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抗酸化サプリ、妊娠高血圧腎症の予防効果認められず

妊娠高血圧腎症(子癇前症)の予防に、抗酸化サプリメント(ビタミンC、E)は、効果があるとは言えないようだ。妊娠高血圧腎症では、胎盤形成異常または灌流不全が、炎症反応および内皮細胞機能不全を増大し、次々と特有の臨床症状をもたらすと考えられ、この疾患症状を引き起こすメカニズムの一つに、酸化ストレスの関連が言われている。そこで米国ピッツバーグ大学産婦人科のJames M. Roberts氏ら研究グループは、妊娠早期からのビタミンC、Eの抗酸化サプリメント服用と妊娠高血圧に関連した母体・胎児・新生児の重篤な有害事象リスクとの関連を、多施設共同無作為化二重盲検試験で評価を行った。NEJM誌2010年4月8日号掲載より。低リスクの未産婦1万例を、ビタミン補給群とプラセボに無作為化試験は、2003年7月~2008年2月に16施設およびMFMU(母体-胎児医療)ネットワークセンターが協力し、妊娠高血圧腎症リスクが低い未産婦1万154例を対象に行われた。被験者は、妊娠9~16週目の間に、ビタミンC(1000mg/日)とビタミンE(400 IU/日)の補給を開始する群と、同プラセボ摂取群とに無作為に割り付けられ追跡された。主要転帰は、重度の妊娠高血圧のみ発症、または重度あるいは軽度の高血圧(肝酵素値上昇、血小板減少、血清クレアチニン値上昇、子癇発作、医学的に適応とされた早産、胎児発育不全、周産期死亡、のいずれかを伴う)とした。ビタミンC・E補給群(5,087例)とプラセボ群(5,065例)の基線データは、ほぼ同等だった。平均年齢23.5歳、服薬開始13.4週、13週未満で服薬開始が約43%、血圧(109/66、109/65)などで、服薬コンプライアンスも同等だった。妊娠高血圧腎症発生率、7.2% vs.6.7%評価可能なデータを入手できたのは、9,969例(補給群:4,993例、プラセボ群:4,976例)。結果、主要転帰について、両群で有意な差は認められなかった。主要複合転帰発生率は、補給群6.1%、プラセボ群5.7%(補給群の相対リスク:1.07、95%信頼区間:0.91~1.25)。妊娠高血圧腎症発生率は、同7.2%、6.7%(1.07、0.93~1.24)だった。周産期の有害アウトカムについても両群で違いは認められなかった。(医療ライター:武藤まき)

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儲かっている医院・クリニックの病院経営の特徴を院長200人に聞いた

 株式会社QLifeは13日、医院・クリニックなど医療機関の院長200人に行った、収益性と病院経営方針との関係を探ったアンケートの結果を発表した。その結果、儲かっている医院・クリニックには以下のような特徴があることがわかったという。儲かる医院・クリニックの病院経営は患者満足度志向が強い●患者満足度志向が「強い」医院・クリニックは7割が儲かるが、「弱い」医院は9割が収益不調●「広告を一切しない」「患者を集めようと意識しない」医院・クリニックが、4割にのぼる●「熱心に広告する」医院・クリニックの7割が、収益「好調」。しかし「広告を一切しない」医院・クリニックの方が、「少し広告する」医院・クリニックよりも、儲かっている●「昨今の患者の意識変化」をポジティブに捉える医院・クリニックの院長は、8割が儲かっている●「昨今の患者の意識変化」として、ポジティブ視点の院長は「質問増」「情報収集」「医師選び」を挙げる 患者のわがままにスタッフは疲弊し、「患者満足度赤字」もあり得ると言われるが、結果は満足度志向に軍配が上がった。広告・宣伝については、物販・飲食業の常識とは違う特徴が浮き彫りになった。中途半端な広告取り組みなら一切やらない方がマシ、だという声もあった。 「昨今の患者の意識変化」をポジティブに捉える医院・クリニックの院長は8割が儲かっていたが、それとは逆に「どちらでもない」「悪いこと」と積極的でない院長は、6割が「不調」に苦しんでいた。市場の変化をポジティブ発想で捉える方が、医院・クリニックの病院経営も上手くいくようだ。さらに、ネガティブ視点の院長の場合「受診控え」「コスト意識」「身勝手」「権利・自己主張」「サービス要求増」を挙げた。同社は、「院長が『最近の患者』を何と評するかで、医院の経営状態が、ある程度推測できそうだ。」と述べている。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.qlife.co.jp/news/100413qlife_news.pdf

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腰部脊柱管狭窄症、複雑な固定術実施率が5年間で約15倍に

米国で高齢者の腰部脊柱管狭窄症に対し、より複雑な固定術の実施率が、2002~2007年にかけて15倍に激増していることが明らかになった。米国オレゴン健康科学大学家庭医学部門のRichard A. Deyo氏らが、腰部脊柱管狭窄症で手術を受けた3万人超の高齢者について調べた結果、報告された。併せて、複雑な固定術は除圧術に比べ、術後重度合併症リスクが2~3倍に上ることも報告されている。JAMA誌2010年4月7日号発表より。米国高齢者3万2,000人の術式、術後合併症、コストを分析同氏らは、2002~2007年の米国高齢者向け公的医療保険「メディケア」の受給者データを、後ろ向きに分析した。そのうち2007年(1~11月)に腰部脊柱管狭窄症で手術を受けた3万2,152人について、術後合併症や病院へ支払った費用について調べた。手術については、(1)除圧術のみ、(2)単純固定術(椎間板1~2ヵ所、単一手術アプローチ)、(3)複雑固定術(椎間板3ヵ所以上、または複合前方・後方アプローチ)、の3段階に分類した。分析の結果、複雑固定術の実施率は、2002年の受給者10万人当たり1.3件から、2007年には同19.9件へと、約15倍に大幅増加したことがわかった。生命に関わる術後合併症リスク、複雑固定術は除圧術の約3倍術後合併症発症率は、生命に関わるものが、除圧術群が2.3%だったのに対し、複雑固定術群は5.6%だった。年齢や共存症、手術歴などについて補正を行った後、同合併症発症に関する、複雑固定術群の除圧術群に対するオッズ比は、2.95(95%信頼区間:2.50~3.49)だった。術後30日以内の再入院率についても、除圧術群7.8%に対し、複雑固定術群は13.0%で、補正後オッズ比は1.94(同:1.74~2.17)だった。補正後の病院へ支払った費用は平均で、除圧術が2万3,724ドルに対し、複雑固定術は8万888ドルに上っていた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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医師の肥満患者に対する外来医療の質、対非肥満患者に劣らず

