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両眼白内障の手術、両眼同時 vs.片眼ずつ

 両眼白内障の手術において、両眼同時手術と片眼ずつ手術では予後に違いはあるのか。米国・カイザーパーマネンテ北カリフォルニア研究部門のLisa J. Herrinton氏らによる後ろ向き研究の結果、両眼同時手術が、片眼ずつの手術と比較して術後の最高矯正視力(BCVA)不良や屈折異常、あるいは合併症リスクを増大させるとのエビデンスはないことが示された。Ophthalmology誌オンライン版2017年4月21日号掲載の報告。白内障の片眼ずつ手術群1万3,711例と両眼同時手術群3,561例を比較 研究グループは、(1)片眼ずつ手術を受けた両眼白内障患者において、1眼目の予後と2眼目の予後に差はない、(2)各患者の左右の眼を平均すると、両眼同時手術を受けた患者群と片眼ずつ手術を受けた患者群とで予後に差はない、という2つの仮説を検証した。 2013年1月1日~2015年6月30日に、両眼の白内障手術を受けたカイザーパーマネンテ北カリフォルニアの医療保険加入者を対象に、後ろ向きにBCVAおよび屈折異常について調査した。 統計解析はintention-to-treat解析とし、条件付きロジスティック回帰分析を用いて眼科医および患者レベルの要因を調整し、両眼同時手術群と片眼ずつ手術群を比較した。 白内障の手術において両眼同時群と片眼ずつ群を比較した主な結果は以下のとおり。・白内障手術の解析対象は、片眼ずつ手術群1万3,711例、両眼同時手術群3,561例であった。・眼の合併症は、片眼ずつ手術群でわずかに高頻度であった。・術後BCVAが20/20以上の割合は、片眼ずつ手術の1眼目で48%、2眼目で49%、両眼同時手術の右眼で53%、左眼で51%であった。・術後BCVAの個人内差は、片眼ずつ手術の1眼目と2眼目、ならびに、両眼同時手術の右眼と左眼とで、平均0.00であった。・調整後の平均術後BCVAは、片眼ずつ手術群より両眼同時手術群のほうが良好であったが、統計学的な有意差は認められなかった(BCVA20/20以上に対する20/20未満のオッズ比:0.91、95%信頼区間[CI]:0.83~1.01)。・正視眼(等価球面度数-0.5~0D)の患者の割合は、片眼ずつ手術の1眼目61%、2眼目61%、両眼同時手術の右眼で63%、左眼で63%であった。・補正後の平均術後屈折異常は、両群で違いはなかった(正視眼に対する屈折異常のオッズ比:1.02、95%CI:0.92~1.12)。・術後眼内炎は、両眼同時手術群1万494眼中1眼(発生頻度1.0/1万眼)、片眼ずつ手術群3万8,736眼中2眼(同0.5/1万眼)(p=0.6)に発生したが、両眼眼内炎は認めなかった。

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ネガティブ試験の出版割合は低くない?/BMJ

 ポジティブな転帰の試験は、ネガティブな転帰の試験よりも初回投稿時の採択率は高い傾向があるが、投稿や出版期日までの出版の割合はネガティブ試験のほうが高く、試験期間を通じて研究段階バイアス(submission bias)や出版バイアス(publication bias)のエビデンスは認められないとの結果が、米国・グラクソ・スミスクライン社研究開発部のGary Evoniuk氏らの調査で示された。同氏らは、「出版率にのみ重点を置いた分析は、不成功に終わった出版に向けた取り組みを考慮していない」と指摘する。研究の成果は、BMJ誌2017年4月21日号に掲載された。2010年以降に実施された文献調査では、clinicaltrials.govや他の公的サイトに登録された試験の15~44%は医学誌に発表されていないという。統計学的に有意な転帰が得られなかった試験は出版の可能性が低く、出版された場合も試験終了から公表までの期間が長期に及ぶとされてきたが、今回の結果はこれらの知見とは相反するものであった。単一企業スポンサーの試験を転帰別に検討 研究グループは、薬物研究の転帰が、査読(peer review)に基づく医学誌での出版に向けた投稿や採択の割合に影響を及ぼすかを検証した(GlaxoSmithKline社の助成による)。 単一企業スポンサー(GlaxoSmithKline社)がヒトを対象に実施し、2009年1月1日~2014年6月30日に終了して18ヵ月(2015年12月31日)以内に医学誌に投稿予定のすべての薬物研究の転帰別の出版状況を後ろ向きにレビューした。2014年6月30日以降に終了した試験であっても、2015年12月31日までに投稿された場合は、転帰にかかわらず解析に含めた。2016年2月26日の時点でのすべての試験の出版状況を調査した。 すべての試験は、出版状況の盲検下に、主要評価項目の転帰に基づきポジティブ(試験薬の転帰が好ましいと解釈される)、ネガティブ(好ましくないと解釈される)、混合(主要評価項目が2つ以上で、統計学的に有意差ありとなしの項目がある)、非比較(前3項目の基準を満たさない研究など)に分類された。ネガティブ試験には、主要評価項目は達成したが有害と判定された安全性試験も含まれた。転帰別投稿率:79 vs.92%、出版率:66 vs.77% 1,064件の試験(第I~IV相、介入研究、非介入研究)のうち、321件(30%)がポジティブ、155件(15%)がネガティブ、52件(5%)が混合、536件(50%)は非比較と判定された。 出版期日(2016年2月26日)の時点で、904件(85%)が完全原稿として投稿済みで、751件(71%)が出版されるか受理されており、100件(9%)は審査中であった。また、77件(7%)はカンファレンスの抄録として公開されており、投稿率や出版率の解析には含めなかった。 転帰別の投稿率は、ポジティブ試験が79%、ネガティブ試験は92%であり(Fisher正確確率検定:p<0.001)、混合が94%、非比較は85%であった。出版期日時の出版率は、それぞれ66%、77%(p=0.019)、77%、71%だった。また、全体の試験終了から投稿までの期間中央値は537日(IQR:396~638)、出版までの期間中央値は823日(650~1,063)であり、ポジティブ試験よりもネガティブ試験がそれぞれ31日(504 vs.535日)、102日(774 vs.876日)長かった。 初回投稿時の採択率は、ポジティブ試験が56%、ネガティブ試験は48%であった(p=0.17)。全体の10%以上の試験が、出版に至るまでに3回以上の投稿を要した。解析時に、83件(8%)が未投稿であり、そのうち49件がポジティブな生物学的同等性試験、33件は非比較試験であった。 米国食品医薬品局改正法(FDAAA)でclinicaltrials.govへの登録が要件となるすべての試験を含むほとんどの試験(98%、1,041/1,064件)は、その結果が1つ以上の公的な登録機関に掲載されていた。 著者は、「出版率に関するこれまでの議論は、スポンサーの投稿や医学誌の不採択の割合を把握していないため、研究結果の出版に向けたスポンサーの取り組みを実質的に過小評価している可能性があり、ネガティブな転帰の試験における研究段階バイアスや出版バイアスは一般に想定されるほどには広まっていないのではないか」と指摘し、「完全な透明性に関わる諸問題や障壁のよりよい理解に寄与するために、他のスポンサーや編集者に働きかけて、投稿規定や採択基準などの情報の共有に努めたい」としている。

