サイト内検索|page:1357

検索結果 合計:35155件 表示位置:27121 - 27140

27121.

2型糖尿病患者におけるエンパワーメントと治療意思決定支援ツール(decision aids)(解説:住谷 哲 氏)-271

高血糖、高血圧、高コレステロール血症、喫煙のすべてに介入する多因子介入治療(multifactorial approach)が2型糖尿病治療において重要であることは論を俟たない1)。 しかし、この治療が成功するか否かは、患者自身が治療の意義を理解し、多くの治療介入に積極的に参加することに依存している。われわれ医療従事者が患者と向き合うのは診察室におけるごく短時間のみであり、その他の時間はすべて患者の自己管理下にある。この患者の自己管理能力を向上させることで治療を成功に導こうとする考えがエンパワーメント(適切な日本語訳がない)である。 ここでの自己管理能力とは、医療従事者の指示に従うだけではなく、医療従事者との対話を通じて、治療法そのものを自己決定する(shared decision making)ことをも含む広い概念である。本論文は治療意思決定支援ツール(decision aids)が、2型糖尿病患者のエンパワーメントに及ぼす影響を検討したものである。 方法はオランダ北部の18のプライマリケアクリニックに通院中の344例の2型糖尿病患者を通常診療群と治療意思決定支援ツール提供群に無作為に振り分け、1次エンドポイントとしては、治療ゴール達成への意思決定およびゴール達成に対する患者のエンパワーメントの程度をエンパワーメントスコアにより評価した。2次エンドポイントは経過を通じての高血糖、高血圧、高脂血症およびアルブミン尿に対する処方強化および禁煙とした。治療意思決定支援ツールは4つの領域(血糖、血圧、コレステロール、喫煙)から構成されており、それぞれHbA1c<7.0%、収縮期血圧<140mmHg、LDLコレステロール<2.5mmol/L(100mg/dL)、禁煙がゴールに設定されていた。さらに個々の患者のリスクをUKPDS risk engine2)を用いて計算し、たとえば「あなたと同じ年齢、性別の2型糖尿病患者さん100人の中で、16人が今後5年間に心筋梗塞になり、84人は心筋梗塞になりません。しかし、現時点ではあなたが、そのどちらに属しているかはわれわれにはわかりません。」のような説明が提供された。 さらに、4つの領域のいずれがゴール未達成であるか、それに対する治療を受けることによるbenefit およびharm、さらに治療の有効性に関する不確実性についても説明された。探索的検討として、情報提供がパソコンの画面上で提供される群と印刷された紙媒体で提供される群、および詳細情報がすべて提供される群と簡略化された情報が提供される群が2x2要因デザインを用いて比較された。 結果は1次エンドポイントには両群に差を認めなかった。2次エンドポイントについても、紙媒体を用いた治療意思決定支援ツール提供群において高脂血症薬の投与が強化されたのみであった。これらの結果は、2型糖尿病患者に、通常の診療に加えて治療意思決定支援ツールを追加してもエンパワーメントには結びつかないこと示している。しかし、治療意思決定支援ツールによる介入を実際に受けたのが同ツール提供群の46%に過ぎず、結果の解釈には慎重を要する。 世界中で最も多数の患者からの相談を受けている医療従事者はGoogleである、と皮肉まじりにいわれるように医療においてインターネットは必要不可欠になりつつある。もし今回の検討で用いられた治療意思決定支援ツールが有効であったならば、インターネットを通じてすべての2型糖尿病患者に情報が提供され、われわれの日常診療も大きな影響を受けたかもしれない。その点で、今回の結果はわれわれの日常診療の継続に少しの安心感を与えるといえよう。 さらに、論文の主旨とは離れるが、欧米におけるエンパワーメントとわが国のそれとの違いが浮き彫りにされている点も注目してよい。わが国でのエンパワーメントは、「いかにして患者のやる気を引き出すか?」のように情緒的な点に比重が置かれており、具体的な治療目標(HbA1c<7.0%のような数値目標)と、それを達成することによるアウトカム改善のエビデンスとを医療従事者と患者との間で共有したうえでのshared decision makingが行われているとはいい難い状況にある。エンパワーメントもEBMから無縁ではないことを再認識する必要があるだろう。

27122.

