憩室性疾患とナッツ等やトウモロコシの摂取は無関係

提供元:ケアネット

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公開日:2008/09/09

 

憩室は欧米に多い消化器系疾患で、医師はこれまでさしたる根拠もなく、炎症や出血など合併症のリスクを減らすためとして、患者にナッツやトウモロコシ、ポップコーン、種子類を食べないよう、しばしば勧告してきた。米国人男性を対象に、ナッツやトウモロコシ、ポップコーン摂取と憩室の関連を調べていたワシントン大学医学部(シアトル市)のLisa L. Strate氏らは「ナッツなどの接取と憩室に関連はなく、勧告は見直すべき」と報告した。JAMA誌2008年8月27日号より。

40~75歳の米国人男性4万7,228人を18年間追跡




本研究は「Health Professionals Follow-up Study」として、1986~2004年に40歳~75歳の米国人男性4万7,228例を対象に実施された大規模前向き研究。

被験者はベースラインで憩室症または憩室合併症や癌、炎症性大腸疾患をもたない者で、期間中は2年に1回、医学的な情報について、また4年に1回は食事に関する情報についてアンケート調査を行った。新たに憩室症か憩室炎と診断された男性には、補足的なアンケートが郵送された。

主要評価項目は憩室炎と憩室性出血。

ナッツ・ポップコーン摂取量と憩室炎リスクは逆相関




18年間の追跡調査期間中、新たに憩室炎801例と憩室性出血383例が見られたが、ナッツおよびポップコーン摂取と憩室炎のリスクとの間には逆相関が認められた。各食物摂取量が最少(月1回未満)の男性と比べて、最多(少なくとも週2回)の男性の多変量リスクは、ナッツで0.80(95%信頼区間:0.63~1.01、傾向P=0.04)、ポップコーンでは0.72(0.56~0.92、0.007)だった。トウモロコシ接取と憩室炎の関連はなく、ナッツやトウモロコシ、ポップコーン摂取と憩室性出血または単純憩室症の関連も認められなかった。

Strate氏は、「本研究では、ナッツやトウモロコシ、ポップコーン摂取が、憩室症や憩室合併症のリスクを増大することは認められなかった。憩室合併症を予防するためと称して、これらの食品を回避すべきという勧告は再考されなければならない」と結論している。

(朝田哲明:医療ライター)