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亜鉛欠乏症のあなどれない影響

 2017年4月26日、都内においてノーベルファーマ株式会社は、「見落とされがちな『亜鉛不足』の最新治療~日本初となる低亜鉛血症治療薬の登場~」と題してプレスセミナーを開催した。セミナーでは、2008年に承認された同社の酢酸亜鉛水和物(商品名:ノベルジン)が2017年3月に低亜鉛血症にも追加承認されたことから、小児に多い亜鉛欠乏症の概要を小児科専門医の視点から、そして、亜鉛が肝疾患に与える影響について消化器専門医の視点から講演が行われた。亜鉛欠乏症はサプリメントでは補えない はじめに「けっして稀ではない亜鉛欠乏」と題し児玉浩子氏(帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科 学科長・教授/帝京大学医学部小児科)が、亜鉛欠乏症の概要を説明した。 亜鉛は、人にとり必須微量ミネラルであり、成人男性なら約2gが体内に存在、各種酵素の形成や造血機能、皮膚代謝、味覚維持などの働きを担っている。亜鉛が欠乏すると、皮膚炎や脱毛、貧血、味覚障害、下痢、食欲低下、骨粗鬆症などの症状がみられ、性腺機能低下やとくに小児であれば発育障害を引き起こす。 「こうした身近にあるはずの亜鉛欠乏について、一般臨床ではあまり知られておらず、主な教科書や論文でも本症の症状が鑑別診断の対象とされていない。そのため、多くの場合、医療現場で見逃されている可能性がある」と児玉氏は指摘する。 「亜鉛欠乏症の診断指針」では、一定の症状(たとえば皮膚炎、口内炎、食欲低下、発育障害、易感染性、味覚障害など)があり、血清アルカリホスファターゼ(ALP)が低値で、症状の原因となる他の疾患が否定され、血清亜鉛値が60μg/dL未満で、亜鉛補充により症状が改善する場合を本症と確定診断する。 そして、亜鉛欠乏症と診断された場合、食事療法やサプリメントの摂取では改善しないことが多く、亜鉛製剤による治療が必要となる。亜鉛欠乏症の治療薬であるノベルジンを使用する際は、患者の病状や血清亜鉛値を参考としながら、成人および体重30kg以上の小児ならば1回25~50mgを開始用量としつつ、1日2回食後に経口投与する(最大150mg/日)。体重30kg未満の小児(なお、新生児は、現在臨床試験中)であれば1回25mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与する(最大75mg/日)。また、投与時に気を付けたい有害事象としては、嘔気、腹痛などの消化器症状、銅欠乏による貧血、白血球減少がある。いずれも重篤なものではないが、投与中は定期的血清亜鉛値の測定とこれによる減量と中止、必要な銅や鉄の補充を行う必要がある。 最後に児玉氏は「小児で食欲不振、低身長があれば亜鉛不足が推定される。また、成人であれば味覚異常、脱毛、貧血、長期の薬剤使用などがあれば亜鉛欠乏症を疑うサインとなる。日常診療でも本症を思い浮かべてもらい、疑ったら血清亜鉛値を検査するなど診療に生かしてもらいたい」と思いを語った。亜鉛欠乏が肝疾患に与える影響 次に片山和宏氏(大阪国際がんセンター 副院長/臨床研究センター長 肝胆膵内科)が、「亜鉛と肝疾患」をテーマに亜鉛欠乏が肝疾患に与える影響について解説した。 亜鉛には、タンパク合成を行う重要な働きがあり、欠乏すると肝臓の代謝不良から慢性肝疾患へ至るとされている。実際、亜鉛が不足し、肝臓でタンパク質の代謝が鈍るとアンモニアの処理ができず、肝性脳症になることが知られている。 そこで、片山氏が肝硬変患者の亜鉛欠乏の度合いを調べた研究では、血中アルブミン濃度が3.5g/dLまで下がると亜鉛欠乏(<70μg/dL)率は約90%になったという。また、肝硬変のタンパク代謝(アルブミン)と生命予後の関係の調査では、タンパク質合成がうまく働かず血中アルブミン濃度が下がると3.5g/dLを境に5年生存率にも大きく影響する。 そのほか、C型肝炎患者に亜鉛製剤投与の長期間経過観察(2,500日超)では、亜鉛濃度が80μg/dL以上維持できた場合、有意に発がん率が少なかったこと、動物モデルではあるが亜鉛投与で肝臓の線維化が抑制されたことなどが報告された。 臨床現場で使用されている「肝硬変診療ガイドライン2015(栄養編)」の中では、亜鉛補充は「中等度のエビデンス」とされ、亜鉛の必要性は認識されているもののエビデンスレベルが低く、今後エビデンスの集積が待たれるという。 最後に片山氏は「次回の改訂では、ガイドラインの栄養療法の項目で、エネルギー低栄養を認めたら低亜鉛血症への診療へと移る項目ができることを期待したい」と抱負を述べ、レクチャーを終えた。

