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検索結果 合計:36084件 表示位置:22041 - 22060

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1994~2014年の30ヵ国におけるうつ病有病率調査

 うつ病の有病率は、過去20年間の精神医学的治療の変化やオンラインメンタルヘルス情報の入手による影響を受けている可能性がある。オーストラリア・モナッシュ大学のGrace Y. Lim氏らは、1994~2014年にかけて、異なる国と地域におけるうつ病の有病率を評価し、地理的、方法論的、社会経済的な要因によって層別化された有病率の変動を調査した。Scientific reports誌2018年2月12日号の報告。 合計90件の研究が特定され、成人111万2,573例が包括基準を満たした。調査の内訳は、時点有病率調査が68件、1年間の期間有病率調査が9件、生涯有病率調査が13件であった。 主な結果は以下のとおり。・ランダム効果モデルによるメタ解析では、うつ病の時点有病率は12.9%、1年間の期間有病率は7.2%、生涯有病率は10.8%であった。・時点有病率が有意に高かったのは、女性(14.4%)、人間開発指数(平均余命、教育、所得の複合統計指数:29.2%)、2004~14年に公表された研究(15.4%)、自己報告によるうつ病評価の場合(17.3%)であった。・異質性がメタ回帰分析、サブグループ解析により同定され、治療反応率、女性の割合、公表年は、それぞれうつ病の有病率に影響すると判断された。 著者らは「本メタ解析は、オンラインヘルス情報が出現したこの時代において、うつ病蔓延のベンチマークを可能とし、将来の比較を容易にするであろう」としている。■関連記事米国のうつ病、どのような患者で増加しているかこれからのうつ病治療、どんな介入を行うべきかうつ病再発予防へ、インターネット介入の可能性は

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院外心肺停止の予後、バッグマスクvs.気管内挿管/JAMA

 院外心肺停止(OHCA)患者において、バッグマスク換気(BMV)は気管内挿管(ETI)と比較し、28日目における神経学的予後良好な生存に関して非劣性または劣性を確認することはできなかった。フランス・パリ第5大学のPatricia Jabre氏らが、フランスとベルギーで行った多施設共同無作為化比較試験の結果を報告した。OHCA患者の心肺蘇生法(CPR)において、二次救命処置の気道管理は、BMVがETIより簡便であり、これまでの研究ではBMVの生存に関する優越性が報告されていた。JAMA誌2018年2月27日号掲載の報告。院外心停止患者約2千例をBMVとETIに無作為化、28日転帰を比較 研究グループはOHCA患者2,043例(平均年齢64.7歳、女性665例[32%])を、BMV群(1,020例)またはETI群(1,023例)に無作為に割り付けて検討を行った。登録期間は2015年3月9日~2017年1月2日、追跡終了は2017年1月26日であった。 主要評価項目は、28日目の神経学的予後良好な生存(脳機能カテゴリー[cerebral performance category:CPC]1~2と定義)で、非劣性マージンは1%とした。副次評価項目は、入院までの生存率、28日全生存率(CPCとは無関係)、自己心拍再開率、ETI/BMVが困難または失敗した割合などであった。 2,043例中2,040例[99.8%]が試験を完遂した。28日目の神経学的予後良好な生存、BMVのETIに対する非劣性/劣性は認められず Intention-to-treat集団において、28日目の神経学的予後良好な生存率はBMV群4.3%(44/1,018例)、ETI群4.2%(43/1,022例)であった(群間差:0.11%、97.5%片側信頼区間[CI]:-1.64%~∞、非劣性のp=0.11)。入院までの生存率(BMV群28.9% vs.ETI群32.6%、群間差:-3.7%、95%CI:-7.7~0.3%)、および28日全生存率(5.4% vs.5.3%、0.1%、-1.8~2.1%)も有意差は認められなかった。 一方、合併症はETI群と比較しBMV群で有意に多く、気道管理困難率はBMV群18.1%(186/1,027例) vs.ETI群13.4%(134/996例)(群間差:4.7%、95%CI:1.5~7.9%、p=0.004)、失敗率はそれぞれ6.7%(69/1,028例) vs.2.1%(21/996例)(4.6%、2.8~6.4%、p<0.001)、胃内容物逆流は15.2%(156/1,027例) vs.7.5%(75/999例)(7.7%、4.9~10.4%、p<0.001)であった。 著者は、研究の限界として、米国の救急医療システムでの戦略とあまり関連性がないこと、BMV群において自己心拍再開後または気道管理困難時にETIを使用した症例があること、心停止後の入院管理を比較していないことなどを挙げたうえで、「BMVとETIの同等性または優越性を判定するためにはさらなる研究が必要である」とまとめている。

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下肢静脈瘤で深部静脈血栓症のリスク約5倍/JAMA

 下肢静脈瘤と診断された成人患者では、深部静脈血栓症(DVT)のリスクが有意に高いことが明らかにされた。肺塞栓症(PE)と末梢動脈疾患(PAD)については、潜在的交絡因子のためはっきりしなかったという。台湾・桃園長庚紀念医院のShyue-Luen Chang氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。下肢静脈瘤は一般的にみられるが、重大な健康リスクと関連することはまれである。一方、DVT、PE、PADも血管疾患であるが、全身に重大な影響を及ぼす。これまで下肢静脈瘤とDVT、PE、PADとの関連性はほとんど知られていなかった。著者は、「下肢静脈瘤とDVTとの関連が、因果関係によるのか、あるいは共通のリスク因子があるのかについて、今後さらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA誌2018年2月27日号掲載の報告。下肢静脈瘤患者約21万人について下肢静脈瘤群などの発症を比較 研究グループは、台湾の国民健康保険プログラムの請求データを用いて、後ろ向きコホート研究を実施した。2001年1月1日~2013年12月31日の間に下肢静脈瘤と診断された20歳以上の患者21万2,984例(平均[±SD]年齢54.5±16.0歳、女性69.3%)を登録し、傾向スコアを用いてマッチングした下肢静脈瘤を有しない患者(DVT、PE、PADの既往歴がある患者は除く)を対照群(21万2,984例、平均年齢54.3±15.6歳、女性70.3%)として、下肢静脈瘤の有無によるDVT、PE、PADの発症率を比較した。 追跡終了日は2014年12月31日。Cox比例ハザードモデルを用いて、対照群に対する相対ハザードを推定した。下肢静脈瘤群は対照群に比べ深部静脈血栓症のリスクが5.3倍 追跡期間中央値は、下肢静脈瘤群ではDVTに関して7.5年、PE 7.8年、PAD 7.3年、対照群ではそれぞれ7.6年、7.7年、7.4年であった。 下肢静脈瘤群では対照群と比較して、いずれも発症頻度(/1,000人年)が高く、DVTは6.55 vs.1.23(1万360例 vs.1,980例、絶対リスク差[ARD]:5.32、95%信頼区間[CI]:5.18~5.46)、PEは0.48 vs.0.28(793例 vs.451例、ARD:0.20、95%CI:0.16~0.24)、PADは10.73 vs.6.22(1万6,615例 vs.9,709例、ARD:4.51、95%CI:4.31~4.71)であった。対照群に対する下肢静脈瘤群のハザード比は、DVTが5.30(95%CI:5.05~5.56)、PEが1.73(95%CI:1.54~1.94)、PADが1.72(95%CI:1.68~1.77)であった。 なお、著者は、観察研究であるため因果関係は結論付けられないこと、下肢静脈瘤群の対照群には未診断の下肢静脈瘤を有する患者が含まれている可能性があること、下肢静脈瘤の重症度については調べていないことなどを、研究の限界として挙げている。

