サイト内検索|page:67

検索結果 合計:36030件 表示位置:1321 - 1340

1321.

アトピー性皮膚炎へのウパダシチニブ、増量および減量の有効性と安全性/BJD

 成人の中等症〜重症のアトピー性皮膚炎に対する、JAK1阻害薬ウパダシチニブのこれまでの主要な臨床試験では、15mg(UPA15)および30mg(UPA30)の固定用量1日1回投与による有効性と安全性が評価されてきた。カナダ・クイーンズ大学のMelinda Gooderham氏らは、日本を含む第IIIb/IV相無作為化国際多施設共同盲検treat-to-target試験を実施し、12週間の治療後の臨床反応に基づくUPA30への増量およびUPA15への減量の有効性と安全性を検討した。British Journal of Dermatology誌2025年12月号掲載の報告より。 18歳以上65歳未満の中等症〜重症のアトピー性皮膚炎患者461例が1:1の割合でUPA15群またはUPA30群に無作為に割り付けられ、12週間の二重盲検期間中1日1回経口投与された。UPA15群では、12週時点でEczema Area and Severity Index(EASI)-90未達成の患者は30mgに増量し(UPA15/30群)、EASI-90を達成した患者は15mgの投与を継続した(UPA15/15群)。UPA30群では、12週時点でEASI-90未達成の患者は30mgの投与を継続し(UPA30/30群)、EASI-90を達成した患者は15mgに減量した(UPA30/15群)。 主要有効性評価項目は、24週時点におけるEASI-90達成率で、安全性についても評価された。 主な結果は以下のとおり。・UPA15群に229例、UPA30群に232例が割り付けられた。・24週時点で、UPA15/30群の48.1%(64/133例、95%信頼区間[CI]:39.6~56.6)がEASI-90を達成し、UPA30/15群の68.5%(89/130例、95%CI:60.5~76.4)がEASI-90を維持していた。・24週時点で、UPA15/15群では74.6%(53/71例、95%CI:64.5~84.8)、UPA30/30群では29.3%(24/82例、95%CI:19.4~39.1)がEASI-90を維持していた。・24週時点で、UPA15/30群の32.5%(27/83例、95%CI:22.5~42.6)およびUPA30/15群の38.0%(38/100例、95%CI:28.5~47.5)が最悪のかゆみの数値評価尺度(WP-NRS)0または1を達成し、それぞれ20.7%(17/82例、95%CI:12.0~29.5)および35.0%(35/100例、95%CI:25.7~44.3)がEASI-90かつWP-NRS 0/1を達成した。・24週時点における試験治療下での有害事象の発現率は、UPA15/15群では43.1%(31/72例)、UPA15/30群では54.2%(78/144例)、UPA30/30群では61.5%(56/91例)、UPA30/15群では48.9%(65/133例)であった。悪性腫瘍、中央判定された静脈血栓塞栓症イベント、死亡は報告されていない。 著者らは、「12週時点のEASI-90達成状況に応じたウパダシチニブの用量漸増/減量戦略により、24週時点でのEASI-90達成および維持が可能であることが示された」とし、安全性についても既知のウパダシチニブの安全性プロファイルと一致し、新たな安全性上の懸念は確認されなかったとまとめている。

1322.

日本におけるアルツハイマー病診断の時間短縮フロー〜東京大学

 アルツハイマー病の診断において、血液バイオマーカーによる検査が注目されており、日本でも保険適用が待ち望まれている。東京大学の五十嵐 中氏らは、日本でのレカネマブ治療について、異なるワークフローにおける現在の診断検査の状況を推定するため、本研究を実施した。Alzheimer's & Dementia誌2025年10・11月号の報告。 ダイナミックシミュレーションを用いて、4つのシナリオ(現在の診断ワークフロー、トリアージツールとしての血液バイオマーカー[BBM]検査、確認診断のためのBBM検査およびこれらの併用)に関して、待ち時間と治療対象患者数を推定した。検査の需要を推定するため、オンライン調査により支払意思額(WTP)と無形費用を評価した。主な結果は以下のとおり。・現在のワークフロー下における最大平均待ち時間は6.4ヵ月と推定され、BBMの導入により待ち時間の減少が認められた。・BBMに基づく確認診断により、治療対象患者数が大幅に増加した。・BBMによるトリアージ検査は、待ち時間の短縮をもたらしたが、一時的に治療対象患者数を増加させた。 著者らは「PETや脳脊髄液検査をBBMに基づく診断に置き換えることで、コスト削減による治療対象患者数の増加が期待され、検査需要の増加につながる可能性がある」としている。

1323.

