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治療できるライソゾーム病 ―ポンペ病を見逃さないために―

ポンペ病(糖原病II型/酸性マルターゼ欠損症[AMD])ポンペ病は、ライソゾーム酵素である酸性α-グルコシダーゼの欠損・活性低下を原因とする常染色体劣性遺伝疾患で、多くの組織のライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積し、主に骨格筋や心筋、平滑筋が障害される。発症率は約4万人に1人と報告されており1-3)、国内では100人程度の患者が確認されている。治療としては、各症状に対する対症療法に加え、酸性α-グルコシダーゼを補充する酵素補充療法が行われる。ポンペ病を疑う特徴的な症状臨床症状はきわめて多岐にわたるが、発症する年齢により、乳児型と小児型・成人型(遅発型)の3つに分けられる。乳児型は生後6ヵ月までに発症し、心肥大などの重度の心機能障害、筋力低下・筋緊張低下(フロッピーインファント※)、呼吸障害、哺乳不良、発達障害などがみられるが、とくに心肥大と筋力低下・筋緊張低下はポンペ病を疑う。小児型は生後6~12ヵ月以降、成人型は10~60歳代に発症し、いずれも重度の心機能障害は来さないが、小児型では進行性ミオパチー、成人型では緩徐進行性ミオパチーを特徴とする。小児型・成人型では、近位筋の筋力低下、呼吸機能障害、早朝の頭痛、高CK血症などからポンペ病を疑う。最重症である乳児型は約3分の1の頻度を占め2)、心肺不全により生後1年以内に死亡する急速進行性の経過をたどるため4,5)、とくに早期診断・治療が求められる。※筋肉が柔らかくなり、正常な子供にみられない特異な姿勢になる。首の座りやお座り、はいはいや歩行といった発達が遅れる。ポンペ病の早期診断のためにポンペ病を疑う症状や所見が認められたら、「新生児マス・スクリーニング用ろ紙※」を用いた酸性α-グルコシダーゼ酵素活性測定による簡便なスクリーニング検査の実施が推奨される(図1)。本スクリーニング検査は、検体に乾燥ろ紙血を用いるため、侵襲が少なく、常温で郵送可能などの利点があり、国立成育医療研究センター臨床検査をはじめとした幾つかの医療機関で原則無料で実施されている。酵素活性測定の結果は、2~4週間程度で報告され、酵素活性低下が確認できれば、確定診断として遺伝子検査や筋生検が必要となることがある。ポンペ病は、患者数が少なく、疾患の認知があまりされていないうえに、他の疾患と類似した症状や所見を示すことがあるため、診断がつかないまま適切な治療を受けられないでいる患者さんが存在している可能性がある。ポンペ病の患者さんの予後を考えるうえでは、早期診断・治療がきわめて重要である。図1 ろ紙血検体作業・依頼方法(国立成育医療研究センターの場合)(1)1~2mL採血後、新生児マス・スクリーニング用ろ紙に血液を2、3滴滴下する。◇点線丸印からはみ出るように滴下する◇ろ紙の裏側にしみるまで滴下する拡大する(2)ろ紙に患者さんの名前(もしくはイニシャル、匿名化番号)、生年月日、採取日、性別を記入する。(3)吊り下げずにそのまま水平に置き、室温で5時間以上乾燥させる(2~3日の室温放置も可)。(4)完全に乾燥させた後、ビニール袋に入れ、郵送までの間、冷蔵で保存する。(5)「検査申込書(酵素活性検査用)」に必要事項を記入し、ろ紙血(ビニールに入れた状態)とともに常温で検査実施機関に郵送する。1)Hirschhorn R & Reuser AJJ. Glycogen storage disease type II: acid alpha-glucosidase (acid maltase) deficiency. In: Scriver CR, et al. eds. The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease. 8th ed. NewYork: McGraw-Hill; 2001.p.3389-3420.2)Martiniuk F. et al. Am J Med Genet. 1998;79:69-72.3)Ausems MG et al. Eur J Hum Genet. 1999;7:713-716.4)van den Hout HM. et al. Pediatrics. 2003;112:332-340.5)Kishnani PS. et al. J Pediatr 2006;148:671-676.

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統合失調症は進化の過程でどう生まれたのか

 なぜ統合失調症は、適応能力に対し負の影響を有しているにもかかわらず、人類の歴史を通じて淘汰されずにいるのかは、進化の謎のままである。統合失調症は、人間の脳の複雑な進化における副産物であり、言語や創造的思考、認知能力の融合物と考えられる。ノルウェー・オスロ大学のSaurabh Srinivasan氏らは、統合失調症に関する大規模ゲノムワイド研究などを分析した。Biological psychiatry誌2016年8月15日号の報告。 著者らは、遺伝子構造や遺伝的変異に関する補助的な情報を利用した統計的フレームワークを使用して、最近の統合失調症の大規模ゲノムワイド関連研究とその他ヒト表現型(人体計測、心血管疾患の危険因子、免疫介在性疾患)の範囲を分析した。ネアンデルタール選択的一掃(NSS:Neanderthal Selective Sweep)スコアと呼ばれる進化の代理指標からの情報を使用した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症と関連する遺伝子座は、最近のヒトにおけるポジティブ選択(低NSSスコア)を受けた可能性の高いゲノム領域において有意に広く存在していた(p=7.30x10-9)。・低NSSスコアの脳関連遺伝子内の変異体は、他の脳関連遺伝子における変異体よりも、有意に高い感受性を示した。・エンリッチメントは、統合失調症において最も強かったが、他の表現型でのエンリッチメントを排除することはできなかった。・27候補の統合失調症感受性遺伝子座への進化プロキシポイントの偽発見率条件のうち、統合失調症および他の精神疾患に関連または脳の発達にリンクしたのは12件であった。関連医療ニュース 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定 統合失調症患者の脳ゲノムを解析:新潟大学 統合失調症の病因に関連する新たな候補遺伝子を示唆:名古屋大学