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小児期の腎臓病が成人期の末期腎不全の危険因子となる(解説:木村健二郎氏)-823

 小児期に腎臓が受けた傷害が、臨床上一見治癒したようにみえても数十年の年月をかけて徐々に進行し末期腎不全に陥る可能性を示した点で興味ある報告である。しかし、著者らも述べているように、この報告にはいくつものlimitationがある。 まず、小児期の腎臓病は先天性腎尿路奇形、腎盂腎炎、糸球体疾患と定義されているが、それらの疾患の詳細な情報や治療情報がないこと、経過中の危険因子の有無が不明ということが挙げられる。また、ベースラインの血清クレアチニンの情報は正常か異常かの情報しかないため、eGFRを知ることができない。血清クレアチニンが基準値内であってもベースラインのeGFRが低いほど、末期腎不全のリスクが高くなる可能性はあるが、そのことに関しては判断がつかないなどである。 小児期の腎臓疾患が成人期の慢性腎臓病につながる可能性は以前より指摘されていた。小児期のネフロンロスと残存ネフロンの過剰ろ過がその後の腎不全の発症につながることも考えられる。今後、さらに病態生理が解明されることが望まれる。

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FDA、CDK4/6阻害薬abemaciclibの乳がん初期内分泌療法を承認

 米国食品医薬品局(FDA)は2018年2月26日、転移を有するホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の閉経後乳がんに対する、CDK4/6阻害薬abemaciclibの初期内分泌療法を、アロマターゼ阻害薬との併用で承認した。 この承認は、上記患者における、多施設プラセボ対照二重盲検比較試験MONARCH-3の結果に基づいている。この試験では、493例の患者が、レトロゾールまたはアナストロゾールとabemaciclibの併用またはプラセボとの併用に無作為に割り付けられた。abemaciclib群の無増悪生存期間は28.2ヵ月(95%CI:23.5~未到達)、プラセボ群で14.8ヵ月(95%CI:11.2~19.2)と、abemaciclib群で有意に延長した(0.54、95%CI:0.418~0.698、p <0.0001)。 MONARCH-3試験でみられたabemaciclibの一般的(20%以上)な副作用は、下痢、好中球減少、疲労、感染、悪心、腹痛、貧血、嘔吐、脱毛症、白血球減少症であった。■参考FDAメディアリリースMONARCH-3試験(Clinical Trials.gov)

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名刺交換はなしということで【Dr. 中島の 新・徒然草】(211)

二百十一の段 名刺交換はなしということである日の夜。病院のロビーで人と待ち合わせをしていたところ、1人の職員に呼びとめられました。職員「あっ、中島先生。ちょうど良かった!」中島「『ちょうど良かった』って、飛んで火にいる夏の虫かいな、僕は」職員「そうともいえますね」そう言いつつ、そばにいた男性と女性の二人組に紹介してくれました。職員「こちらは意見書を書いてくれた中島先生です」二人組「素早い作成、ありがとうございました!」中島「どういたしまして。良く分からんけど」職員「行政の人ですよ、こないだの虐待カンファレンスで対象となった方を管轄している・・・」中島「ええっと先週の分かな? いや、先々週の分?」職員「先週の方です」二人組「たくさんあるんですね」私は虐待防止委員会の委員になっているので、時々招集がかかります。対象となる患者さんごとに担当者がいて、集まるメンバーもケースによって違っています。私に求められる役割も医師としての見解を述べたり、超特急で診断書や意見書を作成したり、とくに決まったものがあるわけではありません。要するに、必要に応じて何でもしているのです。二人組「先生がすぐに意見書を書いてくれたので、こちらもスムーズに保護することができます」職員「ご対応よろしくお願いします」二人組「ええ。本当にどうもありがとうございました」中島「なんだか分からないけど、よろしく」虐待にもいろいろなパターンがあります。よく知られているのは子供に対する親の虐待ですが、その他に同居するパートナーに対するもの、高齢者に対するものなどなど。子供の場合は虐待が確認できた時点で有無を言わせず保護、パートナーの場合は被害者自身が判断することになりますが、高齢者の場合は被害者の事理弁識能力によって対応が変わってくる、というのが私の理解です。せっかく苦労して保護したとしても加害者に見つかって連れ戻されたら元の木阿弥です。なので、どの施設に保護されたのかが病院に知らされることはありません。そうすれば、加害者に問い詰められても答えられないですから。私自身は、念のため、行政機関や担当者の名前すら尋ねないよう気をつけています。「すみません。とりあえず名刺交換はなしということでお願いします」と薄暗いロビーに立っている二人組に心の中で呟きました。こういった数多くの無名の人たちが日本の社会を支えているのだな、と改めて思わされた次第です。保護の対象となった患者さんが、これからは幸せに暮らしていけることをお祈りいたします。最後に1句知らぬ人 チームを組んで 黙々と

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統合失調症の維持治療に対するブレクスピプラゾールの長期安全性評価研究

