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進行子宮頸がんのベバシズマブ併用、第III相試験の最終解析/Lancet

 米国・カリフォルニア大学のKrishnansu S. Tewari氏らが、進行子宮頸がん患者を対象に血管新生阻害薬ベバシズマブ併用の有効性と安全性を評価した「米国婦人科腫瘍グループ(GOG)240試験」の、全生存期間(OS)と有害事象に関する最終解析結果を報告した。2012年の第2回中間解析でOSの改善が認められ、その結果に基づき2014年8月14日、米国で進行子宮頸がんに対するベバシズマブの使用が承認されたが、今回の最終解析においても、ベバシズマブ併用の有用性が全生存曲線により示され、追跡期間が延長しても持続していることが確認された。また、ベバシズマブ投与中に増悪しベバシズマブの投与を中止しても、その後の生存期間が化学療法単独療法中止後より短縮するという負のリバウンド作用は認められなかった。Lancet誌オンライン版2017年7月27日号掲載の報告。化学療法へのベバシズマブ追加の有効性を2×2要因デザインで評価 GOG240試験は、米国・カナダ・スペインの81施設にて実施された第III相無作為化非盲検比較試験。対象は、転移あり(Stage IVB)または治療抵抗性または再発の子宮頸がん患者で、シスプラチン(1日目または2日目に50mg/m2)+パクリタキセル(1日目に135mg/m2または175mg/m2)投与群、トポテカン(1~3日目に0.75mg/m2)+パクリタキセル(1日目に175mg/m2)投与群、および各化学療法にベバシズマブ(1日目に15mg/kg)を併用する群に1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、疾患の増悪や許容できない毒性の発現、患者の同意撤回または完全奏効に達するまで21日を1サイクルとして治療を継続した。なお、割り付けは、GOG PS(0 vs.1)、放射線増感剤としてのプラチナ製剤治療歴(有 vs.無)、病勢(再発/治療抵抗性 vs.転移あり)で層別化した。主要評価項目は、OS(intention-to-treat解析)および有害事象(解析対象は治療を受けた全患者)とした。 2009年4月6日~2012年1月3日に452例が登録され(化学療法単独群225例[50%]、ベバシズマブ併用群227例[50%])、2014年3月7日までに348例が死亡、最終解析のデータカットオフ基準(被験者450例、死亡346例)は満たしていた。最終解析でも化学療法+ベバシズマブ併用群のOS延長が持続 ベバシズマブ併用群では、化学療法単独群と比較しOSの有意な改善が持続していることが認められた(ベバシズマブ併用群16.8ヵ月 vs.化学療法単独群13.3ヵ月、ハザード比[HR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.62~0.95、p=0.007)。骨盤内放射線療法歴がない患者の最終OSはそれぞれ24.5ヵ月および16.8ヵ月であった(HR:0.64、95%CI:0.37~1.10、p=0.11)。増悪後のOSは、ベバシズマブ併用群と化学療法単独群で有意差は確認されなかった(8.4ヵ月 vs. 7.1ヵ月、HR:0.83、95%CI:0.66~1.05、p=0.06)。 瘻孔(全Grade)は、ベバシズマブ併用群220例中32例(15%)、化学療法単独群220例中3例(1%)にみられた。全例が放射線療法歴を有する患者であった。Grade 3の瘻孔は13例(6%)vs.1例(<1%)であった。緊急手術、敗血症または死亡に至った瘻孔はなかった。

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急性期脳梗塞の血栓回収療法、吸引型 vs.ステント型/JAMA

 前方循環脳梗塞患者における吸引型デバイスを用いた血栓回収は、ステントリトリーバーを用いた場合に比べて、再開通率の向上をもたらさなかったことが、ASTER試験(The Contact Aspiration vs Stent Retriever for Successful Revascularization study)の結果、明らかとなった。フランス・ベルサイユ大学のBertrand Lapergue氏らが報告した。これまで、急性期脳梗塞患者において、吸引型デバイスによる血栓回収(a direct aspiration first pass technique[ADAPT]またはcontact aspiration)とステントリトリーバーによる血栓回収の有用性を比較した無作為化試験からは、十分なエビデンスを得られていなかった。JAMA誌オンライン版2017年8月1日号掲載の報告。吸引型およびステント型血栓回収デバイスの有効性と安全性を比較 ASTER試験は、2015年10月~2016年10月に、フランスの総合脳卒中センター8施設で実施された無作為化非盲検臨床試験(評価者盲検)である。前方循環系の主幹動脈閉塞を有する発症後6時間以内の急性期脳梗塞患者を対象に、機械的血栓除去術の施行前に第1選択として、吸引型デバイス使用群(192例)とステントリトリーバー使用群(189例)に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、すべての血管内治療が終了した時点で修正Thrombolysis in Cerebral Infarction(TICI)スコアが2bまたは3の良好な再開通が得られた患者の割合(再開通率)とし、副次評価項目は、90日後の修正Rankin Scale(mRS)スコアの全体的な分布で評価される障害の程度、24時間後のNational Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコアの変化、90日後の全死因死亡率、および治療関連の重篤な有害事象などで、intention-to-treat解析が実施された。再開通率、臨床的有効性および有害事象に両群で有意差なし 381例(平均年齢69.9歳、女性174例[45.7%])が割り付けられ、このうち363例(95.3%)が試験を完遂した。発症から動脈穿刺までの時間(中央値)は、227分(四分位範囲:180~280)であった。 主要評価項目である再開通率は、吸引型デバイス群85.4%(164例)に対し、ステントリトリーバー群は83.1%(157例)であった(オッズ比:1.20、95%信頼区間[CI]:0.68~2.10、p=0.53、群間差:2.4%、95%CI:-5.4~9.7)。また、臨床的有効性アウトカム(24時間後のNIHSSスコアの変化、90日後のmRSスコア)や有害事象は、両群間で有意差を認めなかった。〔8月25日 記事の一部を修正いたしました。〕

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BRCA1/2変異保有者における乳がん、卵巣がんおよび対側乳がん発症リスクに関する大規模研究(解説:矢形 寛 氏)-710

 本研究は欧米の3つのコンソーシアムに登録されているBRCA1/2変異保有者における前向き観察研究であり、遺伝カウンセリングを行ううえで非常に参考になるものである。今まではメタ分析(Chen S, et al. J Clin Oncol. 2007;25:1329-1333.)あるいは英国の前向き研究(Mavaddat N, et al. J Natl Cancer Inst. 2013;105:812-822.)の結果を用いていたが、今後はより規模が大きく精度の高い本研究の結果を活用したい。 乳がん、卵巣がん、対側乳がんの発症リスクを長期間にわたって前向きに検討しており、リスク低減手術などの影響をできるだけ排除している。また、年齢によるがん発症リスクの違いを示しているが、むしろ年齢によってそれほど異ならないことに驚いた。さらに変異部位ごとのがん発症率の違いだが、あるとはいってもその差は小さい。家族歴の有無によっても、がん発症リスクに違いはあるがやはりわずかであり、家族歴の正確性が低い場合にはまったくあてにならない。したがって家族歴も、方針の決定には大きな影響を及ぼさないのではないか。

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円形脱毛症

【皮膚疾患】円形脱毛症◆病状境界がはっきりした脱毛部が急速に出現します。複数個所に現れることもあり、頭毛だけでなく眉毛、まつ毛、体毛が抜けることもあります。◆原因免疫の異常が主な原因と推測されています。遺伝的素因やストレスも影響すると考えられています。膠原病や感染症に伴う脱毛症との鑑別が必要な場合があります。◆治療と予防・まず内服薬や外用薬で治療します。●一言アドバイス自然治癒することもありますが、治療には時間がかかります。注射や特殊な外用療法、光線治療など(一部保険適用外)もあります。監修:浅井皮膚科クリニック 院長 浅井 俊弥氏Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.

