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重症腹膜炎患者にはon-demandな外科的治療を優先すべき

二次性腹膜炎患者について検討される再開腹術には、on-demand治療戦略とplanned治療戦略がある。それぞれ一長一短が言われており検証されていないのだが、死亡率、腹膜炎に関連した罹病率の低下、医療資源の消費およびコストを抑えられる可能性があることからon-demand治療を支持する声が高まっている。 そこでOddeke van Ruler氏らオランダ腹膜炎研究グループは無作為化試験を行い、どちらがふさわしいか検討した。JAMA誌8月22日号掲載の報告から。死亡率、腹膜炎関連の罹病率を主要エンドポイントに試験対象は、オランダにある2つの大学病院と5つの教育病院で2001年11月~2005年2月の間に治療を受けた、重症の二次性腹膜炎でAPACHE- IIスコアが11以上の患者232例。on-demand治療群(116例)とplanned治療群(116例)に無作為に割り付けられ、主要エンドポイントは12ヵ月の追跡調査期間内の死亡率と腹膜炎関連の罹病率、2次エンドポイントは医療資源の消費とコストで検証された。費用対効果でon-demand治療に軍配主要エンドポイント(死亡率と腹膜炎関連の罹病率)は、on-demand治療群57%(n=64) vs planned治療群65%(n=73)で有意差はなかった(P=0.25)。死亡率は29% vs 36%(P=0.22)、罹病率は40% vs 44%(P=0.58)だった。割り付けられた各群患者のうち再開腹術を受けたのは、on-demand治療群42%、 planned 治療群94%だった。1回の再開腹術で腹膜炎の所見がネガティブに至った患者は、on-demand治療群31%、planned治療群66%だった(P <0.001)。患者のICU滞在日数、入院日数はon-demand治療群のほうが短く(7日vs 11日;P=0.001、27日 vs 35日;P=0.008)、患者1人当たりの直接医療費はon-demand 治療を選択することで23%切り詰められていた。以上の結果からRuler氏らは、「on-demand治療はplanned 治療と比べて死亡率が低いとか腹膜炎関連の発病を伴わないというわけではないが、医療資源の消費と医療費は相当少なくて済むことが明らかとなった。重症の腹膜炎患者が優先すべき外科的戦略はon-demand治療と考えられる」と結論付けた。(武藤まき:医療ライター)

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小児高血圧症の診断見落としは74%

小児肥満の蔓延に伴って小児高血圧症の有病率が増加している中、診断未確定の高血圧症と高血圧前症の頻度がどれくらいあるのか、また診断見落としはどんな患者因子が原因になっているのかを同定するコホート研究が、米国オハイオ州にあるCase Western Reserve 大学医学部のMatthew L. Hansen氏らによって行われた。JAMA誌8月22日号より。3~18歳児1万4,000例をスクリーニング研究対象は、1999年6月から2006年9月までの間に最低3回、定期健診でオハイオ州北東部の総合医療システム附属クリニックを訪れた3~18歳の14,187例。主要評価項目は定期健診時の血圧測定で、年齢および身長による補正後も高値を3回以上示した小児の割合と、高血圧または高血圧前症と診断され電子カルテに記載された割合。診断に関連する患者因子は多変量ロジスティック回帰分析によって同定された。3回以上の定期健診で高血圧または高血圧前症の判定基準を満たしたとされる小児は、診断リスト、問題リスト、病歴リストにおける高血圧関連のICD9コードとの比率で判定された。早めの適切な診断が重要高血圧症の小児は507例(3.6%)いたが、実際に高血圧症または血圧上昇の診断を受け電子カルテに記録されていたのは131例(26%)だった。高血圧症診断の補正オッズ比を高めた患者因子は、1年ごとの上昇値(3歳以降の)(オッズ比1.09)、血圧上昇の記録が3回を超えた頻度(同1.77)、身長-年齢パーセンタイル値の1%の増加(同1.02)、肥満に関連した疾患の診断(同2.61)、ステージII高血圧症に該当する血圧記録の数(1.68)だった。一方、高血圧前症の小児は485例(3.4%)で、55例(11%)は適切に診断され電子カルテに記載されていたが、それ以外は見落とされていた。高血圧前症診断の補正オッズ比を高めた患者因子は、1年ごとの上昇値(3歳以降の)(オッズ比1.21)、血圧上昇の記録が3回を超えた頻度(同3.07)だった。Hansen 氏らは、「今回の研究対象(平均年齢8.8歳、50%がアフリカ系アメリカ人)では診断見落としが頻繁に起きていた。診断確率の上昇には、年齢、身長、肥満関連の疾病の診断、血圧の異常記録およびその記録頻度とすべてが関係していた」と述べ、小児の血圧の正常値および異常値は年齢、性別、身長によって異なり基準を覚えるのは難しいが、異常血圧の確立された評価ガイドラインおよび効果的治療が存在するので、早めの適切な診断は重要であると結んだ。(朝田哲明:医療ライター)

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重篤な精神疾患に対する集中型ケース管理は入院治療を低減させるか

