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中等症コロナ肺炎、ファビピラビル+カモスタット+シクレソニドで入院期間短縮/国内第III相試験

 中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、ファビピラビル、カモスタット、シクレソニド吸入剤による併用治療により入院期間を短縮したことが、単施設非盲検無作為化比較試験で示された。国際医療福祉大学成田病院の寺田 二郎氏らが、Lancet Discovery ScienceのeClinicalMedicine誌オンライン版2022年6月3日号で報告した。ファビピラビル、カモスタット、シクレソニド吸入の併用は入院期間を短縮 本試験は、COVID-19肺炎患者の重症化抑制に関するファビピラビル+カモスタット+シクレソニド吸入剤の多剤併用療法の有効性を検討する第III相試験である。国による予防接種推進前である2020年11月11日~2021年5月31日に、国際医療福祉大学成田病院において参加者を登録し、ファビピラビル単剤治療群とファビピラビル+カモスタット+シクレソニド吸入剤の多剤併用治療群に無作為に割り付けた。主要評価項目は入院期間。本試験はAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)助成によるもの。 ファビピラビル+カモスタット+シクレソニド吸入剤の多剤併用療法の有効性を検討した主な結果は以下のとおり。・参加者は121例で、ファビピラビル単剤治療群56例、併用治療群61例だった。・入院期間中央値は、ファビピラビル単剤治療群11日(95%CI:11~12)、併用治療群10日(同:9~11)で、併用療法群が有意に短かった(HR:1.67、95%CI:1.03~2.7、p=0.035)。・退院率は、中等症Iの患者(HR:2.01、95%CI:1.13~3.61)と60歳以下の患者(HR:2.92、95%CI:1.37~6.19)において有意に高かった。・試験開始4、8、11、15、29日目の体温、酸素使用量、呼吸数、酸素飽和度、重症度、人工呼吸器装着、ECMO使用、ICU管理、他の併用薬などの臨床所見の変化について、有意差は認められなかった。・有害事象発現率は、ファビピラビル単剤療法群57.1%、併用療法群55.7%と同等で、両群ともCOVID-19肺炎により1例ずつ死亡した。 著者らは「中等症のCOVID-19肺炎患者において、ファビピラビル、カモスタット、シクレソニド吸入の併用は安全性を懸念することなく入院期間を短縮し、早期退院に繋がることが期待される」と結論した。また、サブグループ解析結果から「これらの併用は重症患者には最適ではなかったが、若年層(60歳以下)や酸素療法を必要としない重症度の低い患者には、より有益な治療である」としている。

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AI抵抗性進行乳がんへのフルベストラント+capivasertibがOS改善(FAKTION)/ASCO2022

 アロマターゼ阻害薬(AI)抵抗性のエスロトゲン受容体(ER)陽性/HER2陰性進行・再発乳がん患者を対象としたAKT阻害薬capivasertibの第II相FAKTION試験について、新たな解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で英国・Velindre Cancer CentreのRobert Hugh Jones氏が発表した。 今回の発表では、全生存期間(OS)データと次世代シークエンス(NGS)などを用いたゲノムバイオマーカー解析の結果が報告された。・対象:閉経後のER+/HER-の進行・再発の乳がん患者で、前治療としてのアロマターゼ阻害薬(AI)が無効となった患者・試験群(Capi群):capivasertib 400mgを4日間投与3日間休薬で1日2回経口投与(28日を1サイクルとして1サイクル目の15日目から開始)+フルベストラント500mg(1サイクル目の15日目に負荷用量を追加) 69例・対照群(プラセボ群):プラセボ+フルベストラント500mg  71例・評価項目:[主要評価項目]ITT集団における無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目」ITT集団における全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、安全性、PI3K/AKT/PTENシグナル伝達経路の遺伝子変異の有無別のPFS、ORR、CBR 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ(2021年11月)時点での追跡期間中央値はCapi群58.5ヵ月、プラセボ群62.3ヵ月だった。・ITT集団におけるPFS中央値は、Capi群10.3ヵ月vs.プラセボ群4.8ヵ月、HR:0.56(95%信頼区間[CI]:0.38~0.81、p=0.002)だった。・ITT集団におけるOS中央値は、Capi群29.3ヵ月vs.プラセボ群23.4ヵ月、HR:0.66(95%CI:0.45~0.97、p=0.035)だった。・新たな安全性シグナルは報告されなかった。・NGSまたはddPCR、パイロシークエンス法を用いたゲノム追加解析が実施され、PI3K変異、AKT1 E17KもしくはPTEN不活性化変異を有するサブグループ(76例)と、上記変異のないサブグループ(64例)に分けて副次評価解析が行われた。・前回解析では上記の変異を有する患者はITT集団の42%だったの対し、追加解析の結果は54%となり、前回解析で変異なしとされた20の腫瘍(25%)で変異が確認された。・シグナル伝達経路に変異を有するサブグループにおけるPFS中央値はCapi群12.8ヵ月vs.プラセボ群4.6ヵ月、HR:0.44(95%CI:0.26~0.72、p=0.0014)、OS中央値は38.9ヵ月vs.20.0ヵ月、HR:0.46(95%CI:0.27~0.79、p=0.005)だった。・シグナル伝達経路に変異のないサブグループにおけるPFS中央値はCapi群7.7ヵ月vs.プラセボ群4.9ヵ月、HR:0.70(95%CI:0.40~1.25、p=0.23)、OS中央値は26.0ヵ月vs.25.2ヵ月、HR:0.86(95%CI:0.49~1.52、p=0.60)だった。 ITT集団におけるフルベストラントへのcapivasertibの追加を支持するOSデータが示された。Jones氏は、サブグループ解析の結果、PI3K/AKT/PTENシグナル伝達経路に遺伝子変異を有する患者におけるcapivasertib追加のベネフィットが示されたが、800例以上を対象に進行中の第III相CAPItello-291試験での解析結果が待たれるとした。

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ホジキンリンパ腫のA-AVD療法が初めて標準療法にOSで優る(ECHELON-1)/ASCO2022

