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アンパンマン【その顔はおっぱい?】

今回のキーワード乳幼児発達心理学「乳児脳」進化心理学子育て心理無条件の愛情協力関係想像力脱中心化みなさんは、「アンパンマン」をご存じでしょうか?顔があんパンでできた、子どもたちの人気ヒーローですね。特に、3歳児までに絶大な人気があります。それにしても、なぜ人気があるのでしょうか?そして、4歳児からなぜ人気がなくなるのでしょうか?そもそもなぜ自分の顔を食べさせるヒーローが子どもに受け入れられるのでしょうか?今回は、「アンパンマン」の人気の謎に迫ります。そして、そこから乳幼児の心の成長を発達心理学的に読み解き、心の起源を進化心理学的に掘り下げ、より良い子育てのやり方とあり方についての子育て心理に応用してみましょう。なぜ3歳児までに人気があるの?―「乳児脳」まず、アンパンマンはなぜ人気があるのでしょうか?それは、3歳までにすさまじいスピードで発達する「乳児脳」とも呼ばれる独特の心理と深い関係があります。その答えを3つ挙げ、乳幼児発達心理学、進化心理学、そして子育て心理に重ねてみましょう。(1)捨て身で守ってくれる―無条件の愛情のシンボルアンパンマンは、お腹のすいた人(子ども)のもとに降り立ち、自分の顔をちぎって、喜んで食べさせます。そして、顔の一部がなくなると、力がなくなり飛べなくなります。すると、ジャムおじさんができたての新しい顔に取り替えてくれます。ちなみに、アンパンマン自身はものを食べることはありません。1つ目は、捨て身で守ってくれることです。困っている人には、必ず、無条件に、自己犠牲的に助けてくれる存在であることです。それを、視覚的に分かりやすく描いています。そして、アンパンマン自身は食べないという設定から、困っている人には気兼ねさせずに一貫して食べさせる存在になれます。また、アンパンマンの顔は、ジャムおじさんによって新しく作られるため、なくならないという安心感もあります。発達心理学的に見ると、乳児は、泣けば必ず母親から授乳してもらえると認識しています。まさに、象徴的には、アンパンマンの顔はおっぱいと言えるでしょう。乳児がおっぱいを吸うと、オキシトシンというホルモンが母親の脳内で分泌され、お乳が出やすくなります。この時、同時に母親は自分の子どもを大切にしたいという気持ちが連動して高まります(愛情)。一方、乳児は、抱っこ、愛撫などによる肌の触れ合いがあると、乳児の脳内でも同じようにオキシトシンが分泌されることが分かっています。この時、同時に乳児はその母親にくっついていたいと思う気持ちが連動して高まります(愛着形成)。そのため、泣くだけでなく、機嫌が良い時は鼻にかかったような柔らかな音を出したり(クーイング)、笑顔を見せるようになります(社会的微笑)。つまり、親の愛情と子どもの愛着は相互作用をして高まります(共発達)。そして、これらの高まりは、オキシトシンの分泌や受容体の増加と密接な関係があります。よって、オキシトシンは、「愛情ホルモン」「愛着ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれています。さらに、乳児にとって、母親をはじめとして父親や祖父母なども含めた家族は、自分を無条件に大切にしてくれる安心で安全な心のよりどころであると認識していきます(愛着対象)。これが土台となり、成長するにつれて家族だけではなく他人とのかかわりも求めるようになっていきます。進化心理学的に見ると、哺乳類が約2億年前に誕生してから、その母親は子どもを哺乳する、つまり乳を与えて育てるというメカニズムを進化させました。これは、自分の栄養を与えるという自己犠牲の上に成り立っています。飽食の現代では想像しにくいですが、常に飢餓と隣り合わせの原始の時代、それでも母親は命がけで自分の栄養を子どもに分け与えて、子孫を残してきました。人類が700万年前に誕生してから、もちろん父親も、猛獣から体を張って子どもを守り、子孫を残してきました。当時から、そうしたいと思う母親や父親の心理と、そうされたいと思う乳児の心理(愛着)が共に進化していったのでしょう(共進化)。ちなみに、比較動物学的には、サルなどの類人猿も、もちろん哺乳類で愛着形成があります。ただし、サルと人間の違いは、サルの乳児はあまり泣かないことです。その理由は、サルの乳児は生まれてすぐに母親の胸に自力でしがみつくことができるため、いつでも哺乳ができて、しかも天敵が来てもそのままいっしょに逃げることができるため、親の関心を引く必要がそれほどないからです。そもそも泣けば、それだけ天敵に気付かれるリスクを上げるため、泣くことはデメリットでもあります。一方、人間の乳児は、頭部を大きく進化させた代償として、母親の産道を通過するために、サルと比べて未熟児で生まれるように進化しました(生理的早産)。よって、生まれてしばらくは寝たままの状態になるため、親の関心をできるだけ引いて、天敵に見つかるリスクを上回って、生存の確率を高めたのでした。子育て心理に応用すると、いつもあなたは大切であると言語的にも非言語的にも伝え続けることです。例えば、イヤイヤ期(第一次反抗期)になって、腹が立って叱ったとしても、その後すぐに切り替えて、「それでも○○ちゃんは大好きよ」と優しく明るく抱きしめることです。アンパンマンもどんな時も守ってくれる味方であるという無条件の愛情のシンボルです。だからこそ子どもに受け入れやすいと言えるでしょう。(2)みんなと仲良くする―協力関係のモデルアンパンマンは、敵役のばいきんまんと永遠に戦っています。しかし、アンパンマンは、ばいきんまんを憎んでいません。みんなに迷惑をかけていることに厳しいだけで、むしろ仲良くしたいと思っています。よって、ばいきんまんを完全にやっつけるわけではなくただ追い払っているだけで、最後はいつも、ばいきんまんが「バイバイキーン」と捨て台詞を言って、家(バイキン城)に逃げ帰っています。ばいきんまん自身のキャラクターも、欲張りで食い意地が張っていたずら好きですが、単純で間抜けな愛すべきキャラクターです。2つ目は、みんなと仲良くすることです。アンパンマンワールドは1つの大きなファミリーです。たとえ困ったキャラクターがいても、仲間の一員とみなし、平和的に共存しています。発達心理学的に見ると、親が、あやしている時に、乳児の気持ちを共感的に汲み取って声かけや表情で鏡のように映し出します(ミラーリング)。すると、その乳児は親の動きのインプットと自分の動きのアウトプットを同じ脳のネットワークで処理するメカニズムを働かせるようになります(ミラーニューロン)。つまり、親が乳児の鏡(ミラー)になるのと相互作用して、乳児が親の意図と動作を同じくする「鏡の神経」(ミラーニューロン)を発達させていきます。こうして、乳児は、親のまねをするようになります(模倣)。その後、幼児になって保育園や公園などで、他の幼児といっしょになり、場所やおもちゃを取り合うなどのぶつかり合いやいざこざが起きます。この時、親などの周りの働きかけによって、最初は単純に抵抗するだけだったのが、やがて順番で共有すること、分け合うこと、じゃんけんをすることなどによって、仲良くすることができるようになります(社会性)。そして、自己主張と自己抑制のバランスをとるセルフコントロールを発達させていきます。これが土台となり、成長するにつれて、より高度で複雑化したコミュニケーションをするようになっていきます。進化心理学的に見ると、人類が約700万年前にアフリカの森に誕生し、約300~400万年前に草原(サバンナ)に出てから、母親と父親と子どもたちがいっしょに暮らす家族をつくりました。しかし、草原だからこそさらに猛獣に狙われたり、食料が獲れないという自然の脅威がありました。それでも、生き残るために、より大きな血縁集団をつくって、競い合いながらも助け合う中、相手の心を読む、つまり相手の視点に立つ心理を進化させてきました(心の理論)。ちなみに、比較動物学的には、サルなどの類人猿も、ミラーニューロンがあり、まねをします。ただし、サルと人間の違いは、サルは意図までは「まね」できない、つまり意図は理解できないことです。その理由は、サルのミラーニューロンの働きは、他のサルの次の動きを予測して素早く対応できれば良いだけで、意図まで理解する必要がないからです。子育て心理に応用すると、同じ幼児同士がいっしょになった時、たとえ相手がばいきんまんに見えたとしても、最初は「いいよ」「どうぞ」というアクションや「ありがとう」「うれしい」というリアクションをするように働きかけることです。このような、譲り合いや、あげる・もらう(ギブ&テイク)というやりとりの積み重ねを通して、時には距離を取りつつ、粘り強く仲良くなろうとすることです。アンパンマンは誰とでも仲良くするという協力関係のモデルです。