 ブレクスピプラゾールは、統合失調症の急性期や再燃予防において有効性を発揮するセロトニン・ドパミンアクティビティモデュレーター(SDAM)である。米国・大塚ファーマシューティカルD&C Inc.のAndy Forbes氏らは、フェーズIIIの多施設共同研究において、ブレクスピプラゾールのフレキシブルドーズ1~4mg/日における長期安全性、忍容性、有効性の評価を行った。The international journal of neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年2月3日号の報告。 対象は、3つのランダム化二重盲検プラセボ対照フェーズIII試験から、52週間(最終的に26週間へ変更)のオープンラベル試験へ移行した患者。対象患者は、これまでの研究の一部としてではなく、新たに登録を行った。主要アウトカムは、治療下で発現した有害事象(TEAE:treatment-emergent adverse event)の頻度と重要度とした。有効性は、PANSS(陽性・陰性症状評価尺度)、PSP(個人的・社会的機能遂行度尺度)を用いて、副次的目的として評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・合計1,072例(52週間:952例、26週間:120例)が登録され、そのうち47.4%が試験を完了した。・ブレクスピプラゾール投与を1回以上実施した患者において、TEAEにより投与を中止した患者は14.6%であった。その主な内訳は、統合失調症8.8%、精神病性障害1.5%であった。・発生率5%以上のTEAEは、統合失調症(11.6%)、不眠症(8.6%)、体重増加(7.8%)、頭痛(6.4%)、激越(5.4%)であった。・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度または中等度であった。・平均体重増加は、ベースラインから26週目までで1.3kg、52週目までで2.1kgであった。・プロラクチン、脂質、グルコース、QT延長に関連する臨床的な知見は認められなかった。・患者の症状および機能は、継続的な改善がおおむね認められた。 著者らは「統合失調症患者に対するブレクスピプラゾール1~4mg/日による治療は、最大52週間の忍容性が良好であることが確認された」としている。■関連記事新しいドパミン受容体パーシャルアゴニスト、ブレクスピプラゾール開発中のブレクスピプラゾール、その実力はアリピプラゾール維持治療の52週RCT結果

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低用量スタチンでの糖尿病リスク~日本のコホート研究

 低用量スタチンを服用している日本人の糖尿病新規発症リスクはこれまで検討されていない。今回、秋田大学医学部附属病院薬剤部の加藤 正太郎氏らは、低用量スタチン服用患者を、高力価スタチン群と低力価スタチン群に分けて糖尿病新規発症リスクを評価した。その結果、高力価スタチン群では低力価スタチン群と比べ有意に発症リスクが高かった。さらに、ステロイドや免疫抑制薬との併用で発症リスクが上昇するため、注意が必要と指摘している。Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics誌オンライン版2018年2月26日号に掲載。 本研究は、スタチン治療を開始した日本人患者2,554例の後ろ向きコホート研究である。同じスタチンの同じ用量を服用している患者のみ登録し、高力価スタチン群と低力価スタチン群に分けた。アウトカムはスタチン治療中の糖尿病新規発症率とした。 主な結果は以下のとおり。・本コホートにおける糖尿病新規発症率は7.4%(n=190)であった。・カプランマイヤー生存曲線により、低力価スタチン服用患者に比べ高力価スタチン服用患者において糖尿病新規発症率が有意に高いことが示された(p<0.001、log-rank検定)。・Cox比例ハザード回帰分析により、糖尿病新規発症リスクを有意に増加させる因子として、ベースライン時の空腹時血糖、高力価スタチン使用、男性、Ca拮抗薬・免疫抑制薬・ステロイドとの併用が特定された。

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敗血症性ショック、ステロイド2剤併用で死亡率低下/NEJM

 敗血症性ショック患者に対する検討で、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン投与はプラセボ投与と比較して、90日全死因死亡率が低いことが示された。フランス・Raymond Poincare病院のDjillali Annane氏らが、1,241例を対象に行った多施設共同二重盲検無作為化試験の結果を、NEJM誌2018年3月1日号で発表した。敗血症性ショックは、感染に対する宿主反応の調節不全が特徴で、循環異常、細胞異常、代謝異常を呈する。研究グループは、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンによる治療、または活性型drotrecogin αによる治療は、宿主反応を調節可能であり、敗血症性ショック患者の臨床的アウトカムを改善する可能性があるとの仮説を立てて、検証試験を行った。昇圧薬非使用日数、人工呼吸器非装着日数なども比較 試験は2×2要因デザインにて、集中治療室(ICU)の入院患者で、24時間未満に敗血症性ショックと診断された患者(疑い例含む)を対象に行われた。 対象患者を無作為に分け、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン療法、活性型drotrecogin α単独療法、これら3剤の併用療法、各療法に適合させたプラセボを投与した。 主要評価項目は、90日全死因死亡率。副次的評価項目は、ICU退室時および退院時、28日時点、180日時点の各時点における死亡率と、生存日数、昇圧薬非使用日数、人工呼吸器非装着日数、臓器不全の非発生日数とした。 同試験は、中途で活性型drotrecogin αが市場から撤退したため、その後は2群並行デザインで継続した。ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン療法を行った群と、両薬を投与しなかったプラセボ群について比較分析した。ICU退室時死亡率・退院時死亡率は約6ポイント減少 試験に組み入れた被験者1,241例(ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群614例、プラセボ群627例)において、90日死亡率は、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群が43.0%に対し、プラセボ群は49.1%と高率だった(p=0.03)。ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群の死亡に関する相対リスクは、0.88(95%信頼区間[CI]:0.78~0.99)だった。 また、ICU退室時死亡率も、プラセボ群41.0%に対しヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群は35.4%(p=0.04)、退院時死亡率はそれぞれ45.3%と39.0%(p=0.02)、180日死亡率は52.5%と46.6%(p=0.04)で、いずれもヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群が有意に低率だった。一方で28日死亡率については、38.9%、33.7%と、両群で有意差はなかった(p=0.06)。 28日目までの昇圧薬非使用日数は、プラセボ群が15日に対しヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群は17日(p<0.001)、臓器不全非発生日数もそれぞれ12日、14日で(p=0.003)、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群で有意に長かった。一方で人工呼吸器非装着日数は、それぞれ10日、11日と両群間で差はなかった(p=0.07)。 重篤有害事象の発生頻度は両群で同程度だったが、高血糖症の発生頻度がヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン群で高かった。

22051.