医師の肥満患者に対する外来医療サービスの質は、非肥満患者に対するものと比べて劣らない、との米国で行われた調査結果が、JAMA誌2010年4月7日号で報告されている。これまでの研究結果では、医師は、肥満患者に対して否定的な態度で接するとの報告がされていた。米国ペンシルベニア大学のVirginia W. Chang氏らが、約7万人の患者データを分析した結果による。ワクチン接種やがん検診など、8項目の実施率について調査同研究グループは、米国高齢者向け公的医療保険「メディケア」受給者3万6,122人に関する1994~2006年の調査結果と、退役軍人に対する医療保険(VHA)の受給者3万3,550人に関する2003~2004年に行われた調査結果を分析した。医療サービスの質の指標としたのは、糖尿病患者に対する眼の検診、HbA1c値の検査、脂質スクリーニングや、対象者への肺炎球菌ワクチン接種、インフルエンザワクチンの接種、マンモグラフィーによる乳がん検診、大腸がん検診、子宮頸がん検診の実施について。分析結果については、社会人口統計因子、健康状態、臨床的複雑さや診察頻度に関して、補正を行った。糖尿病患者へのHbA1c値検査など、肥満患者の実施率が非肥満患者を上回る項目もその結果、肥満患者が非肥満患者に比べ、適切な医療サービスを受けていないとするエビデンスは認められなかったという。逆に、肥満患者の方が、非肥満患者よりも実施率がやや高い項目がみられた。糖尿病患者に対する脂質スクリーニングの実施率は、肥満患者が72%に対し非肥満患者は65%(オッズ比:1.37、95%信頼区間:1.09~1.73)。HbA1c値の検査実施率も、肥満患者が74%に対し、非肥満患者は62%だった(オッズ比:1.73、同:1.41~2.11)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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職場介入と運動療法の統合的治療、慢性腰痛患者の職場復帰に有効

上司を交えた職場への介入と段階的な運動療法から成る統合的治療プログラムは、慢性腰痛患者の機能障害を軽減し職場復帰に有効なことが、オランダVU大学医療センターのLudeke C Lambeek氏らの検討で示された。慢性腰痛は、臨床的な問題であるとともに心理社会的かつ仕事関連の問題でもある。慢性腰痛の臨床ガイドラインは労働不能(work disability)に焦点を当てているが、通常の腰痛治療はその予防を目的としたものではない。職場の要素をも考慮した介入が、亜急性の腰痛が原因と診断された患者の職場復帰に有効なことが示されているが、慢性腰痛に対する効果を検討した試験はなかったという。BMJ誌2010年4月3日号(オンライン版2010年3月16日号)掲載の報告。通常治療と統合的治療を比較する地域住民ベースの無作為化対照比較試験研究グループは、慢性腰痛患者に対する直接的介入と職場への介入を併用した統合的治療プログラムの効果を評価する地域住民ベースの無作為化対照比較試験を行った。12のプライマリ・ケア施設および5つの2次医療施設から、腰痛のため12週以上患者リストに載っている18~65歳の患者134例が登録され、通常治療群(68例)あるいは統合的治療群(66例)に無作為に割り付けられた。統合的治療とは、上司を交えた参加型人間工学(participatory ergonomics)に基づく職場介入および認知行動学に基づく段階的運動プログラムから成るもの。主要評価項目は、十分に継続可能な職場復帰までの、腰痛による休業期間であり、副次評価項目は疼痛および身体機能の程度とした。職場復帰までの期間が、1年間のフォローアップ期間中に120日も短縮継続可能な職場復帰までの期間(中央値)は、統合治療群が88日と、通常治療群の208日に比べ有意に短縮された(p<0.003)。Kaplan-Meier法による解析では、職場復帰までの期間は統合的治療が有意に優れた(ハザード比:1.9、p=0.004)。12ヵ月後のRoland機能障害質問票による評価では、統合的治療群で身体機能が有意に改善された(p=0.01)。視覚アナログスケールによる疼痛の評価では、両群間に差を認めなかった。著者は、「患者と職場環境に直接介入する統合的治療プログラムは、腰痛による機能障害を私生活および労働生活の双方において実質的に低減した。労働活動への早期復帰は、疼痛には有効でも有害でもなかった」と結論し、「本試験の知見は、疼痛と労働不能とは、別個の治療目標であることを示している」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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整形外科手術後の創閉鎖、ステープルは縫合糸より感染リスクが高い

