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高感度トロポニンIが陰性だったら、胸痛患者を安心して帰宅させることができるのか?(解説:佐田 政隆 氏)-779

 1人で当直をしていて、胸痛を主訴に来院した患者に対して、帰宅させて大丈夫かどうかと悩んだことがある医師も多いと思う。何も異常ありませんので、明日、昼間に再来院して精密検査をしましょうと言って帰したところ、急性冠症候群で、家で心肺停止になることなどは絶対に避けなければならない。通常、心電図、胸部レントゲン、心エコーなどが施行されると思うが、非常に些細な変化で、非循環器専門医では、判断に迷うことがたびたびあるのではないだろうか。また、心電図、通常の心エコーではまったく異常を来さない、左回旋枝の急性心筋梗塞や不安定狭心症があるのも事実である。 そういった状況で、血液検査は有用である。白血球、CPK、CPK-MB、AST、LDH、CRPなどが上昇していれば急性冠症候群が強く疑われる。また、全血で迅速診断できる、ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)とトロポニンT検出キットも臨床で頻用されている。しかし、このような検査は発症から数時間経過しないと上昇しないことがあり、感度、特異度とも十分とはいえない。そういった中、近年注目されているのが、高感度トロポニンI検査である。 本論文においては、9ヵ国からの19試験のシステマティックレビューが行われ、22,457症例に関してメタ解析が行われた。心筋トロポニンI値5ng/L未満は、30日時点の心筋梗塞/心臓死の陰性適中率が99.5%と高く、有用であるとの報告である。しかし逆にいうと、心筋トロポニンI値5ng/L未満であった11,012例中0.5%に当たる60例が、30日以内に、心筋梗塞もしくは心臓死を経験している。 以上を踏まえると、胸痛を訴えて受診した患者で、心筋トロポニンI値が5ng/L未満であるから、急性冠症候群を否定できるので帰宅させることは決してできないと考えられる。受診していながらも、急性冠症候群を見落とされ、命を失う患者が1人でもあってはならない。私は、特異度は低くても、感度を100%にするようにと、学生や医局員にはいつも話している。そのためには、丁寧な問診、各種検査を駆使することが重要である。高感度トロポニンI検査が利用できる現在でも、急性冠症候群をあやしいと思ったら、取りあえず入院させて、心電図や血液検査の、数時間おきのフォローアップが重要である。

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スタチン長期投与で頸動脈硬化進行を抑制

 スタチンの頸動脈内中膜複合体厚(IMT)の進行抑制効果は、脳梗塞の既往がない欧米人でのみ確認されている。今回、心原性脳梗塞症以外の脳梗塞を発症した日本人において、プラバスタチン(10mg/日、日本における通常用量)の頸動脈IMTへの影響を検討した結果、5年間で頸動脈IMTの進行を有意に抑制したことを国立循環器病研究センターの古賀 政利氏らが報告した。本結果から、低用量(10mg/日)でも長期投与により頸動脈硬化進行を抑制し、アテローム血栓性脳梗塞の再発予防につながることが示唆された。Stroke誌オンライン版2017年11月30日号に掲載。 本研究は、プラバスタチンの脳卒中再発予防効果を検討する多施設共同無作為化非盲検並行群間比較試験であるJ-STARS(Japan Statin Treatment Against Recurrent Stroke、主任研究者:松本 昌泰氏)研究のサブスタディ(J-STARS Echo)である。登録された864例のうち、ベースライン時に超音波検査がなかった71例を除外し、プラバスタチン(10mg/日)を投与する群(プラバスタチン群)に388例、スタチンを投与しない群(コントロール群)に405例を無作為に割り付けた。主要アウトカムは5年間の観察期間における総頸動脈IMTの変化で、反復測定のための混合効果モデル(mixed-effects models for repeated measures)を用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインでの特性は、National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコア(中央値、0[四分位範囲:0~2]vs.1[同:0~2]、p=0.019)を除いて、2群間に有意な差異はなかった。・ベースラインIMT(平均±SD)は、プラバスタチン群では0.887±0.155mmであり、コントロール群では0.887±0.152mmであった(p=0.99)。・プラバスタチン群での5年時のIMTの年次変化は、コントロール群と比較し有意に減少した(0.021±0.116 vs.0.040±0.118mm、p=0.010)。4年目までは有意な差はみられなかった。

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てんかんとADHD合併の小児および青年における薬物療法の課題

 てんかんの小児および青年における罹病率は、3.2~5.5/1,000である。また、てんかん患者の約1/3は、ADHD症状を合併している。てんかんとADHDとの関連は、よくわかっていないが、不注意、多動、行動障害などのADHD症状は、しばしば抗てんかん薬の有害作用であると考えられる。イタリア・University of L'AquilaのAlberto Verrotti氏らは、行動に対する抗てんかん薬の影響に関するデータを検索した。Clinical drug investigation誌オンライン版2017年10月25日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・ADHD症状の誘発が最も報告されている薬剤は、フェノバルビタールであった。次いで、トピラマート、バルプロ酸であった。・フェニトインは、中程度の影響が認められるようだが、レベチラセタムは、対照的なデータが存在した。・ラコサミドは、行動に対し有益な影響をもたらし、カルバマゼピンおよびラモトリギンは、注意および行動に対し良好な影響を発揮する。・ガバペンチンおよびビガバトリンは、認知機能に対し有害作用を有する。・オクスカルバゼピン、ルフィナミド、eslicarbazepineは、ADHD症状の悪化や誘発が認められないようであるが、ペランパネルは、敵対的/攻撃的行動を高率でもたらす(これは高用量で増加する可能性がある)。・エトスクシミド、ゾニサミド、tiagabine、プレガバリン、スチリペントール、retigabineの行動への影響に関するデータは、まだ限られている。・ADHD症状は、てんかん患者のQOLに著しい影響を及ぼすため、この神経精神医学的な障害に対する臨床的管理は優先事項として取り扱うべきである。・データはまだ少数で、限られているものの、メチルフェニデートは、ADHD症状とてんかんを合併している小児や青年において、多くの場合、発作リスクを有意に増加させることなく有効である。■関連記事てんかん重積状態に対する抗てんかん薬処方の変化ADHD発症しやすい家庭の傾向ADHD児への併用療法や抗精神病治療の傾向

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反復性片頭痛へのerenumabの予防効果、第III相試験結果/NEJM

