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民間保険加入小児に生じているワクチン投与格差

米国では最近5年間で小児および思春期の若者へのワクチンが倍増した。髄膜炎、3種混合(破傷風-ジフテリア-百日咳)、A型肝炎、インフルエンザ、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)など新たにもしくは拡大推奨されたワクチンを、小児全員に投与するための公的セクターのコストは7.5倍(1995年155ドル→2007年1,170ドル)に膨らんだという。 ワクチン投与は罹患率の低下など効果をもたらす一方、州の政策立案者や臨床家から、ワクチン接種をカバーしないタイプの民間保険に加入する小児(2000年時点で約14%)の問題が指摘されるようになった。彼らのワクチンコストは州がカバーすることになっているが、その適用に格差が生じているというのである。 ハーバード大学メディカルスクール&ハーバード・ピルグリム・ヘルスケアのGrace M. Lee氏らは、格差の実態と原因を調査。JAMA誌8月8日号に詳細が報告された。州担当者にワクチン購入・供給について聞き取り本研究は、各州の予防接種プログラム・マネジャーへの2段階の聞き取り調査によって行われた。州保健局に雇用される予防接種プログラム・マネジャーは、公的資金で必要なワクチンを購入し、公的セクター(保健所など)や民間クリニックの臨床家に配布する役割を果たしている。第1 段階の調査は2005年11月~12月にかけて、それぞれ異なる資金調達方針を掲げる9人のマネジャーに対する、1時間に及ぶ質的な質問項目からなる電話インタビュー。第2段階は2006年1月~6月にかけて、全国50州のマネジャーを対象とする電話と書面による調査が行われた。回答が得られたのは48州(96%)。格差の原因は資金調達システムにその結果、髄膜炎ワクチンについて、公的資金での購入・供給を民間クリニックに対して行っていないと回答したのが30/43州(70%)、公的セクターにしていないと回答したのは17/43州(40%)に上った。肺炎球菌ワクチンについてはそれぞれ24/48州(50%)、8/48州(17%)だった。また10の州で、新規ワクチン購入資金が限られていることを理由に2004年~2006年前半の間に、私的保険加入小児が公的資金で購入した新規ワクチンを接種できないように州の政策を変更していた。米国では、保険未加入およびメディケイドなど公的保険に加入する小児へのワクチン投与は連邦政府が資金を提供するVFCプログラムによって保障される。マネジャーはこのVFC資金、セクション317と呼ばれる資金と、州が割り当てる予算でワクチンを購入するのだが、調査ではマネジャーから「私的保険加入児の前には連邦および州政府の財源不足という壁が立ちふさがっている」との指摘が相次いだ。こうした結果を踏まえLee氏らは、「子どもたちがすべてのワクチン接種を受けられるような資金調達システムの戦略が必要だ」と提起した。(武藤まき:医療ライター)

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糖尿病患者の急性冠動脈症候群死亡リスク

糖尿病患者の主要な死因とされる心血管疾患だが、急性冠動脈症候群(ACS)後の死亡に関する糖尿病との関連については明確にされていない。そこで米国コーネル大学メディカルセンターのSean M. Donahoe氏らが、ACS後の糖尿病患者の死亡リスクについて検証した。JAMA誌8月15日号の報告から。ACS患者62,036例を検証対象としたのは、1997年~2006年の間にThrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)研究グループによって行われた11の無作為化臨床試験に登録されたACSを呈した患者62,036例。内訳はST上昇心筋梗塞患者46,577例(STEMI症例群)、不安定狭心症/非ST上昇心筋梗塞患者15,459例(UA/NSTEMI症例群)。また糖尿病患者は両群にわたって10,613例(17.1%)いた。主要評価項目は、糖尿病患者 vs 非糖尿病患者のACS後30日および1年死亡率。不安定狭心症/非ST上昇心筋梗塞後の死亡リスクが最も高い糖尿病患者 vs 非糖尿病患者の30日死亡率は、STEMI症例群では8.5% vs 5.4%(P<0.001)、UA/NSTEMI症例群では2.1% vs 1.1%(P<0.001)で、いずれも糖尿病患者で有意に高かった。また多変量モデリング(ACSイベントの基線特徴、所見、処置因子を調整)の結果、UA/NSTEMI症例群で糖尿病とのより高い関連が示された(STEMI vs UA/NSTEMIオッズ比;1.40 vs 1.78)。1年死亡率の対比でも、UA/NSTEMI症例群で糖尿病とのより高い関連が示された(STEMI vs UA/NSTEMIハザード比:1.22 vs 1.65)。なお、UA/NSTEMIを呈した糖尿病患者とSTEMIを呈した非糖尿病患者との1年死亡率の値が非常に接近していることが見て取れた(7.2% vs 8.1%)。Donahoe氏らは、「ACS治療の進展にもかかわらず、糖尿病は予後に悪影響を及ぼすことが明らかとなった。本研究の結果は、このハイリスク集団に対する虚血性心疾患マネジメントの積極的な戦略の重要性を強調するものだ」と結論付けた。(武藤まき:医療ライター)