多枝・左主幹部冠動脈疾患の死亡率、CABG vs.PCI/Lancet

 多枝冠動脈疾患患者では、冠動脈バイパス術(CABG)が経皮的冠動脈インターベンション(PCI)よりも、死亡に関してベネフィットがあることが示された。とくに、糖尿病の併存や冠動脈の病変が複雑な患者ほど、その傾向は強かった。一方、左主幹部冠動脈疾患患者では、CABGがPCIよりもベネフィットがあることは示されなかった。オランダ・エラスムス大学医療センターのStuart J. Head氏らが、11の無作為化比較試験、被験者総数約1万1,500例を対象に行ったプール解析の結果で、Lancet誌オンライン版2018年2月22日号で発表した。これまで多くの無作為化試験で、冠動脈疾患患者についてCABGとPCIの比較が行われているが、血行再建術の戦略間で死亡の差を評価した試験はなかったという。2017年7月19日時点でレビュー、1年超の死亡転帰を含むRCTを特定 研究グループは、2017年7月19日時点でシステマティック・レビューを行い、CABGおよびステントを用いたPCIに関する無作為化比較試験を特定した。その中で、対象が多枝または左主幹部の冠動脈疾患を有する急性心筋梗塞歴のない患者、ステント(ベアメタルまたは薬剤溶出型)を用いたPCIを実施、全死因死亡について1年超のフォローアップを行っていた試験を適格として解析に含んだ。 対象試験のプール解析では、Kaplan-Meier法を用いて5年全死因死亡率を推算、ランダム効果Cox比例ハザードモデルで各試験を階層化し、CABGとPCIのアウトカムを比較した。また、治療効果の整合性について、ベースライン時の臨床・解剖学的特徴で定義したサブグループで、探索的解析を行った。多枝患者ではPCIとCABGで有意な差、左主幹部疾患では介入の違いで差はみられず 解析には11の無作為化試験、被験者総数1万1,518例(PCI群5,753例、CABG群5,765例)を包含した。平均追跡期間3.8年(SD 1.4)において、976例の死亡が報告された。 平均SYNTAXスコアは26.0(SD 9.5)であり、8,138例中1,798例(22.1%)が同スコア33以上だった。 5年全死因死亡率は、PCI群11.2%に対しCABG群9.2%だった(ハザード比[HR]:1.20、95%信頼区間[CI]:1.06~1.37、p=0.0038)。 多枝患者では、治療介入の違いによる5年全死因死亡率の有意差が認められた(PCI群11.5% vs.CABG群8.9%、HR:1.28[95%CI:1.09~1.49]、p=0.0019)。さらに多枝患者では、糖尿病の併存の有無による違いも認められた。多枝糖尿病群では、PCI群15.5% vs.CABG群10.0%(HR:1.48、95%CI:1.19~1.84、p=0.0004)であったが、多枝非糖尿病患者群では、8.7% vs.8.0%で有意な差は認められなかった(HR:1.08、95%CI:0.86~1.36、p=0.49)。多枝患者ではSYNTAXスコアによる違いもみられ、低スコア群では有意差はみられなかったが(スコア0~22の患者群、p=0.57)、高スコアになると有意差が認められた。スコア23~32の多枝患者群はp=0.0129、スコア33以上の多枝患者群では、PCI群17.7% vs.CABG群10.9%(HR:1.70、95%CI:1.13~2.55、p=0.0094)だった。 一方、左主幹部患者の5年全死因死亡率は、PCI群10.7% vs.CABG群10.5%で、有意差はなかった(HR:1.07、95%CI:0.87~1.33、p=0.52)。糖尿病の有無やSYNTAXスコアの違いによる差も認められなかった。

22052.

抗うつ薬は効果があるのか?(解説:岡村毅氏)-822

 抗うつ薬に関するネットワークアナリシスである。臨床的には納得できる点が多い。 「良薬口に苦し」とはよく言ったもので、いわゆる三環系抗うつ薬であるアミトリプチリンは効果が大きいが、抗コリン作用(口渇、眠気、便秘、不整脈等)が強く、高齢社会においてはますます使いにくい。SSRIの登場によりうつ病の薬物治療が新時代を迎えたころ、華々しく登場したfluoxetineやパロキセチンは、やはりスタディ数が圧倒的に多い。バランスが良いのはセルトラリンやエスシタロプラムであるが、従来いわれていた知見と合致する1)。 うつ病というのは複雑な現象であり、「抗うつ薬は効果があるのか?」は、「ライオンとシャチはどっちが強い?」みたいな答えにくい質問である。 たとえば会社で、毎日終電まで仕事が終わらないうえにほぼ最低賃金で、上司からは、ばかだ、能なしだとののしられ、部下は言うことを聞かない…そういう状況で徐々に不眠になり、考えがまとまらなくなり、興味を失い、体重が減って、という場合は、抗うつ薬では本質的にはよくならないだろう。まず休んで身の振り方を考えるべきである。この場合は環境調整が最も効果的なのである(並行して抗うつ薬による治療を行うことは十分に効果的であるので誤解なきよう)。 あるいは、このような状況にもかかわらず患者さんが「言われたことを断わってはいけない」「断ると自分の価値がなくなる」「求められることをこなすことが自分の価値である」と強く信じているような場合は、うまく断るやり方を考えたり、たとえ無理な依頼を断っても個人の価値は何ら棄損しないことを共有し、場合によっては頼まれたことをこなしてきた人生を振り返り、少し生き方を変えてもいいかもと語り合うことが良いかもしれない。つまり、精神療法が最も効果的なのである(並行して抗うつ薬による治療を行うことは十分に効果的であるので誤解なきよう)。 高齢者がちょっとした体の不調で元気がない場合、抗うつ薬も良いが、漢方薬程度にして、気晴らしができる場所や信頼できる人を見つけてもらうのが最良であろう。 しかし、若い人がストレッサーに曝露したことでみるみる元気をなくし、思考制止ともいうべき状況で活動量が低下して部屋で動かなくなっている場合は、個人的にはすぐに抗うつ薬による治療を勧める。 うつ病という現象はあまりにも変数が多く、また得られた情報が場合によっては歪んでいたりするので、意思決定は難しい。しかし、「こころの不調」や「子供の教育」は多くの人が経験するからだろうか、自分の経験のみを基にマスコミなどで発信している人が多いと感じるのは私だけだろうか。このコラムを「抗うつ薬は効果があるのか?」という挑戦的なタイトルにしたのも、その現象は本当にうつ病といえるのかということを考えないといけない、うつ病の治療では精神療法や環境調整も薬物治療と同じように重要である、年齢・既往歴・社会的状況によって抗うつ薬の適応は変化する、このように考えると「はい」「いいえ」で答えられない問題であるということを伝えたかったからである。冒頭の質問は「陸の上ならライオン、海の中はシャチ」というのが正解か。狭義のうつ病に対して抗うつ薬は効果があることは、(そして魔法ではないのでいわゆる「副作用」があることは)科学的事実であろう。そして、さまざまな判断に基づき抗うつ薬を使う場合には、効果と忍容性を勘案するべきであり、本論文の果たす役割はあまりにも大きい。

22053.

