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映画「クワイエットルームにようこそ」(その3)【実はこれが医療保護入院を廃止できない諸悪の根源だったの!?(扶養義務)】Part 2

(2)家族の義務として必要だと社会が思っているから現代は、核家族化しており、子供は成人したら家を出て、親と別居することが多いです。それでも、その子供に何か問題が起きたら、職場やアパート管理会社などから緊急連絡先として親に連絡が行きます。このように、まず親が解決すべきであるとの社会からの圧力があります。この感覚から、子供に障害があれば、たとえ成人していても、親のせいにされます。つまり、社会的には、親も「親扱い」され続けます。2つ目の理由は、社会が家族(親)に責任があり、義務として必要だと思っているからです。強制入院させるかどうかを決めるのは、親の義務である、だからこそ強制入院に家族の同意を得るのは当然と考えます。そして、入院費を支払うのも当然の義務と考えます。逆に、医療保護入院制度が廃止されたら、どうなるでしょうか? たとえば、映画に登場していた摂食障害の患者たちが、入院せずに親と同居または別居している時、万が一死んでしまったら、家族がその責任を親族や世間から問われるでしょう。少なくとも、そう思い込んでいる家族は多いです。一方で、強制入院させていたら、より管理されているため、死亡リスクは低くなる上に、たとえ死亡したとしても、専門的な治療をしても難しかったと捉えられ、少なくとも家族の責任は免れます。そもそも、摂食障害で体重を減らすことは、アルコール依存症で飲酒をやめないこと、もっと言えば宗教上の理由で輸血拒否をすることと本質的には同じ、つまり本人の生き方(嗜癖)の問題です。 治したくないなら、本人の生き方として、死亡リスクも含めて、親ではなく本人がその責任を取るだけの話です。そして、その問題に向き合い、本人が治したいと決意するなら、任意入院すればいいだけの話です。そのはずなのに、それを家族や社会が放っておけないのです。ちなみに、有名人が問題を起こした時、その家族が謝罪会見をしたり、メディアがその家族の家にレポート取材をする風習は、日本独特です。世間に迷惑をかけたら、家族のせいにもされてしまう文化があります。(3)家族の義務として必要だという社会に国が合わせているから実は、2009年の民主党(当時)政権では、国連の障害者権利条約に批准するにあたって、家族(保護者)の同意による強制入院をなくすことが検討されていました。ところが、その後に自公政権が返り咲いたことで、家族の同意をなくすのではなく、逆にそれまでにあった同意する家族の優先順位をなくしてしまい、本人の強制入院に家族が誰でも同意できるように改悪をしてしまったのでした2)。そして、だからこそなおさら国連から改善勧告を受けるという始末になってしまったのでした。なぜ自公政権はそこまでしたのでしょうか?3つ目の理由は、家族の義務として必要だという社会に国が合わせているからです。自民党や公明党は、保守政党であるだけに、これまでの家族同意の権利や義務を重んじる保守的な民意を汲み取るでしょう。これは、介護や育児と同じく、なるべく家族に丸抱えさせようとする考え方です。もちろん、一大巨大産業である精神科病院が所属する団体のロビー活動の影響も大きいでしょう。逆に、医療保護入院制度が廃止されたら、どうなるでしょうか? 医療保護入院による医療費を大きく削減できるというメリットはあります。一方で、その分の入院患者がいなくなってダウンサイジングを余儀なくされる精神科病院とその患者を家で抱え込む家族は国に不満を抱くでしょう。また、その患者たちが戻ってきた地域社会では、治安が不安定になると懸念されるでしょう。少なくとも、そう思う保守的な人は多いでしょう。さらには、厚生労働省の天下り先の1つである強制入院ビジネスがなくなってしまうと懸念されている可能性も考えてしまいます。ちなみに、保守政党である自公政権だからこそ、国民の6割が賛成している選択的夫婦別姓の法整備にも積極的に動こうとしないこともわかります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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映画「クワイエットルームにようこそ」(その3)【実はこれが医療保護入院を廃止できない諸悪の根源だったの!?(扶養義務)】Part 3

その義務感に絡まる諸悪の根源とは?医療保護入院が必要とされてしまう現実的な理由は、権利として必要だと家族が思っているから、家族の義務として必要だと社会が思っているから、そして家族の義務として必要だという社会に国が合わせているからであることがわかりました。さらに、この義務感に絡まる、ある決定的な「事情」があります。それは、明日香のように関係が希薄になっている家族をも巻き込みます。それは、扶養義務です。扶養義務とは、扶(たす)け養う務め、つまり、家族は、経済的に自立できない家族の一員を経済的に援助する義務が法的にあるということです。つまり、家族の誰かが精神障害者となり、入院などの治療をして経済的にも自立してくれなければ、最終的にはそのツケを家族が支払わなければならないことを意味します。家族は助け合わなければならないというモラルや社会的な圧力だけでなく、法的なお金の問題も絡んできます。それが薄々気になっているからこそ、家族の同意にとらわれてしまうのです。つまり、いくら医療保護入院制度を廃止しようとしても、結局扶養義務があるため、治療をしなかったら、そのしわ寄せが家族に来て、家族を追い詰めるだけになります。また本来、家族関係がもともと希薄なら、本人が問題を起こしていればいるほど、精神障害があってもなくても家族は関わりたくないはずです。しかし、扶養義務によって無理やり最終的な負担を強いられると思うために、逆説的にも家族は関わらずにはいられなくなるのです。この状況は、さらなる家族関係の悪化を招きます。これは、扶養義務の呪縛と言えます。実際に、2012年に人気お笑い芸人の母親が生活保護を受給していたことが明るみになり、「不正受給」バッシングが巻き起こりました。この世論から、2013年には生活保護法が改正され、扶養義務者に対する通知義務と報告請求の規定が新設され、国による家族への扶養圧力が強化されてしまいました。これは、「家族と絶縁」という形を取った明日香も逃れられないことをほのめかしています。このように、医療保護入院を廃止できない諸悪の根源が厳然と立ちはだかっているのです。1)「ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う」p.108:風間直樹、東洋経済、20222)「医療保護入院」p.4-p.5、p.41、p.57、p.80:精神医療、批評社、2020<< 前のページへ■関連記事映画「クワイエットルームにようこそ」(その2)【家族の同意だけでいいの?その問題点は?(強制入院ビジネス)】Part 1