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喫煙による潜在性動脈硬化リスク、禁煙で減るのか

 滋賀動脈硬化疫学研究(SESSA:Shiga Epidemiological Study of Subclinical Atherosclerosis)において、喫煙が複数の血管床での潜在性動脈硬化と強く関連する一方、その関連性は禁煙後の期間が長くなるに連れて減衰することがわかった。Journal of the American Heart Association誌2016年8月29日号に掲載。 喫煙は、心血管疾患の圧倒的な危険因子であるが、予防可能な因子でもある。本研究では、心血管疾患のない40~79歳の日本人男性1,019例の集団ベースのサンプルにおいて、喫煙状況・累積喫煙歴(pack-years)・1日消費量・禁煙後期間と、冠動脈石灰化・頸動脈内膜中膜複合体厚(CIMT)・頸動脈プラーク・大動脈石灰化・上腕足関節血圧比を含め、解剖学的に異なる4つの血管床での潜在性動脈硬化の関連を横断的に検討した。 主な結果は以下のとおり。・現在喫煙者、元喫煙者、非喫煙者の割合は、それぞれ32.3%、50.0%、17.7%であった。・現在喫煙者は、4循環すべてにおいて、非喫煙者と比べて潜在性動脈硬化リスクが有意に高かった(冠動脈石灰化>0のオッズ比[OR]:1.79[95%CI:1.16~2.79]、CIMT>1.0mmのOR:1.88 [同:1.02~3.47]、大動脈石灰化>0のOR:4.29 [同:2.30~7.97]、足関節上腕血圧比<1.1のOR:1.78 [同:1.16~2.74])。・元喫煙者は、頸動脈と大動脈で、非喫煙者と比べて潜在性動脈硬化リスクが有意に高かった(CIMT>1.0mmのOR:1.94 [同:1.13~3.34]、大動脈石灰化>0のOR:2.55 [同:1.45~4.49])。・現在喫煙者および元喫煙者で、pack-yearsや1日消費量との用量反応関係が、とくにCIMT、頸動脈プラーク、大動脈石灰化、上腕足関節血圧比との間に認められた。現喫煙者では、pack-yearsや1日消費量が少なくても、冠動脈石灰化や大動脈石灰化と関連していた。一方、元喫煙者では、禁煙後期間が動脈硬化指標すべてにおける低負荷と直線的に相関していた。

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ゲーム感覚で小児の視力を自動測定できるタブレット端末

 小児の視力を自動的に測定するタブレット型コンピュータが開発された。ゲームデザインを用いたアプリケーションソフトウェアが搭載されている。英国・マンチェスター大学のTariq M Aslam氏らは、100例以上の小児において検討し、このシステムは眼疾患を有する小児の視力を客観的かつ正確に自動測定できることを示した。将来の実用性が期待される。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2016年8月17日号掲載の報告。 研究グループは、マンチェスター王立眼科病院の小児眼科外来患者を受診した連続112例を対象に、Mobile Assessment of Vision by intERactIve Computer for Children (MAVERIC-C)システムを用いて視力を測定した。 MAVERIC-Cシステムは、ゲームデザインを用いて、視力測定のコンプライアンスを高め自動的に視力スコアを得られるタッチパネル式のタブレット端末で、参加者には特別に用意した視覚室で操作してもらった。また、検査者がETDRS視力検査に基づいた標準視力検査表を用い視力を評価した。 主要評価項目は、MAVERIC-C近見視力スコアの信頼性、およびMAVERIC-Cスコアと通常視力検査との一致性であった。 主な結果は以下のとおり。・112例中106例の小児(95%)が、手助けの必要なくMAVERIC- Cシステムを用いた視力測定を完遂することができた。・試験-再試験視力スコアの平均差は0.001(標準偏差[SD]±0.136)、一致限界(2SD)は±0.267で、視力スコアは十分信頼できることが認められた。・近見EDTRS視力検査との比較では、平均差-0.0879(±0.106)、一致限界±0.208であった。

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冠動脈疾患患者への降圧治療、Jカーブリスクに留意が必要/Lancet

 安定冠動脈疾患で降圧治療を受ける患者において、収縮期血圧120mmHg未満、拡張期血圧70mmHg未満と、それぞれ140mmHg以上、80mmHg以上で、死亡を含む有害心血管イベント発生リスクが増大するという「Jカーブ」を描くことが確認された。フランス・パリ第7大学のEmmanuelle Vidal-Petiot氏らが、45ヵ国、約2万3,000人を対象に行った前向きコホート研究の結果、明らかにした。至適降圧目標についてはなお議論の的であり、とくに冠動脈疾患患者では、拡張期血圧が低すぎる場合に心筋の血流低下が起きることが懸念されている。結果を踏まえて著者は、「所見は、冠動脈疾患患者に対する降圧治療は注意深く行うべきことを示すものだった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年8月26日号掲載の報告。心血管死、心筋梗塞、脳卒中の心血管イベントと血圧値の関連を分析 研究グループは、2009年11月~2010年6月にかけて45ヵ国で、安定冠動脈疾患で標準治療を受ける患者が登録されたレジストリ「CLARIFY」を基に、降圧治療を受ける2万2,672例のデータを解析した。 主要エンドポイントは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合心血管イベント。収縮期・拡張期血圧値(各イベント前の平均値を10mmHg単位で分類)との関連を分析した。収縮期血圧120mmHg未満、心血管リスク120~129mmHgの1.6倍 追跡期間の中央値は5.0年だった。分析の結果、収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧80mmHg以上において、心血管イベントの発生リスクをそれぞれ有意に増大した。具体的に、収縮期血圧140~149mmHg群は、120~129mmHg群(収縮期参照群)に比べ、心血管イベント発生に関する補正後ハザード比は1.51(95%信頼区間[CI]:1.32~1.73)、また、150mmHg以上群の同ハザード比は2.48(同:2.14~2.87)だった。拡張期血圧については、80~89mmHg群の70~79mmHg群(拡張期参照群)に対する同ハザード比は1.41(同:1.27~1.57)だった。 一方で、収縮期血圧120mmHg未満群でも、心血管イベント発生リスクが増大することが示された。収縮期参照群に対する同ハザード比は1.56(同:1.36~1.81)だった。拡張期血圧については、60~69mmHgの拡張期参照群に対する同ハザード比は1.41(同:1.24~1.61)、60mmHg未満は同2.01(同:1.50~2.70)だった。

