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がん連携手帳を活用しよう!【ママに聞いてみよう(5)】

ママに聞いてみよう(5)がん連携手帳を活用しよう!講師:堀 美智子氏 / 医薬情報研究所 (株)エス・アイ・シー取締役、日本女性薬局経営者の会 会長動画解説がん患者さんを地域で支えていくためには、連携ツールであるがん連携手帳が欠かせません。薬局での活用法について、日本のがん対策の現状と併せて解説します。

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救急箱について聞かれたら?【ママに聞いてみよう(5)】

ママに聞いてみよう(5)救急箱について聞かれたら?講師:堀 美智子氏 / 医薬情報研究所 (株)エス・アイ・シー取締役、日本女性薬局経営者の会 会長動画解説かかりつけ薬剤師であれば家庭に置く救急箱についてきちんとアドバイスしたいもの。救急箱の役割と個々の患者に合った薬のそろえ方、そしてその活用方法について美智子先生が教えます。

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食事がおいしくないのは抗がん剤の影響?【ママに聞いてみよう(5)】

ママに聞いてみよう(5)食事がおいしくないのは抗がん剤の影響?講師:堀 美智子氏 / 医薬情報研究所 (株)エス・アイ・シー取締役、日本女性薬局経営者の会 会長動画解説吐き気、味覚異常、口内炎…抗がん剤には食事に影響する数々の副作用があります。「食事がおいしく感じられない」という患者さんに対して、薬剤師はどのような支援ができるのでしょうか?

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健康サポート薬局って何?【ママに聞いてみよう(5)】

ママに聞いてみよう(5)健康サポート薬局って何?講師:堀 美智子氏 / 医薬情報研究所 (株)エス・アイ・シー取締役、日本女性薬局経営者の会 会長動画解説2016年より運用が開始され、各地で研修も開催されている「健康サポート薬局」。どのような経緯で開始され、薬局・薬剤師には具体的に何が求められているのか、美智子先生が教えます。

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乳児のアトピーに悩む家族へのアドバイス【ママに聞いてみよう(6)】

ママに聞いてみよう(6)乳児のアトピーに悩む家族へのアドバイス講師:堀 美智子氏 / 医薬情報研究所 (株)エス・アイ・シー取締役、日本女性薬局経営者の会 会長動画解説アトピー性皮膚炎の乳児のスキンケアで何に気を付けるのか、卵などの食物アレルギーの原因になる食べ物はいつから食べさせてよいのか、悩む母親に適切なアドバイスができますか?最新の知見を踏まえて、美智子先生が教えます。

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静脈血栓塞栓症と避難所生活【ママに聞いてみよう(6)】

ママに聞いてみよう(6)静脈血栓塞栓症と避難所生活講師:堀 美智子氏 / 医薬情報研究所 (株)エス・アイ・シー取締役、日本女性薬局経営者の会 会長動画解説大地震などの災害時や旅行の際などに問題となる静脈血栓塞栓症。避難所生活では血栓リスクが高まるからといって、「抗血栓薬を使用していた人はすぐに服用を再開すべき」と安易に考えてはいけない、と美智子先生は注意を促します。

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熱が上がったのは抗てんかん薬のせい?【ママに聞いてみよう(6)】

ママに聞いてみよう(6)熱が上がったのは抗てんかん薬のせい?講師:堀 美智子氏 / 医薬情報研究所 (株)エス・アイ・シー取締役、日本女性薬局経営者の会 会長動画解説一部の抗てんかん薬にみられる体温上昇の副作用。一般的な発熱と同じ対処をしてしまうと、症状を悪化させてしまう可能性があります。発生の機序と適切な対処法を押さえましょう。

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患者さんから介護サービスについて聞かれたら?【ママに聞いてみよう(6)】

ママに聞いてみよう(6)患者さんから介護サービスについて聞かれたら?講師:堀 美智子氏 / 医薬情報研究所 (株)エス・アイ・シー取締役、日本女性薬局経営者の会 会長動画解説家族の徘徊、退院後の在宅療養など、家族の介護について患者さんに聞かれたら、自信を持って答えることができますか?そんな時、活用したいのが地域包括支援センター。その機能と薬剤師としてのかかわり方を美智子先生が教えます。

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体温・意識【わかる!できる!フィジカルアセスメント】

わかる!できる!フィジカルアセスメント体温・意識講師:徳永 仁 氏 / 九州保健福祉大学 薬学部 教授動画解説体温と意識という2つのバイタルサインについて解説します。体温については正しい定義と薬剤師が測定する意義を、意識についてはその定義と日本で一般的に使用されているジャパン・コーマ・スケールについて説明します。

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肺音【わかる!できる!フィジカルアセスメント】

わかる!できる!フィジカルアセスメント肺音講師:徳永 仁 氏 / 九州保健福祉大学 薬学部 教授動画解説聴診器を使った具体的なフィジカルアセスメントに入っていきます。聴診器の基本的な使い方を概説したのち、肺音の聴取方法を解説。正常な吸気、呼気はもちろん、乾性ラ音の笛様音、湿性ラ音の捻髪音などの異常音の音声を聞きながら学習できます。

