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プロゲスチン単独避妊薬は静脈血栓塞栓症リスクを増大させない

 プロゲスチンのみを含有する経口避妊薬は、女性の静脈血栓塞栓症のリスクを増大させないことが、米国・Lahey Clinic(マサチューセッツ州、バーリントン)のSimon Mantha氏らの検討で示された。ホルモン系避妊薬による静脈血栓塞栓イベントのリスクは、エストロゲンの量およびプロゲスチンの剤型の影響を受ける。静脈血栓塞栓症の発症リスクが高い女性(産後、遺伝性血栓性素因、静脈血栓塞栓症の既往など)は、プロゲスチン単独による避妊が好ましいとされるが、プロゲスチン単独避妊薬と血栓の関連を評価したデータはわずかだという。BMJ誌2012年9月1日号(オンライン版2012年8月7日号)掲載の報告。薬剤送達法の違いによるリスクの差をメタ解析で評価研究グループは、プロゲスチン単独避妊薬と静脈血栓塞栓症リスクの関連を評価し、薬剤の送達法[経口薬、子宮内器具(IUD)、注射薬]によるリスクの差について検討するために系統的なレビューを行い、メタ解析を実施した。データベース(Pubmed、Embase、Cochrane Library)や関連レビューの文献リストを検索し、プロゲスチン単独避妊薬を使用する女性の静脈血栓塞栓症のアウトカムをホルモン系避妊薬非使用女性と比較した無作為化対照比較試験および観察研究(症例対照研究、コホート研究、断面研究)を選出した。データの抽出は、2名の研究者が別個に行ったうえで、さらに2名の研究者を加えた合議によって決定した。注射薬ではリスクが2倍以上に増大8つの観察研究に登録された493人が解析の対象となった。プロゲスチン単独避妊薬を使用中に合計147人の女性が静脈血栓塞栓症と診断された。ランダム効果モデルによる解析では、プロゲスチン単独避妊薬使用女性の、非使用女性に対する静脈血栓塞栓症の調整済み相対リスクは1.03[95%信頼区間(CI):0.76~1.39]であり、有意な差は認めなかった。サブグループ解析では、プロゲスチンの経口薬(相対リスク:0.90、95%CI:0.57~1.45)とIUD(同:0.61、0.24~1.53)は静脈血栓塞栓症と関連しなかった。注射薬使用者の非使用者に対する相対リスクは2.67(95%CI:1.29~5.53)と有意差がみられた。著者は、「プロゲスチン単独避妊薬は、ホルモン系避妊薬を使用しない場合に比べ静脈血栓塞栓症リスクを増大させることはないと考えられる」と結論し、「プロゲスチン注射薬の血栓症リスクについては、さらなる検討を行う必要がある」と指摘する。

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ロタウイルスワクチン接種、小児の胃腸炎による入院予防に効果

 ロタウイルスワクチン(商品名:ロタリックス、ロタテック)接種は、ロタウイルス胃腸炎小児の入院の予防に有効なことが、ベルギー・アントワープ大学のTessa Braeckman氏らの検討で示された。ロタウイルスは世界的に、小児の重篤な急性胃腸炎の最大の原因であり、高所得国では死亡例はまれだが、WHOはすべての国がロタウイルスワクチンを導入するよう勧告している。低・中所得国ではワクチンのルーチン接種の有効性が示されているが、高所得国におけるエビデンスは少なく、ベルギーはEUで最初のルーチン接種導入国だという。BMJ誌2012年9月1日号(オンライン版2012年8月8日号)掲載の報告。ロタウイルスワクチンの有効性を症例対照研究で評価研究グループは、小児のロタウイルス胃腸炎に対するロタウイルスワクチン接種の有効性を評価するために症例対照研究を実施した。2008年2月~2010年6月までに、ベルギーの39病院に入院したロタウイルス胃腸炎の小児215人(年齢中央値11ヵ月、男児51%)と、年齢、施設をマッチさせた対照276人(同:12ヵ月、54%)について解析を行った。ロタウイルス胃腸炎の診断はPCR法で確定した。すべての小児はロタウイルスワクチンの接種が可能な年齢(2006年10月1日以降に出生、生後14週以上)に達していた。ロタウイルス胃腸炎で入院した小児およびマッチさせた対照におけるロタウイルスワクチンの接種状況について検討した。単価ワクチン2回接種の入院予防率は90%1回以上のワクチン接種率は、ロタウイルス胃腸炎で入院した小児が48%(99人)と、対照群の91%(244人)に比べ有意に低かった(p

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うつ病や拒食症の女性における感情調節困難調査

 境界性人格障害とも関連する感情調節困難は、うつ病や拒食症などのさまざまな精神障害の進展や持続に重要な役割を果たすと考えられてきた。しかし、これまでの研究では、感情調節困難の疾患特異性を詳細に理解できていなかった。Brockmeyer氏らは、女性における感情調整困難に関する調査を行った。Psychiatry Res誌オンライン版2012年8月18日号の報告。 大うつ病患者、拒食症患者、コントロール群(合計140名)を対象に、感情調整困難に関する調査を実施した。主な結果は以下のとおり。・大うつ病患者、拒食症患者は、コントロール群と比較して、感情の希薄化と変調、ならびに分化と経験に関わる重度の感情調節困難が認められた。・大うつ病患者、拒食症患者は、共に感情の経験と分化に関する感情調節困難の変調が同程度、認められた。・大うつ病患者は、拒食症患者と比較して、感情の減衰や調節に関する強い感情調節困難が認められた。・感情調節困難は診断横断的な疾患であり、拒食症よりもうつ病において、より多く重度の感情調節困難を伴うという特徴が明らかになった。関連医療ニュース ・境界性人格障害患者の自殺予防のポイントはリハビリ ・自殺予防に期待!知っておきたいメンタルヘルスプログラム ・うつ病の予測因子は青年期の「腹痛」?