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ステント留置後のプラスグレル投与、血小板機能検査は必要か/Lancet

 急性冠症候群(ACS)で冠動脈ステント留置術後の75歳以上ハイリスク患者に対してP2Y受容体拮抗薬プラスグレル(商品名:エフィエント)を投与する際、5mg/日投与後に血小板機能検査によるモニタリングを実施し用量調整を行っても、同検査をせずに5mg/日を投与し続ける場合と比べ、1年後までの心血管イベント発生率は変わらないことが明らかにされた。フランス・モンペリエ大学のGuillaume Cayla氏らが、877例を対象に行ったエンドポイント盲検化による非盲検無作為化比較試験「ANTARCTIC」試験の結果、明らかにしLancet誌オンライン版2016年8月28日号で発表した。心血管死、心筋梗塞、脳卒中などの複合エンドポイント発生率を比較 研究グループは、2012年3月27日~2015年5月19日にかけて、フランス35ヵ所の医療機関を通じて、ACSの治療で冠動脈ステント留置術を受けた75歳以上の患者877例を対象に、無作為化比較試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはプラスグレル5mg/日を投与し、14日後に血小板機能検査を行い、その結果に応じて用量を調整し、さらに14日後に再度検査を行った(モニタリング群)。もう一方の群には、プラスグレル5mg/日を投与し、血小板機能検査や用量の調整は行わなかった(対照群)。 主要エンドポイントは、12ヵ月後の心血管死、心筋梗塞、脳卒中、ステント血栓症、緊急血行再建術、BARC(Bleeding Academic Research Consortium)定義の出血性合併症(分類タイプ2、3、5)の複合だった。出血性合併症リスクも両群で同等 877例は、モニタリング群442例、対照群435例に無作為に割り付けられた。 Intention-to-treatによる解析の結果、主要複合エンドポイントの発生は、モニタリング群120例(28%)、対照群123例(28%)と、両群で同等だった(ハザード比[HR]:1.003、95%信頼区間[CI]:0.78~1.29、p=0.98)。キー複合エンドポイント(心血管死、心筋梗塞、ステント血栓症、緊急血行再建術)の発生(モニタリング群10% vs.対照群9%、HR:1.06、95%CI:0.69~1.62、p=0.80)、およびその他の虚血性エンドポイントについても有意差はみられなかった。結果は、項目別にみたエンドポイントすべてにおいて一貫していた。 主要エンドポイントの発生は、主として出血イベントが占めていた。その出血イベントの発生も両群間で有意差はなかった。主要安全性エンドポイント(BARC分類タイプ2、3、5)の発生は、両群ともに約20%(モニタリング群21%、対照群20%)だった(HR:1.04、95%CI:0.78~1.40、p=0.77)。 結果を踏まえて著者は、「投与調整のための血小板機能モニタリングは、ACSでステント留置を受けた高齢患者の臨床的アウトカムの改善には結び付かなかった。血小板機能検査は、多くの施設で行われており、各国ガイドラインでハイリスク患者への使用が推奨されている。しかし、今回の結果はそれらの適用を支持しないものであった」とまとめている。

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ピオグリタゾンと膀胱がんの関連はいかに…(解説:吉岡 成人 氏)-589