D-ダイマーが臨床現場ですぐに測れたら

画像を拡大する静脈血栓塞栓症の鑑別指標であるD-ダイマーを、簡便な操作で短時間に測定できるキットがあることをご存じだろうか? そこで今回は、POCT(point of care testing)機器「コバスh 232」について、製造販売元であるロシュ・ダイアグノスティックス株式会社に聞いた。増加する静脈血栓塞栓症高齢化および生活の欧米化により、本邦でも静脈血栓塞栓症が増加している。静脈血栓塞栓症はまた、心筋梗塞以上に死亡率が高いとされる肺血栓塞栓症1-2)の原因となる。肺塞栓症研究会共同作業部会*の調査結果3)によれば、肺血栓塞栓症の主な危険因子は腹部・骨盤・下肢に対する手術後、高齢、BMI>25.3の肥満、長期臥床、悪性腫瘍などである。これらの要素は、日本の医療が抱えている題点であり、静脈血栓塞栓症は、今後日本においてより大きな問題となっていくと考えられる。*:肺塞栓症の病態の解明、診断能の向上、治療指針の確立、救命率向上の目的で三重大学を中心に肺塞栓症研究会と共に設立された。肺塞栓症に関する多くの研究データを発表している。しかしながら、静脈血栓塞栓症は症状がない場合が多く4)、診断がついた時点で重症化していることも少なくないという。従来のD-ダイマー測定の概念が変わる静脈血栓塞栓症の除外診断には、D-ダイマー検査が必須であり、肺塞栓症研究会ではD-ダイマー測定を推奨している5)。だが、これまでD-ダイマー測定は手軽に実施できるものではなかった。測定設備のある施設でも採血、遠心分離という手順を踏んで検査するため、結果がわかるまで数十分かかってしまう。また、設備がない診療所では外注検査となり、結果は翌日になることが多く、その場での判断はできない。コバスh 232は、D-ダイマーを静脈血全血で測定可能にしたPOCT装置である。小型、軽量、バッテリーでの稼働も可能であるため携帯しやすく、在宅でも使用可能である。そのうえ検査時間も短く、D-ダイマーは約10分で測定可能である。(コバスh 232はD-ダイマー以外にも、心筋トロポニンTやミオグロビン、CK-MB、NT-proBNPの測定も可能)。静脈血栓塞栓は重症化しても症状が出にくい場合もある3)。よって、その場ですぐに結果が得られるメリットは非常に大きいといえる。画像を拡大する電源を入れ、テストストリップをセットし、静脈血全血(150μL)を滴下し、測定ボタンを押す。これだけの操作で8~12分後には結果が表示される。東日本大震災仮設住宅での検診への活用携帯性やその場で測定結果が得られるという特性から、コバスh 232は東日本大震災被災地の仮設住宅の検診でも活用されている。その背景には、狭い住環境、高齢化、外出頻度の減少などから、仮設住宅住民の下肢静脈血栓症が問題となっている状況が挙げられる。そこで毎年、カタールフレンド基金の支援による、岩手県内各地仮設住宅での下肢静脈血栓症予防検診が盛岡市立病院などの主催で行われている。下肢静脈エコーなどとともに、コバスh 232によるD-ダイマー測定が実施される。実際、毎回数名の住民に静脈血栓の疑いが認められるという。拡大するD-ダイマー検査のメリットD-ダイマーの臨床現場での即時検査のメリットはこれだけにとどまらない。とくに婦人科領域での可能性は大きい。妊娠に伴う血液凝固能亢進は、静脈血栓塞栓の発症を増加させ、妊娠中・分娩後の母体死亡のリスクとなる。そのため、低用量ピルの副作用としての静脈血栓症対策として、厚労省は血栓症を念頭に置いた診療をするよう注意喚起している6)。D-ダイマーが臨床現場ですぐに測れたら…。そのメリットは顕在化している肺血栓塞栓症への移行予防にとどまらない。高齢者、長期臥床、生活習慣病患者、がん患者など、高リスク患者が潜在している領域にも、その役割は拡大していくであろう。1)Sakuma M, et al. Research Intern Med. 2003; 42:470-476.2)Watanabe J, et al. Jpn Circ J. 2001; 65:941-946.3)Nakamura M, et al. Clin Cardiol 2001; 24:132-138.4)Cushman M, et al. J Thrombosis. 2010; 8:1730-1735.5)肺塞栓症研究会 災害緊急避難時における肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)に関する提言6)厚生労働省報道発表月経困難症治療剤「ヤーズ配合錠」投与患者での血栓症に関する注意喚起についてロシュ・ダイアグノスティックス コバスh 232の製品ページはこちら(ケアネット 細田 雅之)

27123.