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(18)〕 安全な内視鏡的大伏在静脈グラフト(SVG)採取には熟練した内視鏡術者が不可欠である

冠動脈バイパス手術(CABG)で内視鏡を用いた大伏在静脈グラフト(SVG)採取は、米国では一般的な術式である。2009年に報告されたPREVENT IV Trialでは、グラフト1年開存率で内視鏡的SVG採取は外科的採取よりも劣り、3年生存率でより高い死亡率を示した。内視鏡的採取は技術依存性が高く、非熟練者による採取ではグラフト内膜損傷などグラフトの質が落ちるのは明らかである。 日本では手術チームの中で若い外科医の訓練としてSVG採取が実施されることが多く、それゆえ、内視鏡的SVG採取は普及していない。Physician Assistant(PA)制度が発達した米国では、SVG採取はもっぱらPAの仕事であり、若い外科医がタッチすることは少なく、多くの施設で胸部手術開始前に内視鏡的SVG採取専門のPAがSVG採取を行っている。 Williamsの論文では米国心臓外科手術症例の80%以上が登録されているSTSデータベースを用いた23万5,394人のCAGB症例を対象とした観察研究により、外科的SVG採取に比較して内視鏡的SVG採取の遠隔期治療成績は劣らないとした。 全死亡率および死亡・心筋梗塞・血行再建の複合アウトカムも両群で同等であり、術部創合併症の発生率は、内視鏡群が有意に低率だった(p

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乳房外パジェット病の治療体制確立を目指して がん・感染症センター都立駒込病院 皮膚科・皮膚腫瘍科 吉野 公二氏

日本、アジアに多く、欧米に少ない乳房外パジェット病 乳房外パジェット病は、東南アジア、特に日本や韓国に多く、欧米に少ない疾患です。多くのがんの場合、欧米で確立したエビデンスをもとに日本で治験を組む、あるいはそれを基に公知申請で治療薬を導入するという方法が今の世の流れです。しかしながら、乳房外パジェット病には欧米でのエビデンスはありません。つまり、公知申請はできない状況で、日本で一から治験を組まないと新しい治療体制が生まれてこないのです。 ところが、乳房外パジェット病は疾患数が少なく、市場の小ささが障害となり製薬会社としても新たに治験を組めません。また、医師主導治験も製薬会社からの薬剤供給が確立できず実現不可能です。もうひとつ、高度先進医療という方法がありますが、キードラッグであるドセタキセルはがん領域で十分な実績のある薬であり、新たな治療法を対象とする高度先進医療の適用とはなりません。日本発のデータで新しい治療体制を さまざまな検討を行った結果、実際の治療実績のデータを、日本から世界に向かって発信し、それを基にして公式な臨床研究や申請の実現を目指すことになりました。そのためには単独施設ではなく、多施設の臨床研究を行う必要があります。そこで、乳房外パジェット病の治療に携わる医師が主体となり「乳房外パジェット病研究会」を設立しました。臨床研究といっても保険適応外ですので、多施設の後ろ向き研究となります。その結果を、乳房外パジェット病研究会で論文化し、早ければ来年中にpublishするという方針です。 同研究では、抗がん剤だけにとどまらず、他の治療関連エビデンスも検討する予定です。そのひとつはステージ分類です。乳房外パジェット病には国際的なステージ分類がありません。今回の研究で、日本オリジナルのTNM分類を世界に向かって発信しようと計画しています。 また、センチネルリンパ節生検の有用性についても調べています。乳房外パジェット病では、センチネルリンパ節転移陰性例の予後は良く、5年生存率は100%です。リンパ節腫脹後にセンチネルリンパ節生検を実施した例と、事前にセンチネルリンパ節生検を実施した例とを比較することで、予後予測因子ならびに予後の改善に結びつくか有用性を確認したいと思っています。現在、乳房外パジェット病でのセンチネルリンパ節生検は保険未認可であり、結果次第では保険適応も視野に入れたいと思っています。 乳房外パジェット研究会は皮膚科だけの集まりでしたが、婦人科、泌尿器科、形成外科にも広げています。患部が陰部であることも多く、さまざまな診療科が関わるため、より幅広いデータを収集しようという試みです。乳房外パジェット病の治療報告は、世界的にみても1例のケースレポートがほとんどです。同研究では、現在ドセタキセルを使用した約20例を収集しており、すでにかなりのインパクトはあると思います。また乳房外パジェット病自体で最終的には400例近くのデータ収集を目指しています。世界的にも大きなインパクトを示すことになるでしょう。発見が遅れがちな乳房外パジェット病 乳房外パジェット病の患者さんは、皮膚科に行ったり、泌尿器科に行ったり、女性は婦人科に行ったりしています。陰部が痒いという症状から単なる湿疹と判断され、湿疹の薬を処方されたり、症状が改善せずドクターショッピングを繰り返すことも多いようです。 そのためか、医療機関を受診しているにもかかわらず、発見されるまで数年かかり、来院時にはすでにリンパ節転移があるケースも少なくありません。通常の湿疹だと思われるケースのなかには、わずかですが乳房外パジェット病も隠れています。早期発見すれば、ほとんどの症例は予後良好なので、ステロイドや抗真菌薬を使っても奏効しない例では、1ヵ月以内に皮膚生検を行うなど、乳房外パジェット病を念頭に置いて診療をしていただければと思います。

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心筋梗塞のリスクはCKDが糖尿病よりも高い、約127万人のコホート試験

