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褐色細胞腫の最初の記述所見について考察

NEJM誌9月27日号に掲載された本論文は、ドイツのフライブルグ大学医療センター腎臓病学Hartmut P.H. Neumann氏らによる、褐色細胞腫の最初の記述所見について検証したもの。 褐色細胞種を最初に報告したのはFelix Frankelであるという解釈が正しいのか、報告された患者は遺伝性疾患を有していたのではないか、という2点を明らかにすることがNeumann氏らの目的である。 Frankel報告を精査し、現在のテクノロジーを駆使してその記述の所見を更新するため症例患者の親戚にアプローチし評価を行った。親戚子孫を探し出しDNA分析褐色細胞種の最初の記述は1886年、Felix Frankelによるものとされている。彼はその報告で褐色細胞種という用語は用いていないが、褐色細胞種の教科書や、最初の国際的な褐色細胞種に関するシンポジウムでも“最初の記述者”として彼に敬意を表する言葉が述べられており、このことは規定の事実とされてきた。Frankelが記した報告では患者とその所見について、「18歳女性で両側副腎に“肉腫と血管肉腫を有していた”」と記述されている。その点についてNeumann氏らは、「患者が非常に若いということ、さらに両側副腎に有していたということから遺伝性疾患を有していたのではないか」と仮定し、彼女の親戚を探し出して病歴聴取と、提供を受けることができた存命4家族の血液のDNA分析を行った。存命する親戚4家族からRET突然変異の存在確認DNA分析の結果では4家族からRET突然変異の存在が認められた。Neumann氏らは、「このことは、最初の患者とその家族に多発性内分泌腫瘍2型(MEN-2)があることを示すものであり、患者が褐色細胞腫であったことを分子レベルで証明するものである。我々の詳細なレビューによって、組織病理学的な所見と褐色細胞腫との整合性を図ることができた」と報告した。(武藤まき:医療ライター)

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うつ病労働者への治療プログラムは職場アウトカムをもたらす

ガイドラインに沿ったうつ病治療の有効性は明らかだが、しばしば根拠に基づいた勧告から外れた治療が行われている。うつ病治療プログラムは有意に治療の質を向上させるが、雇用者たちは、対費用効果という点でエビデンスに乏しいとこれらプログラムの採用を後回しにしてきた。 そこで、うつ病治療プログラムの効果が職場に与える影響および雇用者の懸念を評価する無作為化対照試験が、アメリカ国立精神保健研究所(NIMH)のPhilip S. Wang氏らによって行われた。JAMA誌9月26日号より。介入6ヵ月毎にうつ重症度と作業能力を評価試験は、行動保健プランでカバーされる604例の労働者を対象に行われ、うつ病は2段階スクリーニングで同定された。患者の治療割当と、6・12ヵ月後のうつ重症度と作業能力の評価結果は公表されず、難治性の躁うつ病や薬物依存症の者、最近精神専門治療を受けた者、また自殺傾向のある労働者は除外された。電話アウトリーチとケア管理プログラムでは、労働者に外来治療(精神療法および/または薬物療法)を受診するよう促し、治療の質を連続モニターして医療提供者に忠告を与えることで、治療が向上するよう試みた。外来治療を嫌がる対象者には、電話による体系的な認知行動精神療法が提供された。主要評価項目は、うつ重症度(QIDSによる評価:Quick Inventory of Depressive Symptomatology)と作業能力(HPQによる評価:WHO Health and Productivity Questionnaire。労働継続率、労働から外れた時間、作業能力、職場で起こしたインシデントを自己評価で報告する方法)。系統的治療プラグラムで労働生産性が向上6ヵ月後と12ヵ月後の評価データを組み合わせると介入群は、QIDSの自己報告スコアは有意に低く(回復の相対確率1.4、95%信頼区間:1.1-2.0、P=0.009)、維持率は有意に高く(同1.7、1.1-3.3、P=0.02)、介入期間を通して通常ケア群より有意に多くの時間労働したことが明らかになった(β=2.0、P=0.02、年換算では2週間分の労働に等しい)。研究グループはこれらから、うつ病を同定し系統的プログラムを行うことは、臨床的な予後改善ばかりでなく職場アウトカムをも有意に改善すると報告。雇用復帰と訓練、給与コストに関する後者の財政的価値は多くの雇用者に、うつ病治療プログラムは投資収益を生むものであると認識させ、治療に前向きに取り組むようになるだろうとまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

33903.

