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小腸用カプセル内視鏡は胃食道病変も見つけられるのか?

 小腸用カプセル内視鏡検査(CE)は、門脈圧亢進症における小腸病変のスクリーニングだけでなく、F2/F3およびLs/Lmの食道静脈瘤、胃体部の門脈圧亢進症性胃症の診断においても信頼性が高いことが、広島大学大学院 消化器・代謝内科の青山 大輝氏らによる研究で明らかになった。Journal of gastroenterology and hepatology誌オンライン版2013年8月23日号の報告。 門脈圧亢進症における小腸病変のスクリーニングに対するCEの有効性が、いくつか報告されている。しかし、胃食道病変のスクリーニングに対する有効性を検討した報告は少ない。そこで、本研究では、CEが門脈圧亢進症における胃食道病変の検出に有用であるかどうかを評価した。 対象は門脈圧亢進症患者119例。全例、食道胃十二指腸内視鏡検査を受けた上でCEを行い、門脈圧亢進症の合併症である食道静脈瘤、胃静脈瘤、門脈圧亢進症性胃症の診断率を評価した。また、静脈瘤の形態、占拠部位、重症度、門脈圧亢進症性胃症の範囲ごとに診断率を評価した。 主な結果は以下のとおり。 <食道静脈瘤>・食道胃十二指腸内視鏡検査により食道静脈瘤と診断されたのは、71例であった。そのうち、CEでも食道静脈瘤と診断できたのは72%(71例中51例)であった。・CEによる食道静脈瘤の形態別の診断率は、F1(直線的で細い)よりもF2(連珠状で中等度)/F3(結節状あるいは腫瘤状)で有意に高かった(87% vs 61%、p=0.03)。・CEによる食道静脈瘤の占拠部位別の診断率は、Li(下部)よりもLs(上部)/ Lm(中部)で有意に高かった(85% vs 55%、p=0.01)。<胃静脈瘤>・食道胃十二指腸内視鏡検査により胃静脈瘤と診断されたのは、29例であった。そのうちCEでも胃静脈瘤と診断できたのはわずか1例であった(29例中1例)。<門脈圧亢進症性胃症>・食道胃十二指腸内視鏡検査により門脈圧亢進症性胃症と診断されたのは35例であった。そのうち、CEでも門脈圧亢進症性胃症と診断できたのは69%(35例中24例)であった。・門脈圧亢進症性胃症の診断率は、重症群と軽症群で有意な差を認めなかった(重症群82% vs 軽症群 63%、p=0.44)。・CEによる門脈圧亢進症性胃症の占拠部位別の診断率は、胃底部よりも胃体部で有意に高かった(胃体部100% vs 胃底部48%、p=0.0009)。 以上の結果より、CEは、門脈圧亢進症におけるF2/F3および上部/中部の食道静脈瘤、胃体部の門脈圧亢進症性胃症の診断において信頼性が高いことが明らかになった。

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空腹時に食料品を買うとカロリーが高くなってしまう【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第2回

空腹時に食料品を買うとカロリーが高くなってしまうおなかぺこぺこの状態でコンビニに行くと、ついついスナック菓子やアイスクリームに手が伸びてしまう・・・なんていう経験はありませんか? 私はグミをこよなく愛しており、とくにドイツの有名グミメーカーのグミは、少し空腹であれば躊躇なく購入します。そんな「ついつい」を医学的に検証した論文があります。最近の報告なのでご存じの方も多いかもしれません。Tal A, et al.Fattening fasting: hungry grocery shoppers buy more calories, not more food.JAMA Intern Med. 2013 Jun 24;173(12):1146-8.5時間空腹を維持した状態で68人(71%が女性)の参加者に対して、昼12時から夕方5時までこの試験に参加してもらいました。半数の参加者にはビスケット類を食べてもらい少なくとも空腹ではない状態になってもらい、残りの半数は空腹のままで試験に臨みました。試験の内容は、オンラインの食料品店で値段を見せずに食料品を購入するというシンプルなものでした(もちろん商品を無料で進呈するというわけではなかったみたいですが)。その結果、空腹だった人は高カロリーの商品をたくさん購入するという結果になりました(p=0.05)。低カロリーの商品については両群ともに差はみられませんでした(p=0.5)。この短報には、もう1つのフォローアップ試験の結果が報告されています。その試験は、空腹であろう時間帯(午後4時~7時)と空腹ではない時間帯(午後1時~4時)の2つの時間帯で、オンラインではない実際の食料品店で行われました。その結果、空腹の時間帯に購入した人は、空腹ではない時間帯に購入した人と比較して、全体の購入物に対する低カロリー食品の比率が少ない(p=0.02)ことが明らかになりました。この研究は、空腹の状態で食料品を購入すると、どうしてもカロリーが高いものを買ってしまうということを示唆しています。当たり前といえば当たり前の結果なのかもしれません。少し掘り下げて考えると、生活習慣病や肥満の患者さんに対して、もしかすると“買い物に行く時間帯”というものが実は大きな影響を与える因子になるのかもしれませんね。私はこれを読んだ後、時間帯だけではなく一緒に行く人によっても大きく差が出るように思いました。それを見透かしたかのように、JAMAの編集後記としてRedberg医師はこう付け加えています。「空腹時だけでなく、小さな子どもと一緒に食料品を買いに行くのもやめたほうがいい――」

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造影剤投与直後のアナフィラキシーショックで死亡したケース