だからこそ子どもに受け入れやすいと言えるでしょう。(3)様々な心を教えてくれる―想像力のツールアンパンマンワールドには、アンパンマン、ジャムおじさん、ばいきんまん、ドキンちゃんなどのメインキャラクターだけでなく、2000を超えるユニークなサブキャラクターたちがいます。その数は、「最も多いキャラクターが登場した単独のアニメーション・シリーズ」としてギネスブックに認定されるほどです。また、ばいきんまんだけでなく、かびるんるん、骸骨親子のホラーマンとホラ・ホラコなど、目に見えないものまでキャラクターにしています。さらに、ジャムおじさんとバタコさんは唯一の人間かと思いきや、人間の姿をした妖精という設定で、なるべく人間のリアリティを排除したファンタジーに仕上がっています。さらに、ばいきんまんが好きなドキンちゃんはしょくぱんまんが好きであるという三角関係や、みんなの前で威張っているばいきんまんがみみ先生(教師)の前ではかしこまるなどの上下関係が描かれるなど、いろいろなキャラクター同士の関係性も描かれています。3つ目は、様々なキャラクター(心)を教えてくれることです。それぞれのキャラクターの際立ったビジュアルから、性格や役割の違いを理解して、そのキャラクターらしさ(その人らしさ)を受け止めやすくなります。発達心理学的に見ると、乳児は、親の共感的なミラーリングによって、共感するミラーニューロンも発達させていきます。そして、自分の気持ちの変化を認識できるようになります。その後、幼児になって、徐々に家族や他の様々なお友達の気持ちの変化も察して、心を通わせようとするようになります(共感性)。この時、身の周りには、人だけでなく、自然物から人工物まで様々な物があることにも気付くようになります。その過程で、自分をはじめとする人に心があるように、万物にも心があると認識します(自己中心性)。これが土台となり、成長するにつれて、相手の気持ちを推し量ったり(心の理論)、思いやりを持つようになっていきます(愛他行動)。進化心理学的に見ると、現生人類が約10~20万年前に喉の構造を進化させてから、複雑な発声ができるようになり、言葉を話すようになりました。そして、言葉によって抽象的に考えることができるようになり、相手の視点に立つ心理は、人間だけでなく、自然や動物などあらゆるものに向けられ、それらとも協力関係を築こうとしました(アニミズム文化)。ちなみに、比較動物学的には、サルなどの類人猿も、共感します。ただし、サルと人間の違いは、サルの共感は痛み、恐れ、怒りなどの不快な感情に限定されていることです。その理由は、サルの共感は、他のサルの不快さを素早く感じ取って自分の身に降りかかるかもしれない危険を事前に避けることができれば良いだけで、喜びや安らぎなどの快の感情まで共感する必要がないからです。子育て心理に応用すると、相手の心、さらには人だけでなく身の回りの物の心も考えさせることです。例えば、子どもがいっしょにいる同じ幼児を押しのけた時、「押すのはだめ」とただ厳しく叱るよりも、「お友達は痛いって言ってるよ」と情緒的に伝えることです。また、食事の時にスプーンでお皿を叩いている時、「叩くと壊れるからだめ」と理屈で叱るよりも、「スプーンでお皿を叩くの、ママは嫌だよ」「スプーンとお皿が痛いって言ってない?」とやはり情緒的に伝える方が受け入れやすいでしょう。アンパンマンワールドのキャラクターたちは、様々な人や物の心に思いを馳せるという想像力のツールです。だからこそ子どもに受け入れやすいと言えるでしょう。なぜ4歳児から人気がなくなるの?―脱中心化それでは、アンパンマンはなぜ4歳児から人気がなくなるのでしょうか? その答えは、発達心理学的に考えれば、特に3~4歳時以降に発達する「なぜ?」という理屈を考える心理です。この時、表面的で主観的な物の見方から(自己中心性)、体系的で客観的なものの見方に変わっていきます(脱中心化)。進化心理学的に考えれば、現生人類が約10~20万年前に言葉を話すようになってから、抽象的に考える概念化の心理(脳)が進化しました。そして、概念化によって、原因と結果をつなぐ論理的思考が可能になり、ものごとの理屈が合うかを判断する心理が強まりました(合理性)。さらに、脳の重さで考えると、小学校1年生(6~7歳)で成人の脳の90%に達することが分かっています。まさに、乳幼児の脳の発達は、人類の心(脳)の進化の歴史を辿っているとも言えます。すると、先ほどの3つのアンパンマンの特徴は、4歳以降の子どもにどう映るでしょうか?(1)自分の顔をちぎってなぜ痛くないの?1つ目は、このような身体のメカニズムを考えることです。顔をちぎったり取り替えたりすることについて、3歳までは無邪気に面白がるのですが、4歳以降はその重大さや残酷さが少しずつ分かるようになります。これが、自分の顔を食べさせるヒーローが、3歳までの子どもにしか受け入れられない理由です。実際に、初代アンパンマンの絵本は、出版社から次作を止められるほど大人には不評でした。ところが、幼稚園や保育園から注文が殺到します。その子どもたちから一番ウケたのは「アンパンマンが頭をかじらせるところ」だったのでした。その後のアニメ化で、「かじらせる」から「ちぎって渡す」というふうにマイルドになり、今に至っています。また、ヒーローのビジュアルとしては、単純な顔立ちに3等身で全体的に丸みを帯びてぼんやりした素朴な姿です。親しみやすさがある一方、不格好です。よって、4歳以降の子どもは、美形・モデル体型で尖っていてキラキラした身なりの、戦隊ヒーロー、ロボットヒーロー、少女戦士に興味が移っていきます。(2)悪いことをしてなぜ罰を受けないの?2つ目は、このような善悪のルールを考えることです。ばいきんまんが周りに迷惑かけ続けることについて、3歳までは「嫌だなあ」と感情的に思うだけなのですが、4歳以降は親からのしつけの理解が進んでいくにつれて、「何とかしたい」「懲らしめなければ」と思うようになります。ばいきんまんは懲りていないけどアンパンマンも懲りていないということに気付くのです。アンパンマンは優しすぎるのです。それは、ばいきんまんに対してだけでありません。アンパンマンは、アンパンマンワールドの弱いキャラクターたちをかばった結果、それが甘やかしにつながってしまったことをジャムおじさんに指摘されています。また、ヒーローのポテンシャルとしては、アンパンチやアンキックには殺傷能力がなく、助けに行ったはずなのにしょっちゅう返り討ちにあい、逆に助けを求めてしまうことが多いです。ほのぼのと安心して見ることができる一方、物足りないです。アンパンマンは、史上最弱の情けないヒーローと言えるでしょう。よって、4歳以降の子どもは、特殊能力や武器の使用、柔軟な発想や知恵によって、敵にとどめを刺したり爆破したりする、戦隊ヒーロー、ロボットヒーロー、少女戦士に興味が移っていきます。(3)物に心があるってなぜ分かるの?3つ目は、このような根拠のレベルを考えることです。身の周りの様々な物に心があることについて、3歳までは疑うことはないのですが、4歳以降は自力で動くか動かないかで、5歳以降は成長するかしないかで、生物と無生物の違いが分かるようになります(素朴理論)。つまり、物に心があることに根拠がないと気付くようになります。また、アンパンマンワールドの世界観として、人間がいないファンタジーになっています。空想として気楽に見ることができる一方、リアリティがないため、ツッコミどころ満載で、耐えられなくなります。よって、4歳以降の子どもは、人間臭いリアリティ仕立てのストーリーが展開する、戦隊ヒーロー、ロボットヒーロー、少女戦士に興味が移っていきます。アンパンマンとは? ―「子育て脳」アンパンマンは、困っていれば捨て身で守ってくれるシンボルであり、誰にでも優しくみんなと仲良くなるモデルであり、アンパンマンワールドの仲間たちは様々な心を教えてくれるツールです。その点では、最弱のヒーローでありながらも、最初のヒーローとして欠かすことができないでしょう。子どもが4歳になって、そんなアンパンマンから心が離れる時、アンパンマンは寂しく思いつつも、そんな子どもたちにきっと温かいエールを送っているでしょう。そして、その子どもが親になって、子どものことをまず考えるアンパンマンの側に立った時、再びアンパンマンに感謝と敬意を払うようになるでしょう。子育て心理とは、まさに「乳児脳」といっしょに発達する「子育て脳」とも言えるでしょう。つまり、アンパンマンとは、子どもであった私たちの憧れであると同時、親になった私たちの分身であるとも言えるのではないでしょうか?1)ユリイカ2013年8月臨時増刊号「やなせたかし アンパンマンの心」2)乳幼児のこころ:遠藤俊彦ほか、有斐閣アルマ、20113)生涯発達心理学:鈴木忠ほか、有斐閣アルマ、20164)まねが育むヒトの心:明和政子、岩波ジュニア新書、2012