VTE後の抗凝固療法、90日以上継続で再発リスク大幅低下/BMJ

 米国・ハーバード大学医学大学院のKueiyu Joshua Lin氏らの研究チームは、誘因のない静脈血栓塞栓症(VTE)の患者では、90日以上の初期抗凝固療法終了後に経口抗凝固療法(OAC)を継続すると、抗凝固療法を中止した場合と比較して、VTE再発のリスクが低下し、大出血のリスクは上昇するが、OAC継続群で良好な純臨床的ベネフィット(net clinical benefit:VTE再発と大出血の複合アウトカム)を認め、これらはVTE発症から少なくとも3年にわたりOACを使用している患者でも持続的に観察されることを示した。研究の成果は、BMJ誌2025年11月12日号で発表された。2つの大規模データベースを用いた標的試験エミュレーション 研究チームは、米国の2つの大規模な健康保険データベースであるOptum Clinformatics Data Mart(Optum CDM)とメディケア(うち出来高払い分)を用いて標的試験エミュレーション(target trial emulation)を行った(米国国立老化研究所などの助成を受けた)。 VTEを有する18歳以上(Optum CDM)または65歳以上(メディケア)の成人で、可逆的な誘発因子のないVTEによる初回入院後30日以内にOAC(ワルファリン、直接作用型OAC)を開始し、90日以上治療を継続した患者を対象とした。 傾向スコア1対1マッチング法を用いて、治療継続群と治療中止群(30日以内に再処方がない集団)を比較した。 有効性の主要アウトカムはVTE再発による入院、安全性の主要アウトカムは大出血とした。副次アウトカムは純臨床的ベネフィット(VTE再発と大出血の複合)および死亡率であった。OACによる治療期間(90~179日、180~359日、360~719日、720~1,079日、1,080日以上)で層別化して解析した。全死因死亡率も低下 傾向スコアでマッチさせたOACによる治療継続と治療中止の組み合わせ3万554組を試験コホート(平均年齢73.9歳、女性57.0%)とした。 90日以上の初期抗凝固療法終了後に、治療を中止した患者と比較してOACによる治療を継続した患者は、VTE再発の発生率が著明に低く(補正後ハザード比[aHR]:0.19[95%信頼区間[CI]:0.13~0.29]、補正後率差/1,000人年:-25.50[95%CI:-39.38~-11.63])、大出血の発生率が高かった(1.75[1.52~2.02]、4.78[1.95~7.61])。 また、治療継続群は、全死因死亡率が低く(aHR:0.74[95%CI:0.69~0.79]、補正後率差/1,000人年:-14.31[95%CI:-22.02~-6.59])、純臨床的ベネフィットが著しく優れた(0.39[0.36~0.42]、-21.01[-32.31~-9.71])。 VTE再発の発生率は、アピキサバン、リバーロキサバン、ワルファリンで同程度であったが、OAC継続による出血リスクの絶対的な増加は、ワルファリンに比べ直接作用型OACで小さかった。投与期間が最長の集団で、大出血の相対リスク消失 治療継続群におけるVTE再発の発生率の減少は、OACによる治療期間の長さにかかわらず一貫して認めた(各治療期間のaHR、90~179日:0.22[95%CI:0.16~0.32]、180~359日:0.17[0.13~0.23]、360~719日:0.15[0.11~0.20]、720~1,079日:0.18[0.07~0.49]、1,080日以上:0.13[0.04~0.41])。 また、治療継続群における大出血の発生率の上昇も治療期間を通じてみられたが、OAC使用期間が最長の集団では治療中止群との差がなくなった(各治療期間のaHR、90~179日:2.38[95%CI:1.88~3.02]、180~359日:1.92[1.56~2.37]、360~719日:1.85[1.34~2.57]、720~1,079日:2.04[0.96~4.36]、1,080日以上:1.00[0.40~2.48])。 治療継続群の良好な純臨床的ベネフィットは、治療期間の長さにかかわらず一貫して認め(各治療期間のaHR、90~179日:0.50[95%CI:0.43~0.57]、180~359日:0.37[0.32~0.41]、360~719日:0.38[0.32~0.45]、720~1,079日:0.36[0.26~0.50]、1,080日以上:0.27[0.17~0.43])、OACの種類による差はみられなかった。 著者は、「本研究で得られた優れた純臨床的ベネフィットは、初期抗凝固療法終了後、最長で少なくとも3年間のOAC継続投与を支持する知見である」「これらの結果は、OAC継続投与の平均的な効果を反映するものであり、誘因のないVTE患者ごとに、個別化を要する治療継続の意思決定を行ううえで有益な情報をもたらすと考えられる」としている。

1324.

