【レポート】第16回 日本乳癌学会学術総会開催前プレスカンファレンス

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2008/09/05

 

 2008年9月26、27日に大阪国際会議場にて開催される「第16回日本乳癌学会学術総会」に先立ち、9月3日にプレスカンファレンス(ファイザー株式会社共催)が開催された。そこで話された日本乳癌学会の取り組みと、本総会のトピックスについてレポートする。

 初めに、日本乳癌学会理事長の園尾博司氏より、「我が国の乳癌の現状/日本乳癌学会の概要と活動実績」が紹介された。

 日本乳癌学会が取り組んでいる全国主要施設の乳癌統計を、ウェブ上で会員だけでなく一般市民にも公開することで、乳癌の早期発見と診療の均てん化を目指しているという。しかし、検診による乳癌の発見率が不十分であることで、乳癌の見逃しが起こっていると園尾氏は訴え、視触診だけではなくマンモグラフィの受診率を高めることが重要であることを強調した。その他、乳房温存術、センチネルリンパ節生検、保険適用の取得状況、ガイドラインについて紹介した。

 園尾氏は乳腺外科標榜についても言及し、学会としては賛成であるとの立場を明確にした。最後に、乳癌学会は常に患者の立場に立っていたい、と結び患者重視の姿勢をアピールした。

 続いて、大阪府立成人病センター乳腺・内分泌外科の稲治英生氏より「日本乳癌学会学術総会のトピックス紹介~標準化から個別化へ~」が紹介された。

 冒頭、今回のメインテーマである「標準化から個別化へ」について稲治氏は、「EBMに基づき治療の標準化が進んだことで、均一な治療が受けられるようになった。一方、標準化治療はあくまでレディーメイドであり、今後はそれぞれの癌の顔つきに最適化した治療を進めていくべきであろう、と考え、このテーマを掲げた」と述べた。

 本総会では、臨床的な研究成果に偏らず、乳癌の基礎から臨床について学術的機運が高まることを期待していると稲治氏は述べた。

 続いて、プログラム全体像が紹介された。乳癌診療ガイドライン改訂(薬物療法編を除く)、乳癌取り扱い規約改訂、センチネルリンパ節生検に対する多施設共同臨床確認試験の中間報告などの特別報告に多くの時間を当てている。その他、様々な基調講演、招待講演、ディベートセッション、教育・病理・画像診断・看護の4つのセミナーなどが行われる。

(ケアネット 片岡 磨衣子)