放射線科最終判決平成15年4月25日 東京地方裁判所 判決概要左耳前部から頸部の蜂窩織炎疑いで、大学病院を受診した39歳男性。腫瘍の可能性もあるということで、CT検査(単純・造影)が行われた。ところが、造影剤オプチレイ®320を注入直後にアナフィラキシーショックを起こし、ただちに救急蘇生が行われたが心拍は再開せず、約10時間後に死亡した。詳細な経過患者情報昭和36年7月28日生の男性経過平成12年4月29日喉の痛みがあり、近医診療所を休日受診して抗菌薬セファクロル(商品名: ケフラール)を処方される。5月1日大学病院内科を受診し、扁桃周囲膿瘍を指摘され、同院耳鼻科へ紹介受診となる。所見咽頭部発赤。口蓋扁桃は白苔、腫脹あり。頸部リンパ節触知。血液検査結果WBC 10,010(好中球70.3、リンパ球18.8、単球6.0、好酸球1.3、好塩基球0.9)、RbC 529万、Hb 15.1、Ht 47.5、CRP 8.3、総蛋白8.8g/dL急性扁桃炎の診断で、抗菌薬としてフロモキセフナトリウム(同: フルマリン)、クリンダマイシン(同: ダラシンS)の点滴静注を5日間行うとともに、経口抗菌薬セフポドキシムプロキセタル(同: バナン)、消炎鎮痛薬ロキソプロフェンナトリウム(同: ロキソニン)、胃炎・胃潰瘍薬レバミピド(同: ムコスタ)およびジクロフェナクナトリウム(同: ボルタレン)坐薬3コを処方。5月6日内服処方5日分(抗菌薬ファロムペネムナトリウム(同: ファロム)、ムコスタ®)、鎮痛薬頓用(ロキソニン®5錠)にていったん終診。平成12年8月22日左耳前部が腫れてくる。9月1日左耳前部の腫れで口が開けられなくなったため、大学病院内科をへて耳鼻科に紹介受診となる。所見発熱なし。鼻腔・口腔内に異常所見なし。左耳前部皮下組織全体が腫脹しているが、明らかな腫瘤なし。薬剤アレルギーなし。血液検査結果WBC 9,320(好中球45.1、リンパ球29.0、単球45.8、好酸球16.7、好塩基球1.4)、RbC 441万、Hb 13.3、Ht 39.1、plt 42.5万、CRP 0.3以下、総蛋白7.4、GOT 16、GpT 29、Na 141、K 4.9、Cl 106「蜂窩織炎疑い」と診断するが、ほかに膿瘍、腫瘍も疑われるため、9月5日のCT検査(単純・造影)を予約した。抗菌薬スパラフロキサシン(同: スパラ)を5日分処方。平成7年6月10日14:20放射線科CT検査室入室。14:23単純CT撮影。担当医師はモニターで左側頭部~下顎部皮下に索状の高吸収域所見を確認。炎症や腫瘍も否定できないと診断。14:30以下の問診を行う(ただし記録には残されていない)。医師:「大変情報量の多い検査となります。造影剤を使うにあたって、いくつかお尋ねします」患者:「はい、わかりました」医師:「今日は食事を抜いてきましたか?」患者:「抜いてきました」医師:「今まで造影剤を使う(注射をする)検査をしたことありますか?」患者:「ありません」医師:「今まで食べ物や薬で蕁麻疹などのアレルギーが出たり、気分が悪くなったりしたことありますか?蕁麻疹が出やすいということはないですか?花粉症があったり、喘息といわれたことはないですか?」患者:「ありません」14:40左腕の前腕から注射針を入れ、逆流を確認。造影剤のシリンジに延長チューブで接続。インジェクターのスイッチを操作し、ヨードテストもかねて少量の造影剤(非イオン性ヨード造影剤オプチレイ®320)を注入し、血管外漏出が無いこと、何ら変化が無いことを確認。医師:「これでとくに症状の変化がなかったら、今度は連続してお薬を入れていきます。お薬を入れていくと、体の中がポーっと熱くなってきます。これはお薬が全身にまわっている証拠で、誰でもそうなりますので心配ありません。もし、熱くなる以外に気持ち悪くなったり、胸が苦しくなったり、咳が出たり、鼻がムズムズしたりするようなことがあったら、すぐにいってください。マイクが付いていて、外に聞こえるようになっています」14:40造影剤注入開始。担当医師は50cc位注入するまで(約1分間)は傍につきそう。医師:「とくに変わりないですか?」患者:「変わりない」造影剤を70cc注入したところで(10~20秒)「頭が痛い」「気持ち悪い」と訴えたので、ただちにCT検査室に入り造影剤の注入を中止。会話ができることを確認し、容態の変化がないか観察しつつ、医師・看護師の応援を要請。フルクトラクト®点滴、ヒドロコルチゾン(同: ソル・コーテフ)1,000mg静注、まもなく呼び掛けても嘔吐をくり返し返答が鈍くなる。14:45自発呼吸低下、麻酔科医による気管内挿管(咽頭はやや蒼白で浮腫があり、声門は閉じていた)。心臓マッサージ開始。15:15除細動200J、1~2分後に300J。自己心拍は反応せず、瞳孔散大。15:45Iabp挿入。16:05ICUへ搬送し蘇生を継続。9月6日01:05死亡確認。当事者の主張検査前の問診について患者側(原告)の主張検査の適応有無を判断するための情報を得る重要な問診を怠ったことにより、検査の適応に関する必要な情報を得られず、その結果適応のない検査を行い死亡させた。病院側(被告)の主張検査前に、造影剤の使用経験がないこと、アレルギーを疑わせる既往歴がないことを問診できちんと確認した。造影剤投与を避けるべき事情の有無患者側(原告)の主張もともと患者には、造影剤慎重投与とされている花粉症、金属アレルギーの体質を有し、しかも血液検査で好酸球増多がみられたので、緊急性のない造影剤投与を避けるべきであった。しかも父親が造影剤による副作用で死亡したという家族歴からみて、父親の遺伝子を受け継いだ患者についてもヨード造影剤に過敏症があったはずであり、造影剤投与を避けるべきであった。病院側(被告)の主張患者には花粉症および金属アレルギーはない。好酸球増多の所見は確かにあるものの、アレルギー疾患であったとはいえない。そして、造影剤の医薬品添付文書には、花粉症、金属アレルギー、好酸球増多ともに、慎重投与の項目に挙げられていない。父親の死亡は、造影剤投与前に起きたため、造影剤によるアレルギー(アナフィラキシー)ではない。検査前の症状および所見からすれば腫瘍の可能性も否定できないため、造影剤を用いた検査は必要であり、造影剤の副作用が出現した場合には迅速かつ必要な処置ができる体制を整えたうえで検査を行った。救急処置が遅れたかどうか患者側(原告)の主張大学病院でありながらエピネフリンなどの救急薬剤の準備はなく、放射線医や麻酔医、看護師などにただちに応援を求めることができる連絡体制も不十分なまま検査を行った。そして、造影剤による副作用が現われた段階で、ただちに造影剤の注入を中止し、顔面浮腫、嘔吐などのショック症状がみられた時点でエピネフリンを投与し気道確保を行うべきなのに、対応が遅れたために死亡した。病院側(被告)の主張担当医師は造影剤が50mL位注入されるまで患者のそばにいて副作用の出現がないことを確認し、「頭が痛い」という訴えをもとに造影剤による副作用を疑って注入を中止している。この段階で患者の意識は清明で脈拍もしっかりしていた。その後応援医師、看護師も駆けつけ、嘔吐による気管内誤嚥を防ぐための体位をとり、輸液、ソル・コーテフ®1,000mgの静注を行った。その後自発呼吸の低下、脈拍微弱がみられたので、ただちに気管内挿管およびエピネフリンの気管内投与などを行い、救急蘇生としては必要にして十分であった。裁判所の判断検査前の問診について非イオン性ヨード造影剤にはショックなどの重篤な副作用が現れる場合もあること、副作用の発生機序が明らかではなく、副作用の確実な予知、予防法は確立されていないこと、他方で、ある素因を有する患者では副作用が発現しやすいことがある程度わかっており、問診によって患者のリスクファクターの有無を事前に把握することは、副作用発現を事前に回避し、または副作用発現に対応するために非常に重要な意味をもつ。そのため問診を行うにあたっては、問診の重要性を患者に十分に理解させたうえで、必要な事項について具体的かつ的確な応答を可能にするように適切な質問をする義務がある。