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一般医は心房細動(AF)の判読が苦手

英国の一般医(GP)による心電図を用いた心房細動(AF)診断の正確性は十分とは言えず、自動診断ソフトも信頼性に欠けることが、英国における無作為化試験SAFE(Screening for atrial fibrillation in the elderly)のサブ試験の結果、明らかになった。BMJ誌HP上早期公開論文(6月29日付)としてUniversity of Birmingham(英国)のJonathan Mant氏らが報告した(本誌では8月25日号に掲載)。GPの紹介がないと病院を受診できない英国においては、大きな問題である。2,600例弱の心電図で検討本検討ではAFが疑われスクリーニングを受けた65歳以上、2,595例の心電図(12誘導、誘導、肢誘導、あるいは胸部誘導)を用い、49名のGPと同数のpractice nurse(PN問診や検査を行う)がそれぞれ、AFか否かを判読した。同時に自動診断ソフトでも、2,595例の12誘導心電図を判別させた。正解は2名の循環器専門医が12誘導心電図でそれぞれ独立して判読。結果が一致しない場合、もう1人の専門医の意見に従った。これら専門医は、自動ソフトの診断結果やGP、PNの判読結果を知らされていない。大きい個人差その結果、GPによるAF診断は感度が80%(AFの20%を見逃し)、特異度が92%(洞調律の8%をAFと診断)だった(95%信頼区間それぞれ: 71~87%、90~93%)。PNは少し劣り、感度77%、特異度85%だった(95%信頼区間それぞれ:67~85%、83~87%)。自動診断ソフトは感度こそ99%と高かったが、特異度は83%と低かった。ただしGP間では個人差が大きく、感度・特異度ともに100%のGPもいれば、特異度が60%に満たないGPもいた。個人差が大きいのはPNも同様だった。英国ではGPの診断がないと病院を受診できない疾患が決められており、AFもその1つだという。筆者らは「心電図判読の質向上がプライマリ・ケアにおけるAF診断に重要だ」と主張している。(宇津貴史:医学レポーター)

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高齢者の心房細動(AF)スクリーニングは日和見的手法で

積極的なスクリーニングによって心房細動(AF)の検出率は向上するのか。また系統的なスクリーニングと日和見的なスクリーニングではどちらが優位なのか。英国における無作為化試験SAFE(Screening for atrial fibrillation in the elderly)の一部として、University of Birmingham(英国)プライマリ・ケア&一般診療部門のDavid A Fitzmaurice氏らが比較対照試験を行った。BMJ誌オンライン版8月2日号、本誌8月25日号掲載の報告より。65歳以上14,802例を対象に無作為化比較対照試験本試験は、英国の一般医の診療所50施設を、スクリーニング介入群(25施設)と対照群(25施設)に、さらにスクリーニング介入群は系統的な心電図検査実施群と日和見的な実施群(検脈で異常がみられた場合に心電図検査を実施)とに無作為に割り付けて行われた。合計対象者数は65歳以上の14,802例。スクリーニングは各々の実施群とも2001年10月~2003年2月の間12ヵ月以上にわたって行われた。なお対照群では積極的なスクリーニングは行われていない。新規AF検出率で0.59ポイントの差結果は、主要評価項目の新規AFの検出率がスクリーニング介入群は年間1.63%、対照群は1.04%で0.59ポイントの差があった(95%信頼区間0.20~0.98%)。系統的な実施群と日和見的な実施群との検出率の比較では、1.62% vs 1.64%とほぼ同一。日和見的なスクリーニングのほうが0.02ポイント優勢だった(95%信頼区間-0.5%~0.5%)。これら結果を踏まえFitzmaurice氏らは、「積極的なスクリーニングで検出率は向上する。またプライマリ・ケアにおける65歳以上の患者のスクリーニングの手法としては、日和見的な方法が好ましい」と結論付けた。

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カルシウム補助剤は中高年者の骨折、骨塩量減少を予防する

骨粗鬆症が原因の骨折による社会的、経済的な負担は加齢とともに世界規模で増大しており、その予防は公衆衛生学上の最優先事項とされるが、骨折予防薬は治療と同等のコストがかかる。カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンDの補助剤は安価で効果的な骨折予防法との報告があるが、これらの知見は確立されていない。 オーストラリア・ウェスタンシドニー大学補完医学研究センターのBenjamin M. P. Tang氏らは、カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤が中高年者の骨粗鬆症による骨折や骨塩量に及ぼす影響を検討した無作為化試験に関するメタ解析を行った。8月25日付Lancet誌掲載の報告から。29のプラセボ対照無作為化試験に参加した約64,000人のデータを解析2007年1月までにデータベースに登録された報告などから、50歳以上の中高年者を対象とし、カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤の骨折および骨塩量に及ぼす効果を検討した29のプラセボ対照無作為化試験を抽出した。データは変量モデルを用いてプールした。17 試験が骨折について検討し、24試験が骨塩量の解析を行っていた。合計63,897人が解析の対象となり、そのうち58,785人(92%)が女性、平均年齢は67.8歳であった。13試験がカルシウム+ビタミンD補助剤を、16試験がカルシウム補助剤を用いていた。平均治療期間は3.5年。カルシウム補助剤により、全骨折リスク、骨塩量減少率が有意に改善骨折(52,625人)については、治療群で全骨折リスクが12%低下し有意差が認められた(リスク比:0.88、p=0.0004)。骨塩量(41,419人)については、治療群の骨塩量減少率が大腿骨近位部で0.54%改善され(p<0.0001)、椎骨では1.19%改善された(p <0.0001)。骨折リスクの改善効果はコンプライアンスが高い試験で有意に優れた(p<0.0001)。治療効果は、カルシウムの用量が<1,200mgよりも≧1,200mgで、ビタミンDは<800IUよりも≧800IUで有意に優れていた(それぞれp=0.006、 p=0.03)。Tang氏は、「50歳以上では、骨粗鬆症の予防治療としてカルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤の使用を支持するエビデンスが得られた」と結論し、「優れた治療効果を得るには、少なくともカルシウム1,200mg+ビタミンD 800IU(併用治療の場合)が推奨される」と指摘している。また、「ビタミンDの上乗せ効果は示されなかったが、ビタミン Dの用量による効果の差が観察されている。この乖離は≧800IUのデータの不足による統計学的なアーチファクトと考えられ、高用量でのベネフィットが確認されていることから、併用する場合は≧800IUを使用すべき」と強調している。(菅野 守:医学ライター)

