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ドラえもん【子どものメンタルヘルスに使えるひみつ道具は?】

今回のキーワード思春期好奇心反抗同調認知行動療法ブリーフセラピーみなさんは、10代の子どもにどう接して良いか困っていませんか? 例えば、リアクションが薄い、急にキレる、言うことを聞かない、勝手なことをする、友達関係に悩む、そして不登校などです。なぜ彼らは困ったことをするのでしょうか? そもそもなぜ困ったことが「ある」のでしょうか? そして、私たち大人はどうすれば良いでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、まず思春期のメンタルヘルスを、発達心理学的に、比較動物学的に、そして進化心理学的に掘り下げます。そして、子どものメンタルヘルスに使えるドラえもんのひみつ道具を3つご紹介します。と言っても、もちろん本物の道具ではありません。その道具の発想です。これらを使って、思春期の子どもへのより良いかかわり方をいっしょに探っていきましょう。思春期の子どもはなぜ困ったことをするの?発達心理学的に考えれば、思春期は、体と同じように、心(脳)も劇的に成長する時期です。そして、自分のことは自分でやる、つまり、自分の行動を自分で決めることができるようになります。まさに子どもから大人になる過渡期です。親から心理的に離れていく、心の独り立ち、つまり心理的自立の時期です(アイデンティティ確立)。彼らにしてみれば、早く大人になりたい、早く大人と思われたいと思うでしょう。ただ実際には、能力や経験値としては完全な大人ではありません。そのギャップに葛藤が生まれ、困ってしまい、困ったことをしてしまうというわけです。つまり、彼らが困ったことをするのは、彼ら自身が困っているからです。それでは、ここから困りごとを引き起こす思春期の心理を主に3つあげてみましょう。さらに、私たち人間と同じ社会的動物であるベルベットモンキーというサルの思春期の行動と重ねながら、比較動物学的に掘り下げてみましょう。(1)好奇心1つ目は好奇心です。思春期になると、いろんなこと、特に大人のやっていることに興味を持ち、自分で調べたり、確かめたりするようになります。例えば、それは、セックス、暴力、危険行為、アルコール、ドラッグなどです。それが行き過ぎてしまい、ませて身勝手なことをしているように見えるのです。ベルベットモンキーも同じように、思春期になると、向こう見ずで血気盛んになり、天敵がいるところでも動き回ります。逆に言えば、恐怖心は減っています。(2)反抗2つ目は反抗です。思春期になると、生意気になり、学校の先生をわざと怒らせたりもします。ベルベットモンキーも同じように、思春期になると、わざと親から離れて、天敵に近付いて挑発したりもします。自分の身は自分で守る、「もう大人なんだ」という親へのアピールをします。(3)同調3つ目は同調です。思春期になると、子どもは、親ではなく、同性同年代の仲間といっしょにいようとします。そのために、仲間の行動に合わせようとします。親よりも、友達という社会が大事ということです。逆に言えば、その社会を大事にしないように見える集団の変わり者をのけ者にしようともします。これが、いじめの心理でもあります。ベルベットモンキーも同じように、思春期になると、親からは離れつつ、群れ全体の行動に合わせようとします。思春期の子どもになぜ困ったことが「ある」の?これらの3つの思春期の心理は、同性へのマウンティングと異性へのセックスアピールが根底にあることが分かります。つまり、進化心理学的に考えれば、思春期の子どもに困ったことがそもそも「ある」のは、私たちが社会的動物の霊長類になった太古の時代から、生存や生殖に必要だったからであると言えるでしょう。大人はどうすれば良いの?思春期の3つの心理を踏まえると、児童期までの「教え込む」というかかわりには限界が見えてきます。それどころか、逆効果になって、ますます困ったことになる可能性もあるでしょう。そう考えると、私たち大人が思春期の子どもにできることは、大人扱いをして「考えさせる」というかかわりであることが分かります。その具体的なやり方として、ドラえもんのひみつ道具を3つご紹介します。(1)入れかえロープ1つ目は、入れかえロープです。これは、自分と相手が同時にそれぞれ両端を握ると心はそのままで体だけ入れ替わる道具です。のび太は、しずかちゃんと入れ替わりますが、うまく行かないことに変わりはなく、「どうしてなんだろ?」「しずかちゃんになったらもっと楽しいはずなのに」とドラえもんに泣きつきます。すると、ドラえもんから「それはもっと根本的な人間としてのきみがだめなんだよ」とストレートに言われてしまいます。ドラえもんのエピソードの中では、人は外見が変わっても中身は変わらないという教訓が示されています。もっと言えば、外見を変えるのではなく、中身を変えることが大事であるという教訓もあるでしょう。それでは、実際にこの入れかえロープを使って、以下のそれぞれの視点や状況で子どもに質問するのはどうでしょうか? 「ドラえもんの入れかえロープを使って・・・」に続けてみてください。a. 自分が相手になる視点友達と仲が悪くなった時:「きみがその友達になったら何を考えてる?」いじめられているクラスメートを見つけた時:「きみがそのクラスメートになったら何を思う?」自分が憧れる有名人がいる時:「きみがその人になったら、何をしたい?」b. 相手が自分になる視点友達から嫌われていると思い話しかけられない時:「好きなお笑い芸人の○○がきみになったら何て言うんだろう?」テストの点が悪かった時:「優等生の○○くんがきみになったらどうしてるだろう?」学校に行きたくなくなった時:「憧れのスポーツ選手の○○がきみになったら、どうするだろう?」入れかえロープの発想を使うことで、相手の立場に立ったり弱者の視点を持ち、相手の感じ方や考え方に気付くことができます。また、尊敬する人、憧れる人、好きな人などのロールモデルの視点も使うことで、うまく行かない自分ではなく、うまく行く誰かに目が向きます。そして、うまく行く人の視点を通して、自分自身を見つめ直すことができるようになります。こうして、ものの考え方に幅を持たせる想像力を高めることができるでしょう。ちなみに、入れかえロープの発想は、心理療法である認知行動療法のリフレーミングに通じます。(2)もしもボックス2つ目は、もしもボックスです。これは、「もしも」という仮定の世界を疑似体験することができる装置です。のび太は、「眠れば眠るほど偉くなる世界」をつくり、昼寝好きなのび太はもてはやされますが、同時にみんなが居眠りすることによって、世の中が回らなくなり、危険になってしまうというオチです。ドラえもんのエピソードの中では、世界を変えたとしても、必ずしも期待通りにはならないという教訓が示されています。もっと言えば、世界を変えるのではなく、自分を変えることが大事であるという教訓もあるでしょう。それでは、実際にこのもしもボックスを使って、以下のそれぞれの状況で子どもに質問するのはどうでしょうか? 「ドラえもんのもしもボックスを使って・・・」に続けてみてください。クラスメートたちの前で緊張する時:「緊張しなくなったら、クラスメートとどうしてる?」勉強ができない時:「勉強ができるようになったら、どんな気分かな?」不登校になっている時:「学校に楽しく行けるようになったら、どんな学校生活を送ってる?」もしもボックスの発想を使うことで、うまく行かない現実ではなく、うまく行っている理想に目が向きます。そして、うまく行く理想の視点を見据えて、やる気を高めることができるようになります。想像をすることは、それ自体で、やる気を高めています。これは、想像力とやる気に関係する脳内の物質(ドパミン)が活性化するからです。受け身でマイナス思考ではなく、自分から何かしようとする積極性やプラス思考を引き出します。そして、それが行動力になっていくでしょう。注意点は、もしもの変わる対象は周りではなく、自分であることです。変わる対象を周りにしてしまうと、自分が変わらないので、自分の行動力は高まらないからです。ちなみに、もしもボックスの発想は、心理療法であるブリーフセラピーのミラクル・クエスチョンに通じます。(3)タイムマシン3つ目は、タイムマシンです。これは、現在の世界から過去や未来の世界に行くことができる乗り物です。のび太が45年後の自分に会いに行った時、その45年後の自分から言われます。「僕はきみで良かった。きみの人生にはまだまだこの先にも嫌なことやうまくいかないことがたくさん起きる。でも、きみは何度つまずいても、その度に立ち直る強さだって持っているんだぞ」「この僕がきみに言うんだから間違いない」と。のび太は、未来ののび太に勇気付けられるのです。ドラえもんのエピソードの中では、未来を知ることで、現在の自分の進む道が分かるという教訓が示されています。もっと言えば、たとえ未来は見られなくても、未来を描くことでも、現在の自分の進む道は分かるという教訓もあるでしょう。それでは、タイムマシンを使って、以下のステップで、例えば不登校の子どもに質問するのはどうでしょうか?ステップ1:「ドラえもんのタイムマシンに乗って、成長した20歳の自分を見に行ったら、その自分はどんな1日を過ごしてる?」ステップ2:「今の自分は、20歳の自分に何を聞きたい?」ステップ3:「20歳の自分は、今の自分にまず何とアドバイスする?」タイムマシンの発想を使うことで、うまく行かない現在ではなく、うまく行っている未来に目が向きます。そして、うまく行く未来の視点を通して、現在の自分の行動を具体化することができるようになります。注意点は、「成長した」「うまく行っている」「幸せな」などのポジティブな言葉を必ず入れることです。これを入れないと、成長していないネガティブな未来を描いてしまう可能性があるからです。また、未来の設定時間は、「20歳」でなくても、1か月後でも10年後でも良いです。大事なのは、子どもにいつの未来を描いてほしいかということです。こうして、現在から未来への道筋を見いだすことができるでしょう。ちなみに、タイムマシンの発想は、心理療法であるブリーフセラピーのタイムマシン・クエスチョンに通じます。子育てとは?子育てとは、最終的に、子どもが「こうしたい」「こうなりたい」と自分で考える能力を育むことです。そして、その能力を十分に発揮できているのが、大人であると言えるでしょう。そう考えると、子育てのゴールとは、子どもが親の言う通りに生きるようになることではないでしょう。それは、子どもが親に言われなくても生きていけることでしょう。進化論的には、動物が子孫を残すために必要なことは、生存と生殖の2つです。ただし、人類を初めとする社会的動物の霊長類は、もう1つ必要なものがあります。それが、子育てです。これがないと、生存も生殖もできずに、子孫は残せません。さらに、人類ならではなのが、子育てを文化として世代から世代へ受け継ぐことです。そういう意味では、子育てとは、第2の遺伝子であるとも言えるでしょう。のび太はドラえもんのひみつ道具を通して成長し、やがてしずかちゃんと結婚するという夢を叶えます。それと同じように、私たちも3つのひみつ道具の発想を使うことで、子どもが夢を持ち、より豊かな人生を歩んでいくサポートができるのではないでしょうか?さらには、3つのひみつ道具の発想は、子どものメンタルヘルスだけでなく、思春期を過ぎた私たち大人のメンタルヘルスにも生かせることが、もちろんできます。つまり、私たち自身も子どもたちと同じように、夢を持ち、より豊かな子育て、そしてより豊かな人生を歩んでいくことです。そんな私たちの背中を見せることも、思春期の子どもへのより良いかかわり方であると言えるのではないでしょうか?1)ドラえもん最新ひみつ道具大辞典:藤子F・不二雄、小学館、20082)家族進化論:山極寿一、東京大学出版会、20123)解決志向ブリーフセラピー:森俊夫、黒澤幸子、ほんの森出版、20024)タイムマシン心理療法:黒沢幸子、日本評論社、2008