 古典的ホジキンリンパ腫では、これまで標準療法であるABVD(ブレオマイシン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法に対し、OSでの優位性を示した治療法はなかったが、A-AVD(ブレンツキシマブ ベドチン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法が初めて全生存期間(OS)でABVD療法に優ったことが示された。このECHELON-1試験の結果を、米国・メイヨー・クリニックのStephen M. Ansell氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。ホジキンリンパ腫治療のECHELON-1試験でA-AVD群のOSの優位性が示された これまでホジキンリンパ腫治療で、A-AVD療法はABVD療法と比較し、無増悪生存期間(PFS)の延長効果が示されていたが、今回のECHELON-1試験の結果発表では、追跡期間中央値73ヵ月(約6年)の長期に渡るPFSの利点とあわせ、OSについての優位性が初めて示されたことになる。・対象:StageIII/IVの進行古典的ホジキンリンパ腫患者・試験群(A-AVD群):A+AVD最大6サイクル(ブレンツキシマブ ベドチン1.2mg/kg)664例・対照群(ABVD群):ABVD最大6サイクル  670例・評価項目:[主要評価項目]独立評価機関(IRF)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS) ホジキンリンパ腫の治療においてA-AVD療法とABVD療法を比較したECHELON-1試験の主な結果は以下のとおり。・推定6年のOS率はA-AVD 群93.9%(95%信頼区間[CI]:91.6~95.5)、ABVD群89.4%(86.6~91.7)で、それぞれ39件と64件のOSイベントが発生した。・A-AVD群のOSの優位性が示された(HR:0.59、0.40~0.88、p=0.009)。OSのメリットはサブグループ全体で一貫していた。・6年間のPFS推定値はA-AVD群とABVD群で82.3%(79.1~85.0)vs.74.5%(70.8~77.7)だった(HR:0.68、0.53~0.86)。・治療に起因する末梢神経障害は両群で引き続き解消または改善し、A-AVD群およびABVD群の症例の86%(379/443例)および87%(249/286例)が完全に解消した。A-AVD群、ABVD群で報告された二次悪性腫瘍は少なかった(23 vs.32)。A-AVDはABVDと同等の長期安全性が確認された。 著者らはホジキンリンパ腫の治療において「A-AVD治療により、ABVDと比較して死亡リスクが41%と有意に減少し、以前の報告と一致する管理可能な安全性プロファイルが得られた。これらの結果は、A-AVD療法がStageIII/IVの古典的ホジキンリンパ腫の1次治療として好ましい選択肢であることを裏付けている」としている。

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ウパダシチニブ、中等~重症の潰瘍性大腸炎に高い有効性/Lancet

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎(UC)の治療において、経口選択的ヤヌスキナーゼ1(JAK1)阻害薬ウパダシチニブはプラセボと比較して、導入療法および維持療法として高い有効性と優れた安全性を有し、有望な治療選択肢となる可能性があることが、イタリア・University Vita-Salute San RaffaeleのSilvio Danese氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年6月4日号で報告された。3つの無作為化試験の第III相試験 本研究は、2つの導入療法試験(U-ACHIEVE substudy 2[UC1]、U-ACCOMPLISH[UC2])と、1つの維持療法試験(U-ACHIEVE substudy 3[UC3])から成る二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、UC1に39ヵ国199施設が、UC2に40ヵ国204施設が参加し、これらの試験で臨床的改善(Adapted Mayoスコアに基づく)が達成された患者を対象とするUC3には35ヵ国195施設が参加した(AbbVieの助成を受けた)。 導入療法試験では、年齢16~75歳で、少なくとも90日間が経過した中等症~重症の活動期UC患者(Adapted Mayoスコア:5~9、内視鏡サブスコア:2~3)が、ウパダシチニブ(45mg、1日1回)またはプラセボの経口投与を受ける群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。維持療法試験では、導入療法試験で8週後に臨床的改善が達成された患者が、ウパダシチニブ15mg、同30mg、プラセボの経口投与を受ける群に、1対1対1の割合で再び無作為に割り付けられ、52週の投与が行われた。 主要エンドポイントは、導入療法試験は8週後、維持療法試験は52週後の臨床的寛解(Adapted Mayoスコア≦2、Mayo排便回数サブスコア[SFS]≦1でベースラインより多くない、直腸出血スコア[RBS]=0、内視鏡サブスコア≦1で粘膜の脆弱性を伴わない)とされた。臨床的寛解:UCIは26%、UC2は33%、UC3は42%/52% UC1では、2018年10月~2020年9月の期間に、ウパダシチニブ45mg群に319例、プラセボ群に155例が、UC2では、2018年12月~2021年1月の期間に、それぞれ345例および177例が割り付けられた。UC3では、導入療法で8週後に臨床的改善が得られた451例(第IIb相試験から21例、UC1から278例、UC2から152例)が登録され、ウパダシチニブ15mg群に148例、同30mg群に154例、プラセボ群には149例が割り付けられた。 導入療法試験で臨床的寛解が達成された患者の割合は、ウパダシチニブ45mg群(UC1:26%[83/319例]、UC2:33%[114/341例])がプラセボ群(UC1:5%[7/154例]、UC2:4%[7/174例])に比べ、統計学的に有意に高かった(補正後群間差:UC1:21.6%、95%信頼区間[CI]:15.8~27.4、p<0.0001、UC2:29.0%、23.2~34.7、p<0.0001)。 また、維持療法試験で臨床的寛解が達成された患者の割合は、ウパダシチニブ群(15mg群:42%[63/148例]、30mg群:52%[80/154例])がプラセボ群(12%[18/149例])に比し、統計学的に有意に優れた(補正後群間差:プラセボ群と15mg群の比較: 30.7%、95%CI:21.7~39.8、p<0.0001、プラセボ群と30mg群の比較:39.0%、29.7~48.2、p<0.0001)。 UC1で報告の頻度が高かった有害事象は、鼻咽頭炎(ウパダシチニブ45mg群5% vs.プラセボ群4%)、クレアチンホスホキナーゼ値上昇(4% vs.2%)、ざ瘡(5% vs.1%)であった。UC2では、ざ瘡(7% vs.2%)の報告が多かった。また、2つの導入療法試験のいずれにおいても、重篤な有害事象(UC1:3% vs.6%、UC2:3% vs.5%)および投与中止の原因となった有害事象(UC1:2% vs.9%、UC2:2% vs.5%)の発現率は、ウパダシチニブ45mg群よりもプラセボ群で高かった。 UC3では、潰瘍性大腸炎の悪化(ウパダシチニブ15mg群13% vs.同30mg群7% vs.プラセボ群 30%)、鼻咽頭炎(12% vs.14% vs.10%)、クレアチンホスホキナーゼ値上昇(6% vs.8% vs.2%)、関節痛(6% vs.3% vs.10%)、上気道感染症(5% vs.6% vs.4%)の報告が多かった。また、重篤な有害事象(7% vs.6% vs.13%)と投与中止の原因となった有害事象(4% vs.6% vs.11%)の発現率は、いずれも2つの用量のウパダシチニブ群がプラセボ群に比べ低かった。 がん、中央判定による主要有害心血管イベント、静脈血栓塞栓症の報告はまれで、治療関連死はみられなかった。 著者は、「ウパダシチニブは経口投与の低分子化合物であるため、服薬順守の向上や免疫原性がないことなど、生物学的治療にさまざまな利益を付加する可能性がある」としている。