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英語で「坐剤」は?【1分★医療英語】第13回

第13回 英語で「坐剤」は?Have you ever used suppositories in the past?(これまでに、坐剤を使ったことがありますか?)Never. So, I don’t know how to use it.(一度もないです。なので、使い方がわからないです)《例文1》I prefer not to use suppositories.(できれば、坐剤は使いたくないです)《例文2》Gently insert the suppository pointed end first into your rectum about 1 inch.(坐剤をゆっくり、尖ったほうを先に肛門から約1インチ挿入してください)《解説》坐剤は“suppository”、発音は「サパーズィトリー」です。「サポ」よりは「サパ」と聞こえ、「パ」にアクセントが付きます。坐剤を使うときの説明では、動詞に“insert”を用います。「尖った先端から挿入する」という意味で、“pointed tip first”や“tapered end first”などの言い方があります。1インチは約2.5センチです。米国では他にもポンド(1 lb=約0.45kg)やフィート(1 ft=約30cm)と日本とは異なる単位を使うので、体重から薬の用量や腎機能を計算する際は、注意が必要です。患者さんに“Have you ever …?”(これまで~したことはありますか?)と聞く場面は多いですが、こうした“Yes”か“No”で答える質問(=close-ended question)をするときは、聞き間違いや勘違いがないように、“Is this the first time?”(今回が初めてですか?)など確認のための追加質問をして、コミュニケーションエラーが起こらないようにする工夫が大切です。坐剤を処方した場合、エラー防止のために、“Do not take a rectal suppository by mouth!”(坐剤を口から飲まないでくださいね!)と付け加えることも大事ですね。講師紹介

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第97回 COVID-19後遺症様の症状が稀にワクチン接種後にも生じうる

イスラエルでもワクチンのCOVID-19後遺症予防効果あり去年9月に発表された英国での試験1)と同様に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種済みの人のSARS-CoV-2感染後の長引く症状(COVID-19後遺症)の主なものはどれも非接種の人に比べて少ないことがイスラエルでの試験でも示されました2,3)。もっと言うと、ワクチン接種済みの人のそれらの症状はSARS-CoV-2に感染したことのない人より多くもありませんでした。COVID-19後遺症全般についてはワクチンによる予防効果が認められなかった試験報告4)もありますが、エール大学の岩崎明子(Akiko Iwasaki)氏によれば今回のイスラエルでの試験や英国での試験結果はともあれ吉報です。「COVID-19後遺症は悲惨で、消耗を強いる。そうならないようにする手立ては何であれCOVID-19後遺症がこれ以上増えるのを防ぐのに必要であり、(その手立てを担いうるという)ワクチン接種理由がまた1つ増えた」と同氏は言っています2)。ワクチン接種後にも稀ながら生じうる後遺症ワクチンがCOVID-19後遺症を予防しうるとの期待がある一方で、その後遺症に似た症状がワクチン接種後に生じることが稀ながらあるようです5)。かつて幼稚園の先生をしていたBrianne Dressen氏は2020年11月にSARS-CoV-2ワクチンを接種し、その日の晩までに目がぼやけはじめました。また、貝殻を耳に当てているように音が変になりました。症状は急激に悪化し、やがては心拍異常や筋肉の脱力に見舞われ、電気ショックのような感覚を被るようになりました。Dressen氏はいまやそのほとんどの時間を暗い部屋で過ごし、歯を磨くことや幼い我が子に触れられるのさえ耐えることができません。医師がDressen氏を不安症と診断してからときが過ぎ、今から1年前の2021年1月になると米国国立衛生研究所(NIH)の研究者はDressen氏に降り掛かったような事態を把握し始め、Dressen氏や他の患者をNIH施設に招いて検査し、時には治療も施しました。しかし手がかりは少なく、Dressen氏が被ったような長く続く体調不良をワクチンが引き起こしたのかどうかは分からずじまいでした。NIHと患者のやり取りは昨年2021年の遅くまでに途絶えてしまいました。内々で研究は続いているとDressen氏等の調査を率いたNIHの研究者Avindra Nath氏は言うものの、唯一の頼みの綱であったNIHが手を引いたことに患者は困惑し、がっかりしています。NIHの研究は尻すぼみとなりましたが、ワクチン接種後の後遺症を理解することはそれらで悩む人の助けになるでしょうし、もしワクチンとの関連の仕組みが明らかになれば次世代のワクチン開発の参考になるに違いありません。また、そういう後遺症の恐れがある人を事前に同定可能になるかもしれません。カリフォルニア大学の免疫学者William Murphy氏はSARS-CoV-2スパイクタンパク質が誘発する自己免疫で感染後とワクチン接種後のどちらの長患いも説明できるかもしれないとの論説をNEJM誌に去年11月に発表しました6)。感染後やワクチン接種後の好ましい抗ウイルス効果と生じて欲しくない副作用の両方に免疫反応がどう寄与しているかをもっと基礎から調べる必要があります。Murphy氏はワクチン接種の支持者ですが、ワクチンを皆に安心して接種してもらうにはワクチン接種に安全性の心配はないと言って済ますのではなくワクチンについて隈なく調べ尽くすことが必要だと述べています5)。しかしMurphy氏の期待とは裏腹にNIHのNath氏が率いた患者研究は長続きしませんでした。NIHの研究には患者34人が参加し、そのうち14人がNIHで診られ、残り20人は血液検体、それに何人かは脳脊髄液(CSF)検体を提供しました。しばし治療も受けた患者もおり、たとえばステロイド高用量投与や免疫グロブリン静注(IVIG)が施されました。そのようにNIHは初めこそ患者を助けようとしていたにもかかわらずやがて患者との接触を断つようになりました。去年の9月のDressen氏の神経検査の予定は遠隔面談となり、12月になるとNath氏は患者を来させないようにしました。多くの患者を長期間治療するようにNIHは設えられておらず、患者の地元の担当医が手当てにあたるのが最良だとNath氏は言っています。しかしNath氏の言い分とは裏腹に医師には何もしてもらえないという患者もいますし、気のせいだと決めつけられることもあります。そうして表向きは梯子を外したNIHですが、エール大学の岩崎 明子氏はNIHのNath氏の協力を仰いでワクチン接種後の反応とCOVID-19後遺症がどう関連するかを調べることを計画しています。すでに患者との話が始まっており、血液や唾液などの検体を患者から集めるつもりです。また自己抗体を疑うドイツの研究者Harald Pruss氏はマウスへのSARS-CoV-2ワクチン接種後の自己抗体の特定に取り掛かっています。Pruss氏は感染後やワクチン接種後の患者の治療にもあたっており、患者の血液から抗体のほとんどを取り除く治療を調べる臨床試験を近々開始したいと考えています。自己抗体などの免疫系の関与は患者の体験でも示唆されており、ワクチン接種後に不調に陥った患者の何人かはScienceの取材に応じて免疫抑制剤でいくらか良くなったと言っています。NIHのNath氏も同様の効果を把握しており、免疫抑制/調節作用があるIVIGやステロイドによるCOVID-19後遺症治療を調べているNIH主催臨床試験結果がワクチン関連の合併症にも役立つことを期待しています。岩崎氏がワクチン開発にも着手COVID-19研究で何かと目に耳にすることが多いエール大学の岩崎氏の取り組みは今やワクチン開発にも及んでいます。先週26日にbioRxiv誌に発表された同氏率いるチームのマウス実験の結果、mRNAワクチン筋肉注射に続くSARS-CoV-2スパイクタンパク質やそのmRNAの点鼻投与で呼吸器粘膜の免疫を安全に底上げして感染や発病を防ぎうることが示されました7)。次の段階として、より大きな動物や臨床試験での安全性や有効性の検討が必要です8)。将来的には他の粘膜ウイルス病原体にも今回と似た手段が通用しそうであり、岩崎氏の活躍を見聞きすることは今後ますます多くなりそうです。参考1)Antonelli M,et al.Lancet Infect Dis. 2022 Jan;22:43-55. 2)Long-COVID symptoms less likely in vaccinated people, Israeli data say / Nature3)Association between vaccination status and reported incidence of post-acute COVID-19 symptoms in Israel: a cross-sectional study of patients tested between March 2020 and November 2021. medRxiv. January 17, 20224)Six-month sequelae of post-vaccination SARS-CoV-2 infection: a retrospective cohort study of 10,024 breakthrough infections. medRxiv. November 08, 20215)In rare cases, coronavirus vaccines may cause Long Covid-like symptoms. Science.6)Murphy WJ, et al. N Engl J Med. 2022 Jan 27;386:394-396. 7)Unadjuvanted intranasal spike vaccine booster elicits robust protective mucosal immunity against sarbecoviruses. bioRxiv. January 26, 20228)岩崎 明子氏のTwitter投稿(2022年1月27日)