分子標的治療薬の新たな薬剤耐性メカニズム発見/LC-SCRUM-Japan

 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)の研究所(所長: 間野博行)ゲノム生物学研究分野、中奥敬史研究員、河野隆志分野長、東病院(院長:大津 敦)呼吸器内科、後藤功一科長らは2018年2月14日、京都大学、東京大学、理化学研究所、英国クリック研究所と共同で、分子標的治療薬バンデタニブによって治療されたRET融合遺伝子陽性の肺がん患者のがん試料の機能ゲノム解析を行い、新しい薬剤耐性メカニズムを発見したと発表。研究結果は米国学術雑誌Nature Communicationsに2月12日付けで発表された。 今回の研究では、バンデタニブ治療に耐性となる前と後の患者の肺がんのゲノムDNAについて、次世代シークエンサーを用いた遺伝子パネル検査(NCCオンコパネル検査)を行うことで、RET融合タンパク質の薬剤の結合部位から離れた位置に存在する活性化ループ上に耐性化をもたらす二次変異を発見した。 X線構造解析、スーパーコンピュータ「京」等を用いた分子動力学シミュレーションなど、複合的な解析を行ったところ、この変異は、遠隔的にRETタンパク質の薬剤や基質であるアデノシン3リン酸の結合部位となる領域の3次元構造を変化させる効果を持つことが示された。このアロステリック効果により、変異タンパク質では、酵素活性の上昇と薬剤結合の低下が生じ、薬剤に耐性となると考えられる。 今回の発見により、薬剤の結合部位から離れた位置に存在するアロステリック効果を持つ遺伝子変異が、分子標的薬剤に対する耐性の原因となることが明らかになった。がん細胞の遺伝子変異の多くは、がん化や治療に関する意義がわからないVUS(variants of unknown significance)である。今回の研究に用いた手法は、これら意義不明変異を解明し、治療の方針決定の手助けになると期待される。■参考国立がん研究センタープレスリリースNakaoku T, et al. Nat Commun. 2018 Feb 12.[Epub ahead of print]

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早期の認知症発見とコンピュータ使用との関連性の検証

 高齢者が多様なコンピュータを使用する動作から、認知機能に問題がないか、または認知機能低下の初期段階にあるか判断することはできるか、そしてこれらの動作が認知機能低下と関連しているかについて、英国・マンチェスター大学のG. Stringer氏らが調査を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2018年2月9日号の報告。 認知機能低下の高齢者(認知機能低下群)20例および健常な高齢者(対照群)24例を対象に、認識および機能できる力、一連の半構造化コンピュータタスクの評価を行った。コンピュータの使用動作は、別注のソフトウェアで受動的に収集した。 主な結果は以下のとおり。・認知機能低下群のコンピュータ使用動作のプロファイルは、より頻繁な一時的停止、タイピングの遅さ、マウスクリックの多さについて、対照群と比較し、有意な違いが認められた。・これらの動作は、認識および機能できる力(とくに記憶関連)の評価で、有意な関連が認められた。 著者らは「コンピュータの使用動作を目立たないように調査することは、臨床現場以外での神経変性の早期発見の可能性を表している。それは、長期的なアウトカムを改善するためのタイムリーな治療介入を可能とする」としている。■関連記事脳トレーニングで認知症予防、認知機能低下リスクが20~30%減どのくらい前から認知症発症は予測可能か軽度認知障害、5年後の認知症発症率は

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冠動脈疾患疑い患者に有益な画像診断戦略は?/BMJ

 低リスクの急性冠症候群(ACS)患者において、初期画像診断戦略としての機能的検査(ストレスエコー検査、心血管MR[CMR])の実施は、非侵襲的な解剖学的検査(冠動脈CT造影法[CCTA])と比べて、付加的検査における侵襲的な冠動脈造影検査や再血行の処置を受けることが少ないと明らかにされた。将来的な心筋梗塞リスクについて、明らかな影響はみられなかったという。一方、安定冠動脈疾患(CAD)が疑われる患者については、付加的検査における侵襲的な冠動脈造影の必要性に関して、明確な違いが初期診断戦略の間でみられず、心筋梗塞のリスクの違いでルールアウトすることもできなかった。スイス・ベルン大学病院のGeorge CM Siontis氏らによるネットワークメタ解析の検討結果で、BMJ誌2018年2月21日号で発表された。研究グループは、「診断精度に関する情報は、診断検査の有用性を結論付けるのに重要であるが、その情報が患者の利益に結びついていない可能性がある」として、今回の検討を行った。冠動脈疾患疑い患者への非侵襲的画像検査の有用性を検証 先行研究では、低リスクACSが疑われる患者や安定CAD患者に対して、非侵襲的画像診断法による検査が用いられているが、ダウンストリーム検査への影響や臨床的アウトカムについては不明であり、一貫した所見が示されていなかった。 研究グループは、システマティックレビューとネットワークメタ解析により、冠動脈疾患検出のために行われた非侵襲的画像診断後の、ダウンストリーム検査、冠動脈再建術、臨床的アウトカムに関する差異を評価する検討を行った。 MEDLINE、MEDLINE In-Process、Embase、Cochrane Library for clinical trials、PubMed、Web of Science、Scopus、WHO International Clinical Trials Registry Platform、ClinicalTrials.govをデータソースに、症候性の低リスクACSもしくは安定CAD患者を対象とした、非侵襲的画像診断を比較検討した診断法についての無作為化試験を選出。ランダム効果ネットワークメタ解析により、冠動脈疾患が疑われる患者について、ダウンストリーム検査と患者志向のアウトカムへの、非侵襲的画像検査の効果を評価していた試験のエビデンスを統合し評価した。 解析対象に組み込んだ画像診断法は、負荷心電図、ストレスエコー、SPECT-MPI、RT-MCE、CCTA、CMRである。また、11試験から未公表のアウトカムデータも入手した。低リスクACS患者には、ストレスエコー、CMR、負荷心電図が有益 検索により、低リスクACS患者が参加した18試験(被験者数1万1,329例)と、安定CAD疑い患者が参加した12試験(2万2,062例)を特定し、解析に包含した。 低リスクACS患者において、ストレスエコー、CMR、負荷心電図を実施した患者は、CCTAよりも侵襲的な冠動脈造影検査を紹介されるケースが少なかった。各受診群のオッズ比(OR)は、ストレスエコー群0.28(95%信頼区間[CI]:0.14~0.57)、CMR群0.32(0.15~0.71)、負荷心電図群0.53(0.28~1.00)であった。推定値は不明確であったが、その後の心筋梗塞リスクへの影響はみられなかった。結果に関する不均一性、エビデンスの不一致に関する程度は低かった。 安定CAD疑い患者においては、ストレスエコーもしくはSPECT-MPIの初期診断戦略が、CCTAよりも、ダウンストリーム検査を受けるケースが少なかった。オッズ比はストレスエコー群0.24(95%CI:0.08~0.74)、SPECT-MPI群0.57(0.37~0.87)であった。一方で、負荷心電図群はダウンストリーム検査を受ける割合が最も高かった(OR:3.87、95%CI:2.33~6.41)。死亡および心筋梗塞に関する推定値は不明確で、戦略間の違いを明確に判別することもできなかった。