メタボと喫煙を因子に結腸直腸腫瘍とCADは強く相関

結腸直腸腫瘍と冠動脈疾患(CAD)は類似した危険因子を共有しており、発症の関連性も疑われている。そこでCADを有する患者の横断研究を行い、結腸直腸腫瘍の出現率を調査するとともに、2つの疾患の共通危険因子を同定する研究が、香港大学のAnnie On On Chan氏らによって行われた。JAMA誌9月26日号より。狭窄率50%以上と結腸直腸腫瘍との関連を調査2004年11月から2006年6月にかけて、CADを疑われ冠動脈造影を受けた香港(中国)の患者の中から、結腸内視鏡検査によるスクリーニングを実施する対象を選び、冠動脈の内1つでも50%以上狭窄している例をCADと定義し(n=206)、それ以外はCAD陰性とみなした(n=208)。対照群(n=207)は、年齢・性別対応で一般の集団から集められた。すでにアスピリンまたはスタチンを服用している患者、結腸疾患の既往がある患者、過去10年間に結腸内視鏡検査を受けた患者は除外されている。主要評価項目は、CAD陽性群、CAD陰性群、一般群それぞれにおける結腸直腸腫瘍の出現率。結腸直腸腫瘍とCADとの関連、そして2つの疾患に共通する危険因子を同定するため、年齢・性調整の上で二変量ロジスティック回帰分析を行った。結腸直腸腫瘍の出現率はCAD陽性群で34%結腸直腸腫瘍の出現率はそれぞれCAD陽性群34.0%、CAD陰性群18.8%、一般群20.8%だった(χ二乗検定によるP<0.001)、進展病巣の出現率は18.4%、8.7%、5.8%(P<0.001)。また、の出現率は4.4%、0.5%、1.4%だった(P=0.02)。CAD陽性群のの内50%は早期であった。年齢・性調整後の結腸直腸腫瘍とCADの関連オッズ比は1.88(95%信頼区間:1.25-2.70、P=0.002)。高度の病変とCADとの関連オッズ比は2.51(同1.43-4.35、P=0.001)だった。メタボリックシンドロームのオッズ比は5.99(同1.43-27.94、P=0.02)、喫煙歴のオッズ比は4.74(同1.38-18.92、P=0.02)で、Chan氏らは「これらは進行性の結腸病変とCADにおける独立危険因子と認められる」と報告。CAD群における結腸直腸腫瘍の出現率は有意に高く、進行性結腸病変の存在とCADとの関連は、メタボリックシンドロームと喫煙歴があるほど強いことが明らかになったと結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

33904.

キノロン系抗菌剤「ジェニナック」発売

アステラス製薬、大正富山医薬品、富山化学の3社は5日、新タイプのキノロン系経口合成抗菌剤「ジェニナック」(一般名:メシル酸ガレノキサシン水和物)を新発売した。幅広い抗菌作用を持ち、1日1回の経口投与で効果を発揮する。(1回400mg)また、合成抗菌剤で初めてペニシリン耐性肺炎球菌が適応菌種に明記されたことから、既存薬剤の薬価と比較して有用性加算が認められた。適応菌種ガレノキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ) 適応症咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎

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ユニセフとWHOが推奨する6ヵ月母乳養育には母親への教育が欠かせない