成人の肺炎球菌感染症予防の新時代、21価肺炎球菌結合型ワクチン「キャップバックス」の臨床的意義/MSD

 MSDは11月21日、成人の肺炎球菌感染症予防をテーマとしたメディアセミナーを開催した。本セミナーでは、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器内科学分野(第二内科)教授の迎 寛氏が「成人の肺炎球菌感染症予防は新しい時代へ ―21価肺炎球菌結合型ワクチン『キャップバックス』への期待―」と題して講演した。高齢者肺炎球菌感染症のリスクや予防法、10月に発売されたキャップバックスが予防する血清型の特徴などについて解説した。高齢者肺炎の脅威:一度の罹患が招く「負のスパイラル」 迎氏はまず、日本における肺炎死亡の97.8%が65歳以上の高齢者で占められている現状を提示した。抗菌薬治療が発達した現代においても、高齢者肺炎の予後は依然として楽観できない。とくに強調されたのが、一度肺炎に罹患した高齢者が陥る「負のスパイラル」だ。 肺炎による入院はADL(日常生活動作)の低下やフレイルの進行、嚥下機能の低下を招き、退院後も再発や誤嚥性肺炎を繰り返すリスクが高まる。海外データでは、肺炎罹患群は非罹患群に比べ、その後の10年生存率が有意に低下することが示されている1)。迎氏は、高齢者肺炎においては「かかってから治す」だけでは不十分であり、「予防」がきわめて重要だと訴えた。 また迎氏は、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の重篤性についても言及した。肺炎球菌に感染した場合、4分の1の患者が髄膜炎や敗血症といったIPDを発症する。IPD発症時の致死率は約2割に達し、高齢になるほど予後が不良になる。大学病院などの高度医療機関に搬送されても入院後48時間以内に死亡するケースが半数を超えるなど、劇症化するリスクが高いことを指摘した。 さらに、インフルエンザ感染後の2次性細菌性肺炎としても肺炎球菌が最多であり、ウイルスとの重複感染が予後を著しく悪化させる点についても警鐘を鳴らした。とくに、高齢の男性が死亡しやすいというデータが示された2)。定期接種と任意接種の位置付け 現在、国内で承認されている主な成人用肺炎球菌ワクチンは以下のとおりである。・定期接種(B類疾病):23価莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)対象:65歳の者(65歳の1年間のみ)、および60〜64歳の特定の基礎疾患を有する者。※以前行われていた5歳刻みの経過措置は2024年3月末で終了しており、現在は65歳のタイミングを逃すと定期接種の対象外となるため注意が必要である。・任意接種:結合型ワクチン(PCV15、PCV20、PCV21)21価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV21、商品名:キャップバックス)やPCV20などの結合型ワクチンは、T細胞依存性の免疫応答を誘導し、免疫記憶の獲得が期待できるが、現時点では任意接種(自費)の扱いとなる。最新の接種推奨フロー(2025年9月改訂版) 日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会の3学会による合同委員会が発表した「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7版)」では、以下の戦略が示されている3)。・PPSV23未接種者(65歳など)公費助成のあるPPSV23の定期接種を基本として推奨する。任意接種として、免疫原性の高いPCV21やPCV20を選択すること、あるいはPCV15を接種してから1〜4年以内にPPSV23を接種する「連続接種」も選択肢となる。・PPSV23既接種者すでにPPSV23を接種している場合、1年以上の間隔を空けてPCV21またはPCV20を接種(任意接種)することで、より広範な血清型のカバーと免疫記憶の誘導が期待できる。従来行われていたPPSV23の再接種(5年後)に代わり、結合型ワクチンの接種を推奨する流れとなっている。 また、迎氏は接種率向上の鍵として、医師や看護師からの推奨の重要性を強調した。高齢者が肺炎球菌ワクチンの接種に至る要因として、医師や看護師などの医療関係者からの推奨がある場合では、ない場合に比べて接種行動が約8倍高くなるというデータがある4)。このことから、定期接種対象者への案内だけでなく、基礎疾患を持つリスクの高い患者や、接種を迷っている人に対し、医療現場から積極的に声を掛けることがきわめて重要であると訴えた。既存ワクチンの課題と「血清型置換」への対応 肺炎球菌ワクチンの課題として挙げられたのが、小児へのワクチン普及に伴う「血清型置換(Serotype Replacement)」である。小児へのPCV7、PCV13導入により、ワクチンに含まれる血清型による感染は激減したが、一方でワクチンに含まれない血清型による成人IPDが増加している5)。 迎氏は「現在、従来の成人用ワクチンでカバーできる血清型の割合は低下傾向にある」と指摘した。そのうえで、新しく登場したPCV21の最大の利点として、「成人特有の疫学にフォーカスした広範なカバー率」を挙げた。PCV21の臨床的意義:IPD原因菌の約8割をカバー PCV21は、従来のPCV13、PCV15、PCV20には含まれていない8つの血清型(15A、15C、16F、23A、23B、24F、31、35B)を新たに追加している。これらは成人のIPDや市中肺炎において原因となる頻度が高く、中には致死率が高いものや薬剤耐性傾向を示すものも含まれる。 迎氏が示した国内サーベイランスデータによると、PCV21は15歳以上のIPD原因菌の80.3%をカバーしており、これはPPSV23(56.6%)やPCV15(40.0%)と比較して有意に高い数値である6)。 海外第III相試験(STRIDE-3試験)では、ワクチン未接種の50歳以上2,362例を対象に、OPA GMT比(オプソニン化貪食活性幾何平均抗体価比)を用いて、PCV21の安全性、忍容性および免疫原性を評価した。その結果、PCV21は比較対照のPCV20に対し、共通する10血清型で非劣性を示し、PCV21独自の11血清型においては優越性を示した。安全性プロファイルについても、注射部位反応や全身反応の発現率はPCV20と同程度であり、忍容性に懸念はないと報告されている7)。コロナパンデミック以降のワクチン戦略 講演の結びに迎氏は、新型コロナウイルス感染症対策の5類緩和以降、インフルエンザや肺炎球菌感染症が再流行している現状に触れ、「今冬は呼吸器感染症の増加が予想されるため、感染対策と併せて、改めてワクチン接種の啓発が必要だ。日本は世界的にみてもワクチンの信頼度が低い傾向にあるが、肺炎は予防できる疾患だ。医療従事者からの推奨がワクチン接種行動を促す最大の因子となるため、現場での積極的な働き掛けをお願いしたい」と締めくくった。■参考文献1)Eurich DT, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2015;192:597-604. 2)Tamura K, et al. Int J Infect Dis. 2024;143:107024. 3)65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7版)4)Sakamoto A, et al. BMC Public Health. 2018;18:1172. 5)Pilishvili T, et al. J Infect Dis. 2010;201:32-41. 6)厚生労働省. 小児・成人の侵襲性肺炎球菌感染症の疫学情報 7)生物学的製剤基準 21価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)キャップバックス筋注シリンジ 添付文書

1325.

未治療および再発・難治性CLL/SLLへのピルトブルチニブ、イブルチニブと直接比較(BRUIN-CLL-314)/JCO

 BTK阻害薬投与歴のない慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者(未治療および再発・難治性症例)に対して、非共有結合型BTK阻害薬ピルトブルチニブを共有結合型BTK阻害薬イブルチニブと直接比較した無作為化比較試験で、全奏効率(ORR)についてピルトブルチニブがイブルチニブに非劣性を示したことを、米国・The Ohio State University Comprehensive Cancer CenterのJennifer A. Woyach氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年12月7月号に掲載。 本試験では、662例を1:1の比率でピルトブルチニブ群またはイブルチニブ群に無作為に割り付けた。すべての患者にBTK阻害薬投与歴はなかった。主要評価項目は、ITT集団および再発・難治性症例における独立審査委員会(IRC)評価によるORRであった。 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目であるORRは、ITT集団においてピルトブルチニブ群が87.0%(95%信頼区間[CI]:82.9~90.4)、イブルチニブ群が78.5%(95%CI:73.7~82.9)で、ORR比は1.11(95%CI:1.03~1.19、両側検定のp<0.0001)であった。再発・難治性症例(437例)では、ピルトブルチニブ群が84.0%(95%CI:78.5~88.6)、イブルチニブ群が74.8%(95%CI:68.5~80.4)で、ORR比が1.12(95%CI:1.02~1.24、両側検定のp<0.0001)であった。未治療症例(225例)では、IRCによるORRはピルトブルチニブ群で92.9%(95%CI:86.4~96.9)、イブルチニブ群で85.8%(95%CI:78.0~91.7)であった。治験責任医師評価によるORR結果も同様であった。・治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)は、ITT集団(ハザード比[HR]:0.57、95%CI:0.39~0.83)、再発・難治性症例(HR:0.73、95%CI:0.47~1.13)、未治療症例(HR:0.24、95%CI:0.10~0.59)において、ピルトブルチニブ群が優位であった。・心血管系有害事象(心房細動/粗動および高血圧)の発現率はピルトブルチニブ群のほうが低かった。

1332.

