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化学療法をしなくて大丈夫な初期乳がん患者を、欧米で発売されている遺伝子発現解析検査Prosigna(PAM50)で選定しうることが示されました1,2)。ホルモン受容体陽性/HER2陰性の乳がんを切除し、担当医の見立てで術後化学療法が適切とされた40歳以上の男女4千例超(4,429例)が参加した第III相OPTIMA試験3)の結果です。被験者のほとんどは腋窩リンパ節転移(node-positive)を呈していましたが、腫瘍の大きさが30mm以上の患者は腋窩リンパ節転移が見当たらなくとも試験に参加することができました。被験者は定番の化学療法とそれに続く内分泌療法の組み合わせを実施する群(対照群)か、Prosignaの検査結果に基づいて化学療法をするかしないかを決める群(Prosigna利用群)にそれぞれおよそ半々に割り振られました。Prosignaは米国カリフォルニア州サウスサンフランシスコのがん診断会社Veracyteの製品で、50の遺伝子発現を解析して10年間の再発しやすさ(Risk of Recurrence:ROR)を点数で表します4)。Prosigna利用群の2,214例はROR値が高値(60超)なら対照群の2,215例と同様に化学療法と内分泌療法の組み合わせに振り分けられ、ROR値が低値(60以下)なら化学療法は省いて内分泌療法のみとされました。化学療法を省略しうるROR値が低い患者の割合は68%で、中央値およそ4年間(3.9年間)の浸潤性乳がんか死亡の発生数はProsigna利用群と対照群でほぼ同数のそれぞれ139例と141例でした。その結果からProsigna利用群の浸潤性乳がんなしでの5年間生存(invasive breast cancer free survival:IBCFS)率は90.4%であり、対照群の91.5%に統計的に劣りませんでした。ROR値が低い患者の比較でもやはり非劣性が裏付けられ、5年間IBCFS率はより高く94~95%ほどでした。言うまでもなく化学療法は心身に多大な負担をもたらし、不妊、認知障害、早すぎる閉経を強いる恐れがあります。後を引く神経障害の恐れも大きく、10年ほど前の報告によると、術後化学療法(ドセタキセル)を受けた乳がん患者およそ千人の半数近い43%が長く続く末梢神経障害を被っていました5)。今回のOPTIMA試験の結果は大勢の乳がん患者の治療を劇的に変えうる可能性を秘めており、医師が患者それぞれに見合った治療を選べるようにするのを手助けするだろう、とVeracyte社の乳がん分野の医学責任者Kelly Marcom氏は言っています2)。 参考 1) First results from the OPTIMA phase III randomized non-inferiority trial of test-directed chemotherapy in patients with high clinical risk ER-positive HER2-negative early breast cancer / 2026 ASCO Annual Meeting 2) OPTIMA Trial Results to Be Presented at ASCO Provide New Evidence Supporting Prosigna-Guided Chemotherapy Decisions in Breast Cancer / BusinessWire 3) Optimal personalised treatment of early breast cancer using multiparameter analysis / ISRCTN 4) Prosigna brochure 5) Eckhoff L. et al. Eur J Cancer. 2015;51:292-300.