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入院前のコロナスクリーニングPCR検査、変異株流行初期に有用か/感染症学会・化学療法学会

 入院時のスクリーニング検査としてのSARS-CoV-2 RT PCRは、院内感染予防や全身麻酔・手術などの侵襲による患者の重症化予防に有用とされる一方、陽性率の低さや所要時間、コストなどの問題が指摘されており、新型コロナの5類感染症移行に伴い、今後の検査の緩和について議論が行われている。京都府立医科大学附属病院の山本 千恵氏らの研究チームにより予定入院前スクリーニング検査としてのSARS-CoV-2 RT PCRについて検討が行われ、その結果、とくに各変異株の流行初期において院内感染の予防に効果的であった可能性が示唆された。4月28~30日に開催された第97回日本感染症学会総会・学術講演会/第71回日本化学療法学会学術集会合同学会にて山本氏が発表した。入院前コロナスクリーニングPCR検査陽性率は0.44% 本研究では、2020年10月12日~2022年6月23日に予定入院した患者のべ1万4,754例を対象に、予定入院前5日以内に鼻咽頭拭い液によるコロナスクリーニングPCR検査を施行し、結果について診療録を参照し、後ろ向き調査を行った。発熱などの有症状者、緊急入院例、転院症例、濃厚接触者となっている者は対象から除外した。 入院前コロナスクリーニングPCR検査について検討した主な結果は以下のとおり。・対象者の年齢中央値は65歳(範囲0~99歳)。全期間の入院前コロナスクリーニングPCR検査陽性率は0.44%(64/1万4,574例)であった。・PCR陽性者の年齢中央値は55歳、陰性者は65歳であり、陽性者のほうが有意に低値であった。・PCR陽性率の推移をみると、従来株流行期(2020年10月~2021年3月)では0.28%、アルファ株流行期(2021年3~7月)では0.16%、デルタ株流行期(2021年7~12月)では0.21%、オミクロン株流行期(2021年12月~2022年6月)では0.90%となり、オミクロン株流行期が最も高値であった。・PCR陽性者のCt値の分布をみると、いずれの株も流行の初期ではCt値が35未満(急性期感染を示唆)の比率が多く、流行後期になるとCt値が35以上の比率が増加した。・PCR陽性者のうち、入院時コロナPCR検査施行前にCOVID-19罹患歴がある既感染者が50%(32/64例)を占めた。既感染者の発症または診断から入院時のRT PCR検査を施行するまでの日数の中央値は29日(範囲10~105日)であった。・濃厚接触者はPCR検査の対象外としているが、罹患歴のない32例のうち、検査後に濃厚接触者であることが判明したPCR陽性者が21.9%(7/32例)存在した。 山本氏は本結果について、「流行状況によりPCR陽性率に変動が認められ、とくに各変異株の流行初期において、院内感染予防に寄与していた可能性が示唆された。さらにCOVID-19既感染者かつ再感染が否定的な患者において入院前コロナスクリーニングPCR検査は不要である可能性があり、接触歴の確認は引き続き重要であると考えられる」とまとめた。

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帝王切開時のトラネキサム酸、産科異常出血を予防せず/NEJM

 帝王切開時のトラネキサム酸の予防的投与は、プラセボと比較して母体死亡および輸血の複合アウトカム発生を有意に低下させることはなかった。米国・テキサス大学のLuis D. Pacheco氏らが無作為化試験の結果を報告した。これまでに、帝王切開時のトラネキサム酸の予防的投与は、出血量を減じることが示唆されていたが、輸血の必要性に関する影響については不明であった。NEJM誌2023年4月13日号掲載の報告。米国の31の病院でプラセボ対照無作為化試験 研究グループは、米国の31の病院で帝王切開を受ける妊婦を、臍帯クランプ後にトラネキサム酸またはプラセボを投与する群に無作為に割り付け追跡評価した。 主要アウトカムは、母体死亡または輸血(退院までもしくは出産後7日までのいずれか早いほう)の複合。副次アウトカムは、術中の推定1L超の失血、出血および関連合併症への介入、ヘモグロビン値の術前術後の変化量、出産後の感染性合併症などであった。有害事象も評価した。母体死亡・輸血の相対リスク0.89、有意差なし 2018年3月~2021年7月に1万1,000例が無作為化された(トラネキサム酸群5,529例、プラセボ群5,471例)。このうち、トラネキサム酸群2,768例(50.1%)、プラセボ群2,693例(49.2%)が予定通り帝王切開にて出産した。 主要アウトカムの発生は、トラネキサム酸群201/5,525例(3.6%)、プラセボ群233/5,470例(4.3%)であった(補正後相対リスク:0.89、95.26%信頼区間[CI]:0.74~1.07、p=0.19)。 術中の推定1L超の失血の発生は、トラネキサム酸群7.3%、プラセボ群8.0%であった(相対リスク:0.91、95%CI:0.79~1.05)。出血関連合併症への介入発生は、それぞれ16.1% vs.18.0%(相対リスク:0.90、95%CI:0.82~0.97)、ヘモグロビン値の変化量は、-1.8g/dL vs.-1.9g/dL(平均群間差:-0.1g/dL、95%CI:-0.2~-0.1)、出産後の感染性合併症の発生は、3.2% vs.2.5%(相対リスク:1.28、95%CI:1.02~1.61)であった。 母体の血栓塞栓性イベントおよびその他の有害事象の発現頻度は、両群で類似していた。

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皮膚型ポルフィリン症、新規経口薬dersimelagonの有効性を確認/NEJM

 赤芽球性(骨髄性)プロトポルフィリン症(EPP)またはX連鎖優性プロトポルフィリン症(XLDP)の患者において、新規経口薬の選択的メラノコルチン1受容体作動薬であるdersimelagonは、症状を伴わない日光曝露時間を有意に延長したことが示された。米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のManisha Balwani氏らが、第II相無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。検討では、100mgと300mgの用量(いずれも1日1回投与)を評価し、両用量とも有意な延長と安全性が確認された。著者は、「潜在的な経口治療薬の選択肢として、さらなる開発を裏付けるものである」とまとめている。NEJM誌2023年4月13日号掲載の報告。EPPとXLDPの患者を対象に、対プラセボで2つの用量の有効性と安全性を評価 EPPとXLDPは、ヘム生合成の先天異常であり、血中の無金属プロトポルフィリン値上昇と光毒性を引き起こす。いずれも日光曝露後の耐え難い光線過敏症状(主に顔や手の甲)を特徴とする。 研究グループは、両疾患患者の日光曝露に関連した症状の発症および重症度について、dersimelagonの有効性と安全性を評価する第II相試験を行った。 18~75歳の患者を1対1対1の割合で、プラセボ群、dersimelagon 100mg群、同300mg群に無作為化し、1日1回16週間投与した。 毎日の日光曝露と症状データを、患者が電子日記に記録。その記録に基づき、日光曝露に関連した最初の前駆症状が発現するまでの時間について、ベースラインから16週目までの変化量を主要エンドポイントとした。QOLと安全性も評価した。日光曝露関連の前駆症状発現までの時間がdersimelagon群で有意に延長 2018年7月5日~2019年4月22日に、計102例が無作為化され(EPP患者93例、XLDP患者9例)、92例(90%)が治療期間を完了した。 日光曝露に関連した最初の前駆症状が発現するまでの1日当たりでみた時間(daily time)の平均は、dersimelagon投与群で有意に延長した。ベースラインから16週目までの変化量のプラセボ群との最小二乗平均差は、dersimelagon 100mg群で53.8分(p=0.008)、同300mg群で62.5分(p=0.003)であった。 同様に、プラセボ群と比べてQOLの改善がdersimelagon群で認められた。 治療中に発症または増悪した、最も多くみられた有害事象は、悪心、雀卵斑(そばかす)、頭痛、皮膚の色素沈着であった。

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大型連休が明けた【Dr. 中島の 新・徒然草】(476)