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第132回 出生者数が戦後最低、もう手遅れか

異次元で急減する出生数2024年の日本の出生数が70万人を初めて割る可能性が高まっています。これは厚生労働省が公表した人口動態統計の速報値に基づいており、2024年11月までの出生数は前年同期比5.1%減の66万1,577人という結果でした(※)1)。2023年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した計画では、2043年に出生数は69.2万人、2044年に68.3万人と予測されていたものの2)、残念ながら現実はこれを大きく上回るペースで減少が進んでいます。あまりにも事前予測が楽観的過ぎました。※この数字には外国人も含まれており、日本人のみの出生数は通年で約69万人と見込まれています。日本の出生数が減少し続ける理由は複合的ですが、未婚化・晩婚化の進行が挙げられます。結婚しない人が増えることで、結果的に子どもを持つ人が減少しています。COVID-19も、この未婚を後押ししてしまった気がします。社会的な後遺症まで残すとは、なんという感染症だ。また、都市部では、キャリア志向や経済的理由から結婚を躊躇する人も増えています。結婚しても子どもを持たない選択をする人も増加しています(図)。この背景には、教育費や住宅費などの子育てコストの上昇、さらには将来の年金不安などが影響しています。画像を拡大する図. 「結婚したら、子どもは持つべきだ」に肯定的な未婚者(国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」(2021年)をもとに筆者再作成)3)さて、政府は「異次元の少子化対策」を掲げています。しかし、皮肉なことに現実は約10年前から「異次元」で出生者が急減しています。対策は打っているが対策の多くはすでに子育てをしている家庭への支援に集中しています。児童手当の拡充や保育施設の整備が進められていますが、未婚者や結婚を考えている若者にとっての直接的な恩恵は少ないのが現状です。結婚を促進する政策や未婚者への支援が不足しているため、少子化対策が十分に効果を発揮していません。地方では若者が減少し、結婚や子育ての機会が減少しています。反面、都市部では高い生活コストが子育てを躊躇させています。地域ごとの課題に対応した政策も必要です。そして、医師の世界でも進められている「働き方改革」ですが、これはどこの業界でも同じ。子育てとキャリアを両立できる社会にしないといけません。テレワークの普及やフレックスタイム制度の導入が進めば、仕事と家庭の両立がしやすくなるのに、そのフレキシビリティが全然進まない。うちの会社はこれまでうまくやってきたから、今まで同じやり方でどうにかなるっしょーと思っている企業も多いです。24~32歳の人口は減少しておらず、ワンチャンこの層に子どもを産んでもらえるよう働きかけるしかないわけです。おそらく2030~35年あたりが最後の勝負どころになりますが、現段階で当該対策が功を奏していないということは、たぶん別のやり方を考えないといけないのでしょう。このフェーズで出生数を増やせないと、日本の人口は加速度的に減少していくと思われます。起死回生の手として、移民政策が挙げられますが、これは国民の反対意見も多いかもしれません。とはいえ、こんなことは政府の皆さんもわかっていることなので、私がこんなところで何を書いても豆腐にかすがい。社会全体で出生数を増やす機運が高まればよいですね。参考文献・参考サイト1)厚生労働省. 人口動態統計速報(令和6年11月分)(2025年1月24日発表)2)国立社会保障・人口問題研究所. 日本の将来推計人口 令和5年推計(2023年8月31日発表)3)国立社会保障・人口問題研究所. 第16回出生動向基本調査 結果の概要(2021年)

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日本人の認知症予防に有効な緑茶やコーヒーの摂取量は

 緑茶やコーヒーには認知機能低下の予防効果があることが報告されているが、認知機能に対する長期的な影響は、よくわかっていない。慶應義塾大学の是木 明宏氏らは、中年期における緑茶やコーヒーの摂取が認知症予防に及ぼす影響を調査した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年1月8日号の報告。 JPHC佐久メンタルヘルスコホートには、1,155人(1995年時点の年齢:44〜66歳)の参加者が含まれた。参加者の緑茶およびコーヒーの摂取量は、1995年と2000年のアンケートにより評価した。認知機能レベルは、2014〜15年に神経心理学的評価を行った。有意な認知機能低下(マルチドメイン認知機能低下およびより重篤な状態と定義)を従属変数としてロジスティック回帰分析を行った。性別および年齢による層別化解析も行った。 主な結果は以下のとおり。・毎日2〜3杯の緑茶を摂取した人は、潜在的な交絡因子で調整した後、認知機能低下リスクの有意な減少が認められた(オッズ比[OR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.35〜0.91)。・4杯以上の緑茶の摂取により、統計学的に有意な差は消失した。・緑茶による認知機能保護効果は、とくに男性で確認された(OR:0.38、95%CI:0.19〜0.76)。・完全に調整された同モデルにおいて、高齢者(1995年時点の平均年齢:53歳以上)では、毎日1杯以上のコーヒー摂取により認知機能低下リスクの有意な減少が確認された(OR:0.54、95%CI:0.34〜0.84)。ただし、サンプル全体では、有意な差は認められなかった。 著者らは「中年期における適度な緑茶摂取は、とくに男性において、認知症予防に有効である可能性が示唆された。また、コーヒーによる認知症予防効果は、高齢者においてより有益であろう」と結論付けている。

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小児の急性単純性虫垂炎、抗菌薬は切除に非劣性示せず/Lancet

 小児の急性単純性虫垂炎に対する治療について、抗菌薬投与の虫垂切除術に対する非劣性は示されなかった。米国・Children's MercyのShawn D. St. Peter氏らが、カナダ、米国、フィンランド、スウェーデンおよびシンガポールの小児病院11施設で実施した無作為化非盲検並行群間比較試験の結果を報告した。合併症のない虫垂炎に対して、手術治療よりも非手術的治療を支持する文献が増加していることから、研究グループは抗菌薬投与の虫垂切除術に対する非劣性を検討する試験を行った。Lancet誌2025年1月18日号掲載の報告。抗菌薬群vs.虫垂切除術群、1年以内の治療失敗率を比較 研究グループは、X線検査の有無にかかわらず単純性虫垂炎と臨床診断された5~16歳の小児を、抗菌薬群と虫垂切除術群に、性別、試験施設、症状持続時間(48時間以上vs.48時間未満)で層別化し、1対1の割合で無作為に割り付けた。 抗菌薬群では、観察のため入院した患児に、各施設の虫垂炎に対する標準治療に基づき選択した抗菌薬を最低12時間点滴静注にて投与し、通常食を摂食でき疼痛コントロールが良好でバイタルサインが正常範囲内であれば退院可とした。入院翌日に改善がみられない場合は、抗菌薬をさらに1日投与するか虫垂切除術を予定した。退院後は経口のアモキシシリン・クラブラン酸またはシプロフロキサシンおよびメトロニダゾールを10日分処方し、患児がこれらを7日間以上服用した場合に試験完了とした。家族には、1年以内に虫垂炎が再発した場合、虫垂切除術を行うことが事前に説明された。 虫垂切除術群では、輸液と抗菌薬の点滴を開始した後、腹腔鏡下虫垂切除術を行った。穿孔が認められなければ術後の抗菌薬投与は行わず、当日を含み可能な時点で退院とした。 主要アウトカムは、無作為化後1年以内の治療失敗。抗菌薬群では1年以内の虫垂切除、虫垂切除術群では陰性虫垂切除または1年以内の全身麻酔を要する虫垂炎関連合併症と定義した。 非劣性マージンは、治療失敗率の両群間差の90%信頼区間(CI)の上限が20%とした。治療失敗率、抗菌薬群34% vs.虫垂切除術群7% 2016年1月20日~2021年12月3日に9,988例がスクリーニングを受け、978例が登録された。このうち936例が抗菌薬群(477例)または虫垂切除術群(459例)に無作為に割り付けられた。 12ヵ月時点で、主要アウトカムのデータが得られたのは846例(90%)であった。このうち、治療失敗率は抗菌薬群34%(153/452例)、虫垂切除術群7%(28/394例)、群間差は26.7%(90%CI:22.4~30.9)であり、90%CIの上限が20%を超えており、抗菌薬群の非劣性は検証されなかった。 虫垂切除術群の治療失敗例は、1例を除きすべて陰性虫垂切除の患児であった。抗菌薬群で虫垂切除術を受けた患児のうち、13例(8%)は病理所見が正常であった。 いずれの群でも死亡や重篤な有害事象は認められず、抗菌薬群の虫垂切除術群に対する、治療に関連した有害事象発現の相対リスクは4.3(95%CI:2.1~8.7、p<0.0001)であった。

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骨髄線維症、移植後30日目の変異消失が予後に関連/NEJM