整形外科手術後の創閉鎖にステープルを用いると、縫合糸に比べ感染リスクが3倍以上にもなり、特に大腿骨頸部手術時は4倍以上に達することが、イギリスNorfolk and Norwich大学病院のToby O Smith氏らによるメタ解析で示された。加速的リハビリテーションの進歩や入院日数短縮に向け外科医への圧力が増すに伴い、皮膚閉鎖法はその重要性を増しているという。整形外科医は手術創の閉鎖に金属ステープルとナイロン縫合糸を主に使用しているが、下肢関節形成術、再建術、外傷固定などを施行後の創閉鎖の方法としていずれが優れるかについては相反する知見が存在する。BMJ誌2010年4月3日号(オンライン版2010年3月16日号)掲載の報告。創閉鎖後の表在性感染のリスクを評価するメタ解析研究グループは、整形外科手術後の創閉鎖にステープルあるいは縫合糸を用いた場合の臨床予後を比較するメタ解析を実施した。Medline、CINAHL、AMED、Embase、Scopus、Cochrane Libraryなどのデータベースを検索し、審査を受けていない論文や1950~2009年までのすべての言語で書かれた論文も調査し、引用文献にも当たった。2名の研究者が別個に論文の適格性を評価した。各論文の試験方法の質やデータの抽出にも2名の研究者が別個に当たった。解析用の最終データは合議で決めた。主要評価項目は、閉鎖後の創部の表在性感染とした。感染防止には縫合糸を使用すべき、ステープルの使用は再検討を6つの論文に参加した683例(縫合糸332例、ステープル351例)が解析の対象となった。術後の創部の表在性感染の発症リスクは、ステープルが縫合糸の3倍以上であった(ハザード比:3.83、95%信頼区間:1.38~10.68、p=0.01)。大腿骨頸部手術に限定してサブグループ解析を行ったところ、ステープルの創部感染リスクは縫合糸の4倍以上に達した(ハザード比:4.79、95%信頼区間:1.24~18.47、p=0.002)炎症、創分泌物、創離開、壊死、アレルギー反応の発症については両群間に有意な差を認めなかった。対象となった試験には、症例数が少ない、統計パワーが不十分、割り付け法が非盲検などの限界があり、試験法の質が許容範囲にあったのは1試験のみであった。著者は、「整形外科手術後の創閉鎖にステープルを用いると、縫合糸に比べ創部の感染リスクが有意に増大し、特に大腿骨頸部手術を受けた患者でリスクが著明に高かった」と結論し、「試験法に限界がある論文に基づくエビデンスではあるものの、大腿骨頸部や膝の手術創の閉鎖にステープルは推奨できない。創閉鎖へのステープル使用については再検討を勧めるが、この問題の解決には信頼性の高い無作為化試験の実施が必須である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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がん、生活習慣病の発症リスクを自己判定する「リスクチェックシリーズ」発売

株式会社パシフィックマーケティングは12日、がんや生活習慣病等の病気が発症する可能性(リスク)を自己判定する予防観点での検査サービス「リスクチェックシリーズ」の販売を同日より開始した。この検査サービスは、株式会社バイオマーカーサイエンスが、研究開発・事業化していたバイオマーカー技術に基づき、一般検査用として開発したもの。検査はバイオマーカーとして評価の高い「尿中8-OHdG」を採用し、微量(1mL)の尿をサンプルとして、DNA損傷度を判定する。DNAの酸化度合いから、がんの発症リスクや生活習慣病の発症リスクを自己判定することにより、受診者本人の予防への自覚を促すことが可能となっているという。検査は一般的な健康診断に追加できる「一般健診追加タイプ」と、郵送で検体を送付する「郵送検診タイプ」の2種類。一般向けではなく、企業・団体等の検査機関に対してのみ販売される。がん発症リスクを検査する一般健診追加タイプの価格は、5,250 円/個(税込)。最低申込数は5,000検体。生活習慣チェック、DNA損傷度等も選択できる郵送検診タイプの価格は、6,300 円/個(税込)。こちらは100検体より申し込み可能。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.pacific-m.com/riskcheck/img/bms_pc20100412.pdf

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DPP-4阻害薬「エクア(一般名:ビルダグリプチン)」今月にも薬価収載へ(1)

 2010年1月20日、国内で2成分目となるDPP-4阻害薬「エクア(一般名:ビルダグリプチン)」が承認された。ここでは、4月13日にアーバンネット大手町ビル(東京都千代田区)にて開催されたエクア記者説明会「これからの2型糖尿病治療の選択~低血糖・体重増加を助長しない、血糖コントロールをめざして~」(演者:東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科 教授 門脇 孝氏)<ノバルティス ファーマ株式会社主催>について報告する。多くの患者が現在服用している薬剤の改善を望んでいる 門脇氏の説明会に先立ち、ノバルティス ファーマ株式会社の青野氏は、自社で行ったインターネット調査から、糖尿病患者の約6割が、現在服用している経口血糖降下薬に対してなんらかの不満を持っており、9割以上が薬剤の改善を希望し、具体的には「良好な血糖コントロールができる」薬剤を望んでいることを発表した。また、「半数以上が実際に低血糖を経験していないにもかかわらず、糖尿病患者の2人に1人が『低血糖が怖いと思っている』ことを報告し、「多くの2型糖尿病患者がアンメットメディカルニーズ(満たされていない治療上の要望)を感じている」と述べた。日本人2型糖尿病はインスリン分泌が不良 わが国の糖尿病患者は激増しており、その原因として考えられるのが、近年の食生活の変化や運動不足である。日本人は、元々インスリン分泌能が低く、欧米型の生活習慣を続けることにより、内臓脂肪が蓄積し、インスリン抵抗性が増大し、容易に糖尿病を発症する。実際に、欧米人はBMI30以上の肥満で糖尿病を発症することが多いが、日本人では、小太り程度で発症することが多い。門脇氏は、日本人は欧米人より内臓脂肪を溜めやすいこと、そして最近解明されてきた遺伝子レベルでの日本人の発症機構について紹介し、「治療を始めるにあたり、まず病態をきちんと把握することが重要である。日本人は欧米人と異なり、インスリン分泌が不良であることを考える必要がある」と述べた。糖尿病と診断された時点で膵β細胞の機能は半分以下に 糖尿病では、発症した時点ですでに膵β細胞の機能は50%以下になっている。門脇氏は、これまで使われてきたどの経口血糖降下薬でも、その進行は食い止めることができないことを明らかにしたADOPT試験やUKPDS試験などの結果を報告し、今後は膵β細胞を守り、できる限り機能を温存させ、機能低下の進行を遅らせる治療が重要になると述べた。早期から、低血糖を起こさずに厳格な血糖コントロールを UKPDS80で早期治療による「Legacy Effect(遺産効果)」が示されたこと、UKPDS、ACCORD、VADTなど、5つの大規模試験のメタ解析でも、厳格な血糖コントロールにより、心血管イベントリスクの減少が示されたことを報告し、門脇氏は「大血管障害の発症・進展を阻止するためには、やはり早期から厳格な血糖コントロールを行うべき」と強調した。そして、強化療法群による死亡率増加のために中止されたACCORD試験に対して、その原因として低血糖が考えられると考察した上で、「できるだけ低血糖を起こさずに、早期から厳格に血糖コントロールすることが重要」と述べた。DPP-4阻害薬は単独で低血糖を起こさず、体重に影響を与えない 食物を摂取すると、消化管からインクレチンというホルモンが分泌される。インクレチンには、主にGIPとGLP-1があり、GLP-1が、膵β細胞のGLP-1受容体に結合して、インスリンを分泌させる働きを持つ。しかしGLP-1は、DPP-4という酵素により不活性化されてしまうため、このGLP-1の不活性化を阻害するために作られたのがDPP-4阻害薬である。DPP-4阻害薬を投与するとGLP-1が増加し、インスリン分泌が促進されるが、GLP-1の分泌は、血中のグルコース濃度に依存するため、DPP-4阻害薬を単独で投与した場合、低血糖を起こしにくい。また、GLP-1は食欲抑制作用や胃の内容物の排出を遅らせる作用があることから、DPP-4阻害薬を投与しても、体重に影響を与えないといわれている。 引き続き、医療ニュース「DPP-4阻害薬「エクア(一般名:ビルダグリプチン)」今月にも薬価収載へ(2)」をご覧ください。