母乳栄養には多くの利点があり、ユニセフとWHOは1991年から、母乳栄養についてベストな選択を母親ができるようサポートするイニシアティブ(the baby friendly hospital initiative)を開始しているが、診療現場に普及するには至っていない国も多い。 シンガポール大学のLin-Lin Su氏らは、どのような方法が母乳養育率を改善するのかを調査するため、一般的に行われる院内ケアを受けるグループと出産前だけに母乳栄養について教育されるグループ、出産後授乳支援を受けるグループとを比較する無作為化試験を行った。本論はBMJ誌オンライン版8月1日付けで早期公開され、本誌では9月22日号で収載されている。ルーチンケア、出産前教育、出産後サポートの3群に分け比較調査はシンガポールの3次機能病院で、併発症を伴わない妊婦450例を、ルーチンケア群(151例)、出産前教育群(150例)、出産後サポート群(149例)にランダムに振り分け行われた。主要評価項目は、分娩退院後2週、6週、3ヵ月、6ヵ月各時点の母乳養育率。副次評価項目は、すべての母乳養育率とした。出産後サポートのほうが出産前教育よりわずかに効果的結果、ルーチンケア群と比較して出産後サポート群のほうが母乳養育の傾向が強いことが明らかとなった。相対リスクは2週時点1.82(95%信頼区間:1.14-2.90)、6週時点1.85(同1.11-3.09)、3ヵ月時点1.87(1.03-3.41)、6ヵ月時点2.12(1.03-4.37)。出産前教育群は、6週、3ヵ月、6ヵ月の時点だけ出産後サポート群より母乳で育てる傾向が見られた。相対リスクはそれぞれ1.73(1.04-2.90)、1.92(1.07-3.48)、2.16(1.05-4.43)。6ヵ月時点での出産後サポート群と出産前教育群の比較では、それぞれNNT(*)が11(6~80)と10(6~60)という結果で有意差は見られなかった。しかし2週時点では、出産後サポート群は出産前教育群と比べるともっぱらあるいは主として母乳で育てる傾向が見られた(相対リスク1.53、95%信頼区間1.01-2.31)。6週間時点でも出産サポート群は、ルーチンケア群と比較しても母乳養育率がより高かった(同1.16、1.02-1.31)。このように、出産前後を問わず1回の介入で分娩後最高6ヵ月時点での母乳養育率の改善につながること、出産後サポートのほうが出産前教育よりわずかに効果的であることが明らかとなった。*NNT:number needed to treat。治療必要数。ここではルーチンケア群との比較で。

33906.

へテロ接合型家族性高コレステロール血症スクリーニングは1~9歳児を対象に

ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症(FH)例は若年でも冠動脈イベントリスクが著明に増加する。そのため早期発見が必要とされるが、1~9歳時に血清脂質をチェックするのが最も有効なスクリーニング法であると、英国Barts and the LondonのDavid S Wald氏らがメタ解析の結果として報告した。BMJ誌オンライン版9月13日付け早期公開された後、本誌9月22日号で収載されている。13研究のメタ解析Wald氏らが解析対象にしたのは、ヘテロ接合性FHと非FHにおける、総コレステロール(TC)・LDLコレステロール(LDL-C)値とFH有症率に関するデータを含む13研究18,128例。血清脂質を測定した年齢を「新生児(2試験)」、「1~9歳(5試験)」、「10代(2試験)」、「20~30代(2試験)」、「40~50代(1試験)」と「60代以上(1試験)」に分け、FH偽陽性率が0.1%、0.5%、1%となるTC、LDL-Cのカットオフ値を求め、同時にそのカットオフ値によるFH検出率を算出した。算出に必要なデータが論文に掲載されていない場合、論文著者にコンタクトをとった。偽陽性率0.1%で90%近い検出率するとTC、LDL-Cいずれを指標とする場合も、「1~9歳」時における検出度が最も高かった。すなわち、偽陽性率0.1%の場合、TCならばカットオフ値:1.53MoM(*)で検出率は88%(95%信頼区間:84-92%)、LDL-Cはカットオフ値2.23MoMで検出度は85%(95%信頼区間:79-89%)、いずれも各年代を通しての最高値だった。偽陽性率0.5%、1%で比較しても同様の結果だった。筆者らは1~9歳児に対するFHスクリーニングが有用だと結論すると同時に、そのようなスクリーニングにより親の未発見FH検出にも役立つはずと主張している。 *MoM:multiples of the median。中央値の何倍かを示す。本研究では非FHの脂質中央値に対するMoMである。ちなみに、「1~9歳」のTC中央値はほぼ4m mol/Lなので、カットオフ値は4×1.53=6.1m mol(237mg/dL)となる。(宇津貴史:医学レポーター)

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国連ミレニアム開発目標4は達成可能か?

