HPVワクチン接種と流産リスクの関連

提供元:ケアネット

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公開日:2010/04/09

 



米国立がん研究所疫学/遺伝学部門のSholom Wacholder氏らは、HPVワクチン接種と流産リスクの関連について検討した無作為化試験の結果、関連について確たるエビデンスは得られなかったことを報告した。BMJ誌2010年3月27日号(オンライン版2010年3月2日号)掲載より。

約2万6千例参加の国際的多施設共同無作為化試験データを解析




本試験は、2つの多施設共同第III相試験盲検無作為化試験(PATRICIAとCVT)を解析して検討された。PATRICIA試験は複数国から被験者が参加(15~25歳)、CVTはコスタリカで行われた試験(18~25歳)で、両試験合わせて被験者は総計26,130例(15~25歳)だった。

被験者は、HPV 16/18 VLPワクチン(AS04アジュバンド)かA型肝炎ワクチン(対照群)を接種される2群に無作為化された。接種は開始時と、1ヵ月目、6ヵ月目に行われ、HPVワクチン群は13,075例、対照群は13,055例だった。

参加者のうち、解析対象となった妊娠例は3,599例(HPVワクチン群1,786例、対照群1,813例)。流産とその他の妊娠アウトカムを主要評価項目に解析された。

ワクチン接種後3ヵ月以内の妊娠に関する懸念を払拭できず




推定流産率は、HPVワクチン群11.5%、対照群10.2%(順列検定P=0.16)。全体として、HPVワクチン群に割り付けられる女性に、流産の有意な増加は認められなかった。

しかし、いずれかのワクチン接種後3ヵ月以内に妊娠した人を対象とした副次解析では、流産率は、HPVワクチン群14.7%、対照群9.1%だった。

以上から、Wacholder氏は「全体としては流産の有意な増加は認められなかったが、妊娠前3ヵ月以内のワクチン接種のリスク増大の可能性について完全に払拭することができない」として、HPVワクチン接種と流産リスクの関連にエビデンスは認められなかったと結論している。