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急性期病院の差額ベッド料は不要?

株式会社ケアレビューは13日、急性期病院の「差額ベッド料」に関する調査結果を公表した。この調査は、病院や病室を選択する際の参考となる情報提供を目的として「病院情報局」(http://hospia.jp/)で情報提供している全国1,556の急性期病院のうち、各都道府県の医療機能情報提供サイト上で差額ベッド料の対象病床数を確認できた1,399病院のデータを集計したもの。その結果、今回の調査対象病院(全国約50万床)のうち、差額ベッド料が必要な病床は総病床数の18.2%(約9.1万床)にとどまり、全体の8割以上(約40.9万床)の病床では差額ベッド料が不要であることがわかった。病院毎の差額ベッド数の割合で見ると、「10%以上~20%未満」の病院が36.8%と最も多く、次いで「20%以上~30%未満」の病院が24.0%、「10%未満」の病院が19.7%と続いていた。差額ベッドが必要な病床数が「30%以上」を占める病院の割合は、全体の16.0%にとどまっていた。また、差額ベッド料が必要な病床の割合を都道府県別にみると、都市部と地方との間にそれほど明確な傾向の違いはみられず、最も割合が高いのは愛媛県の26.8%で、千葉県(25.9%)、東京都(24.9%)と続いた。最も割合が低いのは沖縄県の4.1%であった。1日あたりの差額ベッド料の料金水準は、各病院が設定している最低料金の全病院平均は4,015円、最高料金の全病院平均は14,980円だった。都道府県別の平均値でみると、都市部と地方との間には大きな差がみられ、最低料金が最も高いのは東京都の6,097円で、最も低い福島県の2,032円に比べて、3.0倍の開きがあった。今回の結果について同社は、「『8割以上の病床では差額ベッド料は必要ない』という事実は、一般消費者にはあまり知られていません。民間の医療保険などでは入院した際の医療費の不安を強調する広告が多く見られますが、差額ベッド料はあくまでも快適な療養環境を希望する場合のオプション料金であり、『患者が希望しない場合には差額ベッド料を支払う必要がない』という正しい知識も合わせて広めていくことが必要です。」と述べている。詳細はプレスリリースへhttp://www.carereview.co.jp/2010/04/post-44.html

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DPP-4阻害薬「エクア(一般名:ビルダグリプチン)」今月にも薬価収載へ(2)

エクアは24時間にわたって90%以上のDPP-4阻害作用を発揮する 2010年1月2日、エクア(一般名:ビルダグリプチン)が承認された。エクアは、食事・運動療法、あるいは食事・運動療法に加え、SU薬を処方しても血糖コントロール不良な2型糖尿病患者に対して、50mgを1日2回、朝夕に処方する。 すでに使用されている他のDPP-4阻害薬は1日1回投与であるが、門脇氏は、エクアは1日2回投与により、24時間以上にわたってDPP-4の活性を阻害していることを示し、それにより、安定してGLP-1の増加を維持していることを報告した。そして、エクア単独投与により、HbA1c値を1.2%改善し(プラセボとの比較)、食後血糖値も有意に改善したと報告した上で、エクアは1日2回投与により、90%以上のDPP-4阻害率を維持した結果、優れた血糖コントロールが得られていると述べた。また、1日1回のDPP-4 阻害薬と比較した臨床試験の成績から、エクアにおいて、食後2時間血糖値およびHbA1c値が低下していたことを報告した。 そして実際には、食事・運動療法を行っても目標値が達成できない場合の第一選択薬になるが、HbA1cが7.5~8.0%を超える患者では、単独投与では難しいため、他剤との併用が必要になると述べた。 また、門脇氏はラットを使った動物実験において、エクアが膵β細胞量を増加させたことを報告し、まだ臨床での成績はないが、エクアを投与することにより、膵β細胞の機能を改善させ、糖尿病の進行を阻止する可能性があると述べた。そして、将来的には、膵β細胞の機能を改善する可能性があるインクレチン関連薬は、発症前の前段階の人に対して、糖尿病発症予防の手段となり得るかを検討する余地があると述べた。SU薬との併用には十分注意を エクアはSU薬との併用が可能となるが、門脇氏は、すでにわが国で使用されているDPP-4阻害薬とSU薬の併用で重症低血糖が10例以上起こっていることを報告し、SU薬と併用する際には、低血糖の発現に十分注意する必要があると述べた。国内で報告されている重症低血糖例については、高用量のSU薬が処方されており、そのほとんどが65歳以上の高齢者であった。併用開始後2~4日後の早い時期に起こり、中には昏睡に至った例も報告されているが、すでに全例回復している。門脇氏は、「SU薬と併用する場合は、低血糖に注意する。生理的機能が低下しており、低血糖症状に気付きにくい高齢者の場合は特に注意する。使用しているSU薬を減量してから併用する(例えばアマリールであれば、2mg/日以下)」と強調した。なお、SU薬とDPP-4阻害薬併用における低血糖については、すでに門脇氏を含む数人の糖尿病専門医により検討が行われており、糖尿病協会および日本医師会を通じてrecommendation/勧告を出しているという。 昨年末から今年初めにかけて、待ち望まれていた全く新しい作用機序の経口血糖降下薬DPP-4阻害薬、そしてGLP-1受容体作動薬がわが国で発売された。エクアが16日付で薬価収載されれば、これで国内2成分目のDPP-4阻害薬となる。 これまでの糖尿病治療薬では、血糖低下作用が強いほど低血糖が発現しやすく、また体重も増加するという課題があった。そのため、DPP-4阻害薬などのインクレチン関連薬は、「(単独投与で)低血糖を起こさず、体重に影響を与えずに、血糖値を下げる」薬剤であることから、発売前から、非常に多くの期待が寄せられていた。また、本記者説明会でも門脇氏が述べているように、インスリン分泌が不良である日本人2型糖尿病ではより効果が得られることから、今後多くの患者に使用されるようになれば、これまでの海外での使用経験の報告では得られなかったより高い有効性の報告も期待できるだろう。 しかし一方で、わが国で多くの患者に使用されているSU薬との併用において、低血糖の発現が報告されている。長期にわたる安全性についても、現在のところ、まだ報告されているものはないが、海外での使用もまだ数年であるため、今後注意していく必要がある。 本説明会の最後に、門脇氏は、「1例1例大事に、安全性に対処しながら育てていきたい」と述べて、説明会を終えた。糖尿病では、個々の患者ごとに病態が異なり、治療法が異なるといっても過言でない。今後、その1例1例が臨床経験として蓄積されていくことで、その薬剤の有意義な使い方が確立されていくと考えられる。