2000年開催の国連ミレニアム・サミットで採択された8つの国連ミレニアム開発目標(MDG)のうち、4番目の目標が、2015年までに世界の5歳未満死亡を1990年基準より67%減らそうというものである。 ワシントン大学のChristopher J L Murray氏らによる本論は、MDG 4目的達成の前提となる死亡率推計値について、現状データの統計方法に疑問を呈し、新たに再現性ある方法を開発するとともに既存データの再分析を行った。Lancet誌9月22日号より。国連ミレニアム開発目標は67%減少を目指しているが……研究グループは、172カ国における5歳未満死亡率のデータを可能な限り入手し、これまでの傾向と2015年までの予測についてLOESS回帰分析を行った。研究グループが開発したのは、それぞれの推計モデルの特異性に着目しながら過去のタイムトレンド、そして新生児期、乳児期、小児期の死亡率を算出するという方法。その結果、世界の5歳未満死亡率は、1980年の1,000対110から、25年後の2005年には1,000対72に下がっていたこと、世界の児童死亡数は、1980年の1,350万人から、2005年には約970万人に減少していたことが明らかとなった。また研究グループの推計では、1990年を基準とした場合の期待できる2015年までの5歳未満死亡率低下は27%で、「MDG 4が掲げる67%低下と比べればはるかに低い数値だ」と述べている。アフリカサハラ以南の遅れが足を引っ張るラテンアメリカ、北アフリカ、中東、ヨーロッパと東南アジアなどいくつかの地域では、35年間にわたって毎年4%以上の低下率を維持し続けてきたことも明らかとなった。MDG 4の世界における推移は、サハラ以南のアフリカ地域における死亡率低下の遅れに強く影響され続けており、同地域は人口増加率においても最も歯止めがかからない地域でもある。これらから研究グループは、「世界的に見れば、幼児死亡率の低下という目的からすれば30年前よりもよい仕事をしているとは言えない」と述べ、幼児死亡率測定の質と即時性のさらなる改善は、既存データの十分な活用と、標準的な分析方法の適用によって可能なはずだと結論づけている。

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モザンビークにおける重篤な精神的・神経学的障害の出現率

モザンビークは世界でも最も貧しい国の一つである。人口約1,800万人のうち、7割は農村部に暮らしている。この国の精神科医はわずか10人に過ぎず、人々の精神的・神経学的健康状態に関する情報不足は、国の政策決定と医療資源への投資を妨げてきた。Vikram Patel氏らのグループはWHOの支援を受けたモザンビーク保健省とともに、都市部と農村部における発作性疾患、精神疾患、精神発達遅滞の出現率の評価を行った。LANCET誌9月22日号より。都市部と農村部から計2,739世帯をランダムに抽出調査対象はモザンビークの首都Maputo市から1,796世帯、同国でも最も貧困な地方の町Cuambaから943世帯の計2,739世帯がランダムに選ばれた。調査は一定間隔ごとの世帯への訪問インタビュー形式で行われた。各々の世帯の情報提供のキーマンとなる人物から、症状に合致する障害のあると思われる世帯構成員を聞き出すことで有症者を同定し、障害の原因と行われた治療、現在の状態についても聞き取りが行われた。農村部の精神疾患出現率は都市部の約3倍生涯有病率は3つの精神障害すべてにおいて、都市部より地方の方がより高かった。成人の精神疾患出現率は農村部の4.4%に対し都市部では1.6%(標準化有病比2.79)、精神発達遅滞は1.9%対1.3%(同1.48)、発作性疾患は4.0%対1.6%(同2.00)だった。3つの障害の中で、世帯情報提供者がその原因を超自然的な理由にあると考えているのは精神疾患がトップで、発作性疾患がそれに続いた。また、これら精神疾患を持つ構成員のいる世帯の約4分の3は“昔ながらの開業医”に相談しており、農村部に住むこれら障害のある者のほぼ半数は現在も健康状態に問題ありと判定できた。Patel氏らはこうした実態を踏まえ、「精神障害に対する理解を向上させるための援助としては、農村部における精神保健資源への投資、そして、特にモザンビークの貧困な農村地帯においては“昔ながらの開業医”との協力が差し迫った課題である」と結論づけた。