現代の精神健康サービスでは重篤な精神疾患患者の入院期間は最小限にすべきとされており、集中型ケース管理(intensive case management)は重症精神疾患患者の不必要な入院の低減を目的とした患者管理法である。これまでに実施された集中型ケース管理の無作為化対照試験の結果は相反するものであり、入院治療を減少させたとする報告がある一方で無効とする研究もある。 このような矛盾した結果が生じる原因については、試験の実施状況や集中型ケース管理モデルの違いなど諸説がある。イギリス・オックスフォード大学Warneford病院社会精神医学のTom Burns氏らは、これらの仮説の検証を目的に体系的なレビューを行った。BMJ誌7月13日付オンライン版、8月18日付本誌に掲載された報告。2007年1月までのデータから無作為化対照試験を抽出2007年1月までにデータベースに登録されたデータを検索し、地域在住の重篤な精神疾患患者に対する集中型ケース管理を標準治療あるいは低集中型ケース管理と比較した無作為化対照試験を抽出した。積極的コミュニティー治療(ACT)モデルの遵守の評価には適合度評価基準(fidelity scale)を用いた。多施設共同試験は、施設に特異的な適合度データによって個々の施設に分離して解析した。入院治療が多い場合に、集中型ケース管理により入院治療が有意に減少試験前のベースラインあるいは対照群における入院治療が多い試験では、集中型ケース管理により入院治療が有意に減少した。また、ACTモデルに従って組織化されたケース管理チームによって入院治療が有意に減少したが、この知見はsensitivityが低く、ACTで推奨されるスタッフ水準は確認できなかった。Burns氏は、「集中型ケース管理は入院治療が多い場合に最も良好に機能していた。ケース管理チームの有効度はその組織のACTモデルの導入程度が上がるに従って増大したが、スタッフ水準の上昇を示すエビデンスは低かった」と結論している。同氏は、「すでに少ない入院治療が達成されている場合は、集中型ケース管理のベネフィットはわずかであり、またスタッフの質よりもチームの組織化が重要と考えられる。入院治療の低減を達成するには、ACTモデルを全面的に適用する必要はない可能性がある」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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特定のプロバイオティクスが小児の急性下痢の期間と排便回数を改善

急性下痢は、グルコース電解質を含む水分補給用飲料の経口投与により失われた水分を補うことで管理されるが、この方法では下痢の重症度や持続期間は改善されない。プロバイオティクス(ヒトの健康に良好な作用を及ぼす細菌)はヨーロッパの多くの国で小児の急性下痢の補助的治療法として用いられており、いくつかの製品は重症度や持続期間の改善効果が認められている。 イタリア・ナポリ大学Federico II小児科のRoberto Berni Canani氏らは、5つのプロバイオティクス製品の急性下痢の改善効果を比較する無作為化対照比較試験を実施した。BMJ誌8月9日付オンライン版、8 月18日付本誌に掲載された報告から。患児の親が特定製品の購入説明文書に無作為に割り付けられた対象は、急性下痢で6つの家庭小児科を受診した生後3~36ヵ月の小児とした。患児の親が、以下の特定のプロバイオティクス製品の購入に関する説明文書を受け取る群に無作為に割り付けられた。水分補給用飲料(対照群)、Lactobacillus rhamnosus strain GG、Saccharomyces boulardii、Bacillus clausii、L delbrueckii var bulgaricus/Streptococcus thermophilus/ L acidophilus/ Bifidobacterium bifidumの混合製品、Enterococcus faecium F68。5つの介入群のうち2つのプロバイオティクスで有効性を確認1999年10月~2000年9月の1年間に571例の患児が登録され、対照群と5つの介入群に割り付けられた。下痢の持続期間(中央値)は、対照群(115.0時間)に比べL. rhamnosus strain GG群(78.5時間)および4種の混合群(70.0時間)で有意に短縮していた(p<0.001)。初回プロバイオティクス投与後1日目の排便回数は、L. rhamnosus strain GG群および4種の混合群が他の群に比べ有意に少なかった(p<0.001)。残りの3つの介入群は下痢の持続期間および排便回数に影響を及ぼさなかった。また、嘔吐および発熱の持続期間、入院率についてはいずれの介入群も対照群と同等であった。Canani 氏は、「市販のプロバイオティクス製品の中には小児の急性下痢に有効なものがあるが、すべての製品が効果的なわけではない」とし、「プロバイオティクスは薬剤とみなすべきであり、医師は個々の臨床的病態における各製品の有効性に関するエビデンスに基づいて選択すべきである」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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DESへのCOX2阻害薬追加で再狭窄抑制

服用による心筋梗塞リスク増加が懸念されている選択的COX2阻害薬だが、その1つcelecoxibは、薬剤溶出ステント(DES)留置前からの服用開始により6ヵ月間の経皮的冠血行再建術(PCI)再施行を減少させる可能性が示唆された。Lancet誌8月18日号にNational University of Seoul(韓国)のBon-Kwon Koo氏らが無作為化オープン試験の結果として報告した。抗血小板薬中止後の超遠隔期血栓がDESの最大問題となっている現在、この研究の臨床的価値はどのようなものだろうか──。追跡は6ヵ月間対象となったのは狭心症、あるいは負荷試験による虚血所見が陽性で、かつ責任病変にインターベンション歴のない274例。このうち136例を celecoxib群、138例を対照群に無作為化した後盲検化せずにパクリタキセル溶出ステントを留置し、アスピリンとクロピドグレル服用の上、6ヵ月間追跡した。追跡終了時のスタチン、β遮断薬、レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬の服用率は両群で同等だった。再狭窄は有意に抑制され、PCI再施行も減少第一評価項目は「冠動脈造影(CAG)で評価した血管ステント留置部内腔径の変化」である。試験終了時にCAGを施行できたのはcelecoxib群、対照群とも112例だった。その結果、celecoxib群では対照群に比べ、ステント留置部の血管内腔径減少が0.26mm有意に(p

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新たなアジュバントによる抗原節減法が鳥インフルエンザワクチンの免疫原性を増強