PAH診断1年未満の中~高リスク患者へのソタテルセプト上乗せは有効である(解説:原田和昌氏)

 アクチビンシグナル伝達阻害薬ソタテルセプトは長期罹患の肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者においてPAHの悪化と死亡率を改善するが、診断後1年未満のPAH患者における有効性は不明であった。米国のMcLaughlin氏らは、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であるHYPERION試験により、PAHの診断から1年未満の成人において、基礎治療へのソタテルセプト追加はプラセボと比較し臨床的悪化のリスクを有意に低下させることを示した。 WHO機能分類クラスII~IIIのPAH患者で、診断から1年未満、死亡リスクが中~高リスク(REVEAL Lite 2リスクスコア≧6またはCOMPERA 2.0スコア≧2)、また90日以上安定した2剤または3剤併用療法を受けている18歳以上の患者を、ソタテルセプト群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、上乗せ投与した。主要エンドポイントは臨床的悪化(全死亡およびPAHの悪化による24時間以上の予期せぬ入院、心房中隔欠損作成術、肺移植、PAHによる運動負荷試験の成績の悪化)で、初回イベント発生までの時間を評価した。 320例(ソタテルセプト群160例、プラセボ群160例)が解析対象集団となった。平均年齢は56歳であった。追跡期間中央値13.2ヵ月において、主要エンドポイントが少なくとも1回発生した患者は、ソタテルセプト群17例(10.6%)、プラセボ群59例(36.9%)であった(ハザード比:0.24、95%信頼区間:0.14~0.41、p<0.001)。PAHの悪化による予期せぬ入院が3例(1.9%)と14例(8.8%)、全死亡が7例(4.4%)と6例(3.8%)に起こった。心房中隔欠損拡大術、肺移植はなかった。最も多いソタテルセプトの有害事象は鼻出血(31.9%)と毛細血管拡張(26.2%)であった。 診断1年未満のPAHの成人において、既存の治療にソタテルセプトを上乗せすることはプラセボよりも臨床的悪化を抑制した。特筆すべきはKaplan-Meierカーブの分離が速やかで、12ヵ月でのNNTは5であった。なお、先行するZENITH試験(WHO機能分類IIIまたはIV)で有効性が確認されたため、本試験は2025年1月30日に早期終了となった。残るはソタテルセプトがPAHの第1選択薬となるかであるが、それはまだ明らかでない。

1333.

異物除去(11):外耳道異物(4)ボタン電池【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q155

異物除去(11):外耳道異物(4)ボタン電池Q155休日夜間診療所で当直バイト中、夜22時に外耳道異物の3歳男児が受診した。同伴の両親からの聴取では「ボタン電池を入れてしまったかもしれない、おそらく挿入は受診の30分前くらいだろう」とのこと。耳鏡で見ると、明らかにボタン電池が入っている。現時点で鼓膜穿孔はなさそうだ。自分で1回鑷子を用いて除去を試みたができなかった。幸い、電池は回転していない。耳鼻科対応が可能な近隣の総合病院に紹介しようとあたってみるが、どこも対応が困難なようだ。受けてくれそうな病院は隣町の救急病院で、どう考えても救急病院まで移動で1時間はかかるだろう。どうしようか。(1)もう一度、除去を試みる(2)なるべく乾燥させることを促しながら救急搬送する(3)陰極側に薄いガーゼを留置して救急搬送する(4)酢酸を塗布して救急搬送する(5)翌日、近くの耳鼻科開業医に受診してもらう

1334.

2025年肺がん、押さえておきたいグローバルの3トピック【DtoD ラヂオ ここが聞きたい!肺がん診療Up to Date】第10回

第10回:2025年肺がん、押さえておきたいグローバルの3トピックパーソナリティ日本鋼管病院 田中 希宇人 氏ゲスト聖マリアンナ医科大学 古屋 直樹 氏※番組冒頭に1分ほどDoctors'PicksのCMが流れます関連サイト専門医が厳選した、肺がん論文・ニュース「Doctors'Picks」(医師限定サイト)講師紹介

1335.