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抗認知症薬処方前の甲状腺機能検査に関するレトロスペクティブ観察研究

 甲状腺機能低下症は、認知障害を引き起こす疾患として知られており、甲状腺ホルモンの補充により治療が可能である。そのため、日本を含め世界各国の認知症診療ガイドラインでは、認知症の診断を進めるうえで甲状腺機能検査(TFT)の実施を推奨している。しかし、これまで抗認知症薬を開始する前の認知症原因疾患の診断過程において、TFTがどの程度実施されているかについては、よくわかっていなかった。医療経済研究機構の佐方 信夫氏らは、日本における抗認知症薬処方前のTFT実施状況について調査を行った。Clinical Interventions in Aging誌2018年7月6日号の報告。 本レトロスペクティブ観察研究は、厚生労働省が構築しているレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて実施された。対象は、2015年4月~2016年3月に、65歳以上で認知症診断直後に抗認知症薬を新たに処方された26万2,279例。アウトカムは、抗認知症薬の処方開始日から過去1年間のTFT(血清甲状腺刺激ホルモンと遊離サイロキシンの測定)実施とした。 主な結果は以下のとおり。・抗認知症薬処方前のTFT実施率は32.6%であった。・TFT実施率は、診療所において26%であったのに対し、病院では約1.5倍の38%、認知症疾患医療センターでは約2.2倍の57%(調整リスク比:2.17、95%CI:2.01~2.33)であった。・患者が高齢になるほど、TFT実施率が低下する傾向が認められた(65~69歳:39.4%、70~74歳:37.2%、75~79歳:36.6%、80~84歳:33.9%、85歳以上:28.1%)。 著者らは本研究結果を踏まえ、以下のようにまとめている。・本研究では、認知症診断直後に抗認知症薬を処方された患者のうち、約67%が処方前の1年間にTFTを実施されていないことが示された。これは、TFT実施が診療ガイドラインで推奨されている点から、問題であると考えられる。・認知症疾患医療センターや病院でのTFT実施率が、診療所と比較して高かったことは、設備的に血液検査を実施しやすい状況にあることが考えられる。また、診療する医師に、神経内科や精神科などに所属する、認知症の鑑別診断に習熟した医師が多いことも要因であると思われる。・甲状腺機能低下症は、加齢に伴う身体機能の変化と区別がつきにくく、高齢者では診断されにくい傾向があるが、早期に治療すれば認知機能障害の回復も期待できることから、典型的な所見を示さなくても、認知症診断時にはTFTを実施すべきである。治療可能な疾患による認知症は適切に鑑別すべきであることを、抗認知症薬を処方する医師にあらためて周知する必要があると考えられる。■関連記事日本における抗認知症薬の処方量に関する研究認知症になりやすい職業は新規アルツハイマー型認知症治療剤の発売による処方動向の変化:京都大

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勤務医の年間バイト収入はいくらぐらい?