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体を阻害する完全ヒトモノクローナル抗体erenumabについて、70mgまたは140mgの月1回皮下投与は、反復性片頭痛患者においてプラセボと比較し、片頭痛の頻度、片頭痛の日常生活への影響および急性期片頭痛治療薬の使用を有意に減少させることが認められた。英国・キングス・カレッジ病院のPeter J. Goadsby氏らが、第III相の多施設無作為化二重盲検プラセボ比較試験「STRIVE試験」の結果を報告した。第II相試験では、erenumab 70mg月1回投与の有効性が示されていた。NEJM誌2017年11月30日号掲載の報告。約1,000例で、erenumab 70mgまたは140mgの有効性と安全性をプラセボと比較 研究グループは、2015年7月~2016年9月5日の期間に、18~65歳の反復性片頭痛患者955例をerenumab 70mg、140mgまたはプラセボの3群に無作為に割り付け(それぞれ317例、319例、319例)、いずれも月1回皮下投与を6ヵ月間行った。 主要エンドポイントは、片頭痛を認めた日数(月平均)のベースラインから投与4~6ヵ月の変化。副次エンドポイントは、片頭痛の月平均日数が50%以上減少した患者の割合、急性期片頭痛治療薬の使用日数のベースラインからの変化、身体機能スコア(Migraine Physical Function Impact Diary[MPFID:0~100点、スコアが高いほど片頭痛が身体機能に与える影響が大きい])における機能障害・日常生活領域のスコアの変化などであった。70mgおよび140mgともに片頭痛の頻度が有意に減少 片頭痛月平均日数は、ベースライン時は全集団において8.3日であったが、投与4~6ヵ月時は、erenumab 70mg群で3.2日減少、同140mg群で3.7日減少したのに対し、プラセボ群では1.8日の減少であった(プラセボ群との比較で各用量群ともp<0.001)。 片頭痛の月平均日数が50%以上減少した患者の割合は、70mg群43.3%、140mg群50.0%に対し、プラセボ群は26.6%(プラセボ群との比較で各用量群ともp<0.001)、また、急性期片頭痛治療薬の使用日数の変化量はそれぞれ1.1日減少、1.6日減少に対し0.2日減少であった(同p<0.001)。 機能障害スコアは、70mg群4.2点、140mg群4.8点の改善であったのに対して、プラセボ群は2.4点の改善であった。同様に日常生活スコアもそれぞれ5.5点、5.9点、および3.3点の改善であった(プラセボ群との比較で各用量群ともp<0.001)。 有害事象の発現率は、erenumab群とプラセボ群で同程度であった。 著者は、2クラス以上の片頭痛予防薬で効果がみられなかった患者は除外されていることを研究の限界として挙げており、「erenumabの長期的な安全性と効果の持続性に関しては、さらなる研究が必要である」と述べている。

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米国の大規模データベース研究、85%が研究基準順守せず/JAMA

 米国・テキサス大学サウスウエスタン医療センターのRohan Khera氏らは、医療研究品質庁(AHRQ)が構築した大規模データベースNational Inpatient Sample(NIS)のデータを用いた研究について、「最近公表された120件の多くがAHRQの必須研究基準を順守していないことが示された」とする検証結果を報告した。一般公開されているデータセットには多くの可能性があるが、それらには特定の解析法が必要なのではないかとする意見が示されていた。著者は今回の結果を踏まえ、今後の課題として「NISを用いた研究の質を改善するための戦略を明らかにするとともに、公開されている他のデータセットを用いた研究で、同様の問題がないかを評価する必要がある」と提言している。JAMA誌2017年11月28日号掲載の報告。米国NISのデータを使用した研究120件について調査 研究グループは、2015年1月~2016年12月に発表された、NISを用いた研究1,082件から、代表サンプル120件を選び、研究のデザインおよび実施が、AHRQの基準を順守しているかをシステマティックに評価した。 評価項目は、AHRQの推奨に基づく必須研究基準7つで、次の3項目についてまとめた。(1)データの解釈(患者固有というより入院記録としてデータを解釈する)、(2)研究デザイン(不適当な州・病院・医師レベルの評価での使用を避けている、院内イベントを研究するための非特異的な二次診断コードを使用していない)、(3)データ解析(NISの複雑な調査デザインと経時的なデータ構造の変化を説明している)。必須研究基準7項目をすべて満たしていたのはわずか15% 120件のうち、85%(102件)が必須研究基準を1つ以上順守しておらず、62%(74件)が2つ以上順守していなかった。2015~16年に発表されたNISを用いた研究1,082件全体では、それぞれ925件(95%信頼区間[CI]:852~998)、および696件(95%CI:596~796)と推定された。 また、120件中、標本誤差・クラスタリング・層別化の影響を説明していなかった研究が79件(1,082件全体での推定値68.3%[95%CI:59.3~77.3%])、院内イベント推定のために非特異的な二次診断コードを用いていた研究が62件(同54.4%[95%CI:44.7~64.0%])、個々の患者として入院を誤分類していた研究が45件(同40.4%[95%CI:30.9~50.0%])、推定量を州レベルで解析していた研究が10件(同7.1%[95%CI:2.1~12.1%])、医師レベルでの解析が3件(同2.9%[95%CI:0.0~6.2%])あった。 NISのデータ構造に大きな変化があった期間のデータを用いた研究は27件あったが(全体では推定218件[95%CI:134~303])、このうち21件(77.8%)はその変化を説明していなかった(全体では推定79.7%[95%CI:62.5~97.0%])。 インパクトファクターが10以上の雑誌に発表された24件中、16件(67%)が1つ以上の、9件(38%)が2つ以上の必須研究基準を順守していなかった。

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C型肝炎治療は新たなステージに

 2017年11月28日、アッヴィ合同会社はメディアセミナー「C型肝炎治療におけるアンメットメディカルニーズと治療のさらなる進歩」を開催した。まず、熊田博光氏(虎の門病院分院長)が「新たなステージに入ったC型肝炎治療」と題した講演を行った。 C型肝炎のジェノタイプの中で、わが国でもっとも多い1型では、1992年にインターフェロン単独療法が保険適用されて以来、2014年には日本初の経口薬のみの治療としてアスナプレビル・ダクラタスビル併用療法が承認され、その後も12週で治療可能な直接作用型抗ウィルス薬(DAA)が複数発売されており、高い治療効果が望めるようになった。しかし従来の薬剤では肝機能障害や循環器系の副作用のリスク、腎機能低下例への投与禁忌、遺伝子変異による効果減弱、併用禁忌薬が多いなど幾つかの問題があった。 また、1型に次いで多い2型でも2015年にソホスブビル・リバビリン併用療法が承認されたことで高い治療効果が得られるようになったが、リバビリン併用による貧血出現や、腎機能低下例には禁忌であるといった課題があった。 以上の課題に加えて、日本で保険適用され一般的に使用されているセロタイプとジェノタイプの不一致が報告されており、その診断に基づき、誤った治療が行われていることもあるため、すべてのジェノタイプに効果があるパンジェノタイプの薬剤が求められていた。 このような中、11月27日にマヴィレット配合錠(一般名:グレカプレビル/ピブレンタスビル、以下マヴィレット)が発売された。マヴィレットは、最短8週間の投与で治療効果を発揮するバンジェノタイプ、リバビリンフリーの治療薬である。 まずは2型におけるリバビリンフリーの達成、そして既存のDAAで効果が得られなかった症例などへの使用が見込まれるが、最短8週間という治療期間の短縮やパンジェノタイプといったマヴィレットの特性は、すべての患者にとって有用であると考えられる。 セミナーの後半で日本肝臓病患者団体協議会 代表理事 米澤敦子氏が、患者の立場から語ったように、治療奏効率が高まってきたからこそ、既存治療で効果が見られなかった患者が、患者仲間と自分を比較して孤立感を深めているという事例もあるという。そのような患者の選択肢を増やすという観点からも、今後のマヴィレットの果たす役割に期待したい。

