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抗うつ薬の漸減・中止に関する診療ガイドラインの推奨~システマティックレビュー

 抗うつ薬の漸減や中止は、うつ病患者のマネジメントを行ううえで重要であり、診療ガイドラインを考慮して進める必要がある。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のAnders Sorensen氏らは、うつ病に関する主要な診療ガイドラインにおける抗うつ薬の漸減および中止に関するガイダンスの内容や質を評価するため、システマティックレビューを行った。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2022年2月11日号の報告。抗うつ薬中止、いずれの診療ガイドラインも治療アルゴリズムに包含せず 英国、米国、カナダ、オーストラリア、シンガポール、アイルランド、ニュージーランドの保健当局および主要な国家的または国際的な専門機関より発行された、うつ病に関する診療ガイドラインをシステマティックにレビューした。2021年5月25日までにPubMed、14件のガイドラインレジストリおよび関連団体のウェブサイトを検索し、診療ガイドラインの抗うつ薬の漸減および中止に関連する推奨事項について評価した。抗うつ薬の漸減および中止に関する診療ガイドラインの質の評価ツールとして、AGREE IIを用いた。 診療ガイドラインの抗うつ薬の漸減および中止に関連する推奨事項について評価した主な結果は以下のとおり。・21件の診療ガイドラインのうち15件(71%)において、抗うつ薬の漸減は徐々に、またはゆっくりと行うことが推奨されていた。しかし、減量、離脱症状と再発を鑑別する方法、離脱症状のマネジメント方法についてのガイダンスは示されていなかった。・心理的課題については、いずれの診療ガイドラインにおいても取り扱われておらず、治療アルゴリズムおよびフローチャートは、抗うつ薬の中止について包含していなかった。・診療ガイドラインの質は、全体的に低かった。 著者らは「現在、抗うつ薬の中止または漸減に関して、離脱症状の軽減やマネジメントの観点から記載している主要な診療ガイドラインは見当たらなかった。そのため、診療ガイドラインに従った抗うつ薬の漸減および中止により症状が悪化した患者を、再発と結論付けることはできなかった。より良いガイダンスを作成するためにも、抗うつ薬の漸減および中止のための介入を調査するランダム化比較試験が必要とされる」としている。

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挿管早産児へのヒドロコルチゾン、気管支肺異形成症を抑制せず/NEJM

 気管支肺異形成症は超早産の生存児の約半数にみられる合併症で、機械的人工換気による炎症もその発症に寄与している可能性があるという。米国・ニューメキシコ大学健康科学センターのKristi L. Watterberg氏らEunice Kennedy Shriver国立小児保健・人間発達研究所(NICHD)新生児研究ネットワーク(NRN)は、出生後に挿管を受けた早産児を対象に出生から2週以降にヒドロコルチゾンの10日間漸減治療を開始する方法の有効性を検討し、プラセボと比較して中等度または重度の気管支肺異形成症のない生存割合を改善しなかったと報告した。研究の詳細はNEJM誌2022年3月24日号に掲載された。米国19施設のプラセボ対照無作為化試験 本研究は、米国の19施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2011年8月22日~2018年2月4日の期間に新生児の登録が行われた(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。 対象は、在胎週数が30週未満と推定され、生後14~28日に少なくとも7日間、気管内チューブによる機械的人工換気を受けた乳児であった。これらの乳児が、ヒドロコルチゾン(4mg/kg体重/日で開始し、10日間で漸減)を静脈内あるいは経口投与する群、またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。抜管の閾値が規定され、抜管はこれに基づき担当医の裁量で行われた。 有効性の主要アウトカムは、最終月経から36週の時点における中等度または重度の気管支肺異形成症(酸素飽和度>90%の維持に酸素補給または陽圧換気、あるいはこれら両方を使用)のない生存であった。安全性の主要アウトカムは、修正月齢22~26ヵ月時の中等度または重度の神経発達障害(Bayley乳幼児発達検査第3版[Bayley-III]の認知複合スコア<85点など)のない生存とされた。降圧薬治療を要する高血圧の頻度が高い 800例の乳児が登録され、ヒドロコルチゾン群に398例、プラセボ群に402例が割り付けられた。全体の平均(±SD)出生時体重は715±167g、平均在胎週数は24.9±1.5週であった。プラセボ群で男児が多かった(46.7% vs.58.5%)が、これ以外のベースラインの背景因子に大きな差は認められなかった。 最終月経後36週時の中等度または重度の気管支肺異形成症のない生存割合は、ヒドロコルチゾン群が16.6%(66/398例)、プラセボ群は13.2%(53/402例)であり、両群間に差はみられなかった(補正後率比:1.27、95%信頼区間[CI]:0.93~1.74)。また、36週までの死亡(ヒドロコルチゾン群4.8% vs.プラセボ群7.0%、補正後率比:0.66、95%CI:0.38~1.16)および中等度または重度の気管支肺異形成症の発生(82.6% vs.85.8%、0.96、0.91~1.02)にも差はなかった。 2年後のアウトカムのデータは91.0%の乳児で得られた。22~26ヵ月時の中等度または重度の神経発達障害のない生存割合は、ヒドロコルチゾン群が36.9%(132/358例)、プラセボ群は37.3%(134/359例)であり、両群間に差はなかった(補正後率比:0.98、95%CI:0.81~1.18)。 治療期間中の抜管成功の割合はヒドロコルチゾン群で高かった(44.7% vs.33.6%、補正後率比:1.54、95%CI:1.23~1.93)。また、機械的人工換気の日数中央値は、最終月経後36週以内(37日vs.40日、群間差中央値:-3日、95%CI:-5~-1)および生後120日以内(37日vs.41日、-4日、-7~-1)のいずれもヒドロコルチゾン群で良好だったが、36週以内の抜管乳児数や総酸素補給期間、入院期間には差がなかった。 一方、降圧薬治療を要する高血圧はヒドロコルチゾン群で多かった(4.3% vs.1.0%、補正後率比:4.27、95%CI:1.45~12.55)。これ以外の有害事象の頻度は両群でほぼ同等であった。プロトコル違反の割合もほぼ同等で、最も頻度が高かったのは投与または飲み忘れ(7.0% vs.8.0%)と、14日以内のデキサメタゾン投与(6.8% vs.5.7%)だった。 著者は、「大多数の乳児(634/753例、84.2%)は最終月経後36週の時点で中等度または重度の気管支肺異形成症と診断されており、これは機械的人工換気を36日以上受けた乳児に関する先行研究と同程度であった。したがって、今回の結果は、抜管が早いほど中等度または重度の気管支肺異形成症および死亡の発生は減少するとのわれわれの仮説を支持するものではなかった」としている。