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抗うつ薬投与下での運転、その安全性は

 ドイツ・ルートヴィヒマクシミリアン大学のAlexander Brunnauer氏らは、抗うつ薬の自動車運転パフォーマンスへの影響に関する実験的および臨床的研究をレビューした。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2017年7月17日号の報告。 PubMedデータベースより、1980~2016年に発表された研究をシステマティックに検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・本レビューには、28研究が抽出されたが、抗うつ薬投与患者の自動車運転パフォーマンスを調査した研究は5件のみであった。・ミアンセリンを除く大部分の三環系、四環系抗うつ薬は、自動車運転パフォーマンスに重大な悪影響を及ぼし、亜慢性期後の使用で減弱した。・SSRIおよびベンラファキシンやミルナシプランなどのSNRIは、自動車運転パフォーマンスに影響を及ぼさなかった。・トラゾドンは、用量依存的に急性の影響を有すると考えられる。・ミルタザピンの急性期使用は、夜間投与を行った場合に影響が認められたが、低用量または反復投与後の場合、健常被験者においては認められなかった。・アルコールによる付加的効果は、鎮静系の抗うつ薬において最も顕著であった。・多くの患者において、自動車運転技術に対する新規抗うつ薬治療のメリットが認められると考えられる。 著者らは「自動車運転パフォーマンスに関して、どの抗うつ薬治療が患者にとって最も有用かという課題を解明するためには、より多くの患者による研究が必要である」としている。■関連記事自動車事故リスク、うつ病や抗うつ薬ではどうか睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか車両運転事故、とくに注意すべき薬剤は

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QT延長症候群における現在のアウトカムは?

 イオンチャネルの異常により引き起こされるQT延長症候群(LQTS)は、1年あたり1~5%の割合で失神、蘇生された心停止、突然死が認められる。本研究では、米国メイヨークリニックのAckerman氏ら研究グループが、単一施設における、最近のLQTSの成績について調査した。Journal of American College of Cardiology誌2017年8月号に掲載。LQTS 606例の長期成績を後ろ向きに解析 本研究では、 LQTSの患者606例(LQT1:47%、LQT2:34%、LQT3:9%)について、後ろ向き解析が行われた。患者らは、1999~2015年12月にメイヨークリニックの遺伝性不整脈クリニックで評価を受けた。心イベントは、LQTSによる失神もしくは痙攣、蘇生された心停止、適切に植込み型除細動器で停止された心室細動、そして心臓突然死と定義された。平均6.7年のフォローアップ、92%%の患者はLQTSに関連した心イベントなし 最初にメイヨークリニックを受診する以前に症状があったのは、166例(27%)であった。初発症状の平均年齢の中央値は12歳。治療戦略としては、無治療が47例(8%)、β遮断薬のみが35例(58%)、ICDの植込みのみが25例(4%)、左心臓交感神経節切除術のみが18例(3%)、これらの治療の組み合わせが166例(27%)であった。平均で6.7年(IQR:3.9~9.8年)のフォローアップにおいて、556例(92%)の患者はLQTSによる心イベントを経験しなかった。受診前に症状があった患者の25%はその後も心イベントが発生 診断前に無症状だった440例のうち、8例(2%)が1回の心イベントを経験していた。それとは対照に、症状があった166例のうち、42例(25%)が1回以上の心イベントを経験していた。2回以上の心イベントを経験した30例のうち、2例が死亡し、3例のLQT3の患者は心臓移植を受けていた。 成績は以前と比べて著明に改善しているが、症状が以前から認められた4例に1例が、その後に少なくとも1回以上、非致死性ではあるが、心イベントを経験しており、より進んだ治療戦力の最適化が必要だと考えられたと結論付けている。■関連記事 循環器内科 米国臨床留学記

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ニボルマブ、MSI-H転移性大腸がんに承認/FDA

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は2017年8月1日、米国食品医薬品局(FDA)が、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行した高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の転移性大腸がん(mCRC)の成人および小児(12歳以上)患者の治療薬として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)を承認したことを発表した。この適応は、奏効率(ORR)および奏効期間に基づき、迅速承認された。この適応の承認の継続条件は、検証試験において臨床的有用性を証明し記載すること。推奨用量は240mgで、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、2週間ごとに60分以上かけて静脈内投与する。 CheckMate-142試験では、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療歴を有する患者(74例中53例)において、ニボルマブの投与により28%(95%CI:17~42、53例中15例)の奏効が認められた。完全奏効(CR)は1.9%(53例中1例)、部分奏効(PR)は26%(53例中14例)であった。これらの奏効患者における奏効期間中央値は未達(2.8+~22.1+ヵ月)であった。登録された全患者では、ニボルマブのORRは、32%(95%CI:22~44、74例中24例)であり、CRは2.7%(74例中2例)、PRは30%(74例中22例)であった。■参考ブリストル・マイヤーズ スクイブ(米国)ニュースリリースCheckMate-142試験(Clinical Triakls.gov)■「MSI-H」関連記事 いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくか

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肺がん治療ターゲット・セラピー、未来への系譜/アストラゼネカ 第2回【肺がんインタビュー】