第296回 脳の水はけをよくする手術がアルツハイマー病患者に有効

脳の水はけをよくする手術がアルツハイマー病患者に有効脳全域の水流を生み出す細道が10年以上前に見つかり、以来、その謎めいた水路がアルツハイマー病などの神経変性疾患に寄与しているかどうかが検討されるようになりました。今や時代は進み、その流れを改善する方法が実際にヒトで試験されるに至っています。米国・サンディエゴでの先月11月中旬のSociety for Neuroscience(SfN)学会では、脳の水流を改善する薬やその他の手段の手始めの検討の有望な成果をいくつかのチームが発表しています。動物やヒトの脳から有毒なタンパク質を除去しうることや、神経変性疾患を模すマウスの症状を回復するなどの効果が得られています1)。とくに中国での取り組みは随分と先を行っており、アルツハイマー病の特徴のタンパク質を洗い流すのを後押しする手術をヒトに施した成果がこの10月初めに報告されました。その成功の宣言を心配する向きがある一方で歓迎もされました。その有望な成果に触発された米国の外科医のチームは、よりしっかりとした臨床試験を計画しており、早ければ来年早々にアルツハイマー病患者の組み入れを始めるつもりです。手術の試みはとても信じられないとワシントン大学の神経科学者Jeffrey Iliff氏はScience誌に話しています。しかし、13年前には知る由もなかった脳の水路が見つかったように、手術は効かないといういわれはないと同氏は言っています。さかのぼること13年ほど前の2012年に、他でもないIliff氏とその同僚が脳の細胞のアストロサイトによって形成される脳の水路一帯を初めて報告しました2)。Iliff氏らはそれをグリンパティック経路と名付けました。グリンパティック経路は脳の血管の周りに形成され、収縮と弛緩を繰り返すことで脳脊髄液(CSF)を押し出します。そうして血管に沿って流れていく間に脳の奥深くからの老廃物が回収され、髄膜リンパ管を経由して首のリンパ節に至り、やがては血流に排出されます。グリンパティック経路の活動は就寝中に最も盛んで、不眠、外傷性脳損傷(TBI)、脳血管疾患で妨げられます。そのような何らかの要因で脳の洗浄が滞ることと認知症を生じやすくなることの関連が調べられるようになっており、たとえばIliff氏らがmedRxiv誌に最近掲載した研究成果では、ヒトのグリンパティック経路がアルツハイマー病を特徴づける2つのタンパク質、ベータアミロイドとタウを睡眠中に脳の外に排出することが示されています3)。中国で開発された脳を洗い流す外科処置はリンパ浮腫の一般的な治療手段に似たもので、dcLVA(deep cervical lymphovenous anastomosis)と呼ばれます。dcLVAは首のリンパ節やリンパ管を頸静脈に繋いで脳の排水の向上を目指します。2020年に中国の形成外科医のQingping Xie氏がアルツハイマー病患者にdcLVAを初めて施しました。今やXie氏はその治療を中国やその他の国に向けて宣伝しています。他にも熱心な研究者は多いらしく、最近の報告によると今年7月1日時点で30弱の臨床試験の登録があり、アルツハイマー病患者およそ1,300例が組み入れられたか組み入れ予定となっています4)。先に触れたとおり、この10月初めには中国の鄭州大学のJianping Ye氏らが最もまとまった症例数のdcLVA手術の成績を報告しました。同国の軽~中等度のアルツハイマー病患者41例にdcLVAが施され、脳の排水の指標とされたAβやタウの血液やCSFの値の改善が3ヵ月時点の検査でおよそ3例に2例以上にみられました5)。また、病院での3ヵ月時点の認知機能検査で18例中9例のアルツハイマー病は進行が止まってむしろ回復傾向にありました。Ye氏らの報告には批判の声もあり、その中には中国の神経外科医からのものも含まれます。アルツハイマー病を脳のリンパ浮腫の一種とみなすYe氏らの考えを疑う研究者もいます。グリンパティック経路の不調の多くはアストロサイトの内側を発端としており1)、詰まりを取り除けば済むという話ではなさそうだからです。一方、Ye氏らの試験がだいぶ拙いとは知りつつもその有望な成績に見入ってしまった研究者もいます。米国のエール大学の形成外科医のBohdan Pomahac氏はdcLVAをさらに突っ込んで研究すべく、ワシントン大学のチームと組んで動物実験を行っています。すべてうまくいって今月の資金集めが済んだら、慎重に選定した初期アルツハイマー病患者にdcLVAを施す臨床試験をPomahac氏は開始するつもりです1)。手術ではなく薬で脳の水はけをよくする試みも研究されており、家の配管を定期的に掃除するように脳のグリンパティック経路を定期的または日常的に手入れする手段がやがては実現するかもしれません。参考1)Brain’s ‘plumbing’ inspires new Alzheimer’s strategies-and controversial surgeries / Science 2)Iliff JJ, et al. Sci Transl Med. 2012;4:147ra111.3)Dagum P, et al. The glymphatic system clears amyloid beta and tau from brain to plasma in humans. medRxiv. 2025 Oct 16.4)Lahmar T, et al. J Prev Alzheimers Dis. 2026;13:100335.5)Ma X, et al. J Alzheimers Dis Rep. 2025;9:25424823251384244.

1336.

終末期がん患者の反跳性離脱症状を発見して処方再開を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第70回