BMJ誌に2つの相反する解析データが掲載 2016年3月末、英国のプライマリケアのデータベースを利用して、14万5,806例の新たに治療を開始した2型糖尿病患者を解析したデータにおいて、ピオグリタゾン投与群ではそれ以外の薬剤治療群と比較してハザード比で1.63(95%信頼区間:1.22~2.19)倍、膀胱がんの発症が多いことがBritish Medical Journal誌に報告された1)。ピオグリタゾンの使用期間が2年以上、累積使用量が2万8,000mgを超えるとリスクが高まるとされている。そして、5ヵ月後の同誌には、ピオグリタゾンと膀胱がんのリスクは関連がないという報告が掲載されている2)。欧州4ヵ国の37万人の解析 フィンランド、オランダ、スウェーデン、英国の欧州4ヵ国の医療データベースを用いた後ろ向きコホート研究で、ピオグリタゾンが投与された5万6,337例とピオグリタゾン以外の薬剤を投与された同一国の2型糖尿病患者31万7,109例を対象として、1対1(nearest match cohort)および1対10(multiple match cohort)でマッチングした2つのコホートを設定し、Cox比例ハザードモデルを用いて解析を行っている。 平均追跡期間2.9年において、ピオグリタゾン群では130例の膀胱がんが認められ、対照群では1対1コホートで153例、1対10コホートで970例であった。膀胱がん発症のリスクについて、ピオグリタゾンの対照群に対するハザード比は1対1コホートで0.99(95%信頼区間:0.75~1.30)、1対10コホートで1.00(95%信頼区間:0.83~1.21)であった。また、ピオグリタゾンの投与期間や累積使用量と膀胱がんのリスクは関連せず、1対1コホートでピオグリタゾンの使用期間が48ヵ月を超えている群の補正後ハザード比は0.86(95%信頼区間:0.44~1.66)、累積使用量が4万mgを超えている群では0.65(95%信頼区間:0.33~1.26)であったと報告されている。いくつもの報告があるが… ピオグリタゾンは承認前の動物実験において、雄ラットにおける膀胱腫瘍の増加が確認されており、米国の医療保険組織であるKNPC(Kaiser Permanente North California)の医療保険加入者データベースを用いた前向きの観察研究が2004年から行われ、2011年に公表された5年時の中間報告で、ピオグリタゾンを2年間以上使用した患者において膀胱がんのリスクが1.40倍(95%信頼区間:1.03~2.00)と有意に上昇することが報告された。さらに、フランスでの保険データベースによる糖尿病患者約150万例を対象とした後ろ向きコホート研究でも膀胱がんのリスクが1.22倍(95%信頼区間:1.05~1.43)であることが報告され、フランスとドイツではピオグリタゾンが販売停止となっている。 その後、欧州と北米の6つのコホート研究を対象に、100万例以上の糖尿病患者を対象として、割り付けバイアス(allocation bias)を最小化したモデルを用いた検討が2015年3月に報告され、年齢、糖尿病の罹患期間、喫煙、ピオグリタゾンの使用歴で調整した後の100日間の累積使用当たりの発症率比は、男性で1.01(95%信頼区間:0.97~1.06)、女性で1.04(95%信頼区間:0.97~1.11)であり、ピオグリタゾンと膀胱がんのリスクは関連が認められないと結論付けられた3)。 KNPCの10年時における最終解析でも、ピオグリタゾンは、膀胱がんのリスクの増加とは関連しない(調整後ハザード比1.06:95%信頼区間:0.89~1.26)と報告されている4)。薬の安全性が確立されるには… 日本においては、ピオグリタゾンは1999年9月に製造が承認され、同年の12月に発売された。心血管イベントの発生抑制、冠動脈疾患におけるインターベンション後の再狭窄抑制などに対する有効性が喧伝され、一時期、多くの患者に使用された。しかし、副作用としての膀胱がん発症リスク、骨折のリスクなどに対する懸念が広まり、DPP-4阻害薬の発売とあいまってその使用量は減少している。ピオグリタゾンと膀胱がんの関連が示唆されてから5年以上経ってもこの問題には決着がついていない。 優れた臨床研究には長い期間と研究に対する情熱、膨大な基金が必要になるが、薬剤の安全性を担保するのに20年という期間が十分ではないということを私たちに教えてくれるのが、ピオグリタゾンという薬剤である。

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魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当か

 魚類の摂取やn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、うつ病予防に効果的であるといわれているが、賛否両論がある。イタリア・Ospedaliero-Universitaria Policlinico-Vittorio EmanueleのGiuseppe Grosso氏らは、食事による魚類やn-3PUFAの摂取とうつ病との関連を調査した観察研究の結果からシステマティックレビュー、メタ解析を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2016年8月16日号の報告。 主要な書誌より2015年8月までの観察研究を検索した。暴露および用量反応のメタ解析における最高摂取 vs.最低摂取(参照)カテゴリのランダム効果モデルを行った。 主な結果は以下のとおり。・31件の研究より、25万5,076人、うつ病2万人以上が抽出された。・魚類の摂取とうつ病との関連を調査した21件のデータセットの解析では、中程度の異質性が認められたが、線形の用量反応と有意なリスク低減を示した(RR:0.78、95%CI:0.69~0.89)。・プールされたうつ病のリスク推定値は、総n-3PUFAと魚類由来n-3PUFA(EPA、DHA)の両端カテゴリにおける最低摂取と比較して、最高摂取においてリスク低下をもたらした(それぞれ、RR:0.78、95%CI:0.67~0.92、RR:0.82、95%CI:0.73~0.92)。・用量反応解析では、ピークJ字型の関係はn-3PUFAを1.8g/日摂取によりリスクが減少することが明らかとなった(RR:0.30、95%CI:0.09~0.98)。・本解析では、食事によるn-3PUFA摂取量は、うつ病リスク低下と関連することが示唆された。関連医療ニュース 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 うつ病にEPAやDHAは有用なのか 少し歩くだけでもうつ病は予防できる

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プライマリケアでの高リスク処方を減らすには/BMJ

 プライマリケアでの高リスク処方減少に、どのような介入が有効か。英国・ダンディー大学のBruce Guthrie氏らは、教育的介入とフィードバックを行う介入、さらにフィードバックに行動変容を促す介入を加えた3つの方法を比較するクラスター無作為化試験を行った。結果、教育的介入では有意な減少効果はみられなかったが、フィードバックを加味した2つの介入は教育的介入との比較で12~14%減少し、高リスク処方減少に有効であることが認められたという。医療やアウトカムの質の向上や安全対策では、審査とフィードバックを行う介入が有効であることが示されているが、処方安全の観点ではエビデンスはほとんどなかった。また、これまでのフィードバック試験では、方法論的に限界があった。BMJ誌オンライン版2016年8月18日号掲載の報告。教育的介入 vs.フィードバックも実施 vs.さらに行動変容介入も 試験は、スコットランドの3つの衛生局区域からプライマリケア医262/278例(94%)が参加して行われた。被験者を3群に無作為に割り付け、第1(通常介入)群には、教育的介入として、患者特定の検索をサポートする教育的教材を電子メールで送付した(88例)。第2(フィードバック介入)群には、通常介入に加えて、高リスク処方の実施率が年4回、試験期間中計5回にわたって電子メールで送られた(87例)。第3(フィードバック+理論的行動変容介入)群には、前者2つの介入に加えてさらに、フィードバックの際に、行動変容要素が組み込まれた介入が行われた(87例)。 主要アウトカムは、患者レベルでみた、抗精神病薬、NSAIDs、抗血小板薬の高リスクに関する6つの処方(1:75歳以上の患者における経口抗精神病薬の処方割合、2:65歳以上で利尿薬とACE阻害薬またはARB治療を受ける患者における経口NSAIDの処方割合など)の複合であった。副次アウトカムは、6つの処方それぞれの評価であった。 主要解析は、15ヵ月時点で評価した、2つのフィードバック介入群の第1群と比較した高処方の割合であった。副次解析では、それぞれの介入による即時の変化傾向を調べた。フィードバックの有用性を確認 主要解析の結果、高リスク処方(主要アウトカム)は、通常介入群では6.0%(3,332/5万5,896例)から5.1%(2,845/5万5,872例)への減少であったが、フィードバック介入群では5.9%(3,341/5万6,194例)から4.6%(2,587/5万6,478例)への減少が認められた(通常介入と比較したオッズ比[OR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.80~0.96、p=0.007)。また、フィードバック+行動変容介入群では、6.2%(3,634/5万8,569例)から4.6%(2,686/5万8,582例)への減少が認められた(0.86、0.78~0.95、p=0.002)。 副次解析において、本試験の介入前に、高リスク処方が減少傾向にあったことが認められた。そのうえで各介入の介入前と介入後の影響を調べた結果、通常介入の教育的介入では、介入前にみられた減少傾向に影響を与えていないことが判明した。一方、フィードバックを求めた2つの介入では、介入前よりも介入後に、有意に急速な減少が認められた。 これらの結果を踏まえて著者は、「処方の安全性データのフィードバックは、高リスク処方減少に効果的である。介入は、電子カルテが一般的に使用されるようになっているかどうかで実施可能である」と述べている。