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うつ病患者、入浴がうつ症状を軽減

 うつ病治療は進歩しているにもかかわらず、3分の1のうつ病患者は、従来の抗うつ薬では対応できていない。副作用の少ない、より効果的な治療が求められている。ドイツ・フライブルク大学のJohannes Naumann氏らは、うつ病性障害を有する成人において温熱浴がうつ症状を軽減するかを検討した。BMC complementary and alternative medicine誌2017年3月28日号の報告。うつ病患者において温熱浴が一般的に有用であることが示唆された ランダム化2アームプラセボ対照8週間のパイロット試験として実施した。ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)17項目版のスコア18点以上の中等度のうつ病であった安定したうつ病性障害(ICD-10:F32、F33)の外来患者を対象に、週2回の温熱浴(40℃)群またはグリーンライトによる偽介入群に無作為に割り付け、4週間介入を行った後、さらに4週間フォローアップを行った。主要アウトカム指標は、ベースライン(T0)から2週間時点(T1)までのHAM-D総スコアの変化量とした。 うつ病患者の温熱浴効果の主な結果は以下のとおり。・うつ病患者36例が、温熱浴群17例、偽介入群19例に無作為に割り付けられた。・intention-to-treat分析では、T1における温熱浴群(温熱浴4回実施後)は、偽介入群と比較し、HAM-D総スコア3.14点の有意な差が認められた(p=0.037)。 著者らは「本パイロット試験で、温熱浴がうつ病患者において一般的に有用であることが示唆された」としている。

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長門流 認定内科医試験BINGO!総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.1

第1回 膠原病/アレルギー 第2回 感染症 第3回 呼吸器 第4回 腎臓 認定内科医試験に向けた全3巻の実践講座の第1巻です。重要ワードは「頻出」。長年試験問題を分析し続けている長門先生が、実際の試験問題に近い予想問題を作成し、頻出ポイントをテンポよく解説します。もちろん最新のガイドラインのアップデートにも対応。各科目で試験に問われやすいポイントを押さえていますので、認定内科医試験はもちろん、総合内科専門医試験を受ける先生方も確実に得点アップにつながります。年々難しくなっているといわれる内科系試験。このDVDでぜひ合格を勝ち取ってください。第1回 膠原病/アレルギー 膠原病/アレルギーは、アップデートが頻繁な分野ですが、それを一つひとつキャッチアップするのは大変です。基本的なところを逃さないように得点していきましょう。頻出の問題やガイドラインのアップデートなど、しっかりと確認してください。第2回 感染症 感染症領域は、時事的な問題や感染対策、感染予防に関する問題がよく出題される傾向があります。代表的な感染症に加え、新興再興感染症、感染対策についても、しっかり押さえておいてください。第3回 呼吸器 呼吸器の領域では、X線やCTなどの画像から、診断・解答させる問題が増えています。そのほか、日本呼吸器学会の市中肺炎重症度分類(A-DROP)についてや、結核病巣の病理組織像など、頻出問題をよく確認しておきましょう。第4回 腎臓 腎臓の領域は、ネフローゼ症候群に関しての問題が多いので、細かいところまできちんと確認しておきましょう。また、「薬剤性腎障害診療ガイドライン2016」や「急性腎障害のためのKDIGO診療ガイドライン」は要チェックです。

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医師が知っておきたいレセプトの話

※ケアネットでは、本コーナーの記事内容から離れた、個別のレセプト請求や照会などに関する回答および取り次ぎは行っておりません。あらかじめご了承ください。High-Z Inc. ハイズ株式会社所在地新宿本社 東京都新宿区大久保1‐1‐10 グンカン東新宿ビル502汐留オフィス 東京都港区東新橋1‐2‐10 パル汐留ビル 9階TEL03-6280-6987 (代表)URLhttp://www.highz-inc.jp/index.html代表者裵 英洙業務内容医療機関向け経営コンサルティング業務ヘルスケアビジネスのアドバイザー業務講演・執筆 など

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第1回 そもそもレセプトって何ですか? ~日本の医療保険制度の概要【医師が知っておきたいレセプトの話】

さて初回は、日本の医療保険制度の仕組みをおさらいしておきましょう。日本の医療保険制度の特徴日本の医療保険制度の特徴は以下の3点です。1)国民皆保険制度国民全員を公的医療保険でカバー2)フリーアクセス受診する医療機関を国民が自由にチョイス3)現物給付医療サービスは直接給付(一部自己負担金あり)日本の医療保険制度の仕組み画像を拡大する図のように、私たちは国民皆保険制度の下、国民健康保険、全国健康保険協会(通称「協会けんぽ」)、共済組合など、必ずいずれかの医療保険に加入しています。そして、各々の「保険者」に毎月保険料を納付しています。けがをしたり体調を崩したりして、診療所や病院にかかった場合、一部の自己負担金(年齢や所得により自己負担割合は変化)を支払い、医療サービスを「現物給付」してもらいます。現物給付とは、現金をもらうのではなく、「医療行為というサービス」そのものをもらうことです。一方、医療サービスを提供した医療機関は、患者からの自己負担金以外の残りの金額を「審査支払機関」に請求し、支払いを受けることで、すべての対価を手にすることになります。このときに提供された医療サービスの対価として支払われる料金が、「診療報酬」なのです。よく耳にする“レセプト”とは、このときに医療機関が請求する「診療報酬明細書」のことです。「審査支払機関」は、「医療機関」から請求された金額の内容をチェックし、適正と判断した診療報酬を「保険者」に請求し、「保険者」から支払われた診療報酬を「医療機関」に支払っています。「審査支払機関」が内容のチェックを行い、適正でないと判断された場合、請求理由に問題があるとして減額されることを「査定(さてい)」、内容に不備があるとして医療機関に差し戻されることを「返戻(へんれい)」といいます。今回は、医師の方々が日々提供している診療がどのような制度の下で行われているか、それに付随する診療に関わるお金の流れをまとめてみました。しっかり診療した後のきっちりした報酬の流れも理解しておくと、日々頑張っている診療の意味をより深く考えるきっかけになりますね。次回からは「審査支払機関」、「レセプト」、「査定」、「症状詳記」など、医師の先生方が気になるテーマごとに、もう少し掘り下げてみていきましょう。