次なるヒトインフルエンザの汎流行(爆発的大流行、パンデミック)の原因となる可能性が高いウイルスとしてH5N1型鳥インフルエンザが考えられているが、その対策としてのインフルエンザワクチンの生産能には世界的に限界がある。抗原節減法は1接種に要する抗原量を少なくできるため、パンデミックワクチンの開発において重要なアプローチと考えられており、アジュバント(免疫増強法)は抗原節減の重要な戦略である。 ベルギー・ヘント大学病院ワクチンセンターのIsabel Leroux-Roels氏らは、独自に開発した新たなアジュバント法で調整した遺伝子組み換えH5N1スプリットウイルス粒子ワクチンの安全性および免疫原性を評価し、交差反応性免疫の誘導能について検証を行った。8月18日付Lancet誌掲載の報告から。4種類の抗体量とアジュバントの有無で8群に分け、2回ずつ接種試験には、不活化されたスプリットA/Vietnam/1194/2004 NIBRG-14[逆遺伝学(reverse genetics)の手法で作製された遺伝子組み換えH5N1]ワクチンが用いられた。2006年3月27日~6月15日の間に18~60歳の健常ボランティア400人が登録された。これらの対象は、4種類の抗体量(ヘマグルチニンH5抗体3.8、7.5、15、30μg)とアジュバントの有無によって分けられた8つのワクチン群に無作為に割り付けられ、それぞれ2回ずつワクチン接種が行われた(1回目の21日後に2回目を接種)。液性免疫応答の解析のために血液サンプルを採取し、有害事象は51日目(2回目の接種後30日)まで記録した。安全性が高く、少ない抗原量で十分な免疫応答が得られた8つの群すべてにおいて良好な安全性プロフィールが示され、重篤な有害事象は認めなかった。アジュバントワクチンは非アジュバントワクチンに比べ接種部位の症状および一般症状の頻度が高かったが、ほとんどが軽度~中等度であり、本質的に一過性であった。全抗原量において、アジュバントワクチンは非アジュバントワクチンよりも免疫原性が優れた。抗原量が最も少ない群(3.8μg)においても、アジュバントワクチンの遺伝子組み換え同種ワクチン株(A/Vietnam/1194/2004 NIBRG-14、clade 1)に対する免疫応答は、アメリカおよびEUの基準を十分に満たした。また、3.8μgアジュバントワクチン接種者の77%において、H5N1の分離株(A/Indonesia/5/2005、 clade 2)に対する中和抗体が陽性化した。Leroux-Roels氏は、「独自の新アジュバントは抗原の節減法としてきわめて有用であり、パンデミックインフルエンザワクチンの生産能を高めると考えられる」と結論、「cross-clade中和抗体反応からは、パンデミック前の予防接種に本ワクチンが使用可能なことが示唆される」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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睡眠時周期性四肢運動障害の遺伝子変異を確認

不穏下肢症候群(RLS)は、脚を動かしたいという抑えられない衝動を特徴とする一般的にみられる神経性障害である。RLSは睡眠を妨げる一因となり、そのためRLS患者の大部分で睡眠時周期性四肢運動障害を有すると同時に、同疾患の生理学的指標とされている。 deCODEジェネティクス社(アイスランド)のHreinn Stefansson氏らは、RLSの一因と言われてきた遺伝子配列変異体を捜すため、ゲノムワイド関連研究と2つの再現性研究を実施した。NEJM誌オンライン版7月18日号、本誌8月16日号より。6番染色体イントロンでの変異体との関連性を確認本研究では表現型の不均一性による影響を最小とするため、睡眠時周期性四肢運動障害が客観的に確認できたRLS患者に焦点を当てた。またRLSの発症過程では鉄分欠乏との関連が言われており、血清フェリチン値を測定した。アイスランドにおけるRLS患者および睡眠時周期性四肢運動障害を有する患者サンプルから、6番染色体上のBTBD9イントロンで共通の変異体と、ゲノムワイドでの重要な関連性が観察された〔オッズ比1.8、P = 2×10(-9)〕。同様の関連性はアイスランドの第2サンプルでもみられ〔オッズ比1.8、P = 4×10(-4)〕、さらに米国のサンプル〔オッズ比1.5; P = 4×10(-3)〕でも確認された。この遺伝子変異が認められる場合の、周期性四肢運動障害を伴うRLSの集団寄与危険度は約50%だった。鉄分欠乏の病因関与も濃厚Stefansson 氏らは、「本研究によって睡眠時周期性四肢運動障害に対する感受性に関連する変異体が発見された。この変異体と、RLSを伴わない睡眠時周期性四肢運動障害が関連すること(ならびに周期性四肢運動障害のないRLSとは関連がないこと)は、睡眠時周期性四肢運動障害の遺伝的決定因子を同定したことを示唆するものである〔オッズ比1.9、P = 1×10(-17)〕」と結論付けた。また血清フェリチン値がリスクのある変異体の対立遺伝子それぞれにつき13%低下していた結果(95%信頼区間5-20、P = 0.002)から、「変異体と鉄分貯蔵との逆相関は、鉄分の欠乏が本疾患の病因として関与が疑われていることと一致している」とも述べている。(朝田哲明:医療ライター)

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小細胞肺では予防的全脳照射を標準治療とすべき

小細胞肺は肺全体の13%を占める予後不良の疾患で、化学療法による長期生存は期待できない(2年生存率:1977年1.5%→2000年4.6%)。また共通して脳転移がみられるのが特徴で、診断時に少なくとも18%に脳転移があり2年間で80%近くに達する。 脳転移は予後不良を示す。維持化学療法では転移を防げず、発症後の全脳照射治療も有効ではない。しかし予防的全脳照射の有効性は多数のメタアナリシスによって示されている。そこで欧州研究治療機関(EORTC)の肺グループは、本治療を実行に移すため無作為化試験を行った。NEJM誌8月16日号の報告から。照射群と対照群に無作為割り付け脳転移までの時間を検証試験対象は、化学療法に反応を示した18~75歳の進展型小細胞肺の患者286例。予防的全脳照射治療群と追加治療を行わない対照群にランダムに割り付け、症候性脳転移までの時間をエンドポイントとした。あらかじめ定義した脳転移を示唆する症状が現れた場合はCTもしくはMRIで検査を実施した。脳転移のリスク低下、生存期間延長を確認試験の結果、予防的全脳照射は症候性脳転移の発生率を低下させ、無疾患生存期間および全生存期間を延長することが確認された。照射群の症候性脳転移のリスクは低く(ハザード比0.27、P