 心筋梗塞による入院のリスクは、心筋梗塞の既往歴がある場合に最も高いが、既往歴がない場合はCKDが糖尿病よりも高リスクであることが、カナダ・Alberta大学のMarcello Tonelli氏らAlberta Kidney Disease Network(AKDN)の検討で示された。糖尿病の冠動脈イベントのリスクは心筋梗塞の既往歴に匹敵すると考えられている。慢性腎臓病(CKD)も冠動脈イベントのリスクが高い(とくに蛋白尿がみられる場合)とされるが、CKDによる冠動脈イベントのリスク等価性を糖尿病と比較した試験はなかったという。Lancet誌2012年9月1日号(オンライン版2012年6月19日号)掲載の報告。CKDと糖尿病の冠動脈イベントリスクをコホート試験で比較AKDNの研究グループは、CKDおよび糖尿病における冠動脈イベントのリスクを評価する地域住民ベースのコホート試験を実施した。AKDNデータベースを用い、2002~2009年に推算糸球体濾過量(eGFR)と蛋白尿の測定を受けた18歳以上の住民を選出した。1994~2009年の入院および医療費請求データに基づくアルゴリズムにより、被験者をベースラインの心筋梗塞の既往歴の有無で分類し、フォローアップ期間中に心筋梗塞で入院した患者を同定した。ベースラインのCKDの定義はeGFR 15~59.9mL/分/1.73m2(ステージ3あるいは4)とした。蛋白尿は尿試験紙またはアルブミン/クレアチニン比で評価した。糖尿病はHbA1c>6.5%の場合とした。心筋梗塞既往歴あり群には糖尿病、CKDの患者も含まれた(A群)。心筋梗塞既往歴なしの群は、さらに4つの群[糖尿病とCKDを有する群(B群)、CKDのみの群(C群)、糖尿病のみの群(D群)、糖尿病もCKDもない群(E群)]に分けた。ポアソン回帰分析を用いて、5つの群におけるフォローアップ期間中の心筋梗塞の未調整発生率および相対リスクを算出した。最も高リスク患者のリストにCKDを加えるべき126万8,029人が解析の対象となった。A群が1万2,960人(平均年齢66.1歳、女性26.8%、糖尿病30.1%、CKD 27.8%)、B群が1万5,368人(平均年齢72.7歳、女性53.8%)、C群が5万9,117人(同:71.8歳、59.8%)、D群が7万5,871人(同:56.2歳、46.0%)、E群は110万4,713人(同:44.6歳、55.2%)だった。フォローアップ期間中央値48ヵ月の時点で、1万1,340人(1%)が心筋梗塞で入院し、4万7,712人(4%)が死亡した。心筋梗塞の未調整発生率はA群が最も高かった(18.5/1,000人・年、95%CI:17.4~19.8)。心筋梗塞既往歴のない群における心筋梗塞の発生率は、C群(糖尿病なしのCKD)が6.9/1,000人・年(95%CI:6.6~7.2)と、D群(CKDなしの糖尿病)の5.4/1,000人・年(95%CI:5.2~5.7)に比べ有意に高かった(p

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変形性関節症の関連遺伝子座を同定:arcOGEN試験

 変形性関節症と強い関連を示す5つの遺伝子座の存在が、英国・Wellcome Trust Sanger InstituteのEleftheria Zeggini氏らarcOGEN Consortium and arcOGEN Collaboratorsの検討で明らかとなった。変形性関節症は世界的に最も高頻度にみられる関節炎で、高齢者における痛みや身体障害の主要原因であり、その医療経済的な負担は肥満の増加や加齢に比例して増大する。変形性関節症には強力な遺伝要因がみられるが、以前に行われた遺伝子解析はサンプル数が少なく、表現型の不均一性のためその限界が指摘されていた。Lancet誌2012年9月1日号(オンライン版2012年7月3日号)掲載の報告。関連遺伝子領域を重症患者のゲノムワイド関連研究で探索arcOGEN(Arthritis Research UK Osteoarthritis Genetics)試験は、レトロスペクティブおよびプロスペクティブに選出された非血縁の重症変形性関節症患者7,410人(80%が関節全置換術施行例、非血縁対照1万1,009人)を対象に、英国で実施された大規模な症例対照ゲノムワイド関連研究(GWAS)。arcOGEN試験の結果をdiscovery dataとし、アイスランド(deCODE試験)、エストニア(EGCUT試験)、オランダ(GARP試験、RSI試験、RSII試験)、英国(TwinsUK試験)から収集した最大7,473人の非血縁患者と4万2,938人の対照において、最も関連性が高いと考えられる遺伝子領域の同定を目的に再現性の検討を行った(replication data)。さらに、discovery dataとreplication dataのメタ解析を実施した。すべての患者と対照が欧州の家系だった。治療介入に適したシグナル伝達経路の同定の可能性も変形性関節症との有意な関連を示す5つの遺伝子座[二項検定:p≦5.0×10-8]と、これらよりも閾値がわずかに低い3つの遺伝子座を同定した。変形性関節症と最も強い関連を示したのは第3染色体のrs6976[オッズ比:1.12、95%CI:1.08~1.16、p=7.24×10-11]で、rs11177との完全な連鎖不平衡が確認された。このSNPには、ヌクレオステミンのコード遺伝子であるGNL3(Guanine Nucleotide-binding protein-Like 3)内のミスセンス多型がコードされ、ヌクレオステミンは変形性関節症患者の軟骨細胞で高度に発現していた。そのほか、第9染色体のASTN2近傍、第6染色体のFILIP1とSENP6の間、第12染色体のKLHDC5とPTHLHの近傍、第12染色体CHST11近傍の領域が、変形性関節症と有意な関連を示した。体重は変形性関節症の強力なリスク因子だが、体重調節に関与するFTO遺伝子内にも、変形性関節症と密接な関連を示す領域がみつかった。著者は、「これらの知見は、関節炎の遺伝子研究に本質的な洞察をもたらし、治療介入に適した新たな遺伝子シグナル伝達経路の同定に道を開くものだ」と結論づけている。

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喫煙+糖尿病はうつ病リスクを高めるのか?!