大人のアトピー治療、臨床からのエビデンス

 国際医療福祉大学病院 皮膚科 教授の大塚 勤氏は、臨床における成人アトピー性皮膚炎(AD)患者への、経口シクロスポリン治療と抗ヒスタミン薬治療の評価を行った。結果、両者を組み合わせた治療がより有効であることを報告した。International Journal of Dermatology誌オンライン版2014年10月14日号の掲載報告。 臨床においては多くの成人AD患者が、経口シクロスポリンまたは抗ヒスタミン薬の治療を受けている。大塚氏は、両治療の臨床および検査所見による効果の評価を行った。 25例の経口シクロスポリン治療を受けたAD患者(うち男性11例、16~42歳、平均26.2歳)と、23例の抗ヒスタミン薬治療を受けたAD患者(うち男性10例、15~32歳、平均年齢24.2歳)が対象であった。 検査所見は、高感度CRP、TARCなどで統計的に検討した。 主な結果は以下のとおり。・血清TARCは、経口シクロスポリン治療後(1,013±883pg/mL)が、治療前(3万8,194±4,678pg/mL)と比べて有意な減少を示した(p<0.02)。・末梢血好塩基球値は、同治療後(49.7±26.4×10-3個/μL)が、治療前(41.1±16.7×10-3個/μL)と比べてより有意な増加を示した(p<0.05)。・血清高感度CRP値は、抗ヒスタミン薬治療後(0.09±0.08mg/mL)が、治療前(0.13±0.12mg/mL)と比べて有意な減少を示した(p<0.05)。・末梢血好塩基球値は、同治療後(33.4 ±16.2×10-3個/μL)が、治療前(41.5±23.3×10-3個/μL)より有意に減少した(p<0.01)。

27124.

スマホ版うつ病スクリーニングアプリの精度は

 スマートフォンのアプリケーションは、うつ病スクリーニングにおいて、セルフヘルプ的な介入として有益な可能性がある。しかし、それらの実行可能性と有効性、ならびにアプリユーザーの特徴に関する情報は限られていた。オーストラリア・シドニー大学のNasser F BinDhim氏らは、スマホアプリ版うつ病スクリーニングについて、ユーザーの利用理解度、利用状況および利用者特徴を検討するために横断研究を行った。その結果、ユーザーの4分の1がうつ病診断歴を有していたこと、またハイリスク例が6~8割程度含まれていたことなどを報告。多くの国でスマホアプリによるうつ病スクリーニングが実際に活用できる可能性を示唆した。Journal of American Medical Informatics Association誌オンライン版2014年10月17日号の掲載報告。 研究グループは、ボランティアを募り、利用理解度、利用状況、利用者の特徴を明らかにするため横断研究を行った。検討では、スマホアプリ版の無料うつ病スクリーニングを用いた。アプリには人口統計学的な質問、患者健康質問票(PHQ-9)、簡易不安検査、被験者の結果に基づく個別の推奨が含まれており、うつ病に関連するウェブサイトとリンクしていた。こうした無料アプリは、アップル社のApp Storeにて全世界で入手が可能である。2012年9月~2013年1月に登録された18歳以上の被験者に、アプリをダウンロードしてもらった。 主な結果は以下のとおり。 ・66ヵ国、8,241例がアプリをダウンロード、レスポンス率は73.9%であった。・被験者の4分の1がうつ病と診断されたことがあった。うつ病のハイリスクであるPHQ-9のカットオフ値11の被験者が82.5%、PHQ-9のカットオフ値15の被験者が66.8%を占めた。・多くの被験者が1つ以上の併存症および1回以上の自殺企図歴を有していた。・PHQ-9質問票への1回以上回答完了と関連していたのは、カットオフ値が11(OR:1.4、95%CI:1.2~1.6)、うつ病の診断歴(同:1.3、1.2~1.5)、大学院レベルの学歴(同:1.2、1.0~1.5)であった。・スマホアプリは多数の国で、うつ病のスクリーニングツールとして使用可能であった。・とくに若年成人において、疾患スクリーニング、セルフマネジメント、モニタリング、 保健教育に重要な役割を果たす可能性があった。関連医療ニュース 「笑い」でうつ病診断が可能に がん患者のうつ病を簡単にスクリーニングするには 認知症患者のニーズを引き出すアプリ:神奈川県立保健福祉大学

27125.