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抗うつ薬治療により誘発される躁病、リスクプロファイルは男女間で異なる

 抗うつ薬治療により誘発される躁病(antidepressant treatment-emergent mania:ATEM)を発症する男女の有病率および臨床プロファイルを、英国・ニューカッスル大学のJ Scott氏らが調査を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌2017年5月号の報告。 双極性障害患者754例の元サンプルから、厳密な基準を満たしたATEM症例75例とATEM対照群135例を抽出した。ATEM症例の男女を最もよく分類した臨床学的因子の組み合わせを特異的に検討した。主な結果は以下のとおり。・ATEM症例として分類された75例において、ATEMイベントの85%は、抗うつ薬単独療法中に発現した。・回帰分析では、男性の73%において、アルコールと物質使用障害の両方または一方(オッズ比[OR]:6.37)、1回以上の自殺企図歴(OR:4.19)、1年当たりのうつ病エピソード数の多さ(OR:1.71)が分類された。・対照的に、女性の84%は、甲状腺疾患の有病歴(OR:3.23)、双極I型障害の家族歴(OR:2.68)、極性発症抑うつ症状(OR:2.01)に基づいて分類された。 著者らは「ATEM状態の厳密な定義を使用し、偽陽性症例と偽陰性対照の包含の可能性を減少させることにより、ATEM症例のリスクプロファイルが性別により異なることを初めて確認した」としている。関連医療ニュース 双極性うつ病に対するドパミン作動薬の効果は 双極性障害に対する抗うつ薬使用の現状は うつ病、男女間で異なる特徴とは

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低LDL-Cが認知症リスクを低減する可能性/BMJ

 PCSK9遺伝子およびHMGCR(HMG-CoA reductase)遺伝子のバリアントに起因するLDLコレステロール(LDL-C)の低下は、認知症やパーキンソン病の発症リスクを増加させず、LDL-C値の低下によりアルツハイマー型認知症のリスクが低減する可能性があることが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMarianne Benn氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年4月24日号に掲載された。コレステロールは脳のニューロンを取り囲むミエリンの主成分であるため、低LDL-C値はアルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経疾患のリスクを増大させる可能性が指摘されている。11万例以上のメンデル無作為化試験 本研究は、LDL-Cの代謝および生合成に関与する遺伝子(それぞれ、PCSK9遺伝子、HMGCR遺伝子)の遺伝的変異に起因するLDL-C値の低下が、一般人口におけるアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、全認知症およびパーキンソン病のリスクを高めるとの仮説を検証するメンデル無作為化試験である(Danish Council for Independent Researchなどの助成による)。 デンマークの一般人口を対象とした類似する2つの前向き試験(Copenhagen General Population Study:9万9,993例、Copenhagen City Heart Study:1万1,201例)の参加者11万1,194例について解析を行った。 全体の年齢中央値は56歳(IQR:46~66)、55%(6万1,310例)が女性であった。LDL-C値別の内訳は、<1.8mmol/L(≒69.66mg/dL)が3.7%(4,087例)、1.8~2.59mmol/L(≒69.66~100.233mg/dL)が18%(2万0,335例)、2.6~3.99mmol/L(≒100.62~154.413mg/dL)が52%(5万7,847例)、≧4.0mmol/L(≒154.8mg/dL)は26%(2万8,925例)であった。1mmol/L低下による発症リスクへの影響はない 観察的な解析では、フォローアップ期間中央値8.2年における<1.8mmol/Lの集団の≧4.0mmol/Lの集団に対するパーキンソン病の多因子で補正したハザード比(HR)は1.70(95%信頼区間[CI]:1.03~2.79、傾向検定:p=0.01)と有意であったのに対し、アルツハイマー型認知症(0.93、0.62~1.40、p=0.35)、脳血管性認知症(0.46、0.15~1.48、p=0.56)、全認知症(1.04、0.79~1.38、p=0.18)には有意な差を認めなかった。 PCSK9遺伝子とHMGCR遺伝子のバリアントを統合すると、LDL-C値が9.3%低下した(傾向検定:p<0.001)。 また、年齢、性別、出生年で補正した遺伝的な因果分析では、LDL-C値が1mmol/L(≒38.7mg/dL)低下した場合のリスク比は、アルツハイマー型認知症が0.57(95%CI:0.27~1.17、p=0.13)、脳血管性認知症が0.81(0.34~1.89、p=0.62)、全認知症が0.66(0.34~1.26、p=0.20)、パーキンソン病は1.02(0.26~4.00、p=0.97)であり、いずれもLDL-C値低下による発症リスクへの影響はみられなかった。 Egger Mendelian randomisation(MR Egger)解析を用いたInternational Genomics of Alzheimer’s Project(IGAP)の要約データでは、LDL-C値の1mmol/Lの低下による、PCSK9遺伝子とHMGCR遺伝子の26のバリアントを統合した場合のアルツハイマー型認知症のリスク比は0.24(95%CI:0.02~2.79、p=0.26)と有意な差はなかったが、低LDL-C値に関連する380の遺伝的バリアントのMR Egger解析によるリスク比は0.64(0.52~0.79、p<0.001)であり、低LDL-C値はアルツハイマー型認知症のリスクの抑制において因果効果を持つ可能性が示唆された。 著者は、「進行中のPCSK9阻害薬の無作為化臨床介入試験に加えて、今回のわれわれの研究よりも統計学的検出力を高めたメンデル無作為化試験を行う必要がある」と指摘している。

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歯科治療で突然のむくみ!? 「遺伝性血管性浮腫」の危険性と予防