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MRIに示された宇宙飛行士の脳構造に対する宇宙飛行の影響(中川原譲二氏)-778

 米国・サウスカロライナ医科大学のDonna R Roberts氏らの研究者は、MRIを用いて宇宙飛行士の脳構造に対する宇宙飛行の影響について検討し、長時間飛行後の宇宙飛行士においては、中心溝の狭小化、脳の上方へのシフト、頭頂での脳脊髄液(CSF)スペースの狭小化が、頻繁に生じることを報告した。これらの所見は、無重力下で生じる視力障害や頭蓋内圧症候群(visual impairment and intracranial pressure(VIIP)syndrome)に関連する脳構造の変化として注目される。背景:宇宙飛行が脳の解剖学的構造およびCSFスペースに与える影響に関する情報は限られている。方法:著者らは、MRIを用いて、国際宇宙ステーションに滞在することを含む長期間の任務の前後で撮像された18人の宇宙飛行士の脳の画像と、スペースシャトルプログラムへの参加を含む短期間の任務の前後に撮像された16人の宇宙飛行士の脳の画像を比較した。画像は、飛行期間を知らなかった読影者によって解読された。また、CSFスペースの狭小化の程度と脳構造の変位を評価するために、長期間飛行後の12人と短期間飛行後の6人の高分解能3次元イメージングから得られた飛行前後のMRIシネクリップを作成した。著者らはT1強調MRIの自動解析により、飛行前の脳室容積と飛行後の脳室容積とを比較した。予め定められた主要分析では、中心溝の容積の変化、頭頂におけるCSFスペースの容積変化、および脳の垂直方向への変位に焦点を当てた。長期間飛行で中心溝の狭小化、脳の上方へのシフト結果:中心溝の狭小化は、長期間飛行群(平均飛行期間:164.8日)では18人中17人、短期間飛行群(平均飛行期間:13.6日)では、16人中3人に見られた(P<0.001)。サブグループのシネクリップでは、脳の上方へのシフトが、長期間飛行群のすべて(12人の宇宙飛行士)に見られたが、短期間飛行群(6人の宇宙飛行士)では見られなかった。また、頭頂におけるCSFスペースの狭小化は、長期間飛行群のすべて(12人の宇宙飛行士)に見られ、短期間飛行群では、6人中1人に見られた。長期間飛行群の3人の宇宙飛行士は視神経乳頭浮腫を呈し、3人全員に中心溝の狭窄化が見られた。これらの3人のうちの1人では、シネクリップが入手でき、シネクリップは脳の上方へのシフトを示した。結論:中心溝の狭小化、脳の上方へのシフト、頭頂でのCSFスペースの狭小化は、長期間飛行後の宇宙飛行士に頻繁に、そして優勢に起こった。これらの変化の持続時間および臨床的意義を決定するためには、地球上でしばらくしてから実施される反復するフライト後の画像を含むさらなる調査が必要である。脳構造の変化は特発性正常圧水頭症(iNPH)のMRI所見に近似 長期間飛行後の宇宙飛行士に見られる中心溝の狭小化、脳の上方へのシフト、頭頂でのCSFスペースの狭小化は、時にVIIP syndromeを伴うことから、ある種の髄液吸収能の障害が生じることを示唆するものである。無重力状態では、髄液よりもやや比重の軽い脳組織が上方へシフトすることにより、矢状静脈洞近傍の静脈構造の圧迫やarachnoid (pacchionian)granulationの閉塞を来たし、CSFや静脈の流出が障害され、頭蓋内圧が亢進するのかもしれない。宇宙飛行が人類にもたらす新たな医学的な問題点として、引き続き研究が必要である。大変興味深いのは、中心溝の狭小化、脳の上方へのシフト、頭頂でのCSFスペースの狭小化は、高齢者の特発性正常圧水頭症(iNPH)に特徴的なMRI所見としても知られていることである。両者に同様の機序が生じているとは考えにくいが、特発性正常圧水頭症では、地球上の重力下で脳組織が上方へシフトするとすれば、脳比重が髄液よりも減少することが、その病態として考えられなくもない。無重力下の脳構造の変化は、重力下の特発性正常圧水頭症の病態診断に対して、新たな視点を提供するものとして注目される。

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航空券予約時、Dr にチェックをすべきか?【Dr. 中島の 新・徒然草】(199)

百九十九の段 航空券予約時、Dr にチェックをすべきか?2017年9月7日の「機長からの手紙」では、国際線の航空機の中でのドクター・コールに名乗り出た経験を述べました。後日、この経験についての同僚との会話で、名前の敬称欄のチェックに話が及びました。同僚「航空券を予約するときに名前の入力でな、Mr か Ms か Dr か、選んでチェックする欄があるやろ」中島「確かにありますね」同僚「あそこの Dr の欄にチェックした場合はな、ドクター・コールに応じます、という意味なんや」中島「ええーっ! 今まで何も考えずに Dr にチェックしていました」同僚「僕なんか、あまり呼ばれたくない時には Mr の所にチェックしとるんや」中島「そうですか、知らんかった!」同僚「そやから文学博士や工学博士がうっかり Dr の欄にチェックしたら、緊急事態の時にえらい事になるで」中島「ひえーっ!」とはいえ、これは本当の事なのでしょうか? たまたま何かの会合で日本の航空会社の方と一緒になったので、尋ねてみました。そうするとキチンと調べた上で回答してくれたので、皆さんにも紹介しておきたいと思います。まずは結論から。Dr の欄は単なる敬称で、ドクター・コールとは何の関係もない良かったですね。Dr 欄にチェックしたからといって呼ばれるわけではないそうです。そもそも世界の航空会社の中には予約時に Dr 欄のないところがたくさんある一方、Mr、Ms、Dr のほかに Prof とか Prof Dr とか、ありったけの選択肢を並べているところもあるそうです。ということで、以下は私が尋ねた航空会社の方による要約 1.Academic Title は、医学に限定するものではありませんので、医学博士に限らずほかの分野でも Dr で登録することが可能です。2.機内での緊急医療が必要な際は、予約時の Title から個別にお声かけするものではありません。あくまでも客室全体にお声かけし、医師であるお客様ご自身からの申し出を待つことになります。ただし、Doctor on Board のようなドクター登録制度がある場合には、登録済で搭乗されている医師に直接お声かけすることになります。 それと、この会社では米国アリゾナ州にある MedAire社と契約して、無線通信による地上からの医学的アドバイスを受けることができるシステムを持っているそうです。「契約の範囲は自社機材運航便のみ」とか「アドバイス要請は当社乗務員の判断による」など、ちょっとした制約はあるものの、このような裏ワザがあるということも知っておくと心強いですね。実際、医学生時代にドクター・コールに応じ、地上からのアドバイスを受けながら患者さんを診察した、とある英国人医師が私に語ってくれました。「勇気ありますねえ!」と言ったら、"Why not?" と返されました。このような情報が読者の皆様のお役に立つことがあれば幸いです。最後に1句呼ばれたら つべこべ言わず 名乗り出ろ!もう1句、本音ベースで呼ばれても まだまだ僕は 修業の身!