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敗血症性ショックの昇圧治療、ノルアドレナリン+ドブタミンとアドレナリンの有用性は同等

敗血症性ショックは敗血症の最も重篤な病態であり、フランスではICU治療の約9%を占め、短期的な死亡率は40~60%に達する。本症では、敗血症に起因する低血圧を正常化するために昇圧治療を要する。最近の国際的ガイドラインでは、ドパミンあるいはノルアドレナリンを第一選択薬とし、奏効が得られない場合はアドレナリンが推奨されているが、これらの薬剤の大規模な比較試験は実施されていない。 フランス研究・高等教育拠点パリ南大学 UVSQレイモン・ポアンカレ病院のDjillali Annane氏らは、敗血症性ショックにおいてノルアドレナリンと必要に応じてドブタミンを併用する治療法とアドレナリン単独の有効性と安全性を比較する試験を実施、その結果を8月25日付Lancet誌上で報告した。28日目の全原因死亡率は両治療群間で同等本研究はプロスペクティブな二重盲検多施設共同無作為化試験であり、フランス国内の19のICUに収容された敗血症性ショック330例がアドレナリン単独群(161例)あるいはノルアドレナリン+ドブタミン必要時併用群(169例)に無作為に割り付けられた。投与量は平均血圧70mmHg以上を維持するように調整された。主要評価項目である28日目の全原因死亡率は、単独群40%(64/161例)、併用群34%(58/169例)と、両治療群間で同等であった(p=0.31、相対リスク:0.86)。重篤な有害事象の発症率も、両治療群間に差はない両治療群間で、ICU死亡率(p=0.69)、退院時死亡率(p=0.51)、90日死亡率(p=0.73)、血行動態回復までの期間(log-rank検定:p=0.67)、昇圧治療中止までの期間(log-rank検定:p=0.09)、SOFAスコア(敗血症に伴う臓器障害の指標)の推移に有意な差は認めなかった。重篤な有害事象の発症率についても、両治療群間に差はなかった。以上により、Annane氏は「敗血症性ショックの管理において、アドレナリン単独治療とノルアドレナリン+ドブタミン必要時併用治療の有効性および安全性は同等」と結論している。また、「臨床の場では、心係数が低下している敗血症性ショックに対する昇圧治療としては、アドレナリン、ノルアドレナリン、ノルアドレナリン+ドブタミンのいずれを施行してもよい。今後は、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミンの単独治療の有効性と安全性を比較し、敗血症性ショックにおける昇圧治療の最適な血行動態目標値を明確にすべき」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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米国高齢者の性

人口の高齢化にもかかわらず、高齢者の性行動と性機能についてはあまり知られていない。シカゴ大学プリッツカー医科大学院で医療倫理学を扱うStacy Tessler Lindau氏らは、米国内で57~85歳の3,005人(女性1,550人と男性1,455人)をランダムに抽出。性行動、活動性、問題点の出現率について報告するとともに、これらの変数が年齢や健康状態とどのように関連するのかについて報告した。NEJM誌8月23日号より。高齢者の性問題、女性は性欲低下、男性は勃起不全抽出したサンプルの非加重平均応答率は74.8%で、加重平均応答率は75.5%だった。回答者の性行動に関する応答率は年齢と共に減少した(57~64歳で73%、65~74歳で53%、75~85歳で26%)。女性は全年齢の男性より性行動に関する回答が有意に少なかった。性的にアクティブな回答者では、男女とも半数は少なくとも1つの性に関する面倒な問題があると回答した。女性にとって最もポピュラーな性の問題は、性欲低下(43%)、膣潤滑不全(39%)、不感症(34%)。男性では勃起不全(37%)であった。そして男性の14%は、性機能を高めるために薬物療法または補助食品を使用すると答えた。男女とも、自分が健康でないと考えている人ほど性的にアクティブではなく、性的にアクティブだと答えた回答者ほど性の問題に積極的に回答を寄せていた。性について問題を抱えてはいるが医師に相談する高齢者は少ない高齢者は全般に性的にアクティブではあることはわかったが、女性は男性より夫婦生活やそれに類した関係を持つこと、そして性的にアクティブになることについて積極的でないことも明らかになった。また男性の38%、女性の22%が50歳頃から、性行動について医師に相談していると回答。高齢者において性の問題はしばしば起こるが、そうした問題について医師と話し合われる機会は少ないことも判明した。Lindau氏らは報告の中で、「医師には、高齢者の一般的な健康問題や臨床上で治療可能な性の問題を見つける能力とともに、性に関する指導やカウンセリングができる能力も磨いてほしい」と述べている。(朝田哲明:医療ライター)