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子宮内膜がん、大動脈周囲リンパ節切除術は有効か? :SEPAL試験

再発リスクが中~高の子宮内膜がんの治療では、子宮摘出術施行時のリンパ節郭清として骨盤内リンパ節に加え大動脈周囲リンパ節を切除する拡大郭清が有効なことが、国立病院機構北海道がんセンター婦人腫瘍科の藤堂幸治氏らが実施したコホート試験(SEPAL試験)で示された。アメリカや日本では、子宮内膜がんの子宮摘出術の際に、婦人科医に比べ婦人腫瘍科医はリンパ節郭清を行うことが多く、拡大郭清の施行頻度も高いが、イギリスではリンパ節郭清はあまり行われないという。これまでに実施されたプロスペクティブな大規模臨床試験では骨盤内リンパ節切除術の効果は示されていないが、フォローアップ期間が短い、症例数が少ない、拡大郭清は検討されていないなどの限界があった。Lancet誌2010年4月3日号(オンライン版2010年2月25日号)掲載の報告。骨盤内リンパ節郭清のみと拡大郭清を比較する後ろ向きコホート試験SEPAL試験の研究グループは、再発リスクが中~高の子宮内膜がんに対する子宮摘出術施行時のリンパ節郭清として、骨盤内リンパ節切除術と骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術(拡大郭清)の有用性を比較するレトロスペクティブなコホート試験を実施した。1986年1月~2004年6月までに、2施設(北海道大学付属病院婦人科、北海道がんセンター婦人腫瘍科)で治療を受けた低~高再発リスクの子宮内膜がん患者671例(再発リスク、低:264例、中:240例、高:167例)を解析の対象とした。そのうち骨盤内リンパ節切除術を受けたのは325例、骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術は346例であった。中~高再発リスクの子宮内膜がん患者に対しては、術後補助療法として放射線治療あるいは化学療法が施行された。主要評価項目は全生存期間であった。中~高再発リスク例の死亡リスクが56%低減全体の全生存期間は、骨盤内リンパ節切除術群に比べ骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術群で有意に延長した(ハザード比:0.53、p=0.0005)。中~高再発リスク例(407例)においても、全生存期間は骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術群で有意に優れた(p=0.0009)。低再発リスク例では両群間に有意な差はなかった。予後因子に関する多変量解析を行ったところ、中~高再発リスク例では死亡リスクが骨盤内リンパ節切除術群に比べ骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術群で有意に低下した(ハザード比:0.44、p<0.0001)。術後補助療法として放射線治療あるいは化学療法を受けた中~高再発リスク例(328例)においても、骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術群で生存期間が有意に優れ(ハザード比:0.48、p=0.0049)、放射線治療よりも化学療法を受けた患者で改善効果が高かった(ハザード比:0.59、p=0.0465)。著者は、「再発リスクが中~高の子宮内膜がんの治療では、子宮摘出術施行時のリンパ節郭清として骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術が推奨される」と結論し、「今後、リンパ節郭清の治療効果を検証するためのプロスペクティブな無作為化試験あるいはコホート試験を実施する場合は、中~高再発リスク例に対する骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術を考慮すべきである」としている。(菅野守:医学ライター)

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ACE阻害薬+Ca拮抗薬、高リスク高血圧におけるCKD抑制効果が明らかに:ACCOMPLISH試験2次解析