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ICU入室COVID-19重篤例、抗血小板療法は有効か/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重篤例では、抗血小板薬による治療はこれを使用しない場合と比較して、集中治療室(ICU)で呼吸器系または心血管系の臓器補助を受けない生存日数が延長される可能性は低く、生存退院例の割合も改善されないことが、英国・ブリストル大学のCharlotte A. Bradbury氏らREMAP-CAP Writing Committee for the REMAP-CAP Investigatorsが実施した「REMAP-CAP試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2022年3月22日号で報告された。8ヵ国105施設の適応プラットフォーム試験 本研究は、重度の肺炎患者における最良の治療法を確立するために、複数の介入を反復的に検証する適応プラットフォーム試験で、COVID-19患者ではこれまでにコルチコステロイド、抗凝固薬、抗ウイルス薬、IL-6受容体拮抗薬、回復期患者血漿の研究結果が報告されており、今回は抗血小板療法の有用性について検討が行われた(欧州連合のPlatform for European Preparedness Against[Re-]Emerging Epidemics[PREPARE]などの助成を受けた)。 この試験では、2020年10月30日~2021年6月23日の期間に8ヵ国105施設で患者の登録が行われ、90日間追跡された(最終追跡終了日2021年7月26日)。 対象は、年齢18歳以上、臨床的にCOVID-19が疑われるか微生物学的に確定され、ICUに入室して呼吸器系または心血管系の臓器補助を受けている患者であった。呼吸器系臓器補助は侵襲的または非侵襲的な機械的人工換気の導入、心血管系臓器補助は昇圧薬または強心薬の投与と定義された。 被験者は、非盲検下にアスピリン、P2Y12阻害薬、抗血小板療法なし(対照群)の3つの群に無作為に割り付けられた。標準治療として抗凝固薬による血栓予防療法が施行され、これとの併用で最長14日間、院内での介入が行われた。 主要エンドポイントは、21日間における臓器補助不要期間(ICUで呼吸器系または心血管系の臓器補助を受けない生存日数)とされた。院内死亡を-1、臓器補助なしでの21日間の生存を22とし、この範囲内で評価が行われた。主解析では、累積ロジスティックモデルのベイズ解析が用いられ、オッズ比が1を超える場合に改善と判定された。無益性により患者登録は中止に アスピリン群とP2Y12阻害薬群は、適応解析で事前に規定された同等性の基準を満たし、次の段階の解析のために抗血小板薬群として統計学的に統合された。また、事前に規定された無益性による中止基準を満たしたため、2021年6月24日、本試験の患者登録は中止された。 全体で1,549例(年齢中央値57歳、女性521例[33.6%])が登録され、アスピリン群に565例、P2Y12阻害薬群に455例、対照群に529例が割り付けられた。 臓器補助不要期間中央値は、抗血小板薬群および対照群ともに7(IQR:-1~16)であった。抗血小板薬群の対照群に対する有効性の補正オッズ比中央値は1.02(95%信用区間[CrI]:0.86~1.23)で、無益性の事後確率は95.7%であり、無益性が確認された(オッズ比が1.2未満となる無益性の事後確率が、95%を超える場合に無益性ありと判定)。また、生存例における臓器補助不要期間中央値は、両群とも14だった。 生存退院患者の割合は、抗血小板薬群が71.5%(723/1,011例)、対照群は67.9%(354/521例)であった。補正後オッズ比中央値は1.27(95%CrI:0.99~1.62)、補正後絶対群間差は5%(95%CrI:-0.2~9.5)で、有効性の事後確率は97%であり、有効性は示されなかった(オッズ比が1を超える有効性の事後確率が、99%を超える場合に有効性ありと判定)。 大出血は、抗血小板薬群が2.1%、対照群は0.4%で発生した。補正後オッズ比は2.97(95%CrI:1.23~8.28)、補正後絶対リスク増加は0.8%(95%CrI:0.1~2.7)で、有害性の事後確率は99.4%であった。 著者は、「抗血小板薬は、臓器補助不要期間に関して無益性が確認されたが、生存退院を改善する確率は97%で、死亡を5%低減し、90日間の解析では生存を改善する確率は99.7%であった。本試験に参加した8ヵ国では、抗血小板薬は安価で広範に入手可能で、投与も容易であることから、世界規模での適用が可能かもしれない」と考察している。

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ニボルマブ、尿路上皮がんにおける術後補助療法の国内承認取得

 2022年3月28日、小野薬品工業とブリストル マイヤーズ スクイブは、尿路上皮がんの術後補助療法に対して、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の効能または効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を受けたことを発表した。今回発表されたのは、CheckMate-274試験(ONO-4538-33)の結果に基づいたものである。 CheckMate-274試験は、膀胱または上部尿路(腎盂または尿管)が原発である根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がん患者を対象に、ニボルマブ単剤療法群とプラセボ群を比較評価した多施設国際共同無作為化二重盲検第III相試験。ニボルマブが尿路上皮がんの術後補助療法として統計学的に有意な結果 主要評価項目は全無作為化患者およびPD-L1発現レベルが1%以上の患者における無病生存期間(DFS)であり、ニボルマブ単剤療法群で統計学的に有意な延長を示した。全無作為化患者におけるDFS中央値はニボルマブ単剤療法群で20.8ヵ月、プラセボ群で10.8ヵ月であり、ニボルマブ単剤療法群はプラセボ群と比較して、2倍近く延長し、再発または死亡リスクを30%低減した(ハザード比[HR]:0.70、98.22%信頼区間[CI]:0.55~0.90、p=0.0008)。PD-L1発現レベルが1%以上の患者におけるDFS中央値は、ニボルマブ単剤療法群で未達、プラセボ群で8.4ヵ月と、ニボルマブ単剤療法群はプラセボ群と比較して、再発または死亡リスクを45%低減した(HR:0.55、98.72%CI:0.35~0.85、p=0.0005)。ニボルマブ単剤療法の安全性プロファイルは、これまでにニボルマブの固形がんの試験で認められているものと一貫していた。 尿路上皮がんは腎盂、尿管、膀胱および尿道に発生する悪性腫瘍で、そのほとんどが膀胱がんである。膀胱がんの標準治療は術前補助化学療法とそれに続く根治的切除術であるが、転移性がんとして再発した患者の予後は不良であるため、再発抑制を目的とした術後補助療法への医療ニーズは高いと考えられている。

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新型コロナ感染による脳への影響、わかってきたこと【コロナ時代の認知症診療】第13回