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双極性障害患者のパニック症の有病率と治療に関するメタ解析

 最近のデータによれば、不安症は、単極性うつ病と同様に双極性障害(BD)と頻繁に合併する。イタリア・カリアリ大学のAntonio Preti氏らは、BDに合併するパニック症(PD)に関する文献のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。Evidence-based mental health誌オンライン版2018年4月10日号の報告。 システマティックレビューとメタ解析による優先報告項目について、文献調査や利用可能なエビデンスの選択と報告を徹底的にフォローした。メタ解析には、分散安定化Freeman-Tukey二重逆正弦変換を用いて、推定有病率を計算した。すべての研究における統合効果を推定するため、固定効果モデルとランダム効果モデルを使用し、逆分散法を行った。不均一性の測定と評価には、CochranのQ検定、I2統計量を用いた。 主な結果は以下のとおり。・プールされた推定値の算出には、横断的な有病率に関する研究15報(3,391例)および独立した生涯研究25報(8,226例)を用いた。・潜在的な異常値の研究を除いた後、BD患者におけるPDの全体的なランダム効果の時点有病率は13.0%(95%CI:7.0~20.3%)であり、全体的なランダム効果の生涯有病率は15.5%(95%CI:11.6~19.9%)であった。・双極I型障害と双極II型障害との間に差は認められなかった。・両推定値の有意な不均一性が報告された(I2>95%)。 著者らは「公表された研究から導き出された推定値では、BD患者のPD有病率は、一般集団で報告された値よりも高いことが示唆された。PDの合併は、自殺行為リスクの増加やBDのより重度な経過と関連している。しかし、PDを合併したBD患者に対する治療は明確になっていない。本メタ解析により、BDにPDは高頻度に合併しており、このPDは、慢性的な経過をたどる可能性がある」としている。■関連記事双極性障害と全般性不安障害は高頻度に合併パニック症に対し第2世代抗精神病薬は有用か双極性障害と強迫症、併存率が高い患者の特徴

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適切なワクチン接種は母子手帳の確認から

 ファイザー株式会社は、2017年12月13~18日、ワクチン接種に対する実態調査アンケートを行い、その結果を示した。 調査の結果、保護者が母子健康手帳(母子手帳)をいつも携帯し、医師との適切なコミュニケーション(母子手帳を見せるなど)をとることで、小児のワクチン接種に適切な状況がもたらされる可能性が示唆された。母子手帳の活用により、小児の感染症予防につながることが期待される。 主な結果は以下のとおり。・Q1.小児の診察時に母子手帳を見せていますか? 対象:1~5歳の小児を持つ母親1万726人 いつも見せている:44.1%(4,733人) 予防接種の時のみ見せている:47.7%(5,118人)「いつも見せている」の回答者は、小児が1歳では60.2%(1,248/2,074人)だが、成長するにつれて減る傾向があり、5歳では37.0%(815/2,202人)まで下がった。・Q2.なぜ診察時に母子手帳を毎回見せていないのですか?(複数回答) 対象:Q1.で「いつも見せている」と回答した以外の母親5,993人 見せてほしいと言われないから:91.9%(5,509人) その他の各回答:10%以下・Q3.肺炎球菌ワクチンの追加接種を実施しましたか?(Yes回答を集計) 対象:ワクチン接種スケジュールを順守できた2~5歳の小児の母親8,467人 母子健康手帳を病院で提示している群(8,119人)のYes回答:94.0% 母子健康手帳を病院で提示していない群(348人)のYes回答:86.0%医療機関で母子健康手帳を見せていないと、ワクチンの追加接種実施率が低い傾向にある。■参考ファイザー株式会社 プレスリリース

