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ChatGPTでロールプレイを行う学んだ英語を「使えるスキル」へと昇華させるためには、もう一歩進んだトレーニングが不可欠です。それが「ロールプレイ」です。ロールプレイは、特定の役割になりきって対話する練習法で、これにより、学んだ単語や表現を実際の文脈の中で使う練習ができ、英語での思考回路と瞬発力を効果的に鍛えることができます。何より、AIが相手であれば、失敗を恐れる必要はありません。納得がいくまで、何度でも同じ場面の練習を繰り返すことができます。ここでは、テキストベースで行う「チャット機能でのロールプレイ」と、より実践的な「音声モードでのロールプレイ」の2つの方法について、具体例を交えて解説します。チャット機能でロールプレイを行うまずは、キーボードで文字を打ち込みながら行う、テキストベースのロールプレイです。こちらは、自分のペースでじっくり考えながら、正確な語彙や文法を使って応答する練習に適しています。プロンプト例#役割あなたはレストランの店員です。#命令レストランの客である私と、英語でロールプレイを行ってください。すると、以下のようなロールプレイが可能です。ServerGood evening, and welcome! My name is Jamie, and I’ll be taking care of you tonight. Can I start you off with something to drink ― perhaps still or sparkling water, or would you like to see our wine list?自分Hi, Jamie. We would like to have still water.ServerAbsolutely, still water it is. I’ll bring that right out for you.In the meantime, would you like a few more minutes to look over the menu, or are you ready to hear about our chef’s specials for the evening?自分We'll look over the menu, thanks.ServerOf course ― take your time. If you have any questions about the menu or dietary preferences, just let me know.I’ll be back shortly with your water.このようにして会話を続けることで、よく使われる表現をインプット・アウトプットすることができます。もし、自分の返答に詰まったり迷ったりしたときは日本語で「答え方の例を教えてください」と質問したり、「『何がお勧めですか』と聞きたいのですが、英語で何と言えばいいですか?」と質問したりすれば、すぐに適切な表現を教えてくれます。また、前回紹介した“Read Aloud”の機能を使えば、ChatGPTが作成した英文を音読してくれるので、リスニング強化につながります。また、“Dictation”の機能を利用すれば音声で入力することができるため、スピーキングの練習を行うこともできます。さらに、一通りの会話が終わった後に、「文法ミスや、より適切な表現があればフィードバックしてください」と入力すれば、復習ができます。このようなやりとりを繰り返し、まずはよく使われる表現に慣れていきましょう。音声モードでロールプレイを行うテキストでのロールプレイに慣れてきたら、次はぜひ「音声モード」でのロールプレイに挑戦してみてください。前回紹介した音声会話機能を使うことで、よりリアルな会話に近い状況で瞬発力を鍛えるトレーニングが可能です。音声モードでのロールプレイは、その場で即座に聞き取り、応答する必要があるため、リスニング力とスピーキング力が同時に、そしてより実践的に鍛えられます。テキストベースで行っていたチャット画面で、音声モードのアイコンをタップし「最初から英語でロールプレイをしてください」などと話し掛けると、音声モードでの会話が可能です。英語のレベルを設定する音声モードで英会話の練習をすると、ChatGPTがネイティブスピーカーのペースで話すため、「英語が速すぎて聞き取れない」「話している途中に割り込まれる」といったストレスを感じることが少なくありません。そうした場合には、あらかじめ英語のレベルや話すスピードを指定しておくことをお勧めします。たとえば、「なるべくゆっくり話してください」「簡単な英語で話してください」などと伝えると、より自分に合ったペースで会話を進めることができます。また、自分の練習したい英語レベルについては、より客観的かつ明確に難易度を示すために、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages:ヨーロッパ言語共通参照枠)の基準を活用することをお勧めします。CEFRでは、英語力をA1(初心者)からC2(熟練者)まで6段階に分類しており、各レベルに応じた語彙や表現の難易度が定められています。現在の自分の実力に近いレベル、あるいは1つ上のレベルを指定することで、無理なく効率的に学習を進めることができます。以下にCEFRのレベルを簡単にまとめました。表:CEFRのレベル画像を拡大する以下は、音声モードでの練習時に活用できるプロンプトの例です。プロンプト例#役割あなたはレストランの店員です。#命令レストランの客である私と、英語でロールプレイを行ってください。#制約条件CEFR A2レベルの英語を使用してください。できるだけゆっくり、はっきり話してください。私が話し終わるまでは返答せず、待ってください。話が止まっている場合は相づちだけ打ってください。このように、役割やレベル、話す速度、会話のタイミングなどの詳細な指示をあらかじめ設定することで、より自分に合った練習ができる音声会話モードになります。ストレスなくリスニングやスピーキングのトレーニングを続けるために、ぜひ積極的に活用してください。