 喫煙している糖尿病患者は、心血管疾患を発症したり、若くして亡くなったり、細小血管合併症を伴う可能性のある高リスク群であるといわれている。Osme氏らは糖尿病患者におけるうつ症状や不安症状の有病率と喫煙との相関を明らかにするため検討を行った。Diabetol Metab Syndr誌オンライン版2012年8月21日号の報告。 対象は喫煙糖尿病患者(DS群)46例、非喫煙糖尿病患者(D群)46例、非糖尿病喫煙者(S群)46例。3群間でうつ症状や不安症状の有病率が異なるかどうかを評価し、最終的には、ニコチン依存が喫煙者の不安症状やうつ症状と関連しているかどうかを検証した。評価には、HADS(病院不安およびうつ尺度)、ファーガストロームテスト(ニコチン依存度判定テスト)を用いた。主な結果は以下のとおり。・DS群におけるうつ症状および不安症状の有病率はそれぞれ30.4%、50%であり、D群またはS群と比較し不安症状(p=0.072)、うつ症状(p=0.657)の割合に有意な差は認められなかった。・男性糖尿病患者では、喫煙者は非喫煙者と比較し不安症状の有病率が高かった(19.6% vs 2.9%、p=0.003)。・重度のニコチン依存症の有病率は、DS群で39.1%、S群で37.1%であった(p=0.999)。・ファーガストロームテストスコアと、不安スコア(p=0.726)、うつスコア(p=0.345)との間に有意な相関は認められなかった。関連医療ニュース ・自殺予防に期待!知っておきたいメンタルヘルスプログラム ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける?

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(17)〕 200万人を超える観察研究をどう解釈するか

200万人以上を解析した観察研究のメタ分析である。日本人の研究も含まれている。200万人という大規模をどう評価すればいいのか。 大規模な検討には、一般的に統計学的な差を見逃すことは少ないかわりに、臨床的に無意味な差を取り出しやすいという欠点もある。そういう点でこの研究をみるとどうなのか。 交代勤務は心筋梗塞の危険を1.23倍にし、信頼区間は1.15~1.31と報告されている。心筋梗塞の危険を少なめに見積もっても1.15、15%危険が増加する。交代勤務で働いている人の絶対数の多さを考えれば、少なく見積もっても重大な差と言えるだろう。 また、このメタ分析では様々な解析が行われていて、どの解析に注目すればよいか分かりにくい面があるが、ランダム効果モデルを用いた多変量解析の結果だけをみればいいだろう。この解析が一番有意差が出にくく、この解析で有意差が出ていれば、他の解析もほぼ同様な結果になっているからだ。

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ダニ媒介の新種のフレボウイルス、米国で特定

 米国・ミズーリ州北部で発生した重症熱性疾患は、ダニを媒介として人へと感染した、新種のウイルスによるものであることが特定されたと、米国CDCのLaura K. McMullanらが報告した。このウイルスを「ハートランドウイルス(Heartland virus)」と命名したという。NEJM誌2012年8月30日号の短信報告より。血清、PCR、培養で特定できず、電子顕微鏡検査にてブニヤウイルス科のウイルスと確認発生の報告は2009年初期で、男性2人が発熱、倦怠感、下痢、血小板減少症と白血球減少症で医療施設に搬送されたことだった。2人は見ず知らずの他人であったが、両者とも症状発症5~7日前にダニにかまれていた点が共通していた。当初は、病原体としてEhrlichia chaffeensisが疑われたが、血清、PCR、培養においても特定できず、電子顕微鏡検査にてブニヤウイルス科に属するウイルスであることが確認された。研究グループは、その後の次世代シーケンサーと系統発生学的分析から、このウイルスをフレボウイルス属の新種と特定した。フレボウイルス属には抗原が異なる70種以上のウイルスがあるが、大きくスナバエ、蚊、ダニが媒介するタイプに分類される。このうちスナバエを媒介としたフレボウイルスは、アメリカ、アジア、アフリカ、地中海沿岸部で広く特定されていたが、ダニが媒介となりヒトへと感染し血小板減少症候群を伴う重度発熱(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome:SFTS)を発症したことが特定されたフレボウイルスは、2009年に中国中・北東部で特定された報告例が唯一だという。「ハートランドウイルス」と命名研究グループの今回の調査では、ダニから新規ウイルスは分離できず、患者に付着していたダニは入手できなかったなどいわゆる「コッホの原則」は不完全であったが、「患者の臨床症状からアメリカにおける新種のフレボウイルスであると信じるに足りる」と報告した。そして、「ハートランドウイルス」と命名したたこの新種のウイルスに関して、人から人へ感染する可能性があるのかも含め、発生率、疾患重症度や詳しい臨床経過が明らかではないが、媒介の可能性が高い背中の1つ星模様が特徴のダニA. americanumがミズーリ州中南部に多く存在し、北大西洋に面するメイン州まで生息が確認されていることなどを踏まえて、現在認められるよりも発生が広がっている可能性を指摘。「この新種のウイルスの疾患負荷、感染のリスク、自然宿主を特定する疫学的および生態学的研究が必要だ」と報告をまとめている。