 ケアネットでは、CareNet.com会員医師から寄せられた声にお応えし、2018年7月に「勤務医1,000人に聞く!医師のアルバイト収入について」のアンケートを行った。ここでは、年間アルバイト収入についての調査結果を報告する。半数近くが100万円未満だが、大台越えも6% 全体でみると、年間100万円以上のアルバイト収入を得る医師が半数以上を占めたが、常勤病院の業務量などによるのか、100万円未満という回答もかなりの割合で見られた。一方、週1回以上の定期アルバイト実施者に絞ると、200~600万円に多く分布しており、1,000万円以上の高額帯も一定割合存在していることがわかった。 詳細なデータ(医師経験年数別・医局所属別など)はCareNet.comに掲載。

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院外心停止へのエピネフリン、神経学的予後は改善せず?/NEJM

 成人の院外心停止患者へのエピネフリン(アドレナリン)投与は、プラセボに比し30日生存率を改善するが、重度の神経障害を有する生存例が多いため、良好な神経学的アウトカムを有する生存例の割合には差がないことが、英国・ウォーリック大学のGavin D. Perkins氏らが行った「PARAMEDIC2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年7月18日号に掲載された。エピネフリンは、α-アドレナリン受容体を介して細動脈を収縮させることで、心停止に対し有益な作用を及ぼす可能性があり、この細動脈の収縮は、心肺蘇生法(CPR)施行中の大動脈の拡張期血圧を上昇させるため、冠動脈の血流が増加し、自己心拍再開の可能性が高まるという。一方、α-アドレナリン刺激は、血小板を活性化して血栓症を促進し、大脳皮質の微小血管の血流を損ない、CPR中および自己心拍再開後の脳虚血の重症度を高めるとされる。5施設、約8,000例のプラセボ対照無作為化比較試験 PARAMEDIC2試験は、エピネフリンの安全性と有効性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験であり、国際蘇生連絡協議会(ILCOR)の求めに応じて行われた(英国国立健康研究所[NIHR]などの助成による)。 英国内NHSの5つの救急搬送部門が参加した。対象は、訓練を受けた救急医療隊員による2次救急処置が施行され、院外心停止が持続する成人患者であった。妊婦、16歳未満、アナフィラキシーや喘息による心停止、外傷性の心停止、救急医療隊員の到着前にエピネフリンの投与を受けた患者は除外された。 初回蘇生法(CPRと除細動)が不成功であった患者が、通常治療に加えて、エピネフリン(1mg)または生食(プラセボ)を投与する群にランダムに割り付けられた。試験薬は、3~5分ごとに静脈内または骨内投与された。 主要アウトカムは30日生存率であった。副次アウトカムは、退院時に良好な神経学的アウトカム(修正Rankinスケール[0~6点:0点は無症状、6点は死亡]のスコアが3点以下)を示す生存例の割合などであった。 2014年12月~2017年10月の期間に8,014例が登録され、エピネフリン群に4,015例、プラセボ群には3,999例が割り付けられた。30日生存率:3.2 vs.2.4%、重度神経障害の退院時生存率:31.0 vs.17.8% ベースラインの平均年齢(SD)は、エピネフリン群が69.7(16.6)歳、プラセボ群は69.8(16.4)歳で、男性がそれぞれ65.0%、64.6%を占めた。 緊急通報から救急車の現場到着までの期間中央値(IQR)は、エピネフリン群が6.7分(4.3~9.7)、プラセボ群は6.6分(4.2~9.6)であり、緊急通報から試験薬投与までの期間中央値(IQR)は、それぞれ21.5分(16.0~27.3)、21.1分(16.1~27.4)であった。また、入院前蘇生法施行中の自己心拍再開の割合は、エピネフリン群がプラセボ群に比べて高く(36.3 vs.11.7%)、病院搬送患者の割合も高かった(50.8 vs.30.7%)。 30日時の生存率は、エピネフリン群が3.2%(130例)であり、プラセボ群の2.4%(94例)に比べ有意に優れた(未補正オッズ比[OR]:1.39、95%信頼区間[CI]:1.06~1.82、p=0.02)。 入院までの生存率は、エピネフリン群が23.8%(947/3,973例)と、プラセボ群の8.0%(319/3,982例)に比し有意に高かった(未補正OR:3.59、95%CI:3.14~4.12)。 退院時に、良好な神経学的アウトカムを有する生存例の割合は、エピネフリン群が2.2%(87/4,007例)、プラセボ群は1.9%(74/3,994例)であり、両群間に有意な差を認めなかった(未補正OR:1.18、95%CI:0.86~1.61)。また、退院時に、重度神経障害(修正Rankinスケール:4、5点)を有する生存例の割合は、エピネフリン群が31.0%(39/126例)と、プラセボ群の17.8%(16/90例)よりも多かった。 著者は、「神経学的アウトカムが改善されなかった原因は不明である」としたうえで、「この結果の説明として、(1)エピネフリンは、肉眼的な脳血流を増加させるが、逆説的に脳の微小血管の血流を障害し、自己心拍再開後の脳障害を増悪させる可能性があること、(2)脳は、心臓など他の臓器に比べ虚血や灌流障害への感受性が高く、心拍再開後の回復能が機能的に低いとされることが挙げられる」としている。

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2009年以降、若年成人の肝硬変による死亡が急増/BMJ

 米国では2009年以降、肝硬変による死亡率が上昇していることが明らかにされた。25~34歳群の上昇が最も大きく、原因はアルコール性肝疾患によるものであった。米国・ミシガン大学のElliot B. Tapper氏らが行った観察コホート研究の結果で、著者は「若い年代でアルコールが原因による死亡が急増していることは、肝疾患予防の適切なケアについて、新たなチャレンジが必要なことを強調するものだ」と述べている。このほか解析からは、肝硬変による死亡は、白人・ネイティブアメリカン・ヒスパニック系米国人での急増が大きかったこと、メリーランド州では改善していた一方、ケンタッキー・ニューメキシコ・アーカンソー州で高率であったことなどが明らかになったという。BMJ誌2018年7月18日号掲載の報告。1999~2016年の米国住民の肝硬変、肝がんの死亡動向を調査 研究グループは、米国住民の肝硬変および肝がんによる死亡について、1999~2016年の動向を、年齢群、性別、人種、肝疾患原因別、地域別に調べた。米国疾病対策予防センター(CDC)のWide-ranging OnLine Data for Epidemiologic Research(WONDER)を介して、人口動態統計調査からの死亡データ、国勢調査からの住民データを集めて分析した。 主要評価項目は、肝硬変および肝細胞がんによる死亡率で、joinpoint回帰法を用いて動向を評価した。25~34歳群で年間10.5%増、原因はアルコール関連 米国における肝硬変による年間死亡者数は、1999年は2万661例であったが、2016年は65%増の3万4,174例となっていた。肝細胞がんによる年間死亡者数は、同5,112例から倍増の1万1,073例となっていた。唯一、アジア系・環太平洋島民米国人のみ、対象期間内に肝細胞がん死の有意な改善(年間2.7%減[95%信頼区間[CI]:2.2~3.3]、p<0.001)がみられた。 人種別にみて、肝硬変に関連した年間死亡率の伸び率が最も大きかったのはネイティブアメリカン(国勢調査でアメリカインディアンとされている住民)で、4.0%(95%CI:2.2~5.7、p=0.002)であった。 年齢補正後の肝細胞がん死は、毎年2.1%(95%CI:1.9~2.3、p<0.001)上昇が認められた。肝硬変による死亡の上昇は2009年に始まっており、2016年までに年間3.4%(3.1~3.8、p<0.001)上昇していた(1999~2008年は減少[年間-0.5%、p=0.02])。 2009~16年に肝硬変関連死が最も増大していたのは25~34歳群で(10.5%、95%CI:8.9~12.2、p<0.001)、もっぱら原因はアルコール関連の肝疾患によるものであった。また、同期間中、肝硬変関連では腹膜炎による死亡(年間死亡率増:6.1%、95%CI:3.9~8.2)と、敗血症による死亡(同7.1%、6.1~8.4)が大きく増大していた。さらに州別の解析では、唯一メリーランド州のみ死亡の改善が認められた(年間死亡率-1.2%、95%CI:-1.7~-0.7)。一方で南西部の州に集中して偏って年間死亡率の上昇が認められた。具体的には、ケンタッキーで6.8%(95%CI:5.1~8.5)、ニューメキシコ州6.0%(4.1~7.9)、アーカンソー州5.7%(3.9~7.6)、インディアナ州5.0%(3.8~6.1)、アラバマ州5.0%(3.2~6.8)。 肝細胞がん関連の死亡の改善が認められた州はなかった。最も深刻な年率増がみられたのは、アリゾナ州5.1%(3.7~6.5)、カンザス州4.3%(2.8~5.8)であった。