 今回は、終末期がん患者における薬剤性の反跳性離脱症状を早期に発見し、処方再開を提案した症例を紹介します。がん患者では、疼痛管理や不眠に対して複数の薬剤が併用されることがありますが、全身状態の悪化に伴い服用が困難になることがあります。服用困難という理由だけで急に中止するのではなく、離脱症状のリスクを総合的に評価し、適切な漸減・代替薬への切り替えを検討することが重要です。患者情報79歳、男性(施設入居)基礎疾患小細胞肺がん(T2aN3M1c、StageIV ED)、頸髄損傷後遺症、神経因性膀胱、狭心症(時期不明)治療経過2025年6月に小細胞肺がんと診断され、7月より薬物治療(カルボプラチン+エトポシド+デュルバルマブ)を開始した。しかし発熱性好中球減少症・敗血症性ショックにより再入院。8月に家族へ病状を説明した後、緩和ケアへ移行する方針となり、施設へ転院・入居となった。社会・生活環境ほぼ寝たきり状態、自宅受け入れ困難のため施設入居ADLほぼ寝たきり状態処方内容1.ベザフィブラート錠50mg 1錠 分1 朝食後2.アジルサルタンOD錠20mg 1錠 分1 朝食後3.エチゾラム錠0.5mg 1錠 分1 就寝前4.クロピドグレル錠75mg 1錠 分1 朝食後5.ボノプラザン錠10mg 1錠 分1 夕食後6レンボレキサント錠5mg 1錠 分1 就寝前7.トラマドール・アセトアミノフェン配合錠 3錠 分3 毎食後8.ドキサゾシン錠1mg 1錠 分1 就寝前9.トラゾドン錠25mg 2錠 分1 就寝前10.プレガバリンOD錠75mg 1錠 分1 就寝前11.フロセミド錠20mg 1錠 分1 朝食後12.ロスバスタチン錠2.5mg 1錠 分1 夕食後13.酸化マグネシウム錠330mg 3錠 分3 毎食後本症例のポイント施設に入居して約1ヵ月後、誤嚥リスクと覚醒(意識)レベルの低下により全内服薬が一時中止となりました。食事摂取量は0~5割とムラがあり、尿路感染症に対してST合剤内服を開始しました。その後、患者さんは右足先の疼痛を訴え、アセトアミノフェン坐剤を開始しても効果が不十分な状態となりました。傾眠傾向にはあるものの、夜間の入眠困難もありました。問題点の評価患者さんの状態から、プレガバリン(半減期約6時間)とトラゾドン(半減期約6時間)の中断により、反跳性離脱症状が出現した可能性があると考えました。プレガバリンは電位依存性Caチャネルのα2δサブユニットに結合し、神経伝達物質の放出を抑制する薬剤であり、突然の中止により不眠、悪心、疼痛の増悪などの離脱症状が出現することが報告されています。トラゾドンについても、抗うつ薬の中止後症候群として不安、不眠、自律神経症状(悪心・嘔吐)が出現することがあります。また、トラマドール・アセトアミノフェン配合錠の中断による除痛効果の喪失と、プレガバリンの中断による中枢性GABA様調節の急変が、疼痛と自律神経症状の悪化に関与している可能性もあります。頸髄損傷後遺症を有する本患者にとって、プレガバリンは神経障害性疼痛の管理に有効かつ重要な薬剤と推察しました。医師への提案と経過診察へ同行した際に、医師に以下の内容を伝えました。【現状報告】全内服薬中止後に右足先の疼痛が持続し、アセトアミノフェン坐剤では十分な除痛効果が得られていない。夜間の入眠困難が続いている。傾眠傾向はあるものの睡眠の質が低下している。【懸念事項】プレガバリンとトラゾドンの急な中止により反跳性離脱症状が出現している可能性がある。プレガバリンは神経障害性疼痛の管理に有効であり、頸髄損傷後遺症を有する患者にとって重要な薬剤である。プレガバリンの中止により中枢性GABA様調節の急変が自律神経症状の悪化に寄与している可能性がある。その上で、プレガバリン75mg 1錠とトラゾドン25mg 1錠を就寝前に再開することを提案しました。就寝前の1回投与にすることで服薬負担を最小限にしつつ、離脱症状の軽減と疼痛・睡眠の改善を図ることができるためです。また、疼痛と睡眠状態のモニタリングを継続し、効果判定を行うことも提案しました。医師に提案を採用いただき、プレガバリン75mg 1錠とトラゾドン25mg 1錠を就寝前に再開することになりました。再開後、疼痛は軽減傾向を示し、アセトアミノフェン坐剤の使用頻度も減少しました。睡眠状態も改善し、夜間の入眠が得られるようになりました。覚醒(意識)レベルについても徐々に軽快しました。振り返りと終末期がん患者での注意点本症例では、疼痛の増悪が単に疾患の進行によるものではなく、プレガバリンの離脱による反跳性の症状である可能性を考慮しました。このような薬剤性の症状を見逃さないためには、処方歴の確認と薬剤の薬理作用・半減期の理解が不可欠です。さらに、症状の原因を多角的に評価することが重要になるため、医師や施設スタッフとの密な連携により、症状の経時的変化を把握して適切なタイミングで処方調整を提案することが求められます。終末期がん患者における薬物療法の最適化では、不要な薬剤を中止することも重要ですが、必要な薬剤を適切に継続・再開することも同様に重要です。本症例では、離脱症状のリスクを評価し、患者さんのQOL維持のために必要な薬剤の再開を提案することで、服薬負担を最小限にしつつ離脱症状を回避することができました。薬剤師として、薬剤の薬理作用と離脱症状のリスクを理解し、患者さんの症状変化を注意深く観察することで、終末期患者の苦痛緩和に貢献できます。参考文献1)厚生労働省医薬食品局:医薬品・医療機器等安全性情報No.308(2013年12月)2)トラゾドン添付文書情報

1337.

治療抵抗性うつ病の認知機能維持に最適な薬物治療戦略は?

 高齢者における治療抵抗性うつ病に対するさまざまな抗うつ薬治療戦略が認知機能にどのような影響を及ぼすかは、これまで明らかになっていなかった。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のHanadi A. Oughli氏らは、高齢の治療抵抗性うつ病に対する薬物療法が認知機能に及ぼす影響を評価した。The Lancet Healthy Longevity誌2025年10月号の報告。 OPTIMUM試験の事前に規定された2次解析を行った。OPTIMUM試験は、さまざまな薬物療法の増強または切り替え戦略を比較した実践的なランダム化有効性比較試験であり、60歳以上の治療抵抗性うつ病患者を対象に実施された試験である。対象患者は、5つの大学医療センター(米国:4施設、カナダ:1施設)から募集された。ステップ1では、治療抵抗性うつ病患者391例をアリピプラゾール増強群(1日最大15mgまで)、bupropion増強群(1日最大450mgまで)、bupropion切り替え群(1日最大450mgまで)に1:1:1の割合でランダムに割り付け分析した。ステップ2では、ステップ1の適応外患者またはこのステップ1で寛解に達しなかった患者182例をリチウム増強群(目標血漿中濃度:0.4~0.8mEq/L)またはノルトリプチリンへの切り替え群(目標血漿中濃度:80~120ng/mL)に1:1でランダムに割り付け分析した。各ステップは10週間継続した。ステップ1またはステップ2の完了後、12ヵ月間のフォローアップ調査を行った。主要アウトカムは、ステップ1およびステップ2終了時の認知機能とし、米国国立衛生研究所(NIH)ツールボックス認知バッテリーの一部であるNIHツールボックス流動性認知複合スコアを用いて評価し、ITT集団において解析した。ITT集団とプロトコール適合集団の両方において実施された探索的事後解析では、流動性認知複合スコアを構成する個々の認知課題の変化を評価した。 主な結果は以下のとおり。・OPTIMUM試験には、2017年2月22日~2019年12月31日に742例が登録された。・ステップ1では、対象患者619例(83%)をアリピプラゾール増強群(211例)、bupropion増強群(206例)、bupropion切り替え群(202例)にランダムに割り付け、それぞれ128例、136例、127例の認知機能に関するデータを分析した。・ステップ2では、対象患者248例をリチウム増強群(127例)またはノルトリプチリン切り替え群(121例)にランダムに割り付け、それぞれ89例、93例の認知機能に関するデータを分析した。・流動性認知複合スコアは、10週間にわたり薬物治療間で有意な差は認められなかった。・ステップ1では、フランカー抑制制御および注意検査において時間×群間交互作用が観察された(F[2,266]=3.97、p=0.020)。また、対比分析では、アリピプラゾール増強群はbupropion増強群と比較し、抑制制御の上昇と関連していることが示唆された(t=−2.82、p=0.0052)。・ステップ2では、フランカー抑制制御および注意検査において時間×群間交互作用が観察され(F[1,176]=5.20、p=0.024)、ノルトリプチリン切り替え群で抑制制御の有意な上昇が認められたのに対し(最小二乗平均の変化:+2.0、t=2.33、p=0.021)、リチウム増強群では上昇が認められなかった(-0.7、t=-0.89、p=0.37)。・治療中のうつ症状の変化は認知機能の変化と相関していなかった。・ステップ1では、bupropion増強群で転倒率が最も高かったのに対し、ステップ2ではリチウム増強群とノルトリプチリン切り替え群で転倒率は同程度であった。・重篤な有害事象の発生率は、ステップ1の3群(0.07~0.12)とステップ2の2群(0.09~0.10)で同程度であった。 著者らは「全体として、全般認知機能は薬物治療間で差が認められなかった。アリピプラゾール増強群とノルトリプチリン切り替え群は、bupropion増強群またはリチウム増強群と比較し、抑制制御において若干の優位性がある可能性が示唆された」としている。