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新型コロナ、スーパースプレッダーとなりうる人の特徴/東京医科歯科大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、すべての患者が等しく感染を広げるのではなく、高いウイルスコピー数をもつ特定の患者がとくに感染を広げていくことが知られる。東京医科歯科大学の藤原 武男氏らによるRT-PCR検査によるウイルスコピー数を用いたCOVID-19入院患者の後ろ向き解析の結果、3つ以上の疾患の既往歴および、糖尿病、関節リウマチ、脳卒中の既往がスーパースプレッダーのリスク因子となることが示唆された。Journal of Infection誌オンライン版2021年12月30日号にレターとして掲載の報告より。 2020年3月~2021年6月に、中等症から重症のCOVID-19で東京医科歯科大学病院に入院し、少なくとも1回以上RT-PCR検査が行われた患者が解析対象とされた。入院患者の電子カルテの情報を基に、高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症・関節リウマチ・がん・慢性腎不全・脳卒中・心疾患・呼吸器疾患・アレルギーといった基礎疾患の有無とウイルスコピー数について関連が調査された。 主な結果は以下の通り。・計379例が適格となり、解析対象とされた。年齢中央値は59歳で、約33%が女性だった。・PCRテスト回数の中央値は2(1~26)回。複数回PCRテストを実施した患者の90%以上で、ウイルス量は1回目または2回目でその個人の最大値を示した。・約59%に基礎疾患があり、約21%に3つ以上の基礎疾患があった。・基礎疾患について詳細は、高血圧症が38.5%、糖尿病が21.6%、がんが18.7%、脂質異常症が18.5%、呼吸器疾患が10.8%、心疾患が9.0%、高尿酸血症が7.7%、慢性腎臓病が6.6%、脳卒中が5.0%、関節リウマチが2.1%だった。・1人を除きワクチンは未接種だった。・性別、年齢、喫煙状況について調整後の多変量回帰分析の結果、上記基礎疾患を3つ以上重複して有する患者では、基礎疾患のない患者と比較して、ウイルスコピー数が87.1倍(95%信頼区間[CI]:5.5~1380.1)高く、ウイルスコピー数の多さと有意に関連していた。・また、関節リウマチ患者では1659.6倍(95%CI:1.4~2041737.9)、脳卒中患者では234.4倍(95%CI:2.2~25704.0)倍、糖尿病患者では17.8倍(95%CI:1.4~ 223.9)ウイルスコピー数が高く、ウイルスコピー数の多さと有意に関連していた。・入院時の血液検査結果における血小板数とCRPレベルの低さも、ウイルスコピー数の多さと関連していた。 著者らは、軽症患者が解析に含まれていない点、変異株による影響が不明な点等の本研究の限界を挙げたうえで、基礎疾患の有無や検査値などの入院時に得られる情報に基づき、スーパースプレッダーとなる可能性の高い患者に対しては、とくに感染の初期において注意深い感染管理措置が必要なことが示されたとまとめている。

