コロナ・インフル同時流行の際の注意点/日本感染症学会

提供元:ケアネット

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公開日:2022/10/25

 

 今冬は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に加え、季節性インフルエンザの同時流行が危惧されている。発熱や倦怠感など症状を同じくするものもあり、外来などでの鑑別で混乱を来すことが予想されている。そこで、日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医科学研究所附属病院長])は、10月20日に同学会のホームページで「この冬のCOVID-19とインフルエンザ同時流行の際の注意点」を発表した。

 本稿では、緊急避難的な措置の一例として「COVID-19、インフルエンザ同時流行となった場合の外来診療フローチャート」を示すとともに、外来診療フローチャートについて6つのポイントを説明している。

1)COVID-19(コロナ)・インフルエンザ(インフル)同時流行に備える体制の必要性
・オーストラリアや東アジアの疫学情報から今冬のコロナ・インフルの同時流行の可能性を示唆。最悪の事態を想定し、対策を講じる必要。
・とくにオーストラリアでは、インフルの流行が2ヵ月前倒しで生じた。
・インフルの流行が起きなくても、相当に大きなコロナ第8波が来る可能性を想定。
・冬季は他の呼吸器感染症の流行もみられやすい時期であり、必要な場面での適切なマスク着用、3密回避・換気対策を引き続き継続するよう依頼。
2)ワクチン接種のお願い
・コロナ・インフルの同時流行に備えて、両ワクチンの速やかな接種を依頼。
・両ワクチンの同時接種も可能であることを周知。
・コロナワクチンとしてオミクロンBA.1、オミクロンBA.4、5対応の2種類(2価ワクチン)が利用可能。従来のワクチンに比べて2価ワクチンの高い有効性が推定されている。
3)診療体制の基本:重症化リスクに応じた対応
・コロナ、インフルの診療の原則は対面診療。
・外来診療のひっ迫が想定される場合、医療機関への受診は重症化リスクの高い人(高齢者、基礎疾患を有する人、妊婦、小学生以下の小児)を優先。
・重症化リスクが低い人は、新型コロナ検査キットによる自己検査を推奨し自宅療養へ誘導。
4)診断検査の基本:コロナ・インフル同時簡易抗原検査の利用
・医療機関では、コロナ・インフル同時簡易抗原検査(コンボキット)を有効に活用。
・コンボキットによる判定が難しい場合に備え、コロナ遺伝子検査も実施できるように準備。
・流行到来前に、市販の新型コロナ検査キットを購入しておくよう説明。
5)健康フォローアップセンターへの登録と相談
・自己検査でコロナ陽性となった人は、健康フォローアップセンターへの登録を指導。
・症状の悪化や不安を感じる場合には、健康フォローアップセンターに連絡し、医療機関の受診を相談。
6)電話・オンライン診療の活用と注意点
・電話・オンライン診療では、対面診療に比べて得られる情報は限定されることに注意。
・電話・オンライン診療で判断に迷う場合、重症化を否定できない場合には受診をお願いする。
・電話・オンライン診療で、対症療法としての解熱剤、鎮咳剤に加えて、インフルの可能性が高いと判断する場合には抗インフル薬の処方も可能。
・インフルの診断は、コロナ自己検査陰性、地域でのインフル流行状況、インフル感染者との接触歴、急激な発熱・筋肉痛などの臨床症状を参考に実施。

 なお、学会では、「COVID-19・インフルエンザが同時流行していない状況では、対面診察の上、早期診断・早期治療することが基本」と注意を促している。

(ケアネット 稲川 進)