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病気があっても働き続けられる職場作り

『事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン』を更新 厚生労働省は、2018年4月24日に『事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン』(2016年2月作成)に、難病に関する留意事項、企業・医療機関連携のためのマニュアルなどを追加・更新したガイドラインを発表した。 このガイドラインは、事業場が、がん、脳卒中などの疾病を抱える患者に対し、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と職業生活が両立できるようにするため、事業場における取組などをまとめたもの。「勤務状況を主治医に提供する際の様式例」などの様式例集のほか、支援制度、支援機関の情報、「企業・医療機関連携マニュアル」などが掲載されている。がん、脳卒中、肝疾患に難病を追加 今回、従来の留意事項の疾患である、がん、脳卒中、肝疾患に難病が追加された。「難病」については、「発病の機構が明らかでなく、治療法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなる疾病を指す」と定義し、就労世代に多い主な難病として「潰瘍性大腸炎、クローン病」「全身性エリテマトーデス」「パーキンソン病」を挙げ、疾患概要を説明している。 また、難病に共通してみられやすい症状として「全身的な体調の崩れやすさ-気力・体力の低下、疲れやすさなど」「発熱」「労作時の動悸・息切れ、筋力低下など」を示すとともに、これらに対して本ガイドラインでは、「難病治療の特徴を踏まえた対応」「メンタルヘルスへの配慮」「難病に対する不正確な理解・知識に伴う問題への対応」を企業などに求め、啓発している。■参考厚生労働省 治療と仕事の両立について■関連記事希少疾病ライブラリ 

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原因不明の脳梗塞へのPFO閉鎖術、有効な患者の特徴は: The DEFENSE-PFO Trial【Dr.河田pick up】

 原因が特定されない脳梗塞、いわゆるCryptogenic strokeに対する卵円孔開存(PFO)閉鎖術が有効であることが、いくつかの無作為化試験、メタアナリシスの結果示されている1)。 今回韓国のグループから報告された論文では、よりハイリスクなPFOを有するCryptogenic stroke患者に対するカテーテルを用いた経皮的閉鎖術の有効性を、無作為化試験で検討している。Journal of American College of Cardiology誌オンライン版2018年2月28日号に掲載。経食道エコーで形態からハイリスクなPFOを同定 Cryptogenic stroke患者に対するPFO閉鎖術が脳梗塞の再発を防ぐという最近の報告は、どのような患者がPFO閉鎖術を受けるべきかという疑問を残している。本研究では、経食道エコーを用いてPFOの形態学的特徴を元にPFOを閉鎖することで、患者が恩恵を受けられるかどうかが評価された。薬物療法群と経皮的PFO閉鎖術群を比較 Cryptogenic strokeとハイリスクなPFOを有する患者が、カテーテルを使用した経皮的PFO閉鎖術群と薬物療法単独群に振り分けられた。ハイリスクなPFOには心房中隔瘤、中隔の可動性(いずれかの心房への一過的な中隔の移動が10㎜以上)もしくはPFOの大きさ(一次中隔から二次中隔への最大距離が2㎜以上)が含まれた。主要評価項目は2年のフォローアップ期間中の脳梗塞、心血管死もしくはThrombolysis in Myocardial Infarction (TIMI)で定義された大出血の複合エンドポイントとした。脳梗塞などのイベントは薬物療法群のみで発生 2011年9月~2017年10月までの期間、120例の患者(平均年齢、51.8歳)がPFO閉鎖術群と薬物療法群に無作為に割りつけられた。PFOの大きさ、中隔瘤の頻度(13.3% vs. 8.3%, p=0.56)、そして中隔の可動性(45.0% vs. 46.7%, p>0.99)は両群間で同等であった。すべてのPFO閉鎖手技は成功した。主要評価項目のイベントは薬物療法群でのみ発生した(60例中6例、2年間でのイベント発生率:12.9% [log-rank p=0.013]、2年間での脳梗塞発生率:10.5% [p=0.023])。薬物療法群で発生したイベントは、脳梗塞5件、脳出血1件、TIMI基準大出血2件とTIA1件であった。非致死的な手技に関連した合併症は心房細動2件、心嚢液の貯留1件と仮性動脈瘤1件であった。著者らは「ハイリスクな特徴を有したPFOの閉鎖は、脳梗塞の再発と主要評価項目のイベント発生を減少させた」と結論している。ただ、本研究は2施設のみで行われ、早期終了しており症例数も少ないため、大規模な前向き研究による検討が必要と考えられる。■参考1)Mojadidi MK, et al. J Am Coll Cardiol. 2018;71; 1035-1043. (カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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抗コリン薬、認知症発症と強く関連/BMJ

 英国・イースト・アングリア大学のKathryn Richardson氏らによる症例対照研究の結果、うつ病、泌尿器系およびパーキンソン病の治療に用いられる抗コリン薬の使用が、将来的な認知症発症と強く関連していることが明らかとなった。この関連は、認知症と診断される15~20年前の曝露でさえ観察されたという。ただし、消化器および心血管系の抗コリン薬では認知症との明らかな関連は認められなかった。これまで、抗コリン作用のある薬剤の使用が、短期的な認知障害と関連があることは知られていた。しかし、報告されている抗コリン薬の使用と将来的な認知機能低下や認知症発症との関連が、抗コリン作用に起因するかどうかは不明であった。BMJ誌2018年4月25日号掲載の報告。認知症患者約4万例と対照約28万例で抗コリン薬の曝露認知症リスクを評価 研究グループは、さまざまなクラスの抗コリン薬の曝露期間および曝露量と、その後の認知症発症との関連を評価する目的で、症例対照研究を行った。英国プライマリケア医の電子カルテを含むデータベース(Clinical Practice Research Datalink:CPRD)を用い、2006年4月~2015年7月に認知症と診断された65~99歳の患者4万770例と、認知症と診断されていない対照28万3,933例を特定し、Anticholinergic Cognitive Burden(ACB)スケールで分類された抗コリン薬の1日投与量について、曝露期間中全体およびサブクラス別に比較した。認知症と診断される4~20年前の抗コリン薬の処方が含まれた。 主要評価項目は、患者背景等の共変量について調整した認知症発症のオッズ比とし、多変量条件付きロジスティック回帰分析を用いて解析した。うつ病、泌尿器系、パーキンソン病治療の抗コリン薬で認知症リスクが増大 曝露期間中、ACBスコア3(明らかな抗コリン作用)に分類される抗コリン薬を1つ以上処方されていたのは、認知症患者1万4,453例(35%)、対照8万6,403例(30%)で、ACBスコア3の抗コリン薬の調整オッズ比は1.11(95%信頼区間[CI]:1.08~1.14)であった。認知症は、ACBスコアの平均値の増加と関連していた。 薬剤のクラス別では、ACBスコア3および1の消化器系薬や、ACBスコア1の心血管系薬の使用においては、認知症との明確な関連はみられなかった。 一方、ACBスコア3に分類される抗うつ薬・泌尿器系治療薬・抗パーキンソン病薬は、曝露が大きいほど認知症のリスクの増大がみられ、その関連性は認知症発症の15~20年前の抗コリン薬の曝露でも認められた。

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単純性尿路感染症、nitrofurantoin vs.ホスホマイシン/JAMA