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やる気がない患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第11回

■外来NGワード「あなたの人生なんですから、自分でもっとよく考えて行動しなさい!」(見捨てる指導)「将来、糖尿病合併症が起きても知りませんよ」(医学的脅しの指導)「あなたが倒れたら、誰が面倒をみるんですか!」(家族を引き合いに出す指導)■解説 外来の患者さんの中には、「やる気がない」ようにみえる患者さんがいます。そういった患者さんに対して、「将来、糖尿病合併症が起きても知りませんよ」「あなたが倒れたら、誰が面倒をみるんですか!」などと将来の合併症リスクの話をしても、「今は仕事が忙しいので…」「ストレスで飲んでしまう」などと抵抗されることがあります。やる気というのは「これをすることが自分にとっては重要だ」という重要性と、「これくらいのことなら、自分でもできる」という自信度から成り立っています。やる気の方程式は「重要性×自信度」です。重要性と自信度の両方が高いときに、やる気は高まりますが、どちらか一方が低いときには、やる気は低下してしまいます。「タバコが体に悪いことはわかっているが、止める自信が全然ない」という人は、重要性がやや高いけど、自信度が極端に低い人です。逆に、「お酒はいつでも止められるが、止めるつもりはない」というのは、自信度がやや高いけれど、重要性が低い人です。やる気はあるかないのかの、「0か1」ではありません。まずは、やる気の度合いを重要性と自信度で評価してみましょう。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師今回の血液検査の結果は…(検査結果の説明)。患者そうですか…(あまり気のない返事)。医師血圧や脂質などの管理目標値は達成できていると思うのですが、血糖コントロールの管理目標値は7%未満です(管理目標に達している部分と達していない部分を説明)。患者仕事が忙しくて、夕食が遅くなるんです。それに…医師それに?患者運動する時間もとれないし…。医師それは、大変ですね。…(間)…では、本当のところを教えてもらってもいいですか?患者本当のところ?医師そうです。将来の健康のために、つまり糖尿病合併症を起こさないために、食事に気を付ける重要性をどのくらい感じておられますか?「とても重要」を10点、「全然重要でない」を0点とすると、何点くらいをつけられますか?(重要性の確認)患者そうですね…8点くらいですかね。医師よかったです。重要性は十分、感じてもらえているんですね。それでは、それを実行することになったら、自信度はいかがですか?(10点満点で自信度の確認)患者…3点くらいです。(重要性は高いが、自信度が低いパターンと判明し、自信度を上げるアプローチへ)■医師へのお勧めの言葉「将来の健康のために、健康的な食事に変える重要性をどのくらい感じておられますか?(10点満点で)」「もし、それを実行することになったら自信度はどれくらいですか?(10点満点で)」

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“新型タバコ”でタバコの害なくせますか?