第2回 肺がん治療ターゲット・セラピー、未来への系譜/アストラゼネカ肺がん治療に大きな変化をもたらしたEGFR-TKIゲフィチニブ。さらに、2016年には第1・第2世代の耐性をも克服した第3世代EGFR-TKIオシメルチニブを発売したアストラゼネカ。ターゲット・セラピーを通し、肺がん治療の発展に貢献し続ける同社だが、その道のりは平坦ではなかった。同社オンコロジー事業本部マーケティング統括部長 森田慎一郎氏に、肺がん治療と共に進んできた道のりと今後の展開を聞いた。ケアネットの調査で、すべてのがん種を通し、ドクターが最もインパクトが大きいと評価した薬剤はゲフィチニブでした。ゲフィチニブは、発売前から非常に高い期待を背負っていましたが、その後の有害事象の発現で事態が大きく変わったかと思います。その当時の状況はいかがでしたかアストラゼネカ株式会社 オンコロジー事業本部マーケティング統括部長 森田 慎一郎氏メディア報道の影響が大きいのですが、ゲフィチニブは発売前から夢の新薬として扱われました。実際に、助からない患者さんがゲフィチニブにより短期間で劇的に改善するといった、従来の抗がん剤では経験したことのない効果を治験ドクターが体験しており、それも前評判を高めた要因だと思います。しかし、発売後に間質性肺炎の有害事象が発現し、一気にネガティブな報道に変わってしまいました。報道の影響は非常に大きく、患者さんがゲフィチニブによる治療を拒否するという事態が起きました。せっかくゲフィチニブが使える可能性があっても使えないという、歯がゆい思いを、臨床現場のドクターもわれわれも経験しました。有害事象発現の後に3,000例以上を対象とした特別調査と、間質性肺炎のリスク特定のためのケースコントロール試験も実施しました。このような状況の中でも、ドクターは臨床でゲフィチニブが一定の患者さんには確実に効果があるという実感を得ていました。この薬剤は絶対に必要な薬だ、とドクターが確信されていたこともあり、全面的な協力をいただき、短期間でデータを収集できました。逆風の中にはありましたが、ドクターからは訪問するたびに、良い話を聞かせてもらえるので、弊社としても勇気づけられ、逆風に倒れることなく、活動していたことを覚えています。そのような経過を経て、EGFR-TKIの位置付けが、明らかになっていくわけですね前述のとおり、どのような患者さんに効果があり、どういう患者さんに副作用が起こるのか、早い段階で日本のドクターは掴んでおられました。そこで、奏効が期待できる臨床的背景(腺がん、非喫煙者[あるいは過去少量喫煙者]、アジア人)の患者さんを対象に、IPASS試験を実施しました。予想どおり、この患者集団では著明な効果を証明しました。その後、EGFR遺伝子変異におけるEGFR-TKIの有効性が明らかになり、以前からのドクターの勘どころが、ターゲット・セラピーとして科学的に証明されました。ゲフィチニブはグローバルな薬剤ですが、日本のドクターの熱意が育ててくれた薬剤であるといえます。画像を拡大する画像を拡大する臨床背景で選択した患者で有意なPFS延長を示し、EGFR変異によるサブグループ解析では、さらなる著明な効果を示したIPASS試験EGFR-TKIの位置付けが確立していきますが、今度は耐性の問題が浮上します。そこで、耐性を克服した第3世代EGFR-TKIオシメルチニブを臨床現場に登場させますが、その経緯について教えていただけますかEGFR-TKI耐性メカニズムにT790M遺伝子が関与することは、かなり以前から明らかになっていました。臨床現場からも耐性を克服する薬剤の開発について強い要望をいただいており、多くの製品が、耐性克服に挑戦しましたが、T790Mを抑制するまで薬剤濃度を上げると、野生型EGFRチロシンキナーゼも阻害してしまい、有害事象が強くなってしまいます。画像を拡大するT790M変異症例でオシメルチニブが著明かつ有意なPFS延長を示したAURA3試験そのような中、オシメルチニブは最新テクノロジーを活用し、野生型EGFR チロシンキナーゼへの活性を抑え、T790Mを強力に阻害するようデザインされました。従来の薬剤と根本的に異なる方法で開発されたのです。実際にAURA試験などの臨床試験で、T790M変異症例に対する著明な効果を証明しています。オシメルチニブはまた、T790Mのみならず、Exon19、21といったEGFR遺伝子変異にも良好な効果を示します。現在、T790M変異から拡大し、EGFR変異の非小細胞肺がんに対する1次治療の第III相試験FLAURA試験も進行中です。その後、オシメルチニブが承認されるわけですが、承認から薬価収載までの間、同剤の無償提供をされました。その状況について教えていただけますかT790M変異の患者さんは、治療選択肢がきわめて限られています。オシメルチニブを1日も早くに使うべき患者さんが大勢おられ、臨床現場からの強い要望がありました。そういった要望にお応えするために、薬価収載前の薬剤提供を検討しました。実際に困っている患者さんに使えるよう、さまざまな方法を検討した結果、厚生労働省の定める「保険外併用療養費制度」のもと、本剤の無償提供に踏み切りました。ただし、有害事象などの問題もありますので、提供先は、治験実施施設のうち、承認された適応、用法・用量に従ってのみ使用する、弊社が実施する市販直後調査・全例調査や適正使用推進等の各種安全対策に協力いただける、といった条件に合意いただけた施設に限定しました。オシメルチニブの使用には再生検によるT790Mの確認が必要となります。とはいえ、再生検をしてもらうというのは容易ではないと思いますが画像を拡大する第3世代EGFR-TKIオシメルチニブオシメルチニブが登場するまでは、T790Mへの治療手段がなかったため、再生検という概念はなかったわけです。いわゆるゼロからのスタートですが、EGFR-TKI耐性となった患者さんに一人でも多く、治療機会を見つけていただくため、講演会などを開催し、再生検の重要性と共に、再生検の実際について広める活動を行っています。呼吸器科の先生方は気管支鏡の専門家ですが、再生検は新たなチャレンジです。そこで、スペシャリストを招いて、組織へのアプローチ、採取のテクニックなどを紹介いただきました。また、気管支鏡メーカーとタイアップして、機械を現場に持ち込んだハンズオンセミナーを開催し、実際の手技を体験いただいています。さらに、肺外、肝臓、骨、脳といった、呼吸器科がアクセスできない部位の対策として、消化器内科、整形外科、脳外科、放射線科といった他科連携のノウハウも講演会でオピニオンリーダーから共有していただきました。このような再生検の普及活動をしていますが、オシメルチニブ上市時、40%程度だった再生検実施施設が、現在では90%を超えています。海外では50%程度ですので、日本がいかに高いかわかります。この数字は、日本の先生方が、患者さんのために非常に熱心に再生検に取り組んでいることを表しているものです。われわれも何らかの形で、ここに貢献できたのではないかと思っています。組織再生検不能な患者さんのためにリキッドバイオプシーの手段があります。リキッドバイオプシーについても、保険点数が付くまで検査結果の倫理提供をなさっていましたね再生検実施率は海外とは比較にならないほど高くなりました。とはいえ、組織生検できる症例は60%で、残りの40%は患者さんの病状や腫瘍の形状など何らかの理由で生検できないというのが現状です。治療できるかもしれない患者さんが、目の前にいるのに何もできない、というジレンマが臨床現場にもわれわれにもありました。しかし、検査の保険適用には時間がかかります。その間にT790M変異検査ができないまま、状態が悪くなっていく患者さんが大勢いらっしゃいます。そのような患者さんの緊急治療を支援する観点から、保険適用前に何かできることはないか、社内で検討し、関係各省との調整を行いました。そして、オシメルチニブのコンパニオン診断薬コバスEGFR変異検出キットv2.0(ロシュ・ダイアグノスティックス)を用いたT790M血漿検査結果の倫理提供の実施に至りました。T790M検査の結果を弊社が購入、無償提供することになるのですが、再生検不能な患者さんにアクセスしてもらう環境を作りたい、という強い思いから実現できたのだと思います。今後はどのような製品で肺がん治療に貢献する予定ですか? パイプラインについて教えていただけますかこれまでEGFR-TKIを通して肺がん医療に貢献してきました。しかし、EGFR変異は非小細胞肺がん患者さんの35%程度です。残りの65%の患者さんにも貢献したいと考えています。免疫チェックポイント阻害薬は、その目標を実現する1つの候補です。われわれは、抗PD-L1抗体durvalumabを有しており、この製品を肺がん領域でも開発しています。durvalumabでは、他の免疫チェックポイント阻害薬とは異なるアプローチをしています。代表的なものの1つとして、非小細胞肺がんStageIII患者さんの化学放射線治療後の維持療法として効果を検討した、PACIFIC試験があります。Unmet Medicalニーズの高い患者集団ですが、すでにポジティブな結果が出ており、今秋の国際学会で詳細を発表する予定です。durvalumabについては、StageIVの1次治療という、より多くの患者さんを対象とした臨床試験MYSTIC試験も進行しています。この試験では、durvalumabと弊社の抗CTLA-4抗体であるtremelimumabを併用しています。PD-L1が50%未満の症例では、PD-1阻害薬の効果はどうしても低下してしまいますが、たとえば、この患者集団に対して免疫チェックポイント薬の併用がベネフィットをもたらすことができるか、といった免疫チェックポイント阻害薬の新たな可能性を検証します。この研究も今後の国際学会で発表の予定です。そのほか、私どもには多くの作用機序の異なる肺がん治療薬のパイプラインがあり、自社品の中で併用試験を組むことも容易です。今後も、さまざまな薬剤の組み合わせにもチャレンジし、肺がん治療の研究を進めていければと思っています。

