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早産児の有害転帰を増加することなく未熟児網膜症を最小限とするには、どれぐらいの酸素投与が適しているのか? 米国のSUPPORT Study Group of the Eunice Kennedy Shriver NICHD Neonatal Research Networkが、超早産児1,316例を対象に行った多施設共同無作為化試験の結果をNEJM誌2010年5月27日号(オンライン版2010年5月16日号)で報告している。これまでの研究で、未熟児網膜症発症率の低下と目標酸素飽和度低値との関連は明らかになっているが、有害転帰と酸素飽和度の関連については明らかでなかった。1,316例を、「85~89%」群、「91~95%」群に無作為化し転帰を比較本研究は、超早産児に対する早期CPAP(持続陽圧呼吸療法)と早期サーファクタント療法を比較する研究の一部として検討された。研究グループは、在胎24週0日~27週6日で生まれた超早産児1,316例を対象に、2×2多施設共同無作為化試験を行った。対象児は、CPAP群かサーファクタント投与群に無作為化後、それぞれ酸素飽和度目標範囲「85~89%」群か、「91~95%」群に割り付けられ転帰が比較された。解析された超早産児数は、低酸素飽和度の「85~89%」群は654例、高酸素飽和度の「91~95%」群が662例。各群の基線特性は同様だった。主要転帰は、重症未熟児網膜症(閾値に達する網膜症が存在し外科的手術を要する、あるいはベバシズマブ*使用)、退院前死亡の複合転帰とした。*商品名:アバスチン(保険適応はない)低酸素飽和度群は、未熟児網膜症発症率は半減するも、死亡児が3割増主要複合転帰(重症未熟児網膜症・退院前死亡)について、「85~89%」群28.3%、「91~95%」群32.1%、相対リスク0.90(95%信頼区間:0.76~1.06、P=0.21)で、両群間に有意差は認められなかった。しかし転帰を個別にみると、退院前死亡の頻度は「85~89%」群の方が高かった。死亡発生は19.9%対16.2%、相対リスクは1.27(95%信頼区間:1.01~1.60、P=0.04)。一方で、重症未熟児網膜症の頻度は、「91~95%」群の方が倍近く高かった。発症率は、8.6%対17.9%、相対リスクは0.52(0.37~0.73、P