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滅菌手袋 vs.非滅菌手袋、外来での皮膚外科手術後の創部感染発症率は?

 外来での皮膚外科手術後の創部感染発症率に、使用した手袋が滅菌か非滅菌かにより影響を及ぼすかどうかは結論が得られていない。米国・メイヨークリニックのJerry D. Brewer氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、滅菌手袋と非滅菌手袋とで術後創部感染の頻度に差はないことを報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2016年8月3日号掲載の報告。滅菌手袋使用群は6,040例中121例(2.0%) 研究グループは、外来での皮膚外科手術における滅菌手袋使用時と非滅菌手袋使用時の術後創部感染発症について調査する目的で、MEDLINE(1946年~)、Cochrane Central Register of Controlled Trials (1991年~)、EMBASE(1988年~)、EBSCO Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature(1980年~)、Scopus(1996年~)、およびWeb of Science(1975年~)を用いて研究を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。 解析対象は無作為化試験および比較試験で、試験デザイン、手術背景および結果に関するデータを、論文および未発表データから独立して抽出した。無作為化、割り付け方法、盲検化および追跡率から研究の質を評価するとともに、術後創部感染の相対リスクおよび95%信頼区間を算出した。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たした14件の研究(計1万2,275例)が本レビューに組み込まれた。・このうち、単一群観察研究1件を除いた13件、1万1,071例がメタ解析の対象となった。・術後創部感染症は、1万1,071例中228例(2.1%)にみられた。非滅菌手袋使用群では5,031例中107例(2.1%)、滅菌手袋使用群で6,040例中121例(2.0%)であった。・非滅菌手袋使用による術後創部感染の相対リスクは、1.06(95%CI:0.81~1.39)であった。

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抗PD-L1抗体atezolizumabが非小細胞肺がんの生存を有意に延長

 スイスRoche社は 2016年9月1日、第III相試験、OAK研究の結果atezolizumab(商品名:TECENTRIQ)が、プラチナベース化学療法で増悪した局所進行または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し、ドセタキセルと比べ有意に全生存率の改善(OS)を示したと発表した。 米国食品医薬品局(FDA)はatezolizumabに対し、プラチナベース化学療法(またはEGFR変異陽性またはALK陽性腫瘍に対する適切な標的療法)中または後に進行した、PD-L1陽性NSCLC患者の治療のブレークスルーセラピー(画期的治療薬)指定を与えた。 OAK研究は、国際的な多施設オープンラベル無作為化第III相試験で、プラチナベース化学療法による治療後に増悪した局所進行性または転移性NSCLC患者を対象に、atezolizumabの有効性と安全性をドセタキセルと比較検討している。1,225例の患者が、無作為にドセタキセル75mg/m2またはatezolizumab1,200mg(いずれも3週間ごと)投与群に1:1に割り付けられた。主要評価項目は、全患者およびPD-L1で選別されたサブグループ患者の全生存期間、副次的主要評価は客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、および奏効期間(DOR)である。 atezolizumabは、PD-L1(programmed cell death-1 ligand-1)タンパク質に結合する初めてのモノクローナル抗体。 PD-L1に結合し、T細胞の表面上に発現するPD-1およびB7.1の相互作用を遮断することで、T細胞の活性化、効果的な腫瘍細胞の検出、攻撃能力の回復を可能にする。FDAで承認されているatezolizumabの適応はプラチナベース化学療法中または後に増悪した、あるいは術前術後のプラチナベース化学療法実施後12ヵ月以内に悪化した、局所進行性または転移性尿路上皮がん(MUC)患者に対する治療。Roche社のプレスリリースはこちら

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観察研究の限界超えられず:CLARIFY登録観察研究(解説:桑島 巖 氏)-588