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日本における統合失調症に対する抗コリン薬使用の特徴

 統合失調症のさまざまな臨床ガイドラインにおいて、抗コリン薬の長期使用は推奨されていない。福岡大学の堀 輝氏らは、向精神薬使用のパターンおよび病院間での違いを考慮したうえで、統合失調症患者に対する抗コリン薬使用の特徴について、調査を行った。その結果、抗精神病薬の高用量および多剤併用、第1世代抗精神病薬の使用に加え、病院の特性が抗コリン薬の使用に影響を及ぼすことが示唆された。Frontiers in Psychiatry誌2022年5月17日号の報告。統合失調症に対する抗コリン薬処方率は0~66.7%と病院ごとに大きく異なる 日本の医療機関69施設の統合失調症患者2,027例を対象に、退院時治療薬に関する横断的レトロスペクティブ調査を実施。抗コリン薬と向精神薬使用との関連を調査した。各病院を抗コリン薬の処方率に応じて、低、中、高の3グループに分類し、抗コリン薬処方率と抗精神病薬使用との関連を分析した。 統合失調症患者に対する抗コリン薬使用の特徴について調査を行った主な結果は以下のとおり。・抗コリン薬が処方されていた統合失調症患者数は618例(30.5%)であり、抗精神病薬の高用量、多剤併用、第1世代抗精神病薬使用の患者で有意に高かった。・抗コリン薬処方率は0~66.7%と病院ごとに大きく異なり、低・中グループと比較し高グループにおいて、抗精神病薬の単剤治療、多剤併用、標準および高用量使用患者で有意に高かった。・高グループにおける第2世代抗精神病薬単剤治療患者の抗コリン薬処方率も、低・中グループと比較し有意に高かったが、第1世代抗精神病薬単剤治療患者では、有意な差が認められなかった。

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OTC販売機や処方薬のコンビニ受け取り 変わる医薬品販売【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第90回

2022年度の調剤報酬改定で調剤料がなくなり、薬学的知見が必要ない業務に関しては、薬剤師以外の従業員がより効率的に行うという流れに変わってきています。そのような中、対面販売が原則の医薬品の販売や受け渡しにも新しい風が吹いています。大正製薬は5月31日、OTC薬を販売機で販売する実証実験をJR新宿駅で開始した。改札内のドラッグストア近くにOTC販売機を設置し、同社の第2類・第3類医薬品、医薬部外品の計約30品目を取り扱っている。期間は8月31日まで。同社は実証実験を通し、課題を検討した上で、将来は駅以外の場所にもOTC販売機を設置していきたい考えだ。(2022年6月1日付 日刊薬業)本コラム第67回でも紹介したOTC医薬品を自動販売機風の機械で販売するという実証実験がとうとう開始されました。このOTC販売機は目と鼻の先にあるドラッグストアが運営していて、そこには薬剤師や登録販売者がいるため薬機法には抵触しません。販売機のタッチパネルを操作して商品を選択すると、店舗の資格者がタブレット端末で確認し、販売を許可するという流れです。資格者からは購入者の顔を見ることができ、特定成分を含むOTC医薬品を販売する際の乱用防止対策も講じています。実証実験は3ヵ月間、10:00~18:00の運用ですが、将来的には深夜や空港・高速道路のサービスエリアなどでの活用も目指すとしています。画像を拡大するこのサービスの利用率や将来的な波及効果にも興味はありますが、私が一番驚いているのは、この実証実験の認定を取得したのが製薬会社であることです。製薬会社が医薬品を直接販売するというのは、この業界においてはとても珍しいことです。今後、直売のOTC販売機が増えていけば、この業界の流通構造にも影響が出てくるのではないかと思います。処方薬がコンビニで無料・24時間受け取り可能にそして、もう1つの新しい風は、処方された医薬品をコンビニで受け取れるというサービスです。ファミリーマートは5月25日、東京都内の店舗で処方薬を受け取れるサービスを5月26日に始めると発表した。凸版印刷グループのおかぴファーマシーシステムが運営する「とどくすり薬局」や提携する薬局でオンライン服薬指導を受けた場合、患者が指定した店舗に最短翌日に届ける。都内のほぼすべての2,400店舗で24時間利用できる。患者はおかぴのホームページで受取店舗を指定する。メールで届く認証バーコードを店頭で提示すると、ファミマの店員が直接手渡す。通常の宅配物と同様の梱包のため、店員からは中身がわからないようになっている。配送はヤマト運輸が担う。送料と手数料は無料。(2022年5月25日付 日本経済新聞)これまでもごく少数のコンビニ店舗での受け取りに関する実証実験は行われていましたが、東京都内のほぼすべてのファミリーマートで受け取ることができるようになります。流れは、受診した医療機関で「とどくすり」利用の希望を伝えて処方箋をFAX(または郵送)してもらい、オンライン服薬指導を受けて、指定したコンビニ店舗のレジで認証用バーコードを提示して受け取るというシンプルなものです。プライバシーは確保されつつも、バーコードによる確実な受け取り確認が可能です。まだ東京都内のみですが、いずれ同様のサービスが全国展開されそうな気がします。このサービスは、いわゆる0410通知(新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて)と、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和4年3月31日施行)に基づいて提供されています。「医薬品の販売は薬局で」というこれまでの常識は確実に変わりつつあり、患者さんのニーズや自分の業務を見つめ直すきっかけになりそうです。