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特発性ALSの疾患感受性遺伝子を発見

筋萎縮側索硬化症(ALS)の約90%を占める特発性ALSについては、複数の環境要因と未解明の遺伝子との相互作用に起因するのではないかといわれているが、発症の一因となる遺伝子についてはほとんどわかっていない。そこで米国アリゾナ州にある遺伝子研究センターTGen(Translational Genomics Research Inst)のTravis Dunckley氏らが、ゲノム解析を行った。NEJM誌8月1日号オンライン版、8月23日号本誌掲載の報告から。3つの独立したシリーズで試験本研究は、ALSと診断もしくは見込まれる患者から集められた1,152人分のDNAサンプルを使って行われた。このサンプルを基に「発見シリーズ」と「独立追試験シリーズ1」を、さらに公開サンプルデータセットを利用して「独立追試験シリーズ2」を作成。発見シリーズ(すべて白人、特発性ALS患者386 例、神経学的に正常だった対照542例)で確認された766,955の一塩基多型(SNP)のゲノムワイド関連解析の結果を、2つの追試験で確認する形で行われた。追試験シリーズ1は患者群766例、対照群750例、シリーズ2は患者群135例、対照群275例。未解明の遺伝子FLJ10986の変異が発症に関わる可能性結果は、全3シリーズの白人患者・対照群で、特発性ALSと有意に関連(P

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重症腹膜炎患者にはon-demandな外科的治療を優先すべき

二次性腹膜炎患者について検討される再開腹術には、on-demand治療戦略とplanned治療戦略がある。それぞれ一長一短が言われており検証されていないのだが、死亡率、腹膜炎に関連した罹病率の低下、医療資源の消費およびコストを抑えられる可能性があることからon-demand治療を支持する声が高まっている。 そこでOddeke van Ruler氏らオランダ腹膜炎研究グループは無作為化試験を行い、どちらがふさわしいか検討した。JAMA誌8月22日号掲載の報告から。死亡率、腹膜炎関連の罹病率を主要エンドポイントに試験対象は、オランダにある2つの大学病院と5つの教育病院で2001年11月~2005年2月の間に治療を受けた、重症の二次性腹膜炎でAPACHE- IIスコアが11以上の患者232例。on-demand治療群(116例)とplanned治療群(116例)に無作為に割り付けられ、主要エンドポイントは12ヵ月の追跡調査期間内の死亡率と腹膜炎関連の罹病率、2次エンドポイントは医療資源の消費とコストで検証された。費用対効果でon-demand治療に軍配主要エンドポイント(死亡率と腹膜炎関連の罹病率)は、on-demand治療群57%(n=64) vs planned治療群65%(n=73)で有意差はなかった(P=0.25)。死亡率は29% vs 36%(P=0.22)、罹病率は40% vs 44%(P=0.58)だった。割り付けられた各群患者のうち再開腹術を受けたのは、on-demand治療群42%、 planned 治療群94%だった。1回の再開腹術で腹膜炎の所見がネガティブに至った患者は、on-demand治療群31%、planned治療群66%だった(P <0.001)。患者のICU滞在日数、入院日数はon-demand治療群のほうが短く(7日vs 11日;P=0.001、27日 vs 35日;P=0.008)、患者1人当たりの直接医療費はon-demand 治療を選択することで23%切り詰められていた。以上の結果からRuler氏らは、「on-demand治療はplanned 治療と比べて死亡率が低いとか腹膜炎関連の発病を伴わないというわけではないが、医療資源の消費と医療費は相当少なくて済むことが明らかとなった。重症の腹膜炎患者が優先すべき外科的戦略はon-demand治療と考えられる」と結論付けた。(武藤まき:医療ライター)

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小児高血圧症の診断見落としは74%

小児肥満の蔓延に伴って小児高血圧症の有病率が増加している中、診断未確定の高血圧症と高血圧前症の頻度がどれくらいあるのか、また診断見落としはどんな患者因子が原因になっているのかを同定するコホート研究が、米国オハイオ州にあるCase Western Reserve 大学医学部のMatthew L. Hansen氏らによって行われた。JAMA誌8月22日号より。3~18歳児1万4,000例をスクリーニング研究対象は、1999年6月から2006年9月までの間に最低3回、定期健診でオハイオ州北東部の総合医療システム附属クリニックを訪れた3~18歳の14,187例。主要評価項目は定期健診時の血圧測定で、年齢および身長による補正後も高値を3回以上示した小児の割合と、高血圧または高血圧前症と診断され電子カルテに記載された割合。診断に関連する患者因子は多変量ロジスティック回帰分析によって同定された。3回以上の定期健診で高血圧または高血圧前症の判定基準を満たしたとされる小児は、診断リスト、問題リスト、病歴リストにおける高血圧関連のICD9コードとの比率で判定された。早めの適切な診断が重要高血圧症の小児は507例(3.6%)いたが、実際に高血圧症または血圧上昇の診断を受け電子カルテに記録されていたのは131例(26%)だった。高血圧症診断の補正オッズ比を高めた患者因子は、1年ごとの上昇値(3歳以降の)(オッズ比1.09)、血圧上昇の記録が3回を超えた頻度(同1.77)、身長-年齢パーセンタイル値の1%の増加(同1.02)、肥満に関連した疾患の診断(同2.61)、ステージII高血圧症に該当する血圧記録の数(1.68)だった。一方、高血圧前症の小児は485例(3.4%)で、55例(11%)は適切に診断され電子カルテに記載されていたが、それ以外は見落とされていた。高血圧前症診断の補正オッズ比を高めた患者因子は、1年ごとの上昇値(3歳以降の)(オッズ比1.21)、血圧上昇の記録が3回を超えた頻度(同3.07)だった。Hansen 氏らは、「今回の研究対象(平均年齢8.8歳、50%がアフリカ系アメリカ人)では診断見落としが頻繁に起きていた。診断確率の上昇には、年齢、身長、肥満関連の疾病の診断、血圧の異常記録およびその記録頻度とすべてが関係していた」と述べ、小児の血圧の正常値および異常値は年齢、性別、身長によって異なり基準を覚えるのは難しいが、異常血圧の確立された評価ガイドラインおよび効果的治療が存在するので、早めの適切な診断は重要であると結んだ。(朝田哲明:医療ライター)