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外来血圧から覚醒時自由行動下血圧を予測することは可能か?―真の血圧の探求(解説:石川讓治氏)-892

 ロシアの外科医コロトコフによって、1905年に水銀血圧計が作成されてから100年以上の年月が過ぎた現在でも、“真の血圧値”を知ることは難しい。忙しい外来診療における外来血圧測定の不正確性のために、カフ・オシロメトリック法を用いた自動血圧計が使用されるようになり、白衣効果(医師の前でのストレスによる血圧上昇)の影響を減らすため、診察室外での血圧(Out-of-Office Blood Pressure)の測定がなされてきた。自由行動下血圧モニタリングは、患者の日常生活の中での血圧が測定可能であり、現在のところ最も“真の血圧値”に近いと考えられている。しかし、自由行動下血圧計は高価であり、繰り返す血圧測定が患者に不快感を与える場合があるため、家庭血圧計が診察室外の血圧として代用され、臨床応用されている。 Sheppardらは1)、既存の研究データの後ろ向き検討において、プライマリーケア医の外来血圧から家庭血圧を予測する回帰式を作成し、外来血圧から年齢、性別、血圧の測定間変化(1機会に3回測定した)、Body Mass Index、高血圧の診断、高血圧罹病期間、降圧薬の使用、脈圧といった情報で補正後に予測された血圧値が、自由行動下血圧における高血圧の診断率を改善したことを報告している1)。この研究結果に基づき、Sheppardらは2)、英国の10のプライマリーケア医における887名の患者を前向きに登録し、先行研究の予測式を用いて外来血圧から計算された血圧を用いることで、覚醒時自由行動下血圧での高血圧の診断の感度が97%、特異度が75.9%に改善しており、自由行動下血圧モニタリングの要否を判定するトリアージが可能であると報告した。 これらの研究において、さまざまな情報を考慮すれば外来血圧からもOut-of-Office BPの予測が改善することが明らかになったが、その回帰式は複雑である。論文ではインターネット上で計算できるサイトも紹介しているが、自動的にアルゴリズムを計算してくれる外来自動血圧がなければ、日常臨床に応用することは現在のところ難しい。また、Out-of-Office BPといっても自由行動下血圧と安静座位で測定される家庭血圧は必ずしも一致しない3)。筆者らは、家庭血圧は自由行動下血圧の代用ではなく、より正確に繰り返し測定可能な安静座位血圧であり、むしろ外来血圧に近いものと考えている。そのため、“真の血圧値”を知るうえでは、外来血圧から覚醒時自由行動下血圧を予測する予測式を作成する必要があるかもしれない。また、世界に先駆けて家庭血圧計が普及しているわが国では、家庭血圧値から覚醒時自由行動下血圧を予測する式も必要であろう。

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【勤務医のアルバイト収入 2018】第1回 年間アルバイト収入編

ケアネットでは、会員の先生方から寄せられた「ほかの医師たちのアルバイト(非常勤)収入について知りたい」という声にお応えし、アンケートのご協力をお願いしました。今回は、年間アルバイト収入総額の集計結果をご報告いたします。勤務医の年間アルバイト収入、半数が100万円未満「昨年度(2017年4月~2018年3月)のアルバイト収入の総額」についての回答では、もっとも少ない「100万円未満」が全体の48%であった。一方、年間アルバイト収入400万円以上の医師は、全体の29%を占めていた。画像を拡大する■Q .昨年度(2017年4月~2018年3月)のアルバイト収入の総額をお教えください。※各種税金・保険料などが引かれる前の金額を、講演料・原稿料などは含めずにご回答ください。1) 100万円未満2) 100万円以上~200万円未満3) 200万円以上~400万円未満4) 400万円以上~600万円未満5) 600万円以上~800万円未満6) 800万円以上~1,000万円未満7) 1,000万円以上~1,200万円未満8) 1,200万円以上定期アルバイトの年間収入の中間額は400~600万円今回のアンケート結果から、定期的(週1回以上)にアルバイトを行っている医師408人 を抽出して解析したところ、年間のアルバイト収入が600万円以上の医師は39%であり、400万円以上の医師は61%と3分の2近くを占めた。画像を拡大する以上の結果を医局所属の有無で分けたところ、年間のアルバイト収入400万円以上の医師は、医局所属ありでは64%(197/306人)を占めたのに対し、所属なしでは50%(51/102人)に留まった。医局に所属している医師のほうが、高額のアルバイト収入を得ている傾向にあることがわかった。3~9年目の若手医師では、約半数が年間600万円以上同じく、アルバイトを週1回以上行っている医師408名 を経験年数で分けて比較したところ、医師経験年数が10年未満の若手医師では、600万円以上が46%と半数近くを占めるのに対し、10年以上の中堅・ベテラン医師では、3分の1程度(10~19年:38%、20年以上:34%)に留まり、経験年数が上がるとともに、アルバイト収入額が下がる傾向にあった。画像を拡大する医局に所属している医師は、年収におけるアルバイト収入割合が大きい年収に対するアルバイト収入総額の比率を医局所属の有無で解析した結果、医局所属ありでは、年収に対するアルバイト収入割合40%を超す医師が過半数(56%)なのに対し、所属なしでは、4分の1以下(24%)であった。画像を拡大する■Q . 先生の年収のうち、アルバイト収入が占める比率をお教えください。1) 10%未満2) 10~39%3) 40~59%4) 60~79%5) 80%以上第2回では、アルバイトの時給に着目した解析結果などをご紹介いたします。

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統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性・安全性に関するシステマティックレビュー

 統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性、安全性について、ブラジル・サンパウロ大学のEsther Leticia Amorim Ribeiro氏らが、システマティックレビューにて検証を行った。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2018年6月15日号の報告。 2017年3月31日までに公表された論文を、PubMed、Cochrane Library、LILACS、Centre for Reviews and Disseminationより検索を行った。統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性や安全性を評価したランダム化比較試験のメタ解析によるシステマティックレビューが対象に含まれた。研究選択、データ抽出、品質評価は、2人の独立した研究者により実施された。エビデンスの質の評価には、GARADE(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation)、バイアスリスクの評価には、ROBIS(Risk of Bias in Systematic Review)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・包括基準を満たした研究は14件であった。・アリピプラゾールの有効性は、定型抗精神病薬およびオランザピン、amisulprideを除く非定型抗精神病薬と同等であった。・アリピプラゾールは、クロザピン、リスペリドン、オランザピンと比較し、体重増加、グルコースおよびコレステロール値の変化が有意に低かった。・アリピプラゾールは、定型抗精神病薬、リスペリドンと比較し、一般的な錐体外路系副作用、抗パーキンソン薬の使用、アカシジアが有意に少なかった。・全体的なエビデンスの質は、「非常に低い」~「中程度」であり、その主な要因は、元論文のバイアスリスク、矛盾、アウトカムの不正確性であった。・ROBISによる評価では、バイアスリスクが「高い」レビュー(4件)と「不明確」なレビュー(5件)が示された。 著者らは「アリピプラゾールは、他の抗精神病薬と同等の有効性を有することが示唆された。また、定型抗精神病薬と比較し錐体外路症状が少なく、他の非定型抗精神病薬と比較し代謝系の副作用が少ないことから、他の抗精神病薬よりも優れた安全性プロファイルを有することが示唆された」としている。■関連記事統合失調症に対する短期治療、アリピプラゾール vs.リスペリドン統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs.リスペリドン薬剤誘発遅発性ジスキネジアを有する統合失調症患者へのアリピプラゾール切り替え

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心血管疾患患者の17%がノンアドヒアランス:その要因は?