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マイボーム腺機能不全や眼表面摩擦関連疾患でドライアイが重症化

 マイボーム腺機能不全(MGD)や眼表面摩擦関連疾患(FRD)は、ドライアイの重症度にどのような影響を及ぼしているのか。慶應義塾大学のChi Hoang Viet Vu氏らDry Eye Cross-Sectional Study in Japan Study Groupは、約450例を対象とした横断観察研究において、MGD、FRDまたはその両方が存在すると、ドライアイの状態やサブタイプに関係なく涙液層破壊時間(TBUT)が有意に短縮していることを明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2018年2月16日号掲載の報告。 研究グループは、ドライアイ患者449例(男性63例、女性386例、平均年齢62.6歳[範囲21~90歳])を登録し、自覚症状、眼表面、涙液機能、ならびにMGDおよびFRD(上輪部角結膜炎、結膜弛緩症およびlid wiper epitheliopathy)について調査した。 主要評価項目は、シルマー値、TBUTおよび角結膜上皮スコアとした。 主な結果は以下のとおり。・449例中、231例(51.4%)が涙液減少型ドライアイ(ADDE)、109例(24.3%)がTBUT短縮型ドライアイであった。・MGDを有する患者は、MGDのない患者に比べTBUTが短かったが、他の眼所見に差はなかった。 全体:MGDあり1.97±1.02秒、MGDなし2.94±1.63秒、p<0.001 ADDE患者:MGDあり1.94±1.08秒、MGDなし2.77±1.61秒、p<0.001 TBUT短縮型ドライアイ患者:MGDあり2.07±0.97秒、MGDなし2.94±1.23秒、p=0.01・ADDE患者において、FRDを有する患者はFRDのない患者と比べてTBUTが短かった(ADDE/FRDあり2.08±1.39秒、ADDE/FRDなし2.92±1.54秒、P<0.001)。

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トリプルセラピーは重症COPD患者の中等度以上の増悪を減らすことができるのか?(解説:山本寛 氏)-821

 慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)、とくに重症のCOPDに対する治療は長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(long-acting muscarinic antagonist:LAMA)の吸入、長時間作用性β2刺激薬(long-acting β2 agonist:LABA)の吸入を軸に、吸入ステロイド(inhaled corticosteroid:ICS)が上乗せされることが多かった。確かに重症COPDには気管支喘息の合併、いわゆるACO(Asthma and COPD Overlap)が多く、また、喘息を合併していない場合でも、好酸球性気道炎症は重症COPDで多く認められ、ICSが本質的に有用な患者は存在する。しかし、十分な証拠もなくICSを追加してしまう場合も多いだろう。ICS/LABAが第1選択であると誤解されていることもあるようだ。一方、COPDに対してICSを上乗せすると肺炎の合併が多くなることは従来から指摘されていて、最新2017年のGOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)では、一旦追加したICSを中止することも選択肢の1つとして提示されている。 一方、吸入療法の選択を考える場合、吸入薬の薬理作用だけでなく、吸入デバイスが何であるか、という点も重要なポイントである。低肺機能の患者にとって、ドライパウダー製剤(Dry Powder Inhaler:DPI)の吸入は実効を得にくいこともある。また、複数のデバイスの仕様を覚えることは患者にとっては大変な苦痛であり、実際にデバイスの使用方法を間違えてしまうことで吸入の実効が得られないこともある。したがって、複数の薬剤を1つのデバイスで吸入でき、しかもそのデバイスの操作が簡便で理解しやすいものであれば、それは治療の効果をより確実なものにする可能性があり、患者利益に直結するものとなる。 本研究はベクロメタゾン、ホルモテロール、グリコピロニウムの3剤を1つのデバイスで吸入できるMDI(Metered Dose Inhaler)製剤とインダカテロール、グリコピロニウムの2剤を1つのデバイスで吸入できるDPI製剤を比較して、中等度~重度のCOPD増悪のイベント発生頻度を52週間の観察期間にわたり追跡した二重盲検併行群間ランダム化比較試験=TRIBUTE試験である。結果の判断に注意が必要な点としては、Chiesi Farmaceuticiという企業の経済的支援の下で行われている試験であり、この企業がベクロメタゾン、ホルモテロール、グリコピロニウムのトリプル製剤をすでに上市している企業であるという点は挙げなければならない。また、本試験で用いられたインダカテロール、グリコピロニウムの合剤は本邦と同じBreezhaler製剤ではあるが、薬効成分の含有量が異なる(本研究:インダカテロール85μg/グリコピロニウム43μg、本邦流通品:110μg/50μg)点にも注意が必要である。 さて、本研究には17ヵ国、187の医療機関が参加し、(1)%FEV1(%1秒量)が50%未満という高度ないしきわめて高度の気流閉塞を伴う、(2)直近1年間に中等度から重度の急性増悪が1回以上、(3)吸入薬の維持療法をすでに行っている症候性、というCOPDの患者1,532例を対象に行われている。試験参加に当たっては、吸入薬の前治療が、ICS+LABA、ICS+LAMA、LABA+LAMA、LAMA単剤の4通りいずれかである場合のみ参加可能であり、その後導入期間として2週間、インダカテロール、グリコピロニウム2剤をDPI製剤で吸入したうえで、ベクロメタゾン、ホルモテロール、グリコピロニウムの合剤をMDI製剤で1日2回吸入する群(BDP/FF/G群)764例とインダカテロール、グリコピロニウムの合剤をDPI製剤で1日1回吸入する群(IND/GLY群)768例にランダム化された。主要評価項目は、治療52週間における中等度~重度COPD増悪のイベント発生頻度である。 主要評価項目である中等度~重度COPD増悪の頻度は、IND/GLY群の0.59/患者年(95%信頼区間[CI]:0.53~0.67)に対し、BDP/FF/G群が0.50(CI:0.45~0.57)で、その率比は0.848(CI:0.723~0.995、p=0.043)と有意なイベント減少が示された。有害事象の発現率は、BDP/FF/G群64%、IND/GLY群67%と両群で同等で、注目の肺炎の発症率は、両群ともに4%で有意差を認めなかった。治療関連の重篤な有害事象は、両群ともに1例ずつ(BDP/FF/G群:排尿障害、IND/GLY群:心房細動)が報告された。 今回の結果から、BDP/FF/GのトリプルセラピーはIND/GLYのデュアルセラピーと比べて、中等度~重度のCOPD増悪を15%減らす効果があるとみることができるが、果たしてこの結果から、「重症COPDにはトリプルセラピーを!」と単純に推奨できるだろうか? それは否である。本試験の患者背景に注目してみよう。患者の年齢はBDP/FF/G群が64.4±7.7歳、IND/GLY群が64.5±7.7歳(mean±SD)であり、本邦のCOPD患者が70歳以上の高齢者に多いことと比較すれば、明らかに若年者を対象とした研究であるといえる。また、Body Mass Index(BMI)についてもBDP/FF/G群が25.7±5.1kg/m2、IND/GLY群が26.6±5.4kg/m2であり、本邦のCOPD患者に多い痩せ型COPDはむしろ少数派であろう。また、COPDの臨床的phenotypeに関しても、chronic bronchitis(慢性気管支炎)型がBDP/FF/G群で57%、IND/GLY群で55%含まれており、対するemphysema(肺気腫)型はBDP/FF/G群で30%、IND/GLY群で31%しか含まれていない。すなわち、本邦のCOPDのほとんどを占める肺気腫型があまり含まれていなかったことになる。今回の試験のサブ解析では、慢性気管支炎型のCOPD患者において中等度~高度のCOPD増悪の発生頻度がBDP/FF/G群で有意に低い(率比0.752、CI:0.605~0.935、p=0.010)ことが示された一方で、肺気腫型の場合はまったく差がみられないようである(appendixに示されたフォレストプロットによれば、率比0.995で、CI値、p値は非公表であるが、CIは明らかに全体集団の率比0.848より大きく、また1をまたいでいる)。一方、好酸球分画が2%以上のサブセットでみると、BDP/FF/G群で率比0.806(CI:0.664~0.978、p=0.029)と有意なイベント減少が示されている。 以上から、本試験の結果を本邦のCOPD患者に外挿し適用することは難しいと考えられる。ただし、本邦においても存在する、「青ぶくれ=blue bloater」型の肥満COPD患者や好酸球性気道炎症の関与が推定されるCOPD患者においては、ICSを追加した治療が有効である可能性がある。また、1つのデバイスで吸入を完了できることのメリットはとくに高齢であるほど大きいと思われ、上記のようなphenotypeを示す高齢患者においては有用な選択肢となるかもしれない。今回の試験でBDP/FF/G群はMDI製剤での吸入を行っている。先述のとおり、重症COPDではDPI製剤の有効な吸入ができない可能性があり、MDI製剤で吸入できたBDP/FF/G群にはより有利だった可能性がある。臨床試験に参加する患者群は、日常臨床の患者群と比較して吸入アドヒアランスが高い集団である可能性が高く、今回の試験結果を実臨床に落とし込む場合は、アドヒアランスが低下しやすいデバイスを使用する患者層で、効果が大きく落ちてしまう可能性があることにも注意が必要である。トリプル製剤が本邦で上市される日がいずれ訪れると思われるが、その際はICSを上乗せするメリットのある患者層を見極め、デバイスの特性や吸入アドヒアランスに配慮した治療選択を行うことがより一層重要となるだろう。

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志水太郎の診断戦略エッセンス

第1回 なぜ今、診断戦略か? 第2回 2つの思考プロセス 第3回 診断力をどう鍛えるか? 第4回 診断の型のイノベーション 第5回 病歴の技法 第6回 注意すべきいくつかの戦術的要所 第7回 難症例に打ち勝つ戦術 すべての医師が診断の力を伸ばすために、診断に至るまでの医師の思考プロセスを見える化できないか?総合診療医 志水太郎氏は医師が無意識下で行っている診断の思考過程を言語化することで、それを「型」として、意識的に使えるもの、訓練できるものにしました。この番組では質の高い診断を効率的に行うためのアイデアや、診断エラーを減らす方策、病歴の技法、そして診断力を鍛えるための訓練方法を紹介します。志水氏のこの診断学イノベーションに触れることで、明日からの診断の精度が確実に向上することをお約束します!第1回 なぜ今、診断戦略か? 若手Dr.の支持を集める診断学の「ニューバイブル」を映像化!「診断」というものを独自のアプローチで捉え直した書として注目された「診断戦略」(医学書院)。医師が無意識的に行っていた診断に至るプロセスを言語化することで、意識的に、効率的にその精度を向上させることができる、まさに診断学イノベーション!本番組では著者である志水太郎先生がその本質と、診断力をアップする具体的な方法について解説します!第2回 2つの思考プロセス 診断戦略の世界へようこそ。医師が操る直観的思考と分析的思考。この思考パターンの見える化こそが、診断の精度をアップするための第1歩。診断プロセスを意識することで、自身の診断能力を鍛えることができるんです。今回は実際の症例のなかで、ひらめきである直観的思考と分析的思考による推論に挑戦。診断戦略の凄みを体験してください!第3回 診断力をどう鍛えるか? 診断力は、直観的思考の洗練に加え、活用できる分析的思考の種類がどれだけあるかがカギ。分析的思考のための具体的なツールであるアルゴリズム、ベイズの定理、スコアリングシステム、フレームワーク。このなかで自分なりの手堅い戦略の型を持っておくことが鑑別診断を進める際の高い機動力に繋がります。番組内では志水先生が日常的に使うフレームワーク“MEDICINE”を紹介!第4回 診断の型のイノベーション 知れば使いたくなる新しい診断戦略を伝授します。鑑別診断という答えをどう追い詰めて明らかにするか。診断力をアップする鍵は、これまでとはまったく異なるアプローチかもしれません。今回は、直観と分析の合わせ技「Pivot&Cluster」や、疾患群の網を重ねていく「Mesh Layers」など、今日からの診断の質が変わる、具体的な方法をご紹介します!第5回 病歴の技法 検査値、画像、身体所見―医師は様々な情報から診断を導き出す。その中でもとくに重要な意味を持つのは病歴聴取。志水太郎先生が日々の問診で大切にしているのは”4つのC”と"BEOアプローチ”。診断戦略の前提となる質の高い病歴の技法を伝授します。第6回 注意すべきいくつかの戦術的要所 日常臨床では診断のプロセスの原則では対応できない場面に出くわすことが多々あります。疾患が患者の別の病態の下に隠れている、薬剤など別の要因が本来のバイタルサインを見えにくくしてしまっているといった場合です。今回はそうした医師の診断を誤らせる“霧”や“オッカムヒッカムの破れ”について解説します。知ることで盾になり、使えれば武器になる!志水太郎の診断戦略をお見逃しなく!第7回 難症例に打ち勝つ戦術 一筋縄ではいかない困難な症例には戦術が必須!例えば、患者の痛がる箇所をあえて解剖学的構造の外側から考えるというのも、鑑別の幅を広げる戦術の1つ。また、突発性や反復性という発症様式から病態的カテゴリーを一気に絞りこむというのも、1つの戦術です。あらゆる方向からのアプローチ法を事前に用意しておくということが重要です。すべての医療者へ届けたい志水先生のラストメッセージをお見逃しなく!