新型コロナ感染後、認知機能に変化2022年1月に始まったCOVID-19のオミクロン株によるコロナ第6波はピークは越えたものの、感染者数は3月時点でも高止まり状態が続く。これまでの波のうち、最大、最長のものになっている。さて2020年初頭の流行初期から嗅覚低下・脱失の症状は報道されてきた。これを除くと従来は、COVID-19と脳あるいは認知機能との関係はそう注目されてこなかった。しかしこれは重要な観点である。スペイン風邪(Spanish Influenza)は第1次世界大戦中にパンデミックとなった最初の人畜共通感染症である。実はこの疾患においても、認知症症状(Brain fog:脳の霧)の発生が気づかれていたのである。さて流行開始からでも2年余りが過ぎて、このCOVID-19による認知機能障害に関して本格的な臨床研究が報告されるようになった。まず武漢における縦断研究は、感染による認知機能の変化に注目している。平均年齢69歳で感染者1,438名を対象、平均年齢67歳の438名をコントロールにして、1年間の認知機能の推移を比較している1)。対象をCOVID-19の身体症状から重篤と非重篤に分けて比較している。また認知機能は重篤度に応じて4段階に分けられている。その結果、軽度の認知機能低下を生じる危険性はCOVID-19の身体症状重篤群でオッズ比が4.87、非重篤群で1.71であった。さらに驚くべきは、身体症状重篤群では進行性認知機能低下を生じるオッズ比が19.0と極めて高かったことである。嗅覚異常の背景に、脳の構造学的な異常かさて次に、感染による脳構造変化についての画像研究が英国から報告されている2)。401名の感染者(51~81歳)が対象で、平均141日間隔で頭部MRI画像が撮像されている。なおコントロールは384名である。その結果、次の3つの所見が得られている。1)前頭葉の眼窩皮質との萎縮がみられたこと。前頭眼窩面には嗅覚や味覚情報が収斂している。またここは、有名な報酬系、動機付けや学習行動と関連する部位であり、偏桃体を中心とする辺縁系と深い結びつきがある。とくに臨床的に有名なのは、ここに病巣をもつピック病では、抑制欠如や脱抑制の表れとして反社会的行為が生じることである。また海馬傍回は海馬の周囲に位置し、記憶の符号化と検索の役割を担っている。なおこの前部は嗅内皮質を含んでいる。このような機能を持つ大脳領域に萎縮を認めたのである。2)一次嗅覚路と機能的に結ばれている脳部位の組織破壊が認められたこと。さてヒト嗅覚系には2種類あるが、一次および二次嗅覚皮質は下図において、それぞれ青と緑で表される。一次嗅覚系は、匂い物質を受容する嗅神経が存在する嗅上皮、嗅神経の投射先である主嗅球、さらに嗅球からの投射を受ける梨状皮質などの嗅皮質から構成されている。こうして一次嗅覚系は主に一般的な匂い物質の受容に関わっている。このように、流行当初から指摘されてきた「臭わなくなった」症状の基盤として、こうした形態学的な異常がわかったのである。3)脳全体の萎縮が認められた。このことは、COVID-19の大脳への影響は、嗅覚路を中心に前頭葉と辺縁系で大きいが、脳全体にも及ぶことを意味している。さてなぜこのような病理学的変化がもたらされるのだろうか? まずCOVID-19感染によって脳低酸素症が誘発される。これは、脳のエネルギー産生工場といわれるミトコンドリア機能不全が関わると考えられてきた。この低酸素脳症が基盤にあることは納得できる。一方でこの脳画像研究の筆者たちは、今回の研究結果から2つの可能性を考えている。まず感染が、嗅覚路を侵略経路として大脳辺縁系を中心とする系統的変性が生じさせる可能性である。次に嗅覚脱失によって臭いの感覚の入力がなくなることが大脳辺縁系変性につながっている可能性である。そして最後にこの嗅覚の障害が治るか否かについては、まだわからないとされている。第7波にも注意が喚起されるようになった今日、COVID-19による中枢神経系障害に対する注意がさらに求められるだろう。参考1)Liu YH,et al. JAMA Neurol. 2022 Mar 8. [Epub ahead of print]2)Douaud G, et al. Nature. 2022 Mar 7. [Epub ahead of print]

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第102回 オミクロン再増加を救う手立ては…某ワクチン承認をFDAより先行すること!?

年初から始まったオミクロン株による新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染者急増、通称・第6波。全国各地に発出されていた新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」は、3月21日をもって最後まで残っていた18都道府県でも解除された。しかし、何とも嫌なことに翌日の22日から新規陽性者数はジリジリと増加傾向となって約10日が経過している。また、日ごとに報告されている死者数は二桁後半で、感染時に重症化しやすいと言われたデルタ株による第5波時よりも多いという現実も重なっている。オミクロン株に対するメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの効果は、重症化予防効果も含め対デルタ株に比べて低下傾向にあるとはいえ、今でも主要な対抗手段の一つであることには変わりはない。最新の3回目接種完了率は3月29日現在、全人口の39.8%、65歳以上の高齢者では80.7%となっている。高齢者ではかなり進展してきたものの、全人口で見るとやや心もとない。ほかのワクチンに比べ、発熱など患者が自覚できる副反応の頻度が高いことが3回目接種完了率の伸びに影響している可能性は少なくなさそうだ。また、この副反応問題とmRNAワクチンがまったくの新規技術ワクチンであることが相まって、小児対象の接種開始とともにワクチンに否定的な運動も活発化している。各地の医療機関には無差別に小児への接種を止めるよう求める文書が届いているという。そしてSNS上などを眺めていると、3回目接種もまだ進展中の環境で、4回目接種の議論が出てきたことで、これまでそれほど新型コロナワクチンに否定的ではなかった層からも懐疑的な意見が目立つようになった。この件はとくにイスラエルから発表された4回目接種の結果から、こと感染予防効果に関して言えば、ほとんど期待できないことが明らかになったことが拍車をかけているようにも見える。その意味では今のmRNAワクチンを軸とした対策もターニングポイントに差し掛かっているともいえそうだ。そうした中で私個人が気になっているのは、国内では昨年12月に製造承認申請が行われた米・ノババックス社の組み換えタンパクワクチンの導入だ。米を中心に約3万人を対象に行った臨床試験では、発症予防効果が90.4%、重症化予防効果が100%と良好な成績が示されている。また、最近では英国で約1万5,000人を対象に実施した第III相試験の長期データから、2回接種完了から6ヵ月後の無症候も含む感染予防効果が82.5%であることも示されている。ちなみにこの半年後の長期効果は評価期間が2020年11月~2021年5月で、現在主流のオミクロン株での効果は不明であるため、同社はすでにオミクロン株用ワクチンの開発にも着手している。そして何よりもこのワクチンの注目点は現在判明している有害事象が、mRNAワクチンよりは軽度と言えそうなことだ。主な副反応は頭痛、接種部位(筋肉)疼痛、倦怠感など。2回目接種の同ワクチンは、やはり2回目のほうが副反応頻度は高くなるが、その場合でも前述の主要な有害事象の発現率は40%前後。発熱に至っては数%である。また、このワクチンは冷蔵保存が可能である。超低温冷凍庫による保管が必要で、温度変化に弱いmRNAワクチンと比べれば扱いやすさは比較にならないだろう。また、ノババックス社は日本国内で武田薬品と提携し、同社の山口県光市の工場で生産されるため、安定供給に対する不安もかなり解消される。さらにmRNAワクチンを嫌う人たちが組み換えタンパクワクチンだから受け入れるという単純なことにはならないだろうが、それでもmRNAワクチンの接種を迷っている動揺層や自分自身は接種しながら子供に関しては様子見という大人には、ある程度考慮しうる選択肢になるだろうと個人的には想像している。少なくともすでに使われている技術を応用したワクチンという点でも安心感を提供できる側面もある。これまでの経緯からすると、ノババックス社ワクチンに関して厚生労働省はアメリカでの緊急使用許可の承認を待ってからの承認を狙っているのかもしれない。もっともすでに日本と医薬品承認のレギュレーションレベルにほとんど差がないEUや韓国で承認されていることを考えれば、日本はこの点ではそろそろ一歩前進しても良いのではないか。前回言及した塩野義製薬の3CLプロテアーゼ阻害薬に対して条件付き早期承認を与えることと比べれば、ノババックス社ワクチンを承認することは科学的合理性も含め、ほとんど問題ないだろうと、個人的には考えている。

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うつ病の早期寛解の予測因子

 抗うつ薬による治療反応は、患者ごとに大きく異なり、治療前に予測することは困難である。NTT西日本九州健康管理センタの阿竹 聖和氏らは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)およびミルタザピンの治療反応と相関するサイトカイン、これらサイトカインが各抗うつ薬治療による寛解の予測因子となりうるかについて、調査を行った。The World Journal of Biological Psychiatry誌オンライン版2022年3月9日号の報告。 抗うつ薬治療前の患者95例を対象に、酵素結合免疫吸着測定法を用いて、腫瘍壊死因子(TNF-α)、インターロイキン(IL)-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の分析を行った。うつ症状の評価は、ハミルトンうつ病評価尺度を用いて4週間調査した。 主な結果は以下のとおり。・SSRI治療群では、非寛解者よりも寛解者において、ベースライン時のGM-CSFレベルが有意に高かった(p=0.022)。・ミルタザピン治療群では、非寛解者よりも寛解者において、ベースライン時のTNF-αレベルが有意に高く(p=0.39)、IL-2レベルは有意に低かった(p=0.32)。・ミルタザピン治療群では、ROC曲線で算出されたTNF-α(10.035 pg/mL)およびIL-2(1.170 pg/mL)のカットオフ値が寛解率を予測する因子であることが示唆され、寛解率はそれぞれ31.3%から60.0%および50.0%に増加することが推定された。・SSRI治療群では、GM-CSF(0.205 pg/mL)をカットオフ値として用いることで、寛解率が37.0%から70%と約2倍に増加することが推定された。 著者らは「抗うつ薬治療前のTNF-α、IL-2、GM-CSFの血漿濃度は、SSRIまたはミルタザピンによる寛解率を予測する因子である可能性が示唆された」としている。