 2017年5月10日、都内にて「遺伝性血管性浮腫」をテーマにプレスセミナーが開催された(主催:CSLベーリング株式会社)。本セミナーは、今年3月に同社のベリナートP静注用500(一般名:乾燥濃縮人C1-インアクチベーター、以下ベリナート)が、「侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」に対する、適応追加承認を取得したことを受けて行われたものである。むくみが引き起こす、致死的な症状…HAEの危険性とは 遺伝性血管性浮腫(Hereditary angioedema、以下HAE)は、指定難病「原発性免疫不全症候群」の1つに認定されている疾患である。HAEは遺伝子の変異が原因で血液中のC1インヒビターの減少により、皮膚や消化管など、全身のあらゆる箇所に繰り返し腫れが起こる。 とくに、咽頭浮腫は、気道を塞いで呼吸困難を招き、致死的な状況に陥る場合もある、HAEの最も危険な症状である。セミナーの演者の1人、堀内 孝彦氏(九州大学病院 別府病院)は、咽頭浮腫が発症してから気道閉塞に至るまでの平均時間は8.3時間であったというデータを紹介し1)、症状を経過観察とすることで、窒息死に陥るケースがあることを紹介した。さらに、咽頭浮腫を呈していながら適切に治療しなかった場合の致死率は30%程度2)であることから、見逃してはいけない深刻な難病であることを強調した。意外と簡単? HAE早期鑑別のコツは、「あの問診と、この検査」 むくみが起こる原因として、とくに、抜歯などの歯科治療や、挿管が必要な全身麻酔は急性発作の強力な誘因として知られている。このように、血管性浮腫の原因は多彩であるが、堀内氏は「“家族歴の聴取”に加え、消化管浮腫による“激しい腹痛”の有無を聴取することで、HAEを疑うことができる」とコメントした。確定診断には補体C4値とC1-INHタンパク定量の2つの保険適応になる検査があるため、HAEを疑うことができれば、早期鑑別は比較的容易であるという。ベリナートの予防的短期投与がもたらすメリットとは もう1人の演者、田中 彰氏(日本歯科大学 新潟生命歯学部 口腔外科学講座)は自身の患者の歯科治療でHAE発作を初めて起こした症例を経験した。この経験をきっかけに、問診に加えて、高侵襲な歯科治療や抜歯において、術前の短期的予防投与が浮腫発作の抑制に有用であると強く感じたという。 ベリナートは、国内唯一のC1インアクチベーター製剤だが、身体への侵襲を伴う処置前の予防的な投与に対しても適応追加されたことで、患者さんが外科的治療や歯科治療を受ける際の急性発作のリスクを大きく低減することが期待される。

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確定診断までの平均期間は13.8年

 2017年5月9日、シャイアー・ジャパン株式会社は都内において、5月16日の「遺伝性血管性浮腫 啓発の日」を前に、「腫れやむくみ、腹痛を繰り返す難病の実態」と題したプレスセミナーを開催した。 セミナーでは、本症の概要解説のほか、同社が開設した情報サイト(医療従事者向け、患者・家族・一般向け)の紹介などが行われた。なお、遺伝性血管性浮腫は指定難病(原発性免疫不全症候群に含まれる)に指定されており、患者は公的補助を受けることができる。遺伝性血管性浮腫の概要 セミナーでは秀 道広氏(広島大学 医歯薬保健学研究科 皮膚科学 教授)が、「遺伝性血管性浮腫(HAE)の具体的症例と治療の現状」と題して概要を解説した。 HAEは、第11染色体長腕のヘテロ欠損または変異によりC1エステラーゼ阻害因子(C1-INH)が低下し、ブラジキニンが亢進することで起きる血管浮腫とされている。患者は、欧米の統計では約5万人に1人とされ(人種差はない)、わが国では約450例が確認されている希少疾病である。 症状として、浮腫が発作的に皮膚、気道、腸管などに生じる(歯科診療や手術が原因のことも多い)。これらに痒みはなく、数日で自然に消退する。顔面、とくに口唇、眼瞼に好発し、咽頭や声帯に生じた場合、呼吸困難を呈することがあり、挿管などの処置が必要となる。また、腸管などに生じた場合は、重度の腹痛や下痢を伴い、急性腹症との鑑別が必要となる。 診断では、「遺伝性血管性浮腫(HAE)ガイドライン 2010(改訂2014年版)」(日本補体学会作成)があり、HAEを疑う症候やC4補体のスクリーニング検査、家族歴の問診などで診断する。実際、アレルギー発作の治療で使用するアドレナリンやステロイドなどが無効のため、鑑別は重要だという。 治療では、急性の発作時や予防治療に乾燥濃縮人C1インアクチベーター製剤(商品名:ベリナートP静注)が使用される。また、このほかにも現在icatibant(国内申請中)やC1エステラーゼ阻害薬などの臨床治験が進められている。発作から気道閉塞まで平均8.3時間 診断もでき、治療法もある本症の問題は、医療従事者の間でもなかなか覚知されていない点にあるという。 疾患についての医師の認知度アンケートによれば、皮膚科(約9割)、血液内科(約6割)、小児科(約5割)、歯科口腔外科、呼吸器内科、救命救急科(いずれも約4割)と、皮膚科を除いてあまり知られていない。そのため、初発症状出現から確定診断までの平均期間は13.8年という報告もある1)。また、患者が咽頭浮腫を起こした場合、浮腫が最大に達するまでの平均時間は8.3時間(最短では20分)という報告もある2)ことから、万が一の気道閉塞も考えて、臨床現場では見逃してはいけない疾患であると秀氏は訴える。 最後に秀氏は、「本症は希少疾病ではあるが、医学的に確立しつつある疾患であり、今後、新しい治療薬の開発・臨床試験が行われようとしている。問題は、いかに広く本症が認知され、使うことができる治療法が患者へとつながるかにある」と述べ、レクチャーを終えた。(ケアネット 稲川 進)関連サイト「腫れ・腹痛ナビPRO」(医療従事者向け)「腫れ・腹痛ナビ」(患者、家族、一般向け)参考サイトNPO法人 血管性浮腫情報センター(CREATE)一般社団法人 日本補体学会HAEサイト

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世界および日本において喫煙対策は急務である(解説:有馬 久富 氏)-678