 ACE阻害薬ベナゼプリル(商品名:チバセンなど)とCa拮抗薬アムロジピン(同:ノルバスク、アムロジンなど)の併用は、心血管疾患のリスクが高い高血圧患者において慢性腎臓病(CKD)の進行の抑制効果が高いことが、アメリカChicago 大学Pritzker医学校のGeorge L Bakris氏らが実施したACCOMPLISH試験の2次解析で明らかとなった。本試験は、主解析でベナゼプリルとアムロジピンの併用が、ベナゼプリルと利尿薬ヒドロクロロチアジド(同:ニュートライドなど)の併用よりも心血管疾患罹患率および死亡率の改善効果が優れることが示されたため、平均フォローアップ期間2.9年の時点で早期中止となっている。進行期腎症ではRA系抑制薬と利尿薬の併用で降圧効果が得られることが多くの試験で示されているが、CKDの進行に対する固定用量による降圧薬併用の効果を検討した試験はないという。Lancet誌2010年4月3日号(オンライン版2010年2月18日号)掲載の報告。CKDの進行を評価する事前に規定された2次解析 ACCOMPLISH試験は高リスク高血圧患者を対象としたプロスペクティブな二重盲検無作為化試験。今回、研究グループは、本試験の事前に規定された2次解析として固定用量のベナゼプリル+アムロジピンとベナゼプリル+ヒドロクロロチアジドのCKD抑制効果について評価した。 2003年10月~2005年5月までに、5ヵ国(アメリカ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド)から心血管イベントのリスクが高い55歳以上の高血圧患者11,506例が登録された。これらの患者が、ベナゼプリル(20mg/日)+アムロジピン群(5mg/日)群(5,744例)あるいはベナゼプリル(20mg/日)+ヒドロクロロチアジド(12.5mg/日)群(5,762例)に無作為に割り付けられた。 用量は、推奨目標血圧を達成するように、無作為割り付け後1ヵ月が経過して以降は個々の患者の病態に応じて漸増した。事前に規定されたエンドポイントであるCKDの進行は、血清クレアチニン値の2倍化あるいは末期腎不全の発症(推定糸球体濾過率<15mL/分/1.73m2あるいは要透析の診断)と定義した。ACE阻害薬+Ca拮抗薬でCKDの進行が48%抑制 試験終了時点で、143例(1%)のフォローアップが完遂できなかった(ベナゼプリル+アムロジピン群70例、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド群73例)。無作為割り付けされたすべての症例がintention-to-treat解析の対象となった。 CKDの進行がみられたのは、ベナゼプリル+アムロジピン群が113例(2.0%)と、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド群の215例(3.7%)に比べ有意に低下した(ハザード比:0.52、p<0.0001)。 CKD患者で最も高頻度にみられた有害事象は、末梢浮腫[ベナゼプリル+アムロジピン群33.7%(189/561例)、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド群16.0%(85/532例)、p<0.0001]であった。CKD患者における血管浮腫の頻度は、ベナゼプリル+アムロジピン群の方が高かった(1.6% vs. 0.4%、p=0.04)。 非CKD患者では、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド群でめまい(20.3% vs. 25.5%、p<0.0001)、低カリウム血症(0.1% vs. 0.3%、p=0.003)、低血圧(2.3% vs. 3.4%、p=0.0005)の頻度が高かった。 著者は、「ベナゼプリル+アムロジピン併用療法は、腎症の進行をより遅らせるため、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド併用療法よりも優先的に考慮すべきである」と結論し、「これらの併用降圧治療のCKD抑制効果の優劣を確立するには、さらに進行した腎症を対象としたプロスペクティブ試験を行う必要がある」としている。

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死に至る身体障害の予測は不可

人生の最期、人はどのようにどれだけ衰え死を迎えるのか。高齢者やその家族にとってそれを知り得ることは重要なことだが、どのような経過をたどるのか明らかになっていない。そこで米国エール大学内科のThomas M. Gill氏らは、当初は身体機能レベルに問題がなくその後死亡した、居宅高齢者を追跡評価した。しかし、死に至った健康状態からさかのぼって予測可能な障害の経過を、パターンとして見いだすことはできなかったという。NEJM誌2010年4月1日号より。居宅高齢者383人の死に至った健康状態と身体障害の経過を評価Gill氏らは、754人が参加した居宅高齢者の追跡調査(1998年3月~1999年10月の間に試験登録し、2008年12月31日まで追跡)から、死亡した383人について評価した。被験者は、試験登録時はいずれも基本的な日常生活動作に支障はなく、追跡調査の間、毎月、面談調査で身体機能について確認された。死に至った健康状態については、死亡診断書と、試験登録後18ヵ月間隔で行われていた総合評価から入手・確認された。評価は、死亡前1年間における、身体障害5段階それぞれの経過(身体障害なし~最重度の身体障害を伴う)について検討された。認知症と突然死は予測できる?5段階の経過をたどった人はそれぞれ、身体障害なし:65人(17.0%)、危機的障害(最重度)が起きた:76人(19.8%)、加速度的に障害が進んだ:67人(17.5%)、障害が徐々に進行:91人(23.8%)、重大障害が持続的に進行:84人(21.9%)だった。死に至った健康状態で最も共通していたのは、虚弱(107人・27.9%)だった。次いで、臓器不全(82人・21.4%)、がん(74人・19.3%)、その他疾患(57人・14.9%)、進行性認知症(53人・13.8%)、突然死(10人・2.6%)という結果だった。身体障害の経過と、死に至った健康状態とを結びつけることができたのは、進行性認知症(67.9%が「重大障害が持続的に進行」という経過を有した)と、突然死(50.0%が「身体障害なし」)だけだった。他の健康状態については、いずれの身体障害の経過とも34%以下だった。特に、臓器不全(12.2~32.9%)、虚弱(14.0~27.1%)では、身体障害の経過分布がバラバラで、どのような身体障害の経過をたどるのか、予測することができなかった。(医療ライター:武藤まき)

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医療現場でのiPhone活用による先進的なソリューションを紹介 「iPhone in Medicine:診療現場にiPhoneを」開催

4月10日(土)東京銀座のアップルストアにて、iPhoneの医療における活用事例を紹介するセミナー「iPhone in Medicine:診療現場にiPhoneを」が開催された。当日は、早朝にもかかわらず、開場直後にセミナールームは満席となり、立ち見も続出し、非常に高い熱気に包まれた。医療現場でも、iPhoneとその活用に非常に高い関心があることがわかった。杉本真樹氏(神戸大学大学院医学研究科)による基調講演(以下要約)日本の医療の解決すべき課題として、(1)指導リソースが不足する病院での学習機会の補完、(2)医療従事者のQOL向上、(3)医療従事者の大幅な業務効率の改善、(4)良質かつ豊富で実用的なコンテンツの保全・活用がある。iPhoneの登場は、これらの課題解決に貢献すると思われる。一方で、セキュリティ問題が懸念されていたが、(1)デバイス管理、(2)ハードウェアの暗号化、(3)セキュアなネットワーク通信により、医療従事者の業務用途に十分耐えうる強固なセキュリティが確保できるようになった。iPhoneの医療系アプリは、薬剤リファレンス、DICOM画像の閲覧・管理、ベッドサイドモニターなど、既に2000アプリを超えているが、さらに開発に拍車がかかっている。今回のセミナーでは、指導リソースの補完、医療従事者のQOL向上、業務効率の改善の3点に焦点を当てた、ユニークなソリューションを紹介したい。