 単純性下部尿路感染症(UTI)の女性患者において、nitrofurantoin5日間投与はホスホマイシン単回投与と比較して、治療終了後28日時の臨床的および微生物学的改善が有意に大きいことが示された。スイス・ジュネーブ大学医学部のAngela Huttner氏らが、多施設共同無作為化比較試験の結果を報告した。nitrofurantoinとホスホマイシンは、米国およびヨーロッパの臨床微生物感染症学会による2010年のガイドライン改訂で、下部UTIの第一選択薬として推奨されるようになってから、その使用が増加してきたが、これまで両者を比較した無作為化試験はほとんどなかった。JAMA誌2018年4月22日号掲載の報告。下部UTI女性患者約500例で、nitrofurantoinとホスホマイシンの有効性を比較 研究グループは、2013年10月〜2017年4月に、スイスのジュネーブ、ポーランドのウッジおよびイスラエルのペタチクバの病院において、非盲検/解析者盲検の無作為化試験を実施した。対象は、妊娠をしていない18歳以上の女性で、急性下部UTIの症状(排尿痛・尿意切迫感・頻尿・恥骨上圧痛のいずれか1つ以上)を有し、尿亜硝酸塩または尿白血球エステラーゼを検出する尿試験紙検査が陽性かつ治験薬に耐性を示す尿路病原菌の感染既往または定着を認めない513例であった。nitrofurantoin群(100mgを1日3回、5日間経口投与)、またはホスホマイシン群(3gを単回経口投与)に1対1の割合で無作為に割り付け、治療終了後14日および28日に臨床評価ならびに尿培養を行った。 主要評価項目は、治療終了後28日時の臨床効果で、臨床的改善(症状およびUTI徴候の消失)、治療失敗(抗菌薬の追加/変更または無効による中止)、判定不能(客観的な感染所見のない症状の持続)と定義した。副次評価項目は、細菌学的効果と有害事象などであった。28日臨床的改善率、nitrofurantoin群70% vs.ホスホマイシン群58%で有意差あり 無作為化された513例(平均年齢44歳、四分位範囲:31~64歳)のうち、475例(93%)が試験を完遂し、377例(73%)でベースラインにおいて尿培養陽性が確認された。 28日時の臨床的改善率は、nitrofurantoin群70%(171/244例)、ホスホマイシン群58%(139/241例)であった(群間差:12%、95%信頼区間[CI]:4~21%、p=0.004)。また、微生物学的改善率はそれぞれ、74%(129/175例)および63%(103/163)であった(群間差:11%、95%CI:1~20%、p=0.04)。 有害事象はわずかであった。主なものは悪心および下痢で、発現率はそれぞれ、nitrofurantoin群で3%(7/248例)および1%(3/248例)、ホスホマイシン群で2%(5/247例)および1%(5/247例)であった。 なお著者は、非盲検試験であり、臨床検査が中央化されておらず検査方法が異なる可能性があることなどを研究の限界として挙げている。

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線溶薬の種類と役割:脳と心臓は違うのかな?(解説:後藤信哉氏)-853

 脳梗塞、心筋梗塞とも臓器灌流血管の血栓性閉塞による。閉塞血栓を溶解し、臓器血流を再開させれば虚血障害は改善されると予想される。心臓ではフィブリン特異性のないストレプトキナーゼによる心筋梗塞急性期死亡率の減少が大規模ランダム化比較試験にて示され、線溶薬は1970~80年代にブームとなった。損傷、修復を繰り返す血管壁に、線溶を過剰作用させると出血する。心筋梗塞急性期の線溶療法では、頭蓋内出血が問題となった。この問題はフィブリン選択性の高いt-PA、さらに理論上フィブリン選択性をもっと向上させて薬剤を使っても解決できなかった。救急車での搬送中に線溶療法をして再開通が起こると、心室細動などの不整脈も起こることがわかって、心臓領域における線溶療法は廃れた。日本のように医療アクセスのよい国では、圧倒的多数の急性心筋梗塞は急性期にカテーテル治療により再灌流を受ける時代となった。 脳領域の再灌流療法の普及は心臓に遅れた。日本ではCTなどが普及していたが、症状では脳梗塞と脳出血の弁別ができないことも理由であった。太い血管に原因があれば、脳梗塞でも急性期カテーテル治療は可能となった。それでも脳領域では、カテーテル治療前に線溶療法をして早期再灌流を重視している現状にある。 今回の論文ではフィブリン選択性が高く、血中半減期の長いtenecteplase使用後の方が初期に開発されたt-PA使用時よりも、カテーテル治療開始時の血行再開通率、神経学的予後ともによいことが示された。心臓では、カテーテル治療前に線溶療法を施行すると予後は悪化する。再灌流までの時間は短縮するが、心筋内出血、線溶亢進に伴う反跳性の血栓性亢進などが原因と想定された。脳と心臓は違うのであろうか? 微小血管障害による心筋梗塞はあるかも知れないが、臨床的に注目されていない。本研究では、カテーテルによる血栓除去術の対象となった大血管の病変は、全体の10%に過ぎなかった。脳梗塞の急性期治療は心筋梗塞急性期治療を後追いしているように見えるが、カテーテル治療の適応範囲がまだ狭い。線溶療法と同時に普及したカテーテル治療により、線溶療法の質の評価が不十分となった心臓と異なり、脳では線溶療法の質の評価が詳細になされるかも知れない。凝固系、血小板とともに血栓性疾患の発症において重要な役割を演じる線溶系の役割が、脳領域の治療の進歩とともに詳細に解明されることを期待したい。

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統一コリア敗退【Dr. 中島の 新・徒然草】(220)

二百二十の段 統一コリア敗退今回は卓球について熱く語りたいと思います。ちなみに私は中学1年から大学6年まで10年以上も卓球をしてきた卓球バカでございます。本年4月29日から5月6日まで、世界卓球選手権がスウェーデンで行われました。今大会の最大の話題は何と言っても女子団体戦の南北合同チーム「コリア」の結成でした。準々決勝で当たるはずだった韓国と北朝鮮が突如、「コリア」チームを結成し、戦わずして準決勝に進出し、日本と対戦したのです。このことについて、「途中でルールを変えるならスポーツではない」とか、「予選で韓国や北朝鮮に負けたチームの立場はどうなるのか」とか、色々と批判を浴びています。とはいえ、私は「卓球的にはアリじゃないかな」と思います。あまり意識されることはありませんが、そもそも卓球には他のスポーツと違った独自の価値観が流れているように思います。つまり、世界の歴史を先取りすることにあまりちゅうちょしないということです。いくつか例をあげましょう。1971年の世界選手権では、6年ぶりに中国が参加し、その後の日中国交正常化、米中国交正常化のキッカケになりました。1979年には平壌で世界選手権が行われ、なんと国交のない日本から出場した小野誠治選手が男子シングルスで優勝しています。また、大昔からプロ・アマが入り乱れて試合が行われていたため、アマチュアリズムの厳しかったオリンピックへの参加が遅れ、初めて競技として卓球が採用されたのは実に1988年のソウル大会でした。ようやくオリンピックの方が卓球に追いついたと言えましょう。2009年に横浜で行われた世界卓球選手権では、私は医務室のお手伝いで参加しました。もちろん私が会場に着いてまず行ったのは3台設置されているAEDの位置確認です。広大な横浜アリーナを歩き回って1つずつ場所を確かめました。疲れはしましたが、このプロセスを手抜きするわけにはいきません。肝心の大会ですが、シンガポールのような中華圏の国だけでなく、アメリカやオーストリアのような西洋の国々も、その代表選手の多くが現地国に帰化した中国人だったのです。幸いなことに全員が中国語と母国語の他に英語もしゃべることができたので、コミュニケーションは何とかなりました。それにしても中国の影響力の大きさを感じさせられたことを覚えています。歴史を先取りする一方、身体障害者が健常者と一緒に試合に参加するのも卓球では普通のことです。隻腕の選手とか、歩行障害のある選手も珍しくありません。ある時、私が出た大会で試合の相手選手が下肢の障害のために足を引きずっていたことがありました。それを見た素人の知人が「こういう場合には手加減とかするんですか?」と尋ねてきたのです。当然のことながら手加減なんぞするわけありません。歩行障害のある選手は使える技術におのずと制限が加わってしまうものの、強い人はめっぽう強いのです。ほぼ全員がシェークハンドでコートの中央に陣取り、ほとんど動かずにフォアハンド、バックハンドを駆使して攻撃してきます。私はこのタイプが特に苦手なので、その時の試合でも一方的に負けてしまいました。こっちが手加減してもらいたかったくらいです。それやこれやで今回の世界選手権、突然、「コリア」チームができたことについては、私自身は「卓球ではそんなこともあるだろう」くらいにしか思いませんでした。もし「コリア」チームが日本に勝ち、決勝で中国を破っていれば美談になったのでしょうが、実際には準決勝で日本にストレート負けしてしまいました。韓国、北朝鮮とも単独で十分強いチームなので、統一チームに勝った日本には敬意を表したいと思います。残念ながら日本は決勝で絶対王者の中国に1―3で負けてしまいましたが、2020年の世界選手権かオリンピックでは、是非とも雪辱を果たしてほしいものだと思います。読者の皆様も、歴史に思いをはせつつ卓球を観戦すると面白いのではないでしょうか。最後に1句ピンポンは 歴史を先取る 足音ぞ