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医療者における毎日の手指消毒剤、皮膚バリアへの影響は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにおいて、アルコールベースの手指消毒剤(ABHS)を用いて毎日行う手洗いは、皮膚バリアの破壊率が低く、バクテリアや真菌のコロニー形成単位(CFU)数も低値であることが示された。 スペイン・Virgen de las Nieves University HospitalのTrinidad Montero-Vilchez氏らが、水とせっけん、ABHS、除菌シートを比較した無作為化試験の結果を報告した。COVID-19により手洗いの頻度は増したが、臨床におけるさまざまな手指衛生の皮膚バリア機能への影響に関するエビデンスは不足していた。Contact Dermatitis誌オンライン版2021年12月25日号掲載の報告。 研究グループは、日常診療における医療従事者のさまざまな手指衛生法の、皮膚バリア機能への影響を比較する無作為化試験を実施した。 被験者は、8時間の勤務中に、水とせっけん、ABHS、または除菌シートで手指を消毒する3群に無作為に割り付けられた。経表皮水分蒸散量(TEWL)などの表皮バリア機能パラメーター、および微生物負荷を、就業の前と直後に評価した。各製品の耐性と受容性は、就業後に記録した。 主な結果は以下のとおり。・試験には62人が参加し、水とせっけん群20人、ABHS群21人、除菌シート群21人にそれぞれ無作為化された。・8時間の勤務後、TEWLの増加は、除菌シート群が、水とせっけん群およびABHS群よりも高かった(それぞれ+5.45 vs.+3.87 vs.-1.46g・h-1・m-2、p=0.023)。・細菌および真菌のCFU数の減少は、水とせっけん群が、ABHS群および除菌シート群よりも低かった。・除菌シートは、水とせっけん、ABHSと比較して、使いにくいと見なされていた(p=0.013)。

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JSMO2022の注目演題/日本臨床腫瘍学会

 2022年1月21日、日本臨床腫瘍学会はオンラインプレスセミナーを開催し、会長の国立がん研究センター中央病院の大江 裕一郎氏らが、第19回学術集会の注目演題などを発表した。 今回の学術集会のテーマは「Inspiring Asian Collaboration and the Next Generation in Oncology」。アジアとの協力関係と若手の活性化を目指したものだという。2022年2月17~19日に、現地(京都国際会館およびザ・プリンス京都宝ヶ池)開催を基本とし、webライブとオンデマンド配信を組み合わせたハイブリッド形式で行われる。演題数は1,000を超え、4分の1は海外からの演題とのこと。4つのPresidenstial Session 選ばれた優秀演題が発表されるPresidentialは1~4までのsessionで行われる。 Session1は乳がんと婦人科がんで2月17日午前、Session2は肺がんで2月17日午後、Session3は消化器がんで2月18日午前、Session4は造血器腫瘍と希少がんのトピックで2月19日の午前に開催される。COVID-19関連演題 COVID-19関連は、主に2つの合同シンポジウムと2つの一般演題セッションで取り上げられる。 同学会と日本学会/日本治療学会のがん関連3学会の合同シンポジウム「COVID-19流行のがんマネジメント」が2月17日午後に行われる。ここでは、新型コロナの流行によるがんのマネジメントへの影響について、さまざまな観点から議論する。 ESMO(欧州臨床腫瘍学会)との合同シンポジウム「Oncology Trial and Practice with/post COVID-19 era」が上記シンポジウムに引き続いて行われる。ここでは海外演者と日本の演者が登壇し、コロナ禍でのがん臨床および治療開発をどのように行うべきかディスカッションが行われる。 一般演題ではCOVID-19関連Mini Session1と2で国内外の演者による発表が行われる。HPV関連がん 2020年にワクチンの積極的勧奨が再開されたHPV関連がんについては、会長企画「HPV関連がんの予防と治療~日本とアジアの現状から見えてくるものとは~」で取り上げる。 ここではHPVワクチンの安全性や近年増加しているHPV関連中咽頭がんについての新たな知見が紹介される。

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日本人の統合失調症、うつ病入院患者に対する睡眠薬の使用状況

 京都大学の降籏 隆二氏らは、統合失調症およびうつ病の入院患者に対する睡眠薬の使用率と睡眠薬と抗精神病薬使用との関連について調査を行った。Sleep Medicine誌オンライン版2021年11月22日号の報告。 全国の精神科病院200施設以上が参加する「精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究」(EGUIDEプロジェクト)の一環として、全国横断的研究を実施した。統合失調症入院患者2,146例とうつ病入院患者1,031例のデータを分析した。すべての向精神薬の投与量を記録し、退院時のデータを分析した。睡眠薬と抗精神病薬使用との関連を評価するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・睡眠薬を単剤または2剤以上で使用していた患者の割合は、それぞれ以下のとおりであった。 ●統合失調症入院患者:睡眠薬単剤療法55.7%、併用療法17.6% ●うつ病入院患者:睡眠薬単剤療法63.6%、併用療法22.6%・多変量ロジスティック回帰分析では、統合失調症入院患者における睡眠薬使用と正の関連が認められた因子は、2種類以上の抗精神病薬の使用および抗コリン作用薬、抗不安薬、気分安定薬、抗てんかん薬の使用であった。・うつ病入院患者では、2種類以上の抗うつ薬、抗精神病薬の使用および抗不安薬、気分安定薬、抗てんかん薬の使用と睡眠薬使用との間に正の関連が認められた。 著者らは「睡眠薬の使用は、精神疾患を有する入院患者において、頻繁に認められることが明らかであった。統合失調症およびうつ病の入院患者のいずれにおいても、抗精神病薬の併用療法は、睡眠薬使用に影響を及ぼすことが示唆された」としている。