 Global Burden of Disease Study 2015から喫煙に関する成績がLancet誌に報告された。その結果は、世界において男性の25%、女性の5%が喫煙しており、年間640万人が喫煙のために死亡しているというショッキングなものであった。死因別にみると、心血管病死亡の41%、悪性新生物による死亡の28%、呼吸器疾患による死亡の21%が、喫煙によるものであった。つまり、喫煙者がいなくなることにより、心血管病死亡が約4割、悪性新生物による死亡が約3割、呼吸器疾患による死亡が約2割減少し、年間640万人の死亡が回避できると期待される。 生まれた年代ごとの検討では、喫煙を始める人が徐々に減り、早い段階から禁煙する人が増えてきていることがうかがえる。しかし、いまだに男性の約30%、女性の約5%が20歳までに喫煙を開始している。喫煙による健康被害を減らしていくためには、禁煙を推進するだけでなく、学校などにおける防煙教育を充実させて、たばこを吸い始めさせないようにする必要がある。 論文中には国別の成績もあり、日本人男性1,530万人・女性490万人が喫煙者であると報告されている。この数は、世界で7番目に多く、高所得国の中では米国に次いで2番目である。さらに、日本では年間16万人以上が喫煙のために死亡していると報告されている。防煙教育および禁煙を推進することにより、喫煙による健康被害および死亡を減らすことは急務である。また、非喫煙者の健康を守るために、国際水準を満たし、実効性のある受動喫煙対策法案の成立が望まれる。

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164)「プラーク」って何ですか?【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者先生、この間の超音波検査でプラークがあるっていわれたんですけど…プラークって何ですか?医師歯垢のことをプラークっていいますよね。患者プラークっていいますね。医師あれは、食べかすじゃなくて、虫歯菌や歯周病菌も含まれているんですよ。患者それじゃ、この間の検査のプラークは?医師あれは、血管壁にできたコレステロールの塊で、動脈硬化のことなんです。プラークの元々の意味は「壁飾り」という意味だそうです。患者へぇー、そうなんですか。医師それで、プラークがある血管では、血管に傷がついたりして、血栓ができて、心筋梗塞や脳梗塞になるんです。患者そうなるのをどうやって予防したらいいですか?(予防の話に展開)●ポイントプラークの説明をしながら、動脈硬化予防の話につなげます

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統合失調症の短期治療、2つのLAIでみられる違い

 統合失調症に対するアリピプラゾール月1回投与(AOM)とパリペリドンパルミチン酸エステル(PP)の相対的な有効性および忍容性を比較するため、韓国・カトリック大学校のChi-Un Pae氏らが検討を行った。International clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年4月20日号の報告。 AOMおよびPPを使用した短期プラセボ対照ランダム化研究を、広範なデータベースより検索した。2つの長時間作用型抗精神病薬注射剤(LAIA)の間接的な治療比較を行った。有効性の主要エンドポイントは、LAIAとプラセボのPANSS総スコアの平均変化量とした。エフェクトサイズは、2つのLAIA間の有効性の主要エンドポイントと安全性、忍容性についての平均差、オッズ比(OR)、95%CIとした。 主な結果は以下のとおり。・有効性の主要エンドポイントにおける平均差は有意に異なっており、PPよりもAOMで良好であった(OR:-6.4、95%CI:-11.402~-1.358)。感度分析と非劣性テスト(AOM vs.PP)が主要な結果であることを確認した。・全体の早期脱落率は、両群間で有意な差は認められなかった(OR:1.223、95%CI:0.737~2.03)。・しかし、有効性の欠如による早期脱落率について、PPよりもAOMで有意に良好であった(OR:0.394、95%CI:0.185~0.841)。 著者らは「本分析には限界があるものの、統合失調症の短期治療において、PPよりもAOMに相対的な利点があることが示唆された」としている。関連医療ニュース 急性期統合失調症に対するアリピプラゾール持効性注射剤の効果を解析 統合失調症に対する短期治療、アリピプラゾール vs.リスペリドン 2つの抗精神病薬持効性注射剤、その違いを分析

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糖尿病の世界の経済的負担は1兆3千億ドル

 既存の研究は方法・データに違いがあるため、糖尿病の疾病コストの国別の比較は難しい。今回、ドイツ・ゲッティンゲン大学のChristian Bommer氏らは、すべての国で統一された枠組みで、2015年における成人(20~79歳)の糖尿病による世界全体の経済的負担を推定した。その結果、経済的負担は1兆3,100億ドルと大きく、またこの負担が高所得国だけの問題ではないことが示唆された。The lancet. Diabetes & endocrinology誌オンライン版2017年4月26日号に掲載。 著者らは、184ヵ国の疫学的および経済的データを用いて、糖尿病による世界全体の経済的負担を推定した。直接費用は、WHO一般医療費支出の数字と国際糖尿病連合(IDF)糖尿病アトラス2015年版の罹患率データを基に、トップダウン式アプローチを用いて算出した。また間接費は、糖尿病関連の罹患率と早期の死亡率を含む人的資本アプローチを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・2015年の糖尿病での世界全体のコストは、1兆3,100億ドル(95%CI:1兆2,800億~1兆3,600億)で、世界全体のGDPの1.8%(同:1.8~1.9)であった。・間接費は、国によって割合と構成に大きな違いがあったが、総負担の 34.7% (95%CI:34.7~35.0)を占めていた。・北米はGDPに関して最も影響を受けており、また世界全体の絶対的コストにも最も大きく寄与していた。・経済的負担の対GDP比率は、平均すると、高所得国より中所得国で大きかった。

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染色体不安定性、NSCLC再発・死亡リスクを増大/NEJM