四百七十六の段 大型連休が明けた風薫るゴールデンウィーク明け。ありがたいことに、花粉症に悩まされることがなくなりました。あれだけひどかった鼻汁も、今はまったく出ません。新型コロナも5類移行となり、局面が変わりました。病院の中では皆がマスクをしていますが、外ではかなりの人がノーマスク。だからといってコロナが消えたわけではありません。今でも検査で陽性が出る人も、入院が必要な人もいるのは事実です。でも、このまま徐々にコロナが消え去っていくのを願いたいところ。さて、コロナ禍の3年間を振り返ってみると、いろいろなことを感じさせられます。まず、最初の頃は、マスク不足どころかトイレットペーパーまで不足しました。昭和の石油ショックでもトイレットペーパー不足がありましたが、もはやそれを笑うことはできません。なぜか有事にトイレットペーパーが不足するというのは、普遍的な現象のようです。また、私自身はほとんど外食をしなくなりました。女房がいない時でも自炊で結構やれるもんだ、と思った次第です。それに対面の学会や宴会にもほとんど出ていません。どちらもあまり出ないほうだったのですが、それに拍車がかかってしまいました。もっとも学会のほうはオンライン化された分、前より出席率は向上しています。コロナが明けると再び対面ばかりになるので、さてどうしたものか。出席する学会は大阪周辺だけのものになるかもしれません。そして、マスクをするのが癖になりました。むしろコロナ禍以前に院内でマスクをしていなかったのが、今では信じられません。おそらくほかの医師も、診療中のマスクが普通になることと思います。そういえば、救急担当の研修医たちのインフルエンザやノロの流行もほとんどみられなくなりました。おそらくは医師患者双方のマスクの効能でしょう。さらに、これまであまりできていなかった手洗いも、自然にするようになったのは自分でも驚きです。逆に今は手洗いしないと恐ろしいですね。診療中のマスクや手洗いは、コロナが終わっても続けることになりそうです。あと、世間の人々が多少は医療について関心を持ったのも良かったと思います。健康というのは、失って初めてそのありがたさがわかるもの。が、多くの人は普段は当たり前のこととして意識していません。今回のコロナ禍が、健康について真剣に考えるキッカケになってほしいと思います。とはいえ、喉元過ぎれば熱さ忘れる、ということになりそうではありますが。コロナ終焉ムードで世間は浮かれていますが、まだまだ油断大敵。第9波が最大、最悪になる可能性も十分にあります。われわれも引き続き、気を緩めることのないようにするべきかと思います。最後に1句薫風の 連休明けに マスクとる

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第44回 WHO緊急事態宣言解除、「コロナ禍終了」でOK?

緊急事態宣言が解除コロナ禍3年経って、ようやくWHOの緊急事態宣言が解除されました。感染症としての動向・予防策・治療の予測が可能となり、また以前ほど肺への毒性が強くないということで、国際的に脅威として対応し続けるよりもウィズコロナを選択するという意味合いが含まれています。しかし、「もう怖い感染症ではない」と誤認を招くのではないかという懸念もあります。実際、WHOは緊急事態宣言の解除に当たって注意を付記しています。それは以下のようなものです。「“The worst thing any country could do now is to use this news as a reason to let down its guard, to dismantle the systems it has built, or to send the message to its people that COVID19 is nothing to worry about”(今、どの国も一番やってはいけないことは、このニュースを理由に警戒を解き、構築したシステムを解いて、国民にCOVID-19は心配ないとメッセージを送ることだ)」"The worst thing any country could do now is to use this news as a reason to let down its guard, to dismantle the systems it has built, or to send the message to its people that #COVID19 is nothing to worry about"-@DrTedros— World Health Organization (WHO) (@WHO) May 5, 2023 日本では結構「緊急事態宣言が終了」というニュースが好意的に報道されたため、「5類」移行期とぴったりマッチしたこともあり、「もう大丈夫」という希望を持った人が多いと思います。ウィズコロナを続けていく上で、感染したら大変なことになるという警戒は以前ほど必要ありませんが、「一気に感染対策をゼロに」という時代が戻ってきたわけではありません。「希望は持ってよいが、油断はできない」というのがWHOの本音でしょう。日本は、欧米と違って非常に低い致死率でCOVID-19を抑えることができました。これはひとえに、日本国民の感染予防意識の高さと医療アクセスの良さによるものだろうと思っています。しかしその反作用として、苦しめられたという思いを持っている国民が多いのも事実です。患者数が増えれば、同じような医療逼迫を繰り返すことになる構図は変わりませんが、もはやそれは「禍」ではなく、1つの日常と受け取られることになるのかもしれません。医療従事者の努力私たち医療従事者は、まさに力戦奮闘、よく頑張りました。不気味な肺炎を起こす感染症には、二度と遭遇したくありません。「“At one level, this is a moment for celebration. We have arrived at this moment thanks to the incredible skill and selfless dedication of health and care workers; The innovation of vaccine researchers and developers; The tough decisions governments have had to make in the face of changing evidence; And the sacrifices that all of us have made as individuals, families, and communities to keep ourselves and each other safe”(ある意味、祝福の瞬間です。私たちがこの瞬間に立つことができたのは、医療・介護従事者の驚くべき技術と献身のおかげです。ワクチンの研究者や開発者の革新性、変化するエビデンスに直面しながらも政府が下した難しい決断、そして、私たち全員が、自身とお互いの安全を守るために、個人として・家族として・コミュニティとして、犠牲を払ってきたことによるものです)」"At one level, this is a moment for celebration.We have arrived at this moment thanks to the incredible skill and selfless dedication of health and care workers;The innovation of vaccine researchers and developers;The tough decisions governments have had to make in the face…— World Health Organization (WHO) (@WHO) May 5, 2023 コロナ禍を締めくくって感傷的になっているさなか、第9波がやってきてまた国内が混乱するということもあるかもしれません。感染対策も一気にゼロというわけではないため、各医療機関で少しずつ引き算していく苦労がしばらくは続くでしょう。とりあえず、情報発信する側に立ってきた人間として、コロナ禍はできるだけ後世に伝えていきたいと思っています。

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認知機能低下の早期発見にアイトラッキングはどの程度有用か

 アルツハイマー病(AD)患者では初期段階から、眼球運動に反映されるように、視空間処理障害が認められる。杏林大学の徳重 真一氏らは、ビジュアルタスク実行中の視線動向パターンを評価することで、認知機能低下の早期発見に役立つかを調査した。その結果、いくつかのタスクを組み合わせて視空間処理能力を可視化することで、高感度かつ特異的に認知機能の低下を早期に検出し、その後の進行の評価に役立つ可能性があることを報告した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2023年3月21日号の報告。 AD患者16例(平均年齢:79.1±7.9歳、ミニメンタルステート検査[MMSE]平均スコア:17.7±5.3)および健康対照者16例(平均年齢:79.4±4.6歳、MMSE平均スコア:26.9±2.4)を対象とし、視覚記憶タスク、視覚探索タスクの評価を行った。video-oculographyを用いて衝動性眼球運動(saccade)パラメータ、視線動向パターン、タスク遂行中の瞳孔サイズの変化を記録し、AD患者と健康対照者で比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・視覚記憶タスクでは、AD患者は健康対照者と比較し、固定対象領域における記憶数の有意な減少が認められた。・視覚探索タスクでは、AD患者はpop out taskではなくserial search taskでターゲットを検出する際に、有意に長い時間と衝動性眼球運動数の増加が認められた。・両タスクともに、両群間での衝動性眼球運動の頻度と振幅に有意な差は認められなかった。・serial search task実行中の瞳孔サイズの変調は、AD患者で減少した。・視覚記憶タスクおよびserial search taskは、AD患者を高感度で鑑別可能であり、瞳孔サイズの変調や衝動性眼球運動は、高い特異性をもって認知機能低下から正常認知機能を確認するうえで効果的であった。

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RA系阻害薬やアンピシリン含有製剤など、使用上の注意改訂

 厚生労働省は5月9日、RA系阻害薬(ACE阻害薬、ARB含有製剤、直接的レニン阻害薬)、アンピシリン水和物含有製剤およびアンピシリンナトリウム含有製剤(アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウムを除く)の添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。RA系阻害薬-妊娠する可能性のある女性への注意事項を追加 RA系阻害薬の添付文書には「9.4 生殖能を有する者」の項が新設され、“妊娠する可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する旨、及び妊娠する可能性がある女性に投与が必要な場合の注意事項”を以下のように追記した。(1)本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。(2)次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。また、投与中も必要に応じ説明すること。・妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。 ・妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。 ・妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。[妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている] 今回、妊娠中の調査対象医薬品の曝露による児への影響が疑われる症例(児の副作用関連症例)の集積状況を評価した結果、添付文書で妊婦に投与しないよう注意喚起しているにもかかわらず症例の報告が継続していることが明らかとなり、妊娠する可能性のある女性への使用に関する注意が必要であると判断された。抗菌薬のアンピシリンなどは肝機能障害に注意 また、アンピシリン水和物含有製剤およびアンピシリンナトリウム含有製剤については、投与後の肝機能検査値の最悪値が有害事象共通用語規準(CTCAE v5.0)Grade3以上に該当する肝機能障害関連の国内症例を評価し、本剤と肝機能障害との因果関係の否定できない国内症例が集積したことから、以下のように使用上の注意を改訂することが適切と判断された。1.「重要な基本的注意」(新記載要領)又は「重大な副作用」(旧記載要領)の項に定期的な肝機能検査を行う旨を追記する。2. 「重大な副作用」の項に「肝機能障害」を追記する。

