発症6h以降の脳底動脈閉塞、血栓除去術で脳出血が増加か/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/10/25

 

 脳底動脈閉塞に起因する脳梗塞の症状発現から6~24時間が経過した患者では、血栓除去術は内科的治療と比較して、90日時の機能状態が良好な患者の割合が高かったが、手技に伴う合併症と関連し、脳出血を増加させたことが、中国・首都医科大学宣武医院のTudor G. Jovin氏らが実施した「BAOCHE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年10月13日号に掲載された。

中国の無作為化対照比較試験

 BAOCHE試験は、中国の医師主導非盲検無作為化対照比較試験であり、アウトカムの評価は盲検下に行われた(中国科学技術部の助成を受けた)。参加者は、2016年8月~2021年6月の期間に登録された。

 対象は、年齢18~80歳、脳底動脈閉塞に起因する脳梗塞で、症状発現から6~24時間が経過し、修正Rankin尺度(mRS、0[まったく症状がない]~6[死亡]点)のスコアが0または1点、米国国立衛生研究所(NIH)脳卒中評価尺度(NIHSS、0~42点、点数が高いほど神経学的症状の重症度が重い)のスコアが10点以上の患者であった。

 被験者は、血栓除去術+標準的な内科的治療または標準的な内科的治療単独(対照)を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。

 主要アウトカムは、当初、90日の時点におけるmRSスコア0~4点であったが、良好な機能状態(mRSスコア0~3点)に変更された。安全性の主要アウトカムは、24時間時点の症候性頭蓋内出血および90日死亡率であった。

当初の主要アウトカムには差がない

 217例が登録され、血栓除去術群に110例、対照群に107例が割り付けられた。全体の年齢中央値は65歳、女性が27%で、無作為化の時点での症状発現後の経過時間中央値は663分、NIHSSスコア中央値は20点だった。アルテプラーゼの静脈内投与が、血栓除去術群の14%、対照群の21%で行われた。事前に規定された中間解析で、血栓除去術群の優越性が確認されたため、その時点で参加者の登録が中止された。

 90日時における良好な機能状態の達成率は、血栓除去術群が46%(110例中51例)と、対照群の24%(107例中26例)に比べ有意に優れた(補正後率比:1.81、95%信頼区間[CI]:1.26~2.60、p<0.001)。当初の主要アウトカムであるmRSスコア0~4点の達成率は、それぞれ55%および43%だった(1.21、0.95~1.54)。

 90日時のmRSスコア0~2点の達成率は、血栓除去術群が39%、対照群は14%であった(補正後率比:2.75、95%CI:1.65~4.56)。また、EQ-5D-3Lの質問票(-0.149~1.00点、点数が高いほどQOLが良好)で評価した患者報告による健康状態も、血栓除去術群のほうが良好であった(0.78点vs.0.46点[中央値]、平均群間差:0.24点[95%CI:0.10~0.39])。

 血栓除去術群における再灌流成功率は88%であった。24時間の時点での脳底動脈開存率は、血栓除去術群が92%、対照群は19%だった。

 24時間時点で症候性頭蓋内出血は、血栓除去術群が6%(102例中6例)、対照群は1%(88例中1例)で発現した(補正後率比:5.18、95%CI:0.64~42.18)。90日死亡率は、それぞれ31%および42%だった(0.75、0.54~1.04)。また、血栓除去術群では、手技に伴う合併症が11%で認められた。

 著者は、「プロトコルのデザイン時には入手できなかった他の試験のデータに基づき、試験中にプロトコルが修正され、とくに主要アウトカムが変更されたことは、この試験の限界である」としている。

(医学ライター 菅野 守)