 世界保健機構(WHO)によれば、世界では年間700万人がタバコ類の使用により命を落としている。また、禁煙の早期実施により肺がんの発生が少なくなることも明らかになり、タバコを巡る規制は世界的に強まっている。そのような中、電子タバコや非燃焼加熱式タバコ(Heat–Not-Burn、以下HNB)といった“新型タバコ”の市場が拡大している。世界における新型タバコの状況 横浜で行われた世界肺学会(WCLC)では、米国・Human Rights and Tobacco Control NetworkのCarolyn M Dresler氏が「Current Status of Smoking Cessation」と題し、新型タバコを取り巻く世界の状況を紹介した。 電子タバコは、ニコチンを含むENDS(Electronic Nicotine Delivery Systems)とニコチンを含まないENNDS(Electronic Non-Nicotine Delivery Systems)に分かれる。電子タバコの規制については、国際的にもいまだに統一されていない。オーストラリア、シンガポール、カナダでは禁止されている一方、英国では従来型タバコからの切り替えを目的として使用を推奨している。日本では、ニコチンを含まないものに限り認められている。 HNBはその名の通り、タバコ葉を燃焼温度以下に加熱し(あるいは加熱発生させたエアロゾルをニコチン粉末に通過させて)、ニコチンを含むエアロゾルを肺内に送達するもの。フィリップ モリス インターナショナル(PMI)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、JT(日本たばこ)インターナショナル(JTI)など世界の大手タバコ企業が競って、製品の開発と普及に力を注ぐ。PMIのアイコス、BATのiFuse(本邦ではグロー)、JTIのプルーム・テックがあり、いずれの製品も非常に好調な販売状況である。本邦においてもその好調ぶりは同様で、アイコスは2015年11月のオンライン上での発売開始から、2017年5月現在、市場シェアの8.8%を占めるまでに拡大しているという。PMIのCEO:Andre Calantzopoulos氏はNikkei Asian Reviewで「販売数から推定すると、論理的には5年間で転換点に達する。そこが、現状の燃焼系タバコの段階的廃止を政府と話し合う時期になるだろう」と述べている。 新型タバコの健康への影響はどうか。これについては、「議論の余地が残るところであり、さまざまなシステマティックレビューが発表されている」とDresler氏は述べた。同氏が紹介した米国国立がん研究所(NCI)による電子タバコ使用者の尿中の分析では、PHA、NNK、アクロレインといった有害物質は従来のタバコに比べ著明に減少している。しかし、ニコチンについては従来型タバコと差異がなかった。HNBについては、製造企業であるPMIによるアイコス使用5日および90日の有害物質の曝露結果が紹介された。その研究では、カーボンモノオキサイド、アクロレイン、ベンゼンなどの有害物質は禁煙者と同等の減少を示すという結果を公表している。 また、ニコチンを含む新型タバコが、喫煙者の喫煙行動に影響を与えるのか。この問題も議論の余地が残るところであるが、Dresler氏が紹介した2014~15年の全米タバコ調査(Current Population Survey-Tobacco Use Supplement:CPS-TUS)における、電子タバコ使用者と禁煙者の比較分析では、電子タバコ使用者と非使用者の3ヵ月時点での禁煙成功率は、電子タバコ使用者では8.2%、非使用者では4.8%と、電子タバコ使用者のほうが高い結果を示した。新型タバコの普及を憂慮する意見も多数 このような新型タバコの役割に期待する考えと共に、憂慮する意見も数多くある。日本呼吸器学会は新型タバコの国民の健康に対する影響や社会的影響について、「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに関する日本呼吸器学会の見解」を公式ホームページに掲載した。その内容は以下のとおり。 従来のタバコの代替品として新型タバコを推奨する考え方があるが、新型タバコの使用と病気や死亡リスクとの関連性については現時点では明らかでなく、科学的証拠が得られるまでには、かなりの時間を要し、「現時点では推測にすぎない」。新型タバコは、煙が出ない、あるいは煙が見えにくいとされているが、特殊なレーザー光を照射すると大量の“見えにくいエアロゾル”を呼出している。この呼出煙中には燃焼タバコと同レベルのニコチンや数倍の有害物質が含まれているとの報告があり、「新型タバコの使用は健康に悪影響がもたらされる可能性がある」としている。また、新型タバコの受動喫煙については、健康リスクの科学的証拠を得るには時間がかかるが、「使用者の呼出したエアロゾルが周囲に拡散するため受動喫煙による健康被害が生じる可能性がある」。「従来の燃焼式タバコと同様に、公共の場所、公共交通機関での使用は認められない」との見解を示した。 日本対がん協会の望月友美子氏も、新型タバコの広がりに懸念を示す。同じく世界肺学会(WCLC)のプレスセミナーにて以下のように述べた。 日本では近年、HNB製品が急速に広がりを示している。日本には多くの禁煙クリニックがあるが、アクセスが限定されており費用も高い。新型タバコ使用者は、禁煙クリニックに行く代わりに、コンビニエンスストアで簡単に手に入るHNB製品を購入することができる。これが禁煙活動の拡大を妨げてしまう可能性が懸念されるという。望月氏はまた、新型タバコの公共喫煙規制に対する問題点にも触れた。本邦で検討している受動喫煙防止法の議論の中に、新型タバコは含まれていない。東京都で定めた18歳未満の子どもの受動喫煙防止を求める「子どもを受動喫煙から守る条例」では、HNBも規制対象にしているが、全国で一定の基準はなく、地域により対応はさまざまである。この点についても、「後戻りができなくなる前に、新型タバコの取り扱いに対する厳格な規定を作る必要がある」と望月氏は述べた。■参考米国国立がん研究所(NCI)による電子たばこの研究フィリップ モリス インターナショナル社の研究全米たばこ調査による分析結果PMI CEO Andre Calantzopoulos氏インタビュー(Nikkei Asian Preview)非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解日本呼吸器学会の見解中に引用されているWHOの報告書東京都子どもを受動喫煙から守る条例

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ダニアレルギー対策は環境と免疫療法

 2017年11月21日、ダニアレルギー対策会は、都内においてダニアレルギー対策の啓発活動の一環として「知っておきたいダニアレルギー対策」をテーマに、メディアセミナーを開催した。セミナーでは、最新の診療情報の講演ほか、ダニアレルギー対策の各種製品展示などが行われた。 ※ダニアレルギー対策会は、ダニによる通年性アレルギー性鼻炎の認知向上と、その対策方法の啓発を目的に株式会社サンゲツ、塩野義製薬株式会社、ダイキン工業株式会社、帝人フロンティア株式会社の異業種4社により発足した団体。国民の4割が罹患しているアレルギー性鼻炎 セミナーでは、岡本 美孝氏(千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 教授)が、「知っておきたいダニアレルギー対策~アレルギー性鼻炎患者1,600人の意識調査から見えた課題~」をテーマに講演を行った。 アレルギー性鼻炎とは、鼻粘膜のI型アレルギー疾患であり、原則的に発作性反復性のくしゃみ、水性鼻漏、鼻閉の3主徴とする疾患と定義されている。 疫学では、正確な統計はないとしながらも国民の約4割が罹患していると推定される。ダニなどを起因とする通年性アレルギー性鼻炎は男性に多く、学童に多いとされる。一方、花粉などを起因とする季節性アレルギー性鼻炎(いわゆる花粉症)は女性に多く、とくに20~30代に多いとされているが、近年では低年齢化もみられるという。 アレルギー性鼻炎は自然寛解することは少なく、また、喘息発症の先行にアレルギー性鼻炎が多いことでも知られている1)。そして、現在行われている治療は、(1)抗原回避、(2)薬物療法、(3)免疫(減感作)療法、(4)手術療法、などがあると診療の概要を説明した。患者の3割が罹病歴20年以上 次にダニアレルギー対策会が企画・実施した「アレルギー性鼻炎患者実態調査」の結果について触れた。この調査は「通年性アレルギー性鼻炎患者の意識と行動について調査」(実施:2017年3月/対象:15~60歳の男女3万5千例/方法:インターネット調査)を目的に行われ、その結果、アレルギー性鼻炎の診断・自覚率では、現在診断中が14.9%、自覚しているが19.0%に対し、全体の6割強が何ら治療や疾患への自覚をしていないことが判明した。患者歴では、20年以上という患者が最も多く30.7%、10~20年未満が29.8%、5~10年未満が15.6%という順で、患者の長期罹病がうかがわれた。 この中よりさらに本調査として通年性・季節性アレルゲンの患者1,600例を抽出し、調査した。主に通年性アレルギー性鼻炎患者(n=800)の「症状の認識」につき、「重い」と感じる認識は全体では23.0%と多くはないものの、若年者では「重い」と感じる傾向が強いことがわかった。また、完治への希望については66.5%の患者が希望している半面、25.9%の患者しか「治療法によっては長期寛解が目指せる」ことを理解していないことが判明した。また、受診状況では、全体の62.4%が医療機関などでの治療を受けていない現状が示された。抗原回避の対策は環境整備と免疫療法 一般的な抗原回避の対策として、生活環境の整備が挙げられる。具体的には、ダニの繁殖を防ぐために寝具の天日干し、ソファーを布張りから皮など他の素材へ変更、防ダニ壁の採用、室内鉢植えの排除などがある。寝具、カーペット、カーテンなどを防ダニ効果製品へ変更する、エアコン・空気清浄機の設置なども効果的だという。 こうした生活環境整備以外にもアレルゲン免疫療法が勧められる。現在、アレルゲン免疫療法には、皮下免疫療法(SCIT)と舌下免疫療法(SLIT)があり2)、本療法は唯一アレルギー性鼻炎の自然経過を改善しうる治療とされ、その効果は治療終了後も長期間持続するという。免疫療法のメリットとしては、先述のほかに抗ヒスタミン薬や抗LT薬などの対症薬の使用低減、アレルギー性結膜炎や喘息への治療、喘息発症の予防、新抗原感作の抑制効果がある。デメリットとしては、遅効性ゆえに3年超の長期間にわたる投与や服薬が必要となり、SCITでは全身性のアナフィラキシーへの注意が、SLITでは口腔内のアレルギー反応への注意が必要とされるが、副作用は軽度であるという。 最後に岡本氏は「最近では、ダニアレルギー診療に関するウェブサイトも充実してきた。こうしたサイトも参考にし、疾患の知識を広げてもらいたい」と期待を述べ、レクチャーを終えた。■参考文献1)Yonekura S,et al. Acta Otolaryngol.2012;132:981-987. 2)松根彰志. 日本医事新報.2014;4687:31.■参考「通年性・季節性アレルギー性鼻炎患者の意識・実態調査結果」の詳細(塩野義製薬株式会社プレスリリースダニによるアレルギー性鼻炎に関する情報サイト(塩野義製薬株式会社)認定NPO法人 アレルギー支援ネットワーク ダニアレルギー