担当医師は、CT検査室内において3~4分程度で、患者に対する必要にして十分な問診を行い、造影剤を注射したと供述する。しかし被告病院の外来カルテには、耳鼻咽喉科において問診を行い検査の適応があることを確認した旨の記載は一切なく、さらに耳鼻咽喉科から放射線科に対する「放射線診断依頼票」にもその旨の記載はない。また、担当医師が行ったとする問診、その結果などについても、まったく記録にとどめていない。つまり患者に問診の重要性を理解させ、必要な事項について具体的にかつ的確な応答を可能にする十分な問診を実施したのかは大いに疑問であるといわざるを得ない。したがって、検査前に問診をまったく行っていないという、重大な過失が認められる。造影剤投与を避けるべき事情の有無患者は平成11年8月25日、近医でアレルギー性鼻炎と診断をされ、薬を処方されている。また、歯科医院に診療を申し込む際の問診票に、自ら特異体質、アレルギーはないと記載した。患者が花粉症ないしアレルギー性鼻炎であるからといって、造影剤投与を避けるべきであるとは認められない。また、好酸球数は、平成12年5月1日の1.3%から、同年9月1日の検査では16.7%へと上昇しているが、造影剤の禁忌、原則禁忌、慎重投与などのいずれの注意事項にも該当せず、造影剤の使用を避けるべき事情があったとはいえない。なお、患者の父親については、平成3年6月12日大学病院外科外来で検査を施行中、造影剤を注入する前に容態急変を生じ、その後心停止をくり返して3日後の6月15日に死亡した。そのため遺族は、造影剤を使用したために急変を生じたと認識していたが、実際には造影剤の副作用で死亡したわけではない。一方、担当医師は、患者の父親が造影剤の検査で死亡した可能性があるということがわかっていれば、造影剤を使用する検査は実施しなかったであろうと供述している。一般的に気管支喘息、発疹、蕁麻疹などのアレルギーを起こしやすい体質については、本人のみならず、両親および兄弟の体質をも問題にすることが多いため、造影剤投与が禁忌とされている「ヨードまたはヨード造影剤に過敏症の既往歴」についても、本人のみならず両親および兄弟にそのような既往歴があるかどうかが重要である。したがって、患者の父親が造影剤を投与する予定の検査直後に死亡したことは、たとえ造影剤の副作用で死亡したわけではなくとも、患者に造影剤を使用するか否か慎重に検討すべき事由に当たる。したがって、担当医師が慎重な問診を行っていれば、父親が造影剤の検査の際に(結果的には造影剤とは関係はなかったが)容態急変を起こして死亡したことを答えていて、患者にも造影剤によるアレルギーを疑う所見となり得たであろう。しかも当時の患者は、蜂窩織炎があったといってもただちに生命の危険を生ずるような疾患ではなく、その症状も改善傾向にあり、検査の必要性は必ずしも高くはなかった。したがって、きちんと問診をとっていれば父親が造影剤に絡んで死亡したことを突き止め、検査を中止することができたはずである。原告側合計7,393万円の請求に対し、5,252万円の支払い命令考察造影剤によるアレルギーについては、皮膚の発疹程度で済む軽症例から、心肺停止へと至る劇症型まで、さまざまなタイプがあります。このような副作用を少しでも減らすために、過去にはテストアンプルを用いて予備テストを施行していた時期もありました。ところが、少量の造影剤であってもショック状態となるケースがあることや、事前にアレルギー無しと判定されたケースに実際に投与してショックが発生した例も報告されたことから、平成12年から医薬品メーカー側も造影剤へのテストアンプル添付を中止するようになりました。このような事実は、検査にたずさわる医師・診療放射線技師の間ですでに常識化していることですし、当然のこととして、アレルギーの有無を確認する問診は必ず行っていると思います。本件でも、担当医師は検査前にあれこれと詳しく質問したと裁判所で証言したうえで、その旨を陳述書に記載して裁判所に提出しました。おそらく、実際にも陳述内容に近いやりとりがあった可能性がきわめて高いと(同じ医師の立場からは)思います。ところがです。裁判所はそのような医師と患者のやりとりを示す「文書」が診療録にないことを理由に、「検査前に問診をまったく行っていないという、重大な過失が認められる」などという信じられない判断に至り、担当医師は圧倒的不利な立場に立ちました。そして、判決に至る思考過程として、「蜂窩織炎のような直接生命に関わらない病気で、健康な39歳男性が死亡したのは不可抗力ではなく、無謀な検査を強行した医師が悪い」といわんばかりの内容でした。医師の側からみれば、単純CTで患部には高吸収域の策状物がみえ、腫瘍の可能性を否定するために行った造影剤投与でした。もしこのときに造影剤投与を行わずに、腫瘍性病変を見逃す結果となっていたら、それはそれで医療ミスと追求されることにもつながります。したがって、今回の造影剤投与は医師の裁量権の範囲内にあるといって良いと思われるだけに、裁判官のいう問診義務違反が本当に存在するのかどうか、きわめて疑問です。確かに説明内容が文書のかたちでは残されておらず、入院ではなく外来で施行した検査のためご遺族への説明もなかったと思います。だからといって、まったく何も説明せずにいきなり造影剤を注入することなど、常識的にはあり得ないと思います。それでもなお、問診記録が残っていないから問診をしていない重大な過失があるなどと判断するのは、はじめから「医師が悪い」と決めつけた非常に危険な考え方ではないかと思います。さらに不可解なのは、ご遺族が裁判過程で「患者の父親も造影剤で死亡した」という間違った主張を展開し始め、その主張に裁判官までもがかなり引きずられていることです。実際には、患者の父親が別の大学病院で、造影剤注入の検査が予定された時に、造影剤注入前に容態が急変し、心停止をくり返して死亡したという経過でした。つまり造影剤はまったく関係ない(投与すらしていない)にもかかわらず、ご遺族は「父親も造影剤で死亡したのだから、造影剤のアレルギーは遺伝である」と誤認していたということです。これに対する裁判所の考え方は次の通りです。ご遺族が「父親も造影剤で死亡した事実がある」と誤認していたくらいだから、この死亡した患者も当然そのように誤認していたはずだ担当医師がその誤認した事実を聞き出していれば、造影剤投与を見合わせていた可能性が高いよって死亡することはなかったはずだこのような論理展開には、明らかな飛躍があることは明白でしょう。もし本当にこの患者が「父親が造影剤で死亡した」と誤って認識していたのならば、自分にも造影剤を注射されると聞いた段階で不安になり、医師に申告すると考えるのが自然ではないでしょうか。ありもしない仮定を並び立てて、無理矢理医師の過失を認定したように思えてなりません。もちろん、医師の側にも反省すべき点があります。それは何といっても、問診をはじめとする患者への説明内容をきちんと記録に残しておかなかったことです(簡単な予診票でも代用できたと思います)。とくに侵襲的な検査(CT、内視鏡、血管造影、経皮的な生検など)の場合には、結果が悪い(もしくは患者の期待通りにいかない)と、事前説明をめぐって「言った・言わない」のトラブルになる事例が非常に増えています。このような説明内容を、その都度、細大漏らさずカルテに記載するのは、時間的に非常に困難と思われますので、あらかじめ必要にして十分な説明を記入した説明文の雛形を作成しておくことが望まれます。そして、患者に対して説明した事項にはチェックを入れ、担当医師のサインと患者のサインを記入し、カルテにそのコピーを残しておけば、あとから第三者にとやかくいわれずにすむことになります。このような対処方法は、小手先だけの訴訟対策のようにも受けとられがちですが、医師に対する世間の眼が非常に厳しい昨今の状況を考えると、いつ先生方が同じような事例で不毛な医事紛争に巻き込まれてもまったく不思議ではありません。この機会にぜひとも、普段の診療場面を振り返っていただいたうえで、先生方独自の対応策を検討されてはいかがでしょうか。放射線科