 骨髄線維症患者において、移植後30日目におけるドライバー遺伝子変異の消失は、その種類に関係なく再発および生存に良好な影響を及ぼすことを、ドイツ・ハンブルグ・ エッペンドルフ大学医療センターのNico Gagelmann氏らが明らかにした。同種造血幹細胞移植は骨髄線維症に対する唯一の治癒的治療法である。この疾患の病態生理学的特徴はドライバー遺伝子変異であるが、移植後の変異の消失の影響は不明であった。NEJM誌2025年1月9日号掲載の報告。ドライバー遺伝子変異をモニタリング、予後との関連を評価 研究グループは、2000~23年にハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターにて初回移植を受けた原発性骨髄線維症または二次性骨髄線維症(真性多血症または本態性血小板血症に続発)の患者324例を対象に、移植前および移植後30日目、100日目、180日目にドライバー遺伝子変異をモニタリングし、変異の消失と再発および生存に及ぼす影響を検討した。 全例、移植の前処置には低強度ブスルファン+フルダラビンを用い、移植片対宿主病の予防は移植前に抗Tリンパ球グロブリン、移植後にカルシニューリン阻害薬(シクロスポリンAまたはタクロリムス)とミコフェノール酸モフェチルまたはメトトレキサートの併用投与を行った。 主要エンドポイントは、再発および無病生存期間(DFS)の2つとした。副次エンドポイントは全生存期間(OS)であった。移植後30日目の変異消失が予後に関連 患者背景は、年齢中央値が60歳、62%が原発性骨髄線維症であった。また、ドライバー遺伝子変異は、JAK2変異238例(73%)、CALR変異73例(23%)、MPL変異13例(4%)に認められ、58%の患者が移植前にJAK阻害薬による治療を受けていた。 移植後30日目には、JAK2変異の42%(101/238例)、CALR変異の73%(53/73例)、MPL変異の54%(7/13例)が遺伝子変異の消失を認めた。移植後100日目の変異消失はそれぞれ63%(117/185例)、82%(60/73例)、100%(13/13例)であり、移植後180日目はJAK2変異が79%(134/169例)、CALR変異が90%(62/69例)であった。 再発の1年累積発生率は、移植後30日目に変異が消失した患者で6%(95%信頼区間[CI]:2~10)、消失しなかった患者で21%(15~27)であった。 6年DFS率および6年OS率は、移植後30日目に変異が消失した患者でそれぞれ61%および74%、消失しなかった患者で41%および60%であった。 移植後30日目の変異消失は従来のドナーキメリズムよりも奏効の指標として優れ、再発や進行のリスク低下と独立して関連していることが示唆された(ハザード比:0.36、95%CI:0.21~0.61)。多変量解析の結果、移植後30日目の変異消失の影響は、ドライバー遺伝子変異の種類(JAK2、CALR、MPL)よりも大きいことが示唆された。

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鳥インフルエンザによる死亡例、米国で初めて確認

 2024年12月、鳥インフルエンザにより入院していた米ルイジアナ州の住民が死亡した。米国初の鳥インフルエンザによる死亡例である。死亡した患者について同州の保健当局は、「65歳以上で基礎疾患があったと報告されている」と発表した。患者は、A型鳥インフルエンザウイルス(H5N1亜型)に感染した野鳥や個人の庭で飼育されていた家禽との接触により感染したという。なお、同州で他にヒトへの感染例は確認されていない。 米疾病対策センター(CDC)は1月6日付の声明で、「ルイジアナ州での死亡者について入手可能な情報を慎重に精査したが、一般市民に対するリスクは依然として低いとの評価に変わりはない。最も重要なのは、ヒトからヒトへの感染は確認されていないということだ」と強調している。 死亡した患者は遺伝子型がD1.1のH5N1亜型に感染していた。これは、2024年暮れにカナダで13歳の少女が感染・重症化した原因となったウイルスと同じ亜型である。ルイジアナ州の患者に感染したウイルスの遺伝子配列を解析したところ、感染の過程で生じたと考えられる、まれな変異が確認された。しかし、この変異はウイルスを媒介したとみられる動物では確認されなかった。CDCは、「気がかりなことであり、またH5N1亜型はヒトへの感染過程で変化し得ることを再認識させる出来事であるが、こうした変化が動物宿主やヒトでの感染の初期段階で確認されれば、より懸念が強まるだろう」と12月26日付のニュースで指摘している。 CDCの以前の説明によると、これまでに報告されている鳥からヒトへの他の感染例のほとんどは大手養鶏場の従業員で発生したものであり、「ルイジアナ州の患者は、庭で飼っている家禽との接触に関連した米国初のH5N1亜型による鳥インフルエンザ症例」とされている。 またCDCは、米国でH5N1亜型による重症の鳥インフルエンザ症例の出現は、予想外のことではなかったと強調。「H5N1亜型による感染症は、他国では2024年以前からヒトでの重症化に関係しており、その中には死亡に至った症例もあった」としている。それでも、今回のケースは、鳥に接触する機会がある人は誰もが注意する必要があることを再認識させるものだとの見方を示している。 米国では2024年以来、少なくとも66人の鳥インフルエンザ感染者が確認されている。最も多くの症例が報告されているのはカリフォルニア州であり、そのほかワシントン州やコロラド州などからも報告されている。感染者は、感染した家禽や乳牛と接触したことのある労働者が大部分を占めている。現時点で、鳥インフルエンザのヒトへの伝播を示すエビデンスはなく、ほとんどの症例は軽症で、主な症状は結膜炎である。また、ヒトからヒトへの感染による死亡例は報告されていない。 2024年12月10日、CDCは、カリフォルニア州在住の子どもから検出された鳥インフルエンザウイルスの株が、乳牛と家禽、過去の感染者から検出されたH5N1亜型に類似していたことを報告した。この子どもに、感染した家畜との接触歴はないという。一方、カリフォルニア州の保健当局も12月17日、この子どもがどのように鳥インフルエンザウイルスに曝露したのかを調査中であることを明らかにしている。なお、この子どもは抗ウイルス薬の投与を受け、その後回復している。このケースでは、ヒトからヒトへの感染は確認されておらず、子どもの家族も全員、検査で陰性だった。 米ネブラスカ大学グローバル・センター・フォー・ヘルスセキュリティーのJames Lawler氏は、「New York Times」の取材に対し、「これは、現時点で大いに懸念すべき問題だといえる。パニックになるべきではないが、何が起こっているのか明らかにするために多くのリソースを投じるべきであることは確かだ」と述べている。

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肥満症治療薬、減量効果が特に高いのはどれ?

 GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬などの肥満症治療薬のうち、肥満や過体重の人の減量に最も効果的なのはどれなのだろうか? マギル大学(カナダ)医学部教授のMark Eisenberg氏らにより「Annals of Internal Medicine」に1月7日掲載された新たな研究によると、その答えは、デュアルG(GIP〔グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド〕/GLP-1)受容体作動薬のチルゼパチド(商品名ゼップバウンド)、GLP-1受容体作動薬のセマグルチド(商品名ウゴービ)、および開発中のトリプルG(GLP1/GIP/グルカゴン)受容体作動薬のretatrutide(レタトルチド)であるようだ。これに対し、GLP-1受容体作動薬のリラグルチド(商品名サクセンダ)の減量効果は、これら3種類ほど高くないことも示された。 GLP-1受容体作動薬は、食物を摂取したときに小腸から分泌されるホルモンのGLP-1の作用を模倣した薬剤で、もともと糖尿病の治療薬として開発された。GLP-1は、胃の内容物の排出を遅らせることで食後の血糖値の急上昇を抑えるとともに、中枢神経に作用して満腹感を高める効果を持つ。これにより、食物の摂取量が減り、それが体重減少につながる。デュアルGやトリプルG受容体作動薬は、GLP-1受容体に加え、GIP受容体やグルカゴン受容体などをターゲットにすることで、血糖値上昇を抑制したり満腹感を促進したりする効果を高めようとするもの。 今回Eisenberg氏らは、総計1万5,491人(女性72%、平均BMI 30〜41、平均年齢34〜57歳)を対象にした26件のランダム化比較試験(RCT)のデータを用いて、糖尿病のない肥満者に対する肥満症治療薬の有効性と安全性を検討した。これらのRCTでは、3種類の市販薬(リラグルチド、セマグルチド、チルゼパチド)およびretatrutideなど9種類の承認前薬剤の計12種類の効果が検討されており、治療期間は16週間から104週間(中央値43週間)に及んだ。 その結果、プラセボ投与と比較して、72週間のチルゼパチド(週1回15mg)投与により最大17.8%、68週間のセマグルチド(週1回2.4mg)投与により最大13.9%、48週間のretatrutide(週1回12mg)投与により最大22.1%の体重減少が確認された。また、これらの効果に比べると控え目ではあるものの、26週間のリラグルチド(1日1回3.0mg)投与によっても最大5.8%の体重減少が認められた。安全性の点では、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などが一般的な副作用として報告されていたが、薬の服用を中止しなければならないほどひどい副作用はまれだった。 論文の上席著者であるEisenberg氏は、「われわれの調査で対象とした12種類の肥満症治療薬のうち、RCTにおいて最も大きな減量効果が報告されていたのは、retatrutide、チルゼパチド、セマグルチドであることが判明した」と結論付けている。 研究グループは、これらの肥満症治療薬の欠点の一つは、治療効果を維持するために継続的な服用が必要な点であると指摘し、「われわれが実施したシステマティックレビューでは、治療期間が長いRCTでは、追跡期間の短いRCTと同様の減量結果が示されている。この結果は、継続的な治療の必要性を裏付けている」と述べている。なお、retatrutideは、イーライリリー社により開発が進められている薬剤で、現在、臨床試験が進行中である。