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謝罪の王様【どう謝る?なぜ許す?】Part 1

今回のキーワード社会脳謝罪宥和理論不可抗力アンダードッグ効果レッドフェイス効果見える化セルフハンディキャッピング参照点の操作みなさんは、謝ってほしいことはありますか? そこまで謝られると許したいと思うことはありますか? 大企業のトップ、政治家、有名人などの謝罪会見はテレビでますますよく見かけます。昨今の情報化した社会では、謝らなければ「炎上する」という事態も起きています。また、日本人が謝罪に敏感で、謝罪好きであることは、以前から国際的にも知られています。その一方で、病院などの医療機関や役所などの公的機関では、謝りにくい風潮がありそうです。また国同士では、謝ることに慎重になる傾向があるようです。謝るとは何でしょうか? なぜ謝らないのでしょうか? 一方で、謝られたらなぜ許すのでしょうか? これらを踏まえて、どううまく謝ることができるでしょうか? その疑問に答えるため、今回は2012年の映画「謝罪の王様」を取り上げます。この映画を通して、謝ることと許すことを進化心理学的にも掘り下げてみましょう。謝るとは?主人公の黒島は、東京謝罪センターの所長。謝罪のテクニックを駆使して、依頼主の謝罪をサポートするプロの「謝罪師」です。ヤクザの車への衝突事故から、セクハラ訴訟、芸能人の謝罪会見、はては国際問題まであらゆるトラブルを謝罪によって解決していきます。謝るとは、端的に言うと、「すいませんでした」と伝えることです。これには、主に3つの心理が必要です。それは、誠意、責任、償いです。映画のシーンに照らし合わせながら、詳しく見ていきましょう。(1)誠意黒島は「謝罪の第一歩は、相手に誠意を見せることです」と言っています。1つ目は、誠意です。これは、真心を込めて後悔や反省を伝えることです。逆に、相談者の典子は、ヤクザの車にぶつけておきながら、なかなか謝らずに、最後になって「なんかすいません」と人ごとのように言ってしまい、気持ちを逆なでしていました。その後、黒島は「そちら様の大事なお車に傷を付けてしまい大変に申し訳ありませんでした」と額をこすりつけて土下座をします。このように、謝ることで大切なことは、土下座をするほどではないにしても、相手が心理的にもダメージを受けて悔いている気持ちを共感的に伝えることです。(2)責任かつて黒島は、ラーメン屋で湯切りのお湯を飛ばしたスタッフに謝罪を求めます。しかし、代わりに経営者が謝罪にやってきます。黒島は、「あなたは何も悪くないでしょう?」「おれはただ舟木ってやつ(お湯を飛ばしたスタッフ)に謝ってほしいだけ」と指摘しています。2つ目は、責任です。これは、自分に責任があることを認めることです。確かに、組織の責任者が代理で謝ることはよくあります。しかし、責任の所在は薄まります。また、本人が謝るにしても、例えば「しょうがなかったんです」「湯切りで多少の水滴は飛んでしまうものなんです」と言い訳(弁解)をして自分の責任を曖昧にしたり、完全に責任を認めなかったら、相手の許しが得られにくくなります。このように、謝ることで大切なことは、責任者も謝るにしても、二度と同じことを繰り返さないことを分かってもらうために、本人が自分のせいであることを素直に伝えることです。(3)償い黒島に謝罪を求められたラーメン屋の親会社は、お見舞い金による償いをしようとしたり、「絶対にお湯が飛ばない湯切り」などを開発します。3つ目は、償いです。これは、相手の被害への弁償だけでなく、今後の改善策を示すことです。逆に、これらの努力をできる限りしていなければ、謝ることはうわべだけのものになっていると相手に見透かされてしまい、許しが得られにくくなります。このように、謝ることで大切なことは、相手との信頼関係を維持するために、経済的にも身体的にも心理的にも償うことです。なぜ謝らないの?それでは、逆になぜ謝らないことがあるのでしょうか?その心理は、主に3つあります。それは、プライド、パワーバランス、コストです。映画のシーンに照らし合わせながら、詳しく見ていきましょう。(1)プライド黒島にお湯を飛ばした舟木は5年の歳月を経て再び黒島の前に現れます。そして、「もっと早くあの日のうちに謝れば良かったのですが、おれも若くてかっこつけちゃって」と言います。1つ目は、プライドです。プライドが高ければ高いほど、自分のやっていることを過信して、自分が間違いをするはずがないと思い込んでしまいます。そして、その間違いを認めたがらなくなります。ちなみに、それが極端な状態は、自己愛性パーソナリティ障害と呼ばれます。また、病院などの医療機関や役所などの公的機関が謝りにくいのも、医師の威厳や医療機関の権威から間違いがあってはならないという前提があるからです。そして、地位や評判を落としたくないという理由も相まって、隠蔽工作がなされることもあります。よって、謝るためには、まず自分のプライドが邪魔していないかを客観視する必要があります。(2)パワーバランス国際弁護士の箕輪は、「一度だけ(3歳の時の)娘に手を上げてしまった」「私は自分が許せない。自分が親として」「仮にも法律に携わる人間として」「いかなる理由があろうと」と言います。しかし、そう言いつつも、娘を目の前にするとどうしても謝れないでいます。2つ目は、パワーバランスです。立場が上であればあるほど、尊敬されていればいるほど、自ら卑屈な立場に身を置くと、今までの力関係が変わってしまうと思い込んでしまいます。上司と部下の関係、師弟関係、親子関係だけでなく、夫婦関係においても、一方がなかなか謝らないのも、これが原因となっています。よって、謝るためには、もともとパワーバランスが邪魔していないかを客観視する必要があります。(3)コスト国際弁護士の箕輪も「海外では『とりえあず謝っとけ』みたいな考え方は命取りです」「罪を認めた時点で訴訟に不利になります」と言っています。3つ目は、コストです。謝れば謝るほど、許してくれないのではないかと不安になり、償いのコストが高くなってしまうと思い込んでしまいます。実際に、世の中には「当たり屋」や「クレーマー」がいるのは確かです。ヤクザに下手に謝ってしまった典子は、多額の示談金を請求されています。謝られることを逆手に取って、なかなか赦さないことでより多くの補償や慰謝料を引き出すという心理戦略も確かに存在します。また、国際的に謝る場合は、国益を損ねるという外交的な理由もあるでしょう。しかし、時代は変わってきました。箕輪が言う通り、確かにかつてのアメリカでは謝った方が莫大な慰謝料を要求されるという訴訟社会でした。これは、謝罪が責任の証拠そのものとして扱われていたからです。しかし、現在では、「アイムソーリー法」が各州に広まっています。これは、事故が起きて「アイムソーリー」と言っても、自分の責任を認めたことにはならないという画期的な法律です。この法律によって、お互いに謝ることができるようになり、気持ちが通じ合えて、むしろ訴訟が減っていったのでした。つまり、法整備が整い、情報化したこれからの時代は、コストが理不尽にならないように、個人間では警察や司法、監視カメラなどによる第三者の目を入れることができます。また、国家間では国際社会による第三国の目を入れることもできるでしょう。もはや「クレーマー」の心理戦略は時代遅れになってきていると言えます。よって、謝るためには、コストへの意識が邪魔していないかを客観視する必要があります。次のページへ >>