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小児の乳製品摂取量と片頭痛との関連

 片頭痛は、病因が明らかになっておらず、理解不十分な病態生理学的経路を伴う疾患である。乳製品の摂取量と小児の慢性的な症状および片頭痛との関係についてのデータを充足するため、イラン・テヘラン医科大学のShadi Ariyanfar氏らは本研究を実施した。Iranian Journal of Child Neurology誌2022年冬号の報告。 3次医療圏の頭痛クリニックにおける人口ベースのケースコントロール研究を実施した。対象は7~14歳の小児290例。片頭痛の診断は、国際頭痛分類第3版(ICHD-3)の基準を用いて神経内科医が行った。人口統計学的および人体測定学的特性を収集した。食事摂取量の調査には、検証済みの半構造化された食事摂取頻度調査票(food frequency questionnaire:FFQ)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・ケースグループの小児は、平均年齢、平均BMIが有意に高かった(p=0.000)。・セカンド回帰モデルでは、片頭痛のオッズ比(OR)は、低脂肪乳製品の摂取量が第2三分位で48%(OR:0.52、95%信頼区間[CI]:0.27~1.00)、第3三分位で53%(OR:0.47、95%CI:0.24~0.92)の減少が認められた(P trend=0.03)。・完全に調整されたモデルにおける片頭痛のORは、第2三分位で0.48(95%CI:0.24~0.95)、第3三分位で0.46(95%CI:0.21~0.96)であった(P trend=0.04)。・高脂肪乳製品の摂取量がより多い小児は、エネルギー、ペストリー、単糖、スナック菓子、硬化油の摂取量も多かった(p<0.05)。 著者らは「低脂肪の乳製品をより多量に摂取すると、小児および青年期の片頭痛リスク低下に寄与することが示唆された。これらは、食事成分の微量栄養素や生物活性含有量に起因する可能性がある」としている。

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乳がん検診10年の偽陽性リスク、乳房トモシンセシスvs.デジタルマンモグラフィ

 デジタル乳房トモシンセシスによる乳がん検診は、デジタルマンモグラフィより偽陽性率が低い可能性がある。米国・カリフォルニア大学デービス校のThao-Quyen H. Ho氏らは、デジタル乳房トモシンセシスまたはデジタルマンモグラフィによる10年間の検診で、偽陽性の累積リスクを推定した結果、デジタル乳房トモシンセシスのほうが低く、また、モダリティの違いよりも隔年検診・高齢・非高濃度乳房が偽陽性率の大幅な低下と関連することが示された。JAMA Network Open誌2022年3月1日号に掲載。 本研究は、Breast Cancer Surveillance Consortiumの126の放射線施設において、2005年1月1日~2018年12月31日に前向きに収集したデータを用いた効果比較研究で、40~79歳の90万3,495人の結果を2021年2月9日から9月7日まで分析。乳がん診断と死亡の競合リスクを考慮し、年1回もしくは隔年でデジタル乳房トモシンセシスまたはデジタルマンモグラフィで10年間検診後、追加画像診断・短い間隔での経過観察の推奨・生検の推奨について1回以上の偽陽性リコールの累積リスクを評価した。 主な結果は以下のとおり。・90万3,495人の女性における296万9,055回の検診(初回検診を除く)の画像を、放射線科医699人が読影した。・検診時の平均年齢(SD)は57.6(9.9)歳、60歳未満での検診が58%、高濃度乳房は46%、トモシンセシスでの検診が15%だった。・年1回の検診では、10年間における1回以上の偽陽性の累積確率はデジタルマンモグラフィに比べトモシンセシスで有意に低かった。全リコールは49.6% vs.56.3%(差:-6.7、95%CI:-7.4~-6.1)、短い間隔での経過観察の推奨で16.6% vs.17.8%(差:-1.1、95%CI:-1.7~-0.6)、生検の推奨で11.2% xs.11.7%(差:-0.5、95%CI:-1.0~-0.1)だった。・隔年の検診でも、偽陽性の累積確率は、デジタルマンモグラフィに比べトモシンセシスで有意に低かった(35.7% vs.38.1%、差:-2.4、95%CI:-3.4~-1.5)が、短い間隔での経過観察の推奨(10.3% vs.10.5%、差:-0.1、95%CI:-0.7~0.5)、生検の推奨(6.6% vs.6.7%、差:-0.1、95%CI:-0.5~0.4)では有意な差はなかった。・デジタルマンモグラフィに対するトモシンセシスでの偽陽性の累積確率の減少は、年1回検診した非高濃度乳房の女性で最も大きかった。・モダリティにかかわらず、偽陽性の累積確率は、年1回の検診より隔年の検診、年齢が若い患者より高い患者、extremely dense breastの女性よりentirely fattyの女性で大幅に低かった。

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NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタント承認 /大鵬薬品

 大鵬薬品とヘルシングループは、2022年3月28日、NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタント(製品名:アロカリス)について、抗悪性腫瘍薬(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)の効能・効果で製造販売承認を取得した。NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタント、ホスアプレピタントとの有効性を比較 化学療法に伴い発現する悪心・ 嘔吐は、患者のQOLに負の影響をおよぼし、化学療法の施行を妨げる原因となる。ガイドラインでも積極的な予防対策が推奨されている。  今回のNK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタントの承認は、高度催吐性抗悪性腫瘍薬(シスプラチン)投与患者を対象に、パロノセトロンおよびデキサメタゾン併用下で、NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタントとホスアプレピタントの有効性および安全性を比較した第III相試験(CONSOLE6) の結果に基づいたもの。本試験成績は、Journal of Clinical Oncology に掲載された。