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見直されるガバペンチンの転倒リスク、安全性に新知見

 ガバペンチンは、オピオイド系鎮痛薬の代替薬として慢性疼痛や神経痛の緩和に広く用いられているが、高齢者に投与した場合、転倒リスクを高めるという報告もある。このような背景から高齢者へのガバペンチンの処方には慎重になるべき、という意見もある。しかし、米ミシガン大学医学部内科のAlexander Chaitoff氏らの最新の研究で、この鎮痛薬が当初考えられていたよりも高齢者にとって安全である可能性が示唆された。 研究を主導したChaitoff氏は、「ガバペンチンは、軽度の転倒による医療機関への受診回数を減少させる傾向を示したが、重症度のより高い転倒関連事象(股関節骨折や入院など)リスクとの関連は確認されなかった」と述べている。同氏らの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に1月7日掲載された。 ガバペンチンの処方件数は2020年には5000万件近くに達したが、この薬が高齢者の転倒リスクを高める可能性を指摘した複数の研究の影響で、2022年には処方件数が20%減少した。しかし、研究グループは、適応となる疼痛疾患自体も転倒リスクを高めることから、ガバペンチンによる転倒リスクが誇張されている可能性があると考えた。このような背景から、研究グループは、ガバペンチンと、転倒リスクを高めるとの報告がない神経痛治療薬デュロキセチンの転倒リスクを比較検討することとした。 この研究では、2014年1月から2021年12月の間に糖尿病、帯状疱疹、線維筋痛症に関連する神経痛のためにガバペンチンまたはデュロキセチンを処方された65歳以上の高齢者5万7,086人(ガバペンチン5万2,152人、デュロキセチン4,934人)のデータを収集・分析した。主要評価項目は、薬剤の投与開始後6カ月以内の、あらゆる転倒による受診リスクとした。副次評価項目は重度の転倒関連イベント(転倒による股関節骨折、救急外来受診、または入院と定義)の発生リスクとした。 その結果、ガバペンチンを処方された患者では、デュロキセチンを処方された患者に比べて、あらゆる転倒のリスクが全体で48%(ハザード比0.52、95%信頼区間0.43~0.64)低いことが判明した。しかし、重度の転倒関連イベントの発生リスクに関しては、両群に違いは認められなかった。 研究グループは、「高齢者において、ガバペンチンが転倒リスクを高めないとは断言できない。しかし、ガバペンチンの投与開始から6カ月間における転倒リスクは、他の代替薬と比較して高いわけではなく、むしろ安全性の面ではより適している可能性がある」と結論付けた。 また、研究グループは、今回の研究の限界点として、対象者にフレイルの高齢者が少なかったため、転倒件数が過小評価された可能性があることを挙げている。

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65歳以上の全女性に骨粗鬆症スクリーニングを推奨――USPSTF

 米国予防医学専門委員会(USPSTF)は1月14日、65歳以上の全ての女性に対して、骨折予防のための骨粗鬆症スクリーニングを推奨するという内容のステートメントを発表した。また65歳未満であってもリスク因子のある女性は、やはりスクリーニングの対象とすべきとしている。一方、男性に対するスクリーニングに関しては、まだ十分なエビデンスがないとした。これらの推奨の詳細は、USPSTFのサイトに同日掲載された。 USPSTFのEsa Davis氏は、「骨粗鬆症患者に現れる最初の症状が骨折であることが非常に多い。このことが、その後の深刻な健康障害を引き起こしている」と、未診断の骨粗鬆症患者が少なくないという問題を指摘し、スクリーニング対象基準を明確にすることの意義を強調。また、「この基準の明確化によって、65歳以上の女性だけでなく、リスクが高い場合は65歳未満の女性も、骨折を来す前にスクリーニングを受けることで骨粗鬆症を早期に発見でき、女性の健康、自立、生活の質の維持につなげられる」と話している。 骨も体のほかの組織と同じように、新陳代謝を繰り返している。しかし加齢とともに、骨の吸収と形成のバランスが負になりやすく、吸収された骨が十分に補充されなくなっていく。骨粗鬆症の多くはこのような加齢の影響により進行し、徐々に骨密度が低下していき骨折のリスクが上昇してくる。米クリーブランドクリニックのデータによると、骨粗鬆症による骨折が生じやすい部位は、股関節、手首、脊椎などと報告されている。 USPSTFは予防医学関連のさまざまなステートメントを策定するとともに、それらを定期的に見直し、最新の医学的知見に準拠した内容を維持している。今回のUSPSTFのステートメントに関しては、2011年および2018年に発表された以前のバージョンと基本的には一致する内容だが、スクリーニングのための検査手法として、「二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)による骨密度(BMD)測定が含まれる」とされた。 推奨項目は以下のとおり。65歳以上の女性に対して骨粗鬆症のスクリーニングを行い骨折を予防する(グレードB)。骨粗鬆症の危険因子を一つ以上有する65歳未満の閉経後女性に対して骨粗鬆症のスクリーニングを行い骨折を予防する(グレードB)。男性の骨粗鬆症による骨折を予防するためにスクリーニングを行うことのリスク/ベネフィットのバランスを評価するには、現在のエビデンスは不十分。 男性のスクリーニングについてUSPSTF副委員長のJohn Wong氏は、「検査によって骨粗鬆症の男性を特定することは可能。しかし、検査とそれに続く治療が、男性の骨折を抑制するかどうかについては、さらなるエビデンスが必要な段階だ。USPSTFは現在、男性に対する研究を奨励している」と述べている。 なお、USPSTFは全米の予防医学に関する専門家で構成される独立したボランティア委員会で、USPSTFのステートメントが医療保険制度に変化をもたらすこともある。同国の医療保険制度改革法(Affordable Care Act)では、USPSTFの推奨度が高い検査は無料で受けられるようにすべきとしている。

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活動性クローン病に対する抗サイトカイン抗体ミリキズマブの有効性と安全性(解説:上村直実氏)