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治療抵抗性うつ病に対する心理的サポートとしてのシロシビンの6ヵ月追跡調査

 最近の研究によると、幻覚系(psychedelic)ドラッグ補助的心理療法によるメンタルヘルスアウトカムの改善が報告されている。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのR. L. Carhart-Harris氏らは、治療抵抗性うつ病に対するシロシビン(マジックマッシュルーム含有成分)の非盲検試験における、6ヵ月間の有効性および安全性について報告を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2017年11月8日号の報告。 対象は、重度の治療抵抗性単極性うつ病患者20例(うち女性6例)。支持的環境で、シロシビン経口投与を2回(10mgと25mg)、7日の間隔を空けて行った。主要アウトカムは抑うつ症状の改善とし、QIDS-SR16自己評価スコアを用いて、治療後1週間から6ヵ月にかけて評価した。 主な結果は以下のとおり。・全般的に、治療の忍容性が認められた。・ベースラインと比較して、治療開始後5週目において、抑うつ症状の顕著な改善が認められた(Cohen's d=1週目2.2および5週目2.3、各々p<0.001)。5週目において、9例に治療反応が認められ、4例は寛解基準を満たしていた。・3ヵ月後(Cohen's d=1.5、p<0.001)および6ヵ月後(Cohen's d=1.4、p<0.001)の結果は、良好なままであった。・シロシビン投与開始後5週間以内に、従来の抗うつ薬治療を求めた患者はいなかった。・急性の幻覚経験の質によって、5週目の抑うつ症状改善は予測された。 著者らは「非盲検試験のため、治療効果については限られた結論しか得られなかったが、治療抵抗性うつ病患者に対するシロシビン投与は、忍容性は良好であり、治療開始後急速に効果を発現し、その効果は6ヵ月間有意なままであった。治療抵抗性うつ病に対するシロシビン投与は、有望な治療法であり、二重盲検ランダム化比較試験によるさらなる研究が期待される」としている。■関連記事アリピプラゾール増強が有効な治療抵抗性うつ病患者の3つの特徴治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用 vs.抗精神病薬増強SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法

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片頭痛予防薬のfremanezumab、第III相試験でも有効性を確認/NEJM

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とするヒト化モノクローナル抗体fremanezumabについて、慢性片頭痛患者の予防に有効であることが示された。米国・トーマス・ジェファーソン大学のStephen D.Silberstein氏らが1,130例の患者を対象に行った、12週間の第III相無作為化プラセボ対照二重盲検試験で、月1回投与、3ヵ月に1回投与のいずれについてもプラセボより、月の平均頭痛日数が有意に減少したという。研究グループは、「長期の効果持続性と安全性について、さらなる研究が求められる」とまとめている。NEJM誌2017年11月30日号掲載の報告。fremanezumabを毎3ヵ月・毎月投与 研究グループは、fremanezumabの慢性片頭痛に対する予防効果を調べるため、2つの用量レジメンとプラセボを比較する検討を行った。慢性片頭痛患者1,130例を無作為に3群に分け、(1)fremanezumabを3ヵ月に1回投与(ベースライン時675mg、4、8週時はプラセボを投与、376例:3ヵ月ごと投与群)、(2)毎月投与(ベースライン675mg、4、8週時は225mg投与、379例:月1回投与群)、(3)プラセボ投与(375例)を、それぞれ皮下注射で行った。慢性片頭痛患者の定義は、持続時間や重症度にかかわらず頭痛が月に15日以上あり、そのうち片頭痛が8日以上ある患者とした。 主要エンドポイントは、初回投与後12週時点における月平均頭痛日数の、ベースラインからの平均変化値だった。評価対象とした頭痛の定義は、連続4時間以上持続しピーク時重症度が中等度以上であった頭痛、または持続時間や重症度にかかわらず急性片頭痛薬(トリプタン系薬やエルゴタミン製剤)を使用した頭痛で、それらを呈した日数をカウントした。月平均頭痛日数が、fremanezumab群は2用量群とも約4割で半減 ベースライン時の被験者の月平均頭痛日数は、3ヵ月ごと投与群が13.2日、月1回投与群が12.8日、プラセボ群が13.3日だった。 月平均頭痛日数の減少幅の最小二乗平均値は、3ヵ月ごと投与群が4.3±0.3日、月1回投与群4.6±0.3日に対し、プラセボ群は2.5±0.3日で、fremanezumab群で有意に大きかった(いずれも対プラセボのp<0.001)。 月平均頭痛日数が50%以上減少した患者の割合は、3ヵ月ごと投与群38%、月1回投与群41%に対し、プラセボ群は18%で、fremanezumab群で有意に高率だった(いずれも対プラセボのp<0.001)。 試験薬に関連したものと考えられる肝機能異常は、fremanezumab群でそれぞれ5例(1%)ずつ、プラセボ群は3例(<1%)で報告された。最も頻度の高い有害事象は注射部位副反応の疼痛で、3ヵ月ごと投与群30%、月1回投与群26%、プラセブ群は28%の発生が報告された。次いで硬結と発赤は、fremanezumab群がプラセボ群よりも発生頻度が高かった。

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クロストリジウム感染症の再発予防の糞便移植、経口カプセルでも/JAMA