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精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか

 初回エピソードの精神疾患患者において、右連合野線条体においてグルタミン酸値の上昇が示されている。しかし、この上昇が、効果的な抗精神病薬治療後に持続するかどうかについては不明であった。メキシコ・Instituto Nacional de Neurologiay NeurocirugiaのCamilo de la Fuente-Sandoval氏らは検討の結果、4週間の抗精神病薬治療により臨床的有効性が認められた初回エピソードの精神疾患患者ではグルタミン酸値が正常化していたことを報告し、「これらの結果は、臨床症状の改善にグルタミン酸値低下が関連している可能性があるとの仮説を支持するものである」と結論している。JAMA Psychiatry誌オンライン版2013年8月21日号の掲載報告。 研究グループは、治療前と治療4週後の同値の測定を行い、性でマッチさせた健常対照被験者のデータとの比較を行った。グルタミン酸値の測定は、陽子磁気共鳴分光学(MRS)を用いて右連合野線条体と右小脳皮質で行った。具体的な試験デザインは、初回エピソードで入院治療を受けた精神疾患患者(24例)と、年齢、性、利き手、喫煙状況でマッチさせた健常対照(18例)による、前後比較試験であった。本検討において被験者は、2回のMRS試験を受けた。MRS試験は、患者被験者はベースライン時と抗精神病薬治療4週後の2回、健常被験者はベースライン時と同撮影時から4週後の2回であった。4週間の抗精神病薬治療は、リスペリドンの経口投与を行い、臨床症状の診断に基づきオープンラベル下で行われた。主要評価項目はグルタミン酸値で、LCModel(バージョン6.2-1T)を用いて推定し、脳脊髄液中の割合で修正算出した。 主な結果は以下のとおり。・初回エピソードの精神疾患患者は、抗精神病薬治療を必要としている状態において、連合野線条体および小脳のグルタミン酸値が、対照群と比べてより高値であった。・臨床的に有効な抗精神病薬治療後は、連合野線条体のグルタミン酸値は有意に減少した。一方、小脳におけるグルタミン酸値に変化はみられなかった。・両群間のグルタミン酸値の有意差は、4週時点では認められなかった。・以上のように、初回エピソードの精神疾患患者においてベースラインでみられたグルタミン酸値の上昇は、臨床的に有効な抗精神病薬治療4週後に正常化していた。・結果を踏まえて著者は、「これらの結果は、臨床症状の改善にはグルタミン酸値の低下が関連している可能性があるとの仮説を支持するものである」と結論した。関連医療ニュース グルタミン酸トランスポーター遺伝子と統合失調症・双極性障害の関係 検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性

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糖尿病患者の冠動脈疾患リスクを高める遺伝的要因を特定/JAMA

 冠動脈性心疾患(CHD)との関連が、2型糖尿病の人では有意だが、それ以外の人では関連が認められない一塩基多型(SNP)rs10911021の存在が、米国・ハーバード公衆衛生大学院のLu Qi氏らによるゲノムワイド解析の結果、確認された。同SNPは、グルタミン酸の代謝に関与しており、その作用機序的結びつきも明らかになったという。糖尿病ではCHDリスクが高く、先行研究において、糖尿病の人には特有の心血管リスクを高める遺伝的要因があるのではないかと示唆されていた。JAMA誌2013年8月28日号掲載の報告より。遺伝子異型は254万3,016個をゲノム解析 研究グループは、糖尿病患者に特有なCHDの遺伝的要因を特定することを目的に、ゲノムワイド解析を行った。Nurses' Health Study(NHS、登録開始1976年、2008年まで追跡)、Health Professionals Follow-up Study(HPFS、同1986年、2008年)、Joslin Heart Study(2001~2008年に登録)、Gargano Heart Study(同)、Catanzaro Study(2004~2010年に登録)から、5つの独立したCHD症例群と非CHD対照群のセットについて検討した。 解析には、CHD症例1,517例と非CHD対照2,671例が組み込まれた。全例が2型糖尿病を有していた。また、それら糖尿病群について、NHSとHPFSのコホートから抽出した非糖尿病CHD症例737例、非糖尿病非CHD対照1,637例との比較も行った。検討された遺伝子異型は254万3,016個であった。 主要評価項目のCHDは、致死的または非致死的心筋梗塞、冠動脈バイパス術(CABG)、経皮的冠動脈形成術(PTCA)、血管造影で確認した冠動脈の有意な狭窄と定義した。内皮細胞のグルタミン酸代謝機能を32%低減する糖尿病患者に特有なSNP 結果、糖尿病患者には一貫して染色体1q25の異型(rs10911021)とCHDリスクとの関連が認められた。症例群対対照群のリスク対立遺伝子頻度は、0.733対0.679(オッズ比:1.36、95%信頼区間[CI]:1.22~1.51、p=2×10-8)だった。 同異型とCHDとの関連は、非糖尿病患者の比較検討では検出されなかった。同頻度は0.697対0.696(オッズ比:0.99、95%CI:0.87~1.13、p=0.89)だった(CHDリスクに関する遺伝子×糖尿病の相互作用はp=2×10-4と有意)。 rs10911021リスク対立遺伝子ホモ接合体は、保護的対立遺伝子ホモ接合体と比較して、ヒト内皮細胞における隣接グルタミン酸塩アンモニア・リガーゼ(GLUL)遺伝子の発現を32%減少するという特徴を有していた。また、γ-グルタミルサイクル中間体のピログルタミン酸とグルタミン酸の血漿中比も、リスク対立遺伝子ホモ接合体において減少することが示された。 これらの所見から著者は、「糖尿病以外の患者にはないが、糖尿病患者においてCHDとの関連が有意なSNP、rs10911021が確認された。また同SNPについて、グルタミン酸の代謝機能に関与していることが作用機序的結びつきによって確認された」と結論している。

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新規抗α4β7インテグリン抗体、クローン病には?/NEJM