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HPV感染女性へのワクチン投与の有効性は皆無

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、HPV感染症と子宮頸部前およびの発現を予防するために開発され、発性のHPVにすでに感染している女性に対してもワクチン接種を検討すべきとの説もある。米国立研究所のAllan Hildesheim氏らのグループは、子宮頸との関連が指摘されているHPV16と18の2タイプについて、既感染女性への予防接種がウイルス・クリアランス率を向上させるかどうか無作為化試験を実施した。報告はJAMA誌8月15日号に掲載された。16/18L1ワクチンとA型肝炎ワクチンでクリアランス率を比較試験は、2004年6月から2005年12月にかけて、コスタリカの2つの州で18~25歳の2,189人の女性を対象とした第III相無作為化盲検試験。参加者は登録時HPV DNA陽性で、HPV-16/18候補ワクチンの3回投与群(n=1,088)と、対照群としてA型肝炎予防ワクチンの6ヵ月投与群(n=1,101)とにランダムに割り付けられ、6ヵ月後のフォローアップ時にHPV DNA鑑定を受けた。主要評価項目はHPV DNAの存在。2回投与後の6ヵ月時点と3回投与後の12ヵ月時点でウイルス・クリアランス率を比較。判定は、子宮頸部標本を分子ハイブリッド形成検定、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、さらに予防接種後のPCR法で行われた。一般的な感染症の治療にも使うべきではない6ヵ月後のウイルス・クリアランス率は、研究群33.4%(82/248)に対し対照群31.6%(95/298)(ウイルス・クリアランス率2.5%、 95%信頼区間-9.8%~13.5%)、12ヵ月後のクリアランス率は研究群48.8%(86/177)で対照群49.8%(110/220)だった(同-2.0%、-24.3%~16.3%)。また、ワクチンの全量投与を受けた女性、単感染の女性、入力変数(HPV-16/18血清・細胞学的検査結果、HPVDNAウイルス量、性経験、トラコーマクラミジアまたは淋菌感染、経口避妊薬、喫煙等)で階層化した場合でも治療効果は確認できなかった。研究グループは、HPV DNA陽性の女性へのHPV-16/18ワクチン投与はウイルス・クリアランスを改善せず、一般的な感染症の治療にも使うべきではないと結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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食習慣は大腸発病に加え再発にも深く関与

大腸発病と食事の因果関係については知られているが、患者の予後における食事の影響については明らかにされていない。アメリカ・ボストンのダナ・ファーバー研究所のJeffrey A. Meyerhardt氏らは、食パターンと大腸生存者の再発率および死亡率との関連に着目して、前向き観察研究を実施した。JAMA誌8月15日号の報告から。III期大腸患者1,009例を追跡調査対象患者は1999年4月~2001年5月の間に、無作為化補助化学療法試験(CALGB 89803)に登録されたIII期の大腸患者1,009例。補助化学療法中および治療後6ヵ月間の食習慣についてアンケートを行い、確認された慎重食パターン(prudent pattern)と西洋食パターン(Western pattern)の2つの食パターンと、再発および死亡について分析した。慎重食パターンは果物、野菜、鶏肉、魚をよく摂取することが、一方の西洋食パターンは肉、油脂、精製された穀物、デザート類の摂取率が高い。西洋食パターンと再発率、死亡率との関連を確認追跡期間5.3年(中央値)の間に、集団全体として324例の患者が再発、223例が再発で死亡、28例が再発以外の要因で死亡しており、西洋食が大腸再発や死亡と関連していることが明らかとなった。五分位比較による西洋食パターンの最小摂取群と最大摂取群の患者の、無疾患生存の補正ハザード比(AHR)は3.25(95%信頼区間2.04- 5.19)、無再発生存AHRは2.85(同1.75-4.63)、全生存AHRは2.32(同1.36-3.96)だった(いずれもP<0.001)。西洋食パターンに偏ったことによる無疾患生存の低下は、性、年齢、ステージ、BMI、身体活動レベル、基線PSあるいは治療による差異はなかった。対照的に慎重食パターンは、再発および死亡率との関連は認められなかった。以上の結果を踏まえMeyerhardt氏らは、「手術および補助化学療法を受けたIII期大腸患者が西洋食をより多く摂取することは、再発と死亡率を高める可能性がある。そのような食事のどの構成要素が最も強く関連しているのか、さらなる研究によって明らかにする必要がある」と結論づけた。(武藤まき:医療ライター)

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の「2週間ルール」はまったく役に立っていない、直ちに見直しを