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謝罪の王様【どう謝る?なぜ許す?】Part 2

謝られたらなぜ許すの?黒島は、セクハラで訴えられている沼田に、「(相手女性は)もう許してるかもしれないけどね。謝ってほしいってことは基本的には許したいってことでしょ」「引っ込み付かないだけでもう終わりにしたいというのが本音なんですよ」と言っています。つまり、私たちは、謝ることと許すことのやりとりを通して、お互いに人間関係をスムーズにしたいという思いがあります。逆にそうしなければ、いつまでも心に引っかかって、もやもやした不快な気持ちになってしまいます。それでは、そもそもそういう心理はなぜ「ある」のでしょうか? これを、私たちヒトが体と同じく心(脳)を進化させていった数百万年間の歴史から掘り下げてみましょう。300万年前に、ヒトはアフリカの森からサバンナの草原に出ていきました。この時、草原で猛獣などの天敵から身を守り、より大きな獲物を仕留めて生き残るために、ヒトは群れをつくって協力するようになりました。そして、より大きな群れ(集団)をつくるように脳が進化していきました(社会脳)。20万年前に、喉の構造が進化して、言葉が使えるようになり、抽象的な思考もできるようになりました。この頃から、協力をし続けるために、謝る心理や許す心理などの社会的感情を器用に使いこなすようになり、人間関係をよりスムーズにしていくことができるようになったでしょう。なぜなら、そうする種、そうしたいと思う種、そうしないと不快と思う種が、集団(社会)の一員でい続けられるため、生存に有利になるからです。その子孫が現在の私たちです。逆に、そうではない種は、生存に不利になり、集団の一員で居続けられなくなるため、生き残りにくくなってしまうというわけです。よって、私たちはそもそも謝られると、苦痛や相手への怒りが減って「胸がすっと」して(感情宥和効果)、相手の印象が良くなり(印象改善効果)、罰や償いを減らすようになります(罰軽減効果)。これら3つの要素をまとめると、私たちは相手に謝られると、寛容になり許したくなるという心理をもともと持っているというわけです(謝罪宥和理論)どううまく謝るの? ―表1それでは、許したいとより思われるためには、どううまく謝ることができるでしょうか? 先ほどの謝るための3つの心理と謝りたくない3つの心理を踏まえて、そのコツを大きく3つに整理してみましょう。そのキーワードは、不可抗力、優越感、そして”Be 土下座”です。(1)不可抗力黒島は、寝坊して遅刻したのに、待っていた相談者の沼田に「遅くなりました」「また人身事故で電車止まっちゃって」と言います。沼田が「あ、最近多いですもんね」と言ったところで、黒島は「ね。電車の事故は不可抗力だから、30分ぐらい仕方ないと思ったでしょ」と打ち明けます。1つ目は、自分の責任を認めつつも、それがたまたま不可抗力であったことと仕立て上げて、しょうがないという気持ちにさせることです。そのポイントは、病気、不慮の事故、他人のトラブルの巻き込まれなど、なるべく自分のコントロールが及ばない状況であることです(制御不能性)。また、黒島は「自分の責任じゃないのに、誠心誠意謝る」「謝らなくて良い時の謝罪ほど効果的なんです」と言います。つまり、理性的には責任がないように相手に思わせておいて、感情的には責任を感じて謝っているという演出が大事なのです。さらに、黒島は「目上の人間に立ち会ってもらう」「上司や先輩などあなたをよく知る人にあなたの長所や人間的魅力をアピールしてもらう」と言います。自分たちよりも立場が上の人の意見による保証を得ることで、もともと自分は過ちをする人ではなく、やはり不可抗力であったと相手に印象付けることができます(権威付け)。これらが、謝った時に許される決め手になります。不可抗力の事態により許す理由があると思わせることが重要です。(2)優越感黒島は、セクハラ訴訟を抱えている沼田に「相手が怒りをぶちまけ終えたら、次はほめまくる」「白々しくて全然良いの。100%お世辞でも褒められたら嬉しくなるのが人間なんだよ」とアドバイスします。また、黒島は、典子の「兄」の謝罪の一貫として、しばらく住み込みでヤクザの舎弟になり、献身的なサービスをして、親分から気に入られています。2つ目は、優越感を抱かせて気持ち良くさせて、許したくなる気持ちにさせることです。そのポイントは、相手を持ち上げることです。例えば「○○さんをとても頼りにしていただけに、なおさら申し訳ないです」「がんばってる○○さんだからこそ」とさりげなく褒めることです。また、「今回の件は今後の教訓になりました」「良い勉強になりました」「○○さんのおかげです」と感謝することです。逆に、相手を持ち上げるために、自分を引き下げる、つまり下手(したて)になることもできます(アンダードッグ効果)。例えば、「ええ~!?そんなことになっちゃったんですか!?」と慌てふためいてみっともないくらいの演出をすることです。遅刻した時などは、はあはあ息を切らして、汗を垂らしている方が許しを得やすいでしょう(レッドフェイス効果)。実際に、黒島は、ヤクザに謝罪をする時、顔面血まみれになり、けがをしているのに謝罪に来たという偽装をします。そうすることで、そこまでして相手が大切であるという思いが相手に伝わります。また、あえてつらい謝罪にすることです。黒島は、「大事なものを犠牲にする」「言葉や態度だけでは誠意が伝わらない場合、あなたにとっても大事なものを犠牲にすることで許しを請う」と沼田にアドバイスしています。つらい謝罪は、あえて大勢の前で謝罪することにも通じます。例えば、それが、有名人の謝罪会見です。また、自分の上司などの監督者に叱られている姿をあえて相手に見せることも効果的です(見える化)。さらに、謝ることに時間をかけることも重要です(コスト)。共感性が高い女性が相手の場合は、親身になり、傷付いた気持ちを癒やすことに重きを置くのが良いでしょう。一方、理屈っぽい男性が相手の場合は、原因の詳細化や数値化、今後の対策の説明に重きを置くのが良いでしょう。ちなみに、こちらが時間をかけることは、同時に相手にも時間を使わせていることになります。その時間が無意味なものに終わらせたくないという相手の心理を利用することにもなります。これらが、謝った時に許される強力な後押しになります。得られた優越感により許す価値があると思わせることが重要です。(3)”Be 土下座”黒島は、”Be together”を文字った”Be 土下座 ”をスローガンにしてます。帰国子女の典子から「Beじゃなくて、Doじゃないですか?」「するはDoだから”Do 土下座 ”じゃないですか?」と突っ込まれています。しかし、別のシーンで、黒島は典子に「むしろぶつける前(トラブルが起きる前)に謝る気持ちじゃないと」とも言っています。つまり、土下座は「する」ものではなく、「ある」ものであるという黒島ならではの発想です。3つ目は、トラブルが起きる前から土下座をしているような心のあり方で、謝る前からすでに許されている状況をつくっていることです。誤解がないようにしたいのは、実際に土下座するのではないです。日々、人と接する時は、相手を敬い、信頼関係を築こうとする心のあり方を「土下座」というユーモラスな言葉を使っています。そのポイントは、例えば「私はもともとせっかちなところがあります。それで迷惑なことがあったらごめんなさい」とあらかじめ謝っておくことです。これは、許しのハードルを下げることができます(セルフハンディキャッピング)。逆に、真面目で几帳面でミスしない優秀な人であると期待されてしまうと、いざミスして謝る時は、「ミスしないはずなのにしている」とがっかりされ、許しのハードルが上がってしまいます。自分が「ミスをしないロボット」ではなく、「ミスもする生臭い人間」であるという前提を日々強調しておくとが重要です(参照点の操作)。これらが、謝る時に許される土壌をつくります。許されている雰囲気があると最初から思われていることが重要です。「あやまる時、人は誰でも主人公」黒島は、「あやまる時、人は誰でも主人公」との座右の銘を掲げます。謝ることは、仕方なく嫌々やるものではなく、「主人公」として主体的に積極的にやるものであるということを私たちに教えてくれます。それは、プライド、パワーバランス、コストばかりを気にして、「謝ったら損をする」というネガティブな発想ではありません。それは、相手と分かり合える、仲良くなれるなどの信頼関係を強めることに目を向けて、「謝ったら得をする」というポジティブな発想です。つまり、謝ることは、重要なコミュニケーションの手段の1つであるということです。その大切さを理解した時、私たちは、「謝罪の王様」になることができるのではないでしょうか?<< 前のページへ1)大渕憲一:謝罪の研究―釈明の心理とはたらき、東北大学出版会、20102)内藤誼人:「人たらし」のブラック謝罪術、だいわ文庫、20093)間川清:うまい謝罪、ナナ・コーポレート・コミュニケーション、2011

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初めてのエプリー法【Dr. 中島の 新・徒然草】(182)

百八十二の段 初めてのエプリー法3日ほど前からのめまいの患者さん。縦ではなく横に頭を動かした時にめまいがあるそうです。「横」というのは車を運転していて左右確認するときや寝返りを打つときの頭の動きです。「縦」というのは高い所のものを取る時、洗濯物を干すとき、靴ひもを結ぶときの頭の動きです。「横」に弱いか、「縦」に弱いかは、問診で尋ねてもいいし、診察室で実際にやってもらってもいいですね。さて、この患者さんの場合は頭を横に動かした時にめまい感が誘発されるので水平半規管型の良性発作性頭位めまい症(BPPV)だと説明しました。もし、頭を縦に動かしたときにめまい感が誘発されるのであれば後半規管型の BPPV の可能性が高いということになります。再診を10日後に予約し「何もしなくても次回の診察の時には治っているはずですよ」と安請け合いしました。ところが10日後の再診でめまいは治っておらず、面目丸つぶれです。まさかBPPVではないのか? 耳鼻科に泣きつこうか?再診では頭を縦に動かしても横に動かしてもめまい感が誘発されます。ひょっとすると耳石の一部が後半規管にも移動したのでしょうか? ディックス・ホールパイク法で確認すると右側でめまい感あり、左側ではほとんどありません。そこでエプリー法で耳石置換をすることにしました。実は私にとって初めてのエプリー法です。これまで自分でエプリー法練習用の模型もつくり、研修医や同僚にも偉そうに教えていたのですが、実物の患者さん相手に行うのは初めてです。すみません。※エプリー法については、YouTube の動画「BPPV(良性発作性頭位めまい症)に対するエプリー法」が分かりやすいです。とりあえず診察台を動かしてスペースを作り、やってみることにしました。中島「こう、後ろに倒れてもらって頭を下げ、こちらに回して起き上がってもらいます。最後は診察台のこちら側に腰かけてもらうことになります」看護師「足台はここでいいですか?」中島「おおーっ! 次の次を読んどるがな」実際にエプリー法をやろうとして分かった事ですが、診察台は思ったより高いので、最後に腰かけた時にちょうど足がぶら下がる位置に20センチほどの高さの足台を置いておくと良い按配です。で、本番です。まずは頭を右斜め45度に回旋した状態で、患者さんを後ろに倒します。患者「(めまいが)来た来た来た~」中島「(めまいは)必ずおさまるからそのまま、そのまま」約30秒でめまい感がとまりました。眼振は確認できなかったので自覚症状だけが頼りです。次に懸垂頭位のまま左に45度回旋します。患者「(めまいが)また来た~」再び30秒ほどでめまいはとまりました。そのまま頚から下だけ左下側臥位にします。足台の位置を再確認して、起き上がってもらい、診察台に腰かけていただきました。中島「めまいは治りましたよね」患者「完全に治ったとまでは言わないけど、ちょっとマシです」我ながらなんたる誘導尋問! とりあえずめまい感は半分になり、私の面目も半分だけ保たれました。最終的に足が来る位置に足台を持ってきておくと手慣れた感があっていいですね。ということで最後に1句足台の 位置が重要 エプリー法