 クローン病に対する新規抗α4β7インテグリン抗体vedolizumabの有効性と安全性について、米国・カリフォルニア大学のWilliam J. Sandborn氏らが行ったGEMINI2試験の結果が報告された。活動期クローン病成人を対象とした検討で、6週時点で寛解を達成していた割合は14.5%でプラセボ投与群より有意に高率であったが、クローン病活動指数(CDAI)スコアが100ポイント以上減少(CDAI-100)の達成は有意差がなかった。また、寛解導入が有効であった患者について、治療を継続した群はプラセボに切り替えた群と比べて、52週時点に寛解であった割合が有意に高率であったことが示された。NEJM誌2013年8月22日号掲載の報告より。なお、vedolizumabの潰瘍性大腸炎に体する有効性と安全性を検討したGEMINI1試験では、その有用性が示されている(ジャーナル四天王2013年9月2日配信号)。活動期クローン病成人患者を対象にvedolizumab 300mg静脈内投与療法について評価 GEMINI2試験は、クローン病に対するvedolizumabの有効性と安全性について、寛解導入試験と寛解維持試験を別々に行い評価した統合的研究の第3相無作為化並行群間二重盲検プラセボ対照試験であった。39ヵ国285施設から参加した、活動期のクローン病成人患者(期間3ヵ月以上、CDAIスコア[範囲:0~600]が220~450)を対象に、vedolizumab 300mg静脈内投与療法について評価した。 寛解導入試験は、vedolizumab(220例)またはプラセボ(148例)の投与群に無作為に割り付けられたコホート1(368例)と、非盲検下でvedolizumabの投与を受けたコホート2(747例)について検討した。両コホートとも投与は0、2週に行われ、6週時点で疾患の状態について評価した。 寛解維持試験は、vedolizumabが有効だった461例を、引き続きvedolizumabを8週間ごとに投与する群、または同4週間ごとに投与する群、プラセボに切り替える群に無作為に割り付け、52週まで投与を行い評価した。6週時点のCDAI-100達成は、vedolizumab群31.4%、プラセボ群25.7% 寛解導入試験について、無作為に割り付けられたコホート1において、6週時点でCDAIスコア150以下の臨床的寛解であった患者の割合は、vedolizumab群14.5%、プラセボ群6.8%だった(p=0.02)。CDAI-100の達成は、それぞれ31.4%、25.7%だった(p=0.23)。 コホート1および2の患者で導入療法が有効だった患者で52週時点において臨床的寛解だったのは、プラセボ投与群21.6%であったのに対し、vedolizumabの8週ごと投与群は39.0%(対プラセボp<0.001)、同4週ごと投与群は36.4%だった(同p=0.004)。 安全性に関する評価では、抗vedolizumab抗体が発現した患者は4.0%だった。vedolizumab投与群はプラセボ投与群と比べて、鼻咽頭炎の発生頻度が高かった。一方で頭痛と腹痛の発生頻度は低かった。またvedolizumabはプラセボと比較して、重篤な有害事象(24.4%対15.3%)、感染症(44.1%対40.2%)、重篤な感染症(5.5%対3.0%)の発生率が高かった。

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がん患者の深刻な就労問題に国も本腰

 8月29日~31日に仙台市にて開かれた 第11回日本臨床腫瘍学会において、「Cancer Survivorshipを考える―Social Networkを活用した就労支援―」とと題したワークショップが開催された(座長:一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン 天野 慎介氏、国立がん研究センターがん対策情報センター 高橋 都 氏)。がん治療およびがん患者の就労に対するついて社会の理解不足により、がんを罹患してから離職を余儀なくされる患者は多く、がん患者にとっては深刻な問題となっている。そして、その問題に対する一つの取り組みが始まろうとしている。 アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)の調査によれば、がん患者の二人に一人は、がん罹患後に勤務先を変更している。とくに非正規雇用の場合、がん罹患後に離職するがん患者は約6割と高い。また、それらの患者の半数は年収300 万円以下であり、治療費を捻出するため、身内からの借金や預貯金を切り崩しているケースも少なくない。パネリストの一人、NPO法人HOPEプロジェクトの桜井なおみ氏は、業務が計算できない等の理由で業務戦力から除外される等、勤務先の無理解を示す事例が多いという。また、がん患者の相談は罹患時間が経っても減らずることはなく、初期の治療や副作用の悩みから、時間の経過とともに生活や仕事の相談が増えていくそうだ。 そのような中、厚生労働省の「がん患者等長期療養者に対する就労支援モデル事業 」が今年とからスタートする。これは全国5ヵ所(国立がん研究センター中央病院、横浜市立市民病院、静岡県立静岡がんセンター、兵庫県立がんセンター、国立病院機構四国がんセンター)のがん診療連携拠点病院と最寄りのハローワークが連携して、離職を余儀なくされたがん患者等に対して就職支援する取り組みである。ハローワークには就職支援ナビゲーターを配置し、労働条件に応じた求人の開拓、事業者側への雇用条件の緩和指導、就職後の職場定着の指導を行う。また、ハローワーク職員が、定期的にがん診療連携拠点病院の相談支援センターに出張相談に出向く。病院側は相談支援センター相談員が長期療養者と就職相談を実施、ハローワークへの就職志望者の誘導などを実施する。 座長の天野氏は、「たとえ、がんが治っても経済的に追いつめられ、なかには治ったことを後悔する患者もいる」と訴える。また、同じく座長の高橋氏は自身も医師であることから、「医療者は就職斡旋のプロになる必要はないが、機会を待たずに、患者の仕事について早い段階から積極的に聞き、問題があれば、上記のような相談窓口を紹介するなどしてほしい。そして、離職を考えている患者さんには早まらないよう指導してほしい」と述べた。関連情報 働くがん患者と家族に向けた包括的就業システムの構築に関する研究 がんと仕事のQ&Aほかマニュアル NPO法人HOPEプロジェクト 就労セカンドオピニオン~電話で相談・ほっとコール~

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妊娠線とQOLの意外な関係 ―本当は何がQOLに影響するか―

 妊娠線は明確な発現機序は明らかになっていないが、一度生じると治療は困難で、QOLに影響する。妊娠線の予防のため、保湿剤がよく用いられているが、これまでこうした予防策とQOLの関係については不明のままであった。京都大学の山口 琴美氏らは、妊娠線の予防を実施している中部地方の日本人妊婦を対象に横断調査を行い、保湿の効果とQOLについて評価した。 その結果、保湿剤の使用により、角質層部位の水分含有量は増加するものの、妊娠線の予防には結びつかなかったこと、その一方で、妊娠線が出現した被験者であっても、妊娠線の予防策の実施がQOLに影響したことを報告した(Midwifery誌2013年8月17日掲載報告)。 4つのクリニックから、出産前の検査により妊娠36週の妊婦156人が抽出された。そのうち、83人は初産婦、73人は経産婦であった。自己記入式アンケート、Davey's scoreによる妊娠線の重症度、Skindex29による皮膚疾患特異的QOLが評価された。妊婦の腹部の角質層水分含有量は、皮膚角層水分量測定器を用いて測定された。 主な結果は下記のとおり。・37.8%の被験者で妊娠線が出現した。・被験者のうち121人(77.6%)が妊娠線予防のため、クリームやローション(またはその両方)を使用していた(初産婦76人、経産婦45人)。・腹部の角質層水分含有量は、クリームやローション使用後に有意に増加した(p=0.001)。・妊娠線出現の有無および妊娠線の重症度と、予防策の実施や腹部の角質層水分含有量との間に相関はみられなかった(それぞれp=0.330、p=0.8535)。・予防策を実施した被験者では、実施しなかった被験者に比べて、Skindex29の感情面のQOL値が高値であった(p=0.002)。・妊娠線が生じた被験者は、妊娠線ができなかった被験者に比べて、Skindex29の感情面のQOL値が低値であった(p=0.045)。・一方で、予防策を実施した被験者では、妊娠線の有無にかかわらず、Skindex29の感情面のQOL値は維持された。