論文冒頭に、著者は記している。「当初の楽観的展望は短命に終わった」。 イギリスでは照会から専門医による診察までの順番待ちの期間が長く、その結果としての診断、治療の遅れが高い乳死亡率の理由の一端とされていた。そこで、1999年、乳が疑われる女性は一般医(GP)からの照会後2週間以内に専門医の診察を受けるという「2週間ルール」が導入された。しかし、科学的基礎に乏しいため当初からその効果を疑問視する声があった。 イギリス・ブリストル市Frenchay病院乳治療センターのShelley Potter氏らは、乳の2週間ルールが照会パターン、の診断、待ち時間に及ぼす長期的効果を評価した。BMJ誌7月13日付オンライン版、8月11日付本誌掲載の報告。7年間に、2週間ルールによる照会は42%増加、一般照会数は24%減少1999~2005年の7年間に、GPから乳専門クリニックへの新規照会数は2万4,999件(年平均3,571件)にのぼり、1999年の3,499件から2005年には3,821件と9%増加していた。2週間ルールによる照会は1999年の1,751件から2005年には2,490件と42%増加し、一般照会数は1,748件から1,331件へと24%減少した。乳診断率は、2週間ルール群で有意に低下、一般照会群で有意に増加2 週間ルール群の乳診断率は、1999年の12.8%から2005年には7.7%へ有意に低下(p<0.001)したのに対し、一般照会群では2.5%から5.3%へ有意に増加した(p<0.001)。2005年に発見された乳261例のうち70例(27%)が一般照会群であった。待ち時間は、2002年までは低下傾向にあったが、2003年以降は2週間ルール患者の増加を反映して上昇に転じ、2005年の一般照会群の平均待ち時間は30日であった。Potter氏は、「乳の2週間ルールはまったく患者の役に立っていない。本ルールによる乳診断率が低下する一方で、一般照会群の乳診断率は許容できないレベルに上昇している。2週間ルールは直ちに見直すべき」と結論している。また、「一般照会群の乳症例は、2週間ルールの劇的な需要増大による待ち時間の延長と診断の遅れがもたらした不利益の可能性がある」「2週間ルールの導入後、GPによる乳の診断精度が低下していることが示唆されるが、これはGPの診断スキルの低下ではなく本ルールの判定基準の予測値が不良なため」と考察している。(菅野 守:医学ライター)

33352.

クラミジアの組織的スクリーニングは本当に費用効果に優れるか

イギリスでは2003年4月に、国の主導によるクラミジア(Chlamydia trachomatis)のスクリーニングプログラムが開始されたが、それ以前は組織的スクリーニングは行われていなかった。クラミジアの組織的スクリーニングは費用効果が優れるとする報告のほとんどが、感染症の評価には不適切な静的モデルを用いている。 イギリス・バーミンガム大学健康サービス管理センター健康経済学のTracy Roberts氏らは、家庭をベースとした地域住民におけるクラミジアの積極的な組織的スクリーニングの費用効果を、非組織的スクリーニング(組織的な勧奨は行わず受診は対象者の意志に委ねられる)との比較において評価する試験(ClaSSプロジェクト、http://www.chlamydia.ac.uk/index.htm)を実施、BMJ誌7月26日付オンライン版、8月11日付本誌で報告した。動的モデルを用いた費用効果の解析イギリス中部~南西部に居住する16~24歳の男女、約5万人に対し、毎年、スクリーニングへの受診勧奨を実施した。受診者は家庭で採取したサンプルを検査に送り、陽性者への通告はGPの診察室で行われ、陰性者には書面が郵送された。費用効果の評価には動的な数学モデルを用い、回避すべき主要測定項目としての骨盤内炎症性疾患(PID)、子宮外妊娠、不妊症、新生児合併症について解析を行った。両スクリーニングのコストは同等、条件によっては組織的スクリーニングが高価女性のみを対象としたスクリーニングプログラムは、非組織的スクリーニングよりも主要評価項目ごとの費用が高く、増分コストは2万2,300ポンド(=3万 3,000ユーロ、4万5,000ドル)であった。男性と女性を対象とした場合のコストも組織的スクリーニングが約2万8,900ポンド高かった。回避すべき主要評価項目のうち最も頻度が高かったのは、入院を要するPIDであった。主要評価項目の発症率およびスクリーニングの受診率に対する sensitivityが高く、これら2つの要素が上昇すると女性のみのスクリーニングにおける主要評価項目ごとの費用効果は6,200ポンド低下した。これらの知見を踏まえ、Roberts氏は「クラミジアの積極的な組織的スクリーニングは、主要評価項目の発症率およびスクリーニングの受診率が一般的な推定値よりも低い場合には費用効果に優れるとは言えず、むしろ高価である」と総括している。また、「ClaSSプロジェクトから得られるエビデンスは、至適なスクリーニングの検出率および受診率の達成には組織的および非組織的スクリーニングの要素を合わせた混合モデルが有用な可能性がある、というものだ」と考察を加えている。(菅野 守:医学ライター)

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高齢AF患者に対してもワルファリンはアスピリンよりも有用:BAFTAスタディ

これまでのメタ解析では確認されなかった75歳以上の心房細動(AF)患者に対するワルファリンの有用性だが、Lancet誌8月11日号に掲載された BAFTA(Birmingham Atrial Fibrillation Treatment of the Aged)スタディの結果によれば、ワルファリンによる出血性合併症の増加は必ずしも脳塞栓症・脳梗塞の減少による有用性を相殺しないという。英国 University of BirminghamのJonathan Mant氏らが報告した。平均年齢81.5歳、血圧140/80mmHgの973例が対象BAFTA スタディの対象は一般医を受診している75歳以上のAF患者973例(平均年齢81.5歳)。ワルファリン(目標INR:2~3)群(488例)とアスピリン75mg/日群(485例)に無作為化され、オープンラベルで追跡され、イベント評価は割り付けをブラインドされた研究者が行なった。両群とも約 40%がワルファリンを服用していたが試験薬以外は服用を中止した。42%が服用していたアスピリンも同様だった。試験開始時の血圧は約140/80mmHg、収縮期血圧が160mmHgを超えていたのはワルファリン群13%、アスピリン群16%だった。ワルファリン群に出血性合併症増加なし平均2.7年間の追跡期間後、1次評価項目である「脳卒中死、後遺症を伴う脳卒中、その他の脳出血、確定診断のついた脳塞栓症」発生頻度はワルファリン群 1.8%/年(24件)、アスピリン群3.8%/年(48例)で、ワルファリン群において相対的に52%の有意(p=0.0027)な減少が認められた。年齢、性別等のサブグループ別に比較しても、ワルファリン群で増加傾向の見られたグループはなかった。一方、ワルファリン群で懸念されていた脳出血は、「死亡・後遺症を伴う脳出血」発生率が0.5%/年でアスピリン群の0.4%/年と同等(p=0.83)、また「その他の脳出血」も発生率はワルファリン群0.2%/年、アスピリン群0.1%/年と差はなかった(p=0.65)。筆者らはこれらより、高齢者AFに対する抗凝固療法の有用性は過小評価されているのではないかと主張する。しかし本試験で用いられたアスピリン75mg/日という用量はAFASAK試験においてすでに、虚血性脳イベント予防作用がプラセボと同等だと明らかになっている。(宇津貴史:医学レポーター)