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出生前コルチコステロイド反復投与の長期予後:ACTORDS研究グループ

 オーストラリアのアデレード大学Caroline A. Crowther氏らACTORDS(Australasian Collaborative Trial of Repeat Doses of Steroids)研究グループは以前、早期産のリスクを有する妊婦へのコルチコステロイド反復投与療法について無作為化対照臨床試験を行い、「新生児における呼吸窮迫症候群や重篤な疾患罹患リスクが減少した」と報告したが、この時のデータは本療法の長期予後に関しては有効ではなかったため、あらためて前向き臨床試験を実施した。NEJM誌9月20日号の報告から。2歳時の感覚神経障害と体格を評価 今回の試験では、コルチコステロイドの初期治療コースを7日間以上受けた妊婦に、コルチコステロイド(ベタメタゾン11.4mg:反復投与群)またはプラセボ(生理食塩水:単回投与群)の筋注がランダムに割り当てられた。妊娠期間が32週未満で早期産の危険がある妊婦には、毎週投与が繰り返された。 評価は年齢調整後の2歳時点における重度感覚神経障害を伴わない生存率および体格。注意力に問題あるも単回投与群と有意差なし 2歳時点で生存していた1,085例の小児の内、1,047例(96.5%)が評価の対象となった(反復投与群521例、単回投与群526例)。 重度障害を伴わない生存率は、反復投与群84.4%、単回投与群81.0%で同程度だった(補正相対危険度1.04、95%信頼区間:0.98-1.10、P = 0.20)。 体格、血圧、保健サービスの利用度、呼吸器系疾患罹患率、また小児行動スコアのいずれも両群間に有意差は認められなかった。ただし注意力の面での問題が、反復投与群で単回投与群より一定の根拠をもって指摘された(P = 0.04)。 これらの結果から研究グループは、出生前コルチコステロイドの反復投与を用いた早期産のおそれのある妊婦の管理は、前回試験で明らかになったように、新生児の罹患率を低下させるとともに、2歳時点においても重度の感覚神経障害または発育不良のどちらも伴わないと報告している。

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出生前コルチコステロイド反復投与の長期予後:MFMU研究グループ

 出生前コルチコステロイドの反復投与は、早期産児の新生児期における一部の疾患罹患や死亡リスクを改善するものの、出生時体重の低下および子宮内胎児の発育遅延のリスクを増すことが、先行研究によって示されている。本論文は、コロンビア大学Ronald J. Wapnerら米国NIHのMFMU(Maternal-Fetal Medicine Units)ネットワークの研究グループによる、出生前コルチコステロイド投与の長期追跡調査の結果報告。NEJM誌9月20日号に掲載された。反復投与群と単回投与群を比較 追跡調査は、コルチコステロイドの初期コース受療後7日目の時点で妊娠が継続していた妊娠23~31週の女性を、反復投与群(ベタメタゾン週1回12mg筋注、24時間後に再投与)と単回投与群(プラセボ投与)に無作為に割り付け、それぞれに生まれた修正年齢2-3歳時の小児が対象とされた。 評価は、ベイリー乳幼児発達検査(Bayley Scales of Infant Development:BSID)スコア、身体測定値、脳性麻痺の有無で行われた。脳性麻痺の発症率が反復投与群で高かった 追跡調査が行われたのは556例。そのうち486例(87.4%)が身体測定を受け、465例(83.6%)がベイリー検査を受けた。平均修正年齢(±SD)は29.3±4.6ヵ月だった。 身体測定およびベイリー検査の結果に関しては両群に有意差は見られなかった。 脳性麻痺に関しては、反復投与群では6例(妊娠全体の2.9%)に認められたのに対し、単回投与群は1例(同0.5%)で、相対リスクは5.7という結果だった(95%信頼区間:0.7-46.7、P=0.12)。 長期予後として神経認知機能や身体の発達度に有意差は認められなかったが、脳性麻痺の発症率が統計学的に有意差は認められなかったとはいえ反復投与群で高かったことを受け、研究グループは「懸念すべきことであり、さらなる研究が必要だ」と結んでいる。