 染色体不安定性(chromosome instability)を介して誘導される腫瘍内不均一性(intratumor heterogeneity)は、非小細胞肺がん(NSCLC)の再発や死亡のリスクを高めることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMariam Jamal-Hanjani氏らTRACERxコンソーシアムの検討で示された。この知見は、肺がんの予後予測因子としての染色体不安定性の可能性を支持するものだという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年4月26日号に掲載された。NSCLCの腫瘍内不均一性やゲノム進化(genome evolution)の詳細な探索については、小規模な後ろ向きコホート研究しか行われておらず、治療戦略の指針となる腫瘍内不均一性の臨床的重要性や、ドライバー・イベントのクローン性は不明とされている。100例の327の腫瘍領域をシーケンシング 本研究は、早期NSCLCにおける腫瘍内不均一性と臨床転帰の関連を調査し、ドライバー・イベントのクローン性およびゲノム進化の過程の解明を目的とする前向きコホート試験である(Cancer Research UKなどの助成による)。患者登録は2014年4月に開始され、最終的に842例の登録を目標としており、今回は100例の解析結果が報告された。 全身療法を受けていない早期NSCLC患者100例(Stage IA~IIIA)から切除された検体を用いて、多領域全エクソームシーケンシングを行った。腫瘍の進化の過程を明らかにし、クローン(すべてのがん細胞に発現)およびサブクローン(一部のがん細胞に発現)のイベントを調査し、腫瘍内不均一性と無再発生存の関連を評価するために、327の腫瘍領域のシーケンシングを行い解析した。 腫瘍内不均一性については、変異(mutation、一塩基置換/ジヌクレオチド塩基置換、小挿入・欠失)または体細胞性コピー数変化(somatic copy-number alteration、染色体セグメントの獲得または喪失を反映)の評価を行った。コピー数不均一性の増加で再発・死亡リスクが上昇 対象の内訳は、男性が62例、女性が38例で、喫煙者が40例、元喫煙者が48例、非喫煙者が12例であり、組織型は腺がんが61例、扁平上皮がんが32例、その他が7例であった。 変異、体細胞性コピー数変化の双方で、広範な腫瘍内不均一性が観察され、サブクローンとして同定された体細胞変異の中央値は30%(範囲:0.5~93)、サブクローンとして同定された体細胞性コピー数変化の中央値は48%(範囲:0.3~88)であった。これは、腫瘍の発育過程で、変異および染色体レベルでのゲノム不安定性が進行していることを示唆する。 EGFR、MET、BRAF、TP53遺伝子のドライバー変異は、ゲノム重複(genome duplication)の発現前も、ほぼ常にクローン性であり、発がんへの関与が示唆された。一方、進化の後期に発現する不均一性ドライバー変化が腫瘍の75%以上に認められ、この変化はPIK3CA遺伝子やNF1遺伝子のほか、クロマチン修飾やDNA損傷応答・修復に関与する遺伝子に一般的にみられた。 ゲノム倍化(genome doubling)および進行する動的染色体不安定性は、腫瘍内不均一性と関連し、結果としてCDK4、FOXA1、BCL11A遺伝子の増幅を含む体細胞性コピー数のドライバー変化の平行進化(parallel evolution)が認められた。 また、変異の割合の増加は再発および死亡のリスク上昇と関連しなかったが、コピー数不均一性が増加すると再発および死亡のリスクが有意に上昇し(ハザード比[HR]:4.9、p=4.4×10-4)、多変量解析を行っても有意な差が保持されていた(HR:3.70、p=0.01)。 著者は、「現在進められている単一の遺伝子変異を標的とする取り組みに加え、同時に多数の遺伝子のコピー数を変化させる可能性のある染色体不安定性をよりよく理解する必要があり、このプロセスを抑制する治療は、無再発生存の低下を促進する不均一性や、腫瘍の進化を防止する可能性がある」としている。

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高感度心筋トロポニンT、非心臓手術後の死亡と関連/JAMA

 非心臓手術施行例では、術後3日間の高感度心筋トロポニンT(hsTnT)のピーク値が30日死亡リスクと関連することが、カナダ・マックマスター大学のP.J.Devereaux氏らが行ったVISION試験で示された。心筋虚血の臨床所見がみられない場合でも、hsTnT値上昇は30日死亡と関連したという。研究の成果は、JAMA誌2017年4月25日号に掲載された。非心臓手術後心筋障害(myocardial injury after noncardiac surgery:MINS)は、術後30日以内に発症した心筋虚血に起因する心筋障害と定義され、死亡との独立の関連が確認されている。非高感度心筋トロポニンTアッセイに基づくMINSの診断基準が確立されているが、米国食品医薬品局(FDA)は最近、hsTnTの使用を承認し、世界的に多くの病院でhsTnTアッセイが用いられている。13ヵ国の2万例以上を対象とする前向きコホート試験 本研究は、非心臓手術時の周術期hsTnT値と、術後30日死亡および心筋障害との関連を検討する前向きコホート試験であり、13ヵ国23施設の参加の下、2008年10月に開始され2013年12月にフォローアップを終了した(Roche Diagnostics社など60件以上の助成を受けた)。 年齢45歳以上、全身または局所麻酔下に非心臓手術を受け、術後1晩以上入院した患者2万1,842例が対象となった。術後6~12時間にhsTnT値を測定し、1日1回、3日間の測定が行われた。 修正Mazumdarアプローチ(hsTnT値の閾値を探索する反復的プロセス)を用いて、独立して30日死亡と関連し、補正ハザード比(HR)≧3.0、30日死亡率≧3%を満たす、予後予測に重要な術後hsTnTの閾値の最低値を確定した。 また、MINSの診断基準を明らかにするために、診断には術後hsTnT値上昇とともに、30日死亡に関連する心筋虚血の臨床所見(虚血性症状または心電図所見)が必要かを確定する回帰分析を行った。hsTnT値≧20ng/L、絶対値≧5ng/L上昇で死亡リスク増大 対象の平均年齢は63.1(SD 10.7)歳、49.1%が女性であった。術後30日以内に266例(1.2%、95%信頼区間[CI]:1.1~1.4)が死亡した。 多変量解析では、参照群(ピークhsTnT値<5ng/L)と比較して、術後ピークhsTnT値20~<65ng/L、同65~<1,000ng/L、同≧1,000ng/Lの群の30日死亡率は、それぞれ3.0%(123/4,049例、95%CI:2.6~3.6%)、9.1%(102/1,118例、95%CI:7.6~11.0)、29.6%(16/54例、95%CI:19.1~42.8)であり、補正後HRは23.63(95%CI:10.32~54.09)、70.34(95%CI:30.60~161.71)、227.01(95%CI:87.35~589.92)と、ピーク値が上昇するほど死亡リスクが高くなった。 hsTnT値の変化の絶対値≧5ng/Lの上昇は、30日死亡リスクの増大と関連が認められた(補正HR:4.69、95%CI:3.52~6.25)。また、虚血の臨床所見のない場合でも、術後hsTnT値上昇(術後ピークhsTnT値20~<65ng/Lの群のうち絶対値で≧5ng/L上昇した例および≧65ng/L群)は30日死亡と関連した(補正後HR:3.20、95%CI:2.37~4.32)。MINSを発症した3,904例のうち、3,633例(93.1%、95%CI:92.2~93.8)には虚血性症状がみられなかった。 著者は、「術後ピークhsTnT値≧20ng/LおよびhsTnT値の絶対値で≧5ng/Lの上昇が、30日死亡リスクの上昇と関連した」とまとめ、「これらの知見に基づき、MINSの診断基準は、虚血の臨床所見を要さない心筋虚血(非虚血性の病因のエビデンスはない)の結果と判定される術後hsTnT値の上昇であり、MINSは重大な心血管合併症リスクの増加と関連した」としている。