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日本人の学歴・職歴と認知症の関連に糖尿病は関与するか

 欧米では、低い社会経済的地位(SES)と認知症との関連は生活習慣病(糖尿病)を介すると報告されている。しかし、わが国では低SESと認知症の関連は研究されていない。今回、敦賀看護大学(福井県)の中堀 伸枝氏らの研究から、低SESと認知症の間のメディエーターとして、生活習慣病の役割はきわめて小さいことが示唆された。BMC Geriatrics誌2018年4月27日号に掲載。 本研究は、富山県認知症高齢者実態調査のデータを用いた後ろ向き症例対照研究である。富山県在住の65歳以上(入院および非入院)の人をサンプリングレート0.5%で無作為に選択、うち1,303人が参加に同意した(回答率84.8%)。全体として、認知症137人および認知症ではない対照1,039人を同定した。必要に応じて、参加者と家族または代理人との構造化インタビューを実施し、参加者の病歴、生活習慣(喫煙および飲酒)、SES(学歴および職歴)を調査した。Sobel検定を用いて、低SESが生活習慣病を介した認知症の危険因子である可能性を調べた。 主な結果は以下のとおり。・認知症のオッズ比(OR)は、低学歴(6年以下)の参加者で高学歴の参加者より高く(年齢・性別での調整OR:3.27、95%CI:1.84~5.81)、また、事務の職歴より肉体労働の職歴を持つ参加者で高かった(年齢・性別での調整OR:1.26、95%CI:0.80~1.98)。・職歴について調整後、低学歴の参加者における認知症のORは3.23~3.56であった。・以前の習慣的な飲酒歴および糖尿病・パーキンソン病・脳卒中・狭心症/心血管疾患の病歴が、認知症リスクを増加させることが認められた。・学歴は、飲酒、喫煙、糖尿病、パーキンソン病、脳卒中、心血管疾患に関連していなかった。・職歴は、糖尿病および脳卒中に関連していた。・低学歴と認知症の関連における糖尿病の役割は、きわめて限られていることが示された。

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高齢者うつ病に対する薬物療法の進歩

 最近の高齢者うつ病に対する薬物療法の研究を、単剤療法や増強療法に関する最新情報に焦点を当て、米国・デューク大学のJohn L. Beyer氏らがレビューを行った。また、臨床反応のモデレーターに関する新たな研究や有効性の改善に関する情報をどのように用いるかについてもレビューを行った。Current psychiatry reports誌2018年4月7日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・最近のレビューでは、高齢者のうつ病治療に対し、セルトラリン、パロキセチン、デュロキセチンが、プラセボよりも優れていることが示唆されている。・パロキセチンは、高齢者に対し抗コリン作動性による有害なアウトカムの発現が懸念されているが、研究においては、死亡率、認知症リスク、認知機能尺度の変化が認められていない。・より新規の抗うつ薬の中では、vortioxetineが高齢者うつ病に有効であることが証明されている。また、クエチアピンは、とくに睡眠障害を有する患者に有効性が示されており、アリピプラゾール増強療法は、治療抵抗性高齢者うつ病に対し、安全かつ有効であることがわかっている。・研究者らは、治療に導くことが可能な高齢者うつ病のモデレーターを特定している。・また、研究者らは、モデレーター、神経解剖学モデル、抗うつ反応をどうすれば関連付けられるかを学んでいる。 著者らは「現時点においても、高齢者うつ病の第1選択薬は、SSRIやSNRIである。また、アリピプラゾールは、治療抵抗性高齢者うつ病に対し、効果的かつ安全な増強治療薬である。研究においては、治療反応を高めることのできる実行可能なモデレーターを特定している」としている。■関連記事うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は高齢者の遅発性うつ病に影響する要因とは:東大なぜ高齢期うつ病は寛解率が低いのか

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重症喘息のステロイド量は軽~中等症の20.8倍

 わが国では約800万人が喘息に罹患していると推定され、そのうち5~10%が、治療にもかかわらず重症の喘息であるといわれている。アストラゼネカ株式会社は、データベースから重症喘息患者を調査した非介入研究(KEIFU研究)の結果を、第58回日本呼吸器学会学術講演会で発表した。 本研究は、株式会社日本医療データセンターが保有する約300万人の保険データベースにおいて、2014年4月~2015年3月の1年間に、吸入ステロイド薬、または吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬の配合剤の、継続的な保険記録を有する対象1万579例を、「継続治療中の喘息患者」として実施された。保険請求記録から重症度およびコントロール状態を判定し、その後1年間の臨床経過との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・対象のうち、重症喘息と判断される患者は7.8%(823例)だった。・対象のうち、コントロール不良な重症喘息と判断される患者は2.5%(267例)だった。・研究組み入れ後1年間において、コントロール不良な重症喘息患者(A)は、軽症から中等症喘息患者(B)と比較して、入院日数は4.9倍(A:B=0.375±1.625日/月:0.076±1.035日/月)、経口ステロイド薬処方量は20.8倍(同=99.9±155.4mg/月:4.8±31.3mg/月)だった。 本研究結果は、今後論文発表される予定。■参考アストラゼネカ株式会社 プレスリリース

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術前血栓溶解、tenecteplase vs.アルテプラーゼ/NEJM