 再発性クロストリジウム・ディフィシル感染症(RCDI)に対する糞便微生物移植(FMT)の経口カプセルによる実施は、大腸内視鏡で行うFMTに対して再発予防効果は非劣性であることが示された。また、経口カプセルFMTは大腸内視鏡FMTに比べて、患者の不快感も少なかった。カナダ・アルバータ大学のDina Kao氏らが、116例の患者を対象に行った非盲検無作為化非劣性試験で明らかにしたもので、JAMA誌2017年11月28日号で発表した。これまでFMTについて、送達ルートの違いにより臨床的効果が異なるのかは不明であった。各FMT実施12週間後のRCDI予防効果を比較 研究グループは、2014年10月~2016年9月にかけて、カナダ・アルバータ州の3つの大学病院で、RCDI患者116例を対象に試験を開始し、経口カプセルFMTの大腸内視鏡FMTに対する非劣性を検証した。非劣性マージンは15%とした。 主要アウトカムは、FMT実施12週間後のRCDI非発生患者の割合だった。副次アウトカムは、(1)重度および軽度有害事象の発生率、(2)健康関連QOL(生活の質)36項目調査票(SF-36)スコア(0[QOLが最悪]~100[QOLが最良])、(3)患者評価に基づく不快感(10段階評価で1[まったく不快ではない]~10[きわめて不快])と満足感(1[最良]~10[最悪])だった。RCDI予防率は両群ともに約96% 被験者116例(カプセル群57例、大腸内視鏡群59例)は、平均年齢58[SD 19]歳、女性が68%を占めた。試験を完了したのは105例(91%)だった。 per-protocol解析の結果、1回のFMT実施で12週後にRCDIを予防できたのは、カプセル群51/53例、大腸内視鏡群50/52例で、両群ともに達成率は96.2%で、カプセル群の大腸内視鏡群に対する非劣性が示された(群間差:0%、片側95%信頼区間[CI]:-6.1~無限大、p<0.001)。 軽度有害事象の発生率は、大腸内視鏡群12.5%に対しカプセル群は5.4%だった。また、不快感に関する患者評価で「まったく不快ではない」と回答した人の割合は、大腸内視鏡群44%に対しカプセル群は66%と有意に高率だった(群間差:22%、95%CI:3~40、p=0.01)。 著者は、「経口カプセルFMTは、RCDI治療の効果的なアプローチ法と思われる」とまとめている。■「糞便移植」関連記事糞便移植は潰瘍性大腸炎の新たな治療となるか/Lancet

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抗血栓治療でPPAPは成立するか?(解説:香坂俊氏)-777

 動脈系血栓予防(冠動脈疾患など)に最適とされている薬剤はアスピリンである。静脈系血栓予防(深部静脈血栓や心房細動など)には長らくワルファリンが用いられてきた。では、冠動脈疾患に心房細動が合併したりして、その2つを一度に行わなければならないときはどうするか? 数年前までは何も考えずこの2剤を併用してきた。2016年の流行語にPPAP(PEN-PINAPPLE-APPLE-PEN:ペンパイナッポーアッポーペン)というものがあったが、まさに・動脈系血栓予防にはASPIRIN・静脈系血栓予防にはWARFARIN・それをくっつけASPIRIN-WARFARIN-APPLE-PENといった塩梅である(苦しいですが、年の瀬なので許してください)。 しかし冠動脈疾患の治療にステントが使われるようになると、インターベンション治療(PCI)を行った患者にはアスピリンに2剤目の抗血小板薬(クロピドグレルやプラスグレル)をかぶせなければならなくなった。いわゆるDAPT(Dual AntiPlatelet Therapy:抗血小板2剤併用療法)である。すると、例えばステント治療を行った心房細動患者にはDAPTに加えさらにワルファリンを投与することになり「ちょっと多いかもな」ということになる。これが杞憂でないことはWOESTという医師主導の臨床試験で立証され、3剤で行くよりもアスピリンを抜いた2剤(クロピドグレル+ワルファリン)のほうが出血イベントが半分程度になることがわかった(DOI)。 その後、ワルファリンの代替薬としてNOAC(Non-Vitamin K Oral Anticoagulant:非ビタミンK経口抗凝固薬)が使われる時代になり、メーカーがこうした臨床試験に協力してくれるようになった。そうした流れの中で初代NOACであるダビガトランを用いて行われたのがRE-DUAL PCI試験である(これより前にリバーロキサバンでPIONNEER AF-PCI試験が行われており[DOI、さらにアピキサバンでもAUGUSTUS試験が現在行われている)。 結果の詳細は別記事(CareNet該当記事参照)に譲るが、・ダビガトラン 150mg BID+P2Y12阻害薬単剤(2剤)・ダビガトラン 110mg BID+P2Y12阻害薬単剤(2剤)・ワルファリン+DAPT(3剤併用) の3群で比較され、WOESTとほぼ同様の結果が得られている。 掲載誌のEditorialにはこれまでの3つの試験(WOEST、PIONNEER、RE-DUAL)のメタ解析が掲載されているが、出血イベントに関する安全性はもちろんのこと(OR:0.49、95%CI:0.34~0.72)、2剤のほうが虚血イベント抑制に関しても有利でありそうだ(OR:0.80、95%CI:0.58~1.09)という結果が示されている。これは、出血に伴い血栓傾向が強まることを考え合わせると(以下の3つのメカニズムによる)首肯できる結果である。(1)抗血小板薬や抗凝固薬の中止を余儀なくされる(2)出血そのものが炎症反応を惹起する(3)輸血や止血手技でも同様に炎症反応が惹起される 昨今、効果に差を見出すのではなく(Efficacy Trial)、安全性やQOLの確保に重点をおいた減算型の臨床試験が多く行われているが、RE-DUALもその好例といえる(3剤から2剤に引いても安全ですよということを明示)。今後おそらくこの領域では、安易な足し算の発想(PPAP式?)で3剤併用が行われることは【圧倒的】に少なくなることが予想される。

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~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【整形外科編】