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アプレミラスト、156週以上投与の安全性を確認

 中等症~重症の尋常性乾癬および関節症性乾癬に対する経口PDE4阻害薬アプレミラスト(商品名:オテズラ)は、156週以上の長期投与においても安全性プロファイルは良好であり、忍容性も概して良好であることが示された。米国・Bakersfield DermatologyのJeffrey Crowley氏らが、アプレミラストの有効性および安全性を検証する海外第III相無作為化比較試験のESTEEM-1および2のプール解析を行い明らかにした。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年4月14日号掲載の報告。 研究グループは、アプレミラストのESTEEM-1および2の長期継続試験から、0~156週以上の投与における安全性について解析した。 解析対象は、アプレミラスト30mg1日2回を0~156週以上投与の1,184例であった(曝露量1,902.2患者年)。 主な結果は以下のとおり。・0~52週における発現率5%以上の主な有害事象は、下痢、悪心、上気道感染症、鼻咽腔炎、緊張性頭痛および頭痛であった。・0~156週以上において、新しい有害事象(発現率5%以上)は報告されなかった。・有害事象、重篤な有害事象、および有害事象による投与中止の頻度は、長期投与で増加しなかった。・0~156週以上において、0~52週と比較し、主要心イベント(曝露期間で調整した発現率[EAIR]:0.5/100患者年)、悪性腫瘍(EAIR:1.2/100患者年)、うつ病(EAIR:1.8/100患者年)、および自殺企図(EAIR:0.1/100患者年)の増加は認められなかった。・重篤な日和見感染、結核の再活性化または臨床的に意味がある臨床検査異常は報告されなかった。・本試験は脱落率が高かったが(156週以上投与された患者1,184例中249例[21%])、ほとんどは安全性の問題とは関連がなかった。

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1型糖尿病における強化インスリン療法:頻回注射法と持続皮下インスリン注入法の比較(解説:小川 大輔 氏)-677

強化インスリン療法 インスリン分泌には、1日を通して分泌される「基礎分泌」と、食べ物を食べた時に分泌される「追加分泌」がある。1型糖尿病のインスリン治療は、基礎分泌と追加分泌をインスリン製剤で補う「強化インスリン療法」が基本となる。 強化インスリン療法には主に2つの方法、ペン型の注入器でインスリン製剤を皮下に注射する「頻回注射法」と、インスリンポンプという機械でインスリンを注入する「持続皮下インスリン注入法」がある。頻回注射法と持続皮下インスリン注入法 頻回注射法は2種類のインスリン製剤を用いて、通常は基礎分泌を補うために持効型インスリンを1日1~2回注射し、追加分泌を補うために超速効型インスリンを1日3回各食事の直前に注射する。 持続皮下インスリン注入法は超速効型インスリン製剤をインスリンポンプにセットし、あらかじめ設定した速度でインスリンを皮下へ持続的に注入することによって基礎分泌を補う。また、ポンプのボタン操作で食事の前にインスリンを追加で注入し追加分泌を補う。 頻回注射法は手技が簡便であるが、1日4~5回皮下注射を行う必要がある。一方、持続皮下インスリン注入法は機械の操作がやや難しいが、皮膚に留置するカニューレの交換は2~3日に1回のため穿刺の回数は少なくて済む。1型糖尿病の治療:頻回注射法と持続皮下インスリン注入法の比較 1型糖尿病の治療では、低血糖をできるだけ回避しながら血糖コントロールを良好に保つことが求められる。強化インスリン療法には上述の2種類の方法があり、それぞれ長所と短所がある。これまでに持続皮下インスリン注入法は頻回注射法と比較し、血糖コントロールをより改善する、あるいは重症低血糖の頻度が低下するという報告が散見されるが、いずれも症例数が少なく、期間も短いため明確な結論は得られていない。 今回のREPOSE試験では、成人の1型糖尿病267症例を対象に、持続皮下インスリン注入法群と頻回注射法群の2群に割り付けてHbA1cの低下や重症低血糖の頻度を2年間にわたり観察した。また両群とも割り付ける前にインスリン治療に関する教育が行われた。結果であるが、HbA1cレベルは持続皮下インスリン注入法群でより低下する傾向がみられたが両群間で有意差はなかった。重症低血糖の頻度は両群とも低下したが、両群間で有意差は認めなかった。また心理社会的指標は治療に対する満足感やQOLに関する一部の項目で持続皮下インスリン注入法のほうが有意に改善したが、両群間で有意差はなかった。 持続皮下インスリン注入法群が頻回注射法群よりも、血糖コントロールが有意に改善しなかった理由は不明である。1つの可能性として、持続皮下インスリン注入法および頻回注射法への好みがない患者を2群に振り分けており、持続皮下インスリン注入法群でインスリンポンプを使用するモチベーションがあまりなかったのかもしれない。今回の研究では、両群とも血糖コントロールは改善したもののガイドラインで推奨されているレベルには到達しておらず、コントロール不良の成人1型糖尿病に対して持続皮下インスリン注入法を積極的に推奨することを支持する結果は得られなかった。

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