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ソトラシブのコンパニオン診断薬が承認/キアゲン

 キアゲンは、2022年1月27日、非小細胞肺がん(NSCLC)患者に向けたKRAS G12C阻害や薬ソトラシブ(製品名:ルマケラス)に対するコンパニオン診断薬therascreen KRAS変異検出キット RGQ 「キアゲン」の製造販売承認を取得したと発表。  KRAS変異は日本人肺がん患者の10%程度、欧米人では25%程度に見られると言われている。本(2022)年1月には、アムジェン社のソトラシブ(製品名:ルマケラス)が、NSCLCの KRAS変異のなかで最も頻度の高いKRAS G12C変異を有するNSCLCに承認された。 therascreen KRAS変異検出キットRGQ 「キアゲン」は、迅速性と定量性に優れたリアルタイムPCR技術を用いたもの。2021年12月に製造販売承認を受け、2022 年春の保険適用を予定している。

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コロナ発症後の医療サービス利用期間、5歳以下は3~6ヵ月/BMJ

 ノルウェーの1~19歳の年齢層では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による医療サービス利用の増加への影響は限定的で、回復までの期間が1~5歳で3~6ヵ月と、6~19歳の1~3ヵ月に比べて長期に及び、その主な原因は呼吸器疾患であったことが、ノルウェー・公衆衛生研究所のKarin Magnusson氏らの調査で示された。研究の成果はBMJ誌2022年1月17日号で報告された。ノルウェーの1~19歳のコホート研究 研究グループは、1~19歳ではCOVID-19前に比べそのあとで医療サービスの利用が増えたかを検証する目的で、一般人口を対象とするコホート研究を行った(ノルウェー公衆衛生研究所の助成による)。 対象は、2020年1月1日の時点でノルウェーに居住する年齢1~19歳の集団(70万6,885人)で、2020年8月1日~2021年2月1日の期間にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法による重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の検査を受けた集団(陽性者1万279人、陰性者27万5,859人)と、検査を受けていない集団(42万747人)であった。3つの年齢層(1~5歳、6~15歳、16~19歳)に分けて解析が行われた。 主要アウトカムは、SARS-CoV-2検査が行われた週の6ヵ月前から、検査後約6ヵ月までの期間での、プライマリケア(総合診療医、緊急病棟)または専門医治療(外来、入院)における全原因および原因別の医療サービスの利用とされ、差分の差分法で解析された。専門医治療の増加はない SARS-CoV-2検査陽性者は陰性者に比べ、検査結果が判明してから1ヵ月間の短期的なプライマリケアの利用が相対的に大幅に増加し、1~5歳が339%(95%信頼区間[CI]:308~369)、6~15歳が471%(450~491)、16~19歳は401%(380~422)となった。 より若年の集団における検査陽性者のプライマリケアの利用は、2ヵ月後(1~5歳 22%[95%CI:4~40]、6~15歳14%[2~26])および3ヵ月後(26%[7~46]、15%[3~28])も陰性者に比べ増加したままであったが、年齢の高い集団ではこの増加はなくなっていた(16~19歳の2ヵ月後が11%[-2~24]、3ヵ月後は6%[-7~19])。 また、1~5歳の検査陽性者は陰性者と比較して、4~6ヵ月後の長期的なプライマリケアの利用が相対的に増加していた(13%、95%CI:-0~26)が、6~15歳(0%、-8~9)と16~19歳(-10%、-19~-1)ではこのような増加は観察されなかった。 検査陽性者と未検査者との比較でも、同様の結果が得られたが、3つの年齢層間の差は陰性者との比較に比べ小さくなった。 3つの年齢層のすべてで、プライマリケア受診増加の原因は、呼吸器疾患と、全身性または詳細不明の疾患であった。また、専門医治療の増加は観察されなかった。 著者は、「若年者の健康へのCOVID-19の影響が限定的であったとの情報は重要であり、青少年が自分自身や他者を保護するためにワクチン接種を行うべきかを判断するのに有用だろう」としている。

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BNT162b2とmRNA-1273の液性/細胞性免疫、感染/発症/重症化予防効果の推移:オミクロン株を中心に(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