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統合失調症患者における持効性注射剤:80文献レビュー

 非定型抗精神病薬の持効性注射剤(LAI)は、統合失調症患者の寛解率や予後に好影響を与えることが期待されている。現在のガイドラインにおいて、抗精神病薬の使用に関する経口およびLAIに対する明確な基準が示唆されている。Rossi氏らはLAIの治療を受けた統合失調症患者における人口統計学的・臨床的特徴の典型的なプロファイルを明らかにするため、非ランダム化研究の分析による系統的レビューを行った。BMC Psychiatry誌オンライン版2012年8月21日号の報告。 英語による非ランダム化研究80文献を抽出し、LAI選択に関連する要因や日々のLAI使用に関する分析を行った。非ランダム化研究にはコクランの系統的レビューを用い、人口動態および臨床的特徴を含む変数を用いて分析を行った。入手可能であった文献は、LAIによる治療を行った統合失調症患者の典型的なプロファイルを識別するにあたり、いずれの統計的分析も考慮せず使用することができた。主な結果は以下のとおり。・LAI使用率は4.8%~66%であった。・一貫した評価が可能であった人口統計学的特徴は、年齢(1970年代:38.5歳、1980年代:35.8歳、1990年代:39.3歳、2000年代39.5歳)、性別(男性>女性)であった。・有効性はさまざまな症状スケールと他の間接的な測定法を用いて評価し、安全性は錐体外路症状と抗コリン薬の使用により評価したが、これらのデータは整合性がなく、プール不可能であった。・別の研究で得られた有効性と安全性の結果によると、LAI使用のメリットとして入院が74%減少したと報告されている。またLAI使用による錐体外路症状発現は6ヵ月(35.4%)、8ヵ月(37.1%)、18ヵ月(36.9%)、24ヵ月(41.3%)で一貫して増加した。 最後にRossi氏らは「統合失調症患者に対するLAI使用は、良好な有効性および安全性が期待できることに加え、アドヒアランスの向上が期待できる」という。しかしそれにも増して重要なこととして「最適な治療を行うためには、医療スタッフ、患者、家族が協力する体制(治療同盟)を作ることが何よりも重要であり、LAIのプロファイルが治療同盟構築に寄与する可能性がある」と述べている。関連医療ニュース ・デポ剤使用で寛解率が向上!? ・統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか? ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(16)〕 早期介入の効果:真実は中庸にあり

初期認知症の患者に対する社会心理的介入は大変有意義であり、社会的にも注目されている。この報告を見て、なんだか釈然としない結果だな、認知症なら「認知機能の回復」をアウトカムにしてガツンと結果が出ないのか…と思われる方も多いかと思う。しかし専門外来をしている者としては、現時点では認知機能の回復では有意な結果はおそらく出ないため、本論文は臨床的には妥当な結果であると考える。 早期介入による認知機能の改善、さらに言えばアルツハイマーの神経病理の進行の予防は残念ながら現時点では困難が大きい。考えてみれば、コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジルなど)も根本治療薬つまりdisease-modifying drugではなく、内服中も病理の進行は粛々と進んでいるというのが定説である。よって、社会心理的介入では厳しいことは容易に想像がつく。 しかしながら、「施設入所」などをアウトカムにとった場合は早期介入の効果がより明確である。本論文の参考文献でいくつか登場するMittelmanらは、配偶者への濃密な心理的サポートにより施設入所のハザード比が0.72に低下し、施設入所までの日数は557日伸ばせる、と報告している。(Neurology.2006 ;67:1592-1599.)さらに、介護者のうつが軽快することも示している。(ただし、この論文自体は本論文の参考文献に挙げられていない) 認知症においては介入や治療に関して、患者の家族の中には「きちんと治療すれば絶対に治る(治せる)」あるいは「医学が何をやっても何も変わらない」という両極端の意見がしばしば見られ、一般向けの書籍などもどちらかの立場が多い(そして、後者を主張する本などは利潤目的の民間療法へ誘導することが多い)。 しかし、現時点での真実は中庸にある。つまり、早期から標準的な介入や治療を受けていれば、進行を止められると確約はできないが、患者や家族をうつにしないようにすることや、なるべく長く住み慣れた地域で暮らすことなどに関してはかなりお手伝いできますよ、というところである。この論文は、そういった当たり前のことを思い出させてくれる論文である。

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第6回 過失相殺:患者の過失はどこまで相殺できるか?