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腰痛持ち女性の多くがマッサージやカイロに通う

 腰痛患者は補完代替医療(CAM)を含むさまざまな医療サービスを受けているといわれている。なかでも女性は男性よりも頻繁にCAMを利用する傾向にあるが、その利用パターンは十分わかっていない。オーストラリア・シドニー工科大学のVijayendra Murthy氏らは、大規模コホート研究について解析し、腰痛持ちの女性は多くが従来医療と並行してCAMも利用していることを明らかにした。その結果を踏まえて著者は、「腰痛ケアに携わるさまざまな医療従事者のみならず、CAM施術者と患者とのコミュニケーションについても詳細な調査を行う必要がある」とまとめている。Clinical Rheumatology誌オンライン版2013年8月15日の掲載報告。 研究グループは、腰痛のためにCAMを利用した女性の特性や利用率を調査することを目的に、Australian Longitudinal Study on Women’s Healthのデータを用い、60~65歳の女性の参加者について解析した。 主な結果は以下のとおり。・腰痛持ちの女性は、マッサージセラピスト(44.1%、578例)やカイロプラクター(37.3%、488例)の施術を受けることが多かった。・腰痛のためにカイロプラクターの施術を受けた女性は、一般開業医または理学療法士を受診することが少なかった。受診に対する非受診のオッズ比は、一般開業医0.56(95%CI:0.41~0.76)、理学療法士0.53(同:0.39~0.72)であった。・腰痛のためにCAMを受けた女性で、薬剤師を訪問する人は多かった(オッズ比:1.99、95%CI:1.23~3.32)。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?

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自閉症スペクトラム障害に対するSSRIの治療レビュー

 オーストラリア・メルボルン大学のKatrina Williams氏らは、自閉症スペクトラム障害(ASD)に対するSSRIによる治療の有用性についてレビューを行った。その結果、小児に対する有効性および有害性のエビデンスはなく、成人については試験規模が小さくバイアスリスクが不明であり有効性のエビデンスは限定的であることを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年8月20日号の掲載報告。 SSRIは、ASDにしばしば共存するうつ病や不安症、強迫性障害の治療に対して処方が行われている。研究グループは、そうした治療がもたらす影響について、(1)自閉症の中心的特徴(社会的関係性、コミュニケーション、行動の問題)を改善するか、(2)自傷行動のような非中心的特徴である側面を改善するか、(3)成人または小児およびその介護者のQOLを改善するか、(4)短期的または長期的アウトカムを有するか、(5)有害性の発生の5点について検討した。レビューは、CENTRAL、Ovid MEDLINE、Embase、CINAHL、PsycINFO、ERIC、Sociological Abstractsのデータベースを2013年5月時点で検索して行い、また、ClinicalTrials.govやICTRPなども対象とした。文献リストの補充や当該分野の専門家とのコンタクトも行った。ASD患者を対象に、あらゆるSSRIとプラセボの投与について比較した無作為化試験を適格とし、2名の研究者が独立して試験の選択、データの抽出、各試験のバイアスリスクを評価した。 主な結果は以下のとおり。・9試験、被験者320例がレビューに組み込まれた。小児のみ対象とした試験は5試験、成人のみは4試験であった。・評価に含まれたSSRIは4種類で、フルオキセチン(国内未承認)(3試験)、フルボキサミン(2試験)、フェンフルラミン(国内未承認)(2試験)、シタロプラム(国内未承認)(2試験)であった。・被験者の診断基準、IQ評価の指標は、試験によってさまざまであった。示されていたアウトカム尺度は18種類に及んだ。・複数の試験で、CGIとOCBのアウトカム尺度が用いられていたが、使用されたツールや評価項目は試験によって異なっていた。そのため、1つのアウトカム(改善割合)を除いてメタ解析を行うことは不適当であった。・その中で、大規模かつ質の高い小児の1試験があったが、シタロプラムのポジティブな有効性についてエビデンスは認められなかった。・成人では3試験で、CGIとOCBにおいてポジティブなアウトカム(1試験は攻撃性の改善、2試験は不安症の改善)が示されていたが、試験規模が小さかった。関連医療ニュース 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か? 新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療  大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか?

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ALK陽性肺がん第3相試験、日本人の結果は

 クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)のPhase III試験PROFILE 1007 では、進行ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)2次治療において、クリゾチニブは標準的化学療法であるペメトレキセド(同:アリムタ)またはドセタキセル(同:タキソテール)に比べ、有意に無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)を改善した。この試験の日本人のサブ解析が、第11回日本臨床腫瘍学会にて近畿大学腫瘍内科の中川和彦氏から発表された。 PROFILE1007試験は日本を含む21ヵ国105施設で登録されたALK陽性NSCLC患者347例を対象に行われている。日本人は69例 と、そのうち約20%を占めている。日本人における割り付けはクリゾチニブ群40例、化学療法群29例(ペメトレキセド16例、ドセタキセル13例)であった。 日本人のPFS中央値はクリゾチニブ群で7.7ヵ月(over all 7.7ヵ月)に対し、化学療法群4.2ヵ月(over all 3.0 ヵ月)、HR=0.47(over all 0.49)、p=0.0062(over all p<0.001)で有意に改善していた。 また、ORRはクリゾチニブ群73.0%(over all 65.3%)に対し、化学療法群28.0%(over all 19.5%)、HR=2.7(over all 3.4)、p=0.0001(over all p<0.0001)と、こちらも有意に改善していた。このようにクリゾチニブは、日本人のALK陽性非小細胞肺がんにおいてもPFS、ORRともに著明に改善する事が明らかになった。 一方、日本人の有害事象発現は、クリゾチニブ群はover allと比較して全般的に高かった。主な有害事象項目はover allと同様、眼症状、悪心・嘔吐、下痢などで、その多くはGrade1~2であった。しかし、間質性肺障害で2例の治療関連死があり、その2例はいずれも日本人患者であった。 有害事象の頻度は日本人で高いものの、効果面も安全性もover allと同様の傾向であり、このサブ解析の結果は日本人における進行ALK陽性非小細胞肺がんでの効果と安全性を支持する一つのデータだといえよう。*クリゾチニブ:500mg/日、ペメトレキセド:500mg/m2 3週毎、ドセタキセル:75mg/m2 3週毎)

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外側楔状足底板使用でも変形性膝関節症の痛みは軽減しない/JAMA