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英語で「傷を見せてください」は?【1分★医療英語】第32回

第32回 英語で「傷を見せてください」は?I am concerned about infection.(感染症が心配なのですが…)Okay.Let me take a peek at the incision.(わかりました。傷を見せてください)《例文1》医師Good morning. Let me take a peek at the incision.(おはようございます。傷を見せていただけますか)患者Of course.(もちろんです)《例文2》医師Let me take a peek at the incision real quick.(さっと傷を見せてください)《解説》“Let me take a look”(見せてください)はよく知られている表現ですが、その変形として“peek”を使った表現です。“peek”は「ちらっと見る」という意味の動詞なので、“look”を使ったときよりも「短時間でさっと見る」というニュアンスになります。また、手術創など、衣服に覆われている場所にある傷を見るときにも“peek”を使うことで「覗き込む」ニュアンスが出ます。よく使われる場面としては、朝回診のときに患者さんと話をした後で“Let me take a peek at the incision.”と言いながら、素早く傷をチェックする、というのが代表的です。カジュアルなので患者さんにあまりプレッシャーを与えることなく傷の診察に移ることができ、非常に便利な表現です。ぜひ皆さんも使ってみてくださいね。講師紹介

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第116回 男性の500人に1人が性染色体過剰で、より病気がち

英国の50万人ほどの匿名化情報を集めている医学データベースUK Biobankの参加男性およそ21万人を調べたところ356人がそうとはほとんどが知らずに性染色体(X染色体かY染色体)を余分に有しており、不妊などの生殖不調、2型糖尿病、動脈硬化や血栓症などをより被っていました1,2)。UK Biobankの男性が一般に比べてより高学歴で健康的というバイアスを考慮すると世間の男性では約500人に1人がXかY染色体を余分に有するようです。X染色体が1つ多い病態はクラインフェルター症候群として知られ、UK Biobankの性染色体過剰男性365人のうち213人がそうであり、残り143人はY染色体が1つ過剰でした。それらの性染色体異常が発見に至っていたのはわずかで、X染色体過剰(XXY)の診断率は4人に1人に満たない23%、Y染色体過剰(XYY)の診断率はたった1%未満(0.7%)でした。カルテ情報で行く末を調べたところXXYの男性は生殖困難をより生じており、性的成熟(思春期)の遅れが3倍、子供ができないことが4倍多く認められました。また、男性ホルモン・テストステロン血中濃度が低いことも示されました。対照的にXYY男性の生殖機能はどうやら正常です。ただしXYYの男性もXXYの男性と同様に病気がちであり、XYYかXXYだと静脈血栓症が約6倍、慢性閉塞性肺疾患(COPD)が約4倍、2型糖尿病・肺塞栓症(PE)・動脈硬化がいずれも約3倍多く生じていました。性染色体過剰の害は他の国でも調べられており、たとえばデンマークのXXY男性832人を検討したところ今回の試験と同様に静脈血栓症、PE、COPD、2型糖尿病、動脈硬化をより生じていました3)。英国での先立つ研究ではXXY男性の糖尿病、PE、慢性下気道疾患での死亡率がより高いことが確認されています4)。性染色体過剰でそれらの病気が生じやすくなる仕組みはよくわかっていません。また、過剰な性染色体がXであれYであれ生じやすくなる病気がなぜ似通うのかも不明です。代謝、血管、呼吸器のそれらの病気は仕組みがどうあれ性染色体過剰の診断を足がかりにして予防できる可能性があります。しかし相当数の男性が性染色体過剰であるにもかかわらず残念ながらそうと気付けることは今回の研究が示しているとおり稀です2)。男性のX染色体過剰は思春期の遅れや不妊でたまに判明しますが、ほとんどは無自覚なままです。Y染色体過剰の男性は身長がより高くなる傾向があるだけで他にこれといった身体的特徴はありません。見た目では発見しにくい染色体異常を検診で早くに検出すれば病気を未然に防ぐ手立てを講じうるようになるかもしれず、そういった可能性も含め、世間の男性の染色体異常をより手広く検出することにどれほどの価値があるかをこれから調べる必要があります。当然ながら女性にも性染色体異常はあり、X染色体が余分なトリプルX症候群は女性の1,000人に1人に認められ、言語発達の遅れや知能指数(IQ)が低い等の困難と関連しうることが示されています5)。参考1)Zhao Y,et al.Genet Med. 2022 Jun 9;S1098-3600. 00777-8. [Epub ahead of print]2)One in 500 men carry extra sex chromosome, putting them at higher risk of several common diseases / Eurekalert3)Bojesen A, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2006 Apr;91:1254-60. 4)Swerdlow AJ, et al.J Clin Endocrinol Metab. 2005; 90: 6516-6522.5)Otter M, et al. Eur J Hum Genet. 2010 Mar;18:265-71.

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ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法のNCSLC1次治療、3年フォローアップ(CheckMate 9LA) /ASCO2022

 非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法(NIVO+IPI+Chemo)の無作為化第III相CheckMate9LA試験の3年間の追跡で、同レジメンの生存ベネフィットが引き続き観察されている。スペイン・Universidad Complutense de MadridのLuis G. Paz-Ares氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で、解析結果を発表した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間は最低36.1ヵ月であった(データカットオフ2022年2月15日)・3年全生存(OS)率はNIVO+IPI+Chemo群27%、化学療法(Chemo)群19%であった(HR:0.74、95%CI:0.62~0.87)。 ・PD-L1発現別の3年OS率は、PD-L1<1%では25%対15%(HR:0.67)、PD-L1≧1%では28%対19%(HR:0.74)、PD-L1 1~49%では26%対15%(HR:0.70)、PD-L1≧50%では33%対24%(HR:0.75)、といずれもNIVO+IPI+Chemo群で良好であった。・全集団の3年無増悪生存率はNIVO+IPI+Chemo群13%、Chemo群5%であった。・全集団の奏効率はNIVO+IPI+Chemo群38%、Chemo群25%であった。・全集団の奏効期間中央値はNIVO+IPI+Chemo群12.4ヵ月、Chemo群5.6ヵ月であった。・探索的研究における遺伝子変異とOS解析の結果、KRAS、TP53、STK11、KEAP1いずれもNIVO+IPI+Chemo群で良好な傾向だったが、遺伝子異常による違いは見られなかった。・3年追跡でも新たな安全性シグナルは確認されなかった。 発表者のPaz-Ares氏は、この結果は転移を有するNSCLCの1次治療の選択肢としてニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法を支持するものだと述べている。