 中等症~重症の活動期クローン病(CD)の寛解導入療法および寛解維持療法における抗IL-23p19抗体ミリキズマブ(商品名:オンボー)の有用性と安全性を、プラセボと実薬対照である抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(同:ステラーラ)と同時に比較検討した結果、ミリキズマブが寛解導入および維持療法においてプラセボと比べて有意な優越性を示し、さらに、ウステキヌマブと同等の有用性を示したことが2024年11月のLancet誌に掲載された。 わが国におけるクローン病に対する治療は、経腸栄養療法、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤、ステロイド、アザチオプリンなど従来の薬物療法が行われてきたが、難治例に対してインフリキシマブやアダリムマブなどTNFα阻害薬が使用されるケースが増えている。しかし、以上のような治療を適切に行っても、寛解導入できない症例や寛解を維持できなくて再燃する症例がいまだ多くみられるのが現状であるため、さらに新たな薬剤が次々と開発されている。 新たな生物学的製剤としてミリキズマブと同じ抗サイトカイン抗体であるウステキヌマブ、リサンキズマブ(商品名:スキリージ)やJAK阻害薬のウパダシチニブ(同:リンヴォック)および抗インテグリン抗体であるベドリズマブ(同:エンタイビオ)がクローン病に対する保険適用を有している。なお、対象として日本人も参加している本試験の結果から、今後近いうちに、ミリキズマブもクローン病に対して保険適用となることが予想される。 今回の研究デザインで特徴的なのは、ミリキズマブの有効性を検証するために寛解導入試験の開始時にプラセボ群および実薬対照のウステキヌマブ群の3群に無作為割り付けして、治療開始12週時点での臨床的奏効率を比較した後、そのまま同じ薬剤の投薬を継続して52週時点での臨床的有効率および内視鏡的奏効率により比較検討した方法(treat-through study)という点である。従来、プラセボ対照試験として寛解導入できた症例を寛解維持療法の試験にエントリーして寛解維持率を比較検討する方法が多かったのであるが、今回のデザインはより臨床現場における治療方針の参考になるものと考えられる。 最後に、同じ抗サイトカイン抗体であるが、IL-23のp19サブユニットを標的とするミリキズマブとIL-12とIL-23を抑制するウステキヌマブの実薬同士の比較は非常に興味深いものと思われた。本研究結果からは両者間に有意な違いは認められなかったが、今後、IL-23p19のみを抑制するミリキズマブやリサンキズマブと、IL-12も同時に抑制するウステキヌマブとの長期的な有用性や安全性を比較する検証が期待された。

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患者からのハラスメント、受けたことのある薬剤師は何割?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第144回

顧客からの暴言・暴力などの迷惑行為(カスタマーハラスメント、以下「カスハラ」)が社会問題になっています。最近、タクシーなどにもカスハラ防止のシールが貼られているのを目にします。今回、薬局薬剤師に対するカスハラの実態が明らかになりました。業務中にカスタマーハラスメントを受けた経験がある薬局薬剤師が約7割に上ることが、東京都薬剤師会が昨年11月に実施したアンケート調査で明らかになった。「過去のハラスメント経験が現在も業務に影響を残している」と回答したのは約3割あった。そのうち出荷調整などの医薬品流通に起因していた事例が一定数あり、薬剤師が休職に追い込まれる事例があることも判明した。都薬は今後の対応策として、ハラスメントの相談窓口の設置やハラスメント防止を啓発するポスターの薬局内掲示などを検討する。(2025年1月15日付 薬事日報)東京都薬剤師会が薬局薬剤師に対して、業務中のカスハラについてアンケートを実施しました。薬剤師489人から回答があり、カスハラを受けたことが「ある」は69.1%、「直接受けた経験はないが見たことはある」は7.2%、「ない」は23.7%という結果でした。カスハラを受けた経験や業務中にそれを見た頻度では、「年に1回程度」が44.5%、「月に1回程度」が26%でした。カスハラの内容としては、「暴言」が圧倒的に多く、次いで「謝罪等の執拗な強要」「金銭などを投げ渡すなどの侮辱」「執拗な電話」などが挙がりました。なかにはSNSを用いたものなどもありました。東京都のみの500人足らずの調査ですので、全国的にはものすごい人数になるのではないかと思います。カスハラについては、2022年4月に「労働施策総合推進法」が改正され、すべての事業所においてパワーハラスメントの雇用管理上の措置が義務化されています。これを踏まえ、東京都では全国に先駆けてカスタマーハラスメントの防止条例が成立し、医療者の在宅業務中におけるハラスメント相談窓口も開設されました。実は、私も薬局勤務中にカスハラにあったことがあるうちの1人です。薬局内で慰め合って終わる軽いものから、10年以上経っているのに思い出して嫌な気持ちになるものまで多々あります。個人的には、面薬局での勤務よりも、大きな病院の門前薬局勤務の際に多かったような気がします。「こちらが悪くないのに、感情をぶつけてくる患者さんに謝ったり対応したりしたくない」という理由で、管理薬剤師になりたくないと言っている後輩もいたくらいです。患者さんは病院でも待たされ、薬局でも待たされ…という状況でお疲れなのかもしれませんが、やはり許せるものではありません。今回、薬剤師に対するカスハラが明らかになったということで、東京都薬剤師会は相談窓口の設置やハラスメント防止を啓発するポスターの薬局内掲示を検討するとしています。多少の抑止力にはなるかもしれません。こういう取り組みは全国に広まるとよいなと思います。

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「ニラ」と思って食べたら“悪心・嘔吐”、何の中毒?【これって「食」中毒?】第8回

今回の症例年齢・性別56歳・女性患者情報2月上旬に自宅の庭で栽培していた「ニラ」だと思って採取した植物の葉を、キャベツと一緒にみじん切りにして、豚の挽肉、摺り下ろしたニンニクやショウガ、調味料と混ぜて餃子にし、フライパンで焼いた。19時頃に食べ始めると、19時30分頃より口腔内が唾液で溢れ、嘔気が生じて、嘔吐を繰り返したため、20時50分に救急センターに搬送された。初診時は気道開通、呼吸数20/分、SpO2 98%(室内気)、血圧122/76 mmHg、心拍数84 bpm(整)、意識レベルJCS 0、瞳孔 左右3.5 mm同大、対光反射 迅速、体温36.6℃であった。発汗、流涎、悪心・嘔吐を認めた。検査値・画像所見末梢血では、WBC 6.40x103/mm3、Hb 11.8g/dL、Ht 34.6%、Plt 180x103/mm3、生化学検査では、TP 6.4g/dL、GOT(AST) 22IU/L、GPT(ALT) 18IU/L、LDH 284IU/L、CPK 98IU/L、AMY 326IU/L、Glu 106mg/dL、BUN 10mg/dL、Cr 0.8mg/dL、Na 142mEq/L、K 3.4mEq/L、Cl 106mEq/Lであった。胸腹部CTでは異常所見を認めなかった。問題画像を拡大する

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第248回 自家NK細胞療法を自費で行うクリニックに改善命令、敗血症発症は「生来健康」な成人の衝撃、厚労省は新たなガイダンス作成へ