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サプロプテリンのフェニルケトン尿症に対する有用性を確認

現在、フェニルケトン尿症における精神遅滞の予防法としては、早期の厳格な食事療法があるのみである。最近、新たな治療アプローチとして、テトラヒドロビオプテリン(BH4)あるいはその生物学的活性合成体であるサプロプテリン(6R-BH4)によるフェニルアラニン水酸化酵素(PAH)の活性化の増強が注目されている。 アメリカ・ボストン小児病院のHarvey L. Levy氏らは、フェニルケトン尿症におけるサプロプテリンの血中フェニルアラニン濃度低下作用について検討するために、プラセボ対照無作為化第III相試験を実施した。8月11日付Lancet誌掲載の報告から。1年間に欧米の30施設に89例を登録2005 年3月~2006年2月の間に欧米の30施設に89例のフェニルケトン尿症患者が登録され、サプロプテリン群(10mg/kg/日、6週間)に42例が、プラセボ群には47例が無作為に割り付けられた。主要評価項目は6週後の血中フェニルアラニン濃度のベースラインからの平均変化量。対象の平均年齢は20歳であった。88例が少なくとも1回の投与を受け、87例が6週間の治療を完遂した。ベースラインにおける血中フェニルアラニン濃度は、サプロプテリン群が843μmol/L、プラセボ群が888μmol/Lであった。サプロプテリンにより、血中フェニルアラニン濃度が有意に低下治療6週後、サプロプテリン群の平均血中フェニルアラニン濃度は236μmol/L低下したのに対し、プラセボ群では3μmol/L上昇していた(p <0.0001)。サプロプテリン群では、治療1週後には血中フェニルアラニン濃度が約200μmol/L低下し、この低下効果は治療終了時まで持続した(p<0.0001)。治療との関連が示唆される有害事象がサプロプテリン群の23%、プラセボ群の20%に認められ(p=0.80)、最も頻度の高い有害事象は上気道感染症であった。Levy 氏は、「フェニルケトン尿症に対する6週間のサプロプテリン治療は有効かつ安全」と結論、「BH4に反応するフェニルケトン尿症患者においては、サプロプテリンによるフェニルアラニン低下療法を低フェニルアラニン食の補助療法として使用可能であり、症例によっては食事療法からの完全な切り替えが可能と考えられる」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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重症血友病A男児への第VIII因子の有効な投与法

1960年代に行われた小規模試験の結果を受け、血友病性関節症の予防に第VIII因子の投与が有効であることが推奨され臨床家の間に広がった。その後 1980年代に、血漿由来の第VIII因子がヒト免疫不全や肝炎ウイルスに汚染されていることが判明し予防的治療は激減。1992年にアメリカで血友病患者への安全投与を見据えた組み換え型第VIII因子が承認されたが、投与の開始時期、投与量、期間については明らかになっていない。 コロラド大学保健科学センターのMarilyn J. Manco-Johnson氏らは、重症の血友病Aの男児を対象に無作為化試験を行い、有効な方法について検証した。NEJM誌8月9日号の報告から。生後30ヵ月未満65例を予防治療群と発症時治療群に割り付け無作為化試験は、生後30ヵ月未満の重症の血友病Aの男児(65例)を、予防的治療群(32例)と関節内出血発症時に強化注入を行う対照群(33例)とに割り付け行われた。前者は、組み換え型第VIII因子を1日おきに25 IU/kg投与。関節内出血が起きた場合は40 IUを投与し、その後また予防的投与が続けられた。後者は発症時に、第VIII因子を3回以上、最低80 IU/kg投与した(最初に40 IU、24時間後と72時間後に20 IU)。主要評価項目は、X線またはMRIによってindex joint(足関節、膝、肘)で検出された骨・軟骨傷害の発生率とした。予防治療群のほうが正常の割合高く出血回数少ない男児6歳時に、MRI上で正常なindex joint構成が認められたのは、予防群93%、発症時治療群55%だった。MRIで発見された発症時治療群の関節障害の相対リスクは、予防治療群に比べて6.1だった(95%信頼区間1.5-24.4)。研究終了時点での関節内出血およびその他部位を含めた総出血の平均年間回数は、発症時治療群で予防治療群より多かった(両群間比較に関してP<0.001)。また、予防治療群の2例で第VIII因子の高い抗体価が認められ、発症時治療群の3例で致命的な出血を呈する症例があった。中心静脈カテーテル留置に関連した入院と感染症については両群間で有意差は見られなかった。Manco-Johnson氏らは、「組み換え型第VIII因子の予防的投与は、関節障害を予防し、重篤な血友病A男児の関節およびその他の出血頻度を減少させる」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