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HER3-DXd、複数治療歴のあるHER3+乳がんでサブタイプによらず良好な結果/ASCO2022

 既治療のHER3陽性、転移を有する乳がん(mBC)患者を対象とした、HER3標的抗体薬物複合体(ADC)patritumab deruxtecan(HER3-DXd)の日米多施設共同非盲検第I/II相試験(U31402-A-J101)の結果、HR+/HER2-およびHER2+、そしてTNBC患者において、HER3-DXdの有効性と安全性が示された。米国・ダナファーバーがん研究所のIan E. Krop氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。 本試験では用量漸増フェーズ(HER3-DXd 1.6~8.0mg/kgを3週に1回静脈内投与)と用量設定フェーズを順に実施(HER2+12例を含む66例)。続いて行った用量拡大フェーズでは、HER3-high(膜陽性率≧75%)とHER3-low(膜陽性率25~75%)を定義し、サブタイプ別にそれぞれ用量が決められた。HER3-highのHR+/HER2-(6.4mg/kg:31例、4.8mg/kg:33例)、TNBC(6.4mg/kg:31例)、HER3-lowのHR+/HER2-(6.4mg/kg:21例)として、それぞれ3週に1回静脈内投与した。有効性および安全性は3つのフェーズのプール解析により評価された。・対象:進行/切除不能または転移を有するHER3陽性乳がん患者(用量漸増&用量設定フェーズでは2~6ラインの化学療法歴および≧2の進行病変、用量拡大フェーズでは進行病変に対する1~2ラインの化学療法歴)・有効性の評価:サブタイプ別に実施(HR+/HER2-:113例、TNBC:53例、HER2+:14例)・安全性の評価:HER3-DXd4.8mg/kg投与群(48例)、6.4mg/kg投与群(98例)、全例(182例)について実施 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時点の年齢中央値はHR+/HER2-:55歳、TNBC:59歳、HER2+:58歳、日本からの参加は71%、87%、100%、進行病変への治療歴数中央値は6.0(2~13)、2.0(1~13)、5.5(2~11)と濃厚な治療歴を有していた。・2021年8月16日のデータカットオフ時点で、追跡期間中央値は31.9ヵ月、治療期間中央値は5.9ヵ月だった。・サブタイプ別の確定奏効率(ORR)は、HR+/HER2-:30.1%(95%信頼区間[CI]:21.8~39.4)、TNBC:22.6%(95%CI:12.3~36.2)、HER2+:42.9%(95%CI:17.7~71.1)だった。・サブタイプ別の奏効持続期間(DOR)中央値は、7.2ヵ月(95%CI:5.3~NE)、5.9ヵ月(95%CI:3.0~8.4)、8.3ヵ月(95%CI:2.8~26.4)だった。・サブタイプ別の無増悪生存期間(PFS)中央値は、7.4ヵ月(95%CI:4.7~8.4)、5.5ヵ月(95%CI:3.9~6.8)、11.0ヵ月(95%CI:4.4~16.4)だった。・治療中止に関連したTEAEは、4.8mg/kg投与群で10.4%、6.4mg/kg投与群で8.2%、全例で9.9%だった。・治療関連のILDは、4.8mg/kg投与群で2.1%、6.4mg/kg投与群で7.1%、全例で6.6%で発生したが、多くがGrade1~2(4.4%)だった。・≧Grade3の好中球減少症、血小板減少症、白血球減少症は4.8mg/kg投与群に比べ6.4mg/kg投与群で多くみられたが、用量調整により管理可能であり、治療中止には関連しなかった。 ディスカッサントを務めたフランス・Eugene Marquis CenterのVeronique C. Dieras氏は、予後不良の濃厚な治療歴を有する患者群においてHER3-DXdはサブタイプによらず有望な活性を示したとし、最適用量やHER3発現状況の影響等について、さらなる研究が必要とコメントした。

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遅発性ジスキネジア治療剤の新薬ジスバルカプセル40mg発売/田辺三菱

 田辺三菱製薬は、「ジスバルカプセル40mg」(一般名:バルベナジン)(小胞モノアミントランスポーター2[VMAT2]阻害剤)について、遅発性ジスキネジア治療剤として2022年5月25日に薬価基準に収載されたことを受け、6月1日に販売を開始した。遅発性ジスキネジアの治療薬として日本で初めて承認された新薬 遅発性ジスキネジアは、口腔顔面領域(舌、口唇、顎および顔面)、四肢および体幹の不随意運動を特徴とする神経障害である。重症になれば嚥下障害や呼吸困難を引き起こす可能性があり、重篤な状態になる患者もいるとされる。抗精神病薬(原疾患の治療に用いられる薬剤)などを長期間服用することで起こり、ドパミン受容体の感受性増加等が原因と考えられている。 本剤は、日本においては初めて遅発性ジスキネジアの治療薬として承認された新薬であり、1日1回服用の経口剤である。製品概要販売名:ジスバルカプセル40mg一般名:バルベナジン効能・効果:遅発性ジスキネジア用法・用量:通常、成人にはバルベナジンとして1日1回40mgを経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回80mgを超えないこととする。包装:100カプセル(10カプセル[PTP]×10)薬価:40mg 1カプセル 2,331.20円製造販売承認日:2022年3月28日薬価基準収載日:2022年5月25日発売日:2022年6月1日製造販売元:田辺三菱製薬株式会社販売元:ヤンセンファーマ株式会社プロモーション提携:吉富薬品株式会社

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MCL高齢患者、BR-R療法+イブルチニブでPFSが2.3年延長/ASCO2022

