。 一方、閉経後の卵巣・卵管がん死は全体で1,206例だった。各群の閉経後の女性の卵巣・卵管がん死亡率は、いずれも0.6%だった(MMS群296/5万625例、USS群291/5万623例、非スクリーニング群619/10万1,314例)。また、閉経後の卵巣・卵管がん死は、MMS群、USS群ともに非スクリーニング群に比べ有意に減少しなかった(それぞれ、p=0.58、p=0.36)。

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双極性障害におけるBMIと皮質下脳容積との関連

 双極性障害患者は、肥満の割合が高く、このことが神経構造の変化と関連しているといわれている。しかし、双極性障害患者の脳構造に対する肥満の影響は、十分に研究されていない。カナダ・ダルハウジー大学のSean R. McWhinney氏らは、双極性障害におけるBMIと皮質下脳容積との関連について、検討を行った。Molecular Psychiatry誌オンライン版2021年4月16日号の報告。 ENIGMA-BDワーキンググループ内の独立した研究サイト17件より、双極性障害患者1,134例、対照群1,601例の皮質下脳容積(MRI測定)およびBMIのデータを収集した。混合効果モデルを用いて、皮質下脳容積に対する双極性障害とBMIの影響を併せてモデル化し、ノンパラメトリックブートストラップを用いて、肥満の違いによる影響をテストした。すべてのモデルは、年齢、性別、脳半球容積、頭蓋内容積、データ収集サイトにより制御した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者は、対照群と比較し、以下の特徴を有していた。●BMIが有意に高い●側脳室容積が大きい●扁桃体、海馬、淡蒼球、尾状核、視床容積が小さい・BMIは、脳室および扁桃体容積と正の相関が認められ、淡蒼球容積と負の相関が認められた。・双極性障害とBMIの影響を併せてモデル化した場合、双極性障害とBMIの両方が側脳室と扁桃体容積に関連していた。・BMIを調整した場合、双極性障害と対照群の脳室容積の差が減少した。・とくに、双極性障害と脳室容積との関連の18.41%はBMIによる影響を受けていた(Z=2.73、p=0.006)。 著者らは「BMIは、双極性障害と同様に、側脳室、扁桃体、淡蒼球を含む局所脳容積と関連していた。双極性障害において最も複製された調査結果の1つとして、BMIの高さが脳室の大きさと部分的に関連する可能性が示唆された。このことは、双極性障害患者に合併する肥満が、神経構造の変化を助長することを意味している。今後のプロスペクティブな脳画像研究により、肥満が神経構造の変化に対し修正可能なリスク因子であるかを調査する必要がある」としている。

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