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天疱瘡患者にリツキシマブ1サイクル投与は有効

リツキシマブと免疫グロブリン静注併用の複数サイクル投与は、重症天疱瘡患者に効果的だと報じられている。フランス・ルーアン大学病院のPascal Joly氏らは、1サイクル投与の有効性について評価を行った。NEJM誌8月9日号の報告から。週1回リツキシマブ375mg/m2体表面積注入を4週投与本研究は天疱瘡患者計21例(男性14例、女性7例)を対照に行われた。患者はプレドニゾン1.5mg/kg/日を8週にわたって投与しても反応しなかった者(ステロイド抵抗例)、20mg/日超のプレドニゾン投与にもかかわらず2回以上再発した者(ステロイド依存例)およびステロイド絶対禁忌の者から構成される。これら21例の患者に、週1回リツキシマブ375mg/m2体表面積を、4週にわたって注入された。主要エンドポイントは、リツキシマブ投与終了後3ヵ月時点での完全寛解。完全寛解の定義は「すべての皮膚および粘膜病変の上皮化」とされた。重症度が最も高い病型のみで用いるべき投与終了後3ヵ月時点で完全寛解が認められたのは18/21例(86%、95%信頼区間64-97%)。また9例で、平均18.9±7.9ヵ月後に再発が認められた。34ヵ月(中央値)の追跡調査後、疾患が認められなかったのは18/21例(86%)。このうち8例はステロイド投与を受けていなかった。プレドニゾンの平均投与量は、ステロイド抵抗例の患者で94.0±mg/日から12.0±7.5mg/日に減量し(P=0.04)、ステロイド依存例の患者では29.1±12.4mg/日から10.9±16.5mg/日に減量した(P=0.007)。なお、リツキシマブ投与12ヵ月後に腎盂腎炎を発症した患者が1例、18ヵ月後に敗血症で死亡した患者が1例あった。いずれの患者も血中Bリンパ球が著しく減少していた。血清IgG値は正常だった。これらの結果から、Joly氏らは「天疱瘡治療としてリツキシマブ1サイクル投与は有効である。ただし重篤な有害事象の可能性があり、重症度が最も高い病型のみで用いるべき」と結論付けた。(朝田哲明:医療ライター)

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高齢男性の骨粗鬆症性骨折予防治療の費用対効果は?

60歳白人男性が残りの生涯で、骨粗鬆症が原因で骨折する可能性は29%に上るなど、高齢男性の骨粗鬆症性骨折は重大な健康問題と認識されている。カナダ骨粗鬆学会は70歳以上あるいは65歳以上の全男性で骨密度検査を行うべきと提唱しているが、米国予防医療対策委員会やカナダ予防医療対策委員会では勧告を行っていない。女性については65歳以上での骨密度検査と予防的治療の費用対効果が実証されているが、男性については明らかになっていないため。そこでミネアポリスのPark Nicollet Health Servicesリウマチ学のJohn T. Schousboe氏らは、男性について費用対効果を検証した。JAMA誌8月8日付け報告から。生活の質を調整した生存年(QALY)当たりのコストを比較Schousboe 氏らは、骨密度検査の結果、骨粗鬆症と判明した男性(大腿骨頸部Tスコア-2.5以下)で、骨折予防を目的に5年間ビスフォスフォネートを投与した群と非介入群との費用対効果を比較した。コンピュータでMarkov microsimulation modelを作成し、65、70、75、80、85歳男性を骨折経験の有無で階層化し検証した。主要評価項目は、骨密度検査を行いフォローアップした治療群と非介入群との、生活の質を調整した生存年(QALY)当たりのコストの差、および治療戦略ごとの生涯コストおよびQALYsの累積とした。得られる利益のために支払ってよいとする額次第で介入群ではQALY当たりの生涯コストは上がったものの、骨折経験のある65歳以上の男性と骨折経験のない80歳以上の男性では50,000ドル未満で、費用対効果の可能性が確認できた。この結果は、ビスフォスフォネートのコストと骨折率低下の有効性への感受性が最も高く、骨塩量と骨折、骨折率と不利益、服薬遵守との相関も強かった。Schousboe氏らは、「経口ビスフォスフォネートのコストが年間500ドル未満の場合、あるいは、QALY当たりのコストを100,000ドルまで支払ってもよいという社会的合意がある場合は、骨折経験のない70歳以下の男性にもこの治療戦略の有効性は認められる」と結論付けている。(武藤まき:医療ライター)

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早期・持続的・重層的な非薬物的介入は有効なインフルエンザ対策となる

インフルエンザ・パンデミック(世界的大流行)への重要な対策の1つに、非薬物的介入がある。流行時期を遅らせ、全体の発病率やピークを低下させ、死亡者数を減らす可能性のほか、ワクチンや抗ウイルス剤の生産と供給に時間的余裕をもたらす可能性があるからだ。最適かつ適切な非薬物的介入は、医療サービスと発症地域の負担を減少させることになる。ミシガン大学医学部医学史センターのHoward Markel氏らは、最適かつ適切な非薬物的介入を明らかにするため、20世紀最悪と言われたいわゆる「スペイン風邪」流行時の、全米43都市における非薬物的介入の状況を調べた。JAMA誌8月8日号の報告から。非薬物的介入を3つのカテゴリーに分類し比較検証本研究は、1918年9月8日から1919年2月22日の間に全米43都市で流行を緩和するために実行された非薬物的介入を、史実研究や統計学的解析、疫学的分析をもとに検証された。調査対象は、非薬物的介入のタイミング、期間、組み合わせによる都市ごとの死亡率の差異、先行流行波による集団感染率の変化、年齢および性分布、人口規模・密度など。非薬物的介入は主に「学校閉鎖」「集会の禁止」「隔離、封鎖」の3つにカテゴリー化された。主要評価項目は、週間超過死亡率(EDR)、非薬物的介入開始からファーストピークEDRまでの時間、ファーストピークの週間EDR、そして対象期間24週の累積EDR。「学校閉鎖」+「集会の禁止」を34都市で実施24週にわたる43都市の肺炎・インフルエンザの超過死亡は115,340人(EDR、人口500/100,000)だった。各都市は非薬物的介入の3つのカテゴリーのうち、少なくとも1つを採用しており、組み合わせでは「学校閉鎖」+「集会の禁止」が最も多く34都市(79%)で実行していた。この組み合わせの実行期間中央値は4週(範囲1-10週)で、週間EDR低下と強い相関を示した。また、非薬物的介入を早期に実行した都市ほどピーク死亡率を遅らせ(Spearman r=-0.74、P<0.001)、ピーク死亡率は低く(同 r =0.31、P=0.02)、総死亡率が低かった(同 r=0.37、P=0.008)。介入期間の長さと総死亡率の減少には統計学的に有意差が認められた(同 r=-0.39、P=0.005)。Markel 氏らは、「これらの所見は、非薬物的介入を早期から持続的かつ重層的に行うこととインフルエンザによる死亡率の減少との強い関連性を示すもの。インフルエンザ大流行への対策として、ワクチン開発や薬物療法と並んで非薬物的介入を考慮に入れるべきだ」と結論付けている(武藤まき:医療ライター)