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医療従事者への4回目接種、その効果は?/NEJM

 イスラエルの医療従事者を対象に、3回目接種から4ヵ月後にファイザー製およびモデルナ製の新型コロナワクチンを投与した結果、4回目接種後の中和抗体価は投与前の9~10倍に増加した。一方で3回目接種後のピーク反応との比較から、著者らはmRNAワクチンの免疫原性は3回の接種で最大となる可能性が示唆されたとしている。イスラエル・Sheba Medical CenterのGili Regev-Yochay氏らによる非盲検非無作為化臨床試験の結果が、NEJM誌オンライン版2022年3月16日号のCORRESPONDENCEに掲載された。医療従事者への4回目接種による効果、感染予防より発症予防のほうがより高い Sheba HCW COVID-19コホートに登録された適格な医療従事者1,250人のうち、154人が3回目接種から4ヵ月後にBNT162b2(ファイザー製)の4回目の投与を受け、その1週間後に120人がmRNA-1273(モデルナ製)を投与された。それぞれの参加者について、残りの参加者の中から年齢をマッチさせた2人の対照者が選定された。 研究期間はBNT162b2投与群が2021年12月27日~2022年1月30日、mRNA-1273投与群が2022年1月5日~2022年1月30日。同期間は感染率が極めて高く、毎週PCR検査による綿密なアクティブサーベイランスが行われていたため、ポアソン回帰モデルによりワクチンの有効性も評価された。期間中分離された株の100%がオミクロン株であった。 医療従事者への4回目接種の効果を研究した主な結果は以下のとおり。・BNT162b2投与群の平均年齢は59.0(30~85)歳、mRNA-1273投与群の平均年齢は55.1(29~87)歳だった。・医療従事者への4回目接種後、どちらのmRNAワクチンもSARS-CoV-2受容体結合ドメインに対するIgG抗体を誘導し、中和抗体価が上昇した。・4回目接種後の各測定値は9~10倍に増加し、3回目の投与後に達成された抗体価よりもわずかに高くなり、2つのワクチン間に有意差はなかった。・両ワクチンとも、オミクロン株およびその他のウイルス株(デルタ株、野生株)に対する中和能が約10倍に増加し、3回目の投与後の反応と同様であった。・4回目接種後、多くの接種者で軽度の全身および局所症状が報告されたものの、実質的な有害事象の報告はなかった。・試験期間中、対照群では25.0%がオミクロン株に感染していたのに対し、4回目接種のBNT162b2群では18.3%、mRNA-1273群では20.7%だった。・SARS-CoV-2感染に対する4回目接種によるワクチン有効性は、BNT162b2では30%(95%信頼区間[CI]:-9~55)、mRNA-1273では11%(95%CI:-43~44)だった。・感染した医療従事者の多くは、対照群、介入群ともに、ごく軽度の症状を訴えた。しかし多くは、比較的高いウイルス量(Ct値≤25)を有していた。・また、4回目接種によるワクチンの効果は発症予防効果のほうがより高いと推定された(BNT162b2群で43%、mRNA-1273群で31%)。 著者らは、本データは4回目のmRNAワクチン接種が、免疫原性、安全性、およびある程度の有効性(主に症候性疾患に対して)を有することを示すとした一方、4回目接種による初期反応と3回目接種によるピーク反応を比較したところ、体液性反応やオミクロン特異的中和抗体のレベルには大きな違いは見られなかった。 これらの結果から、mRNAワクチンの免疫原性は3回の接種で最大になり、4回目の接種で抗体レベルが回復する可能性が示唆されたとし、医療従事者の感染に対するワクチン有効性は低く、ウイルス量が比較的多いことから、感染者が感染能を有することがわかった。高齢者や脆弱な集団に対する評価は行われていないが、健康な若い医療従事者への4回目のワクチン接種は、わずかな利益しか得られない可能性があるとしている。

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左房機能低下は認知症発症と関連/JAMA

 心エコーで評価した左房機能の低下は、その後の認知症のリスク増加と有意に関連しており、左房容積は関連していないことを、米国・ミネソタ大学のWendy Wang氏らが、地域住民を対象とした前向きコホート研究「Atherosclerosis Risk in Communities study:ARIC研究」で示した。著者は「今回の所見は、左房機能障害が認知症のリスク因子になり得ることを示唆するものである」とまとめている。左房の機能や大きさの変化が特徴である心房ミオパチーは、心房細動とは無関係に虚血性脳卒中と関連していることが知られる。心房ミオパチーの心電図マーカーは認知症と関連しているが、断層(2D)心エコーで評価した左房機能や大きさが認知症と関連しているかどうかについては不明であった。JAMA誌2022年3月22日・29日号掲載の報告。前向きコホート研究で、左房機能や容積と認知症との関連を探索的に解析 ARIC研究は、登録開始時(1987~89年)の年齢が45~64歳の黒人および白人からなる地域住民を対象とした前向きコホート研究で、米国の4つの地域(ノースカロライナ州フォーサイス郡、ミシシッピ州ジャクソン、メリーランド州ワシントン郡、ミネソタ州ミネアポリス近郊)から1万5,792例が参加した。今回の解析は、5回目の定期受診時(2011~13年)に断層心エコーを受け、心房細動、脳卒中および認知症を有していない参加者を対象とし、2019年12月31日まで追跡調査した。 断層心エコーで左房機能(reservoir strain、conduit strain、contractile strain、emptying fraction、passive emptying fraction、active emptying fraction)、および左房容積(最大および最小左房容積係数)を評価するとともに、対面および電話での認知機能評価、入院コード、死亡診断書により認知症症例を特定し、Cox比例ハザードモデルを用いて探索的に左房機能と認知症発症との関連を解析した。左房機能低下は認知症のリスク増加と関連あり 解析対象は4,096例(平均年齢75[SD 5]歳、女性60%、黒人22%)であった。このうち、追跡期間中央値6年において、531例が認知症を発症した。 認知症発生率(100人年当たり)は、すべての左房機能指標において最低五分位群で最も高かった(reservoir strain 4.80、conduit strain 3.94、contractile strain 3.29、emptying fraction 4.20、passive emptying fraction 3.67、active emptying fraction 3.27)。 すべての共変量を補正後、LA passive emptying fraction以外の左房機能と認知症との間に統計学的に有意な関連が認められた。最高五分位群に対する最低五分位群のハザード比は、reservoir strainで1.98(95%信頼区間[CI]:1.42~2.75)、conduit strainで1.50(1.09~2.06)、contractile strainで1.57(1.16~2.14)、emptying fractionで1.87(1.31~2.65)、active emptying fractionで1.43(1.04~1.96)、passive emptying fractionで1.26(0.93~1.71)であった。 最大左房容積係数の最高五分位群の認知症発生率(100人年当たり)は3.18で、最低五分位群に対する最高五分位群のハザード比は0.77(95%CI:0.58~1.02)であった。また、最小左房容積係数の最高五分位群の認知症発生率は3.50で、最低五分位群に対する最高五分位群のハザード比は0.95(0.71~1.28)であった。いずれも、認知症との有意な関連は認められなかった。 これらの結果は、心房細動または脳卒中を発症した参加者を除外した感度解析でも頑健性が示された。 なお、著者は認知症発症日の特定が困難であること、認知症の診断方法がさまざまであったこと、高齢者が多く若年者に一般化できない可能性があることなどを研究の限界として挙げている。

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J&J製ワクチン、第III相試験で重症化・死亡に対する有効性確認/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のAd26.COV2.Sワクチン(Johnson & Johnson製)単回接種は、ベータ変異株およびデルタ変異株のいずれにおいても重症COVID-19およびワクチン接種後のCOVID-19関連死に対して有効であることが認められた。南アフリカ共和国・Desmond Tutu HIV CentreのLinda-Gail Bekker氏らが、医療従事者を対象とした単群非盲検第IIIB相試験「Sisonke試験」の結果を報告した。Lancet誌2022年3月19日号掲載の報告。南アフリカ共和国の医療従事者約48万人で検証 研究グループは、南アフリカ共和国の18歳以上の医療従事者を全国のワクチン接種会場122施設のいずれかに招待し、Ad26.COV2.Sワクチン(ウイルス粒子量5×1010)単回接種を実施した。ワクチンの有効性を評価するため、2つの大規模な医療保険組織またはマネジドケア組織(Discovery Healthが管理する医療制度[A]と、Government Employees Medical SchemeおよびMedSchemeが管理する医療制度[B])の個人データを用い、ワクチン接種済みの医療従事者を一般集団のワクチン未接種者とマッチングさせた。 主要評価項目は、一般集団と比較した重症COVID-19(COVID-19関連の入院、救命救急または集中治療を必要とする入院、死亡と定義)に対するワクチンの有効性で、ワクチン接種またはマッチングから28日以降のデータカットオフ日まで評価した。 2021年2月17日~5月17日の期間に、医療従事者47万7,102例が登録されワクチン接種を受けた。女性が35万7,401例(74.9%)、男性が11万9,701例(25.1%)、年齢中央値42歳(IQR:33.0~51.0)であった。このうちワクチン接種者21万5,813例を、ワクチン未接種者21万5,813例とマッチングし分析した。COVID-19関連死の予防効果は83%、COVID-19関連入院の予防効果は67% データカットオフ日(2021年7月17日)時点で、マッチングされた全コホートにおけるワクチンの有効性は、COVID-19関連死の予防が83%(95%信頼区間[CI]:75~89)、救命救急または集中治療を必要とするCOVID-19関連入院の予防が75%(69~82)、COVID-19関連入院の予防が67%(62~71)であった。 3つの評価項目に対するワクチンの有効性は、A制度とB制度で一貫していた。また、ワクチンの有効性は、高齢の医療従事者やHIV感染症を含む併存疾患を有する医療従事者においても維持されていた。 本試験の期間中にベータ変異株(B.1.351)、その後、デルタ変異株(B.1.617.2)が流行したが、ワクチンの有効性は一貫しており、全コホートのCOVID-19関連入院に対する有効性はベータ変異株流行中で62%(95%CI:42~76)、デルタ変異株流行中で67%(62~71)、COVID-19関連死に対する有効性は、ベータ変異株流行中で86%(57~100)、デルタ変異株流行中で82%(74~89)であった。