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B型慢性肝疾患治療薬バラクルードの投薬期間制限解除

B型慢性肝疾患治療薬バラクルード錠0.5mgは、2007年10月1日より投薬期間の制限が解除された。 B型肝炎キャリアは約150万人とされ、肝がんの原因の第2位を占めている。B型肝炎は、無症候性キャリアからも肝がんを発症することがあり、常に注意が必要な疾患である。バラクルードは、従来の治療薬に比べ、高い抗ウイルス活性と低い耐性出現率を示す。このことから、バラクルードは既に35歳以上のB型慢性肝炎の治療ガイドラインでは第一選択薬として推奨されており、ラミブジン投与中であっても、治療期間の短い症例では変更可能な薬剤として推奨されている。今回の投薬期間の制限解除により、B型慢性肝疾患の患者さんに、より投与しやすくなると予想される。(ケアネット 鈴木渉)

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研修医の75%が学術誌論文の統計解析について全く理解できていない

医師は医学文献を正しく理解するのに必要な統計的知識をどれぐらい持ち得ているのだろうか。内科研修医を対象とする統計方法および調査結果を正しく解釈できるか否かに関するサーベイが、エール大学医学部内科学Donna M. Windish氏らによって行われた。JAMA誌9月5日号の報告から。内科研修医対象に統計的知識を問う多項目選択式テスト本サーベイは、複数の医学研修プログラムに参加する内科研修医を対象に横断的に行われた。Donna氏らは、まずBMJ、JAMA、Lancet、NEJMなど主要な総合医学専門誌6誌から、生物統計学・研究デザインに関する知識を問う20の質問事項からなる多項目選択式テストを作成。前段に、(1)年齢、研修レベル、統計学に関する過去のトレーニング経験の有無などからなる問い、(2)統計学に対する考え方を聞く5つの質問項目からなる問い、(3)統計概念の解釈と評価に関する4つの質問項目からなる問いを併せた調査票を用意した。これを用いてサーベイを行い、11の医学研修期間プログラムに参加する277人の研修医から回答が得られた(75.5%)。正確な統計知識と結果解釈は平均41.4%主要評価項目とした統計知識と結果解釈が正しかった割合は、研修医全体平均41.4%(95%信頼区間:39.7%-43.3%)。リサーチ・トレーニング中のフェローおよび総合内科教職員(faculty)は71.5%(同57.5%-85.5%)であった(P<0.001)。スコアは、より高位の学位を持っている(Yes:50.0%、No:40.1%、P<0.001)、生物統計学トレーニングの経験(Yes:45.2%、No:37.9%、P=0.001)、大学のトレーニングプログラムに登録している(Yes:43.0%、No:36.3%、P=0.002)、そして男性(44.0%、女性38.8%、P=0.004)と相関してより高かった。各質問項目で正しく相対危険度を解釈できたのは81.6%。Donna氏は、「研修医は、どのように多変量回帰分析(37.4%)やカプラン・マイヤー解析(10.5%)の結果から補正オッズ比をどう解釈すべきかほとんどわかっていないようだ。学術誌論文で遭遇した統計について75%が全く理解できていないことを示していた。それでも、95%が文献の知的な読者であるためには、これらの概念を理解することが重要であることも感じている」と述べ、研修医が首尾よくこの重要な生涯スキル学習への道を歩めるよう、効果的な生物統計学に関するトレーニングを研修プログラムのカリキュラムに含む必要があると提起した。(武藤まき:医療ライター)