 変形性膝関節症の人において外側楔状足底板を使用しても痛みの軽減効果はないことが、英国・マンチェスター大学のMatthew J. Parkes氏らによるメタ解析の結果、報告された。外側楔状足底板の効果については議論が分かれ、コンセンサスは得られていなかった。JAMA誌2013年8月21日号掲載の報告より。外側楔状足底板の効果を検討した無作為化比較試験をメタ解析 研究グループは、2013年5月までにCochrane Central Register of Controlled TrialsやMedlineなどのデータベースに登録された試験のうち、外側楔状足底板の使用による膝関節過重への効果について検討された無作為比較試験を抽出し、メタ解析を行った。データ抽出は2名の独立した研究者が行った。また、バイアスリスクの評価を2名のオブザーバーがCochraneバイアスリスクツールを用いて行った。 主要評価項目は、患者の自己申告による痛みの変化だった。外側楔のない足底板との比較において痛みの軽減効果に有意差みられず 適格条件を満たした12試験(被験者総数885例)が解析に組み込まれた。被験者のうち、外側楔状足底板による治療を受けていたのは502例だった。 外側楔状足底板治療群と対照群について、痛みの変化に関する統合標準化平均差(SMD)を調べたところ、全体では外側楔状足底板治療群に痛みを軽減する効果が認められた(SMD:-0.47、95%信頼区間[CI]:-0.80~-0.14)。その効果の大きさは、20ポイント評価のWOMAC疼痛スコアで-2.12ポイントに相当した。しかし、軽減効果について試験間の結果のばらつきが大きかった(I2=82.7%)。またバイアスリスクが低い大規模試験では、無効であることが示唆された。 メタ回帰分析の結果、楔のない足底板治療を対照群とした場合(4試験、SMD:-1.20、95%CI:-2.09~-0.30)に効果サイズが高いことが示された(非治療を対照群に用いた場合の非標準化β:1.07、95%CI:0.28~1.87)。一方、バイアスリスクの要求リスクが低い試験方法の場合は効果サイズが低いことが明らかになった(各バイアスカテゴリーの要求リスクが低い場合の非標準化β:0.26、95%CI:0.002~0.52)。 外側楔状足底板治療群と楔のない足底板との比較試験では、外側楔状足底板が痛みを軽減するとの関連は示されなかった(SMD:-0.03、95%CI:-0.18~0.12/WOMAC:-0.12)。またこの結果については、試験間のばらつきも少なかった。 これらの結果を受けて著者は、「変形性膝関節症の痛みの軽減を目的とした外側楔状足底板の使用は支持されない」と結論づけた。

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喫煙が死亡に及ぼす影響は、人種差でこんなにも違う/Lancet

 南アフリカにおける喫煙死亡リスクは、白人・黒人の混血“カラード”において最も高く、非喫煙者・元喫煙者との比較でおよそ5割増に上ることが明らかにされた。最もリスクが低いのは黒人で、同2割弱増であった。オーストラリア・Cancer Council NSWのFreddy Sitas氏らが、南アフリカの中高年50万人弱について行ったケースコントロール研究の結果、報告した。Lancet誌2013年8月24日号掲載の報告より。35~74歳で死亡した48万1,640人についてケースコントロール研究 研究グループは、南アフリカで1999~2007年の間に、35~74歳で死亡が確認された48万1,640人について、ケースコントロール研究を行い、カラード、白人、黒人それぞれの喫煙関連死亡率を調べた。被験者の性別、教育レベル、5年前の喫煙の有無、基礎疾患などについて情報を得て分析を行い、喫煙関連の疾患による死亡と、それ以外の原因による死亡を比較した。なお、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症や肝硬変、外的要因、精神障害が原因の死亡は除外した。喫煙関連死亡率はカラード男性27%、同女性17% その結果、カラードにおける喫煙率は男女共に高く、カラード喫煙者の全死亡率は、非喫煙者・元喫煙者との比較において、男女共に約50%高いことが認められた(男性の相対リスク:1.55、95%信頼区間:1.43~1.67、女性の相対リスク:1.49、同:1.38~1.60)。白人も、男性のリスクはカラードを下回ったが同様の傾向が認められた(男性の相対リスク:1.37、同:1.29~1.46、女性の相対リスク:1.51、同:1.40~1.62)。一方、黒人では、喫煙者の死亡リスクの増大は20%未満だった(男性の相対リスク:1.17、同:1.15~1.19、女性の相対リスク:1.16、同:1.13~1.20)。 喫煙関連死亡率は、男性では、カラード27%(2万767人中5,608人)、白人14%(2万8,951人中3,913人)、黒人8%(26万4,011人中2万398人)、女性では、カラード17%(1万5,593人中2,728人)、白人12%(1万7,899人中2,084人)、黒人2%(20万5,623人中4,038人)だった。 アフリカでは数十年前から喫煙者の存在が認められているが、現状の喫煙パターンがもたらす最大かつ最終的な影響については不明である。今回の検討において、南アフリカ中高年の喫煙パターンと死亡との関連、およびそのリスクの大きさが明らかになったことから、著者は、同様のリスクがアフリカ全体の若い喫煙者にもたらされることが暗示されると結論している。

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黒酢に皮膚がん細胞増殖の抑制効果あり

 鹿児島大学医学部皮膚科学教室の馬場 直子氏、同教授・金蔵 拓郎氏らは、鹿児島県の黒酢メーカーが新たな製造法で商品化した黒酢「泉」について検討した結果、扁平上皮がん(SCC)細胞に対する抗腫瘍効果が認められたことを報告した。黒酢は玄米を原料とする日本の伝統的な食材で、体に良いとされるアミノ酸やミネラルなどが豊富に含まれている。「泉」はそれらの含有成分が、新たな製造法によりさらに多量に含まれているという。Nutrition and Cancer誌オンライン版2013年8月5日号の掲載報告。 研究グループは、黒酢には抗酸化作用があることが知られていることから、「泉」のSCC細胞株HSC-5に対する抗腫瘍効果を調べることを目的とした。検討は、一般的な醸造酢との比較にて行われ、酸度を一般的な4.2%に調整してHSC-5細胞の治療を行った。 主な結果は以下のとおり。・MTT試験、トリパンブルー色素排除試験の結果、「泉」は一般的醸造酢と比べて、HSC-5細胞の増殖を有意に阻害した。・ヨウ化プロピジウム(PI)フローサイトメトリー解析、アネキシンV/PI染色法により、「泉」または一般的醸造酢で治療した細胞あるいは未治療だった細胞間で、アポトーシスを起こした細胞数に違いはないことが明らかになった。・このことから、プログラムされた細胞死や壊死といった新たなネクローシスの形が考えられた。それはキーシグナル分子のRIPK3により伝達され、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)の細胞放出に帰結するものと考えられた。・「泉」でHCS-5細胞を治療した場合、RIPK3とDAMPsの一つであるHMGB1の細胞レベルは、培地に放出された量が明らかに増大した。・これらの所見から、「泉」は、プログラムされた細胞死(壊死)を介してヒトのSCC細胞の増殖を阻害することが示唆された。

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ピロリ菌感染に対する順次療法のメタ解析とシステマティックレビュー(コメンテーター:上村 直実 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(128)より-

ピロリ菌感染に対する世界的な標準的除菌治療として使用されている3剤併用療法(プロトンポンプ阻害薬:PPI+amoxicillin:AMPC+clarithromycin:CAMまたはmetronidazole:MNZ)の除菌率が80%以下に低下していることが、大きな問題となっている。 今回のイタリアからの報告では、PPI+AMPCの2剤併用5日間施行後に、PPI+CAM+ニトロイミダゾール誘導体の3剤併用を5日間投与する順次療法の有効性を評価するために、無作為化比較試験46試験(n=13,532)を対象として、文献を系統的にレビューしメタ解析を行った結果、順次療法(5,666例)の除菌率は84.3%(95%CI:82.1-86.4)であり、7日間ないしは10日間の標準的3剤併用療法よりも有意に高率(RR:1.21、95%CI:1.17-1.25、RR:1.11、95%CI:1.04-1.19)で、1次除菌療法としての順次療法の有用性が示唆されている。 わが国の保険診療では、ピロリ菌感染胃炎に対する除菌治療が2013年2月に承認され、除菌治療の適用が大幅に拡大されている一方、ピロリ菌感染に対する1次除菌治療として承認されているのはPPI+AMPC+CAM(PAC療法)のみである。本邦でもCAM耐性率が20%を超え、PAC療法の除菌率が70%台に低下しているが、2次治療に承認されているPAM療法(CAMをMNZに変更したレジメン)の除菌率は90%以上に保たれている。 すなわち、医療保険ではカバーされない3次治療を必要とする症例は、現時点ではまだ少ないが、今後、2次除菌失敗例の増加を考慮した3次除菌治療に関するエビデンスの構築が重要となっている。