エボラ、赤道アフリカと西アフリカは別種/NEJM

 西アフリカで大規模に広がり続けるエボラウイルス病(EVD)の流行の一方で、赤道アフリカのコンゴ民主共和国で7回目のEVDアウトブレイクが報告されたのは、2014年7月26日のことだった。ガボン共和国・世界保健機関(WHO)研究協力センターのGael D Maganga氏らは、これら近接する2つの地域における同時期のアウトブレイクの関連を調査した。その結果、赤道アフリカのエボラウイルスは西アフリカとは異なることが判明したという。NEJM誌オンライン版2014年10月15日号掲載の報告より。サルから感染した妊婦と接触した医療者が感染源に 研究グループは、標準的なWHOのウイルス性出血熱臨床調査票を用いて、コンゴ民主共和国における疫学および臨床データを収集した。患者は、EVDに関して、「感染が疑われる(suspected)」「感染の疑いが濃厚(probable)」「感染確定(confirmed)」「非感染(non-EVD)」のいずれかに分類された。 個々の患者の接触者を追跡することで感染源の同定を試みた。また、採取された血液サンプルを用いて、特異的なRT-PCR法による診断を行い、ウイルス単離、ゲノム・シーケンシング、系統樹解析を実施した。 今回のEVDアウトブレイクは、同国Equateur州Boende市(人口約4万5,000人)近郊のInkanamongo村(首都キンシャサから直線距離で北西に約700km)で始まり、この地域に限定されていた。最初の感染例(index case)は同村に住む妊婦で、夫が見つけたサル(種は不明)の死体を解体したところ、2014年7月26日に発症し、8月11日に死亡した。 その後、1名の医師を含む4名の医療従事者が、妊婦と胎児を別個に埋葬するという現地の慣習に基づき、死亡した妊婦の帝王切開を行ったところ全員が感染し、死亡した。これらの医療従事者が、その後の感染源となっていた。死亡率74%、潜伏期間16日、迅速な対応で早期終息か 2014年7月26日~10月7日までに、感染疑い3例、感染濃厚28例、確定38例の69例(医療従事者8例を含む)が報告された。男性が33例、女性は36例で、21~60歳が80%を占めた。感染疑いの3例は、のちに非感染であることが判明している。感染濃厚例と確定例のうち49例(男性21例、女性28例、5歳未満の3例を含む)が死亡し、死亡率は74%(49/66例)だった。 EVD患者との接触から発症までの期間中央値は16日(3~27日)で、西アフリカの状況と類似していた。死亡例のうち32例の解析では、発症から死亡までの期間中央値は11日(1~30日)であった。8例の医療従事者(感染濃厚4例、確定4例)はすべて死亡している。 非感染例に比べ感染濃厚例および確定例で頻度の高い症状として、発熱、頭痛、下痢、悪心・嘔吐、疲労感、食欲不振、筋肉痛、嚥下困難、結膜炎、血便および血液の混じる吐瀉物が認められた。 index case以外は、すべてヒト-ヒト感染であった。アウトブレイクの最初の24日間にEVDと診断された29例のうち21例は、index caseと身体的またはその体液に接触していた。6回の発生のピークがみられ、8月17~24日の週の報告例数が最も多く、その後は急速に減少。10月7日の時点で、10月4日を最後に感染の報告はない。 また、index caseと接触した21例を除いた場合の平均再生産症例数(reproduction number、1人の感染者が再生産する2次感染者数)は0.84であり、感染持続の閾値である1を下回ったことから、今後、感染は終息に向かうと予測された。 一方、ゲノム・シーケンシングでは、今回のアウトブレイクの原因ウイルスは1995年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)のKikwit地区で発生したアウトブレイクの原因ウイルスとの遺伝学的同一性が99.2%で、現在西アフリカで進行中のアウトブレイクで同定されたウイルスとの遺伝学的同一性は96.8%であったことから、これらは別種のウイルスであると考えられた。 著者は、赤道アフリカのアウトブレイクが西アフリカよりも小規模であった理由のうち最も説得力のある要因として、(1)西アフリカとは対照的に、遠隔の森林地帯であり、人口密度が低く、交通機関が未発達でヒト間の接触が少なく時間もかかる地域であること、(2)過去6回のEVD流行の経験があり準備が整っていたため、対応が迅速で効果的であった点を挙げている。関連記事 発見者ピーター ピオットが語るエボラの今 エボラ出血熱 対策に成功し終息が宣言された国も エボラ出血熱の最新報告-国立国際医療研究センターメディアセミナー

27126.