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キャリアスクリーニングの本来意義を問う

ゴーシェ病(GD)は常染色体劣性遺伝疾患でアシュケナジ系ユダヤ人で比較的頻度が高く、1995年以降、イスラエルおよび全世界のアシュケナジ系ユダヤ人を対象にキャリアスクリーニングが行われているが、現在論争の的になっている。キャリアによく見られる1型GDは、大抵は無症候性であり効果的な治療法も存在するからだ。しかし、イスラエルのヘブライ大学ハダーサメディカルスクールのShachar Zuckerman氏らは「キャリアスクリーニングの目的は、重症で治療不能の遺伝病を未然に防ぐことにある。影響を受けた小児出生の前にリスクにさらされているカップルを確認すること、そしてそのようなカップルに子供に影響が及ぶことを教示しオプションを提示することも目的の1つである」と述べる。JAMA誌9月19日号より。ゴーシェ病のキャリアカップルのスクリーニングプロセスとその後を調査Zuckerman氏らは、イスラエルの遺伝子センター(10/12ヵ所;83.3%)からGDスクリーニングの検診者数、キャリア数・カップル数とこれらのカップルで確認された突然変異の小児出生に関するデータ(1995年1月1日~2003年3月31日の間)の提供を受け、キャリアカップルに対して電話調査を行った(2003年1月21日~2004年8月31日の間)。主要評価項目は、スクリーニングの実施範囲(場所数、検診者数、キャリアカップル数)、プロセス(予備検査の種類、検査後診察)、結果(出生前診断を利用したか、妊娠の結果)。最大の成果はカップルに正しく医学情報と選択権を与えられていること検診者約28,893人のキャリア出現率は5.7%。83組のカップルがキャリアで、82組に子供に1型GD発症のリスクがあった。このうち70組(85%)の子供は無症候性かやや影響を受ける危険があった。12組(15%)には中等度の影響を受ける危険があった。スクリーニング後に面談した65組で妊娠が確認されたのは90例。そのうち出生前診断が68例(76%)で行われ、16例の胎児(24%)にGDが見つかっているが、中絶したのは、無症候性かやや影響を受けると予測された13例の胎児のうち2例(15%)、中等例で3例のうち2例(67%)だった。また、遺伝学的カウンセリングだけでなく、GDの専門家による医学的なカウンセリングを受けたカップルのほうが中絶に至った数が有意に少なかったことを明らかとなった[3/3(100%)対1/13(8%)、P =0.007]この結果を受けZuckerman氏は、「GDキャリアスクリーニングは、カップルに知識と選択権を提供できていたという点で意義がある。スクリーニングプログラムの本来の目的を明示した本研究結果は、低浸透度疾患のキャリアスクリーニングプログラムに一石を投じるだろう」とまとめた。(武藤まき:医療ライター)

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医療事故309件、今年4月から6月

日本医療機能評価機構の医療事故防止センターによると、今年4~6月に報告された医療事故は309件だった。そのうち、うち死亡事故は27件。 内容は、療養上の世話107件(34.6%)、治療処置105件(34.0%)、医療用具等22件(7.1%)、薬剤19件(6.1%)だった。 薬剤に関連した事故27件をみると、「実施段階」9件  ・薬剤が準備されていた注射器の取り違え2件  ・別の患者の内服薬の誤投与3件 など「指示段階」8件  ・薬剤名の類似による入力間違い1件  ・インスリンの単位間違い1件  ・指示の変更が反映されなかった1件 など「準備段階」8件  ・薬瓶の類似による薬剤間違い2件  ・外観の類似による薬剤間違い1件 など詳細は下記をご覧くださいhttp://jcqhc.or.jp/html/accident.htm#med-safe

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向精神薬「リタリン」、うつ病の適応を取り下げる方針

 9月18日に東京都が不適正処方の疑いで新宿区のクリニックを医療法に基づき、立ち入り検査をしてマスコミ報道で話題となった向精神薬「リタリン」(一般名:塩酸メチルフェニデート)について、製造販売元のノバルティスファーマ社(東京都港区)は、適応症から難治性・遷延性うつ病を除外する方針を固めた。リタリンは1958年にうつ病治療薬として販売され、現在は「難治性うつ病」「遷延性うつ病」、日中突然眠くなる睡眠障害「ナルコレプシー」の効能が承認されている。リタリンは保険適用外となるが医師の判断で保険外での処方は可能 90年代頃、依存性が高い半面、興奮や覚せい効果をもたらすという評判から、薬物依存の患者がリタリンを求めて病医院を渡り歩くなどの問題が急増してきた。特に某書籍で紹介されるや、リタリンの名が広がった。 ノバルティスファーマ社では、医師へ厳密な診断や処方を求める文書を配布するなど注意を促してきたが、ネットでの薬の売買、あるいはリタリンを簡単に処方してくれる病医院の情報交換など、若者を中心にリタリンの乱用は広がっている。 こうした社会背景から、今回の適応の取り下げ申請の方針となった。これで一定の歯止めができる。 ただ、うつ病の適応を外すことでリタリンは保険適用外となるが、医師の判断で保険外での処方は可能。また、安易な処方は減るかもしれないが、逆にリタリンが入手しにくくなることで、ネットでの売買が広がる危険性も高い。 薬物乱用の問題はリタリンにとどまらない。行政と医療界、さらに教育が一体となった取り組みが重要なのは言うまでもない。