 大学病院では、心血管疾患患者のうち17%がノンアドヒアランスとされ、1日2回以上の服薬、比較的に若年であること、就労状況がノンアドヒアランスと相関していることが、東京女子医科大学の鈴木 豪氏らの研究によって明らかになった。American Journal of Cardiovascular Drugs誌2018年8月号に掲載。 心血管疾患治療において、ノンアドヒアランスは深刻な問題である。今回の研究では、大学病院3施設の心血管疾患を患う外来患者1,372名(女性31%、平均67±12歳)を対象に自己評価質問票(Siegal scale)を用いてアンケート調査を行い、服薬アドヒアランスを前向きに検討した。ノンアドヒアランス要因のうち、「抑うつ症状」は、Patient Health Questionnaire-9のスコアが10以上の場合と定義した。 主な結果は以下のとおり。・計227人(17%)の患者がノンアドヒアランスとされた。・多重ロジスティック回帰分析の結果、ノンアドヒアランスは以下の要因と相関があった。 1日2回以上の服薬(OR=4.42[95%CI:3.02~6.48]) 65歳未満(OR=1.70[95%CI:1.23~2.35]) 就業中の人(OR=1.43[95%CI:1.03~1.99])・抑うつはノンアドヒアランスの重要な要因ではなかった。

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ファブリー病に世界初の経口治療薬が登場

 2018年7月7日、アミカス・セラピューティスク株式会社は、同社が製造・販売する指定難病のファブリー病治療薬のミガーラスタット(商品名:ガラフォルド)が、5月に承認・発売されたことを期し、「ファブリー病治療:新たな選択肢~患者さんを取り巻く環境と最新情報~」と題するメディアラウンドテーブルを開催した。希少代謝性疾患の患者に治療を届けるのが使命 はじめに同社の会長兼CEOのジョン・F・クラウリー氏が挨拶し、「『希少代謝性疾患の患者に高品質の治療を届けるように目指す』ことが我々の使命」と述べた。また、企業責任は「患者、患者家族、社会に希少疾病を通じてコミットすることで『治療にとどまらない癒しをもたらすこと』」と企業概要を説明した。今後は、根治を目標に遺伝子治療薬の開発も行っていくと展望を語った。なお、クラウリー氏は、実子がポンぺ病を発症したことから製薬会社を起業し、治療薬を開発したことが映画化されるなど世界的に著名な人物である。治療選択肢が増えたファブリー病 つぎに衞藤 義勝氏(脳神経疾患研究所 先端医療研究センター長、東京慈恵会医科大学名誉教授)が、「日本におけるファブリー病と治療の現状」をテーマに、同疾患の概要を解説した。 ライソゾーム病の一種であるファブリー病は、ライソゾームのαガラクトシダーゼの欠損または活性低下から代謝されるべき糖脂質(GL-3)が細胞内に蓄積することで、全身にさまざまな症状を起こす希少疾病である。 ファブリー病は教科書的な疫学では4万例に1例とされているが、実際には人種、地域によってかなり異なり、わが国では新生児マススクリーニングで7,000例に1例と報告されている。臨床型ではファブリー病は、古典型(I型)、遅発型(II型)、ヘテロ女性型に分類され、古典型が半数以上を占めるとされる。 ファブリー病の主な臨床症状としては、脳血管障害、難聴、角膜混濁・白内障、左室肥大・冠攣縮性狭心症・心弁膜障害・不整脈、被角血管腫・低汗症、タンパク尿・腎不全、四肢疼痛・知覚異常、腹痛・下痢・便秘・嘔気・嘔吐など全身に症状がみられる。また、年代によってもファブリー病は症状の現れ方が異なり、小児・思春期では、慢性末梢神経痛、四肢疼痛、角膜混濁が多く、成人期(40歳以降)では心機能障害が多くなるという。 診断では、臨床症状のほか、臨床検査で酵素欠損の証明、尿中のGL-3蓄積、遺伝子診断などで確定診断が行われる。また、早期診断できれば、治療介入で症状改善も期待できることから、新生児スクリーニング、ハイリスク群のスクリーニングが重要だと同氏は指摘する。とくに女性患者は軽症で症状がでないこともあり、放置されている場合も多く、医療者の介入が必要だと強調した。 ファブリー病の治療では、疼痛、心・腎障害、脳梗塞などへの対症療法のほか、根治的治療として現在は酵素補充療法(以下「ERT」と略す)が主に行われ、腎臓などの臓器移植、造血幹細胞などの細胞治療が行われている。とくにERTでは、アガルシダーゼαなどを2週間に1回、1~4時間かけて点滴する治療が行われているが、患者への身体的負担は大きい。そこで登場したのが、シャペロン治療法と呼ばれている治療で、ミガーラスタットは、この治療法の薬に当たる。同薬の機序としては、体内の変異した酵素を安定化させ、リソソームへの適切な輸送を促進することで、蓄積した物質の分解を促す。また、経口治療薬であり、患者のアドヒアランス向上、QOL改善に期待が持たれている。将来的には、学童期の小児にも適用できるように欧州では臨床研究が進められている。 最後に同氏は、「ファブリー病では、治療の選択肢が拡大している一方で、個々の治療法の効果は不明なことも多い。現在、診療ガイドラインを作成しているが、エビデンスをきちんと積んでいくことが重要だと考える」と語り、講演を終えた。酵素補充保療法とスイッチできるミガーラスタット つぎにデリリン・A・ヒューズ氏(ロイヤルフリーロンドンNHS財団信託 血液学領域、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)が、「ファブリー病治療の新たな選択肢:ミガーラスタット塩酸塩」をテーマに講演を行った。 はじめに自院の状況について、ライソゾーム病の中ではファブリー病がもっとも多いこと、患者数が年15%程度増加していることを報告し、家族内で潜在性の患者も多いことも知られているため、早期スクリーニングの重要性などを強調した。 英国のガイドラインでは、診断後の治療でERTを行うとされているが、その限界も現在指摘されている。ERTの最大の課題は、治療を継続していくと抗体が形成されることであり、そのため酵素活性が中和され、薬の効果が出にくくなるという。また、細胞組織内の分泌が変化すると、末期では細胞壊死や線維化が起こり、この段階に至るとERTでは対応できなくなるほか、点滴静注という治療方法は患者の活動性を阻害することも挙げられている。実際、15年にわたるERTのフォローアップでは、心不全、腎不全、ペースメーカー、突然死のイベント発生が報告され、効果が限定的であることが判明しつつあるという1)。そして、ミガーラスタットは、こうした課題の解決に期待されている。 ミガーラスタットの使用に際しては、ファブリー病の確定診断と使用に際しての適格性チェック(たとえば分泌酵素量や遺伝子検査)が必要となる。ERTと異なる点は、使用年齢が16歳以上という点(ERTは8歳から治療可能)、GFRの検査が必要という点である。 最後に同氏は、シャペロン療法の可能性について触れ「病態生理、診療前段階、治療とその後の期間、実臨床でもデータの積み重ねが大切だ」と語り、講演を終えた。ミガーラスタットの概要一般名:ミガーラスタット製品名:ガラフォルド カプセル 123mg効能・効果:ミガーラスタットに反応性のあるGLA遺伝子変異を伴うファブリー病用法・用量:通常、16歳以上の患者に、1回123mgを隔日経口投与。なお、食事の前後2時間を避けて投与。薬価:14万2,662.10円/カプセル承認取得日:2018年3月23日発売日:2018年5月30日

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NSCLC 1次治療、化療にペムブロリズマブ併用でQOL改善(KEYNOTE-189)/日本臨床腫瘍学会