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小児への抗菌薬処方、多面的介入で減らせるか/BMJ

 急性咳嗽および呼吸器感染症(通常はウイルス性疾患)の小児は、プライマリケアにおいて最大の患者集団であり、半数近くが抗菌薬治療を受けている。そのような現状を背景に、英国・ブリストル大学のPeter S. Blair氏らは、抗菌薬適正使用支援の多面的介入の効果を無作為化試験で検証した。小児への無分別な抗菌薬使用の重大要因として、予後不良に関する不確実性があることなどを踏まえて介入効果を検証したが、全体的な抗菌薬投与を減らしたり、呼吸器感染症関連の入院を増やしたりすることもなかったことを報告した。BMJ誌2023年4月26日号掲載の報告。呼吸器感染症で受診していた0~9歳児への抗菌薬の処方調剤率と入院率を評価 研究グループは、呼吸器感染症でプライマリケアを受診した小児について、使いやすい多面的介入が、呼吸器感染症関連の入院を増やすことなく抗菌薬の処方調剤率を減らすかどうかを、効率的実臨床クラスター2アーム(介入vs.通常診療)非盲検無作為化試験で評価した。定性的および経済的評価を伴う日常的なアウトカムデータを用い、イングランドのEMIS電子医療記録システムを使用している一般診療所に、COVID-19パンデミック前および期間中に呼吸器感染症で受診していた0~9歳児をクラスター化して評価した。 介入は、(1)診察中に保護者の懸念を誘発、(2)受診した小児の30日以内の入院リスク(極めて低い、標準、高い)を予測するための臨床医向け診療アルゴリズムと抗菌薬処方ガイダンスの提供、(3)セーフティネットのアドバイスなどが示された介護者向けリーフレットの提供であった。 主要アウトカムは2つで、12ヵ月の試験期間中に処方されたアモキシシリンおよびマクロライド系抗菌薬の処方調剤率(比較群との優越性を評価)、呼吸器感染症による入院率(比較群との非劣性を評価)であった。介入の効果はみられず 一般診療所310ヵ所のうち、イングランドの全登録0~9歳児の5%が受診していた294ヵ所(95%)が無作為化された(介入群144ヵ所、対照群150ヵ所)。このうち12ヵ所(4%)は、その後に退いた(6ヵ所はパンデミックによる)。診療所当たりの介入利用中央値は70であった(臨床医中央値9人による)。 介入診療所(155[95%信頼区間[CI]:138~174]剤/年/1,000児)と対照診療所(157[140~176]剤/年/1,000児)で、抗菌薬の処方調剤率が異なるというエビデンスは認められなかった(率比:1.011、95%CI:0.992~1.029、p=0.25)。 事前規定のサブグループ解析において、処方看護師が少ない介入診療所で処方調剤の減少が示唆された。この示唆は単施設(多施設との比較において)で、社会経済的貧困レベルは低い地域の診療所でみられ、さらなる調査が必要である可能性があった。 事前規定の感度解析では、介入診療所の年齢の高い小児において処方調剤率の減少が示唆された(p=0.03)。 事後解析では、パンデミック前の介入診療所のほうが処方調剤率は低いことが示唆された(率比:0.967、95%CI:0.946~0.989、p=0.003)。 介入診療所の呼吸器感染症に関する入院率(13[95%CI:10~18]の入院/1,000児)は、対照診療所の同入院率(15[12~20]の入院/1,000児)に対して非劣性であった(率比:0.952、95%CI:0.905~1.003)。 結果を踏まえて著者は、「いくつかのサブグループとシチュエーション(たとえば非パンデミック下)で、介入によりわずかに処方調剤率の減少がみられたが、介入が臨床的に妥当な手法といえるものではなかった」とまとめている。

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FLT3-ITD変異陽性AML、キザルチニブは新たな治療選択肢/Lancet

 新規に診断されたFLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)の患者(18~75歳)において、化学療法へのキザルチニブ追加による地固め療法後、最長3年間のキザルチニブ単独療法が、同種造血幹細胞移植(allo-HCT)の有無を問わず全生存期間(OS)の改善に結び付いたことを、米国・デュークがん研究所のHarry P. Erba氏らが「QuANTUM-First試験」の結果から報告した。FLT3-ITD変異陽性AML患者の予後は不良である。キザルチニブは非常に強力な選択的2型FLT3阻害薬(経口薬)で、化学療法との併用で、新規診断のFLT3-ITD変異陽性AML患者に対する抗腫瘍活性が、許容できる安全性プロファイルと共に示されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「QuANTUM-First試験の結果に基づき、キザルチニブは新規診断のFLT3-ITD変異陽性AML成人患者における、新しい、効果的かつ、概して忍容性が良好な治療選択肢となりうることが示された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年4月25日号掲載の報告。化学療法と併用で寛解導入・地固め療法後、単剤維持療法を最長3年間継続 QuANTUM-First試験は、欧州、北米、アジア、オーストラリア、南米の26ヵ国193病院で行われた第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験。キザルチニブのOSへの有効性について、化学療法との併用による寛解導入・地固め療法後、単剤維持療法を行い、対プラセボで比較検討した。 研究グループは、適格基準を満たした新規診断のFLT3-ITD変異陽性AML患者(18~75歳)を、試験地域、年齢、診断時の白血球数で層別化し、双方向Web音声応答システムを用いて、1対1の割合でキザルチニブ群またはプラセボ群に割り付けた。患者、研究者、資金提供者、受託研究機関は治療の割り付けをマスキングされた。 寛解導入療法は標準的な7+3導入レジメンで、シタラビン100mg/m2/日(または施設や地域標準に基づき200mg/m2/日を許可)持続静脈内投与(1~7日目)とアントラサイクリン(ダウノルビシン60mg/m2/日またはイダルビシン12mg/m2/日)静脈内投与(1、2、3日目)後、キザルチニブ40mgまたはプラセボを1日1回、8日目から開始し14日間経口投与した。 完全寛解および、血球数回復または血小板数回復が不完全な完全寛解の患者は、高用量シタラビン+キザルチニブ(1日1回40mgを経口投与)またはプラセボ、allo-HCT、またはその両方による標準的な地固め療法を受け、その後にキザルチニブまたはプラセボの単剤療法を最長3年間継続した。 主要評価項目はOSで、無作為化からあらゆる原因による死亡までの期間で定義し、intention-to-treat集団で評価した。安全性は、キザルチニブまたはプラセボの投与を、少なくとも1回受けた全患者で評価した。対プラセボのOSに関するハザード比0.78で有意な延長を確認 2016年9月27日~2019年8月14日に、AML患者3,468例がスクリーニングを受け、FLT3-ITD変異陽性であった539例(男性294例[55%]、女性245例[45%])がキザルチニブ群(268例)またはプラセボ群(271例)に無作為化された。キザルチニブ群148/268例(55%)とプラセボ群168/271例(62%)が試験を中途で終了し、主に死亡(133/148例[90%]、158/168例[94%])、または同意撤回(12/148例[9%]、9/168例[5%])のためであった。年齢中央値は56歳(範囲:20~75、四分位範囲[IQR]:46.0~65.0)。 追跡期間中央値39.2ヵ月(IQR:31.9~45.8)の時点で、OS中央値はキザルチニブ群31.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:21.0~推定不能[NE])、プラセボ群15.1ヵ月(13.2~26.2)であった(ハザード比[HR]:0.78、95%CI:0.62~0.98、p=0.032)。 有害事象を1回以上有した患者の割合(キザルチニブ群264/265例[100%]、プラセボ群265/268例[99%])、Grade3以上の有害事象を1つ有した患者の割合(244/265例[92%]、240/268例[90%])は、いずれも両群で同程度であった。最も多くみられたGrade3/4の有害事象は、両群では発熱性好中球減少症、低カリウム血症、肺炎であり、キザルチニブ群では好中球減少症であった。

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2型糖尿病の薬物療法で最適な追加オプションは?(解説:小川大輔氏)

 GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬の登場により、近年2型糖尿病の薬物療法が大きく変わった。既存の糖尿病治療薬では認められなかった、心血管イベントや腎不全を抑制する効果が数多く報告されたからだ。さまざまな糖尿病治療薬の中からどの薬剤を選択するか、その判断の一助になるネットワークメタ解析の論文がBMJ誌に発表された1)。 この論文の背景として、2年前の2021年に同じBMJ誌に掲載された論文について少し触れたい。この当時すでにGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬のエビデンスは集積しており、これら2製剤がこれまでの糖尿病治療薬と比較して全死亡、心血管死、非致死的心筋梗塞、腎不全、体重減少などのベネフィットがあることがネットワークメタ解析により明らかになった2)。また桑島 巖先生(J-CLEAR理事長)がこの論文に対するコメントを執筆しているのでご一読いただきたい3)。 今回の論文の新しい点は、従来治療薬に追加するオプションとして、最近登場したGIP/GLP-1受容体作動薬とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MR拮抗薬)の2製剤が加わったことである。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬、MR拮抗薬を含む13種類の薬剤の中から追加投与した場合の、死亡や心血管系および腎臓系の有害アウトカムの減少、体重減少などについてシステマティックレビューとネットワークメタ解析が実施された。 解析の結果、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬については全死亡、心血管死、非致死性心筋梗塞、心不全による入院、末期腎不全の抑制に有効であることが示されたが、これまでのRCTやネットワークメタ解析の結果と同様であり新規性はない。一方、MR拮抗薬のフィネレノンが全死亡、心不全による入院、末期腎不全の減少に効果的である可能性が示された点は新しい知見である。MR拮抗薬は糖尿病治療薬ではないが、腎臓系の有害アウトカムについてはSGLT2阻害薬より劣るものの効果がある可能性があり、心不全による入院や全死亡も低下させる可能性が示されたため、今後日常診療で使用される頻度が増えるだろう。 今回の解析で、13種類の製剤の中でGLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬が心血管系および腎臓系の有害アウトカムや死亡の減少、さらにQOLの改善に最も効果があることが確認された。一方、GIP/GLP-1受容体作動薬については、体重減少効果は最も大きかったが、GLP-1受容体作動薬で認められる死亡や心血管・腎イベントの抑制効果は認められなかった。新しい薬剤のため解析対象となった試験が少ないことが影響しているのかもしれない。今後のGIP/GLP-1受容体作動薬の臨床研究に期待したい。 有害事象については、SGLT2阻害薬では性器感染症、GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬では胃腸障害、MR拮抗薬では入院を要する高カリウム血症のリスクが高かった。いずれも薬剤クラス固有のものであり、とくに目新しい有害事象の報告はなかった。 近年、ネットワークメタ解析を用いた臨床研究の論文が増えていると感じる。従来のメタ解析では2種類の治療薬の比較しかできないが、今回の論文のように3種類以上の比較を行うことができるのがネットワークメタ解析のメリットである。しかし、このネットワークメタ解析により、新たに大きなエビデンスが生み出されるというわけではないことに注意しなければならない4)。ネットワークメタ解析は、RCTよりエビデンスレベルは下がるものの、今回のように比較したい糖尿病治療薬が多数あるような場合には、治療の「次の一手」を選択する際に参考となるデータを提供してくれる手法である。

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心不全患者とポリファーマシーの本質を考える【心不全診療Up to Date】第8回

第8回 心不全患者とポリファーマシーの本質を考えるKey Pointsポリファーマシーの「質」と「量」を考えるポリファーマシーへの対策潜在的不適切処方、有害事象を起こす可能性のある薬剤はないか?本気の多職種連携で各施設・地域に合った効率良い対策を考えるはじめにこれまで、心不全患者において、診療ガイドラインに準じた標準的心不全治療(guideline-directed medical therapy:GDMT)を行うことの重要性を詳しく説明してきた。ただ、その際、常に議論となるのが、ポリファーマシー(多剤併用)問題である。この問題の本質は何か、そしてその対策としてすぐにできることは何か、本稿ではこのポリファーマシーを取り上げてみたい。 ポリファーマシーの「質」と「量」を考えるポリファーマシーを考える上で大切になってくるのが、「質」と「量」という視点である。「質」的なポリファーマシーとは、臨床的に必要とされる以上に多くの薬剤を処方されている状態であり、「量」的なポリファーマシーとは、5種類以上の薬剤内服と定義される。「量」的なポリファーマシーの中でも、10種類以上を内服している場合を“ハイパーポリファーマシー”と呼ぶが、TOPCAT試験(EF≥45%、平均69歳)のサブ解析1)にて、このような症例では入院のリスクが1.2倍であったという報告もあり(図1)、数が多いということも予後に大きく関連することがわかっている。つまり、「質」と「量」の両面から、このポリファーマシーというものをしっかり考えることが、薬剤数を適切に減らすうえで、極めて重要となる。(図1)心不全患者のポリファーマシー画像を拡大するでは、「質」的なポリファーマシーを考えるうえで何が一番重要となるか。それは、患者の生命予後やQOLに最も影響を及ぼす疾患・病態をしっかり把握し、薬剤の中でもできる限りの優先順位をつけておくことであろう。この連載のテーマは、心不全診療であるので、今回は、患者の生命予後やQOLに最も影響を及ぼすものが心不全である場合を考えていきたい。たとえば、駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者においては、第1回で説明した通り、生命予後・QOL改善のために、原則4剤(RAS阻害薬/ARNi、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬)の投与が推奨されており、どれだけ薬剤数が多くて何かを減らしたいとしても、この4剤は原則最後まで残しておくべきである。もちろん、食事摂取状況やADLなどの患者背景、腎機能などの検査所見などから、この4剤のうちどれかを中止せざるを得ない場面に遭遇することもあるが、安易な中断はかえって予後を悪化させるリスクもあり、注意が必要である。さらに例えて言うと、高カリウム血症よりも心不全予後改善薬を中止するほうが、長期的には予後やQOLを悪化させる可能性もあり2)、一旦中止してもその後に再開できないかを常に検討することが重要と考えられる。そして、もしその4剤の中のどれか1つでも投与開始や再開を見送る場合は、その薬剤を『投与しないリスク』についても患者側としっかり共有しておくことも忘れてはならない。そして、ポリファーマシーを考える上で、もう一つのキーとなる言葉が、『服薬アドヒアランス』である。この大きな原因は、患者自身がなぜその薬剤を飲んでいるか理解していないことが挙げられる。ある研究では、心不全患者の41%において、服薬アドヒアランスの低下を認め、この群では、アドヒアランス良好な群と比較して、心不全入院または死亡のリスクが2.2倍に上昇していたと報告されている3) 。つまり、ポリファーマシー対策を考える上で、患者といかに共同意思決定(Shared Decision Making)を行うか、など服薬アドヒアランス向上のための戦略もセットで、それぞれの施設や地域に適した形で考えることも大変意義のあることである。では少し具体的な対策について考えてみたい。ポリファーマシーへの対策1. 潜在的不適切処方(Potentially inappropriate medications:PIMs)、有害事象を起こす可能性がある薬剤(Potentially harmful drug:PHD)はないか?ポリファーマシー改善の第一歩は、PIMsがないか、適宜、処方されているすべての薬剤の見直しを行うことである。とくに、外来主治医が一人ではない場合、システム上それが漏れてしまうことが多く、年に1回でもよいので、総点検を実施することが大切である(できれば病院のシステムとして)。その際に参考となるプロトコル、アルゴリズムを表と図2に示す。(表)処方中止プロトコル画像を拡大する(図2)処方薬の中止/継続を判断するためのアルゴリズム画像を拡大するこのようなものをベースに、それぞれの施設に合った形で実施していただければ、大変効果的であると考える。そして、もう一つ重要なのが、心不全患者で注意すべき有害事象を起こす可能性がある薬剤(PHD)を服用していないか、ということにも注意を払うことである。その薬剤については、米国のガイドラインに明記されており、(1)抗不整脈薬、(2)Ca拮抗薬(アムロジピン以外)、(3)NSAIDs、(4)チアゾリジン薬(商品名:アクトスほか)である10)。とくに、抗不整脈薬は、加齢に伴い生理・代謝機能が低下することで、体内の薬物動態が変化し、本来の目的ではない催不整脈作用や併用薬の相互作用が顕在化するリスクがあるので、きわめて注意が必要である。また、NSAIDsは、腎臓の血管拡張を抑制(低下)させる腎プロスタグランジンの合成を阻害し、太いヘンレ係蹄上行脚や集合管でのナトリウム再吸収を直接阻害することで、ナトリウムと水分の貯留を引き起こし、利尿薬の効果を鈍らせる可能性がある4-9)。いくつかのコホート研究にて、心不全患者がNSAIDsを使用することで罹患率、死亡率が増加すること、また2型糖尿病患者のデータで、1ヵ月以内の短期のNSAIDsの使用であっても、その後の心不全新規発症率上昇と有意に関連していたという報告も最近されており、たとえ短期の使用であっても定期内服はかなり注意が必要と言える11)。 なお、心不全入院からの退院後90日以内に処方された潜在的有害薬物と再入院・死亡との関連をみた観察研究によると、潜在的有害薬物が実際に処方されていた割合は約12%で、最も頻繁に処方されていた薬剤はNSAIDs(6.7%)であった。次に多かったのが、非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬(4.7%)で、Ca拮抗薬はその後の再入院とも有意に関連していた12)。これらのことから、とくに高齢心不全患者では、上記4種の薬剤のなかでも、抗不整脈薬、NSAIDsの定期投与は、必要最小限に留め、処方する場合も常に中止を検討することが望ましいと考える。2. 本気の多職種連携で、それぞれの施設、地域に合った効率良い対策を考えるこれまで述べてきたポリファーマシー対策を効率よく実施し、それを長続きさせるには、医師だけでできることは時間的にも大変限られており、薬剤師、看護師、心不全療養指導士の皆さまにも積極的に介入してもらえるようなシステム作りが重要と考える。薬剤師による介入は、高齢者における薬剤有害事象のリスクを軽減することに有用であるという報告もあるし13)、これらのスタッフ全員がうまく役割分担をして、尊重し合い、サポートし合いながら、ポリファーマシー対策を実施することが、高齢心不全患者が増加しているわが国ではとくに必要であり、今後その重要性はますます増してくるであろう。このような多職種が介入する心不全の疾病管理プログラムの重要性は本邦の心不全診療ガイドラインでも明記されており14)、ぜひ、年に1回は、『処方薬、総点検週間』を設けるなど、積極的なポリファーマシーへの介入を実施していただければ幸いである。1)Minamisawa M, et al. Circ Heart Fail. 2021;14:e008293.2)Rossignol P, et al. Eur Heart Fail. 2020;22:1378-1389.3)Wu JR, et al. J Cardiovasc Nurs. 2018;33:40-46.4)Gislason GH, et al. Arch Intern Med. 2009;169:141-149.5)Heerdink ER, et al. Arch Intern Med. 1998;158:1108-1112.6)Hudson M, et al. BMJ. 2005;330:1370.7)Page J, et al. Arch Intern Med. 2000;160:777-784.8)Feenstra J, et al. Arch Intern Med. 2002;162:265-270.9)Mamdani M, et al. Lancet. 2004;363:1751-1756.10)Yancy CW, et al. J Am Coll Cardiol. 2013;62:e147-239.11)Holt A, et al. J Am Coll Cardiol. 2023;81:1459–1470.12)Alvarez PA, et al. ESC Heart Fail. 2020;7:1862-1871.13)Vinks THAM, et al. Drugs Aging. 2009;26:123-133.14)日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)