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米国でのオミクロン、デルタ、アルファ株におけるCOVID-19の臨床的重症度とmRNAワクチンの有効性の違い(解説:寺田教彦氏)

 2019年末より新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症は世界的に拡大し、2022年3月現在でも、流行は続いている。この間に、新型コロナウイルスの特徴も判明し、ワクチン開発、治療方法の整備も進んだが、新型コロナウイルスも変異を繰り返し、流行の終息はまだ見えていない。 本研究は、2021年3月11日から2022年1月14日までに米国21病院が参加した前向き研究で、mRNA COVID-19ワクチンのアルファ変異株、デルタ変異株、オミクロン変異株に対するCOVID-19関連入院の予防効果、COVID-19関連入院患者における変異株ごとの重症化率、死亡率について検討され、BMJ誌2022年3月9日号で報告された。 本研究以前より知られている事実として、mRNAワクチンの2回接種はアルファ株やデルタ株による入院予防に非常に効果的だったこと、ワクチンの有効性を長期的に維持するために2021年8月以降mRNA COVID-19ワクチンの3回目接種が認可されていたことがある。ちなみに2021年8月は、世界的にはデルタ株が臨床的な問題となっていた期間であり、本研究でも同時期はデルタ株の流行時期として取り扱われている。 本研究における新規知見は3点挙げられている。1点目は、mRNAワクチン2回接種に伴うCOVID-19関連入院の予防効果は、アルファ株やデルタ株よりもオミクロン株のほうが低い(それぞれアルファ株:85%、デルタ株:85%、オミクロン株:65%)が、オミクロン株に対しても3回目のワクチン接種を行うことで、アルファ株やデルタ株に対する2回接種と同様の有効性(86%)を達成すること。2点目は、COVID-19関連入院患者の重症度はオミクロン株のほうがデルタ株よりも低いこと。3点目は、オミクロン株でも15%の患者に侵襲的人工呼吸器管理が必要となり、7%の患者が死亡したことである。それぞれについて本邦の新型コロナウイルス感染症診療と照らし合わせて考察する。 現在、日本でもオミクロン株の流行が続いており、3回目のワクチン接種が行われている。今回の研究結果は、3回目のワクチン接種により、2021年12月26日から2022年1月14日の間におけるオミクロン株感染による入院予防効果が高かったことが示されている。本邦でも、オミクロン株の流行が続いており、米国よりもワクチン接種が遅れて開始したことを考えると、本邦での3回目のワクチン未接種者に対してワクチン接種を支持する根拠となるだろう。さて、本論文では、オミクロン株でも3回ワクチンを接種することで、他の株と同様の予防効果が期待されるとしているが、単純に株の問題のみに結び付けてよいかは疑問が残る。米国で、3回目のワクチン接種(ブースター接種)が開始された時期は、米国ではまだデルタ株が流行しており、当時の時点でもデルタ株に対してワクチン効果が落ちはじめていることが指摘されていた。実際に本論文でも、Fig.2において、2回目ワクチン接種後150日以内の患者のほうが、150日以降の患者よりも入院予防効果は高かった。オミクロン株の流行時期は2回のみのワクチン接種者の場合には、ワクチン接種後すでに時間が経過していたために効果が下がっていた可能性も考えられる。そのため、単純に株の種類とワクチン接種の回数問題のみでワクチンの予防効果は結論付けられないかもしれない。ブースター接種に関しては、本邦でも4回目のワクチン接種の是非について検討されている。2022年3月末までに報告されているデータでは、オミクロン株に対して4回目のワクチン接種では抗体獲得効果が不十分である可能性を示唆するイスラエルからの報告がある。ただし、ワクチンの4回目接種の是非を判断する十分なデータではないため、今後のデータを待つ必要があるだろう。 2点目の、オミクロン株がデルタ株よりは重症度が低いことに関しては、本邦での診療経験やこれまでの過去の論文報告とも合致するだろう。 最後に、オミクロン株でも重症化率や死亡率がいまだに高いことが本研究で指摘された。筆者も本邦の医療機関で新型コロナウイルス感染症治療に従事しているが、オミクロン株による入院患者の死亡率が7%という本研究の死亡率はやや高い印象がある。本研究は、米国21施設の入院患者を対象としており、米国で新型コロナウイルス感染症に罹患した患者全体を対象としたわけではない。本邦の新型コロナウイルス感染症患者の入院閾値が米国よりも低いために、本研究の重症化率や死亡率を高く感じるのかもしれない。とはいえ、米国の医療機関でオミクロン株による重症化率や死亡率が比較的高いことは事実であり、新型コロナウイルス感染症はいまだ軽視するわけにはいかないことを再認識させられる。 本研究を通して、米国で流行した新型コロナウイルスの各株の特徴やそれぞれの株に対するワクチンの効果を確認することができた。本邦を含め世界的にはオミクロン株の流行が続いており、今後は4回目のワクチン接種の効果や副反応の知見を基にブースター接種の是非を判断していくとともに、新型コロナウイルス流行の抑制に役立つ薬剤等を含めた技術開発を期待したい。

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続・人は病気になってから予防する【Dr. 中島の 新・徒然草】(419)