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重篤な精神疾患に対する集中型ケース管理は入院治療を低減させるか

現代の精神健康サービスでは重篤な精神疾患患者の入院期間は最小限にすべきとされており、集中型ケース管理(intensive case management)は重症精神疾患患者の不必要な入院の低減を目的とした患者管理法である。これまでに実施された集中型ケース管理の無作為化対照試験の結果は相反するものであり、入院治療を減少させたとする報告がある一方で無効とする研究もある。 このような矛盾した結果が生じる原因については、試験の実施状況や集中型ケース管理モデルの違いなど諸説がある。イギリス・オックスフォード大学Warneford病院社会精神医学のTom Burns氏らは、これらの仮説の検証を目的に体系的なレビューを行った。BMJ誌7月13日付オンライン版、8月18日付本誌に掲載された報告。2007年1月までのデータから無作為化対照試験を抽出2007年1月までにデータベースに登録されたデータを検索し、地域在住の重篤な精神疾患患者に対する集中型ケース管理を標準治療あるいは低集中型ケース管理と比較した無作為化対照試験を抽出した。積極的コミュニティー治療(ACT)モデルの遵守の評価には適合度評価基準(fidelity scale)を用いた。多施設共同試験は、施設に特異的な適合度データによって個々の施設に分離して解析した。入院治療が多い場合に、集中型ケース管理により入院治療が有意に減少試験前のベースラインあるいは対照群における入院治療が多い試験では、集中型ケース管理により入院治療が有意に減少した。また、ACTモデルに従って組織化されたケース管理チームによって入院治療が有意に減少したが、この知見はsensitivityが低く、ACTで推奨されるスタッフ水準は確認できなかった。Burns氏は、「集中型ケース管理は入院治療が多い場合に最も良好に機能していた。ケース管理チームの有効度はその組織のACTモデルの導入程度が上がるに従って増大したが、スタッフ水準の上昇を示すエビデンスは低かった」と結論している。同氏は、「すでに少ない入院治療が達成されている場合は、集中型ケース管理のベネフィットはわずかであり、またスタッフの質よりもチームの組織化が重要と考えられる。入院治療の低減を達成するには、ACTモデルを全面的に適用する必要はない可能性がある」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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特定のプロバイオティクスが小児の急性下痢の期間と排便回数を改善

急性下痢は、グルコース電解質を含む水分補給用飲料の経口投与により失われた水分を補うことで管理されるが、この方法では下痢の重症度や持続期間は改善されない。プロバイオティクス(ヒトの健康に良好な作用を及ぼす細菌)はヨーロッパの多くの国で小児の急性下痢の補助的治療法として用いられており、いくつかの製品は重症度や持続期間の改善効果が認められている。 イタリア・ナポリ大学Federico II小児科のRoberto Berni Canani氏らは、5つのプロバイオティクス製品の急性下痢の改善効果を比較する無作為化対照比較試験を実施した。BMJ誌8月9日付オンライン版、8 月18日付本誌に掲載された報告から。患児の親が特定製品の購入説明文書に無作為に割り付けられた対象は、急性下痢で6つの家庭小児科を受診した生後3~36ヵ月の小児とした。患児の親が、以下の特定のプロバイオティクス製品の購入に関する説明文書を受け取る群に無作為に割り付けられた。水分補給用飲料(対照群)、Lactobacillus rhamnosus strain GG、Saccharomyces boulardii、Bacillus clausii、L delbrueckii var bulgaricus/Streptococcus thermophilus/ L acidophilus/ Bifidobacterium bifidumの混合製品、Enterococcus faecium F68。5つの介入群のうち2つのプロバイオティクスで有効性を確認1999年10月~2000年9月の1年間に571例の患児が登録され、対照群と5つの介入群に割り付けられた。下痢の持続期間(中央値)は、対照群(115.0時間)に比べL. rhamnosus strain GG群(78.5時間)および4種の混合群(70.0時間)で有意に短縮していた(p<0.001)。初回プロバイオティクス投与後1日目の排便回数は、L. rhamnosus strain GG群および4種の混合群が他の群に比べ有意に少なかった(p<0.001)。残りの3つの介入群は下痢の持続期間および排便回数に影響を及ぼさなかった。また、嘔吐および発熱の持続期間、入院率についてはいずれの介入群も対照群と同等であった。Canani 氏は、「市販のプロバイオティクス製品の中には小児の急性下痢に有効なものがあるが、すべての製品が効果的なわけではない」とし、「プロバイオティクスは薬剤とみなすべきであり、医師は個々の臨床的病態における各製品の有効性に関するエビデンスに基づいて選択すべきである」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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DESへのCOX2阻害薬追加で再狭窄抑制

服用による心筋梗塞リスク増加が懸念されている選択的COX2阻害薬だが、その1つcelecoxibは、薬剤溶出ステント(DES)留置前からの服用開始により6ヵ月間の経皮的冠血行再建術(PCI)再施行を減少させる可能性が示唆された。Lancet誌8月18日号にNational University of Seoul(韓国)のBon-Kwon Koo氏らが無作為化オープン試験の結果として報告した。抗血小板薬中止後の超遠隔期血栓がDESの最大問題となっている現在、この研究の臨床的価値はどのようなものだろうか──。追跡は6ヵ月間対象となったのは狭心症、あるいは負荷試験による虚血所見が陽性で、かつ責任病変にインターベンション歴のない274例。このうち136例を celecoxib群、138例を対照群に無作為化した後盲検化せずにパクリタキセル溶出ステントを留置し、アスピリンとクロピドグレル服用の上、6ヵ月間追跡した。追跡終了時のスタチン、β遮断薬、レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬の服用率は両群で同等だった。再狭窄は有意に抑制され、PCI再施行も減少第一評価項目は「冠動脈造影(CAG)で評価した血管ステント留置部内腔径の変化」である。試験終了時にCAGを施行できたのはcelecoxib群、対照群とも112例だった。その結果、celecoxib群では対照群に比べ、ステント留置部の血管内腔径減少が0.26mm有意に(p