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整形内科が診る腰痛、肩こり、五十肩

 2017年7月2日、コニカミノルタジャパン株式会社 ヘルスケアカンパニーは、都内において白石 吉彦氏(島根県 隠岐島前病院 院長)を講師に迎え、「外来超音波診療-腰痛 肩こり 五十肩のみかた-」をテーマに医師向けのセミナーを開催した。当日は、全国から100名近い医師が参加した。セミナーでは、事前アンケートで要望の多かった「腰痛、肩こり、五十肩」の3つに焦点をあて、動作分析による発痛源検索、超音波検査診断装置(以下「エコー」)を使用した圧痛点の確認方法、エコーでの筋肉同定、エコーガイド下注射の手技、針先描出などが説明された。離島だからこそエコーをフル活用して診療に活かす 白石氏は、長年へき地での地域医療に従事し、2014年に「日本医師会 赤ひげ大賞」を受賞、現在も講演、執筆など精力的に活動する臨床医である。 離島という医療設備に制約のある地だからこそ見いだした、さまざまな臨床での知恵を、当日は惜しげもなくレクチャーした。 はじめに病院や院内の設備について説明。島は6,000人規模の医療圏で、8名の医師で運営し、プライマリケアをはじめ、本土に送るまでの最低限の医療を行える体制を整えているという。院内には、ポケットエコーも含め13台の超音波診断装置が稼働し、どの診療室、処置室でも、すぐにエコーができる態勢にある。日常診療では、ばね指の腱鞘炎の診療や粉瘤の処置にも使用している。腰痛 腰痛の中でもまず急性腰痛症(いわゆるぎっくり腰)を取り上げ、痛み止めや腰痛ベルトではなく、別の治療の選択肢を提案した。レクチャーでは、前屈ができなかった患者さんが、エコー下で痛めている筋膜にキシロカインとビカネイトの混合液を注射することにより、前屈ができるようになった症例を紹介した。 また、圧痛点の確認にエコーと触診を組み合わせた診療を実技で示すとともに、解剖の見地から腰からつながる筋肉への注意(たとえば最長筋との関連など)、診療時の大腰筋への気付きなどを解説した。五十肩 五十肩は、中年期に多い疾患であり、白石氏も年間90人程度の初診診療を行っている。通常X線検査が施行されるが、X線検査では特定の疾患しか診断できず、エコーにより診断の幅を大きく広げることができるという。たとえば、腱板断裂であれば、エコーで断裂部が明瞭に観察でき、治療がたやすくなる。石灰性腱炎であれば腱板の石灰化も容易に観察でき、洗浄もリアルタイムに部位を観察しながら的確に行えるなど、利点が多いことを説明した。肩こり 肩こりは、厚生労働省の調査で女性の自覚症状有訴率で1位になるほど、日常診療で主訴の多い疾患である。原因の多くは不明であるが、姿勢の悪さや冷房などが挙げられているほか、講演では、眼鏡のずれや歯のかみ合わせ、靴のサイズ違いなども考慮する必要があると指摘した。 さらに治療では、筋膜性疼痛症候群(MPS)の概念を呈示し、説明を行った。MPSの治療では、肩甲挙筋の筋膜への生理食塩水の注射により、筋膜を剥離することで肩こりやしびれが治療できる。その際、エコーガイド下でリアルタイムに部位の確認を行えば、薬液が的確な場所に到達して、注入されているかどうかの判定に非常に役立つと症例を通じ紹介した。 いずれの疾患でも疾患概要の説明後、症例提示、診療ポイントの解説、実技によるエコー読影法の講義、そして質疑応答の手順でレクチャーは進行し、参加者は密度の濃い120分のセミナーに聞き入っていた。

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脱水気味の高齢者に水分補給させるコツ

 2017年7月24日、「教えて! 『かくれ脱水』委員会」は、夏季の脱水症のシーズンを迎え、とくに高齢者の脱水を防ぐための「かくれ脱水」対策啓発プレスセミナーを開催した。高齢者の水分補給介助は難しい はじめに、同委員会が行った「高齢者の水分補給に関する意識調査」の速報が報告された。このアンケートは、65歳以上の男女高齢者(n=516)と65歳以上の親を持つ30・40代の男女(n=316)、30・40代の男女介護従事者(n=516)を対象に行われた。 高齢者への「食事に含まれる水分以外で、1日にどれくらい水分を補給していますか?」という質問では、73.6%が1日の必要量(1,000~1,500mL)未満と答え、高齢者の日常での水分不足をうかがわせた。また、高齢者の子世代に「親に水分補給を勧めても飲まなかった経験がありますか?」と質問したところ、28.6%が「経験がある」と回答。そのほか、介護従事者で「高齢者の水分補給の介助は難しいと思いますか?」との質問に「難しい」と回答したのは「非常に」と「たまに」を含めて90.6%になり、多くが難しさを感じていることが明らかとなった。 今後、調査の詳細はとりまとめられた後、あらためて発表される。高齢者の脱水で起こる負のスパイラルを断ち切る 次に「高齢者の脱水リスクとその弊害について」をテーマに、高瀬 義昌氏(たかせクリニック理事長)がレクチャーを行った。 高瀬氏は、東京・大田区で約400名の患者を訪問診療する、在宅療養支援診療所を運営している。今回は、介護者を悩ませる「せん妄」に焦点を当て、脱水との関連を説明した。 せん妄は突発的に起こる認知機能障害、行動不穏であるが、その発生については、認知症や高齢という素因に、脳神経疾患、薬剤(ベンゾジアゼピン系)、熱中症といった直接因子と、心理的ストレス、環境の大きな変化という促進因子が相まって起こる。とくに高齢者が在宅で注意すべきは、熱中症による脱水や薬剤でせん妄を起こし、転倒して骨折することであるという。転倒骨折はさらに認知機能を悪化させ療養介護を難しくさせるほか、脱水状態が認知機能を悪化させることもあり、脱水状態にしないことが負のスパイラルを断つために重要だと語る。そして、水分補給の際は水分だけでは不十分で、失われたナトリウムなども補給する必要があると、経口補水療法を例に説明した。そのためには、「診療で軽度~中等度の脱水状態を診たら、市販の経口補水液などを活用してもらいたい」とレクチャーを終えた。高齢者の脱水を防ぐ水分補給のコツ 続いて「水を向けても飲まない人へ ~誘い水としての経口補水ゼリーの効用~」をテーマに、秋山 正子氏(株式会社ケアーズ 代表取締役、白十字訪問看護ステーション統括所長ほか)が、在宅看護の視点から高齢者への水分補給のコツを説明した。 高齢者の脱水で危険な時期は、5月の大型連休明けからであり、季節の変わり目で前日が寒く、翌日気温や湿度が高い日は、とくに脱水になりやすいと指摘する。 高齢者は、加齢により喉の渇きを感じにくくなっているほか、トイレを気にして水分補給をしないこともある。また、認知症であれば、自律神経の働きが落ちるため脱水を起こしやすく、脱水状態でも自覚することがないため、周囲が観察し、気が付くことが大切だという。 そして、高齢者によっては嚥下機能の低下により、普通の水やお茶だとむせてしまい、これが水分補給をしない遠因となる場合がある。そんなときは、市販の経口補水液ゼリーが最適であり、失われた電解質も補給されることから、はじめにゼリーを使い、これを誘い水に水やお茶を飲んでもらうとスムーズな水分摂取ができると説明した。 最後に「脱水は静かに進行するので、早め早めの対応が必要」と語り、レクチャーを締めくくった。高齢者の脱水予防に水分補給の自験例 最後に介護者の視点から「五感でお声かけすること」をテーマに北原 佐和子氏(女優・介護福祉士)が、高齢者への接遇について語った。 介護で大切なことは、「高齢者が居心地いい」と感じることが大切だと語り、そのためには、介護者が豊かな明るい表情で五感に訴える(たとえば季節感などを出す)挨拶や会話をすることが求められるという。また、脱水予防では、拒水されないように被介護者の嗜好の把握や、ひと言飲み物の説明をすることで、スムーズに水分補給が進む場合があるなど自験例を述べた。さらに「介護者も脱水にならないように、こまめに休憩、水分補給することは大事」と注意を喚起し、講演を終えた。