ワクチン開発の現状 2022年1月12日現在、世界で開発されているワクチンは152個(開発中止になった10個を含む)に及び、その中で28個のワクチンが世界各国によって緊急使用あるいは完全使用が承認され、各ワクチンの感染/発症予防効果、重症化予防効果、特異的副反応などが徐々に明らかにされている。その結果、優れたワクチンとして生き残りつつあるのが、本邦をはじめ世界の先進国で優先的に使用されているRNAワクチンに分類されるPfizer/BioNtech社のBNT162b2(商品名:コミナティ筋注)とModerna社のmRNA-1273(同:スパイクバックス筋注)の2つである。 2021年の11月以降、世界を席巻するウイルスはデルタ株からオミクロン株に置換されつつある。本邦でも2022年1月に入り、オミクロン株感染者の急激な増加を認めている。オミクロン株のS蛋白をPlatformにしたワクチン開発は理論的には困難な問題ではない。しかしながら、新たなワクチンを実地臨床の現場で使用できるためには第I相から第III相に至る治験を介して有効性、安全性を検証する必要があり、膨大な時間を要する。その意味で、今年の冬から春にかけて世界を席巻するであろうオミクロン株に対する予防策としては、現在使用可能なBNT162b2、mRNA-1273の2回接種(通常接種)に加え、3回目以上のブースター接種を組み合わせて立ち向かう必要がある。以上のような事実を踏まえ、オミクロン株に対する今後のワクチン政策を医学的に正しい方向に誘導するためには、BNT162b2とmRNA-1273の予防手段としての優越性の違いを確実に把握しておく必要がある。RNAワクチン通常接種(2回接種)後のオミクロン株に対する液性免疫、細胞性免疫、予防効果の時間推移 BNT162b2、mRNA-1273を2回接種した場合の野生株(先祖株)S蛋白-RBD(Receptor binding domain)に対する中和抗体価のピーク値(2回目ワクチン接種2~4週後)は、BNT162b2接種後に比べmRNA-1273接種後のほうが40~50%高い(Richards NE, et al. JAMA Netw Open. 2021;4:e2124331., Self WH, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021;70:1337-1343.)。しかしながら、BNT162b2、mRNA-1273接種後の野生株中和抗体価はピーク値が異なるものの、それ以降4~6ヵ月間はほぼ同じ速度で低下する(Levin EG, et al. N Engl J Med. 2021;385:e84., Pegu A, et al. Science. 2021;373:1372-1377.)。 BNT162b2接種後のオミクロン株に対する中和抗体価は、ピーク値を与える時間帯ですでに検出限界近傍まで低下していた。また、mRNA-1273のオミクロン株に対する中和抗体価は、ワクチン接種後4~6ヵ月経過した時点で検出限界以下であった(Rossler A, et al. N Engl J Med. 2022 Jan 12. [Epub ahead of print])。以上より、BNT162b2、mRNA-1273のオミクロン株中和作用はワクチン接種後のいかなる時間帯でもほぼ無効と考えることができる。この現象はオミクロン株S蛋白に存在する多彩な遺伝子変異に起因する強力な液性免疫回避によって惹起されたものである。 ワクチン接種によって形成されたS蛋白には、CD4-T細胞反応を賦活する抗原決定基(Epitope)が約30個、CD8-T細胞反応を賦活する抗原決定基が約50個存在する(山口, 田中. 日本医事新報 2021;5088:38.)。但し、T細胞反応を規定する抗原決定基の個数に関する報告は一定しておらず、確実な個数は現時点では同定されていない。これらの抗原決定基は種々の変異の影響を受け難く、オミクロン株以外の変異株において85~95%(Tarke AT, et al. bioRxiv. 2021;433180.)、オミクロン株においても70~80%が維持される(WHO. COVID-19 Weekly Epidemiological Update. 2022 Jan 7.)。ワクチン接種後のT細胞性免疫の持続期間は野生株を用いた解析ではあるが、少なくとも8ヵ月間は緩徐に低下しながらも維持されることが示された(Barouch DH, et al. N Engl J Med. 2021;385:951-953.)。以上より、オミクロン株に対するワクチン惹起性T細胞性免疫は、時間経過と共にゆっくりと低下するものの、比較的長期間にわたり有効域に維持されるものと考えられる。賦活化されたCD4-T細胞はB細胞由来の液性免疫(中和抗体)と共同し補完的にウイルス感染を抑制する。一方、CD8-T細胞は、ウイルスに感染した生体細胞を殺傷/処理し、生体が感染後の過剰免疫状態に陥ることを阻止する(重症化抑制)。 本論評で取り上げたDickermanらの論文(Dickerman BA, et al. N Engl J Med. 2020;386:105-115.)は、アルファ株、デルタ株感染に対するBNT162b2、mRNA-1273の感染/発症予防効果、重症化(一般入院、ICU入院、死亡)予防効果の差を観察したものである。アルファ株、デルタ株感染にあって、感染/発症予防効果、ICUを含む入院予防効果に関してmRNA-1273のほうが勝っていた。しかしながら、死亡予防効果は両ワクチンで有意差を認めなかった。 オミクロン株に対する両ワクチンの予防効果に関する英国健康安全保障庁(UKHSA)の解析によると(UKHSA. Technical Briefing. 2021 Dec 31.)、BNT162b2接種後のデルタ株発症予防効果が90%(ワクチン接種2~4週後)から60%(ワクチン接種後25週以上)まで低下するのに対し、同じ時間帯においてオミクロン株発症予防効果は65%から10%前後まで低下した。一方、mRNA-1273接種後のデルタ株発症予防効果は95%(ワクチン接種2~4週後)から75%(ワクチン接種後25週以上)まで低下、オミクロン株発症予防効果は同じ時間帯で70%から10%前後まで低下した。