「生来健康」な成人が「免疫力のアップ」を目的に細胞療法を自費で受け、敗血症にこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。キャンプインを目前にして野球が盛り上がってきました。日本のNPBでは複数の有名選手の不倫問題やトレバー・バウアー投手の横浜DeNAベイスターズ復帰が話題となっていますが、MLBでは佐々木 朗希投手(23)のロサンゼルス・ドジャース入団や、イチロー氏の米国野球殿堂入りなど、こちらも話題が盛り沢山です。個人的には中日ドラゴンズからポスティングシステムで MLBを目指していた小笠原 慎之介投手(27)のワシントン・ナショナルズ入りが興味を引きました。日刊スポーツなどの報道によれば、2年総額350万ドル(約5億4,300万円)で、今季年俸が150万ドル(約2億3,300万円)、来季年俸が200万ドル(約3億1,000万円)、中日への譲渡金はわずか70万ドル(約1億900万円)だそうです。同じくポスティングシステムで千葉ロッテマリーンズからドジャースに移籍した佐々木投手は、マイナー契約ながら契約金は今年の国際FAで最高額の6,500万ドル(約10億100万円)で、ロッテへの譲渡金は25%の約2億5,000万円だそうです。小笠原投手、中日で9年間に46勝(昨年は5勝)していますが、随分安く見られたものです。小笠原投手はまだ若く、カーブやチェンジアップを得意とする投手です。昨シーズンのシカゴ・カブス・今永 昇太投手ばりの活躍を期待したいところです。ちなみに、ワシントン・ナショナルズは2004年まではカナダが本拠地のモントリオール・エクスポズでした。現在の球場、ナショナルズ・パークはワシントンD.C.にあり、地下鉄利用でアクセスも良く、ドジャー・スタジアムのようには混まない上に、とても美しい球場です。ワシントンD.C.出張や旅行の折にはぜひ訪れてみて下さい。さて今回は、昨年10月に発生し、年末に厚生労働省が改善命令を出した東京の自由診療クリニックで起きた再生医療による敗血症事例について書いてみたいと思います。1月24日に開かれた厚生労働省の再生医療等評価部会でも、国立感染症研究所からその詳細が報告されましたが、敗血症を発症した2例ともなんと「生来健康」な成人で、「免疫力のアップ、がんの予防」を目的にクリニックを訪れていました。昨年10月にはクリニックなどに対し再生医療の提供を一時停止させる緊急命令この事例が最初の報道されたのは昨年の10月です。がん予防などを目的に都内のクリニックで自分のNK(ナチュラルキラー)細胞を採取、培養後に再び自分の体に戻す細胞療法を受けた人が重大な感染症にかかり入院したとして、厚生労働省は10月25日、クリニックなどに対し再生医療の提供を一時停止させる緊急命令を出しました。10月26日付の朝日新聞などの報道によれば、自由診療による細胞療法を提供していたのは医療法人輝鳳(きほう)会THE K CLINIC(東京都中央区)です。このクリニックで細胞療法を受けた2人が入院治療を要する重大な感染症を発症しました。細胞加工物を製造した同法人の池袋クリニック培養センター(東京都豊島区)において原因とみられる細菌が検査で検出されたとのことです。この事例については、10月24日に輝鳳会から厚労省に報告があり、同省は再生医療安全性確保法に基づいて、クリニックと培養センターに対し「悪性腫瘍の予防に対する自家NK細胞療法」の提供とその細胞加工物の製造の一時停止を命じました。調査の結果2人の細胞加工物の残液から細菌確認、12月に衛生管理体制の再検討や改善計画の提出などを求める改善命令この問題については厚労省と医薬品医療機器総合機構(PMDA)、国立感染症研究所が調査を進め、12月24日に改めて、THE K CLINICの管理者・橋口 華子氏、池袋クリニックの管理者・甲 陽平氏、池袋クリニック培養センターを管理する輝鳳会(理事長・久藤 しおり氏)に対し、再生医療安全性確保法に基づいた改善命令を出しました。この時公表された調査結果によれば、患者2人がTHE K CLINICで自家NK細胞療法を受けたのは9月30日でした。その帰宅中に2人とも体調不良となり、病院に緊急搬送され、敗血症の診断でICUに入院しました。2人とも健康な成人で、池袋クリニック培養センターにおいて別々(1人は投与4ヵ月前、1人は投与1ヵ月前)に細胞採取(採血)が行われ、培養後にTHE K CLINICで投与を受けました。10月3日、細胞加工物を製造した池袋クリニック培養センターの細胞培養加工施設が、2人に投与した細胞加工物の無菌試験検体が陽性となったことを報告。その後、同検体から好気性グラム陰性桿菌(Pseudoxanthomonas mexicana)が同定されたとのことです。THE K CLINICは当該療法の計画の審査を行う認定再生医療等委員会へ本事例の発生を報告、10月24日に輝鳳会から厚労省に報告 が行われ、10月25日の緊急命令に至ったものです。厚労省、PMDA、国立感染症研究所の調査でも、2人の細胞加工物の残液から細菌(Pseudoxanthomonas mexicana)が確認され、同菌が敗血症発症の原因と考えられるとしました。汚染原因としては、採血時又は無菌試験検体準備時の汚染や、細胞培養過程での交差汚染の可能性が高いとしました。また、培養センターでは、点検整備の記録の作成が行われないなど複数の法令違反があり、無菌試験の一部を目視で行うなど不適切な体制もあったとのことです。同省は改善命令で、衛生管理体制の再検討や、改善計画の提出などを求めました。なお、この培養センターの運営は組織培養用培地の製造・販売等を行うバイオ企業に全面的に任せていたようです。不適切な温度管理下での輸送が汚染された最終投与物内の細菌増殖に影響を与えた可能性もなお、1月27日に開かれた再生医療等評価部会では、国立感染症研究所は上述したような事故の原因に加え、池袋の培養センターからTHE K CLINICへの「不適切な温度管理下での輸送が、汚染された最終投与物内の細菌増殖に影響を与えた可能性は否定できなかった」ともしました。その上で、再発防止に向けて、1.細胞培養加工施設における操作毎の手指衛生を中心とした適切な清潔操 作と環境の清掃や消毒の手順書の作成2.手順に関する定期的な職員の研修・訓練の確実な実施3.迅速かつ信頼できる無菌試験体制の確立4.搬送時の適切な温度管理5.治療後の適切な健康観察6.適切な逸脱管理、時に認定再生医療等委員会への迅速な報告7.各手順における適切な記録と保管の7項目を提言しました。厚労省はこの提言も踏まえ、こうした感染事故等の再発を防止するために、再生医療を提供する医療機関などに向け、通知やガイダンスを発出する方針とのことです。1月28日付の日経バイオテクは、「部会では、CPCにおける清潔操作の徹底や無菌試験の実施法、細胞などの温度管理、問題が発生した際の報告体制などについて、既存のガイダンスに盛り込んだり、新たにガイダンスを作成したりすることが検討された」と書いています。自家NK細胞療法は再生医療等安全性確保法で比較的リスクの低い第3種再生医療等に位置付けそれにしても、「がんにかからない(あるいは再発しないため)ために免疫力をアップさせる」という触れ込みで自家NK細胞療法を自由診療で行う医療機関(主に美容クリニックや、がん免疫療法を看板に掲げるクリニック)がなんと多いことでしょう。今回の場合、「生来健康」だった人が敗血症にかかって死にかけているわけですから、本末転倒と言えます。なお、一部の情報では、敗血症を発症したのは日本人ではなく、中国からわざわざ再生医療を受けに来た人のようです。男女の性別はわかっていません。自家NK細胞療法については、その科学的根拠は確立していないにもかかわらず、自由診療での提供が拡大しているのは、その提供自体は再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)で認められているためです。自家NK細胞療法は、同法で比較的リスクの低い第3種再生医療等に位置付けられており、その高額な治療費や曖昧なエビデンスが批判されることはありましたが、提供禁止までには至っていません。ちなみに、「第189回 エクソソーム療法で死亡事故?日本再生医療学会が規制を求める中、真偽不明の“噂”が拡散し再生医療業界混乱中」で書いたエクソソーム療法も美容クリニックなどの自由診療で広がっています。しかし、日本では細胞培養上清液やエクソソームは細胞断片であり細胞には当たらないと整理されており、今のところ、再生医療等安全性確保法の対象外です。「第189回」では、エクソソームなどの細胞外小胞は「交差汚染管理が不十分な場合などに敗血症等重篤な事故を引き起こす可能性がある」(再生医療等評価部会・岡野 栄之氏資料より)との意見を紹介しましたが、今回は、第3種再生医療等のカテゴリーにある自家NK細胞療法で、その敗血症が起こってしまったわけです。「再生医療等安全性確保法が厳しいルールを定めていようとも、クリニックが実際にそれを守らなければ、安全性も絵に描いた餅」と週刊新潮今回の敗血症事例の発生で、美容クリニックなどで行われている細胞療法やエクソソーム療法などに対する世間の目が厳しくなる可能性があります。実際、週刊新潮の2025年1月16号は、「『専門家からすると“自殺行為”』 事故多発の再生医療の闇…」と題する記事を掲載、今回のTHE K CLINICで起きた事故を報じるとともに、「安確法(再生医療等安全性確保法)が厳しいルールを定めていようとも、クリニックが実際にそれを守らなければ、当然、安全性も絵に描いた餅に終わってしまう。冒頭で紹介したクリニックはその最たる問題例といえる。(中略)安確法は事実上骨抜きになっているといってよく、一般の患者にとって『本当に安全な再生医療』を見抜くことはほとんど不可能なのである」と書いています。さらに同記事は、再生医療等安全性確保法の対象外のエクソソーム療法や幹細胞培養上清液治療にも言及、「インターネットで検索すると、アンチエイジングや傷ついた組織の修復、育毛、疲労回復に免疫調節作用など、夢のような効果がうたわれている。(中略)現実には『夢のような治療』とは程遠い劣悪な製品が横行し、命の危険にさらされる恐れすら否定できないのが実態」と書くとともに、一般社団法人・再生医療安全推進機構の代表理事を務める香月 信滋氏の「現在の日本で表立って上清液治療やエクソソーム治療を提供している約700ヵ所の医療施設のうち、患者自身の細胞を使用していると明確に公表している施設はほとんどありません。それどころか8割以上が他人の細胞由来か、下手をすれば人間の細胞由来ではない恐れすらあります。また、専門家の調査によって、エクソソームとうたいながらエクソソームが全く含まれていない“謎の液体”が使用されている悪質な例も判明した」とのコメントも紹介しています。確固たるエビデンスもないまま、美容医療やがん予防における自由診療としてマーケットを広げつつある再生医療ですが、厚生労働省には安全性確保のため今まで以上の規制強化とともに、消費者側が悪徳医療機関の“詐欺”に遭わないようにするための何らかの対策も、ぜひ講じてもらいたいと思います。