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釣り針が刺さった【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第2回

皆さんは釣りをしますか? 私は学生時代に釣りの楽しさを知り、よく遠征していました。「魚の引き」に快感を覚えるタイプで、学生時代はカジキマグロ、福井で働いているときは玄達瀬でアジ科最大種のヒラマサを釣り上げました。地域にもよると思いますが、救急外来で働いていると釣り針が刺さった患者を診る機会がしばしばあります。一般の方は釣り針が刺さったときに何科を受診したらよいかわからないため、かかりつけ医や意外な診療科にふらっとやって来ることもあります。そういうときに対処方法やコツを知らないと本当に困ることになりますよ! 下記は私が経験した苦い経験です。指に釣り針の刺さった強面のお兄さんが受診。疑似餌を用いて釣りをしていたようで、ゴム製の疑似餌が付いたままであった。除去しようとして疲れたのか、ややイライラしながら「痛くないようにしてくださいよ!」とプレッシャーをかけてくる。String pull technique(後述)による抜去に慣れてきたころだったのでトライしてみたが、緊張のためか変な力が入って釣り針はうまく抜けない。激しい痛みが生じたようで、顔をゆがめながらものすごい目つきでこちらを見てくる…。皆さんなら初めの段階に、もしくはこの後どうされますか? このようなことにならないように、今回は釣り針が刺さったときの対処方法とそのコツを紹介します。釣り針の構造釣りをされる方であれば一度は経験すると思いますが、釣り中に釣り針が服に引っ掛かって取れなくなってしまうことがあります。服を傷つけないように取ろうとしてもなかなか難しいですよね。釣り針には下図のように「カエシ」という突起があり、釣り針を抜こうとするとカエシが引っかかって抜けない仕組みになっています。強引に抜こうとすると皮下組織を損傷してしまい、かなりの痛みが伴います。また、餌が外れにくくするための突起である「ケン」にも注意しなければいけません。これらの複雑な構造が釣り針の抜去を難しくしています。画像を拡大する釣り針の抜去方法4選一般的に指に刺さった釣り針を抜去する手法は4つあります1)。(1)Retrograde techniqueRetrograde techniqueは、釣り針を刺さった方向と逆向きにそのまま引き抜くという方法です。釣り針を指側に押して、カエシが引っかからないように抜去します。報告によると成功率は74%とありますが、私の印象ではなかなかこの方法で釣り針を抜去することは難しいです2)。魚を簡単に逃がさないための人類の工夫ですので簡単に取れても困りますもんね…。画像を拡大する(2)String pull techniqueString pull techniqueは、最も傷が小さいと言われる方法です。釣り針を糸で結び、指側に押しながら、釣り針が刺さった方向と逆向きに糸を引っ張ります。屋外でもできることが利点ですが、しっかりとした固定が必要なので耳たぶなどの固定が難しい部位では行えません。画像を拡大する(3)Needle cover techniqueNeedle cover techniqueは、釣り針の針穴に18Gの注射針を挿入し、内腔にカエシを入れ、カエシが皮下組織に引っ掛からないようにカバーしながら抜去する方法です。注射針の先端を直接見ることができないのが難点で、成功率は高くない(47%)という報告があります。私は一度トライしましたが、カエシに注射針が入っているのかよくわからず、「かぶさった」という感覚があったものの結局皮下で引っかかって断念しました。それ以降はやっていません。画像を拡大する(4)Advance and cut techniqueAdvance and cut techniqueは、釣り針を刺さった方向に押し進め、カエシを皮膚から出してペンチなどで切断する方法です。カエシの手前で釣り針を切りますが、切った瞬間に断端が飛んでしまう危険があるため、私は釣り針をガーゼなどで覆ってから切るようにしています。カエシがなくなれば釣り針は逆向きから簡単に抜けるようになります。デメリットは釣り針による穴が2ヵ所できることでしょうか。画像を拡大するケンがある釣り針の場合は注意が必要で、刺さった方向に押し進める際に最初の針穴にケンが入り込んでしまうとそこで抜けなくなります。そのため、あらかじめケンを切っておくか、釣り針の根元を切断して、そのまま刺さった方向に押し進めて針先側から釣り針を抜く方法もあります。画像を拡大する私は基本的には(1)か(2)をトライしてダメなら(4)で抜去しています。(4)で抜けないということはまずないです。鎮痛釣り針の抜去の手技には痛みが生じることが多いため、私は処置の前に局所麻酔(1%キシロカイン)で鎮痛しています。(2)の処置では鎮痛は必要ないとも言われていますが、失敗したときの痛みはかなりのものなので私は鎮痛しています。インターネットで「String pull technique, fish hook」と検索すると動画が見れますが、なかなか簡単にはいきません。なお、痛みを抑えるコツは釣り針を素早く引っ張ることです!抗菌薬と創部処置抗菌薬に関しては基本的に推奨されていません。しかし、免疫抑制状態や糖尿病、肝硬変がある場合や、釣り針が関節内や靭帯や皮下の深いところまで到達している場合は予防投与が検討されます。予防の目的の1つに最近注目を集めるようになったエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)があります。これは淡水、河口部、海水に広く常在するグラム陰性の通性嫌気性桿菌であり、治療にはフルオロキノロンが適応となります。海や川で使用した釣り針で傷を負い、抗菌薬の予防投与が必要な場合はフルオロキノロンを検討しましょう。また、患者の予防接種歴を確認し、基礎免疫がある場合は最終接種から5年以上経過している場合は破傷風トキソイドを投与し、基礎免疫がない場合は破傷風トキソイドに加えて抗破傷風人免疫グロブリンの投与を検討します3)。創部処置では、針穴を密閉すると感染リスクが高まるので控え、軟膏を塗布もしくは通気性がよいガーゼなどで保護します1)。もし、院外で釣り針が刺さった患者に遭遇した場合、私は(2)のString pull techniqueはあまり推奨しません。冒頭の苦い経験のように、うまくいかないとどうしても強い痛みが生じるからです。院外で遭遇したら無理をせず病院受診を促し、院内ではどの手法を使うにしても鎮痛をしっかりしたほうがよいでしょう。ちなみに、冒頭の強面のお兄さんの釣り針は、結局(4)のadvance and cut techniqueで抜去しましたが、最後に一言「最初からこれでやれよ」と言われてしまいました。ものすごい目つきでにらまれた記憶が今でも残っています…。1)Gammons MG, et al. Am Fam Physician. 2001:63;2231-2236.2)McMaster S, et al. Wilderness Environ Med. 2014:25;416-424.3)Callison C, et al. In:StatPearls [Internet]. Tetanus Prophylaxis. Treasure Island(FL):StatPearls Publishing. 2022.