 虚血性脳卒中の患者に対し、発症後4.5時間以内の血栓除去術前のtenecteplase投与は、アルテプラーゼ投与より再灌流率が高くアウトカムが良好であることが示された。オーストラリア・王立メルボルン病院のB.C.V. Campbell氏らが、202例の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2018年4月26日号で発表した。虚血性脳卒中に対する血管内血栓除去術前の血栓溶解にはアルテプラーゼの静脈内投与が行われている。tenecteplaseは、アルテプラーゼと比べてフィブリン特異性が高く、作用時間が長く、ボーラス投与ができ、血管再灌流率が上昇する可能性が示唆されていた。tenecteplase 0.25mg/kgまたはアルテプラーゼ0.9mg/kgを投与 研究グループは、内頸動脈、脳底動脈または中大脳動脈に閉塞があり、血栓除去術の適応がある虚血性脳卒中の患者202例を無作為に2群に分け、発症後4.5時間以内に、一方にはtenecteplase(0.25mg/kg体重、上限25mg)、もう一方にはアルテプラーゼ(0.9mg/kg体重、上限90mg)を、それぞれ投与した。 主要アウトカムは、虚血性病変部位の50%超の再灌流、または初回血管造影時に回収可能な血栓がないことだった。tenecteplaseの非劣性を検証し、その後に優越性を検証した。 副次的アウトカムは、90日時点の修正Rankinスケールスコア。安全性に関するアウトカムは、死亡と症候性脳内出血だった。tenecteplase群、90日機能的アウトカムも良好 主要アウトカムの発生率は、アルテプラーゼ群10%に対し、tenecteplase群は22%だった(発生率差:12ポイント、95%信頼区間[CI]:2~21、発生率比:2.2、95%CI:1.1~4.4、非劣性p=0.002、優越性p=0.03)。 90日修正Rankinスケールスコアの中央値は、アルテプラーゼ群が3に対し、tenecteplase群は2で機能的アウトカムも有意に良好だった(共通オッズ比:1.7、95%CI:1.0~2.8、p=0.04)。 なお、症候性脳内出血は両群とも1%の発生だった。

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PAD患者の歩行指導、ウエアラブル活動モニターは有用?/JAMA

 末梢動脈疾患(PAD)の患者に対する、ウエアラブル活動モニターと電話でのコーチングによる歩行指導において、そうした装置の使用や指導を行わない通常のケアと比較し、9ヵ月後の歩行機能の改善効果は認められなかった。また、患者報告による痛みに関するスコアについて、歩行指導の介入群で悪化が認められた。米国・ノースウエスタン大学フェインバーグ医学院のMary M. McDermott氏らが、PAD患者200例を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2018年4月24日号で発表した。コーチによる歩行訓練と目標設定、家庭ではウエアラブル活動モニターを装着 研究グループは、2015年6月~2017年4月にかけて、米国3ヵ所の医療センターを通じて、PAD患者200例を対象に無作為化比較試験を開始し、2017年12月まで追跡した。 被験者を無作為に2群に分け、一方は4回にわたり、医療センターでコーチによる歩行訓練と目標設定などに関する週1回の指導を受けた(99例)。その後、ウエアラブル活動モニターを装着して家庭で歩行訓練を行い、その間、週1回~月1回の頻度で電話による指導を受けた。もう一方の群には、活動モニターの使用や医療センターにおける指導、コーチによる電話指導などは行わない、通常のケアのみを行った(101例)。 主要評価項目は、9ヵ月後の6分間歩行距離の変化だった(臨床的に重要な変化の最小量[MCID]:20m)。副次的評価項目は、歩行障害質問票(WIQ、スコア0~100、最高100)、SF-36身体機能スコア、患者の自己報告アウトカム尺度(PROMIS)の可動性(スコア高値ほど良好、MCID:2点)・社会的役割の満足度・痛みの影響に関する質問項目(スコア低値ほど良好、MCID範囲:3.5~4.5点)や、客観的に測定された身体活動性だった。6分間歩行距離の変化平均値、対照群が約14mで介入群は約6m 被験者のうち、9ヵ月の追跡を完了したのは182例(91%)だった。被験者の平均年齢は70.2歳(SD 10.4)、女性は105例(52.5%)だった。 9ヵ月後の6分間歩行距離の変化平均値は、通常のケアを受けた対照群が14.4mに対し、介入群は5.5mと対照群に比べ改善は認められなかった(群間差:-8.9m、95%信頼区間[CI]:-26.0~8.2、p=0.31)。 さらに介入群では、9ヵ月後のPROMISの痛みの影響に関するスコアが悪化したことが認められた。平均スコア変化は対照群-2.8に対し、介入群は0.7だった(群間差:3.5、95%CI:1.3~5.8、p=0.002)。 なお、WIQスコア、SF-36身体機能スコア、PROMIS可動性・社会的役割の満足度スコアについては、いずれも両群で有意差はなかった。

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何から始める不動産投資?【医師のためのお金の話】第8回

何から始める不動産投資?こんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回は、事前に不動産投資手法をしっかり勉強する必要があること、そして、おススメの勉強法についてお話ししました。さて、知識も仕入れたことだし、いよいよ不動産投資を始めてみるか! しかし、ちょっと待ってください。実際には、どのような不動産投資手法を選択するべきなのでしょうか。不動産投資の手法はさまざま不動産投資にはさまざまな手法があります。代表的な投資対象として、中古1棟マンション、新築1棟マンション、区分所有マンション、コインパーキング、築古木造戸建などがあります。これらの物件種類別の投資対象に、立地や銀行融資の有無などを掛け合わせることで、10種類以上の投資手法が確立されています。それぞれの投資手法には一長一短があり、これという正解はありません。Aさんにとってはフルローンでの中古1棟マンション投資が合っているが、Bさんにとっては現金買いでの築古木造戸建投資が望ましいなど、適切な投資手法は各人の目的とバックグラウンドによっても大きく異なります。一般的に、フルローンでの中古1棟マンション投資は、短期間で大きなキャッシュフローを得ることができます。このため、ホームランを狙うサラリーマン大家さんには人気の投資手法です。一方で、区分所有マンションや築古木造戸建投資は、現金買いが基本となります。これらの投資手法は、資金ショートしにくく手堅いものの、資産拡大スピードは遅いので、短期間で結果を出す必要に迫られている人からは敬遠されがちです。不動産投資の目的は明確に不動産投資の目的も、人によってさまざまです。一般的には、下記の5つを目的として不動産投資を行う人が多いです。1)賃料収入(インカムゲイン)目的2)売却益(キャピタルゲイン)目的3)節税対策4)相続対策5)現金の不動産化アーリーリタイアを狙うサラリーマン大家さんは、自らの生活費をまかなうために賃料収入からのキャッシュフローを確保する必要があります。必然的に、フルローンでの中古1棟マンション投資が人気化します。この場合、物件自体の資産価値に注目するのではなく、物件からのキャッシュフローを最大化することを重視します。一方、資産家が相続税圧縮のために、手元資金で不動産を現金買いするケースもあります。この場合は、資産価値が落ちにくい都市中心部の物件を投資対象にします。このような物件は利回りが低いためにキャッシュフローは出にくいですが、目的が相続税対策なので大きな問題にはなりません。では、医師の場合は、何を目的にすればよいのでしょうか?残念ながら“医師”というキーワードでひとくくりにすることはできません。医師の中にも相続対策や節税対策が必要な人もいれば、インカムゲインを目的とする人もいるからです。私の場合は、給与所得の節税対策、およびインカムゲインが目的です。投資を始めるに当たっては、自分の状況を勘案して、目的を明確化することが不動産投資の第一歩です。自分の得意な不動産投資手法を確立しようこのように不動産投資の目的によって、最適な不動産投資手法を選択する必要があります。そして、最初のうちは投資手法を1つに絞ることがポイントです。いろいろな不動産投資手法に目移りしていると、結局どの投資手法も身に付かず、中途半端に終わってしまいがちです。自分に合った投資手法を継続することで、経験値を高めていくことが重要なのです。

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感染症による慢性炎症で前立腺がんリスク増加?