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ブレクスピプラゾールは統合失調症患者の精神症状だけでなくQOLも改善

 統合失調症治療では、感情的、身体的、社会的、認知機能的な領域にわたる健康的な生活への関与と関連する因子の向上が重要である。カナダ・カルガリー大学のZahinoor Ismail氏らは、統合失調症患者の健康的な生活への関与に対するブレクスピプラゾールの短期的および長期的な影響を評価するため、臨床試験データの事後分析を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2025年1月3日号の報告。 成人統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性および安全性を評価した臨床試験のデータを分析した。臨床試験には、6週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験3件(1,385例)、52週間の非盲検延長試験2件(408例)を含めた。患者の生活への関与は、妥当性が証明されている陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の14のサブセットを用いて測定した(スコア範囲:最高14〜最低98)。平均スコアの変化および治療反応率(臨床的に重要な最小差異推定値5ポイント以上および10ポイント以上)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインから6週目までの患者の生活への関与において、ブレクスピプラゾール群(2〜4mg/日)は、プラセボ群と比較し、より大きな改善が認められた(95%信頼区間:−3.57〜−1.58、p<0.001、エフェクトサイズCohen's d:0.28)。【ブレクスピプラゾール群】最小二乗平均差変化:−8.3±0.3(868例)【プラセボ群】最小二乗平均差変化:−5.7±0.4(517例)・これらの改善は、ブレクスピプラゾール1〜4mg/日の58週間投与においても、維持された(399例)。・6週目における治療反応率は、5ポイント以上の改善ではブレクスピプラゾール群71.6%、プラセボ群58.0%(p<0.001)、10ポイント以上の改善ではブレクスピプラゾール群43.5%、プラセボ群32.8%(p<0.001)であった。・58週目(179例)におけるブレクスピプラゾール群の治療反応率は、5ポイント以上の改善で90.5%、10ポイント以上の改善で78.2%であった。 著者らは「統合失調症に対するブレクスピプラゾール治療は、精神症状の改善だけでなく、重要なアウトカムである患者の生活への関与を改善する可能性を秘めていることが明らかとなった」と結論付けている。

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最初の3歩のビデオ撮影で働き盛りの転倒リスクを機械学習で推定/京都医療センターほか

 70歳までの就業が企業の努力義務となり、生涯現役時代が到来した。その一方で、職場での転倒による労働災害は最も多い労働災害であり、厚生労働省は2015年から「STOP!転倒災害プロジェクト」を展開している。しかし、休業4日以上の死傷者数は、令和3(2021)年度で転倒が最も多く(3.4万人)、平成29(2017)年度と比べ18.9%も増加している(労働者死傷病報告)。保健・医療・福祉分野においてさまざまな転倒リスクアセスメントトツール(AIを含めた)が開発されているが、元となるデータは診療録や看護記録であるため精度に限界があることが指摘されていた。 そこで、坂根 直樹氏(京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長)らのVBGA研究グループ(山内 賢氏[慶應義塾大学体育研究所]、パナソニック株式会社)は、フィールド実験に参加した40~69歳の男女190例(平均年齢=54.5±7.7歳、男性48.9%)をトレーニングデータとして、歩き方を撮影し、最初の3歩の3次元動画から歩行特徴量を抽出した。そして、機械学習を用いて転倒リスクを評価するモデルを作成した。 ラボ実験に参加した男女28例(平均年齢=52.3±6.0歳、男性53.6%)をバリデーションデータとして、転倒リスクを予測することができるかを検証した。 研究結果はJournal of Occupational Health誌オンライン版2025年1月10日号に掲載された。 主な結果は以下のとおり。・最初の3歩につき77の歩行特徴が抽出された。・男性では、3つの歩行特徴で転倒リスクを予測することができ、その曲線下面積(AUC)は0.909(95%信頼区間[CI]:0.879~0.939、Excellent[優れている])と判定された。・女性では、5つの歩行特徴から転倒リスクを予測することができ、そのAUCは0.670(95% CI:0.621~0.719、sufficient[十分])と判定された。 これらの結果を受けて坂根氏は、「従来の転倒リスクを推定する研究は高齢者を対象とした研究が多かった。今回は働き盛りの転倒リスクを、最初の3歩のビデオ画像から判定しており、応用範囲は広く、労働災害防止に役立つ可能性がある」と述べている。

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抗インフル薬、非重症者で症状改善が早いのは?~メタ解析

 重症ではないインフルエンザ患者に対する抗ウイルス薬の効果を調査した結果、バロキサビルは高リスク患者の入院リスクを低減し、症状改善までの時間を短縮する可能性があったものの、その他の抗ウイルス薬は患者のアウトカムにほとんどまたはまったく影響を与えないか不確実な影響であったことを、中国・山東大学のYa Gao氏らが明らかにした。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2025年1月13日号掲載の報告。 インフルエンザは重大な転機に至ることがあり、高リスク者ではとくに抗ウイルス薬が処方されることが多い。しかし、重症でないインフルエンザの治療に最適な抗ウイルス薬は依然として不明である。そこで研究グループは、重症ではないインフルエンザ患者の治療における抗ウイルス薬の有用性を評価するため、系統的レビューとネットワークメタ解析を行った。 研究グループは、MEDLINE、Embase、CENTRAL、CINAHL、Global Health、Epistemonikos、ClinicalTrials.govをデータベース開設から2023年9月20日まで検索した。対象は、重症ではないインフルエンザ患者の治療として、直接作用型インフルエンザ抗ウイルス薬をプラセボ、標準治療(各施設のプロトコールに準拠またはプライマリケア医の裁量)、他の抗ウイルス薬と比較したランダム化比較試験であった。ペアのレビュワーが独立して試験をレビューしてデータを抽出し、バイアスリスクを評価した。頻度論に基づく変量効果モデルを用いたネットワークメタ解析でエビデンスを要約し、GRADEアプローチでエビデンスの確実性を評価した。主要アウトカムは死亡率、入院、集中治療室入室、入院期間、症状緩和までの時間、抗ウイルス薬耐性の発現、有害事象などであった。 主な結果は以下のとおり。・3万4,332例が参加した73件の試験が適格となった。平均年齢の中央値は35.0歳、男性が49.8%であった。・評価された抗ウイルス薬は、バロキサビル、オセルタミビル、ラニナミビル、ザナミビル、ペラミビル、umifenovir、ファビピラビル、アマンタジンであった。・すべての抗ウイルス薬は、標準治療またはプラセボと比較して、低リスク患者と高リスク患者の死亡率にほとんどまたはまったく影響を与えなかった(エビデンスの確実性「高」)。・抗ウイルス薬(ペラミビルとアマンタジンはデータなし)は、低リスク患者の入院にほとんどまたはまったく影響を与えなかった(エビデンスの確実性「高」)。・高リスク患者の入院については、オセルタミビルはほとんどまたはまったく影響を与えず(リスク差[RD]:-0.4%、95%信頼区間[CI]:-1.0~0.4、エビデンスの確実性「高」)、バロキサビルはリスクを低減した可能性があった(RD:-1.6%、95%CI:-2.0~0.4、エビデンスの確実性「低」)。他の抗ウイルス薬は効果がほとんどないか不確実な影響である可能性があった。・バロキサビルは症状持続期間を短縮した可能性が高く(平均差[MD]:-1.02日、95%CI:-1.41~-0.63、エビデンスの確実性「中」)、umifenovirも症状持続期間を短縮した可能性があった(MD:-1.10日、95%CI:-1.57~-0.63、エビデンスの確実性「低」)。オセルタミビルは症状持続期間に重要な影響をもたらさなかった(MD:-0.75日、95%CI:-0.93~-0.57、エビデンスの確実性「中」)。・治療に関連する有害事象については、バロキサビルでは有害事象がほとんどまたはまったくなかった(RD:-3.2%、95%CI:-5.2~-0.6、エビデンスの確実性「高」)。オセルタミビルでは有害事象が増加した可能性が高かった(RD:2.8%、95%CI:1.2~4.8、エビデンスの確実性「中」)。 これらの結果より、研究グループは「この系統的レビューとメタ解析により、バロキサビルは重症でないインフルエンザ患者の治療に関連する有害事象を増加させることなく、高リスク患者の入院リスクを低減し、症状改善までの時間を短縮する可能性があることが判明した。他のすべての抗ウイルス薬は、アウトカムにほとんどまたはまったく影響を与えないか、または不確かな影響しかなかった」とまとめた。