 マントル細胞リンパ腫(MCL)の高齢患者は、過度の毒性のため集中的な化学療法や移植には適さない。ランダム化プラセボ対照二重盲検PhaseIIIのSHINE試験は、現在の初発MCL患者に対する標準的治療の一つであるベンダムスチン+リツキシマブ(BR療法)およびリツキシマブ(R)維持療法に、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬(BTKi)イブルチニブを併用することの有用性を見たもの。米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMichael L.Wang氏が結果を発表し、NEJM誌に同時掲載された。・対象:65歳以上のMCL患者。MIPIスコア(低中高リスク)によって層別化され、B(90mg/m2)とR(375mg/m2)6サイクルを投与し、イブルチニブ(560mgを毎日経口投与)群とプラセボ群に1:1でランダム化。CRまたはPRを達成した場合はRの維持を受け、両群で最大12サイクルを8週間ごとに実施。イブルチニブとプラセボは、病気の進行または許容できない毒性になるまで投与。・対照群:BR-R維持療法+プラセボ・評価項目:[主要評価項目]治験責任医師が評価した無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、次治療までの期間、全生存期間(OS)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2013年5月~2014年11月に日本を含む183施設で523例が登録された。・一次分析時点の追跡期間中央値は84.7ヵ月だった。両群でPFSが大幅に改善され、主要エンドポイントが満たされた(ハザード比:0.75、p= 0.011)。・PFS中央値はイブルチニブ群80.6ヵ月(6.7年)、プラセボ群52.9ヵ月(4.4年)よりも2.3年改善された。・ORRは、イブルチニブ群65.5%、プラセボ群57.6%だった(p=0.0567)。・OSは両群で差がなかった(p=0.648)。・次治療までの時間はイブルチニブ群で未到達だったが、プラセボ群より長い傾向が見られた。イブルチニブ群52例(19.9%)およびプラセボ群106例(40.5%)がその後の抗リンパ腫療法を受けた。・Grade3または4の有害事象の発生率は、イブルチニブ群81.5%、プラセボ群77.3%だった。BTKiの臨床的に重要な有害事象のうち、心房細動はイブルチニブ群13.9%とプラセボ群の6.5%で報告された。出血、高血圧、関節痛の発生率は両群で類似していた。QOLも両群で同様だった。 この結果によって、初発の高齢MCL患者に対するBR療法+R維持療法とイブルチニブの併用は、高齢あるいは自家造血幹細胞移植(ASCT)不適格の未治療MCL患者に対する新たな1次治療となりうることが示された。

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ミスマッチ修復機構欠損を有する局所進行直腸がんに対するPD-1阻害の効果/ASCO2022

 ミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有するStageII/IIIの局所進行直腸がんに対して、術前に抗PD-1抗体dostarlimabを投与することで、その後は放射線療法や手術療法を施行することなく治癒できる可能性があることが、小規模な前向きの第II相試験から明らかになった。米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのAndrea Cercek氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で発表した。 局所進行直腸がんに対しては、術前化学療法と放射線療法および手術療法の併用が標準治療となっている。この治療効果は高いものの、放射線療法や手術療法は患者に大きな負担を強いることになる。また、直腸がん患者の約5~10%はdMMRを有し、このような患者は化学療法に比較的耐性を示しやすい。一方で、チェックポイント阻害薬は、転移のあるdMMRがんに効果があり、10%程度の完全奏効(CR)率を示すことが知られている。同試験ではdMMRを有する直腸がんに対するPD-1阻害が、化学療法、放射線療法、手術療法の代替えになると仮定し、これを検証した。・対象:dMMRを有するStageII/IIIの局所進行直腸がん患者18例・方法:dostarlimabを3週おきに6ヵ月間投与し、その後に画像および内視鏡による評価を行い、臨床的なCRが得られれば手術療法なしに4ヵ月ごとに経過観察、CRが得られなれば化学放射線療法を行い、そこで臨床的なCRとなれば手術療法なしに経過観察、微小残存病変があれば手術療法を施行した(Simonの2段階デザイン)。・評価項目:[主要評価項目]化学放射線療法の有無でのPD-1阻害薬の奏効率(ORR)、化学放射線療法の有無でのPD-1阻害薬の12ヵ月後の病理学的完全奏効(pCR)率または臨床的完全奏効(cCR)率。[副次評価項目]安全性および忍容性 主な結果は以下のとおり。・試験開始時の患者背景は、平均年齢54歳(26-78歳)、腫瘍の深達度がT3/4が14例(78%)、リンパ節陽性が17例(94%)であり、平均腫瘍変異量は67mut/Mb(36-106)であった。・dostarlimabの6ヵ月投与が完了した最初の連続14例について、全例にcCRが得られ、ORRは100%であった。・平均観察期間6.8ヵ月の中で、Grade3/4の有害事象は認められず、化学療法、放射線治療、手術療法が必要になった患者はなく、再発例も認められなかった。

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インフルエンザでも、mRNAワクチン第III相試験開始/モデルナ

 2022年6月7日、Moderna(米国)は季節性インフルエンザワクチン候補mRNA-1010の第III相臨床試験において、最初の被験者への投与を行ったことを公表した。 mRNA-1010は、世界保健機関(WHO)が推奨するA/H1N1、A/H3N2、B/山形系統およびB/ビクトリア系統の4つのインフルエンザ株の血球凝集素(HA)糖タンパク質がコードされた新規mRNAワクチン候補である。 本試験は、既存の季節性インフルエンザワクチンに対するmRNA-1010の安全性および免疫学的非劣性を評価することを目的とし、南半球諸国の成人約6,000人が登録される。Modernaは、必要に応じて、早ければ2022/2023年の北半球のインフルエンザシーズンにmRNA-1010の有効性確認試験を実施できるよう開発準備を進める。