定性的に同様の結果は、米国からも報告されている(Accorsi EK, et al. JAMA. 2022 Jan 21. [Epub ahead of print])。これらの結果は、デルタ株に対する発症予防効果の時間的低下はmRNA-1273でより緩徐であるが、オミクロン株に対する発症予防効果の時間的低下は両ワクチンでほぼ同程度であることを意味する。オミクロン株に対する発症予防効果の時間推移は液性免疫の動態(両ワクチンの中和抗体形成能は低くワクチン接種直後から検出限界近傍)からは説明できず、予防効果の大部分が時間経過と共にゆっくりと低下するT細胞性免疫の賦活によって維持されていることを示唆する。そのため、オミクロン株に対するBNT162b2とmRNA-1273の発症予防効果の差は小さい。オミクロン株抑制を考えた場合、液性免疫ではなく細胞性免疫の賦活が重要である。その意味で、ドイツ・テュービンゲン大学で開発中のT細胞免疫賦活に特化したワクチン(CoVac-1)に論評者らは注目している(Heitmann JS, et al. Nature. 2021 Nov 23. [Epub ahead of print])。 オミクロン株に対するBNT162b2接種後の入院予防効果は、2~24週後に72%であったものが25週以上経過すると52%まで低下した。一方、デルタ株に対するBNT162b2の入院予防効果は接種後の時間経過(接種後20週以内)と無関係に90%前後の値を維持し(Tartof SY, et al. Lancet. 2021;398:1407-1416.)、オミクロン株に対する入院予防効果の動態とは異なっていた。オミクロン株感染における種々の重症化状態(酸素投与、機械呼吸、ICU入院、入院中の死亡)の頻度を解析した論文によると、これらの指標の発生頻度はデルタ株感染に比べオミクロン株感染で有意に低いことが示された(Maslo C, et al. JAMA. 2021 Dec 30. [Epub ahead of print])。オミクロン株が高感染性、低病原性の性質を有する特異的なウイルスであることは感染発症初期から観察されていた。感染性の増強は、Q498R, N501Y, H655Y, N679K, P681Hなどの多彩なS蛋白アミノ酸変異に起因する(CDC. Science Brief. 2021 Dec 2.)。一方、オミクロン株の低病原性は、肺胞領域でのウイルス複製/増殖能が低く、重症化の引き金になる肺炎が発生し難いという実験的事実から説明される(HKUMed News. HKUMed finds Omicron SARS-CoV-2 can infect faster and better than Delta in human bronchus but with less severe infection in lung. 2021 Dec 15.)。RNAワクチンブースター接種(3回目接種)後のオミクロン株に対する液性免疫、細胞性免疫、予防効果の時間推移 播種ウイルスの主体がデルタ株からオミクロン株に置換されつつある現在、オミクロン株を標的とした3回目ブースター接種の意義を明らかにする必要がある。オミクロン株に対する2回ワクチン接種後の中和抗体価は検出限界近傍の低値である(上述)。Nemetらの解析によると(Nemet I, et al. N Engl J Med. 2021 Dec 29. [Epub ahead of print])、BNT162b2の2回目接種5.5ヵ月後のオミクロン株中和抗体価に比べ3回目接種1ヵ月後の中和抗体価は97倍増加した。mRNA-1273の3回目ブースター接種に関するModerna社の報道によると(Moderna. Press Release. 2021 Dec 20.)、mRNA-1273の3回目接種後のオミクロン株に対する中和抗体価は2回目接種後の83倍まで増加したとのことである。 英国健康安全保障庁(UKHSA)の解析によると、BNT162b2の2回目接種後25週以上経過した時点で10%前後まで低下したオミクロン株に対する発症予防効果は、3回目ブースター接種2~4週後には70%以上に回復した(UKHSA. Technical Briefing. 2021 Dec 31.)。しかしながら、3回目接種から10週以上経過するとBNT162b2のオミクロン株発症予防効果は40%台まで再度低下した。BNT162b2の3回目接種後のオミクロン株に対する発症予防効果の推移は、2回目接種後とは異なり、主として中和抗体価の動態によって説明可能である。mRNA-1273の3回目接種後のオミクロン株に対する発症予防効果は78%と報告され、BNT162b2の効果とほぼ同程度であった(Accorsi EK, et al. JAMA. 2022 Jan 21. [Epub ahead of print])。しかしながら、mRNA-1273の3回目接種後の各ウイルスに対する発症予防効果の時間推移は報告されていない。 BNT162b2の3回目接種によるオミクロン株に対する入院予防効果は、2回接種後25週以上で52%まで低下したが、3回目接種2週以後で88%まで回復した(UKHSA. Technical Briefing. 2021 Dec 31.)。入院予防効果など重症化予防効果が主としてT細胞性免疫によって規定されるならば、UKHSAの観察結果は、BNT162b2の3回目ブースター接種はオミクロン株に対する液性免疫に加え細胞性免疫も改善することを意味する。 mRNA-1273はBNT162b2に比べ一般的に免疫原性、予防効果の面でより優れた効果を発揮することが判明したが、オミクロン株に対する作用/効果には明確な差を認めない。両者の差を招来する主たる原因は生体に導入されるmRNA量の違いである。成人においてmRNA-1273の通常接種によって生体に導入されるmRNA量はBNT162b2の3.3倍であり、その結果として高い免疫原性が発現する。しかしながら、mRNA導入量の多さは副反応の多さとも関連し、mRNA-1273では心筋炎を含む多くの副反応の頻度がBNT162b2よりも有意に高いことを知っておく必要がある(Chapin-Bardales J, et al. JAMA. 2021;325:2201-2202., Husby A, et al. BMJ. 2021;375:e068665.)。