 未治療の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対する国際共同無作為化第III相試験(KEYNOTE-189)のQOL評価で、ペムブロリズマブ+化学療法は化学療法単独と比べてQOLを維持・改善することが示された。関西医科大学の倉田 宝保氏が、第16回日本臨床腫瘍学会学術集会(7月19~21日、神戸)のセミプレナリーセッションで発表した。 KEYNOTE-189は、未治療の非扁平上皮NSCLC患者616例を、ペムブロリズマブ群(ペムブロリズマブ200mg+ペメトレキセド500mg/m2+カルボプラチンAUC5またはシスプラチン75mg/m2、3週ごと4サイクル、その後はペムブロリズマブ200mg+ペメトレキセド500mg/m2を3週ごと)と、プラセボ群(ペムブロリズマブ群のペムブロリズマブをプラセボに置き換え)に2対1に無作為に割り付けた試験である。主要評価項目である全生存と無増悪生存は、それぞれハザード比(HR)が0.49、0.52と、ペムブロリズマブ群で有意に改善、副次評価項目の全奏効率も47.6%とプラセボ群の18.9%に対して有意に高く、有害事象はほぼ同様であったことが報告されている。 今回、KEYNOTE-189において、患者報告アウトカム(PRO)を1回以上報告した602例を対象に、欧州がん治療研究機構(EORTC)のQOLに関するアンケートQLQ-C30およびQLQ-LC13を用いてQOLを評価した。主要評価項目は、12週および21週のQLQ-C30 全般的健康状態(GHS)/QOLスコアのベースラインからの変化と、QLQ-LC13咳嗽・胸痛・呼吸困難の複合スコアの悪化までの期間。 その結果、QLQ-C30 GHS/QOLスコアの12週での変化は、ペムブロリズマブ群で+1.0、プラセボ群で-2.6、その差は3.6(95%CI:-0.1~7.2、p=0.053)であった。また、21週での変化の差は5.3(95%CI:1.1~9.5、p=0.014)とプラセボ群が有意に低かった。咳・胸痛・呼吸困難の複合スコアの悪化までの期間の中央値は、ペムブロリズマブ群が未到達(95%CI:10.2ヵ月~未到達)、プラセボ群が7.0ヵ月(95%CI:4.3ヵ月~未到達)で、HRは0.81(95%CI:0.60~1.09、p=0.161)であった。■関連記事NSCLC 1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS延長:第III相試験/NEJM

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鎌状赤血球症の疼痛にL-グルタミンが有効/NEJM

 鎌状赤血球貧血症の小児/成人患者において、医薬品グレードのL-グルタミン単独またはヒドロキシ尿素併用経口投与は、プラセボ±ヒドロキシ尿素と比較し、48週間の疼痛発作回数を著明に低下させた。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の新原 豊氏らが、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果を報告した。医薬品グレードのL-グルタミン経口粉末薬は、鎌状細胞赤血球中の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの割合を上昇させることが認められており、この作用が鎌状赤血球症の複雑な病態生理に関与している酸化ストレスを減少させ、鎌状赤血球症に関連する疼痛を改善すると考えられていた。NEJM誌2018年7月19日号掲載の報告。鎌状赤血球症患者230例でL-グルタミンの有効性および安全性をプラセボと比較 研究グループは、2010年6月~2013年12月に、鎌状赤血球貧血症または鎌状赤血球-β0サラセミアで、過去1年間に2回以上の疼痛発作(外来または入院期間中に、救急治療部で麻薬性鎮痛薬または非ステロイド性抗炎症薬ケトロラクの非経口投与による治療を要する疼痛)の既往がある患者230例を登録し、医薬品グレードのL-グルタミン投与群(1回0.3g/kg体重を1日2回経口投与)とプラセボ投与群に2対1の割合で無作為に割り付け、48週間治療した。スクリーニングの少なくとも3ヵ月前から安定用量のヒドロキシ尿素を投与されていた患者は、48週間の治療期間中も継続可とした。 有効性の主要評価項目は、48週間の疼痛発作回数とし、コクラン・マンテル・ヘンツェル検定を用いてintention-to-treat解析を行った。L-グルタミンで疼痛発作が25%、入院回数が33%減少 230例(年齢5~58歳、女性53.9%)のうち、156例が試験を完遂した(L-グルタミン群152例中97例、プラセボ群78例中59例)。 疼痛発作回数中央値はL-グルタミン群3.0回、プラセボ群4.0回で、プラセボ群に比しL-グルタミン群で有意に減少した(p=0.005)。同様に入院回数中央値も、L-グルタミン群2.0回、プラセボ群3.0回で、L-グルタミン群が有意に少なかった(p=0.005)。 両群とも3分の2の患者がヒドロキシ尿素の併用投与を受けていた。プラセボ群と比較しL-グルタミン群で発現率が約5%以上高かった有害事象は、悪心、非心臓性胸痛、疲労、四肢の疼痛、背部痛であった。 なお今回の第III相試験の結果に基づき、米国食品医薬品局は2017年7月に医薬品グレードのL-グルタミンについて、5歳以上の小児および成人における鎌状赤血球症による急性合併症の軽減を適応症として承認した。

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10代のSNS使用頻度がADHD発症と関連か/JAMA

 2年以上にわたる観察研究で、10代の学生において頻繁なデジタルメディアの使用とその後の注意欠如・多動症(ADHD)症状発現との間に、わずかではあるが統計学的に有意な関連性があることが認められた。米国・南カリフォルニア大学Keck School of MedicineのChaelin K. Ra氏らが、著しいADHD症状のない15~16歳の学生を対象に行った縦断コホート研究の結果を報告した。今回の研究には、参加者の自己報告に基づくことや、デジタルメディアの使用頻度の測定法は確立されていないこと、データが得られなかった参加者が除外されている、ベースライン時に検出されなかったADHD症状が影響した可能性は除外できない、などの限界があり、著者は「この関連が原因であるかどうかを結論付けるには、今後のさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA誌2018年7月17日号掲載の報告。高校1年生約3千人で、デジタルメディアの使用頻度とADHD症状を2年間追跡 研究グループは、カリフォルニア州ロサンゼルスにある高等学校10校の学生を対象として、2014年9月(10学年[高校1年])~2016年12月(12学年[高校3年])の期間で、6ヵ月ごとに2年間追跡調査を実施した。適格学生4,100例中、高校1年生3,051例(74%)がベースラインの調査を受けた。14種類のデジタルメディアについて、それぞれ1週間の使用頻度を0回、1~2回/週、1~2回/日、複数回/日で自己報告してもらい、複数回/日と回答した場合を「高頻度」と分類するとともに、「高頻度」に該当するデジタルメディア数の合計を算出した(範囲:0~14)。 主要評価項目は、自己評価による調査前6ヵ月間のADHD症状の頻度(まったくない/めったにない[never/rare]、時々[sometimes]、頻繁[often]、非常に頻繁[very often])。9つの不注意症状および9つの多動・衝動症状について、それぞれ「頻繁」または「非常に頻繁」と評価した症状の合計数を算出した。また、どちらかの症状分類で「頻繁」または「非常に頻繁」の症状が6つ以上の場合にADHD症状陽性とした。「高頻度」のデジタルメディア数が多いほど、ADHD症状発現が有意に高率 解析対象は、ベースライン時に著しいADHD症状を有していなかった2,587例(適格学生の63%、女性54.4%、平均年齢15.5歳[SD 0.5])で、追跡期間中央値は22.6ヵ月(四分位範囲[IQR]:21.8~23.0ヵ月)であった。 ベースライン時に、使用が「高頻度」であった平均デジタルメディア数は3.62(SD 3.30)であった。追跡期間中、「高頻度」の割合が最も高かったのは「ソーシャルメディアのチェック」であった(1,398/2,587例、54.1%)。 ベースライン時に「高頻度」のデジタルメディア数が多いほど、追跡期間中にADHD症状を有する可能性が有意に高率であった(オッズ比[OR]:1.11、95%信頼区間[CI]:1.06~1.16)。この関連は共変量調整後も示された(OR:1.10、95%CI:1.05~1.15)。 追跡期間中にADHD症状が認められた学生の割合は、ベースライン時のデジタルメディア使用が高頻度ではなかった学生495例では4.6%であったのに対して、「高頻度」のデジタルメディアが7種あった学生114例では9.5%(差:4.9%、95%CI:2.5~7.3%)、14種すべてが「高頻度」であった学生51例では10.5%であった(差:5.9%、95%CI:2.6~9.2%)。