切除不能大腸がんの1次治療、FOLFOXIRI+BVが有効/NEJM

 切除不能大腸がんの1次治療において、フルオロウラシル(5-FU)/ロイコボリン(LV)+オキサリプラチン+イリノテカン(FOLFOXIRI)とベバシズマブ(BV)の併用療法は、標準治療である5-FU/LV+イリノテカン(FOLFIRI)とBVの併用療法よりも良好な予後をもたらすことが、イタリア・ピサ大学のFotios Loupakis氏らが行ったTRIBE試験で示された。切除不能大腸がんの1次治療では、従来、FOLFIRIまたは5-FU/LV+オキサリプラチン(FOLFOX)と血管内皮細胞増殖因子(VEGF)のモノクローナル抗体であるBVの併用療法が標準治療とされる。しかしBVの臨床導入以前にFOLFOXIRIのほうがFOLFIRIやFOLFOXよりも有効性が優れることが示されており、またFOLFOXIRI+BVの第II相試験において、有望な抗腫瘍効果と良好な安全性が確認されていた。NEJM誌2014年10月23日号掲載の報告より。FOLFOXIRI+BVの予後改善効果を無作為化試験で評価 TRIBE試験は、切除不能大腸がんの1次治療におけるFOLFOXIRI+BV療法とFOLFIRI+BV療法の有用性を評価する非盲検無作為化第III相試験。対象は、年齢18~75歳、全身状態(ECOG PS)が0~2(70歳以上は0)で、組織学的に腺がんが確証され、治癒切除が不能と判定された患者であった。 被験者は、FOLFOXIRI+BV群またはFOLFIRI+BV群(対照群)に無作為に割り付けられ、1サイクル2週の治療が最大12サイクル施行されたのち、維持療法として5-FU+BV療法が病態進行となるまで継続された。 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS、割り付け時から病態進行または死亡までの期間)であり、評価は中央判定で行われた。FOLFOXIRI+BVのPFSが有意に2.4ヵ月延長、OSに有意差なし 2008年7月~2011年5月までにイタリアの34施設から508例が登録され、FOLFOXIRI+BV群に252例(年齢中央値60.5歳、男性59.5%、PS 0は90.1%)が、FOLFIRI+BV群には256例(60.0歳、60.9%、89.5%)が割り付けられた。原発巣が右結腸の患者がそれぞれ34.9%、23.8%(p=0.02)と有意な差がみられたが、これ以外の背景因子に差はなかった。 PFS中央値は、FOLFOXIRI+BV群が12.1ヵ月と、FOLFIRI+BV群の9.7ヵ月に比べ有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.62~0.90、p=0.003)。術後補助療法歴のある患者を除く全サブグループにおいて、PFSに関するFOLFOXIRI+BV群のベネフィットが認められた。 客観的奏効率(ORR)は、FOLFOXIRI+BV群が65.1%(完全奏効:4.8%、部分奏効:60.3%)、FOLFIRI+BV群は53.1%(3.1%、50.0%)であり、有意差が認められた(HR:1.64、95%CI:1.15~2.35、p=0.006)。また、全生存期間(OS)中央値はFOLFOXIRI+BV群が31.0ヵ月と、FOLFIRI+BV群の25.8ヵ月よりも延長する傾向がみられたが、有意な差はなかった(HR:0.79、95%CI:0.63~1.00、p=0.054)。 FOLFOXIRI+BV群はFOLFIRI+BV群に比べ、Grade 3~4の末梢神経障害(5.2 vs. 0%、p<0.001)、口内炎(8.8 vs. 4.3%、p=0.048)、下痢(18.8 vs. 10.6%、p=0.01)、好中球減少症(50.0 vs. 20.5%、p<0.001)の頻度が有意に高かった。BV関連の有害事象の頻度は両群で同等であった。重篤な有害事象(20.4 vs. 19.7%、p=0.91)および有害事象による死亡(2.4 vs. 1.6%)にも両群間に差はなかった。 著者は、「FOLFOXIRI+BV療法による6ヵ月の導入療法と5-FU+BVによる維持療法は標準治療よりも高い効果を示した。医療費は有害事象の発症に応じて増加した」とまとめ、「1次治療で3剤併用化学療法を行った場合の2次治療以降のレジメンや、RAS野生型例への適応などの課題が残る」としている。

27127.