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「血圧の薬を止めたい」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第16回

■外来NGワード「飲まないと、大変なことになりますよ!」(医学的な怖がらせ)「どうして、私の言うことが聞けないんですか!」(憤りをそのまま伝達)「それなら、好きなようにしなさい!」(患者を見放す)■解説 雑誌やインターネットなどの情報を信じて、今まで飲んでいた「血圧の薬」を止めたいという患者さんがいます。なかには、医師に相談もせず、勝手に降圧薬を止めてしまう患者さんもいます。そういった患者さんに、上から目線で一方的に降圧薬を飲むように指示しても、納得されないことがよくあります。降圧薬の休薬に関する調査によると、休薬後に正常血圧が維持できている率は報告により幅があり異なりますが3~74%だそうです。その特徴として、治療前がI度高血圧(140~159/90~99)、若年者、正常体重、塩分摂取量が少ない、非飲酒者、降圧剤1剤のみの服用、臓器障害がなかったことでありました1)。また、血圧は、冬場には高く、夏場には低くなるという季節変動があることが知られています。降圧薬を減量もしくは中止すると、冬場に血圧が上昇して、脳卒中などのリスクが上昇する危険性があります。中止や減量ができる患者さんは、自分で血圧管理ができていることが条件となります。患者さんの「降圧薬を飲みたくないという気持ち」を理解した後に、降圧薬を飲む意義を患者さんに説明して、心血管疾患や認知症リスクを下げるために何ができるかを一緒に考えられるといいですね2)。 ■患者さんとの会話でロールプレイ患者先生、家で測ってみても血圧が今下がっていて、いい数値だと思うんですけど、この血圧の薬、いつまで飲まなければいけないですか?医師そういう質問、よく受けますよ。患者血圧の薬を止めることはできませんか?医師もちろん、止めることができる人も中にはいますよ!(前置きする)患者えっ、そうなんですか! どんな人なんですか?医師元々、血圧がそれほど高くなくて、動脈硬化がなくて、塩分や運動に気を付けていて、肥満が解消できた人です。患者なるほど。やっぱり、生活習慣に気を付けておかないとだめなんですね(気付きの言葉)。医師それに、もし止めるとするとしても、冬場は止めておいた方がいいですね。寒さで急に血圧が上がる場合もありますし…(身ぶり手ぶりを交えながら)。患者なるほど。今は寒くて、運動できていないし、なかなか痩せられなくて…。医師冬場は鍋物が多くなりますので、塩分の摂取量も夏場に比べると、多くなりがちですからね。患者確かに。医師血圧の薬を飲む目的は、血圧を下げることではなく、脳卒中や認知症などを防ぐことですからね(降圧薬服用の目的を再確認)。患者なるほど。運動して、体重を減らすよう頑張ってみます(嬉しそうな顔)。■医師へのお勧めの言葉「血圧の薬を止めることができる人も中にはいますよ!」「血圧の薬を飲む目的は、血圧を下げることだけではなく、寝たきりや認知症の予防のためですよ」■資料 休薬の目安とは?1)元々、I度の高血圧2)臓器障害がない3)減量、減塩、節酒など生活習慣を改善4)1つの降圧薬で良好の血圧コントロール5)自分で血圧管理ができている1)Sugiyama T, et al. Hypertens Res. 1998;21:103-108.2)坂根直樹. クイズでわかる保健指導のエビデンス50. 中央法規出版;2013.p52-53.

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11)タービュヘイラー(パルミコート)/吸入方法【解説編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、タービュヘイラー(パルミコート)の吸入の手順を解説します。手順としては、薬剤がこぼれないように立てたまま下部を固定し、下のクリップを時計周りと反対の方向に回す→次に時計周りに回して「カチッ」という音がしたら1回目の吸入準備完了→空気口を塞がないように、下の回転グリップを持つ→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口をしっかりくわえる→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤の定着をはかる→鼻からゆっくり息を吐く(2回目の指示あれば同様に吸入を繰り返す)→吸入口を清浄して、ふたを閉める→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)。※注意するポイント1度開封した吸入器は3ヵ月しか持ちません。開封後3ヵ月を経過したものは取り替えます回すときはしっかり止まるまで回します「反時計回り→時計回り」に1回だけ回してください(それ以上回しても薬剤は充填されません)回すのが困難な場合は、グリップサポーターを使います(薬剤師に相談してください)吸い込みの練習はトレーナーを使用し、主治医に確認してもらいます小窓の使用回数の表示がゼロで中央にきたら、新しい吸入器に取り替えます●主な製剤(2015年3月時点のデータ)タービュヘイラー(パルミコート)。

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