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ヘマトクリット低値の末期腎不全患者への貧血治療、1年死亡率を低下

末期腎不全患者に対する至適管理に関しては、議論が分かれている。そうした中、末期腎不全患者でヘマトクリット値が低い患者への、透析中のエリスロポエチン(ESA製剤)や鉄分の静脈投与といった積極的治療が、1年死亡率の低下につながることが報告された。同時に、ヘマトクリット値が高い患者への同治療は、死亡リスクを増加することも明らかにされている。米国ノースカロライナ大学ギリング公衆衛生大学校疫学部門のM. Alan Brookhart氏らが、約27万人の透析患者について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年3月3日号で発表した。末期腎不全患者約27万人について、ヘマトクリット値で4群に分け治療効果を検討同氏らは、1999~2007年にかけて、米国高齢者向け公的医療保険「メディケア」の受給者で末期腎不全の、26万9,717人について調査を行った。被験者の平均年齢は62.5歳、53.5%が男性で、被験者をヘマトクリット値で4群(30%未満、30~32.9%、33~35.9%、36%以上)に分け検討が行われた。月毎の死亡率が最も高かったのは、ヘマトクリット値が「30%未満」群で2.1%。これに対し最も低かったのは同値「36%以上」群で0.7%だった。またヘマトクリット値「30%未満」群に対して、ESA製剤の投与量が多い透析センター群が、少ないセンター群に比べ、1年死亡リスクが低かった(最高五分位範囲の最低五分位範囲に対するハザード比:0.94、95%信頼区間:0.90~0.97)。さらに、ヘマトクリット値「33%未満」に対する鉄分投与の頻度が多いセンター群が、少ないセンター群に比べ、1年死亡リスクは低かった(最高五分位範囲の最低五分位範囲に対するハザード比:0.95、同:0.91~0.98)。ヘマトクリット高値患者の積極的貧血治療は、死亡リスクを増加一方で、ヘマトクリット値「33~35.9%」の患者に対する、ESA製剤の投与量が多かった透析センター群は、1年死亡リスクが高かった(最高五分位範囲の最低五分位範囲に対するハザード比:1.07、同:1.03~1.12)。また、ヘマトクリット値「36%以上」の患者に対し、より積極的にESA製剤や鉄分投与が行われた透析センター群で、1年死亡リスクが増加していた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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生体腎移植の安全性確認:過去15年の全米ドナー追跡調査結果より

生体腎移植ドナーの死亡率は、健常者と比べて、有意に増大はしないことが、米国ジョンズ・ホプキンス大学外科Dorry L. Segev氏らが行った全米ドナー対象の追跡調査の結果、報告された。米国では毎年、約6,000人に上る“健康人”からの腎摘出が行われている。しかしその安全性について、これまでのアウトカム調査は1施設対象としたもので対象者数も十分ではなく、疑問符が残されたままである。そこでSegev氏らは、過去15年間の全米腎移植ドナーを対象とする追跡調査を行った。JAMA誌2010年3月10日号より。手術関連死亡率は、15年間変わらず調査は、1994年4月1日~2009年3月31日の間に全米から登録された、80,347人の生体腎移植ドナーを追跡し行われた。追跡調査期間は、中央値6.3年(範囲:3.2~9.8年)。対照群として、第3回全米健康栄養調査(NHANES III)の参加者9,364例を抽出し、比較検討された。主要評価項目は、手術関連死亡率と長期生存とした。試験期間中、ドナー群の90日以内死亡は、25例あった。同群の手術関連死亡率は、10,000ドナー当たり3.1例(95%信頼区間:2.0~4.6)。15年の間に移植手技や適応に関して変化があったにもかかわらず、その値に変動はなかった。性別でみると、女性よりも男性で手術関連死亡率は高い。10,000ドナー当たりの男性5.1対女性1.7、リスク比(RR)3.0(95%信頼区間:1.3~6.9、P=0.007)だった。人種別にみると、黒人が白人/ヒスパニックよりも高かった(10,000ドナー当たり7.6対2.6/2.0、RR:3.1、95%信頼区間:1.3~7.1、P=0.01)。また、高血圧の有無でみると、有する人の方が高かった(同:36.7対1.3、RR:27.4、5.0~149.5、P

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前立腺がんへの放射線治療、高用量照射でも長期副作用は標準用量群と同等

限局性前立腺がんへの陽子線・光子線治療は、高用量照射でも、尿や腸、性的機能といった患者報告による長期副作用は、従来照射量の場合と同等のようだ。前立腺がんへの放射線治療では、高用量照射によりがん治療効果は高まるものの、副作用の増加が懸念されていた。米国マサチューセッツ総合病院がんセンターのJames A. Talcott氏らの研究で明らかになったもので、JAMA誌2010年3月17日号で発表した。限局性前立腺がんの患者393人を中央値9.4年追跡同研究グループは、以前に、393人の限局性前立腺がんの患者について、陽子線・光子線治療の照射量70.2Gyと79.2Gyに関する無作為化試験、「Proton Radiation Oncology Group(PROG)9509」を行い、その結果を発表している。PROGの被験者は、病期分類でT1b-T2b、前立腺特異抗原が15ng/mL未満、X線撮影では転移が認められなかった患者だった。その結果は、10年生化学的進行率の予測値は、標準用量群が32%に対し、高用量群は17%と、有意に低率というものだった。今回は、そのPROG被験者のうち280人(83%)に対し、事後横断調査を行い、副作用について比較したもの。追跡期間中央値は、9.4(7.4~12.1)年だった。尿管閉塞や尿失禁、性的機能不全など、両群で有意差なしその結果、患者申告による標準用量群と高用量群の副作用に関するスケールは、それぞれ、尿管閉塞や過敏症が23.3(標準偏差13.7)と24.6(同14.0、p=0.36)、尿失禁が10.6(同17.7)と9.7(同15.8、p=0.99)、腸の障害が7.7(同7.8)と7.9(同9.1、p=0.70)、性的機能不全が68.2(同34.6)と65.9(同34.7、p=0.65)と、いずれも有意差はなかった。一方で、治療後、前立腺がんが制御されていると感じるスコアについては、標準用量群が76.0に対し高用量群が86.2と、有意に高かった(p