健康長寿実現には早期死亡回避努力(早期死亡率改善)の忍耐強い継続的実践が優れた手段となる可能性に期待(解説:島田 俊夫 氏)-270

世界の先進国においては平均寿命が長くなり、平均寿命は70歳を超える時代に突入し、わが国を含む先進国の一部では女性は言うまでもなく90歳を超える勢いで、男性においても80歳を超える状況となっている。 本論文では、これ以上寿命を延ばすことにのみ目を向けるのではなく、健康寿命重視の立場から70歳未満のいわゆる早期死亡に視点を向け、早期死亡をいかにして減少させるかを国連(1970年~2010年)およびWHOのデータソース(2000年~2010年)を用いて検証し、具体的なデータに基づいて著者の考えをアピールしている。 Norheim氏らは、実施可能な目標こそが各国の政府に影響を与えるとして「2030年までに早期死亡の40%削減」を提案している。全死亡とヘルスケア改善には、修正可能な死亡原因や死亡の脅威となっている障害をすべて考慮することが必要であり、早期死亡の40%削減は、すべての国にとって不可避な課題であり、次の4つの目標達成を「2030年に向け継続可能な改善目標」として強化することを推奨している。(1)小児および妊産婦死亡の2/3削減、(2)結核、HIV、マラリアによる死亡の2/3削減、(3)非感染性疾患(NCDs)による早期死亡の1/3削減、(4)その他の要因(感染性疾患、低栄養、外傷)による死亡の1/3削減、である。 これらの目標達成が50歳未満死を半減し、50~69歳の死亡を1/3削減して、結果的には70歳未満死の40%削減が達成できるとしている。 この可能性を評価するために、人口上位25ヵ国、4つの所得国群および全世界の死亡動向をレビューしている。全死亡については1970~2010年の国連データを使用し、2000~2010年のWHOデータに基づき特異的原因死の動向調査を実施のうえ、2030年の各国人口を標準化した。 これらの情報を踏まえて著者は、「2000~2010年」にみられた死亡率減少の継続・維持・推進で、2030年の目標である疾患特異的死亡の2/3または1/3削減の目標達成は可能」としている。 この数値目標が達成されれば2030年の0~49歳の死亡は2,000万例のうち約1,000万例を、0~69歳の死亡は4,100万例のうち約1,700万例を減らすことが可能だと試算している。 この結果は、早期死亡を減らすことが発展途上国に限定されたものでなく先進国においてさえ、多少の差はあるとしてもあまねく健康改善の実現(健康長寿)に寄与することを強調している。また、NCDsのリスク因子であるタバコ、アルコールなどの使用を減らすことは早期死亡を減らすことに有効な手段となることは自明の理である。 単に長寿を追求する時代ではなくQuality of Lifeを考慮した健康長寿を目指す時代に私たちは生きている。

27128.

62)消費税率を話題に目標血糖値を覚えてもらうコツ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者消費税が5%から8%に上がって大変です。そんなに経済的に余裕がないのに・・・医師確かにそうですね。今日の検査を見て頂けますか。患者悪くなっているんですか?医師そうですね。血糖値が8%台になりました。合併症予防のための血糖コントロール(HbA1c)の第一目標は7%になります。ちなみに、糖尿病でない人のHbA1cは5%台です患者普通の人が5%で、私が8%ですか。消費税と同じ数字ですね。医師そうですね。値上がりをきっかけに、食品の購入について考えてみてもいいですね。患者確かに。余分なものは買わないようにしないと・・・(気づきの言葉)。●ポイント身近な話題を取り上げて、検査値について復習できるといいですね

27129.

静脈血栓塞栓症

※タイトルを選ぶとお好きなチャプターからご覧いただけます。深部静脈血栓症、肺塞栓症、血栓塞栓性肺高血圧症など増加している静脈血栓塞栓症について、基礎知識から最新の治療まで実症例のイメージング画像を交え、静脈血栓のスペシャリスト、東邦大学医療センター佐倉病院 循環器内科 清水一寛氏が解説する。チャプター1.血栓症の基礎知識2.疾患を知る3.静脈血栓塞栓症の治療

27131.