 冠動脈疾患合併の高血圧症例では、過度な降圧によってかえって心血管予後が悪くなるという、いわゆるJカーブ論争というのが古くからあるが、本研究はそれをぶり返す論文である。すなわち、登録時および観察中の血圧が120mmHg以上では心血管死、心血管合併症は増えるものの、120mmHg未満であっても予後は悪化するという結論である。 “ぶり返す”というのは、昨年発表された米国からのランダム化試験SPRINTで、中等度以上のリスクを有する高血圧症例では、収縮期血圧120mmHg未満への降圧が140mmHg未満よりも心疾患予後の点で優れているという、J-曲線仮説を否定する結論が出ているからである。 CLARIFY登録研究は観察研究であり、エビデンスの信頼性ではランダム化試験SPRINTには及ばないことを認識しておくべきである。 本試験は、登録観察研究の大きな欠点である交絡因子を除外しきれていない点は難点である。具体的には、収縮期血圧120mmHg未満の群では、登録時すでに心筋梗塞症例が66%であり、他の血圧群(120~129:60%、130~139:57%、140~149:56%、>150mmHg:53%)よりも明らかに多い。また、登録時の左室駆出率も<120mmHgの群では52.7%と他の群の56~57%よりも明らかに低い。 これらのことは何を意味するか?登録時および観察時収縮期血圧が低い群は、すでに冠動脈疾患が重症でありかつ心機能が低下していることを意味し、登録時点で予後不良であったことを意味する。このことは、登録時の心不全合併率が高いことからも明らかである。つまり、血圧が下がったから心血管予後を悪くしたのではなく、最初から冠動脈疾患が重症だったから血圧が低かったのである。心血管死が多いのは血圧が下がった結果ではなく、心血管が重症だったから血圧が低かったという因果の逆転である。 しかも、血圧測定はたった5分間安静にしただけの診察室血圧であり、さらに年に1回の測定である。医師のいないところで自動血圧計での3回測定で、3ヵ月に1回測定したSPRINT試験とは大きな違いがある。 ちなみに、Jカーブ論争はそろそろ打ち止めとすべきであると私は考える。元々、この仮説はCruickshank氏という人物が、冠動脈疾患合併症を有する高血圧では拡張期血圧を85mmHg以下に下げると冠動脈死が増えるといって一時話題になった仮説であるが、拡張期85mmHgなどというレベル以下での予後悪化は、今では完全に否定されている。高齢化社会となった現在では、むしろ収縮期血圧が重視されており、拡張期血圧はかなり低いレベルでも問題にならない。血圧と死亡の関係では必ずJ曲線は存在するのである。致死的疾患では死に近づくほど、血圧は0になることは明白で、死と血圧の関係はJカーブとなるからである。Jカーブ論争には終止符を打つべきである。

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統合失調症に対するヨガ効果、標準治療との比較

 ヨガや運動は、統合失調症の認知機能障害のための補助的介入として用いられるが、対照比較研究は不十分である。インド・RML病院のTriptish Bhatia氏らは、パイロット研究に基づき、ヨガや運動トレーニングが統合失調症患者の認知機能を向上させるかを評価するために単盲検ランダム化比較試験を行った。Acta neuropsychiatrica誌オンライン版2016年8月12日号の報告。 対象は、試験の同意を得ることができ、臨床的に安定した統合失調症成人外来患者286例。ベースライン評価完了後、通常治療(TAU)、TAU+ヨガトレーニング(YT)、TAU+運動トレーニング(PE)に無作為に割り付けた。パイロット研究に基づき、主要評価項目は、Pennコンピュータ神経認知バッテリーにおける「注意」認知領域の速度を指標とした。ベースライン時、21日目(トレーニング終了時)、トレーニング終了3、6ヵ月後に治療企図パラダイムで評価した。 主な結果は以下のとおり。・YT群における6ヵ月後の注意領域スピード指数は、PE群よりも大きく改善した(p<0.036、エフェクトサイズ:0.51)。・PE群では、6ヵ月後の注意領域精度指数が、単独TAU群よりも大きく改善した(p<0.025、エフェクトサイズ:0.61)。・他のいくつかの認知領域では、単独TAU群と比較し、YT群またはPE群で有意な改善が認められた(p<0.05、エフェクトサイズ:0.30~1.97)。 著者らは「統合失調症患者に対するヨガ、運動トレーニング補助療法は、ともにトレーニング終了後も注意、認知領域を改善した。また、注意領域のスピード指数に対するヨガ補助療法の有益な効果が示された」としている。関連医療ニュース 統合失調症へのヨガ補助療法、その有用性は “ヨガ”で精神症状とQOLが改善 ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか

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生体吸収性スキャフォールド、中長期の臨床成績

 Absorb生体吸収性冠動脈スキャフォールド(Bioresorbable vascular scaffold:BVS、Abbott Vascular社)の1年超の臨床結果が、JACC: Cardiovascular Intervention誌 2016年9月号に発表された。ABSORB II、ABSORB JAPANなどの複数の試験によって、実現性と安全性が証明されているが、中長期の臨床結果に関する報告が限られているうえ、先行研究は比較的単純な冠動脈病変のみを対象としていた。医師主導型前向き単一施設単群試験 この試験は、医師主導型の前向き単一施設単群試験で、石灰化や完全閉塞、長病変、小血管径のような日常臨床でみられる病変に対するBVSの有用性を評価した。冠動脈へのインターベンションの既往がない新規の狭窄による非ST上昇型心筋梗塞、安定または不安定狭心症、無症候性虚血を対象とした。手技に関連した中長期的な臨床結果を評価した。主要評価項目を、心臓関連死亡、心筋梗塞、標的冠動脈病変の再灌流療法で定義された主要心血管イベントの発生とした。249例の335冠動脈病変が対象、平均追跡期間622日 2012年9月~2015年1月までに249例の患者の335冠動脈病変が組み込まれた。患者1人当たりのスキャフォールドの数は1.79±1.15であった。IVUSなどの侵襲的な画像診断を39%に用いている。ACC/AHA分類のタイプB2/C病変(複雑病変)が38.1%に認められ、冠動脈病変の平均病変長が22.16±13.79mmであった。ステント留置後の初期獲得径は1.39±0.59mm、平均追跡期間は622日(四分位範囲:376~734)であった。18ヵ月での主要心血管イベント、確定したステント血栓症は6.8%と1.9% Kaplan-Meier法による18ヵ月時点の主要心血管イベント発生率が6.8%であった。18ヵ月時点の心臓死、心筋梗塞および標的冠動脈病変に対する再灌流療法施行の割合はそれぞれ1.8%、5.2%および4.0%であった。確定診断されたスキャフォールドに関連した18ヵ月時点の血栓症の割合は1.9%であった。報告者らは、複雑な患者および冠動脈病変に対するBVS留置後の有害事象発生率が、追跡期間が長期となっても許容できる程度であった一方で、早期の血栓症は確認されなかったという結論を示している。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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再発/転移上咽頭がん、GEM+CDDPが有用/Lancet