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第160回 岡山大教授の論文不正、懲戒解雇で決着も論文撤回にはまだ応じず

コロナは文字通り“普通の風邪”へこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。5月8日、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類」に移行しました。これに伴い、3年3ヵ月余りにわたって設置されていた政府の対策本部も廃止されました。また、WHOのテドロス事務局長は5月5日の記者会見で、新型コロナウイルス感染症をめぐる世界の状況について、2020年1月に発表した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の終了を宣言しました。これで、新型コロナウイルス感染症の流行はほぼ“終息”し、文字通り“普通の風邪”となったと言えるでしょう。ただ、日本においてこの3年間で浮き彫りになった医療提供体制や医療連携の課題がすべて解決したとは到底言えません。“喉元過ぎれば熱さを忘れる“ではないですが、次のパンデミックにおいても同じような失敗、ドタバタを繰り返さぬよう、政府や医療関係者にはこの3年間の徹底した検証とパンデミック対策の更新を行ってほしいと思います。ところで、WHOのデータによれば、これまでに世界人口(約80億人)の1%弱が新型コロナウイルス感染症に感染(診断された確定例の累積)し、0.1%弱が死亡したと報告されています(途上国などを考慮すると、実際はより多くが感染し、0.25%超が死亡したとの見方もあります)。今から100年前、世界的大流行を引き起こしたA/H1N1型のスペインインフルエンザ(いわゆるスペイン風邪)では、1918〜1920年の3年間に3度の流行の波が押し寄せたと言われています。そして、当時の世界人口(18億〜20億人と推定)の25〜30%が感染し、2〜5%が死亡したと推計されています。当時は、抗生物質やワクチンはおろか、インフルエンザウイルスの存在すらわかっておらず、医学・医療のレベルも低かったので、全人口に対する死亡率の差はこんなものだろうと思われますが、終息までに同じく約3年かかっている点がとても興味深いです。どれだけ医学が進歩しても、「新興感染症によるパンデミックの終息には3年はかかる」ということなのでしょうか。誰かにこの謎を解き明かしてもらいたいと思います。岡山大、細胞生理学分野の教授を懲戒解雇さて今回は、岡山大学医学部での論文不正について書きます。岡山大学・学術研究院医歯薬学域の神谷 厚範教授(医学部・細胞生理学分野)が2019年7月にnature neuroscience電子版に発表したがん治療に関する論文1)に実験に使ったマウスの数などの捏造や画像の使い回しが113ヵ所確認も確認された問題で、同大は4月17日、神谷教授を懲戒解雇処分とした、と発表しました(処分は4月14日付)。AMEDもプレスリリース、全国紙も大きく報道した研究この事件、たびたび発覚する医学部や生命科学系の研究者による論文不正ではあるのですが、2019年に発表したのがnature neuroscienceという一流誌であったため、研究資金を提供した日本のAMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)も論文掲載当時、「がんに自律神経が影響することを発見!がんの神経医療の開発へ」と題するプレスリリース(最近までAMEDのサイトに掲載されていましたが4月27日に取り下げられました)を出し、全国紙やNHKもその成果を大きく報道しました。そうした経緯もあってか今回の懲戒解雇を報道したメディアの数も心なしか多かった印象です。研究成果を“誤報”したことへのメディア自身の反省もあったのかもしれません。全国紙各紙は、今回の懲戒解雇報道の末尾に2019年の記事を取り消す旨を記しています。たとえば読売新聞は「2019年7月9日の朝刊社会面で、神谷教授らによる論文について『乳がん 交感神経で悪化?』の見出しで報じました。岡山大などが論文不正を認定し、日本医療研究開発機構も研究費の一部返還と、神谷教授に対する新たな研究申請の停止を決めたことから、記事と見出しを取り消します」と記しました。交感神経の働きを止めるとがんの進行も抑えられることを、マウスを使って確認神谷元教授が発表した論文は、交感神経をがんの中で活発に働かせたところ腫瘍が大きくなるなどがんが進行し、交感神経の働きを止めるとがんの進行も抑えられることを乳がんのマウスを使った実験で確認した、という内容でした。マウスにヒトの乳がん組織を移植し、乳がん組織内の交感神経を刺激し続けると、60日後、刺激しないマウスと比較して刺激したマウスのがんの面積は2倍近く大きくなり、転移数も多かったそうです。一方、遺伝子治療で交感神経の活性化を止めると、60日経ってもがんの大きさはほとんど変化せず、転移もなかったとのことです。当時の朝日新聞の記事によれば、神谷元教授は「不安や怒りなどをうまくコントロールし、交感神経を刺激し過ぎないようにすることで、良い影響を与えられるかも知れない」と話していました。AMEDに論文に関する匿名の告発が届き不正発覚「精神の状態ががんの転移にも影響する…」。一般人にも極めてわかりやすいロジックゆえ、マスコミも飛びつきやすかったこの研究ですが、2020年9月にAMEDに対し同論文に関する匿名の告発があったことで事態は急転します。告発を受け取ったAMEDは、元教授が論文の実験を行った前任地、国立循環器病研究センターと岡山大に研究不正の予備調査実施の要請を行いました。翌2021年には、それぞれで調査委員会が立ち上げられ、本格的な調査がスタートしました。国立循環器病研究センターの調査報告書2)は2023年3月2日に、岡山大学の調査報告書3)は3月24日にそれぞれ公表されました。実験に用いたとするマウス、ラットの数と実際に使用できた数が大きく乖離それらの調査結果によれば、論文ではマウス914匹、ラット368匹を実験に用いたとしていましたが、神谷元教授が購入するなどして実際に使用できたとみられるのはそれぞれ72匹、35匹しかいなかったとのことです。こうした動物の使用数に関する捏造が108ヵ所に上り、「論文の実験は不可能」と結論付けています。ほかにも実験結果を示す画像5ヵ所の捏造も認定されました。たとえば自律神経の操作でマウスのがんの増殖が抑制されたとした実験では「0日目」と「60日目」の画像がいずれも同じ日に撮影されていました。調査報告書は、露光時間を変えることで見かけ上、がんの大きさを調整したとみられるとしています。調査委員会の調べに対し、神谷元教授は「2018年6月の大阪府北部地震でハードディスクが落下して故障し、データを失った」として実験データを提供しませんでした。捏造の指摘についても「マウスは再利用していた」「画像の取り違いがあった」などと説明し、不正を認めていないとのことです。岡山大が懲戒免職という重い処分を下したのに対し、AMEDは神谷元教授が論文執筆時に所属していた国立循環器病研究センターに対し、研究費の一部約11万8,000円の返還を求めました。AMEDによると、神谷教授が同センターで研究所室長などとして活動していた2015~2018年度、計約4,700万円の研究資金を提供。このうち、不正が確認された論文に直接関係する費用として、英文の校正費(2017年度)について返還を求めたとのことです。同センターは返還に応じる方針です。研究所時代の成果を引っさげ、教授に就任神谷元教授は1994年に浜松医科大学医学部卒業、2000年に名古屋大学大学院医学系研究科博士課程を修了しています。名古屋大学環境医学研究所助手を経て2002年より国立循環器病研究センター研究所・循環動態機能部室員となり、2017年には同循環モデル解析研究室長となっています。同研究所時代の研究成果を引っさげ、2018年に岡山大学の教授に就任しました。2019年にnature neuroscienceに発表した論文は、国立循環器病研究センター研究所の室長時代に行った実験によって得られた成果を発表したものであり、そのためもあって、同センターによる調査報告書は50ページ(岡山大学は10ページ)と長く、不正の背景や原因をより詳しく分析した内容となっています。研究姿勢が「科学者としてあるべき真摯さや誠実な姿勢からかけ離れたものであった」その中で、論文不正の社会的影響については、「論文I(nature neuroscience掲載の論文)については、2019年7月5日に岡山大学をはじめ5機関の連名で記者発表され、複数の新聞で報道されるとともに、元室長により複数回学会等で発表されている。また、元室長により、この論文と関連する別の研究が開始されている。加えて、この論文の被引用回数は2022 年8月4日現在で100回を超えており、すでに相当数の論文で引用がなされている状況である。掲載された『Nature Neuroscience』は、影響力の大きな科学雑誌であり、この論文を基に、新たな研究を着想している研究者がいることも十分に想定される。以上より、患者を対象とした新たな臨床研究等がスタートしているような状況でないものの、このような論文において、極めて不適切な研究が行われた事実が当該分野の研究の進展に与える悪影響は大きいと言わざるを得ない」と書いています。さらに、発生要因については、「今回の事案が発生した要因として、まず、元室長の研究に対する姿勢が、科学者としてあるべき真摯さや誠実な姿勢からかけ離れたものであった点を挙げざるを得ない。科学者として当然に備えるべき『科学界に対して真正なる結果を報告する』という意識、倫理観が欠如していたことが、今回の事案が引き起こされた最大の要因と言える。科学雑誌では、科学的根拠となる実験手法を正確に記載して、再検証ができるようにすることが求められているが、元室長による論文の記載は、それとはかけ離れたものであった」と、元室長個人の研究者としての姿勢を厳しく糾弾しています。さらに、「元室長が、調査の過程において、科学者が第三者的な立場から本実験結果を評価する上で考えもしない独自の主張を繰り返すとともに、『共著者や学術誌の査読者と編集者も気付かずに、そのまま出版されてしまいました』と他に責任を転嫁するような主張を行い、また、『大量の図の中においてこのエラーに気付くのは困難でした』と、図表が大量であれば、過失が許されるかのような主張をしたことも、上記の意識の欠如を裏付けるものである」とも書いています。2020年には別の国立循環器病研究センター室長による論文不正もそれにしても、論文不正が発覚すると、研究が行われた前職・元職の研究所や大学だけではなく、現職の職場でも調査を行わなければならないので大変です。今回は、国立循環器病研究センターの調査委員会は5人、岡山大の調査委員会では7人が調査を担当しています。数本の論文の捏造や改ざんのためにそれだけの時間と労力(外部有識者には費用も)が割かれたわけです。大変な無駄遣いと言えるでしょう。そう言えば、国立循環器病研究センターの論文不正としては、2020年8月にも別の事案が発覚し(「第22回 大阪大論文不正事件の“ナゾ” NHKスペシャル「人体」でも取り上げられた臨床研究の行方は?」参照)、大きなニュースになりました。この時も、同センターで室長を務めていた医師が発表した論文5本に捏造・改ざんが確認されています。論文を量産することでどこかの大学教授のポストをなんとか狙いたい“室長”という微妙な地位が、不正に走らせる一因となっているのでしょうか。なお、nature neuroscienceの論文について、岡山大は撤回するよう神谷元教授に対して勧告を行いましたが、まだ撤回は行われていません。参考1)Kamiya A, et al. Nat Neurosci. 2019;22:1289-1305.2)研究活動の不正行為に関する調査結果報告書/国立循環器病研究センター3)研究活動の不正行為及び倫理指針不適合に関する調査結果報告について/岡山大学