エボラ出血熱 対策に成功し終息が宣言された国も

 現在、エボラ出血熱が西アフリカを中心に蔓延している。厚生労働省検疫所は、WHOの情報として10月27日の段階で世界のエボラウイルス病について、疑い例を含む感染者が1万3000人を超え、そのうち死者が5,000人近くにのぼっていることを報告している。 最近では、西アフリカのマリで初めてとなるエボラウイルス病の確定症例が報告された。この患者は2歳の女児でギニアからの移動中に発症し、マリにあるFousseyni Daou病院を受診したが助からなかった。WHOのチームはすでにマリに配置されており、感染予防と制御、接触者の追跡、医療従事者の訓練に関して人的支援を続けている。 9月30日に初めての感染が報告されたアメリカでは、現在4例の感染が発生し、うち1例が死亡している。2例は、すでに退院しているが、残る1例は、ニューヨークで隔離され治療を受けている。接触可能性のある人については現在も監視が続けられている。 WHOが感染リスクの高い集団として挙げている医療従事者でも感染および死亡数が増加している。10月27日現在で、医療従事者におけるエボラウイルス病の感染は500名を超え、270名以上が死亡している。WHOは感染原因の調査を実施するとともに、全ての医療従事者が暴露リスクを最小限にとどめるための訓練準備、および個人用防護具を十分に確保すべく徹底した努力を続けている。 感染が広がる一方で、セネガルとナイジェリアでは、感染発生後の対策に成功し、それぞれ10月17日、19日に終息が宣言された。スペインでもただ一人の患者が検査の結果、1回目、2回目とも陰性であったため、このまま42日間新たな感染が発生しなければ終息が宣言される、とWHOは伝えている。詳しくは厚生労働省検疫所HPをご参照ください。関連記事 発見者ピーター ピオットが語るエボラの今 エボラ出血熱の最新報告-国立国際医療研究センターメディアセミナー

27132.

日本人、レベチラセタム静注の薬物動態

 2014年7月に本邦で承認されたレベチラセタムの静注製剤は、日本を除く世界の実臨床で数年にわたり使用されている。ベルギー・UCB Pharma社のNathalie Toublanc氏らは、日本人健康成人ボランティアにおいて、レベチラセタムの静注製剤と経口製剤の生物学的同等性を評価するとともに、日本人vs. 白人のレベチラセタム静注製剤の薬物動態を検討した。その結果、日本人健康成人においてレベチラセタム1,500mgの、単回静脈内投与と単回経口投与の生物学的同等性は示されなかった。また、レベチラセタム1,500mgの単回および反復静脈内投与後の薬物動態プロファイルについて、日本人と白人でおおむね類似していることを報告した。European Journal of Drug Metabolism and Pharmacokinetics誌オンライン版2014年10月5日号の掲載報告。 Study AとStudy Bの、2件のオープンラベル試験が実施された。それぞれの試験概要および主な結果は以下のとおりであった。【Study A】[試験概要]・日本人健康成人ボランティアにおける静注製剤と経口錠剤の、生物学的同等性を評価するため無作為化two-wayクロスオーバーデザインにより実施。・レベチラセタムの投与方法は、1,500mgを15分かけて単回静脈内投与、500mg錠を3錠経口投与であった。[主な結果]・27例中26例が試験を完了した。・幾何最小二乗平均(LSM)比(静注vs 経口)の推定値(90%信頼区間[CI])は、AUClastは0.97(0.95~0.99)であり、血漿濃度-時間曲線下面積の0~lastにおいて生物学的同等の範囲内(0.85~1.25)にあった。ただし、最大血漿中濃度(Cmax)は1.64(1.47~1.83)であり、生物学的同等の範囲外であった。・レベチラセタムの忍容性は良好であった。・Study Aでは、日本人健康成人において、レベチラセタム1,500mgの単回静脈内投与と単回経口投与の生物学的同等性は示されなかった。【Study B】[試験概要]・日本人健康成人と白人ボランティアにおけるレベチラセタム静注製剤の薬物動態を比較。・レベチラセタムの投与方法は、1,500mgを15分かけて単回および反復静脈内投与。[主な結果]・32例全例(日本人16例、白人16例)が試験を完了した。・単回静脈内投与後の幾何LSM比の推定値(90%CI)(日本人vs白人)は、体重標準化Cmaxが1.21(1.07~1.36)、AUClastは0.97(0.90~1.04)であった。・反復静脈内投与後の対応値は、Cmax, ssが1.01(0.91~1.12)、AUCT,SSが0.89(0.83~0.96)であった。・レベチラセタムの忍容性は良好であった。・Study Bでは、レベチラセタム1,500mgの単回および反復静脈内投与後の薬物動態プロファイルは、日本人成人と白人成人でおおむね類似していることが示された。■関連記事低用量EPA+DHA、てんかん発作を抑制レベチラセタムの神経活性阻害、新たな機序が判明:熊本機能病院難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

27133.