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新たなアジュバントによる抗原節減法が鳥インフルエンザワクチンの免疫原性を増強

次なるヒトインフルエンザの汎流行(爆発的大流行、パンデミック)の原因となる可能性が高いウイルスとしてH5N1型鳥インフルエンザが考えられているが、その対策としてのインフルエンザワクチンの生産能には世界的に限界がある。抗原節減法は1接種に要する抗原量を少なくできるため、パンデミックワクチンの開発において重要なアプローチと考えられており、アジュバント(免疫増強法)は抗原節減の重要な戦略である。 ベルギー・ヘント大学病院ワクチンセンターのIsabel Leroux-Roels氏らは、独自に開発した新たなアジュバント法で調整した遺伝子組み換えH5N1スプリットウイルス粒子ワクチンの安全性および免疫原性を評価し、交差反応性免疫の誘導能について検証を行った。8月18日付Lancet誌掲載の報告から。4種類の抗体量とアジュバントの有無で8群に分け、2回ずつ接種試験には、不活化されたスプリットA/Vietnam/1194/2004 NIBRG-14[逆遺伝学(reverse genetics)の手法で作製された遺伝子組み換えH5N1]ワクチンが用いられた。2006年3月27日~6月15日の間に18~60歳の健常ボランティア400人が登録された。これらの対象は、4種類の抗体量(ヘマグルチニンH5抗体3.8、7.5、15、30μg)とアジュバントの有無によって分けられた8つのワクチン群に無作為に割り付けられ、それぞれ2回ずつワクチン接種が行われた(1回目の21日後に2回目を接種)。液性免疫応答の解析のために血液サンプルを採取し、有害事象は51日目(2回目の接種後30日)まで記録した。安全性が高く、少ない抗原量で十分な免疫応答が得られた8つの群すべてにおいて良好な安全性プロフィールが示され、重篤な有害事象は認めなかった。アジュバントワクチンは非アジュバントワクチンに比べ接種部位の症状および一般症状の頻度が高かったが、ほとんどが軽度~中等度であり、本質的に一過性であった。全抗原量において、アジュバントワクチンは非アジュバントワクチンよりも免疫原性が優れた。抗原量が最も少ない群(3.8μg)においても、アジュバントワクチンの遺伝子組み換え同種ワクチン株(A/Vietnam/1194/2004 NIBRG-14、clade 1)に対する免疫応答は、アメリカおよびEUの基準を十分に満たした。また、3.8μgアジュバントワクチン接種者の77%において、H5N1の分離株(A/Indonesia/5/2005、 clade 2)に対する中和抗体が陽性化した。Leroux-Roels氏は、「独自の新アジュバントは抗原の節減法としてきわめて有用であり、パンデミックインフルエンザワクチンの生産能を高めると考えられる」と結論、「cross-clade中和抗体反応からは、パンデミック前の予防接種に本ワクチンが使用可能なことが示唆される」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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睡眠時周期性四肢運動障害の遺伝子変異を確認

不穏下肢症候群(RLS)は、脚を動かしたいという抑えられない衝動を特徴とする一般的にみられる神経性障害である。RLSは睡眠を妨げる一因となり、そのためRLS患者の大部分で睡眠時周期性四肢運動障害を有すると同時に、同疾患の生理学的指標とされている。 deCODEジェネティクス社(アイスランド)のHreinn Stefansson氏らは、RLSの一因と言われてきた遺伝子配列変異体を捜すため、ゲノムワイド関連研究と2つの再現性研究を実施した。NEJM誌オンライン版7月18日号、本誌8月16日号より。6番染色体イントロンでの変異体との関連性を確認本研究では表現型の不均一性による影響を最小とするため、睡眠時周期性四肢運動障害が客観的に確認できたRLS患者に焦点を当てた。またRLSの発症過程では鉄分欠乏との関連が言われており、血清フェリチン値を測定した。アイスランドにおけるRLS患者および睡眠時周期性四肢運動障害を有する患者サンプルから、6番染色体上のBTBD9イントロンで共通の変異体と、ゲノムワイドでの重要な関連性が観察された〔オッズ比1.8、P = 2×10(-9)〕。同様の関連性はアイスランドの第2サンプルでもみられ〔オッズ比1.8、P = 4×10(-4)〕、さらに米国のサンプル〔オッズ比1.5; P = 4×10(-3)〕でも確認された。この遺伝子変異が認められる場合の、周期性四肢運動障害を伴うRLSの集団寄与危険度は約50%だった。鉄分欠乏の病因関与も濃厚Stefansson 氏らは、「本研究によって睡眠時周期性四肢運動障害に対する感受性に関連する変異体が発見された。この変異体と、RLSを伴わない睡眠時周期性四肢運動障害が関連すること(ならびに周期性四肢運動障害のないRLSとは関連がないこと)は、睡眠時周期性四肢運動障害の遺伝的決定因子を同定したことを示唆するものである〔オッズ比1.9、P = 1×10(-17)〕」と結論付けた。また血清フェリチン値がリスクのある変異体の対立遺伝子それぞれにつき13%低下していた結果(95%信頼区間5-20、P = 0.002)から、「変異体と鉄分貯蔵との逆相関は、鉄分の欠乏が本疾患の病因として関与が疑われていることと一致している」とも述べている。(朝田哲明:医療ライター)