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眠りの深さや状態を在宅で定量的に評価する睡眠計、発売へ

株式会社タニタは6日、眠りの状態を定量的に評価して表示する睡眠計「スリープスキャン(SL-501)」を開発し、5月に発売すると発表した。医療機関で一般的に行われている睡眠ポリグラフによる判定結果と相関性の高いアルゴリズムと、これにさまざまな情報から確立した指標を加え、点数による総合評価を行えるようにしたのが特徴だという。同製品は計測ユニットとセンサーマットが一体となった構造で、これを寝具の下に敷き、横になって就寝するだけで簡単に計測が可能。身体を拘束したり多数の電極を取り付けたりする必要がなく、リラックスした状態で計測できるため対象者に負荷がかからないとのこと。不眠症など睡眠障害にかかわる問題がクローズアップされているが、同製品を使えば睡眠の過不足やリズムを在宅でも簡単にチェックすることが可能になり、健康管理に反映できるようになるとみているという。価格は3万6750円(消費税込み)。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.tanita.co.jp/company/press/20100406.pdf

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HPVワクチン接種と流産リスクの関連

米国立がん研究所疫学/遺伝学部門のSholom Wacholder氏らは、HPVワクチン接種と流産リスクの関連について検討した無作為化試験の結果、関連について確たるエビデンスは得られなかったことを報告した。BMJ誌2010年3月27日号(オンライン版2010年3月2日号)掲載より。約2万6千例参加の国際的多施設共同無作為化試験データを解析本試験は、2つの多施設共同第III相試験盲検無作為化試験(PATRICIAとCVT)を解析して検討された。PATRICIA試験は複数国から被験者が参加(15~25歳)、CVTはコスタリカで行われた試験(18~25歳)で、両試験合わせて被験者は総計26,130例(15~25歳)だった。被験者は、HPV 16/18 VLPワクチン(AS04アジュバンド)かA型肝炎ワクチン(対照群)を接種される2群に無作為化された。接種は開始時と、1ヵ月目、6ヵ月目に行われ、HPVワクチン群は13,075例、対照群は13,055例だった。参加者のうち、解析対象となった妊娠例は3,599例(HPVワクチン群1,786例、対照群1,813例)。流産とその他の妊娠アウトカムを主要評価項目に解析された。ワクチン接種後3ヵ月以内の妊娠に関する懸念を払拭できず推定流産率は、HPVワクチン群11.5%、対照群10.2%(順列検定P=0.16)。全体として、HPVワクチン群に割り付けられる女性に、流産の有意な増加は認められなかった。しかし、いずれかのワクチン接種後3ヵ月以内に妊娠した人を対象とした副次解析では、流産率は、HPVワクチン群14.7%、対照群9.1%だった。以上から、Wacholder氏は「全体としては流産の有意な増加は認められなかったが、妊娠前3ヵ月以内のワクチン接種のリスク増大の可能性について完全に払拭することができない」として、HPVワクチン接種と流産リスクの関連にエビデンスは認められなかったと結論している。

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無作為化試験の報告論文の質は改善されたか?

英国オックスフォード大学医学統計センターのSally Hopewell氏らは、2001年に出された試験論文の執筆勧告「Consolidated Standards of Reporting Trials(CONSORT)Statement」以後、PubMedで検索される論文の質(無作為化試験の特性および手法)が改善されたかを、2000年と2006年とで比較を行った。結果、重要な方法論の面で改善がみられはしたが、論文の質自体は容認できるレベル以下だったという。BMJ誌2010年3月27日号(オンライン版2010年3月23日号)掲載より。2000年と2006年の発表論文を比較Hopewell氏らは、2000年12月と2006年12月にPubMed検索された主要無作為化試験論文(試験デザインが平行群、交差、クラスタ、要因解析、分割解析など)を対象とした。対象論文を、発表年および試験デザインで階層化し、総合項目(試験デザイン、発表学術誌のタイプ、専門領域、介入タイプ、データ収集サイト数、無作為化群の数、サンプルサイズ)、および方法論的項目(試験タイトルに無作為化が使用されているか、主要評価項目が明確か、サンプルサイズ算出、無作為化の手法、割付法の隠蔽度合い、盲検かどうか、盲検の手法)を主要評価項目とし比較検討された。結果、大部分は、専門誌発表[2000年群:482/519件(93%)vs. 2006年群:555/616件(90%)]の、2群比較[同:379/519(73%) vs. 468/616(76%)]、平行群比較[同:383/519 (74%)vs. 477/616(78%)]の研究論文だった。しかし、2000年、2006年ともに、平行群比較の試験被験者中央値は、80例だった。また、医薬品試験の論文の占める割合は、2000年393/519件(76%)から2006年は356/616(58%)に減っていた。一方で、手術試験論文の割合は増えていた(10% vs. 21%)。なお残る不透明性方法論的側面で改善が認められたのは、主要評価項目の詳細記述(リスク比:1.18、95%信頼区間:1.04~1.33)、サンプルサイズ算出(同:1.66、1.40~1.95)、無作為化の手法(同:1.62、1.32~1.97)、割付法の隠蔽度合い(同:1.40、1.11~1.76)だった。しかし、盲検化については改善したことが認められなかった(同:0.91、0.75~1.10)。以上からHopewell氏は、方法論的な面で改善がみられた部分もあったが、質に関しては改善されているとは言えないと結論。「試験が、どのように設計され、実行されたかの透明性が確保されていなければ、その試験の実効性および有効性を評価することは難しい」とまとめている。

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