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降圧目標到達率を44%から87%までに改善したプログラム/JAMA

 米国・北カリフォルニア・カイザーパーマネンテ(KPNC)が2001年に開発導入した、大規模集団高血圧プログラムの実施状況を分析した報告が、KPNC南サンフランシスコメディカルセンターのMarc G. Jaffe氏らにより発表された。2009年時点の分析で、州や国が行うプログラムに比べると、KPNC高血圧プログラム下で血圧コントロールを受ける高血圧患者の割合は有意に増大したことが示されたという。Jaffe氏は本報告で、同プログラム開発の経緯と変遷、プログラムのキー要素について報告している。JAMA誌2013年8月21日号掲載の報告より。高血圧コントロール率について、州および全米とで比較 KPNCは非営利の総合医療サービス提供機構で、21の病院と45の関連医療施設を有し7千人超の医師が230万人以上の加入者に医療サービスを提供している。同組織が2001年に高血圧プログラムを開発した背景には、当時、50歳以上の患者に有効な高血圧治療があるにもかかわらず、血圧コントロールを受けている人は半数以下という状況があり、質的改善を図った高血圧プログラムを開発した。新たなプログラムは、多面的アプローチで血圧コントロールを図ることを特徴とするものであった。 本検討では、同プログラムの実施状況を評価するため、高血圧コントロール率の変化を調べ、また、カリフォルニア州および全米の同値と比較した。評価は、全米品質保証委員会(NCQA)の認証評価ツール(HEDIS)によって同率を測定したNCQA HEDISコマーシャル率で行った。実施状況を有意に増大したプログラムのキー要素 KPNCの高血圧レジストリ患者数は、2001年の開設時は34万9,937例であったが、2009年には65万2,763例へと増加していた。登録者の平均年齢は63歳、45~85歳が大半を占め、半数以上が女性であり、糖尿病を有している人が多くみられ有病率は2001年25.6%から2009年28.5%に増えていた。 そうした中で、NCQA HEDISコマーシャル率でみた、KPNCの高血圧コントロール率は、2001年43.6%(95%信頼区間[CI]:39.4~48.6%)から2009年80.4%(同:75.6~84.4%)へと有意に増大していた(傾向のp<0.001)。なお、2010年83.7%、2011年87.1%と同率はさらに上昇しているという。 対照的に、同一期間中の全米の同値は、55.4%から64.1%への増加で有意性はみられなかった(傾向のp=0.24)。カリフォルニア州について入手できた同値は2006~2009年の変遷であったが、同様に増加は有意ではなかった(63.4%から69.4%へ増加、p=0.37)。 これらの結果を踏まえて著者は「大規模集団プログラムの実施状況は、州や国のコントロール率と比べると有意な増大が認められた」と報告。プログラムのキー要素として、総合的な高血圧レジストリの設定(2001年)、NCQA HEDISに即したパフォーマンス測定基準の開発・共有(2001年)、エビデンスベースのガイドライン(4ステップの血圧コントロールアルゴリズム、2001年に開発し2年ごとにアップデート)、医療補助者(medical assistant)によるフォローアップ訪問(2007年より、薬物療法後2~4週後に訪問して血圧を測定、医師に報告しその後の治療方針を作成するシステムで、患者への追加料金なし)、合剤治療の推進(2005年より、リシノプリル/ヒドロクロロチアジド合剤推奨を治療開始時のオプションまたはステップ2の治療戦略としてガイドラインに明記)などを挙げている。

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インフルエンザのリスク因子、エビデンスが弱い/BMJ

 インフルエンザ関連合併症のリスク因子を定義するエビデンスのレベルは低いことが、カナダ・マックマスター大学のDominik Mertz氏らによるシステマティックレビューの結果、明らかにされた。インフルエンザ発症において一部の患者集団では合併症の併発や重症化するリスクが報告され、ハイリスク集団にワクチン接種を優先する勧告がWHOおよび世界各国で行われている。しかし、これまで同集団を定義するエビデンスの質について包括的かつシステマティックなレビューは行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年8月23日号掲載の報告より。234論文61万例データをメタ解析 研究グループは、季節性またはパンデミック・インフルエンザ患者における重症アウトカムのリスク因子の評価を目的にシステマティックレビューを行った。 Medline、Embase、CINAHL、Global Health、Cochrane Central Register of Controlled Trialsをデータソースに、2011年3月までに公表された論文について検索し、インフルエンザの罹患者でリスク因子とアウトカム(死亡、人工呼吸器装着、入院、ICU入室、肺炎、複合アウトカムなど)の組み合せについて興味深い報告がされていた観察研究を選定した。 エビデンスの評価は、バイアスリスクを評価するNewcastle-Ottawaスケールによる評価と、GRADEフレームワークを用いて行った。 検索の結果、6万3,537論文の中から、包含基準を満たした234論文、61万782例分のデータを特定し解析に組み込んだ。いかなるリスク因子もエビデンスレベルが低い 解析の結果、インフルエンザの重症アウトカムに関するリスク因子のエビデンス支持は、Newcastle-Ottawaスケール評価で限界値から0の範囲であった。これはとくに、2009H1N1パンデミック以外のデータおよび季節性インフルエンザの研究データが、相対的に不足していたことと関連していた。 また、公表論文は、検出力の不足と交絡因子についての補正の不足などが広範囲に及んでおり、解析には限りがあった。たとえば、補正後推定リスク値が得られたのは260試験のうち39例(15%)で、そのうちリスク因子とアウトカムの比較のデータが得られたのは5%のみにとどまった。 エビデンスのレベルは「いかなるリスク因子」においても低かった。死亡のオッズ比は、パンデミック・インフルエンザ2.77(95%信頼区間[CI]:1.90~4.05)、季節性インフルエンザ2.04(同:1.74~2.39)だった。同様に、肥満症については、パンデミック2.74(同:1.56~4.80)、季節性30.1(同:1.17~773.12)、心血管疾患は同2.92(1.76~4.86)と1.97(1.06~3.67)、神経筋疾患は同2.68(1.91~3.75)と3.21(1.84~5.58)だった。 その他のすべてのリスク因子に関してもエビデンスレベルは非常に低かった。よく言われる妊娠や民族性の性質をリスク因子として同定することはできなかった。一方で、分娩後4週未満の女性において、パンデミック・インフルエンザの死亡リスクが有意に高いことが認められた(4.43、1.24~15.81)。 上記の結果を踏まえて著者は、「インフルエンザ関連の合併症に関するリスク因子を支持するエビデンスレベルは低く、よく言われる妊婦や民族性のリスク因子もリスク因子として確認することはできなかった。厳密で十分検出力のある研究が必要である」と結論している。

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