 再発または転移上咽頭がんに対し、ゲムシタビン+シスプラチンはフルオロウラシル+シスプラチンと比較して、無増悪生存期間を有意に延長することが報告された。中国・中山大学がんセンターのLi Zhang氏らが第III相多施設共同無作為化非盲検試験の結果を、Lancet誌オンライン版2016年8月23日号で発表した。試験は中国国内22施設で、ECOG PSが0または1、臓器機能正常、RECISTガイドラインver1.1で測定可能病変を有する患者を対象に行われたもの。再発または転移上咽頭がんの転帰は不良であり、1次治療の化学療法は確立されていない。今回の結果を踏まえて著者は、「本検討の患者集団においてゲムシタビン+シスプラチンは、1次治療の治療オプションであることが確認された」とまとめている。フルオロウラシル+シスプラチンと比較 試験は、被験者を1対1の割合で無作為に2群に割り付けて行われた。1群にはゲムシタビン(1g/m2静注、1日目と8日目に)+シスプラチン(80mg/m2静注、1日目に)を(ゲムシタビン群)、もう一方の群にはフルオロウラシル(4g/m2持続点滴静注、96時間超で)+シスプラチン(80mg/m2静注、1日目に)を(フルオロウラシル群)、いずれも3週に1回、最大6サイクル投与した。無作為化は中央施設で双方向電話システムにより、6サイズブロックの無作為化法を用いて行われた。 主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)で、intention-to-treat集団にて独立画像委員会によって評価された。安全性の解析は、試験薬を最低1サイクル受けた患者を包含して行われた。PFSが有意に延長、安全性も確認 2012年2月20日~2015年10月30日の間に、計362例の患者が無作為に各群(181例ずつ)に割り付けられた。両群の特性は均衡しており、ゲムシタビン群は男性78%、EOCG PS 0が67%、年齢中央値47歳、非喫煙者78%、WHO分類type IIIが83%、遠隔転移72%などであった。また、6回サイクル投与は、ゲムシタビン群105例、フルオロウラシル群91例が完了している。 PFS評価は、追跡期間中央値19.4ヵ月(IQR:12.1~35.6)で行われた。結果、PFS中央値は、ゲムシタビン群7.0ヵ月(4.4~10.9)、フルオロウラシル群5.6ヵ月(3.0~7.0)で、ゲムシタビン群の有意な延長が確認された(ハザード比[HR]:0.55、95%信頼区間[CI]:0.44~0.68、p<0.0001)。 安全性解析には、計353例(98%)が含まれた(ゲムシタビン群180例、フルオロウラシル群173例)。有意差が認められた治療関連のGrage3/4の有害事象は、白血球減少(52例[29%] vs.15例[9%]、p<0.0001)、好中球減少(41例[23%] vs.23例[13%]、p=0.0251)、血小板減少(24例[13%] vs.3例[2%]、p=0.0007)、粘膜障害(0例 vs.25例[14%]、p<0.0001)であった。 重篤な治療関連の有害事象の報告は、ゲムシタビン群7例(4%)、フルオロウラシル群10例(6%)。また、薬物関連の有害事象で治療を中断したのは、ゲムシタビン群6例(3%)、フルオロウラシル群14例(8%)であり、治療に関連した死亡の報告は両群ともになかった。

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ニンニクは末梢動脈に良い?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第74回

ニンニクは末梢動脈に良い? >FREEIMAGESより使用 ニンニクを毎日食べ続けることで、末梢動脈閉塞性疾患に少しは効果があるかも? という論文を紹介しましょう。 Kiesewetter H, et al. Effects of garlic coated tablets in peripheral arterial occlusive disease. Clin Investig. 1993;71:383-386. これは、末梢動脈閉塞性疾患に対してニンニクが有効かどうか調べた研究です。なぜこの考えに至ったのかはちょっと不明ですが、興味深いテーマですね。末梢動脈閉塞性疾患を有する40~75歳の男女が登録されました。追跡期間は12週間です。被験者には、ニンニクパウダー(800mg)あるいはプラセボによる治療を毎日続けてもらいました。また、両群共に運動療法を併用しました。その結果、ニンニク群では無疼痛歩行距離が161.0±65.1mから207±85.0mに延長し、プラセボ群では172.0±60.9mから203.1±72.8mに延長しました。ほとんど差がないように思いますが、この文献では一応、距離の伸び幅に統計学的な差があったと記載されています(p<0.05)。また、拡張期血圧、血小板凝集能、血液粘度、血清コレステロール濃度はニンニク群で有意に減少していたそうです。副作用として、ニンニク群の被験者では、有意にニンニク臭いと訴えた人が多かったそうです。そりゃそうだ、クサイに決まってる。このニンニク療法、短期では効果が出ないようで、少なくとも5週間以上は毎日しっかり飲み続けたほうが良いと結論付けられています。ニンンクによって末梢の血流が増加するという報告もあり1)、まぁ、摂取しても悪くはないんでしょう。参考資料1) Anim-Nyame N, et al. J Nutr Biochem. 2004;15:30-36.インデックスページへ戻る