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第87回 弔問した訪問診療医を患者家族が銃殺、在宅医療現場に波紋

<先週の動き>1.弔問した訪問診療医を患者家族が銃殺、在宅医療現場に波紋2.抗原検査キット、優先度の通知で一般販売見合わせの可能性3.オンライン診療報酬は対面と特例対応の中間に、制限は撤廃か4.オンライン資格確認で患者情報を取得した場合の加算が新設5.今年度の診療報酬改定、看護必要度の心電図モニター管理を削除1.弔問した訪問診療医を患者家族が銃殺、在宅医療現場に波紋1月27日夜、埼玉県ふじみ野市で在宅診療を行っていた医師・鈴木 純一氏(44)が、その前日に死亡確認した女性患者(92)の息子・渡辺 宏容疑者(66)に銃殺される事件が発生した。司法解剖の結果、鈴木氏の死因は胸に銃弾1発を受けたことによる心臓破裂だった。散弾銃の弾は体内を貫通しており、至近距離から撃たれ即死だったとみられている。県警の調べによると、容疑者から「焼香に来てほしい」との連絡を受け、事件当日21時頃に患者宅を訪問した医療関係者7人に対し、容疑者は心臓マッサージなどの蘇生措置を求めたという。鈴木氏が丁寧に説明して対応を断わったところ、容疑者は散弾銃を2丁持ち出し、少なくとも3回発砲。容疑者は鈴木氏を撃った後、続けて理学療法士の男性(41)を撃ち、同行していた医療相談員の男性に催涙スプレーをかけ、別の医療相談員にも発砲したと供述しており、理学療法士は上半身に重傷を負った。亡くなった鈴木氏は、10年ほど前から地域医療の担い手として懸命に働き、患者や同僚からの信頼も厚かった。東入間医師会によると、同氏は2市1町における在宅医療の8割に当たる約300人の患者と関わっていたという。昨年9月、デルタ株の感染拡大により入院できず自宅療養するコロナ患者の自宅を訪問診療する鈴木氏をNHKが取材していたこともあり、死を悼む声が広がっている。(参考)容疑者、前日死亡の母の蘇生依頼 断られ発砲か 埼玉立てこもり(毎日新聞)母親の蘇生断られた後に発砲か 立てこもり容疑者、名指し呼び出しも(朝日新聞)死亡医師は即死、至近距離から胸に銃弾 計画的な犯行か…ふじみ野の立てこもり、医師ら指定し呼び出す(埼玉新聞)立てこもり事件で犠牲の医師鈴木純一さん、地域医療の担い手として信頼厚く(日刊スポーツ)立てこもり事件 亡くなった医師 コロナ患者など在宅医療支える(NHK)2.抗原検査キット、優先度の通知で一般販売見合わせの可能性厚労省は27日、オミクロン株の急拡大により、抗原定性検査キットの需要が急速に伸びていることを受け、流通側・発注側の双方に事務連絡を通知した。流通側には行政検査を行う医療機関や地方自治体からの発注、地方自治体からの委託を受けて抗原定性検査キットを配布する薬局からの発注を優先するよう定め、大量発注によって安定供給に支障を来す恐れがある場合には、複数回に分割して納品することなどを示した。また、発注側には上記優先度などを踏まえ、実需を超えた発注は控えるよう要請している。この方針を受け、薬局など抗原検査キットの一般販売を行ってきた店舗では、一時販売見合わせなどを検討している。(参考)新型コロナ抗原検査キット供給の優先付けを事務連絡 厚労省、実需を超えた発注控えて(CBnewsマネジメント)抗原検査キット 医療機関など優先供給で薬局の販売に影響も(NHK)新型コロナウイルス感染症オミクロン株の発生等に伴う抗原定性検査キットの適正な流通に向けた供給の優先付けについて(事務連絡 令和4年1月27日)新型コロナウイルス感染症オミクロン株の発生等に伴う抗原定性検査キットの発注等について(同)3.オンライン診療報酬は対面と特例対応の中間に、制限は撤廃か厚労省は26日に中医協総会を開催し、オンライン診療の診療報酬について、対面診療の点数(初診料:288点)とコロナ特例対応における点数(同214点)の中間にすることを公益裁定で決めた。現行のオンライン診療料を廃止し、2022年度診療報酬改定で新たに、初・再診料を新設する。新型コロナウイルス対応として初診からのオンライン診療が特別に許可されているが、診療報酬が対面より低いこともあり、これまでのところ実施している医療機関は約6%にとどまるなど、普及していない。なお、現行のオンライン診療料の算定要件であった医療機関と患者との間の時間・距離要件や、オンライン診療の実施割合の上限は撤廃される見込み。(参考)オンライン診療 診療報酬上の評価は「対面診療と特例対応の中間程度に」 公益裁定で(ミクスオンライン)オンライン初診料、初診料(288点)とコロナ特例(214点)の中間に、オンライン資格確認を加算で後押し―中医協総会(6)(Gem Med)コロナ禍のオンライン診療はわずか6%… 「直接診たことない」と断られるケースも(東京新聞)4.オンライン資格確認で患者情報を取得した場合の加算が新設28日に行われた中医協総会において、オンライン資格確認を用いて患者情報を取得して診療した場合は、「電子的保健医療情報活用加算」の算定が可能となることが承認された。厚労省によると、2021年10月からオンライン資格確認の本格運用を開始したものの、運用を開始した医療機関や薬局などは11%にとどまっており、導入を加速させるのが狙い。医療機関・薬局と患者の間で、薬の処方情報や特定検診情報などの情報共有が進み、医療の質向上が期待されている。(参考)22年度診療報酬改定 オンライン資格確認で「電子的保健医療情報活用加算」新設 導入促す(ミクスオンライン)オンライン資格確認等システム、まず「カードリーダー申し込み施設の準備完了」を最優先支援―社保審・医療保険部会(Gem Med)オンライン資格確認 三師会による「オンライン資格確認推進協議会」設置へ(ドラビズon-line)5.今年度の診療報酬改定、看護必要度の心電図モニター管理を削除26日の中医協総会で、急性期病棟の「重症度、医療・看護必要度」について見直しが行われ、「心電図モニターの管理」を削除することを公益裁定で決定した。これまで、急性期一般入院病床において、心電図モニターを装着している患者は重症度が高いとされてきたが、厚労省は入院患者の状態に応じた適切な評価を行う観点から、重症度、医療・看護必要度の評価項目や該当患者割合の基準について見直しを行ってきた。診療側はこの見直し案について反対していたが、公益側委員の裁定により、モニター管理は削除することが決定した。このほか、A項目の「点滴ライン同時3本以上」であったのを「注射薬剤3種類以上の管理」に変更し、「輸血・血液製剤」を投与している患者について点数を1点から2点に変更することになった。今後、重症患者に対して高度な医療を提供する医療機関については「急性期充実体制加算」を新設して、高度医療機関に対して評価を行い、急性期一般入院料1から2・3等へ機能分化を促されることで、急性期病院の再編などが進む可能性がある。(参考)一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に係る評価項目及び該当患者割合の基準について(中央社会保険医療協議会 総会)2022年度診療報酬改定 看護必要度は「心電図モニターの管理」削除へ 機能分化を促進(ミクスオンライン)心電図モニター管理削除など看護必要度の厳格化、コロナ禍でやるべきことだろうか?―日病・相澤会長(Gem Med)

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