小児肥満でBMI値は重視しなくてもよいのか?

提供元:ケアネット

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公開日:2010/12/17

 



小児期のBMIと心血管リスク因子との関連を示す横断的研究はあるが、前向き研究はほとんど行われていない。BMIは、特に小児肥満(全身性肥満症、中心性肥満症)の尺度としては不十分であるとされるが、英国ブリストル大学MRC CAiTEセンターのDebbie A Lawlor氏ら研究グループは、その認識が小児肥満がもたらす真の有害性の過小評価につながっている可能性があるとして、肥満症の3つの測定指標であるBMI、腹囲、体脂肪量の、心血管リスク因子との関連の強さを比較し、BMIが他の2つより劣るのか検討した。BMJ誌2010年12月4日号(オンライン版2010年11月25日号)掲載より。

15~16歳時の心血管リスク因子との関連の強さを検討




研究グループが検討したのは、小児期(9~12歳)のBMI、腹囲、体脂肪量測定値と、15~16歳時点での心血管リスク因子(収縮期および拡張期血圧、空腹時血糖値等)との関連。「両親と子どもを対象とするAvon追跡研究」の参加者で、研究スタート時に9~12歳だった小児5,235例を対象とした。BMI、腹囲、体脂肪量は9~12歳時と15~16歳時に二重エネルギーX線吸収測定法を用いて測定された。

主要評価項目は、15~16歳時に測定した収縮期および拡張期血圧値、空腹時の血糖、インスリン、中性脂肪、LDL-C、HDL-Cの濃度とした。

BMI、腹囲、体脂肪量とも、心血管リスク因子との関連の強さは同等




結果、女児については、9~12歳時のBMIが1SD増すごとの関連オッズ比は、高収縮期血圧(≧130mmHg)は1.23、高LDL-C(≧2.79mmol/L)は1.19、高中性脂肪(≧1.7mmol/L)は1.43、低HDL-C(<1.03mmol/L)は1.25、高インスリン(≧16.95 IU/l)は1.45だった。

一方、男児は、高収縮期血圧は1.24、高LDL-Cは1.30、高中性脂肪は1.96、低HDL-Cは1.39、高インスリンは1.84だった。

BMIと高空腹時血糖(≧5.6mmol/L)との関連は、男児のみで認められ、オッズ比は1.18(95%信頼区間:1.03~1.36)だった。

上記の高低でみた2値アウトカムの結果では、BMIは空腹時の血糖(P=0.03)、インスリン(P<0.001)との関連について、男児と女児に相違があるとの統計的エビデンスが認められた。

リスク因子を連続値アウトカムとして検討した結果からは、BMIは空腹時のインスリン、血糖、中性脂肪の有害レベルとのより強い関連が、男児の方が女児よりもある(相互作用P≦0.03)との統計的エビデンスが認められた。

BMI、腹囲、体脂肪量はそれぞれに強い関連性があり(r=0.89~0.94)、心血管アウトカムと3要素との関連は、同等に重要であるとの統計的エビデンスが示された(均一性はいずれもP>0.2)。BMIモデルに、腹囲もしくは体脂肪量を加味しても、BMIと交絡因子のみで説明済みの心血管リスク因子の変数は増大しなかった。

女児は青年期までに痩せれば心血管リスクは正常体重者並みに、しかし男児は……




また、肥満の変化との関連についてみた場合、女児の場合は、9~12歳で過体重/肥満であっても15~16歳で正常体重となった群は、両年齢期とも正常体重の群とリスク因子の有害レベルのオッズが同等だった。しかし男児の場合は、高収縮期血圧、高中性脂肪、高インスリン、低HDL-Cのオッズ比が、両年齢期とも正常体重の群と比べ高かった。両年齢期とも過体重/肥満群よりは低くはなっていた。

これらから研究グループは、「小児期に測定された腹囲または体脂肪量が、BMIより強く青年期の心血管リスク因子と関連することはない」と結論するとともに、「小児期から青年期に過体重を改善できた女児は、概して、一貫して正常体重であった群と同様の心血管リスクプロファイルを示すが、男児の場合は、小児期、青年期とも正常体重であった群と、小児期、青年期とも過体重であった群との、中間のリスク因子プロファイルを示す」とまとめている。