第1回 筋骨格系の診察の基本 第2回 筋膜性疼痛とトリガーポイントについて 第3回 肉離れの診断と治療 第4回 むちうちと緊張性頭痛 第5回 肩関節の診察と五十肩 第6回 肩の痛みの鑑別第7回 腰痛の鑑別 第8回 腰痛のレッドフラッグ 第9回 腰痛の治療 第10回 膝痛の鑑別 第11回 膝関節穿刺 第12回 骨折を疑うときの診察と画像診断 第13回 骨折の初期対応 第14回 骨粗鬆症の診断と治療 「五十肩と言われたときどう診察する?」「専門医に紹介すべき腰痛は?」「膝関節穿刺のコツは?」などの整形外科領域の診療に関する疑問を、プライマリケア医視点で前野哲博氏が厳選。整形外科のスペシャリスト斉藤究氏が、日常診療に役立つノウハウを交えてそれらの疑問に答えます!第1回 筋骨格系の診察の基本 内科の診察であっても、よく診る患者から腰痛、膝痛など整形外科領域の相談を受けることもあるのではないでしょうか。整形外科といっても、実は問診が最も重要。単に痛い箇所を聞くだけでは、適切な治療につなげることはできません。問診で必ず確認すべきポイント、痛みの原因を特定するために押さえるべき診察項目を伝授します。第2回 筋膜性疼痛とトリガーポイントについて腰痛や肩こりなどの慢性的な痛みに対して、鎮痛薬を処方するしかないのでしょうか?筋膜性疼痛とトリガーポイントについて知っていると、内科でできる治療選択肢が増えます。今回は筋膜性疼痛の概念と、トリガーポイントを発見するアセスメントを紹介します。第3回 肉離れの診断と治療 内科でもよく出合う整形外科領域の訴え、肉離れはどこまで内科で診てよいのでしょうか?また内科で行うべき処置は?専門医に送るべきタイミングの判断まで、ズバリ回答します。第4回 むちうちと緊張性頭痛 むちうちの症状が長引く原因は、複数の要素が絡み合っていることだと斉藤先生は言います。なかには、緊張性頭痛をむちうち由来の症状と思っている場合も。今回は、患者の訴えが長引く原因を明らかにし、内科でできる対応を学びます。第5回 肩関節の診察と五十肩 患者さんから「五十肩」で肩が上がらない、と言われることはありませんか?いわゆる五十肩はおもに肩関節周囲炎です。今回は肩関節の診察方法、専門医に紹介すべき例、そしてプライマリケアで行える治療を挙げて、「五十肩」と言われたときの対応を解説します。 第6回 肩の痛みの鑑別肩が痛いといっても、痛みの部位やできない動作によって原因が異なります。今回は紹介すべき疾患と、保存的に診療してよい疾患を見分ける方法を、身体診察を交えて解説します。第7回 腰痛の鑑別 腰痛の8割以上が非特異的腰痛…つまり原因がわからない?これは画像検査では原因が見えないだけ。筋肉の触診や可動域の確認で診断ができるものが多くあります。しかも身体診察のコツを知れば、プライマリケアでも鑑別可能。ただし、鑑別疾患を理解していることが必須です。今回は非特異的腰痛の中で頻度が高い仙腸関節性腰痛や椎間関節性腰痛などを解説します。第8回 腰痛のレッドフラッグ 腰痛の大半は筋疲労などによる非特異的腰痛と考えても問題はないでしょう。とはいうものの、中には治療が必要な疾患も潜んでいます。拾い上げるべきレッドフラッグの症例を例に、腰痛に伴うどんな症状を見逃さずに拾い上げるべきか解説します。とくに注意すべきポイントは高齢者と若年者で異なります。それぞれの特徴的な訴えを押さえて、見逃さずに診断するコツをつかんでください。第9回 腰痛の治療 腰痛の治療はずっと湿布とNSAIDs…でいいのでしょうか?慢性化した場合ほど、全身状態の改善や心理的なケアといった取り組むべき課題があります。そしてそれらを解消していくことが、意外にも原因療法になるのです。腰痛だけでなく慢性疼痛全般に応用できる痛みの回避モデルとその対応方法は必見です。第10回 膝痛の鑑別 膝が痛いというと、真っ先に変形性膝関節症(OA)を鑑別に挙げていませんか?膝も画像偏重で診断してはダメ。まず重要なのは触診です。膝痛に関連する筋肉群を押さえておきましょう。その上で一見OAに見える症例や専門医への紹介が必要な事例の見分け方を解説します。第11回 膝関節穿刺 どんなときに膝関節穿刺が必要?引いた液で疾患の鑑別ができるので、やはり穿刺はしておきたいところ。今回はプライマリケアで膝関節穿刺を行うべきタイミングと、手技のポイントをコンパクトに解説します。ヒアルロン酸注射にも応用できる手技解説は必見です。第12回 骨折を疑うときの診察と画像診断 「骨折を見落としたくない!」これはプライマリケア医に共通の心配ではないでしょうか?今回は、骨折を疑うとき、何を見て、どう対処すればよいか、クリアカットに解説します。診察のポイントは画像より●●。これを押さえていれば、見落としを恐れることはなくなります!外来での遭遇頻度が高い、転倒や高齢者に起こりやすい骨折など、具体的な例を挙げて身体診察のコツも伝授します。第13回 骨折の初期対応 骨折を疑うときの初期対応はシンプル。対応のルールと、固定の方法をしっかり押さえておきましょう。基本に忠実に、かつ回復を妨げない固定のTIPSは必見です。第14回 骨粗鬆症の診断と治療 骨粗鬆症診療のキモは、検査、薬剤、フォロー。骨密度検査を勧めるべき患者の条件は初めに押さえましょう。スペシャリストが教える骨密度に応じた薬剤選択、長期服用による副作用が心配されるビスホスホネートの扱い方は必見です。

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不眠症と交通事故の関係、トラックドライバー研究

 睡眠関連の問題は、交通事故のリスク因子として知られている。しかし、不眠とそれに伴う要素の影響はほとんど研究されておらず、トラック運転手などリスクに直面している労働者に関する利用可能なデータは存在しない。イタリア・ジェノバ大学のSergio Garbarino氏らは、トラック運転手の自動車事故に対する不眠症の影響について検討を行った。PLOS ONE誌2017年10月31日号の報告。 トラック運転手949例を対象とした断面調査を行った。自動車事故(MVA:motor vehicle accident)およびニアミス事故(NMA:near-miss accident)に対する不眠症の有病率および影響を測定した。 主な結果は以下のとおり。・対象者のうち、不眠症の影響を受けていたのは27.5%であった。・研究の3年前において、不眠症のトラック運転手は、不眠症でない運転手と比較し、非常に高いMVA数が報告されていた。また、過去6ヵ月間で多数のNMAも報告された。・閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、昼間の過度な眠気、短時間睡眠、他の併存疾患で調整した後、不眠症のトラック運転手は、不眠症でない運転手と比較し、MVAリスクが約2倍(OR:1.82、95%CI:1.33~2.49)、NMAリスクが3倍以上(OR:3.35、95%CI:2.06~5.45)であった。 著者らは「不眠症は、MVAおよびNMAの独立したリスク因子であった。不眠症の徴候や症状について運転手をスクリーニングすることは、健康と道路交通上での安全性を向上させるために、強く推奨される」としている。■関連記事ADHDドライバー、トレーニングで危機感知能を改善できるか日本人男性、不眠でうつ病リスクが10倍にも不眠症になりやすい食事の傾向

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