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第31回

第31回:膝の痛みにおける非外科的治療監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 人口の高齢化に伴い、整形外科領域で保存的治療(非外科的治療)を行っている方を多く見かけます。また、プライマリケア医が遭遇する頻度の高い疾患・症候群としてかぜ症候群、胃腸炎などと並んで「痛み・関節炎症状」が挙げられており1)、今後ますます外来で関節痛、関節炎に対する保存的治療の重要性が増すことが予想されます。今回の記事では、膝の痛みの原因として「変形性膝関節症」「膝蓋大腿疼痛症候群」「半月板・腱・靱帯の損傷」が取り上げられ、それぞれの非外科的治療について解説されていますので、ご紹介します。 以下、American Family Physician 2015年11月15日号2) より1.変形性膝関節症理学療法・運動療法:非外科的治療の基礎であり、ストレッチ、筋力強化(大腿四頭筋訓練)、運動プログラムが効果的である。また、BMI25以上の患者には減量が推奨され、有酸素運動とストレッチを組み合わせるとさらに効果的とされている。自宅で行う運動療法は専門家によるものと同様の効果がある。薬物療法:アセトアミノフェンとNSAIDsが第1選択と考えられている。無作為化試験ではアセトアミノフェンは投与量に関係なくイブプロフェンと同程度に効果的であることが示され、さらに5つのRCTの系統的なレビューでは、アセトアミノフェンは、その効果と副作用がNSAIDsより少ないことから、第1選択薬として考慮すべきとされている。NSAIDsは長期に使用すべきでないが、短期間ならプラセボより効果があるとしている。ビタミンD、グルコサミン・コンドロイチンサプリメントについては、疼痛に対する効果が証明されていない。関節内注射:関節内ステロイド注射について、コクランレビューでは、疼痛緩和の効果は1~2週間のみとしている。アメリカ整形外科学会ではステロイド関節内注射を推奨しておらず、使用するとしても3か月に1回以上投与するべきではないとしている。ヒアルロン酸注射(viscosupplementation)については、2012年の質の高いシステマティックレビューでは、プラセボと比較して何ら臨床的な効果は示されなかったと結論されている。※いずれの場合も、人工関節のある患者には感染のリスクとなるため、関節穿刺は避けるべきである。装具療法:矯正装具 (足底板やサポーター)の使用が害を及ぼすというエビデンスはなく、変形性関節症を含めた膝の慢性的な摩耗による症状に対して、有用なオプションといえる。2.膝蓋大腿疼痛症候群(PFPS;Patellofemoral pain syndrome)理学療法・運動療法:筋力トレーニングとストレッチが第1選択の治療になる。テーピングはコクランレビューでは疼痛に顕著な効果がないとしているが、最近のメタ分析では早期のテーピングが疼痛を改善するという報告もある。経皮的電気刺激やバイオフィードバック、カイロプラクティックを支持するエビデンスはない。薬物療法:疼痛に対してNSAIDsの短期間投与が効果的だという限られたデータしかない。装具療法:理学療法併用の有無にかかわらず疼痛緩和に効果的である。しかし、膝蓋矯正装具の効果を臨床的に裏付けるエビデンスはなく、患者への有益性を裏付けるデータもないことに留意する。3.半月板、腱、靱帯の損傷理学療法・運動療法:第1選択の治療である。退行性の半月板損傷や変性は、変形性関節症の原因となる。ロッキングやキャッチングがあれば整形外科医に紹介する。薬物療法:NSAIDsは短期の疼痛緩和に有用だが、治療の効果はまだはっきりしていない。関節内注射:大腿四頭筋や膝蓋腱など、体重のかかる腱へのステロイド注射は避けるべきだが、保存的治療で効果がない場合は、腸脛靭帯摩擦症候群(ランナー膝)の患者へのステロイド投与は許容される治療法である。慢性膝蓋腱障害と変形性関節症の疼痛と機能をわずかに改善させたという報告がある。装具療法:短期間の使用は靭帯断裂や膝蓋骨骨折といった外傷の直後であれば膝の保護に役立つ。一度あるいは二度の内側側副靱帯損傷には、装具使用に加え、経口鎮痛薬と早期からの理学療法が効果的である。一般的に装具療法は、腸脛靭帯摩擦症候群(ランナー膝)または膝蓋下腱障害といった膝の使い過ぎに使用される。前十字靱帯部分損傷には、急性期に装具を使用すれば保存的治療に効果があるかもしれないが、完全断裂は専門医に紹介する。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 田中勝巳ほか. プライマリ・ケア. 2007;30:344-351. 2) Jones BQ, et al. Am Fam Physician. 2015;92:875-883.

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レビー小体型とアルツハイマー型認知症、脳血管病変の違いは

 MRI上の脳血管病変は、アルツハイマー型認知症(AD)では一般的であるが、レビー小体型認知症(DLB)における頻度や影響はあまり知られていない。米国・メイヨークリニックのLidia Sarro氏らは、DLB患者の脳血管病変に関して検討を行った。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2016年8月10日号の報告。 連続したDLB患者81例、AD患者240例のMRIによる白質病変(WMHs)と梗塞を評価し、年齢、性別をマッチさせた認知機能正常者(CN)との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・DLBは、CNと比較し、高いWMH容積を有していた。DLBのWMH容積は、ADと比較し、後頭部および後脳室周辺で高かった。・高いWMH容積は、心血管疾患や糖尿病の既往歴と関連していたが、DLBの臨床的重症度との関連はみられなかった。・DLBにおける梗塞の頻度に、マッチさせたCNやADとの違いはみられなかった。関連医療ニュース レビー小体型とアルツハイマー型を見分ける、PETイメージング レビー小体型認知症、認知機能と脳萎縮の関連:大阪市立大学 認知症、アルツハイマー型とレビー小体型の見分け方:金沢大学

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