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高齢者救急、緩和ケア開始は入院率を改善するか/JAMA

 生命を脅かす重篤な疾患を呈し救急診療部(ED)を受診した高齢患者に対する、複数要素介入を取り入れた緩和ケア(Primary Palliative Care for Emergency Medicine:PRIM-ER)の開始は、入院率を改善せず、介入後の医療活用状況や短期死亡率にも影響を及ぼさないことが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのCorita R. Grudzen氏らが実施した「PRIM-ER試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2025年1月15日号に掲載された。米国の救急診療部のクラスター無作為化試験 PRIM-ER試験は、EDにおける救急医、医療助手、看護師などによる緩和ケアの実践を強化するための複数要素介入の評価を目的とするstepped-wedgeデザインを用いたクラスター無作為化試験であり、2018年5月~2022年12月に米国の29のEDで患者を登録した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成を受けた)。 EDを初めて受診した66歳以上、Gagne comorbidityスコアが6点以上(短期的な死亡リスクが30%以上)のメディケア登録患者9万8,922例を対象とした(高齢者介護施設入居者は除外)。介入前の5万458例と介入後の4万8,464例を比較した。 PRIM-ERは主に次の4つで構成された。(1)エビデンスに基づく集学的な教育、(2)重篤な疾患のコミュニケーションに関するシミュレーションベースのワークショップ、(3)臨床意思決定支援、(4)EDの臨床スタッフに対する評価とフィードバック。 主要アウトカムは入院とした。副次アウトカムとして6ヵ月時の医療活用と生存を評価した。副次アウトカムにも差はない ED初診患者全体の年齢中央値は77歳(四分位範囲[IQR]:71~84)、女性が50%で、黒人が13%、白人が78%であり、Gagne comorbidityスコア中央値は8点(IQR:7~10)だった。 入院率は、介入前が64.4%、介入後は61.3%と差を認めなかった(絶対群間差:-3.1%、95%信頼区間[CI]:-3.7~-2.5、補正後オッズ比[OR]:1.03、95%CI:0.93~1.14)。 介入から6ヵ月時点の医療活用についても改善は得られず、ICU入室率は介入前が7.8%、介入後は6.7%(補正後OR:0.98、95%CI:0.83~1.15)、1回以上のED再診率はそれぞれ34.2%および32.2%(1.00、0.91~1.09)、ホスピス施設利用率は17.7%および17.2%(1.04、0.93~1.16)、在宅医療利用率は42.0%および38.1%(1.01、0.92~1.10)、1回以上の再入院率は41.0%および36.6%(1.01、0.92~1.10)であった。死亡率、死亡例の生存期間にも差はない 6ヵ月以内の死亡率は、介入前が28.1%、介入後は28.7%だった(補正後OR:1.07、95%CI:0.98~1.18)。また、死亡例のED初回受診から死亡までの平均期間は、介入前が17.3(SD 38.8)日、介入後は17.1(37.7)日であった(補正後ハザード比:1.00、95%CI:0.93~1.08)。 著者は、「試験期間中のCOVID-19の世界的な大流行はED治療の状況に大きく影響し、患者の社会人口学的構成や疾患の重症度、入院の可能性などに変化をもたらした。たとえば、多くの在宅医療提供者やホスピス施設がCOVID-19患者の受け入れを拒否したか、人手不足であったか、これら双方であったため、これらのサービスの活用が困難であったり、入院を回避できなかった可能性がある。また、介入後の期間の大部分がCOVID-19大流行の期間中であったため、その後の医療活用の変化がその結果として生じたのか、あるいは介入そのものによるのかを知るのは困難である」と指摘している。

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T-DXd、米国で化学療法未治療のHER2低発現/超低発現の乳がんに承認取得/第一三共

 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名:エンハーツ)が、米国食品医薬品局(FDA)より、1つ以上の内分泌療法を受けた化学療法未治療のホルモン受容体(HR)陽性かつHER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)またはHER2超低発現(膜染色を認めるIHC 0)の転移/再発乳がんに承認されたことを、2025年1月28日、第一三共が発表した。 本適応は2024年10月にFDAより承認申請が受理され、画期的治療薬(Breakthrough Therapy)指定および優先審査のもとで承認された。この承認は、2024年6月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2024)で発表された、化学療法未治療のHR陽性かつHER2低発現またはHER2超低発現の転移/再発乳がん患者を対象とした国際第III相試験(DESTINY-Breast06)の結果に基づくもの。※日本における効能・効果は、以下のとおり(2025年1月現在)。◯化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳◯化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳◯がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺◯がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃

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肝硬変と肝性脳症の併発患者で亜鉛低値見られる

 肝硬変と肝性脳症(HE)を併発している患者の多くにおいて、血清中の亜鉛が欠乏しているという研究結果が、「Journal of Family Medicine and Primary Care(JFMPC)」9月号に掲載された。 Rajendra Institute of Medical Sciences Ranchi(インド)のDivakar Kumar氏らは、HEを伴う肝硬変患者150人の血清亜鉛値を測定した。 その結果、HEを伴う肝硬変患者の過半数に亜鉛欠乏症が認められた。血清亜鉛低値とWest Haven CriteriaによるHEのグレードとの間に、統計学的に有意な関連が認められた。肝硬変の各クラス間で、血清亜鉛値にきわめて有意な差が見られた。死亡した患者では、平均血清亜鉛値が有意に低かった(35.56対48.36)。血清亜鉛値と血清アルブミン値との間に、強い正の相関が認められた(r=0.88)。 著者らは、「HEと低アルブミン血症を伴う肝硬変の全患者に対して、亜鉛欠乏症の評価を行うべきである。低亜鉛血症はHEの死亡率と有意に関連しているため、予後マーカーとしても使用できる。HEを伴う肝硬変患者における血清亜鉛値の早期スクリーニングと亜鉛補充によって、HEの悪化を予防できる可能性があるほか、HEの治療に使用できる可能性もある。これは、さらに大規模な研究、特に症例対照研究やランダム化比較試験によって証明できる」と述べている。

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