■今回のテーマのポイント1.医療従事者に過失があったとしても、患者自身の行為にも問題があり、その結果損害が生じた場合、または損害が拡大した場合には、過失相殺が適用され損害賠償額が減額される2.「法的な」療養指導義務の内容は、明確に示される必要がある3.されど、医療従事者には職業倫理上、「真摯(しんし)かつ丁寧な」説明、指導をする義務がある事件の概要患者(X)(72歳女性)は、2日前から左上下肢に脱力感があったため、平成13年5月7日にA病院を受診し、脳梗塞との診断にて、入院となりました。ただ、Xは、意識清明で、麻痺の程度も、MMT(徒手筋力テスト)上、左上下肢ともに“4”であり、独歩も可能でした。担当看護師は、入院時オリエンテーションを実施した際、転倒等による外傷の危険性があることを話し、トイレに行くときは必ずナースコールで看護師を呼ぶように注意しました。ところが、Xは、トイレに行く際、最初はナースコールを押していたものの、次第にナースコールをせずに一人でトイレに行くようになり、夜勤の担当看護師であるYが一人でトイレから帰るXを何回か目撃しました。Yは、その都度、トイレに行くときにはナースコールを押すよう指導しました。同月8日午前6時ごろ、Yが定時の見回りでXの病室に赴いたところ、Xがトイレに行くというのでトイレまで同行しましたが、トイレの前でXから「一人で帰れる。大丈夫」といわれたので、Yはトイレの前で別れ、別の患者の介護に向かいました。しかし、午前6時半頃、Yが定時の見回りでXの病室に赴いたところ、Xがベッドの脇で意識を消失し、倒れていました。Xは、急性硬膜下血腫にて緊急手術を行うも、意識が回復することなく、同月12日(入院6日目)に死亡しました。原審では、看護師Yに付き添いを怠った過失を認めつつも、当該過失とXの転倒に因果関係が認められないとして、Xの遺族の請求を棄却しました。これに対し、東京高裁は、看護師Yの不法行為の成立を認め、下記の通り判示しました。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過患者(X)(72歳女性)は、平成13年5月5日頃より左上下肢に脱力感が出現し、何とか家事はできたものの、体調がすぐれず、同月7日にA病院を受診しました。頭部CTを施行したところ、麻痺と一致する箇所に梗塞巣を認めたため、脳梗塞と診断されました。ただ、Xは、意識清明で、麻痺の程度も、MMT(徒手筋力テスト)上、左上下肢ともに“4”であり、独歩も可能であったことから、リハビリテーション目的にて14日の予定で同日入院となりました。担当看護師は、入院時オリエンテーションを実施した際、転倒等による外傷の危険性があることを話し、トイレに行くときは必ずナースコールで看護師を呼ぶように注意しました。A病院は2交代制を採っており、夜勤では、Xが入院したA病院2階の患者(約24名)を正看護師2名と准看護師2名の計4名で担当していました。同日の夜勤帯でXを担当する看護師Yは、同日午後6時、定時の見回りの際、「Xがトイレに行きたい」というので、病室から約15m離れたトイレに連れて行きました。午後7時、8日午前1時にもXよりナースコールがあったので、同様にYは、トイレまでの付添いをしました。しかし、午前3時にYが定時の見回りを行う際、Xが自力で歩行し、トイレから戻るところを発見しました。Yは、Xに対し、今後トイレに行くときにはナースコールを押すよう指導し、病室まで付き添いました。ところが、午前5時にもXが、トイレの前を自力歩行しているところをYは発見したため、同様の指導をしましたが、Xは「一人で何回か行っているので大丈夫」と答えました。午前6時頃、Yが定時の見回りでXの病室を訪れたところ、Xは起き上がろうとしており、トイレに行きたいといったため、Yは、トイレまで同行(直接介助はしていない)しました。そして、トイレの前でXから「一人で帰れる。大丈夫」といわれたため、Yは、Xとトイレの前で別れ、他の患者の介護に向いました。その後、午前6時半頃、Yが定時の見回りでXの病室を訪れたところ、Xがベッドの脇に倒れ、意識を消失しているのを発見しました。医師の指示で頭部CTを施行したところ、急性硬膜下血腫と診断され、同日緊急手術を行ったものの、同月12日(入院6日目)に死亡しました。事件の判決原審では、午前6時にXがトイレから帰室する際にYが付き添わなかったことに過失があるとしたものの、Xがいつ転倒したかは不明であり、当該帰室時に転倒したと認めることには、なお合理的な疑いがあるとして因果関係を否定しましたが、本判決では、因果関係を肯定し、Yの不法行為の成立を認めたうえで、下記のように判示し、過失相殺を適用して、損害額の8割を控除し、約470万円の損害賠償責任を認めました。「Xは、多発性脳梗塞により左上下肢に麻痺が認められ、医師及び看護師から、転倒等の危険性があるのでトイレに行く時は必ずナースコールで看護師を呼ぶよう再三指導されていたにもかかわらず、遅くとも平成13年5月8日の午前3時以降、その指導に従わずに何回か一人でトイレに行き来していた上、午前6時ころには、同行したY看護師に「一人で帰れる。大丈夫」といって付添いを断り、その後もナースコールはしなかったものであり、その結果、本件の転倒事故が発生して死亡するに至ったものである。Xがナースコールしなかった理由として、看護師への遠慮あるいは歩行能力の過信等も考えられるが、いずれにしてもナースコールをして看護師を呼ばない限り、看護師としては付き添うことはできない。Xは、老齢とはいえ、意識は清明であり、入院直前までは家族の中心ともいえる存在であったのであり、A病院の診断により多発性脳梗塞と診断され、医師らから転倒の危険性があることの説明を受けていたのであるから、自らも看護婦の介助、付添いによってのみ歩行するように心がけることが期待されていたというべきである。高齢者には、特に麻痺がある場合に限らず転倒事故が多いとされているが、こうした危険防止の具体策としては、まず、老人本人への指導・対応があげられている。・・・以上のほか、本件に顕れた一切の事情を勘案すると、被控訴人は損害額の2割の限度で損害賠償責任を負うものとするのが相当である」(東京高判平成15年9月29日判時1843号69頁)ポイント解説前回は、患者の疾病が損害発生(死亡等)に寄与していた場合、法的にどのように扱われるかについて説明しました。