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子宮頸がん検診の間隔、HPV陰性なら延長可能か/BMJ

 子宮頸がん検診の間隔は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の1次検査を受けることで、検査の方法を問わず延長が可能で、25~49歳の女性では検査陰性から5年まで延長でき、50~59歳の女性は5年以上に延長の可能性もあるが、個別受診再勧奨による再検査で陽転した女性では従来どおり3年の間隔を保持する必要があることが、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのMatejka Rebolj氏らHPV pilotの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年5月31日号に掲載された。英国134万例の観察研究 研究グループは、子宮頸がんの1次スクリーニングが陰性の女性における、Grade3以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN3+)および子宮頸がんのリスクに関して、年齢別、検査法別のエビデンスの更新を目的に観察研究を行った(英国公衆衛生庁[イングランド]などの助成を受けた)。 解析には、2013~16年に英国で実施されたHPVスクリーニングの1回目と2回目のパイロット検査の実際のデータが使用された(追跡は2019年に終了)。134万1,584例の女性が解析の対象となった。 子宮頸がん検診には、HPV検査または液状化検体細胞診検査が用いられた。細胞診によるスクリーニングを受けた女性は、高Gradeの異常が認められた場合、または境界型か低Gradeの異常で、HPVトリアージ検査が陽性の場合に、コルポスコピーによる検査が勧められた。 HPV検査によるスクリーニングで陽性となった女性は、細胞診トリアージ検査で少なくとも境界型の異常がみられた場合、またはHPV陽性が持続し、細胞診で少なくとも境界型の異常が発現したため1次スクリーニングから12ヵ月か24ヵ月後に再HPV検査(早期の個別受診再勧奨[early recall]による)を受けたのち、コルポスコピーによる検査が勧められた。 主要アウトカムは、HPV検査陰性後のCIN3+および子宮頸がんの検出とされた。HPV mRNA検査とHPV DNA検査で検出能に差はない 24~59歳の女性では、1回目の検診で134万1,584例のうち30万677例がHPV検査を受け、70万6,820例は細胞診検査を受けた。CIN3+は、HPV検査で5,313例、細胞診検査では8,232例が検出され(検査1,000件当たり17.67 vs.11.65、補正後オッズ比[OR]:1.55、95%信頼区間[CI]:1.50~1.61)、子宮頸がんはそれぞれ259例および441例で発見された(0.86 vs.0.62、1.38、1.18~1.61)。 24~59歳の女性における2回目の検診時のCIN3+検出率は、1回目の検診でHPV検査を受け陰性だった女性が、細胞診検査で陰性だった女性よりも低く(検査1,000件当たり1.21 vs.4.52、補正後OR:0.26、95%CI:0.23~0.30)、子宮頸部の中間期がんのリスクも同様の結果であった(10万人年当たり1.31 vs.2.90、補正後ハザード比[HR]:0.44、95%CI:0.23~0.84)。これは、英国子宮頸がん検診プログラムの検診間隔3年を、少なくとも5年に延長できることを示す。 また、HPV検査陰性から5年後の2回目の検診において、50~59歳の女性で初めてCIN3+が検出されるリスクは、24~49歳の女性における検査陰性から3年後の2回目の検診時に比べて低かった(検査1,000件当たり0.57 vs.1.21、補正後OR:0.46、95%CI:0.27~0.79)。これは、50歳以上では、5年という現在の検診間隔を延長でき、50歳未満では3年の検診間隔が望ましいことを示唆する。 一方、HPVのスクリーニング検査が陽性で細胞診検査で異常がなく、個別受診再勧奨でHPV検査陰性の女性では、2回目の個別受診再勧奨による検査でCIN3+が検出される割合が、1次スクリーニング検査でHPV陰性であった女性よりも高かった(検査1,000件当たり5.39 vs.1.21、補正後OR:3.27、95%CI:2.21~4.84)。 検査法の比較では、HPV mRNA検査(APTIMA)とHPV DNA検査(cobasまたはRealTime)で、1回目の検査におけるCIN3+(補正OR:1.04、95%CI:0.96~1.12)および子宮頸がん(0.95、0.67~1.34)の検出能に差はなく、1回目の検査が陰性だった場合の2回目の検査におけるCIN3+(1.05、0.73~1.50)の検出能もほぼ同等であった。 著者は、「これらのデータは、検査法の種類や年齢を問わず、現在の検査間隔は延長可能であることを示唆するものである」としている。

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第104回 教授に指導医停止処分、試験要件の研修時間を水増しで/内科学会