四百十九の段 続・人は病気になってから予防する禁煙を諦めた女性の話は、第四百十六の段で紹介しました。今回はその続きです。簡単に前回のあらすじを述べておきましょう。慢性咳嗽で紹介された50代の女性。念のために撮影した胸部単純レントゲンで、直径2センチくらいの円形らしい陰影が!肺がんかもしれないと思い、胸部CTを予約しました。もちろん女性は顔面蒼白。「人は病気になってから予防する」と言われますが、今度こそ禁煙できるかな。翌日、たまたま会議の時に隣になった放射線科医に、ちょっと尋ねてみました。会議の時にはつまらなそうな顔をしていましたが、読影には興味津々。放科「どれどれ、ちょっとモニターで確認しましょうか」中島「この右肺の丸く見えるものなんですけどね」モニター画面で示します。放科「ああ、これは肋軟骨の石灰化ですね」ほとんど指さした瞬間に言われました。中島「実は、胸部CTをオーダーしたのですけど」放科「以前の胸部レントゲンはありますか?」中島「いや、ウチではこれが初めてなんです」放科「じゃあ、CTを撮っておいたほうが無難ですね。左側は石灰化していないし」今度はモニターすら見ずに言われてしまいました。実際のところ、後日撮影した胸部CTもそれを裏付けています。放射線科所見には「肋軟骨の石灰化」と書かれていました。さて、検査結果を患者さんに告げる日になりました。診察室に入ってきた女性は、すでに半泣きです。中島「結果から申し上げると、肺がんではありませんでした」女性「ありがとう、先生。ありがとう!」もう彼女は大泣き。中島「ところでタバコのほうは?」女性「吸ってません。もう1本も吸ってません」どうやら、肺がんの恐怖が、喫煙の誘惑に勝ったみたいです。中島「じゃあ、この機会にタバコはやめておきましょうか?」女性「もう、残っていたタバコもライターも、全部捨ててしまいました」もちろん、50代になってからの禁煙も、健康上の御利益があると思います。肺がんのほかに、動脈硬化やCOPDの予防にもなることでしょう。でも、ほかにも大切なことがあったのではないでしょうか。それは、彼女が自分の人生を、真剣に見つめ直したであろうことです。これまでの後悔、残された日々、やり残したあれこれ。本当はどういう人生を送りたかったのか。中島「神様が、1回だけチャンスをくれたんだと思いましょう」女性は泣きながら、何度も私に礼を言いました。今日が第2の誕生日。生まれ変わって、新たな人生を歩んで欲しいですね。最後に1句彼岸すぎ モニター見ながら 泣き笑い

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心毒性リスク、どんな薬剤に注意している?―アンケート結果(中編)【見落とさない!がんの心毒性】第10回

今回は、腫瘍科医の皆さまへ心毒性に関し注意している(困っている)薬剤について、がん種別にご紹介いたします。しかし、腫瘍科医の皆さま以上にお困りなのは循環器科医の皆さまではないでしょうか。日々進歩し増加する抗がん剤において、それぞれ異なる機序により出現する心毒性へ対応するための情報を集めて整理することは、循環器科医にとって最も頭の痛い問題の一つとなっているからです。さらに、最近のトピックとして臓器横断的な治療薬の登場が挙げられます。これらの心毒性へ対応するためには、ゲノム関連も含め複数の関連する科の協力と参加が必要となっています(こちらは、次回[後編]でご紹介する予定です)。CareNet.comにて行ったアンケートの結果画像を拡大する(表1)上記を基に向井氏が作成画像を拡大する心毒性は、多くのがん治療、そしてほとんどの抗がん剤で出現すると言っても過言ではありません。(表2)に主ながん治療に伴う循環器合併症[心毒性]を示します。(表2)主ながん治療に伴う循環器合併症[心毒性]画像を拡大するこの結果では、読者の皆さまが注意している薬剤として、“細胞障害性抗がん剤”が第一に挙げられています。使用頻度から言ってもやはりという結果で、前編のアントラサイクリン系抗がん剤に加え、シクロフォスファミド、タキサン系、プラチナ製剤などは重要な薬剤ですが、これらの心毒性のエビデンスはすでに確立しており、多くのガイドラインにも記載されています。ところが、実臨床での対応は決して十分とは言えない状況のようです。次に、分子標的薬、多標的チロシンキナーゼ阻害薬による頻度が高くなっています。第4回VEGFR -TKIの心毒性(草場 仁志氏・森山 祥平氏)で解説した血管新生阻害薬が心毒性の中心的存在となっています。血管新生阻害薬の心毒性には、用量依存性と時間依存性が認められており、一旦出現すると急速に進展し重篤化することが多いため、その対応には、腫瘍科医のみならず循環器科医の早期からの参加が必要と考えられています。(表3)血管新生阻害薬の投与用量/時間による血管毒性の変化画像を拡大するこのように分子標的薬は、細胞障害性抗がん剤による従来の化学療法とは大きく異なる心毒性、とくに血管毒性、腎毒性などが出現しやすく、腫瘍科医の皆さまが手強い合併症を多く経験する傾向にあるのが特徴です。また、近年開発された分子標的薬において不整脈毒性を認める薬剤が増加しています。中でもQT延長に伴う致死的不整脈や心房細動などの重篤な不整脈の管理には循環器科医の協力が必須となっています。しかしながら、これらの新しい標的に対する薬剤での心毒性発症の機序には不明な点が多く、その対応に苦慮することが少なくありません。さらに、循環器疾患に大きく影響する糖尿病などを含む代謝毒性は、免疫チェックポイント阻害薬の内分泌系irAEに加えmTOR阻害薬やPI3K阻害薬など代謝系に作用する抗がん剤を投与する際に、脂質異常症などと合わせて注意が必要です。その他、第6回新治療が心臓にやさしいとは限らない(大倉 裕二氏)で解説したように、がん治療では多種多様の薬剤が併用投与されており、支持療法に用いられる薬剤も含めそれぞれ心毒性が存在しており、添付文書に記載してある「警告」に対しては十分な注意が必要です。QT時間は心電図により容易に反復した計測が可能であり、古くから心毒性の有無を判断する指標として、CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events、有害事象共通用語規準)にも用いられてまいりました。しかし、実臨床で実際のQT時間延長の意義、QTc時間(心拍数補正)などについて、不安を抱えていらっしゃる腫瘍科医はどのくらいおられるでしょうか。この点を正しく理解いただき不安を払拭してもらうためにも、ぜひとも第二部(症例編)で取り上げ解説したいと思います。講師紹介

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第102回 反ワクチン派の陰謀?接種協力医療機関への訴訟示唆する不可解現象

国内のコロナワクチン3回目接種率は、3月中旬で3割を超え、主要7カ国(G7)の最下位から何とか脱した。ただ、接種率が一定を超えると伸び悩む「7割の壁」が課題となり、依然ワクチンへの疑念や拒絶感を抱く人たちは少なくないようだ。ワクチン反対やノーマスクを訴えるデモを時折見かけるが、最近では接種に協力する医療機関に対し訴訟をちらつかせる悪質なビラが投函されている。筆者が住む自治体でも、ワクチン接種を行っている複数の医療機関に対し、訴訟を示唆するビラが投げ込まれていたようだ。中には、接種を行っていないクリニックにまで投函されており、当該の院長は困惑している。院長がワクチン接種をやめる決断をした経緯「反ワクチン運動」と言っても、欧米と日本では動機が異なる。欧米ではワクチン接種義務への反発から起きているが、日本の場合は陰謀論的な言説に惑わされている人が多いようだ。ただ、コロナワクチンを巡るさまざまな影響が明らかになりつつある中、一部の医療従事者でもワクチンへの疑念が生じているようだ。たとえば前述の院長の場合、訪問診療先の老人ホームにおいて、昨年、入居者にコロナワクチンを接種したところ、その翌日から1ヵ月以内に複数人が死亡したという。施設長は死因を「老衰」と遺族に説明したが、院長はワクチン接種との因果関係を疑っている。このようなこともあり、院長は自院でのワクチン接種を実施していない。ちなみに、ワクチン接種後の死亡として報告された事例は、今年1月下旬時点で1,400件を超えるが、厚労省は「ワクチン接種との因果関係があると結論付けられた事例はない」としている。別の医療従事者に「コロナワクチン接種後に体内で生成されるスパイク蛋白が卵巣に溜まり、長期的に不妊症を引き起こす可能性が欧米で明らかになってきている」と懸念する人もいたが、すでにさまざまな研究で、「ワクチンによる不妊」といった情報は科学的根拠がないことが立証されている。しかしながら、大量の医療情報が絶え間なく流布する中、医療従事者であっても、情報の正確さを判断するのがより難しい状況になっているといえるだろう。打たない人の理由も聞いてみた。ある会社経営者の場合、知人2人(50代と70代)が昨年、ワクチン接種直後に相次いでくも膜下出血で倒れたからだという。幸い2人とも家族に早期発見され、処置を受けたため、重い後遺症は残らなかった。会社経営者は、ワクチンの副反応によるものではないかと考えているようだ。人は時として、科学的根拠のある情報を理解しながらも、個人的な経験を無意識に優先して判断することが往々にしてあるものだ。さらに昨今では、SNSの普及によって、自分と同じ傾向の意見を見聞きし続けることで、自らの意見が増幅・強化される「エコーチェンバー現象」という言葉が話題になっているが、こうした状況も偏った思考や行動への傾倒を助長しているのかもしれない。頻繁なワクチン接種が人体の免疫に悪影響を及ぼす懸念政府は今夏にも4回目接種を行う検討に入ったが、欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)は1月、コロナワクチンの追加接種を短い間隔で繰り返すことに懸念を表明、頻繁なワクチン接種が人体の免疫に悪影響を及ぼす可能性も指摘した。コロナ感染の後遺症は少しずつわかってきたが、コロナワクチン接種の重篤な副反応や後遺症はあまりわかっていない。政府は、国民の接種に対する疑問や不安に対して、新たな研究成果や海外の事例などに基づいて回答していくべきではないだろうか。ワクチンだけなく国や医療従事者に対する疑問も前出の会社経営者は「イスラエルや韓国などワクチン接種率の高い国々で感染爆発が起き、ワクチン接種効果が疑問視される中、ワクチンパスポートの廃止や規制解除が行われている。このような状況下、接種ありきの国のやり方に対し疑問を持つ人は少なくないのでは」と述べる。それが医療機関訴訟という行動となって表れているというのである。個々人の信条を裁判で白黒付けようという行動は、不可解で突飛としか言いようがないが、ワクチンを接種する側・される側に芽生えている不安は、納得のいく丁寧な説明でしか払拭できないのではないだろうか。