1338.

非小細胞肺がん、アミバンタマブ・ラゼルチニブ併用における予防的抗凝固療法に関する合同ステートメント/日本臨床腫瘍学会ほか

 日本臨床腫瘍学会、日本腫瘍循環器学会、日本循環器学会、日本肺学会、日本治療学会、日本血栓止血学会、日本静脈学会は2025年12月8日、非小細胞肺がん(NSCLC)のアミバンタマブ・ラゼルチニブ併用療法における予防的抗凝固療法の適正使用に関する合同ステートメントを発表した。 EGFR遺伝子変異陽性の切除不能進行・再発NSCLCに対する新たな治療戦略として二重特異性モノクローナル抗体であるアミバンタマブと第3世代EGFR-TKIラゼルチニブの併用療法が臨床導入された。アミバンタマブ・ラゼルチニブ併用療法では、静脈血栓塞栓症(VTE)の発症が高頻度であることが国内外の臨床試験により報告されている。このためVTE発症予防を目的として、併用療法開始後4ヵ月間にわたる直接経口抗凝固薬アピキサバンの投与が2025年3月27日付で厚生労働省保険局医療課により承認された。 しかし、本邦における診療ガイドラインでは外来化学療法時の抗がん薬によるVTE発症の予防目的で施行される抗凝固療法において推奨する抗凝固薬に関する記載がなく、同時にアミバンタマブ・ラゼルチニブ併用療法治療中のNSCLC患者に対するアピキサバンの臨床的経験は限られているのが現状である。そこで、今回承認された新たながん治療法を安全かつ適正に導入するために、患者の安全性を最優先に考慮する必要があることから本ステートメントが発出された。ステートメント 「EGFR変異陽性の進行・再発NSCLCに対してアミバンタマブ・ラゼルチニブ併用療法を施行する患者において、静脈血栓塞栓症予防を目的としてアピキサバン2.5mgを1日2回、4ヵ月間投与する。活動性悪性腫瘍症例に対しアピキサバンによる予防的抗凝固療法を施行するにあたり日本人では血中濃度が高くなることが知られているが、アピキサバン2.5mg1日2回投与の出血リスクについては安全性が確認されていない。そこで出血(ISTH基準の大出血*)などの重篤な合併症を生じるリスクを理解した上で、使用薬の特性、投与方法、薬剤相互作用を考慮した慎重な対応が必要である。そして、これらの治療は抗凝固療法に精通した腫瘍循環器医(循環器医)等と連携の取れる体制の下で実施されることが望ましい。」*:ISTH基準の大出血:実質的な障害をもたらす出血(脳出血、消化管出血、関節内出血など)、失明に至る眼内出血、2単位以上の輸血を要する出血

1339.