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ADHD児への併用療法や抗精神病治療の傾向

 ADHDと新規に診断された小児の治療軌跡の特徴を明らかにするため、米国・フロリダ大学のAlmut G. Winterstein氏らが検討を行った。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2017年7月5日号の報告。 1999~2006年の米国28州のメディケイド(公的医療保険制度)プログラムより、3~18歳の請求記録を用いた。向精神薬使用と精神疾患の診断が6ヵ月以上なく、新規にADHD(ICD-9-CM:314.00)と診断された小児が、コホート研究に登録された。向精神薬多剤併用(3種類以上の使用)、抗精神病薬、抗てんかん薬の使用を評価するため、5年間フォローアップを行った。混合効果ロジスティック回帰を用いて、社会人口統計学的要因で調整し、ADHD診断およびフォローアップ時の年齢を関数とし、各薬剤の使用アウトカム率をモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・コホート対象患者1万6,626例中、診断1年後に1回以上各薬剤が投与されていた患者の割合は、神経刺激薬79.2%、抗うつ薬33.2%、αアゴニスト23.1%、向精神薬多剤併用25.3%であった。・1~5年目までに、抗精神病薬は7.1→14.7%、抗てんかん薬は4.0→7.9%、向精神薬多剤併用は8.5→13.4%に増加したが、この増加はADHD診断時の年齢が3~9歳の小児に限られていた。・3歳でADHDと診断された小児は、各アウトカムにおいて最も有意な増加を示した(各々、OR:1.80、[95%CI:1.36~2.38]、1.85[1.38~2.47]、2.14[1.45~3.16])。・また、向精神薬多剤併用療法が行われた9,680人年のうち39.1%は、ADHD以外の精神医学的診断を受けていなかった。 著者らは「向精神薬多剤併用や抗精神病薬、抗てんかん薬の使用は、フォローアップの年ごとに増加していた。これは、ADHD診断時の年齢によって強く影響され、未就学児では大きく増加したが、年齢が上がるとこの対応はみられなかった。それは、付随する精神障害を医師が診断することによって、部分的にのみ説明可能であった」としている。■関連記事自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのか母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か

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乳がん関連リンパ浮腫リスクに影響する因子

 乳がん治療関連リンパ浮腫(breast cancer-related lymphedema:BCRL)は、乳がん治療中の女性にとって重大な合併症である。米国・メイヨークリニックのToan T. Nguyen氏らが大規模集団コホート研究でBCRL発症とリスク因子を調べたところ、化学療法、放射線療法、腋窩リンパ節郭清(ALND)、進行したStage、高いBMIの因子を持つ患者でBCRL発症率がより高いことがわかった。BCRLは多様な治療による後遺症であり、リスク因子も多様であることが示唆された。Annals of surgical oncology誌オンライン版2017年8月1日号に掲載。 本研究では、1990~2010年のOlmsted County Rochester Epidemiology Project Breast Cancer Cohortを利用し、BCRLとリスク因子を調べた。BCRL発症率の推定には累積発症率推定を使用し、多変量解析のために競合リスク回帰を使用した。 主な結果は以下のとおり。・Stage0~III乳がん1,794例をフォローアップした(フォローアップ期間中央値10年)。・5年以内のBCRL診断の累積発症率は9.1%であった(95%CI:7.8~10.5%)。・腋窩手術を受けていない患者では、BCRLは発生しなかった。・腋窩手術を受けた患者(n=1,512)において、BCRLの5年発症率は、センチネルリンパ節生検(SLN)実施患者で5.3%、ALND実施患者で15.9%であった(p<0.001)。・手術のみで治療された患者では、ALNDとSLNとでBCRL発症率に差がなかった(5年で3.5%および4.1%、p=0.36)。・ALND実施患者において、乳房もしくは胸壁への放射線照射の追加によりBCRL発症率が倍増した(5年で3.5 vs.9.5%、p=0.01)。・リスクが最も高い群(>5年で25%)はすべて、リンパ節領域放射線照射および/またはアントラサイクリン/サイトキサン+タキサン化学療法を伴うALNDを実施していた。・何らかの腋窩手術を受けた患者の多変量解析によると、ALND、化学療法、放射線療法、肥満がBCRLと有意に関連していた。

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非ST上昇型ACSの侵襲治療、適切なタイミングは?/Lancet

 非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)の患者に対し、早期侵襲治療は待機的侵襲治療と比べて全死因死亡リスクを有意に低下しなかった。ただし、糖尿病患者や75歳以上の患者などハイリスク患者については、早期侵襲治療が待機的侵襲治療に比べ有益である可能性が示された。ドイツ・リューベック大学心臓センターのAlexander Jobs氏らが、8件の無作為化試験をメタ解析した結果で、Lancet誌オンライン版2017年8月1日号で発表された。NSTE-ACSの患者に対しては、臨床ガイドラインでルーチンの侵襲治療を推奨しているものの、その最適なタイミングについては明確に定義されていない。これまでに行われた臨床試験では、治療のタイミングが及ぼす死亡への影響を検出する力が不足しており、研究グループはメタ解析にて評価を行った。無作為化試験8試験をメタ解析し30日以降の全死因死亡率を比較 検討は、MEDLINE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Embaseから、NSTE-ACSに対する侵襲治療のタイミングに関して、早期戦略と待機的戦略を比較していた無作為化試験を検索して行われた。また、院内無作為化から30日以上経過後の全死因死亡率を報告しており、試験研究者の了解(個々の患者データや標準化した一覧データの提供など)を得られた試験を包含した。 ランダム効果モデルを用いてプール解析を行い、ハザード比(HR)を求めた。75歳以上では早期侵襲治療群で死亡リスクが35%減 メタ解析に包含されたのは無作為化試験8件(被験者総数5,324例)で、追跡期間の中央値は180日(IQR:180~360)だった。 早期侵襲治療群は待機的侵襲治療群と比較し、有意な全死因死亡率の低下はみられなかった(HR:0.81、95%信頼区間[CI]:0.64~1.03、p=0.0879)。 しかしながら事前規定のハイリスク患者グループの解析で、早期侵襲治療群の全死因死亡率が待機的侵襲治療群に比べ、より低率であったグループが認められた。具体的には、ベースラインで心臓バイオマーカー上昇が認められた患者グループで、ハザード比は0.761(95%CI:0.581~0.996)、また、糖尿病患者群で0.67(同:0.45~0.99)、 GRACEリスクスコア140以上群で0.70(同:0.52~0.95)、75歳以上の患者群では0.65(同:0.46~0.93)だった。ただしいずれのサブグループでも、交互作用検定で有意差は確認できなかった。

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新生児薬物離脱症、オピオイド+向精神薬でリスク増/BMJ