発見者ピーター ピオットが語るエボラの今

 2014年10月30日、都内にて公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)メディアセミナーが開催され、エボラウイルス発見者の1人であるロンドン大学衛生熱帯医学大学院学長 ピーター・ピオット氏が「エボラ出血熱やその他の感染症への対応と課題」について講演した。記事の続編はこちら(エボラ熱“最後の1人まで終わらない”と発見者ピオット氏)。予測できなかった今回のアウトブレイク エボラ出血熱は、1976年に発見されて以来25の集団発生を起こしているが、すべて数ヵ月で完全に封じ込められている。その多くはコンゴ、ウガンダなどの中央アフリカでの発生であった。今回の西アフリカで起こった最大の集団発生はすべてが異なっており、誰も予測できなかったという。 今回のアウトブレイクの始まりは、昨年(2013年)12月 。その3ヵ月となる3月25日、WHOがギニアでエボラ集団発生が報告されたとの声明を発表。国際NGO、国境なき医師団などが急遽、発生地ギニアに入り、隔離ユニットによる診療を開始した。しかし、ギニアにおける状況はさらに悪化し6月には首都でも発生。この時点で流行は加速し、隣国リベリア、シエラレオネでも発生している。その後、さまざまな拡大防止策を実行しているが、今日に至っても集団発生は継続しており、シエラレオネ、リベリアそしてギニアの一部で発生が多い。西アフリカの制圧が唯一の予防策 発生地から遠く離れたスペイン、米国でもエボラによる死者が出ている。グローバルな時代の今日、流行を防止する策として国境閉鎖、渡航者のスクリーニングがあるが、科学的には有効とはいえない。唯一の予防策は、西アフリカで封じ込めることであると、ピオット氏はいう。 しかし、ここにきて国際的な動きが始まった。今回の初めての集団発生の報告から5ヵ月を要しているものの、8月にはWHOがPublic Health Emergency of International Concern(国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態)を宣言した。それに伴い、各国政府も活動を開始。米・英国も軍、関係者を派遣し、発生地における病院の建設、物流サポートを開始した。アウトブレイク制圧は初動がカギ この予想外の流行の背景には、初動の対応の不備があるという。ナイジェリアの数十年にわたる内戦、ギニアの政治腐敗、リベリアの医療サービスの崩壊(多くの医師が国外に去り、2010年には10万人に1人以下の医師しかいない)。これらのことが対応を遅らせ、流行がコントロールできない状態に陥らせてしまった。 このようななか、明るい兆しもある。セネガル、ナイジェリア、コンゴでは自国でエピデミックを制圧している。これは隔離、ケア提供、接触者の検疫という非常に単純な方法によるものである。つまり、初期対応が良ければ制圧は難しくないのである。 今日のようなグローバル世界では、いや応なく感染症の流行は台頭する。日本のような感染症の少ない国でも、流行の危険にさらされている。そのため、感染症には今後も注目し続けて欲しいと、ピオット氏は述べた。関連記事 エボラ出血熱 対策に成功し終息が宣言された国も エボラ出血熱の最新報告-国立国際医療研究センターメディアセミナー

27134.

今シーズンのタミフル供給計画を発表

 中外製薬株式会社は29日、スイスのF. ホフマン・ラ・ロシュ社から輸入し、製造・販売している抗インフルエンザウイルス剤「タミフルカプセル75」「タミフルドライシロップ3%」(一般名:オセルタミビルリン酸塩)(以下、タミフル)について、2014-2015年シーズン(以下、今シーズン)に向けての供給計画を発表した。 今シーズンのタミフル供給計画(2014年10月29日時点)は以下のとおり。 タミフルカプセル75約400万人分 タミフルドライシロップ3%約300万人分 合計約700万人分 同社は、インフルエンザウイルスの流行拡大の状況に応じて追加供給も検討しているという。詳細は中外製薬のプレスリリースへ

27138.

日本人は米国人と同レベル

日本人のコレステロール値は、米国人と同レベルまで上昇しています日米の総コレステロール値の年次推移(mg/dL)230総コレステロール値女性(米国)220210男性(米国)200女性(日本)190男性(日本)18017019601970198019902000(年)米国:米国国民健康調査(NHES)/ 米国国民健康栄養調査(NHANES)より作成日本:冲中重雄 他: Jpn Circ J 29, 505-510, 1965 / 大島研三 他:動脈硬化 1:101-108, 1973厚生労働省:第3次/第4次/第5次循環器疾患基礎調査より作成Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

検索結果 合計:35155件 表示位置:27121 - 27140