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医師処分77人、過去最多

9月27日、厚生労働省は医道審議会の答申を受け、刑事事件で有罪が確定した者など、医師58人、歯科医師19人の計77人の行政処分を発表した。これは過去最多となる。内容は、免許取り消し6人、61人が1カ月~3年間の業務停止。医療行為に関連した処分は9人で、今年度設けた戒告は10人だった。処分を受けた医師には、再教育研修も新たに義務づけた。(ケアネット 孫秀煥)

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大衆薬では国内初のヘルペス薬が発売

グラクソ・スミスクライン社(東京都渋谷区)と大正製薬(東京都豊島区)は大衆薬では国内初となるヘルペス薬を10月9日に発売する。発売されるのは抗ヘルペスウイルス外用剤「アシクロビル軟膏」のスイッチOTC薬で、対象は口唇ヘルペスの再発で、過去に医師の診断や治療を受けたことがある人に限定している。グラクソ・スミスクライン社は「アクチビア軟膏」、大正は「ヘルペシア軟膏」の製品名で販売する。

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診療科、削減から拡大へ

標榜科を20程度まで削減することを検討してきた厚生労働省は、医師会・学会等の強い反対を受け、大幅な拡大へと方針転換した。今ある診療科はほぼ残り、内科や外科と体の部位などを組み合わせて標榜できるようにする。政令で定める診療科名は、内科、外科、歯科の三つ、小児科や精神科などは、政令とは別に省令で単独表記できるようにする。その上で、臓器や身体の部位、病名や症状、患者の特性、診療方法などと組み合わせることができるというもの。しかし、胃腸科などの表記は認めず、消化器内科、消化器外科といった表現になる。新しい診療科がどれだけ患者にとってわかりやすいものとなるのか、議論がありそうだ。(ケアネット 孫秀煥)

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公共禁煙法施行で学童の受動喫煙減少

2006年3月から公共の屋内における喫煙が原則的に禁止された英国スコットランドでは、学童の受動喫煙が有意に減少していることがUniversity of EdinburghのPatricia C Akhtar氏らによるCHETS研究の結果、明らかになった。同研究報告はBMJ誌オンライン版9月9日付、本誌9月15日号に掲載された。両親が喫煙しなければ子供にメリットCHETS(Changes in child exposure to environmental tobacco smoke)研究では、禁煙法制定前の2006年と施行後2007年における小学校最終学年の学童による受動喫煙量の変化を比較した。喫煙量の測定には唾液サンプル中のニコチン代謝物(コチニン)濃度を用いた。2006年には2,403サンプル、2007年にも2,270サンプルが提出された。その結果、2006年には0.35ng/mLだったコチニン濃度(幾何平均値)は0.21ng/mLへと有意(p

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公共禁煙法により非喫煙者の受動喫煙量が減少

2006年に公共の屋内における喫煙を禁じる法律が施行された英国スコットランドでは、非喫煙者の受動喫煙量が40%近く減少することが、英国NIHのSally J Haw氏とLaurence Gruer氏の調査で明らかになった。BMJ誌オンライン版9月9日付、本誌9月15日号に掲載された。受動喫煙量が4割減少と推測される本研究では喫煙禁止前の2006年と禁止後2007年、無作為に抽出した16~74歳の住人に調査依頼を郵送し、受諾した家庭に赴き聞き取り調査を行った。2006年は1,815人、2007年には1,834人から聞き取り調査を行い、それぞれ627人と592人の非喫煙者から唾液サンプルの提供を受けた。その結果、受動喫煙量の指標となる唾液中ニコチン代謝物(コチニン)濃度は、2006年の0.43ng/mLから0.26ng/mLへと相対的に39%、有意(p

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