ネット販売のアーユルヴェーダ剤から有害金属類を検出

提供元:ケアネット

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公開日:2008/09/09

 

「アーユルヴェーダ(Ayurveda)」はインドの伝統医学だが、インターネットを通じて米国内で購入できるアーユルヴェーダ剤の5分の1から、鉛と水銀、ヒ素が検出されたとボストン・メディカル・センターのRobert B. Saper氏らが報告した。特に、薬草を金属や鉱物、真珠などと組み合わせる「rasa shastra」製法に起因する可能性があると指摘している。JAMA誌2008年8月27日号より。

25サイトから230品目を購入し成分など比較




5つの検索エンジンで、「アーユルヴェーダ」「アーユルヴェーダ薬剤」を検索したところ、伝統的アーユルヴェーダのハーブや成分の調合を示し、経口使用をうたい、インターネット購入可能なウェブサイト25ヵ所を特定。2005年8月~10月にアーユルヴェーダ製品673品目から無作為に230品目を選び購入した。

金属含有量はX線蛍光分光法で測定し、有害金属を含む製品の割合を比較した。製造業者またはウェブサイトの供給業者の国籍、「GMP=Good Manufacturing Practices」(適正製造規範)に準拠しているかどうか、製法が「rasa shastra」か否かも調べた。

水銀含有率が異常に高いrasa shastra製剤




発注した薬剤230種中193種が届き、分析したところ、金属を含有する製品の割合は全体の20.7%(95%信頼区間:15.2~27.1%)だった。国別では米国製が21.7%(14.6~30.4%)、インド製は19.5%(11.3~30.1%)だった(P=0.86)。これら金属含有製品はすべて、有害金属の1日摂取許容量の基準を超過するものが1つ以上含まれていた。また米国製とインド製のアーユルヴェーダ薬剤の5分の1から鉛、水銀、ヒ素が検出されている。

rasa shastra製剤は非rasa shastra製剤に比べて金属含有率がより大きく(40.6%対17.1%、P=0.007)、とりわけ鉛(中央値11.5μg/g対7.0μg/g、P=0.03)と水銀(同20800μg/g対34.5μg/g、P=0.04)が高濃度だった。

金属を含有する製品のうち95%は米国のウェブサイトで販売され、75%は「GMP」をうたっていた。

(朝田哲明:医療ライター)