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小細胞肺では予防的全脳照射を標準治療とすべき

小細胞肺は肺全体の13%を占める予後不良の疾患で、化学療法による長期生存は期待できない(2年生存率:1977年1.5%→2000年4.6%)。また共通して脳転移がみられるのが特徴で、診断時に少なくとも18%に脳転移があり2年間で80%近くに達する。 脳転移は予後不良を示す。維持化学療法では転移を防げず、発症後の全脳照射治療も有効ではない。しかし予防的全脳照射の有効性は多数のメタアナリシスによって示されている。そこで欧州研究治療機関(EORTC)の肺グループは、本治療を実行に移すため無作為化試験を行った。NEJM誌8月16日号の報告から。照射群と対照群に無作為割り付け脳転移までの時間を検証試験対象は、化学療法に反応を示した18~75歳の進展型小細胞肺の患者286例。予防的全脳照射治療群と追加治療を行わない対照群にランダムに割り付け、症候性脳転移までの時間をエンドポイントとした。あらかじめ定義した脳転移を示唆する症状が現れた場合はCTもしくはMRIで検査を実施した。脳転移のリスク低下、生存期間延長を確認試験の結果、予防的全脳照射は症候性脳転移の発生率を低下させ、無疾患生存期間および全生存期間を延長することが確認された。照射群の症候性脳転移のリスクは低く(ハザード比0.27、P

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HPV感染女性へのワクチン投与の有効性は皆無

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、HPV感染症と子宮頸部前およびの発現を予防するために開発され、発性のHPVにすでに感染している女性に対してもワクチン接種を検討すべきとの説もある。米国立研究所のAllan Hildesheim氏らのグループは、子宮頸との関連が指摘されているHPV16と18の2タイプについて、既感染女性への予防接種がウイルス・クリアランス率を向上させるかどうか無作為化試験を実施した。報告はJAMA誌8月15日号に掲載された。16/18L1ワクチンとA型肝炎ワクチンでクリアランス率を比較試験は、2004年6月から2005年12月にかけて、コスタリカの2つの州で18~25歳の2,189人の女性を対象とした第III相無作為化盲検試験。参加者は登録時HPV DNA陽性で、HPV-16/18候補ワクチンの3回投与群(n=1,088)と、対照群としてA型肝炎予防ワクチンの6ヵ月投与群(n=1,101)とにランダムに割り付けられ、6ヵ月後のフォローアップ時にHPV DNA鑑定を受けた。主要評価項目はHPV DNAの存在。2回投与後の6ヵ月時点と3回投与後の12ヵ月時点でウイルス・クリアランス率を比較。判定は、子宮頸部標本を分子ハイブリッド形成検定、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、さらに予防接種後のPCR法で行われた。一般的な感染症の治療にも使うべきではない6ヵ月後のウイルス・クリアランス率は、研究群33.4%(82/248)に対し対照群31.6%(95/298)(ウイルス・クリアランス率2.5%、 95%信頼区間-9.8%~13.5%)、12ヵ月後のクリアランス率は研究群48.8%(86/177)で対照群49.8%(110/220)だった(同-2.0%、-24.3%~16.3%)。また、ワクチンの全量投与を受けた女性、単感染の女性、入力変数(HPV-16/18血清・細胞学的検査結果、HPVDNAウイルス量、性経験、トラコーマクラミジアまたは淋菌感染、経口避妊薬、喫煙等)で階層化した場合でも治療効果は確認できなかった。研究グループは、HPV DNA陽性の女性へのHPV-16/18ワクチン投与はウイルス・クリアランスを改善せず、一般的な感染症の治療にも使うべきではないと結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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食習慣は大腸発病に加え再発にも深く関与

大腸発病と食事の因果関係については知られているが、患者の予後における食事の影響については明らかにされていない。アメリカ・ボストンのダナ・ファーバー研究所のJeffrey A. Meyerhardt氏らは、食パターンと大腸生存者の再発率および死亡率との関連に着目して、前向き観察研究を実施した。JAMA誌8月15日号の報告から。III期大腸患者1,009例を追跡調査対象患者は1999年4月~2001年5月の間に、無作為化補助化学療法試験(CALGB 89803)に登録されたIII期の大腸患者1,009例。補助化学療法中および治療後6ヵ月間の食習慣についてアンケートを行い、確認された慎重食パターン(prudent pattern)と西洋食パターン(Western pattern)の2つの食パターンと、再発および死亡について分析した。慎重食パターンは果物、野菜、鶏肉、魚をよく摂取することが、一方の西洋食パターンは肉、油脂、精製された穀物、デザート類の摂取率が高い。西洋食パターンと再発率、死亡率との関連を確認追跡期間5.3年(中央値)の間に、集団全体として324例の患者が再発、223例が再発で死亡、28例が再発以外の要因で死亡しており、西洋食が大腸再発や死亡と関連していることが明らかとなった。五分位比較による西洋食パターンの最小摂取群と最大摂取群の患者の、無疾患生存の補正ハザード比(AHR)は3.25(95%信頼区間2.04- 5.19)、無再発生存AHRは2.85(同1.75-4.63)、全生存AHRは2.32(同1.36-3.96)だった(いずれもP<0.001)。西洋食パターンに偏ったことによる無疾患生存の低下は、性、年齢、ステージ、BMI、身体活動レベル、基線PSあるいは治療による差異はなかった。対照的に慎重食パターンは、再発および死亡率との関連は認められなかった。以上の結果を踏まえMeyerhardt氏らは、「手術および補助化学療法を受けたIII期大腸患者が西洋食をより多く摂取することは、再発と死亡率を高める可能性がある。そのような食事のどの構成要素が最も強く関連しているのか、さらなる研究によって明らかにする必要がある」と結論づけた。(武藤まき:医療ライター)