<先週の動き>1.教授に指導医停止処分、試験要件の研修時間を水増しで/内科学会2.HPVワクチン副反応疑い症例15件、安全性に重大な懸念なし/厚労省3.感染症法改正で、民間病院に対する自治体の指揮権を強化へ4.骨太方針2022を閣議決定、デジタル化で医療制度改革を加速へ/政府5.医療保護入院の縮小は削除、虐待通報義務化も明記せず/厚労省6.手術動画の外部提供と利活用、指針作りを/コンピュータ外科学会1.教授に指導医停止処分、試験要件の研修時間を水増しで/内科学会日本内科学会は、新潟大学医学部の教授に対し3年間の指導医停止の処分をしたことが明らかになった。報道によると、処分を受けたのは消化器内科教授で同大病院の内科医科長。去年2月、専門医認定試験の受験要件に満たない9人の医局員に対して、研修時間に大学院での研究や当直勤務の時間を合わせて申告するよう指示していた。内科専門医の受験には、2年間の初期研修と、臨床病院で常勤する3年間の後期研修が原則必要だが、新潟大消化器内科では後期研修中の一部期間も大学院で研究に従事させた。学会への匿名の告発を受けた研修先の新潟大病院による調査で問題が発覚し、9人は受験できなかった。同時に研修プログラム責任者の別の特任教授も指導医を6ヵ月停止とする処分が出ているが、同大は別の医師を責任者とし、内科専門医の研修を続けている。今回、現行の専門医制度が2018年度に開始されて以降、最も重い処分となった。(参考)研修時間の水増し申告指示、新潟大医学部教授を処分 日本内科学会(朝日新聞)2.HPVワクチン副反応疑い症例15件、安全性に重大な懸念なし/厚労省厚生労働省は10日に第80回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会を開催し、HPVワクチンの副反応について検討を行った。HPVワクチン接種は2013年に定期接種となったが、副反応が報道されたのを機に積極的な接種推奨が中止されており、9年ぶりの2022年4月に再開された。積極的勧奨の再開後に報告された「サーバリックス(2価)」「ガーダシル(4価)」ならびに定期接種対象外の「シルガード9(9価)」の有害事象についてそれぞれ検討を行ったが、現時点でワクチンの安全性に重大な懸念はないとする見解がまとめられた。厚労省は今後も、およそ1ヵ月ごとに部会を開いて検証するという。(参考)子宮頸がんなど防ぐHPVワクチン 副反応疑い症例 15件報告(NHK)HPVワクチン「安全懸念なし」 厚労省専門部会、再開後初評価(毎日新聞)3.感染症法改正で、民間病院に対する自治体の指揮権を強化へ政府は、新型コロナウイルスの感染拡大時に、感染症指定医療機関だけでは感染者の受け入れをしきれず、病床確保に取り組んだものの適切な医療を維持できなかったことから、民間病院に対する自治体の指揮権を強化する感染症法改正案をまとめた。改正案では、公立・公的医療機関や大学病院に対して有事を想定した病床確保計画の策定を求め、自治体と協定の締結を行い、国や自治体の指示に従わない場合は医療機関名を公表できるようにする。岸田内閣は、内閣官房の新型コロナ感染症対策推進室と厚生労働省の対策推進本部などを統合した「健康危機管理庁」の創設を検討しており、国会へ法案の提出を目指し、今後の感染症対策に役立てたいとしている。(参考)病床確保、政府が医療機関へ指示権限 感染症法改正案、概要判明(毎日新聞)民間病院に直接指示 政府、新感染症に備え病床確保(日経新聞)感染症対策の司令塔、「健康危機管理庁」創設へ…厚労省と内閣官房の部署統合も検討(読売新聞)4.骨太方針2022を閣議決定、デジタル化で医療制度改革を加速へ/政府7日、岸田内閣は初の「経済財政運営と改革の基本方針」(通称:骨太の方針)をまとめた。この中で、経済社会活動の正常化に向けた感染症対策として、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた医療提供体制の強化とともに、感染状況や変異株の発生動向に細心の注意を払い段階的な見直しを行い、経済社会活動の正常化を目指す。また、医療DXを推進し、医療情報の基盤整備とともにG-MISやレセプトデータ等を活用し、病床確保や使用率、オンライン診療実績など医療体制の稼働状況の徹底的な「見える化」を進める。さらにワクチン接種証明書のデジタル化等により、入国時での効率的なワクチン接種履歴の確認など円滑な確認体制を進め、今後、医療のデジタル化推進にマイナンバーカードなどを活用することが盛り込まれている。政府はこれをもとに来年度の予算編成を行う方針だ。(参考)経済財政運営と改革の基本方針2022(内閣府)骨太方針2022を閣議決定、コロナ禍踏まえた医療提供体制改革、データヘルスの推進などの方向を明確化(Gem Med)骨太方針2022を閣議決定 「医療DX」は実行フェーズに 国民目線の医療・介護提供体制の改革へ(ミクスonline)5.医療保護入院の縮小は削除、虐待通報義務化も明記せず/厚労省厚労省は9日に「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」の報告書を取りまとめ、公表した。精神疾患を有する患者の数は増加傾向であり、2017年には約420万人となっている一方、自殺者数は2017年以降10年連続で減少していたが、2020年には増加に転じている。入院医療を必要最小限にするための予防的取り組みを充実させるとともに、精神障害者が強制入院(医療保護入院)となった場合、入院中に患者が同意できる状態になったら、「速やかに本人の意思を確認し、任意入院への移行や入院治療以外の精神科医療を行うことが必要である」とされる。当初案にあった医療保護入院の縮小方針は削除され、虐待通報義務化も明記されないなど、当事者や障害者団体からは「患者の権利が守られない」と批判の声が上がっている。(参考)「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」報告書について(厚労省)虐待通報義務化、明記せず 強制入院の縮小方針も削除 精神医療、厚労省検討会(共同通信)医療保護入院中の患者「意思確認し任意入院へ」厚労省が検討会報告書を公表(CB news)6.手術動画の外部提供と利活用、指針作りを/コンピュータ外科学会6月9~10日に東京で開かれた第31回日本コンピュータ外科学会大会において、手術動画の外部提供や利活用について討論がされた。今年、医療機器メーカーに白内障治療用眼内レンズの手術動画を提供した医師に、販売促進目的に現金提供がされたことが問題になったこともあり、手術動画の活用に当たって、ガイドラインの策定を求める声が上がった。(参考)“手術動画の活用 指針作り検討すべき” シンポジウムで意見(NHK)“手術動画”で医師に現金提供 業界団体がメーカーを調査(NHK)

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縫合時の手袋【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q19

縫合時の手袋Q19症例自宅近くの夜間診療所で当直バイト中のこと。とくに既往、アレルギー歴のない28歳男性、受診3時間前に自宅でリンゴの皮剥きをしていた際に誤って左中指DIP腹側を切ってしまった。深さ3~4mm程度、長さ20mm程度で、明らかな神経障害や動脈性出血、腱損傷はなさそう。バイタルは安定しているが、止血をえられず、縫合処置が必要と判断される。外科医のいる二次救急病院に送るのも気が引ける…。初期研修ぶりだけど、自分で縫ってみるか。さて、看護師さんにどんな手袋を用意してもらうべきか?

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事例001 初診料電子的保健医療情報活用加算(診療情報などの取得が困難など)の算定漏れ【斬らレセプト シーズン3】

解説事例の診療所には、「マイナ受付」のステッカーが貼ってあり、マイナンバーカードの保険証利用に対応していました。まだまだマイナンバーカードを持参されていない患者が多数を占めています。点数改定対応の確認のために医療費請求書を拝見したところ、初診料に対して所定点数のみしか算定されていませんでした。2022年度の改定では、マイナンバーカード取扱い医療機関に「初診料 注14」の「電子的保健医療情報活用加算」が設定されました。複数の医療機関では、当初、この加算がマイナンバーカードの利用普及と逆行した報酬のように捉えられ、ただし書きにある「診療情報等の取得が困難な場合」の加算がマイナンバーカードを持参された方のみにかかると解釈されていました。この理由で、算定されていなかったものと推測されます。妊婦加算が廃止となったときと同じく普及に逆行する報酬との議論は根強く、今後の動向に注視が必要です。「初診料 注14」のただし書きでは、カードを持参されない患者、カードの持参はあるが診療情報などの提供に同意をされない患者、他の保険医療機関から診療情報の提供を受けた患者には、電子的保健医療情報活用加算「診療情報等の取得が困難等」として初診料の加算が算定できるとしています。令和6(2024)年3月末までの時限措置であって小さな点数ですが、漏らさないように算定されたいものです。なお、この規定は、再診料と外来診療料には設定されていません。算定時にはご留意ください。※「初診料電子的保健医療情報活用加算(診療情報などの取得が困難など)」は2022年9月30日に廃止となりました。

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