 新生児の薬物離脱症について、オピオイドのみの子宮内曝露を受けた児に比べて、ベンゾジアゼピン系薬などの向精神薬の曝露も同時に受けた児では、リスクや重症度が増大する可能性が示唆された。なかでも、オピオイド+ガバペンチンの子宮内曝露群では、オピオイド単独曝露群に比べ、同発症リスクが約1.6倍増加した。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のKrista F. Huybrechts氏らが、2000~10年のメディケイドデータを用いた分析抽出(Medicaid Analytic eXtract:MAX)コホート内コホート試験を行った結果で、BMJ誌2017年8月2日号で発表した。妊娠中のオピオイド処方と合わせた向精神薬の使用は一般的にみられるが、安全性に関するデータは不足している。出産時前後にオピオイド服用の妊婦20万人超を追跡 研究グループはMAXコホートから、出産前後にオピオイドの処方を受けていた妊婦20万1,275例とその生産児を抽出して観察試験を行った。 抗うつ薬、非定型抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系薬、ガバペンチン、非ベンゾジアゼピン系催眠鎮静剤(Z薬)などの向精神薬が、出産時前後、オピオイドと同時期に妊婦に処方された場合と、オピオイドのみを処方された場合について、新生児薬物離脱症のリスクを比較した。新生児薬物離脱症リスク、抗精神病薬やZ薬併用では増加みられず 新生児薬物離脱症の絶対リスクは、オピオイド単独曝露群では1.0%だったのに対し、オピオイド+ガバペンチン曝露群の同リスクは11.4%だった。 オピオイド非単独曝露群において、新生児薬物離脱症の傾向スコアを補正した相対リスクは、抗うつ薬併用群が1.34(95%信頼区間[CI]:1.22~1.47)、ベンゾジアゼピン系薬併用群が1.49(同:1.35~1.63)、ガバペンチン併用群が1.61(同:1.26~2.06)、抗精神病薬併用群は1.20(同:0.95~1.51)、Z薬併用群は1.01(同:0.88~1.15)だった。 また、薬物離脱症状の程度もオピオイド単独曝露群と比べ、向精神薬同時曝露群は、より症状が重くなる傾向がみられた。

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メタ解析の陰と陽(解説:香坂 俊 氏)-709

今回の【Yu氏らによるメタ解析】そのものは、直近に公表されたSAVES試験(2016年)の結果とかぶるものであり、睡眠時無呼吸に対して陽圧換気が(予後改善に)効果がなかったという内容だ。簡単にその流れをまとめると●睡眠時無呼吸は(おそらくは頻回の交感神経系の賦活化を通じ)高血圧や耐糖能異常 を惹起し、動脈硬化疾患の発症とも関連していることがわかっている●それならば陽圧換気で治療を行えば、こうした患者さんたちの予後を改善できるので はないか、と考えることは自然なことのように思われた●しかし、実際にRCTをやってみると陽圧換気は症状(日中の眠気や頭痛等)は改善し たものの、その後の心血管イベントは抑制しなかったということになる。驚くべき結果ではあるが、SAVESですでにわかっていることをなぜ今さらという気がしなくもない(実際、今回の論文の著者のうち数名はSAVESのinvestigatorでもある)。そして、今回のメタ解析の40%弱はSAVESに由来するものであることを考えると「同じような研究グループが、ある程度かぶったデータを使って、結局同じことを言いたいだけではないのか?」と勘繰りたくもなる。(1)このメタ解析のPositiveな側面上記のような勘繰りはよそに、まず「このメタ解析を読んでよかった」というところを最初に書いておこうと思う。・全体でみると陽圧換気のメリットはなかったが、メリットのありそうな患者群を提示することができた(論文中の図4)・具体的には、(1)追跡期間が長ければ長いほど、(2)陽圧換気のコンプライアンスが良いほど、さらに(3)重症であればあるほど(無呼吸低呼吸指数[AHI]が高いほど)陽圧換気の効果が高いことが示されている・すなわち、これまで行われたRCTは(1)期間が短すぎ、(2)コンプライアンスにばらつきがありすぎ、さらに(3)軽症例を対象としすぎていた可能性がある実際、この論文に付随するEditorialのタイトルには「(陽圧換気に関する結論を出すには)It Is Far Too Soon to Say」と書かれている。(2)このメタ解析のNegativeな側面このメタ解析を掲載したJAMA誌は多大な恩恵を受ける。SAVESは1年弱ですでに130回引用されている(2017年8月6日時点)。しかし、おそらく今後同じ分野の研究者はこちらのメタ解析の結果を、彼/彼女らの論文に引用するだろう。すると、同誌のインパクトファクター[IF]の上昇に貢献できる。IFは単純な指標ではあるが、現在雑誌のreputation(名声度?)に非常に大きな影響を持つようになっている。自分はかねて、なぜ主要雑誌はこうした学術的にあまり新規性のないメタ解析の出版を続けるのか疑問に思っていたが、こうした雑誌の政治的、あるいは戦略的な側面からの考え方というものもあるのではないかと推測している(これは本論文が、SAVESが掲載されてから8ヵ月でアクセプトされるというスピードの速さにも表れている)。(3)自分なりのメタ解析の読み方メタ解析という手法は長い歴史をもち、古典的なEBMの世界では、各種推奨の根拠の頂点に位置するものとされてきた。ただ、ここ数年でずいぶんそのあり方も変わってきたように思える。今回は、陽圧換気に関するYu氏らの論文を基にして最近のメタ解析の【良い点】と【学術誌に利用されやすい点】を取り上げてみたわけだが、今後メタ解析の手法はさらに高度化・複雑化していくことが予想される。臨床の現場の人間としては、メタ解析だからといって画一的に過大評価せず、そのリサーチクエスチョンに応じて弾力的に解釈していく必要があるだろう。

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第8回 「できない」と言えず繕い続けた医師と、信じた患者の思い【患者コミュニケーション塾】

「できない」と言えず繕い続けた医師と、信じた患者の思い27年間にわたって5万8,000件を超える電話相談に対応していると、「医療者のひと言が、患者の不信感をさらに強めてしまった」と感じることがよくあります。それを代表するような、鮮明に覚えている相談事例をご紹介します。その相談は70代の母親を持つ40代の男性からでした。母親は10年以上前にC型肝炎が見つかり、定期的に病院を受診していました。しかし、状態がかなり安定していることもあり、待ち時間の長い大きな病院への通院が苦痛に思えてきたそうです。そこで、7年前に自宅近くのクリニックに通院先を変更したのです。母親がそのクリニックを選んだのは、地域で開かれた市民公開講座で院長の講演を聴いたことがきっかけでした。講演会は在宅医療にまつわるもので、その医師は早くから在宅医療に取り組んでいて、がんの末期状態でも住み慣れた自宅で過ごすことができると力強く話していたそうです。講演の内容だけでなく、人柄にも好感を持った母親は、家族に通院先変更の希望について話しました。しかし息子さんは、「C型肝炎なんだから、肝臓の専門医に診てもらったほうが安心ではないか」と反対したそうです。そのため、母親はまずクリニックに出向き、「私はC型肝炎なのですが、こちらのクリニックで経過観察をしてもらうことは可能ですか?」と確認しました。すると院長は「もちろんです。勤務医時代には私は循環器を専門にしていましたが、開業して訪問診療をするようになって以来、かかりつけ医として科に関係なく、どんな病気の患者さんも広く診ています。どうぞ安心して当院に通院してください」と明言されたそうです。母親はそれを家族に伝え、「あの先生はとても信頼できる医師だから大丈夫」とうれしそうに語っていたそうです。ところが半年ほど前から母親の顔色が優れなくなり、息子さんは病気が悪化しているのではないかと心配になりました。そこで母親に同行し、「検査をしてほしい」とクリニックの院長に頼むと、「では、エコー検査で肝臓の確認をしましょう」とすぐにエコー検査を実施し、「問題ありませんよ。綺麗な肝臓です」と言われたそうです。しかし、その後も明らかに具合が悪くなっていったので、母親を説得して大きな病院の消化器内科を受診しました。すると、肝臓に大きながんが3つ、小さながんは数えきれないくらい散らばっていて「ほかの臓器にも転移していて手の施しようがありません。残念ながら末期状態です」と言われたのです。愕然とした息子さんは、居ても立ってもいられず、クリニックの院長のもとに走り、肝臓がんの末期状態であると診断されたことを伝えました。そして「先生はつい先日、綺麗な肝臓とおっしゃったじゃないですか!?」と問い詰めたところ、院長はしばらくうつむいたのちに、「…私は、肝臓は専門ではないので」と苦し紛れに言ったというのです。通院し始める前にわざわざ確認して、「科に関係なく診る」と言った言葉に母親は安心してかかり続けてきました。それだけに、その院長の言葉はダメ押しとなり、息子さんの不信感をさらに強める結果となってしまいました。「苦し紛れの責任回避や言い訳、説得は決してプラスに働くことはない」―多くの相談をお聴きしてきて私が痛感している結論の1つです。マイナス状況に陥ったときこそ、その人の真の姿が出てしまうのかもしれません。

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