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の「2週間ルール」はまったく役に立っていない、直ちに見直しを

論文冒頭に、著者は記している。「当初の楽観的展望は短命に終わった」。 イギリスでは照会から専門医による診察までの順番待ちの期間が長く、その結果としての診断、治療の遅れが高い乳死亡率の理由の一端とされていた。そこで、1999年、乳が疑われる女性は一般医(GP)からの照会後2週間以内に専門医の診察を受けるという「2週間ルール」が導入された。しかし、科学的基礎に乏しいため当初からその効果を疑問視する声があった。 イギリス・ブリストル市Frenchay病院乳治療センターのShelley Potter氏らは、乳の2週間ルールが照会パターン、の診断、待ち時間に及ぼす長期的効果を評価した。BMJ誌7月13日付オンライン版、8月11日付本誌掲載の報告。7年間に、2週間ルールによる照会は42%増加、一般照会数は24%減少1999~2005年の7年間に、GPから乳専門クリニックへの新規照会数は2万4,999件(年平均3,571件)にのぼり、1999年の3,499件から2005年には3,821件と9%増加していた。2週間ルールによる照会は1999年の1,751件から2005年には2,490件と42%増加し、一般照会数は1,748件から1,331件へと24%減少した。乳診断率は、2週間ルール群で有意に低下、一般照会群で有意に増加2 週間ルール群の乳診断率は、1999年の12.8%から2005年には7.7%へ有意に低下(p<0.001)したのに対し、一般照会群では2.5%から5.3%へ有意に増加した(p<0.001)。2005年に発見された乳261例のうち70例(27%)が一般照会群であった。待ち時間は、2002年までは低下傾向にあったが、2003年以降は2週間ルール患者の増加を反映して上昇に転じ、2005年の一般照会群の平均待ち時間は30日であった。Potter氏は、「乳の2週間ルールはまったく患者の役に立っていない。本ルールによる乳診断率が低下する一方で、一般照会群の乳診断率は許容できないレベルに上昇している。2週間ルールは直ちに見直すべき」と結論している。また、「一般照会群の乳症例は、2週間ルールの劇的な需要増大による待ち時間の延長と診断の遅れがもたらした不利益の可能性がある」「2週間ルールの導入後、GPによる乳の診断精度が低下していることが示唆されるが、これはGPの診断スキルの低下ではなく本ルールの判定基準の予測値が不良なため」と考察している。(菅野 守:医学ライター)

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クラミジアの組織的スクリーニングは本当に費用効果に優れるか

イギリスでは2003年4月に、国の主導によるクラミジア(Chlamydia trachomatis)のスクリーニングプログラムが開始されたが、それ以前は組織的スクリーニングは行われていなかった。クラミジアの組織的スクリーニングは費用効果が優れるとする報告のほとんどが、感染症の評価には不適切な静的モデルを用いている。 イギリス・バーミンガム大学健康サービス管理センター健康経済学のTracy Roberts氏らは、家庭をベースとした地域住民におけるクラミジアの積極的な組織的スクリーニングの費用効果を、非組織的スクリーニング(組織的な勧奨は行わず受診は対象者の意志に委ねられる)との比較において評価する試験(ClaSSプロジェクト、http://www.chlamydia.ac.uk/index.htm)を実施、BMJ誌7月26日付オンライン版、8月11日付本誌で報告した。動的モデルを用いた費用効果の解析イギリス中部~南西部に居住する16~24歳の男女、約5万人に対し、毎年、スクリーニングへの受診勧奨を実施した。受診者は家庭で採取したサンプルを検査に送り、陽性者への通告はGPの診察室で行われ、陰性者には書面が郵送された。費用効果の評価には動的な数学モデルを用い、回避すべき主要測定項目としての骨盤内炎症性疾患(PID)、子宮外妊娠、不妊症、新生児合併症について解析を行った。両スクリーニングのコストは同等、条件によっては組織的スクリーニングが高価女性のみを対象としたスクリーニングプログラムは、非組織的スクリーニングよりも主要評価項目ごとの費用が高く、増分コストは2万2,300ポンド(=3万 3,000ユーロ、4万5,000ドル)であった。男性と女性を対象とした場合のコストも組織的スクリーニングが約2万8,900ポンド高かった。回避すべき主要評価項目のうち最も頻度が高かったのは、入院を要するPIDであった。主要評価項目の発症率およびスクリーニングの受診率に対する sensitivityが高く、これら2つの要素が上昇すると女性のみのスクリーニングにおける主要評価項目ごとの費用効果は6,200ポンド低下した。これらの知見を踏まえ、Roberts氏は「クラミジアの積極的な組織的スクリーニングは、主要評価項目の発症率およびスクリーニングの受診率が一般的な推定値よりも低い場合には費用効果に優れるとは言えず、むしろ高価である」と総括している。また、「ClaSSプロジェクトから得られるエビデンスは、至適なスクリーニングの検出率および受診率の達成には組織的および非組織的スクリーニングの要素を合わせた混合モデルが有用な可能性がある、というものだ」と考察を加えている。(菅野 守:医学ライター)

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