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性的禁欲だけで、高所得層のHIV感染を予防できるか

2005年にはAIDS関連の原因により毎日7,600人以上が死亡し、世界のHIV感染者数は約3,860万人に達している。新規感染率は1990年代末にピークを迎えたとの見方がある一方で、新たな感染拡大が懸念されるなか、これまでの治療偏重への反省から、最近では予防に関する研究が活発化している。 「性的禁欲のみによる予防プログラム」とは、HIV感染予防の手段として性的禁欲教育のみを実施し、コンドームの使用など、より安全な性交の奨励は行わない予防戦略。Kristen Underhill氏ら、オックスフォード大学Evidence-based Interventionセンターの研究グループは、高所得層は貧困などHIV感染の構造的なリスク因子に接する機会が少ないため、性的禁欲のみによる予防プログラムの効果を示すには最適の対象との仮説に基づいて体系的なレビューを行った。BMJ誌7月26日付オンライン版、8月4日付本誌掲載の報告から。HIV感染予防プログラムの無作為化/準無作為化試験をレビュー30のデータベースから、2007月2月までの文献を言語および地理的な制限なしに検索した。選択基準は、高所得国における性的禁欲のみによる予防プログラムに関する無作為化あるいは準無作為化対照比較試験とした。また、プログラムの目的はHIV感染予防あるいは妊娠とHIV感染の予防であり、生物学的アウトカム(HIV、性感染症、妊娠)あるいは行動学的アウトカム(避妊手段をとらない性交の頻度など)の評価を行う試験を対象とした。対照としての通常ケアには、「介入なし」「コンドームを使用したより安全な性交の奨励」「より安全な性交と初回性交時期の先送りの奨励」などが含まれた。禁欲の奨励だけではHIV感染予防には無効だが、アメリカの若者に限定的年齢制限を設けずに世界中の既報、未報の文献を渉猟したにもかかわらず、選択基準を満たした13試験はいずれもアメリカの青少年および若年成人を対象としたものであった。1万5,940人が登録され、すべての評価項目は自己申告によった。予防プログラムは、避妊手段をとらない性交、パートナー数、コンドームの使用、初回性交年齢には影響を及ぼさなかった。予防プログラムにより短期的および長期的な有害作用(性感染症の増加など)が見られた試験、および短期的に性交頻度が低下した試験が1つずつ認められたが、いずれの影響も全体としては相殺された。Underhill氏は、「高所得層においては、性的禁欲のみによる予防プログラムはHIV感染リスクを低下も上昇もさせない」と結論し、「本研究から得られるエビデンスは、『HIV感染の予防を目的とした性的禁欲のみによる予防プログラムは無効だが、この知見を一般化できるのはアメリカの若者に限定される』というものだ」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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WHIスタディに続き閉経後ホルモン補充療法の有用性を否定:WISDOM

閉経後女性に対するホルモン補充療法は心血管系イベントを、かつて考えられていたのとは逆に増加させることが、英、豪、ニュージーランド3国の共同研究であるWISDOMの結果、明らかになり、2004年に米国で報告されたWomen's Health Initiative(WHI)スタディの結果が再確認される形となった。BMJ誌のHPにて早期公開された(オンライン版7月11日号、本誌8月4日号掲載)。閉経後平均15年経過した女性を対象対象とされたのは50~69歳で心血管系疾患の既往がない閉経後女性。「エストロゲン+プロゲスチン群(2,196例)vs プラセボ群(2,189例)」と「エストロゲン+プロゲンスチン併用群(815例) vs エストロゲン単独群(826例)に無作為化された。エストロゲンの用量はWHIスタディと同一、またプロゲスチンはWHIスタディと同量から2倍量が用いられた。平均年齢は62.8歳、閉経からの平均年数は15年だった。短期間追跡にも関わらずホルモン補充療法で心血管系イベントが有意に増加WHI スタディの結果が公表されたため、本試験は早期中止となり、追跡期間中央値は11.9ヵ月(7.1~19.6ヵ月)。このような短期間の追跡にもかかわらず心血管系イベントは「エストロゲン+プロゲスチン群」で「プラセボ群」に比べ有意に多かった(26.9例/1,000人年 vs 0例/1,000人年、p=0.016)。同様に静脈血栓症も有意かつ著明(相対リスク:7.36、95%信頼区間:2.20-24.60)に増加していた。またホルモン補充療法による骨折の有意な減少は観察されなかった。なお「エストロゲン単独群」では「エストロゲン+プロゲスチン併用群」に比べ、心血管系イベントと静脈血栓症が減少する傾向が見られた。筆者らは閉経後長期間経過した女性に対するホルモン補充療法が心血管系イベントと静脈血栓症のリスクを増加させることを認める一方、より若年の更年期から開始するホルモン補充療法の有用性は否定されていないと述べている。(宇津貴史:医学レポーター)

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