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ADHD患者の不安症やうつ病の併発、その影響はどの程度か

 注意欠如多動症(ADHD)患者では精神医学的疾患の併発が多く、診断に難渋したり、治療のアウトカムおよびコストに影響を及ぼしたりする可能性がある。米国・大塚ファーマシューティカルD&CのJeff Schein氏らは、同国におけるADHDおよび不安症やうつ病を併発した患者の治療パターンとコストを調査した。その結果、不安症やうつ病を併発したADHD患者では、これらの併存疾患がない患者と比較し、治療変更が行われる可能性が有意に高く、治療変更の追加によるコスト増加が発生することが明らかとなった。Advances in Therapy誌オンライン版2023年3月13日号の報告。 薬理学的治療を開始したADHD患者の特定には、IBM MarketScan Data(2014~18年)を用いた。最初に観察されたADHD治療の日付をインデックス日とした。併存疾患(不安症および/またはうつ病)のプロファイルは、ベースライン前6ヵ月間評価した。治療変更(中止、切り替え、併用、併用中止)は、治療開始後12ヵ月間調査した。治療変更に至るオッズ比(OR)を推定した。治療を変更した患者と変更しなかった患者において、調整された年間医療コストの比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は17万2,010例(小児[6~12歳]:4万9,756例、青少年[13~17歳]:2万9,093例、成人[18歳以上]:9万3,161例)。・不安症および/またはうつ病の有病率は、年代別に以下のとおりであり、小児期から成人期にかけて増加していた。 【不安症】  小児期:11.0%、青少年期:17.7%、成人期:23.0% 【うつ病】  小児期:3.4%、青少年期:15.7%、成人期:19.0% 【不安症および/またはうつ病】  小児期:12.9%、青少年期:25.4%、成人期:32.2%・併存疾患がある患者は、併存疾患がない患者と比較し、治療変更の確率が有意に高かった。 【不安症】  小児期OR:1.37、青少年期OR:1.19、成人期OR:1.19 【うつ病】  小児期OR:1.37、青少年期OR:1.30、成人期OR:1.29 【不安症および/またはうつ病】  小児期OR:1.39、青少年期OR:1.25、成人期OR:1.21・医療コストは、一般的に治療変更の回数が増えるほど高額であった。・治療変更を3回以上行った場合の患者1人当たりの年間超過コストは以下のとおりであった。 【不安症】  小児期:2,234ドル、青少年期:6,557ドル、成人期:3,891ドル 【うつ病】  小児期:4,595ドル、青少年期:3,966ドル、成人期:4,997ドル 【不安症および/またはうつ病】  小児期:2,733ドル、青少年期:5,082ドル、成人期:3,483ドル

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採血時間が入院患者の睡眠不足に影響か

 早朝の採血は入院患者の睡眠に有害な影響を与えるが、それは依然として一般的な医療行為として行われている。そこで米国・イェール・ニューヘブン病院のCesar Caraballo氏らは、早朝採血の実施割合を調査したところ、午前4:00~6:59までの時間帯に最も行われ、採血の10分の4近くを占めていたことが明らかになった。ただし、本研究の終盤には採血時間がわずかだが遅くなっていた。JAMA誌オンライン版2023年1月17日号のリサーチレターでの報告。 2016年11月1日~2019年10月31日の期間、イェール・ニューヘブン病院に入院した成人患者すべての採血イベントについて電子健康記録を照会した。なお、救急部門や集中治療室などで実施される採血、入院後24時間以内に実施される最初の採血は除外した。 Kruskal-Wallis検定を使用して患者のサブグループ間での採血タイミングの違いを評価し、χ2検定を使用して午前4:00~6:59に収集されたサンプルの患者特性を比較した。本病院では主な臨床チームが採血に適したタイミングを指定してオーダーするがデフォルトでは午前6:00に設定されていた。 主な結果は以下のとおり。・入院患者7万9,347例から採取された567万6,092件の採血サンプルが含まれた。・そのうち、220万6,410件(38.9%)が午前4:00~6:59に採血されていた(4:00~4:59は8.9%、5:00~5:59は16.5%、6:00~6:59は13.5%)。・早朝の時間帯以外での全採血の20.7%が7:00~11:59に、28.2%が12:00~23:59に、12.2%が0:00~3:59に行われていた。・早朝採血の分布には、年齢層、人種、民族、性別でわずかではあるが統計学的有意差が認められた。 研究者らは、「早朝採血は、朝のラウンド中に患者の健康状態を評価し、場合によっては退院の決定を知らせるために必要になる場合があるが、睡眠時間中での緊急ではない検査の制限を検討する必要があるかもしれない。また、早朝採血による睡眠の中断がとくに高齢患者において、せん妄やポストホスピタル症候群のリスクを高める可能性があるかもしれない」とし、今後、早朝採血を制限して患者の睡眠を改善させるとともにケアの質に悪影響を与えることなく、患者の転帰を改善できるかどうかを評価する研究が必要だとしている。

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AmoyDx肺マルチ遺伝子PCRパネル、KRAS G12C、 RET融合遺伝子にも保険適用/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2023年5月1日、「AmoyDx肺マルチ遺伝子PCRパネル」において、2023年3月22日付で7種のドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF、MET、KRAS、RET)を対象とするマルチプレックス検査として製造販売承認事項一部変更承認を取得し、2023年5月1日付で新たに保険適用されたと発表した。 同製品は、非小細胞肺の7種のドライバー遺伝子をカバーする、リアルタイムPCR法を原理としたコンパニオン診断薬である。今回のKRAS遺伝子変異(G12C)ならびにRET融合遺伝子を追加するシリーズ統合承認と、それに伴う新たな保険適用により、2023年5月1日以降、7種のドライバー遺伝子のマルチプレックス検査として、EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF V600E変異、MET exon14スキッピング変異、KRAS G12C変異、RET融合遺伝子を1回の測定で同時に検査し、13種の抗がん剤の適応判定の補助とすることへの保険適用が可能となる。●使用目的NSCLC患者への、以下の抗悪性腫瘍剤の適応を判定するための補助に用いる。・EGFR遺伝子変異:ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ・ALK融合遺伝子:クリゾチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ・ROS1融合遺伝子:クリゾチニブ、エヌトレクチニブ・BRAF 遺伝子変異(V600E):ダブラフェニブとトラメチニブの併用投与・MET遺伝子 exon14スキッピング変異:テポチニブ・KRAS遺伝子変異(G12C):ソトラシブ・RET融合遺伝子:セルペルカチニブ

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経口difelikefalin、CKD患者のかゆみの軽減に有望

 そう痒症は、後期慢性腎臓病(CKD)患者において多く認められるが、中等度~重度のそう痒症を伴うCKD(ステージ3~5)患者において、経口の選択的κオピオイド受容体作動薬difelikefalin(本邦では静脈注射用製剤が申請中)が、そう痒を大幅に軽減し、その状態を維持することが示された。米国・University of Miami Miller School of MedicineのGil Yosipovitch氏らが、第II相二重盲検無作為化プラセボ対照用量設定試験の結果を報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2023年4月12日号掲載の報告。 研究グループは、非透析CKD患者と透析治療を受けるCKD患者のかゆみの軽減について、経口difelikefalinの有効性と安全性を評価した。 本試験の対象は、中等度~重度のそう痒症を伴うCKD(ステージ3~5)の非透析患者および透析治療を受ける患者であった。対象患者を経口difelikefalin(0.25mg、0.5mg、1.0mg)各用量群またはプラセボ群へ無作為に均等に割り付け、1日1回12週間投与した。 主要エンドポイントは、12週時の週平均Worst Itch Numeric Rating Scale(WI-NRS)スコアの変化であった。 主な結果は以下のとおり。・269例が無作為化され、ベースライン時のWI-NRSスコア(平均値±標準偏差)は7.1±1.2であった。・経口difelikefalin 1.0mg群はプラセボ群と比較して、2週時から週平均WI-NRSスコアが有意に減少し(p<0.05)、12週時においても有意に減少していた(最小二乗平均差:-1.1、p=0.018)。経口difelikefalin 0.25mg群および0.5mg群においても、週平均WI-NRSスコアの数値的な減少が観察された。・12週時において、経口difelikefalin 1.0mg群では38.6%が完全奏効(WI-NRSスコア0~1)を達成した。一方、プラセボ群の達成率は14.4%であった。・経口difelikefalin 1.0mg群はプラセボ群と比較して、そう痒に関するQOL尺度のベースラインからの変化が、20%程度数値的に改善した。・治療下で発現した有害事象のうち、最も多くみられた事象は、めまい、転倒、便秘、下痢、胃食道逆流性疾患、疲労、高カリウム血症、高血圧、尿路感染であった。