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そもそも術前リスク評価をどう考えるべきか(解説:野間重孝 氏)-891

 循環器内科はさまざまな院内サービスを行っているが、その中でも最も重要なものの1つが、心疾患を持つ(もしくは持つと疑われる)患者が心臓外のmajor surgeryを受ける場合のリスク評価に対するコンサルトに答えることではないかと思う。この場合、大体の医師が心疾患による追加的なリスクをまったく考える必要のない群を最軽症とし、これは絶対に手術は無理というものを最重症として5段階評価を考え、それなりの文章を考えて回答している、というあたりが実情なのではないかと思う。 ただ、その場合でも、はっきり○○%という数字を書き込むという方は、まずいらっしゃらないと推察する。というのは、そのようなエビデンスはどこにも存在しないからだ。この問題を考える場合、次のような視点を最低限持っておく必要があると考えるので、箇条書きにしてみる。 ○想定されるリスクは手術技術や機材の進歩、麻酔技術の進歩により変化していくもの  であって、一定ということはあり得ない。 ○上記と関連して、現在効果がないとされている技術(たとえばTAVIなど)も、  技術、機材の進歩により、リスク軽減に有効とされる時が来る可能性が十分にある  ことを想定しておく必要がある。 ○大変記載しにくい事実ではあるが、手術リスクは一般論ではなく、組織の設備、環境  や術者、アシストするスタッフの質、麻酔科医の技量に大きく依存する。 ○どこまでを標準的な術前スクリーニング検査とするかは、国情、医療事情により決定  されるもので、国、地域により一定ではない。また組織によっても異なる。 ○手術リスクをどのように評価するかには、異なった立場がある。患者の最大酸素摂取  量(peak oxygen uptake)を重要とするものもあれば、また、解剖学的な病態  (たとえば冠動脈狭窄の部位と程度)を重視するやり方もあり、どれが正しい、正確  であるかというエビデンスはない(疾病者の最大酸素摂取量をどう求めるかに議論が  あるのはもちろんである)。 ○上記でいえば、わが国は画像診断に比較的重きを置く傾向がある。実際、冠動脈疾患  でいえば、その存在が疑われる症例で冠動脈造影CT検査が行われないという事態は  想定しがたいが、これはわが国がOECD加盟国中CTの普及率、保有台数が第1位で  あるという事情と無縁ではない。 ○国、地域により、主な対象とされる疾患が異なる。欧米のリスク評価はどうしても  冠動脈疾患の比重が大きくなるが、わが国にそれをそのまま応用してよいという保証  はまったくない。たとえば、ACC/AHA、ESC/ESAともに2014年にガイドラインの  改訂を行っているが、これをそのままわが国で用いてよいという保証はない。 ○時代によりリスクに組み込まれる疾患が異なってくる。代表的なものが心房細動の  リスクをどう考えるかで、社会の高齢化と強く関連している。 ○手術リスクをどう位置付けるかは、そのmajor surgeryが対象とする疾患により  異なるはずである。悪性疾患を代表とする生命予後に直結する疾患と、機能予後に  深く関連するようなものでも生命予後には直接結びつかないものとでは、  リスクに対する考え方が異ならなければならない。 読者の皆さんの中にはもっと多くの事項が勘案されるべきだとお考えの方もいらっしゃると思うが、順不同ながらまず代表的なものは出し尽くしているのではないかと思う。 さて、こうした観点を踏まえて本論文を読み返してみると、大変失礼な言い方になるが、その発想があまりにもナイーブなのではないかというのが、私の正直な感想である。 「経験ある麻酔科医によるリスク評価」というが、「主観的」リスク評価をするに当たって、どの程度の術前スクリーニング検査が行われているのだろうか。私も第一線病院で30年以上診療に当たっている者(しかも古いタイプの医師)の1人として、患者に慎重に問診し、慎重な診察を行えば、かなりの確率でリスクを評価できるという自信がないわけではない。しかし、2018年の現在、そのような「主観的な」評価が許されるわけがないではないか。まず心エコー図を中心とした画像診断で状態を把握し(心エコー図の結果のみでリスク評価をしてはならないことはすでに証明されている)、正確な数字や別の観点からの画像が欲しい場合には、MRIやシンチグラムなども併用する。冠動脈疾患の可能性があれば、当然冠動脈造影CT検査を行う。場合によってはカテーテル検査も行う。そのうえで判断を下す。当たり前ではないか。NT pro-BNPについて言及されているが、今どき術前血液検査にBNPもしくはNT pro-BNPの項目が含まれていない採血を行う組織など、少なくともわが国には存在しないと思う。それでも5段階評価くらいはできても数値化まではできない。 エルゴメータによる運動負荷検査が取り上げられているが、現実的とは言えないと思われる。全身状態によってはエルゴメータをこぐことができないことは言うまでもないが、それだけではなく、もし実際に重症冠動脈疾患があった場合、運動負荷そのものが大変に危険であるという事実が指摘されなければならないだろう。少なくとも現在わが国で循環器を専門にしている医師が、狭心症を強く疑われている患者に対していきなり運動負荷を行うということはまずないのではないだろうか。運動負荷がぶっつけで行われる場合があるとするなら、学校検診などで心電図異常を指摘された明らかに健康な若年者に対して形式的なスクリーニングを行うような場合だろうが、これはまったく性格の異なったものであることはご説明するまでもないだろう。議論が冠動脈疾患に偏ったが、大動脈弁狭窄症やDCMなどでも同様の議論がなされることは言うまでもない。 DASIスコアとは――本文に細かい説明がないが――12項目の簡単な質問にYes/No方式で答えていくもので、各項目に重み付けがされており、最後に合計して計算式に当てはめることで、患者の最大酸素摂取量の予測ができるものである。全身状態の悪い患者も対象としなければならない場合、最大酸素摂取量の目安にしようとするならば現実的な方法といえる。本論文によればDASIスコアのみが有効なスクリーニング法だったとあるが、これは本研究のようなデザインをすれば当たり前なのではないだろうか。十分なスクリーニング結果を踏まえない担当医の「主観的」判断と全身状態によって結果に誤差が出て当然の運動負荷と、全員に安全かつ公平に行えるスコアリングを比べれば、結果は比べる前から明らかなのではないのか。本来術前リスク評価とは、どの方法が優れているといった議論の対象ではなく、可能な手段を総動員して行うべきものなのである。 そのほか、著者らのいうmorbidity and mortalityとは何か。なぜ30日を観察期間としたのか。たとえば術後2週間たって心筋梗塞が起こった場合、それと手術をどう関係付けるのか。疑問は多いのだが、それらにはこれ以上触れない。 というわけで、本研究が臨床医の素朴な疑問に答えようとした姿勢は評価するものの、研究の発想、方法はまったく評価できないというのが評者の受けた感想だったのだが、読者の皆さんはどう思われただろうか。

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糖尿病入院患者の血糖コントロールは人工膵臓で自動化されるか?(解説:住谷哲氏)-893