 前立腺炎が、慢性炎症によって前立腺がんリスクを増加させる可能性が疫学研究から示唆されている。今回、フランス国立保健医学研究機構(Inserm)のSolene Doat氏らがEPICAP研究のデータで検討したところ、慢性前立腺炎・急性腎盂腎炎の既往のある男性、NSAIDを使用していない男性で、前立腺がん発症のオッズ比がとくに高かった。この結果から、泌尿生殖器感染症により生じた慢性炎症が前立腺がん発症に関与するという仮説が補強された。International Journal of Cancer誌オンライン版2018年4月26日号に掲載。 EPICAP研究は、2012~14年にフランスのHerault地方で実施された集団ベースの症例対照研究である。前立腺がん症例819例および対照879例に対して、標準化アンケートを用いた対面インタビューを行い、前立腺がんについて既知または疑わしい危険因子に関する情報と泌尿生殖器感染症(前立腺炎、尿道炎、精巣上体炎、急性腎盂腎炎)の既往歴を収集した。オッズ比(OR)およびその95%信頼区間(CI)は、多変量無条件ロジスティック回帰を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・全体として、前立腺がん症例139例(18%)、対照98例(12%)が、1つ以上の泌尿生殖器感染症の既往歴を有すると報告され(OR:1.64、95%CI:1.23~2.20)、このリスクは感染症の数とともに増加した(傾向のp<0.05)。・この関連は、とくに慢性前立腺炎の既往歴(OR:2.95、95%CI:1.26~6.92)、急性腎盂腎炎の既往歴(OR:2.66、95%CI:1.29~5.51)、NSAIDを何も使用していなかった男性(OR:2.00、95%CI:1.37~2.91)でみられた。

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初回エピソード統合失調症患者における抗精神病薬治療中止に関する20年間のフォローアップ研究

 統合失調症の初回エピソード後に症状が安定した患者では、経時的に再発リスクが減少すると考えられている。多くの治療ガイドラインにおいて、抗精神病薬は、症状安定後1~5年間治療を継続し、その後の長期使用は避けるべきであることが推奨されている。しかし、この見解を証明するための公表されたエビデンスは存在しない。フィンランド・東フィンランド大学のJari Tiihonen氏らは、フィンランド全国データベースを用いて、この問題を調査した。The American journal of psychiatry誌オンライン版2018年4月6日号の報告。 抗精神病薬治療中止後の治療不良リスク(精神症状による再入院または死亡)について、前向き研究で集められた全国登録データを用いて調査した。1996~2014年に初めて統合失調症と診断されたすべての入院患者8,738例のアウトカムを、多変量Cox回帰を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・再入院または死亡リスクが最も低かった患者は、抗精神病薬治療を継続的に行った患者であった(調整ハザード比[HR]:1.00)。次いで、初回入院治療から退院直後に抗精神病薬を中止した患者(HR:1.63、95%CI:1.52~1.75)、1年以内に中止した患者(HR:1.88、95%CI:1.57~2.24)、1~2年以内に中止した患者(HR:2.12、95%CI:1.43~3.14)、2~5年以内に中止した患者(HR:3.26、95%CI:2.07~5.13)、5年以上(中央値:7.9年)で中止した患者(HR:7.28、95%CI:2.78~19.05)であった。・抗精神病薬の未使用患者および早期中止患者は、抗精神病薬治療を16.4年間継続した患者と比較し、死亡リスクが174~214%高かった。 著者らは「根底にあるメカニズムは不明であるが、これらの結果は、一般的な考えと相違があった。抗精神病薬治療中止後の治療不良および再発リスクは、統合失調症発症後、最初の8年間で時間とともに減少しておらず、長期抗精神病薬使用は、生存率の向上と関連が認められた」としている。■関連記事安定期統合失調症、抗精神病薬は中止したほうが良いのか初回エピソード統合失調症患者における抗精神病薬中止後の長期的な影響維持期統合失調症治療、抗精神病薬の中止は可能か

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non HDL-コレステロールが特定健診の新たな基準に導入された

 non HDL-コレステロール(non HDL-C)は、動脈硬化を促進するリポ蛋白を総合的に評価することが期待されている。総コレステロール(TC)値からHDL-コレステロール(HDL-C)値を減じた簡便な指標(non HDL-C=TCーHDL-C)であり、食事の影響を受けにくいとされる。 2018年4月24日、日本動脈硬化学会が都内でセミナーを開催し、岡村 智教氏(慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学 教授)が講演を行った。本セミナーでは「特定健診におけるLDL・non-HDLコレステロール」について、『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版』の内容を踏まえ、解説された。新たな基準、non HDL-コレステロールとは? 2018年度から、特定健診の項目にnon HDL-コレステロールが加わった。本学会のガイドラインでは、LDL-コレステロール(LDL-C)の管理目標値が達成された後の2次目標として、non HDL-Cの管理目標値が設定された(LDL-C管理目標値+30mg/dL未満)。LDL-Cとnon HDL-C両方の管理目標値を達成した場合、動脈硬化性疾患発症のリスクが最も低くなるという報告1)があり、循環器領域の新しい指標として注目されている。non HDL-コレステロールについて2017年版ガイドラインから解説 特定健診でスクリーニングされる「メタボリックシンドローム」は、高LDLコレステロール血症とは独立したハイリスク状態である。メタボの診断基準項目にLDL-C値が含まれないことから、LDL-C値は重要でないという誤った認識の医療者、患者がいる可能性が指摘された。メタボリックシンドロームの治療・予防には、脂質異常症と同様に、LDL-C値を含めた検査項目による生活習慣の改善が必要である。ガイドライン改訂で問題は是正されるも、残される課題 2012年版ガイドラインにおける脂質異常症の診断基準は、LDL-C値をFriedewald式(TC-HDL-C-中性脂肪[TG]値/5)で計算する規定だった。しかし、TG値が400mg/dL以上の場合は計算できず、特定健診が未受診扱いになるという問題があった。 2017年の改訂では、LDL-C直接測定法の値もしくはnon HDL-C値を用いて評価した場合でも、LDL-Cの判定が可能となった。これにより、わが国における問題点は改善されたが、国際的にはTC値でのスクリーニング、Friedewald式で計算したLDL-C値による判定が治療の主流であり、世界への情報発信にLDL-C直接測定法による値とnon HDL-C値は使いにくいという課題が残されている。 講演の最後に、岡村氏は「特定健診や日常診療でのスクリーニング基準として、脂質異常症の診断基準を定めている。診断確定後、すぐに服薬治療を開始するための基準ではないことに留意してほしい」とまとめた。

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