今回は、患者が医療従事者の指導に背く等患者の行為が損害の発生に寄与していた場合の法的取り扱いについて解説します。民法722条2項※1は過失相殺を定めております。すなわち、仮に不法行為が成立(加害者に過失が認められる等)した場合であっても、被害者にも結果発生または損害の拡大に対し因果関係を有する過失が存在した場合には、具体的な公平性をはかるために、それを斟酌して紛争の解決をはかることとなります。例えば、交通事故において、加害者にスピード超過の過失があったとしても、被害者にも信号無視という過失があった場合には、過失相殺を行い、被害者に生じた損害額の何割かを減額することとなります(図1)。したがって、医療者に不法行為責任が成立したとしても、患者にも問題行動があった場合には、過失相殺がなされ、損害額が減額されることとなります。人間は聖人君子ではありませんので、「わかってはいるけど」患者が医師の指示に従わないことが時々見られます。また、いわゆる問題患者もいます。しかし、交通事故と異なるのは、医師には患者に対する「療養指導義務」があり、医療機関には入院患者等院内にいる患者に対しては、転倒防止や入浴での事故を防止する等の「安全配慮義務」があることです。つまり、患者がしかるべき行動をとっていなかったとしても、それすなわち患者の過失となるのではなく、医師の療養指導義務や医療機関の安全配慮義務違反となることもあり得るのです。また、その一方で、あまりにも患者の行動に問題が強い場合には、「療養指導義務を尽くした(過失無)」または、「もはや医師が療養指導義務を尽くしても結果が発生していた」すなわち、因果関係がないということで不法行為責任が成立しないこともあります(図2~4)。図1画像を拡大する図2画像を拡大する図3画像を拡大する図4画像を拡大する本判決では、脳梗塞にて入院した日の深夜~早朝に付き添いをしなかった看護師に過失はあるものの、意識が清明な患者に対し、繰り返し指導していたにもかかわらず、独歩したことにも過失があるとして、看護師に不法行為の成立を認めた上で、過失相殺を適用し、2割の限度で看護師に賠償責任を負わせました(8割減額)。本事例以外で過失相殺に関する事例としては、(1)患者が頑なに腰椎穿刺検査の実施を拒絶したため、くも膜下出血の診断ができず死亡した事例においては、医師の検査に対する説明が足りなかったこと等を理由に過失相殺を適用しなかった判例(名古屋高判平成14年10月31日判タ1153号231頁)(2)帯状疱疹の患者に対し、持続硬膜外麻酔を行っていたところ、患者が外出時にカテーテル刺入部の被覆がはがれているにもかかわらず、医師の指示に反し、炎天下の中、肉体労働を行った結果、硬膜外膿瘍となった事例においては、医師の指導が十分ではなかったとして過失を認めつつも、患者にも自己管理に過失があるとして3割の過失相殺を認めた判例(高松地判平成8年4月22日判タ939号217頁)(3)アルコール性肝炎の患者が、医師の指導に従わず、通院も断続的で、飲酒を継続した結果、食道静脈瘤破裂及び肝硬変にて死亡した事例においては、医師の過失を認めつつも、8割の過失相殺を認めた判例(神戸地判平成6年3月24日判タ875号233頁)等があります。かつては、医師と患者の関係は、パターナリスティックな関係として捉えられていたこともあり、裁判所も患者の過失ある行動について、積極的に過失相殺を行ってきませんでした。しかし、インフォームド・コンセントの重要性が高まった現在、その当然の帰結として、医師から療養指導上の説明を受けた以上、その後、それに反する行動をとることは自己責任の問題であり、医師に「更なる(しばしば「真摯な」と表現される)」療養指導義務が課されることはないということになりますし、仮に医師に療養指導上の義務違反があったとしても、患者の行動に問題がある場合には、積極的に過失相殺を行うべきということとなります。医療従事者は、この結論に違和感を覚えるものと思われます。しかし、法的な理論構成だけでなく、法というツールを用いてインフォームド・コンセントや療養指導義務等を取り扱う場合には、誰から見ても明確な基準を持つことが必須となります。この10数年における萎縮医療・医療崩壊に司法が強く関与していることは、皆さんご存知の通りです。萎縮医療の原因は、一つには国際的にも異常なほど刑事責任を追及したことがあり、もう一つには、判例が変遷する上に、医療現場に不可能を強いるような基準で違法と断罪したことがあります。その結果、医療従事者が、目の前の患者に診療を行おうとするときに自らの行為が適法か違法かの判断ができないため、「疑わしきは回避」となり、萎縮医療、医療崩壊が生じたのです。法は万能のツールではありません。そればかりか、誤って使用すれば害悪となることは、歴史的にも、この10年をみれば明らかです。特に、すぐ後ろに刑事司法が控えているわが国においては、自らの行為が適法か違法か予見できることは必須といえます。したがって、あくまで「法的」に取り扱う場合においては、説明義務、療養指導義務の内容は「○○である」と明確に列挙されているべきであり、「そのことさえ患者に説明すれば後になってから違法と誹られることはない」ということが最も重要となるのです。そのうえで、医療従事者の職業倫理上の義務として、患者がしっかり理解できるまで懇切丁寧に、真摯に説明することが求められるのであり、この領域における不足は、あくまで、プロフェッション内における教育や自浄能力によって解決すべき問題であり、司法が介入するべき問題ではないのです。 ※1民法722条2項 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます(出現順)。なお本件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。リンクのある事件のみご覧いただけます。東京高等裁判所平成15年9月29日判時1843号69頁名古屋高判平成14年10月31日判タ1153号231頁高松地判平成8年4月22日判タ939号217頁神戸地判平成6年3月24日判タ875号233頁