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進行期皮膚T細胞リンパ腫への同種HSCT、PFSを有意に延長/Lancet

 進行期皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)患者に対する同種造血幹細胞移植(HSCT)は、非HSCTとの比較において無増悪生存期間(PFS)中央値を有意に延長したことが、フランス・サン・ルイ病院のAdele de Masson氏らによる前向き適合対照試験「CUTALLO試験」で示された。進行期CTCLはまれだが、大抵は難治性で致死的な疾患であり、ケースシリーズにおいて同種HSCTによる改善の可能性が示されていた。著者は、「今回の結果は、高リスクで進行期の菌状息肉症またはセザリー症候群を有し、移植前に寛解期にある患者が、同種HSCT治療を利用できるようにすべきであることを示すものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年4月24日号掲載の報告。進行期の菌状息肉症またはセザリー症候群の18~70歳を試験 研究グループは、進行期CTCL患者のアウトカムへの効果を、同種HSCTと非HSCTの治療とで比較するため、多施設共同前向き適合対照試験にて検討した。試験は30病院で実施され、進行期CTCLの患者を、兄弟姉妹や適合非血縁ドナーがいる場合は同種HSCT治療、いない場合は疾患のサブタイプなどによりHSCT以外の治療を行う群(非HSCT群)に割り付けた。 被験者は、年齢18~70歳、進行期の菌状息肉症またはセザリー症候群を有し、予後不良基準に1つ以上該当する患者とし、完全または部分寛解の認められない患者は除外した。 両群の標準化平均差を用いて共変量分布のバランスをとりながら、傾向スコア1対1マッチング置換法(非HSCT群の患者の適合回数は問わず、HSCT群の各患者と最も近い傾向スコアを持つ患者を適合させる方法)を用いて交絡因子を補正した。 主要エンドポイントは、適合intention-to-treat(ITT)集団におけるPFSだった。重篤有害イベント発生は非HSCT群67%に対しHSCT群78% 2016年6月1日~2022年3月3日に、フランスの17センターで合計99例が登録された。被験者のうち、HSCT群は55例(56%)、非HSCT群は44例(44%)だった。 生存者の追跡期間中央値は12.6ヵ月(四分位範囲[IQR]:11.0~35.2)だった。HSCT群の51例(93%)について、非HSCT群と1対1で適合した。 ITT解析において、PFS中央値はHSCT群が9.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:6.6~30.5)と、非HSCT群3.0ヵ月(2.0~6.3)に比べて有意に延長した(ハザード比[HR]:0.38、95%CI:0.21~0.69、p<0.0001)。 per-protocol集団で評価した重篤有害イベントの報告は、HSCT群は40例(78%)で101件、非HSCT群は29例(67%)で70件だった。両群で最も頻度の高かった重篤有害イベントは、移植片対宿主病(GVHD)以外では感染症で、HSCT群30例(59%)、非HSCT群19例(44%)で発生した。

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保険請求データベース試験で医薬品の有効性エビデンスの実証は可能/JAMA

 保険請求データを基に無作為化臨床試験(RCT)のデザインや測定方法を厳密に模倣した非無作為化試験が、RCTと同様の結論に達することは、容易ではないが可能であることが示された。米国・ハーバード大学のShirley V. Wang氏らが、32件のRCTとデータベースによる模倣試験を比較した結果を報告した。結果の一致は合致基準によって異なり、模倣の違い、偶然、残留交絡が結果の逸脱に影響する可能性があり、解読は困難であることが明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「RCTのエビデンスがない場合、データベース試験はRCTのエビデンスを補完し、臨床で医薬品をどのように用いるかの理解を深めることが可能である」と述べている。JAMA誌2023年4月25日号掲載の報告。32件のRCTについて、集団、介入、アウトカムなどの模倣試験を実施 研究グループは、医薬品について行われたRCT(終了30件+現在進行中2件)と、それらRCTの設計パラメータ(集団、介入、対照薬、アウトカム、時間[PICOT])を用いて模倣したデータベース試験(模倣試験)を行い、RCTデータベース試験ペア法で一致の程度を定量化した。 模倣試験は、2017~22年の3つの米国医療保険請求データベース(Optum Clinformatics、MarketScan、Medicare)を基に、傾向スコアマッチング法を用いて行った。模倣試験の参加・除外基準は、対応するRCTを模倣し事前に規定した。比較対象としたRCTは、検出力や主な交絡因子、保険データで模倣可能なエンドポイントなど、実現可能性に基づき選択した。 模倣試験は、対応するRCT試験の主要アウトカムに焦点を当てて行い、その結果をRCTと比較し、ピアソン相関係数や統計学的有意性、推定値、標準化差異の一致率など、事前定義された分類指標で評価した。RCTと模倣試験、ピアソン相関係数は0.82 RCTとデータベース模倣試験の結果の一致の程度は、ピアソン相関係数0.82(95%信頼区間[CI]:0.64~0.91)で、統計学的有意性の一致率は75%、推定値の一致率66%、標準化差異の一致率75%であった。 模倣試験の設計や測定方法がより類似したRCT(16件)のみで行った事後分析では、より一致率が高かった(ピアソン相関係数:0.93[95%CI:0.79~0.97]、統計学的有意性の一致率:94%、推定値の一致率:88%、標準化差異の一致率:88%)。 一方で、PICOTの特定要素を保険請求データから模倣できなかったRCT(16件)との比較分析では、一致率が低かった(ピアソン相関係数:0.53[95%CI:0.00~0.83]、統計学的有意性の一致率:56%、推定値の一致率:50%、標準化差異の一致率:69%)。

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糖質過剰摂取は糖尿病患者のみならず万人にとって生活習慣病リスクを高める危険性がある?―(解説:島田俊夫氏)

 私たちは生きるために食物を食べることでエネルギーを獲得している。その主要なエネルギー源は3大栄養素であり、その中でも代表的なエネルギー源が糖質である。 糖質の摂り過ぎは糖尿病患者では禁忌だということは周知されている。しかし健康人においてさえ、糖の摂り過ぎには注意が必要だとの警鐘を告げる論文も散見され、その中には糖質過剰摂取1,2)が3大死因に密接に関連し、生活習慣病を引き起こす可能性について言及した論文も少なくない。しかしながら、エビデンスレベル不ぞろいの論文が混在しており、玉石混交の中で可能な限り厳密に分析・評価し、糖質過剰摂取に関する情報の真実を明らかにすべく行われた、中国・四川大学のYin Huang氏らにより解析されたUmbrella Review(包括的Review)が、BMJ誌の2023年4月5日号に期せずして掲載された。一読に値するとの思いで取り上げた。Umbrella Reviewの概略 今回のUmbrella Reviewのデータソースは、検索により、観察研究のメタアナリシスにおける74のユニークなアウトカムと無作為化対照試験のメタアナリシスでの9アウトカムを含む、8,601のユニークな論文から73のメタアナリシスと83の健康アウトカムを特定した。健康に関するアウトカム83項目中、食事由来の糖質摂取と有意な関連を認めた45項目の内訳、内分泌/代謝系18項目、心血管系10項目、がん7項目、その他10項目(神経精神、歯科、肝臓、骨、アレルギーなど)に関して有害性が確認された。 食事の砂糖消費量の最高と最低では、体重の増加(加糖飲料)(クラスIVエビデンス)および異所性脂肪の蓄積(加糖)(クラスIVエビデンス)と関連していることを示唆した。低品質のエビデンスでは、1食分/週の砂糖入り飲料消費の増加は、痛風の4%リスク(クラスIIIエビデンス)増加と関連し、250mL/日の砂糖入り飲料消費の増加は、冠動脈疾患(クラスIIエビデンス)および全死因死亡(クラスIIIエビデンス)のそれぞれ17%および4%のリスク増加と関連することを示した。さらに、低品質のエビデンスでは、フルクトース消費量が25g/日増加するごとに、膵臓がんのリスクが22%増加(クラスIIIエビデンス)することを示した。 現時点では糖質過剰摂取の有害性をすなおに受け入れることが賢い選択だと考えるが、全面的に信じることはせず、多少の疑問を残しておくことが大事である。糖質の過剰摂取が肥満を招くことは欧米ではすでに受け入れられており、糖尿病のみならず肥満是正に糖質制限食が好んで使用されていることを考えれば、今回の解析結果は理にかなっている。その反面、長期にわたる糖質制限食に関しては議論の多いところであり3,4)、安全性への不安が根強く残っていることも忘れてはならない。現時点では、長期の糖質制限食への不安が払拭されない限りは、この結果を無条件に受け入れるのは時期尚早ではないかと考える。

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