 糖尿病患者数の増加に伴って糖尿病を合併した入院患者の割合も増えている。その結果、筆者も含めて多くの先生方は、血糖コントロール目的以外で他科に入院している患者の血糖コントロールを依頼されることになる(大阪では共観といいます)。ほとんどの患者は感染症、心不全などの治療や手術目的の入院であり、その血糖コントロール目標も<180mg/dLとほぼ確立している。また治療法も基本は持効型インスリンと超速効型インスリンによるBasal-bolus therapyになる。食事をしている患者であれば毎食前および就眠前の4回の自己血糖測定を実施してインスリン量を調節する。これが研修医にとっての大切なトレーニングになっているのであるが、将来このトレーニングも不要になるかもしれないような報告である。 Closed-loop insulin delivery system(以下、人工膵臓とする)は1型糖尿病患者においては実用化しつつあるが、2型糖尿病患者においてはまだ実用化には至っていない。本論文の著者らは、すでに先行研究において2型糖尿病患者における人工膵臓を用いたRCTでその有効性を報告している1)。今回の報告は、前報では英国のみであった実施施設をスイスも含めた2箇所にしたことと、人工膵臓の装着期間を3日から15日まで延長した点が新しい。 結果は血糖値が目標範囲内(100~180mg/dL)であった時間の割合(平均±SD)は、人工膵臓群65.8±16.8%、対照群41.5±16.9%で人工膵臓群が有意に高値であった(p<0.001)。平均血糖値も人工膵臓群154mg/dL、対照群188mg/dLであった(p<0.001)。また低血糖の時間、インスリン投与量に両群間で差はなかった。 筆者も以前は20人以上の共観患者のインスリン量を調節していたこともあるが、当然ながらかなりの労力を要した。人工膵臓の使用が実用化すれば、われわれ医師を含めた医療スタッフの負担は軽減されるのは確実だろう。しかし本試験で示された、人工膵臓で得られる血糖コントロールの改善が、何らかの臨床アウトカムの改善に結びつくか否かは、現時点では不明である。この点が明らかにされるまでは、研修医のためのトレーニングの機会がなくなることはないだろう。

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猛暑の日々【Dr. 中島の 新・徒然草】(231)

二百三十一の段 猛暑の日々地震、豪雨に続いて、大阪では猛暑の日々が続いています。先日はついに車の温度計での外気温が40度となり、エアコンを全力でかけてもなかなか涼しくなりませんでした。病院の建物の中も場所によっては暑く、何台もの扇風機が回っています。当然のことながら暑さにやられて担ぎ込まれてくる患者さんが多く、ベッドも不足勝ちです。あまりにも熱中症が多いので、救急外来では、あらかじめトレイの上に点滴セット、留置針、採血管などを並べたものを準備しておき、患者さんが来たらそのトレイと棚から生食500mLのバッグを持っていけばOKという工夫をしてみました。なんと日勤の終わりには準備していた5つのトレイが全部使われてしまいました。そのくらい多いのが熱中症です。なぜか昼間に熱中症が増えると夜には急性アルコール中毒が増えるような気がします。自分の飲める量を知らない若い人が運び込まれることが多いのですが、中には夜の商売をしている人が飲み過ぎて運び込まれることもあります。こういう人には「客に飲ませるのが仕事でしょ。自分が酔っ払ってどないするんですか!」という突っ込みが入れられます。泥酔した患者さんたちも翌朝になるとケロッとして帰宅されるのですが、先日の若い女子大生はなかなか帰ろうとしませんでした。看護師さんから聞いた事情とは・・・看護師「もうすっかり意識清明なんですけどね」中島「ほな、帰宅やな」看護師「お母さんが来るまで待っているみたいです」中島「そんなもん、自分で帰ったらエエやんか」看護師「服がドロドロになったんで、持ってきてもらうそうです」中島「しゃーないなあ」看護師「お母さんがパンツも持ってきてくれるらしいです」中島「なんじゃそりゃ? そっちもドロドロなんか」看護師「はい」中島「き、聞かなきゃよかった」回診で病室に行ってみると、母娘にペコペコ謝られました。中島「まあ、若いときはこんなこともありますよ。次から気をつけるようにしましょうね」さすがに説教するわけにもいかないので、爽やかドクターを装っておきました。というわけで最後に1句猛暑日は 色々ドラマが うまれけり

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第4回 GERDを発症・増悪させにくいCa拮抗薬は?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 胃酸などの胃の内容物が食道に逆流して生じる胃食道逆流症(Gastroesophageal reflux disease:GERD)の原因の1つに、「下部食道括約筋(Lower esophageal sphincter:LES)」の機能低下があります。LESは胃と食道のつなぎ目にあり、胃酸の逆流を防ぐ筋肉ですが、加齢に伴う機能低下だけでなく、嗜好品や生活習慣および薬剤によっても緩まることがあります。GERDは頻度の高い疾患ですので、これらの悪化要因を把握しておくと服薬指導にとても有用です。MSDマニュアルには、下記の記載があります。「逆流をもたらす要因として、体重増加、脂肪食、カフェイン含有飲料、炭酸飲料、アルコール、喫煙、薬物がある。LES圧を低下させる薬物には、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、三環系抗うつ薬、カルシウム拮抗薬、プロゲステロン、硝酸薬がある」(参考文献1)より引用)実際、アムロジピンの服用開始後にGERDの症状が悪化したと訴え、医師からの指示でアムロジピンを中止したところ症状が改善した患者さんに、私も会ったことがあります。その件の因果関係は不明ですが、今回はCa拮抗薬とGERDの関連について検討した後ろ向きコホート研究を紹介します。Do calcium antagonists contribute to gastro-oesophageal reflux disease and concomitant noncardiac chest pain?Hughes J, et al. Br J Clin Pharmacol. 2007;64:83-89.対象となったのは、虚血性心疾患や硝酸薬の使用歴がなく、Ca拮抗薬を使用していた高血圧患者で、GERDの既往の有無および、Ca拮抗薬服用前と服用後でGERD症状に変化があったかどうかについてアンケート調査を行っています。15軒の薬局(地域薬局14軒、病院薬局1軒)から371例が登録され、平均年齢64歳、女性51.2%、男性48.8%でした。信頼度が高い方法というわけではありませんが、地域の薬局で研究を行うには現実的な方法ではないでしょうか。Ca拮抗薬服用前後におけるGERD症状の変化は下表のとおりです。画像を拡大するCa拮抗薬服用前からすでにGERDの症状がある130例中59例(45.4%)で、Ca拮抗薬服用により症状の悪化がみられています。症状の悪化の頻度がもっとも高かった薬剤がアムロジピン(61.3%、p<0.0001)で、もっとも低かったのがジルチアゼム(12.5%)という結果でした。Ca拮抗薬服用前にGERD症状がなかった241例においては、85例(35.3%)がCa拮抗薬服用によりGERDを発症しており、もっとも頻度が高かったのがベラパミル(39.1%、p=0.001)で、もっとも低かったのがジルチアゼム(30.7%)という結果でした。ニフェジピンの増悪リスクはジルチアゼムの4.22倍発症・増悪リスクがもっとも低かったジルチアゼムを基準とした場合の、GERD症状の増悪頻度のオッズ比は下表のとおりです。ニフェジピンやアムロジピンにおいて有意にGERDが増加しています。二フェジピンやアムロジピンの添付文書を参照すると、嘔気・嘔吐や腹部不快感、腹部膨満などGERDに類する副作用症状の記載はありますが、明示的にGERDの記載があるわけではないため見落としに注意が必要です。交絡因子を調整しきれる研究ではないため解釈に注意が必要ですが、血管平滑筋を緩めるCa拮抗薬がLESまで緩めてしまう可能性があることは、患者さんの症状を聞き取る際に頭の片隅に入れておくとよいでしょう。1)MSDマニュアル 胃食道逆流症(GERD)(2018年7月16日参照)2)Do calcium antagonists contribute to gastro-oesophageal reflux disease and concomitant noncardiac chest pain?Hughes J, et al. Br J Clin Pharmacol. 2007;64:83-89.

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