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診断時に過体重だったほうが生存率が高い?!-びまん性大細胞型B細胞リンパ腫におけるレトロスペクティブ研究

 肥満は、非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む多くの悪性腫瘍による死亡リスクを増加させる。しかし、NHLのなかで最も多い「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」(DLBCL)において、診断時のbody mass index(BMI)と生存率との関連は不明である。 今回、ワシントン大学のKenneth R. Carson氏らは、米国退役軍人におけるレトロスペクティブ・コホート研究により、DLBCL診断時に過体重や肥満であった患者のほうが正常体重の患者より死亡率が低かったと報告した。Journal of Clinical Oncology誌2012年9月10日号に掲載。 著者らは、1998年10月1日から2008年12月31日までにDLBCLと診断された米国退役軍人2,534例について、診断時のBMIと全生存率との関連を評価した。なお、Coxモデルを用いて患者や疾患関連の予後因子の調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・診断時の平均年齢は68歳(範囲:20~100歳)であった。・患者の64%が過体重(BMI:25以上30未満)もしくは肥満(BMI:30以上)であった。・肥満患者は、他のBMIのグループと比較して、年齢は有意に若く、B症状は有意に少なく、Stageは低い傾向があった。・Cox分析によると、正常体重の患者(BMI:18.5以上25未満)と比較して、過体重や肥満患者では死亡率が低かった(過体重:ハザード比[HR] 0.73、95%信頼区間[CI] 0.65~0.83、肥満:HR 0.68、95%CI 0.58~0.80)。・“リツキシマブ時代”(2002年2月1日以降)に死亡リスクは減少した。しかしながら、この減少はBMIと生存率との関連性には影響しなかった。・患者の29%で疾患関連の体重減少がみられた(診断前1年間の体重データより)。

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自殺予防に期待!知っておきたいメンタルヘルスプログラム

近年、医療サービス統合への重要度が増している。そのような中、プライマリケア医による自殺予防への関わりも重要になっている。こころとからだの質問票(PHQ-9)は、プライマリケアに基づくメンタルヘルスプログラムであり、患者の特徴、管理およびうつ病アウトカムを評価することが可能であると言われている。ワシントン大学 Bauer氏らは患者レジストリーから得られたデータの観察分析を行い、PHQ-9の有用性を検証した。J Gen Intern Med誌オンライン版2012年8月31日号の報告。 対象は、ワシントン州全体の100以上の地域保健センターでメンタルヘルス統合プログラム(MHIP)に参加した11,015名。自殺念慮の独立変数はPHQ-9の9項目により評価し、うつ病の重症度はPHQ-8により評価した。評価項目には、うつ病治療プロセスの4つの指標(ケアマネージャーの介入、精神症状レビュー、向精神病薬、専門医への紹介)、2つのうつ病の指標(PHQ-9スコア50%減少、PHQ-スコア10未満)が用いられた。主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に自殺念慮を示した割合は45.2%であり、男性であること、および精神症状の重症度と有意に高い関係を示した。・自殺念慮を示した患者のうち5.4%は、現在の抑うつ症状が乏しかった。・年齢、性別、精神病理の重症度で調整後、自殺念慮を示した患者は、より早期のフォローアップを受けており[ ケアマネージャーの介入:HR=1.05(p

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抗がん剤Halaven、オーストラリアで承認取得

 エーザイ株式会社は7日、オーストラリアにおける医薬品販売会社「エーザイ・オーストラリア・プライベート・リミテッド」が、抗がん剤「Halaven(一般名:エリブリンメシル酸塩)」について、「アントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤を含む少なくとも2種のがん化学療法による前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん」に係る効能・効果でオーストラリア保健・高齢化省(Department of Health and Aging)の承認を取得したと発表した。 Halavenは、同社が自社創製・開発した新規抗がん剤であり、前治療歴のある進行又は再発乳がんを対象とした臨床第III相試験(EMBRACE試験)において、単剤で統計学的に有意に全生存期間を延長した世界で初めてのがん化学療法剤である。現在、今回のオーストラリアでの承認を含めて世界39カ国で承認を取得している。 今回の承認によって、オーストラリアにおいてもアンメット・メディカル・ニーズの高い後期転移性乳がんの患者がこの革新的な治療薬にアクセスすることが可能となるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.eisai.co.jp/news/news201260.html

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(15)〕 軍配はあがった、DES対BMSの大一番、STEMIの土俵で!

急性冠症候群の代表的な病態であるST上昇型心筋梗塞(STEMI)で再開通療法時に使用するステントに関して、ベアメタルステント(BMS)を使用するか薬剤溶出性ステント(DES)を使用するかについては議論が続いている。 今回、この領域に大きなエビデンスが登場した。それが、今回のCOMFORTABLE AMI試験と名付けられた研究である。バイオリムス溶出性ステント(BES)を用いた場合に、BMSを用いた場合と比べて、標的血管に関連する再梗塞などの複合イベント発生率がおよそ半減することが報告されている。 この報告とほぼ時を同じくして、STEMI患者においてエベロリムス溶出性ステント(EES)を用いてBMSに対する優位性を示したEXAMINATION試験の結果もLancet誌2012年9月3日オンライン版に掲載された(Sabate M et al. Lancet. 2012; 380: 1482-1490.)。このように質の高い無作為比較試験の結果が一貫性をもって報告されたことから、今後も国内においても、STEMIにDESを用いる施設が増えるのではないかと思われる。 だが、このCOMFORTABLE AMI試験ですべての疑問が解決したわけではない。本研究の追跡期間は1年間であり、1年以降のvery late stent thrombosis(VLST)については、ほとんど評価できていない。またCOMFORTABLE AMI試験で用いられたBESの特長は、薬剤が血管壁側にのみ溶出すること、ポリマーが生体吸収性でほぼ1年で消失することである。この観察期間では、それらの特長が活かされた結果とは考えにくい。本来の効果を知るには、より長期的な観察結果が待たれる。本邦においても、BESとBMS間で約1,400人のSTEMI患者を対象とする無作為比較試験であるNAUSICA AMI試験が、現在患者登録進行中である。日本人でのエビデンスの確立にも期待される。 COMFORTABLE AMI試験やEXAMINATION試験は、いずれもBMSに対する個々のDES優位性を示したものであり、DES間の明確な比較試験はない。新世代のDESの中での選択基準についてもエビデンスは不足している。

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