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統合失調症と双極性障害患者における脳容積の違い

 統合失調症と双極性障害は、重複するポリジーン構造や臨床的類似性が認められるものの、臨床的には非類似の特性を有する別疾患である。両疾患において、皮質下容積の特定の違い、皮質下の違いによる臨床的特徴への影響については、不明なままである。岐阜大学の大井 一高氏らは、統合失調症患者、双極性障害患者、健康対照者における皮質下容積の違いについて検討を行った。また、統合失調症と双極性障害の患者における特定の皮質下容積に対する臨床的特徴への影響についても、併せて調査した。Journal of Psychiatry & Neuroscience誌2022年3月1日号の報告。 単一施設の単一スキャナを用いて、対象患者413例(統合失調症:157例、双極性障害:51例、健康対照:205例)より、3T MRIにおけるT1強調画像を収集した。T1強調画像の処理、皮質下脳容積をセグメント化するため、FreeSurfer ver. 6.0を用いた。7つの皮質下領域(視床、尾状核、被殻、淡蒼球、海馬、扁桃体、側坐核)の違いについて、群間比較を行った。また、統合失調症と双極性障害の患者における皮質下容積と臨床的特徴との相関についても調査した。 主な結果は以下のとおり。・7つの皮質下領域のうち、統合失調症患者は健康対照者と比較し、左側視床(Cohen d=-0.29、p=0.00583)、両側海馬(左側Cohen d=-0.36、p=0.000885)(右側Cohen d=-0.41、p=0.000115)、左側扁桃体(Cohen d=-0.31、p=0.00402)の容積が有意に小さかった。・双極性障害患者は健康対照者と比較し、両側海馬(左側Cohen d=-0.52、p=0.00112)(右側Cohen d=-0.58、p=0.000030)の容積のみが有意に小さかった。・統合失調症患者は双極性障害患者と比較し、両側扁桃体(左側Cohen d=-0.43、p=0.00422)(右側Cohen d=-0.45、p=0.00456)の容積が有意に小さかった。・統合失調症患者の左側扁桃体容積の小ささは、より若年での発症と有意な相関が認められた(r=0.22、p=0.00578)。・本研究では、双極性障害患者のサンプルが限られていたため、同疾患の臨床サブタイプや症状エピソード歴に基づいた層別化による皮質下容積の違いを評価することができなかった。 著者らは「臨床的に類似した統合失調症と双極性障害を鑑別するうえで、扁桃体容積の違いが推定バイオマーカーとなりうる可能性が示唆された」としている。

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セルペルカチニブがRET遺伝子異常甲状腺がんの新たな治療選択肢に/リリー

 2022年2月、RET遺伝子異常を有する甲状腺がんに対しRET阻害薬セルペルカチニブの適応が承認された。甲状腺がんにおける新たな治療選択肢セルペルカチニブの役割について、日本医科大学 内分泌外科学分野の杉谷 巌氏が紹介した。 甲状腺がんの大半は予後良好だが、予後不良な高リスク群の存在が明らかに 甲状腺がんの多くは予後良好だが、低分化がんや髄様がんの一部は良好ではない。また近年、甲状腺がんの約90%を占め、従来は予後良好とされていた乳頭がんの一部に予後の悪い高リスク群が存在することが明らかになった。甲状腺がんの治療は分子標的薬の登場で進化した 高リスク群の治療は、甲状腺全摘を主体とした隣接臓器の切除やリンパ節郭清である。全身療法としては放射性ヨウ素内用療法(RAI)とTSH(甲状腺刺激ホルモン)抑制療法があるが、分化がんのみが対象で、未分化がんや髄様がんには適応がない。 そのような中、2010年代に分子標的薬が臨床導入される。いずれも血管阻害作用を主体とするソラフェニブ、レンバチニブ、バンデタニブの3剤である。 分子標的薬は、対処方法がなかった根治切除不能、RAI抵抗性の進行症例に適用され、甲状腺がんの治療を進化させる。ただし、これら分子標的薬が使えるのはいずれも治療後期であり、根治切除、RAIの使用が前提となる。甲状腺がんにみられるRET遺伝子異常は点突然変異と融合遺伝子の2種 ゲノム研究の進化により、甲状腺がんの遺伝子異常が解明される。その結果、甲状腺がんのドライバー遺伝子としてRET遺伝子が同定された。 甲状腺がんにみられるRET遺伝子異常は、点突然変異と融合遺伝子の2種である。遺伝性髄様がんでは90%に生殖系列のRET変異があり、通常の髄様がんでは60%以上にRET変異が認められる。乳頭がんの10〜20%にRET融合遺伝子が発現する。 RET遺伝子異常がある甲状腺がんは、異常がない腫瘍に比べ、有意に予後が良くない。セルペルカチニブのRET遺伝子異常を有する甲状腺がんでの有効性 2021年に登場したRET阻害薬セルペルカチニブは、点突然変異と融合いずれのRET遺伝子異常においても細胞内のシグナル伝達を阻害する。 RET遺伝子異常を有する甲状腺がんでのセルペルカチニブの有効性は、2020年に発表された国際共同第I/II臨床試験「LIBRETTO-001試験」で示されている。この試験で、セルペルカチニブは、標準的な1次治療歴のないRET融合遺伝子陽性の分化がんでは100%、同じく標準的な1次治療歴のないRET遺伝子変異陽性の髄様がんでは63.3%と優れた奏効率を示した。 RET遺伝子異常を有する甲状腺がんへのセルペルカチニブの保険適応は、今年(2022年)2月に承認された。RET遺伝子異常の発見と治療薬セルペルカチニブの臨床導入は、血管新生阻害薬に続き、甲状腺がん治療に進歩をもたらすと期待される。

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