CKDへのSGLT2阻害薬、糖尿病・UACRを問わずアウトカム改善/JAMA

 慢性腎臓病(CKD)患者におけるSGLT2阻害薬の効果については不確実性が存在し、欧米のガイドラインでは糖尿病の状態や尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)に基づき推奨の強さが異なる。英国・オックスフォード大学のNatalie Staplin氏らSGLT2 Inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists’ Consortium(SMART-C)は、SGLT2阻害薬は糖尿病の有無やUACRの値にかかわらず、腎機能や入院、死亡のアウトカムに関して明確な絶対的便益(absolute benefit)を有するとメタ解析の結果を報告した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年11月7日号で発表された。8件の無作為化臨床試験のメタ解析 研究グループは、糖尿病の有無およびUACR(200mg/g以上、200mg/g未満)で層別化した臨床試験の参加者において、SGLT2阻害薬の使用が有効性や安全性のアウトカムに及ぼす相対的および絶対的な影響の評価を目的にメタ解析を行った。 対象は、腎疾患での使用の適応を有するSGLT2阻害薬について検討し、腎アウトカムの経過やベースラインのアルブミン尿のデータを記録した8件の無作為化臨床試験であった。 主要アウトカムとして、SGLT2阻害薬の使用が臨床的な有効性と安全性に及ぼす影響を評価した。糖尿病の有無にかかわらず、有効性のアウトカムが改善 SGLT2阻害薬とプラセボを比較した試験の参加者5万8,816例(平均年齢64[SD 10]歳、女性35%、糖尿病4万8,946例、非糖尿病9,870例)を解析の対象とした。 プラセボ群と比較してSGLT2阻害薬群では、次の4つの有効性のアウトカムが糖尿病の有無を問わず改善した(非糖尿病患者の総死亡を除く)。(1)腎疾患進行率が低下(糖尿病患者:SGLT2阻害薬群33件/1,000人年vs.プラセボ群48件/1,000人年、ハザード比[HR]:0.65[95%信頼区間[CI]:0.60~0.70]、非糖尿病患者:32件vs.46件、0.74[0.63~0.85])(2)急性腎障害(AKI)の発生率が低下(糖尿病患者:14件vs.18件、0.77[0.69~0.87]、非糖尿病患者:13件vs.18件、0.72[0.56~0.92])(3)総入院の発生率が低下(糖尿病患者:202件vs.231件、0.90[0.87~0.92]、非糖尿病患者:203件vs.237件、0.89[0.83~0.95])(4)総死亡の発生率が低下(糖尿病患者:42件vs.47件、0.86[0.80~0.91]、非糖尿病患者:42件vs.48件、0.91[0.78~1.05])アルブミン尿による層別化は不要 このようなSGLT2阻害薬の糖尿病の有無別のHRは、さらにUACR 200mg/g以上とUACR 200mg/g未満に分けて検討した場合も同様に良好であった。 たとえば、UACR 200mg/g以上で絶対リスクが高い場合でも、このサブグループでは腎疾患進行(糖尿病患者のHR:0.65[95%CI:0.59~0.71]、非糖尿病患者のHR:0.71[95%CI:0.60~0.84])に対するSGLT2阻害薬の絶対的便益が明らかに大きいと推定された。また、UACR 200mg/g未満の患者では、他の有効性のアウトカム、とくに入院(0.91[0.88~0.94]、0.89[0.82~0.98])に関して明らかな絶対的便益を認めた。 さらに、非心不全の患者集団や、推定糸球体濾過量が60mL/分/1.73m2未満の患者の解析でも、このSGLT2阻害薬の絶対的便益が保持されていた。 著者は、「これらのデータは、CKD患者におけるSGLT2阻害薬の使用に関するガイドラインの推奨から、アルブミン尿の値による患者の層別化を削除することを支持し、より広範な使用の根拠となるものである」としている。

1340.

個別化プレハビリテーションで手術アウトカムが改善

 大きな手術を控えている場合、手術そのものや術後のリハビリテーション(以下、リハビリ)に備えてエネルギーを温存する必要があると考える人は少なくないだろう。こうした考えは十分理解できるものだが、実際には、術前から開始するリハビリであるプレハビリテーションに参加した方が良い状態につながることが、米スタンフォード大学麻酔科学・周術期医学・疼痛医学教授のBrice Gaudilliere氏らが実施した臨床試験で明らかにされた。同試験では、マンツーマンでのプレハビリテーションが最も効果的であることが示されたという。詳細は、「JAMA Surgery」に11月12日掲載された。 この臨床試験では、待機的大手術を控えた患者58人(年齢中央値57歳、女性57%)を、個別化したプレハビリテーションを受ける群と標準的なプレハビリテーションを受ける群(対照群)にランダムに割り付けて、術前の身体機能、認知機能、免疫機能、および術後の合併症を比較した。対照群には運動指導、栄養やストレス軽減に関する助言、アプリによる認知トレーニングが提供された。一方、個別化プレハビリテーション群は、リモートで理学療法士と医師が1回ずつマンツーマンで実施する週2回のコーチングを受けた。プレハビリテーション群が受けた助言の内容は対照群と類似していたが、例えば、患者の自宅のキッチンにある食材の写真や動画を見た上で栄養に関するアドバイスや健康的なレシピを提供するなど、個々の患者の能力や進捗に合わせて個別化された。 最終的に両群とも27人が試験を完了した。プレハビリテーション群では、手術前の身体的および精神的な状態を測定する全ての検査で有意な改善が見られた。また、術後の回復につながる免疫システムにも変化が認められ、特定の免疫細胞の過剰反応が起きにくくなり、手術前の基礎的な炎症レベルも低下していた。さらに、術後に重大な合併症が発生した患者の数も、対照群では11人であったのに対し、プレハビリテーション群では4人にとどまっていた。 Gaudilliere氏は、「これまでの研究から、手術後に感染症を起こしやすい人は、手術前から自然免疫応答が過剰で、過度の炎症状態にあることが明らかになっていた」と話す。過剰に活性化した免疫細胞は、逆説的に病原体への免疫反応を低下させてしまうことがあるという。同氏は、「プレハビリテーションとは、手術という大きな負担に備えて、身体的な回復力だけでなく免疫機能や神経認知機能、さらには心理的側面を整えるためのトレーニングのようなものと捉えることができる」とニュースリリースの中で説明している。 研究グループによると、正しい食生活と運動、十分な睡眠といった身体的および精神的な健康状態を向上させる生活習慣は、大手術が人体に与える大きな負荷に耐える助けになる。共著者の1人であるスタンフォード大学外科准教授のCindy Kin氏は、「全くトレーニングをせずにマラソンをする人はいない」とニュースリリースの中で話す。しかし、「現実には、手術前に大きな生活習慣の改善を行う患者は多くない」と研究グループは指摘している。Gaudilliere氏は、「医師から推奨されているにもかかわらず、実際にこうしたプレハビリテーションプログラムに参加して遵守してもらうのは極めて難しい」と言う。 研究グループは、次の課題は個別化されたプレハビリテーションが最も効果的な患者の特徴を明らかにすることであるとの見解を示している。その結果が明らかになるまでは、手術を控えた患者はどんなことでも良いので栄養、運動、睡眠を改善する小さな行動変容に取り組むと良いとKin氏は助言している。

検索結果 合計:36030件 表示位置:1321 - 1340